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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20230620BHJP
   F04D 17/04 20060101ALI20230620BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20230620BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
F04D17/04 C
F04D29/66 N
F04D29/70 L
F24F1/0007 401B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021058827
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022155372
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 大貴
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-012881(JP,A)
【文献】特開2010-210165(JP,A)
【文献】特許第6625305(JP,B1)
【文献】特開2006-105444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F04D 17/04
F04D 29/70
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫流ファンと、
前面パネルと、
前記前面パネルに形成される吸込み口の端に配置され、前記前面パネルに固定される補強部材と、
前記前面パネルと前記貫流ファンとの間に配置される熱交換器と、
回転軸を中心に前記貫流ファンを回転させることにより、空気を前記吸込み口から前記熱交換器に通過させる機構とを備え、
前記補強部材のうちの前記前面パネルに隣接する側と反対側の先端の少なくとも一部は、前記回転軸に平行である軸方向における一端と前記前面パネルとの間の距離が、前記軸方向における他端と前記前面パネルとの間の距離と異なるように、前記回転軸に対して傾斜する直線に沿って配置される
空気調和装置。
【請求項2】
前記先端は、前記軸方向に対して傾斜する複数の直線にそれぞれ沿って配置される複数の部分から形成される
請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する貫流ファンを用いて送風する送風機が設けられた空気調和装置の室内機が知られている。貫流ファンが格納されるケーシングは、貫流ファンの近傍に配置される舌部を備え、空気調和装置の室内機は、貫流ファンが回転するときに、貫流ファンと舌部との間で翼ピッチ音が発生する。空気調和装置の室内機は、貫流ファンに設けられた複数の翼の形状や、舌部の形状を改善することにより、送風性能が損なわれることなく、翼ピッチ音を低減することが一般的である(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-10240号公報
【文献】特開2007-40543号公報
【文献】特開2010-156210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和装置の室内機は、送風される空気が通過する空間で発生する風切り音によって、騒音をさらに増大させるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、翼ピッチ音を低減しつつ、風切り音による騒音レベルの増大を低減する空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による空気調和装置は、貫流ファンと、前面パネルと、前記前面パネルに形成される吸込み口の端に配置され、前記前面パネルに固定される補強部材と、前記前面パネルと前記貫流ファンとの間に配置される熱交換器と、回転軸を中心に前記貫流ファンを回転させることにより、空気を前記吸込み口から前記熱交換器に通過させる機構とを備えている。前記補強部材のうちの前記前面パネルに隣接する側と反対側の先端の少なくとも一部は、前記回転軸に平行である軸方向における一端と前記前面パネルとの間の距離が、前記軸方向における他端と前記前面パネルとの間の距離と異なるように、前記回転軸に対して傾斜する直線に沿って配置されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の空気調和装置は、翼ピッチ音を低減しつつ、風切り音による騒音レベルの増大を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の空気調和装置の室内機を示す断面図である。
