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特許7298930交換可能なピックアップを伴うエレキギター、及びこの目的のためのピックアップ要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】交換可能なピックアップを伴うエレキギター、及びこの目的のためのピックアップ要素
(51)【国際特許分類】
   G10D 1/08 20060101AFI20230620BHJP
   G10H 3/18 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G10D1/08 100
G10H3/18 K
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020535644
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2019050176
(87)【国際公開番号】W WO2019137857
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】00019/18
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519211177
【氏名又は名称】レリッシュ ブラザーズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ギガー,ピルミン
(72)【発明者】
【氏名】キューング,シルヴァン
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-223495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0053631(US,A1)
【文献】米国特許第06111184(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 1/08
G10H 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギターであって、前記ピックアップ(1)を、ツールを使用しないで前記ギター本体(3)の裏から前記凹部(2)に挿入することができ、嵌合部の中で前記ピックアップ(1)のコイルと前記凹部の端子との間の電気接触を閉じ、ケーブルを介して前記ギター本体(3)の出力ポート(7)に通じ、前記ピックアップ(1)は、ツールなしで嵌合座部の中に挿入し、嵌合座部の中から取り出すことができ、少なくとも1つの永久磁石によって前記嵌合座部に保持されるか、機械式のばね装填掛止デバイスによって保持されるか、前記凹部(2)の上に部分的に押し込まれ得る機械式スライダによって保持されるか、または前記凹部(2)の上に部分的に枢動され得る回転盤によって保持され、
ここで、前記ピックアップ(1)は、前記凹部(2)に配置された受け入れフレーム(4)に設定することができ、ケーブルを介して前記ギター本体(3)の前記出力ポート(7)に通じる電気接点(5)を有し、前記ピックアップ(1)は、その裏側にベースプレート(8)、及びその上の固定プレート(14)を有し、前記固定プレート(14)は、正確な嵌合で前記受け入れフレーム(4)に挿入することができ、その中に磁気によって保持され、前記ベースプレート(8)と前記固定プレート(14)との間の距離は、前記ピックアップ(1)が設定されるときに細かく調整可能で、前記ピックアップ(1)が挿入状態にあるとき、前記ピックアップ(1)のコイル(11)の各々の電気取り出し部(10)は、前記固定プレート(14)のばね装填ピン(23)を介して前記受け入れフレーム(4)の接点(5)を用いて電気接触を閉じることを特徴とする、ギター本体(3)上の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴う、エレキギター。
【請求項2】
前記受け入れフレーム(4)は、両端側の各々に側部ホルダ(12)を形成し、前記側部ホルダ(12)は、前記固定プレート(14)のために機械式嵌合座部を形成して、挿入された前記固定プレート(14)を保持するための永久磁石(13)が装備され、一方の前記側部ホルダ(12)には、ケーブルを介して前記ギター本体(3)の前記出力ポート(7)に接続される電気接点(5)が装備され、前記ピックアップ(1)の前記コイル(11)の各々における前記電気取り出し部(10)は、前記固定プレート(14)の前記ばね装填ピン(23)に通じ、前記ばね装填ピン(23)の各々は、ピックアップフレーム(4)の前記側部ホルダ(12)における前記電気接点(5)を用いて電気接触を閉じることを特徴とする、請求項1に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項3】
