(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】精穀機
(51)【国際特許分類】
B02B 3/06 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
B02B3/06 104
(21)【出願番号】P 2021032062
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-04-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】但馬 史朗
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025903(JP,A)
【文献】特開平07-075741(JP,A)
【文献】国際公開第2018/151315(WO,A1)
【文献】特開2014-039888(JP,A)
【文献】特開昭63-107756(JP,A)
【文献】特開昭61-157360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 3/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線を中心として回転可能な精白ロールと、当該精白ロールとの間に精白室が形成されるように前記精白ロールを囲う除糠筒体と、前記精白室において前記精白ロールの回転に伴って連れ回りながら表面が除糠される穀粒の移動を遮って当該穀粒に抵抗を付与するよう配置された抵抗手段と、該抵抗手段を駆動させる駆動手段とを備え、
前記抵抗手段は、前記中心線に沿って延びる帯板状をなす抵抗板と、
前記中心線に沿って延び、且つ、前記駆動手段により回転する回転駆動軸と、
前記回転駆動軸の正転動作と逆転動作とにそれぞれ連動して前記抵抗板を板面が前記精白ロールの径方向に沿う姿勢で前記精白室に対して進退させる動作変換機構とを備えていることを特徴とする精穀機。
【請求項2】
請求項1に記載の精穀機において、
前記動作変換機構は、前記中心線に沿って延びるヒンジ軸を中心に開閉可能に構成され、一側が前記回転駆動軸に接続される一方、他側が前記抵抗板に接続されたヒンジ手段と、前記精白ロールの径方向に貫通するガイド孔を有するガイド手段とを備え、前記回転駆動軸の正転動作に連動した前記ヒンジ手段の開動作により、前記ガイド孔が前記抵抗板を案内して前記精白室へと前進させる一方、前記回転駆動軸の逆転動作に連動した前記ヒンジ手段の閉動作により、前記ガイド孔が前記抵抗板を案内して前記精白室から退避させるよう構成されていることを特徴とする精穀機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の精穀機において、
前記抵抗手段は、前記中心線を中心とした周方向に等間隔に複数配設され、
前記駆動手段は、前記中心線を中心に環状に延び、且つ、前記中心線を中心に回転可能なリング部材と、該リング部材の一方側への回転により前記各回転駆動軸をそれぞれ一方側に回転させる一方、前記リング部材の他方側への回転により前記各回転駆動軸をそれぞれ他方側に回転させる駆動力伝達機構とを備えていることを特徴とする精穀機。
【請求項4】
請求項3に記載の精穀機において、
前記駆動力伝達機構は、一端が前記回転駆動軸にそれぞれ固定される一方、他端側が前記リング部材にそれぞれ連係する複数のレバー部材を備え、前記リング部材の一方側への回転による前記各レバー部材の一方側への回動動作により前記各回転駆動軸をそれぞれ一方側に回転させる一方、前記リング部材の他方側への回転による前記各レバー部材の他方側への回動動作により前記各回転駆動軸をそれぞれ他方側に回転させるよう構成されていることを特徴とする精穀機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精白ロールの回転動作により穀粒の表面から糠を取り除く精穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されている精穀機は、中心線が上下方向に向く精白ロールと、当該精白ロールとの間に精白室が形成されるように精白ロールを囲う除糠筒体と、先端部分と精白ロールとの間に隙間が形成される位置で精白室に配置された複数の抵抗板とを備え、精白室に上方から供給される穀粒は、精白ロールの回転に伴って各抵抗板に接触しながら連れ回って表面が研削されながら落下して除糠されるようになっている。各抵抗板の背面側には、2つのノブボルトが上下方向に所定の間隔をあけて設けられ、抵抗板の位置を調整する際、各ノブボルトをそれぞれ螺進操作することにより、各抵抗板を精白ロールの径方向に前進させて先端部分を精白ロールに接近させるか、或いは、各ノブボルトをそれぞれ螺退操作することにより、各抵抗板を後退させて先端部分を精白ロールから離間させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、抵抗板の位置を調整する際、2つのノブボルトをそれぞれ一つずつ操作する必要があり、抵抗板の位置調整に時間が掛かるという問題があった。