(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】端末装置、無線通信システム及び無線送信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/18 20090101AFI20230620BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20230620BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20230620BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20230620BHJP
【FI】
H04W28/18 110
H04W4/46
H04W24/10
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2020547763
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2018036107
(87)【国際公開番号】W WO2020065877
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジヤンミン
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012404(JP,A)
【文献】特開2012-085087(JP,A)
【文献】特開2018-026625(JP,A)
【文献】特表2016-532362(JP,A)
【文献】特表2017-537486(JP,A)
【文献】Intel Corporation,On DMRS physical structure enhancements for PSCCH and PSSCH,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #85 R1-164134,2016年05月14日
【文献】Samsung,Discussion on support of unicast, groupcast and broadcast for NR V2X,3GPP TSG RAN WG1 #94 R1-1808775,2018年08月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線リンクを通じて複数の他の端末装置と直接通信する通信部と、
同一グループ内の前記複数の他の端末装置それぞれからの受信信号内のDMRS(Demodulation Reference Signal)に基づき、前記複数の他の端末装置それぞれとの無線リンクの通信状態を測定する測定部と、
前記測定部にて測定された前記通信状態の中で最低の通信状態の無線リンクを選択する選択部と
を有し、
前記通信部は、
前記選択部にて選択された前記最低の無線リンクの通信状態を、前記同一グループ内の直接通信に関わる
許容最大遅延時間が所定のサービス要件を満たす所定の通信状態にする送信基準で前記グループ内の前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置と無線送信することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記通信部は、
前記選択部にて選択された前記最低の無線リンクの測定結果である前記通信状態を当該選択した前記最低の無線リンクに無線接続する前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記選択部にて選択された前記最低の無線リンクの所定周期又は所定周波数における通信状態の複数の測定結果を平均化する平均化部を有し、
前記通信部は、
前記平均化部にて平均化された前記通信状態を当該選択した前記最低の無線リンクに無線接続する前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に送信することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記通信部は、
前記複数の他の端末装置それぞれとの間の無線リンクが、前記複数の他の端末装置それぞれに対して送信信号を送信する第1の無線リンクと、前記複数の他の端末装置それぞれからの前記通信状態を含む受信信号を受信する第2の無線リンクとを有する場合に、前記第1の無線リンクを使用しての計測結果である通信状態の送信を禁止することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記複数の他の端末装置それぞれからの当該複数の他の端末装置それぞれと無線接続する無線リンクの通信品質を含む前記受信信号から第1の通信状態を取得する取得部と、
前記複数の他の端末装置それぞれからの受信信号に基づき、当該無線リンクの第2の通信状態を測定する前記測定部と、
前記第2の通信状態が前記最低の通信状態である場合に、前記複数の他の端末装置それぞれと無線接続する前記無線リンクの前記第1の通信状態と前記第2の通信状態との差分を前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に送信する前記通信部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記通信部は、
前記複数の他の端末装置それぞれが測定した格納中の前記無線リンクの通信状態を調整するための前記差分を前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に送信することを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記通信部は、
前記グループ内の前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に対する通信状態の送信の代わりに、前記グループ内の前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に対する送信電力を制御する送信電力制御のフィードバック送信、前記グループ内の前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に対するリンク適合を制御するリンク適合制御のフィードバック送信又は前記グループ内の前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置に対してデータ信号の再送を要求する再送要求のフィードバック送信を実行することを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項8】
第1の端末装置と、無線リンクを通じて前記第1の端末装置と無線通信する複数の第2の端末装置とを有する無線通信システムであって、
前記第1の端末装置は、
前記無線リンクを通じて前記複数の第2の端末装置と直接通信する通信部と、
同一グループ内の前記複数の第2の端末装置それぞれからの受信信号内のDMRS(Demodulation Reference Signal)に基づき、前記複数の第2の端末装置それぞれとの無線リンクの通信状態を測定する測定部と、
前記測定部にて測定された前記通信状態の中で最低の通信状態の無線リンクを選択する選択部と
を有し、
前記通信部は、
前記選択部にて選択された前記最低の無線リンクの通信状態を、前記同一グループ内の直接通信に関わる
許容最大遅延時間が所定のサービス要件を満たす所定の通信状態にする送信基準で前記グループ内の前記複数の第2の端末装置に含まれる第2の端末装置と無線送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
端末装置が、
無線リンクを通じて複数の他の端末装置と直接通信し、
