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特許7298947ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子
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  • 特許-ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子 図1
  • 特許-ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20230620BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230620BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20230620BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20230620BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230620BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20230620BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230620BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C07D405/04 CSP
C07D405/14
C07D491/048
C07D495/04 103
C07D409/14
C07D495/04 105Z
C07D487/04 140
C07D487/04 137
H05B33/14 B
C09K11/06 690
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021567883
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 KR2020012945
(87)【国際公開番号】W WO2021060865
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0119670
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】モ,ジュン-テ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104650029(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-2021294(KR,B1)
【文献】国際公開第2017/090918(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/090919(WO,A1)
【文献】特表2018-529629(JP,A)
【文献】国際公開第2016/122150(WO,A1)
【文献】特表2022-501809(JP,A)
【文献】特開2021-015966(JP,A)
【文献】特表2022-544344(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056658(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-023773(KR,A)
【文献】国際公開第2021/034156(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/185026(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1-1または1-2で表されるヘテロ環化合物:
【化2】

【化3】

前記化学式1-1または1-2において、
L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のC2~C60のヘテロ環基であり、
Ar1は、以下の構造式から選択され、
【化4】

前記構造式において、
Xは、O;S;またはNRであり、
Z11~Z13は、それぞれ独立して、CR’またはNであり、少なくとも2個は、Nであり、
Rは、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
R’およびR11~R13は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
r11は、1または2であり、
r12およびr13は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
r11が2であり、r12及びr13がそれぞれ2以上の整数である場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
Ar2は、-N(R106)(R107);または下記化学式4で表され、
【化5】

前記化学式4において、
R4は、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC3~C60の脂肪族炭化水素環;またはC2~C60のヘテロ環を形成し、
r4は、1~8の整数であり、
r4が2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
R106およびR107は、それぞれ独立して、水素;重水素;アルキル基;アルケニル基;シクロアルキル基;アリール基;またはヘテロ環基であり、
r1およびr2は、それぞれ1~4の整数であり、
r1およびr2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なり、
Ar1が下記構造式であり、
【化6】

かつAr2が上記化学式4で表される場合、L1は、直接結合または置換もしくは非置換の2価のC2~C60のヘテロ環基である。
【請求項2】
前記化学式4は、下記化学式4-1または4-3で表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化8】

【化10】

前記化学式4-1および4-3において、
Yは、O;S;NR’またはCR’R”であり、
R’、R”、R41およびR43は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
r41は、1~8の整数であり、
r43は、1~6の整数であり、
r41およびr43がそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【請求項3】
前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;またはフェニレン基である、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項4】
下記の化合物のいずれか1つで表されるものである、ヘテロ環化合物:
【化13】






【請求項5】
第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた有機物層とを含む有機発光素子であって、
前記有機物層は、請求項1~のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を1種以上含む有機発光素子。
【請求項6】
前記有機物層は、発光層を含み、
前記発光層は、前記ヘテロ環化合物を1種以上含むものである、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記発光層は、ホストを含み、
前記ホストは、前記ヘテロ環化合物を1種以上含むものである、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記発光層は、ホストを含み、
前記ホストは、下記化学式5の化合物をさらに含むものである、請求項に記載の有機発光素子:
【化14】

前記化学式5において、
R21およびR22は、それぞれ置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【請求項9】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層をさらに含むものである、請求項に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【0002】
本出願は、2019年9月27日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0119670号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いというメリットがある。
【0004】
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置させた構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成される。
【0005】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
【0006】
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、ヘテロ環化合物およびこれを含む有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】
【0009】
前記化学式1において、
L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のC2~C60のヘテロ環基であり、
Ar1は、Nを含む置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
Ar2は、-N(R106)(R107);または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
R106およびR107は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;またはヘテロ環基であり、
r1およびr2は、それぞれ1~4の整数であり、
r1およびr2がそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0010】
また、本出願の一実施態様によれば、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を1種以上含む有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物が有機発光素子の発光層材料として使用可能である。例えば、前記化合物は、単独で発光材料として使用されてもよく、発光層のホスト材料として使用されてもよい。
【0012】
前記化学式1は、ナフトベンゾフランにアミン基または窒素を含むヘテロ環基が2置換された構造を有することにより、HOMO levelをdelocalizedさせて電子および正孔輸送に役立つ。したがって、ホストとして使用が容易であり、ナフトベンゾフランに置換された位置によって効率、寿命が増加する効果を有する。
【0013】
前記化学式1のナフトベンゾフランに多様な置換基を導入することにより、中心構造の正孔輸送能力を増加させ、拡張された共役構造はHOMOエネルギーを安定化させることができる。これはホスト物質として適正なエネルギーレベルとバンドギャップを形成させ、結果として、発光領域内のエキシトンの増加により素子の駆動電圧と効率を増加させる効果を有する。
【0014】
具体的には、前記化学式1で表される化合物を有機物層に用いる場合、素子の駆動電圧を低下させ、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
図2】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
図3】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の積層構造を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0018】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一または異なっていてもよい。
【0019】
本明細書において、
【化2】

