(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】鋳型造型装置
(51)【国際特許分類】
B22C 13/16 20060101AFI20230620BHJP
B22C 5/04 20060101ALI20230620BHJP
B22C 15/02 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B22C13/16
B22C5/04 D
B22C15/02
(21)【出願番号】P 2020049926
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 貴伸
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】青木 知裕
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-192512(JP,A)
【文献】特表2015-517409(JP,A)
【文献】特開平06-031378(JP,A)
【文献】実開平06-023643(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出口から金型のキャビティに発泡混練物を射出する射出釜と、
前記射出釜の上部開口部を開閉する蓋部材と、
前記蓋部材を当該射出釜の深さ方向に沿って上下移動させる上下駆動機構と、
前記射出釜と前記蓋部材とを解除可能に連結する連結部と、を備え
、
前記連結部により前記射出釜と前記蓋部材とが連結して一体化している場合には、前記上下駆動機構は、前記射出釜を前記蓋部材とともに上下移動させ、
前記連結部による前記射出釜と前記蓋部材との連結が解除されている場合には、前記上下駆動機構は、前記射出釜を上下移動させずに前記蓋部材を上下移動させる、
鋳型造型装置。
【請求項2】
前記射出釜内の前記発泡混練物を撹拌する撹拌機構を更に備え、
前記上下駆動機構は、前記蓋部材および前記撹拌機構を前記上下移動させる請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項3】
前記連結部は、クランプピンと、前記射出釜に設けられたクランプブッシュと、前記クランプピンを駆動する駆動部とを有する請求項1または2に記載の鋳型造型装置。
【請求項4】
前記射出口を開閉する止め栓を有する止栓プレートと、
前記止栓プレートを水平方向に移動させる駆動機構とを更に備え、
前記射出釜は、前記連結部による連結が解除されている状況において、前記止栓プレートに載せられて、前記駆動機構による前記止栓プレートの移動に伴って前記水平方向への移動が可能となっている請求項1から3のいずれか1項に記載の鋳型造型装置。
【請求項5】
射出口から金型のキャビティに発泡混練物を射出する射出釜と、
前記射出釜の上部開口部を開閉する蓋部材と、
前記蓋部材を当該射出釜の深さ方向に沿って上下移動させる上下駆動機構と、
前記射出釜と前記蓋部材とを解除可能に連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、クランプピンと、前記射出釜に設けられたクランプブッシュと、前記クランプピンを駆動する駆動部とを有する、
鋳型造型装置。
【請求項6】
射出口から金型のキャビティに発泡混練物を射出する射出釜と、
前記射出釜の上部開口部を開閉する蓋部材と、
前記蓋部材を当該射出釜の深さ方向に沿って上下移動させる上下駆動機構と、
前記射出釜と前記蓋部材とを解除可能に連結する連結部と、
前記射出口を開閉する止め栓を有する止栓プレートと、
前記止栓プレートを水平方向に移動させる駆動機構と、を備え、
前記射出釜は、前記連結部による連結が解除されている状況において、前記止栓プレートに載せられて、前記駆動機構による前記止栓プレートの移動に伴って前記水平方向への移動が可能となっている、
鋳型造型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡混練物を加熱された金型のキャビティに圧入充填して鋳型を造型する鋳型造型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鋳造後の崩壊性が良いとして、粒子状骨材の粘結剤として水溶性バインダを用い、且つ加熱により水分を蒸発させて水溶性バインダを硬化させ、これにより鋳型を造型することが提案されている。例えば、特許文献1には、そのような造型の材料となる発泡混合物を製造して、当該発泡混合物を金型のキャビティに空気によって射出する鋳型造型装置が開示されている。
