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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04228 20160101AFI20230620BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20230620BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230620BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20230620BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230620BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20230620BHJP
【FI】
H01M8/04228
H01M8/0612
H01M8/04 J
H01M8/04303
H01M8/04746
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/12 102B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020014983
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122003
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
(72)【発明者】
【氏名】植木 毅
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼耒 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】大島 健司
(72)【発明者】
【氏名】石田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】小代 卓史
(72)【発明者】
【氏名】長田 康弘
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537782(JP,A)
【文献】特開2018-195570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04228
H01M 8/0612
H01M 8/04
H01M 8/04303
H01M 8/04746
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
燃料ガスおよび酸化剤ガスの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池(10)と、
水蒸気を用いて炭化水素系の燃料を改質して前記燃料ガスを生成する改質器(33)と、
前記燃料電池から排出されるオフ燃料およびオフ空気を燃焼させる排ガス燃焼器(73)と、
前記オフ燃料の一部が流れるリサイクル経路(82)と、
前記改質器よりも上流の前記燃料および前記水蒸気を駆動流として前記リサイクル経路を流れる前記オフ燃料を吸引して前記燃料および前記水蒸気とともに前記改質器に供給するエジェクタ(81)と、
システム外部からの前記燃料の供給量を変更することなく、前記駆動流の流量を増減させる流量調整部(40、41、42、60、61)と、
前記流量調整部を制御する制御装置(100)と、を備え、
前記制御装置に接続された機器から前記排ガス燃焼器を消火させる要求を受けた際に成立する条件または前記排ガス燃焼器が必要温度以上の高温になっている場合に成立する条件を、前記排ガス燃焼器を消火させる消火条件としたとき、
前記制御装置は、前記消火条件が成立すると、前記駆動流の流量が増加するように前記流量調整部を制御する燃料電池システム。
【請求項2】
前記流量調整部は、
前記改質器を通過した前記燃料ガスまたは前記オフ燃料の一部を循環ガスとして前記エジェクタの上流に戻す循環ガス経路(60)と、
前記循環ガス経路を流れる前記循環ガスの流量を調整するガス量調整部(61)と、を含み、
前記制御装置は、前記消火条件が成立すると、前記循環ガス経路を循環する前記循環ガスの流量が増加するように前記ガス量調整部を制御することで前記駆動流の流量を増加させる請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池は、固体酸化物型燃料電池であり、
前記燃料は、メタンを含むガスであり、
前記燃料ガスは、水素および一酸化炭素を含むガスである請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記流量調整部は、
前記エジェクタを介して前記改質器に供給する前記水蒸気を生成する水蒸発器(42)と、
