(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ボール搭載装置及びボール搭載方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
(21)【出願番号】P 2019144916
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592141488
【氏名又は名称】アスリートFA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】山岸 昭隆
(72)【発明者】
【氏名】小竹 利幸
(72)【発明者】
【氏名】川上 朋来
(72)【発明者】
【氏名】大井 康
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-077490(JP,A)
【文献】特開2015-073032(JP,A)
【文献】特開2017-092342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた所定の電極に直径が異なる2種類以上の導電性ボールを搭載するボール搭載装置であって、
フラックス印刷用マスクを用いて前記電極にフラックスを印刷するフラックス印刷装置と、
前記導電性ボールの異なる直径に対応する開口径のボール振込用孔を有する2種類以上のボール振込用マスクを使用し、直径が異なる前記導電性ボールごとに前記電極上に前記導電性ボールを振り込むボール振込装置と、
を備え、
前記フラックス印刷装置及び各前記ボール振込装置は、
それぞれ、第1基板置台と、フラックスを印刷し又はボールを振り込む基板ステージと、第2基板置台と、前記基板を搬送する基板搬送ユニット
と、を有し、
各前記ボール振込装置は、前記フラックス印刷装置側から小径の導電性ボール、前記小径の導電性ボールの次に直径が大きい導電性ボールを振り込む順に連結され
、
前記基板搬送ユニットは、それぞれ、前記第1基板置台から前記基板ステージに基板を搬送する第1基板搬送アームと、前記基板ステージから前記第2基板置台に基板を搬送する第2基板搬送アームとを有し、
前記第1基板搬送アームと前記第2基板搬送アームとは、一のスライダーに搭載されて、同じタイミングで基板を搬送し、
前記フラックス印刷装置及び各前記ボール振込装置は、フラックスの印刷及びボールの振り込みを同じタイミングで実行するように構成されていること、を特徴とするボール搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボール搭載装置において、
前記ボール振込装置のそれぞれは、前記導電性ボールの直径ごとにボール振込対象の前記導電性ボールを前記ボール振込用マスク上に供給し、かつ前記ボール振込用孔に前記導電性ボールを振り込むボール振込ヘッドをさらに有している、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のボール搭載装置において、
ボール振込対象の前記ボール振込用マスクの前記基板側の面には、前記電極上にすでに振り込まれている前記導電性ボールを収容する凹部が設けられている、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項4】
請求項3に記載のボール搭載装置において、
前記凹部の底部と小径の前記導電性ボールとの隙間を10μm以上とし、前記凹部の底部の残り厚みを10μm以上とする、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項5】
請求項1に記載のボール搭載装置において、
前記導電性ボールの直径の差は、少なくとも20μmであること、
を特徴とするボール搭載装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のボール搭載装置を使用するボール搭載方法であって、
前記基板の電極に前記フラックスを印刷するフラックス印刷工程と、
前記フラックスが印刷された前記基板を最も小径の前記導電性ボールに対応する前記ボール振込装置に搬送する搬送工程と、
搭載すべき導電性ボールのうち、最も小径の前記導電性ボールを前記基板に振り込むボール振込工程と、
前記ボール振込工程で振り込まれた導電性ボールに対し次に直径が大きい前記導電性ボールに対応する前記ボール振込装置に前記基板を搬送する搬送工程と、
次のボール振込対象の直径を有する導電性ボールを前記基板に搭載するボール振込工程と、
を含み、
各前記搬送工程を同じタイミングで実行し、前記フラックス印刷工程及び各前記ボール振込工程を同じタイミングで実行する、
ことを特徴とするボール搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール搭載装置及びボール搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップの高密度化に伴い、半導体チップの接続手段として導電性ボールを基板などの電極(電極パッド)上に高密度に搭載する方法が採用されるようになってきている。基板に導電性ボールを搭載する方法は、基板上に配置されたボール配列用マスクを使用し、ボール配列用マスクに設けられたボール配列用孔内にボールを振り込む(落とし込む)ことによって導電性ボールを所定の電極上に配置するものである。さらに、高密度化に伴い、同一基板上おいて、半田バンプの高さを変えることや、大きさが異なる導電性ボールを搭載することが要求されてきている。
【0003】
基板の電極上に高さが異なる半田バンプを形成する方法として、導電性ボールを半田ボールとし、同じ大きさの半田ボールを1個振り込むことが可能な単通孔と、同じ大きさの半田ボールを2個振り込むことが可能な連続通孔とを有するボール配列用マスクを用いて半田ボールを1個ずつ又は2個ずつ基板上の電極(電極パッド)に搭載する方法がある。そして、基板上に搭載された半田ボールを加熱溶融して、連続通孔に振り込まれた2個の半田ボールが溶融合体した半田バンプの高さを、単通孔に振り込まれた半田ボール1個よりも高くする方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
直径が異なる導電性ボールを基板に搭載する方法としては、まず、直径が小さい導電性ボール(小径ボールという)用のボール振込用孔を有するボール配列用マスクを用いて基板の所定位置に小径ボールを搭載し、続いて、直径が大きい導電性ボール用のボール振込用孔を有するボール配列用マスクを用いて基板の所定位置に直径が大きい導電性ボール(大径ボールという)を搭載するという方法がある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、直径が異なる導電性ボールを基板に搭載する方法として、大径ボールと小径ボール両方に対応するボール配列用孔を有する1枚のボール配列用マスクを用いて、まず、大径ボールを基板上に振り込み、続いて小径ボールを基板上に振り込むというボール搭載装置及びボール搭載方法がある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-201284号公報