図9に示す特許文献1の鋳型造型装置110は、底に充填孔122が貫通形成された槽120と、充填孔122を開閉する止栓機構118と、槽120における開口部120Kの側を密閉状に閉塞する蓋部材130とを備えている。更に、鋳型造型装置110は、下部に攪拌羽根140が設けられた攪拌機構112と、発泡混合物を充填孔122から金型160のキャビティに充填させる場合に圧縮空気を槽120の内部に供給する圧縮空気供給機構150とを備えている。更に、鋳型造型装置110は、槽120を上下方向に移動させるためのシリンダ172Yと、蓋部材130を上下方向に移動させるサーボシリンダ116Yと、攪拌羽根140を上下方向に移動させるサーボシリンダ144Yを備えている。すなわち、鋳型造型装置110は、上下方向に移動させる構成部材に対し、それぞれ専用の駆動系を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の鋳型造型装置に関して、上下方向に移動させる構成部材に対してそれぞれ専用の駆動系を有しており、装置構成が複雑である。また、これら上下方向に移動させる構成部材を個別に制御することになる。そのため、混練から射出に至るサイクルタイムが比較的長い。以上のことから、上述の特許文献1の鋳型造型装置には、装置構成を簡略化する余地、および混練から射出に至るサイクルタイムを短縮できる余地が残されていた。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、装置構成を従前よりも簡略化し、且つ混練から射出に至るサイクルタイムを従前よりも短縮させた鋳型造型装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る鋳型造型装置は、射出口から金型のキャビティに発泡混練物を射出する射出釜と、前記射出釜の上部開口部を開閉する蓋部材と、前記蓋部材を当該射出釜の深さ方向に沿って上下移動させる上下駆動機構と、前記射出釜と前記蓋部材とを解除可能に連結する連結部と、を備えている。
【0007】
前記の構成によれば、本発明の一形態における鋳型造型装置は、射出釜に対する上下動のための専用の駆動機構を具備する必要がないため、従前よりも簡略化した装置構成の鋳型造型装置を実現することができる。上下駆動機構が、連結部により射出釜と蓋部材とが連結して一体化している場合には射出釜を蓋部材とともに上下移動させることができる。一方で、当該連結が解除されている場合には、上下駆動機構は、射出釜を上下移動させずに蓋部材を上下移動させることができる。すなわち、射出釜を上下動させる必要がある場合には、連結部によって蓋部材と連結させる。
【0008】
また、前記の構成によれば、上下駆動機構を蓋部材と射出釜との上下動用の駆動機構として共用するため、制御が容易になり、混練から射出に至るサイクルタイムを従前よりも短縮させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る鋳型造型装置は、前記の構成において、前記射出釜内の前記発泡混練物を撹拌する撹拌機構を更に備え、前記上下駆動機構は、前記蓋部材および前記撹拌機構を前記上下移動させる構成としてもよい。
【0010】
前記の構成によれば、上下駆動機構によって撹拌機構が上下動するため、撹拌機構に対する上下動のための専用の駆動機構を具備する必要がなく、シンプルな構成の鋳型造型装置を実現することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る鋳型造型装置は、前記の構成において、前記連結部は、クランプピンと、前記射出釜に設けられたクランプブッシュと、前記クランプピンを駆動する駆動部とを有していてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、クランプによって、蓋部材と射出釜との連結、および当該連結の解除を容易に実現することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る鋳型造型装置は、前記の構成において、前記射出口を開閉する止め栓を有する止栓プレートと、前記止栓プレートを水平方向に移動させる駆動機構とを更に備え、前記射出釜は、前記連結部による連結が解除されている状況において、前記止栓プレートに載せられて、前記駆動機構による前記止栓プレートの移動に伴って前記水平方向への移動が可能となっていてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、止栓プレートを水平方向に沿って移動させる駆動機構を用いて、射出釜を水平方向に移動させる。従前はメンテナンス時に重量がある射出釜を鋳型造型装置から限られたスペースの中で取り外さなければならず、作業性が悪く、射出釜の清掃作業が非常に大変であった。しかしながら、前記本発明の一形態の鋳型造型装置によれば、射出釜のメンテナンス作業を従前よりも簡便に実施できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、従前よりも、構成がシンプルで、且つサイクルタイムの短縮を実現できる鋳型造型装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る一実施形態の鋳型造型装置の正面図である。
