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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20230620BHJP
   B62B 3/16 20060101ALI20230620BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B62B3/16
B62B5/00 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019057196
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020157841
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592003924
【氏名又は名称】三伸機材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390018739
【氏名又は名称】大興物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利征
(72)【発明者】
【氏名】守屋 繁充
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3111874(JP,U)
【文献】実開平05-049559(JP,U)
【文献】実開平06-071365(JP,U)
【文献】特開2006-044476(JP,A)
【文献】登録実用新案第3020126(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/02
B62B 3/16
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を積載する荷受台と、
前記荷受台に立設される支柱部材と、
前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、
前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、
を備え、
前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、
前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、
前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、
前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、
前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、
前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、
前記係止部材は、前記第1穴部と前記第2穴部を係止する係止部を備えたプランジャ部材である
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
荷物を積載する荷受台と、
前記荷受台に立設される支柱部材と、
前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、
前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、
を備え、
前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、
前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、
前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、
前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、
前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、
前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、
前記係止部材は、前記係合部との係合を維持する係合維持部を備えている
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
請求項に記載の運搬台車であって、
前記係止部材は、
前記係合部に挿通されるピン部材である
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
荷物を積載する荷受台と、
前記荷受台に立設される支柱部材と、
前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、
前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、
を備え、
前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、
前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、
前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、
前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、
前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、
前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、
前記第1穴部が前記支柱部材に形成された長穴の下端部により構成され、又は前記第2穴部が前記支柱保持部に形成された長穴の上端部により構成されている
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項5】
荷物を積載する荷受台と、
前記荷受台に立設される支柱部材と、
前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、