は、置換される位置を意味する。
【0020】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、C1~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基;C2~C60の直鎖もしくは分枝鎖のアルキニル基;C3~C60の単環もしくは多環のシクロアルキル基;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロシクロアルキル基;C6~C60の単環もしくは多環のアリール基;C2~C60の単環もしくは多環のヘテロ環基;シリル基;ホスフィンオキシド基;およびアミン基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基の中から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0021】
本明細書において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合したことを意味する。ただし、重水素(H、Deuterium)は水素の同位元素であるので、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0022】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」は、置換基としてくることのできる位置がすべて水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素で、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよいし、この時、重水素の含有量は、0%~100%であってもよい。
【0023】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%、置換基はすべて水素など、重水素を明示的に排除しない場合には、水素と重水素は、化合物において混在して使用可能である。
【0024】
本出願の一実施態様において、重水素は、水素の同位元素(isotope)の1つで、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個とからなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であって、水素-2で表現されてもよいし、元素記号はDまたはHで表すこともできる。
【0025】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number、Z)は同じであるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同じ数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0026】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の総数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%で定義することができる。
【0027】
すなわち、一例において、
【化3】

で表されるフェニル基において重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の総数は5(式中、T1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中、T2)の場合に20%で表される。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%というのは、下記構造式で表されてもよい。
【化4】
【0028】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子が含まれない、すなわち水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0029】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
【0030】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、さらに具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖もしくは分枝鎖を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には2~20であってもよい。
【0033】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0035】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、さらに具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、アリーレン基は、1価の基でないものを除き、前述したアリール基として例示された構造が適用可能である。
【0037】
本明細書において、シリル基は、Siを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-Si(R101)(R102)(R103)で表され、R101~R103は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0039】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化5】

などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、前記ヘテロ環基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、N、またはSiを含み、炭素数2~60の単環もしくは多環を含み、他の置換基によって追加的に置換されていてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロ環基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロ環基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロ環基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロ環基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0041】
本明細書において、ヘテロアリール基は、芳香族であることを除き、前述したヘテロ環基の例示が適用可能である。
【0042】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)(R104)(R105)で表され、R104およびR105は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。具体的には、ホスフィンオキシド基は、アリール基で置換されていてもよいし、前記アリール基は、前述した例示が適用可能である。例えば、ホスフィンオキシド基は、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、前記アミン基は、-N(R106)(R107)で表され、R106およびR107は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記アミン基は、-NH;モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0044】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環におけるオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環における同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈される。
【0045】
隣接した基が形成可能な脂肪族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、芳香族炭化水素環、または芳香族ヘテロ環は、1価の基でないことを除けば、前述したシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ環基として例示された構造が適用可能である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【0047】
前記化学式1のナフトベンゾフランに多様な置換基を導入することにより、中心構造の正孔輸送能力を増加させ、拡張された共役構造はHOMOエネルギーを安定化させることができる。これはホスト物質として適正なエネルギーレベルとバンドギャップを形成させ、結果として、発光領域内のエキシトンの増加により素子の駆動電圧と効率を増加させる効果を有する。
【0048】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式1-1または1-2で表されてもよい。
【化6】

