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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】農業用被覆材の巻き取り装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20230620BHJP
   A01G 13/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A01G13/02 Z
A01G13/00 302B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020002272
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021108569
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】591070990
【氏名又は名称】本田農機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒原 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】堀江 文治
(72)【発明者】
【氏名】萩原 智恵
(72)【発明者】
【氏名】本田 吉一
(72)【発明者】
【氏名】新敷 謙一
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-245250(JP,A)
【文献】特開2008-247610(JP,A)
【文献】実開平03-031178(JP,U)
【文献】特開2002-284453(JP,A)
【文献】特開2002-284403(JP,A)
【文献】特開2010-143755(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2046254(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00 - 13/02
B65H 18/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業用被覆材が巻回されるロール体を水平に支持する支持軸と、
前記支持軸を前記ロール体の軸心回りに回転させる回転駆動機構と、
前記農業用被覆材を前記ロール体に未だ巻回されていない部分にて支持する支持部と、
を備え、
前記支持部は、前記ロール体と離間して配置され且つ前記農業用被覆材に当接する軸体と、前記軸体の軸心方向を変更可能な変更機構と、を有し、
前記変更機構は、前記軸体の一端部が取り付けられた可動部材と、前記可動部材を移動させる移動機構と、を有し、
前記軸体の他端部は、前記移動機構による移動が不能な不動部材に取り付けられており、
前記移動機構は、操作レバーと、前記可動部材と前記操作レバーとを連携する連携部材とを有し、
前記操作レバーは、第1操作レバーと第2操作レバーを含み、
前記第1操作レバーと前記第2操作レバーは、前記軸体を挟んで互いに反対側に配置されているとともに、連動して同じ方向に揺動する農業用被覆材の巻き取り装置。
【請求項2】
前記変更機構は、前記軸体を前記ロール体と平行な第1姿勢と非平行な第2姿勢とに変更可能である請求項1に記載の農業用被覆材の巻き取り装置。
【請求項3】
前記軸体は、第1軸体と、前記第1軸体との間で前記農業用被覆材を挟持する第2軸体とを含む請求項1又は2に記載の農業用被覆材の巻き取り装置。
【請求項4】
前記軸体は、前記ロール体と前記第1軸体との間で前記農業用被覆材に当接する第3軸体を含む請求項3に記載の農業用被覆材の巻き取り装置。
【請求項5】
前記軸体は、前記ロール体の下方に配置され、
前記移動機構は、前記可動部材を前記ロール体の軸心方向と直交する水平方向に移動させる請求項1~4のいずれか1項に記載の農業用被覆材の巻き取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用反射シート等の農業用被覆材の巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された農業用被覆材(農業用覆いフィルム)の巻き取り装置が知られている。
特許文献1に開示された農業用被覆材の巻き取り装置は、台座部材と、ハンドル付き操作軸と、芯管とを備えている。この巻き取り装置は、ハンドル付き操作軸を操作して芯管を回転させることによって、芯管に農業用被覆材を巻き取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3034343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記巻き取り装置では、芯管に農業用被覆材を巻き取っているときに、農業用被覆材が芯管の軸方向の一方側又は他方側にずれてしまうことがあり、農業用被覆材を真っ直ぐに綺麗に巻き取ることが難しかった。
本発明は、このような実情に鑑みて、農業用被覆材を真っ直ぐに綺麗に巻き取ることができる農業用被覆材の巻き取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
本発明の一態様に係る農業用被覆材の巻き取り装置は、農業用被覆材が巻回されるロール体を水平に支持する支持軸と、前記支持軸を前記ロール体の軸心回りに回転させる回転駆動機構と、前記農業用被覆材を前記ロール体に未だ巻回されていない部分にて支持する支持部と、を備え、前記支持部は、前記ロール体と離間して配置され且つ前記農業用被覆材に当接する軸体と、前記軸体の軸心方向を変更可能な変更機構と、を有し、前記変更機構は、前記軸体の一端部が取り付けられた可動部材と、前記可動部材を移動させる移動機構と、を有し、前記軸体の他端部は、前記移動機構による移動が不能な不動部材に取り付けられており、前記移動機構は、操作レバーと、前記可動部材と前記操作レバーとを連携する連携部材とを有し、前記操作レバーは、第1操作レバーと第2操作レバーを含み、前記第1操作レバーと前記第2操作レバーは、前記軸体を挟んで互いに反対側に配置されているとともに、連動して同じ方向に揺動する。
【0006】
好ましくは、前記変更機構は、前記軸体を前記ロール体と平行な第1姿勢と非平行な第2姿勢とに変更可能である。
好ましくは、前記軸体は、第1軸体と、前記第1軸体との間で前記農業用被覆材を挟持する第2軸体とを含む。
好ましくは、前記軸体は、前記ロール体と前記第1軸体との間で前記農業用被覆材に当接する第3軸体を含む。
【0007】
好ましくは、前記軸体は、前記ロール体の下方に配置され、前記移動機構は、前記可動部材を前記ロール体の軸心方向と直交する水平方向に移動させる。
【発明の効果】
【0009】
上記した農業用被覆材の巻き取り装置によれば、巻き取り作業の最中に農業用被覆材がロール体の軸方向の一方側又は他方側にずれたときには、軸体の軸心方向を変更することによってズレを修正することが可能となり、農業用被覆材を真っ直ぐに綺麗にロール体に巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】農業用被覆材の巻き取り装置を示す斜視図である。
図2】軸体、可動部材等を幅方向他方側の上方から見た図である。
図3】軸体、不動部材等を幅方向他方側の上方から見た図である。
図4】支持部等の構成を示す図である。
図5】(a)は操作レバーを幅方向一方側に揺動させた状態を示す図、(b)は操作レバーを幅方向他方側に揺動させた状態を示す図である。
図6】軸体、可動部材、不動部材等を幅方向一方側から見た図である。
図7】軸体、可動部材、不動部材等を上方から見た平面図である。
図8】軸体と可動部材の動きを示す平面図である。
図9】軸体を幅方向一方側に移動し、軸体を第1姿勢から第2姿勢に変更する様子を示す図である。
図10】軸体を幅方向他方側に移動し、軸体を第1姿勢から第2姿勢に変更する様子を示す図である。
図11】農業用被覆材の巻き取り装置を示す斜視図であって、機枠を第1の向きとした状態を示している。
図12】農業用被覆材の巻き取り装置を示す側面図であって、機枠を第1の向きとした状態を示している。
図13】農業用被覆材の巻き取り装置を示す平面図であって、機枠を第1の向きとした状態を示している。
図14図13の部分拡大図である。
図15】農業用被覆材の巻き取り装置を示す平面図であって、機枠を第2の向きとした状態を示している。
図16】農業用被覆材の巻き取り装置を示す斜視図であって、機枠を第1の向きとして短縮した状態を示している。
