(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】追加の外部作業チャネルを有する内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230620BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20230620BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20230620BHJP
A61B 1/012 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61B1/00 650
A61B1/00 713
G02B23/24 A
A61B1/018 511
A61B1/012 511
(21)【出願番号】P 2019554864
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2018058874
(87)【国際公開番号】W WO2018185293
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】102017107546.1
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510285610
【氏名又は名称】オヴェスコ エンドスコピー アーゲー
【住所又は居所原語表記】FRIEDRICH-MIESCHER-STRASSE 9, 72076 TUEBINGEN, GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ホ,チ‐ナイア
(72)【発明者】
【氏名】マイニング,アレクサンダー
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131211(JP,A)
【文献】特表2007-532262(JP,A)
【文献】特開2004-230139(JP,A)
【文献】特開2005-131107(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092981(WO,A1)
【文献】特開平07-155283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡グリップ及び内視鏡ヘッドを有する内視鏡の外周に任意に取り付けるための作業チャネル装置であって、
チューブ形状またはホース形状の作業チャネルと、
前記内視鏡の周囲をクランプまたはクラスプ方式で把持するように構成される遠位固定手段と、
クランプ装置またはクラスプ装置を形成する近位固定手段であって、クランプまたはクラスプ方式で前記内視鏡グリップへの接続を提供するように構成され
ており、前記近位固定手段は二つのクランプアームを有し、該二つのクランプアームは、互いの間にクランプ力を提供するように、互いに向かう方向および互いに離れる方向に弾性的に曲がることができる、近位固定手段と、
前記作業チャネル装置の前記作業チャネルの近位端領域に取り付けられるかまたは取り付け可能であり、前記近位固定手段と一体的に形成し、医療機器を接続するための接続点/インターフェースを形成する
スリーブ状本体をさらに備えるアダプタと、を有
しており、
前記近位固定手段は、前記スリーブ状本体から横方向に延び、前記二つのクランプアームのそれぞれを前記スリーブ状本体と接続する中間構造体さらに有する作業チャネル装置。
【請求項2】
前記遠位固定手段は、前記遠位固定手段を内視鏡ヘッドに対して軸方向に形状嵌め方式(form-fit manner)で画定する少なくとも一つの内視鏡ヘッドストッパを形成することを特徴とする請求項1に記載の作業チャネル装置。
【請求項3】
前記内視鏡ヘッドストッパは、前記作業チャネル装置に適合された前記内視鏡の前記内視鏡ヘッドの前側に当接するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の作業チャネル装置。
【請求項4】
前記遠位固定手段は、前記作業チャネルを収容するための少なくとも部分的に円形の断面を有する第一の収容部と、内視鏡ヘッドを収容するための少なくとも部分的に円形の断面を有し、前記第一の収容部に隣接して平行に整列された第二の収容部と、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作業チャネル装置。
【請求項5】