図2図2は、送風機を示す斜視図である。
図3図3は、フィルタと前面パネルとが取り外された室内機を示す斜視図である。
図4図4は、傾斜支柱部分の一端を通る平面が実施例1の空気調和装置の室内機に交差する断面を示す側面断面図である。
図5図5は、傾斜支柱部分の他端を通る平面が実施例1の空気調和装置の室内機に交差する断面を示す他の側面断面図である。
図6図6は、比較例1の空気調和装置の室内機を示す斜視図である。
図7図7は、前面パネルが取り外された実施例2の空気調和装置の室内機を示す斜視図である。
図8図8は、実施例2の空気調和装置の室内機のフィルタを示す平面図である。
図9図9は、前面パネルが取り外された実施例2の空気調和装置の室内機を示す斜視図である。
図10図10は、比較例2の空気調和装置の室内機のフィルタを示す平面図である。
図11図11は、実施例3の空気調和装置の室内機を示す側面断面図である。
図12図12は、実施例3の空気調和装置の室内機の前面パネルを示す斜視図である。
図13図13は、傾斜支柱部分の一端を通る平面が実施例3の空気調和装置の室内機に交差する断面を示す側面断面図である。
図14図14は、比較例3の空気調和装置の室内機の前面パネルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる室内機について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1の空気調和装置の室内機10を示す断面図である。空気調和装置は、室内機10を備え、図示されていない室外機を備えている。室外機は、屋外に設置されている。室内機10は、屋外から隔てられた空調室の壁面に設置されている。室内機10は、送風機1と筐体2と熱交換器3とフィルタ5と支柱6とを備えている。
【0011】
筐体2は、筐体本体21と前面パネル22とを備えている。筐体本体21は、概ね箱形に形成されている。筐体本体21は、室内機10が設置される壁面に固定されている。筐体本体21の前面側には、前面側開口部23が形成されている。前面パネル22は、概ね板状に形成されている。前面パネル22は、前面側開口部23を塞ぐように、筐体本体21の前面側に配置され、筐体本体21に着脱可能に取り付けられ、筐体本体21に固定されている。
【0012】
筐体2の内部には、空気通路24が形成されている。筐体本体21の上部には、空気通路24と筐体2の外部とを連通させる吸込み口25が形成されている。送風機1は、空気通路24のうちの下部に配置されている。
【0013】
熱交換器3は、前面側熱交換器26と上側背面側熱交換器27と上側前面側熱交換器28とを備えている。前面側熱交換器26は、板状に形成され、空気通路24のうちの送風機1と前面パネル22との間に配置され、筐体本体21に固定されている。前面側熱交換器26が沿う平面は、回転軸16に平行であり、かつ、室内機10の前後方向(前面側から背面側へ向かう方向)に概ね直交する。上側背面側熱交換器27は、板状に形成されている。上側背面側熱交換器27は、上側背面側熱交換器27の下側の端が上側背面側熱交換器27の上側の端より背面側に配置されるように、傾斜し、空気通路24のうちの吸込み口25と送風機1との間に配置され、筐体本体21に固定されている。上側背面側熱交換器27が沿う平面は、回転軸16に平行である。
【0014】
熱交換器3は、図示されていない複数のフィンと複数の伝熱管とを備えている。複数のフィンは、板状に形成され、回転軸16に直交する複数の平面にそれぞれ沿うように配置されている。複数の伝熱管の各々の内部には、冷媒が流れる流路が形成されている。複数の伝熱管の各々は、棒状に形成され、複数のフィンを貫通し、複数のフィンに熱的に接触している。複数の伝熱管は、回転軸16に平行である複数の直線に沿うように、配置されている。
【0015】
上側前面側熱交換器28は、板状に形成されている。上側前面側熱交換器28は、空気通路24のうちの吸込み口25と送風機1との間に配置されている。上側前面側熱交換器28は、上側前面側熱交換器28の下側の端が前面側熱交換器26の上側の端に繋がるように、かつ、上側前面側熱交換器28の上側の端が上側背面側熱交換器27の上側の端に繋がるように、傾斜している。上側前面側熱交換器28は、筐体本体21に固定されている。
【0016】