図17】農業用被覆材の巻き取り装置を示す斜視図であって、機枠を第2の向きとした状態を示している。
図18】農業用被覆材の巻き取り装置を使用してシートを敷設している状態を示す斜視図である。
図19】第2動力伝達機構の構成を示す図であって、(a)は支持軸への原動機の回転駆動力の伝達を許容する接続状態を示しており、(b)は支持軸への原動機の回転駆動力の伝達を遮断する遮断状態を示している。
図20】農業用被覆材の巻き取り装置を走行車両の後部に連結した状態を示す側面図である。
図21】農業用被覆材の巻き取り装置を走行車両の後部に連結した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る農業用被覆材S1の巻き取り装置1の全体構成を示している。
農業用被覆材S1は、圃場の地面を被覆するように地面上に敷設されるシート等である
。具体的には、農業用被覆材S1は、例えば、果樹園の地面を被覆するように敷設される反射シートである。この反射シートは、太陽光を反射することによって果実の色付きを向上させるために使用されるシートであって、例えば、合成樹脂製フィルムの表面にアルミニウム層を設けて構成されたシートである。農業用被覆材S1が使用される果実としては、例えば、りんご、さくらんぼ、ぶどう等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0012】
また、農業用被覆材S1は、栽培施設の屋根や骨組みを被覆するシートであってもよい。具体的には、農業用被覆材S1は、例えば、ビニールハウスの骨組みを被覆するビニールシート等の合成樹脂製シートであってもよい。また、農業用被覆材S1は、ネットであってもよい。具体的には、農業用被覆材S1は、例えば、圃場の地面上を被覆するネットや、栽培施設の屋根や骨組みを被覆するネットであってもよい。
【0013】
農業用被覆材S1は、シートである場合、多数の小孔を有するものであってもよいし、無孔のものであってもよい。農業用被覆材S1が多数の小孔を有するものである場合、敷設時や巻き取り時において風の影響(風によってシートが浮き上がる等の現象)を緩和することができる。
図1に示すように、巻き取り装置1は、台車2、支持軸3、機枠4、支持部5を備えている。以下、説明の便宜上、図1における矢印Xで示す方向を機枠幅方向、矢印X1で示す方向を幅方向一方側、矢印X2で示す方向を幅方向他方側という。
【0014】
台車2は、後述する走行車両12に連結されることによって、巻き取り装置1を移動可能とする。支持軸3は、農業用被覆材S1が巻回されるロール体13を支持する。機枠4は、台車2上に搭載される枠体であって、後述する原動機20等が載置される。支持部5は、農業用被覆材S1をロール体13に未だ巻回されていない部分にて支持する。
以下、巻き取り装置1の各構成要素について詳しく説明する。
【0015】
先ず、巻き取り装置1の構成のうち、農業用被覆材S1を支持する支持軸3及び支持部5の構成について説明する。
支持軸3は、農業用被覆材S1が巻回されるロール体13を水平(地面と平行)に支持する。ロール体13は、円筒体であって、表面(外周面)に農業用被覆材S1が巻き付けられる。ロール体13は、軸心回りの一方(図1の矢印E1方向)に回転することによって、農業用被覆材S1を巻き取ることができる。また、ロール体13は、軸心回りの他方(図1の矢印E2方向)に回転することによって、農業用被覆材S1を繰り出すことができる。支持軸3の回転は、後述する回転駆動機構によって行われる。
【0016】
図1に示すように、支持軸3は、第1支持軸3Aと第2支持軸3Bとを含む。第1支持軸3Aは、ロール体13の一端側に挿入されて当該一端側を支持する。第2支持軸3Bは、ロール体13の他端側に挿入されて当該他端側を支持する。第1支持軸3Aと第2支持軸3Bとは、距離を隔てて配置されている。第1支持軸3Aの軸心と第2支持軸3Bの軸心は、直線状の同一軸線L1上に配置されている。以下、軸線L1に沿う方向を「支持軸3の軸心方向」という。支持軸3の軸心方向は、支持軸3に支持されたロール体13の軸心方向と同じである。また、支持軸3の軸心方向であって且つ第1支持軸3A側から第2支持軸3B側に向かう方向(矢印C1方向)を「第1軸心方向」、支持軸3の軸心方向であって且つ第2支持軸3B側から第1支持軸3A側に向かう方向(矢印C2方向)を「第2軸心方向」という。
【0017】
第1支持軸3Aは、台車2上に配置された第1支持体14に支持されている。第2支持軸3Bは、台車2から離れた位置に配置された第2支持体15に支持されている。第1支持体14及び第2支持体15の構成については後述する。
図1図4等に示すように、支持部5は、ロール体13と離間して配置され且つ農業用
被覆材S1に当接する軸体70と、軸体70の軸心方向を変更可能な変更機構80と、を有している。
【0018】
軸体70は、ロール体13の下方(支持軸3の下方)に配置されている。軸体70は、ロール体13及び支持軸3と上下方向において離間している。軸体70は、第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73を含む。第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73は、互いに平行に配置されている。第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73は、農業用被覆材S1の巻き取り時又は繰り出し時において、それぞれ軸心回りに回転可能である。
【0019】
第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73は、円筒状に形成されている。本実施形態の場合、第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73は、同じ形状(直径及び長さが同じ)であるが、いずれかの軸体(例えば第3軸体73)の直径が異なっていてもよい。
図6図7に示すように、第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73の軸心方向の一端側は、それぞれ一方軸74A、74B、74Cにより支持されている。第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73の他端側は、それぞれ他方軸75A、75B、75Cより支持されている。一方軸74A、74B、74Cは、それぞれ第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73の軸心方向の一端側に挿入されている。他方軸75A、75B、75Cは、それぞれ第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73の軸心方向の他端側に挿入されている。一方軸74A、74B、74Cは、機枠幅方向Xに移動可能な可動部材81に取り付けられている。他方軸75A、75B、75Cは、機枠幅方向Xに移動不能な不動部材82に取り付けられている。可動部材81は、後述する移動機構100による移動が可能な部材である。不動部材82は、移動機構100による移動が不能な部材である。
【0020】
図4等に示すように、第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73は、軸体70の軸心方向から見て三角形状に配置されている。第1軸体71と第2軸体72とは、同じ高さに配置されている。機枠幅方向Xにおいて、第3軸体73の中心は、第1軸体71の中心と第2軸体72の中心との中間位置に配置されている。第1軸体71と第2軸体72とは、近接して配置されている。第1軸体71と第2軸体72との間に農業用被覆材S1を挟持することができる。第3軸体73は、第1軸体71及び第2軸体72よりも上方に配置されている。第3軸体73は、第1軸体71及び第2軸体72と離間している。第1軸体71及び第2軸体72と第3軸体73との間の上下方向の距離は、少なくとも第3軸体73の直径以上の距離に設定することが好ましい。第3軸体73は、ロール体13と第1軸体71との間で農業用被覆材S1に当接する。第3軸体73は、外周面が農業用被覆材S1の表面に当接する。第3軸体73は、農業用被覆材S1にテンションを付与することができる。
【0021】