前記第一の収容部は、前記第二の収容部に向かう側において軸方向に延びるスロットを有し、前記第一の収容部と前記第二の収容部とが前記スロットを介して互いに接続されるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の作業チャネル装置。
【請求項6】
前記第一の収容部は、前記第二の収容部に向かって開いているか、またはスロットが形成されたスリーブ形状の壁を有し、前記第二の収容部は、前記第一の収容部から離れるように延在する二つの三日月形状のクランプアームによって形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の作業チャネル装置。
【請求項7】
前記二つの三日月形状のクランプアームの一つは、前記スロットの第一の横方向エッジに直接隣接する位置から延び、前記二つの三日月形状のクランプアームの別の一つは、前記第一の横方向エッジとは反対のスロットの第二の横方向エッジに直接隣接する位置から延び、前記二つの三日月形状のクランプアームは前記第一の収容部の長手軸から離れる方向に延びて互いに向かって曲がり、それらの間で前記第二の収容部を形成することを特徴とする請求項6に記載の作業チャネル装置。
【請求項8】
前記二つの三日月形状のクランプアームは、前記第一の収容部に対向する側で自由端を形成することを特徴とする請求項6または7に記載の作業チャンネル装置。
【請求項9】
前記第一の収容部のスリーブ形状の壁は、前記第二の収容部とは反対側の側面において周方向に閉じられていることを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の作業チャンネル装置。
【請求項10】
前記第一の収容部の側壁は、前記第二の収容部に向かう側の前記スロットを除いて周方向に閉じていることを特徴とする請求項6~9のいずれか一項に記載の作業チャンネル装置。
【請求項11】
前記第一の収容部のスリーブ形状の壁に直接隣接する前記三日月形状のクランプアームの厚さは、第一のスリーブの直径の少なくとも半分である、請求項6~10のいずれか一項に記載の作業チャンネル装置。
【請求項12】
前記第一の収容部の直径は、前記第二の収容部の直径よりも小さい、請求項4~11のいずれか一項に記載の作業チャンネル装置。
【請求項13】
前記遠位固定手段の前記三日月形状のクランプアームが適合された内視鏡の前面の平面内にその外面を有する円形を画定し、前記第一の収容部を画定するスリーブの外面が、前記第一の収容部の直径の半分以下だけ半径方向にこの円形を超えて突出することを特徴とする請求項6に記載の作業チャネル装置。
【請求項14】
前記近位固定手段は、内視鏡グリップの周囲を把持するために前記アダプタから離れて延びる二つのウイングまたはラグとして構成され、次に、それぞれがテープまたはストラップを誘導するためのアイレットを形成することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の作業チャネル装置。
【請求項15】
前記テープまたはストラップを案内するために、前記ウイングまたはラグから離れたスリーブ状アダプタの側に配置されたフックを特徴とする請求項14に記載の作業チャネル装置。
【請求項16】
前記近位固定手段は、内視鏡グリップをそれらの間にクランピングする形で収容するように構成された、二つの弓形カンチレバーから構成されることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の作業チャネル装置。
【請求項17】
前記弓形カンチレバーの少なくとも一方がその自由端に、テープまたはストラップを保持するための、前記カンチレバーの曲率方向とは反対方向に湾曲したフックを有することを特徴とする請求項16に記載の作業チャネル装置。
【請求項18】
前記弓形カンチレバーの少なくとも一つが、テープまたはストラップをしっかりと保持するために、そのスロット開口部の領域で狭められた少なくとも一つの保持スリットをその縁領域に有することを特徴とする請求項16または17に記載の作業チャネル装置。
【請求項19】
前記アダプタが、異物が前記作業チャネルの近位端に入ること、および/または空気もしくは液体が前記作業チャネルの近位端から漏れることを防止する一体化された弁を有することを特徴とする請求項1~18のいずれか一項に記載の作業チャネル装置。
【請求項20】
追加の被覆ホースが、前記作業チャネルおよび前記内視鏡がそれに適応されるように適合され、かつ構成されることを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の作業チャネル装置。
【請求項21】
前記クランプアームは、前記中間構造体を介してのみ互いに接続されていることを特徴とする請求項
1に記載の作業チャンネル装置。