フィルタ5は、空気通路24のうちの熱交換器3と吸込み口25との間に配置され、筐体本体21に着脱可能に取り付けられ、筐体本体21に固定されている。フィルタ5は、空気通路24を通過する空気から塵埃を除去する。支柱6は、空気通路24のうちの熱交換器3とフィルタ5との間に配置され、筐体本体21に固定されている。支柱6は、フィルタ5が熱交換器3に接触することを防止し、熱交換器3に設けられる複数のフィンが変形することを防止している。
【0017】
送風機1は、ファンケーシング7と貫流ファン8とを備えている。ファンケーシング7は、筐体2の内部に配置され、筐体本体21に固定され、または、筐体本体21と一体に形成されている。ファンケーシング7には、送風路11と吹き出し口12とが形成されている。送風路11は、ファンケーシング7の内部に形成されている。送風路11の一端は、空気通路24のうちの送風機1と熱交換器3との間の領域に接続されている。吹き出し口12は、ファンケーシング7の下端に配置されている。送風路11の他端は、吹き出し口12に接続され、吹き出し口12を介して室内機10の筐体2の外部に接続されている。
【0018】
貫流ファン8は、送風路11に配置されている。ファンケーシング7は、前面側舌部14と背面側舌部15とを備えている。前面側舌部14は、送風路11の前面側に配置されている。背面側舌部15は、送風路11の背面側に配置されている。貫流ファン8が後述する機構により回転駆動することで、熱交換器3を通過する気流を生成する。
【0019】
図2は、送風機1を示す斜視図である。貫流ファン8は、概ね円柱状に形成され、回転軸16に沿うように送風路11に配置され、回転軸16を中心に回転可能にファンケーシング7に支持されている。貫流ファン8は、複数の羽根車31と複数の仕切板32と第1端板33と第2端板34とを備えている。複数の羽根車31は、回転軸16に平行である軸方向35に並び、複数の仕切板32を介して互いに固定されている。複数の羽根車31のうちの1つの羽根車36は、図1に示されているように、複数の翼41を備えている。複数の翼41の各々は、いわゆる翼形に形成されている。複数の翼41は、それぞれ、回転軸16を中心とする円周方向に並び、回転軸16に平行である直線に沿うように配置されている。複数の羽根車31のうちの羽根車36と異なる他の羽根車は、羽根車36と同様に、複数の翼41を備えている。
【0020】
複数の仕切板32は、それぞれ、概ね円板状に形成されている。複数の仕切板32は、図2に示されているように、それぞれ、回転軸16に直交する複数の平面にそれぞれ沿うように、配置されている。複数の仕切板32の各々は、複数の羽根車31のうちの2つの羽根車の間に配置され、その2つの羽根車の複数の翼41に固定されている。
【0021】
第1端板33は、概ね円板状に形成されている。第1端板33は、回転軸16に直交する平面に沿うように貫流ファン8の一端に配置され、複数の羽根車31のうちの一端に配置される第1羽根車37の複数の翼41に固定されている。第2端板34は、概ね円板状に形成されている。第2端板34は、回転軸16に直交する平面に沿うように貫流ファン8の他端に配置され、複数の羽根車31のうちの他端に配置される第2羽根車38の複数の翼41に固定されている。複数の羽根車31のうちの第1羽根車37と第2羽根車38とに異なる第3羽根車は、第1羽根車37と第2羽根車38との間に配置されている。
【0022】
送風機1は、図示されていないモータ部をさらに備えている。モータ部は、図1に示されているように、回転軸16を中心に貫流ファン8を予め定められた回転方向40に回転させる機構である。複数の羽根車31の各々は、貫流ファン8が回転方向40に回転することにより、空気が送風路11を吹き出し口12に向かって流れるように、形成されている。
【0023】
図3は、フィルタ5と前面パネル22とが取り外された室内機10を示す斜視図である。支柱6の一端は、空気通路24の軸方向35における一端に配置され、支柱6の他端は、空気通路24の軸方向35における他端に配置されている。支柱6は、複数の傾斜支柱部分42を備えている。複数の傾斜支柱部分42のうちの1つの傾斜支柱部分43は、棒状に形成されている。傾斜支柱部分43が沿う直線は、軸方向35に対して傾斜し、すなわち、軸方向35に対して平行ではなく、かつ、軸方向35に対して直交しない。本実施例では、複数の傾斜支柱部分42のうちの傾斜支柱部分43と異なる他の傾斜支柱部分も、傾斜支柱部分43と同様に、棒状に形成され、軸方向35に対して傾斜している直線に沿うように配置されているが、一部の傾斜支柱部分のみ軸方向35に対して傾斜している直線に沿うように配置されても良い。複数の傾斜支柱部分42は、一体に形成され、互いに固定され、筐体本体21に固定されている。
【0024】
[空気調和装置の動作]