前記水蒸発器に供給する水が流れる水供給経路(40)と、
前記水供給経路を流れる前記水の流量を調整する水量調整部(41)と、を含み、
前記制御装置は、前記消火条件が成立すると、前記水供給経路を流れる前記水の流量が増加するように前記水量調整部を制御することで前記駆動流の流量を増加させる請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池システムとして、起動用燃焼器および燃料電池の排ガスであるオフ燃料およびオフ空気を燃焼させる排ガス燃焼器を含む燃焼器が失火しているか否かに基づいて起動用燃焼器の起動または停止を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-32823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料電池システムの停止処理では、燃料電池の酸化抑制のために燃料電池への燃料供給を継続する必要があり、燃料電池の下流に位置する排ガス燃焼器を消火させることが困難である。
【0005】
これに対して、特許文献1には、起動用燃焼器の起動または停止、排ガス燃焼器の着火について記載されているだけで、排ガス燃焼器の消火について何ら記載されおらず、上述の課題を解決できない。
【0006】
本開示は、燃料電池への燃料供給を継続しつつ、排ガス燃焼器を消火させることが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
燃料電池システムであって、
燃料ガスおよび酸化剤ガスの電気化学反応により電気エネルギを出力する燃料電池(10)と、
水蒸気を用いて炭化水素系の燃料を改質して燃料ガスを生成する改質器(33)と、
燃料電池から排出されるオフ燃料およびオフ空気を燃焼させる排ガス燃焼器(73)と、
オフ燃料の一部が流れるリサイクル経路(82)と、
改質器よりも上流の燃料および水蒸気を駆動流としてリサイクル経路を流れるオフ燃料を吸引して燃料および水蒸気とともに改質器に供給するエジェクタ(81)と、
システム外部からの燃料の供給量を変更することなく、駆動流の流量を増減させる流量調整部(40、41、42、60、61)と、
流量調整部を制御する制御装置(100)と、を備え、
制御装置に接続された機器から排ガス燃焼器を消火させる要求を受けた際に成立する条件または排ガス燃焼器が必要温度以上の高温になっている場合に成立する条件を、排ガス燃焼器を消火させる消火条件としたとき、
制御装置は、消火条件が成立すると、駆動流の流量が増加するように流量調整部を制御する。
【0008】
これによると、消火条件が成立すると、エジェクタに流入する駆動流の流量の増加によってオフ燃料の吸引量が増加することで、排ガス燃焼器に流れるオフ燃料の流量が抑制される。これにより、排ガス燃焼器は燃料不足によって消火される。
【0009】
加えて、消火条件が成立しても、駆動流の流量増加によって、燃料電池への燃料供給が継続される。このため、燃料電池への燃料供給を継続しつつ、排ガス燃焼器を早期に消火させることができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の燃料電池システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する消火処理の一例を示すフローチャートである。
図3】循環調整弁の開弁時間と排ガス燃焼器の温度との関係を説明するための説明図である。
図4】消火処理における循環調整弁の開閉状態を説明するための説明図である。
図5】第2実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する消火処理の一例を示すフローチャートである。
図6】水の供給量と排ガス燃焼器の温度との関係を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図4を参照して説明する。図1に示すように、燃料電池システム1は、作動温度が高温(例えば、500℃~1000℃)となる固体酸化物型の燃料電池(すなわち、SOFC)10を備えている。
【0014】
燃料電池10は、燃料ガスおよび酸化剤ガス(本例では空気)の電気化学反応により電気エネルギを出力する複数の発電セルを積層したスタック構造を有している。なお、発電セルの形状は、平板型および円筒型のいずれであってもよい。
【0015】
図示しないが発電セルは、固体酸化物電解質、空気極(すなわち、カソード)、燃料極(すなわち、アノード)を含んで構成されている。本実施形態の発電セルは、炭化水素系の燃料である都市ガス(すなわち、メタンを主成分とするガス)を改質して生成される水素および一酸化炭素を燃料ガスとしている。なお、使用する燃料は、炭化水素系の燃料であれば、都市ガス以外のガスが採用されていてもよい。
【0016】