【文献】特開2007-281369号公報
【文献】特開2019-67991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の半田ボールを基板に搭載する方法では、連続通孔に振り込まれた2個の半田ボールによって形成される半田バンプの高さを単通孔に振り込まれた1個の半田ボールによって形成される半田バンプよりも高くすることが可能である。しかしながら、2個の半田バンプの高さは、基板の電極パッドの大きさや形状、連続通孔の形状、大きさ及び加熱温度によって左右されることから、半田バンプの高さ及び形状を自在にコントロールすることは甚だ困難である。そのことから、要求される半田バンプに対応した直径が異なる半田ボールを基板に搭載することが望ましい。
【0008】
特許文献2に記載の導電性ボールを基板に搭載する方法では、小径ボールを小径ボール用のボール配列用マスクを用いて基板上に搭載した後、大径ボールを大径ボール用のボール配列用マスクを用いて基板上に搭載する。従って、小径ボールを搭載するボール搭載装置と大径ボールを搭載するボール搭載装置と、各ボール搭載装置に基板搬送装置及び基板除材装置が必要となり、装置数が増加し、装置が大型化してしまうという課題がある。また、小径ボールの搭載と大径ボールの搭載とを1台のボール搭載装置で行うことも可能であるが、ボール配列マスクの切替え等に時間を要し処理時間が増加することによって生産性が低くなってしまうという課題がある。
【0009】
また、特許文献3に記載の導電性ボールを基板に搭載するボール搭載装置及びボール搭載方法では、大径ボールと小径ボール両方に対応する1枚のボール配列用マスクを用いて2種類の直径を有する導電性ボールを基板上に搭載する。このボール搭載装置においては、小径ボールの搭載と、大径ボールの搭載とを同時に行うことが可能であることから、生産性が高くなる。しかし、振り込まれた大径ボールとボール振込用孔との間に小径ボールが残ってしまうことが考えられる。
【0010】
そこで、本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決するためになされたもので、1台で直径が異なる2種類以上の導電性ボールが搭載可能であり、導電性ボールの過不足がなく、生産性を高めることが可能なボール搭載装置及びボール搭載方法を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]本発明のボール搭載装置は、基板に設けられた所定の電極に直径が異なる2種類以上の導電性ボールを搭載するボール搭載装置であって、フラックス印刷用マスクを用いて前記電極にフラックスを印刷するフラックス印刷装置と、前記導電性ボールの異なる直径に対応する開口径のボール振込用孔を有する2種類以上のボール振込用マスクを使用し、直径が異なる前記導電性ボールごとに前記電極上に前記導電性ボールを振り込むボール振込装置と、を備え、前記フラックス印刷装置及び各前記ボール振込装置は、前記基板を搬送する基板搬送ユニットを有しており、各前記ボール振込装置は、前記フラックス印刷装置側から小径の導電性ボール、前記小径の導電性ボールの次に直径が大きい導電性ボールを振り込む順に連結されている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明のボール搭載装置によれば、直径が異なる導電性ボールごとに対応するボール振込用マスクを有し、このボール振込用マスクを用いて直径が異なる導電性ボールを電極上に振り込むボール振込装置を備えている。このことによって、直径が異なる2種類以上の導電性ボールを1台で基板に搭載することが可能となる。このように、導電性ボールの直径ごとに対応するボール配列用マスクによって振込対象の導電性ボールを振り込むことから、導電性ボールを過不足なく基板に搭載することが可能となる。
【0013】
また、導電性ボールの直径が2種類であればボール振込装置を2台連結し、3種類であればボール振込装置を3台連結することになり、導電性ボールの直径の種類に対応してボール振込装置を連結することによって多数種類の導電性ボールを所定の電極上に搭載することが可能となる。ボール振込装置は、複数種類の導電性ボールの基板への搭載を同時、かつ併行して行うことが可能であることから、導電性ボールが複数種類ある場合においても1種類の場合と同じタクトタイムでボール搭載することが可能であり、生産性を高めることが可能となる。さらにボール振込装置は、それぞれが基板を搬送する基板搬送ユニットを有していることから、導電性ボールの種類に対応して容易に連結することが可能となる。
【0014】
以上のことから本発明のボール搭載装置によれば、1台で直径が異なる2種類以上の導電性ボールが搭載可能であり、導電性ボールの過不足がなく、生産性を高めることが可能となる。
【0015】
[2]本発明のボール搭載装置においては、前記ボール振込装置のそれぞれは、前記導電性ボールの直径ごとにボール振込対象の前記導電性ボールを前記ボール振込用マスク上に供給し、かつ前記ボール振込用孔に前記導電性ボールを振り込むボール振込ヘッドをさらに有していることが好ましい。
【0016】
各ボール振込装置は、導電性ボールの直径に対応する専用のボール振込ヘッドを有していることから、複数種類の導電性ボールの電極への振り込みを同時併行して行うことができることから、生産性を高めることが可能となる。
【0017】
[3]本発明のボール搭載装置においては、ボール振込対象の前記ボール振込用マスクの前記基板側の面には、前記電極上にすでに振り込まれている前記導電性ボールを収容する凹部が設けられていることが好ましい。
【0018】
振込対象のボール振込用マスクは、その前に搭載されている小径の導電性ボールを凹部の底部で覆うように構成されていることから、異種の直径を有する導電性ボールを混在して基板に振り込むことを防止することが可能となる。
【0019】
[4]本発明のボール搭載装置においては、前記凹部の底部と小径の前記導電性ボールとの隙間を10μm以上とし、前記底部の残り厚みを10μm以上とすることが好ましい。
【0020】
このように構成することによって、すでに振り込まれた導電性ボールと底部との間に必ず隙間があることから、ボール振込用マスクを基板に密接させて導電性ボールを電極上に振り込むことが可能となる。また、底部の残り厚みを10μm以上とすることによって、凹部においてボール振込用マスクが反ることや変形することがなく、導電性ボールの振り込みをスムーズに行うことが可能となる。