【
図2】
図1に示す切断線A-A´における鋳型造型装置の矢視断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る鋳型造型装置の射出釜周辺の斜視図である。
【
図4】
図1に示す鋳型造型装置の射出釜周辺の断面図である。
【
図5】
図4に示す射出釜周辺の構成において、連結部によって射出釜と蓋部材とが連結され一体的になっている状態の断面図である。
【
図6】
図1に示す鋳型造型装置のシール体を示す断面図である。
【
図7】
図1に示す鋳型造型装置の動作の一例について模式的に示す図である。
【
図8】
図1に示す鋳型造型装置の動作の一例について模式的に示す図である。
【
図9】従来技術の鋳型造型装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態の鋳型造型装置について、
図1から
図8を用いて説明する。
【0018】
(1)鋳型造型装置1の概要
図1は、本実施形態の鋳型造型装置1の全体構成を示す正面図である。また、
図2は、
図1に示す切断線A-A´において鋳型造型装置1を切断した様子を示す矢視断面図である。
図3は、鋳型造型装置1の射出釜周辺の斜視図である。また、
図4は、
図3に示す切断線B-B´において鋳型造型装置1を切断した様子を示す矢視断面図である。鋳型造型装置1は、金型のキャビティに材料を圧入充填して鋳型を造型するプロセスにおいて用いることができる。なかでも、粒子状骨材、水溶性バインダ、界面活性剤および水を攪拌して得られる発泡混練物を鋳型の材料として用いて、中子を造型するプロセスにおいて好適に用いることができる。
【0019】
鋳型造型装置1は、射出釜2を備え、射出釜2内において撹拌羽根51(
図2)を用いた発泡混練物の生成と、生成した発泡混練物の射出とを行う。また、鋳型造型装置1は、射出釜2内の発泡混練物を、射出釜2内の上部に空気(例えば圧縮空気)を供給することによって射出する。鋳型造型装置1は、射出釜2の上部の開口を開閉する蓋部材60および射出用空気供給部65b(
図6)を更に備えている。また、鋳型造型装置1は、混練から射出までの動作を遂行するために、各種の駆動系も更に具備する。
【0020】
その駆動系に関し、鋳型造型装置1は、蓋部材60を射出釜2の深さ方向に沿って上下移動させる上下駆動機構3と、射出釜2と蓋部材60とを解除可能に連結する連結部4とを備えている。そして、連結部4により射出釜2と蓋部材60とが連結して一体化している場合には、上下駆動機構3は、射出釜2を蓋部材60とともに前記上下移動させる。その一方で、連結部4が射出釜2と蓋部材60とを連結していない場合(当該連結が解除されている場合)には、上下駆動機構3は、射出釜2は上下移動させずに蓋部材60を上下移動させる。このように鋳型造型装置1によれば、射出釜2を上下動させる必要がある場合には、連結部4によって蓋部材60と連結させることによって、上下駆動機構3を用いて上下動させることができる。換言すれば、鋳型造型装置1は、射出釜2を、蓋部材60を上下移動させる上下駆動機構3を用いて上下動させる構成となっており、射出釜2に対する上下動のための専用の駆動機構を具備していない。そのため、当該専用の駆動機構を具備する従前の鋳型造型装置に対して、鋳型造型装置1は、構成を簡略化することができ、シンプルな構成とすることができる。また、上下動を必要とする個々の構成要素に対して、それぞれに専用の上下動用の駆動機構を具備すると、互いの位置を確認しながら動く必要があった。その場合、駆動における相互の位置関係等の制御が複雑になり、条件の崩れにより停止する可能性があった。これに対し、本実施形態によれば、上下駆動機構3を蓋部材60と射出釜2との上下動用の駆動機構として共用するため、干渉のリスクがなくなるとともに、条件崩れによる停止の可能性を少なくできる。また、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0021】
(2)鋳型造型装置1の詳細
次に詳細を説明する。鋳型造型装置1は、射出釜2と、蓋部材60と、上下駆動機構3と、連結部4とを備えている。鋳型造型装置1は、更に、撹拌機構5と、止栓機構7(
図4)と、駆動機構9(
図1および
図2)と、金型11(
図7)とを備えている。
【0022】
射出釜2は、各種材料(鋳型材料)を混練して発泡混練物を生成するための容器であり、且つ、生成した発泡混練物を射出するまで収納するための容器である。射出釜2は、射出口20が設けられた下側部21と、下側部21に対向配置された上側部22と、下側部21と上側部22との間に配設された透明材料から構成された側方部23と、を有する。側方部23は筒型状であり、下端側の開口が下側部21によって封止されていることにより、下側部21が釜底となって内部に発泡混練物を収容できる。