燃料電池10は、以下の反応式F1、F2に示す水素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
【0017】
(燃料極)2H+2O2-→2HO+4e …(F1)
【0018】
(空気極)O+4e→2O2- …(F2)
また、燃料電池10は、以下の反応式F3、F4に示す一酸化炭素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
【0019】
(燃料極)2CO+2O2-→2CO+4e …(F3)
【0020】
(空気極)O+4e→2O2- …(F4)
燃料電池10は、後述する空気予熱器22、改質器33、排ガス燃焼器73等とともに断熱性を有するハウジングの内側に配置されている。燃料電池10、空気予熱器22、改質器33、排ガス燃焼器73は、燃料電池システム1におけるホットモジュールHMを構成している。
【0021】
燃料電池10は、空気の入口側に、空気の流通経路である空気経路20が接続されている。空気経路20には、燃料電池10に空気を圧送する圧送ブロワ21、燃料電池10に供給する空気を加熱する空気予熱器22が設けられている。
【0022】
圧送ブロワ21は、大気中の空気を吸い込んで燃料電池10に供給するブロワである。圧送ブロワ21は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動式のブロワで構成されている。
【0023】
空気予熱器22は、圧送ブロワ21から圧送された空気を後述する排ガス燃焼器73で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱するものである。空気予熱器22は、燃料電池10に供給する空気と燃料ガスとの温度差を縮小して、燃料電池10の発電効率の向上を図るために設けられている。
【0024】
一方、燃料電池10は、燃料の入口側に、燃料や燃料ガスの流通経路である燃料経路30が接続されている。燃料経路30には、上流側から順に、燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、改質器33が設けられている。
【0025】
燃料開閉弁31は、システム外部から改質器33へ供給する燃料の供給量を調整するものである。燃料開閉弁31は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電磁弁で構成されている。
【0026】
燃料ポンプ32は、燃料電池10側に向けて燃料を供給するためのポンプである。燃料ポンプ32は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
【0027】
改質器33は、水蒸気を用いて燃料ポンプ32から供給された燃料を改質して燃料ガスを生成するものである。改質器33は、例えば、ニッケルを含む水蒸気改質触媒、反応器を含んで構成されている。
【0028】
ここで、改質器33としては、部分酸化改質反応により燃料ガスを生成する構成とすることが考えられるが、改質器33の構成機器に温度耐久性等が要求され、非常に高価になってしまう。このため、本実施形態では、改質器33として、部分酸化改質反応ではなく水蒸気改質反応により燃料ガスを生成するものを採用している。
【0029】
具体的には、改質器33は、燃料および水蒸気を混合した混合ガスを燃焼ガスと熱交換させて加熱するとともに、以下の反応式F5に示す改質反応、および反応式F6に示すシフト反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)を生成する。
【0030】
CH+HO→CO+H …(F5)
CO+HO→CO+H …(F6)
ここで、改質器33における水蒸気改質は吸熱反応であり、高温となる条件下にて改質率が向上する特性を有している。このため、改質器33は、燃料電池10の発電時に周囲に放出される熱(放射熱)を吸熱できるように、燃料電池10の周囲に配設されていることが望ましい。
【0031】
燃料経路30には、燃料ポンプ32と改質器33との間に水供給経路40が接続されている。水供給経路40には、水ポンプ41、改質器33へ供給する水蒸気を生成する水蒸発器42が設けられている。
【0032】
水ポンプ41は、水蒸発器42を介して改質器33側に水蒸気を供給するポンプである。水ポンプ41は、後述する制御装置100からの制御信号によって水の供給能力が制御される電動ポンプで構成されている。本実施形態では、水ポンプ41が水蒸発器42への水の供給量を調整する水量調整部を構成する。
【0033】
水蒸発器42は、燃焼ガスによって昇温するように構成されている。具体的には、水蒸発器42は、水ポンプ41から供給される水を燃焼ガスと熱交換させて蒸発させる熱交換器として構成されている。
【0034】