【0021】
[5]本発明のボール搭載装置においては、前記導電性ボールの直径の差は、少なくとも20μmであることが好ましい。
【0022】
詳しくは後述する実施の形態で説明するが、ボール振込用孔の直径は、導電性ボールの振り込みが円滑に行えること及びボール振込用マスクの精度を含む加工性を考慮すると導電性ボールの直径の差を20μm以上にすることによって、振込対象の導電性ボールを所定の電極上に確実に搭載することが可能となる。
【0023】
[6]本発明のボール搭載方法は、上記[1]から[5]のいずれか1項に記載のボール搭載装置を使用するボール搭載方法であって、前記基板の電極に前記フラックスを印刷するフラックス印刷工程と、前記フラックスが印刷された前記基板を最も小径の前記導電性ボールに対応する前記ボール振込装置に搬送する搬送工程と、搭載すべき導電性ボールのうち、最も小径の前記導電性ボールを前記基板に振り込むボール振込工程と、前記ボール振込工程で振り込まれた導電性ボールに対し次に直径が大きい前記導電性ボールに対応する前記ボール振込装置に前記基板を搬送する搬送工程と、次のボール振込対象の直径を有する導電性ボールを前記基板に搭載するボール振込工程と、を含み、各前記搬送工程を、同じタイミングで実行し、前記フラックス印刷工程及び各前記ボール振込工程を、同イミングで実行する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明のボール搭載方法によれば、導電性ボールの直径ごとに対応するボール振込装置によって振込対象の導電性ボールを電極上に振り込むことから、導電性ボールを過不足なく基板に搭載することが可能となる。また、フラックス印刷装置から小径用のボール振込装置に基板を搬送する搬送工程と、小径用のボール振込装置から次の大径用のボール振込装置に基板を搬送する搬送工程とを同じタイミングで実行すること、さらに、フラックス印刷工程、小径の導電性ボールを振り込むボール振込工程及び大径の導電性ボールを振り込むボール振込工程を同じタイミングで実行することが可能であることから、導電性ボールの直径が2種以上となっても1種の場合に対してタクトタイムが増加しないので、生産性を高めることが可能となる。なお、「同じタイミング」とは、タイミングが必ずしも完全に一致していなくてもよく、搬送工程及びボール搭載工程が相互に影響を与えない範囲でずれてもよい。
【0025】
以上説明したボール搭載方法によれば、1台のボール搭載装置で直径が異なる2種類以上の導電性ボールが搭載可能であり、導電性ボールの過不足がなく、生産性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】ボール搭載装置1の全体構成を示す平面図である。
【
図2】基板Wが再配線されたウエハ状板状物体であるときの1例を示す平面図である。
【
図3】フラックスFを基板Wに印刷するフラックス印刷ユニット25の動作を模式的に示す説明図である。
【
図4】フラックスFが印刷された基板W及び版離れしたフラックス印刷用マスク22の一部を拡大して模式的に示す断面図である。
【
図5】導電性ボールB1を基板Wに振り込むボール振込ユニット44の動作を示す図である。
【
図6】導電性ボールB1よりも直径が大きい導電性ボールB2を基板Wに振り込むボール振込ユニット47の動作を示す図である。
【
図7】導電性ボールB1,B2が搭載された基板Wの一部を示す断面図である。
【
図8】ボール搭載装置1を使用するボール搭載方法の主要工程を示す工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係るボール搭載装置1及びボール搭載方法について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、本発明のボール搭載装置1では、直径が異なる複数種類の導電性ボールBを基板Wに搭載することが可能であるが、以下の説明においては、直径が2種類の導電性ボールB1、B2を基板W上に搭載することを例示して説明する。導電性ボールBのうち小径のものを導電性ボールB1、導電性ボールB1よりも直径が大きいものを導電性ボールB2とする。
【0028】
[ボール搭載装置1の構成]
基板Wは、電子部品を固定して配線するための板状またはフィルム状の部材であり、例えば、プリント配線基板やシリコンウエハなどであって、基板Wの形状は円形や四角形、それ以外の形状を含む。また、導電性ボールB1,B2は、例えば、半田ボール、金属ボール、導電性プラスチックボール、導電性セラミックボールなど導電性を有し直径が20μm~300μmの球体である。
【0029】
図1は、ボール搭載装置1の全体構成を示す平面図である。なお、
図1において、図示左右方向をX軸とし、右方側をX(+)方向、左側をX(-)とする。また、X軸に直交する方向をY軸とし、図示上方をY(+)、図示下方をY(-)とする。また、X-Y平面に対して垂直方向をZ軸又は上下方向と表し説明する。ボール搭載装置1は、基板Wの給材装置である搬送用ロボット装置5、基板WにフラックスF(
図3参照)を印刷するフラックス印刷装置6、フラックスFが印刷された基板Wに導電性ボールB1を振り込む第1ボール振込装置7、導電性ボールB2を振り込む第2ボール振込装置8及び導電性ボールB1,B2が振り込まれた基板Wの除材装置である搬送用ロボット装置9を備えている。搬送用ロボット装置5、フラックス印刷装置6、第1ボール振込装置7、第2ボール振込装置8及び搬送用ロボット装置9は、順に直線上に連結されている。
【0030】
搬送用ロボット装置5は、第1ロードポート11及び第2ロードポート12の各々に配置されるFOUP(Front-Opening-Unified-Pod)13に収容されている基板Wをフラックス印刷装置6に給材するロボットアーム14を有している。ロボットアーム14は、第1ロードポート11又は第2ロードポート12から基板Wをピックアップしてプレアライナ15に搬送し、プレアライナ15において基板Wの位置補正をした後、フラックス印刷装置6に設けられている第1基板置台16に搬送する。
【0031】
フラックス印刷装置6には、平面方向中央部にフラックスFを印刷する際に基板Wを吸着保持する基板ステージ17が配置されており、基板ステージ17を挟んで図示左方側に第1基板置台16、図示右方側に第2基板置台18が配置されている。基板ステージ17の図示下方側には、第1基板搬送ユニット19が配置されている。第1基板搬送ユニット19は、第1基板搬送アーム20及び第2基板搬送アーム21を有している。基板ステージ17のZ軸上方には、フラックス印刷用マスク22が配置されており、印刷用スキージ23によって基板WにフラックスFを印刷する。印刷用スキージ23は、スキージ駆動機構24によってフラックス印刷用マスク22の上面をY軸方向に移動しながらフラックスFを基板Wに印刷する。基板ステージ17、フラックス印刷用マスク22、印刷用スキージ23及びスキージ駆動機構24で構成されるユニットをフラックス印刷ユニット25とする。第2基板置台18のY(+)方向側には第2基板搬送ユニット26が配置されている。フラックスFの印刷方法の詳細は、
