(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】医療用アダプタ及び圧力調節バイアルアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
A61J1/20 314C
(21)【出願番号】P 2018191720
(22)【出願日】2018-10-10
(62)【分割の表示】P 2017194824の分割
【原出願日】2014-01-21
【審査請求日】2018-10-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2013-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500488317
【氏名又は名称】アイシーユー メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ICU Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】951 Calle Amanecer,San Clemente,California 92673,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ファングロウ、 トーマス エフ.
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】内藤 真徳
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルから医療用物質を引き出すことのできる医療用アダプタであって、
前記医療用アダプタは、
医療用コネクタインタフェースと、
前記医療用コネクタインタフェースと遠位アクセスポートとの間に延び、封止された容器から薬剤流体を取り出すことが可能なアクセス流路と、
遠位部及び近位部を含む調節器流路と、
前記調節器流路の前記近位部と流体連通する調節器アセンブリであって、
貯蔵幅及び内部貯蔵体積を有する貯蔵領域と、
前記調節器流路の前記近位部と流体連通する可撓性エンクロージャであって、前記可撓性エンクロージャは、前記可撓性エンクロージャが前記貯蔵領域内にある貯蔵配置と、展開配置との間を転移可能であり、前記可撓性エンクロージャは前記展開配置にあるときは展開体積及び展開幅を有する、前記可撓性エンクロージャと、
バイアル内の圧力を調整するために外気と調節器流路との間の流体連通を促進するように構成された吸込みポートと、
前記貯蔵領域に嵌め込まれており、前記可撓性エンクロージャが
貯蔵配置と
展開配置との間を転移する際に摩擦抵抗を前記可撓性エンクロージャの少なくとも一部に提供して、前記可撓性エンクロージャが前記展開配置に迅速に転移することを抑制又は防止するように構成されたエンクロージャカバーと、
を有する調節器アセンブリと、
を備え、
前記医療用アダプタは、前記バイアルから第1の体積の薬物流体を引き出すことができるように構成されており、前記展開体積が前記薬物流体の前記第1の体積よりも小さい場合に前記吸込みポートから前記バイアル内へ流体を流すことを許容することにより前記バイアル内の圧力を調節するように構成されている、医療用アダプタ。
【請求項2】
前記エンクロージャカバーは、弾性材料、可撓性材料、及び伸縮性材料のうちの少なくとも1つで作製されている、請求項1に記載の医療用アダプタ。
【請求項3】
前記エンクロージャカバーは、前記貯蔵領域の前記医療用コネクタインタフェースとは反対の側に開口を含む、請求項1に記載の医療用アダプタ。
【請求項4】
前記エンクロージャカバーは、前記可撓性エンクロージャが前記展開配置に転移するときに前記開口の付近で折れ曲がるように構成されている、請求項3に記載の医療用アダプタ。
【請求項5】
前記吸込みポートは前記調節器流路の前記遠位部と流体連通する一方向弁をさらに含み、前記一方向弁は開放配置と閉鎖配置との間を転移可能であり、前記一方向弁は、前記一方向弁が開放配置にあるときに周囲環境から前記調節器アセンブリの内部への流体連通を促進する、請求項1に記載の医療用アダプタ。
【請求項6】
濾過された空気を、前記可撓性エンクロージャを迂回する吸込み流体経路に沿って前記一方向弁を通過して選択的に引き込むように構成されている、請求項5に記載の医療用アダプタ。
【請求項7】
前記一方向弁と前記周囲環境との間の流体流路内に位置し、汚染物が前記バイアル中へ導入されることを抑制又は防止するように構成されたフィルタをさらに含む、請求項6に記載の医療用アダプタ。
【請求項8】
前記可撓性エンクロージャは、金属成分を有する材料を含む、請求項1に記載の医療用アダプタ。
【請求項9】
前記展開体積は、前記内部貯蔵体積の3,000%以上である、請求項1に記載の医療用アダプタ。
【請求項10】
前記展開幅は、前記貯蔵幅の110%よりも大きい、請求項1に記載の医療用アダプタ。
【請求項11】
バイアルから医療用物質を引き出すことのできる医療用アダプタであって、
前記医療用アダプタは、
医療用コネクタインタフェースと、
前記医療用コネクタインタフェースの遠位側に位置し、前記バイアル内に少なくとも部分的に延びるように構成された穿刺部材と、
前記医療用コネクタインタフェースと前記穿刺部材の遠位アクセスポートとの間に延びるアクセス流路と、
遠位部及び近位部を含む調節器流路と、
バイアル内の圧力を調整するために外気と調節器流路との間の流体連通を促進するように構成された吸込みポートと、
前記調節器流路の前記近位部と流体連通する可撓性エンクロージャであって、前記可撓性エンクロージャは、前記可撓性エンクロージャが拡張していない体積を有する非拡張配置と、前記可撓性エンクロージャが拡張した体積を有する拡張配置との間を転移可能である、前記可撓性エンクロージャと、
前記可撓性エンクロージャが前記非拡張配置にあるときに前記可撓性エンクロージャを少なくとも部分的に取り囲むエンクロージャカバーであって、前記エンクロージャカバーは、前記可撓性エンクロージャの前記医療用コネクタインタフェースとは反対の側に開口を有し、前記開口は、前記穿刺部材の長軸に平行に測った前記可撓性エンクロージャの幅よりも小さい幅を有する、前記エンクロージャカバーと、
を備え、
前記医療用アダプタは、前記バイアルから前記可撓性エンクロージャの拡張体積よりも大きい第1の体積の薬物流体を引き出すことを許容するように構成されている、医療用アダプタ。
【請求項12】
前記医療用コネクタインタフェースは、シリンジとの針を用いない接続を促進するように構成されている、請求項11に記載の医療用アダプタ。
【請求項13】
濾過ポートをさらに含み、周辺の空気は前記濾過ポートを通過して前記調節器流路に入ることができる、請求項11に記載の医療用アダプタ。
【請求項14】
濾過ポートは前記可撓性エンクロージャの遠位側に位置する、請求項13に記載の医療用アダプタ。
【請求項15】
前記可撓性エンクロージャと前記穿刺部材との間の前記調節器流路に位置する調節器弁を含む、請求項11に記載の医療用アダプタ。
【請求項16】
前記調節器弁は、前記バイアルから前記可撓性エンクロージャへの液体の通過を抑制するように構成されている、請求項15に記載の医療用アダプタ。
【請求項17】
前記調節器弁は、流体が前記調節器流路の前記遠位部に向かって前記調節器弁を第1のクラッキング圧力で通過できるように構成され、また、流体が前記可撓性エンクロージャに向かって第2のクラッキング圧力で通過できるように構成されており、前記第1のクラッキング圧力は前記第2のクラッキング圧力よりも小さい、請求項15に記載の医療用アダプタ。
【請求項18】
前記調節器弁は、少なくとも1つのスリットが入ったドーム形弁である、請求項15に記載の医療用アダプタ。
【請求項19】
前記可撓性エンクロージャは、非拡張配置にあるときに少なくとも2つの非平行線に沿って折り畳まれる、請求項11に記載の医療用アダプタ。
【請求項20】
前記可撓性エンクロージャが前記非拡張配置にあるとき、前記エンクロージャカバーは、前記可撓性エンクロージャと前記医療用コネクタインタフェースとの間に位置する内側リップと、前記医療用コネクタインタフェースとは反対の側に位置する外側リップとを含む、請求項11に記載の医療用アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年1月23日に出願した米国特許仮出願第61/755,800号、名称「PRESSURE-REGULATING VIAL ADAPTORS」、2013年3月14日に出願した米国特許仮出願第61/785,874号、名称「PRESSURE-REGULATING VIAL ADAPTORS」、および2013年11月27日に出願した米国特許仮出願第 61/909,940号、名称「PRESSURE-REGULATING VIAL ADAPTORS」の利益を主張するものである。上記の特許出願それぞれの内容全体が、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本明細書に開示のいくつかの実施形態は、薬剤バイアルに結合するアダプタとその部品、並びに、薬剤バイアル内に蒸気を包含し、及び/又は圧力調節を補助する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤又は医療関連流体をバイアルやその他の容器に貯蔵することは一般的に行われている。いくつかの例では、そのように貯蔵された薬剤又は流体は血流中に注入されると治療に役立つが、吸引したり、露出した皮膚に接触させたりすると有害である。潜在的に有害な薬剤をバイアルから抽出するためのいくつかの既知のシステムには、様々な欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許仮出願第61/755,800号明細書
【文献】米国特許仮出願第61/785,874号明細書