同一グループ内の前記複数の他の端末装置それぞれからの受信信号内のDMRS(Demodulation Reference Signal)に基づき、前記複数の他の端末装置それぞれとの無線リンクの通信状態を測定し、
測定された前記通信状態の中で最低の通信状態の無線リンクを選択し、
選択された前記最低の無線リンクの通信状態を、前記同一グループ内の直接通信に関わる
許容最大遅延時間が所定のサービス要件を満たす所定の通信状態にする送信基準で前記グループ内の前記複数の他の端末装置に含まれる他の端末装置と無線送信する
処理を実行することを特徴とする無線送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、無線通信システム及び無線送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、例えば、スマートフォンやフューチャーホン等のモバイル端末のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of a things)サービス、例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム等のサービスの展開にあわせて、多種多様な要求条件のサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5G又はNR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~12)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。尚、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている(非特許文献13~39)。
【0004】
上記で述べたように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。また、3GPPの作業部会では、V2X(Vehicle to Everything)通信についても議論されている。また、3GPPの作業部会では、D2D(Device to Device)通信についても議論されている。D2D通信は、サイドリンク通信と呼ばれることもある。また、D2D通信の拡張として、V2Xが検討されている。V2X通信は、例えば、サイドリンクチャネルを使用した通信であって、例えば、V2V(Vehicle to Vehicle)通信、V2P(Vehicle to Pedestrian)通信や、V2I(Vehicle to Infrastructure)通信、V2N(Vehicle to Network)等がある。V2V通信は、自動車と自動車との間の通信、V2P通信は、自動車と歩行者(Pedestrian)との間の通信、V2I通信は、自動車と標識等の道路インフラとの間の通信、V2N通信は、自動車とネットワーク間の通信である。V2Xに関する規定は、例えば、非特許文献1に記載されている。
【0005】
4GのV2Xのリソースを割り当てる方式には、例えば、無線通信システムが集中的に制御する方式と、V2Xを実施する各端末装置が自律的に制御する方式とがある。無線システムが集中的に制御する方式は、V2Xを実施する端末装置が無線通信システムの基地局のカバレージに在圏する際に適用可能であり、モード3とも呼ばれる。一方、各端末装置が自律的に制御する方式は、端末装置が基地局のカバレージに在圏しなくても適用可能であり、モード4とも呼ばれる。モード4では、端末装置と基地局との間でのリソースの割当のための通信が行われない。
【0006】
そして、モード4では、サイドリンクチャネルを使用して、例えば、端末装置同士のユニキャスト、同一グループ内の複数の端末装置のグループキャスト、複数の端末装置のブロードキャストで無線通信する。例えば、同一グループ内の各端末装置は、端末装置毎に、無線リンクの通信状態を示すCSI(Channel Status Information)を対向側の端末装置にフィードバックし、CSIに基づき、端末装置間の無線通信の高信頼度を確保する仕組みが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 22.186 V16.0.0(2018-09)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.2.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.0.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.2.2(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.2.1(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば、同一グループ内の複数の端末装置では、端末装置の台数Mが増えるに連れて端末装置間の無線リンク毎のCSIのフィードバック数(M(M-1))が増えるため、フィードバックに要する処理負荷が大きくなる。しかも、端末装置が高速移動する車両に搭載されている場合、車両の移動に応じて通信状態が高速に変化する場合も想定されるため、CSIフィードバックが不要となる場合もある。その結果、無線通信の高信頼性を確保することが求められている。
【0009】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、無線通信の高信頼性を確保できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様の端末装置は、通信部と、測定部と、選択部とを有する。通信部は、無線リンクを通じて他の端末装置と直接通信する。測定部は、同一グループ内の前記他の端末装置からの受信信号に基づき、前記他の端末装置との無線リンクの通信状態を測定する。選択部は、前記測定部にて測定された前記通信状態の中で最低の通信状態の無線リンクを選択する。通信部は、選択部にて選択された前記最低の無線リンクの通信状態を所定の通信状態にする送信基準で前記グループ内の他の端末装置と無線送信する。
【発明の効果】
【0011】
一つの態様では、無線通信の高信頼性を確保することが求められている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1の無線通信システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、V1の端末装置のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
【
図4B】
図4Bは、V2の端末装置のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
【
図4C】
図4Cは、V3の端末装置のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
【
図4D】
図4Dは、V4の端末装置のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
【
図5A】
図5Aは、V1の端末装置のMCS設定動作の一例を示す説明図である。
【
図5B】
図5Bは、V2の端末装置のMCS設定動作の一例を示す説明図である。
【
図5C】
図5Cは、V3の端末装置のMCS設定動作の一例を示す説明図である。
【
図5D】