前記受け入れフレーム(4)の各両側は、2つのねじ(15)でねじ止めされた側部ホルダ(12)を含み、各側で2つの前記ねじ(15)が前記側部ホルダ(12)の端部領域を貫通すること、前記側部ホルダ(12)は、前記固定プレート(14)の機械式嵌合座部を形成し、各前記側部ホルダ(12)には、挿入された前記固定プレート(14)を保持するための2つの永久磁石(13)が装備されること、及び、2つの前記側部ホルダ(12)のうちの一方には電気接点(5)が設けられ、前記電気接点(5)はケーブルを介して前記ギター本体(3)の前記出力ポート(7)に接続され、前記ピックアップ(1)の前記コイル(11)における各々の前記電気取り出し部(10)は、前記固定プレート(14)のばね装填ピン(23)に通じ、前記ばね装填ピン(23)の各々は、前記ピックアップ(1)が挿入されると、前記受け入れフレーム(4)の前記側部ホルダ(12)における前記電気接点(5)を用いて電気接触を閉じること、を特徴とする、請求項1または2に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項4】
前記固定プレート(14)の前記ベースプレート(8)は、ねじ山付きブッシュ(16)を有する前記固定プレート(14)によって、前記ピックアップ(1)から変化する距離で前記ピックアップ(1)の前記ベースプレート(8)に接続され、それによって前記ピックアップ(1)の高さ調整装置(18)のねじ山(17)の上にねじ止めすることができること、及び、前記固定プレート(14)は、垂直に突出するよう前記ベースプレート(8)に装着されたガイドピン(20)のための受け入れ穴(19)を有し、それによって前記高さ調整装置(18)が前記固定プレート(14)の自由側で回転されるとき、前記固定プレート(14)と前記ベースプレート(8)したがって前記ピックアップ(1)との間の距離は細かく調整することができ、それによって前記エレキギターの弦(22)から前記ピックアップ(1)のピックアップ(21)までの距離を変化させることができること、を特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項5】
前記ピックアップ(1)の前記コイル(11)の前記電気取り出し部(10)は、前記固定プレート(14)を介して前記受け入れフレーム(4)における接点(5)を用いて電気接触を閉じること、4つのばね装填ピン(23)は、前記固定プレート(14)に配置され、そこから直角に突出して離れ、前記固定プレート(14)が前記受け入れフレーム(4)またはその側部ホルダ(12)に設置されると、4つの前記ばね装填ピン(23)は接点(5)の中に嵌合し、前記電気接点(5)と組み合わされて、前記電気接点(5)の各々は前記ばね装填ピン(23)を受け入れるための窪み(24)を形成すること、を特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項6】
フレームは、プラスチックで作られた単一の射出成形部材として設計され、すなわち前記受け入れフレーム(4)、ならびに、その上に直接載る側部ホルダ(12)、及びその上に設置される前記固定プレート(14)もプラスチックの射出成形部材であり、それは前記フレームの中に正確に嵌合し、端部カム(29)間の前記フレームに正確に嵌合し、前記嵌合部に永久磁石(13)によって保持されることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項7】
前記ギター本体(3)は、ピックアップ(1)を挿入するための2つまたは3つの凹部(2)を有し、タッチスクリーン(25)は前記ギター本体(3)の表側(9)に配置されること、及び電子回路(64)が前記ギター本体(3)の中または上に存在し、それによって指を前記タッチスクリーン(25)上で、より大きくまたはより小さく動かすことによって、個々の前記ピックアップ(1)、すなわちブリッジピックアップと、存在する場合は中間位置ピックアップと、ネックピックアップとを、連続してオンまたはオフに切り替えられることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項8】
前記ギター本体(3)は、ピックアップ(1)を挿入するための2つまたは3つの凹部(2)を有し、タッチスクリーン(25)は前記ギター本体(3)の表(9)に配置されること、ならびに電子回路(64)が前記ギター本体(3)の中または上に存在し、それによって前領域及び中間部で同時に前記タッチスクリーン(25)に触れることによって、ネックピックアップを直ちにオンに切り替え、かつ同時にブリッジピックアップをオフに切り替え、この配列で再び触れると、前記ブリッジピックアップは再びオンに切り替えられ、逆に同時に前記タッチスクリーン(25)の中間部及び後領域を触れると、前記ブリッジピックアップは直ちにオンに切り替えられ、かつ同時に前記ネックピックアップはオフに切り替えられ、再びこの配列で触れると、前記ネックピックアップは再びオンに切り替えられることを特徴とする、請求項1~7のうちいずれか一項に記載のギター本体(3)の連続した凹部(2)の中に少なくとも1つのピックアップ(1)を伴うエレキギター。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載のエレキギターのための、ピックアップ要素であって、前記ピックアップ(1)の高さ調整装置(18)のねじ山付きブッシュ(16)と、前記ピックアップ(1)の前記ベースプレート(8)のガイドピン(20)のための受け入れ穴(19)と、を伴う固定プレート(14)を有し、前記固定プレート(14)は、関連する受け入れフレーム(4)に、ツールなしで手によって挿入可能で、前記受け入れフレーム(4)は、ギター本体(3)の連続したピックアップ凹部(2)に裏側(6)から設定するよう意図され、前記固定プレート(14)のための嵌合座部を形成し、ツールなしで再び前記受け入れフレーム(4)から解放できることを特徴とする、ピックアップ要素。