【文献】米国特許仮出願第61/909,940号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、アダプタは封止されたバイアルと結合するように構成されていて、ハウジング装置を含んでいる。いくつかの例ではハウジング装置に、アダプタが封止されたバイアルに結合されると、封止されたバイアルから流体を引き出させるように構成された遠位抽出開口がある。いくつかの場合において、抽出器流路の少なくとも一部と、調節器流路の少なくとも一部がハウジング装置を貫通する。アダプタには、調節器流路と流体連通する、調節器エンクロージャなどのエンクロージャが含まれてもよい。いくつかの構成において、封止されたバイアルから抽出器流路を経由して流体が引き出されるときに、調整器エンクロージャは、調節器エンクロージャの少なくとも一部が少なくとも部分的に拡張しているか広げられている、第1の配向と、調節器エンクロージャの少なくとも一部が少なくとも部分的に拡張していないか折り畳まれている、第2の配向との間を移動するように構成されている。さらに、アダプタは、調節器エンクロージャ内部に配設される充填材のような体積部品を含むことができる。この充填材はエンクロージャ全体を充填する必要はない。いくつかの実施形態において、充填材で占拠または包含される体積は、エンクロージャの内容積の大部分よりも小さいか、エンクロージャの内容積の少なくとも大部分であるか、またはエンクロージャの内容積の実質的に全部であるかであってよい。いくつかの例では、充填材は調節器エンクロージャ内の調節器流体の初期体積を確保するように構成されている。それにより、流体が抽出器開口を介して封止されたバイアルから引き出されるときに、アダプタが調節器流体を調節器エンクロージャから封止されたバイアルに供給できるようにする。
【0006】
いくつかの実施形態において、封止された容器に結合可能な医療用アダプタが可撓性エンクロージャを有し、この可撓性エンクロージャは、可撓性エンクロージャが貯蔵配置から展開配置へ移動するときに拡張開口を介して展開する。いくつかの実施形態において、医療用アダプタはハウジングを備えている。このハウジングには医療用コネクタインタフェースを含むことができる。いくつかの例ではハウジングには、封止された容器から薬剤流体を移すことが可能であり、かつ、医療用コネクタインタフェースと遠位アクセスポートの間に延在するアクセス流路がある。ハウジングには、遠位通路と、調節器弁と、近位通路とを備えた調節器流路を含むことができる。この遠位通路は調節器弁から遠位調節器開口まで延在している。
【0007】
いくつかの変形形態では、医療用アダプタには近位通路と流体連通する調節器アセンブリが備えられている。調節器アセンブリは、貯蔵体積と拡張開口を有し、拡張開口が拡張開口幅を有する、貯蔵室を含むことができる。いくつかの実施形態において、調節器アセンブリは近位通路と流体連通する、可撓性エンクロージャを含んでいる。可撓性エンクロージャは、貯蔵配置と展開配置との間を転移することが可能であってよい。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャは貯蔵配置において貯蔵室内にある。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャの少なくとも一部は展開配置において貯蔵室の外側にある。可撓性エンクロージャは、貯蔵配置にあるときには貯蔵体積を有し、展開配置にあるときは展開体積を持つことができる。いくつかの場合には、可撓性エンクロージャは、貯蔵配置にあるときには貯蔵幅を有し、展開配置にあるときは展開幅を持つことができる。
【0008】
可撓性エンクロージャが貯蔵配置から展開配置に転移するときは、可撓性エンクロージャの少なくとも一部が拡張開口を通過する。いくつかの場合には、可撓性エンクロージャの貯蔵幅は拡張開口幅よりも大きい。いくつかの例では、可撓性エンクロージャが貯蔵配置から展開配置に転移するときは、可撓性エンクロージャは拡張開口を経由して制御された展開をする。
【0009】
いくつかの実施形態において、貯蔵体積は、封止された容器の体積の約40%以下である。いくつかの実施形態において、貯蔵体積は、封止された容器の体積の約15%である。いくつかの実施形態において、医療用アダプタが封止された容器に結合されたときに、医療用アダプタは、蒸気又は他の有害物質が封止された容器から放出されることを防止可能である。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャは、貯蔵配置にあるときは、少なくとも4つの折り目に沿って折り畳まれている。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャの展開体積は、貯蔵体積の約500%以上である。いくつかの実施形態において、展開体積は、貯蔵体積の約3,000%以上である。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャの展開幅は貯蔵室の貯蔵幅よりも大きい。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャの展開幅は貯蔵室の貯蔵幅の約250%以上である。いくつかの実施形態において、拡張開口は円形である。いくつかの実施形態において、貯蔵体積は円筒形である。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャは、ほとんど又は全く伸縮性のない可撓性材料で作製されている。いくつかの実施形態において、調節器アセンブリは、貯蔵室の少なくとも一部を取り囲むエンクロージャカバーを含み、このエンクロージャカバーは可撓性材料で作製されている。
【0010】
いくつかの例では、貯蔵室は貯蔵幅を持ち、この貯蔵幅は、医療用コネクタインタフェースと遠位調節器開口との間の距離よりも小さい。いくつかの実施形態において、調節器アセンブリは、可撓性エンクロージャと遠位調節器開口に流体連通する吸込み弁を備える。この吸込み弁は開放配置と閉鎖配置との間を転移可能であり、吸込み弁が開放配置にあるとき、吸込み弁は、周囲環境から調節器アセンブリ内部への流体連通を促進する。
【0011】
いくつかの変形形態によれば、医療用アダプタは封止された容器に結合可能であり、かつ弁座とトロイド状エラストマ弁部材とを備える吸込み弁を有することが可能である。いくつかの実施形態において、医療用アダプタはハウジングを備えることができる。いくつかの例では、このハウジングには医療用コネクタインタフェースを含むことができる。いくつかの例では、ハウジングには、封止された容器から薬剤流体を移すことが可能な、医療用コネクタインタフェースと遠位アクセスポートの間に延在するアクセス流路を含むことができる。いくつかの例では、遠位調節器開口に流体連通し、その中を調節流体を流すことが可能な調節器流路を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、医療用アダプタは調節器流路と流体連通することが可能な調節器アセンブリを含むことができる。調節器アセンブリは調節器アセンブリ流路を含むことができる。いくつかの実施形態において、調節器アセンブリは貯蔵高さと貯蔵深さと貯蔵体積を有する貯蔵室を含む。いくつかの場合において、調節器アセンブリは調節器アセンブリ流路に流体連通し、調節器流路に流体連通可能な可撓性エンクロージャを含む。可撓性エンクロージャは、収縮配置と拡張配置との間を転移することが可能であってよい。いくつかの場合において、可撓性エンクロージャは、収縮配置においては収縮体積を持ち、拡張配置においては拡張体積を持つことができる。
【0013】
いくつかの例では、調節器アセンブリは可撓性エンクロージャと流体連通する吸込み弁を含む。吸込み弁は調節器流路と流体連通可能であってよい。いくつかの実施形態において、吸込み弁は開放配置と閉鎖配置の間を転移可能である。吸込み弁は、弁座と一般的にトロイド状エラストマ弁部材とを含むことができる。いくつかの場合には、弁座は内幅と外幅を持つことができる。弁部材は、弁座の外幅よりも小さい穴幅の穴を画定する内周を持つことができる。いくつかの実施形態において、弁部材は吸込み弁が閉鎖配置にあるときは、封止するようにして弁座と係合することができる。いくつかの実施形態において、弁部材は吸込み弁が開放配置にあるときは周囲環境から調節器アセンブリ流路内への空気の流入を促進する。そこでは空気の流入は弁部材の内周と弁座との間で起きる。
[0013]いくつかの実施形態において、調節器アセンブリは、吸込み弁が開放配置にあるときに調節器アセンブリの内部に流体連通するフィルタ室を含むことができる。フィルタ室は内断面を有する内壁と外断面を有する外壁とを持つことができる。いくつかの実施形態において、フィルタ室は調節器アセンブリ流路の少なくとも一部を取り囲むことができる。いくつかの場合には、調節器アセンブリは、フィルタ室内にあって、フィルタ室の内断面とフィルタ室の外断面との間に画定される空間を充填する、フィルタを含んでいる。いくつかの例では、フィルタ室の内断面は弁座の外幅によって少なくとも部分的に画定される。いくつかの場合において、弁座の内幅は調節器アセンブリ流路の少なくとも一部を画定する。
【0014】
いくつかの実施形態において、エラストマ弁部材は不規則なトロイド形である。いくつかの実施形態において、弁部材の穴は円形である。いくつかの実施形態において弁座は円形である。いくつかの実施形態において、吸込み弁は一方向弁であり、この吸込み弁は調節器アセンブリの内部から吸込み弁を通って周囲環境へ流体が流出することを抑制可能である。
【0015】
いくつかの例において、医療用アダプタが封止された容器に結合されているときに、医療用アダプタは、封止された容器から蒸気又は他の有害物質が放出されることを防止可能である。いくつかの実施形態において、フィルタは疎水性フィルタである。いくつかの実施形態において、フィルタは抗菌性フィルタである。
【0016】
いくつかの場合には、調節器アセンブリは少なくとも1つの吸込みポートを含み、この吸込みポートはフィルタ室と周囲環境との間の流体連通を促進する。吸込みポートは穴と医療用コネクタインタフェースとの間にある。いくつかの実施形態において、弁部材は、吸込み弁が閉鎖配置にあるときに、反れた配置にある。いくつかの場合には、弁部材の少なくとも一部は弁座に向かって付勢されている。いくつかの実施形態において、弁部材は調節器アセンブリ流路の少なくとも一部と同軸に配設されている。
【0017】