図5Dは、V4の端末装置のMCS設定動作の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、グループ内の各端末装置のワーストリンクの一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施例1の設定処理に関わる端末装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、実施例2の端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、グループ内の各端末装置のCSIフィードバック動作の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施例2の第1のフィードバック処理に関わる端末装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は、実施例3の端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、受信側の端末装置と送信側の端末装置とのCSIフィードバック動作の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、実施例3の第2のフィードバック処理に関わる端末装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は、実施例4の端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、グループ内の各端末装置のCSIフィードバック動作の一例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、実施例4のフィードバック設定処理に関わる端末装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図17】
図17は、実施例5の端末装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図18A】
図18Aは、V1の端末装置の差分送信処理に関わる動作の一例を示す説明図である。
【
図18B】
図18Bは、V1の端末装置の差分送信処理に関わる動作の一例を示す説明図である。
【
図19】
図19は、差分送信処理に関わる端末装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図20】
図20は、更新処理に関わる端末装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。そして、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
また、本明細書で使用している用語や記載した技術的内容は、3GPPなど通信に関する規格として仕様書や寄書に記載された用語や技術的内容が適宜用いられてもよい。このような仕様書としては、例えば、上述した3GPP TS 38.211 V15.1.0(2018-03)がある。
【0015】
以下に、本願の開示する端末装置、無線通信システム及び無線送信方法の実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例は開示の技術を限定するものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1の無線通信システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す無線通信システム1は、例えば、モード4のNR-V2Xの無線通信システムである。無線通信システム1には、複数の端末装置2を有する。端末装置2は、例えば、車両V(Vehicle)や道路ユニットRSU(Road Side Unit)内に搭載した端末装置や、又は歩行者P(Pedestrian)が携帯しているスマホ等の端末装置である。モード4の無線通信システム1では、端末装置2同士が基地局を経由することなく、無線リンクを通じて直接的に無線通信する。
【0017】
モード4の無線通信システム1では、V2X通信を実施する各端末装置2が自律的にリソースを制御し、端末装置2が基地局のカバレージに在圏しなくても適用可能である。尚、説明の便宜上、モード3の無線システムは、図示しないが、基地局が集中的にリソースを制御し、V2X通信を実施する端末装置が基地局のカバレージに在圏する際に適用可能である。
【0018】
R16 NR-V2X(Release 16 New Radio - Vehicle to Everything)には、例えば、隊列走行、先進運転、拡張センサや遠隔運転等のAdvanced V2Xのサービスがある。隊列走行は、例えば、端末装置2が搭載された複数の車両Vが隊列を組んで自動走行するサービスである。先進運転は、例えば、端末装置2が搭載された走行中の車両Vの車線逸脱を防止する支援システム等のサービスである。拡張センサは、例えば、端末装置2が搭載された車両Vが検出したセンサ結果を他の端末装置2が搭載された他の車両Vで使用するサービスである。遠隔運転は、例えば、端末装置2が搭載された車両Vの遠隔操作による運転サービスである。
【0019】
隊列走行のサービス要件には、例えば、許容最大遅延時間(Max end to end Latency)が10m秒、信頼度が99.99%、データレートが65Mbps、最小無線範囲が80メートルの無線条件が求められている。先進運転のサービス要件には、例えば、許容最大遅延時間が3m秒、信頼度が99.999%、データレートが53Mbps、最小無線範囲が500メートルの無線条件が求められている。また、拡張センサには、例えば、許容最大遅延時間が3m秒、信頼度が99.999%、データレートが1000Mbps、最小無線範囲が1000メートルの無線条件が求められている。遠隔運転のサービス要件には、例えば、許容最大遅延時間が5m秒、信頼度が99.999%、アップリンクのデータレートが25Mbps、ダウンリンクのデータレートが1Mbpsの無線条件が求められている。
【0020】
図1に示す無線通信システム1では、端末装置2間のユニキャスト通信、無線通信システム1内のブロードキャスト通信の他、例えば所定の無線通信範囲Xの端末装置2をグループ化し、同一グループ内の端末装置2間で無線通信するグループキャスト通信がある。
【0021】
図2は、端末装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す端末装置2は、無線アンテナ11と、無線装置12と、メモリ13と、プロセッサ14とを有する。無線アンテナ11は、例えば、他の端末装置2と無線通信する無線信号を送受信するアンテナである。無線アンテナ11は、例えば、モード4のV2X通信の無線信号や通常のセルラー通信の無線信号等を送受信するアンテナである。
【0022】
無線装置12は、端末装置2の無線通信を司る無線IF(Interface)である。無線装置12は、V2X通信の受信機能であるV2X受信機能と、V2X通信の送信機能であるV2X送信機能とを有する。また、無線装置12は、セルラー通信の受信機能であるセルラー受信機能と、セルラー通信の送信機能であるセルラー送信機能とを有する。メモリ13は、例えば、プログラムや各種情報等を記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置である。プロセッサ14は、端末装置2全体を制御する制御装置である。
【0023】
図3は、端末装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。端末装置2は、記憶部20と、制御部30とを有する。記憶部20は、CSI(Channel Status Information)メモリ21と、ワーストリンクメモリ22と、MCS(Modulation and Coding Scheme)テーブル23とを有する。CSIメモリ21は、後述する測定CSIを記憶する領域である。ワーストリンクメモリ22は、後述するワーストリンクを記憶する領域である。MCSテーブル23は、例えば、CSI内のCQI(Channel Quality Indicator)毎に適合するMCSを管理するテーブルである。尚、CQIに適合するMCSとは、端末装置2間の無線リンクのCQIが許容できるCQIになるようなMCSである。プロセッサ14は、メモリ13内の、例えば、図示せぬROM(Read Only Memory)内に格納されたプログラムを読み出す。プロセッサ14は、読み出したプログラムを実行することで、制御部30として、例えば、通信部31、測定部32、選択部33及び取得部33Aの機能を実行する。