空気調和装置は、室内機10と室外機とに冷媒を循環させる。室外機は、冷媒と外気とを熱交換する。送風機1は、モータ部を用いて回転軸16を中心に貫流ファン8を回転方向40に回転させる。送風機1は、貫流ファン8を回転させることにより、空調室の空気を室内機10の吸込み口25から空気通路24に供給する。熱交換器3は、吸込み口25から空気通路24に供給された空気と冷媒とを熱交換し、空気通路24に供給された空気の温度を調節する。そして、熱交換器3により温度が調節された空気は吹き出し口12から空調室に吹き出される。空気調和装置は、このような動作により空調室を冷房または暖房することができる。
【0025】
図4は、傾斜支柱部分43の一端(図3における左側端部)を通り回転軸16に直交する平面で実施例1の空気調和装置の室内機10を切った断面を示す側面断面図である。傾斜支柱部分43の一端の近傍を通過する空気の流れを流線71で示している。流線71に沿って空気通路24を通過した空気は、前面側熱交換器26を通過して送風機1に供給される。図5は、傾斜支柱部分43の他端(図3における右側端部)を通り回転軸16に直交する平面で実施例1の空気調和装置の室内機10を切った断面を示す他の側面断面図である。傾斜支柱部分43の他端の近傍を通過する空気の流れを流線72で示している。流線72に沿って空気通路24を通過した空気は、前面側熱交換器26を通過して送風機1に供給される。
【0026】
熱交換器3に対して傾斜支柱部分43の他端が配置される位置は、傾斜支柱部分43が沿う直線が軸方向35に対して傾斜していることにより、熱交換器3に対して傾斜支柱部分43の一端が配置される位置と高さ方向(図4の前面側熱交換器26断面に沿う直線に平行な方向)の位置が異なっている。傾斜支柱部分43の他端の近傍を流れる空気が沿う流線72は、傾斜支柱部分43の他端の位置が傾斜支柱部分43の一端の位置と異なっていることにより、傾斜支柱部分43の他端の近傍を流れる空気が沿う流線71と異なっている。
【0027】
前面側熱交換器26は、前面側熱交換器26を空気が通過するときに風切り音が発生する。風切り音は、一端側風切り音と他端側風切り音を含んでいる。一端側風切り音は、流線71に沿って流れた空気が通過する部分で発生する。他端側風切り音は、流線72に沿って流れた空気が通過する部分で発生する。風切り音は前面側熱交換器26と貫流ファン8との距離が最も小さい箇所(流線71、72の貫流ファン側終端付近)で発生する。傾斜支柱部分43は当該箇所から空気の流れの上流側に位置しているため、傾斜支柱部分43の位置が異なれば、当該箇所における空気の流速も異なる。傾斜支柱部分43は、一端側での位置と比較して他端側での位置の方が当該箇所から空気の流れの上流側に位置に重なる。つまり、流線71に沿って流れて前面側熱交換器26を通過する空気の流速は、流線72に沿って流れて前面側熱交換器26を通過する空気の流速よりも速い。風切り音の周波数は流速に応じて変動する。従来は、前面側熱交換器26の軸方向35の一端から他端にかけて一定の周波数の風切り音が発生していたため、翼ピッチ音の周波数と重なった場合に共鳴音の騒音レベルが大きかった。本発明では、熱交換器3の軸方向35の一端から他端にかけて風切り音の周波数を分散させるため、翼ピッチ音と共鳴する音源となる部分を少なくすることができ、共鳴音による騒音が低減される。
【0028】
図6は、比較例1の空気調和装置の室内機100を示す斜視図である。比較例1の空気調和装置の室内機100は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10の支柱6が他の支柱101に置換され、他の部分は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10と同じである。支柱101は、棒状に形成され、軸方向35に平行である直線に沿うように、配置され、筐体本体21に固定されている。空気通路24のうちの支柱101の近傍を通過する空気が、軸方向35で異なる複数の領域を通過する流れは、軸方向35に平行である直線に支柱101が沿っていることにより、互いに概ね等しくなっている。
【0029】
このとき、軸方向35で異なる複数の部分でそれぞれ発生する複数の風切り音の周波数は、互いに等しくなる。周波数の等しい複数の風切り音は、重なることにより騒音レベルが増大する。このため、実施例1の空気調和装置の室内機10は、比較例1の空気調和装置の室内機100に比較して、風切り音による騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0030】
[実施例1の空気調和装置の効果]