また、2つのノブボルトをそれぞれ一つずつ操作すると、抵抗板の先端部分と精白ロールとの間の隙間を上下方向に一定となるように調整するのが困難であり、作業者は、抵抗板の位置調整のために、精穀機を停止させた状態において抵抗板の先端部分と精白ロールとの間の隙間の状態を目視で確認しながら各ノブボルトを操作しなければならず、作業効率が悪いという問題もあった。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抵抗板の先端部分と精白ロールとの間の隙間が精白ロールの中心線に沿う方向に一定となるように抵抗板の位置調整を短時間で簡単に行うことができる精穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、精白ロールの中心線に沿って延びる回転駆動軸の回転動作が抵抗板における精白ロールの径方向に沿う進退動作に変換される機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、複数の抵抗板を内部に備えた精穀機を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、中心線を中心として回転可能な精白ロールと、当該精白ロールとの間に精白室が形成されるように前記精白ロールを囲う除糠筒体と、前記精白室において前記精白ロールの回転に伴って連れ回りながら表面が除糠される穀粒の移動を遮って当該穀粒に抵抗を付与するよう配置された抵抗手段と、該抵抗手段を駆動させる駆動手段とを備え、前記抵抗手段は、前記中心線に沿って延びる帯板状をなす抵抗板と、前記中心線に沿って延び、且つ、前記駆動手段により回転する回転駆動軸と、前記回転駆動軸の正転動作と逆転動作とにそれぞれ連動して前記抵抗板を板面が前記精白ロールの径方向に沿う姿勢で前記精白室に対して進退させる動作変換機構とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記動作変換機構は、前記中心線に沿って延びるヒンジ軸を中心に開閉可能に構成され、一側が前記回転駆動軸に接続される一方、他側が前記抵抗板に接続されたヒンジ手段と、前記精白ロールの径方向に貫通するガイド孔を有するガイド手段とを備え、前記回転駆動軸の正転動作に連動した前記ヒンジ手段の開動作により、前記ガイド孔が前記抵抗板を案内して前記精白室へと前進させる一方、前記回転駆動軸の逆転動作に連動した前記ヒンジ手段の閉動作により、前記ガイド孔が前記抵抗板を案内して前記精白室から退避させるよう構成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記抵抗手段は、前記中心線を中心とした周方向に等間隔に複数配設され、前記駆動手段は、前記中心線を中心に環状に延び、且つ、前記中心線を中心に回転可能なリング部材と、該リング部材の一方側への回転により前記各回転駆動軸をそれぞれ一方側に回転させる一方、前記リング部材の他方側への回転により前記各回転駆動軸をそれぞれ他方側に回転させる駆動力伝達機構とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記駆動力伝達機構は、一端が前記回転駆動軸にそれぞれ固定される一方、他端側が前記リング部材にそれぞれ連係する複数のレバー部材を備え、前記リング部材の一方側への回転による前記各レバー部材の一方側への回動動作により前記各回転駆動軸をそれぞれ一方側に回転させる一方、前記リング部材の他方側への回転による前記各レバー部材の他方側への回動動作により前記各回転駆動軸をそれぞれ他方側に回転させるよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、1つの回転駆動軸の回転動作により抵抗板全体が進退するようになっており、特許文献1の如き抵抗板全体を進退させる際に抵抗板に対して複数の箇所を操作するといった必要が無いので、抵抗板の位置調整を短時間で行うことができる。また、駆動手段により回転駆動軸を正転させると、その正転動作が動作変換機構により抵抗板の直線動作に変換されて当該抵抗板全体が精白ロールに対する姿勢を変えずに当該精白ロールの径方向内側に前進するようになる一方、駆動手段により回転駆動軸を逆転させると、その逆転動作が動作変換機構により抵抗板の直線動作に変換されて当該抵抗板全体が精白ロールに対する姿勢を変えずに当該精白ロールの径方向外側に後退するようになる。したがって、回転駆動軸を回転させるだけで抵抗板の先端部分と精白ロールとの間の隙間を精白ロールの中心線に沿う方向に一定に保った状態で抵抗板の位置調整が可能になるので、抵抗板の位置調整のために精穀機を停止させて抵抗板の状態を目視で確認する必要が無くなり、抵抗板の位置調整作業を簡単に行うことができる。