【化7】
【0049】
前記化学式1-1および1-2において、
R1、R2、Ar1、Ar2、L1、L2およびr1の定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
r2は、1~3の整数であり、
r2が2以上の場合、複数のR2は、互いに同一または異なる。
【0050】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式1-1-1~1-1-8および1-2-1~1-2-8のいずれか1つで表されてもよい。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】
【0051】
前記化学式1-1-1~1-1-8および1-2-1~1-2-8において、
R1、R2、Ar1、Ar2、L1、L2およびr1の定義は、前記化学式1における定義と同じであり、
r2は、1~3の整数であり、
r2が2以上の場合、複数のR2は、互いに同一または異なる。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のC2~C60のヘテロ環基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のC2~C40のヘテロ環基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のC6~C20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のC2~C20のヘテロ環基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のC6~C20のアリーレン基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、直接結合;またはフェニレン基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1は、Nを含む置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1は、下記化学式2または3で表される。
【化24】

【化25】
【0060】
前記化学式2および3において、
Z1~Z5は、それぞれCRまたはNであり、少なくとも1つは、Nであり、
RおよびR3は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC3~C60の脂肪族炭化水素環;置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
r3は、1~8の整数であり、
r3が2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0061】
本明細書の一実施態様において、前記Ar1は、下記構造式から選択されてもよい。
【化26】
【0062】
前記構造式において、
Xは、O;S;またはNRであり、
Z11~Z13は、それぞれ独立して、CR’またはNであり、少なくとも2個は、Nであり、
R、R’およびR11~R13は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
R14は、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環を形成し、
r11は、1または2であり、
r12およびr13は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
r14は、1~8の整数であり、
r11が2であり、r12~r14がそれぞれ2以上の整数である場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0063】
本明細書の一実施態様において、前記Xは、O;S;またはNRである。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記Xは、Oである。
【0065】
もう一つの実施態様において、前記Xは、Sである。
【0066】
もう一つの実施態様において、前記Xは、NRであり、Rは、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0067】
もう一つの実施態様において、前記Xは、NRであり、Rは、置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、前記Z11およびZ12は、Nであり、前記Z13は、CR’であり、R’は、水素である。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記Z11およびZ13は、Nであり、前記Z12は、CR’であり、R’は、水素である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、前記Z11~Z13は、Nである。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記R11~R13は、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、前記R11~R13は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基である。
【0073】
本明細書の一実施態様において、前記R11~R13は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C40のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C40のヘテロ環基である。
【0074】
本明細書の一実施態様において、前記R11~R13は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロ環基である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、前記R11は、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロ環基である。
【0076】
本明細書の一実施態様において、前記R11は、水素;重水素;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のフルオレニル基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基である。
【0077】
本明細書の一実施態様において、前記R11は、水素;重水素;アリール基で置換されたフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;アルキル基で置換されたフルオレニル基;ジベンゾフラン基;またはジベンゾチオフェン基である。
【0078】
本明細書の一実施態様において、前記R12およびR13は、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基である。
