(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】盗難防止装置
(51)【国際特許分類】
B60R 25/01 20130101AFI20230620BHJP
B60R 25/045 20130101ALI20230620BHJP
B60R 25/25 20130101ALI20230620BHJP
【FI】
B60R25/01
B60R25/045
B60R25/25
(21)【出願番号】P 2023019716
(22)【出願日】2023-02-13
【審査請求日】2023-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510219084
【氏名又は名称】株式会社双葉マテリアル
(73)【特許権者】
【識別番号】508207882
【氏名又は名称】株式会社 ナフタック
(73)【特許権者】
【識別番号】512057895
【氏名又は名称】株式会社 M・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】若林 淳也
(72)【発明者】
【氏名】若林 正子
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-089217(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111824066(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0101484(US,A1)
【文献】特開平10-029576(JP,A)
【文献】特開2010-089597(JP,A)
【文献】特開2010-048199(JP,A)
【文献】特開2006-322186(JP,A)
【文献】特開2014-172480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/01
B60R 25/045
B60R 25/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバッテリーと、前記バッテリーが供給する電力によって動作する
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかと、の間に接続される盗難防止装置であって、
前記バッテリーが前記
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかに電力を供給できる通常状態と、前記バッテリーが前記
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかに電力を供給できない保護状態とを切り替える第1切替部と、
操作デバイスから操作データを受信する通信部と、
前記操作データが前記通常状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記通常状態にし、前記通信部が受信した前記操作データが前記保護状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記保護状態にする制御部と、
を有
し、
前記通信部は、前記保護状態から前記通常状態に戻す復帰時刻を示す前記操作データを受信し、
前記制御部は、前記復帰時刻になると、前記通常状態にすることを示す前記操作データを前記通信部が受信していないとしても前記保護状態から前記通常状態にするよう前記第1切替部を制御する、
盗難防止装置。
【請求項2】
車両のバッテリーと、前記バッテリーが供給する電力によって動作する
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかと、の間に接続される盗難防止装置であって、
前記バッテリーが前記
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかに電力を供給できる通常状態と、前記バッテリーが前記
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかに電力を供給できない保護状態とを切り替える第1切替部と、
操作デバイスから操作データを受信する通信部と、
前記操作データが前記通常状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記通常状態にし、前記通信部が受信した前記操作データが前記保護状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記保護状態にする制御部と、
を有
し、
前記制御部は、前記保護状態から前記通常状態に戻す復帰時刻がメモリに記憶されている場合、前記車両のエンジンが停止したことを検出してから所定の時間が経過した後に、前記保護状態にすることを示す前記操作データを前記通信部が受信していないとしても前記通常状態から前記保護状態にするように前記第1切替部を制御する、
盗難防止装置。