【0013】
第2の発明では、動作変換機構がヒンジ手段からなるので、回転駆動軸の回転動作を抵抗板の直線動作に変換する構造がシンプルなものになり、部品コスト及び製造コストを低く抑えることができる。また、比較的単純な動作であるヒンジ手段の開閉動作により動作変換機構が作動するので、回転駆動軸の回転動作を抵抗板の直線動作に変換する際に当該回転駆動軸や抵抗板に掛かる負荷が小さくなり、回転駆動軸の回転動作から抵抗板の直線動作への変換をスムーズに行うことができる。
【0014】
第3の発明では、リング部材を一方側又は他方側に回転させると、駆動力伝達機構によって各回転駆動軸がそれぞれ同方向に、且つ、同じ回転角度だけ回転するようになる。したがって、精穀機に設けられた複数の抵抗板の位置を一度に同じように調整することができるようになり、精穀機に設けられた複数の抵抗板の位置調整作業を短時間に、且つ、ばらつきなく調整することができる。
【0015】
第4の発明では、駆動力伝達機構が複数のレバー部材からなるので、各回転駆動軸を同時に、且つ、同方向に回転させる構造がシンプルなものになり、部品コスト及び製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る精穀機の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る精穀機の平面図である。
【
図8】
図7の後、抵抗板の位置を調整した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0018】
図1乃至
図3は、本発明の実施形態に係る研削式竪型精穀機1を示す。該精穀機1は、略六角柱形状をなす本体ケース2と、該本体ケース2に並設された第1駆動モータ3と、本体ケース2及び第1駆動モータ3を支持するベースフレーム4とを備え、本体ケース2の上部には、当該本体ケース2の内部に穀粒を供給する穀粒供給部2aが設けられている。
【0019】
本体ケース2内部の略中央には、
図4に示すように、上下に延び、且つ、第1駆動モータ3により回転する主軸5が設けられ、該主軸5には、穀粒供給部2aから供給される穀粒の表面を研削する研削ユニット6が取り付けられている。
【0020】
研削ユニット6は、主軸5の上部に取り付けられた三角錐形状をなすガイド体61と、該ガイド体61の下方に設けられ、且つ、主軸5に取り付けられた厚みを有する略円盤形状の送込ロール62とを備えている。
【0021】
該送込ロール62の外径は、ガイド体61の外径より大きくなっていて、外周面には、複数の羽根部材62aが所定の間隔をあけて設けられている。
【0022】
送込ロール62の下方には、中心線C1が上下方向に向く略円柱形状の精白ロール63が主軸5に取り付けられている。
【0023】
精白ロール63は、外径が送込ロール62と略同じであり、外周面に研削砥石の砥粒を付着させた環状をなす砥石盤63aを備え、該砥石盤63aは、上下方向に複数積層されている。
【0024】
精白ロール63は、筒中心線が上下方向に向く除糠筒体64に囲われており、該除糠筒体64と精白ロール63との間には、精白室S1が形成されている。
【0025】
除糠筒体64は、
図5に示すように、筒中心線周りに等間隔に配置された4つの支柱部65(ガイド手段)と、該各支柱部65の間にそれぞれ配設された平面視で円弧状をなす4つの金網部66とを備えている。
【0026】
支柱部65は、
図6乃至
図8に示すように、内部に収容空間S2を有する上下に延びる略四角筒状をなしており、除糠筒体64の径方向に沿って互いに平行に延びる第1板状フレーム65a及び第2板状フレーム65bと、該第2板状フレーム65bの精白ロール63側端部から第1板状フレーム65aまで延びる第3板状フレーム65cとを備えている。
【0027】
第3板状フレーム65cの延出端側は、端部に行くにつれて次第に板厚が狭くなる尖鋭な形状をなしていて、その延出端には、第1板状フレーム65aとの間において上下方向に延び、且つ、収容空間S2に連通するスリット形状のガイド孔65dが形成されている。
【0028】
つまり、支柱部65には、精白ロール63の径方向に貫通するガイド孔65dが設けられている。
【0029】
一方、各金網部66の精白ロール63側には、
図5に示すように、ステンレス材で形成されたスクリーン66aが設けられている。
【0030】
該スクリーン66aは、
図9に示すように、平面視で円弧状をなすスクリーン本体部66bと、該スクリーン本体部66bの円弧方向両端に設けられた断面略L字状をなす一対のフランジ部66cとを備え、各フランジ部66cを各支柱部65に固定するようになっている。
【0031】