【請求項10】
前記ピックアップ(1)の前記高さ調整装置(18)のねじ山付きブッシュ(16)と、前記ピックアップ(1)の前記ベースプレート(8)における前記ガイドピン(20)のための受け入れ穴(19)と、を伴う強磁性体の固定プレート(14)を備え、前記固定プレート(14)は、前記ピックアップ(1)の前記コイルに電気的に接続された、ばね装填ピン(23)を有し、ピックアップ要素は、ねじ止めされた側部ホルダ(12)を伴う関連の受け入れフレーム(4)をさらに含み、前記側部ホルダ(12)の各々には2つの永久磁石(13)が装備され、強磁性体の前記固定プレート(14)のための嵌合座部を形成すること、強磁性体の前記固定プレート(14)を伴う前記ピックアップ(1)を、ツールなしで手によって前記嵌合座部の中に挿入し、その中に磁気によって保持され、そうすることで前記ばね装填ピン(23)は、前記側部ホルダ(12)の前記電気接点(5)を用いて電気接触を閉じること、ならびに前記ピックアップ(1)を伴う前記固定プレート(14)は、ツールなしで前記嵌合座部から解放され得ること、を特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のエレキギターのための、請求項9に記載のピックアップ要素。
【請求項11】
2つの側部ホルダ(12)は、前記受け入れフレーム(4)上に支持された圧力ばね(68)を用いて、前記受け入れフレーム(4)にねじ止めされ、それによってねじ(15)を調整することによって、前記側部ホルダ(12)の前記受け入れフレーム(4)に対する位置を調整することで、挿入された前記ピックアップ(1)の傾斜、したがってピックアップ(21)からの様々な弦(22)までの距離を調整できることを特徴とする、請求項2~8のうちのいずれか一項に記載のエレキギターのための、請求項9または10に記載のピックアップ要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エレキギターは、広範な音を生成することができ、それらの音は弦の振動によって生成され、それらは次に電気的に増幅される。従来のエレキギターには、1つまたは2つの所謂ピックアップが装備され、それらは、弦の真下のギター本体において、ギターネックの頸部の間、すなわちフィンガーボードの後端部とブリッジとの間に設置される。所謂ピックアップの各ピックアップ部は、磁心の周りに光沢のある銅線が数千回巻かれた電気コイルで構成され、コイルの両端部は絶縁ケーブルを介してアンプシステムに電気的に接続される。コイルの一方の端部に近い弦の振動は、弦の振動によって変質された磁束によって、コイルに電流を誘導する。この電流は、アンプシステムによって電気的に音を生成するために使用され、次にアンプシステムは、増幅された電気信号をスピーカに送る。振動する弦による磁束の変化が非常に小さくても、対応する高い巻き数により、一般に数十ミリボルトから数百ミリボルトの電圧を生成するためには十分である。電界強度の変化すなわち誘発される電圧は、弦が、側方に前後に振れる代わりにポールに前後に振れるときに、最大になる。強磁性の弦は、それらの振動が、大幅に影響を受ける程度まで磁石によって引き寄せられてはならず、さもなければ、それらの振動は不純な音を出すことになる。その結果、特に強い磁石を用いると、比較的弱い磁石と比較して、全てのピックアップは弦から離して位置付ける必要があり、それは、等しい距離と比べて出力電圧を減少させるため、より高い出力電圧は存在しなくなる。したがって、必要以上に強い磁石に利点はない。磁石は、磁界を生成するだけなので音に影響を及ぼさない。磁界が、比較的高価なネオジム磁石、安価なフェライト磁石、または電磁石によって生成されるかによる違いはない。なお、電磁石はギターのピックアップとして一般的ではない。唯一の理論的影響要因、すなわち渦電流が存在する。渦電流は、磁束が弦の振動によって変化するときに、磁石に生成される。渦電流は、音を形成する共振ピークの減衰を増加させる。しかしここで、ほとんど導電性がないフェライト磁石は、セラミック磁石と呼ばれることが多く、より高い誘発性の感覚を作り出し、高価であるが導電性である代替のAlNiCo磁石よりも優れていることは明白である。なぜなら、それらを用いると、渦電流したがって減衰を無視できるからである。しかしピックアップにおいて、磁石は通常、減衰のうちの非常に小さい要因でしかない。したがって、磁石材料についての全ての説明が正しいとは認められない。詳細には、磁石は「暖かい」または強い音を出すことはできず、すなわち磁石は周波数応答を有さない。ピックアップの「暖かい音」の理由は、常に様々である。音は、コイルの性質に大きく依存する。
【背景技術】
【0002】
このようなピックアップの主な不利点は、電源トランス及び蛍光灯の安定器によって生成されるような低周波数磁界に、影響を受けやすいことである。磁界が変化すると、電圧はコイルに誘導される。したがって電圧も、これらの干渉場によってピックアップに誘導される。これは、1つではなく2つのピックアップを使用し、それらを直列に、すなわち反対の極性で交互に接続することによって、容易に避けることができる。これは、外部の磁界が電圧を両方のコイルに誘導する効果を有するが、これらの電圧は、コイルの逆にした極性のために互いに相殺されるため、電圧は出力に送られない。同じことが有用な信号に生じ、これはもちろん望ましくない。しかしこれは、コイルの磁石の極性を逆にすることによって、容易に修正することができる。このように、コイルは反対の極性を用いて有用な信号を生成するが、コイルの反対の極性は、信号が再び正しく回ることを意味する。したがって、1つのみのコイルの2倍の電圧が出力に現出する。このようなピックアップは、ハムバッカーまたは二重コイルピックアップと呼ばれ、通常は金属製ハウジングに囲まれる。それらは、例えばギブソンレスポールに使用され、二重コイルの2つのピックアップを伴うギブソン調性を生成する。