実施例1の空気調和装置の室内機10は、貫流ファン8と、支柱6と、支柱6と貫流ファン8との間に配置される熱交換器3と、回転軸16を中心に貫流ファン8を回転させることにより、熱交換器3に空気を通過させるモータ部とを備えている。支柱6の一部(傾斜支柱部分43)は、回転軸16に対して傾斜する直線に沿って配置されている。実施例1の空気調和装置の室内機10は、軸方向35で異なる複数の位置でそれぞれ発生する複数の風切り音が重なることによる騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0031】
また、実施例1の空気調和装置の室内機10の支柱6は、軸方向35に対して傾斜する複数の直線にそれぞれ沿って配置される複数の傾斜支柱部分42から形成されている。実施例1の空気調和装置の室内機10は、送風機1の軸方向35の全幅にわたって、風切り音による騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0032】
また、実施例1の空気調和装置の室内機10は、空気から塵埃を取り除くフィルタ5をさらに備えている。支柱6は、フィルタ5と熱交換器3との間に配置されている。すなわち、支柱6は、フィルタ5が熱交換器3に接触することを防止するために利用されている。実施例1の空気調和装置の室内機10は、フィルタ5が熱交換器3に接触することが防止されることにより、さらに、熱交換器3に設けられる複数のフィンが変形することを防止することができる。
【実施例2】
【0033】
実施例2の空気調和装置の室内機80は、図7に示されているように、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10のフィルタ5が他のフィルタ81に置換され、他の部分は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10と同じである。図7は、前面パネル22が取り外された実施例2の空気調和装置の室内機80を示す斜視図である。図8は、実施例2の空気調和装置の室内機80のフィルタ81を示す平面図である。フィルタ81は、フィルタ本体82と枠83と複数の桟84とを備えている。フィルタ本体82は、長方形のシート状に形成されている。フィルタ本体82は、フィルタ81の厚さ方向に空気が通過するように、かつ、フィルタ81を通過する空気から塵埃が除去されるように、網状に形成されている。
【0034】
図8に示すとおり、枠83は、フィルタ本体82の周囲に棒状に形成され、フィルタ本体82の縁に固定されている。枠83は、フィルタ81が予め定められた形状から変形することを防止している。複数の桟84は、それぞれ棒状に形成されている。複数の桟84は、フィルタ本体82に沿うように配置され、フィルタ本体82に固定されている。複数の桟84は、一体に固定されることにより互いに固定され、さらに、枠83に固定されている。複数の桟84は、フィルタ81が予め定められた形状から変形することを防止している。
【0035】
複数の桟84は、請求項に記載の支柱を含む。複数の桟84に含まれる支柱は、複数の支柱部分85と複数の傾斜支柱部分86とを含んでいる。複数の支柱部分85がそれぞれ沿う複数の直線は、軸方向35に対して平行であり、または、軸方向35に直交する。複数の傾斜支柱部分86がそれぞれ沿う複数の直線は、軸方向35に対して傾斜し、すなわち、軸方向35に対して平行ではなく、かつ、軸方向35に直交しない。
【0036】
複数の傾斜支柱部分86は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10の支柱6の複数の傾斜支柱部分42と同様に、熱交換器3に対して傾斜支柱部分43の一端が配置される位置と高さ方向(図4の前面側熱交換器26断面に沿う直線に平行な方向)の位置が異なっている。実施例1の空気調和装置と同様に、傾斜支柱部分43の位置によって空気の流速も異ならせるため、複数の部位でそれぞれ発生する複数の風切り音を異ならせることができる。このため、実施例2の空気調和装置の室内機80は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10と同様に、軸方向35で異なる複数の位置でそれぞれ発生する複数の風切り音が重なることによる騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0037】
[比較例2の空気調和装置]
比較例2の空気調和装置の室内機200は、図9に示されているように、既述の実施例2の空気調和装置の室内機80のフィルタ81が他のフィルタ201に置換され、他の部分は、既述の実施例2の空気調和装置の室内機80と同じである。図9は、前面パネル22が取り外された実施例2の空気調和装置の室内機80を示す斜視図である。図10は、比較例2の空気調和装置の室内機200のフィルタ201を示す平面図である。フィルタ201は、既述のフィルタ81から複数の傾斜支柱部分86が省略されたものであり、他の部分は、既述のフィルタ81と同じである。すなわち、フィルタ201は、フィルタ本体82と枠83と複数の支柱部分85とを備えている。