【0024】
通信部31は、無線リンクを通じて、例えば、グループ内の他の端末装置2と直接的に無線通信する無線装置12を制御する機能である。測定部32は、例えば、グループ内の他の端末装置2からの受信信号に基づき、他の端末装置2との無線リンクの通信状態を測定する機能である。測定部32は、他の端末装置2から受信した受信信号内のDMRS(Demodulation Reference Signal)に基づき、他の端末装置2との無線リンクの通信状態であるCSIを測定する。測定部32は、無線リンク毎に測定したCSIを測定CSIとしてCSIメモリ21に記憶する。選択部33は、測定部32にて測定された各端末装置2の無線リンクのCSIの中でワーストのCSIの無線リンク、すなわちワーストリンクを選択する機能である。通信部31は、選択部33にて選択されたワーストリンクのCSIを所定の通信状態になる送信基準、例えば、MCSを決定し、決定されたMCSでグループ内の他の端末装置2に無線送信する。尚、所定の通信状態とは、例えば、V2Xのサービス要件を満たす通信状態である。取得部33Aは、受信信号内のPSCCHをデコードして制御情報を取得する。尚、DMRSを用いて測定する例を記載したが、DMRS以外の信号を用いて、CSIを測定しても良い。
【0025】
次に実施例1の無線通信システム1の動作について説明する。
図4Aは、V1の端末装置2のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、同一グループ内の端末装置2は、
図4Aに示すように、例えば、V1、V2、V3及びV4の車両に搭載した4台の端末装置2とする。
図4Aに示すV1の端末装置2は、グループ内のV2、V3及びV4の端末装置2からの受信信号を受信し、受信信号内のDMRSに基づき、V2、V3及びV4の各端末装置2との間の無線リンクのCSIを測定する。V1の端末装置2は、各端末装置2との測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。V1の端末装置2は、測定結果のCSIの中でV3の端末装置2とのCSIがワーストCSIと判断し、ワーストCSIのV3の端末装置2との無線リンクL3をワーストリンクとして選択する。そして、V1の端末装置3は、ワーストリンクとして無線リンクL3をワーストリンクメモリ22に記憶する。
【0026】
図4Bは、V2の端末装置2のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
図4Bに示すV2の端末装置2は、グループ内のV1、V3及びV4の端末装置2からの受信信号を受信し、受信信号内のDMRSに基づき、V1、V3及びV4の各端末装置2との間の無線リンクのCSIを測定する。V2の端末装置2は、各端末装置2との測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。V2の端末装置2は、測定結果のCSIの中でV4の端末装置2とのCSIがワーストCSIと判断し、ワーストCSIのV4の端末装置2との無線リンクL2をワーストリンクとして選択する。そして、V2の端末装置3は、ワーストリンクとして無線リンクL2をワーストリンクメモリ22に記憶する。
【0027】
図4Cは、V3の端末装置2のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
図4Cに示すV3の端末装置2は、グループ内のV1、V2及びV4の端末装置2からの受信信号を受信し、受信信号内のDMRSに基づき、V1、V2及びV4の各端末装置2との間の無線リンクのCSIを測定する。V3の端末装置2は、各端末装置2との測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。V3の端末装置2は、測定結果のCSIの中でV1の端末装置2とのCSIがワーストCSIと判断し、ワーストCSIのV1の端末装置2との無線リンクL3をワーストリンクとして選択する。そして、V3の端末装置3は、ワーストリンクとして無線リンクL3をワーストリンクメモリ22に記憶する。
【0028】
図4Dは、V4の端末装置2のワーストリンク決定動作の一例を示す説明図である。
図4Dに示すV4の端末装置2は、グループ内のV1、V2及びV3の端末装置2からの受信信号を受信し、受信信号内のDMRSに基づき、V1、V2及びV3の各端末装置2との間の無線リンクのCSIを測定する。V4の端末装置2は、各端末装置2との測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。V4の端末装置2は、測定結果のCSIの中でV1の端末装置2とのCSIがワーストCSIと判断し、ワーストCSIのV1の端末装置2との無線リンクL4をワーストリンクとして選択する。そして、V4の端末装置3は、ワーストリンクとして無線リンクL4をワーストリンクメモリ22に記憶する。
【0029】
次に各端末装置2のワーストリンク選択後のMCSの設定動作について説明する。
図5Aは、V1の端末装置2のMCS設定動作の一例を示す説明図である。V1の端末装置2は、V3の端末装置2との間のワーストリンクL1の選択後、MCSテーブル23を参照し、ワーストリンクCSIに対応するMCSを決定する。V1の端末装置2は、決定したMCSを送信基準に設定し、当該送信基準でグループ内のV2、V3及びV4の端末装置2に無線送信することになる。
【0030】
図5Bは、V2の端末装置2のMCS設定動作の一例を示す説明図である。V2の端末装置2は、V4の端末装置2との間のワーストリンクL2の選択後、MCSテーブル23を参照し、ワーストリンクCSIに対応するMCSを決定する。V2の端末装置2は、決定したMCSを送信基準に設定し、当該送信基準でグループ内のV1、V3及びV4の端末装置2に無線送信することになる。
【0031】
図5Cは、V3の端末装置2のMCS設定動作の一例を示す説明図である。V3の端末装置2は、V1の端末装置2との間のワーストリンクL3の選択後、MCSテーブル23を参照し、ワーストリンクCSIに対応するMCSを決定する。V3の端末装置2は、決定したMCSを送信基準に設定し、当該送信基準でグループ内のV1、V2及びV4の端末装置2に無線送信することになる。
【0032】
図5Dは、V4の端末装置2のMCS設定動作の一例を示す説明図である。V4の端末装置2は、V1の端末装置2との間のワーストリンクL4の選択後、MCSテーブル23を参照し、ワーストリンクCSIに対応するMCSを決定する。V4の端末装置2は、決定したMCSを送信基準に設定し、当該送信基準でグループ内のV1、V2及びV3の端末装置2に無線送信することになる。
【0033】
図6は、グループ内の各端末装置2のワーストリンクの一例を示す説明図である。V1の端末装置2は、V3の端末装置2との無線リンクをワーストリンクL1として選択し、ワーストリンクL1のCSIに対応するMCSでV3の端末装置2は勿論のこと、V2及びV4の端末装置2にグループキャスト送信することになる。V1の端末装置2は、同一グループ内のワーストリンクのCSIを基準にしてMCSを決定するため、同一グループ内の他の無線リンクのV2Xのサービス要件を満たすことができる。
【0034】
V2の端末装置2は、V4の端末装置2との無線リンクをワーストリンクL2として選択し、ワーストリンクL2のCSIに対応するMCSでV4の端末装置2は勿論のこと、V1及びV3の端末装置2にグループキャスト送信することになる。V2の端末装置2は、同一グループ内のワーストリンクのCSIを基準にしてMCSを決定するため、同一グループ内の他の無線リンクのV2Xのサービス要件を満たすことができる。
【0035】
