(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23K 26/064 20140101AFI20230620BHJP
B23Q 39/02 20060101ALI20230620BHJP
B23P 23/04 20060101ALI20230620BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20230620BHJP
C23C 14/28 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B23K26/064 Z
B23Q39/02
B23P23/04
B23Q3/155 K
C23C14/28
(21)【出願番号】P 2020171503
(22)【出願日】2020-10-09
(62)【分割の表示】P 2018179136の分割
【原出願日】2013-07-16
【審査請求日】2020-11-09
(32)【優先日】2012-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2013-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515015632
【氏名又は名称】エックス シンティラ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンズ ジェイソン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】コーツ ピーター
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-238253(JP,A)
【文献】特表平10-501463(JP,A)
【文献】特表2000-513275(JP,A)
【文献】特開2003-025183(JP,A)
【文献】特開2005-186180(JP,A)
【文献】特開2003-320471(JP,A)
【文献】特開2006-255887(JP,A)
【文献】中国実用新案第202114398(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0133527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/08
B23Q 3/155、39/02
B23P 23/04
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸工作機械であって、
1つ以上の原料媒体をワークピース上に蒸着するように配置された第1の加工ヘッドであって、前記1つ以上の原料媒体は、金属、ポリマ、又はセラミックのいずれか1つから選択され、かつ、パウダー、フィラメント、ロッド、ワイヤ、液体、ペースト、エマルジョン、又は懸濁液、のいずれか1つの形態であり、
該第1の加工ヘッドは、
前記1つ以上の原料媒体を処理するために、前記ワークピース上に又は前記1つ以上の原料媒体にエネルギを向けるように配置された1つ以上のガイド機構と、
原料媒体供給部及び前記エネルギ源が接続されるように配置された加工ヘッドドッキングマニホルドと、を有し、
該多軸工作機械は、さらに、
前記ワークピースを加工するために一時的に前記第1の加工ヘッドを、及び別の機械加工ヘッド又は加工ヘッドを受け取るように配置された、クランプ機構と、
前記エネルギ源から前記第1の加工ヘッドにエネルギを送るように配置されるとともに、前記1つ以上の原料媒体を前記第1の加工ヘッドに提供するように配置された、供給ドッキングマニホルドと、
前記供給ドッキングマニホルドを前記加工ヘッドドッキングマニホルドと接続又は分離するために前記供給ドッキングマニホルドを移動させるように配置され、前記2つのマニホルドが接続された際に前記1つ以上の原料媒体及び前記エネルギが前記第1の加工ヘッドに供給されるようにする、少なくとも1つの移動機構と、を有する、多軸工作機械。
【請求項2】
前記エネルギ源は、前記原料媒体が前記ワークピースに添加される付加加工ステップを形成するために前記エネルギが前記原料媒体を処理するように配置される、請求項1に記載の多軸工作機械。
【請求項3】
前記1つ以上の原料媒体は、パウダー又はフィラメント状の、金属、ポリマ、又はセラミック材料、あるいはプロセス流体のいずれかである、請求項2に記載の多軸工作機械。
【請求項4】
前記1つ以上の原料媒体の少なくともいくらかは前記多軸工作機械への原料媒体供給部から得られる、請求項3に記載の多軸工作機械。
【請求項5】
前記加工ヘッドドッキングマニホルドは、前記第1の加工ヘッドが前記クランプ機構に接続されている際に、該第1の加工ヘッドにおける前記1つ以上のガイド機構を冷却するように冷媒が配設されることを許容し、及び/又は前記原料媒体に加えて遮蔽媒体が該第1の加工ヘッドに供給されることを許容する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項6】
前記加工ヘッドドッキングマニホルドは、前記1つ以上の原料媒体を提供するように配置され、任意で冷媒、及び/又は遮蔽媒体を供給するように配置された複数のダクトを有する、請求項5に記載の多軸工作機械。
【請求項7】
前記供給ドッキングマニホルドは、原料媒体供給部と前記エネルギ源とを前記加工ヘッドドッキングマニホルド内の前記複数のダクトに位置合わせする位置合わせ機構を備え、前記位置合わせ機構は、前記第1の加工ヘッド内に前記エネルギを送るように配置された供給ユニットであって使用の際に前記位置合わせ機構に接続される供給ユニットを有するように配置され、前記位置合わせ機構は、さらに、冷媒供給部及び/又は遮蔽媒体供給部を前記加工ヘッドドッキングマニホルドにおける前記複数のダクトに位置合わせするように配置される、請求項6に記載の多軸工作機械。
【請求項8】
前記多軸工作機械において、前記エネルギ源は、前記エネルギが前記原料媒体を加熱するように配置されており、前記第1の加工ヘッドに受容されたバッテリを含み、
前記バッテリは、さらに、前記ワークピースへの前記原料媒体の付加加工を制御するためにエネルギを供給するように配置され、
前記供給ドッキングマニホルドは、前記第1の加工ヘッドが前記多軸工作機械にクランプされている間に前記第1の加工ヘッドに接続され、
前記バッテリは、該バッテリを充電するために前記供給ドッキングマニホルドを介して電気供給幹線に接続可能である、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項9】
前記供給ドッキングマニホルドは、前記エネルギが前記加工ヘッドドッキングマニホルドを介して前記第1の加工ヘッド内に送られることができるように配置されている、請求項1から請求項8
のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項10】
前記第1の加工ヘッドは、使用の際、前記第1の加工ヘッドの長手軸に沿って前記エネルギを領域上に集束するように配置され、前記エネルギは、レーザ、電子ビーム、アーク、プラズマ、電磁放射のいずれかである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項11】
前記ガイド機構は、1つ以上のレンズ、ミラー、プリズム、回折格子、ビームエクスパンダ、空間光変調器、光学素子、電気カップリング機構、伝導性媒体経路、電磁継手機構、遮蔽部品、ビームステアリング部品、ビームステアリングフィールドジェネレータ、マイクロエレクトロメカニカルシステム、マイクロミラーデバイス、のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項12】
前記第1の加工ヘッドは、前記ワークピース上に原料媒体を蒸着するように配置され、さらに、蒸着した前記原料媒体の少なくともいくらかを前記ワークピースから取り除くように配置される、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項13】
前記第1の加工ヘッドは、取り除くことが可能なように前記クランプ機構に接続される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項14】
前記クランプ機構は、当該多軸工作機械のスピンドルのノーズに収容される、請求項13に記載の多軸工作機械。
【請求項15】
前記ガイド機構は、前記エネルギにより原料媒体が前記第1の加工ヘッド内で又は前記第1の加工ヘッド外側で溶融されることができるように配置されている、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項16】
キットであって、
多軸工作機械への接続に適合した第1の加工ヘッドであって、該第1の加工ヘッドは、使用中に、前記多軸工作機械のクランプ機構に接続され1つ以上の原料媒体をワークピース上に蒸着するように配置され、前記1つ以上の原料媒体は、パウダー、ペレット、フィラメント、ロッド、又はワイヤ状、の金属、ポリマ、又はセラミックのいずれか1つから選択される、第1の加工ヘッド、を備え、該第1の加工ヘッドは、
前記1つ以上の原料媒体を処理するために、前記ワークピース上に又は前記1つ以上の原料媒体上にエネルギを向けるように配置された1つ以上のガイド機構と、
原料媒体供給部及び前記エネルギ源が接続されるように配置された加工ヘッドドッキングマニホルドと、を有し、
該キットは、
前記エネルギ源から前記第1の加工ヘッドにエネルギを送るように配置されるとともに、前記1つ以上の原料媒体を前記第1の加工ヘッドに提供するように配置された、供給ドッキングマニホルドと、
前記供給ドッキングマニホルドを前記加工ヘッドドッキングマニホルドと接続又は分離するために前記供給ドッキングマニホルドを移動させるように配置され、使用中に、前記2つのマニホルドが接続された際に前記1つ以上の原料媒体が前記第1の加工ヘッドに供給されるようにする、移動機構を有する、キット。
【請求項17】
ワークピース上に原料媒体を蒸着し、ワークピース上にエネルギを集束させるように配置された第1の加工ヘッドを接続する方法であって、該方法は、
a)多軸工作機械に、保管場所から前記第1の加工ヘッドを選択させ、前記多軸工作機械のクランプ機構に前記第1の加工ヘッドを挿入させることと、
b)供給ドッキングマニホルドを前記第1の加工ヘッドの加工ヘッドドッキングマニホルドに接続させるように配置された移動機構を作動させることと、を含み、
c)前記供給ドッキングマニホルドと前記加工ヘッドドッキングマニホルドの接続は、使用の際、1つ以上の原料媒体が供給されることができるように及び1つ以上の原料媒体が前記エネルギにより処理されるように、前記エネルギ源からのエネルギの供給を前記第1の加工ヘッドに提供し、原料媒
体を前記第1の加工ヘッドに提供し、前記1つ以上の原料媒体は、パウダー、ペレット、フィラメント、ロッド、又はワイヤ状、の金属、ポリマ、又はセラミックのいずれか1つから選択される、方法。