変更機構80は、軸体70をロール体13と平行な第1姿勢と非平行な第2姿勢とに変更可能である。図4等に示すように、変更機構80は、可動部材81と、可動部材81を移動させる移動機構100とを有している。可動部材81には、第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73の一端部が取り付けられている。具体的には、第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73の一端部は、可動部材81に取り付けられた一方軸74A、74B、74Cに支持されている(図4図6図7参照)。第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73は、可動部材81に移動に伴って一体的に移動する。
【0022】
可動部材81には、回転体84が取り付けられている。本実施形態の場合、回転体84はローラベアリングである。回転体84を構成するローラベアリングは、内輪が可動部材81に取り付けられた支軸85に篏合され、外輪が支軸85回りに回転可能である。支軸85は、当該支軸85に支持された軸体70と略平行に延びている。支軸85の外周面と軸体70の内周面との間にはクリアランスが設けられている。図2図4に示すように、回転体84は、第1回転体84Aと第2回転体84Bとを含む。第1回転体84Aと第2
回転体84Bとは、軸体70と直交する水平方向(機枠幅方向X)に間隔をあけて配置されている。
【0023】
図2図4に示すように、回転体84は、第1支持体14に固定されたガイド材86上に配置されている。回転体84は、外周面がガイド材86の上面86aに当接しながら回転(転動)する。ガイド材86は、軸体70と直交する水平方向に延びている。ガイド材86は、上面86aよりも上方に延びる起立部86bを有している。起立部86bは、軸体70側の縁に沿って設けられており、上方に向けて立ち上がっている。起立部86bは、回転体84の移動を案内するとともに、回転体84がガイド材86から脱落することを防止する。
【0024】
移動機構100は、可動部材81をロール体13と直交する水平方向、即ち、軸線L1と直交する水平方向(機枠幅方向X)に移動させる。図4に示すように、移動機構100は、操作レバー101と、可動部材81と操作レバー101とを連携する連携部材102とを有している。操作レバー101は、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bとを含む。第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bは、軸体70を挟んで互いに反対側に配置されている。つまり、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bとの間に軸体70が配置されている。
【0025】
第1操作レバー101A及び第2操作レバー101Bは、機枠4に取り付けられており、機枠幅方向Xに揺動可能である。第1操作レバー101Aは、機枠4の幅方向一方側に取り付けられている。具体的には、第1操作レバー101Aは、機枠4の第1フレーム材41の幅方向一方側に取り付けられている。第2操作レバー101Bは、機枠4の幅方向他方側に取り付けられている。具体的には、第2操作レバー101Bは、機枠4の第2フレーム材42の幅方向一方側に取り付けられている。機枠4の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0026】
図5(a)(b)に示すように、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bは、連動して同じ方向に揺動する。具体的には、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bのいずれか一方のレバーを幅方向一方側(図4の矢印F1方向)に揺動すると、いずれか他方のレバーも幅方向一方側に揺動する。第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bのいずれか一方のレバーを幅方向他方側(図4の矢印F2方向)に揺動すると、いずれか他方のレバーも幅方向他方側に揺動する。この第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bの連動は、以下に説明する連携部材102により実現される。
【0027】
図4に示すように、連携部材102は、第1連結部材103A、第2連結部材103B、第1挿通部材104A、第2挿通部材104Bを有している。
第1連結部材103Aは、第1操作レバー101Aと可動部材81とを連結している。第1連結部材103Aは、一端側が第1操作レバー101Aに設けられた第1係止孔105に係止され、他端側が可動部材81の幅方向一方側に設けられた第2係止孔106に係止されている。第2連結部材103Bは、第2操作レバー101Bと可動部材81とを連結している。第2連結部材103Bは、一端側が第2操作レバー101Bに設けられた第3係止孔107に係止され、他端側が可動部材81の幅方向他方側に設けられた第4係止孔108に係止されている。
【0028】
第1挿通部材104Aは、第1連結部材103Aの下方に配置されている。第1挿通部材104Aは、一端側が第1操作レバー101Aに設けられた第5係止孔111に係止されている。第1挿通部材104Aの他端側は、機枠4の下部(第4フレーム材44)に固定された固定体109に挿通されている。
第2挿通部材104Bは、第2連結部材103Bの下方に配置されている。第2挿通部
材104Bは、一端側が第2操作レバー101Bに設けられた第6係止孔112に係止されている。第2挿通部材104Bの他端側は、固定体109に挿通されている。
【0029】
固定体109は、第1挿通部材104Aが挿通される第1挿通孔109aと、第2挿通部材104Bが挿通される第2挿通孔109bと、を有している。第1挿通部材104Aは、幅方向一方側から第1挿通孔109aに挿通されている。第2挿通部材104Bは、幅方向他方側から第2挿通孔109bに挿通されている。
以下、移動機構100の作用(動作)について説明する。
【0030】
先ず、第1操作レバー101Aを揺動した場合について説明する。
図4に示す状態から第1操作レバー101Aを幅方向一方側(図4の矢印F1方向)に揺動すると、第1連結部材103Aが幅方向一方側に引っ張られ、可動部材81が幅方向一方側(図4の矢印H1方向)に移動する。このとき、回転体84がガイド材86の上面に当接しながら回転(転動)するため、可動部材81の移動が円滑に行われる。
【0031】
可動部材81が幅方向一方側に移動すると、第2連結部材103Bが幅方向一方側に引っ張られるため、第2操作レバー101Bが幅方向一方側(図4の矢印F1方向)に揺動する。つまり、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bとは連動して同じ方向(幅方向一方側)に揺動する。
また、第1操作レバー101Aを幅方向一方側に揺動すると、第1挿通部材104Aが幅方向一方側に引っ張られる。そのため、第1挿通部材104Aは、第1挿通孔109aを通りながら幅方向一方側(図4の矢印J1方向)に移動する。また、第2操作レバー101Bが第1操作レバー101Aと連動して幅方向一方側に揺動することにより、第2挿通部材104Bは、第2挿通孔109bを通りながら幅方向一方側に移動する。
【0032】
上記の通り、第1操作レバー101Aを幅方向一方側に揺動すると、可動部材81が幅方向一方側に移動し、第2操作レバー101Bが幅方向一方側に揺動する。図5(a)は、第1操作レバー101Aを幅方向一方側に揺動した後の状態を示している。また、図示していないが、第1操作レバー101Aを幅方向他方側(図4の矢印F2方向)に揺動すると、可動部材81が幅方向他方側に移動し、第2操作レバー101Bが幅方向他方側に揺動する。
【0033】
次に、第2操作レバー101Bを揺動した場合について説明する。
図4に示す状態から第2操作レバー101Bを幅方向他方側(図4の矢印F2方向)に揺動すると、第2連結部材103Bが幅方向他方側に引っ張られ、可動部材81が幅方向他方側(図4の矢印H2方向)に移動する。このとき、回転体84がガイド材86の上面に当接しながら回転(転動)するため、可動部材81の移動が円滑に行われる。
【0034】
可動部材81が幅方向他方側に移動すると、第1連結部材103Aが幅方向他方側に引っ張られるため、第1操作レバー101Aも幅方向他方側(図4の矢印F2方向)に揺動する。つまり、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bとは連動して同じ方向(幅方向他方側)に揺動する。