図3を参照して後述する。
【0032】
第1基板置台16及び第2基板置台18には基板Wを真空吸着する図示しない吸着孔が設けられている。第1基板搬送アーム20及び第2基板搬送アーム21にも基板Wを真空吸着する図示しない吸着孔が設けられており、基板Wを吸着保持できる構成としている。一方、第3基板搬送アーム27にも図示しない吸着孔が設けられている。
【0033】
続いて、
図1を参照してフラックス印刷装置6における基板Wの搬送方法について説明する。第1基板置台16には、ロボットアーム14によって搬送された基板Wが保持されているものとする。基板ステージ17上にある基板Wには、フラックスFが印刷されている。まず、第1基板搬送ユニット19をX軸スライダ30によってX(-)側に移動した後、第1基板搬送アーム20を回転アクチュエータ31によって第1基板置台16に直交する位置まで回転する。そして、Y軸移動アクチュエータ32によって第1基板搬送アーム20をY(+)方向に移動させて、基板Wの裏面を吸着保持する。第2基板搬送アーム21は、第1基板搬送アーム20と共にX(-)方向に移動し、さらに回転アクチュエータ33によって時計回りに回転して基板ステージ17上にある基板Wを吸着保持する。
【0034】
第1基板搬送アーム20及び第2基板搬送アーム21がそれぞれ基板Wを吸着した状態で、第1基板搬送ユニット19をX(+)方向に移動する。第1基板搬送アーム20は、基板Wを第1基板置台16から基板ステージ17に搬送する。第2基板搬送アーム21は、フラックスFが印刷された基板Wを第2基板置台18に搬送する。第1基板搬送アーム20及び第2基板搬送アーム21は、基板ステージ17及び第2基板置台18が基板Wを吸着保持した後、
図1に示す状態に復帰して待機する。基板ステージ17においては、フラックス印刷用マスク22を使用して印刷用スキージ24を駆動して基板上にフラックスFを印刷する。
【0035】
第2基板置台18に吸着支持されているフラックスFが印刷された基板Wは、第2基板搬送ユニット26によって、第1ボール振込装置7に搬送される。第2基板搬送ユニット26は、第3基板搬送アーム27、X軸スライダ34及びY軸移動アクチュエータ35を有している。第3基板搬送アーム27は、Y軸移動アクチュエータ35によって第2基板置台18に向かって移動してフラックスFが印刷された基板Wを吸着し、X軸スライダ34によって第1ボール振込装置7の第1基板置台16まで基板Wを搬送して第1基板置台16に吸着させ、
図1に示す状態に復帰する。なお、第1基板置台16、基板ステージ17及び第2基板置台18それぞれの中心は直線上に配置されており、第1基板置台16と基板ステージ17との距離及び基板ステージ17と第2基板置台18との距離は同じである。
【0036】
第1基板搬送ユニット19は、基板Wを基板ステージ17及び第2基板置台18に搬送した後、
図1に示すフラックス印刷装置6の状態に復帰する。すなわち、第1基板搬送ユニット19は、第1基板置台16から基板ステージ17に基板Wを搬送し、基板ステージ17においてフラックスFが印刷された基板Wを第2基板置台18に搬送する。第2基板搬送ユニット16は、フラックスFが印刷された基板Wを小径用の第1ボール振込装置7に搬送する。第1ボール振込装置7では、フラックスFが印刷された基板Wに小径の導電性ボールB1を搭載する。
【0037】
第1ボール振込装置7は、小径の導電性ボールB1を基板W上に振り込む装置である。第1ボール振込装置7は、フラックス印刷装置6と同じ構成、同じ位置に配置される第1基板置台16、基板ステージ17、第2基板置台18、第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26を有している。第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26の動作は、フラックス印刷装置6における第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26の動作と同じであることから詳細な説明は省略する。
【0038】
基板ステージ17のZ軸上方には、小径の導電性ボールB1用のボール振込用マスク40が配置されており、ボール振込ヘッド41によって基板Wに導電性ボールB1を振り込む。ボール振込用ヘッド41は、X軸スライダ42及びY軸スライダ43によってボールボール振込用マスク40の上面を移動しながらボール振込用孔71(
図5参照)から導電性ボールB1を振り込み、基板Wに搭載する。基板ステージ17、ボール振込用マスク40、ボール振込ヘッド41、X軸スライダ42及びY軸スライダ43で構成されるユニットをボール振込ユニット44とする。導電性ボールB1の搭載方法は、
図5を参照して後述する。
【0039】
ボール搭載装置7において、第1基板搬送アーム20は第1基板置台16からフラックスFが印刷された基板Wを基板ステージ17に搬送し、第2基板搬送アーム21は、基板ステージ17に吸着保持されている導電性ボールB1が搭載された基板Wを第2基板置台18に搬送する。基板ステージ17上では、ボール振込用マスク40のボール振込用孔71(
図5参照)からボール振込ヘッド41のブラシスキージ68(
図5参照)によって導電性ボールB1を基板Wに振り込む。第2基板置台18に吸着保持されている導電性ボールB1が搭載された基板Wは、第2基板搬送ユニット26によって、第2ボール振込装置8の第1基板置台16に搬送される。
【0040】
大径用の第2ボール振込装置8は、第1ボール振込装置7が搭載する導電性ボールB1よりも大径の導電性ボールB2を基板W上に振り込む装置である。第2ボール振込装置8は、フラックス印刷装置6及び第1ボール振込装置7と同じ構成、同じ位置に配置される第1基板置台16、基板ステージ17、第2基板置台18、第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26を有している。第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26の動作は、フラックス印刷装置6及びボール搭載装置7と同じであることから詳細な説明は省略する。
【0041】
基板ステージ17のZ軸上方には、導電性ボールB2の直径に対応する開口径のボール振込用孔72(