【0079】
本明細書の一実施態様において、前記R12およびR13は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、前記R12およびR13は、それぞれ独立して、水素;重水素;フェニル基;ビフェニル基;またはナフチル基である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、前記R14は、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環を形成する。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記R14は、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環を形成する。
【0083】
本明細書の一実施態様において、前記R14は、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してC6~C60の芳香族炭化水素環を形成する。
【0084】
本明細書の一実施態様において、前記R14は、水素;重水素;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合してベンゼン環を形成する。
【0085】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、-N(R106)(R107);または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基である。
【0086】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、-N(R106)(R107);またはNを含む置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、-N(R106)(R107);またはNを含む3環以上の置換もしくは非置換のC12~C60のヘテロ環基である。
【0088】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、-N(R106)(R107);または下記化学式4で表される。
【化27】
【0089】
前記化学式4において、
R4は、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であるか、互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換のC3~C60の脂肪族炭化水素環;置換もしくは非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環;またはC2~C60のヘテロ環を形成し、
r4は、1~8の整数であり、
r4が2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0090】
本明細書の一実施態様において、前記化学式4は、下記化学式4-1~4-5のいずれか1つで表されてもよい。
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】
【0091】
前記化学式4-1~4-5において、
Yは、O;S;NR’またはCR’R”であり、
R’、R”およびR41~R45は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基であり、
r41は、1~8の整数であり、
r42およびr43は、それぞれ1~6の整数であり、
r44は、1~5の整数であり、
r45は、1~4の整数であり、
r41~r45がそれぞれ2以上の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0092】
本明細書の一実施態様において、前記Yは、O;S;NR’またはCR’R”である。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記Yは、Oである。
【0094】
もう一つの実施態様において、前記Yは、Sである。
【0095】
もう一つの実施態様において、前記Yは、NR’であり、R’は、置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【0096】
もう一つの実施態様において、前記Yは、NR’であり、R’は、C6~C60のアリール基である。
【0097】
もう一つの実施態様において、前記Yは、NR’であり、R’は、フェニル基である。
【0098】
もう一つの実施態様において、前記Yは、CR’R”であり、R’およびR”は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基である。
【0099】
もう一つの実施態様において、前記Yは、CR’R”であり、R’およびR”は、それぞれ独立して、C1~C20のアルキル基である。
【0100】
もう一つの実施態様において、前記Yは、CR’R”であり、R’およびR”は、それぞれ独立して、メチル基である。
【0101】
本明細書の一実施態様において、前記R41~R45は、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロ環基である。
【0102】
本明細書の一実施態様において、前記R41~R45は、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記R41~R45は、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のC6~C30のアリール基である。
【0104】
本明細書の一実施態様において、前記R41~R45は、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0105】
本明細書の一実施態様において、前記R41~R45は、それぞれ独立して、水素;重水素;またはフェニル基である。
【0106】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、-N(R106)(R107)であり、R106およびR107は、それぞれ独立して、アリール基またはヘテロ環基である。
【0107】
本明細書の一実施態様において、前記Ar2は、-N(R106)(R107)であり、R106およびR107は、それぞれ独立して、ヘテロ環基で置換されたフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジメチルフルオレニル基、ジベンゾフラン基、またはジベンゾチオフェン基である。
【0108】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記の化合物のいずれか1つで表されてもよいが、これのみに限定されるものではない。
【化33】






