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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】収集用具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/453 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
A61F5/453
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2022562252
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2022028923
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021126340
(32)【優先日】2021-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519401332
【氏名又は名称】イントロン・スペース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0251100(US,A1)
【文献】登録実用新案第3146490(JP,U)
【文献】米国特許第05458114(US,A)
【文献】特開昭58-001445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/453,6/04
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部及び該本体部に形成された中空部を有する収集用具であって、
前記中空部は、
前記本体部の一端側が開口して物質が導入される導入部と、
該導入部から連続して形成され、前記物質を収容する収集部と、を備え、
前記収集部は、前記導入部から導入された前記物質が収容された際に、所定部位が前記収集部における前記所定部位以外の部分よりも伸長性を有することにより、前記所定部位が前記本体部の外側に膨出可能とする収集用具。
【請求項2】
前記所定部位は、前記収集部における前記所定部位以外の部分よりも薄肉とされることによって、前記収集部における所定部位以外の部分よりも伸長性を有する、
請求項1に記載の収集用具。
【請求項3】
前記所定部位は、他の部分と異なる材料で構成されることによって、前記収集部における前記所定部位以外の部分よりも伸長性を有する、
請求項1に記載の収集用具。
【請求項4】
前記収集部は、
前記本体部に対して部分的に薄肉となるように前記本体部の中心軸から偏位して形成される、
請求項2または請求項3に記載の収集用具。
【請求項5】
前記本体部は、
該本体部において薄肉となる部分を指示する指標が形成される、請求項2または請求項3に記載の収集用具。
【請求項6】
前記収集部に収容された前記物質の前記導入部側への逆流を阻止する逆止弁が前記収集部と前記導入部との間に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項7】
前記中空部は、
前記収集部に対して厚肉に形成されて前記本体部の他端側の開口に連通して前記物質が排出される排出部を備え、
前記物質が収容された前記収集部に作用力を付与して前記排出部から前記物質を排出させる排出機構を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項8】
前記本体部の前記他端側が前記一端側に折曲されて前記排出部からの前記物質の排出が阻止される、請求項7に記載の収集用具。
【請求項9】
前記本体部を人体の排泄部位に装着可能な装着部が前記導入部側において前記本体部と一体的に形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項10】
前記収集部における前記所定部位は、前記本体部から突出する突出部分を有し、前記物質が収容された際に前記突出部分が該突出部分の外側方向に膨出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項11】
陰茎に装着されて外尿道口を覆う装着部及び該装着部と一体的に形成されて前記収集部に収容された前記物質の前記導入部側への逆流を阻止する逆止弁を有し、前記導入部において前記本体部に密接に嵌合する取付部と、
をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項12】
少なくとも前記所定部位は、JIS K6253(1997)に準拠して規定される、
25℃におけるE型デュロメータ硬さが10以下の材料で形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項13】
前記所定部位は、前記収集部の他の部分よりも外側へ凸状に出っ張っている、または、内側へ凹状に引っ込んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項14】
前記収集部は、装着時に人体に接触する接触面を有し、
前記所定部位は、前記接触面と異なる位置に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項15】
前記装着部の外側の一部に指標が形成される、請求項9に記載の収集用具。
【請求項16】
前記装着部と前記収集部との間に配置され、前記装着部側から前記収集部の方向へ加圧されたときに開放される開口部を有する逆止弁をさらに備え、
前記逆止弁の開口部は、前記収集部の内壁側面に沿って位置するスリットである、請求項9に記載の収集用具。
【請求項17】
前記開口部は、凸部が前記装着部側に向かう、U字形状のスリットである、請求項16に記載の収集用具。
【請求項18】
前記排出部の中空部分は、スリット形状である、請求項7に記載の収集用具。
【請求項19】
前記排出部の中空部分は、スリット形状である、請求項8に記載の収集用具。
【請求項20】
人体への装着時には、前記排出部の少なくとも一部は、排出経路の上流側から下流側に向けて、鉛直方向下方から上方に向く姿勢で支持される、請求項7に記載の収集用具。
【請求項21】
人体への装着時には、前記排出部の少なくとも一部は、排出経路の上流側から下流側に向けて、鉛直方向下方から上方に向く姿勢で支持される、請求項8に記載の収集用具。
【請求項22】
前記排出部は、前記収集部の外側に固定される支持部材により支持される、請求項20に記載の収集用具。