【請求項22】
内視鏡シャフトを有する内視鏡を有する内視鏡システムであって、その遠位端に内視鏡ヘッドが配置され、その近位端に内視鏡グリップが配置され、請求項1~21のいずれか一項に記載の特徴を有する作業チャネル装置を
備える内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡(特に可撓性シャフト設計)の外周に任意に取り付けるための適応型の外部/別個の作業チャネル装置、およびそのような外部作業チャネル(追加作業チャネル(Additional Working Channel)、略してAWC)を有する(可撓性)シャフト設計の内視鏡に関する。AWCは、内視鏡/内視鏡ヘッドの上/周囲に取り付けられ、任意の所望のまたは所定の位置でそれに位置決めされるように準備される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明によるAWCは本質的に4つの構成要素を有する。
【0003】
第一の構成要素は、(その内径に関して)(共通/従来の)内視鏡の遠位端(内視鏡ヘッド)とのプラグ/スナップオンまたはクリップ接続を確立するように設計された遠位端キャップまたはクランプ/ばねクリップによって実現される。スナップ式接続とは別に、エンドキャップまたはクランプ/ばねクリップは、好ましくは、エンドキャップまたはクランプ/ばねクリップに選択的にしっかりと接続されるか、または別個の追加の構成要素として封入される接着テープでさらに固定されうる。
【0004】
第二の構成要素は、追加の作業チャネルを形成し、エンドキャップまたはクランプ/ばねクリップに接続されるか、または固定して接続されるホースまたは可撓性パイプスリーブによって実現される。ホース/パイプスリーブは、好ましくは遠位端で切断され、または、内視鏡シャフトの現在の軸方向長さに応じた長さに切断されるか切断されうる。さらに、例えば、追加の接着ストリップまたはクリップまたはベルクロ(登録商標)テープのためのさらなる取り付け位置/取り付け手段が、好ましくは等距離で、ホース/パイプスリーブに存在/提供されてもよく、それによって、ホースは、標準として提供される内視鏡ヘッドとその内視鏡グリップとの間で内視鏡シャフトに固定されてもよい。
【0005】
第三の構成要素は、別個のホース/パイプスリーブの近位端部分を内視鏡グリップに一時的/任意的に取り付けるための解放可能な固定手段に関し、例えば、ホース/パイプスリーブの近位端部分に(所定の長さに正確に切断された後で)取り付けることができ、好ましくはベルクロ(登録商標)テープ/ゴムストラップ/ベルト等のようなテンションストラップを締結することができる締結具(アイレット/貫通孔/フック/ボタン等)を自由端に有する二つのクリップ型またはウイング型取り付けラグからなる。
【0006】
第四の構成要素は、標準化された接続システムのためのインターフェースを有するアダプタによって実現される。このアダプタは最初に、ホース/パイプスリーブの近位端にスリーブ状に取り付けられるように準備され、それによって、アダプタはまた、二つのクランプ状または翼状の取り付けラグを、好ましくは一体的に、同時に保持する。したがって、AWCをシリンジ/ポンプなどの他の医療デバイスと経済的に結合するために、従来の接続システムをアダプタに結合することもできる。
【0007】
言い換えれば、本発明は、内視鏡に追加の作業チャネル(AWC)を装備するための改造キットに関する。セットは、可撓性ホースとして形成され、改造内視鏡のシャフトに円周方向に配置され取り付けられる前記追加作業チャネルと、追加作業チャネルの遠位端を改造内視鏡の遠位端に接続するように構成される遠位固定手段と、追加作業チャネルの近位端を改造内視鏡のハンドル部分に固定するように構成される近位固定手段と、医療器具またはデバイス(例えば注射器)のためのインターフェースとしてのアダプタと、を含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、カバーホースは、作業チャネル上に引っ張られるように適合および構成され、内視鏡がそれに適合/後付けされる、追加の(第五の)構成要素として提供されてもよい。したがって、カバーホースは内視鏡およびその上に配置された追加の作業チャネルを包み、したがって、組織がこれらの二つの構成要素の間に捕捉されること(これは、トラブル(complications)(例えば、組織の裂け目および穿孔)につながりうる。)を防止できる。
【0009】