【0038】
フィルタ201を通過する空気が、軸方向35で異なる複数の領域を通過する流れは、複数の桟84の全部が軸方向35に対して平行または直交することにより、互いに概ね等しくなっている。このとき、熱交換器3のうちの軸方向35で異なる複数の部分でそれぞれ発生する複数の風切り音の周波数は、互いに等しくなることがある。複数の風切り音の周波数が重なることにより、騒音レベルが増大する。このため、実施例2の空気調和装置の室内機80は、比較例2の空気調和装置の室内機200に比較して、風切り音による騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0039】
ところで、既述の実施例2の空気調和装置の室内機80は、複数の傾斜支柱部分42が設けられているが、複数の傾斜支柱部分42が比較例1の空気調和装置の室内機100の支柱101に置換されてもよい。実施例2の空気調和装置の室内機80は、複数の傾斜支柱部分42が支柱101に置換された場合でも、複数の傾斜支柱部分86が設けられていることにより、風切り音による騒音レベルの増大を抑制することができる。
【実施例3】
【0040】
実施例3の空気調和装置の室内機90は、図11に示されているように、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10の前面パネル22が他の前面パネル91に置換され、他の部分は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10と同じである。図11は、実施例3の空気調和装置の室内機90を示す側面断面図である。前面パネル91は、前面パネル本体92と複数の補強部材93とを備えている。前面パネル本体92は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10の前面パネル22と同様に、前面側開口部23を塞ぐように、筐体本体21の前面側に配置され、筐体本体21に着脱可能に取り付けられ、筐体本体21に固定されている。前面パネル本体92には、複数の前面側吸込み口94が形成されている。
【0041】
図12は、実施例3の空気調和装置の室内機90の前面パネル91を示す斜視図である。複数の前面側吸込み口94は、前面パネル本体92の上端に配置され、軸方向35に形成されている。複数の補強部材93は、複数の前面側吸込み口94に対応している。複数の補強部材93のうちの前面側吸込み口94-1に対応する1つの補強部材95は、軸方向35に平行で、且つ、前面パネル91の平面に略直交する方向に沿うように、前面側吸込み口94-1の近傍に配置されている。補強部材95の上側の上端は、前面側吸込み口94-1の上側の端に配置され、前面パネル本体92に固定されている。補強部材95は、補強部材95のうちの下側の下端96が直線に沿うように、形成されている。補強部材95の下端96が沿う直線は、軸方向35に対して傾斜し、すなわち、軸方向35に対して平行ではなく、かつ、軸方向35に対して直交しない。複数の補強部材93のうちの補強部材95と異なる他の補強部材も、補強部材95と同様に形成されている。実施例3の空気調和装置の室内機90は、前面パネル91に複数の補強部材93が設けられていることにより、前面パネル91に複数の前面側吸込み口94が形成されている場合でも、前面パネル本体92が変形しないように前面パネル91を補強することができる。
【0042】
実施例3の空気調和装置の室内機90では、貫流ファン8が回転することにより、空調室の空気が吸込み口25と複数の前面側吸込み口94との両方から空気通路24に供給される。補強部材95のうちの軸方向35の一端の近傍を通過した空気は、図13に示されているように、流線98に沿って空気通路24を通過し、前面側熱交換器26を通過して送風機1に供給される。図13は、傾斜支柱部分43の一端を通る平面が実施例3の空気調和装置の室内機90に交差する断面を示す側面断面図である。補強部材95のうちの軸方向35の他端の近傍を通過した空気は、図11に示されているように、流線97に沿って空気通路24を通過し、前面側熱交換器26を通過して送風機1に供給される。
【0043】
補強部材95の下端96の他端が配置される位置は、補強部材95の下端96が沿う直線が軸方向35に対して傾斜していることにより、補強部材95の下端96の一端が配置される位置と異なっている。補強部材95の他端の近傍を流れる空気が沿う流線97は、下端96の他端の位置が下端96の一端の位置と高さ方向(図13の前面側熱交換器26断面に沿う直線に平行な方向)の位置が異なっていることにより、補強部材95の一端の近傍を流れる空気が沿う流線98と異なっている。