スクリーン本体部66bは、プレス成形により一体成形され、円弧方向両端寄りにおける精白ロール63側の面には、複数の取付凹部66eが上下方向に所定の間隔をあけて形成されている。
【0032】
フランジ部66cは、プレス成形により一体成形され、複数のリベット66fを用いてスクリーン本体部66bの取付凹部66eの位置に固定されている。すなわち、スクリーン本体部66bの各取付凹部66e側から各リベット66fをかしめることにより、スクリーン本体部66bとフランジ部66cとを一体にするようになっていて、これにより、スクリーン66aを簡単に製造できるようになっている。
【0033】
各支柱部65の収容空間S2には、
図6乃至
図8に示すように、抵抗機構7(抵抗手段)が配設されている。すなわち、抵抗機構7は、中心線C1を中心とした周方向に等間隔に4つ配設されている。
【0034】
抵抗機構7は、上下方向に延びる帯板状をなすとともに、板面が除糠筒体64の略径方向に沿って延びる抵抗板71と、回転軸心C2が上下方向に延びる断面矩形状をなす回転駆動軸72とを備え、抵抗板71の先端側部分は、ガイド孔65dに嵌挿されている。
【0035】
回転駆動軸72は、収容空間S2における第3板状フレーム65cから離れた位置に配設されており、その上端部分は丸棒状をなすとともに本体ケース2の上面を貫通して当該本体ケース2から飛び出している。
【0036】
抵抗板71の基端側と回転駆動軸72との間には、上下方向に延びるヒンジ軸73aを有するヒンジ機構73(ヒンジ手段)が配設されている。
【0037】
該ヒンジ機構73は、ヒンジ軸73aを中心に開閉可能に構成されていて、ヒンジ機構73の一側は、回転駆動軸72の側面に固定される一方、ヒンジ機構73の他側は、抵抗板71の基端側に固定されている。
【0038】
支柱部65とヒンジ機構73とで本発明の動作変換機構10を構成しており、
図7及び
図8に示すように、回転駆動軸72を正転させると、当該回転駆動軸72の正転動作に連動したヒンジ機構73の開動作により、ガイド孔65dが抵抗板71を案内して精白室S1へと前進させる一方、回転駆動軸72を逆転させると、回転駆動軸72の逆転動作に連動したヒンジ機構73の閉動作により、ガイド孔65dが抵抗板71を案内して精白室S1から退避させるよう構成されている。
【0039】
すなわち、動作変換機構10は、回転駆動軸72の正転動作と逆転動作とにそれぞれ連動して抵抗板71を板面が精白ロール63の径方向に沿う姿勢で精白室S1に対して進退させるようになっている。
【0040】
本体ケース2の上方には、
図2及び
図3に示すように、各抵抗機構7を駆動させる駆動機構8(駆動手段)が配設されている。
【0041】
該駆動機構8は、中心線C1を中心として穀粒供給部2aの周りを環状に延び、且つ、各抵抗機構7より内側に位置するリング部材8aを備え、該リング部材8aは、中心線C1を中心として一方側と他方側とにそれぞれ回転可能になっている。
【0042】
リング部材8aの各抵抗機構7に対応する位置には、上方に突出する4つのピン8bがそれぞれ設けられている。
【0043】
本体ケース2上面における第1駆動モータ3側のリング部材8aに対応する位置には、当該リング部材8aをピンギア駆動により中心線C1を中心として回転させる第2駆動モータ8cが配設されている。
【0044】
各回転駆動軸72の上端とリング部材8aとの間には、それぞれレバー部材8dが配設され、当該各レバー部材8dと各ピン8bとで本発明の駆動力伝達機構9を構成している。
【0045】
各レバー部材8dの一端は、各回転駆動軸72の上端にそれぞれ固定される一方、各レバー部材8dの他端側には、当該各レバー部材8dに沿って延びるスリット部8eが形成されている。
【0046】
各スリット部8eには、それぞれ対応する各ピン8bがスライド可能に嵌合しており、これにより、リング部材8aと各レバー部材8dの他端側とが連係している。
【0047】
駆動力伝達機構9は、第2駆動モータ8cを駆動させてリング部材8aを一方側へ回転させることにより、各ピン8bがスリット部8eに案内されながら各レバー部材8dの他端側を一方側に押すことで当該各レバー部材8dが一方側に回動し、この各レバー部材8dの一方側への回動動作によって各回転駆動軸72をそれぞれ一方側に回転させるようになっている。一方、駆動力伝達機構9は、第2駆動モータ8cを駆動させてリング部材8aを他方側へ回転させることにより、各ピン8bがスリット部8eに案内されながら各レバー部材8dの他端側を他方側に押すことで当該各レバー部材8dが他方側に回動し、この各レバー部材8dの他方側への回動動作によって各回転駆動軸72をそれぞれ他方側に回転させるようになっている。
【0048】
そして、第1駆動モータ3により精白ロール63が回転する状態において穀粒供給部2aから穀粒M1を供給すると、