V3の端末装置2は、V1の端末装置2との無線リンクをワーストリンクL3として選択し、ワーストリンクL3のCSIに対応するMCSでV1の端末装置2は勿論のこと、V2及びV4の端末装置2にグループキャスト送信することになる。V3の端末装置2は、同一グループ内のワーストリンクのCSIを基準にしてMCSを決定するため、同一グループ内の他の無線リンクのV2Xのサービス要件を満たすことができる。
【0036】
V4の端末装置2は、V1の端末装置2との無線リンクをワーストリンクL4として選択し、ワーストリンクL4のCSIに対応するMCSでV1の端末装置2は勿論のこと、V2及びV3の端末装置2にグループキャスト送信することになる。V4の端末装置2は、同一グループ内のワーストリンクのCSIを基準にしてMCSを決定するため、同一グループ内の他の無線リンクのV2Xのサービス要件を満たすことができる。
【0037】
図7は、実施例1の設定処理に関わる端末装置2の処理動作の一例を示すフロー図である。
図7において端末装置2内の通信部31は、グループ内の各端末装置2からの受信信号を受信したか否かを判定する(ステップS11)。端末装置2内の測定部32は、各端末装置2からの受信信号を受信した場合(ステップS11肯定)、各端末装置2の受信信号内のDMRSからCSIを測定する(ステップS12)。測定部32は、各端末装置2の測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。
【0038】
端末装置2内の選択部33は、CSIメモリ21を参照し、グループ内の各端末装置2の測定CSIの内、ワーストCSIを選択する(ステップS13)。選択部33は、選択されたワーストCSIの無線リンクとしてワーストリンクを選択する(ステップS14)。選択部33は、選択したワーストリンクをワーストリンクメモリ22に記憶する。
【0039】
通信部31は、MCSテーブル23を参照し、選択したワーストリンクのCSIに対応するMCSを決定し(ステップS15)、決定したMCSで同一グループ内の各端末装置2との無線通信の送信基準を設定し(ステップS16)、
図7に示す処理動作を終了する。通信部31は、端末装置2からの受信信号を受信しなかった場合(ステップS11否定)、
図7に示す処理動作を終了する。
【0040】
実施例1の無線通信システム1内の各端末装置2は、同一グループ内の各端末装置2との無線リンクのCSIを測定し、測定結果に基づき、ワーストリンクを選択する。そして、各端末装置2は、ワーストリンクのCSIに対応するMCSを決定し、決定したMCSでグループ内の各端末装置2との送信基準を設定する。その結果、各端末装置2は、CSIのフィードバック送信を実行しなくても、V2X通信のサービス要件を満たしたグループ内の高信頼度の無線通信を確保できる。しかも、各端末装置2は、CSIのフィードバック送信が不要になるため、フィードバック送信に要する処理負荷がなくなる。
【0041】
無線通信システム1の端末装置2は、同一グループ内の他の端末装置2との送信基準を最低の通信品質が通信可能になるように調整するため、グループ内の他の端末装置2との通信を確保できる。その結果、対向側の端末装置2に対してCSIのフィードバック送信が不要になる。
【0042】
実施例1の端末装置2では、端末装置2間のCSIのフィードバック送信を実行することなく、対向側の端末装置2からの受信信号に基づき測定した測定CSIで送信基準を決定する場合を例示した。しかしながら、例えば、端末装置2間で送信間隔が異なり、しかも、通信機会が少なくなると、受信信号の受信率が低下して測定CSIの精度が低下することも想定される。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例2】
【0043】
図8は、実施例2の端末装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。尚、実施例1の無線通信システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0044】
実施例1の端末装置2と実施例2の端末装置2とが異なるところは、端末装置2がワーストリンクの測定CSIをフィードバックCSIとして対向側の端末装置2にフィードバック送信する点にある。
図8に示す端末装置2は、通信部31、測定部32、選択部33及び取得部33Aの他に、生成部34を有する。生成部34は、PSCCH(Physical Sidelink Control Channel)等の制御チャネルの制御情報を生成する。生成部34は、自装置の測定結果である対向側の端末装置2に対する測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する。そして、通信部31は、フィードバックCSIを含むPSCCHを対向側の端末装置2に送信する。その結果、対向側の端末装置2内の取得部33Aは、受信したPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを取得する。更に、対向側の端末装置2は、取得したフィードバックCSIでCSIメモリ21に記憶中の当該フィードバック送信元の無線リンクの測定CSIを調整する。
【0045】
次に実施例2の無線通信システム1の動作について説明する。
図9は、グループ内の各端末装置2のCSIフィードバック動作の一例を示す説明図である。
図9に示すV1の端末装置2は、V3の端末装置2からの受信信号内のDMRSから測定した測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する。V1の端末装置2は、ワーストリンクL1経由でPSCCHをV3の端末装置2に送信する。V3の端末装置2は、ワーストリンクL1経由でV1の端末装置2から受信した受信信号内のPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを抽出する。そして、V3の端末装置2は、抽出したフィードバックCSIを使用してCSIメモリ21に格納中のワーストリンクL1の測定CSIを調整する。その結果、V3の端末装置2は、ワーストリンクL1に対する高精度のCSIを確保できる。
【0046】
V2の端末装置2は、V4の端末装置2からの受信信号内のDMRSから測定した測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する。V2の端末装置2は、ワーストリンクL2経由でPSCCHをV4の端末装置2に送信する。V4の端末装置2は、ワーストリンクL2経由でV4の端末装置2から受信した受信信号内のPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを抽出する。そして、V4の端末装置2は、抽出したフィードバックCSIを使用してCSIメモリ21に格納中のワーストリンクL2の測定CSIを調整する。その結果、V4の端末装置2は、ワーストリンクL2に対する高精度のCSIを確保できる。
【0047】
V3の端末装置2は、V1の端末装置2からのワーストリンクL3経由の受信信号内のDMRSから測定した測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する。V3の端末装置2は、ワーストリンクL3経由でPSCCHをV1の端末装置2に送信する。V1の端末装置2は、ワーストリンクL3経由でV3の端末装置2から受信した受信信号内のPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを抽出する。そして、V1の端末装置2は、抽出したフィードバックCSIを使用してCSIメモリ21に格納中のワーストリンクL3の測定CSIを調整する。その結果、V1の端末装置2は、ワーストリンクL3に対する高精度のCSIを確保できる。
【0048】