【請求項23】
人体に取り付けられるサポート部材をさらに備え、
前記サポート部材は、前記収集部を支持する収集部支持部と、前記排出部を支持する排出部支持部とを有する、請求項20に記載の収集用具。
【請求項24】
前記装着部は椀状に形成され、
前記装着部が人体の陰部の周囲に粘着剤で貼り付けられて装着される、請求項9に記載の収集用具。
【請求項25】
人体の陰部に嵌合して装着される管状の装着部と、前記装着部の先端に固定される逆止弁とを有するインナーウェアをさらに備え、
前記逆止弁が前記中空部の内側に挿入されて前記本体部に組み合わされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の収集用具。
【請求項26】
前記装着部は、内径が小さい小径部と、前記小径部よりも内径が大きい大径部とを有する、請求項9に記載の収集用具。
【請求項27】
前記装着部は、内径が小さい小径部と、前記小径部よりも内径が大きい大径部とを有する、請求項25に記載の収集用具。
【請求項28】
前記装着部は、先端と前記導入部に通じる後端とを有し、
前記装着部の先端側が前記小径部であり、前記装着部の後端側が前記大径部である、請求項26に記載の収集用具。
【請求項29】
前記装着部は、先端と前記導入部に通じる後端とを有し、
前記装着部の先端側が前記小径部であり、前記装着部の後端側が前記大径部である、請求項27に記載の収集用具。
【請求項30】
前記装着部の長手方向において、前記小径部と前記大径部とが交互に配置される、請求項26に記載の収集用具。
【請求項31】
前記装着部の長手方向において、前記小径部と前記大径部とが交互に配置される、請求項27に記載の収集用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収集用具、特に、柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する収集用具に関する。
【背景技術】
【0002】
液状、ゲル状あるいは半固状の物質を収集して収容する収集用具が広く普及しており、例えば人体や各種構造物から排出される排出物や自然環境から採取される採取物等を収集する等といった、種々の用途に用いられている。
【0003】
特許文献1には、排便が収集される収集袋、この収集袋に接続されて収集袋に排便を導入するカテーテルチューブを備え、収集袋及びカテーテルチューブに防臭対策が施された収集用具が開示されている。また、特許文献2には、女性の外陰部を覆う部分に開口部を設けた伸縮性のある繊維材料(例えば木綿)を用いて縫製したパンツ状の着衣体と、着衣体に取り付けられる集尿袋と、を有する収集用具が開示されている。そして、特許文献2には、この集尿袋に逆止弁部材が取り付けられた実施形態が開示されている。また、特許文献3には、基端部分に使用者の陰茎を受け入れる陰茎受入開口を有する細長い集尿袋と、陰茎の周りで集尿袋の外周面上に装着されるリング状のシール部材と、固定リングとを有する収集用具が開示されている。そして、特許文献3には、集尿袋の先端部分を折り返して重ね、その折り重ねた先端部分を外側から閉止するクリップを備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2013-163043号公報
【0005】
特許文献2:特開2016-52393号公報
【0006】
【文献】特開2013-99502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の種の収集用具において、物質を収集して収容する部分とこの収容する部分に物質を導入する部分とが別の部材で構成され、これらの部材が接続されて収集用具が形成される場合は、その接続部分から物質が漏出する事態が生じ得ることが懸念される。
【0008】
その一方で、接続部分から物質が漏出することを抑制する等の観点からは、一般的に、各部材の接続部分に硬質な材料が採用されることが想定されるところ、収集用具が人体に装着されるものである場合は、接続部分に採用された材料の硬度に起因して、着用者の快適性や運動性等が低下することも懸念される。
【0009】
さらに、収集用具が人体に着用されるものではなく、例えば配管からの排出物を収集する用途で用いられるものである場合は、接続部分の硬度に起因して、収集用具の取り付けが困難になるといった取付性が低下する場合が生じ得ることも懸念される。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、収集する物質の漏出を抑制することができ、かつ使用性が良好な収集用具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するための本発明に係る収集用具は、柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部及び該本体部に形成された中空部を有する収集用具であって、前記中空部は、前記本体部の一端側が開口して物質が導入される導入部と、該導入部から連続して形成され、前記物質を収容する収集部と、を備え、前記収集部は、前記導入部から導入された前記物質が収容された際に、所定部位が前記収集部における前記所定部位以外の部分よりも伸長性を有することにより、前記所定部位が前記本体部の外側に膨出可能とする。
【0012】
これによれば、物質が導入される導入部と物質が収容される収集部とが中空部として本体部において継ぎ目なく一体的に形成されていることから、導入されたあるいは収容された物質が漏出することが抑制される。
【0013】
さらに、導入部と収集部とが継ぎ目なく一体的に形成された中空部を有する本体部は、柔軟性かつ伸長性を有する筒状に形成され、硬質な部分が介在することがないことから、良好な使用感がもたらされる。
【0014】
この収集用具の収集部は、本体部に対して部分的に薄肉となるように本体部の中心軸から偏位して形成されるものであり、本体部は、本体部において薄肉となる部分を指示する指標が形成されるものである。
【0015】
さらに、収集用具は、収集部に収容された物質の導入部側への逆流を阻止する逆止弁が収集部と導入部の間に配置されるものである。
【0016】
収集用具の中空部は、収集部に対して厚肉に形成されて本体部の他端側の開口に連通して物質が排出される排出部を備え、物質が収容された収集部に作用力を付与して排出部から物質を排出させる排出機構を備えるものである。
【0017】