また、第2操作レバー101Bを幅方向他方側に揺動すると、第2挿通部材104Bが幅方向他方側に引っ張られる。そのため、第2挿通部材104Bは、第2挿通孔109bを通りながら幅方向他方側(図4の矢印J2方向)に移動する。また、第1操作レバー101Aが第2操作レバー101Bと連動して幅方向他方側に揺動することにより、第1挿通部材104Aは、第1挿通孔109aを通りながら幅方向他方側に移動する。
【0035】
上記の通り、第2操作レバー101Bを幅方向他方側に揺動すると、可動部材81が幅方向他方側に移動し、第1操作レバー101Aが幅方向他方側に揺動する。図5(b)は
、第2操作レバー101Bを幅方向他方側に揺動した後の状態を示している。また、図示していないが、第2操作レバー101Bを幅方向一方側(図4の矢印F1方向)に揺動すると、可動部材81が幅方向一方側に移動し、第1操作レバー101Aが幅方向一方側に揺動する。
【0036】
以上の通り、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bのいずれか一方を幅方向一方側に揺動することによって、可動部材81を幅方向一方側に移動させることができる。また、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bのいずれか一方を幅方向他方側に揺動することによって、可動部材81を幅方向他方側に移動させることができる。そのため、作業者は、可動部材81をいずれの方向に移動させる場合であっても、自分が操作しやすい側にある操作レバー(第1操作レバー101A又は第2操作レバー101B)を選択して操作することができ、操作性に優れている。
【0037】
図5(a)に示すように、可動部材81が幅方向一方側(矢印X1方向)に移動すると、可動部材81と共に、軸体70(第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73)が幅方向一方側に移動する。このとき、図8の矢印X1に示すように、軸体70は、可動部材81に取り付けられた軸心方向の一端側のみが幅方向一方側に移動し、不動部材82に取り付けられた軸心方向の他端側は移動しない。そのため、軸体70は、ロール体13と平行な第1姿勢P1から非平行な第2姿勢P21に変更される。
【0038】
一方、図5(b)に示すように、可動部材81が幅方向他方側(矢印X2方向)に移動すると、可動部材81と共に軸体70(第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73)が幅方向他方側に移動する。このとき、図8の矢印X2に示すように、軸体70は、可動部材81に取り付けられた軸心方向の一端側のみが幅方向他方側に移動し、不動部材82に取り付けられた軸心方向の他端側は移動しない。そのため、軸体70は、ロール体13と平行な第1姿勢P1から非平行な第2姿勢P22に変更される。
【0039】
尚、図8では、軸体70のうち第3軸体73のみを図示しているが、第1軸体71及び第2軸体72も第3軸体73と同様に移動する。また、図8において、ロール体13は、第1姿勢P1の第3軸体73の上方に重なる位置にある。
上記したように、変更機構80によれば、第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを操作することによって、軸体70をロール体13と平行な第1姿勢P1と非平行な第2姿勢P21,P22とに変更可能である。
【0040】
図9に示すように、軸体70(第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73)の軸心方向の一端側が幅方向一方側(矢印X1方向)に移動し、軸体70が実線で示す第1姿勢P1から仮想線で示す第2姿勢P21に変更されると、ロール体13に対する軸体70の向き(角度)が変わる。そのため、ロール体13に農業用被覆材S1を巻き取っている最中に、軸体70が第1姿勢P1から第2姿勢P21に変更されると、ロール体13に向かう(これから巻き取られる)農業用被覆材S1の向きが実線で示す位置から仮想線で示す位置に変化する。その結果、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1の位置が第2軸心方向C2に移動する。
【0041】
図10に示すように、軸体70(第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73)の軸心方向の一端側が幅方向他方側(矢印X2方向)に移動し、軸体70が実線で示す第1姿勢P1から仮想線で示す第2姿勢P22に変更されると、ロール体13に対する軸体70の向き(角度)が変わる。そのため、ロール体13に農業用被覆材S1を巻き取っている最中に、軸体70が第1姿勢P1から第2姿勢P22に変更されると、ロール体13に向かう(これから巻き取られる)農業用被覆材S1の向きが実線で示す位置から仮想線で示す位置に変化する。その結果、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1の位置が第1
軸心方向C1に移動する。
【0042】
従って、変更機構80によれば、第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを幅方向一方側に揺動することによって、軸体70を第1姿勢P1から第2姿勢P21に変更し、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1の位置を第2軸心方向C2に移動させることができる。また、第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを幅方向他方側に揺動することによって、軸体70を第1姿勢P1から第2姿勢P22に変更し、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1の位置を第1軸心方向C1に移動させることができる。
【0043】
そのため、農業用被覆材S1の巻き取り作業の最中において、農業用被覆材S1が第1軸心方向C1にズレて(片寄って)巻かれ始めたときには第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを幅方向一方側に揺動することで、農業用被覆材S1をズレが解消する方向(第2軸心方向C2)に移動させることができる。また、農業用被覆材S1が第2軸心方向C2にズレて(片寄って)巻かれ始めたときには第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを幅方向他方側に揺動することで、農業用被覆材S1をズレが解消する方向(第1軸心方向C1)に移動させることができる。その結果、農業用被覆材S1がロール体13の軸心方向の一方側又は他方側にずれて巻き取られることが防がれ、農業用被覆材S1を真っ直ぐに綺麗にロール体13に巻き取ることができる。
【0044】
また、変更機構80によれば、第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを揺動して、軸体70を第1姿勢P1から第2姿勢P21又は第2姿勢P22に変更することにより、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1のテンションを調整することもできる。これにより、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1に皺が生じることを防止できる。
【0045】
また、農業用被覆材S1がロール体13に巻き取られる前に第1軸体71と第2軸体72との間を通過することによって、農業用被覆材S1の表面に付着したゴミや汚れを落とすことができる。さらに、農業用被覆材S1がロール体13に巻き取られる前に、第3軸体73によって農業用被覆材S1にテンションが付与されるため、農業用被覆材S1に皺や弛みが生じることを防止できる。
【0046】
上述したように、本実施形態の場合、変更機構80は、軸体70をロール体13と平行な第1姿勢と非平行な第2姿勢とに変更可能である。但し、変更機構80は、軸体70をロール体13と非平行な姿勢から平行な姿勢に変更可能であってもよい。また、変更機構80は、軸体70をロール体13と非平行な姿勢から当該姿勢とは異なる非平行な姿勢とに変更可能であってもよい。また、本実施形態の場合、移動機構100は、可動部材81を水平方向に移動させるように構成されているが、水平方向とは異なる方向に移動させるように構成されていてもよい。また、本実施形態の場合、軸体70は、ロール体13の下方に配置されているが、ロール体13に対して他の方向に配置されていてもよい。また、本実施形態の場合、軸体70は、3本の軸体(第1軸体71、第2軸体72、第3軸体73)から構成されているが、2本又は4本以上の軸体から構成されていてもよい。