V4の端末装置2は、V1の端末装置2からのワーストリンクL4経由の受信信号内のDMRSから測定した測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する。V4の端末装置2は、ワーストリンクL4経由でPSCCHをV1の端末装置2に送信する。V1の端末装置2は、ワーストリンクL4経由でV4の端末装置2から受信した受信信号内のPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを抽出する。そして、V1の端末装置2は、抽出したフィードバックCSIを使用してCSIメモリ21に格納中のワーストリンクL3の測定CSIを調整する。その結果、V1の端末装置2は、ワーストリンクL4に対する高精度のCSIを確保できる。
【0049】
図9に示すV1の端末装置2は、ワーストリンクL1が対向側のV3の端末装置3からのDMRSでCSIを測定するオープンループ、ワーストリンクL3及びL4が対向側のV3及びV4の端末装置2からのフィードバックCSIを受信するクローズループとなる。V2の端末装置2は、ワーストリンクL2が対向側のV4の端末装置3からのオープンループとなる。V3の端末装置2は、ワーストリンクL3が対向側のV1の端末装置2からのDMRSでCSIを測定するオープンループ、ワーストリンクL1が対向側のV3の端末装置2からのフィードバックCSIを受信するクローズループとなる。V4の端末装置2は、ワーストリンクL4が対向側のV1の端末装置2からのDMRSでCSIを測定するオープンループ、ワーストリンクL2が対向側のV2の端末装置2からのフィードバックCSIを受信するクローズループとなる。各端末装置2は、自装置のワーストリンクがオープンループ又はクローズループであるかを識別する情報をテーブル化する。
【0050】
図10は、実施例2の第1のフィードバック処理に関わる端末装置2の処理動作の一例を示すフロー図である。
図10において端末装置2内の通信部31は、ワーストリンクの対向側の端末装置2から受信信号を受信したか否かを判定する(ステップS21)。端末装置2内の測定部32は、対向側の端末装置2から受信信号を受信した場合(ステップS21肯定)、受信信号内のDMRSに基づきCSIを測定する(ステップS22)。測定部32は、測定結果の測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。
【0051】
端末装置2内の生成部34は、CSIメモリ21に記憶中のワーストリンクの対向側の端末装置2との測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCH内に格納する(ステップS23)。そして、通信部31は、フィードバックCSIを含むPSCCHをワーストリンクの対向側の端末装置2に送信し(ステップS24)、
図10に示す処理動作を終了する。更に、通信部31は、ワーストリンクの対向側の端末装置2から受信信号を受信しなかった場合(ステップS21否定)、
図10に示す処理動作を終了する。
【0052】
実施例2の無線通信システム1の各端末装置2は、ワーストリンクの対向側の端末装置2からフィードバックCSIを受信した場合、フィードバックCSIを使用してCSIメモリ21に記憶中のワーストリンクの対向側の端末装置2の測定CSIを調整する。その結果、各端末装置2は、フィードバックCSIを使用してワーストリンクの高精度なCSIを確保できる。
【0053】
各端末装置2は、自装置が接続するワーストリンク毎にクローズループ又はオープンループを識別する情報を管理した場合、ワーストリンク毎のクローズループ又はオープンループを識別できる。各端末装置2は、クローズループの精度がオープンループよりも高いことを意識しながら、MCSを決定する。各端末装置2からのパケット送信は、クローズループのフィードバックCSI及びオープンループの測定CSIを基準にする。クローズループは、パケット送信においてオープンループよりも高優先となる。但し、これはあくまで各端末装置2のインプリである。
【0054】
上記実施例2では、フィードバックCSIをPSCCHに格納する場合を例示したが、PSCCHに限定されるものではなく、PSCCHの制御チャネル以外の制御チャネルにフィードバックCSIを格納しても良く、適宜変更可能である。
【実施例3】
【0055】
図11は、実施例3の端末装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。尚、実施例2の無線通信システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0056】
実施例2の端末装置2と実施例3の端末装置2とが異なるところは、端末装置2が所定周期毎の受信信号内のDMRSに基づきCSIを測定し、所定回数分の測定CSIを平均化し、平均後の測定CSIを対向側の端末装置2に送信する点にある。
【0057】
図11に示す端末装置2は、通信部31、測定部32、選択部33、取得部33A及び生成部34の他に、収集部35と、平均化部36とを有する。測定部32は、ワーストリンクの対向側の端末装置2から所定周期毎の受信信号のDMRSに基づき、CSIを測定する。所定周期の受信信号とは、例えば、周波数領域の所定周波数の受信信号、又は、時間領域内の特定間隔の受信信号である。測定部32は、所定周期毎の測定CSIをCSIメモリ21に順次記憶する。収集部35は、CSIメモリ21に記憶中の所定周期毎の測定CSIが所定回数分であるか否かを判定する。収集部35は、所定周期毎の測定CSIが所定回数分の場合、CSIメモリ21に記憶中の所定回数分の測定CSIを収集する。更に、平均化部36は、収集部35にて収集した所定回数分の測定CSIを平均化し、平均化後の測定CSIをフィードバックCSIとして生成部34に出力する。生成部34は、平均化後のフィードバックCSIをPSCCHに格納する。そして、通信部31は、フィードバックCSIを含むPSCCHを対向側の端末装置2に送信する。その結果、対向側の端末装置2は、フィードバックCSIを含むPSCCHをデコードしてフィードバックCSIでワーストリンクの測定CSIを調整する。勿論、CSIの平均化の代わりに、線形平滑化をすることもできる。例えば、ACSI(n)=a*ACSI(n-1)+(1-a)*CSI(n)。但し、aは平滑化係数であり、ACSI(n)は線形平滑化したCSIであり、CSI(n)は瞬時に測定したCSIである。
【0058】
次に実施例3の無線通信システム1の動作について説明する。
図12は、受信側の端末装置2と送信側の端末装置2とのCSIフィードバック動作の一例を示す説明図である。
図12に示す送信側の端末装置2は、データ及びDMRSを含む送信信号を受信側の端末装置2に送信する。受信側の端末装置2は、所定周期の受信信号を受信した場合、受信信号内のDMRSに基づき、CSIを順次測定し、測定CSIをCSIメモリ21に順次格納する。受信側の端末装置2は、CSIメモリ21に格納中の測定CSIが所定回数分ある場合、所定回数分の測定CSIを平均化し、平均化後の測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する。受信側の端末装置2は、フィードバックCSIを含むPSCCHを送信側の端末装置2に送信する。送信側の端末装置2は、フィードバックCSIを含むPSCCHをデコードしてフィードバックCSIで測定CSIを調整する。
【0059】
図13は、実施例3の第2のフィードバック処理に関わる端末装置2の処理動作の一例を示すフロー図である。
図13において端末装置2内の通信部31は、ワーストリンクの対向側の端末装置2から所定周期の受信信号を受信したか否かを判定する(ステップS31)。端末装置2内の測定部32は、対向側の端末装置2からの所定周期の受信信号を受信した場合(ステップS31肯定)、対向側の端末装置2の受信信号内のDMRSに基づき、CSIを測定する(ステップS32)。測定部32は、測定CSIをCSIメモリ21に記憶する(ステップS33)。
【0060】