図4に示すように、穀粒M1は、ガイド体61及び送込ロール62に案内されながら精白室S1に落下するとともに、精白ロール63の各砥石盤63aに接触しながら精白ロール63の回転に伴って連れ回って表面が研削されながら落下して除糠されるようになっている。その際、抵抗機構7の抵抗板71は、精白ロール63の回転に伴って回りながら落下する穀粒M1の移動を遮って穀粒M1に抵抗を付与するようになっていて、各抵抗板71により穀粒M1に付与する抵抗は、第2駆動モータ8cの駆動により各回転駆動軸72を回転させて各抵抗板71の位置を調整することにより変化させるようになっている。
【0049】
以上より、本発明の実施形態によると、1つの回転駆動軸72の回転動作により抵抗板71全体が進退するようになっており、特許文献1の如き抵抗板全体を進退させる際に抵抗板に対して複数の箇所を操作するといった必要が無いので、抵抗板71の位置調整を短時間で行うことができる。
【0050】
また、駆動機構8により回転駆動軸72を正転させると、その正転動作が動作変換機構10により抵抗板71の直線動作に変換されて当該抵抗板71全体が精白ロール63に対する姿勢を変えずに当該精白ロール63の径方向内側に前進するようになる。一方、駆動機構8により回転駆動軸72を逆転させると、その逆転動作が動作変換機構10により抵抗板71の直線動作に変換されて当該抵抗板71全体が精白ロール63に対する姿勢を変えずに当該精白ロール63の径方向外側に後退するようになる。したがって、回転駆動軸72を回転させるだけで抵抗板71の先端部分と精白ロール63との間の隙間を精白ロール63の中心線C1に沿う方向に一定に保った状態で抵抗板71の位置調整が可能になるので、抵抗板71の位置調整のために精穀機1を停止させて抵抗板71の状態を目視で確認する必要が無くなり、抵抗板71の位置調整作業を簡単に行うことができる。
【0051】
また、動作変換機構10がヒンジ機構73からなるので、回転駆動軸72の回転動作を抵抗板71の直線動作に変換する構造がシンプルなものになり、部品コスト及び製造コストを低く抑えることができる。
【0052】
また、比較的単純な動作であるヒンジ機構73の開閉動作により動作変換機構10が作動するので、回転駆動軸72の回転動作を抵抗板71の直線動作に変換する際に当該回転駆動軸72や抵抗板71に掛かる負荷が小さくなり、回転駆動軸72の回転動作から抵抗板71の直線動作への変換をスムーズに行うことができる。
【0053】
また、リング部材8aを一方側又は他方側に回転させると、駆動力伝達機構9によって各回転駆動軸72がそれぞれ同方向に、且つ、同じ回転角度だけ回転するようになるので、精穀機1に設けられた複数の抵抗板71の位置を一度に同じように調整することができるようになり、精穀機1に設けられた複数の抵抗板71の位置調整作業を短時間に、且つ、ばらつきなく調整することができる。
【0054】
さらに、駆動力伝達機構9が複数のレバー部材8dからなるので、各回転駆動軸72を同時に、且つ、同方向に回転させる構造がシンプルなものになり、部品コスト及び製造コストを低く抑えることができる。
【0055】
尚、本発明の実施形態では、抵抗機構7が中心線C1回りに4つ配設されているが、1~3つ配設する構成であってもよいし、5つ以上配設する構成であってもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態では、動作変換機構10としてヒンジ機構73を用いているが、回転駆動軸72の回転動作を抵抗板71の直線動作に変換できるのであれば、その他の構造であってもよく、例えば、カム機構等を用いてもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態では、駆動力伝達機構9として複数のレバー部材8dを用いて第2駆動モータ8cの駆動力を各回転駆動軸72に伝達しているが、第2駆動モータ8cの駆動力を各回転駆動軸72に伝達できるのであれば、その他の構造であってもよく、例えば、カム機構等を用いてもよい。
【0058】
尚、本発明の実施形態の抵抗機構7及び駆動機構8は、研削式の精穀機1に適用されているが、これに限らず、摩擦式の精穀機にも適用可能である。さらに、本発明の実施形態の抵抗機構7及び駆動機構8は、竪型の精穀機1に適用されているが、これに限らず、横型の精穀機にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、精白ロールの回転動作により穀粒の表面を研削して糠を取り除く精穀機に適している。
【符号の説明】
【0060】
1 精穀機
7 抵抗機構(抵抗手段)
8 駆動機構(駆動手段)
8a リング部材
8d レバー部材
9 駆動力伝達機構
9a リング部材
10 動作変換機構
63 精白ロール
64 除糠筒体
65 支柱部(ガイド手段)
65d ガイド孔
71 抵抗板
72 回転駆動軸
73 ヒンジ機構(ヒンジ手段)
73a ヒンジ軸
S1 精白室