図5参照)を有するボール振込用マスク45が配置されており、大径の導電性ボールB2に直径に対応するボール振込ヘッド46によって基板Wに導電性ボールB2を搭載する。ボール振込用ヘッド46は、X軸スライダ42及びY軸スライダ43によってボール振込用マスク45の上面を移動しながらボール振込用孔72から導電性ボールB2を振り込み、基板Wに搭載する。基板ステージ17、ボール振込用マスク45、ボール振込ヘッド46、X軸スライダ42及びY軸スライダ43で構成されるユニットをボール振込ユニット47とする。導電性ボールB2の振り込み方法は、
図5を参照して後述する。
【0042】
第2ボール振込装置8において、第1基板搬送アーム20は第1基板置台16から導電性ボールB1が搭載された基板Wを基板ステージ17に搬送し、第2基板搬送アーム21は、基板ステージ17に吸着保持されている大径の導電性ボールB2が搭載された基板Wを第2基板置台18に搬送する。第2基板置台18に吸着保持されている導電性ボールB1,B2が搭載された基板Wは、第2基板搬送ユニット26によって、除材用の搬送用ロボット装置9の検査部48に搬送される。
【0043】
除材装置としての搬送用ロボット装置9は、導電性ボールB1,B2が振り込まれた基板Wにおいて導電性ボールB1,B2の過不足を検査する検査部48と、導電性ボールB1,B2が振り込まれた基板Wを検査部48から第3ロードポート49又は第4ロードポート50に搬送するロボットアーム51とを有している。第3ロードポート69及び第2ロードポート70には、ロボットアーム51によって検査部68から除材された基板Wを収容するFOPU52が配置されている。図示は省略するが、検査部48は、基板Wに搭載される導電性B1.B2の過不足を検査する検査用カメラを有している。検査部48は、第2ボール振込装置8における第1ワーク置台16と同じ位置に配置されている。すなわち、第2ボール振込装置8の第2基板置台18と検査部48との中心距離は、第1ボール振込装置7の第2基板置台18と第2ボール振込装置8の第1基板置台16との中心距離と同じである。検査用カメラをX方向及びY方向に走査しながら基板W上の導電性ボールB1,B2の過不足を検査する。検査用カメラを固定し、基板Wを移動させるようにしてもよい。
【0044】
なお、ロボットアーム14及びロボットアーム51は、共通構成のものを使用し、プログラムによって給材用と除材用とに駆動制御される。また、図示は省略するが、検査部48にリペア装置を連結することが可能である。
【0045】
以上説明したボール搭載装置1は、フラックス印刷装置6、第1ボール振込装置7及び第2ボール振込装置8は、各々フラックス印刷ユニット25、ボール振込ユニット44、ボール振込ユニット47を有している。また、上記各ユニットはそれぞれ、第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26を有している。つまり、ボール搭載装置1は、第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26とで基板搬送ユニットとしたとき、基板搬送ユニットとフラックス印刷ユニット25とを組み合わせればフラックス印刷装置6を構成し、基板搬送ユニットとボール振込ユニット44を組み合わせれば第1ボール振込装置7を構成し、基板搬送ユニットとボール振込ユニット47を組み合わせれば第2ボール振込装置8を構成することができる。例えば、複数種類の導電性ボールを基板Wに搭載する場合においても、振込対象の導電性ボールの直径に対応したボール振込装置を次々と連結することが可能となる。次に、ボール振込対象の基板Wの構成について
図2を参照して説明する。
【0046】
[基板Wの構成]
図2は、基板Wが再配線されたウエハ状板状物体であるときの1例を示す平面図である。
図2(a)は基板Wの全体を示す平面図、
図2(b)は、
図2(a)に示す点線Aで囲まれた電極形成領域55を拡大して示す図である。電極形成領域55には、多数の電極群56が配置されている。電極群56は、スクライブライン57で4辺を囲まれ、スクライブライン57を切断することにより個別の半導体集積回路チップとなる。この切断は、導電性ボールB1,B2を搭載した基板Wをリフロー炉でリフローした後や、実装工程の最後に行なわれる。電極群56は、小径ボールB1が配列搭載される電極58の集合と大径ボールB2が配列搭載される電極59の集合とで構成される。
図2(b)に示す電極58,59は再配線された電極である。電極58のピッチは、大略50μm~400μmである。なお、
図2は、基板Wに形成された電極58,59及び電極58,59が形成されている電極形成領域55の配置を説明するためのものであり、電極の大きさ、分布や電極形成領域55の形状は実物とは異なる。続いて、基板Wの電極58,59にフラックスFを印刷する方法について
図3を参照して説明する。
【0047】
[フラックス印刷方法]
図3は、フラックスFを基板Wに印刷するフラックス印刷ユニット25の動作を模式的に示す説明図である。
図3(a)はフラックス印刷動作を模式的に示す断面図、
図3(b)は、
図3(a)の点線Aで囲まれた範囲を拡大して示す図である。フラックスFの印刷は、基板Wを基板ステージ17に吸着孔60によって真空吸着した状態で、フラックス印刷用マスク22及び印刷用スキージ23を使用して行う。印刷用スキージ23は、フラックス印刷用マスク22を傷つけないように柔軟性を有する樹脂製とすることが好ましい。基板Wは、フラックス印刷用マスク22に対して所定の隙間を有するように、不図示のステージ上下駆動アクチュエータによって調整される。
【0048】
印刷用スキージ23は、フラックス印刷用マスク22が基板Wに接触する位置まで押圧しつつ図示矢印方向に移動しながらフラックスFを基板Wの電極58,59上に印刷する。本例においては、導電性ボールB1,B2それぞれが搭載される電極58,59にフラックスFを同時に印刷する。
図3(b)において、左側のマスク開口部62の位置を位置(1)、中間のマスク開口部62の位置を位置(2)、右側のマスク開口部62の位置を位置(3)とする。位置(1)は、印刷用スキージ23がマスク開口部62を通過した直後の状態を表しており、フラックスFはフラックス印刷用マスク22の上面からはみ出ない。そして、フラックスFは、電極58,59に接触して収まる。位置(2)は、印刷用スキージ23がマスク開口部62から基板WにフラックスFを印刷する直前の状態を表している。位置(3)は、次に印刷するマスク開口部62を表している。スキージ動作終了後にフラックス印刷用マスク22を版離れさせることで、フラックスFが電極58,59に転写されフラックス印刷が完了する。
【0049】