【請求項18】
前記供給ドッキングマニホルドは、前記第1の加工ヘッドが前記多軸工作機械の前記クランプ機構内に係合する前に又はその間に、移動して前記加工ヘッドドッキングマニホルドと接続する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
多軸工作機械であって、前記多軸工作機械はワークピースを加工するように配置され、前記多軸工作機械は、
第1の加工ヘッド及び少なくとも1つの機械加工ヘッドと、
前記第1の加工ヘッド及び前記少なくとも1つの機械加工ヘッドの一方を一時的に受け取るように配置されたクランプ機構とを有し、
前記多軸工作機械は、前記第1の加工ヘッド又は前記少なくとも1つの機械加工ヘッドを操作可能な位置からヘッド取り換え位置に移動させ、
前記クランプ機構から前記第1の加工ヘッド又は前記少なくとも1つの機械加工ヘッドを開放し、
別の加工ヘッド又は別の機械加工ヘッドを選択し、
前記クランプ機構内の前記別の加工ヘッド又は前記別の機械加工ヘッドを受け取り、
前記操作可能な位置に戻すように、使用の際に操作可能であり、
前記第1の加工ヘッドは、加工されているワークピース上に原料媒体を蒸着するように配置され、
前記第1の加工ヘッドは原料媒体供給部を備え、該原料媒体供給部は、前記第1の加工ヘッドに設けられた貯槽を有し、
前記1つ以上の原料媒体は、パウダー、ペレット、フィラメント、ロッド、又はワイヤ状、の金属、ポリマ、又はセラミックのいずれか1つから選択される、多軸工作機械。
【請求項20】
前記貯槽は、パウダー、ペレット、ワイヤ、フィラメント、ブロック又はロッド状の流動化した、半融解又は完全融解した、軟化した、懸濁した、半固形媒体及び固形媒体、又はガス原料媒体を入れるのに適したチャンバを備える、請求項19に記載の多軸工作機械。
【請求項21】
前記貯槽は、原料媒体供給部を含むカートリッジを備える、請求項19又は請求項20に記載の多軸工作機械。
【請求項22】
前記第1の加工ヘッドが工具取り換え装置内の保管場所等の保管場所に位置する際、前記貯槽に前記原料媒体を補充することができる、請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項23】
前記多軸工作機械は、2、3、4、5、又は6以上の軸の周りで動作可能である、請求項1から請求項15、及び請求項19から請求項22のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項24】
前記原料媒体はさらに、処理液、冷却液、又はガスを含む、請求項1から請求項15及び請求項19から請求項23のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項25】
前記第1の加工ヘッドと前記原料媒体と前記ワークピースとのうちの1つにエネルギ源からエネルギを供給するように配置されたエネルギ源を更に備える、請求項19から請求項24のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項26】
コントローラは前記第1の加工ヘッドの移動、位置及び作動を制御し、前記コントローラは、CNC機械コントローラの一部であり、加工経路と、原料媒体の蒸着と、原料媒体の除去と、前記原料媒体の加熱と、前記多軸工作機械との接続と、前記多軸工作機械の運動と同期した作動と、のうちの幾つか又は全てを更に制御する、請求項1から請求項15及び請求項19から請求項25のいずれか1項に記載の多軸工作機械。
【請求項27】
多軸工作機械に接続可能に適合された加工ヘッドであって、
前記多軸工作機械はワークピースを加工するように配置され、前記多軸工作機械は、
第1の加工ヘッド及び少なくとも1つの機械加工ヘッドと、
前記第1の加工ヘッド及び前記少なくとも1つの機械加工ヘッドの一方を一時的に受け取るように配置されたクランプ機構とを有し、
前記多軸工作機械は、前記第1の加工ヘッド又は前記少なくとも1つの機械加工ヘッドを操作可能な位置からヘッド取り換え位置に移動させ、
前記クランプ機構から前記第1の加工ヘッド又は前記少なくとも1つの機械加工ヘッドを開放し、
別の加工ヘッド又は別の機械加工ヘッドを選択し、
前記クランプ機構内の前記別の加工ヘッド又は前記別の機械加工ヘッドを受け取り、
前記操作可能な位置に戻すように、使用の際に操作可能であり、
前記第1の加工ヘッドは、加工されているワークピース上に原料媒体を蒸着するように配置され、
前記第1の加工ヘッドは原料媒体供給部を備え、該原料媒体供給部は、前記第1の加工ヘッドに設けられた貯槽を有し、
前記1つ以上の原料媒体は、パウダー、ペレット、フィラメント、ロッド、又はワイヤ状、の金属、ポリマ、又はセラミックのいずれか1つから選択され、
該加工ヘッドは、ワークピース上に原料媒体を蒸着するのに適し、該加工ヘッドは、更に原料媒体の媒体供給部を貯槽の形で備える、加工ヘッド。
【請求項28】
請求項27に記載の加工ヘッドと、前記ワークピースに対する前記加工ヘッドの動作及び/又は位置を制御するように配置されたコントローラと、前記加工ヘッド内の前記原料媒体にエネルギを供給するように配置されたエネルギ源と、を含む、キット。
【請求項29】
前記原料媒体の媒体供給部は、使用の際に、前記加工ヘッドに接続可能な、及び/又は前記多軸工作機械内の保管又は補充位置に置くことが可能な補充機構を更に備え、前記補充機構を補充又は充電するように配置されている、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
原料媒体の供給部を含むように適合したチャンバと、原料媒体の媒体供給部を含むカートリッジであって、交換可能な前記カートリッジと、を備える、請求項28又は請求項29に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、少なくとも1つのエネルギ源及び媒体を、加工ヘッドを介してワークピース
上に送るように配置された工作機械又は他のタイプの機械に関する。工作機械は特に、ハ
イブリッド工作機械のことをいうが、それだけに限定されない。特に、本発明は、蒸着さ
れた材料に加えて提供されたエネルギ源を使用して又は使用せずにワークピース表面上に
材料を蒸着するように配置された、蒸着システムに関するが、それだけに限定されない。
【0002】
更に、本発明はワークピース表面上に加工ヘッドを介して材料を蒸着するように配置さ
れた工作機械に関する。
[発明の背景]
従来、工作機械は機械加工と呼ばれる方法によりワークピースから材料を取り除くため
に使用されている。そのような工作機械は多くの場合、コンピュータ制御された、又はコ
ンピュータ数値制御された(CNC)フライス盤等を含む。テクノロジが進歩するにつれ
、今では、他の形態の材料除去(超音波、レーザ等)、溶接、及び材料蒸着(レーザ蒸着
、表面硬化、定方向エネルギ蒸着、積層造形等)等、他の機能を果たすそのような機械を
使用することが可能である。
【0003】
多軸CNCフライス盤等の既存の工作機械に嵌めることができる加工ヘッドを提供する
配置を設けることが知られている。しかし、そのような先行技術加工ヘッドは望まれるよ
うに便利ではない。
【0004】
当該技術分野では、材料を加工するためにロボットアーム等のロボットを使用すること
も知られている。それはおそらく、ロボットアーム及び工作機械の領域が合流する場合で
あるが、現状ではそれらは異なるケースとなる。例えば、ロボットアームは、それらが提
供する、より高度の移動及び柔軟性に起因して剛性がなく又は精密ではない。その結果、
ロボットアームは一般には大量機械加工の第2の選択に格下げされる。
[発明の概要]
本発明の第1の態様によれば、ワークピース上に加工ヘッドを介してエネルギ源を送る
ように配置された工作機械が提供され、前記工作機械は、一時的に、前記加工ヘッドを、
あるいは別の機械加工ヘッド又は加工ヘッドを受け取るように配置された、クランプ機構
を有する。ある実施形態では、第1態様は工作機械よりもむしろロボットアーム等に関す
る。
【0005】
前記工作機械は、ワークピースを加工するように配置されている。
一般的には、前記クランプ機構はスピンドルのノーズ内に収容されている。また、一般
的には、工作機械は、クランプ機構に接続された際に加工ヘッドを通り且つ周りを前記加
工ヘッドが移動するように配置された軸を有する。
【0006】
前記加工ヘッドは、ワークピース上に前記エネルギ源を向けるように配置された1つ以
上のガイド機構を備えていてもよい。
前記加工ヘッドは、前記ワークピースの加工を容易にするために、前記加工ヘッドに使
用の際に供給される1つ以上の媒体を加工ヘッドに接続させるように配置されたドッキン
グマニホルドも備えていてもよい。
【0007】
前記ドッキングマニホルドは、前記加工ヘッドが前記クランプ機構に接続されている時
に前記1つ以上の媒体が前記加工ヘッドに供給されることを可能にしてもよい。
前記工作機械はまた、2つのマニホルドが接続された際に前記/各媒体が前記加工ヘッ
ドに供給されるように、供給ドッキングマニホルドを前記加工ヘッドドッキングマニホル
ドに接続及び/又はこれから分離させるように配置された少なくとも1つの機構を便宜的
に有する。
【0008】
前記供給ドッキングマニホルドは、前記エネルギ源が前記加工ヘッド内に送られること
ができるように配置されていてもよい。
一般には、実施形態では、前記2つのマニホルドが接続されると、前記エネルギ源が前
記加工ヘッドドッキングマニホルドを介して送られることが可能である。そのような実施
形態は、前記マニホルドが接合した際にエネルギ源を接続することを許容するという点で
便利である。
【0009】
別の実施形態では、前記エネルギ源は前記工作機械の軸に沿って送られてもよい。前記
軸は前記クランプ機構の軸を通って位置合わせされてもよい。当業者であればこれは前記
工作機械のスピンドルの軸に沿ったものであると理解するかもしれないし、また空洞のス
ピンドルを介して前記エネルギ源をガイドすることを含むかもしれない。
【0010】
実施形態では、前記加工ヘッド内の前記/各ガイド機構を冷却するように配設された少
なくとも1つの冷媒と、遮蔽媒体及び前記エネルギ源により使用の際に処理されるように
配設された処理可能媒体との少なくとも一方を供給するように配置された複数のダクトを
、ドッキングマニホルド内に有していてもよい。便宜上、冷媒、遮蔽媒体、加工可能な媒
体を単に媒体と称する。この場合もやはり、そのような実施形態は、前記2つのマニホル
ドが接続されると、使用の際に供給される前記/各媒体を便宜上供給することを許容する
ので便利である。
【0011】
選択された材料をエネルギ及び/又は温度に晒す際に不活性環境を提供することは望ま
しいということは当業者であれば認識するであろう。これは、遮蔽ガス(即ち遮蔽媒体)
を、例えば前記加工ヘッドを介して局所的に送ることにより行うことができる。或いは、
この動作は、前記工作機械の周囲又は前記工作機械の少なくとも一部の周りに設けられた
、真空又は代替不活性環境を維持するチャンバ内で生じさせることができる。