【請求項3】
車両のバッテリーと、前記バッテリーが供給する電力によって動作する
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかと、の間に接続される盗難防止装置であって、
前記バッテリーが前記
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかに電力を供給できる通常状態と、前記バッテリーが前記
電子ロック又はエンジン制御ユニットの少なくともいずれかに電力を供給できない保護状態とを切り替える第1切替部と、
操作デバイスから操作データを受信する通信部と、
前記操作データが前記通常状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記通常状態にし、前記通信部が受信した前記操作データが前記保護状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記保護状態にする制御部と、
前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受ける状態と前記バッテリーから電力の供給を受けない状態とを切り替える第2切替部と、
を有
し、
前記制御部は、前記保護状態にすることを示す前記操作データを前記通信部が受信した後に、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受けない状態にするよう前記第2切替部を制御し、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受ける状態に戻す時刻として設定された時刻になると、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受ける状態にするよう前記第2切替部を制御する、
盗難防止装置。
【請求項4】
車両のバッテリーと、前記バッテリーが供給する電力によって動作する
エンジン制御ユニットと、の間に接続される盗難防止装置であって、
前記バッテリーが前記
エンジン制御ユニットに電力を供給できる通常状態と、前記バッテリーが前記
エンジン制御ユニットに電力を供給できない保護状態とを切り替える第1切替部と、
操作デバイスから操作データを受信する通信部と、
前記操作データが前記通常状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記通常状態にし、前記通信部が受信した前記操作データが前記保護状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記保護状態にする制御部と、
を有
し、
前記制御部は、前記保護状態にするための操作データを前記通信部が受信した場合、前記車両のエンジンが停止していることを条件として前記保護状態に切り替え、前記エンジンが停止していない場合には前記保護状態に切り替えない、
盗難防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における盗難を防ぐための盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の盗難を防ぐために車両のバッテリーによる電源供給を遮断するための盗難防止装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の盗難防止装置は、窃盗犯が車内に侵入してエンジンを始動して消費電流が増えたことを検出した場合に、バッテリーによる電源供給を遮断する。したがって、エンジンが始動するまでの間は車両の電子錠は動作する状態になっているので、窃盗犯が例えばリレーアタックの手口により不正に車両を解錠して車両に侵入することができてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、窃盗犯の車両への侵入を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の盗難防止装置は、車両のバッテリーと、前記バッテリーが供給する電力によって動作する車載機器と、の間に接続される盗難防止装置であって、前記バッテリーが前記車載機器に電力を供給できる通常状態と、前記バッテリーが前記車載機器に電力を供給できない保護状態とを切り替える第1切替部と、操作デバイスから操作データを受信する通信部と、前記操作データが前記通常状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記通常状態にし、前記通信部が受信した前記操作データが前記保護状態にすることを示している場合、前記第1切替部を前記保護状態にする制御部と、を有する。
【0007】