【0109】
また、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基の固有の特性を有する化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時に使用される正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質、および電荷生成層物質に主に使用される置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求する条件を満たす物質を合成することができる。
【0110】
さらに、前記化学式1の構造に多様な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細調節可能にし、一方で、有機物間の界面での特性を向上させ、物質の用途を多様化することができる。
【0111】
本明細書の一実施態様において、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を1種以上含む有機発光素子を提供する。
【0112】
本明細書の一実施態様において、前記第1電極は、陽極であってもよく、前記第2電極は、陰極であってもよい。
【0113】
本明細書のもう一つの実施態様において、前記第1電極は、陰極であってもよく、前記第2電極は、陽極であってもよい。
【0114】
本明細書の一実施態様において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用できる。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の発光層のホスト物質に含まれる。
【0115】
本明細書のもう一つの実施態様において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用できる。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の発光層のホスト物質に含まれる。
【0116】
本明細書のもう一つの実施態様において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよいし、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、前記赤色有機発光素子の材料として使用できる。例えば、前記化学式1によるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の発光層のホスト物質に含まれる。
【0117】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は、前述したものと同じである。
【0118】
本明細書の有機発光素子は、前述したヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造できる。
【0119】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法のみならず、溶液塗布法によって有機物層に形成される。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0120】
本明細書の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機物層を含むことができる。
【0121】
本明細書の有機発光素子において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、前記化学式1のヘテロ環化合物を1種以上含むことができる。
【0122】
本明細書の有機発光素子において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホストを含み、前記ホストは、前記化学式1のヘテロ環化合物を1種以上含むことができる。
【0123】
本明細書の一実施態様において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホストを含み、前記ホストは、前記化学式1のヘテロ環化合物を1種含むことができる。
【0124】
本明細書のもう一つの実施態様において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホストを含み、前記ホストは、前記化学式1のヘテロ環化合物を2種含むことができる。
【0125】
本明細書のもう一つの実施態様において、前記ホストは、前記化学式1のヘテロ環化合物を2種含み、前記ヘテロ環化合物2種は、1:5~5:1、好ましくは1:3~3:1、より好ましくは1:1の含有量比で含まれる。
【0126】
本明細書の一実施態様において、前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、ホストを含み、前記ホストは、前記化学式1のヘテロ環化合物と共に、下記化学式5の化合物を含むことができる。
【化34】
【0127】
前記化学式5において、
R21およびR22は、それぞれ置換もしくは非置換のアリール基である。
【0128】
本明細書の一実施態様において、前記R21およびR22は、それぞれ置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基である。
【0129】
本明細書の一実施態様において、前記R21およびR22は、それぞれアリール基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;またはナフチル基である。
【0130】
本明細書の一実施態様において、前記ホストは、前記化学式1のヘテロ環化合物および前記化学式5の化合物を含み、前記化学式1のヘテロ環化合物と前記化学式5の化合物との含有量比(重量比)は、1:1または1:3~3:1であり、好ましくは2:1~3:1、より好ましくは3:1である。
【0131】
さらに他の有機発光素子において、前記ホストは、赤色ホストであってもよい。
【0132】
本明細書の一実施態様において、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を1種以上含み、燐光ドーパントと共に使用可能である。
【0133】
本明細書の一実施態様において、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を1種以上含み、イリジウム系ドーパントと共に使用可能である。
【0134】
前記燐光ドーパント材料としては、当技術分野にて知られているものを使用することができる。
【0135】
例えば、LL’MX’、LL’L”M、LMX’X”、L2MX’およびL3Mで表される燐光ドーパント材料を使用することができるが、これらの例によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0136】
ここで、L、L’、L”、X’およびX”は、互いに異なる二座配位子であり、Mは、八面体錯体を形成する金属である。
【0137】
Mは、イリジウム、白金、オスミウムなどになってもよい。
【0138】