【0047】
図1図4に示すように、巻き取り装置1は切換部110を備えている。切換部110は、支持軸3をロール体13の軸心回りに回転させる回転駆動機構の駆動と停止とを切り換え可能である。本実施形態の場合、切換部110は、押圧操作具であって、押圧したときに回転駆動機構を駆動させ、押圧を解除したときに回転駆動機構を停止させる。従って、切換部110を押圧しているときのみ支持軸3が回転して農業用被覆材S1がロール体13に巻き取られる。また、切換部110の押圧をやめると、支持軸3が停止して農業用被覆材S1のロール体13への巻き取りが停止される。そのため、農業用被覆材S1のロ
ール体13への巻き取り作業の最中に不具合が発生した場合には、切換部110から手を離すことによって、速やかに巻き取りを停止することができる。
【0048】
切換部110は、第1支持体14の上部に設けられている。切換部110は、第1操作レバー101A側と第2操作レバー101B側の両方に設けられている。そのため、作業者は、第1操作レバー101Aを操作しながら切換部110を操作することもできるし、第2操作レバー101Bを操作しながら切換部110を操作することもできる。
切換部110は、押圧操作具でなく、回転操作具や切換スイッチであってもよい。また、切換部110は、第1支持体14の側方や下方に設けられていてもよい。
【0049】
次に、主に図11図21を参照して、巻き取り装置1の構成のうち、上述した支持軸3、支持部5、切換部110以外の構成について説明する。尚、図11図21では、支持軸3、支持部5、切換部110の図示は、一部を除いて省略している。また、支持軸3、支持部5、切換部110以外の構成について、図1図10に示した構成と図11図21に示した構成は一部異なる点があるが、いずれの構成を採用してもよい。
【0050】
以下、説明の便宜上、図12図13における矢印A1で示す方向を前方、矢印A2で示す方向を後方、矢印B1で示す方向を右方、矢印B2で示す方向を左方という。
台車2は、台座6、車輪7、連結部8を有している。
台座6は、枠体9と上板10とを有している。台座6は、平面視にて長方形状である。
枠体9は、平面視にて長方形の枠体である。枠体9は、左枠材9L、右枠材9R、前枠材9F、後枠材9Bから構成されている。左枠材9Lは、台座6の左縁を構成しており、前後方向に延びている。右枠材9Rは、台座6の右縁を構成しており、前後方向に延びている。前枠材9Fは、台座6の前縁を構成しており、左枠材9Lの前端部と右枠材9Rの前端部とを接続している。後枠材9Bは、台座6の後縁を構成しており、左枠材9Lの後端部と右枠材9Rの後端部とを接続している。
【0051】
上板10は、平面視にて長方形の板であって、枠体9の上面を覆うように固定されている。上板10は、多数の小孔を有する多孔板から構成されている。本実施形態の場合、上板10は、多数のメッシュ孔を有するメッシュ板から構成されている。台座6には、車輪7が取り付けられている。車輪7は、左車輪7Lと右車輪7Rとを含む。左車輪7Lは、左ブラケット11Lを介して左枠材9Lに取り付けられている。右車輪7Rは、右ブラケット11Rを介して右枠材9Rに取り付けられている。本実施形態では、車輪7は2つであるが、3つ以上(例えば、3つ又は4つ)であってもよい。車輪7は、地面に当接して回転する。車輪7が地面に当接して回転することによって、台車2は前方又は後方に移動することができる。
【0052】
連結部8は、走行車両12に対して連結可能な部分である。図12図13に示すように、台車2は、連結部8を介して走行車両12の後部に着脱可能に連結される。連結部8は、台座6の枠体9の前部から前方に突出して設けられている。連結部8は、左部位8L、右部位8R、前部位8Fを有している。左部位8Lは、枠体9の左前部から右前方に延びている。右部位8Rは、枠体9の右前部から左前方に延びている。前部位8Fは、左部位8Lの前部と右部位8Rの前部との間に挟まれて固定されており、固定された部分から前方に延びている。前部位8Fの前部には、連結片8Aが設けられている。連結片8Aは、ピン64によって後述する走行車両12の連結板63に対して連結される。
【0053】
図11図15等に示すように、機枠4は、下フレーム4Dと上フレーム4Uとを有している。下フレーム4Dは、回転支持機構16を介して台車2上に搭載されている。回転支持機構16は、機枠4を台車2に対して上下方向に延びる縦軸心Z1回りに回転可能に支持する機構である。回転支持機構16としては、例えば、ターンテーブルが使用される
【0054】
本実施形態の場合、図12図14に示すように、回転支持機構16は、固定板16aと回転板16bとを有している。固定板16aは、台車2の上板10に固定されている。回転板16bは、固定板16aに対して上下方向に延びる縦軸心Z1回りに回転可能に設けられている。下フレーム4Dは、回転支持機構16の回転板16b上に固定されている。これにより、下フレーム4Dは、台車2に対して上下方向に延びる縦軸心Z1回りに回転可能となっている。また、上フレーム4Uは下フレーム4Dと共に回転可能である。そのため、機枠4(上フレーム4U及び下フレーム4D)は、台車2に対して縦軸心Z1回りに回転可能となっている。
【0055】
但し、回転支持機構16の構成は、機枠4を台車2に対して縦軸心Z1回りに回転可能とする構成であればよく、上述した構成には限定されない。例えば、回転支持機構16は、固定板16aを用いずに、回転板16bを台車2の上板10に載置した構成であってもよい。この場合、例えば、回転板16bの中心に上下方向に延びる支軸を設け、上板10にこの支軸を縦軸心Z1回りに回転可能に支持する支持部(軸受等)を設ける構成を採用することができる。
【0056】
台車2に対する機枠4の回転は、人力により行うことが可能であるが、モータ等の回転駆動源の力を利用して行うように構成してもよい。
回転支持機構16は、台車2の進行方向に対する機枠4の向きを変更して支持可能である。台車2の進行方向は、車輪7の回転によって台車2が進行可能な方向であり、具体的には前後方向である。回転支持機構16は、機枠4を、台車2の進行方向に対して支持軸3の軸心方向が直交する第1の向き(図11図14図16参照)と、台車2の進行方向に対して支持軸3の軸心方向が一致する第2の向き(図15図17図18参照)とに変更して支持可能である。また、回転支持機構16は、台車2の進行方向に対する機枠4の向きを、第1の向きと第2の向きとの間の任意の向き(斜め向き)に変更して支持することもできる。
【0057】
図12図14図17に示すように、巻き取り装置1は、台車2の進行方向に対する機枠4の向きを固定する固定機構17を有している。固定機構17は、突出板17aとピン17bとを有している。突出板17aは、回転支持機構16の回転板16bの外縁から外方に突出している。突出板17aには、貫通孔が形成されている。ピン17bは、突出板17aに形成された貫通孔に上方から下方に向けて挿通されている。ピン17bの下部は、台座6の上板10に形成された孔(メッシュ孔)に挿通される。これにより、回転板16bの台座6上における縦軸回りの回転が阻止され、台車2の進行方向に対する機枠4の向きが固定される。
【0058】
図14等に示すように、下フレーム4Dは、第1フレーム材41、第2フレーム材42、第3フレーム材43、第4フレーム材44、第5フレーム材45を有している。第1フレーム材41及び第2フレーム材42は、互いに平行に配置されて支持軸3の軸心方向に延びている。第1フレーム材41及び第2フレーム材42は、L字形の固定部材31(図11図16図18参照)により回転板16b上に固定されている。第3フレーム材43は、第1軸心方向C1側において第1フレーム材41と第2フレーム材42とを接続している。第4フレーム材44は、第2軸心方向C2側において、第1フレーム材41と第2フレーム材42とを接続している。第5フレーム材45は、第1フレーム材41と第2フレーム材42の中途部同士を接続している。
【0059】
図11図14等に示すように、上フレーム4Uは、下フレーム4Dの上部に溶接等により固定されている。上フレーム4Uは、管材46と可動材47とを有している。管材4
6は、下フレーム4Dの上部に固定されることによって、台車2上に搭載されている。管材46は、第1管材461と第2管材462とを含む。第1管材461及び第2管材462は、角パイプから構成されている。第1管材461と第2管材462とは、互いに平行に配置され、支持軸3の軸心方向と平行に延びている。可動材47は、第1可動材471と第2可動材472とを含む。第1可動材471と第2可動材472とは、互いに平行に配置され、支持軸3の軸心方向と平行に延びている。