また、燃料経路30には、燃料ポンプ32と改質器33との間にエジェクタ81が設けられている。エジェクタ81は、改質器33の上流の燃料および水蒸気を駆動流として後述の吸引経路82を流れるオフ燃料を吸引して燃料および水蒸気とともに改質器33に供給するものである。
【0035】
具体的には、エジェクタ81は、流体を噴射するノズル部811、燃料電池10の出口側から流体を吸引する吸引部812、ノズル部811から噴射される流体と吸引部812から吸引される流体とを混合して改質器33に向けて吐出する吐出部813を有する。
【0036】
ノズル部811は、流体を噴射可能な絞り構造を有している。ノズル部811は、絞り開度が固定された固定絞り構造で構成されている。また、吐出部813は、ノズル部811からの流体および吸引部812からの流体が混合された後に昇圧されるように流路断面積が下流側に向かって拡大している。なお、ノズル部811は、絞り開度を変更可能な可変絞り構造で構成されていてもよい。
【0037】
エジェクタ81の吸引部812は、ノズル部811の出口側の負圧を利用して燃料電池10の出口側から流体を吸引するように構成されている。具体的には、吸引部812には、燃料排出経路72を流れる流体が吸引されるように、燃料排出経路72から分岐する吸引経路82が接続されている。本実施形態では、吸引経路82が、オフ燃料の一部が流れるリサイクル経路を構成している。
【0038】
さらに、燃料経路30には、改質器33を通過した燃料ガスの一部を循環ガスとしてエジェクタ81の上流に戻す循環ガス経路を構成する循環経路60が接続されている。循環経路60は、一端側が燃料経路30における改質器33と燃料電池10との間の部位に接続され、他端側が燃料経路30における燃料開閉弁31と燃料ポンプ32との間の部位に接続されている。
【0039】
循環経路60には、循環調整弁61が設けられている。循環調整弁61は、改質器33を通過した燃料ガスを燃料電池10側ではなく循環経路60側に流すためのものである。循環調整弁61は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電磁弁で構成されている。本実施形態では、循環調整弁61が循環経路60を流れる循環ガスの流量を調整するガス量調整部を構成している。
【0040】
また、循環経路60には、バッファタンク62設けられている。バッファタンク62は、燃料電池10の発電停止時等にシステム内に残留する流体を貯留するタンクである。バッファタンク62には、燃料が流入し難いように、循環経路60における改質器33の出口側から循環調整弁61の入口までの範囲に設けられていることが望ましい。
【0041】
ここで、エジェクタ81は、駆動流としてノズル部811に流入する流体の質量流量の増加に伴って吸引部812から吸引される吸引流体の流量が増えるといった特性を有する。このため、エジェクタ81のノズル部811に流入する流体の質量流量を増加させることで、吸引部812から吸引されるオフ燃料の吸引流量を増加させることが可能となる。
【0042】
例えば、循環調整弁61を開弁して循環経路60を流れる循環ガスを増加させると、システム外部からの燃料の供給量を増加させることなく、エジェクタ81の駆動流を増加させることができる。このため、本実施形態では、循環経路60および循環調整弁61を、システム外部からの燃料の供給量を変更することなく、エジェクタ81の駆動流の流量を調整する流量制御部として機能させている。
【0043】
また、燃料電池10には、燃料電池10から排出される排ガスが流れる排ガス経路70が接続されている。具体的には、燃料電池10には、空気の出口側に燃料電池10から排出されるオフ空気が流れる空気排出経路71が接続され、燃料ガスの出口側に燃料電池10から排出されるオフ燃料が流れる燃料排出経路72が接続されている。
【0044】
排ガス経路70には、排ガス燃焼器73が接続されている。排ガス燃焼器73は、オフ燃料を燃焼させることで改質器33等を昇温させる燃焼ガスを生成するものである。排ガス燃焼器73は、例えば、燃料電池10の発電時に、オフ空気およびオフ燃料を混合した混合ガスを可燃ガスとして燃焼させることで、燃料電池システム1の各機器を昇温させるための燃焼ガスを生成する。図示しないが、排ガス燃焼器73は、燃料を燃焼させるためのバーナを有している。排ガス燃焼器73では、バーナの点火によって、燃料の燃焼が開始されて燃焼ガスが生成される。
【0045】
図示しないが、排ガス燃焼器73には、高温の燃焼ガスを流通させる燃焼ガス経路が接続されている。燃焼ガス経路は、内部を流れる燃焼ガスの熱を有効活用すべく、上流側から順に、改質器33、空気予熱器22、水蒸発器42といった順に接続されている。なお、燃焼ガスを各機器に流す順序は、各機器にて必要とされる熱量等に応じて変更してもよい。
【0046】
次に、燃料電池システム1における電子制御部を構成する制御装置100について説明する。制御装置100は、プロセッサ、メモリを含むマイクロコンピュータと、その周辺回路で構成されている。制御装置100は、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