【0012】
多くの実施形態は、前記媒体供給部の少なくとも1つと前記エネルギ源とを前記加工ヘ
ッドドッキングマニホルド内の前記複数のダクトに位置合わせする位置合わせ機構を備え
ていてもよい。使用の際に複数のエネルギ源が正確に集束するために前記エネルギ源はし
ばしば精密に位置合わせされる必要があるということは認識されるであろう。また、位置
合わせ機構を提供することにより、前記2つのマニホルドが接続された際に接続されるエ
ネルギ源が正確に位置合わせされることは保証されることが認識されるであろう。
【0013】
幾つかの実施形態では、前記位置合わせ機構は、実質的に平らな表面によって、少なく
とも一部に設けられていてもよい。
便宜上、前記供給ドッキングマニホルドに接続されたハウジングがある。前記ハウジン
グは、前記エネルギ源用の複数のガイド機構を含んでいてもよい。1つの実施形態では、
前記ハウジングはレーザビームを拡大するビームエクスパンダを含んでいてもよい。前記
加工ヘッドの外側に少なくとも幾つかの前記ガイド案内機構を設けることにより、前記加
工ヘッド内の前記環境と比較した場合、それらガイド案内機構が厳しさをより抑えた環境
に置かれることを保証することを支援することができる。或るガイド機構は比較的脆弱で
あることを当業者であれば認識するであろう。
【0014】
典型的には、複数の実施形態では、使用に際して、前記加工ヘッドの長手軸に従って前
記エネルギ源が領域上に集束するように配置される。そのような配置は複数の軸における
オフセットを考慮する必要がないので、上述の工作機械をプログラムすることをより簡単
にし得るという点で、また、上述の加工領域についてオフセットを考慮する必要がないの
で上述の工作機械を小型化することができるという点で便利である。前記軸から前記エネ
ルギ源の集束がオフセットされると、オフセットのために更なる移行が必要となるため、
物を加工するのに必要な加工領域はその後大きく増加するということを当業者であれば認
識するであろう。
【0015】
実施形態は少なくとも以下の1つのようなエネルギ源を提供してもよい。レーザ、電子
ビーム、アーク、プラズマ、マイクロ波、メーザ、集束電磁放射、音波(超音波を含む)
等である。電磁放射は、例えば、以下のいずれであってもよい。X線、マイクロ波、紫外
線、赤外線等である。
【0016】
前記ガイド機構は、前記加工ヘッド内及び/又は前記ハウジング内に以下のいずれかを
備えていてもよい。1つ以上のレンズ、ミラー、プリズム、回折格子、ビームエクスパン
ダ、空間光変調器、光学素子、電気カップリング機構、伝導性媒体経路、電磁継手機構、
ビームステアリング部品、ビームステアリング・フィールドジェネレータ、マイクロエレ
クトロメカニカルシステム、マイクロミラーデバイス、同軸ケーブルを含む電気磁気妨害
(EMI)シールド等の遮蔽部品等である。しかし、前記加工ヘッドがより強固でより少
ない部品で構成されていると便利である。
【0017】
特に、前記加工ヘッドは、幾つかの実施形態において、レンズとリフレクタとを含んで
いてもよい。
前記工作機械は、使用の際に、次の少なくとも1つを供給するように配置されてもよい
。パウダー又はフィラメント状の、金属、ポリマ、又はセラミック材料、冷却又は加工流
体、ガス、処理流体等である。
【0018】
便宜的に、前記工作機械のコントローラは前記工作機械に前記クランプ機構内の前記加
工ヘッドを自動的に又は少なくとも半自動的に取り換えさせるように配置される。上述の
工作機械のコントローラという用語は前記工作機械内のコントローラと、ネットワークに
繋がれるか、又は、さもなければ前記工作機械に接続されたコントローラと、の両方をカ
バーするように使用されるということを当業者であれば認識するであろう。
【0019】
用語「工作機械」は、前記機械全体に関連して使用されていることは認識されるであろ
う。交換可能なヘッドが記載されているが、しばしば機械加工のカッタ又はツールと呼ば
れる従来のミリング及び加工ヘッドは機械加工ヘッドと呼ばれる。この適用で示されるよ
うに「加工ヘッド」と名付けられたヘッドは、ワークピースを加工するために使用され、
この加工はワークピースへのエネルギの方向、又はワークピースへの媒体及びエネルギの
方向、又はワークピース上への媒体の付与/配設を伴う。
【0020】
本発明は工作機械に関連して説明されているが、工具取り換え及び/又はドッキングス
テーション用にロボット又は他の積層造形設備を変更可能であると想定されることは当業
者であれば認識するであろう。そのような変更設備は、そのように変更された時点で工作
機械に類似していると考えられる。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、キットが提供される。前記キットは、供給ドッキングマ
ニホルドと組み合わせた加工ヘッドを備え、前記加工ヘッドは、使用の際に、工作機械の
クランプ機構に接続されるように配置される。前記キットは、更に以下の幾つかを備える
。
a)ワークピース上にエネルギ源を集束するように配置された1つ以上のガイド機構と、
b)加工ヘッドドッキングマニホルドであって、使用の際に、前記ワークピースの加工を
容易にするために、前記加工ヘッドに供給される1つ以上の媒体を加工ヘッドに接続させ
るように配置された加工ヘッドドッキングマニホルドと、を有し、
c)前記供給ドッキングマニホルドは、前記2つのマニホルドが接続された際に、媒体が
、使用の際に前記加工ヘッドに供給されるように、前記供給ドッキングマニホルドを前記
加工ヘッドドッキングマニホルドに接続し、及び/又は、これから分離させるように配置
された1つの機構を有する。
【0022】
実施形態では、エネルギ源が前記加工ヘッド内に送られることができるように、前記ド
ッキングマニホルドを配置してもよい。便宜上、ハウジングが前記供給ドッキングマニホ
ルドに接続されている。
【0023】
実施形態では、典型的には、複数のダクトを有する前記加工ヘッドドッキングマニホル
ドを提供してもよい。前記ダクトは、前記加工ヘッド内の前記/各ガイド機構を冷却する
ように配設された冷媒と、前記エネルギ源により使用の際に処理されるように配設された
エネルギ源処理可能媒体と、の少なくとも一方を供給するように前記加工ヘッドドッキン
グマニホルド内に配置されている。ここに記載されるような他の流体及び/又は媒体は、
前記2つのマニホルド間で連通されてもよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、前記加工ヘッド内の前記ガイド機構に加えて更なるガイド機構
を設けてもよく、これらの更なるガイド機構は前記供給ドッキングマニホルドと関連して
いてもよい。
【0025】
前記エネルギ源処理可能媒体が前記加工ヘッド内で又は前記加工ヘッド外側で選択的に
溶融されることができるように、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、前記ガイド機
構(前記加工ヘッド内の前記ガイド機構及び/又はそれに追加された前記ガイド機構)の
少なくとも1つを配置してもよい。
【0026】
又は、更なる実施形態において、前記キットは複数の加工ヘッドを備えていてもよく、
各加工ヘッドは前記エネルギ源を前記キット内の他の加工ヘッドと異なって集束するよう
に配置されている。例えば、第1の加工ヘッドは前記加工ヘッド内の前記エネルギ源処理
可能媒体を溶融するように配置されていてもよい。第2の加工ヘッドは前記加工ヘッド外
側の前記エネルギ源処理可能媒体を溶融するように配置されていてもよい。
【0027】
便宜上、前記ドッキングマニホルドは、前記供給ドッキングマニホルド内の媒体供給部
を前記加工ヘッドドッキングマニホルド内の複数のダクトに位置合わせするように配置さ
れた位置合わせ機構を備える。幾つかの実施形態では、ドッキングアームが設けられても
よく、このドッキングアームは前記ヘッドを前記クランプ機構に接続するように配置され
ている。その後、このアームは保管場所に後退してもよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、多数のドッキングアームがあってもよい。更に/或いは、多数
の工具交換装置が設けられてもよい。
典型的には、前記位置合わせ機構は、前記加工ヘッド内に前記エネルギ源を送るように
配置されたハウジングを使用の際に前記位置合わせ機構に接続するように配置されている
。
【0029】
前記加工ヘッド内に含まれた前記ガイド機構に加えて、前記ハウジングは更なる前記ガ
イド機構を含むように配置されてもよい。
実施形態では、典型的には、前記加工ヘッドの長手軸に沿って前記エネルギ源を一点に
、又は領域上に集束するように配置されている。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、ワークピース上にエネルギ源を集束させるように配置さ
れた加工ヘッドを接続する方法であって、 前記方法は、
a)工作機械等に、保管場所から前記加工ヘッドを選択させ、前記工作機械のクランプ機
構に前記加工ヘッドを挿入させることと、
b)供給ドッキングマニホルドを加工ヘッドドッキングマニホルドに接続させるように配
置された機構を作動させることと、を含み、
c)前記供給ドッキングマニホルドと前記加工ヘッドドッキングマニホルドの接続は、使
用の際、前記/各媒体が供給されることができるように1つ以上の媒体の供給を前記加工
ヘッドに提供する、ことを含む。
【0031】
前記方法は、前記工作機械の貯蔵場所内の前記加工ヘッドを交換するために前記プロセ
スの逆を更に含んでいてもよい。
本発明の第4の態様によれば、以下のステップの少なくとも1つを含む、一部分を修正
する方法が提供される。
a)工作機械に、加工ヘッドを選択させること
b)前記工作機械に、媒体の供給装置を前記加工ヘッドに接続させること
c)前記工作機械に、材料が前記一部分に添加される追加加工ステップを行わせること
d)前記工作機械に、貯蔵場所内の前記加工ヘッドを交換させること
e)前記工作機械に、前記保管場所から機械加工ヘッドを選択させること
f)前記工作機械に、修正されている前記一部分に追加された材料であって少なくとも上
記の材料から材料を取り除かせること
g)任意に代わりの機械加工ヘッド、加工ヘッド又は検査ヘッド(タッチプローブ等)を
選択して、前記ワークピースを検査又は処理すること
前記加工ヘッドは、本発明の上述の態様のいずれかの前記加工ヘッドあってもよい。
【0032】
a)及びb)の方法は本発明の第3の態様の方法であってもよい。
幾つかの実施形態において、電気的接続、光学的接続及び機械的接続が前記加工ヘッド
と前記工作機械との間で提供されてもよい。そのような接続により加工監視センサ及び設
備が接続される。そのようなセンサは画像記録装置、電灯、タッチプローブ、3D表面及
び容積測定スキャナ、酸素センサ及び熱センサ等のセンサ、又はカメラ等を備えていても
よい。幾つかの実施形態では、前記温度センサは、加工が行われているワークピースの温