この収集用具は、本体部の他端側が一端側に折曲されて排出部からの物質の排出が阻止されるものであってもよいし、本体部を人体の排泄部位に装着可能な装着部が導入部側において本体部と一体的に形成されるものであってもよい。
【0018】
上記課題を達成するための本発明に係る収集用具は、柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する収集用具であって、中空部は、本体部の一端側が開口して物質が導入される導入部と、導入部から連続して形成されて導入部に対して本体部が薄肉とされて本体部から突出する突出部分を有し、物質が収容された際に突出部分が突出部分の外側に膨出する収集部とを備えるものである。
【0019】
上記課題を達成するための本発明に係る収集用具は、柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部と、本体部の一端側が開口して物質が導入される導入部と、導入部から連続して形成されて導入部に対して本体部が薄肉とされることによって導入部から導入された物質が収容された際に薄肉とされた本体部の部位が本体部の外側に膨出する収集部と、陰茎に装着されて外尿道口を覆う装着部及び装着部と一体的に形成されて収集部に収容された物質の導入部側への逆流を阻止する逆止弁を有し、導入部において本体部に密接に嵌合する取付部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、収集する物質の漏出を抑制することができ、かつ良好な使用感がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施の形態に係る収集用具の概略を説明する模式図である。
図2】同じく、本実施の形態に係る収集用具の収集部の構成の概略を説明する模式図である。
図3】同じく、本実施の形態に係る収集用具の収集部の構成の概略を説明する模式図である。
図4】同じく、本実施の形態に係る収集用具の逆止弁の構成の概略を説明する模式図である。
図5】同じく、本実施の形態に係る収集用具の逆止弁の構成の概略を説明する模式図である。
図6】同じく、本実施の形態に係る収集用具の逆止弁の構成の概略を説明する模式図である。
図7】同じく、本実施の形態に係る収集用具の排出機構の概略を説明する模式図である。
図8】同じく、本実施の形態に係る収集用具の排出機構の概略を説明する模式図である。
図9】本発明の第2実施の形態に係る収集用具の概略を説明する模式図である。
図10】本発明の第3実施の形態に係る収集用具の示す斜視図である。
図11】同じく、本実施の形態の収集用具を概略的に示す側断面図である。
図12】第3実施の形態の変形例を示す斜視図である。
図13】本発明の第3実施の形態に係る収集用具の示す斜視図である。
図14】同じく、本実施の形態の収集用具を概略的に示す側断面図である。
図15図14における逆止弁の閉状態時のXV-XV断面を示す断面図である。
図16図14における逆止弁の開状態のXV-XV断面を示す断面図である。
図17図15の逆止弁を拡大して示す部分拡大図である。
図18図16の逆止弁を拡大して示す部分拡大図である。
図19】本発明の第5実施の形態に係る収集用具の示す側面図である。
図20】第6実施の形態の収集用具を装着した状態を示す説明図である。
図21】第6実施の形態の収集用具のサポート部材を示す斜視図である。
図22】第7実施の形態の収集用具を装着した状態を示す説明図である。
図23】第8実施の形態の収集用具を示す斜視図である。
図24】第9実施の形態の収集用具の装着部を示す側面図である。
図25】第9実施の形態の変形例の収集用具の装着部を示す側面図である。
図26】他の実施の形態に係る収集用具の排出部の構成の概略を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図1図26に基づいて、本発明の実施の形態に係る収集用具について説明する。
【0023】
(第1実施の形態)
まず、図1図8に基づいて、第1実施の形態に係る収集用具について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る収集用具の概略を説明する模式図である。図示のように、収集用具1は、本体部10、本体部10に形成される中空部20及び本体部10に形成される装着部30を主要構成として備える。
【0025】
本体部10は、本実施の形態では、硬度が皮膚の硬度よりも十分に柔らかい「JIS K 6253」に準拠したデュロメータタイプE(シェアE)(またはE型デュロメータ)による硬さが超低硬度(硬度20°以下)の柔軟性かつ伸び率がおよそ70%以上の伸長性を有するエラストマーによって形成される。なお、快適性を考えると、本体部10が皮膚の硬度より柔らかいことが好ましい。皮膚の硬度が約20度前後である。なお、腕や足の内側の硬度は、10~15度程度である。このため、本体部10が硬度20度以下とすることが好ましく、さらには硬度10度以下であることがさらに好ましい。
【0026】
また、皮膚の伸長性の大きく、最も伸長する箇所は伸長率約70%とされている。このため、本体部10の伸長性は少なくとも70%以上であることが好ましい。好ましくは、100%以上であり、さらに好ましくは、2000%~3000%である。なお、エラストマーは、2000%~3000%を達成することができる。
この本体部10は、本実施の形態では、一端10a及び他端10bを有する長尺の円筒状であって、長尺方向の任意の位置において他端10b側が一端10a側に折曲されて形成される折曲部11を有するとともに、一端10a側と他端10b側とを連通する中空部20を有する。
【0027】
この本体部10には、本実施の形態では、中空部20を構成する後述の収集部22が配置される位置に対応する本体部10において部分的に薄肉となる部位(所定部位)に、薄肉となる部分を指示する指標12が形成される。
【0028】
中空部20は、本実施の形態では、一端10a側が開口して形成される導入部21、この導入部21から連続して形成される収集部22、及びこの収集部22から連続して形成される排出部23を備える。
【0029】
導入部21は、一端10a側の円状の開口から物質が導入される導入路であって、本体部10に対して比較的、厚肉に形成される。一端10a側の円状は、楕円、多角形などでも構わない。
【0030】
収集部22は、本実施の形態では、導入部21に対して拡径して形成されて導入部21から導入される物質が収容される物質の貯留部である。収集部22は、所定部位が収集部22における所定部位以外の部分よりも伸長性を有する。これは、所定部位が薄肉となっているために、所定部位以外の部分よりも伸長しやすいためと考えられる。そして、導入部21から導入された物質が収集部22に収容された際に、所定部位が本体部10の外側に膨出可能とする。なお、所定部位が収集部22における所定部位以外の部分よりも柔軟性を有していても良い。