【0047】
制御装置100の入力側には、改質温度センサ、気化温度センサを含む各種センサが接続されており、各種センサの検出結果が制御装置100に入力されるようになっている。
【0048】
また、制御装置100には、図示しない操作パネルが接続されている。操作パネルには、燃料電池10の発電をオンオフするためのスタートスイッチ、燃料電池10の作動状態を表示するディスプレイ等が設けられている。
【0049】
一方、制御装置100の出力側には、制御機器として、圧送ブロワ21、燃料開閉弁31、燃料ポンプ32、水ポンプ41、循環調整弁61、図示しない排ガス燃焼器73のバーナ等が接続されている。これら制御機器は、制御装置100から出力される制御信号に応じて、その作動が制御される。
【0050】
次に、燃料電池システム1の全体的な作動について簡単に説明する。燃料電池システム1は、スタートスイッチがオンされると制御装置100によって、燃料電池10から電気エネルギを出力させる発電処理が実行される。この発電処理では、燃料電池10に対して発電に適した量の酸化剤ガスおよび燃料ガスが供給される。
【0051】
具体的には、発電処理では、システム外部の燃料が燃料ポンプ32によってエジェクタ81に向けて供給されるとともに、酸化剤ガスが圧送ブロワ21によって空気予熱器22を介して燃料電池10に供給される。加えて、発電処理では、水ポンプ41によって水が水蒸発器42に供給されることで水蒸気が生成される。この水蒸気は、燃料とともにエジェクタ81を介して改質器33に流入する。改質器33では、燃料および水蒸気の混合ガスが供給されると、水蒸気改質反応により燃料ガス(水素、一酸化炭素)が生成される。そして、改質器33で生成された燃料ガスは、燃料電池10に流入する。
【0052】
燃料電池10は、酸化剤ガスおよび燃料ガスが供給されると、前述の反応式F1~F4に示す反応により電気エネルギを出力する。この際、燃料電池10は、水分を含む高温の排ガスを排出する。燃料電池10から排出された排ガスは、可燃ガスとして排ガス燃焼器73で燃焼される。排ガス燃焼器73で生成された燃焼ガスは、改質器33、水蒸発器42等の加熱源として利用された後に排出ガスとしてシステム外部に排出される。
【0053】
前述の如く、改質器33における水蒸気改質は吸熱反応であり、高温となる条件下にて改質率が向上する特性を有している。このため、燃焼ガスによって改質器33を加熱することで、改質器33における改質率を維持することができる。
【0054】
ここで、発電処理時は、燃料電池10で消費されなかった燃料ガスを含むオフ燃料が排出される。このオフ燃料の一部は、循環経路60を介してエジェクタ81に吸引されることで再利用される。エジェクタ81に吸引されるオフ燃料の流量(すなわち、吸引流量)は、エジェクタ81の駆動流の流量に依存する。エジェクタ81の駆動流の調整は、循環調整弁61による循環経路60に流すオフ燃料の流量調整によって行われる。
【0055】
続いて、燃料電池システム1は、スタートスイッチがオフされると、制御装置100がシステムを停止する停止処理を実行する。この停止処理では、空気の供給量を増加させて燃料電池10の温度を低下させる降温処理、水蒸発器42の内部の水分を除去するためのパージ処理、排ガス燃焼器73を消火させる消火処理等が実行される。
【0056】
ここで、排ガス燃焼器73の消火は、燃料ポンプ32を停止して燃料電池10に対する燃料ガスの供給を停止することで達成することができるが、この場合、燃料電池10に用いられる触媒等の酸化劣化が懸念される。
【0057】
一方、停止処理時に、燃料電池10に対する燃料ガスの供給が継続されると、排ガス燃焼器73に対してオフ燃料が流入する。このため、排ガス燃焼器73で生ずる燃焼ガスによって改質器33および空気予熱器の加熱が継続されることで降温処理に長い時間がかかり、停止処理に長時間を要する。
【0058】
これらに対して、本実施形態の制御装置100は、停止処理時に、排ガス燃焼器73を早期に消火させる消火処理を実行する。以下、制御装置100が実行する消火処理について図2を参照しつつ説明する。
【0059】
図2に示すように、制御装置100は、ステップS10にて、排ガス燃焼器73を消化させる消火条件が成立したか否かを判定する。本実施形態の消火条件は、スタートスイッチがオフされた際に操作パネルから出力される消火要求を受けた際に成立する条件になっている。
【0060】
消火条件が成立すると、制御装置100は、ステップS12に移行して、循環調整弁61の開度を増加させる。すなわち、制御装置100は、消火条件が成立すると、循環経路60を循環する循環ガスの流量が増加するように循環調整弁61を制御することで、エジェクタ81の駆動流の流量を増加させる。この際、燃料開閉弁31が開弁状態であれば、制御装置100は、燃料開閉弁31を閉弁状態に制御する。