図4は、フラックスFが印刷された基板W及び版離れしたフラックス印刷用マスク22の一部を拡大して模式的に示す断面図である。基板Wに印刷されたフラックスFは、電極58,59上においてフラックスFの粘性及び表面張力によって中央部が盛り上がるような断面形状となる。フラックス印刷用マスク22では、フラックスFは、マスク開口部62(小径対応を62A、大径対応を62Bとする)に留まり、その状態で次のフラックス印刷を実施する。マスク開口部62A,62B内のフラックスFは、表面張力によって中央部がひけるような断面形状となるが、フラックス印刷を繰り返すことによって基準面22aに余剰フラックスが付着することがある。その際には、図示しないクリーニング装置によって余剰フラックスを除去する。余剰フラックスの除去は、フラックス印刷1回ごとに、又は定期的に、或いは随時行うようにしてもよい。続いて、前述したボール搭載装置1を使用したボール搭載方法について
図5~
図7を参照して説明する。
【0050】
[ボール振り込み方法]
本実施の形態のボール振込方法では、まず、第1ボール振込装置7(ボール振込ユニット44)において小径の導電性ボールB1を基板Wに振り込み、次いで第2ボール振込装置8(ボール振込ユニット47)において大径の導電性ボールB2を基板Wに振り込むことによって直径が異なる2種類の導電性ボールB1,B2を1台のボール搭載装置1によって基板Wに搭載する。
【0051】
図5は、導電性ボールB1を基板Wに振り込むボール振込ユニット44の動作を示す図である。
図5(a)は、ボール振込動作を模式的に示す断面図、
図5(b)は、
図5(a)の点線Aで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。ボール振込ユニット44において、フラックスFが印刷された基板Wを基板ステージ17に真空吸着した状態でボール振込用マスク40及びボール振込ヘッド41によって導電性ボールB1を基板Wの電極58上に振り込む。ボール振込ヘッド41は、導電性ボールB1をボール振込用マスク40に供給するボール振込部66と、ボール振込部66下方のブラシ取付け部67に端部が埋め込まれた結束線状部材で構成されるブラシスキージ68とを有している。ボール振込用マスク40は、基板ステージ17に設けられた吸着孔60とマスクサポート69に設けられた吸着孔70によって真空吸着される。そのことによって、ボール振込用マスク40は基板W及びマスクサポート69の両上面に密接し、基板Wの外周付近においてもボール振込が可能となっている。
【0052】
ブラシスキージ68は、回転しつつX方向及びY方向に移動し、ボール振込部66からブラシスキージ68の回転軌跡内に供給された導電性ボールB1をボール振込用マスク40のボール振込用孔71(
図5(b)参照)に振り込む。
【0053】
図5(b)に示すように、ボール振込用マスク40上に供給された導電性ボールB1は、ブラシスキージ68によってボール振込用孔71に1個ずつ振り込まれる。基板Wの電極58上にはフラックスFが印刷されている。導電性ボールB1は、ブラシスキージ68によってフラックスFに軽く押しつけられることによって、フラックスFの粘着性によって仮固定され、その後の基板搬送において位置ずれは発生しない。なお、ボール振込用マスク40には、大径用の導電性ボールB2を振り込むためのボール振込用孔72(
図6参照)が設けられていないため、導電性ボールB1のみを基板Wに振り込むことが可能となっている。なお、ボール振込用マスク40の基板W側の裏面40aには、支柱40bが突設されている。支柱40bは、電極58,59を避けた位置に複数配置されており、ボール配列用マスク40の裏面40aが印刷されたフラックスFに接触しないようにしている。続いて、導電性ボールB2を基板Wに振り込む方法について
図6を参照して説明する。
【0054】
図6は、導電性ボールB1よりも直径が大きい導電性ボールB2を基板Wに振り込むボール振込ユニット47の動作を示す図である。
図6(a)は、ボール振込動作を模式的に示す断面図、
図6(b)は、導電性ボールB2を振り込む状態を拡大して示す断面図である。導電性ボールB2の基板Wへの振り込みは、導電性ボールB1の振り込み後第2ボール振込装置8において行われる。ボール振込ユニット47において、フラックスFが印刷され、導電性ボールB1が振り込まれた基板Wを基板ステージ17に真空吸着した状態でボール振込用マスク45及びボール振込ヘッド46によって導電性ボールB2を基板Wの電極59上に振り込む。ボール振込ヘッド46は、導電性ボールB2をボール振込用マスク45に供給するボール振込部73と、ボール振込部73下方のブラシ取付け部74に端部が埋め込まれた結束線状部材で構成されるブラシスキージ75とを有している。ボール振込用マスク45は、基板ステージ17に設けられ吸着孔60とマスクサポート69に設けられた吸着孔70によって真空吸着される。そのことによって、ボール振込用マスク45は基板W及びマスクサポート69の両上面に密接し、基板Wの外周付近においてもボール振込が可能となっている。
【0055】
ブラシスキージ75は、回転しつつX方向及びY方向に移動し、ボール振込部73からブラシスキージ75の回転軌跡内に供給された導電性ボールB2をボール振込用マスク45のボール振込用孔72に振り込む。
【0056】
図6(b)に示すように、ボール振込用マスク45上に供給された導電性ボールB2は、ブラシスキージ75によってボール振込用孔72に1個ずつ振り込まれる。基板Wの電極59上にはフラックスFが印刷されている。導電性ボールB2は、ブラシスキージ75によってフラックスFに軽く押しつけられることによって、フラックスFの粘着性によって仮固定され、その後の基板搬送において位置ずれは発生しない。ボール振込用マスク45の裏面45aには、すでに基板Wに振り込まれている小径の導電性ボールB1を収容する凹部76が設けられている。導電性ボールB1が振り込まれている領域は、ボール振込用マスクによって覆われており、大径の導電性ボールB2を振り込むボール振込用孔72のみが開口されている。
【0057】
ここで、凹部76と導電性ボールB1の関係について説明する。本例においては、凹部76の底部76aと導電性ボールB1との隙間Hを10μm以上とし、凹部76の底部76aの残り厚みTを10μm以上としている。隙間H及び残り厚みTをこのように設定することによって、ボール振込用マスク45の総厚みを最適値に規定しながら、導電性ボールB1とボール振込用マスク45が接触することなく、しかも凹部76が形成されている範囲でボール振込用マスク45が反ったり、変形したりすることを防止できる。
【0058】
なお、ボール振込用マスク45の基板W側の裏面45aには、支柱45bが突設されている。支柱45bは、電極58,59を避けた位置に複数配置されており、ボール配列用マスク45の裏面45aが印刷されたフラックスFに接触しないようにしている。
【0059】