度をモニタするために使用されてもよい。前記加工監視センサ又は測定設備は、前記加工
ヘッドの一部、1つ以上の媒体を接続するように配置されたマニホルドの一部、及び/又
は更に前記加工ヘッド及び前記マニホルドの両方を含んでいてもよい。例えば、幾つかの
実施形態では、任意の加工ヘッド及び機械加工ヘッドに加えて、個別のヘッドとして加工
監視センサが設けられてもよい。このヘッドは検査ヘッドと考えられるかもしれない。
【0033】
幾つかの実施形態では、1つ以上の溶融プールの温度がモニタされてもよい。溶融プー
ルは材料が蒸着される所に形成されてもよい。前記媒体はワークピースに、又はそのワー
クピースに向かって付与されてもよく、エネルギ源からのエネルギを付与することにより
溶融されてもよい。従って、媒体はエネルギ源処理可能媒体と考えられてもよい。
【0034】
更なる又は別の実施形態では、前記媒体は溶融状態で蒸着されてもよい。
本発明の別の態様によれば、多軸工作機械が提供される。前記工作機械は少なくとも1
つの加工ヘッドと少なくとも1つの機械加工ヘッドとを有していてもよい。前記工作機械
は、前記少なくとも1つの加工ヘッド及び/又は前記少なくとも1つの機械加工ヘッドの
一方を一時的に受け取るように配置されたクランプ機構を有していてもよい。前記工作機
械は、使用の際、次の5つのステップの少なくとも幾つかを行うように操作可能であって
もよい。
i)前記加工ヘッド又は機械加工ヘッドを操作可能な位置からヘッド取り換え位置に移動
させること
ii)前記クランプ又は保持機構から前記加工ヘッド又は機械加工ヘッドを開放すること
iii)別の加工ヘッド又は機械加工ヘッドを選択すること
iv)前記クランプ又は保持機構内の前記別の加工ヘッドを受け取ること
v)前記操作可能な位置に戻すこと
前記加工ヘッドは、加工されているワークピース上に材料を蒸着するように更に配置さ
れてもよく、前記加工ヘッドは一般的には媒体供給部を備えている。
【0035】
本発明の一実施形態では、エネルギ源は前記加工ヘッド内に設けられてもよい。又は、
エネルギ源は前記加工ヘッドの外側で発生されてもよいし、前記加工ヘッドは前記エネル
ギ源を方向付けるように、又はさもなければ伝えるように配置されてもよい。幾つかの実
施形態においては、エネルギ源はバッテリ又は燃料電池等の他の分離したエネルギ源によ
り提供されてもよい。別の更なる又は代替実施形態では、前記エネルギは、ジェネレータ
、オルタネータ等を介する等、スピンドルの運動により前記ヘッド内で発生されてもよい
。他の実施形態では、前記エネルギ源は前記加工ヘッドに供給される。
【0036】
前記工作機械はワークピースを加工するように配置されてもよい。或いは又は更に、前
記工作機械はワークピースに前記材料を蒸着するように、又はワークピースを組み立てる
ように配置されてもよい。尚、後者はゼロから前記ワークピースを組み立てることであっ
てもよい。そのようなオペレーションは積層造形、3D印刷、又はデジタル式組立、等を
含む追加的な蒸着であってもよい。好ましくは、前記工作機械は、前記工作機械内でヘッ
ドを取り換えるように配置された工具取り換え装置をも備えていてもよい。前記工具取り
換え装置は加工ヘッドを機械加工ヘッドと交換してもよく、その逆であってもよい。又は
、前記工作機械には2つ以上の加工ヘッドが設けられていてもよい。前記工具取り換え装
置は、前記ワークピースからオフセットされた位置にある保管場所を備えていてもよい。
【0037】
一般的には、前記クランプ機構はスピンドルのノーズ内に収容されている。更に、前記
工作機械は、この工作機械が前記クランプ機構に接続された際に前記加工ヘッドを通り、
前記加工ヘッドが周りを移動するように配置されている軸を一般的に有している。
【0038】
前記加工ヘッドは、ワークピース上に前記エネルギ源を向けるように配置された1つ以
上のガイド機構を備えていてもよい。別の実施形態において、前記加工ヘッドは、前記エ
ネルギ源からのエネルギを媒体内及び/又は前記媒体を蒸着するための機構へ向けるよう
に配置された1つ以上のガイド機構を備えていてもよい。前記エネルギが、前記ワークピ
ースの表面上等の、前記加工ヘッド内又は前記加工ヘッド外側の前記媒体に付与されても
よく、又は、少なくとも、前記媒体がワークピースに向かって移動する際に付与されても
よい。
【0039】
前述したように、前記加工ヘッドは、前記ワークピースの加工を容易にするために、前
記加工ヘッドに使用の際に供給される1つ以上の媒体を加工ヘッドに接続させるように配
置されたドッキングマニホルドを備えていてもよい。前記エネルギ源は前記加工ヘッド内
部の媒体に供給されてもよい。又は、前述したように、前記媒体が前記ワークピース方向
に進む際及び/又はそれが前記ワークピースに到着する際に前記エネルギ源を前記媒体に
供給してもよい。1つの選択肢において、前記エネルギは前記加工ヘッド内の前記媒体に
供給され、前記媒体は前記ワークピース上に蒸着される。前記エネルギは前記加工ヘッド
を去る前に前記媒体に供給されてもよく、又は前記媒体が前記加工ヘッドを去る際に前記
エネルギは前記媒体に供給されてもよい。
【0040】
前記加工ヘッドは、前記工作機械から、又は前記クランプ機構から、又は前記工作機械
に接続された或いは前記工作機械に便利な1つの補助設備から、媒体を前記ヘッドに供給
するように配置された媒体供給部を備えていてもよい。更に他の実施形態では、前記媒体
は前記加工ヘッド内に設けられた媒体貯槽を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、
前記媒体は、マニホルドを通って媒体を給送する供給部を介して連続的に補充されてもよ
い。他の実施形態において、前記媒体は、媒体供給部を形成する交換可能なカートリッジ
の形で提供されてもよい。更に別の実施形態では、媒体貯槽は、前記加工ヘッドが前記工
具取り換え装置内に位置している際に、補充可能であってもよい。供給マニホルドは前記
工具取り換え装置内に設けられていてもよく、前記工具取り換え装置内の前記加工ヘッド
に接続するように、また前記媒体貯槽を自動的に補充するように配置されていてもよい。
更に又は或いは、前記加工ヘッドが前記工作機械上の操作可能な位置にある時に、又は前
記加工ヘッドが前記工具取り換え装置内に又は他の保管場所に位置している際に、少なく
とも1つの機構が前記供給マニホルドを媒体供給部に接続させ、そしてこれから分離させ
るように設けられてもよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、1つの媒体は前記加工ヘッドに供給される。他の実施形態では
、2つ以上の媒体が前記加工ヘッドに供給されてもよい。前記媒体は例えば他の色から構
成されていてもよく、又は他の媒体であってもよい。ある実施形態では、第1の媒体は建
材から構成されていてもよいし、第2の媒体は支持材料から構成されていてもよい。一旦
ワークピースが完成すれば、前記支持材料は除去可能であってもよい。複数の媒体が設け
られる場合、それらの媒体を選択的に使用することができるように前記工具が配置されて
もよい。
【0042】
幾つかの実施形態では、前記媒体はポリマ材料を含んでいてもよい。他の実施形態では
、前記媒体は、金属、非金属、ポリマ、セラミックス、粘土又は誘電材料を含むグループ
から選択されてもよい。前記媒体は次のいずれかの形で提供されてもよい。パウダー、フ
ィラメント、ロッド又はワイヤ、半~完全な液体、である。又は、媒体は、懸濁液、液体
、エマルジョン、ガス、エアゾル、スラリー又はペースト状で提供されてもよい。
【0043】
1つの特別な実施形態では、前記媒体はポリマフィラメントを含んでいてもよい。一般
的には、そのようなフィラメントは、制御可能な方法で媒体を給送する、方向付ける、押
し出す、噴出する、又はさもなければ蒸着することができる温度に前記エネルギ源により
加熱されてもよい。或いは、流体媒体が前記媒体貯槽から前記加工ヘッドに供給されても
よい。前記貯槽の前記媒体全てが流動性になるまで前記媒体はエネルギ源により加熱され
てもよく、制御可能な方法で分配、又はさもなければ放出されることができる。幾つかの
実施形態において、前記ワークピースの形成中に複数の電気回路を敷設することができる
ように前記媒体は伝導性、半伝導性、及び誘電材料も含んでいてもよい。別の実施形態で
は、前記媒体は前記貯槽から前記加工ヘッドの蒸着ポイント方向に通過してもよく、前記
媒体が前記蒸着ポイントを去る前に前記エネルギは前記媒体に付与されてもよい。前記媒
体がフィラメント又はワイヤの形であり、ローラによるなどの、機械的給送機構により前
記加工ヘッドを通って前記媒体を給送することができる実施形態には、これは特に適して
いるかもしれない。前記媒体が蒸着される寸前まで、前記媒体は比較的硬いのが望ましい
。前記媒体が前記蒸着ポイントを去る直前に、或いは前記媒体が前記蒸着ポイントを去る
際又は去った後に、前記エネルギが付与されてもよい。或いは又は更に、前記材料は前記
ワークピースの表面上に蒸着され、その後前記エネルギに晒されてもよい。
【0044】
媒体給送部は前記工具取り換え装置に接続されて設けられてもよい。前記加工ヘッドが
使用中でない時に、前記媒体給送部は前記加工ヘッドに、又は加工ヘッド内の貯槽に媒体
を供給してもよい。前記給送部は、使用中でない時に前記加工ヘッド又は機械加工ヘッド
と係合する追加されたドッキングマニホルドの一部であってもよい。
【0045】
本発明の別の態様によれば、加工ヘッドと、媒体貯槽と、媒体供給部と、エネルギ源と
のうちの少なくとも1つを備えたキットが提供される。
1つの実施形態において、媒体貯槽と組み合わせてキットが提供されており、前記加工
ヘッドは工作機械のクランプ機構に使用の際に接続されるように配置され、前記媒体貯槽
は前記加工ヘッド内に設けられている。
【0046】
本発明の別の実施形態において、本発明の態様による工作機械に接続可能に適合させた
加工ヘッドが提供され、前記加工ヘッドは材料をワークピース上に蒸着するのに適し、ま
た、前記加工ヘッドは媒体供給部を好ましくは貯槽の形で更に備えている。
【0047】
好ましい実施形態において、エネルギを前記媒体へ、及び/又は媒体を蒸着するための
機構へと供給するように配置された、エネルギ源、又はエネルギ源を発生するための少な
くとも1つの機構を、前記加工ヘッドは更に備えている。
【0048】
別の実施形態では、前記キットは、媒体供給部に接続可能に配置された加工ヘッドを備
えている。前記工具取り換え装置に接続された、また前記加工ヘッドが前記工具取り換え
装置内に位置している際に前記媒体貯槽を補充するように配置された、媒体供給部又はマ
ニホルドを前記媒体供給部は備えていてもよい。又は、前記媒体供給装置は前記工作機械
に接続して設けられてもよく、また、前記加工ヘッドがスピンドル上に或いは他の使用可
能な位置にある時に前記媒体を前記加工ヘッドに供給するように配置されてもよい。
【0049】
幾つかの実施形態において、前記媒体給送部は1つ以上のチャネルを備えていてもよい