【0044】
複数の補強部材93は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10の支柱6の複数の傾斜支柱部分42と同様に、前面側舌部14のうちの軸方向35における位置が互いに異なる複数の部位でそれぞれ発生する複数の風切り音を異ならせることができる。このため、実施例3の空気調和装置の室内機90は、既述の実施例1の空気調和装置の室内機10と同様に、軸方向35で異なる複数の位置でそれぞれ発生する複数の風切り音が重なることによる騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0045】
[比較例3の空気調和装置]
比較例3の空気調和装置の室内機は、図14に示されているように、既述の実施例3の空気調和装置の室内機90の前面パネル91が他の前面パネル301に置換され、他の部分は既述の実施例3の室内機90と同じである。図14は、比較例3の空気調和装置の室内機の前面パネル301を示す斜視図である。前面パネル301は、既述の前面パネル91の複数の補強部材93が他の複数の補強部材302に置換され、他の部分は、既述の前面パネル91と同じである。複数の補強部材302のうちの前面側吸込み口94-1に対応する1つの補強部材304は、軸方向35に平行である鉛直面に沿うように、前面側吸込み口94-1の近傍に配置されている。補強部材304の上側の上端は、前面側吸込み口94-1の上側の端に配置され、前面パネル本体92に固定されている。補強部材304は、補強部材304のうちの下側の下端305が直線に沿うように、形成されている。補強部材304の下端305が沿う直線は、軸方向35に平行である。複数の補強部材302のうちの補強部材304と異なる他の補強部材も、補強部材304と同様に形成されている。
【0046】
補強部材304の軸方向35で異なる複数の部位の近傍を通過する流れは、補強部材304の下端305が軸方向35に対して平行であることにより、互いに概ね等しくなっている。このとき、熱交換器3のうちの軸方向35で異なる複数の部分でそれぞれ発生する複数の風切り音の周波数は、互いに等しくなる。複数の翼ピッチ音の周波数が重なることにより、騒音レベルが増大する。このため、実施例3の空気調和装置の室内機90は、比較例3の空気調和装置の室内機に比較して、風切り音による騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0047】
ところで、既述の実施例3の空気調和装置の室内機90は、複数の傾斜支柱部分42が設けられているが、複数の傾斜支柱部分42が比較例1の空気調和装置の室内機100の支柱101に置換されてもよい。実施例3の空気調和装置の室内機90は、複数の傾斜支柱部分42が支柱101に置換された場合でも、複数の補強部材93が設けられていることにより、風切り音による騒音レベルの増大を抑制することができる。
【0048】
ところで、既述の実施例3の空気調和装置の室内機90の前面パネル本体92には複数の前面側吸込み口94が形成されているが、複数の前面側吸込み口94が形成されていなくてもよい。実施例3の空気調和装置の室内機90は、前面パネル本体92に複数の前面側吸込み口94が形成されていない場合でも、空気通路24のうちの軸方向35で異なる複数の位置をそれぞれ通過する空気の流れを異ならせることができる。
【0049】
ところで、既述の実施例の空気調和装置の室内機10は、空気を半径方向から吸い込んで他の半径方向に吹き出す貫流ファン8が設けられているが、貫流ファンと異なる多翼ファンが設けられてもよい。多翼ファンとしては、空気を半径方向から吸い込んで軸方向35に吹き出すファンが例示される。このような室内機も、既述の実施例の空気調和装置の室内機と同様に、風切り音による騒音レベルの増大を抑制できる。
【0050】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
10:室内機
3 :熱交換器
5 :フィルタ
6 :支柱
8 :貫流ファン
14:前面側舌部
15:背面側舌部
16:回転軸
22:前面パネル
24:空気通路
25:吸込み口
31:複数の羽根車
35:軸方向
42:複数の傾斜支柱部分
80:室内機
81:フィルタ
86:複数の傾斜支柱部分
90:室内機
91:前面パネル
92:前面パネル本体
93:複数の補強部材
94:複数の前面側吸込み口
95:補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14