図1に示すように、射出釜2は、側方部23の外側に、下側部21と上側部22とを連結する支柱部24が複数設けられている。
【0023】
下側部21は、
図4に示すように、側方部23の外径近傍から側方に突出した形状を有した下フランジ25と、下フランジ25の下に射出プレート体26とを有している。下フランジ25には、側方部23の外径よりも僅かに大きい開口径を有する開口部25aが設けられており、当該開口部25aに側方部23の下端が嵌合することによって、側方部23と連結する。射出プレート体26は、下フランジ25の下面に連結しており、上面の一部の領域が、釜内面に向かって露出している。この露出した部分が、射出釜2の釜底の上面を構成する。射出口20は、射出プレート体26に設けられた貫通孔であり、例えば
図4に示すように3つ設けられている。射出口20の数はこれに限定されない。各射出口20には、発泡混練物が漏れ出ないようにする弁構造体が設けられても良い。弁構造体は、例えば、ゴム製の周知の弁構造体でも良い。
【0024】
下側部21は、2枚構造になっており或る程度の厚さを確保することができ、射出釜2の剛性の向上に寄与する。下フランジ25および射出プレート体26は、耐アルカリ性および混練砂剥離性の優れた材料から構成することが好ましく、例えば、ステンレス等の金属、あるいはPTFE等のフッ素樹脂等から構成することができる。これらを金属により構成すればより一層の剛性向上を実現することができる。下フランジ25と射出プレート体26とは同一材料であっても異なる材料であってもよい。
【0025】
上側部22は、
図3および
図4に示すように、側方部23の外径近傍から側方に突出した形状を有した上フランジ27を有する。上フランジ27には、
図4に示すように、側方部23の外径よりも僅かに大きい開口径を有する(上部開口部)が設けられており、当該開口部27aに側方部23の上端が嵌合することによって、側方部23と連結する。上フランジ27は、ステンレス等の金属、あるいはPTFE等のフッ素樹脂から構成することができる。ただし、金属に限定されるものではない。上フランジ27は、或る程度の厚さを有していることにより、射出釜2の剛性の向上に寄与する。更にこれらを金属により構成すればより一層の剛性向上を実現することができる。
【0026】
上側部22は、更に、上フランジ27の上面に連結されたクランプブッシュ28を有する。クランプブッシュ28は、射出釜2の中心軸を挟んで対向する2箇所に設けられており、その各々には、後述するクランプピン43が挿入される穴28aが設けられている。クランプブッシュ28は、後述するクランプピン43とともに連結部4を構成する。クランプブッシュ28は、上フランジ27と同一材料から構成してもよく、別材料から構成してもよい。
【0027】
支柱部24は、
図3に示すように、下側部21と上側部22に連結されている。支柱部24も、下側部21および上側部22と同様に、金属から構成することが好ましい。これにより、支柱部24も、下側部21および上側部22と併せて、射出釜2の剛性向上に寄与することができる。また、支柱部24は、下側部21と上側部22との離間距離を、所定距離で維持する。また、本実施形態では、支柱部24は、側方部23の外周にそって等間隔に計4本設けられている。なお、支柱部24の設置数は、4本に限定されるものではない。
【0028】
側方部23は、下側部21と上側部22とに固定されており、発泡混練物を収容する釜の側面部分を構成している。側方部23は、透明材料から構成されている。これにより、射出釜2の内部の様子を良好に観察することができる。観察することにより、混練の程度、容量を確認でき、射出釜2の清掃時に除去されるべき付着物の有無および清掃時に当該付着物の残留の有無も確認できる。更に、後述するシール体61(例えばインフレーションシール)によるシールの具合も確認することができる。透明材料としては、透明性を有する熱可塑性樹脂(いわゆるプラスチック)を用いることができ、なかでも、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリスチレン等の硬質プラスチックからなる群から選択されることが好ましい。
【0029】
側方部23は、収容した発泡混練物の重さ、および圧入充填の際の圧力に耐え得る強度を有していればよい。射出釜2の剛性は、下側部21、上側部22および支柱部24によって確保できるため、側方部23の厚さを内圧に耐えられる程度に比較的薄く実現できる。
【0030】
蓋部材60は、射出釜2の上側部22の側の開口の内周面に対向する周面60aを有しており、この周面60aにシール体61が設けられている。
【0031】