。前記媒体給送部は前記媒体を前記ワークピースに給送してもよいし、前記チャネルが前
記媒体を逆流させてもよいし、又は前記媒体を方向転換或いは再循環させてもよい。幾つ
かの実施形態では、未使用媒体を取り戻すように、又は不用媒体又は副産物の除去、又は
ガス放出、をするように設けられた機構があってもよい。そのような機構は、前記/各チ
ャネル内の媒体の流れに追加して設けられてもよい。
【0050】
幾つかの実施形態では、前記エネルギ源を提供する機構は前記ヘッド内において自己内
蔵型である。他の実施形態では、前記エネルギ源は前記加工ヘッドに接続されてもよい。
前記エネルギ源は、例えば、前述したようなUV、IR、レーザ又は他のエネルギ源であ
ってもよく、幾つかの実施形態では、前記エネルギ源はエネルギビームを前記ワークピー
ス上に向けてもよい。
【0051】
別の或いは更なる実施形態において、前記キットは、別の媒体供給部を含んだ複数のヘ
ッドを備えていてもよい。更なる選択肢において、加工ヘッドは、媒体供給部を含んだ交
換可能なカートリッジを備えていてもよい。前記カートリッジは自動的に交換可能であっ
てもよいし、手動で交換可能であってもよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、前記キットは、前記加工ヘッドに媒体を供給するように配置さ
れたドッキングマニホルドを更に含んでいてもよい。前記ドッキングマニホルドは、前記
加工ヘッドに少なくとも1つの媒体源を供給するように配置された前記マニホルド内に1
つ以上のダクトを備えていてもよい。
【0053】
又は、前記キットは、前記加工ヘッドに媒体を供給するように配置された媒体供給機構
を備えていてもよい。前記加工ヘッドが前記工作機械のスピンドル上の操作可能位置にあ
る時に、前記媒体供給機構は媒体を前記加工ヘッドに供給するように配置可能であっても
よい。又は、前記加工ヘッドが前記工具取り換え装置内に位置している際に、前記媒体供
給機構は媒体を前記加工ヘッドに供給するように配置されてもよい。
【0054】
本発明の別の態様によれば、ワークピースを形成する方法であって、
a)工作機械等に、保管場所から加工ヘッドを選択させ、前記工作機械のクランプ機構に
前記加工ヘッドを挿入させることと、
b)エネルギを前記加工ヘッド内の媒体へ及び/又は前記媒体を蒸着するための機構へ供
給するように配置された機構を作動させることと、
c)ワークピースを構成するように前記加工ヘッドから前記媒体の蒸着を制御することと
、を含む方法が提供される。
【0055】
幾つかの実施形態において、前記ワークピース上の前記蒸着又は圧密媒体からの熱又は
他のエネルギも前記ワークピースの表面を加熱するのに使用される、更なるステップが実
施されてもよい。更に又は或いは、前記蒸着からの熱は、前記蒸着された材料における硬
化、溶融、焼結、架橋、反応、又はさもなければ触媒変化のために使用されてもよい。例
えば、直接エレクトロニクスを印刷するためのインク又はペーストが、それらの計画され
た伝導性、抵抗性又は他の特性を達成するために加熱を必要としてもよいし、追加加熱ス
テップを必要とするよりはむしろ、蒸着オペレ―ションの前記熱から第2の利益を引き出
してもよい。材料処理のために第2の利益を活用することができない場合、下記に述べら
れるような明確な加工ステップをとることができる。
【0056】
本発明の更なる態様によれば、加工ヘッドをワークピースに対して移動させるように前
記材料加工システムが配置された加工ヘッドを有する、工作機械又はロボットアーム等で
あってもよい、材料プロセッサと、前記加工ヘッドの動きを制御するように配置されたコ
ントローラとを備える、材料加工システムが提供される。典型的には、前記加工ヘッドは
前記コントローラの制御下で前記ワークピース上にエネルギ源を向けるように配置された
1つ以上のガイド機構を備えており、典型的には、前記コントローラは前記ワークピース
の所定領域に送られる電力量を制御できる。
【0057】
ここでは、電力は、時間とともに蓄積された総エネルギの正確な意味を持つように意図
されている。従って、前記電力を制御するために、エネルギが供給される比率(即ちその
電力)、又は前記エネルギ源が前記ワークピースを横切って移動させられる比率を制御す
ることは可能である、ということは認識される。
【0058】
そのような実施形態は、前記ワークピース上にエネルギ源があるという効果を制御でき
るので便利である。送られる前記電力は前記ワークピースの結果に大きな影響を与えると
いうことを、当業者であれば認識するであろう。
【0059】
前記コントローラは電力量を制御するために前記加工ヘッドの移動を使用するように配
置されてもよい。もし前記加工ヘッドが前記ワークピースを比較的大きい速度で横切る場
合、前記加工ヘッドが比較的小さい速度で横切る場合に比べて、より少ない電力が前記ワ
ークピースに提供されるであろう、ということを当業者であれば認識するであろう。
【0060】
前記エネルギ源は、本発明の先の態様に関して説明された源のいずれであってもよい。
従って、幾つかの実施形態においては、前記ガイド機構は、前記ワークピース上に前記
エネルギ源を集束するように配置された少なくとも1つ以上のレンズを備えていてもよい
。ガイド機構は、他のところで述べられたガイド機構のいずれかを備えていてもよい。
【0061】
上述したように、本発明の実施形態は、前記加工ヘッド内で前記エネルギ源を発生する
ための機構が設けられていてもよい。更なる又は別の実施形態は、前記ヘッド内で発生さ
れるエネルギ源を方向付けるように配置されてもよい。
【0062】
前記加工ヘッドは、前記エネルギ源を選択的に作動又は非作動させるための機構を備え
ていてもよい。例えば、前記コントローラは選択的にエネルギ源の発生を始動及び/又は
停止するように配置されてもよい。従って、レーザビームの例では、前記コントローラは
前記レーザビームの発生を始動及び/又は停止するように配置されていてもよい。又は、
前記コントローラは前記レーザビーム等の集束又は非集束を制御するように配置されてい
てもよい。
【0063】
前記コントローラは前記材料プロセッサの外側の加工電気回路により提供されてもよく
、前記材料プロセッサは工作機械、ロボットアーム等の1つである。例えば、前記加工電
気回路は、前記材料プロセッサの外側であるがこのプロセッサに接続されたコンピュータ
により提供されてもよい。他の実施形態では、前記コントローラは前記材料プロセッサ内
の加工電気回路により提供されてもよい。
【0064】
前記材料プロセッサは、前記ワークピースの材料特性を変えるように配置されていても
よい。前記ワークピースの前記/少なくとも一部分が加熱される、予熱される、硬化され
る、軟化される、意図的に応力を付与される、応力を除去される、又は孔隙/空洞に関連
した欠陥が低減される/埋められる、ように、例えば、前記材料プロセッサは前記電力を
制御するように配置されていてもよい。これらのオペレーションは亀裂、たわみ、及びそ
の他の欠陥を避けるために行われてもよい。又は、マーキング、テクスチャパターニング
、テクスチャ補強、選択的酸化等により、前記ワークピースの表面を修正してもよい。或
いは、前記ワークピースの表面は、再溶融、アブレーション等によりその表面粗さを低減
させてもよい。又は、鋼粒をマルテンサイト変質させる、又は追加材料で局所合金化を誘
発させる、又は浸炭させる等、粒状構造又は化学的性質を修正してもよい。
【0065】
前記材料プロセスシステムは流体供給部も備えていてもよい。この流体供給部は一般的
には前記コントローラの制御下におかれる。加工中の前記ワークピースの前記/少なくと
も、一部分を急冷、掃除、ショットピーン、サンドブラスト、又は処理するために、前記
コントローラは前記流体供給部からの流体の供給を制御するように配置されてもよい。
【0066】
又は或いは更に、不活性又はエレメント豊富な(浸炭でのように)環境を提供するため
に、前記ワークピースの前記/少なくとも一部分を急冷するために、前記ワークピースの
前記/少なくとも一部分に潤滑剤を施す等のために、前記コントローラは前記流体供給を
制御するように配置されてもよい。そのような流体、ガス及び液体も媒体として考えられ
てもよい。
【0067】
流体供給部がそれぞれ異なる流体を供給するように配置された、1つ以上の流体供給部
があってもよい。
前記/各流体供給部により供給される前記流体は以下のうちのいずれか1つであっても
よい。水、油、希ガス等の不活性ガス、空気、機械冷却液、腐食液、洗浄液、パチナ、着
色剤等である。
【0068】
他の実施形態では、前記コントローラは前記ワークピースを加工している前記エネルギ
源を制御するように配置されてもよい。ここで、前記ワークピースを加工することは少な
くとも以下をカバーするように意図されている。応力付与、応力除去、微細構造改変、化
学的改変、孔隙低減//除去、溶接、ろう付け、接合、切断、ドリリング、ミリング、マ
ーキング、プラズマ溶射、熱間溶射、表面再溶融、熱処理、等である。
【0069】
幾つかの実施形態では、前記材料プロセスシステムは媒体供給部を備えていてもよい。
前記媒体供給部は本発明の上述の態様のいずれかに関連して説明されたようなものであっ
てもよい。従って、幾つかの実施形態では、前記媒体供給部はマニホルドを介して前記加
工ヘッド内に送られてもよい。他の実施形態では、前記媒体供給部は、カートリッジ等に
より前記加工ヘッド内で便宜上、提供されてもよい。
【0070】
幾つかの実施形態では、前記材料プロセスシステムは、前記エネルギ源により前もって
加熱されたワークピースに媒体を供給するように配置されてもよい。そのような実施形態
では、前記媒体はパウダー等を含んで構成されていてもよい。そのようなパウダー及び同
様の材料は、前記加工ヘッドにより前記ワークピースに前もって付与された電力により、
又は少なくともこの電力に促進されて、溶融、焼結、及び/又は前記ワークピース上で化
学反応するように配置されてもよい。
【0071】
本発明の更なる態様によれば、ワークピースを加工する方法であって、コントローラの
制御下で、前記ワークピースの材料特性を変えるように前記ワークピースに対してエネル
ギ源をガイドすることにより前記ワークピースに送られる電力を制御して、ワークピース
を加工する方法が提供される。
【0072】
本発明の態様は、ここに説明された前記工作機械の制御を提供するように配置されたソ
フトウェア、ファームウェア、又はハードウェア要素を備えている、ということを当業者
であれば認識するであろう。
【0073】
蒸着を含む追加プロセスとミリングを含む減プロセスとの組み合わせを必要に応じて使
用したワークピース製造は、当該技術分野で知られているようにハイブリッド生産の形式
である。これら(及びプローブ等の他のオペレーション)の間での変更は、ここに説明さ
れた実施形態及び態様により便利にされる。
【0074】
当業者であれば、本発明の上述の態様は様々な特徴を導入するということを認識するで
あろう。また、本発明の1つの態様からの複数の特徴は、変更すべきところは変更して、