【0003】
対照的に、各々に個々のコイルが装備された3つのピックアップは、所謂フレンダー調性を生成し、これらの個々のコイルのピックアップは、シングルコイルピックアップと呼ばれる。所謂二重コイルピックアップを伴うギターは、ハードロックミュージック、すなわちハードかつフルサウンドのために主に使用され、一方でフェンダー・ストラトキャスターとも呼ばれるフェンダー調性は、カントリーミュージックのために使用され、いくらか鼻音を生成する。
【0004】
ミュージシャンは、彼らのエレキギターで様々な音を、好ましくは単一のギターで提供される音の豊かさを超える音を生成できることを、常に所望している。ギターをシングルコイルで弾くとき、例えば二重コイルピックアップに切り替えるか、またはその逆に切り替えることができることを所望する。弦の下方で交互に配置された2つのピックアップを有するギターは、例えば必要に応じて3つの位置を伴うスイッチを押圧することによって、起動することができる。スイッチの1つの位置で、前部、所謂ネックピックアップがアクティブになり、中間位置で、両方のピックアップがアクティブになり、第3の位置で、後部、所謂ブリッジピックアップのみがアクティブになる。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0294659号明細書は、ギター本体に取り付けられた回転ディスク上に、いくつかのピックアップを設置することによって、1つのピックアップから別のピックアップに変化させるための別の解決策を提案している。この回転ディスクでは、所望のピックアップを弦の下で回転させることができ、ディスクはこの位置に固着する。このシステムは、演奏中に調性を迅速に変化させることを可能にするが、調性は、回転盤上に配置された、限られたピックアップの数に限定される。
【0006】
ギター本体またはこのような回転盤に取り付けられ、設定されたピックアップは、常に配線によってベースに接続され、かつねじ止めされており、かなりの労力をかけないと、取り外して別のピックアップと交換することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2015/0294659号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この背景技術を考慮し、本発明の課題は、ツール不要のピックアップ、すなわち手のみで、容易かつ迅速に3~5秒以内で交換できるピックアップを伴うギターを作り出すこと、及び、必要に応じて多くの様々なギターに使用できるような、必要なピックアップ要素を作り出すことである。ギターの特定の設計において、少なくとも2つのピックアップを連続してオンとオフに切り替えることができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、ギター本体の連続した凹部の中に少なくとも1つのピックアップを伴うエレキギターによって解決される。このエレキギターは、ピックアップを、ギター本体の裏から凹部に、ツールなしで最大5秒で挿入でき、その際にピックアップのコイルと凹部の接続部との間の電気接点を嵌合部内で閉じて、ケーブルを介してギター本体の出力ポートに通すこと、ならびに、ツールなしで手によって解放できるよう、ピックアップが嵌合部内に保持されること、を特徴とする。さらに、この課題は、エレキギターのピックアップ要素によって解決される。このピックアップ要素は、ピックアップの高さ調整装置のねじ山付きブッシュを伴う固定プレートと、ピックアップのベースプレートにおけるガイドピンの位置決め穴と、を有することを特徴とする。固定プレートは、関連の取り付けフレームに固定することができる。この取り付けフレームは、ギター本体の連続したピックアップの凹部に設定するよう意図され、この固定プレートのための嵌合座部を形成する。固定プレートは、ツールなしで手によって挿入でき、この取り付けフレームから再び取り外すことができる。ピックアップのオン及びオフを無限に調整可能に切り替えのため、タッチスクリーンが、特別バージョンのギターにおいてギター本体の外側に配置され、かつ電子回路がギター本体の中または上に設けられる。そのため、タッチスクリーン上で指をスライドさせることによって、個々のピックアップをある程度無限にオンまたはオフに切り替えることができる。
【0010】
図面は、交換可能なピックアップ、ならびにそれに使用されるピックアップ要素を伴うギターの例を示す。以下の説明は、いかにピックアップ要素を挿入し取り外すか、いかに機能するか、ならびに、いかにピックアップを連続的にオン及びオフに切り替えるかを、より詳細に記載し説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】3つのピックアップ及びスイッチレバーを伴う、従来のギターを示す図である。
図2】迅速に交換可能な3つのピックアップのための凹部を伴う、エレキギターの空のギター本体を示す図である。