本発明の好ましい構成によれば、遠位固定手段は少なくとも一つの内視鏡ヘッドストッパを形成することができ、この内視鏡ヘッドストッパは、遠位固定手段を内視鏡ヘッドに対して、その軸方向のフォームクロージャによって固定する。この内視鏡ヘッドストッパは、好ましくは、ワーキングチャネルデバイスに適合された内視鏡の内視鏡ヘッドの前面/前面に接触するように構成されうる。このようにして、AWCを後付けした内視鏡が挿入されたときに、追加の作業チャネルが近位に滑るのを確実に防止する形状適合(form-fit)が作り出される。
【0010】
さらなる好ましい構成によれば、遠位固定手段は、作業チャネルを収容するための少なくとも部分的な円形断面を有する第一の収容部と、内視鏡ヘッドを収容するための少なくとも部分的な円形断面を有し、第一の収容部に隣接して平行に配置された第二の収容部と、を有しうる。
【0011】
本発明の好ましい構成によれば、第一の収容部は第二の収容部に向かって開いた、またはスロットが形成されたスリーブ形状を有することができ、第二の収容部は、第一の収容部から離れるように延びる二つの三日月形クランプアームによって形成することができる。追加の作業チャネルの遠位端は対応して、スリーブ形状の第一の収容部内に押し込まれることができ、一方、三日月形状のクランプアームはそれらの内面とともに、改造された内視鏡の遠位先端の周りをクランプすることができる第二の収容部を形成する。そのスロット付きスリーブ形状のために、第一の収容部は、その固有の弾性によって、クランプアームのクランプ力(の少なくとも一部)を提供するばね要素として機能することができる。
【0012】
上記構成のさらなる発展によれば、遠位固定手段の三日月形のクランプアームはその外面で、適合された内視鏡の前面の平面内に円形を画定することができ、第一の収容部を画定するスリーブの外面は、この円形上で、第一の収容部の直径の半分以下だけ半径方向に突出(project)/突出(protrude)できる。換言すれば、追加の作業チャネルは、遠位固定手段の前面シルエットに嵌合できる。遠位作業チャネル端が遠位キャップの外周からその全直径で半径方向に突出する従来のAWCとは対照的に、記載された構造設計は改造された内視鏡を挿入するときに、より良好な滑り特性をもたらす。
【0013】
好ましい構成によれば、近位固定手段は、アダプタと一体的に形成することができる。したがって、アダプタは内視鏡のグリップに人間工学的にアダプタを取り付けるのに役立つ、二つのクランプ状、弓状、または翼状の取り付けラグまたはカンチレバー(好ましくは一つの材料片で作られる)を有する。カンチレバーは第一の構成の穴を有し、アダプタはフックまたはボタンを有し、これらのすべては、ベルクロ(登録商標)テープ接続または他の(張力)ストラップに係合するように機能する。第二の、代替的な構成では、カンチレバーは、ハンドルをしっかりと締め付けることができるように、内視鏡グリップをフック形状の延長部またはバックルにスナップ留めまたは挿入するのに役立ち、さらに追加の弾性要素/ストラップ/テープ/ゴムをフック留めすることを可能にするフック(フック形状の延長部またはバックル)を有する。
【0014】
本発明の好ましい構成によれば、クランプ状、弓状または翼状の取り付けラグまたはカンチレバーは、互いから離れて面するそれらの自由端にフックを形成することができ、これらのフックは内視鏡グリップを取り囲む取り付けラグまたはカンチレバーを固定するために、ゴムリングまたはバンドで互いに対して引っ張られることができる。好ましくは、取り付けラグの少なくとも一つまたはカンチレバーの一つはその自由端でフックに隣接するその縁領域に保持スリットを有しうる。この保持スリットは取り付けラグまたはカンチレバーの縁部に向かって開いており、この開口部は狭部(ボトルネック)を形成する。ゴムリングまたはゴムバンドは、前記狭い点を通ってスナップ留めされ(その中にあらかじめ取り付けることができる)、したがって保持スリット内に保持される。これにより、AWCを内視鏡グリップに取り付ける際に、ゴムリングまたはゴムバンドがフックから滑り出して地面に落下する(非滅菌状態になる)ことが防止される。
【0015】
さらなる態様によれば、アダプタは一体化された弁を有してもよく、または器具が作業チャネル内で使用されるときに作業チャネルを封止するように、および/または空気/液体が患者の身体から逃げない/流れることができないように封止するように意図された弁がアダプタ上に取り付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、好ましい例示的な実施形態を使用して、添付の図面を参照して、以下により詳細に説明される。図面は本質的に単に概略的であり、本発明を理解するためにのみ役立つ。同一の要素には同一の参照符号を付してある。
【0017】
【