【0031】
図2及び図3は、収集部22の構成の概略を説明する模式図である。図2(a)で示すように、収集部22は、収集部22が配置される位置に対応する本体部10の一部または全部が、導入部21に対して薄肉に形成される。この薄膜に形成される部位が所定部位である。この薄膜に形成された所定部位は、所定部位よりも厚膜な所定部位以外の部分よりも伸張性を有する。なお、収集部22は、導入部21に対して拡径して形成されている場合の他の実施例では、内径はそのままで外径を狭めることで薄肉とする構成でもよい。
【0032】
図2(b)は、図2(a)のI-I線の模式的な断面図である。図2(b)で示すように、収集部22は、本実施の形態では、本体部10の中心軸Cから偏位して形成される。「本体部10の中心軸Cから偏位する」とは、本体部10の中心軸Cの周囲に位置する内壁が中心軸Cから等距離に配置されないことを意味する。これにより、本体部10は、収集部22が配置される位置に対応する部位が部分的に薄肉となるように形成される。
【0033】
この収集部22は、導入部21から導入された物質が収容されると、本体部10が超低硬度の柔軟性かつ高い伸長性を有することから、図3で示すように、本体部10において薄肉となった部位が本体部10の外側に膨出して、膨出部22aを形成する。収集部22は、装着時に人体に接触する接触面を有してもよい。この場合、膨出部22a(所定部位の全体または一部)は、人体との接触面と異なる位置に設けられるとよい。このような膨出部22aの配置により、膨出部22aが膨出するときに人体を圧迫して不快感を持たせることが避けられる。
【0034】
このように、収集部22が本体部10の外側に膨出して膨出部22aが形成されることによって、導入部21から導入された物質が収容される領域が確保される。
【0035】
本実施の形態では、収集部22が本体部10の中心軸Cから偏位して形成されることによって、本体部10において部分的に薄肉となる部位が任意に設定される。このことから、収集部22が本体部10の外側に膨出する部位が制御される。
【0036】
図1で示すように、排出部23は、本実施の形態では、収集部22に対して十分に厚肉に形成されて他端10b側の円状の開口に連通して収集部22に収容された物質が排出される排出路である。
【0037】
装着部30は、本体部10が装着される部位の形状に倣った形状に形成される。本実施の形態では、人体の排泄部位に装着されることから、人体の排泄部位の形状に倣った任意の形状、例えば陰茎Pに倣った形状に形成され、中空部20の導入部21側において本体部10と一体的に形成されて、人体の排泄部位に装着される。図1に示すように、装着部30の外側の一部に指標31が形成されてもよい。この指標31は、装着するときに人体での上下左右方向上側(頭方向)に配置される部分に形成されてもよい。このような指標31が形成されることにより、正しい向きで装着されやすい。
【0038】
この装着部30は、装着部30がコンドーム状に形成されて陰茎Pを被覆して装着されるものであってもよいし、陰茎Pの外尿道口を覆うようにあてがわれて、粘着剤等によって陰茎Pに貼り付けられて装着されるものであってもよい。
【0039】
さらに、例えば陰茎Pの亀頭部分あるいは全体を被覆するように形成された装着部30が陰茎Pに装着された状態で、密着性の高いサポータや下着類等で装着部30を外側から被覆してもよい。
【0040】
逆止弁40は、本実施の形態では、収集部22と導入部21との間に配置されて、収集部22に収容された物質が導入部21へ逆流することを阻止する。
【0041】
この逆止弁40は、本実施の形態では、装着部30側に近接して配置される。
【0042】
図4図6は、逆止弁40の構成の概略を説明する模式図である。図4で示すように、逆止弁40は、導入部21の内周面に導入部21と一体的に形成される樹脂製の逆止弁40Aであってもよいし、図5で示すように、逆止弁40は、導入部21と別体で導入部21に配置される逆止弁40Bであってもよい。
【0043】
さらに、図6で示すように、逆止弁40は、導入部21と別体で導入部21に配置されるものであって、弁の本体部分を保護する弁カバー40Caが形成されて、この弁カバー40Caが導入部21の内周面に接合する逆止弁40Cであってもよい。
【0044】
この逆止弁40(逆止弁40A~逆止弁40C)は、本実施の形態では、生物模倣型の人工弁(心臓弁、静脈弁)、ダックビル弁あるいはアンブレラ弁等の種々の弁が採用される。
【0045】
このような構成の本実施の形態の収集用具1は、本実施の形態では、物質が収容された収集部22に作用力を付与して排出部23から物質を排出させる排出機構を備える。
【0046】
図7及び図8は、排出機構の概略を説明する模式図である。図7で示すように、排出機構50は、対象領域から対象物を吸引する吸引ポンプが内蔵された吸引装置50Aであってもよい。
【0047】
この吸引装置50Aは、本実施の形態では、本体部10の他端10b側の開口を介して排出部23に接続される図示しない接続部を介して本体部10に配備され、物質が収容された収集部22から物質を吸引し、吸引した物質を、排出部23を介して排出させる。
【0048】
一方、排出機構50は、図8で示すように、本体部10の外側に装着されて、本体部10をその一端10a側から他端10b側に向かって押圧しながら移動せしめられることによって、収集部22に収容された物質を押し出すローラが配備された押出装置50Bであってもよい。
【0049】
押出装置50Bが押し出した、収集部22に収容された物質は、本実施の形態では、排出部23を介して排出される。
【0050】
さらに、排出機構50は、収集部22が配置される位置に対応する本体部10の外側に高圧空気が導入される空気袋が装着されて、この空気袋に高圧空気が導入されることによって、収集部22に収容された物質を押し出す押出装置であってもよい。
【0051】
次に、本実施の形態の収集用具1の使用方法を説明する。
【0052】
なお、本実施の形態の収集用具1の使用方法の説明において、収集用具が人体の陰茎Pに装着される場合を例として説明する。
【0053】
まず、着用者が収集用具1を着用する場合は、陰茎Pあるいは装着部30に粘着剤等を塗布し、装着部30を陰茎Pの外尿道口を覆うようにあてがって装着部30を陰茎Pに貼り付けることによって、収集用具1を着用する。