シール体61は、蓋部材60の中心部から周面60aに向かう放射方向(径方向)に変形することができる。シール体61を径方向に変形させると、シール体61の先端が射出釜2の内周面に密着して、射出釜2の上部の開口を密閉することができる。換言すれば、シール体61が変形する前は、シール体61と射出釜2の内周面との間に隙間ができている状態である。シール体61の変形は、シール体61に設けられた中空部分に対する、シール用空気供給部65aによる空気の圧送によっておこなわれる。蓋部材60が射出釜2の上部の開口を閉じてシール体61を射出釜2の内周面に密着させれば、射出釜2内が密閉された状態となる。この状態において、射出用空気供給部65bによって射出釜2内に空気を圧送すれば、射出釜2内の発泡混練物が圧縮空気によって押圧されて射出口20から射出される。シール体61の内側の中空部分への空気の供給が停止されると、シール部61aがもとの状態(膨張前の状態)に戻り、射出釜2の内周面から離間される。シール体61は、混練時にも変形(膨張)して射出釜2を密閉して、混練による射出釜2のぐらつきを抑制する。なお、蓋部材60の構成は、上述の構成に限定されるものではなく、射出釜2の上部の開口を閉じることができる構成であればよい。
【0032】
蓋部材60には、
図4に示すように、撹拌羽根51を下端に備えた撹拌軸53が挿通する軸受け68を有した撹拌軸挿通穴64が設けられている。蓋部材60の上下動と、撹拌軸53および撹拌羽根51の上下動とは、上下駆動機構3(
図2)によって一体的に駆動、制御されている。
【0033】
シール用空気供給部65aは、シール体61の先述の中空部分に空気を供給する。具体的には、シール用空気供給部65aは、蓋部材60内に設けられた流路62の他端に接続されており、射出釜2内の発泡混練物を射出口20から射出する工程において、シール体61を変形させるべく、先述の中空部分に空気を供給する。これにより、射出釜2の上部の開口が閉塞されて、射出釜2内が密閉された状態となる。
【0034】
シール体61への空気の供給に関し、シール用空気供給部65aは、蓋部材60に、不図示のポートおよび圧力ゲージを備え、当該ポートには、ホース、流量計および三方弁を介して圧縮空気供給装置が接続されている。この圧縮空気供給装置は、流量計、三方弁、ホースおよびポートを介して、シール体61への圧縮空気の供給が可能とされている。圧力ゲージは、シール体61の中空部分の圧力を測定する。
【0035】
また、シール用空気供給部65aは、圧力ゲージ、流量計、三方弁および圧縮空気供給装置にそれぞれ接続された空気供給制御部を備えている。空気供給制御部は、圧縮空気供給装置および三方弁の各作動を制御して、シール体61への空気の供給および供給の停止を行う。
【0036】
射出用空気供給部65bは、射出釜2内に空気を供給する。具体的には、射出用空気供給部65bは、
図6に示すように蓋部材60に設けられた導入管67に連結しており、導入管67を介して、射出釜2内に空気を供給することができる。射出用空気供給部65bは、後述する止栓機構7が射出釜2の射出口20を開放させた状態で、射出釜2内に空気を供給する。このとき、シール用空気供給部65aは、シール体61を膨らませて射出釜2内を密閉している。この状態において射出用空気供給部65bが射出釜2内に空気を供給することにより、射出釜2内の発泡混練物が射出口20から射出される。シール用空気供給部65aと、射出用空気供給部65bとは、空気を供給するタイミングが異なる。なお、シール用空気供給部65aは、射出用空気供給部65bよりも、供給する空気圧が高い。
【0037】
射出用空気供給部65bは、蓋部材60に、不図示のポートおよび圧力ゲージを備え、当該ポートには、ホース、流量計および三方弁を介して圧縮空気供給装置が接続されている。この圧縮空気供給装置は、流量計、三方弁、ホースおよびポートを介して、射出釜2内への圧縮空気の供給が可能とされている。圧力ゲージは、射出釜2内の圧力を測定する。
【0038】
また、射出用空気供給部65bは、圧力ゲージ、流量計、三方弁および圧縮空気供給装置にそれぞれ接続された空気供給制御部を備えている。空気供給制御部は、圧縮空気供給装置および三方弁の各作動を制御する。
【0039】
上下駆動機構3は、蓋部材60を、射出釜2の深さ方向に沿って上下動させる機構である。上下駆動機構3は、射出釜2を、必要に応じて蓋部材60と一体的に上下動させることができる。なお、上下駆動機構3は、蓋部材60と撹拌機構5とを常に一体的に上下動させる。
【0040】
上下駆動機構3は、装置上下方向を軸方向として配置されたシリンダ30aおよびロッド30bと、上下駆動用の電動サーボモータ(不図示)とを有している。ロッド30bの下端部は、蓋部材60、撹拌機構5と接続されている。これにより、電動サーボモータが作動することにより、蓋部材60と撹拌機構5とが一体的に射出釜2の底部に接近する方向およびその反対方向、言い換えれば装置上下方向、に移動する構成となっている。電動サーボモータは、上下動制御部(不図示)に接続されている。
【0041】