図1】本発明の第一の構成による内視鏡グリップ、内視鏡シャフト、および作業チャネルデバイスを備える内視鏡を示す図
【
図2】第一の構成による本発明による作業チャネル装置の遠位固定手段または遠位端キャップを示す図
【
図3】第一の構成による遠位端キャップが内視鏡に取り付けられた状態の管状またはホース状の作業チャネルを示す図
【
図4】内視鏡なしの第一の構成による遠位端キャップを有する管状またはホース状の作業チャネルを示す図
【
図5】第一の構成による作業チャネル装置の近位固定手段を示す図
【
図6】内視鏡グリップに固定された状態の、第一の構成による作業チャネル装置の近位固定手段を示す図
【
図7】第二の構成による作業チャネル装置の近位固定手段を示す図
【
図8】第二の構成に係る作業チャネル装置の近位固定手段の断面図
【
図9】好ましい構成における遠位端キャップの断面図
【
図10】第一の構成による作業チャネル装置の近位固定手段の断面図
【
図11】第二の構成による内視鏡ヘッドに取り付けられた遠位端キャップの正面図
【
図13】第二の構成による内視鏡ヘッドに取り付けられたエンドキャップの斜視図
【
図14】第三の構成による作業チャネル装置の近位固定手段を示す図
【
図15】密閉具および弁を有する近位固定手段に配置されたアダプタの詳細を示す図
【
図17】内視鏡のない構成による完全な作業チャネル装置の図
【
図18】カバーホースを備えた構成による作業チャネル装置の詳細を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
基本的に、本発明は可撓性シャフト設計の(市販の)内視鏡2に、追加の作業チャネル3、いわゆるAWC(Additional Working Channel)を改造するための作業チャネル装置1に関する。このような内視鏡2は従来技術において周知であり、したがって、以下では非常に簡単に説明する。このタイプの内視鏡2は、通常、一次(内視鏡内部)作業チャネルの出口、撮像用の光学系、および/またはランプなどのような、以下ではより詳細に説明しない様々な機能ユニット25が配置された内視鏡ヘッド21を有する。さらに、このような内視鏡2は、通常、受動的に屈曲可能な剛性部分、好ましくは能動的に屈曲可能な部分(偏向)を有する可撓性シャフト22と、様々な機能ユニット25をベースステーションなどに接続するための様々な操作要素および端子を有するグリップ23と、を有する。
【0019】
本発明に係る作業チャネル装置1の追加作業チャネル3は、ホース3(または管状スリーブ3)によって形成され、これは、使用中に内視鏡シャフト22に適用され、グリップ23から内視鏡ヘッド21まで沿いかつ外側に延び、このように形成される追加の外部作動チャネルを通じて、ユーザ側から患者に(最小限侵入する)工具および/または媒体を導入できる。
【0020】
好ましい例示的な実施形態では、作業チャネル/ホース3が最初に、所定の長さに切断され/切断され、内視鏡シャフト22の長さに適合される。作業チャネル/ホース3の遠位出口の位置合わせおよび軸方向位置を決定するために、遠位固定手段(遠位キャップ)4が作業チャネル/ホース3の遠位端に設けられる。この固定手段4は、内視鏡ヘッド21の外周を、望ましくは内視鏡ヘッド外周の約4/5の部分円に囲まれ、二つのクレッジ状クランピングアーム45を形成し、それによってクランピング法で固定/切断することができる統合された固定部43を備える(
図3参照)。遠位固定手段4の断面図(
図9)が示すように、それは、スリーブのような形で作業チャネル/ホース3に押し込まれ、ストッパ41を介してそれと関連して画定される。好ましくは、作業チャネル/ホース3がその固有の弾性によって、遠位固定手段4をスリーブ状に収容するクランプ効果を生成する。作業チャネル/ホース3のためのスリーブ状の収容部は固定部分43に面する側にスロットが設けられ、したがって、ばね要素としても働き、ばね要素はその固有の弾性のために、規定された所定の応力に打ち勝つことによって三日月形クランプアーム45の撓みを可能にする。部分円形状の固定部分43はまた、好ましくは固定部分43の部分円形状の周りに延在し、内視鏡ヘッド21に対して遠位固定手段4を軸方向に画定するために内視鏡ヘッド21の遠位端円周縁と相補的である停止部42を形成する。遠位固定手段4の固定部分43は内視鏡ヘッド21の前面に位置する機能ユニットを露出させるか、または妨害されないままにするために、主にその外周面上で内視鏡ヘッド21と相互作用する。好ましくは、遠位固定手段4が過剰な力による意図しない緩みに対して、テープ44でさらに固定することができる。
【0021】
固定部分43またはそのクランプアーム45は、