前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、
を備え、
前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、
前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、
前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、
前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、
前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、
前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、
前記支柱部材が傾動されたときに、前記支柱部材の自由端側を支持して前記支柱部材の傾動停止位置を設定する傾動位置設定部を備え、
前記支柱部材は、
前記傾動位置設定部に支持された状態で上側面が前記荷受台の荷受面の上面よりも低い位置に位置されるとともに、下側面が前記荷受台の下面と同一又は前記下面よりも高い位置に位置される
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の運搬台車であって、
前記荷受台には、
他の運搬台車を上下方向に重ね合わせたときに、上側に配置される運搬台車のキャスターが収容されるキャスター収容部が形成されている
ことを特徴とする運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、荷物を積載する荷受台と、荷受台に立設される支柱部材とを備えた運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、建築現場等において、荷物を運搬するために種々の運搬台車が用いられている。
このような運搬台車は、操作用のハンドルとして支柱部材を荷受台の角部等に立設して、作業車が支柱部材を持って運搬作業をすることが一般的である。
【0003】
また、支柱部材が立設された運搬台車は、使用しないときには、重ね合せて保管することで運搬台車の保管スペースを削減することが望ましく、そのような場合、支柱部材が立設されていると重ね合わせが痕案であるので、例えば、荷受台から立設された支柱部材を取り除くことが行われている。
【0004】
一方、荷受台から立設された支柱部材を取り除いた場合に、支柱部材を別途保管する必要があることから、例えば、荷受台の角部等に配置された支柱保持部に支柱部材を挿入して立設させるとともに、支柱保持部から抜き出して傾動させた支柱部材を荷受台の周囲(例えば、荷受台の横や上面)に配置して支柱部材を収容させる運搬台車が広く使用されている。
【0005】
また、支柱部材を格納した場合に、支柱部材の上面と荷受台の上面が面一になるように構成することにより積載面積を拡大するように構成された運搬台車が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4373302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された運搬台車を用いて運搬作業する際に、支柱保持部に立設した支柱部材が支柱保持部の途中位置で引っ掛かっていた場合は、運搬作業中に引っ掛かっていた支柱部材が下方に落ち込んで安定した運搬作業をするのに支障となる。
【0008】
一方、キャスターが運搬路に生じた段差や凹部に引っ掛かった場合は、支柱部材を上方に引き上げてキャスターを凹部等から抜き出すことが困難であるので、例えば、フォークリフト等によって運搬台車全体を持ち上げて、凹部等からキャスターを抜き出させる必要がある。
【0009】
そこで、支柱部材を挿入することで荷受台の近傍に支柱部材を立設し、支柱保持部から抜き出すことで支柱部材を傾動させて収納することが可能とされ、支柱部材によって安定的かつ効率的に運搬作業することが可能な運搬台車が望まれている。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、支柱部材を挿入することで荷受台の近傍に支柱部材を立設し、支柱保持部から抜き出すことで支柱部材を傾動させて収納することが可能とされ、支柱部材によって安定的かつ効率的に運搬作業することが可能な運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、荷物を積載する荷受台と、前記荷受台に立設される支柱部材と、前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、を備え、前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、前記係止部材は、前記第1穴部と前記第2穴部を係止する係止部を備えたプランジャ部材であることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る運搬台車によれば、支柱部材と支柱保持部のいずれか一方に支柱部材を支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、他方に長穴の第1端と第2端の間を長穴と係合して長穴に沿って移動する突出部が形成され、支柱部材が、突出部が第1端に位置されたときに支柱保持部から上方に抜き出て突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ突出部が第2端に位置されたときに支柱保持部の挿入が完了して立設されるので、使用するときに支柱部材を立設することにより効率的な運搬作業をすることができ、使用しないときには支柱部材を傾動させて格納することにより、運搬台車を安定して重ね合せて収納スペースを削減することができる。
【0013】
また、この発明に係る運搬台車によれば、支柱部材が支柱保持部に挿入されたときに、長穴の長手方向における設定された相対位置で支柱部材と支柱保持部とを保持する係止部材を備え、支柱部材に第1穴部が形成されるとともに支柱保持部に第1穴部と対応する第2穴部が形成され、第1穴部と第2穴部とが支柱部材が支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成し、係止部材が係合部と係合して、長穴の長手方向における設定された相対位置で支柱部材と支柱保持部とが保持されるので、例えば、支柱部材を上方に引き上げたとしても、支柱保持部から支柱部材が不用意に抜けるのを防止することができる。