【0061】
これによると、エジェクタ81に流入する駆動流の流量の増加によってオフ燃料の吸引量が増加することで、排ガス燃焼器73に流れるオフ燃料の流量が抑制される。これにより、排ガス燃焼器73は燃料不足によって失火する。
【0062】
続いて、制御装置100は、ステップS14に移行して、消火完了であるか否かを判定する。すなわち、制御装置100は、ステップS14にて、排ガス燃焼器73が失火したか否かを判定する。
【0063】
排ガス燃焼器73は、排ガス燃焼器73の温度(例えば、壁面温度)が所定温度(例えば、600℃)以下になると失火する。例えば、消火条件が成立した際の排ガス燃焼器73の温度が710℃付近である場合、排ガス燃焼器73の温度が110℃以上低下すると、排ガス燃焼器73が失火する。
【0064】
本発明者らの調査によると、消火処理時における排ガス燃焼器73の温度低下は、図3に示すように、循環調整弁61の開弁時間が長くなるに伴って大きくなる。図3に示す排ガス燃焼器73の温度低下と循環調整弁61の開弁時間との関係によれば、循環調整弁61の開弁時間を120秒程度とすることで、排ガス燃焼器73を消化することができる。
【0065】
これらを加味して、本実施形態の制御装置100は、循環調整弁61の開度を増加させてからの経過時間に基づいて、消火完了であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、循環調整弁61の開度を増加させてからの経過時間が予め定めた失火時間を超えると消火完了であると判定する。
【0066】
失火が完了すると、制御装置100は、ステップS16に移行して後処理を実行して消火処理を抜ける。この後処理では、例えば、循環調整弁61を閉弁する。このように、制御装置100は、図4に示すように、消火条件が成立すると、排ガス燃焼器73の消火が完了するまでの所定期間、循環調整弁61を開弁状態にする。
【0067】
以上説明した燃料電池システム1は、排ガス燃焼器73を消火させる消火条件が成立すると、制御装置100がエジェクタ81の駆動流の流量が増加するように循環調整弁61を制御する。これによると、消火条件が成立すると、エジェクタ81に流入する駆動流の流量の増加によってオフ燃料の吸引量が増加することで、排ガス燃焼器73に流れるオフ燃料の流量が抑制される。これにより、排ガス燃焼器73は燃料不足によって消火される。
【0068】
加えて、消火条件が成立しても、エジェクタ81の駆動流の流量増加によって、燃料電池10への燃料供給が継続される。このため、燃料電池10への燃料供給を継続しつつ、排ガス燃焼器73を早期に消火させることができる。
【0069】
具体的には、制御装置100は、消火条件が成立すると、循環経路60を循環する循環ガスの流量が増加するように循環調整弁61を制御することでエジェクタ81の駆動流の流量を増加させる。これによると、消火条件が成立すると、燃料ガスの一部が循環ガスとしてエジェクタ81の上流に戻るので、燃料の供給量を増加させることなく、エジェクタ81に流入する駆動流の流量を増加させることができる。したがって、燃料消費を抑えつつ、排ガス燃焼器73を早期に消火させることができる。
【0070】
また、本実施形態の燃料電池10は、メタンを含むガスを燃料とし、当該ガスを改質して得られる水素および一酸化炭素を含むガスを燃料ガスとする固体酸化物型燃料電池である。循環ガスには、燃料であるメタンよりも高密度となる一酸化炭素が含まれる。このため、消火条件の成立時に、燃料ガスの一部を循環ガスとしてエジェクタ81の上流に戻すことで、エジェクタ81への燃料の供給量を増加させる場合に比べて、効率よく駆動流を増加させることができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図5図6を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。本実施形態の燃料電池システム1は、制御装置100が実行する消火処理の内容が第1実施形態と異なっている。
【0072】
ここで、水ポンプ41によって水蒸発器42への水の供給量を増加させると、水蒸発器42で生ずる水蒸気が増加することで、エジェクタ81の駆動流を増加させることができる。このため、本実施形態では、水ポンプ41、水供給経路40、水蒸発器42を、システム外部からの燃料の供給量を変更することなく、エジェクタ81の駆動流の流量を調整する流量制御部として機能させている。
【0073】
以下、本実施形態の制御装置100が実行する消火処理について図5を参照しつつ説明する。この消火処理は、システムを停止する停止処理時に制御装置100によって実行される。
【0074】
図5に示すように、制御装置100は、ステップS20にて、排ガス燃焼器73を消化させる消火条件が成立したか否かを判定する。この判定処理は、第1実施形態で説明した判定処理と同様である。
【0075】