図7は、導電性ボールB1,B2が搭載された基板Wの一部を示す断面図である。導電性ボールB1,B2は、基板Wの同一平面上に設けられた電極58,59に印刷されたフラックスF上に搭載されている。導電性ボールB1,B2は、フラックスFの粘性によって搭載された位置や状態が維持される。
【0060】
なお本例においては、複数種類の直径を有する導電性ボールの最小径を20μmとし、小径の導電性ボールと次に搭載する導電性ボールとの直径の差を、少なくとも20μmとしている。導電性ボールの最小径は、フラックス印刷用マスク22の加工性及びフラックス印刷用マスク22を使用したフラックス印刷の限界、ボール振込用マスクの加工性、ボール振込性を考慮して設定される。また、ボール振込用孔71の直径D1を導電性ボールの直径d1の1.1倍とすれば、導電性ボールの直径差を20μm以上にすることによって、小径の導電性ボールを搭載した後の次に搭載する大径の導電性ボールの搭載ミスを防ぐことが可能となる。同様に、ボール振込用孔72の直径D2を導電性ボールの直径d2の1.1倍とすれば、導電性ボールの直径差を20μm以上にすることによって、小径の導電性ボールを搭載した後の次に搭載する大径の導電性ボールの搭載ミスを防ぐことが可能となる。
【0061】
[ボール搭載方法]
次に、前述したボール搭載装置1及びボール振込方法を用いたボール搭載方法について
図8に示す工程フロー図に沿って、
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0062】
図8は、ボール搭載装置1を使用するボール搭載方法の主要工程を示す工程フロー図である。ロボットアーム14によって、給材用の第1ロードポート11又は第2ロードポート12から基板Wをプレアライナ15に搬送する(ステップS1)。プレアライナ15においては、基板Wの位置補正を行う(ステップS2)。位置補正後、ロボットアーム14によって基板Wをフラックス印刷装置6の第1基板置台16に搬送する(ステップS3)。第1基板置台16に搬送された基板Wは、第1基板搬送アーム20によってフラックス印刷装置6の基板ステージ17に搬送され、フラックス印刷ユニット25によって基板WにフラックスFを印刷する(ステップS4)。フラックスFが印刷された基板Wは、一旦、第2基板搬送アーム21によって第2基板置台18に搬送され、さらに第3基板搬送アーム27によって第1ボール振込装置7の第1基板置台16を経由して基板ステージ17に搬送される(ステップS5)。基板Wは、第1ボール振込装置7の第1基板置台16から第1基板搬送アーム20によって基板ステージ17搬送される。
【0063】
第1ボール振込装置7では、基板ステージ17上でボール振込ユニット44によって小径の導電性ボールB1をフラックスFが印刷された基板Wに振り込む(ステップS6)。そして、導電性ボールB1が搭載された基板Wを第2ボール振込装置8に搬送する(ステップS7)。導電性ボールB1が搭載された基板Wは、一旦、第2基板搬送アーム21によって第1ボール振込装置7の第2基板置台18に搬送され、第3基板搬送アーム27によって第2ボール振込装置8の第1基板置台16に搬送され、さらに第1基板搬送アーム20によって第2ボール振込装置8の基板ステージ17に搬送される。続いて、大径の導電性ボールB2を基板Wに振り込む(ステップS8)。
【0064】
続いて、導電性ボールB1,B2が振り込まれた基板Wを搬送用ロボット装置9に搬送する(ステップS9)。導電性ボールB1,B2が搭載された基板Wは、一旦、第2基板搬送アーム21によって第2ボール振込装置8の第2基板置台18に搬送され、第3基板搬送アーム27によって搬送用ロボット装置9の検査部48に搬送される。検査部48では導電性ボールB1,B2の過不足を検査する(ステップS10)。続いて、検査部48で検査が終了した基板Wを除材用のロボットアーム51によって、第3ロードポート49又は第4ローポートに搬送する(ステップS11)。例えば、検査部48で良品判定された基板Wを第3ロードポート49に搬送し、不良品判定された基板Wを第4ロードポート50に搬送するようにしてもよい。
【0065】
図8に示す工程フローは、ボール搭載装置1の稼働開始時のフローを示している。ステップS1~ステップS11をボール搭載動作の1サイクルとしたとき、1サイクルを終了後には、フラックス印刷装置6、第1ボール振込装置7、第2ボール振込装置8の各基板ステージ17及び検査部48に基板Wが搬送されている。従って、フラックス印刷装置6ではフラックスの印刷、第1ボール振込装置7では導電性ボールB1の振り込み、第2ボール振込装置8では導電性ボールB2の振り込み、そして検査部48では導電性ボールB1,B2の過不足検査などの処理動作を、多少のずれはあってもほぼ同時に行うことが可能である。但し、最も時間を要する工程の範囲でそれぞれのタクトタイムを設定すればよい。
【0066】
基板Wの搬送に関しては、上記処理動作の時間外に同じタイミングで行う。すなわち、フラックス印刷装置6、第1ボール振込装置7、第2ボール振込装置8の各装置において、第1基板置台16-基板ステージ17-第2基板置台18-第1基板置台16の基板Wの搬送は移動ストロークを同じにすることによって同じタイミングで基板Wを搬送することが可能である。第2ボール振込装置8から検査部48への基板Wの搬送も上記各装置間の搬送と同じタイミングで行うことが可能である。なお、給材用のロボットアーム14及び除材用のロボットアーム51においては動作の自由度が高いことから、第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26の動作に影響がないように動作タイミングを設定することが可能である。
【0067】
以上説明したボール搭載装置1は、フラックス印刷用マスク22を用いて電極58,59にフラックスFを印刷するフラックス印刷装置6と、導電性ボールの異なる直径に対応する開口径のボール振込用孔を有する2種類以上のボール振込用マスク40,45を使用し、直径が異なる導電性ボールB1,B2ごとに電極58,59上に振り込む第1ボール振込装置7及び第2ボール振込装置8とを備えている。フラックス印刷装置6及び各前記ボール振込装置7,8は、基板Wを搬送する基板搬送ユニット(第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26)を有している。ボール搭載装置1は、フラックス印刷装置6から小径の導電性ボール58、導電性ボールB1の次に直径が大きい導電性ボールB2を振り込む順に連結されている。
【0068】
ボール搭載装置1によれば、直径が異なる導電性ボール58,59ごとに対応するボール振込用マスク40,45を有し、このボール振込用マスク40,45を用いて直径が異なる導電性ボール58,59を電極上に振り込むボール振込装置7,8を備えている。このことによって、直径が異なる2種類の導電性ボールを1台のボール搭載装置1で基板Wに搭載することが可能となる。このように、導電性ボールの直径ごとに対応するボール配列用マスクによって振込対象の導電性ボールを振り込むことから、導電性ボールを過不足なく基板に搭載することが可能となる。