【0014】
また、この発明に係る運搬台車によれば、係止部材を係合部と係合させることで支柱部材が支柱保持部の挿入端で保持されているのを確認することができるので、支柱部材が支柱保持部に対して挿入され切らずに途中位置で中途半端に立設されるのを防止することができる。
その結果、支柱部材によって安定的かつ効率的に運搬作業をすることができる。
【0015】
ここで、第1穴部、第2穴部は、支柱部材、支柱保持部に形成された穴であり、係合部を形成するために支柱部材、支柱保持部に形成された穴であってもよいし、長穴の一部であってもよい。
また、係止部材が、第1穴部と第2穴部を係止する係止部を備えたプランジャ部材であるので、人手を介することなく係止部を容易かつ効率的に係合部に係合させることができる。
ここで、プランジャ部材とは、バネ等の付勢部材やエア等の駆動源によって係合部が進退する部材である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、荷物を積載する荷受台と、前記荷受台に立設される支柱部材と、前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、を備え、前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、前記係止部材は、前記係合部との係合を維持する係合維持部を備えていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る運搬台車によれば、係止部材が、係合部との係合を維持する係合維持部を備えているので、係止部材と係合部との係合が不用意に解除されるのを抑制することができる。
その結果、運搬台車による作業を安定して行うことができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の運搬台車であって、前記係止部材は、前記係合部に挿通されるピン部材であることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る運搬台車によれば、係止部材が、係合部に挿通されるピン部材であるので、構造が簡単で、係止部材を容易かつ効率的に係合部に係合させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、荷物を積載する荷受台と、前記荷受台に立設される支柱部材と、前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、を備え、前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、前記第1穴部が前記支柱部材に形成された長穴の下端部により構成され、又は前記第2穴部が前記支柱保持部に形成された長穴の上端部により構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る運搬台車によれば、支柱部材に長穴が形成されている場合に第1穴部が支柱部材に形成された長穴の下端部により構成され、又は支柱保持部に長穴が形成されている場合に第2穴部が支柱保持部に形成された長穴の上端部により構成されているので、支柱部材を立設している場合に、長穴の上端部及び下端部によって支柱部材の上下方向の移動が確実に規制される。
また、支柱部材、支柱保持部に対して、第1穴、第2穴を新たに形成する必要がなく、運搬台車のコストを削減することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、荷物を積載する荷受台と、前記荷受台に立設される支柱部材と、前記荷受台に設けられ、前記支柱部材を挿入して立設させる支柱保持部と、前記荷受台の下部に配置された複数のキャスターと、を備え、前記支柱部材と前記支柱保持部のいずれか一方には前記支柱部材を前記支柱保持部に挿入する際の挿入方向に沿って長穴が形成され、前記支柱部材と前記支柱保持部の他方には前記長穴の長手方向における第1端と前記長穴の長手方向における前記第1端と反対側に位置される第2端の間を前記長穴と係合して前記長穴に沿って移動する突出部が形成され、前記支柱部材は、前記突出部が前記第1端に位置されたときに前記支柱保持部から上方に抜き出て前記突出部の廻りに回動して傾動可能とされ、かつ前記突出部が前記第2端に位置されたときに前記支柱保持部の挿入が完了して立設される運搬台車であって、前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入されたときに、前記支柱部材と前記支柱保持部とを前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持する係止部材を備え、前記支柱部材には第1穴部が形成されるとともに、前記支柱保持部には前記第1穴部と対応する第2穴部が形成されていて、前記第1穴部と前記第2穴部とは前記支柱部材が前記支柱保持部に挿入された状態で互いに重なり合って係合部を形成するように構成され、前記係止部材が前記係合部と係合することにより、前記支柱部材と前記支柱保持部とが前記長穴の長手方向における設定された相対位置で保持され、前記支柱部材が傾動されたときに、前記支柱部材の自由端側を支持して前記支柱部材の傾動停止位置を設定する傾動位置設定部を備え、前記支柱部材は、前記傾動位置設定部に支持された状態で上側面が前記荷受台の荷受面の上面よりも低い位置に位置されるとともに、下側面が前記荷受台の下面と同一又は前記下面よりも高い位置に位置されることを特徴とする。
【0023】
この発明に係る運搬台車によれば、支柱部材が傾動されたときに、支柱部材の自由端側を支持して支柱部材の傾動停止位置を設定する傾動位置設定部を備えているので、傾動された支柱部材を自由端側において支持することで、傾動した支柱部材を設定された姿勢に配置させることができる。
【0024】
この発明に係る運搬台車によれば、支柱部材の自由端側が傾動位置設定部に支持されたときに、支柱部材の上側面が荷受台の荷受面よりも低い位置に位置されるので、荷受台に荷物を積載した場合に、荷物の荷重が支柱部材に付加されて支柱部材が損傷するのを抑制することができる。