図3】ピックアップのロッド磁石装置を示す図である。
図4】ピックアップの棒磁石アセンブリを示す図である。
図5】交換可能なピックアップの、取り付けフレームを示す図である。
図6】真下のベースプレートを伴うピックアップ部上の固定プレート、及びピックアップを示す図である。
図7】ピックアップフレーム上の側部ホルダに挿入されたピックアップを示す図である。
図8】ピックアップのための2つの凹部及び他の凹部を伴う、ギター本体を示す図である。
図9】固定プレート及び高さ調整ねじ山を伴うピックアップの側面図である。
図10】固定プレート及び高さ調整ねじ山を伴うピックアップの斜視図である。
図11】固定プレート及び接触頭部を伴うピックアップを上から見た図である。
図12】2列のピックアップを伴う、代替のピックアップを示す図である。
図13】2つの凹部を伴うギター本体の一部、及びピックアップが挿入される前部の凹部の隣においてピックアップを上から見た図である。
図14】2つの凹部を伴うギター本体の一部の切り抜き、及びピックアップ要素が挿入される前部の凹部の隣において、挿入の準備ができているピックアップの下側の図である。
図15】ギター本体の裏から挿入されたピックアップ要素を示す図である。
図16】中央のねじ山付き穴を伴う、固定プレートの代替バージョンを示す図である。
図17図16に示された固定プレートを他の側から見た図である。
図18】取り付けフレームの代替バージョンを示す図である。
図19】ピックアップ部の上に載った調整ねじ山を伴うピックアップを、下から見た図である。
図20】固定プレートが背部を調整ねじ山の上にねじ止めされた、ピックアップ部の上に載ったピックアップを示す図である。
図21】4つに枝分かれした接触ワイヤを伴うピックアップ、及びそれらの隣の、ピックアップフレーム上の接点と接触する、互いから絶縁された4つの接触ピンを示す図である。
図22】ピックアップのための凹部及びその上を通る6本の弦を伴うギター本体を、上から見た切り抜き図である。
図23】ピックアップを挿入したときの、ギター本体を裏から見た切り抜き図である。
図24図23のように裏側から見た、ピックアップが挿入されたギター本体の切り抜き図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず図1は、従来のエレキギター及びその構成要素を示す。ギター本体は、ほとんどが木材で作られた塊状体30から構成される。ギター本体は、アンプシステムに電気信号を出力するための、接続ソケット31を有する。ギター本体の外側下部において、2つの音調制御器32、33及び音量制御器35が存在し、それらの全ては、回転ノブで設計されている。ピックアップセレクタ34は、ここでは3つの位置を伴うスイッチレバーによって実現されている。さらに振動レバー36が確認できる。ギター本体の弦の下方領域を覆うプレートは、衝撃保護の働きをする。ネック39において、フレットボード40及びフレット38、ならびにフレットボード上のポジションインレイ37が存在する。ネック39の端部にはカラー41が存在し、ネック39からカラー41への移行部にナット43を伴う。カラー41にはチューニングペグが配置される。ギター本体の後方には弦サスペンション44が位置され、弦48の下方にはピックアップが位置される。ここでは、高音ピックアップ45、中音ピックアップ46、及び低音ピックアップ47である。これらのピックアップは、大きい労力及びツールの助けがなければ、交換することができない。それらはここで可視の表側から交換されることが多く、この目的のために弦48を緩めなければならず、当然ながらそれは、後で新たな張力調整及びチューニングを必要とする。
【0013】
本発明は、ピックアップを数秒以内にツールなしで交換できるギターを作り出す。この目的のため、ギター本体3には、図2に示すような少なくとも1つの連続した凹部2が設けられる。示された例において、ギター本体は3つの連続した凹部2を有する。ギター本体3の後方領域において、タッチスクリーン25が確認できる。このタッチスクリーン25は反応しやすく、ギター本体の様々な領域に収容された電子回路の様々な回路に影響をもたらす。タッチスクリーン25の最後端領域で2、3秒押圧すると、ブリッジピックアップ、すなわちブリッジまたは弦サスペンションから初めの高音のためのピックアップ45は、オンに切り替えられる。他方、タッチスクリーン25の前端領域において、端部領域28を数秒タッチすると、ネックピックアップすなわち低音のためにピックアップが、オンに切り替えられる。タッチスクリーン25のこれら両端領域26、28の間、すなわち領域27において、ピックアップを、連続してオン及びオフに切り替えることができる。したがって、指を後部から前部にタッチスクリーン25の上で動かすことができ、高音は徐々に弱くなり、弦を強くつま弾くと低音はだんだんと大きくなる。反対に、指を前部から後部に動かすと、低音はゆっくりと弱くなり、高音はだんだんと強くなる。他の機能は、以下のように実現される。1本の指、好ましくは人差し指の腹で、タッチスクリーン25の前部領域を押圧し、かつ別の指、好ましくは中指の腹でスクリーンの中間領域を押圧すると、ネックピックアップは直ちにオンに切り替えられ、ブリッジピックアップは同時に直ちにオフに切り替えられる。この方法で再びタッチスクリーン25を押圧すると、両方のピックアップは再び起動される。すなわちブリッジピックアップは再びオンに切り替えられる。1本の指、好ましくは人差し指の腹で、タッチスクリーンの中間部領域を押圧し、かつ別の指、好ましくは中指の腹でスクリーンの後部を押圧すると、ネックピックアップは直ちにオフに切り替えられ、ブリッジピックアップは同時に直ちにオンに切り替えられる。タッチスクリーンを再びこの配列で押圧すると、ネックピックアップは再びオンに切り替えられる。ギター本体3の縁部で、ギターが演奏者の肩から演奏位置に吊り下げられたときの最下点において、ギターの出力ポートのために穴59も確認できる。