他の態様に応用可能であるということを更に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図2】本発明の一実施形態の構成部品を横断する断面を概略的に示す。
【
図3】本発明の一実施形態に使用されるマニホルドを更に詳細に示す。
【
図4b】一部組み立てられた
図4aの実施形態を示す。
【
図4c】完全に組み立てられた
図4a及び4bの実施形態を示す。
【
図5】第1の角度からの本発明の実施形態の図である。
【
図6】第2の角度からの本発明の実施形態の図である。
【
図7】移送機構を強調している、第3の角度からの
図5の実施形態の図である。
【
図8】媒体供給部を説明している
図5の実施形態の斜視図である。
【
図9】
図1から5に関連して記載された本実施形態を使用する方法を説明するフローチャートの概説である。
【
図10】本発明の実施形態による工作機械により加工されたワークピースの一例を示す。
【
図11】本発明の別の態様による代替加工ヘッドの概略図である。
【
図13】加熱されたポリマを付与する実施形態の概略図である。
【
図14】ワークピースに液体媒体を付与する実施形態の概略図である。
【
図15】加熱されたポリマを付与する実施形態の概略図である。
【
図16】エネルギ源に基づくプラズマ転写アークを使用した更なる実施形態を示す。
【
図18】ワークピース上にエネルギ源を送るように加工ヘッドが配置された、更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
[図面の詳細な説明]
図1は工作機械100の概略図である。工作機械100は、工作機械100のクランプ
機構内に保持され、ワークピース(工作物)104を機械加工するように配置された機械
加工ヘッド102を一般的には含む。更に、工作機械100は通常、コントローラ106
により制御され、このコントローラはワークピース104を処理する際に機械加工ヘッド
102の位置を制御する。
【0077】
殆どの工作機械100は、正確な機械加工ヘッド102をタスクに即座に提供するため
に機械加工ヘッド102が他の機械加工ヘッド102と取り換えできるように配置されて
いる。フライス盤を例にとってみると、第1の機械加工ヘッドが粗材料除去用に提供され
る一方で、第2の機械加工ヘッドが微細材料除去用に提供されてもよい。
【0078】
そのように、工作機械100は工具取り換え装置を有し、この工具取り換え装置は、ワ
ークピース104を処理するための工作機械100により使用されている機械加工ヘッド
102を、一般的には、コントローラ106の制御下で、変更することができる。
【0079】
図2は加工ヘッド200を示している。加工ヘッド200は工作機械100のクランプ
機構202を使用して工作機械100に接続している。また、加工ヘッド200は機械加
工ヘッドの保管部に保管されることができ、工具取り換え装置を使用して工作機械100
に自動的に接続されることができる。ここでは、工具取り換え装置は工作機械により現在
使用されていない加工ヘッド、機械加工ヘッド等の保管場所を提供してもよい。ここでの
説明はクランプメカニズム202のことをいっているが、スピンドル内で接続するクラン
プ機構202は工作機械100の一部であるとみなされる。
【0080】
本実施形態では、加工ヘッド200はワークピース104上にレーザビーム206を集
束させるように配置されている。他の実施形態では、他のエネルギ源がレーザの代わりに
利用されてもよい。従って、集束したレーザビーム206(又は他のエネルギ源)でワー
クピース104を加工するように加工ヘッドがコントローラ106の制御下で配置されて
いる。
【0081】
図2において、加工ヘッド200を通る断面が示されていて、ミラー208等のリフレ
クタが、入射するレーザビーム210を90度移動させて集束レンズ212に入射させ、
集束レーザビーム206を生成するように配置されていることがわかる。集束レンズ21
2はガイド機構であるとみなされるかもしれない。他の加工ヘッド200では、リフレク
タ及び集束レンズ等の光学部品が他の配置をしていてもよく、また実際には光学部分が追
加されていてもよいということは認識される。
【0082】
レーザビーム及び光学部品に加えて、加工ヘッド200は媒体を運ぶための1つ以上の
ダクトも含んでいてもよい。例えば、媒体は、エネルギ源により溶融されるように配置さ
れた移送流体内にポリマ及び/又はメタリックパウダーを含んでいてもよい。媒体が加工
ヘッドを通って運ばれるように加工が準備され、且つ媒体がワークピース104に到達す
る前にそれが溶融あるいは少なくとも半溶融状態になるようにエネルギ源内へ送られる。
そのように、加工ヘッドは、ワークピース上に物質を蒸着させるために、また、例えば部
品を修正するために使用される蒸着システムを提供するために、使用することができる。
【0083】
工作機械(スピンドルを含む)とクランプ機構202は
図2の破線XXにより表された
縦軸を有している。もし、(フライス等の)機械加工ヘッドがクランプ機構202内にあ
るとすれば、それは軸XXの周りを回転するであろう。本実施形態においてレーザ光20
6であるエネルギ源は、ワークピース106表面上の軸XXの上におおよそ位置するポイ
ント、領域等の213上に便宜上集束する。
【0084】
他の実施形態において、集束レンズ212は実際、基板の予熱用、ワークピースの熱処
理用、或いは幾つかのタイプの溶射等用に発散光を発生するように配置されていてもよい
。
【0085】
図示されてはいないが、本発明の幾つかの実施形態は、軸XXに沿った工作機械のスピ
ンドルを介して、即ち、
図2に示されたポイント207の領域からエネルギ源を送るよう
に配置されていてもよい。そのような実施形態では、供給ユニットが加工ヘッド200に
媒体を供給するであろう。
【0086】
加工ヘッド200及びクランプ機構202に隣接して供給ユニット214が設けられて
いる。この供給ユニット214は様々な部品が収容されるハウジングを提供する。加工ヘ
ッド200は以下に記載される加工ヘッドドッキングマニホルド201を有し、供給ユニ
ット214は以下に記載される供給ドッキングマニホルド300を備えている。
図2に示
されるような状態に供給ユニット214を加工ヘッド200に接続するために加工ヘッド
ドッキングマニホルド201、及び供給ドッキングマニホルド300は互いに結合するよ
うに配置されている。
【0087】
供給ユニット214の上にはエネルギ源216が設けられ、これについては本実施形態
において後述する。レーザ216は、供給ユニット214内へ送られビームエクスパンダ
217を通過するビームを発生する。ビームエクスパンダ217は第1レンズ218及び
第2レンズ220を備える。ビームエクスパンダ217は、ワークピース104上におい
てより良い最終的な集束を達成する目的で、また光学素子の熱負荷を軽減する目的でレー
ザビームの直径を大きくするために利用される。
【0088】
供給ユニット214は更なるリフレクタ222も備え、リフレクタ222はレーザから
の光線を加工ヘッド200とこのヘッド内のリフレクタ208とに向かって90度反射す
るように配置されている。各レンズ218、220及びリフレクタ222は供給ユニット
214内に設けられたガイド機構としてみなされるかもしれない。
【0089】
供給ユニット214は各種媒体224の供給部も備え、この供給部は供給ユニット21
4が加工ヘッドに接続された際にマニホルドを介して加工ヘッド200に接続する。
ワークピース104周辺の領域226は一般的には工作機械の作業領域(又は容量)と
いわれるということを当業者は認識する。
【0090】
図3は本発明の一実施形態による供給ユニット214の供給ドッキングマニホルド30
0を示している。供給ドッキングマニホルド300の中心はダクト302であり、このダ
クトは本実施形態ではレーザであるエネルギ源が供給ユニット214と加工ヘッド200
との間を通過することを可能にする。
【0091】
また、冷媒とシールドガスと加工ヘッド200により加工される材料とを供給ユニット
214から加工ヘッド200まで運ぶように配置されたダクト304、306、308、
310が供給ドッキングマニホルド300上に示されている。ダクト304~310を密
閉するために、またそれらを通過する媒体が抜けることを防止するために供給ユニット2
14上のマニホルドと加工ヘッド200上のマニホルドとの少なくとも一方にシールが一
般的には設けられている。
【0092】
当業者であれば、シールドガスは典型的には、ワークピース104の加工中に酸化等の
化学反応がワークピース104上に生じることを抑制するように配置されたアルゴン等の
不活性ガスであると認識するであろう。
【0093】
幾つかの実施形態では、ビームエクスパンダ217は、最終的な集束の焦点を変えるた
めに調整されるように配置されてもよい。そのような配置は、加工される材料が加工ヘッ
ド内で又は加工ヘッド後にエネルギ源により溶融されるかどうかを判定することを支援す
る。加工可能な材料が溶融する焦点を変えることにより加工されているワークピース上の
ボンディング、仕上げ、残留応力を判定できるということを当業者は認識するであろう。
【0094】
一実施例において、2つのマニホルドの結合表面(即ち、供給ドッキングマニホルド3
00上の面312と加工ヘッドドッキングマニホルド上の対応面)は、後述されるように
、特にダクト302内への塵埃侵入を抑制する方法で供給ユニット214が加工ヘッド2
00から離れている際にこの供給ユニットをドッキングすることができるように実質的に
は平面である。従って、実質的に平らな表面は平面としてみなしてもよく、位置合わせ機
構を提供しているとみなしてもよい。
【0095】
また、供給ドッキングマニホルド300上には、加工ヘッドドッキングマニホルド上の
相補的な形状と係合するように配置された位置決め機構(この場合、位置決めピン314
、316)が設けられている。ピン314、316が加工ヘッドドッキングマニホルド上
に設けられると共に凹部が供給ドッキングマニホルド300上に設けられ、又は1本以上
のピンが各マニホルド上に設けられてもよいことを当業者であれば認識するであろう。実
際には、位置決めピン以外の位置決め機構が使用されてもよい。位置決め機構は、実質的
に平な表面に加えて、位置合わせ機構としてみなされてもよい。
【0096】
図4は、今から説明するように、互いに対して様々な状態で配置された、供給ユニット
214、加工ヘッド200、クランプ機構202を示している。
図4aは、供給ユニット214が第1状態にある、ドッキングしていない状態を示して
おり、これは、保管状態とみなされるかもしれない。供給ユニット上の供給ドッキングマ
ニホルド300は、ダクト302~310を閉鎖するために実質的に平面のドッキング表
面400に対して位置している。加工ヘッド200はクランプ機構202から離れて保管
されている。しばしば、加工ヘッド200は工作機械100の工具取り換え装置内に保管