また、支柱部材の下側面が荷受台の下面と同一又は下面よりも高い位置に位置されるので、例えば、フォークリフトのフォークを荷受台の下側に差込んで運搬台車を持ち上げても、運搬台車を持ち上げる際の力が傾動された支持部材に付加されることがなく支柱部材が損傷するのを抑制することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の運搬台車であって、前記荷受台には、他の運搬台車(例えば、同タイプの運搬台車等)を上下方向に重ね合わせたときに、上側に配置される運搬台車のキャスターが収容されるキャスター収容部が形成されていることを特徴とする。
【0030】
この発明に係る運搬台車によれば、荷受台にキャスター収容部が形成されているので、荷受台の上側に他の運搬台車を安定して重ね合わせて積載することができる。
また、複数の運搬台車を重ね合わせることにより運搬台車を保管するスペースを小さくすることができる。
ここで、キャスター収容部とは、他の運搬台車のキャスターを収容するために荷受台に形成された部位であり、例えば、凹部、ガイド部材、貫通孔等、種々の形態とされてもよい。
また、他の運搬台車とは、同タイプの運搬台車の他、キャスターの前後方向位置、幅、キャスターのサイズ等が同等であればよく、重ね合せて積載することが可能であれば他社メーカーの運搬台車であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
この発明に係る運搬台車によれば、支柱部材を荷受台に対して立設又は傾動させて収容することが可能とされるとともに、支柱部材が不用意に抜けることが抑制されて、運搬作業を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する図であり、支柱部材を立設させた状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する図であり、支柱部材を傾動させた状態を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する側面から見た図である。
図4】第1実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する正面から見た図である。
図5】第1実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する概略構成図であり、(A)は運搬台車の平面図であり、(B)は(A)において矢視VB-VBで示す側面から見た概念図である。
図6】第1実施形態に係る運搬台車の支柱部材及び支柱保持部の概略構成を説明する図であり、(A)は支柱部材が立設された状態を側面から見た図であり、(B)は(A)において矢視VIB-VIBで示す正面から見た縦断面図である。
図7】第1実施形態に係る差込みピン(係止部材)の概略構成を説明する概念図である。
図8】第1実施形態に係る運搬台車における支柱部材の動作の概略を説明する概念図であり、(A)は支柱部材が水平方向に傾動された状態を、(B)は支柱部材が立設された状態を、(C)は支柱部材を支柱保持部に収容する状態を、(D)は係合部に差込みピン(係止部材)を係合させた状態を示す図である。
図9】第1実施形態に係る運搬台車が重ね合わせて積載した状態の概略を説明する斜視図である。
図10】第1実施形態の第1変形例に係る運搬台車の概略構成を説明する正面から見た図である。
図11】第1実施形態の第2変形例に係る運搬台車の概略構成を説明する正面から見た図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る運搬台車の支柱部材及び支柱保持部の概略構成を説明する縦断面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
以下、図1から図9を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1図2は、本発明の第1実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する図であり、図1は、支柱部材を立設させた状態を示す斜視図であり、図2は、支柱部材を傾動させた状態を示す斜視図である。また、図3図4は運搬台車の概略構成を説明する側面図、正面図を示している。また、図5は、運搬台車の概略構成を説明する概略構成図であり、図5(A)は運搬台車の平面図であり、図5(B)は図5(A)において矢視VB-VBで示す側面から見た概念図である。また、図6は、支柱部材及び支柱保持部の概略構成を説明する図であり、図6(A)は支柱部材が立設された状態を側面から見た図であり、図6(B)は図6(A)において矢視VIB-VIBで示す正面から見た縦断面図である。また、図7は、差込みピン(係止部材)の概略構成を説明する概念図である。
【0034】
図において、符号100は運搬台車を、符号10は荷受台を、符号12は支柱保持部を、符号20は支柱部材を示している。また、符号10Aは荷受面(上面)を、符号10Bは荷受台の下面を、符号10Uはキャスター収容部を、符号13は支柱部材係止ボルト(突出部)を、符号14は支柱係止穴(第2穴)を、符号15は差込みピン(係止部材)を、符号17はキャスターを示している。また、符号22は長穴を、符号22Aは長穴の下端部(第1端、第1穴部)を、符号22Bは上端部(第2端)を示している。
【0035】
運搬台車100は、図1図5に示すように、例えば、荷受台10と、支柱保持部12と、差込みピン(係止部材)15と、キャスター17と、支持部材傾動ストッパ(傾動位置設定部)18と、支柱部材20とを備えている。
【0036】
また、運搬台車100は、係止支柱部材20を、支柱保持部12に挿入することにより支柱部材20を立設可能とされるとともに、支柱部材20を支柱保持部12から抜き出すことにより傾動可能とされている。
そして、立設した支柱部材20を手摺りにして、積載した荷物を、キャスター17によって運搬可能とされている。
【0037】
この実施形態において、キャスター17は、図1図3に示すように、例えば、荷受台10の前方側F、中央部、後方側Rの下面10Bの左右対称な位置に3対(合計6個)配置されている。