連結部4は、上下駆動機構3、蓋部材60および撹拌機構5と、射出釜2とを連結させたり、当該連結を解除したりする釜クランプ機構40を有する。連結は、釜クランプ機構40のクランプピン43が、射出釜2の上側部22の上フランジ27に連結されたクランプブッシュ28の穴28aに挿入されることによって実現される。したがって、釜クランプ機構40およびクランプブッシュ28によって連結部4が構成されている。連結部4の上部は、上下駆動機構3のロッド30bの下端部が連結固定されており、連結部4の下部には、板状部材4aが設けられており、板状部材4aに蓋部材60が連結固定されている。板状部材4aは、
図3および
図4に示すように、撹拌機構5の撹拌軸53を挟んで対向する2箇所に設けられ、それぞれに釜クランプ機構40が連結されている。また、連結部4は、釜上下ケーブルキャリア46(
図2)を有している。
【0042】
釜クランプ機構40は、
図4に示すように、ロッド41を有するクランプシリンダ44(駆動部)と、クランプ基台42と、クランプピン43とを含む。釜クランプ機構40は、蓋部材60に固定されている板状部材4aに連結しており、ロッド41(
図4)が板状部材4aに軸支されている。ロッド41の先端には、クランプ基台42が連結しており、クランプ基台42には、板状部材4aに軸支されているクランプピン43が設けられている。クランプ基台42は、2つあり、各々に2本のクランプピン43が平行に並んで設けられている。
【0043】
各クランプピン43の突出端は、先述の射出釜2の上側部22の上フランジ27に連結されたクランプブッシュ28の穴28aに挿入される。クランプブッシュ28は、釜クランプ機構40に対応して上フランジ27の周方向に沿って2箇所設けられており、各クランプブッシュ28に、2つの穴28aが設けられている。
【0044】
クランプシリンダ44は、ロッド41を介して、クランプ基台42を移動させることができる。これにより、クランプ基台42から突出しているクランプピン43が、突出方向に沿って前進または後退し、これに伴って、穴28aへの挿入と当該挿入の解除(穴28aからの抜去)とを実現する。クランプシリンダ44は、クランプ制御部(不図示)により、クランプピン43を穴28aに挿入させたり、挿入を解除したりする。クランプピン43が穴28aに挿入している状態を
図5に示す。
図5に示すようにクランプピン43が穴28aに挿入することにより、射出釜2と蓋部材60とが連結した状態となる。これにより、上下駆動機構3によって蓋部材60が上下動するとともに、射出釜2も上下動することになる。
【0045】
図2に示す釜上下ケーブルキャリア46は、一端が装置フレームF(
図2)に連結固定されており、他端が連結部4に連結固定されており、鋳型造型装置1内において配されるケーブルを支持案内している。釜上下ケーブルキャリア46は、連結部4が上下駆動機構3による作用によって上下動することに伴って、上下方向の長さを伸縮させる。
【0046】
撹拌機構5は、射出釜2に供給された各種材料を混練する。撹拌機構5は、
図4に示すように、撹拌羽根51と、撹拌軸53と、撹拌モータ55とを有している。撹拌軸53は、鉛直方向に配置される。撹拌羽根51は、撹拌軸53の下端に設けられる。撹拌軸53には、撹拌モータ55が連結される。撹拌モータ55の駆動により、撹拌羽根51は回転される。撹拌機構5は、撹拌羽根51により、射出釜2内の各種材料を混練する。射出釜2の内部への各種材料(粒子状骨材、水溶性バインダ、界面活性剤および水)の投入は、例えば各々の供給機構を備える材料供給部8から行われる。
【0047】
この各種材料としては、例えば、粒子状骨材としての人工砂(例えばエスパール)、水溶性バインダとしての珪酸ナトリウム、界面活性剤としてのアニオン界面活性剤、および水が挙げられる。これら例示のものに限定されるものではなく、他の添加物等を含んでもよい。
【0048】
止栓機構7は、
図4に示すように、射出釜2の下側部21の射出口20の閉塞用として止め栓7aを有している。止め栓7aは、水平配置された止栓プレート7bから上方側に突出している。また、止栓機構7は、図示しない機構によって
図2の紙面左右方向(水平方向)に移動するようになっている。
【0049】
止栓機構7は、更に、止栓プレート7bを支持する支持部7d(
図1)を有している。支持部7dは、装置フレームF(
図2)に対して移動可能に連結された駆動機構9に支持されている。
【0050】
駆動機構9は、止栓機構7を水平方向(
図2の紙面左右方向)に移動させる駆動機構であり、止栓機構7の支持部7dを支持する支持ガイド部91(
図1)と、不図示の止栓機構走行シリンダのガイドロッド92とを有する。駆動機構9は、止栓機構走行シリンダを作動させることによって、止栓機構7の止栓プレート7bの位置を水平方向に移動させる。具体的には、止め栓7aが射出釜2の射出口20の直下にある位置(第1の位置)と、射出釜2の射出口20の直下から外れた位置(第2の位置、装置外部であってもよい)との間で移動させる。射出釜2の射出口20の直下から外れた位置とは、射出釜2の射出口20から発泡混練物を金型11に射出する工程において、射出の妨げにならない位置に相当する。