Lは、Sp2炭素およびヘテロ原子によって前記イリジウム系ドーパントとしてMに配位される陰イオン性二座配位子であり、Xは、電子または正孔をトラップする機能を果たすことができる。Lの非限定的な例としては、(1-フェニルイソキノリン)、2-(1-ナフチル)ベンゾオキサゾール、(2-フェニルベンゾオキサゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(7,8-ベンゾキノリン)、(チオフェン基ピリジン)、フェニルピリジン、ベンゾチオフェン基ピリジン、3-メトキシ-2-フェニルピリジン、チオフェン基ピリジン、トリルピリジンなどがある。X’およびX”の非限定的な例としては、アセチルアセトネート(acac)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリチリデン、ピコリネート、8-ヒドロキシキノリネートなどがある。
【0139】
本明細書の一実施態様において、前記イリジウム系ドーパントとしては、赤色燐光ドーパントとして(piq)(Ir)(acac)が使用できる。
【0140】
本明細書の一実施態様において、前記ドーパントの含有量は、発光層全体を基準として1%~15%、好ましくは1%~10%であってもよい。
【0141】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0142】
図1~3に本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したわけではなく、当技術分野にて知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用可能である。
【0143】
図1によれば、基板100上に、陽極200、有機物層300、および陰極400が順次に積層された有機発光素子が示される。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、図2のように、基板上に、陰極、有機物層、および陽極が順次に積層された有機発光素子が実現されてもよい。
【0144】
図3は、有機物層が多層の場合を例示したものである。図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305、および電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて、発光層を除いた残りの層は省略されてもよよく、必要な他の機能層がさらに追加されてもよい。
【0145】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質を追加的に含むことができる。
【0146】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野にて公知の材料に代替可能である。
【0147】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属、または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0148】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物、または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0149】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4”-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)、またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrenesulfonate))などを使用することができる。
【0150】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが使用可能であり、低分子または高分子材料が使用されてもよい。
【0151】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などが使用可能であり、低分子物質のみならず、高分子物質が使用されてもよい。
【0152】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界にて代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0153】
発光材料としては、赤色、緑色、または青色発光材料が使用可能であり、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。この時、2以上の発光材料を個別的な供給源として蒸着して使用するか、予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することができる。また、発光材料として蛍光材料を使用してもよいが、燐光材料として使用してもよい。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0154】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系のホストを混合して使用してもよく、異なる系のホストを混合して使用してもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のうちいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト材料として使用することができる。
【0155】
本明細書の一実施態様において、nタイプのホスト材料として前記化学式1のヘテロ環化合物が使用できる。
【0156】
本明細書の一実施態様において、pタイプのホスト材料として前記化学式5の化合物が使用できる。
【0157】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0158】
本明細書の一実施態様に係るヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含めた有機電子素子においても、有機発光素子に適用されるものと類似の原理で作用できる。
【実施例
【0159】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0160】
合成に使用された試薬および構造A、BおよびCは、商業的に利用可能な試薬を使用した。
【0161】
[製造例1]中間体Fの製造(1)
【化35】
【0162】
1)中間体Dの製造
中間体A(10g、44.84mmol)、中間体B(7.8g、44.84mmol)、Pd(dba)(ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0))(1.3g、2.24mmol)、Xphos(2-Dicyclohexylphosphino-2’,4’,6’-triisopropylbiphenyl)(4.2g、8.96mmol)、およびNaOH(3.6g、89.68mmol)をジオキサン(Dioxane)(100mL)に溶かした後、100℃で8時間撹拌した。反応完了した混合液をメチレンクロライド(Methylene Chloride、MC)に溶解させて水で抽出し、有機層を無水MgSOで乾燥後、シリカゲルフィルタした。フィルタされた濾液を回転蒸発器で溶媒を除去して、黄色オイルである中間体D5.9gを48%の収率で得た。
【0163】
2)中間体Eの製造
中間体D(5.9g、21.52mmol)をCHCl(50mL)に溶かした後、0℃でBr(1.1mL、21.52mmol)をdropwiseし、常温で2時間撹拌した。反応完了した混合液にメタノールを入れて30分間撹拌後、フィルタして、白色固体である中間体Eを93%の収率で得た。