更に、端末装置2内の収集部35は、CSIメモリ21に格納中の測定CSIが所定回数分あるか否かを判定する(ステップS34)。端末装置2内の平均化部36は、測定CSIが所定回数分ある場合(ステップS34肯定)、所定回数分の測定CSIを平均化して平均CSIを算出する(ステップS35)。
【0061】
端末装置2内の生成部34は、算出した平均CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する(ステップS36)。そして、通信部31は、フィードバックCSIを含むPSCCHをワーストリンクの対向側の端末装置2に送信し(ステップS37)、
図13に示す処理動作を終了する。
【0062】
通信部31は、所定回数分の測定CSIがない場合(ステップS34否定)、対向側の端末装置2から受信信号を受信したか否かを判定すべく、ステップS31に移行する。通信部31は、対向側の端末装置2から受信信号を受信しなかった場合(ステップS31否定)、
図13に示す処理動作を終了する。
【0063】
実施例3の無線通信システム1内の各端末装置2は、所定周期の受信信号を受信した場合、受信信号内のDMRSに基づきCSIを測定し、測定した測定CSIを順次記憶する。更に、端末装置2は、記憶中の測定CSIが所定回数分の場合、所定回数分の測定CSIを平均化し、平均CSIを算出する。更に、各端末装置2は、平均CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHで対向側の端末装置2にフィードバック送信する。その結果、対向側の端末装置2は、所定期間内の所定周期毎の測定CSIを平均化したフィードバックCSIを受信することになるため、安定したCSIを確保できる。
【0064】
尚、上記実施例3の端末装置2では、所定周期毎の受信信号内のDMRSに基づきCSIを測定し、周期的な測定CSIをフィードバックCSIとしてPSCCHに格納する場合を例示した。しかしながら、端末装置2は、周期的な測定CSIではなく、非周期的な測定CSIを使用しても良い。端末装置2は、例えば、非周期のCSIをフィードバックCSIとして対向側の端末装置2に送信する場合、フィードバックCSIをPSSCH(Physical Sidelink Shared Channel)に格納して送信する。
【0065】
また、CSIにはCQIを含む場合を例示したが、端末装置2がMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)を採用する場合、CSIには、CQIの他に、PMI(Precoding Matrix Indicator)及びRI(Rank Indicator)を含む。この場合、端末装置2は、所定回数分のCQIの他に、所定回数分のPMI及びRIを平均化し、平均後のPMI及びRIをPSCCHで対向側の端末装置2に送信しても良く、適宜変更可能である。
【実施例4】
【0066】
図14は、実施例4の端末装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。尚、実施例2の無線通信システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
図14に示す端末装置2は、通信部31、測定部32、選択部33、取得部33A及び生成部34の他に、判定部37を有する。判定部37は、対向側の端末装置2との無線リンクが第1の無線リンク及び第2の無線リンクを有するか否かを判定する。第1の無線リンクは、対向側の端末装置2に対して送信信号を送信する無線リンクであるのに対し、第2の無線リンクは、対向側の端末装置2からフィードバックCSIを含む受信信号を受信する無線リンクである。端末装置2は、ワーストリンク毎にクローズループ又はオープンループを識別するループ識別情報を管理する。つまり、判定部37は、ループ識別情報を参照し、対向側の端末装置2との間のワーストリンクが第1の無線リンク及び第2の無線リンクを含むか否かを判定する。
【0067】
通信部31は、対向側の端末装置2との間の無線リンクが第1の無線リンク及び第2の無線リンクを含み、第2の無線リンクを使用してフィードバックCSIの受信を許可する場合、第1の無線リンクを使用してのCSIフィードバックの送信を禁止する。
【0068】
次に実施例4の無線通信システム1の動作について説明する。
図15は、グループ内の各端末装置2のCSIフィードバック動作の一例を示す説明図である。
図15に示すV3の端末装置2は、V1の端末装置2との間の無線リンクがワーストリンクL1及びワーストリンクL3を有し、ワーストリンクL1でフィードバックCSIの受信を許可しているとする。この場合、V3の端末装置2は、ワーストリンクL3でフィードバックCSIの対向側のV1の端末装置2へのフィードバック送信を禁止する。
【0069】
図15に示すワーストリンクは、V1の端末装置2とV3の端末装置2との間の2本のリンクL1及びL3と、V2の端末装置2とV4の端末装置2との間の1本のリンクL2と、V1の端末装置2とV4の端末装置2との間の1本のリンクL4との4本である。しかしながら、V1の端末装置2とV3の端末装置2との間のリンクL1及びL3の内、リンクL3のフィードバック送信を禁止する。つまり、V3の端末装置2は、V1の端末装置2からのDMRSでCSIを測定すると共に、V1の端末装置2からのフィードバックCSIを取得する。そして、V3の端末装置2は、V1の端末装置2からのフィードバックCSIで測定CSIを調整する。V3の端末装置2及びV1の端末装置2は、1本のリンクのCSIフィードバックに集約する。その結果、
図15に示す無線通信システム1内のフィードバック本数は4本から3本に減るため、フィードバックに要する処理負荷を軽減できる。例えば、ワーストリンクのペア数がN個、フィードバック本数がM本の無線通信システム1に本実施例を採用する場合、フィードバック本数としてM-N≧M/2が成立する。
【0070】
図16は、実施例4のフィードバック設定処理に関わる端末装置2の処理動作の一例を示すフロー図である。
図16において端末装置2内の判定部37は、対向側の端末装置2との間のワーストリンクが複数あるか否かを判定する(ステップS41)。判定部37は、対向側の端末装置2との間のワーストリンクが複数ある場合(ステップS41肯定)、複数のワーストリンクの内、対向側の端末装置2からのフィードバックCSIの受信を許可するリンクがあるか否かを判定する(ステップS42)。尚、対向側の端末装置2との間のワーストリンクが複数ある場合、各ワーストリンクの通信状態が同一の伝搬路であるため同一の通信状態とも言える。
【0071】
端末装置2内の通信部31は、対向側の端末装置2からのフィードバックCSIの受信を許可するリンクがない場合(ステップS42否定)、対向側の端末装置2に対して自装置の測定CSIのフィードバック送信を許可する(ステップS43)。そして、端末装置2は、
図16に示す処理動作を終了する。
【0072】
通信部31は、対向側の端末装置2からのフィードバックCSIを受信するリンクがある場合(ステップS42肯定)、対向側の端末装置2に対して自装置の測定CSIのフィードバック送信を禁止し(ステップS44)、
図16に示す処理動作を終了する。
【0073】
実施例4の各端末装置2は、対向側の端末装置2との間のワーストリンクが複数あり、かつ、一方のワーストリンクが対向側の端末装置2からフィードバックCSIの受信を許可する場合、他方のワーストリンクの対向側の端末装置2へのフィードバックCSIの送信を禁止する。その結果、端末装置2は、対向側の端末装置2との間の重複するCSIのフィードバック送信を禁止することでフィードバック送信数を削減することでグループ内のフィードバック送信に要する処理負荷を軽減できる。
【実施例5】
【0074】
図17は、実施例5の端末装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。尚、実施例2の無線通信システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