前記通信部は、前記保護状態から前記通常状態に戻す復帰時刻を示す前記操作データを受信し、前記制御部は、前記復帰時刻になると、前記通常状態にすることを示す前記操作データを前記通信部が受信していないとしても前記保護状態から前記通常状態にするよう前記第1切替部を制御してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記保護状態から前記通常状態に戻す復帰時刻がメモリに記憶されている場合、前記車両のエンジンが停止したことを検出してから所定の時間が経過した後に、前記保護状態にすることを示す前記操作データを前記通信部が受信していないとしても前記通常状態から前記保護状態にするように前記第1切替部を制御してもよい。
【0009】
前記盗難防止装置は、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受ける状態と前記バッテリーから電力の供給を受けない状態とを切り替える第2切替部をさらに有し、前記制御部は、前記保護状態にすることを示す前記操作データを前記通信部が受信した後に、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受けない状態にするよう前記第2切替部を制御し、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受ける状態に戻す時刻として設定された時刻になると、前記通信部が前記バッテリーから電力の供給を受ける状態にするよう前記第2切替部を制御してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記保護状態にするための操作データを前記通信部が受信した場合、前記車両のエンジンが停止していることを条件として前記保護状態に切り替え、前記エンジンが停止していない場合には前記保護状態に切り替えないでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、窃盗犯の車両への侵入を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】盗難防止システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】盗難防止装置1の内部構成を模式的に示す図である。
【
図4】盗難防止装置1の第1変形例である盗難防止装置1aの構成を示す図である。
【
図5】盗難防止装置1の第2変形例である盗難防止装置1bの構成を示す図である。
【
図6】盗難防止装置1の第3変形例である盗難防止装置1cの構成を示す図である。
【
図7】盗難防止装置1の第3変形例である盗難防止装置1cの構成を示す図である。
【
図8】盗難防止装置1bにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[盗難防止システムSの概要]
図1は、盗難防止システムSの概要を説明するための図である。盗難防止システムSは、盗難防止装置1と操作デバイス100とを備える。盗難防止装置1は、車両に設置されて使用され、窃盗犯の車両への侵入又は車両の盗難を抑制するための装置である。
【0014】
操作デバイス100は、車両のユーザUが盗難防止装置1を操作するためのデバイスである。操作デバイス100は、車両のドアを開閉するためのキー又はイモビライザーと一体に構成されていてもよく、盗難防止装置1を操作するための専用のデバイスであってもよい。操作デバイス100は、盗難防止装置1を操作するためのアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォンのような通信端末であってもよい。操作デバイス100には、ユーザUが操作するためのボタンが設けられている。操作デバイス100には、情報を表示するためのディスプレイが設けられていてもよい。
【0015】
盗難防止装置1は、車両のバッテリー2と、バッテリー2が供給する電力によって動作する車載機器3と、の間に接続された状態で使用される。盗難防止装置1は、バッテリー2が車載機器3に電力を供給できない状態にすることで、窃盗犯の車両への侵入又は車両の盗難を抑制する。盗難防止装置1は、車両のバッテリー2の近くに設置されることが想定されているが、盗難防止装置1が設置される場所は任意である。
【0016】
図1に示すように、盗難防止装置1は、バッテリー2と車載機器3とを接続するための配線の途中に挿入された状態で使用される。具体的には、盗難防止装置1は、バッテリー2の電源端子とグランド(GND)端子に接続されるとともに、車載機器3に接続された電源側の配線とグランド側の配線に接続される。車載機器3は、車両においてバッテリー2が供給する電力によって動作する電子機器であり、例えば、エンジン制御ユニット(ECU)、電子ロック、ライト、エアコンディショナー又はカーナビゲーション機器である。
【0017】
盗難防止装置1は、通信チャネルを介して操作デバイス100からデータを受信することができる。通信チャネルは、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)又は携帯電話通信回線であるが、通信方式は任意である。通信チャネルは有線通信チャネルであってもよい。盗難防止装置1は、車両のユーザUが操作デバイス100を操作することにより操作デバイス100が送信した操作データに基づいて、バッテリー2が出力する電力を車載機器3に供給する通常状態と、バッテリー2が出力する電力を車載機器3に供給しない保護状態とを切り替える。