【0051】
また、駆動機構9は、連結部4により蓋部材60と連結していない状態の射出釜2を、止栓プレート7bに載せて水平方向に沿って移動させることができる。蓋部材60と連結していない状態の射出釜2は、射出口20に止め栓7aが嵌合された状態にある。そのため、射出釜2を止栓プレート7bの上で安定して載置することができ、その状態で、蓋部材60および撹拌機構5等の直下の位置から移動させることができる。これにより、例えば装置外部に移動させて射出釜2を洗浄するメンテナンス作業を行うことができる。従前では、射出釜を水平方向に移動させるための専用の駆動機構を備えているのに対して、鋳型造型装置1は、止栓機構7を
図2の紙面左右方向に移動させる駆動機構を用いて、射出釜2を水平方向に移動させる。これにより、鋳型造型装置1は、従前に比べて構成を簡略化することができ、シンプルな構成とすることができる。また、
図2の紙面左右方向の移動を必要とする個々の構成要素に対して、それぞれに専用の駆動機構を具備すると、駆動における相互の位置関係等の制御が複雑になる。これに対し、本実施形態によれば、駆動機構9を止栓機構7と射出釜2との双方の水平方向移動用の駆動機構として共用するため、制御が容易になる。また、従前はメンテナンス時に重量がある射出釜を鋳型造型装置から限られたスペースの中で取り外さなければならず、作業性が悪く、射出釜の清掃作業が非常に大変であった。しかしながら、前記の構成によれば、射出釜のメンテナンス作業を従前よりも簡便に実施できる。
【0052】
金型11は、
図7(iii)に示すように、鋳型造型装置1の下部側に設けられ、撹拌機構5で混練された発泡混練物を所定の形状に成形して鋳型を造型するための金型である。金型11には、射出釜2の射出口20に隣接配置される被充填孔11aが貫通形成されている。また、鋳型造型装置1は、金型11を開くことで金型11から鋳型を取り出すための鋳型押出機構(不図示)も備えている。
【0053】
(4)鋳型造型装置1による鋳型造型動作
以下に、鋳型造型装置1の動作を説明する。内部に発泡混練物が収容されている状態から説明する。
図7および
図8では、発泡混練物の図示を省略している。
【0054】
まず、
図7(i)は、発泡混練物が収容されており、蓋部材60が射出釜2の上部の開口を閉じている状態を示す。クランプピン43は、クランプブッシュ28の穴28aに挿入されており、蓋部材60と射出釜2とが連結している。蓋部材60に設けられたシール体61は、射出釜2の上部の開口を密閉していない。また、止め栓7aが射出口20を閉塞している。
【0055】
次に、射出口20を閉塞していた止め栓7aを外す。
図7(i)から連結した状態の蓋部材60と射出釜2とが、上昇することによって、射出口20から止め栓7aを抜く。この状態を、
図7(ii)に示す。
図7(ii)の状態では、止栓機構7を水平方向に移動させて射出釜2の直下から退避させることができる。
【0056】
次に、射出口20が開放した状態の射出釜2から発泡混練物を射出する射出工程を行う。
図7(ii)の状態から止め栓7aを水平方向に移動させ、射出釜2を金型11の上に位置するように下降させ、射出釜2の射出口20を金型11の被充填孔11aに隣接配置させる。この状態を、
図7(iii)に示す。射出工程では、射出用空気供給部65bから射出釜2内に空気が供給される。射出釜2内の発泡混練物は、射出口20を介して、金型11のキャビティに充填される。金型11は、図示しない加熱手段によって加熱されており、キャビティに充填された発泡混練物は加熱硬化する。
【0057】
尚、射出する前に、シール体61が射出釜2の内周面に適切に密着しているかどうか、すなわち、射出釜2の開口を密閉できているかどうかを判定する。具体的には、シール用空気供給部65aからシール体61に供給される空気の圧力を計測し、計測値が閾値を超えているか否かにより判定する。計測値が閾値以上であれば、シール体61が射出釜2の内周面に適切に密着していることを意味する。一方で、計測値が閾値未満である場合は、シール体61から空気漏れなどが生じている可能性を意味する。供給の開始から所定時間がたったときまで閾値未満の状態が続く場合はエラー表示される。この場合、シール体61を点検、交換するなどのメンテナンスが行われる。
【0058】
射出工程が終了すると、
図7(iii)の状態から、射出釜2と蓋部材60と撹拌機構5とが一体的に天頂方向に向かって再び止栓走行位置まで引き上げられる。そして、止栓機構7が射出釜2の直下に移動して
図7(ii)に示すようになり、射出釜2と蓋部材60と撹拌機構5とを下降させ、止栓7aを射出口20に挿入し、
図7(i)に示すようになる。