されるであろう。しかし、これはそうである必要はない。
【0097】
図4bは、供給ユニット214は
図4aに示すように第1状態のままである一方、加工
ヘッド200がクランプ機構202内に位置している状態にあるシステムを示している。
一般的に加工ヘッド200は機械加工ヘッド取り換えルーチンを使用して選択されクラン
プ機構に挿入される。多くの実施形態において、取り換えルーチンは自動又は少なくとも
半自動で行われ、コントローラ106の制御下で大抵行われるということを当業者であれ
ば認識するであろう。
【0098】
図4cはドッキング状態にあるシステムを示している。この状態においては、供給ドッ
キングマニホルド300が加工ヘッドに対してドッキングされた状態で、供給ユニット2
14が第2状態にある。ドッキングされた状態において、供給ドッキングマニホルド30
0内のダクト302~310は加工ヘッド200内にある協同ダクトと整列する。
【0099】
幾つかの実施形態において、供給ドッキングマニホルド300が加工ヘッドドッキング
マニホルドから取り外される際に、気流(又は実際には他の適切な流体)がダクト302
~310を通り越し又は通り抜けて、汚染物質のこれらダクトへの侵入を抑止し防止する
ことを支援するように、送風システムが供給ドッキングマニホルド300に付随している
。
【0100】
図4aから4cにおける3つのステージは、供給ユニット214を加工ヘッド200に
接続する前に加工ヘッド200をクランプ機構202に接続する概要を示しているという
ことを、当業者であれば認識するであろう。他の実施形態では、接続順序は異なっていて
もよいし、例えば、加工ヘッド200がクランプ機構202に係合する前に供給ユニット
214が加工ヘッド200に接続されることができるということは考えられる。
【0101】
図5は更なる実施形態を示し、同様の部分には同様の番号を付して呼ぶことにする。図
5は、第1のドッキングしていない状態(
図4aに示されるように)から第2のドッキン
グした状態(
図4cに示されるように)に供給ユニットを移動するために使用される機構
を示す。
【0102】
図6は、供給ドックマニホルド300を見渡している、即ち、右側から
図5を見ている
、
図5における実施形態の別の立面図を示している。
第1移動機構が供給ユニット214を垂直に移動させるように設けられている。本実施
形態は、供給ユニット214の外側表面の一部に沿って設けられたラック500を備えて
いる。図は、供給ユニット214の側面上のラックを示しているが、それは供給ユニット
214の周辺のどの位置に設けられても、また、そのようなラックが2つ以上あってもよ
い、ということを当業者であれば認識するであろう。実際、
図7からわかるように、本実
施形態は供給ユニット214の側面に2つのラック500a、500bを備えている。
【0103】
図7は、また、フレーム502上に取り付けられたピニオン機構700をより明確に示
している。ピニオン機構700が作動されると、機構700内のギアがラック500a、
500bと相互作用し、供給ユニット214が、ギアが駆動される方向に依存して、上下
において移動する。
【0104】
なお、
図7からもわかるように、本実施形態において、ピニオン機構700のハウジン
グは供給ユニット214のガイドとして作用するためにラック500a、500bと係合
している。他の実施形態では他のガイド機構が提供されてもよい。
【0105】
水平方向に供給ユニット214を移動させるために第2の移動機構が設けられている。
説明中の実施形態において、第2の移動機構は、一方がフレーム502の上方に、他方が
下方に設けられた2つのウォームギヤ504,506を備えている。
【0106】
以下の事は認識される。即ち、供給ドッキングマニホルド300を移動させて加工ヘッ
ドドッキングマニホルドに接続させ、及び/又はこれから分離させるように配置されてい
る少なくとも1つの機構を各第1、第2移動機構は提供し、この配置は、2つのマニホル
ドが接続される際に、前記/各媒体が加工ヘッドに供給されるように、即ち、各マニホル
ド内のダクト302~310が互いに接続されるようになされている。
【0107】
従動ギアが、ピニオン機構700に隣接してハウジング702内に設けられている。ま
た、この従動ギアは、供給ユニット214をウォームギヤ504、506に対して駆動し
て、水平方向に供給ユニット214を移動させるように配置されている。
【0108】
他の実施形態においては、第1、第2移動機構はギア以外の機構により提供されてもよ
い。例えば、空気圧及び/又は油圧アクチュエータが利用されてもよい。本実施形態では
2つの移動機構があるが、他の実施形態では2つより少ない、又は多い移動機構があって
もよいことは、当業者であれば認識するであろう。
【0109】
図8は、
図5の実施形態の供給ドッキングのマニホルド300をより詳細に示している
。この実施形態では、ダクト304~310はそれらの端領域にコネクタを備え、これら
コネクタは加工ヘッドドッキングマニホルド内の相補的なコネクタに接続するように配置
されているということがわかる。
【0110】
図9を参照し前記を要約すると、工作機械100上の加工ヘッドを取り換えるために、
工作機械コントローラ106はその工具取り換えルーチンを生じさせ(前に搬送していた
既存のヘッドをドッキングした後)、加工ヘッド200を取り上げる(ステップ900)
。
【0111】
一旦、加工ヘッド200が必要に応じて工作機械100のクランプ機構202内で係合
すると、2つのマニホルドを接続することができるように加工ヘッド200が既知の方位
に合わせられるまで加工ヘッド200は工作機械100により回転させられる(ステップ
902)。
【0112】
一旦、加工ヘッド200が供給ユニット214を受け取るように待機姿勢で方位を合わ
せられると、第2の移動機構が供給ドッキングマニホルド300をドッキング表面400
から離すために動作する(ステップ904)。
【0113】
供給ユニット214を下降させるために、その後、第1移動機構が動作する(ステップ
906)。
一旦、供給ユニットが正確な垂直方向の高さに位置すると、第2の移動機構が供給ユニ
ット214上の供給ドッキングマニホルドを加工ヘッドドッキングのマニホルドと係合さ
せるために再び動作する(ステップ908)。
【0114】
2つのマニホルドがそれらの平面と係合する際、位置決め機構314、316は供給ユ
ニット214が加工ヘッドに対して正確に方向を合わせられることを確実にする。加工ヘ
ッド200に対する供給ユニット214の正確な位置合わせは、エネルギ源(例えばレー
ザビーム)を送る部品の位置合わせを保証することを支援する、ということを当業者であ
れば認識するであろう。この場合、互いに対するリフレクタ208、222はレーザビー
ムの正確な集束を保証することを支援する。
【0115】
本発明の複数の実施形態は多くの適用を見いだすであろう。特に複数の実施形態は、典
型的には、エネルギ源及び関連媒体が工作機械100に接続されることを可能にして、工
作機械100がエネルギ源でワークピース106を加工することを可能にする。
【0116】
1つの特有な適用はレーザ蒸着(レーザクラッド法としても知られている)である。レ
ーザ蒸着は、タービン羽根、ポンプインペラ、等を含む破損した部品を修理するのに役に
立つ。部品の修理を仕上げるために次に機械加工されるその部品に材料が加えられること
がレーザ蒸着工程により可能になる。
【0117】
図10は修理されたタービン羽根を示していて、点線によって強調された先端地域10
00に新鮮な材料がこのアプローチにより加えられている。
他の実施形態において、以下、即ち、溶接、 蒸着(積層造形、3D印刷、方向付けら
れたエネルギ蒸着を含む)、溶射(ある場合においては、エネルギの発散ビームの利用)
、クラッド法、切断、プロセス熱管理、熱処理、 エネルギ(即ち、レーザ)機械加工、
等のいずれかを含む他のプロセスを提供するために加工ヘッドが利用されてもよい。
【0118】
図11は本発明の更なる態様の実施形態の概略図であり、媒体貯槽が加工ヘッド内に設
けられている。前述したように、加工ヘッド1100は、工作機械1106の一部である
スピンドル1104に取り付けられたクランプ機構1102内に設けられている。加工ヘ
ッドは、エネルギ源1110と共に加工ヘッド内に位置した媒体貯槽1108を備えてい
る。
【0119】
エネルギ源からのエネルギは媒体貯槽1108内の媒体に付与される。媒体がワークピ
ースに付与される付与ポイント1114に、その後、媒体は経路1112に沿って転送さ
れる。加工ヘッドの移動及び付与ポイント1114の位置が前述同様に工作機械又はコン
トローラにより最初に制御される。回転又は微細位置決め等の動きをするように加工ヘッ
ドは一般的に構成されている。エネルギ源1110は熱源を備えている。また、エネルギ
源1110は、スピンドル1104を通って、又は
図2に示すような本発明の実施形態に
おけるような1つ以上のドッキングのシステムを介して、工作機械内の電気供給部に接続
されている。媒体貯槽はポリマフィラメント等の媒体の供給を含むように配置されたチャ
ンバを備えている。
図2の実施形態におけるように加工ヘッドがドッキングシステムを介
して使用されている間、又は工具取り換え装置に位置している際、チャンバは追加媒体材
料で補充されることができる。
【0120】
図12は2つの媒体供給部を備える、代替としての加工ヘッドの実施形態を説明してい
る。説明を分かり易くする目的で、加工ヘッド1100のみが
図12に示されている。こ
の実施形態では、加工ヘッドは第1媒体供給部1116及び第2媒体供給部1118と共
にエネルギ源1110を含む。各々の媒体供給部は、第1、第2付与ポイント1124、
1126に至る夫々の経路1120及び1122に接続されている。第1の媒体供給部は
建材を備えていてもよく、第2の媒体供給部は支持材料を備えていてもよい。又は、第1
、第2媒体は異なる色を備えていてもよく、又はより複雑なワークピースを構成するため
に使用される代替媒体を備えていてもよい。第1の媒体は建材又は支持媒体のうちの一方
であってもよい。コントローラ又は工作機械は、加工ヘッドの位置決めと媒体蒸着の制御
とにより媒体の付与を制御することができる。更に、微細位置決めは、一方又は他方が有
利に働くように付与ポイントを進行又は後退させる等の構成を加工ヘッドに組み込むこと
ができる。加工ヘッドが作用位置にある間、又は加工ヘッドが工具取り換え装置のオフサ
イクルである間、加工ヘッドが媒体供給部により使用されている際、媒体貯槽1116及
び1118を補充することができる。エネルギ源は電池式のエネルギ源であってもよく、
加工ヘッドが工具取り換え装置内にある間、充電することもできる。
【0121】
次に
図13を参照すると、加熱したポリマを電力で押し出すように配置された材料加工
ヘッドと、上述されたようにおそらくマニホルドを介して加工ヘッドの外側に供給された
媒体と、が示されている。この実施形態では、加工ヘッド1150は、クランプ機構11