図3において適合された内視鏡2から離れて面する上部領域に配置され、その結果、ホース3のためのスリーブ形状の収容部は、半径方向にクランプアーム45を越えてはるかに突出しない。これは、特に遠位キャップ4の遠位円周縁の環状の設計と組み合わせて、遠位固定手段4の前面シルエットの比較的滑らかな/流線形の外側輪郭をもたらす。
【0022】
作業チャネル/ホース3が内視鏡シャフト22と接触することを確実にするために、作業チャネル/ホース3は、テープ/接着テープ31またはクリップ(図示せず)で、好ましくは均等な間隔でそれに固定される。
【0023】
好ましくは、スリーブ形状のアダプタ5が使用者に面する作業チャネル/ホース3の近位開口部に取り付けられ、これは、適用可能であれば、医療デバイスのための標準化された接続ポイント/インターフェース51を形成する。図示の例示的な実施形態では、これは注射器等を接続するためのルアーコーンである。スリーブ形状アダプタ5はまた、近位アダプタ5に対して作業チャネル/ホース3を軸方向に固定するために、その内側で円周方向に延びるストッパ52を形成する。ここでも、ホース3の固有の弾性は、アダプタ5との付加的な力ロック接続(additional force-locking connection)を有利に形成することができる。
【0024】
作業チャネル装置1は、近位固定手段6により、好ましくは内視鏡グリップ23上に、特に、アダプタ5が改造された内視鏡20の通常の作業チャネルの入口24の高さにほぼあるように、近位に取り付けられる。固定手段6は、以下に示され説明される例示的な実施形態ではアダプタ5と一体的に製造されるが、別個のモジュール構成要素として設計することもできる。
【0025】
近位固定手段6の第一の構成は取り付けられたときに内視鏡グリップ23を少なくとも部分的にまたは完全に取り囲むことができるように、スリーブ形状アダプタ5の外周から離れるように延びる二つの翼/固定ラグ61を提供する。ウイング61とは反対側のアダプタの外周側には、ベルクロ(登録商標)テープ64(または他のテンションストラップ)を固定するのに役立つフック62が配置される。次に、このベルクロ(登録商標)テープ/テンションストラップ64を、フック62を介して固定し、ウイング61の自由端のアイレット63を通して案内して、近位固定手段6、したがって作業チャネル装置1をグリップ23に固定/結び付けることができる。
【0026】
近位固定手段6の第二の構成は、翼の自由端部61に、特に上方(凸状)のカンチレバー65を設けており、この二つは、内視鏡グリップ23の周りを、クラスプまたは強制力(一部円形)の形でグリップするように構成されている。ウイング61および/またはカンチレバー65は、グリップ23がそれらの間にスナップ留めされることができるように、ある固有の弾性を有する。カンチレバー65を確実に固定するために、反対側(凹状)に湾曲したフック66がそれらの自由端に設けられている。これらのフック66の助けにより、カンチレバー65の自由端はゴムリング、Oリング等によって広がらないように固定することができ、それによって、近位固定手段6は、内視鏡20のグリップ23上にしっかりと保持される。言い換えれば、カンチレバー65はフック66が自由端に配置された状態で、本質的にΩ形状を形成し、その脚部は、追加の弾性バンドによって開放運動に対して固定される。
【0027】
作業チャネル装置1の第三の構成は、第一に、作業チャネル装置が付加的なカバーホース7を有する点で異なる。さらに、遠位固定手段(遠位キャップ)4、アダプタ5、および近位固定手段6の設計は、以下でより詳細に説明するように、第一および第二の構成とはわずかに異なる。
【0028】
図11~13が示すように、本発明の第三の構成の遠方固定手段またはそれぞれのキャップ4には、ラグ状の内視鏡の頭部ストッパ42が設けられており、これは固定部43の三日月形クランピングアーム45から半径方向の内側に延長され、内視鏡ヘッド21の前面とストッパを形成することにより、近接側に近接するキャップ4のスリップが確実に防止されるようになっている。さらに、内視鏡ヘッドストッパ42は、遠位キャップ4を内視鏡ヘッド21に取り付けるときに、内視鏡ヘッド21に対する追加作業チャネル3の遠位出口の規定された位置を容易にする。
【0029】
図14に示す第三の構成の作業チャネル装置1のアダプタ5は、一方では(一体的に製造された)キャップ53で閉鎖することができ、他方ではその内部に弁装置を有し、これはさらに詳細には示されていないが、作業チャネル3内への異物の意図しない侵入、ならびに体液の意図しない漏れなどを防止する。
【0030】
図15および