【0018】
盗難防止装置1が保護状態になっている場合、電力が車載機器3に供給されないので電子ロックを解錠することができず、窃盗犯が不正に車両のドアを開けて車両に侵入することができなくなる。その結果、盗難防止装置1が設置されている場合、車両における盗難が発生する確率を下げることができる。さらに、窃盗犯が車両を破壊して車両に侵入したとしてもエンジンを起動させることができないので、車両を移動させることができない。その結果、盗難防止装置1が設置されている場合、車両が盗難される確率も下げることができる。
【0019】
[盗難防止装置1の構成]
図2は、盗難防止装置1の内部構成を模式的に示す図である。盗難防止装置1は、第1切替部11と、通信部12と、制御部13と、を有する。また、盗難防止装置1は、端子T1と、端子T2と、端子T3と、端子T4と、を有する。端子T1はバッテリー2の電源端子に接続され、端子T2はバッテリー2のグランド端子に接続される。端子T3は車載機器3に接続される電源側の配線に接続され、端子T4は車載機器3に接続されるグランド側の配線に接続される。
【0020】
第1切替部11は、通信部12の制御に基づいて、バッテリー2が車載機器3に電力を供給できる通常状態(
図2(a)の状態)と、バッテリー2が車載機器3に電力を供給できない保護状態(
図2(b)の状態)とを切り替える。
図3は、第1切替部11の例を示す図である。
図3(a)に示すように、第1切替部11は電界効果トランジスタであってもよく、
図3(b)に示すように、第1切替部11はリレーであってもよい。
【0021】
通信部12は、操作デバイス100から操作データを受信する。通信部12は、例えば、バッテリー2が出力した電力が車載機器3に供給されない保護状態にするための操作データ、又は出力した電力が車載機器3に供給される通常状態にするための操作データを受信する。
【0022】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを有しており、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、通信部12が受信した操作データに基づいて、通常状態と保護状態とを切り替えるように第1切替部11を制御する。制御部13は、盗難防止装置1が動作を開始した初期状態において又は操作データが通常状態にすることを示している場合、第1切替部11を通常状態にし、通信部12が受信した操作データが保護状態にすることを示している場合、第1切替部11を保護状態にする。
【0023】
制御部13がこのように動作することで、保護状態においては、窃盗犯が容易に車両に侵入することができず、車両内に侵入してエンジンを起動しようとしてもエンジンが起動しないので、車両の盗難を防げる。そして、操作デバイス100を持つ車両のユーザUが通常状態にするための操作をすることで、当該ユーザUは車両に入ってエンジンを起動することができる。
【0024】
ところで、もしもユーザUが操作デバイス100を紛失したり、車両が駐車された場所に操作デバイス100を持参し忘れたりした場合に、車両のユーザUが車両を使用できないという問題が生じ得る。そこで、ユーザUが、保護状態から通常状態に戻る時刻を予め設定できるように盗難防止装置1が構成されていてもよい。
【0025】
ユーザUが、操作デバイス100において、保護状態から通常状態に戻る時刻を入力すると、操作デバイス100は入力された時刻を盗難防止装置1に送信する。この場合、通信部12は、保護状態から通常状態に戻す復帰時刻を示す操作データを受信する。制御部13は、受信した操作データが示す復帰時刻をメモリに記憶させる。そして、制御部13は、例えば時計IC(不図示)が出力する現在の時刻が復帰時刻になると、通常状態にすることを示す操作データを通信部12が受信していないとしても保護状態から通常状態にするよう第1切替部11を制御する。
【0026】
制御部13は、通信部12が新たな復帰時刻を受信するたびに、メモリに記憶された復帰時刻を更新する。復帰時刻をキャンセルすることを示す操作データを通信部12が受信した場合、制御部13は、メモリに記憶された復帰時刻を消去する。操作デバイス100が、複数の復帰時刻を設定できるように構成されており、通信部12が複数の復帰時刻を示す操作データを受信した場合、制御部13は複数の復帰時刻をメモリに記憶させてもよい。
【0027】
一例として、ユーザUが、毎朝午前7時から出勤のために車両を使用し、毎日午後6時頃に帰宅のために車両を使用するために、午前7時と午後6時に復帰時刻を設定したとする。この場合、ユーザUが出勤して車両を駐車場に停めて保護状態に設定された後、午後6時になると、制御部13は保護状態から通常状態に戻す。その後、ユーザUが帰宅して車両を駐車場に停めて保護状態に設定された後、午前7時になると、制御部13は保護状態から通常状態に戻す。盗難防止装置1及び操作デバイス100がこのように構成されていることで、ユーザUが操作デバイス100を紛失したり、車両が駐車された場所に操作デバイス100を持参し忘れたりしたとしても、ユーザUが車両を使用できない状態になってしまうことを防げる。なお、復帰時刻は、年月日又は曜日ごとに設定可能であってもよい。