【0054】
収集用具1は、超低硬度の柔軟性かつ高い伸長性を有するエラストマーによって形成されることから、収集用具1を着用する際、着用者は容易に陰茎Pに装着部30を装着させて収集用具1を着用することができる。
【0055】
収集用具1を着用する際、着用者は指標12を見て、収集部22が膨出する方向を確認しながら装着する。
【0056】
収集用具1を着用した後、着用者は指標12を確認しながら、本体部10の他端10b側を折曲部11において一端10a側に折曲させておく。本実施の形態では、本体部10が超低硬度の柔軟性を有する一方で、排出部23が収集部22に対して十分に厚肉に形成されることから、本体部10を折曲するという簡易な動作によって、排出部23が閉止される。
【0057】
したがって、例えば高齢者や病人等といった力の弱い者であっても、簡易に排出部23の閉止を行うことができる。
【0058】
着用者が収集用具1を着用した状態で排尿すると、物質である尿は、装着部30、導入部21及び導入部21に配置された逆止弁40を経由して、収集部22に流入して収容される。
【0059】
尿が収集部22に流入して収容されると、収集部22は、本実施の形態では、本体部10において薄肉となった部位が本体部10の外側であって着用者の身体の外側に膨出して、膨出部22aが形成されることから、導入部21から導入された尿が収容される領域が十分に確保される。
【0060】
このとき、本体部10の他端10b側は、折曲部11において一端10a側に折曲されて排出部23が閉止されていることから、収集部22に収容された尿が排出部23から不意に排出されてしまうことが阻止される。
【0061】
一方、本体部10に外圧が付与されて、収集部22に収集された尿が押圧された場合であっても、導入部21には逆止弁40が配置されていることから、尿が逆流して装着部30に侵入することが防止される。
【0062】
収集部22に収容された尿を排出する場合は、折曲部11において一端10a側に折曲された本体部10を男性用便器に向けて展開して、収集部22を押圧して収集部22に収容された尿を排出する。
【0063】
したがって、着用者が収集用具1を着用したままの立位姿勢の状態で、収集部22に収集された尿を排出することができる。これにより、排泄に対する精神的ないしは心理的な負担が軽減されることが期待される。
【0064】
一方、収集部22に収容された尿を排出する場合においては、本体部10に排出機構50を装着して、収集部22に収容された尿を、排出部23を介して排出することもできる。
【0065】
このように、本実施の形態の収集用具1によれば、尿を導入する導入部21と尿を収集して収容する収集部22とが中空部20として本体部10において継ぎ目なく一体的に形成されていることから、導入したあるいは収容した尿が漏出することが抑制される。
【0066】
さらに、導入部21と収集部22とが継ぎ目なく一体的に形成された中空部20を有する本体部10は、超低硬度の柔軟性かつ高い伸長性を有するエラストマーによって形成されることから、硬質な部分が介在することがない。
【0067】
したがって、硬質な部分の存在に起因した着用者の快適性や運動性が低下することもないから、良好な使用感がもたらされる。
【0068】
(第2実施の形態)
次に、図9に基づいて、本発明の第2実施の形態について説明する。
【0069】
図9は、本実施の形態に係る収集用具の構成の概略を説明する図である。
【0070】
なお、図9において、第1実施の形態と同様の構成には同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0071】
図示のように、収集用具2は、本体部10及び本体部10に取り付けられる取付部60を主要構成として備える。
【0072】
取付部60は、本実施の形態では、一方側に形成された装着部61及び他方側に形成された逆止弁62を有する略円筒状であって、装着部61と逆止弁62とが一体的に形成される。
【0073】
装着部61は、人体の排泄部位の形状に倣った任意の形状であって、本実施の形態では、コンドーム状に形成されて陰茎を被覆する形状に形成される。
【0074】
逆止弁62は、導入部21から導入されて収集部22に収容された物質である尿が導入部21へ逆流することを阻止するものであり、本実施の形態では、生物模倣型の人工弁(心臓弁、静脈弁)、ダックビル弁あるいはアンブレラ弁等の種々の弁が採用される。
【0075】
この取付部60は、本実施の形態では、本体部10の中空部20における導入部21に密接に嵌合することによって、本体部10に取り付けられる。
【0076】
この収集用具2を着用者が着用すると、装着部61が陰茎に密着する一方で、取付部60が本体部10に密接に嵌合していることから、着用者が収集用具2を着用した状態で排尿した際に、収集部22に収容された尿が漏出することが抑制される。
【0077】
(第3実施の形態)
次に、図10および図11に基づいて、本発明の第3実施の形態について説明する。
【0078】
図10は、本発明の第3実施の形態に係る収集用具の示す斜視図である。図11は、同じく、本実施の形態の収集用具を概略的に示す側断面図である。
【0079】
第3実施の形態の収集用具100において、所定部位は、収集部122の他の部分よりも外側へ凸状に出っ張っている。
【0080】
第3実施の形態においては、収集部122の所定部位が外側に出っ張っている点で、第1実施の形態または第2実施の形態と異なる。図10および図11で示すように、収集用具100の収集部122Aは、突出部分122Aaを有する。突出部分122Aaは、凸状の出っ張りで、本体部110から外側に突出する。また、突出部分122Aaは、本体部110の薄肉に形成された部分(所定部位)である。本実施形態においては、この突出部分122Aaは、所定部位の全部分に相当する。ただし、突出部分122Aaが、所定部位の一部分に相当する部分であってもよい。
【0081】
さらに、この突出部分122Aaに梁を配備して、突出部分122Aaの形状を保持するように構成してもよい。
【0082】
このように、収集部122Aに突出部分122Aaが予め形成されることによって、導入部121から導入された物質が収容される領域が大容量かつ十分に確保される。
【0083】
なお、図12は、第3実施の形態の変形例を示す斜視図である。この図12に記載のように、第3の実施の形態の突出部分122Aaに代えて、引込部分122Abが形成されてもよい。引込部分122Aaは、収集部122Aの所定部位が内側へ凹状に引っ込んだ部分である。