消火条件が成立すると、制御装置100は、ステップS22に移行して、水ポンプ41によって水の供給量を増加させる。すなわち、制御装置100は、消火条件が成立すると、水供給経路40を流れる水の流量が増加するように水ポンプ41を制御することで、エジェクタ81の駆動流の流量を増加させる。
【0076】
これによると、エジェクタ81に流入する駆動流の流量の増加によってオフ燃料の吸引量が増加することで、排ガス燃焼器73に流れるオフ燃料の流量が抑制される。これにより、排ガス燃焼器73は燃料不足によって失火する。
【0077】
続いて、制御装置100は、ステップS24に移行して、消火完了であるか否かを判定する。すなわち、制御装置100は、ステップS24にて、排ガス燃焼器73が失火したか否かを判定する。
【0078】
排ガス燃焼器73は、排ガス燃焼器73の温度が所定温度(例えば、600℃)以下になると失火する。例えば、消火条件が成立した際の排ガス燃焼器73の温度が640℃付近である場合、排ガス燃焼器73の温度を40℃以上低下させることで、排ガス燃焼器73が失火する。
【0079】
本発明者らの調査によると、消火処理時における排ガス燃焼器73の温度は、図6に示すように、水ポンプ41によって水の供給量を増加させている時間が長くなるに伴って大きくなる。図6に示す排ガス燃焼器73の温度と水の供給量を増加させている時間との関係によれば、循環調整弁61の開弁時間を60秒程度とすることで、排ガス燃焼器73を消化することができる。
【0080】
これらを加味して、本実施形態の制御装置100は、水ポンプ41によって水の供給量を増加させてからの経過時間に基づいて、消火完了であるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、水ポンプ41によって水の供給量を増加させてからの経過時間が予め定めた失火時間を超えると消火完了であると判定する。失火が完了すると、制御装置100は、ステップS26にて、水ポンプ41における水の供給能力低下等の後処理を行って消火処理を抜ける。
【0081】
以上説明した燃料電池システム1は、排ガス燃焼器73を消火させる消火条件が成立すると、制御装置100がエジェクタ81の駆動流の流量が増加するように水ポンプ41を制御する。これによると、消火条件が成立すると、エジェクタ81に流入する駆動流の流量の増加によってオフ燃料の吸引量が増加することで、排ガス燃焼器73に流れるオフ燃料の流量が抑制される。これにより、排ガス燃焼器73は燃料不足によって消火される。
【0082】
加えて、消火条件が成立しても、エジェクタ81の駆動流の流量増加によって、燃料電池10への燃料供給が継続される。このため、燃料電池10への燃料供給を継続しつつ、排ガス燃焼器73を早期に消火させることができる。
【0083】
具体的には、制御装置100は、消火条件が成立すると、水供給経路40を流れる水の流量が増加するように水ポンプ41を制御することでエジェクタ81の駆動流の流量を増加させる。これによると、消火条件が成立すると、水の流量が増加して水蒸発器42で生ずる水蒸気の量が増える。これにより、燃料の供給量を増加させることなく、エジェクタ81に流入する駆動流の流量を増加させることができる。したがって、燃料消費を抑えつつ、排ガス燃焼器73を早期に消火させることができる。
【0084】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態で説明した消火処理は、循環調整弁61を制御する必要がないので、循環経路60および循環調整弁61を備えていない燃料電池システム1に対しても適用可能である。
【0085】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0086】
上述の実施形態では、システムの停止処理時に消火処理が実行されるものを例示したが、消火処理の実行タイミングは、これに限定されない。消火処理は、停止処理時に限らず、例えば、発電処理時に実行されてもよい。
【0087】
上述の実施形態では、消火条件をスタートスイッチがオフされた際に操作パネルから出力される消火要求を受けた際に成立する条件としたものを例示したが、消火条件は、これに限定されない。消火条件は、操作パネルから出力される消火要求の有無によらず、例えば、排ガス燃焼器73が必要温度以上の高温になっている場合に成立する条件になっていてもよい。
【0088】
上述の実施形態では、循環ガスまたは水の供給量を増加させてからの経過時間に基づいて消火完了の判定を行うものを例示したが、消火完了の判定は、これに限定されない。消火完了の判定は、例えば、排ガス燃焼器73の温度に基づいて行われるようになっていてもよい。また、消火完了の判定は、排ガス燃焼器73の内部の火炎を検出する火炎検出器からの出力に基づいて行われるようになっていてもよい。なお、火炎検出器としては、火炎の光源を感知する火炎センサ、火炎から放射される赤外線を検知するIRセンサ等を採用することができる。