図16に示す第三の構成の近位固定手段6は、アダプタ5と一体的に形成された二つの三日月形クラスプ65を含み、これらのクラスプは内視鏡グリップ23の周りを把持し、それらの遠位端部分に形成されたフック66およびゴムリング67によって互いに対して締め付けられるように構成されているという点で、第二の構成のものと同様である。本発明の第三の構成の近位固定手段6は、フック66の一つに隣接して、フック66を担持する留め金65の自由端の縁に成形される追加の保持スリットまたはアイレット68を有する。保持スリット68は、それらの開口部の領域においてより狭く、内側においてより球根状であり、その結果、ゴムリング67は弾性変形の下で狭い点を通って押される/スナップ留めされることができるのみであるが、保持スリット68の球根状領域において再び拡張する。このようにして、ゴムリング67は、近位固定手段6にしっかりと保持され、組み立て中にフック66から滑り落ちて床に落下することがない。
【0031】
第三の構成において追加の構成要素として追加されたカバーホース7は、
図17および
図18に最もよく示されている。
図18に示すように、カバーホース7は、内視鏡ヘッド21の背後で近位に取り付けられ、適合された内視鏡2の内視鏡シャフト22および追加の作業チャネル3の上で内視鏡グリップ23に向かって引っ張られる。
図18に見られるように、追加の作業チャネル3は特定の状況下では内視鏡シャフト22がそれに応じて曲げられるときに、内視鏡シャフト22からわずかに突出し、その結果、ギャップが形成される。このような場合、カバーホース7は、組織外傷につながる可能性がある組織が前記ギャップ内に捕捉されることを防止する。
図17に示す作業チャネル装置1は取り付け中にカバーホース7を一時的に固定するためのケーブルツイストクリップ71と、小さな(案内)チューブ72とを含み、これにより、集められたカバーホース7を適合される内視鏡2上に滑り込ませることが容易になる。
【0032】
以下、上述した第三の構成を用いて、作業チャネル装置1を内視鏡2に装着する典型的な手順について説明する。
【0033】
まず、作業チャネル装置1に含まれるカバーホース7の小チューブ72に内視鏡を押し込む。
【0034】
続いて、ストッパ42が内視鏡チップ21の前面に接触するように、遠位固定手段(4)が内視鏡チップ21上に配置される。この時点で依然として相対的に回転可能である作業チャネル3は、所望の用途に応じて円周方向に配置される。次いで、遠位固定手段は、セットに含まれる接着ストリップ31を使用して内視鏡に固定される。
【0035】
AWCアダプタ5は、カンチレバーまたはクラスプ65を作業チャネルの上方のグリップの周りに配置することによって、内視鏡作業チャネル入口の隣の右または左(好みに応じて)に近位固定手段6を用いて内視鏡グリップ23に取り付けられる。次に、ゴムリング67を設けられたフック66に取り付けることによって、アダプタ5をクラスプ65に固定する。
【0036】
AWCアダプタ5の約10cm下の内視鏡シャフト上のさらなる接着ストリップ31は、内視鏡グリップ23にそれをさらに取り付ける。
【0037】
遠位ケーブルねじりクリップ71を取り外し、遠位固定手段の接着ストリップ31からある距離をおいてホース端を接着ストリップ31で内視鏡2に取り付け、小管72を使用してカバーホース7(内視鏡カバー)を内視鏡2の近位端に引き戻す。それはこのプロセスの間に展開する。カバーホース7は、遠位端に余分な材料がないように、近位端に向かって平滑化される。残りのケーブルツイストクリップ71および小チューブ72は取り除かれる。システムの導入を容易にするために、カバーホース7の表面は、追加の接着ストリップ31をカバーホース7の上に互いに距離を置いて分配することによって減少させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 作業チャネル装置
2 内視鏡
21 内視鏡ヘッド/内視鏡チップ
22 内視鏡シャフト
23 内視鏡グリップ
24 通常の作業チャネルの入口/アクセス
25 機能ユニット(光学系、ランプ、ワーキングチャネルなど)
3 ワーキングチャネルまたは各作業チャネル/ホース/可撓性パイプスリーブ
31 固定テープ
4 遠位固定手段/遠位端キャップ
41 遠位ホースストッパ
42 内視鏡ヘッドストッパ
43 固定部
44 固定用テープ
45 クランプアーム
5 アダプタ
51 インターフェース/ルアーコーン
52 近位ホースストッパ
53 キャップ
6 近位固定手段
61 ウイング/固定ラグ
62 フック
63 アイレット
64 (ベルクロ(登録商標))テープ
65 カンチレバー/留め具
66 フック
67 ゴム製リング
68 保持スリット
7 カバーホース
71 ケーブルツイストクリップ
72 小管