【0014】
図3は、ピックアップの単一ピックアップ部を示す。棒磁石49は、巻型50に銅線51が巻かれている。各々1つのコイルを伴う6つの個々のピックアップを使用する代わりに、6本の棒磁石を用いてその周りに単一のコイルを巻き、材料の節約及び角度空間を小さく保持するために、段ボールまたはプラスチック製ホルダを使用して、磁石及びコイルが互いに対して動くのを防止する。単一の棒磁石の代替として、図4に示されるような1つまたは2つの棒磁石52を使用することができる。磁界は、強磁性体の棒を伴うコイル、またはより好ましい調整ねじ53を介して誘導され得る。この目的のため、調整ねじ53にはソケット54が設けられる。個々の弦の体積は、多少弦22に近いピックアップのピックアップ部の位置決めによって、調整することができる。これは、棒磁石を伴うピックアップには不便であり、棒磁石49を軽くたたいて弦22から遠ざけるために使用され得る小さいハンマを用いることでしか、可能とならないことが多い。ロッド磁石49が遠くに滑り落ちると、他の側を持ってピックアップを取り外すことが必要になることが多い。
【0015】
ピックアップを、ツールを必要とせずギター本体3に設けられた凹部2の中に正確に嵌合するよう挿入でき、それによって迅速な交換ができるように、好ましくは、図5に示される取り付けフレーム4が凹部2の中に挿入される。取り付けフレーム4の両側において、側部ブラケット12は、六角穴付きボルトねじ15を用いてねじ止めされる。圧力ばね68は、側部ホルダ12の下でねじ15の周りに嵌合される。側部ホルダ12は、これらの圧縮ばね68を圧縮させて、取り付けフレーム4にねじ止めされる。端部にカム29を伴うこれらの側部ホルダ12は、使用されるピックアップ上に固定プレート14の正確な嵌合を形成する。2つの永久磁石13は、これらの側部ホルダ12の各々の頂部の中に挿入され、それが磁気固定プレート14を滑り嵌合で挿入状態に保持する。一方の側部ホルダ12は凹部58を有し、その中に電気接点を伴う要素が挿入され、それによってこれらの接点は、各端部に窪みを形成し、その中に、挿入されるピックアップの電気取り出し部のばね装填ピンが嵌合する。ねじ15、及び多少圧縮した埋め込み式圧縮ばね68を調整することにより、側部ホルダ12の位置を変えることができ、後ほど明確になるように、それによってその上に設置されるピックアップの位置も変えることができる。1つの変形として、このフレームは、単一で射出成形されたプラスチック部材、すなわちピックアップフレーム4及びその上に直接載って一体となる側部ホルダ12として作ることができる。この場合、側部ホルダ12の位置を変えるための圧縮ねじ68は不要となる。
【0016】
図6は、固定プレート14及びその下にベースプレート8を伴うピックアップ1を、傾斜位置で示す。高さ調整装置18は、ねじ山が付いた真鍮ロッドから構成され、この真鍮ロッドは、ベースプレート8にねじ山によって取り付けられ、その上においてゴム製ホイール55が端部にねじ止めされる。ゴム製ホイール55は、2本の指で容易に回すことができる。高さ調整装置18の真鍮のねじ山17は、固定プレート14のねじ山付きブッシュ16に位置される。固定プレート14は、ベースプレート8から垂直に突出するガイドピン20のための位置決め穴19も有し、その上に、位置決め穴19を伴う固定プレート14は滑り落ちる。ゴム製ホイール55を回すことによって、固定プレート14とベースプレート8との間の距離を細かく調整することができる。
【0017】
図7は、固定プレート14を伴うピックアップ要素が、いかにして取り付けフレーム4上の嵌合座部の中に挿入されるかを示す。固定プレート14は、4隅を出っ張り部56に形状付けられ、これら出っ張り部56は、取り付けフレーム4上の側部ホルダ12のカム29の中に正確に嵌合する。側部ホルダ12の4つの永久磁石13は、強磁性体の固定プレート14を強力に引き付け、そのため固定プレート14を嵌合部にしっかりと保持する。ねじ15を調整することによって、挿入されたピックアップを全ての方向に多少傾けることができる。例えば、ピックアップから低音の弦及び高音の弦までの距離を、それぞれ調整することができる。フレームがプラスチックで作られている場合、固定プレート14も、フレームに正確に嵌合する、射出成形によるプラスチック部材とすることができる。次に固定プレート14は端部カム29間のフレームの中に正確に嵌合し、永久磁石13によってこの嵌合部に保持される。
【0018】
図8は、ピックアップ1のための2つの凹部2を伴うギター本体3、ならびに電子回路64及び電力を供給するバッテリ65を収納する、別の凹部63を示す。側方にずらされた凹部66は、動作ディスプレイを収納する働きをし、タッチスクリーン25が挿入される。ギター本体に沿って見える、ねじ止めされたゴム製ホイール57は、カバーを設置するためのホルダの働きをする。前部の凹部2において、挿入されたネックピックアップが確認でき、後部の凹部2において、側部ホルダ12を伴う、埋め込まれた取り付けフレーム4が確認できる。取り付けフレーム4の設定のため、凹部の内壁に段差が形成され、それによって外周の座面が取り付けフレーム4のために形成され、その上に取り付けフレーム4を、例えば接着させることができる。側部ホルダのうちの一方において、電気接点5が確認でき、その各々は窪み24を形成する。この接点5は、ケーブルを介してギター本体3の出力ポートに通じる。