【0084】
このような引込部分122Abが形成される構成であっても、突出部分122Aaが形成される構成と同様に、導入部121から導入された物質が収容されると本体部110の外側へ膨出する。これにより、収集部122Aの領域が大容量かつ十分に確保される。
【0085】
(第4実施の形態)
次に、図13ないし図18に基づいて、本発明の第4実施の形態について説明する。
【0086】
図13は、本発明の第3実施の形態に係る収集用具の示す斜視図である。図14は、同じく、本実施の形態の収集用具を概略的に示す側断面図である。図15図14における逆止弁の閉状態時のXV-XV断面を示す断面図、図16図14における逆止弁の開状態のXV-XV断面を示す断面図である。また、図17図15の逆止弁を拡大して示す部分拡大図、図18図16の逆止弁を拡大して示す部分拡大図である。
【0087】
本実施の形態に係る収集用具400は、第1実施の形態の収集用具1と同様に、本体部10、本体部10に形成される中空部20及び本体部10に形成される装着部30を主要構成として備える。
【0088】
本実施形態の収集用具400は、所定部位24の厚さT1は、例えば、3mm~4.5mm、好ましくは3.5mmである。このような厚さT1とすることで所定部位24は他の部分よりも拡張しやすい。また、収集部22には、他の部分よりも肉厚の厚い厚肉部25が形成される。厚肉部25は、所定部位24以外の部分全体であってもよい。厚肉部25の厚さT2は、例えば5mm~6mm、好ましくは5.5mmである。厚肉部25は、他の部分よりも伸びにくい。この厚肉部25は、収集部22の内部が加圧状態となっても、拡張しにくい。したがって、着用者が厚肉部25と体とを接触させて装着すると、収集部22が拡張しても不快感を得にくいと考えられる。
【0089】
なお、収集部22において所定部位24の伸縮量は、厚肉部25の伸縮量の、例えば1.8倍から2.2倍である。また、所定部位24の厚さT1と厚肉部25の厚さT2との比T1/T2は、例えば0.6~0.7である。所定部位24の厚さT1は例えば3.5mmであり、厚肉部25の厚さT2は例えば5.5mmである。
【0090】
このような関係により、収集部22の内部に尿や便が貯留されて内部から外部へ向けた圧力がかかる状態(加圧状態)になると、所定部位24が外側へ拡張する。これにより、収集部22の内部の容積が拡大し、尿や便の収容力が高まる。
【0091】
また、本実施の形態に係る収集用具400は、第1実施の形態の逆止弁40に代えて逆止弁440を備える。逆止弁440は、収集部22と導入部21との間に配置されて、収集部22に収容された物質が導入部21へ逆流することを阻止する。この逆止弁440は、導入部21と収集部22と共に本体部10において継ぎ目なく一体的に形成されている。
【0092】
逆止弁440は、開口部441を有する。開口部441は、導入部21から収集部22の方向へ加圧されたときに開放され、それ以外のときに閉鎖される。なお、導入部21から収集部22の方向へ加圧されないときも、完全に閉鎖されず、わずかに開放されていてもよい。開口部441がわずかに開放されていても、尿や便など流動物自身の表面張力により、収集部22から導入部21への逆流が抑制されると考えられるためである。そして、収集部22から導入部21の方向へ加圧されるときに開口部441が閉鎖される。
【0093】
逆止弁440の開口部441は、収集部22の内壁側面に沿って位置する。このような配置により、逆止弁440が収集部22の内側壁面に支持される。このため、本実施形態のように逆止弁440が、伸縮可能な弾性部材により形成される場合(特に、柔軟性のある材料により形成される場合)にも逆止弁440の強度が保たれて、弁の機能を発揮する。
【0094】
また、逆止弁440の開口部441は、例えば、スリットである。図15および図16に示すように、開口部441は、例えば、U字形状のスリットである。ここで、U字形状のスリットとは、両端部の間の凸部が収集部22か導入部21かのいずれかの方向に出ていればよく、V字形状やコの字形状のスリットも含まれる。開口部441のスリットは、好ましくは、凸部が導入部21(装着部30)側に向かう。このような形状により、尿や便の表面張力も利用しつつ、収集部22から導入部21への逆流もしっかりと抑制することができる。
【0095】
次に、本実施の形態の収集用具400の逆止弁440の動作について説明する。着用者の陰部から、尿が排出されると、尿が導入部21を通って収集部22方向に流れる。逆止弁440の開口部441は、加圧されない状態では、閉鎖されているか、わずかに開放されている。ただし、開口部441がわずかに開放されている場合でも、尿が逆止弁440の開口部441上に所定量以上溜まらない状態では、尿自身の表面張力により、尿が開口部441を通過しないと考えられる。一方で、通常状態では閉鎖されている。尿が開口部441上に所定量以上溜まると、尿自体の重量(または導入部21と収集部22との圧力差)により逆止弁440の開口部441が導入部21から収集部22方向に加圧されると考えられる。この加圧により、開口部441が開放されると考えられる。開口部441が開放されることにより、尿が導入部21から収集部22に流入すると考えられる。収集部22に流入した尿は収集部22内で貯留されると考えられる。
【0096】
一方、収集部22に貯留された尿が押圧されて、逆止弁440の開口部441が収集部22から導入部21方向に加圧された場合には、開口部441が開放されないと考えられる。むしろ、収集部22から導入部21方向に加圧された場合には、開口部441に弾性力が働き、開口部441がしっかりと閉鎖されると考えられる。このため、一旦収集部22に流入した尿が逆流して導入部21に侵入することが防止されると考えられる。
【0097】
(第5実施の形態)
次に、図19に基づいて、本発明の第5実施の形態について説明する。
【0098】
図19は、本発明の第5実施の形態に係る収集用具の示す側面図である。
【0099】
本実施形態の収集用具500において、排出部23は、収集部22に貯留した尿または便を本体部10の外部へ流出させる。
【0100】