キャスター17は、例えば、自由輪キャスター171と、固定輪キャスター172とを備えている。
【0038】
自由輪キャスター171(17)は、例えば、車輪部17Aと、車輪支持部17Bとを備えている。
そして、車輪支持部17Bは、車輪部17Aを回転可能に支持するとともに、鉛直方向に形成された回転軸(不図示)の廻りに車輪部17Aを回動可能に構成されている。
また、自由輪キャスター171(17)は、荷受台10の前方側F、及び後方側Rに配置されている。
【0039】
固定輪キャスター172は、例えば、車輪部17Aと、車輪支持部17Cとを備えている。
そして、車輪支持部17Cは、車輪部17Aを回転可能に支持するとともに車輪部17Aを一定方向(前進、後退)のみに移動可能に保持する構成されている。
また、固定輪キャスター172(17)は、車輪部17Aを進行方向に向けて荷受台10の中央部に配置されている。
【0040】
なお、自由輪キャスター171と、固定輪キャスター172は、周知のものを適用することが可能である。
また、荷受台10における自由輪キャスター171、固定輪キャスター172の配置は任意に設定することが可能である。
【0041】
荷受台10は、例えば、厚さ(上下方向寸法)が60mmとされ、前後方向1000mm、幅方向寸法が600mmの平面視して矩形形状に形成されている。
また、荷受台10には、荷物を積載する荷受面(荷受台上面)10Aと下面10Bが形成されている。
【0042】
また、運搬台車100は、図4に示すように、例えば、支柱部材20を倒した場合に、支柱部材20の上側面20Aが荷受面(荷受台上面)10Aよりも低い位置に配置されるとともに、支柱部材20の下側面20Bが荷受台下面10Bよりも高い位置に配置されるように構成されている。
【0043】
具体的には、例えば、アルミニウム合金製の角材(例えば、60mm×60mm)により周囲の枠部材を形成し、枠部材の上には荷受面(上面)10Aをなすアルミニウム合金製板が溶接によって接合され、枠部材の下側には荷受台10の下面10Bをなすアルミニウム合金製板が溶接によって接合された構成とされている。
また、荷受台10の下面10Bは、例えば、枠部材よりも下側に位置される面とされている。
【0044】
また、この実施形態において、荷受台10には、例えば、キャスター収容部10U及びキャスター収容部10Vが形成されている。
キャスター収容部10Uは、例えば、荷受面(上面)10Aをなすアルミニウム合金製板に形成され平面視して四角形に開口する孔が、荷受台10の下面10Bをなすアルミニウム合金製板に到達する深さ(寸法)まで形成された凹部(空間)によって構成されている。
また、キャスター収容部10Uの前後方向長さ及び幅は、キャスター171(17)が前後方向を向いていなくても収容可能に形成されている。
【0045】
キャスター収容部10Vは、この実施形態において、図5(A)、図5(B)に示すように、例えば、荷受面(上面)10Aに開口しキャスター収容部10Uを構成する凹部と、この凹部の内方に配置されたキャスターガイド部材10Gとを備えている。
キャスターガイド部材10Gは、例えば、ガイド部材本体10Cと、ガイド部材本体10Cに形成されキャスター171(17)を収納可能に形成されたガイド凹部10Dとを備えている。
そして、キャスターガイド部材10Gのガイド凹部10Dに、固定輪キャスター172(17)を収容可能とされている。
【0046】
なお、キャスター収容部10U、10Vの構成は任意に設定することが可能であり、キャスター171、172(17)を収容可能な長さ、幅、深さ、キャスターの直径等が適合可能な範囲において、例えば、凹部、ガイド部材付き凹部、貫通孔等のいずれによって構成してもよい。
【0047】
支持部材傾動ストッパ(傾動位置設定部)18は、例えば、金属片により構成されていて、荷受台10の幅方向外方に突出して配置されている。
そして、支持部材傾動ストッパ(傾動位置設定部)18は、傾動された支柱部材20の自由端20F側を支持して、支柱部材20の姿勢、上側面20A及び下側面20Bのたかさを設定するように構成されている。
【0048】
支柱保持部12は、例えば、アルミニウム合金製の角材により構成され内方に挿入穴12Hが形成されていて、挿入穴12Hが上下方向に沿うように、荷受台10の前方側F及び後方側Rの側面に配置されている。
【0049】
また、支柱保持部12には、支柱保持部12に形成される支柱部材20が傾動されて倒される側(荷受台10の前号方向中央側)に凹部12Cが形成されていて、支柱部材20が傾動されるのを可能としている。
【0050】
また、支柱保持部12の下部には、図6に示すように、例えば、荷受台10の側面側に位置される角材において対向する壁部の双方に支柱係止穴(第2穴)14が形成されている。
また、支柱保持部12の上部には、例えば、角材において荷受台10の側面側に位置される対向する壁部に挿入穴12Hを跨ぐように支柱部材係止ボルト(突出部)13が配置されている。
【0051】
なお、突出部は支柱部材係止ボルト(突出部)13に限定されることなく、例えば、周知のボルト及びナットや他のピン部材によって構成することができる。
【0052】
支柱部材20は、図6に示すように、例えば、アルミニウム合金製の角材により構成されていて、支柱保持部12の挿入穴12Hに挿入可能とされている。
そして、支柱部材20は、支柱保持部12の挿入穴12Hに挿入されることで、荷受台10に対して立設されるようになっている。
【0053】
また、支柱部材20は、図6に示すように、例えば、角材の荷受台10の側面側に位置される対向壁部の双方に長手方向に沿って長穴22が形成されている。
長穴22は、図6に示すように、支柱部材自由端20F側が上端部(第2穴部)22Bとされ、支柱保持部12側が下端側(第1穴)22Aとされている。
【0054】
そして、支柱部材20は、対向する壁部の間を跨ぐように支柱部材係止ピン13が挿通され、長穴22の下端側(第1穴)22Aと上端部(第2穴部)22Bの間を支柱部材12の挿入穴12Hに沿って長穴22に案内されながら上下方向に移動する構成とされている。
【0055】
そして、支柱部材係止ピン13が下端側(第1端部)22Aと当接した場合に、支柱部材20は、支柱部材係止ピン13を支点として傾動することが可能とされている。