52と、第1の蒸着ヘッド1154と、第2の蒸着ヘッド1156とを備えている。しば
しば、工具交換装置と呼ばれるクランプ機構は、ISO40テーパ又はHSK63aであ
ってもよい。
【0122】
加工ヘッドは、ASTM F2792標準により定義されるような「材料押し出し」装
置を代表する一例である。従って蒸着ヘッド1154、1156はワークピースに材料を
押し出すように配置されている。加工ヘッドも第1、第2の媒体供給部1158、116
0を備えている。本実施形態において、媒体供給部は第1チャネル、第2チャネル116
2、1164を備えている。各チャネルは、媒体供給1158、1160夫々を提供して
いる媒体を形成している、第1、第2のポリマのフィラメントをガイドするように配置さ
れている。媒体は媒体供給機構から第1、第2チャネルに供給される。媒体供給機構はマ
ニホルドに接続するように配置されている。また、電力供給部が先の図面に記載されたマ
ニホルドに必要な変更が加えられて類似したマニホルドから加工ヘッドまで設けられてい
る。フィラメント供給機構1166が加工ヘッド内に位置していて、第1、第2フィラメ
ントを加熱された第1、第2チャンバにそれぞれ供給する。電力供給部(典型的にはマニ
ホルドを介して接続され、この接続はここでは1172の位置に図示されている)はエネ
ルギを第1、第2チャンバに供給する。夫々のチャンバ内においては第1、第2フィラメ
ントが加熱され、半液体状態の媒体が第1の蒸着ヘッド1154と、第2の蒸着ヘッド1
156とに供給される。
【0123】
ASTM F2792標準により認知されているような材料噴射用にヘッドが設計され
ている、代替実施形態が
図14に示されている。従って、
図14のヘッドは、インクジェ
ット、エアゾールジェット等に類似しているかもしれない。この実施形態では第1、第2
の液体媒体1200、1202が加工ヘッド内に設けられている。この実施形態において
は、各蒸着ヘッド1204、1206はワークピース上に、少なくともワークピース方向
に液滴を蒸着するように配置された多数の液体噴射部を備えている。媒体は、液体であっ
てもよいし、当技術で知られているような、懸濁粒子を充填した液体等の他の噴射可能な
流体から選択されてもよい。第1、第2の媒体チャンバ1208、1210は夫々加工ヘ
ッド内に設けられ、供給媒体は各チャンバ内にある。噴射可能な粘性の維持が重要である
場合には媒体は任意に温度制御されてもよい。コントローラは加工ヘッドからワークピー
ス上への媒体の蒸着を制御するように設けられている。この実施形態のコントローラは圧
力管理バルブ1212を備えている。エネルギ源が設けられていて、該エネルギ源はバッ
テリ1214又は電力を発生するための類似の機構を備えている。バッテリ1214は媒
体のワークピースへの付与を制御するためのエネルギを提供する。また、バッテリ121
4は熱の形でエネルギを媒体に提供することもできる。媒体チャンバ1208,1210
内に媒体が補充できるように第1、第2チャンバも第1、第2ダクト1216、1218
に夫々接続されている。第1、第2のダクトは工具取り換え装置内の材料供給部又はマニ
ホルドに接続可能である。他の実施形態においてはこのように補充可能でなくてもよい。
【0124】
ヘッドが工作機械にクランプされている間にマニホルドを加工ヘッドに接続することが
できる。バッテリもマニホルド(即ち、接続部1219)を介して、電気供給幹線に接続
することができ、マニホルドが加工ヘッドに接続されている間にバッテリを充電すること
ができる。
【0125】
また、加工ヘッドの動きや噴射パルスを制御するように、また媒体チャンバ1208、
1210内の圧力を制御するように設けられた制御盤1220が
図14に示されている。
無線通信機能も設けられており、これは、画像印刷用データのためのデータ源に接続す
るために使用されるとともに、CNC位置コントローラの機能によりヘッド位置を制御及
び調整するために使用される。そのような無線通信機構は従来のものであり、その説明は
省略する。或いは、メモリカード等格納されたメモリ装置を加工ヘッド内に含むことによ
り、又はより多くの従来の機構により、ヘッドからマニホルドやドッキングシステムまで
提供された通信回線接続を介してデータが装置に供給されてもよい。
【0126】
本発明の別の実施形態が
図15に示されていて、加熱されたポリマを押し出しするよう
に配置された実施形態である。この実施形態では、
図13の実施形態におけるように、媒
体は、ポリマフィラメントの形で提供される。同一の参照数字が対応するエレメントに使
用される。この実施形態では、第1、第2フィラメント1158,1160各々は第1、
第2スプール1300、1302に巻かれたフィラメントとして設けられている。第1と
第2フィラメントは、それぞれのフィラメント供給機構1166により、それぞれの第1
、第2スプール1300、1302から移動される。フィラメントが夫々の第1、第2チ
ャンバ1168、1170を通過する際にフィラメントを加熱するためにエネルギ源(図
示せず)が第1、第2チャンバにエネルギを供給する。電力供給部1304が、加工ヘッ
ドに接続可能なマニホルドを通って加工ヘッドに接続されている。この実施形態では、媒
体が使い果たされると加工ヘッド全体を自動的に取り換えることができる。こうすれば、
処理が遅れることはなく、また加工ヘッドが使用中でなく工具交換装置内又は他の保管場
所内にある間に、使い切ったスプールを有するヘッドに補充をすることができる。
【0127】
図16は、クランプ機構202に選択的に保持されるように配置された加工ヘッド20
0を有する更なる実施形態を示している。この実施形態は
図2から4までに示された一実
施形態におそらく類似している。従って、同様の部分には同様の番号を付して呼ぶことに
する。
【0128】
図16に関連して説明されている実施形態では、エネルギ源は高圧給電部516により
提供され、また、ワークピース104に電源を向かわせるように配置されたガイド機構は
導電性経路520及び電極508により提供される。典型的には、導電性経路520は銅
線、ケーブル等のようなワイヤにより提供されてもよい。
【0129】
また、媒体供給部224が設けられていて、流体をワークピース104に供給するよう
に配置されている。尚、流体は、ここに記載されている1つ以上の他の流体であってもよ
い。
【0130】
利便性及び保護のために、導電性経路520及び媒体供給部224は柔軟な供給ユニッ
ト514内に含まれている。
図16の実施形態においては、ワークピースがアース1600に接続されることにより
、ワークピースでアーク513を生じさせてプラズマに基づいたエネルギ源を供給するこ
とが可能であるということが分かる。
【0131】
先の実施形態のように、供給ドッキングマニホルド600が設けられている。ここでは
供給ドッキングマニホルド600は柔軟な供給ユニット514の端領域上に設けられてい
て、加工ヘッド200上の加工ヘッドマニホルド1602に接続されるように配置されてい
る。
【0132】
不使用の際の供給ドッキングマニホルド600がもたれて格納されてもよい略平面のド
ッキング表面700が提供されてもよい。ここでは、平面は電気供給部516上に示され
ている。
【0133】
図17a、17bはアッセンブリの諸段階にある
図16の実施形態を示している。
従って、加工ヘッド200は使用中でない時、クランプ機構202から離れた工具ステ
ーション内に保管してあるということが
図17aから分かる。加工ヘッド200が施すこ
とができないワークピース104に加工を施すために、クランプ機構は自由に他の加工ヘ
ッド又は機械加工ヘッドをこの状態で保持する。供給ドッキングマニホルド600が略平
面のドッキング表面700上に置かれているのが分かる。
【0134】
クランプ機構202内に加工ヘッド200を移動させるためにロボットアーム、工具取
り換え機構等(図示せず)の機構が次に使用される。これら部品の配置が
図17bに示さ
れている。そのように、ロボットアームは供給ドッキングマニホルドを移動するように配
置された機構、即ち、移動機構として考えられるかもしれない。
【0135】
さらに、ロボットアーム等(図示せず)の移動機構(加工ヘッドを移動させるのに使用
される移動機構と同様であってもなくてもよい)が次に使用されて、供給ドッキングマニ
ホルド600が加工ヘッドドッキングマニホルド1602に接続されるように、ガイド機
構520を含む柔軟な供給ユニット514と、供給ドッキングマニホルド600とを移動
させる。これらの部品配置が
図17cに示されている。この配置により流体が媒体供給部
を下り、供給ドッキングマニホルド600を通り、加工ヘッドドッキングマニホルド16
02も通り、加工ヘッド200内へと流れることができる。更にガイド機構520の接続
により電気が電気供給部516から加工ヘッド200に流れ、電極508を通り、ワーク
ピース104に対するギャップを横切り、最終的にはアース1600へと流れる。
【0136】
図18は更なる例示的実施形態を示している。ここでは、加工ヘッドは、加工ヘッドに
隣接するワークピース上に向けられたエネルギ源を提供するように配置されている。
この図は
図2に類似していて、同様の部分には同様の番号を付す。しかし、
図18に関
連して説明している実施形態では、加工ヘッドは媒体を供給せず、ワークピースにエネル
ギを供給するように単に配置されている。ドッキング機構は
図3、4a、4b、4c又は
図16a、16b、16c、17に関連して説明したドッキング機構と同様に機能しても
よく(必要な箇所には変更を加えるが)、説明を省略する。媒体無しでエネルギをワーク
ピースに供給する実施形態では304、306、308、310は多分省略されるであろ
うということを当業者であれば留意するであろう。しかし、そのような実施形態は冷却液
、シールドガス等の流体を供給すると考えられる。そのような流体は
図3に示されるよう
なマニホルド内のダクトを通って流されるかもしれない。また、更なる代替実施形態では
、流体はマニホルドを介さずワークピース上に直接送られてもよく、加工ヘッドを介して
実質的に加工されてもよい。
【0137】
尚、
図18では媒体供給部が取り除かれているのがわかる。
従って、
図8の実施形態では、コントローラ106は、ワークピース104を横切るよ
うにレーザビーム206の移動を制御する。コントローラがレーザビーム206を、ワー
クピースを横切って移動させる速度はワークピースの所定の領域(即ち、部分)に送られ
た電力に影響を与える。更に、コントローラ106は電力を制御するためにレーザをオン
/オフするように配置されている。
【0138】
加工ヘッドの特定の実施形態に提供された特徴の組み合わせを変更してもよいことは当
業者であれば認識するであろう。例えば、より少ない又はより多い蒸着ポイントが同じヘ
ッドに含まれていてもよい。更に、従来技術で知られるように蒸着されている媒体を硬化
又は溶融するためにUV、IR、光学光源等の処理エネルギ源を組み込むこともできる。