いくつかの変形形態によれば、医療用アダプタは封止された容器と結合可能であってよい。医療用アダプタは、調節器アセンブリ流路の少なくとも一部を取り囲むフィルタ室を有することができる。いくつかの実施形態において、医療用アダプタはハウジングを備えている。いくつかの例では、このハウジングは医療用コネクタインタフェースを含んでいる。いくつかの場合には、ハウジングは、封止された容器から薬剤流体を移すことが可能な、医療用コネクタインタフェースと遠位アクセスポートの間に延在するアクセス流路を含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジングは、遠位調節器通路と、調節器弁と、近位調節器通路とを備える調節器流路を含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、医療用アダプタは調節器アセンブリを含むことができる。調節器アセンブリは、調節器アセンブリ流路を画定し、近位調節器通路と流体連通可能な調節器インタフェースを含むことができる。いくつかの例において、調節器アセンブリは貯蔵高さと貯蔵深さと貯蔵体積を有する貯蔵室を含むことができる。いくつかの場合には、調節器アセンブリは、周囲環境と流体連通するフィルタ室を含むことができる。フィルタ室は、内壁によって少なくとも部分的に画定される内径と、外壁によって少なくとも部分的に画定される外径とを持つことができる。いくつかの実施形態において、フィルタ室は調節器アセンブリ流路の少なくとも一部を取り囲む。
【0019】
いくつかの場合において、調節器アセンブリは近位調節器通路と流体連通可能な、可撓性エンクロージャを含むことができる。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャは、収縮配置と拡張配置との間を転移することが可能である。いくつかの例では、調節器アセンブリは、調節器インタフェースが近位調節器開口に結合されているときに、可撓性エンクロージャと近位調節器通路とに流体連通する吸込み弁を含んでいる。吸込み弁は、開放配置と閉鎖配置との間を転移可能であってよい。いくつかの実施形態において、吸込み弁は内穴を有するエラストマ部材を含むことができる。いくつかの例では、内穴は、吸込み弁が閉鎖配置であるときに、可撓性エンクロージャと近位調節器通路との間の流体経路の少なくとも一部を画定することができる。いくつかの実施形態において、吸込み弁は、吸込み弁が開放配置にあるときに、調節器アセンブリの内部とフィルタ室との間の流体連通を促進する。いくつかの実施形態において、調節器アセンブリは、フィルタ室内にあって、フィルタ室の内径とフィルタ室の外径との間に画定される空間を充填する、フィルタを含んでいる。
【0020】
いくつかの例では、エラストマ部材の内穴は円形である。いくつかの例では、弁座は円形である。いくつかの場合には、吸込み弁は一方向弁であり、この吸込み弁は調節器アセンブリの内部から吸込み弁を通って周囲環境へ流体が流出することを抑制可能である。いくつかの例では、フィルタは疎水性フィルタである。いくつかの実施形態では、フィルタは抗菌性フィルタである。いくつかの例では、吸込み弁が閉鎖配置にあるときに、エラストマ部材は、反れた配置にある。いくつかの実施形態において、エラストマ部材は弁座に向かって付勢されている。いくつかの実施形態において、エラストマ部材は調節器アセンブリ流路の少なくとも一部と同軸に配置されている。
【0021】
いくつかの場合には、調節器アセンブリが少なくとも1つの吸込みポートを含んでいる。いくつかの実施形態において、吸込みポートはフィルタ室と周囲環境との間の流体連通を促進する。吸込みポートは内穴と医療用コネクタインタフェースとの間に配置することができる。いくつかの例では、医療用アダプタが封止された容器に結合されているときに、医療用アダプタは、蒸気又は他の有害物質が封止された容器から放出されることを防止可能である。
【0022】
いくつかの変形形態によれば、医療用アダプタは封止された容器と結合可能であってよい。いくつかの実施形態において、医療用アダプタは可撓性エンクロージャを持つことができる。この可撓性エンクロージャは、貯蔵配置において可撓性エンクロージャがその中に配置される貯蔵室の貯蔵体積よりも少なくとも約500%大きい展開体積を有する。いくつかの例では、医療用アダプタはハウジングを備えることができる。このハウジングは医療用コネクタインタフェースを含むことができる。いくつかの例では、ハウジングには、封止された容器から薬剤流体を取り出すことが可能な、医療用コネクタインタフェースと遠位アクセスポートの間に延在するアクセス流路を含むことができる。いくつかの実施形態において、ハウジングは、遠位通路と、調節器弁と、近位通路から成る、調節器流路を含むことができる。ここで遠位通路は調節器弁から遠位調節器開口まで延在している。
【0023】
いくつかの実施形態では、医療用アダプタは近位通路と流体連通する調節器アセンブリを含むことができる。調節器アセンブリは、貯蔵体積を有する貯蔵室を含むことができる。いくつかの場合において、調節器アセンブリは近位通路と流体連通する、可撓性エンクロージャを含むことができる。いくつかの例では、可撓性エンクロージャは、貯蔵配置と展開配置との間を転移することが可能である。いくつかの実施形態では、貯蔵配置においては可撓性エンクロージャは貯蔵室内に配置されている。いくつかの実施形態では、展開配置においては可撓性エンクロージャの少なくとも一部は貯蔵室の外側に配置されている。いくつかの場合において、可撓性エンクロージャは、貯蔵配置にあるときには貯蔵体積を有し、展開配置にあるときは展開体積を持つことができる。いくつかの例では、可撓性エンクロージャは、貯蔵配置にあるときには貯蔵幅を有し、展開配置にあるときは展開幅を持つことができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャの展開体積は貯蔵室の貯蔵体積よりも少なくとも約500%大きい。
【0024】
いくつかの場合において、貯蔵体積は、封止された容器の体積の約40%未満である。いくつかの実施形態において、貯蔵体積は、封止された容器の体積の約15%である。いくつかの場合において、医療用アダプタが封止された容器に結合されているときに、医療用アダプタは、蒸気又は他の有害物質が封止された容器から放出されることを防止可能である。いくつかの場合において、可撓性エンクロージャは、貯蔵配置にあるときは、少なくとも4つの折り目に沿って折り畳まれている。いくつかの場合において、展開体積は、貯蔵体積の約3,000%以上である。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャの展開幅は貯蔵室の貯蔵幅よりも大きい。いくつかの例では、可撓性エンクロージャの展開幅は貯蔵室の貯蔵幅の約250%以上である。いくつかの場合において、貯蔵体積は円筒形である。いくつかの例では、可撓性エンクロージャは、ほとんど又は全く伸縮性のない可撓性材料で作製されている。いくつかの場合において、調節器アセンブリは、貯蔵室の少なくとも一部を取り囲むエンクロージャカバーを含み、このエンクロージャカバーは可撓性材料で作製されている。いくつかの実施形態において、貯蔵室は貯蔵幅を持ち、この貯蔵幅は、医療用コネクタインタフェースと遠位調節器開口との間の距離よりも小さい。いくつかの場合において、調節器アセンブリは可撓性エンクロージャ及び遠位調節器開口と流体連通する吸込み弁を備えている。いくつかの例では、吸込み弁は開放配置と閉鎖配置との間を転移可能であってよい。いくつかの例では、吸込み弁が開放配置にあるとき、吸込み弁は周囲環境から調節器アセンブリ内部への流体連通を促進する。
【0025】
いくつかの実施形態において、バイアルアダプタは近位医療用コネクタインタフェースと、穿刺部材と、調節器アセンブリとを有する。ここで、調節器アセンブリは、ある直径または断面積幅の拡張開口を有するエンクロージャカバーと、第1の配置において調節アセンブリ内部に配置されるように構成されかつ第2の配置において拡張開口を貫通することにより少なくとも部分的に調節器アセンブリの外側に配置されるように構成された可撓性エンクロージャとを備える。この可撓性エンクロージャは第2の構成において調節器アセンブリの外側で最大直径または断面積幅を持つ。また、可撓性エンクロージャの最大直径または断面積幅は拡張開口の直径または断面積幅よりも実質的に大きい。バイアルアダプタはまた、医療用コネクタインタフェースから穿刺部材の遠位領域へ延びるアクセス流路と、調節器アセンブリから穿刺部材の遠位領域まで延びる調節器流路も備えることができる。いくつかの実施形態において、第2の構成における調節器アセンブリの外側での可撓性エンクロージャの最大の直径または断面積幅は、拡張開口の直径または断面積幅の少なくとも約2倍である。
【0026】
様々な実施形態が例示を目的として添付図面に示されている。これは決して実施形態の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。さらに、別々に開示された実施形態の様々な特徴を組み合わせて、本開示の一部をなす、追加の実施形態を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】バイアルから流体を取り出し、および/またはバイアル内へ流体を注入するためのシステムの概略図である。
【
図2】バイアルから流体を取り出し、および/またはバイアル内へ流体を注入するための別のシステムの概略図である。
【
図2A】バイアルから流体を取り出し、および/またはバイアル内へ流体を注入するための別のシステムの概略図である。
【
図2B】バイアルから流体を取り出し、および/またはバイアル内へ流体を注入するための別のシステムの、可撓性エンクロージャが収縮位置にある概略図である
【
図2C】
図2Bのシステムの、可撓性エンクロージャが拡張位置にある概略図である。
【
図3】バイアルから流体を取り出し、および/またはバイアル内へ流体を注入するための別のシステムの概略図である。
【
図4】バイアルアダプタおよびバイアルの斜視図である。
【
図5】高容量段階のバイアルと結合されている、
図4のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図6】拡張段階のバイアルと結合されている、
図4のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図7A】
図7の線7A-7Aで切り取った部分断面図を含む、
図7のバイアルアダプタの組立てた状態の斜視図である。
【
図7B】リセスを含むバイアルアダプタの下から見た斜視図である。
【
図8】
図7のバイアルアダプタの一部の分解斜視図である。
【
図9】
図8のバイアルアダプタの一部の組立てた状態の斜視図である。
【
図10】
図7のバイアルアダプタの結合部の基部およびカバーの分解斜視図である。
【
図10A】任意の実施形態に使用可能な、バイアルアダプタの結合部の基部およびカバーの別の実施例の分解斜視図である。
【
図13】釣合い錘を含む、バイアルと結合されたバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図14A】
図13の線20-20で切り取った、
図13のバイアルアダプタのキー付き結合部の断面図である。