【0028】
制御部13は、保護状態から通常状態に戻す復帰時刻がメモリに記憶されている場合、車両のエンジンが停止したことを検出してから所定の時間が経過した後に、保護状態にすることを示す操作データを通信部12が受信していないとしても通常状態から保護状態にするように第1切替部11を制御してもよい。上記の例の場合、ユーザUが出勤して車両を駐車場に停めてから10分が経過した後に、制御部13は自動的に通常状態から保護状態にする。制御部13がこのように動作することで、ユーザUが保護状態にするための操作をし忘れたとしても保護状態になるので、車両への侵入及び車両の盗難の防止効果が高まる。
【0029】
ただし、操作デバイス100を持参し忘れたユーザUが、復帰時刻の前に車両を使用したいと考えているにもかかわらず自動的に保護状態になってしまうと、ユーザUが車両を使用したい時点で車両を使用できなくなってしまう。そこで、制御部13は、車両のエンジンが停止したことを検出してから所定の時間が経過した後に、通信部12を介して確認メッセージを操作デバイス100又はユーザUが使用する他の通信端末(例えばスマートフォン)に送信し、ユーザUからの承認を受けたことに応じて保護状態に切り替えてもよい。
【0030】
図4は、盗難防止装置1の第1変形例である盗難防止装置1aの構成を示す図である。
図4に示す盗難防止装置1aは、通信部12がバッテリー2から電力の供給を受ける状態(
図4(a)の状態)とバッテリー2から電力の供給を受けない状態(
図4(b)の状態)とを切り替える第2切替部14をさらに有する点で、
図2に示す盗難防止装置1と異なり、他の点で同じである。
図4(b)における破線は、電力が供給されていない状態を示している。
【0031】
制御部13は、保護状態にすることを示す操作データを通信部12が受信した後に、通信部12がバッテリー2から電力の供給を受けない状態にするよう第2切替部14を制御する。制御部13は、通信部12がバッテリー2から電力の供給を受ける状態に戻す時刻として設定された時刻(以下、「通信開始時刻」という)になると、通信部12がバッテリー2から電力の供給を受ける状態にするよう第2切替部14を制御する。
【0032】
通信開始時刻は、例えば上述の復帰時刻と同様に、ユーザUが操作デバイス100を用いて設定することが可能である。制御部13は、操作デバイス100から送信された通信開始時刻を通信部12が受信すると、受信した通信開始時刻をメモリに記憶させる。制御部13は、保護状態に切り替えた後に通信開始時刻になると、第2切替部14を制御することにより通信部12の動作を開始させ、操作デバイス100が送信した操作データを通信部12が受信できるようにする。
【0033】
盗難防止装置1aがこのように構成されていることで、ユーザUが設定した通信開始時刻になるまでの間は、窃盗犯が不正に入手した操作デバイス100を用いて盗難防止装置1aを操作しようとしても通信部12が操作データを受信できないので、窃盗犯が盗難防止装置1aを通常状態に切り替えることができない。さらに、保護状態になってから通信開始時刻になるまでの間は通信部12が電力を消費しないので、バッテリー2の電力の残量の減少を抑制することができる。なお、
図4に示す例においては、第2切替部14が通信部12の外部に設けられているが、第2切替部14は通信部12に内蔵されていてもよい。
【0034】
図5は、盗難防止装置1の第2変形例である盗難防止装置1bの構成を示す図である。
図5に示す盗難防止装置1bは、制御部13が車載機器3との間で制御データを送受信するための端子T5をさらに有するという点で、
図4に示した盗難防止装置1aと異なり、他の点で同じである。盗難防止装置1は、
図1に示した構成において端子T5をさらに有してもよい。
【0035】
制御部13は、端子T5を介して、エンジンが停止したことを示す制御データを受信する。制御部13は、保護状態にするための操作データを通信部12が受信した場合、端子T5を介して受信した制御データが、エンジンが停止していることを示していることを条件として保護状態に切り替え、エンジンが停止していない場合には保護状態に切り替えないようにしてもよい。制御部13がこのように動作することで、エンジンが停止していない状態でユーザUが誤操作により保護状態にするための操作データが操作デバイス100から送信されたとしても、保護状態に切り替わらず車両が正常に走行を継続することができるので、安全性が向上する。
【0036】
図6及び
図7は、盗難防止装置1の第3変形例である盗難防止装置1cの構成を示す図である。盗難防止装置1cは、電池15及び充電回路16をさらに有するという点で、
図1に示した盗難防止装置1と異なり、他の点で同じである。