【0060】
図13図14に示すように、第1可動材471は、第1管材461に収容された収容部位471aと第1管材461から突出する突出部位471bとを有している。第2可動材472は、第2管材462に収容された収容部位472aと第2管材462から突出する突出部位472bとを有している。第1可動材471は、第1管材461に沿ってスライドして移動可能である。第2可動材472は、第2管材462に沿ってスライドして移動可能である。
【0061】
第1可動材471が第1管材461に沿って第1軸心方向C1に移動し、第2可動材472が第2管材462に沿って第1軸心方向C1に移動することにより、収容部位471a,472aの長さが短くなって突出部位471b,472bの長さが長くなる。これにより、支持軸3の軸心方向における上フレーム4Uの長さが長くなる。言い換えれば、台車2から第2支持体15までの距離が遠くなる(図11参照)。
【0062】
第1可動材471が第1管材461に沿って第2軸心方向C2に移動し、第2可動材472が第2管材462に沿って第2軸心方向C2に移動することにより、収容部位471a,472aの長さが長くなって突出部位471b,472bの長さが短くなる。これにより、支持軸3の軸心方向における上フレーム4Uの長さが短くなる。言い換えれば、台車2から第2支持体15までの距離が近くなる(図16参照)。
【0063】
図1図3に示すように、突出部位471b,472bには、基板120が固定される。基板120には支柱121が立設され、当該支柱121の上部に不動部材82が固定される。尚、基板120、支柱121、不動部材82は、図11以降では省略している。
図11図14図16等に示すように、機枠4は、可動材47の管材46に対する位置を固定する固定具18を有している。固定具18は、ねじ部と頭部とを備えた雄ねじから構成されている。固定具18は、第1固定具181と第2固定具182とを含む。第1可動材471及び第1管材461にはそれぞれ貫通孔が形成されており、これらの貫通孔が上下に重なった状態で第1固定具181のねじ部を挿通することによって、第1可動材471の第1管材461に対する位置が固定される。第2可動材472及び第2管材462にはそれぞれ貫通孔が形成されており、これらの貫通孔が上下に重なった状態で第2固定具182のねじ部を挿通することによって、第2可動材472の第2管材462に対する位置が固定される。尚、第1可動材471及び第2可動材472には、長さ方向に間隔をあけて複数の貫通孔が形成されていることが好ましい。これによって、第1可動材471の第1管材461に対する固定、第2可動材472の第2管材462に対する固定を、複数の異なる位置で行うことができる。
【0064】
上述した管材46(第1管材461、第2管材462)、可動材47(第1可動材471、第2可動材472)、固定具18(第1固定具181、第2固定具182)は、支持軸3の軸心方向における機枠4(上フレーム4U)の長さを変更可能とする長さ変更機構を構成している。
図11図13図16等に示すように、第1可動材471及び第2可動材472の突出部位471b,472bの端部(突出端)には、第2支持体15が接続されている。図12図16等に示すように、第2支持体15は、第1横材15a、第2横材15b、第1縦材15c、第2縦材15d、第3縦材15e、第1斜め材15f、第2斜め材15g
を有している。
【0065】
第1横材15a及び第2横材15bは、支持軸3の軸心方向と直交する方向であって、地面に平行な方向に延びている。第1横材15aは、第1可動材471の突出部位471bの突出端と第2可動材472の突出部位472bの突出端とを繋いでいる。第2横材15bは、第1横材15aの下方に、第1横材15aと平行に配置されている。第1縦材15c、第2縦材15d、第3縦材15eは、上下方向に互いに平行に延びている。第1縦材15cは、第1横材15aと第2横材15bの一端部同士を接続している。第2縦材15dは、第1横材15aと第2横材15bの他端部同士を接続している。第3縦材15eは、第1縦材15cと第2縦材15dとの間に配置されている。第3縦材15eは、第1横材15aと第2横材15bの中央部同士を接続している。また、第3縦材15eは、第1横材15aよりも上方に延びている。第3縦材15eの上部には、第2支持軸3Bが支持されている。第1斜め材15fは、第1横材15aの左部上面と第3縦材15eの上部左面とを接続している。第2斜め材15gは、第1横材15aの右部上面と第3縦材15eの上部右面とを接続している。
【0066】
図12に示すように、第2支持体15の下面(第2横材15b、第1縦材15c、第2縦材15d、第3縦材15eの下面)の高さは、地面G1よりも高い。つまり、第2支持体15は、地面G1から離れて(浮いて)配置されている。これにより、上フレーム4Uは、一端側(第1支持体14側)が下フレーム4Dを介して台車2上に支持されているが、他端側(第2支持体15側)は台車2にも地面に支持されていない状態となっている。そのため、上フレーム4Uは、台車2に対して片持ち状態(一端側のみが支持された状態)で支持されている。
【0067】
図11図13図14図17等に示すように、下フレーム4Dの第2軸心方向C2側(第2支持体15側と反対側)には、原動機20、バッテリ21、動力伝達機構22が載置されている。原動機20はモータであって、バッテリ21から供給される電力によって駆動する。原動機20は、下フレーム4D上に固定された台板19上に載置されることにより、機枠4上に搭載されている。
【0068】
動力伝達機構22は、原動機20の回転駆動力を支持軸(第1支持軸3A)に伝達して、当該支持軸(第1支持軸3A)をロール体13の軸心回りに回転させる機構である。原動機20及び動力伝達機構22は、支持軸3をロール体13の軸心回りに回転させる回転駆動機構を構成している。
本実施形態の場合、動力伝達機構22により回転駆動力が伝達される原動機は、機枠4(下フレーム4D)に搭載された原動機20であるが、後述する走行車両12に搭載された原動機53を使用してもよい。走行車両12に搭載された原動機53を使用する場合、走行車両12に搭載された原動機53の回転駆動力が、動力伝達機構22を介して支持軸(第1支持軸3A)に伝達される。この場合、機枠4に搭載された原動機20を省略することができる。
【0069】
図14等に示すように、動力伝達機構22は、第1動力伝達機構23と第2動力伝達機構24とを含む。第1動力伝達機構23は、カバー25によって覆われている。第1動力伝達機構23は、原動機(モータ)20の出力軸からの回転動力を第2動力伝達機構24に伝達する機構である。第1動力伝達機構23は、原動機20の出力軸の回転速度を減速して第2動力伝達機構24に伝達することができる。第1動力伝達機構23は、複数のプーリと、複数のプーリに掛け渡されたベルトから構成された機構である。但し、第1動力伝達機構23の構成は特に限定されず、例えば、複数の歯車を噛み合わせて構成された機構であってもよい。図14に示すように、第1動力伝達機構23は、原動機20の回転駆動力を第2動力伝達機構24に伝達する伝達軸23aを有している。
【0070】
第2動力伝達機構24は、第1支持体14の内部に収容されている。第1支持体14は、下フレーム4Dの上部に固定されたハウジング14aを有しており、当該ハウジング14aの内部に第2動力伝達機構24が収容されている。図19は、第2動力伝達機構24の一例を示す図である。但し、第2動力伝達機構24の構成は、図19に示す構成には限定されない。
【0071】
図19に示す第2動力伝達機構24は、第1プーリ24a、第2プーリ24b、ベルト24c、テンションプーリ24d、切り換え装置24eを有している。第1プーリ24aの中心には、第1回転軸24fが設けられている。第1回転軸24fは、軸継手等を介して伝達軸23aに接続されている。これにより、伝達軸23aの回転に伴って第1回転軸24f及び第1プーリ24aが回転する。第2プーリ24bの中心には、第2回転軸24gが設けられている。第2回転軸24gは、第1回転軸24fと平行に配置されている。第2回転軸24gは、軸継手等を介して第1支持軸3Aに接続されている。ベルト24cは、第1プーリ24aと第2プーリ24bに掛け渡されている。テンションプーリ24dは、ベルト24cにテンションを付与するためのプーリである。テンションプーリ24dの外周面は、ベルト24cの外面に当接又は離反する。
【0072】