【
図14B】
図13の線20-20で切り取った、
図13のバイアルアダプタのキー付き結合部の断面図である。
【
図14C】
図13の線20-20で切り取った、
図13のバイアルアダプタのキー付き結合部の断面図である。
【
図14D】
図13の線20-20で切り取った、
図13のバイアルアダプタのキー付き結合部の断面図である。
【
図14E】
図13の線20-20で切り取った、
図13のバイアルアダプタのキー付き結合部の断面図である。
【
図14F】
図13の線20-20で切り取った、
図13のバイアルアダプタのキー付き結合部の断面図である。
【
図15B】バイアルと結合された、弁を含むバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図15C】弁を含み、組立てた状態の
図7のバイアルアダプタの斜視図である。
【
図16A】ボール逆止弁を含む、倒立したバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図16D】任意の実施形態に使用可能な、別のボール逆止弁の部分断面図である。
【
図17】ボール逆止弁を含む、別のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図19A】シャワーヘッドドーム形弁の拡大断面図である。
【
図19B】
図19Aの線B-Bで切り取ったシャワーヘッドドーム形弁の立面図である。
【
図21】アダプタの穿刺部材内のボール逆止弁の拡大断面図である。
【
図22B】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、
図22Aのバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図22C】可撓性エンクロージャが拡張配置にある場合の、
図22Aのバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図22D】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図22E】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図23A】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図23B】可撓性エンクロージャが拡張位置にある場合の、
図23Aのバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図24A】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図24B】可撓性エンクロージャが拡張位置にある場合の、
図4Aのバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図25A】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図25B】可撓性エンクロージャが拡張位置にある場合の、
図25Aのバイアルアダプタの部分断面図である。
【
図26A】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの正面部分断面図である。
【
図26B】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、
図26Aの切断面26B-26Bに沿うバイアルアダプタの上面部分断面図である。
【
図26C】可撓性エンクロージャが拡張位置にある場合の、
図26Aの切断面26B-26Bに沿うバイアルアダプタの上面部分断面図である。
【
図27A】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、別のバイアルアダプタの正面部分断面図である。
【
図27B】可撓性エンクロージャが収縮位置にある場合の、
図27Aの切断面27B-27Bに沿うバイアルアダプタの上面部分断面図である。
【
図27C】可撓性エンクロージャが拡張位置にある場合の、
図27Aの切断面27B-27Bに沿うバイアルアダプタの上面部分断面図である。
【
図28H】ダイヤフラム逆止弁が開放位置にある場合の、
図28Aのバイアルアダプタの正面部分断面図である。
【
図28I】可撓性エンクロージャが拡張配置にある場合の、
図28Aのバイアルアダプタの正面部分断面図である。
【
図29A】別のバイアルアダプタの正面部分断面図である。
【
図29B】調節器アセンブリを軸中心に45°回転した、
図29Aのバイアルアダプタの正面部分断面図である。
【
図30A】可撓性エンクロージャの折畳み方の一実施形態を示す図である。
【
図31A】可撓性エンクロージャの折畳み方の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書においては特定の実施形態及び実施例が開示されるが、発明の主題は具体的に開示された実施形態の実施例を超えて、他の代替的実施形態及び/又は用途、及びそれらの修正形態と等価物に及ぶ。したがって、添付の請求項の範囲は、以下で説明するいかなる特定の実施形態にも限定されない。例えば本明細書で開示される任意の方法又はプロセスにおいて、方法又はプロセスの行為又は操作は任意の好適な順序で遂行可能であり、開示されたいかなる特定の順序に必ずしも限定されない。様々な操作は、特定の実施形態の理解の助けとなるように順序立った複数の個別操作として記述してもよいが、記述の順序により、これらの操作が順序に依存することを暗示していると考えるべきではない。また、本明細書に記載の構造、システム、及び/又は装置は、集積部品として、又は個別部品として具現化されてもよい。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様及び利点が記述される。そのような態様または利点のすべてが、必ずしも特定の実施形態で達成されるわけではない。したがって例えば、様々な実施形態は本明細書で教示される1つの利点又は一群の利点を達成若しくは最適化するように遂行され、必ずしも本明細書において同様に教示または示唆される他の態様または利点を達成しなくてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態を示す図面は半図式的であり、正確な縮尺とはなっていない。特に、ある寸法は標識をわかりやすくするためのものであり、また図面中では大きく誇張されて示されている。
【0030】
説明のために本明細書で使用される「水平」という用語は、説明している装置が使用され、または説明している方法が実行される領域の床面または床表面に平行な面として定義され、その向きは問わない。「床」という用語は「地面」という用語で置き換えてもよい。「垂直」という用語は上に定義した水平に対して直交する方向を指す。「上」、「下」、「底」、「頂」、「側」、「高い」、「低い」、「上側」、「真上」、「真下」などのような用語は水平面に対して定義される。
【0031】
多数の薬剤及びその他の治療流体は、薬剤バイアルや、その他の様々な形状と寸法の容器に貯蔵されて分配される。これらのバイアルは、貯蔵流体の汚染や漏れを防ぐために気密封止される。封止されたバイアルの内部と、後でその流体を取出す際の特定の大気圧との間の圧力差によって様々な問題が生じることが多く、また潜在的に有害な蒸気の放出も生じることがある。
【0032】
例えば、バイアルアダプタの穿刺部材をバイアルの隔壁を通して導入することで、バイアル内の圧力を上昇させることがある。この圧力上昇により、バイアルの隔壁と穿刺部材の界面で、あるいはアダプタと、シリンジのような医療デバイスとの取付け界面で、流体の漏えいが発生する可能性がある。また、空のシリンジや他の医療器具を使って封止されたバイアルから正確な量の流体を引き出すことが難しいこともある。それはシリンジプランジャを放すと、流体が自然にバイアルの中へ戻されることがあるからである。さらに、シリンジをバイアルから外すと、差圧によってある量の流体がシリンジまたはバイアルから吹き出すことも多い。
【0033】
さらにいくつかの例では、バイアル内に流体を導入することでバイアル内の圧力が上昇することがある。例えばある場合には、溶媒(無菌食塩水など)をバイアル内に導入して、例えば、バイアル内の凍結乾燥された医薬品を戻すことが望ましい場合がある。このようにバイアル中へ流体を導入することで、バイアル内の圧力が周囲環境の圧力よりも上がることがあり、その結果、隔壁と穿刺部材との界面またはアダプタとシリンジなどの医療デバイスとの取付け界面においてバイアルから流体が漏れる場合がある。さらに、バイアル内の圧力が上昇すると、シリンジやその他の医療器具を用いてバイアル中へ正確な量の流体を導入することが困難になることがある。また、バイアル内の圧力が周囲圧力(例えば大気圧)よりも高い場合にシリンジがバイアルから外されたとしたら、圧力勾配によって流体の一部がバイアルから噴出することもあり得る。
【0034】
さらに多くの場合においては、流体をバイアルから引き出す際に、気泡がシリンジ中に引き込まれる。このような気泡は、患者に注入した場合に塞栓を引き起こす可能性があり、一般的に好ましくない。バイアルから外した後、シリンジから気泡を取り除くために、医療専門家はシリンジをはじいてすべての気泡をシリンジの開口部付近に集めてから追い出すことが多い。その際、通常は、少量の液体もシリンジから追い出される。医療従事者は通常、気泡と流体を押し出す前に、余分なステップを取ってシリンジをバイアルに再結合することはしない。これは場合によっては法律と規則で禁止されていることもある。この法律と規則ではまた、特定の場合には過吸引の流体をバイアル以外の場所に追い出すことを必須とするものもある。さらには、余分の空気または流体をバイアルに再挿入しようとしても、圧力差のために引き出した流体の秤量が不正確になることもある。
【0035】
圧力差により生じるこれらの問題に対処するために、医療専門家は、バイアルから引き出そうとしている流体の体積に相当する正確な体積の外気を、空のシリンジに前以って充填することをしばしば行う。そうして医療専門家はバイアルに穿刺してこの外気をバイアル中に押し出し、バイアル内の圧力を一時的に上昇させる。その後、所望の体積の流体が引き出されると、シリンジの内部とバイアルの内部の圧力差は、概ね平衡状態に近くなる。次いでシリンジ内の流体体積の微調整をして気泡を排除し、バイアルとシリンジの間に顕著な圧力差がないようにできる。ただしこの方法における明らかに不利な点は、外気が、特に病院環境においては、空気中に浮遊する様々なウイルス、バクテリア、埃、胞子、黴、およびその他の非衛生で有害な汚染物質を含んでいる可能性があることである。シリンジに前以って充填した周辺空気にはこれらの有害物質が1つ以上含まれていて、それがバイアル内の薬剤や他の治療流体に混じり込む可能性がある。この汚染された流体が患者の血流中に直接注入されると、空中病原体に対する体の自然防御機能の多くを回避することになり、特に危険となり得る。そのうえ、医薬や治療流体を必要とする患者は、感染防御能力が低下している可能性がより高い。