また、支柱部材係止ピン13が上端側(第2端部)22Bと当接した場合に、支柱部材20は支柱保持部12への挿入が完了するように構成されている。
【0056】
また、支柱部材20は支柱保持部12への挿入が完了して立設された状態で、長穴22の下端側(第1端部、第1穴部)22Aと支柱係止穴(第2穴)14とが重なり合って係合部を形成する構成とされている。
【0057】
また、長穴22の下端側(第1端部、第1穴部)22Aと支柱係止穴(第2穴)14とが重なり合って形成された係合部には、差込みピン(係止部材)15が挿入可能とされている。
そして、図6に示すように、係合部に差込みピン(係止部材)15が差込まれることで支柱保持部12と支柱部材20とが係止するようになっている。
【0058】
次に、図7を参照して、差込みピン(係止部材)の概略構成について説明する。
図7は、第1実施形態に係る差込みピン(係止部材)の概略構成を説明する概念図である。図において、符号15は差込みピン(係止部材)を、符号15Aは差込みピン本体を、符号15Aは差込みピン本体を、符号15Bは折曲がり部(係合維持部)を、符号15Cは回動軸を示している。
【0059】
差込みピン(係止部材)15は、図7に示すように、例えば、差込みピン本体15Aと、折曲がり部(係合維持部)15Bと、回動軸15Cとを備えている。
【0060】
差込みピン本体15Aは、一端側に屈曲部が形成された軸部材とされている。
折曲がり部(係合維持部)15Bは、軸部材からなり、回動軸15Cを介して差込みピン本体15Aの他端側に軸支されている。
【0061】
そして、差込みピン(係止部材)15は、図7に示すように、折曲がり部(係合維持部)15Bが、回動軸15C廻りに、矢印で示すように差込みピン本体15Aに対して回動可能とされている。
【0062】
次に、図8を参照して、支柱部材の動作の概略について説明する。
図8は、支柱部材の動作の概略を説明する概念図であり、図8(A)は支柱部材が水平方向に傾動された状態を、図8(B)は支柱部材が立設された状態を、図8(C)は支柱部材を支柱保持部に収容する状態を、図8(D)は係合部に差込みピン(係止部材)を係合させた状態を示す図である。なお、図8(A)~図8(D)において示す断面は、図7と同様である。
【0063】
(1)まず、図8(A)に示すように、傾動された支柱部材20を矢印で示すように立ち上がらせる。
【0064】
(2)次に、図8(B)に示すように、支柱部材20を挿入穴12Hが形成された方向に配置する。
【0065】
(3)次いで、図8(C)に示すように、支柱部材20を、矢印に沿って挿入穴12Hに挿入する。
【0066】
(4)そして、図8(D)に示すように、支柱部材20を、長穴22の上端部(第2端)22Bが支柱部材係止ボルト(突出部)13に突き当たるまで挿入穴12H内に挿入して、支柱部材係止ボルト13により長穴22の上端部22Bを支持させる。
これにより、支柱部材20は下降端まで挿入され、長穴22の下端部(第1端、第1穴部)22Aと、支柱保持部12の支柱係止穴(第2穴)14が重なり合って係合部を構成する。
【0067】
(5)そして、長穴22の下端部(第1端、第1穴部)22Aと、支柱保持部12の支柱係止穴(第2穴)14が重なり合って形成された係合部に、差込みピン(係止部材)15を挿入して、支柱部材20を支柱保持部12に対して係止する。
【0068】
(6)また、差込みピン(係止部材)15の折曲がり部(係合維持部)15Bを、差込みピン本体15Aに対して折り曲げて、差込みピン(係止部材)15が係合部から抜け落ちないようにする。
【0069】
次に、図9を参照して、キャスター収容部の作用について説明する。
図9は、第1実施形態に係る運搬台車が重ね合わせて積載した状態の概略を説明する斜視図である。
【0070】
運搬台車100は、図9に示すように、支柱部材20を傾動させて倒した状態にすることで、下側に位置される運搬台車10のキャスター収容部10U、及びキャスター収容部10Vに、他の(例えば、同タイプ)の運搬台車100の自由輪キャスター171、及び固定輪キャスター172を収容させることで、複数の運搬台車100を重ね合せて保管することが可能とされている。
【0071】
このとき、運搬台車100の中央部に位置される固定輪キャスター172が、キャスター収容部10Vのガイド凹部10Dによって、前後方向及び幅方向における所定範囲内に収容されるので、運搬台車100を安定して積載することができる。
【0072】
また、キャスター収容部10Uが自由輪キャスター171よりも大きな寸法で形成されているので、固定輪キャスター172をキャスター収容部10Vに収容する際に、自由輪キャスター171が荷受台10等に引っ掛かるのが抑制され、自由輪キャスター171を容易かつ効率的に収容させることができる。
【0073】
このようにして、支柱部材20を倒した状態にした運搬台車100は、上下方向に重ね合せて他の運搬台車100を積載することができる。
その結果、使用していない複数の運搬台車100が発生した場合に、運搬台車100を積載することで、運搬台車100の保管スペースを小さくすることができる。
【0074】
第1実施形態に係る運搬台車100によれば、支柱部材20が立設可能かつ傾動可能とされ、支柱部材20が支柱保持部12に係止されるように構成されているので、支柱部材20を引っ張り上げても抜けることがなく、例えば、キャスター17が路面の凹部に引っ掛かった場合に、支柱部材20を引っ張り上げて容易かつ効率的にキャスター17を凹部から抜き出させることができる。
また、支柱部材20が不意に支柱保持部12内に下降することがないので、安定して運搬作業を安定して行うことができる。
その結果、支柱部材を手に持って操作する場合に、運搬台車を安定して移動させることができる。
【0075】
また、運搬台車100によれば、差込みピン(係止部材)15を備えているので、簡単な構造により、差込みピン(係止部材)15を容易かつ効率的に係合部に係合させて支柱部材20を支柱保持部12に係止することができる。
【0076】
また、運搬台車100によれば、差込みピン(係止部材)15が、折曲がり部(係合維持部)15Bを備えているので、係合部に差込まれた差込みピン(係止部材)15が抜けて係止状態が解除されるのを抑制することができる。
その結果、運搬台車100による作業を安定的かつ安全に行うことができる。
【0077】