【0164】
3)中間体Fの製造
中間体E(7g、20.01mmol)をジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide、DMA)(50mL)に溶かした後、CsCO(13.03g、40.02mmol)を入れて、1時間160℃で撹拌した。反応完了した混合液をフィルタし、濾液を回転蒸発器で溶媒を除去して、白色固体である中間体Fを93%の収率で得た。
【0165】
前記製造例1の中間体AおよびBの代わりに下記表1の中間体AおよびBを用いたことを除き、前記製造例1と同様の方法で製造して、下記表1の中間体Fを合成した。
【0166】
【表1】
【0167】
[製造例2]中間体Fの製造(2)
【化36】
【0168】
1)中間体Fの製造
中間体C(10g、39.57mmol)をCHCl(100mL)に溶かした後、0℃でBr(2.04mL、39.57mmol)をdropwiseし、常温で2時間撹拌した。反応完了した混合液にメタノールを入れて30分間撹拌後、フィルタして、白色固体である中間体Fを90%の収率で得た。
【0169】
前記製造例2の中間体Cの代わりに下記表2の中間体Cを用いたことを除き、前記製造例2と同様の方法で製造して、下記表2の中間体Fを合成した。
【0170】
【表2】
【0171】
[製造例3]目的化合物の製造(1)
【化37】
【0172】
1)中間体Gの製造
中間体F(10g、30.15mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(Bis(pinacolato)diboron)(11.5g、45.23mmol)、PdCldppf([1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド)(1.1g、1.5mmol)、およびKOAc(ポタシウムアセテート)(7.4g、75.37mmol)を1,4-ジオキサン(100mL)に溶かした後、100℃で3時間撹拌した。反応完了した混合液を濃縮後、MCに溶解させて水で抽出し、有機層を無水MgSOで乾燥後、シリカゲルフィルタした。フィルタされた濾液を回転蒸発器で溶媒を除去し、別途の精製なしに褐色固体である中間体GをCrude状態で得た。
【0173】
2)中間体Iの製造
中間体G(9.7g、25.62mmol)、中間体H(2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine))(6.85g、25.62mmol)、Pd(PPh(Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))(1.48g、1.28mmol)、およびKCO(7.08g、51.24mmol)をジオキサン(80mL)とHO(20mL)に溶かした後、100℃で6時間撹拌した。反応完了後、析出した固体を濾過してHO、メタノール、およびアセトンで洗って、白色固体である中間体I6.7gを54%の収率で得た。
【0174】
3)化合物1の製造
中間体I(6.7g、13.83mmol)、中間体J(ジフェニルアミン(Diphenylamine))(2.34g、13.83mmol)、Pd(dba)(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0))(0.63g、0.7mmol)、XPhos(1.33g、2.8mmol)、およびNaObu(Sodium tert-butoxide)(2.66g、27.66mmol)をトルエン(50mL)に溶かした後、100℃で3時間撹拌した。反応完了後、析出した固体を濾過してHOとメタノールで洗った。濾過した固体を乾燥した後、過剰な熱い1,2-ジクロロベンゼン(1,2-Dichlorobenzene)溶媒に溶かしてシリカゲルフィルタした。フィルタされた濾液を回転蒸発器で溶媒を除去し、アセトンでprecipitationした後、沈殿物を濾過して、黄色固体である化合物1 5.54gを65%の収率で得た。
【0175】
前記製造例3の中間体F、HおよびJの代わりに下記表3の中間体F、HおよびJを用いたことを除き、前記製造例3と同様の方法で製造して、下記表3の目的化合物を合成した。
【0176】
【表3】
【0177】
[製造例4]目的化合物の製造(2)
【化38】
【0178】
1)中間体Kの製造
中間体F(10g、30.15mmol)、中間体J(5H-ベンゾ[b]カルバゾール(5H-benzo[b]carbazole))(6.5g、30.15mmol)、Pd(dba)(1.38g、1.5mmol)、XPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)(2.86g、6mmol)、およびNaOBu(5.8g、60.3mmol)をトルエン(100mL)に溶かした後、100℃で3時間撹拌した。反応完了後、析出した固体を濾過してHOとメタノールで洗った。濾過した固体を乾燥した後、過剰な熱い1,2-ジクロロベンゼン(1,2-Dichlorobenzene)溶媒に溶かしてシリカゲルフィルタした。フィルタされた濾液を回転蒸発器で溶媒を除去し、アセトンでprecipitationした後、沈殿物を濾過して、白色固体である中間体K11.14gを79%の収率で得た。
【0179】
2)中間体Lの製造
中間体K(11.14g、23.81mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(Bis(pinacolato)diboron)(9.08g、35.71mmol)、Pd(dba)(1.1g、1.2mmol)、sPhos(2-Dicyclohexylphosphino-2’,6’-dimethoxybiphenyl)(2g、4.8mmol)、およびKOAc(7g、71.43mmol)を1,4-ジオキサン(100mL)に溶かした後、100℃で3時間撹拌した。反応完了した混合液を濃縮後、MCに溶解させて水で抽出し、有機層を無水MgSOで乾燥後、シリカゲルフィルタした。フィルタされた濾液を回転蒸発器で溶媒を除去し、別途の精製なしに褐色固体である中間体LをCrude状態で得た。
【0180】
3)化合物85の製造
中間体L(10.65g、19.04mmol)、中間体H(2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine))(5.1g、19.04mmol)、Pd(PPh(1.1g、0.95mmol)、およびKCO(5.3g、38.08mmol)をジオキサン(80mL)とHO(20mL)に溶かした後、100℃で6時間撹拌した。反応完了後、析出した固体を濾過してHO、メタノール、およびアセトンで洗って、白色固体である化合物85 8.1gを64%の収率で得た。
【0181】
前記製造例4の中間体F、HおよびJの代わりに下記表3の中間体F、HおよびJを用いたことを除き、前記製造例4と同様の方法で製造して、下記表4の目的化合物を合成した。
【0182】
【表4】
【0183】
前記表に記載の化合物のほかに、中間体HおよびJとして使用可能な化合物は、下記の通りである。
【化39】
【0184】
合成に使用された試薬および構造は、下記の通りである。
【化40】
【0185】
前記製造例1~4に記載の化合物以外の化合物も、前記製造例1~4に記載の化合物と同様の方法で化合物を製造し、その合成確認結果を下記表5および表6に示した。
【0186】
【表5】