図17に示す端末装置2は、通信部31、測定部32、選択部33、取得部33A及び生成部34の他に、算出部38及び更新部39を有する。制御部30は、対向側の端末装置2からの受信信号内のPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを取得する。
【0075】
測定部32は、対向側の端末装置2からの受信信号内のDMRSに基づきCSIを測定し、測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。更に、算出部38は、取得されたフィードバックCSI(CSICH)と、CSIメモリ21に記憶中の測定CSI(CSIRS)との差分であるCSI差分(CSICH-CSIRS)を算出する。生成部34は、算出したCSI差分をPSCCHに格納する。そして、通信部31は、CSI差分を含むPSCCHを対向側の端末装置2に送信する。更新部39は、対向側の端末装置2から受信したCSI差分に基づき、CSIメモリ21に記憶中の測定CSIを調整して更新する。
【0076】
次に実施例5の無線通信システム1の動作について説明する。
図18Aは、V1の端末装置2の差分送信処理に関わる動作の一例を示す説明図である。
図18Aに示すV1の端末装置2は、同一グループ内のV2、V3及びV4の端末装置2からデータ信号等の受信信号を受信する。V1の端末装置2は、V2、V3及びV4の各端末装置2からの受信信号を受信した場合、受信信号内のDMRSに基づき、各端末装置2のCSIを測定し、各無線リンクの測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。
【0077】
図18Bは、V1の端末装置2の差分送信処理に関わる動作の一例を示す説明図である。V1の端末装置2は、各無線リンクの測定CSIに基づき、同一グループ内の無線リンクの内、V4の端末装置2との間の無線リンクをワーストリンクL5に選択したとする。V1の端末装置2は、ワーストリンクL5の測定CSIと、V4の端末装置2からのワーストリンクのフィードバックCSIとの差分をCSI差分として算出する。V1の端末装置2は、V4の端末装置2との間の無線リンクがワーストリンクであり、かつ、測定CSIとフィードバックCSIとの差分がある場合、CSI差分をPSCCHでV4の端末装置2に送信する。そして、V4の端末装置2は、V1の端末装置2からのPSCCHをデコードしてCSI差分を抽出し、抽出したCSI差分に基づき、自装置が記憶中の当該V1の端末装置2との測定CSIを調整して更新する。
【0078】
図19は、差分送信処理に関わる端末装置2の処理動作の一例を示すフロー図である。
図19において端末装置2内の通信部31は、対向側の端末装置2から受信信号を受信したか否かを判定する(ステップS51)。端末装置2内の測定部32は、対向側の端末装置2からの受信信号内のDMRSに基づきCSIを測定する(ステップS52)。そして、測定部32は、測定CSIをCSIメモリ21に記憶する。
【0079】
端末装置2内の取得部33Aは、対向側の端末装置2からの受信信号内のPSCCHをデコードしてフィードバックCSIを取得する(ステップS53)。制御部30は、ワーストリンクメモリ22を参照し、対向側の端末装置2との間のリンクがワーストリンクであるか否かを判定する(ステップS54)。制御部30は、対向側の端末装置2との間の無線リンクがワーストリンクの場合(ステップS54肯定)、ワーストリンクの測定CSIとフィードバックCSIとが異なるか否かを判定する(ステップS55)。
【0080】
端末装置2内の算出部38は、ワーストリンクの測定CSIとフィードバックCSIとが異なる場合(ステップS55肯定)、ワーストリンクの測定CSIとフィードバックCSIとのCSI差分を算出する(ステップS56)。通信部31は、算出したCSI差分をワーストリンクのPSCCHに格納して対向側の端末装置2に送信し(ステップS57)、
図19に示す処理動作を終了する。
【0081】
端末装置2内の通信部31は、対向側の端末装置2からの受信信号を受信しなかった場合(ステップS51否定)、
図19に示す処理動作を終了する。制御部30は、対向側の端末装置2との間の無線リンクがワーストリンクでない場合(ステップS54否定)、
図19に示す処理動作を終了する。制御部30は、測定CSIとフィードバックCSIとが異ならない場合(ステップS55否定)、すなわち測定CSIとフィードバックCSIとが同一の場合、
図19に示す処理動作を終了する。
【0082】
図20は、更新処理に関わる端末装置2の処理動作の一例を示すフロー図である。尚、
図20に示す差分送信処理を実行する端末装置2が、例えば、
図18Bに示すV1の端末装置2の場合、
図20に示す更新処理を実行する端末装置2は、例えば、
図18Bに示すV4の端末装置2とする。
図20において端末装置2内の通信部31は、対向側の端末装置2からの受信信号を受信したか否かを判定する(ステップS61)。端末装置2内の取得部33Aは、対向側の端末装置2からの受信信号を受信した場合(ステップS61肯定)、受信信号内のPSCCHをデコードしてCSI差分を抽出したか否かを判定する(ステップS62)。
【0083】
端末装置2内の更新部39は、CSI差分を抽出した場合(ステップS62肯定)、CSIメモリ21に格納中の測定CSIがあるか否かを判定する(ステップS63)。更新部39は、CSIメモリ21に格納中の測定CSIがある場合(ステップS63肯定)、(測定CSI-CSI差分)で格納中の測定CSIを調整する(ステップS64)。更新部39は、調整後の測定CSIをCSIメモリ21に更新し(ステップS65)、
図20に示す処理動作を終了する。
【0084】
端末装置2は、対向側の端末装置2から受信信号を受信しなかった場合(ステップS61否定)、CSI差分を抽出しなかった場合(ステップS62否定)、又は、測定CSIが格納中でない場合(ステップS63否定)、
図20に示す処理動作を終了する。
【0085】
実施例5の無線通信システム1では、端末装置2が、対向側の端末装置2からの受信信号内のDMRSからCSIを測定すると共に、対向側の端末装置2からの受信信号内のPSCCHを解読してフィードバックCSIを取得する。端末装置2は、対向側の端末装置2との無線リンクがワーストリンク、かつ、フィードバックCSIと測定CSIとが異なる場合、フィードバックCSIと測定CSIとのCSI差分を算出する。端末装置2は、CSI差分をPSCCH内に格納してワーストリンクの対向側の端末装置2に送信する。その結果、端末装置2は、フィードバックCSIとしてCSI差分のみを送信するため、その処理負担を軽減できる。
【0086】
更に、対向側の端末装置2は、PSCCHを解読してCSI差分を取得し、CSI差分からCSIメモリ21に記憶中のワーストリンクの測定CSIを調整する。その結果、ワーストリンクに関わる高精度のCSIを確保できる。
【0087】
尚、上記実施例の無線通信システム1では、モード4内のグループキャスト送信を例示して説明したが、ブロードキャスト送信やユニキャスト送信にも適用可能であり、適宜変更可能である。
【0088】
また、本実施例では、CSIのフィードバック送信を例示したが、CSIのフィードバック送信に限定されるものではない。例えば、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)フィードバック、パワーコントロール制御のフィードバック、リンクアダプテーション制御のフィードバック等にも適用可能である。
【0089】
上記実施例では、V2X通信の無線通信システム1の内、V2V通信を例示したが、例えば、V2P通信やV2I通信等のV2X通信にも適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 無線通信システム
2 端末装置
31 通信部
32 測定部
33 選択部
33A 取得部
34 生成部
36 平均化部
38 算出部