【0036】
腫瘍薬及び特定のその他の薬品に関して、上記の問題のすべてが特に重大でありうる。これらの薬品は、患者の血流中に注入されれば有用であるが、吸引したり触れたりすると極めて有害な場合がある。したがってこれらの薬品は、圧力差によって予期せずにバイアルから吹き出させると危険となり得る。さらに、これらの薬品は多くの場合揮発性であり、外気に曝すと瞬間的にエアロゾル化する可能性がある。したがって、シリンジから気泡や余剰の流体を取り除くためにこれらの薬品の少量を押し出すことは、たとえそれが制御された方法であっても、特にそのような操作を日に何回も行う医療従事者にとっては、通常は実行可能な選択肢ではない。
【0037】
いくつかのデバイスでは、硬質エンクロージャを使用して、容器内の圧力調節を支援するための体積変化部品や領域のすべてまたは一部を取り囲む。このようなエンクロージャは剛性を与えうるが、一般的にはデバイスを大きくして、バランスの悪いものとする。そのようなデバイスをバイアルに結合すると、頭の重い不安定なシステムとなり、ひっくり返り易くて、そのデバイス及び/又はバイアルの内容物をこぼしたりする可能性が出てくる。
【0038】
実際にそのような結合装置のあるものは相対的に大きいか重い、あるいはその両方の剛体部品を含み、それが片持ち梁状になっているか、またはデバイスの軸中心からある距離を置いて配設された別の形となっている。それにより、デバイスが転倒する傾向が増大す
る。
【0039】
さらに、そのような硬質エンクロージャはデバイスの寸法を大きくさせる可能性があり、そのためにデバイス作製材料の増大を必要とし、それ以外にもデバイスの製造、輸送、及び/又は保管に係わるコストを増大させることになり得る。さらに、そのような硬質エンクロージャは、デバイスの拡張または収縮による調節流体のバイアルへの送出能力を妨げる可能性がある。ここで開示している機能、構造、ステップはいずれも必須でも不可欠でもない。
【0040】
図1は、アクセス機構20と調節器30に結合可能な、薬剤バイアルなどの容器10の模式図である。ある構成において調節器30では、容器10内の圧力をあまり変化させないで、容器10の内容物の一部またはすべてをアクセス機構20を経由して取出すことが可能となる。いくつかの実施形態において、この調節器30は、2012年8月16日出願の「圧力調節バイアルアダプタ(PRESSURE-REGULATING VIAL ADAPTORS)」と題する国際公開第2013/025946号パンフレット(その内容全体を参照により組み込み、本明細書の一部とする)に図示、及び/又は記載された任意の調節器の例の1つ以上の部分を含むことができる。
【0041】
一般に容器10は気密封止されて、容器10の内容物を無菌環境に保持する。容器10は封止することで真空排気や加圧が可能である。いくつかの場合において、容器10には薬品または他の医療流体などの液体が、部分的又は完全に充填される。このような場合、容器10には1つ以上のガスもまた密封することができる。いくつかの場合において、凍結乾燥された医薬品などの、固体又は粉末状物質が容器10内に配設される。
【0042】
アクセス機構20は一般的に容器10の内容物へのアクセスを行い、内容物を取出したり、追加したりする。特定の構成において、アクセス機構20は、容器10の内側と外側の間に開口を含んでいる。アクセス機構20はさらに、容器10の内側と外側の間に通路を備えていてもよい。いくつかの構成においては、アクセス機構20の通路は選択的に開閉を行うことができる。いくつかの構成において、アクセス機構20は容器10の表面を貫通する導管を備えている。アクセス機構20は、容器を封止する前に容器10と一体形成されてもよいし、または容器10が封止された後に容器10へ導入されてもよい。
【0043】
いくつかの構成において、アクセス機構20は、矢印21で示すように、容器10と流体連通している。これらの構成のあるものでは、容器10の内部圧力が周囲環境の圧力に対して変化するとき、容器10へアクセス機構20を導入すれば、アクセス機構20を経由する移送が生じる。例えばいくつかの構成では、容器10を取り巻く環境の圧力が容器10内の圧力を超える。その結果、アクセス機構20を容器10に挿入すると、アクセス機構20を介して環境からの外気の進入が生じ得る。他の構成においては、容器10内部の圧力が周囲環境の圧力を超えて、容器10の内容物がアクセス機構20を通って押し出される。
【0044】
いくつかの構成において、アクセス機構20は交換デバイス40に結合している。ある場合には、アクセス機構20と交換デバイス40は分離可能である。いくつかの場合において、アクセス機構20と交換デバイス40は一体形成されている。交換デバイス40はアクセス機構20を介して容器10から流体及び/又はガスを受け取るか、アクセス機構20を介して流体及び/又はガスを容器10へ導入するか、またはこれら2つの何らかの組合せを行うように構成されている。いくつかの構成において、アクセス機構40は、矢印24で示すように、容器20と流体連通している。ある構成では、交換デバイス40は、シリンジのような医療器具を含む。
【0045】
いくつかの場合には、交換デバイス40はアクセス機構20を介して容器10の内容物の一部または全部を取り出すように構成されている。ある構成では、交換デバイス40は、容器10の内側と周囲環境との間の圧力差の有無に関係なく、内容物を取り出すことができる。例えば、容器10の外側の圧力が容器10の内側の圧力を超える場合、シリンジを含む交換デバイス40は、プランジャをシリンジから引き出すだけの十分な力が掛けられれば、容器10の内容物を取り出すことが可能である。交換デバイス40は同様に、容器10の内側と周囲環境の圧力差に関係なく流体及び/又はガスを容器10へ導入することが可能である。
【0046】
ある構成においては、調節器30は容器10に結合している。調節器30は一般的に、容器10内の圧力を調節する。本明細書で使用されている「調節」という用語、またはそれから派生する用語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、特に断らない限りは、任意の能動的、肯定的、積極的な動作、または変化をもたらす傾向のある、任意の受動的、反応的、応答的、適応的、補償的動作を含んでいる。いくつかの場合には、調節器30は、容器10の内側と周囲環境の間の圧力差または圧力の平衡を実質的に維持する。本明細書で使用する「維持」という用語、またはそれから派生する用語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、その状況に適切なある程度の小変化を許容しつつ、ある期間にわたって元の状態を保持しようとする傾向を含んでいる。いくつかの場合には、調節器30は容器10内で実質的に一定圧力を維持する。ある場合には、容器10内の圧力は、約1psi以下、約2psi以下、約3psi以下、約4psi以下、または約5psi以下の変化をする。さらなる例では、調節器30は容器10の内容物に掛けられた圧力を均等化する。本明細書で使用する「均等化する」という用語、またはそれから派生する用語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、その状況に適切なある程度の小変化を許容しつつ、量を同じか、又はほぼ同じにさせようとする傾向を含んでいる。ある構成においては、調節器30は容器10に結合されて、容器10の内側と、他の環境、例えば容器10の周囲の環境または交換デバイス40内部の環境などとの間の圧力差を均等化させるか、または均等化を促す。いくつかの構成において、1つのデバイスが調節器30とアクセス機構20とを備えている。他の構成においては、調節器30とアクセス機構20は別々のユニットである。
【0047】
調節器30は一般的に、矢印31で示されるように容器10と、また別の矢印35で示されるように貯蔵器50と連通する。いくつかの構成において、貯蔵器50は、容器10を囲む環境の少なくとも一部を含んでいる。ある構成では、貯蔵器50は容器、キャニスタ、バッグ、あるいは調節器30専用のその他のホルダを含んでいる。本明細書における用語「バッグ」またはその任意の派生語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、例えば、可撓性で、柔軟で、曲げやすく、弾力性を持ち、伸縮性があり、及び/又は膨脹性のある材料を含む構造を備えた、任意のサック、バルーン、ブラダ、レセプタクル、エンクロージャ、ダイヤフラム、または拡張及び/又は収縮可能な膜を含んでいる。いくつかの実施形態では、貯蔵器50はガス及び/又は液体を含んでいる。本明細書における用語「可撓性」またはその任意の派生語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、例えば、流体が(例えば、アクセス機構20を介して)容器10に流れ込むか、または流れ出すときに、部品が、例えば曲がるか、拡張するか、収縮するか、折り畳まれるか、展開されるか、または他の何らかの形で実質的に変形または形状変化をする能力を表す。また、本明細書における用語「硬質の」またはその任意の派生語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、例えば、流体が(例えば、アクセス機構20を介して)容器10に流れ込むか、または流れ出すときに、部品が通常の使用状態で、一般的に実質的変形を回避できる能力を表す。いくつかの実施形態において、この貯蔵器50は、2012年8月16日出願の「圧力調節バイアルアダプタ(PRESSURE-REGULATING VIAL ADAPTORS)」と題する国際公開第2013/025946号パンフレット(その内容全体を参照により組み込み、本明細書の一部とする)に図示、及び/又は記載された任意の貯蔵器の例の1つ以上の部分を含むことができる。
【0048】