【0089】
上述の実施形態の如く、循環経路60にバッファタンク62が設けられていることが望ましいが、これに限らず、バッファタンク62が設けられていなくてもよい。
【0090】
上述の実施形態では、消火条件が成立した際に、循環調整弁61および水ポンプ41の一方を制御してエジェクタ81の駆動流を増加させるものを例示したが、消火処理は、これに限定されない。消火処理は、例えば、循環調整弁61および水ポンプ41の双方を制御してエジェクタ81の駆動流を増加させる処理になっていてもよい。
【0091】
上述の実施形態では、循環経路60が燃料経路30における改質器33と燃料電池10との間の部位に接続されているものを例示したが、循環経路60は、これに限定されない。循環経路60は、例えば、一端側が燃料排出経路72に接続され、他端側が燃料経路30における燃料開閉弁31と燃料ポンプ32との間の部位に接続されていてもよい。この場合、循環経路60には、循環ガスとして未反応燃料および二酸化炭素を含むオフ燃料が流れる。
【0092】
上述の実施形態では、固体酸化物型の燃料電池10を例示したが、これに限らず、燃料電池10は、例えば、固体高分子型燃料電池(すなわち、PEFC)が採用されていてもよい。この場合、改質器33で生成される水素が燃料ガスとなる。なお、改質器33は、部分酸化改質反応により燃料ガスを生成可能に構成されていてもよい。
【0093】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0094】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0095】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0096】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御部及びその手法は、1以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御部及びその手法は、1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1以上の専用コンピュータで実現されてもよい。
【0097】
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、燃料電池システムは、排ガス燃焼器を消火させる消火条件が成立すると、制御装置がエジェクタの駆動流の流量が増加するように流量調整部を制御する。
【0098】
第2の観点によれば、流量制御部は、改質器を通過した燃料ガスまたはオフ燃料の一部を循環ガスとしてエジェクタの上流に戻す循環ガス経路と、循環ガス経路を流れる循環ガスの流量を調整するガス量調整部と、を含む。制御装置は、消火条件が成立すると、循環ガス経路を循環する循環ガスの流量が増加するようにガス量調整部を制御することで駆動流の流量を増加させる。
【0099】
これによると、消火条件が成立すると、オフ燃料の一部が循環ガスとしてエジェクタの上流に戻るので、燃料の供給量を増加させることなく、エジェクタに流入する駆動流の流量を増加させることができる。したがって、燃料消費を抑えつつ、排ガス燃焼器を消火させることができる。
【0100】
第3の観点によれば、燃料電池は、固体酸化物型燃料電池であり、燃料は、メタンを含むガスであり、燃料ガスは、水素および一酸化炭素を含むガスである。固体酸化物型燃料電池の燃料ガスには、燃料であるメタンよりも高密度となる一酸化炭素が含まれる。このため、消火条件の成立時に、燃料ガスの一部を循環ガスとしてエジェクタの上流に戻すことで、エジェクタへの燃料の供給量を増加させる場合に比べて、効率よく駆動流を増加させることができる。
【0101】
第4の観点によれば、流量制御部は、エジェクタを介して改質器に供給する水蒸気を生成する水蒸発器と、水蒸発器に供給する水が流れる水供給経路と、水供給経路を流れる水の流量を調整する水量調整部と、を含む。制御装置は、消火条件が成立すると、水供給経路を流れる水の流量が増加するように水量調整部を制御することで駆動流の流量を増加させる。
【0102】
これによると、消火条件が成立すると、水の流量が増加して水蒸発器で生ずる水蒸気の量が増える。これにより、燃料の供給量を増加させることなく、エジェクタに流入する駆動流の流量を増加させることができる。したがって、燃料消費を抑えつつ、排ガス燃焼器を消火させることができる。
【符号の説明】
【0103】
10 燃料電池
40 水供給経路
41 水ポンプ(水量調整部)
42 水蒸発器
60 循環経路(循環ガス経路)
61 循環調整弁(ガス量調整部)
73 排ガス燃焼器
81 エジェクタ
82 吸引経路(リサイクル経路)
100 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6