また、運搬台車100によれば、支柱部材20の傾動側停止位置を設定する支持部材傾動ストッパ(傾動位置設定部)18を備えているので、傾動された支柱部材20の自由端20F側を支持して、支柱部材20の上側面20A及び下側面20Bを所定の高さに位置させることができる。
【0078】
また、運搬台車100によれば、支柱部材20の自由端20F側が支持部材傾動ストッパ(傾動位置設定部)18に支持された状態で、支柱部材20の上側面20Aが荷受台10の荷受面10Aよりも下方に位置されるので、荷受台10に荷物を積載した場合に、支柱部材20に荷重が付加されて支柱部材20が損傷するのを抑制することができる。
【0079】
また、運搬台車100によれば、支柱部材20の下側面20Bが荷受台10の下面10Bよりも上方に位置されるので、例えば、フォークリフトのフォークを荷受台10の下方に差込んでも、支柱部材20に持ち上げる荷重が付加されて支柱部材20が損傷するのを抑制することができる。
【0080】
<第1実施形態(第1変形例)>
以下、図10を参照して、第1実施形態の第1変形例に係る運搬台車について説明する。
図10は、第1実施形態の第1変形例に係る運搬台車の概略構成を説明する正面から見た図である。
図10において、符号100Aは運搬台車を、符号12は支柱保持部を、符号20は支柱部材を、符号20Aは支柱部材を倒した状態における上側面を、符号20Bは支柱部材を倒した状態における下側面を示している。
【0081】
運搬台車100Aは、図10に示すように、例えば、荷受台10と、支柱保持部12と、キャスター(不図示)と、支柱部材20とを備えている。
運搬台車100Aは、例えば、支柱保持部12に形成される支柱部材20を傾動させて倒す側に形成される凹部(図6(A)に示す12C参照)の底部、及び支柱部材係止ボルト(突出部)13が、第1実施形態よりも低い位置に配置されている。
その他は、第1実施形態と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0082】
その結果、支柱部材20を倒した場合に、例えば、支柱部材20の上側面20Aが荷受面(荷受台上面)10Aよりも低く配置されるとともに、支柱部材20の下側面20Bが荷受台下面10Bと面一に配置されるように構成される。
【0083】
<第1実施形態(第2変形例)>
以下、図11を参照して、第1実施形態の第2変形例に係る運搬台車について説明する。
図11は、第1実施形態の第2変形例に係る運搬台車の概略構成を説明する正面から見た図である。
図11において、符号100Bは運搬台車を、符号12は支柱保持部を、符号20は支柱部材を、符号20Aは支柱部材を倒した状態における上側面を、符号20Bは支柱部材を倒した状態における下側面を示している。
【0084】
運搬台車100Bは、図11に示すように、例えば、荷受台10と、支柱保持部12と、キャスター(不図示)と、支柱部材20とを備えている。
運搬台車100Bは、例えば、支柱保持部12に形成される支柱部材20を傾動させて倒す側に形成される凹部(図6(A)に示す12C参照)の底部、及び支柱部材係止ボルト(突出部)13が、第1実施形態よりも高い位置に配置されている。
その他は、第1実施形態と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
その結果、支柱部材20を倒した場合に、例えば、支柱部材20の上側面20Aは荷受面(荷受台上面)10Aと面一に配置されるとともに、支柱部材20の下側面20Bは荷受台下面10Bよりも高い位置に配置されるように構成される。
【0086】
<第2実施形態>
以下、図12を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る運搬台車の支柱保持部の概略構成を説明する縦断面図である。
図12において、符号200は運搬台車を、符号212は支柱保持部を、符号220は支柱部材を、符号212Hは長穴を、符号212Aは長穴の上端部(第1端)を、符号212Bは長穴の下端部(第2端)を、符号224は支柱被係止穴(第1穴)を、符号213は支柱部材係止ピン(突出部)を、符号214は支柱係止穴(第2穴)を、符号30はプランジャ部材(係止部材)を、符号32は係止ピン(係止部)を示している。
【0087】
運搬台車200は、図12に示すように、例えば、荷受台(不図示)と、支柱保持部212と、プランジャ部材(係止部材)30と、キャスター(不図示)と、支柱部材220とを備えている。
運搬台車200は、第1実施形態における支柱保持部212、支柱部材20に代えて、支柱保持部212、支柱部材220とを備えた構成とされている。
【0088】
支柱保持部212は、上下方向に沿って、荷受台(不図示)の側面側に位置される対向する壁部に長穴212Hが形成されている。
長穴212Hには、上端部(第1端)212Aと、下端部(第2端)212Bが形成されている。
また、支柱保持部212の長穴212Hの上側には、支柱係止穴(第2穴)214が形成されている。
【0089】
支柱部材220は、例えば、荷受台(不図示)の側面側に位置される対向する壁部同士を跨いで、長穴212Hに係合可能な長さに設定され、わずかに外方に突出する支柱部材係止ピン(突出部)213が配置されている。
支柱部材係止ピン(突出部)213は、長穴212H内に挿入されて、長穴212Hと係合可能であれば任意のピン部材を適用することが可能である。
【0090】
そして、支柱部材220は、支柱部材係止ピン213が長穴212Hに係合して、長穴212Hに沿って支柱部材212内の挿入穴を上下方向に移動する構成とされている。
また、支柱部材220には、支柱部材220が立設された状態で、支柱係止穴(第2穴)214と重なり合う位置に支柱被係止穴(第1穴)224が形成されている。
【0091】
プランジャ部材(係止部材)30は、図12に示すように、例えば、コイルバネ(付勢部材)31と、係止ピン(係止部)32と、コイルバネ(付勢部材)31が格納されるケーシング33とを備えている。
【0092】
係止ピン(係止部)32の基端側は、ケーシング33の内径と対応して大径に形成されケーシング33を摺動可能とされている。
そして、コイルバネ(付勢部材)31の付勢力によって係止ピン(係止部)32が進退する構成とされている。
【0093】
また、係止ピン(係止部)32の先端側は、支柱保持部212に形成された支柱係止穴(第2穴)214に挿入されるとともに、支柱被係止穴(第1穴)224に向かって前進可能とされている。