図19(a)に示すように、テンションプーリ24dの外周面がベルト24cの外面に当接した状態では、ベルト24cにテンションが付与されるため、第1プーリ24aの回転は第2プーリ24bに伝達される。そのため、第1プーリ24aの回転に伴って第2プーリ24bが回転する。図19(b)に示すように、テンションプーリ24dの外周面がベルト24cの外面から離反した状態では、ベルト24cにテンションが付与されないため、第1プーリ24aの回転は第2プーリ24bに伝達されない。そのため、第1プーリ24aが回転しても第2プーリ24bは回転しない。
【0073】
切り換え装置24eは、第1支持軸3Aへの原動機20の回転駆動力の伝達を許容する接続状態と、第1支持軸3Aへの原動機20の回転駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを切り換え可能である。接続状態は、ベルト24cにテンションが付与された状態(図19(a)参照)である。遮断状態は、ベルト24cにテンションが付与されていない状態(図19(b)参照)である。
【0074】
切り換え装置24eは、連結杆27、支軸28、付勢部材29、操作ペダル30を有している。連結杆27は、テンションプーリ24dと操作ペダル30とを連結している。連結杆27は、一端部がテンションプーリ24dと接続され、他端部が操作ペダル30と接続されている。連結杆27は、一端部と他端部との間の中途部で屈曲しており、略L字形を呈している。連結杆27は、屈曲部が支軸28により支持されている。連結杆27は、支軸28を支点として第1方向(反時計回り方向)D1と第2方向(時計回り方向)D2に回動可能である。付勢部材29は、連結杆27に対して支軸28回りの第1方向D1に回動する付勢力を付与している。付勢部材29は、引っ張りばねから構成されている。付勢部材29を構成する引っ張りばねの一端部は、第1支持体14の内部に固定され、他端部は連結杆27の支軸28と操作ペダル30との間の部位に接続されている。操作ペダル30は、連結杆27の他端部に接続されている。操作ペダル30は、第1支持体14の外部に突出して配置されている。操作ペダル30の突出方向は、支持軸3の軸心方向と直交する方向である。操作ペダル30は、支持軸3の軸心方向と直交する方向の一方側又は他方側のみに突出していてもよいし(図12図15参照)、一方側と他方側の両方に突出していてもよい(図18参照)。操作ペダル30は、作業者が足で踏むことによって操作することができる。尚、操作ペダル30に代えて、作業者が手で操作することができる操作レバーを設けてもよい。
【0075】
図19(a)に示すように、操作ペダル30が操作されていない(踏まれていない)状態では、付勢部材29の付勢力によって連結杆27に対して支軸28回りの第1方向D1に回動する力が付与されている。そのため、連結杆27の一端部に接続されたテンションプーリ24dの外周面がベルト24cの外面に当接し、第1プーリ24aの回転が第2プーリ24bに伝達される。これにより、原動機20の回転駆動力が第1支持軸3Aに伝達され、第1支持軸3Aが回転する。
【0076】
図19(b)に示すように、操作ペダル30が操作される(踏まれる)と、付勢部材29の付勢力に抗して連結杆27に対して支軸28回りの第2方向D2に回動する力が付与される。そのため、連結杆27の一端部に接続されたテンションプーリ24dの外周面がベルト24cの外面から離反し、第1プーリ24aの回転が第2プーリ24bに伝達されなくなる。これにより、原動機20の回転駆動力は第1支持軸3Aに伝達されず、第1支持軸3Aは回転しない。
【0077】
上述した切り換え装置24eの作用(動作)により、操作ペダル30を操作していない状態では第1支持軸3Aが回転し、操作ペダル30を操作することにより第1支持軸3Aの回転を停止することができる。これにより、作業者は必要に応じて、第1支持軸3Aが回転している状態と停止している状態とを切り換えることができる。尚、切り換え装置24eについて、操作ペダル30を操作していない状態では第1支持軸3Aの回転が停止し、操作ペダル30を操作することにより第1支持軸3Aが回転するように構成してもよい。
【0078】
第1支持軸3Aの回転の駆動と停止の切り換えは、上述した切換部110によって行うこともできる。そのため、巻き取り装置1は、切換部110と操作ペダル30の両方を備える必要はなく、少なくともいずれか一方を備えていればよい。
切換部110は、連係部材122を介してテンションプーリ24dと連結される。
連係部材122は、引っ張りばね等の付勢部材(図示略)によって、テンションプーリ24dをベルト24cから離反させる方向に付勢される。切換部110が押圧されていないとき、テンションプーリ24dは付勢部材の付勢力によってベルト24cから離反する。これにより、原動機20の回転駆動力は第1支持軸3Aに伝達されず、第1支持軸3Aは回転しない。
【0079】
切換部110が押圧されたとき、連係部材122は付勢部材の付勢力に抗して移動し、テンションプーリ24dの外周面をベルト24cの外面に当接させる。これにより、原動機20の回転駆動力は第1支持軸3Aに伝達され、第1支持軸3Aが回転する。
但し、切換部110の構成は、上述した構成には限定されず、回転駆動機構の駆動と停止とを切り換え可能であれば他の構成を採用することもできる。例えば、切換部110は、バッテリ21と原動機20との電気的な接続を許容又は遮断するスイッチであってもよい。この場合、切換部110を押圧したときに、バッテリ21と原動機20との電気的な接続が許容されて原動機20が駆動し、第1支持軸3Aが回転する。また、切換部110の押圧を解除したときに、バッテリ21と原動機20との電気的な接続が遮断されて原動機20が停止し、第1支持軸3Aが停止する。
【0080】
図20図21に示すように、巻き取り装置1は、台車2の連結部8を走行車両12の後部に連結することによって、走行車両12の走行に伴って移動することができる。
走行車両12は、牽引を必要とせずに自力走行が可能な車両である。図20図21に示すように、走行車両12は、車体50と走行装置51とを備えている。
車体50には、運転席52が搭載されている。運転席52の背凭れ部の上端は、走行車両12の最も高い位置にある。走行車両12の高さ(地面から背もたれ部の上端までの高さ)は、巻き取り装置1の高さよりも低い。これにより、走行車両12に乗った作業者は
、果樹園等で果樹の枝等への接触を回避して走行することができる。
【0081】
走行装置51は、車体50を走行可能に支持している。走行装置51は、前輪51Fと後輪51Rとを有している。
走行車両12には、原動機53が搭載されている。本実施形態の場合、原動機53は、エンジンであるが、モータであってもよい。原動機53は、車体50の後部に搭載されている。原動機53の前方に運転席52が設けられている。車体50の前部には、バッテリ54が搭載されている。原動機53がエンジンである場合、車体50にはオルタネータが搭載される。オルタネータは、エンジンの回転駆動力を受けて発電する。オルタネータの発電により生じた電気は、バッテリ54に蓄えられる。原動機53がモータである場合、モータはバッテリ54から供給される電力により駆動する。原動機53の上方及び側方は、原動機カバー55により覆われている。
【0082】
走行車両12の運転席52の前方には、操縦台56、操舵装置(ステアリングハンドル)57、アクセルペダル(走行ペダル)58、ブレーキペダル59が設けられている。
操舵装置57は、操縦台56に支持されている。アクセルペダル58は、操縦台56の側方(右方)に設けられている。アクセルペダル58は、前進用ペダル58Fと後進用ペダル58Rとを含む。前進用ペダル58Fは、後進用ペダル58Rの前方に配置されている。ブレーキペダル59は、操縦台56の側方(左方)に設けられている。操縦台56の前方は、前カバー60により覆われている。
【0083】
車体50は、運転席52の側方に拡張部61L,61Rを有している。拡張部61Lは、運転席52の左方において、左側の前輪51F及び後輪51Rよりも左方まで拡がっている。拡張部61Rは、運転席52の右方において、右側の前輪51F及び後輪51Rよりも右方まで拡がっている。
走行車両12は、ステップ62を備えている。ステップ62は、運転席52の下側に設けられている。ステップ62は、第1足置き部62aと第2足置き部62bとを有している。第1足置き部62aは、操縦台56の両側(左側と右側)に位置する。また、第1足置き部62aは、前カバー60の両側(左側と右側)に位置する。第1足置き部62aは、前輪51Fの上方に配置されている。第2足置き部62bは、第1足置き部62aの後方に設けられている。第2足置き部62bは、操縦台56と運転席52との間に配置されている。