ある実施形態においては、調節器30は、容器10と貯蔵器50の間の流体連通を提供する。このような実施形態のあるものにおいては、貯蔵器50の流体は主としてガスであって、容器10の液体内容物を顕著には希釈しないようになっている。いくつかの構成において、調節器30はフィルタを備えていて、容器10に入ってくるガスまたは液体を精製するかそこから汚染物を除去して、容器10の内容物が汚染されるリスクを低減する。ある構成では、フィルタは疎水性であって、空気は容器10内に入ることができるが、流体はそこから出ることができないようになっている。いくつかの構成において、調節器30は、方向作動型または方向感応型の逆止弁を備え、これは容器10とフィルタとの間の流体連通を選択的に抑制する。いくつかの構成において、調節器30は逆止弁を備えている。これは、調節器30が調節器30より上(例えば、床からより遠く)に保持されるように弁及び/又は容器10が配向されている場合に、弁と容器10の間の流体連通を選択的に抑制する。
【0049】
いくつかの実施形態においては、調節器30は、容器10と貯蔵器50の間の流体連通を妨げる。そのような特定の実施形態においては、調節器30が、容器10と貯蔵器50の間のインタフェースの働きをする。いくつかの構成において、調節器30は実質的に不透過性のバッグを備え、容器10へのガス及び/又は液体の流入または容器10からのガス及び/又は液体の流出を可能とする。
【0050】
図2に模式的に示すように、ある実施形態においては、アクセス機構20、あるいはその一部は容器10の内部に配置されている。上に詳しく述べたように、アクセス機構20は容器10に一体形成されていてもよいし、分離されていてもよい。いくつかの実施形態において、調節器30あるいはその一部は容器10の外に配置されている。ある構成においては、調節器30は容器10と一体的に形成されている。アクセス機構20またはその一部が完全または部分的に容器10の内部にあるか容器の外にあるか、及び/又は、調節器30またはその一部が完全または部分的に容器10の内部にあるか容器の外にあるかは、任意の組合せが可能である。
【0051】
ある実施形態においては、アクセス機構20は容器10と流体連通している。更なる実施形態では、アクセス機構20は、矢印24で示すように、交換デバイス40と流体連通している。
【0052】
調節器30は容器10と流体的に連通していても、連通していなくてもよい。いくつかの実施形態において、調節器30は全体が容器10の外にある。そのような実施形態のあるものでは、調節器30は、容器10の外へ拡張または収縮して容器10内の圧力を実質的に一定に保つように構成された、閉鎖されたバッグを備えている。いくつかの実施形態において、調節器30は、矢印35で示すように、貯蔵器50と流体的または非流体的に連通している。
【0053】
図2Aに模式的に示すように、ある実施形態においては、アクセス機構20、あるいはその一部は容器10の内部に配置されている。いくつかの実施形態において、アクセス機構20あるいはその一部は容器10の外にあってもよい。いくつかの実施形態において、弁25あるいはその一部は容器10の外にあってもよい。いくつかの実施形態において、弁25あるいはその一部は容器10の中にあってもよい。いくつかの実施形態において、調節器30は全体が容器10の外にある。いくつかの実施形態において、調節器30あるいはその一部は容器10の中にあってもよい。アクセス機構20またはその一部が完全または部分的に容器10の内部にあるか容器の外にあるか、及び/又は、弁25またはその一部が完全または部分的に容器10の内部にあるか容器の外にあるかは、任意の組合せが可能である。アクセス機構20またはその一部が完全または部分的に容器10の内部にあるか容器の外にあるか、及び/又は、調節器30またはその一部が完全または部分的に容器10の内部にあるか容器の外にあるかについても、任意の組合せが可能である。
【0054】
アクセス機構20は、矢印21で示すように、容器10と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、アクセス機構20は、矢印24で示すように、交換デバイス40と流体連通することができる。
【0055】
ある実施形態において、調節器30は、矢印32で示すように、弁25と流体的または非流体的に連通していてもよい。いくつかの実施形態において、弁25は容器10に一体形成されていてもよいし、分離されていてもよい。いくつかの実施形態において、弁25は調節器30に一体形成されていてもよいし、分離されていてもよい。ある実施形態において、弁25は、矢印33で示すように、容器10と流体的または非流体的に連通していてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、調節器30は、矢印35Aで示すように、周辺環境と流体的または非流体的に連通していてもよい。いくつかの実施形態において、調節器30は、矢印35Bで示すように、貯蔵器50と流体的または非流体的に連通していてもよい。いくつかの実施形態において、貯蔵器50はバッグまたは可撓性エンクロージャを備えることができる。いくつかの実施形態において、貯蔵器50は可撓性エンクロージャを囲む硬質容器を備えている。いくつかの実施形態において、貯蔵器50は部分的に硬質のエンクロージャを備えている。
【0057】
いくつかの構成によれば、調節器30はフィルタを備えることができる。いくつかの実施形態では、フィルタは、弁25と、貯蔵器50または周辺環境との間を、液体及び/又は汚染物が通過することを選択的に抑制することができる。いくつかの実施形態では、フィルタは、貯蔵器50または周辺環境と、弁25との間を、液体及び/又は汚染物が通過することを選択的に抑制することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、弁25は一方向逆止弁であってもよい。いくつかの実施形態では、弁25は二方弁であってもよい。いくつかの構成によれば弁25は、フィルタ及び/又は貯蔵器50と、容器10との間の液体連通を選択的に抑制することができる。いくつかの実施形態では、容器10が交換デバイス40の上方向に向いているときは、弁25は、容器10とフィルタ及び/又は貯蔵器50との間の液体連通を選択的に抑制することができる。
【0059】
図3は、バイアル110、アクセス機構120、および調節器130を備えるシステム100の一実施形態を示す。バイアル110は、本体部112とキャップ114を含んでいる。例示した実施形態では、バイアル110には医療流体116と比較的少量の殺菌された空気118が含まれている。ある構成では、バイアル110がキャップ114と共に下向きにされると(例えば、キャップ114が流体と床の間にあれば)、流体116がバイアル110から取り出される。アクセス機構120は、プランジャ144を持つ標準的なシリンジ142のような交換デバイス140に一端が流体接続された導管122を備えている。導管122はキャップ114を貫通して流体116中に延びている。調節器130は、バッグ132と導管134を含んでいる。バッグ132と導管134は貯蔵器150と流体連通しており、貯蔵器には一定量の清浄な、及び/又は殺菌された空気が含まれている。バッグ132の外側表面は一般に、システム100と交換デバイス140を取り囲む外気に接している。バッグ132は実質的に不透過性材料でできていて、バイアル110及び貯蔵器150内の流体116や空気118が外気と接触しないようになっている。
【0060】
例示した実施形態においては、バイアル110の外側領域は大気圧となっている。したがって、シリンジプランジャ144上の圧力はバッグ132の内側の圧力と等しく、システム100は通常の平衡状態となっている。プランジャ144を引き出して、シリンジ142の一部に流体116を充填することができる。プランジャ144を引き出すと、バイアル110の有効体積が増加し、それによってバイアル110内部の圧力が低下する。バイアル110内のこのような圧力低下は、バイアル110とシリンジ142の間の圧力差を増大させ、これにより流体116がシリンジ142中に流れ、また貯蔵器150からバイアル110中へ流れるようになる。さらに、バイアル110内の圧力低下は、バッグ132の内側と外側の間の圧力差を増大させ、それによってバッグ132の内容積の減少、すなわち収縮が起こる。このことが次に一定量の調節流体が導管134を通ってバイアル110中へ入ることを促進する。要するに、バッグ132はバイアル110の外部で収縮して体積が変わり、それがバイアル110から引き出された流体116の体積を補償する。こうして、プランジャ144がバイアル110からの引き出しを停止すると、システムは再び平衡状態となる。システム100は平衡に近い状態で動作するので、流体116の引き出しが容易となり得る。さらに、システム100が平衡であることにより、プランジャ144は引き出された場所にそのまま留まる。このためにバイアル110から正確な量の流体116を取り出すことが可能である。
【0061】
ある実施形態では、バッグ132の減少した体積は、バイアル110から取り出された液体の体積に近似的に等しい。いくつかの構成では、バイアル110から引き出される流体の量が大きくなるに連れて、バッグ132の体積はより遅い速度で減少して、バイアル110から引き出される流体の体積がバッグ132の減少した体積よりも大きくなる。
【0062】
いくつかの構成では、バッグ132は実質的及び/又は完全に潰れて、バッグ132内部の体積が実質的にゼロになることがある。いくつかの例では、バッグ132がそのように潰れることで、バッグ132の内部とバイアル110の内部との間に実際上は圧力差が生成される。例えば、バッグ132が潰れると、バイアル110内部に真空(外気に対する)が生じる可能性がある。いくつかの例では、そのようにバッグ132が潰れることで実質的に復元力が生成されず、バッグ132が一般的に非弾性的である場合のように、バッグ132の内側とバイアル110の内側との間に圧力差を生じがちとなる。
【0063】
ある実施形態では、シリンジ142が流体の内容物143を含んでいる。流体内容物143の一部は、プランジャ144を(例えばバイアル方向へ)押すことでバイアル110中へ導入することが可能であり、これは場合によっては望ましいことである。例えば、いくつかの場合においては、溶媒及び/又は調合流体をバイアル110中に導入することが望ましい。ある場合には、もともと所望したものよりも多い流体116を不注意で引き出してしまうこともある。いくつかの例では、バイアル110内の空気118の一部を最初に引き出して、シリンジ142内に望ましくない気泡を生成してしまうこともあり得る。したがって、引き出された流体116及び/又は空気118の一部をバイアル110中に戻すことが望ましいこともある。