【0069】
また、導電性ボールの直径が2種類であればボール振込装置を2台連結し、3種類であればボール振込装置を3台連結することになり、導電性ボールの直径の種類に対応してボール振込装置を連結することによって多数種類の導電性ボールを所定の電極上に搭載することが可能となる。ボール振込装置1は、複数種類の導電性ボールの基板Wへの搭載を同時、かつ併行して行うことが可能であることから、導電性ボールが複数種類ある場合においても1種類の場合と同じタクトタイムでボール搭載することが可能であり、生産性を高めることが可能となる。さらにボール振込装置1は、それぞれが基板Wを搬送する基板搬送ユニット(第1基板搬送ユニット19及び第2基板搬送ユニット26)を有していることから、導電性ボールの種類に対応して容易に複数のボール振込装置を連結することが可能となる。
【0070】
以上のことから本発明のボール搭載装置によれば、1台の装置で直径が異なる2種類以上の導電性ボールが搭載可能であり、導電性ボールの過不足がなく、生産性を高めることが可能となる。
【0071】
ボール搭載装置1は、ボール振込装置7,8のそれぞれは、導電性ボールB1,B2の直径ごとにボール振込対象の導電性ボールをボール振込用マスク40,45上に供給し、ボール振込用孔71,72に導電性ボール58,59を振り込むボール振込ヘッド44,47を備えている。
【0072】
ボール振込装置7,8は、導電性ボール58,59の直径に対応する専用のボール振込ヘッド41,46を有していることから、2種類に限らず複数種類の直径を有する導電性ボールの電極への振り込みを同時併行して行うことができることから、生産性を高めることが可能となる。
【0073】
ボール搭載装置1においては、ボール振込対象のボール振込用マスク45の基板W側の裏面45aには、電極58上にすでに振り込まれている導電性ボールB1を収容する凹部76が設けられている。振込対象のボール振込用マスク45は、その前に搭載されている小径の導電性ボールB1を凹部76の底部76aで覆うように構成されていることから、異種の直径を有する導電性ボール58,59を混在して基板Wに振り込むことを防止することが可能となる。
【0074】
また、ボール搭載装置1においては、ボール振込対象のボール振込用マスク45に設けられた凹部76の底部とすでに振り込まれている導電性ボールB1との隙間Hを10μm以上とし、底部76aの残り厚みを10μm以上としている。このように構成することによって、すでに振り込まれている導電性ボールB1と底部76aとの間に必ず隙間があることから、次に使用するボール振込用マスク45を基板Wに密接させて導電性ボールB2を電極59上に振り込むことが可能となる。また、底部76aの残り厚みを10μm以上とすることによって、凹部においてボール振込用マスク45が反ることや変形することがなく、導電性ボールB2の振り込みをスムーズに行うことが可能となる。
【0075】
また、ボール搭載装置1においては、導電性ボールの直径の差を少なくとも20μmとしている。導電性ボールの最小径は、フラックス印刷用マスク22の加工性及びフラックス印刷用マスク22を使用したフラックス印刷の限界、ボール振込用マスク40,45の加工性、ボール振込性を考慮して設定される。また、ボール振込用孔71の直径D1を導電性ボールの直径d1の1.1倍とすれば、導電性ボールの直径差を20μm以上にすることによって、小径の導電性ボールを搭載した後の次に搭載する大径の導電性ボールの搭載ミスを防ぐことが可能となる。同様に、ボール振込用孔72の直径D2を導電性ボールの直径d2の1.1倍とすれば、導電性ボールの直径差を20μm以上にすることによって、小径の導電性ボールを搭載した後の次に搭載する大径の導電性ボールの搭載ミスを防ぐことが可能となる。
【0076】
以上説明したボール搭載方法は、上記ボール踏査装置1を使用するボール搭載方法である。まず、基板Wの電極58,59にフラックスFを印刷する。次いで、フラックスFが印刷された基板Wを最も小径の導電性ボールB1に対応するボール振込装置7に搬送し、搭載すべき導電性ボールのうち、最も小径の導電性ボールB1を基板Wに振り込む。次いで、導電性ボールB1が振り込まれた基板Wを次に直径が大きい導電性ボールB2に対応するボール振込装置8に搬送し、導電性ボールB2を基板Wに振り込む。そして、フラックス印刷装置6、ボール振込装置7及びボール振込装置8において、基板Wの搬送を同じタイミングで実行し、フラックス印刷及び導電性ボールB1,B2の振り込みを同じタイミングで実行する。
【0077】
上記ボール搭載方法においては、導電性ボールB1,B2の直径ごとに対応するボール振込装置7,8によって振込対象の導電性ボールを電58,59極上に振り込むことから、導電性ボール58,59を過不足なく、混在することなく基板Wに搭載することが可能となる。また、フラックス印刷装置6から小径用のボール振込装置7に基板Wを搬送する搬送工程と、小径用のボール振込装置7から次の大径用のボール振込装置8に基板Wを搬送する搬送工程とを同じタイミングで実行すること、さらに、フラックス印刷工程、導電性ボールB1を振り込むボール振込工程と、導電性ボールB2を振り込むボール振込工程を同じタイミングで実行することから、導電性ボールの直径が2種以上となっても1種の場合に対してタクトタイムが増加しないので、生産性を高めることが可能となる。以上説明したボール搭載方法によれば、1台のボール搭載装置1で直径が異なる2種類以上の導電性ボールが搭載可能であり、導電性ボールの過不足や混在がなく、生産性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1…ボール搭載装置、5,9…搬送用ロボット装置、6…フラックス印刷装置、7…第1ボール振込装置、8…第2ボール振込装置、16…第1基板置台、17…基板ステージ、18…第2基板置台、19…第1基板搬送ユニット、20…第1基板搬送アーム、21…第2基板搬送アーム、22…フラックス印刷用マスク、23…印刷用スキージ、25…フラックス印刷ユニット、26…第2基板搬送ユニット、27…第3基板搬送アーム、40,45…ボール振込用マスク、45a…裏面、41,46…ボール振込ヘッド、44,47…ボール振込ユニット、48…検査部、58,59…電極、60,70…吸着孔、62,62A,62B…マスク開口部、66,73…ボール振込部、68,75…ブラシスキージ、71,72…ボール振込用孔、76…凹部、76a…底部、B1,B2…導電性ボール、d1,d2…導電性ボールの直径、D1,D2…ボール振込用孔の直径、F…フラックス、H…導電性ボールと底部との隙間、T…底部の残り厚み、W…基板