【0019】
図9は、ねじ山付きブッシュ16のねじ山17によって、固定プレート14と共に高さ調整装置18の上にねじ止めされた、ピックアップ1を示す。コイル、コイルボビン、及びピックアップ1のピックアップ部は、クロムめっきシート材料のハウジング60に収容かつ配線される。固定プレート14において、ピックアップ1に向けられた、固定プレート14から突出するばね装填ピン23は、ピックアップ1からの電気取り出し部として配置される。これらのピン23は、電気接続を安全に閉じるために、サイドブラケット12の接点5における窪み24の中に嵌合する。ピン23は、ケーブル57を介してピックアップ1の対応するピックアップ部のコイルに配線される。
【0020】
図10において、ピックアップ1は、ベースプレートからの距離を調整することができる固定プレート14を伴い、クロムメッキされたシートの金属製ハウジング60と共に、見る人に向けて傾けて示される。この例示において、ピックアップ1の上側に6つのピックアップ21が確認でき、図11において、ピックアップ1及びそのハウジング60が、上から見たところを示される。したがって、ここでは、6つのピックアップ21、及びピックアップ1の下で、ピックアップ1またはそのコイルの電気出力10のための、4つの接触ピン23を伴う固定プレート14が確認できる。次に図12は、2列のピックアップ21を伴う、代替のピックアップ1を示す図である。
【0021】
図13は、2つの凹部2を伴うギター本体3の裏側6の一部、及び前部の凹部2の隣に、挿入されることになるピックアップ1を示す。ピックアップ1は、ピックアップ21を上側に、かつその固定プレート14を下側にして、固定プレート14は、その高さ調整装置18の上にねじ止めされている。ツールなしで挿入できるピックアップ要素は、ここでは一方の側、すなわち側方から見た斜視図で示され、そのためピックアップ21を伴うピックアップ1の上側も見ることができる。凹部2において、側部ホルダ12を伴うピックアップフレーム4、及び形成された窪み24を伴う接点5が確認できる。最底部において、凹部2及びギター本体3の下方で、弦22が通っている。
【0022】
図14は、2つの凹部2を伴うギター本体3、及び前部の凹部の隣に挿入されることになるピックアップ1を示す。ピックアップ1は、高さ調整装置18の上にねじ止めされた固定プレート14、及びその真鍮のねじ山を回してピックアップ1の固定プレート14からベースプレート8までの距離を調整するための、高さ調整装置18の端部のゴム製ホイール55を伴う。ケーブル57は、コイルハンガーを固定プレート14上のばね装填ピン23に接続する。ばね装填ピン23は、固定プレート14から下向きに突出して図に示される。
【0023】
図15は、いかにしてピックアップ1が、ギター本体3の裏側6からギター本体3の凹部2の中に挿入されるかを示す。ここでは、取り付けフレーム4及び固定プレート14は示されない。親指及び人差し指でピックアップ1の高さ調整装置18を保持し、凹部2の中に挿入する。ピックアップ1に固定プレート14が装備され、凹部に取り付けフレーム4が嵌合されたとき、固定プレート14は取り付けフレーム4の嵌合座部に正確に位置付けられ、側部ホルダ12の永久磁石13によってしっかりと保持される。固定プレート14のばね装填ピン23は、側部ホルダ12上の電気接点5の窪み24に自動的に押圧され、それによってピックアップのコイルとエレキギターの出力ポート7との間の、確実な電気接続が実現される。
【0024】
図16は、中央のねじ山付き穴16を伴う、固定プレート14の代替バージョンを示す。この固定プレート14は、その側部に永久磁石13を有する。図17は、図16に示された固定プレート14を別の側から示し、図18は、この固定プレート14に属する取り付けフレーム4を、その側壁67が上向きに突出しているところを示す。固定プレート14は、これら側壁67間に挿入することができ、次に対向する永久磁石13の磁力によって所定の位置にしっかりと保持される。取り付けフレーム4の一方の側壁67におけるスロット61は、ギターの出力ポートへの電気接点5を有する、プラスチック製挿入要素を収納するために使用される。固定プレート14上のピックアップの電気取り出し部と、取り付けフレーム4の側壁におけるこれらの接点5との間の電気接続は、ピン23によって成される。ピン23の頭部は、固定プレート14の縁部を僅かに越えて突出する。固定プレート14が挿入されたとき、これらのピン23は、接点5の上を摺動し、電気接続を実現する。しかし、ピックアップは、ツールなしで十分な力を用いて、いつでも固定プレート14を伴う取り付けフレーム4から迅速に取り外すことができる。ピックアップは、高さ調整装置18で掴まれ、単に取り付けフレーム4から引き抜くことで、凹部2から外される。
【0025】