本実施形態においては、本体部10の外側表面に支持バンド27が取り付けられている。支持バンド27は帯状であり、例えば伸縮可能な弾性部材により形成される。なお、支持バンド27は、伸縮可能な材料であることが好ましく、ゴムや繊維などであることが好ましい。支持バンド27は、例えば、本体部10と同一の材料により形成されてもよい。なお、支持バンド27は、別の材料により形成されてもよい。支持バンド27の両端が収集部22の外側に、例えば接着剤または溶着で固定される。支持バンド27の中間部は、収集部22の外側と固定されていない。また、支持バンド27は、本体部10と一体で成形されていてもよい。支持バンド27の中間部において、支持バンド27と収集部22との間に隙間が形成される。収集部22および支持バンド27が伸縮可能な弾性部材により形成されるので、この隙間は拡張可能である。この隙間に、排出部23が挿通されることにより、排出部23が固定される。
【0101】
本実施形態においては、排出部23は、収集部22から他端部10b(図9)までの間の排出経路28を有している。図19に示すように、排出部23の少なくとも一部(ここでは、折曲部11よりも下流側)は、排出経路28の上流側から下流側(収集部22から排出部23方向)に向けて、鉛直方向下方から上方に向く姿勢で支持される。なお、排出経路28の上流側から下流側とは、収集用具500の全体としての尿や便の排出方向である。
【0102】
排出部23が、収集部22の外側と支持バンド27との間に通されて固定される。これにより、排出部23の折曲部11よりも下流側において、排出部23は排出経路28の上流側から下流側に向けて、鉛直方向下方から上方に向く姿勢で維持される。
【0103】
(第6実施の形態)
次に、図20および図21に基づいて、第6実施の形態について説明する。
【0104】
図20は、第6実施の形態の収集用具を装着した状態を示す説明図である。また、図21は、第6実施の形態の収集用具のサポート部材を示す斜視図である。なお、図20において、収集用具のうちサポート部材については、2点鎖線で示している。
【0105】
本実施形態の収集用具600は、サポート部材660をさらに備える。サポート部材660は、着用者の体に取り付けられる部材である。サポート部材660は、体に取り付けられる体着部661と、収集部22を支持する収集部支持部662と、排出部23を支持する排出部支持部663とを有する。
【0106】
体着部661は例えばパンツ型である。なお、体着部661は、腹巻型であってもよい。収集部支持部662は、体着部661の内側(着用者の体に接する側)に配置されるように体着部661に固定される。収集部支持部662はポケット状になっている。このような収集部支持部662の内側に収集部622が収納される。また、排出部支持部663は、体着部661の外側(着用者の体に接しない側)に配置されるように体着部661に固定される。排出部支持部663もまたポケット状になっている。このような排出部支持部662の内側に、排出部623の端部が収納されて、排出部623が支持される。このように、排出部623の端部(尿や便が外部に出る部分)が体に接しないところに収納されるので、着用者の衛生状態が良好に保たれる。また、排出部623の端部が排出部支持部663の内側に収納されるので、見た目も衛生的である。
【0107】
(第7実施の形態)
次に、図22に基づいて、本発明の第7実施の形態について説明する。
図22は、第7実施の形態の収集用具700を装着した状態を示す説明図である。
【0108】
本実施形態の収集用具700は、第1実施の形態の装着部30に代えて装着部730を備える。装着部730は、本体部10が装着される部位の形状に倣った形状に形成される。第1実施の形態では、例えば陰茎Pに倣った形状に形成されているが、装着部730は例えば着用者の陰部(尿道口または肛門)に倣った形状に形成される。例えば、椀状に形成される。なお、装着部730の形状は椀状だけでなく皿状であってもよい。装着部730は、着用者の陰部(尿道口または肛門)の周囲に配置される。また、装着部730の体との接触部分には粘着剤50が塗布される。
【0109】
装着部730は、着用者の陰部の周囲に塗布される粘着剤50により体の表面に貼り付けられる。このようにして、装着部730が第1実施の形態の装着部30のように陰部と嵌合しない場合にも、収集用具700が利用可能である。
【0110】
なお、この装着部730の着用者への取り付けの際には、椀状または皿状の装着部730を着用部分に押し当てる。装着部730の硬度が低いので、簡単に着用部分の形状に合わせることができる。そうすることで、着用者が痛みを感じることなく、また装着部730と着用部分との間隙から尿や便が漏れることなく装着される。
【0111】
(第8実施の形態)
次に、図23に基づいて、本発明の第8実施の形態について説明する。
【0112】
図23は、第8実施の形態の収集用具800を示す斜視図である。
【0113】
本実施形態の収集用具800は、第1実施の形態の装着部30の代わりに中空嵌合部830を備える点で第1実施の形態の収集用具1と異なる。また、収集用具800は、インナーウェア840をさらに備える。
【0114】
中空嵌合部830は、収集部22に連通する中空の通路831を有する。また、インナーウェア840は、着用者の陰部に嵌合して装着される管状の装着部841と、装着部841の先端に固定される逆止弁842とを有する。逆止弁842は、第1実施の形態における逆止弁40と同様の役割を果たす。本実施形態においては、装着部841と逆止弁842とが継ぎ目なく一体的に形成される。インナーウェア840の少なくとも一部(本実施形態では全部)が中空嵌合部830の内側に挿入されて、インナーウェア840が中空嵌合部830に組み合わされる。本実施形態では、インナーウェア840が中空嵌合部830の内壁に密接に嵌合する。なお、インナーウェア840の少なくとも逆止弁842の部分が本体部810の中空のいずれかの位置に配置されていれば、本発明の効果を奏する。つまり、逆止弁842が収集部22の内部に位置してもよい。
【0115】
(第9実施の形態)
次に、図24に基づいて、本発明の第9実施の形態について説明する。
【0116】
図24は、第9実施の形態の収集用具の装着部を示す側面図である。
【0117】
本実施形態の収集用具900は、第1実施の形態の装着部30代わりに装着部930を備える点で第1の実施形態の収集用具1と異なる。
【0118】
装着部930は、導入口931と、導出口932とを有する。導入口931と導出口932とは、流通路933で繋がっている。導入口931の肉厚L1は流通路933のうちで肉厚が大きい厚肉部となっている。また。導出口932の肉厚L2は流通路933のうちで肉厚が小さい薄肉部となっている。つまり、厚肉部の肉厚をL1、薄肉部の肉厚をL2とすると、L1<L2となる。本実施形態においては、導入口931から導出口932にかけて徐々に肉厚が縮小する。
【0119】