【0064】
プランジャ144を押し込むことで、シリンジの流体内容物143がバイアル110の中へ入り、これによりバイアル110の有効体積が減少し、結果的にバイアル110内の圧力を上昇させる。バイアル110内の圧力が上昇すると、バッグ132の外側と内側の間の圧力差を増加させて空気118がバッグ132中へ流入する。そうしてバッグ132が拡張する。実際に、バッグ132は、バイアル110内に導入されたシリンジ142の内容物143の体積を補償する新しい体積にまで拡張すなわち増大する。こうして、プランジャ144の押し込みを止めると、システムは再び平衡状態となる。システム100は平衡に近い状態で動作するので、内容物143の導入は容易である。さらに、システム100が平衡であることにより、プランジャ144は押し込まれた位置にそのまま留まる。このためにシリンジ142の内容物143を正確な量だけバイアル110中に導入することができる。
【0065】
ある実施形態では、バッグ132の増加した体積が、バイアル110から取り出された空気118の体積にほぼ等しい。いくつかの構成では、バイアル110中に導入される内容物143の量が大きくなるに連れて、バッグ132の体積はより遅い速度で増加して、バイアル110中に導入される内容物143の体積がバッグ132の増加した体積よりも大きくなる。
【0066】
いくつかの構成では、バッグ132は伸長して静止体積を超えて拡張することができる。いくつかの場合には、この伸長により復元力を生じ、それが実際にバッグ132の内部とバイアル110の内部の間の圧力差を生成する。例えば、バッグ132が伸長すると、バイアル110内部の僅かな過圧(外気に対する)が生じる可能性がある。
【0067】
図4は、バイアル210と結合するためのバイアルアダプタ200の一実施形態を示す。バイアル210は、医療流体を貯蔵するための任意の好適な容器をであってよい。いくつかの例では、バイアル210は、イリノイ州アボットパークにあるアボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories)が製造しているような、当分野で知られているいくつかの標準的な医療用バイアルの任意のものである。いくつかの実施形態では、バイアル210は気密シールすることが可能である。いくつかの構成では、バイアル210は本体部212とキャップ214から成る。本体212は好ましくは、プラスチックまたはガラスのような、硬質で実質的に不透過性の材料から成る。いくつかの実施形態では、キャップ214は隔壁216とケーシング218を備える。隔壁216は、何かで穴を開けられた時にそのものの周囲に実質的な気密シールを形成するように変形可能な、エラストマ材料を含むことができる。例えばいくつかの例では、隔壁216はシリコーンゴムまたはブチルゴムを含んでいる。ケーシング218は、バイアル210を封止する任意の好適な材料でできている。いくつかの例では、隔壁216とバイアル210の間に実質的に気密封止を形成するために、ケーシング218は、隔壁216と本体部212の一部の周りに折り曲げられた金属を含んでいる。ある実施形態では、キャップ214は、本体部212の頂部から外側に延びる隆起部219を画定する。
【0068】
ある実施形態では、アダプタ200は、軸方向中心線Aと、近位端221(
図5参照)と遠位端223を有する穿刺部材220とを備えている。本明細書で使用する「近位」という用語またはその任意の派生語は、穿刺部材220をバイアル210に挿入した場合に、穿刺部材220の軸長に沿ってキャップ214に向かう方向のことであり、「遠位」という用語またはその任意の派生語は、その反対方向を指す。いくつかの構成において、穿刺部材220はシース222を備えている。シース222は図に示すように実質的に円筒形であってよい。または別の幾何形状を取ってもよい。ある例では、シース222は遠位端223に向かってテーパがついている。いくつかの構成では、遠位端223は、軸中心線Aに関して中心に置かれてもよいし、またはそこからずれていてもよい。ある実施形態では、遠位端223はシース222の片側から反対側に向かって角度がついている。シース222は、隔壁216を貫通して挿入するのに好適な、例えば金属やプラスチックのような剛体材料でできていてもよい。ある実施形態では、シース222はポリカーボネートプラスチックでできている。
【0069】
いくつかの構成において、穿刺部材220は先端部224を備えている。先端部224は様々な形状と構造を持つことができる。いくつかの例では、先端部224は挿入軸を介してシース222が隔壁216を貫通して挿入しやすいように構成されている。いくつかの実施形態において、挿入軸は、アダプタ200をバイアル210に結合させるときに、アダプタ200とバイアル210の結合に必要な力が掛けられる方向に対応している。挿入軸はキャップ214の載っている面に対して実質的に直交していてもよい。いくつかの実施形態においては
図4に示すように、挿入軸はアダプタ200の軸中心線Aに実質的に平行である。さらに、いくつかの実施形態では挿入軸は穿刺部材220と実質的に平行となっている。図に示すように、先端部224またはその部分は、実質的に円錐状であって、穿刺部材220の軸中心又はその近辺が尖っていてもよい。いくつかの構成において、先端部224は穿刺部材220の片側から反対側に向かって角度がついている。いくつかの例では、先端部224はシース222から分離可能である。別の場合には、先端部224とシース222は恒久的に連結されていて、一体形成することができる。様々な実施形態において、先端部224はアクリルプラスチック、ABSプラスチック、またはポリカーボネートプラスチックを含んでいる。
【0070】
いくつかの実施形態では、アダプタ200はキャップコネクタ230を備えている。図に示すように、キャップコネクタ230はキャップ214の形状に実質的に合致することができる。ある構成では、キャップコネクタ230は、プラスチックや金属などの硬質材料から成り、少しの変形があっても実質的にその形状を維持する。いくつかの実施形態では、キャップコネクタ230はポリカーボネートプラスチックでできている。いくつかの構成においてキャップコネクタ230は、隆起部219の上に嵌り込んでキャップ214と密着係合するように構成されたスリーブ235を備えている。以下でより完全に説明するが、いくつかの例ではキャップコネクタ230はスリーブ235の内側表面の周りに材料を備えていて、キャップ214と実質的に気密シールを形成している。キャップコネクタ230は、当業者には周知の接着テープであってもよいし、またはそれを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、キャップコネクタ230は弾性材料を含んでいて、それが隆起部219を覆って伸長して、キャップ214の周りにシールを形成する。いくつかの実施形態では、キャップコネクタ230は米国特許第5,685,866号明細書の
図6、
図7に示され、説明されている構造に類似しているか同一であり、これは参照により本明細書に援用されて本明細書の一部をなす。
【0071】
ある実施形態では、アダプタ200は、医療用コネクタ241や別の医療デバイス(図示せず)、またはバイアル210から流体を抽出するかバイアル中に流体を注入するために使用されるその他の任意の器具と、アダプタ200を結合するためのコネクタインタフェース240を備えている。ある実施形態では、コネクタインタフェース240は、流体が流れるアクセス流路245の近位部分を画定する側壁248を備える。いくつかの例では、アクセス流路245はキャップコネクタ230を貫通し、穿刺部材220の一部を通って延在しており、コネクタインタフェース240が穿刺部材220と流体連通するようになっている。側壁248は、医療用コネクタ241、医療デバイス、または別の器具と結合するのに好適な任意の構成を取ることができる。図示された実施形態においては、側壁248は実質的に円筒であり、一般的にキャップコネクタ230から近位の領域に延在する。
【0072】
ある構成では、コネクタインタフェース240はフランジ247を備え、アダプタ200と、医療用コネクタ241、医療用デバイス、またはその他の器具との結合を補助する。フランジ247は任意の好適な医療用コネクタ241を受けられるように構成することが可能であり、医療デバイスをそこから外した後に封止可能なコネクタも含まれる。いくつかの例では、フランジ247は、カリフォルニア州サンクレメントのICU Medical, Inc.から市販されている、Clave(登録商標)コネクタを受けられる寸法と構成になっている。Clave(登録商標)コネクタの特定の特徴は、参照によりその内容全体が本明細書に援用されている、米国特許第5,685,866号明細書に開示されている。他の針のないコネクタを含む、多くのその他の種類のコネクタもまた使用可能である。コネクタ241は、コネクタインタフェース240に恒常的に、あるいは分離可能に取り付けることができる。他の構成では、フランジ247にはねじが切られていて、ルアーコネクタを受けられるようになっているか、または別の形状をしていて、シリンジなどの医療デバイスまたはその他の器具に直接取り付けられる形状となっている。
【0073】
ある実施形態では、コネクタインタフェース240は一般にアダプタ200の軸中心上に中心を持っている。そのような構成とすることで、バイアル210に結合されたアダプタ200を備えるシステムに垂直方向の安定性が与えられる。そうすることで、結合されたシステムが転倒する可能性が低くなる。したがって、アダプタ200は、アダプタ200やバイアル210が過失でぶつかったり、ひっくり返ったりすることで生じる、漏れや、こぼれや、供給の不調などを起こす可能性は低い。
【0074】
いくつかの実施形態において、穿刺部材220、キャップコネクタ230、およびコネクタインタフェース240は、ポリカーボネートプラスチックのような単一材料で一体的に形成されている。別の実施形態では、穿刺部材220、キャップコネクタ230及びコネクタインタフェース240の1つ以上が個別部品となっている。個別部品は、接着剤、エポキシ、超音波溶接、などのような任意の好適な方法によって連結することができる。連結品同士の接続は、個片間の実質的な気密接合を形成することが可能である。いくつかの構成では、穿刺部材220、キャップコネクタ230及びコネクタインタフェース240の任意のものが2つ以上の個片を含んでいることもあり得る。穿刺部材220、キャップコネクタ230及びコネクタインタフェース240のいくつかの実施形態の詳細と例は、米国特許第7,547,300号明細書および米国特許出願第2010/0049157号明細書に与えられており、それぞれの全体を参照により本明細書に援用する。