図7(i)に示す状態となった時点で、クランプピン43をクランプブッシュ28の穴28aから外し、射出釜2と、蓋部材60および撹拌機構5との連結を解除する。金型11は、この間に、射出釜2の直下から移動させる。これにより、射出にかかる一連の動作が終了する。なお、圧入工程において、金型11が加熱されて発泡混練物を加熱硬化している間に、射出釜2と蓋部材60と撹拌機構5とが一体的に天頂方向に向かって止栓走行位置まで引き上げられてもよい。
【0059】
次に、射出釜2を止栓プレート7bに載せたまま、蓋部材60および撹拌機構5が、材料投入位置まで上昇する。この状態を、
図7(iv)に示す。この状態において、射出釜2内に、粒子状骨材、水溶性バインダ、界面活性剤および水を投入する材料投入工程を行う。投入は図示しない材料供給部から、射出釜2に設けた投入口あるいは上部の開口を介しておこなわれる。材料投入後に、材料の投入量を管理するべく、材料が投入された射出釜2の重量を計測する。計測は、止栓機構7に搭載された計量装置でおこなうことが可能である。この段階では、蓋部材60も撹拌羽根51も射出釜2に接触していないため、材料が投入された射出釜2の重量を正確に計測することができる。
【0060】
次に、射出釜2に向かって蓋部材60および撹拌機構5を下降させて、混練工程を行う。混練工程では、射出釜2に対する蓋部材60および撹拌機構5の位置は、クランプピン43がクランプブッシュ28の穴28aの高さよりも下にある。この状態を、
図7(v)に示す。換言すると、
図7(v)の混練状態では、
図7(i)の原位置やクランプ動作中の状態よりも撹拌羽根51が下方側に位置、すなわち釜底に近い位置にある。
【0061】
次に、混練が完了すると、クランプピン43がクランプブッシュ28の穴28aの高さと等しくなる位置まで蓋部材60および撹拌機構5を上昇させて、クランプピン43をクランプブッシュ28の穴28aに挿入する。この状態が、
図7(i)に示す状態である。
【0062】
上述した動作は、射出、材料投入、計量、混練の順で動作し、このサイクルを繰り返すことができる。
【0063】
尚、メンテナンスを行う場合には、
図7(i)に示す状態でサイクルを停止し、クランプピン43をクランプブッシュ28の穴28aから外して、射出釜2を蓋部材60および撹拌機構5から切り離す。これにより、射出釜2は、止栓機構7の止栓プレート7bに載置された状態となる。この状態において、蓋部材60および撹拌機構5を上昇させる。そして、撹拌軸53と撹拌羽根51とが接続している接続部分52が、
図8(vi)に示すように射出釜2の上端部の上まで上がり、接続部分52の周辺に作業スペースが確保できた時点で、上昇を止める。
【0064】
次に、接続部分52を操作して、
図8(vii)に示すように、撹拌軸53から撹拌羽根51を外し、撹拌羽根51のみを射出釜2内に収容させる。撹拌羽根51を収容した射出釜2は、止栓プレート7bに載った状態であるため、そのまま止栓プレート7bとともに水平方向に移動させることができる。連結部4の直下から外れた移動後の位置にて、射出釜2および撹拌羽根51を洗浄する等のメンテナンスを実施することができる。上述のように射出釜2が蓋部材60および撹拌機構5から切り離す構成とされているため、この鋳型造型装置1は、メンテナンス作業を格段に向上させることができる。また、上述のように撹拌羽根51を外す構成とすれば、撹拌羽根51の下端部を射出釜2の上端部よりも上に引き上げる必要がなく、撹拌機構5の上下動域を短く設定することができる。また、上下駆動機構3を小型化させることができる。
【0065】
(5)本実施形態の作用効果
本実施形態の鋳型造型装置1は、蓋部材60を射出釜2の深さ方向に沿って上下移動させる上下駆動機構3と、射出釜2と蓋部材60とを連結して一体化させたり、当該連結を解除したりすることができる連結部4とを備えている。これにより、射出釜2を上下動させる必要がある場合には、連結部4によって蓋部材60と連結させることによって、上下駆動機構3を用いて上下動させることができる。すなわち、鋳型造型装置1によれば、射出釜2専用の上下駆動機構が不要である。そのため、構成を簡略化でき、シンプルな構成とできる。また、上下動を必要とする個々の構成要素に対して、それぞれに専用の上下動用の駆動機構を具備すると、互いの位置を確認しながら動く必要があった。その場合、駆動における相互の位置関係等の制御が複雑になり、条件の崩れにより停止する可能性があった。これに対し、本実施形態によれば、上下駆動機構3を蓋部材60と射出釜2との上下駆動機構として共用するため、干渉のリスクがなくなるとともに、条件崩れによる停止の可能性を少なくできる。また、サイクルタイムを短縮させることができる。
【0066】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 鋳型造型装置
2 射出釜
3 上下駆動機構
4 連結部
5 撹拌機構
7a 止め栓
7b 止栓プレート
9 駆動機構
11 金型
20 射出口
27a 開口部(上部開口部)
28 クランプブッシュ
43 クランプピン
44 クランプシリンダ(駆動部)
60 蓋部材