図19は、高さ調整装置18及びその調整ねじ山を伴うピックアップ1を、下から見たところ、すなわち落とし込み位置でピックアップ21の頭部に置かれているところを示す。ピックアップ1の下側において、そのベースプレート8が確認でき、一方でコイル、ボビン、及びピックアップは、ケース60に収納される。このコイルから、電気取り出し部は、ケーブル57を介して固定プレート14におけるピン23の電気接点10に通じる。
【0026】
図20は、ピックアップ1及びピックアップ上の傾いた位置に置かれたピックアップ1のハウジング60を示す。固定プレート14は、その裏側が、高さ調整装置18の真鍮のねじ山の上にねじ止めされる。ここで、図18による取り付けフレーム4の側壁67に保持するための永久磁石13、及び挿入要素に埋め込まれた円形頭部のピン23が確認できる。挿入要素の頭部は、固定プレート14の側壁から僅かに突出する。図21は、ピックアップ1のコイルからの4本の電気取り出し部10を示す。電気取り出し部10は、次にこの挿入要素の絶縁ピン23に接続される。
【0027】
図22は、ピックアップのための凹部2及びその上を通る6本の弦22を伴うギター本体3を、表側9から見た切り抜きを示す。ケーブルを介してギター本体3の出力ポートに通じる、窪み24を伴う電気接点5を有する側壁67の一方のみ、及びこの側壁67における永久磁石13が、取り付けフレームから確認できる。図23は、同じ切り抜き部をギター本体3の裏側6から示す。この上のアルミニウム製サポート62は、ギターの安定性、特に弦の緊張の吸収をもたらす。ピックアップ要素1は、ここでは固定プレート14を掴んで、取り付けフレーム4における2つの側壁67間に挿入することによって、ギター本体3の裏6から真っ直ぐに挿入される。固定プレート14及び側壁67における永久磁石は直ぐに互いに面し、固定プレート14をこの位置に保持する。図24は、ピックアップ要素1が完全に挿入され、固定プレート14の永久磁石13が、取り付けフレーム4の側壁67における永久磁石と対向したときの状況を示す。
【0028】
ピックアップ要素を磁気によって取り付ける代わりに、ピックアップ要素を、例えば機械的ばね力に対抗して、凹部2における固定プレート14を単純に機械的に歯止めにクリック止めするよう、及びこのばね力が、十分な力で固定プレート14から引き抜かなければ超えられないよう、または歯止めがボタンを押圧するか、スライダを起動させるか、またはノブを回すことで解放できるよう、設計することもできる。ピックアップ要素は、ギター本体の裏から、機械的圧力ばねに対抗して、凹部の中に押し込むことによって、機械的に凹部の中に保持させることもできる。次にスライダまたは回転盤を、裏において固定プレートの上に押し込むか、または回転させる。その後ピックアップ要素またはその固定プレート14は、その嵌合位置にしっかりと固定される。
【0029】
示された方法で、凹部2の中にギター本体3の裏側6から挿入することができる、このようなピックアップ要素を用いると、異なる音調及び調性を生成するためのピックアップ1の交換が、非常に容易かつ迅速になる。裏のカバープレートは、気を配る必要なく、凹部2に挿入されたピックアップを残す。実用試験は、ピックアップ1を交換するために、3~5秒しかかからないことを示した。加えて、ピックアップと弦22との間の距離は、高さ調整装置18のゴム製ホイール55を回すことによって調整できる。
【符号の説明】
【0030】
1 ピックアップトラック
2 凹部
3 ギター本体
4 取り付けフレーム
5 出力ポートへの、取り付けフレームまたはサイドブラケットにおける接点
6 ギター本体の裏
7 ギター本体の出力ポート
8 ピックアップのベースプレート
9 ギター本体の表
10 ピックアップの電気取り出し部
11 ピックアップのコイル
12 取り付けフレームの側部ホルダ
13 永久磁石
14 固定プレート
15 取り付けフレームのねじ
16 ねじ山付きブッシュ
17 ピックアップの高さ調整装置のねじ山
18 高さ調整装置
19 固定プレートの位置決め穴
20 ベースプレート8のガイドピン
21 ピックアップ
22 弦
23 固定プレートのばね装填ピン
24 ピン23のための窪み
25 タッチスクリーン
26 ブリッジピックアップのオン/オフボタン
27 ブリッジピックアップとネックピックアップとの間の混合ボタン
28 ネックピックアップのためのオン/オフボタン
29 パスポート座部のカム
30 中実体
31 接続ソケット
32 音調制御器
33 音調制御器
34 ピックアップセレクタスイッチ
35 音量制御器
36 振動レベル
37 ポジション挿入
38 フェデレーション
39 ネック
40 指板
41 カラー
42 チューニングペグ
43 サドル
44 弦サスペンション
45 高音ピックアップ
46 中音ピックアップ
47 低音ピックアップ
48 弦
49 ロッド磁石
50 コイル巻型
51 巻線/コイル
52 棒磁石
53 調整ねじ
54 調整ねじのソケット
55 高さ調整装置のゴム製ホイール
56 固定プレートの角の出っ張り部
57 ピックアップコイルから固定プレートのピンまでのケーブル
58 接点のために凹部
59 出力ポートを挿入するための穴
60 ピックアップハウジング
61 電気接点を伴う挿入要素のスロット
62 弦の緊張を吸収するためのスチール製サポート
63 電子回路のための凹部
64 電子スイッチ
65 電子回路のためのバッテリ
66 タッチスクリーンを収容するための凹部
67 取り付けフレーム4の側部パネル
68 圧力ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24