【0084】
車体50の後部には、連結部8と連結される連結板63が設けられている。連結板63は、上連結板63Uと下連結板63Dとを含む。上連結板63Uと下連結板63Dとは、上下方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。上連結板63Uと下連結板63Dにはそれぞれ貫通孔が形成されている。上連結板63Uと下連結板63Dとの間に連結片8Aを配置し、上連結板63Uに形成された貫通孔、連結片8Aに形成された貫通孔、下連結板63Dに形成された貫通孔にピン64を挿通することによって、連結板63に対して台車2の連結部8が連結される。これにより、走行車両12の走行によって台車2を牽引して巻き取り装置1を移動させることができる。また、台車2は、ピン64を支点として上下方向に延びる縦軸心回りに左方又は右方に回動することができる。
【0085】
以上、走行車両12の構成について説明したが、走行車両12の構成は、上述した構成には限定されない。例えば、走行車両12はトラクタであってもよい。また、走行車両12は、作業者が乗って走行する車両には限定されず、遠隔操作や自動走行によって無人で走行する車両であってもよい。また、本実施形態の場合、台車2は走行車両12に牽引されて走行(移動)するものであるが、台車2を自力で走行が可能なものとしてもよい。この場合、走行車両12による牽引は不要となる。
【0086】
以下、巻き取り装置1を使用した農業用被覆材の敷設方法及び巻き取り方法について説明する。
農業用被覆材を圃場の地面等に敷設する場合、走行車両12の後部に台車2を連結し、農業用被覆材S1が巻回されたロール体13の一端部を第1支持軸3Aに支持し、他端部を第2支持軸3Bに支持する。次いで、機枠4を第1の向きとした状態(図13参照)で、ロール体13から農業用被覆材S1の一部分を引き出して、当該一部分を圃場の地面G1等に固定する。この状態で走行車両12を走行させて台車2を移動させることによって、ロール体13から農業用被覆材S1が巻き出される(図12図18参照)。そして、台車2を所定の場所まで移動させることにより、農業用被覆材S1を圃場の地面等の上に所定範囲に亘って敷設することができる。
【0087】
農業用被覆材を圃場の地面等から巻き取る場合、農業用被覆材S1の端部をロール体13に接続した状態で、巻き取り装置1の原動機20を駆動して、第1支持軸3Aを軸心回りの一方(図1図12の矢印E1方向)に回転させる。これにより、ロール体13が第1支持軸3Aの軸心回りの一方に回転し、農業用被覆材S1をロール体13に巻き取ることができる。巻き取りの途中で不具合が発生した場合(例えば、農業用被覆材S1が弛んだ場合等)には、操作ペダル30を操作(又は切換部110の押圧を解除)して第1支持軸3Aの回転を停止することによって、巻き取りを一時的に中断することができる。そして、不具合が解消したら、操作ペダル30の操作を解除(又は切換部110を押圧)して巻き取りを再開することができる。
【0088】
また、農業用被覆材S1の巻き取りの最中に、農業用被覆材S1が第1軸心方向C1又は第2軸心方向C2にズレて(片寄って)巻かれ始めたときには、第1操作レバー101A又は第2操作レバー101Bを揺動することで、農業用被覆材S1をズレが解消する方向に移動させることができる。
農業用被覆材S1の巻き取りが完了すると、走行車両12を走行させて台車2を移動させることにより、巻き取り装置1を圃場等から離脱させる。このとき、機枠4を第2の向き(図15参照)に変更することによって、巻き取り装置1の幅(巻き取り装置1の走行車両12の幅方向における長さ)を小さくすることができる。また、長さ変更機構によって、機枠4の長さ(支持軸3の軸心方向の長さ)を短縮することもできる。そのため、例えば、果樹園において果樹の間を通って走行車両12を走行させるときに、巻き取り装置1が果樹に接触することを防止できる。
【0089】
上記実施形態に係る農業用被覆材の巻き取り装置1によれば、以下に述べる効果を奏する。
農業用被覆材S1の巻き取り装置1は、農業用被覆材S1が巻回されるロール体13を水平に支持する支持軸3と、支持軸3をロール体13の軸心回りに回転させる回転駆動機構と、農業用被覆材S1をロール体13に未だ巻回されていない部分にて支持する支持部5と、を備え、支持部5は、ロール体13と離間して配置され且つ農業用被覆材S1に当接する軸体70と、軸体70の軸心方向を変更可能な変更機構80と、を有する。
【0090】
この構成によれば、巻き取り作業の最中に農業用被覆材S1がロール体13の軸方向の一方側又は他方側にずれたときには、軸体70の軸心方向を変更することによってズレを修正することができ、農業用被覆材S1を真っ直ぐに綺麗にロール体13に巻き取ることが可能となる。
また、変更機構80は、軸体70をロール体13と平行な第1姿勢P1と非平行な第2姿勢P21,P22とに変更可能である。
【0091】
この構成によれば、通常の巻き取り作業時には、軸体70をロール体13と平行な第1姿勢P1とすることで巻き取りを良好に行うことができる。巻き取り作業の最中に農業用
被覆材S1がロール体13の軸方向の一方側又は他方側にずれたときには、軸体70をロール体13と非平行な第2姿勢P21,P22に変更することで、ズレを修正することができる。これにより、農業用被覆材S1を真っ直ぐに綺麗にロール体13に巻き取ることが可能となる。
【0092】
また、軸体70は、第1軸体71と、第1軸体71との間で農業用被覆材S1を挟持する第2軸体72とを含む。
この構成によれば、農業用被覆材S1がロール体13に巻き取られる前に第1軸体71と第2軸体72との間を通過することによって、農業用被覆材S1の表面に付着したゴミや汚れを落とすことができる。また、農業用被覆材S1を第1軸体71と第2軸体72との間で確実に支持することができる。
【0093】
また、軸体70は、ロール体13と第1軸体71との間で農業用被覆材S1に当接する第3軸体73を含む。
この構成によれば、第3軸体73によって農業用被覆材S1にテンションを付与することができるため、ロール体13に巻き取られる農業用被覆材S1に皺や弛みが生じることを防止できる。
【0094】
また、変更機構80は、軸体70の一端部が取り付けられた可動部材81と、可動部材81を移動させる移動機構100と、を有し、軸体70の他端部は、移動機構100による移動が不能な不動部材82に取り付けられている。
この構成によれば、移動機構100によって可動部材81を移動させることにより、軸体70の他端部を移動させることなく、軸体70の一端部を簡単に且つ確実に移動させることができる。
【0095】
また、軸体70は、ロール体13の下方に配置され、移動機構100は、可動部材81をロール体13と直交する水平方向に移動させる。
この構成によれば、軸体70の軸心方向を変更可能な構成を採りながら、巻き取り装置1の設置面積(平面視の大きさ)を小さくすることができる。
また、移動機構100は、操作レバー101と、可動部材81と操作レバー101とを連携する連携部材102とを有する。
【0096】
この構成によれば、操作レバー101を操作することによって可動部材81を移動させることができるため、軸体70の軸心方向を変更する操作を容易に行うことができる。
また、操作レバー101は、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bを含み、第1操作レバー101Aと第2操作レバー101Bは、軸体70を挟んで互いに反対側に配置されているとともに、連動して同じ方向に揺動する。
【0097】
この構成によれば、作業者は、自分が操作しやすい側にある操作レバー(第1操作レバー101A又は第2操作レバー101B)を選択して操作することができ、操作性に優れている。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 巻き取り装置
3 支持軸
5 支持部
13 ロール体
70 軸体
71 第1軸体
72 第2軸体
73 第3軸体
80 変更機構
81 可動部材
82 不動部材
100 移動機構
101 操作レバー
101A 第1操作レバー
101B 第2操作レバー
102 連携部材
P1 第1姿勢
P21,P22 第2姿勢
S1 農業用被覆材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図19
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図21