【0187】
【表6】







【0188】
<実験例1>有機発光素子の作製
1)有機発光素子の作製
1,500Åの厚さにインジウムチンオキシド(ITO、Indium Tinoxide)が薄膜コーティングされたガラス基板を、蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV(Ultraviolet)洗浄機でUVを利用して5分間UVO(Ultraviolet Ozone)処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0189】
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
【化41】
【0190】
その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、赤色ホストとして下記表7に記載の化合物、赤色燐光ドーパントとして(piq)(Ir)(acac)(Bis(1-phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III))を用いて、ホストに(piq)(Ir)(acac)を3%ドーピングして500Å蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCP(2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)を60Å蒸着し、その上に、電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
【0191】
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLEDの作製に使用した。
【0192】
前記のように作製された有機電界発光素子に対してマックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/mの時の、T90を測定した。本発明の有機電界発光素子の特性は、下記表7の通りである。
【0193】
【表7】

【0194】
【化42】
【0195】
前記表7から分かるように、前記化学式1に相当する化合物を有機発光素子の発光層に使用する場合、そうでない場合に比べて、寿命、効率、および駆動電圧の特性で優れた効果を示すことを確認することができた。ジベンゾフランは、リンカーにd-conjugationを増加させたナフトベンゾフランを導入することにより、赤色ホストへの好適な使用とより良い寿命効率および駆動電圧の向上に役立つことができる。
【0196】
<実験例2>有機発光素子の作製(Red N+N mixed host)
1,500Åの厚さにITOが薄膜コーティングされたガラス基板を、蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV洗浄機でUVを利用して5分間UVO処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0197】
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
【0198】
その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、赤色ホストとして下記表8に記載したように化合物2種を予備混合後、1つの供給源で400Å蒸着し、赤色燐光ドーパントは(piq)(Ir)(acac)を3%ドーピングして蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCPを60Å蒸着し、その上に、電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(Lithium Fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
【0199】
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLEDの作製に使用した。
【0200】
前記のように作製された有機電界発光素子に対してマックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/mの時の、T90を測定した。本発明の有機電界発光素子の特性は、下記表8の通りである。
【0201】
【表8】
【0202】
<実験例3>有機発光素子の作製(Red N+P mixed host)
1,500Åの厚さにITOが薄膜コーティングされたガラス基板を、蒸留水超音波洗浄した。蒸留水洗浄が終わると、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、UV洗浄機でUVを利用して5分間UVO処理した。以後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に搬送させた後、真空状態でITOの仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理をして、有機蒸着用熱蒸着装置に搬送した。
【0203】
前記ITO透明電極(陽極)上に、共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
【0204】
その上に、発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、赤色ホストとして下記表9に記載したように化合物2種を予備混合後、1つの供給源で400Å蒸着し、赤色燐光ドーパントは(piq)(Ir)(acac)を3%ドーピングして蒸着した。以後、正孔阻止層としてBCPを60Å蒸着し、その上に、電子輸送層としてAlqを200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオライド(lithium fluoride:LiF)を10Åの厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を製造した。
【0205】
一方、OLED素子の作製に必要なすべての有機化合物は、材料ごとに、それぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLEDの作製に使用した。
【0206】
前記のように作製された有機電界発光素子に対してマックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもって、マックサイエンス社製の寿命測定装置(M6000)により、基準輝度が6,000cd/mの時の、T90を測定した。本発明の有機電界発光素子の特性は、下記表9の通りである。
【0207】
【表9】
【0208】
【化43】
【0209】
前記表8および9から分かるように、N+NまたはN+P化合物を同時に有機発光素子の有機物層に含む場合、より優れた効率および寿命効果を示す。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキサイプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。特に、N+P化合物のエキサイプレックス(exciplex)現象は、2つの分子間の電子交換によりdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)のLUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。正孔輸送能力が良いdonor(p-host)と電子輸送能力が良いacceptor(n-host)が発光層のホストに使用される場合、正孔はp-hostとして注入され、電子はn-hostとして注入されるため、駆動電圧を低下させることができ、それによって寿命の向上に役立つことができる。
【符号の説明】
【0210】
100:基板
200:陽極
300:有機物層
301:正孔注入層
302:正孔輸送層
303:発光層
304:正孔阻止層
305:電子輸送層
306:電子注入層
400:陰極
図1
図2
図3