図6は通常状態の盗難防止装置1cを示しており、
図7は保護状態の盗難防止装置1cを示している。
【0037】
盗難防止装置1cにおける通信部12及び制御部13は、バッテリー2から供給される電力ではなく、電池15が供給する電力により動作する。電池15は、充電回路16を介してバッテリー2の電力により充電可能な二次電池である。通常状態において、制御部13は、
図6に示すように、バッテリー2の電力が電池15に供給されるように充電回路16を制御する。これにより、車両の走行中に電池15が充電される。
【0038】
保護状態において、制御部13は、
図7に示すように、バッテリー2の電力が電池15に供給されないように充電回路16を制御する。これにより、保護状態において、バッテリー2の電力の残量が減少しないようにすることができる。
【0039】
[盗難防止装置1bにおける処理の流れの例]
図8は、
図5に示した盗難防止装置1bにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、盗難防止装置1bがバッテリー2に接続され、盗難防止装置1bがバッテリー2から供給される電源により通常状態で動作し始めた時点から開始している。盗難防止装置1bは、例えば、バッテリー2と接続された後に不図示の電源スイッチがオン状態になることにより動作を開始する。
【0040】
制御部13は、保護状態にするための操作データ(
図8における「保護操作データ」)を通信部12が操作デバイス100から受信したか否かを監視する(S1)。制御部13は、保護操作データを通信部12が受信した場合(S1においてYES)、車載機器3から送信されるデータに基づいて、車両のエンジンがオフになっているか否かを判定する(S2)。制御部13は、車両のエンジンがオフになっていないと判定した場合(S2においてNO)、操作データに応じた保護状態への切り替え動作を実行せず、処理をS1に戻す。
【0041】
制御部13は、車両のエンジンがオフになっていると判定した場合(S2においてYES)、第1切替部11がオフ状態(すなわち未接続状態)になるように第1切替部11を制御する(S3)。これにより、バッテリー2から車載機器3に電力が供給されない保護状態になる。
【0042】
その後、所定の時間が経過して通信部12の動作を終了させる通信終了時刻になると(S4においてYES)、第2切替部14をオフ状態(すなわち未接続状態)にすることにより、通信部12に電力が供給されないようにして通信部12をオフ状態にする(S5)。その後、通信開始時刻になった場合(S6においてYES)、制御部13は、第2切替部14をオン状態(すなわち接続状態)にすることにより、通信部12に電力が供給されるようにして通信部12をオン状態にする(S7)。
【0043】
その後、制御部13は、通常状態にするための操作データ(
図8における「通常操作データ」)を通信部12が操作デバイス100から受信したか否かを監視する(S8)。通常操作データを通信部12が受信した場合(S8においてYES)、制御部13は、第1切替部11をオン状態(すなわち接続状態)になるように第1切替部11を制御する(S9)。通常操作データを通信部12が受信していない場合(S8においてNO)、制御部13はS4に戻る。制御部13は、S4において通信終了時刻になっていないと判定した場合(S4においてNO)、S8の処理を実行する。盗難防止装置1は、バッテリー2からの電源供給がなくなるまで、S1からS10までの処理を繰り返す。
【0044】
[盗難防止装置1による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る盗難防止装置1の制御部13は、操作デバイス100から通信部12が受信した操作データが通常状態にすることを示している場合、第1切替部11をバッテリーが車載機器3に電力を供給できる通常状態にし、通信部12が受信した操作データが保護状態にすることを示している場合、第1切替部11をバッテリー2が車載機器3に電力を供給できない保護状態にする。盗難防止装置1がこのように構成されていることで、窃盗犯の車両への侵入を抑制でき、車両における盗難が発生する確率が低下する。
【0045】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0046】
1 盗難防止装置
2 バッテリー
3 車載機器
11 第1切替部
12 通信部
13 制御部
14 第2切替部
15 電池
16 充電回路
【要約】
【課題】窃盗犯の車両への侵入を抑制する。
【解決手段】盗難防止装置1は、バッテリー2が車載機器3に電力を供給できる通常状態と、バッテリー2が車載機器3に電力を供給できない保護状態とを切り替える第1切替部11と、操作デバイス100から操作データを受信する通信部12と、操作データが通常状態にすることを示している場合、第1切替部11を通常状態にし、通信部12が受信した操作データが保護状態にすることを示している場合、第1切替部11を保護状態にする制御部13と、を有する。
【選択図】
図2