【0094】
そして、支柱部材220が支柱保持部212に挿入されたときには、支柱部材220に形成された支柱被係止穴(第1穴)224と、支柱保持部212に係止ピン(係止部)32が前進して係合(例えば、挿入)され、支柱部材220を支柱保持部212に係止するようになっている。
その他は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0095】
第2実施形態に係る運搬台車200によれば、係止部材が、支柱部材220に形成された支柱被係止穴(第1穴)224に係合する係止ピン(係止部)32を備えたプランジャ部材30であるので、支柱部材220が支柱保持部212に挿入された際に、人手を介することなく、容易かつ効率的に支柱保持部212に支柱部材220を係止することができる。
なお、支柱部材220と支柱保持部212との係合は、人手によって解除する構成としてもよい。
【0096】
<第3実施形態>
以下、図13を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図13は、本発明の第3実施形態に係る運搬台車の概略構成を説明する平面図である。
図13において、符号300は運搬台車を、符号10は荷受台を、符号312は支柱保持部を、符号313は支柱部材係止ボルト(突出部)を、符号320は支柱部材を示している。
【0097】
運搬台車300は、図13に示すように、荷受台10と、支柱保持部312と、キャスター(不図示)と、支柱部材320とを備えている。
運搬台車300は、支柱保持部312が荷受台10の前方側Fの端部及び後方側Rの端部に、幅方向における中央寄りの途中位置に配置されている。
また、荷受台10には、長手方向に沿って、支柱部材320を格納する凹部(不図示)が形成されている。
【0098】
そして、支柱部材320は、支柱保持部312に挿入されて立設されるとともに、支柱保持部312から上方に抜き出すことにより傾動可能とされている。
その他は、第1実施形態、第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0099】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、支柱部材20の長手方向に沿って長穴22が形成され、支柱保持部12に支柱部材係止ボルト(突出部)13が配置されている場合について説明したが、支柱保持部12の上下方向に沿って長穴が形成され、支柱部材20に支柱部材係止ボルト(突出部)等が配置された構成としてもよい。
【0100】
また、上記実施形態においては、係合部材が、差込みピン(係止部材)15、プランジャ部材30により構成される場合について説明したが、それらに限定されることなく任意に設定することができる。
例えば、係合部材が駆動源により駆動するシリンダー(エアー、油圧駆動等)であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、差込みピン(係止部材)15が折曲がり部(係合維持部)15Bを備えている場合について説明したが、係合維持部については任意に設定することが可能であり、折曲がり部(係合維持部)15Bを備えない構成としてもよいし、他の係合維持部を備えていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、支柱部材係止ボルト(突出部)13、313が、支柱保持部12、312の対向する壁部を跨いで形成され、又は支柱部材係止ピン(突出部)213が支柱保持部212の対向する壁部の双方に形成された長穴212Hに係合する場合について説明したが、支柱保持部12、312、支柱保持部212の対向する壁部のいずれか一方のみと係合する構成としてもよい。
【0103】
また、上記実施形態においては、支柱部材20の上側面20Aが荷受台10の荷受面10Aと面一又は低い位置に配置され、下側面20Bが荷受台10の下面10Bと面一又は高い位置に配置される場合について説明したが、支柱部材20の上側面20Aと荷受台10の荷受面10A、及び支柱部材20の下側面20Bと荷受台10の下面10Bとの高方向における位置関係は任意に設定することができる。例えば、支柱部材20の上側面20Aが荷受台10の荷受面10Aより高い位置に配置されてもよいし、下側面20Bが荷受台10の下面10Bよりも低い位置に配置されてもよい。
【0104】
また、キャスター収容部の形状、大きさ、構成、配置等については、キャスター収容部10U、キャスター収容部10Vに限定されず任意に設定することが可能であり、キャスター収容部を凹部、ガイド部材を備えた構成、貫通孔としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る運搬台車によれば、安定的かつ効率的に運搬作業することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
10 荷受台
10A 荷受面(荷受台上面)
10B 荷受台下面
10U、10V キャスター収容部
12、212、312 支柱保持部
12C 凹部
12H 挿入穴
13、313 支柱部材係止ボルト(突出部)
14 支柱係止穴(第2穴)
15 差込みピン(係止部材)
15A 差込みピン本体
15B 折曲がり部(係合維持部)
17 キャスター
171 自由輪キャスター
172 固定輪キャスター
17A 車輪(キャスター)
17B、17C 車輪支持部(キャスター)
18 支持部材傾動ストッパ(傾動位置設定部)
20 支柱部材
20A 支持部上側面(傾動状態)
20B 支持部下側面(傾動状態)
20F 支柱部材自由端
22 長穴
22A 長穴の下端部(第1端、第1穴部)
22B 長穴の上端部(第2端)
30 プランジャ部材(係止部材)
31 コイルバネ(付勢部材)
32 係止ピン(係止部)
212 支柱保持部
212H 長穴
212A 長穴の上端部(第1端)
212B 長穴の上端部(第2端)
213 支柱部材係止ピン(突出部)
214 支柱係止穴(第2穴)
220 支柱部材
224 支柱被係止穴(第1穴)
100、100A、100B、200、300 運搬台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13