このように導入口931の肉厚を大きくすることにより、この厚肉部分の伸縮性が悪くなる。このため、着用者が着用部分を導入口931に挿入した際に、導入口931と着用部分との密着性が高まる。これにより、着用部分が装着部930から抜けにくくなる。
【0120】
(第9実施の形態の変形例)
図25は、第9実施の形態の変形例の収集用具900Aの装着部を示す側面図である。この変形例の930Aは、導入口931Aと、導出口932Aとを有する。導入口931Aと導出口932Aとは、流通路933Aで繋がっている。本実施形態においては、流通路933Aに、複数の厚肉部934と複数の薄肉部935が設けられる。厚肉部934と薄肉部935とが交互に配置される。このように肉厚が異なる部分を複数形成することにより、伸縮性の低い部分と伸縮性の高い部分とが交互に配置される。すなわち、着用者の着用部分に密着性の高い部分と密着性の低い部分とを形成することができる。これにより、着用者が着用部分を導入口931Aに挿入した際に、導入口931Aと着用部分との密着性が高まる。これにより、着用部分が装着部930から抜けにくくなる。
【0121】
なお、図25に記載のように、流通路933Aの外形部分の径を一律にすると、流通路933Aにおいて大径部(薄肉部)と小径部(厚肉部)とが交互に形成される。そうすると、流通路933Aの着用部分に対する吸盤の効果が奏されると考えられる。したがって、着用者が着用部分を装着部930Aに挿入した際に、装着部930Aと着用部分との密着性が高まる。なお、図25では、複数の小径部(厚肉部934)が略同径のように記載されるが、複数の小径部(厚肉部934)は同径であることに限定されない。また、同様に複数の大径部(薄肉部935)が略同径のように記載されるが、複数の大径部(薄肉部935)が同径であることに限定されない。比較的小径(厚肉)となる部分と比較的大径(薄肉)となる部分とが交互に配置されていれば、本実施形態の効果が奏される。
【0122】
なお、本発明は上記第1実施の形態及び第2実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0123】
上記第1実施の形態及び第2実施の形態では、排出部23が、本体部10の他端10b側の円状の開口を排出口として形成される場合を説明したが、図26で示すように、他端10b側の開口をスリット10cとして形成してもよい。
【0124】
このように、他端10b側の開口をスリット10cとして形成することによって、排出口が常時閉とされることから、排出部23から不意に物質が排出されることが抑制される。排出部23の開口だけでなく中空部分(中空部分全体または中空部分の一部)が、スリット形状であってもよい。このような場合も、排出部23から不意に物質が排出されることが抑制される。
【0125】
この場合において、本体部10は、折曲部11において、スリット10cに対して垂直となる方向に折曲されることが好ましい。これにより、スリットが切り込まれた面を折り曲げることができる。また、スリットが切り込まれる代わりに他の部分よりも薄肉になっていてもよい。このように薄肉にしても、折曲部11が折れ曲がりやすい効果が奏される。
【0126】
上記実施の形態では、折曲部11を介して本体部10の他端10b側が一端10a側に折曲されて排出部23が閉止される場合を説明したが、クリップや輪ゴム等の部材によって排出部23が閉止されるように構成してもよい。
【0127】
上記第1実施の形態及び第2実施の形態では、収集用具1(2)が着用者の陰茎に装着される場合を説明したが、着用者の陰唇を被覆するように装着されるものであってもよいし、着用者の大便を収容する観点から、着用者の肛門を被覆するように装着されるものであってもよい。
【0128】
この場合において、装着部は、排泄部位の形状に倣った任意の形状に設定されることはいうまでもないし、場合によっては、下着類やサポータによって補助的に支持されるものであってもよい。
【0129】
上記第1実施の形態及び第2実施の形態では、本体部10が円筒状である場合を説明したが、筒状であれば、楕円筒状、多角筒状等といった種々の形態を採ることが可能である。
【0130】
上記第1実施の形態及び第2実施の形態では、収集用具1(2)が人体に装着されて排泄物を収集する用途で用いられる場合を説明したが、例えば、収集用具1(2)が医療器具に装着されて任意の物質(例えば血液)を採取する用途で用いられたり、施設の配管からの排液を収集する用途で用いられたり、樹木から樹液を採取する用途で用いられたりするものであってもよい。
【0131】
この場合において、収集用具1が人体以外の事物に装着されて収集部22に物質が収容されていない場合は、収集用具1の体積を最小化することができる一方で、収集用具1を事物に装着する際の装着状態を柔軟に設定することができる。
【0132】
上記第2実施の形態では、本体部10と取付部60とが別の部材として構成される場合を説明したが、本体部10と取付部60とが一体的に形成されるものであってもよい。
【0133】
また、上記実施の形態では、所定部位は、所定部位以外の部分よりも薄肉とされることによって、所定部位以外の部分よりも伸長性を有するが、これに限定されない。所定部位は、他の部分と異なる材料で構成されることによって、所定部位以外の部分よりも柔軟性かつ伸長性を有してもよい。この場合、所定部位は、他の部分に対して接着または溶着により接合される。
【符号の説明】
【0134】
1、2、100、400、500、600、700,800,900 収集用具
10 本体部
10a 一端
10b 他端
11 折曲部
12 指標
20 中空部
21 導入部
22(22A) 収集部
22a(22Aa) 膨出部
23 排出部
24 所定部位
27 支持バンド
28 排出経路
30、730、930 装着部
40 逆止弁
50 排出機構
60 取付部
61 装着部
62 逆止弁
440 逆止弁
441 開口部
660 サポート部材
661 体着部
662 収集部支持部
663 排出部支持部
931 導入口
932 導出口
933 流通路
934 厚肉部
935 薄肉部
【要約】
伸長性を有する筒状の本体部及び本体部に形成された中空部を有する収集用具であって、中空部は、本体部の一端側が開口して物質が導入される導入部と、該導入部から連続して形成され、前記物質を収容する収集部と、を備える。収集部は、導入部から導入された物質が収容された際に、所定部位が収集部における所定部位以外の部分よりも伸長性を有することにより、所定部位が本体部の外側に膨出する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26