【0075】
ある実施形態では、アダプタ200は、コネクタインタフェース240及び/又はキャップコネクタ230を貫通し、また穿刺部材220(例えば
図5参照)を貫通して延在する調節器流路225を含む。例示した実施形態では、調節器流路225は、コネクタインタフェース240から半径方向外向きに延びるルーメン226を貫通する。いくつかの実施形態では、流路225はキャップコネクタ230の一部として形成されている。ある実施形態では、調節器流路225は調節器開口228で終端する。
【0076】
いくつかの実施形態において、アダプタ200は調節器アセンブリ250を含む。ある実施形態では、調節器アセンブリ250は結合部252を含む。結合部252は調節器アセンブリ250をアダプタ200のその他の部分に接続するように構成されていてもよい。例えば、結合部252はルーメン226と実質的に気密係合で接続することができ、そうして結合部252を調節器流路225と流体連通させる。いくつかの例では、結合部252とルーメン226は、滑り嵌めまたは締り嵌めで係合する。ある実施形態では、結合部252とルーメン226は、相補的にねじが切られていて、結合部252をルーメン226にねじ止め接続することができるようになっている。いくつかの実施形態では、結合部252には、結合部252を貫通する通路253がある。
【0077】
例示した実施形態において、調節器アセンブリは内部室255を有するバッグ254を備えている。バッグ254は一般的に、伸びたり、折れ曲がったり、広がったり、または他の形で拡張と収縮をしたり、または内容積を変化させたりするように構成されている。いくつかの場合には、バッグ254には1つ以上の折り目や襞などが含まれる。ある構成においては、バッグ254の内部室255は調節器流路225と流体連通しており、これによって流体が調節器流路225から内部室255を流れ、及び/又は内部室255から調節器流路225内へ流れることができる。いくつかの構成においては、内部室255は結合部252の通路253と流体連通している。
【0078】
ある実施形態においては、調節器アセンブリ250は充填材256を備え、これはバッグ254の内部室255に配置することができる。本明細書で言う「充填材」という用語またはその任意の派生語は、通常の意味で使用される広義な用語であって、例えば、任意の支持材、詰め物、スペーサ、当て物、パッド、ライニング、封入物、水槽や、バッグ254が大気圧で完全に潰れてしまうことを抑制または防止するためのその他の構造物、またはそれら構造物の組合せを含んでいる。ある構成では、充填材256がすべての内部室255の全容積を実質的に占有する。別の構成においては、充填材256は部室255の容積の一部のみを占有する。いくつかの構成において、充填材256は、織った繊維または不織繊維の網を含む。いくつかの実施形態において充填材256は多孔質であり、内部室255内の調節流体(例えば空気)が、充填材256内部の網目構造となった空洞、または複数の空洞に入り込むことができるようになっている。例えばいくつかの場合では、充填材256はスポンジ状の材料である。ある構成では、充填材256は、バッグ254に損傷を与えることなしに、バッグ254によって圧縮されるようになっている。いくつかの実施形態では、充填材256はバッグ254よりも低いデュロメータ硬度を持っている。
【0079】
図に示すように、充填材256はバッグ254内に配置することができる。ある実施形態では、充填材256はバッグ254内の半径方向の中心付近に配置される。別の例では、充填材256の位置はバッグ254の中心からはずれている。いくつかの実施形態では、充填材256の位置は、バッグ254に対して相対的に変化する。例えばいくつかの実施形態では、バッグ254が拡張するなどしてバッグ254の体積が変化するときに、充填材256は(例えば重力によって)バッグ254に対して相対的に移動する。そのような構成とすることで、例えばバッグ254の拡張能力が促進され、バッグ254が充填材256に引っかかったり、充填材で裂けたりする可能性が小さくなる。
【0080】
別の実施形態においては、充填材256の位置はバッグ254及び/又は結合部252に対して実質的に一定である。そのような実施形態のいくつかでは、充填材256はバッグ254と実質的に一致して動く。例えば、充填材256は、バッグ254と実質的に同じ速度で拡張と収縮をするように構成されていてもよい。ある実施形態では、充填材256はバッグ254に固着されている。そのようないくつかの例では、充填材256は少なくともバッグ254の一部に、接着または少なくとも部分接着されている。そのようないくつかの場合には、充填材256の少なくとも一部がバッグ254の一部として形成されている。ある実施形態では、充填材256の少なくとも一部が、バッグ254の内表面に当接する1つ以上の可撓性の脚によって所定位置に保持されている。いくつかの構成においては、充填材256の少なくとも一部が、結合部252に接続された1つ以上の梁によって所定位置に保持されている。ある構成では、充填材256の少なくとも一部が結合部252に連結されている。
【0081】
図5と
図6は、バイアル210に結合されたバイアルアダプタ200の断面図である。
図5は完全には拡張していない状態、
図6は完全に拡張した状態を示している。例示した実施形態では、キャップコネクタ230はアダプタ200をキャップ214にしっかりと固定し、穿刺部材220は隔壁216を貫通してバイアル210内部へ延伸している。さらに、調節器アセンブリ250がコネクタインタフェース240と係合して、バッグ254の内部室255が結合部252を介して調節器流路と255と流体連通するようになっている。いくつかの実施形態において、アダプタ200とバイアル210が連結されている場合には、穿刺部材220はキャップ214とは実質的に直交する方向に向いている。他の構成もまた考えられる。本明細書における「拡張した」という用語は、広義の通常の意味で用いられており、図に示すような、展開された、格納から戻された、折畳みを広げられた、伸ばされた、広げられた、巻き戻された、包みを広げられた、またはそれらが任意に組合せられた、などの構成を含んでいる。本明細書における「収縮した」という用語は、広義の通常の意味で用いられており、図に示すような、格納された、展開されていない、折り畳まれた、ぎっしり詰められた、伸ばされていない、広げられていない、巻き取られた、包み込まれた、またはそれらが任意に組合せられた、などの構成を含んでいる。図に示すように、「拡張した」または「収縮した」という用語、またはこれらの変形された用語または類似の用語は、可能な最大程度までの、完全または全面的な拡張または収縮である必要はない。
【0082】
ある実施形態では、キャップコネクタ230は1つまたは複数の突起237を備え、これがアダプタ200のバイアル210への固定を助けている。この1つまたは複数の突起237は、キャップコネクタ230の軸中心方向へ延びている。いくつかの構成において、1つまたは複数の突起237は、キャップコネクタ230の内側の周りに延在する1つの円形フランジを備えている。キャップコネクタ230は、この1つまたは複数の突起237の上面が隆起部219の下面に当接してアダプタ200の位置を固定するような寸法と構成になっていてもよい。
【0083】
1つまたは複数の突起237は、アダプタ200とバイアル210を結合しやすくするために、丸められているか、面取りされているか、またはその他の形状となっていてもよい。例えば、丸められた突起237を有するアダプタ200がバイアル210に導入されると、丸められた突起237の下面がキャップ214の上面に当接する。アダプタ200がバイアル210上を前進すると、丸められた表面によってキャップコネクタ230が半径方向外向きに広げられる。アダプタ200がバイアル210上をさらに前進すると、変形したキャップコネクタ220の弾性力によって1つ以上の突起237が隆起部219の下方に着座して、アダプタ200を固定する。
【0084】
いくつかの実施形態において、キャップコネクタ230は、キャップコネクタ230の内表面238がキャップ214に接するような寸法と構成となっている。いくつかの実施形態では、キャップコネクタ230の一部がキャップ214と実質的に気密係合状態で接触する。ある実施形態では、隔壁216とケーシング218のいずれかを囲む内表面238の一部にゴムやプラスチックのような材料で内張りを施して、アダプタ200とバイアル210の間の実質的な気密シールが確実に形成されるようにしている。
【0085】
例示した実施形態では、穿刺部材220はシース222と先端部224とを備えている。シース222は一般に、隔壁216を破壊せずに、場合によっては比較的容易に、貫通して挿入できるような寸法と形状となっている。したがって、様々な実施形態においてシース222は、約0.025平方インチ~約0.075平方インチ、約0.040平方インチ~約0.060平方インチ、または約0.045平方インチ~約0.055平方インチの断面積を持っている。他の実施形態では、断面積は約0.075平方インチ未満、約0.060平方インチ未満、または約0.055平方インチ以下である。更に他の実施形態では、断面積は、約0.025平方インチ以上、約0.035平方インチ以上、または約0.045平方インチ以上である。いくつかの実施形態では、断面積は約0.050平方インチである。
【0086】
シース222は、いくつかの断面形状、例えば、卵形、楕円形、正方形、長方形、六角形、菱形などの任意のものを取ることができる。シース222の断面形状はその長さに沿って大きさ及び/又は形が変化することができる。いくつかの実施形態において、シース222はその長さのかなりの部分にわたって実質的に円形断面となっている。形状が円形であれば、シース222はすべての半径方向に実質的に同じ強度であり、そうでない場合にシース222を挿入すると生じ得る、屈曲や破壊を防止することができる。円形シース222が隔壁216内に形成する開口が対称的であることで、角度のある形状の場合に発生し得る締付けが防止され、シース222はより容易に隔壁216に挿入可能となる。穿刺部材220と隔壁216の開口の円形対称性が一致するために、たとえアダプタ200を不注意でねじったとしても、穿刺部材220と隔壁216の間に締り嵌めが確保されるので、有利である。したがって円形対称構成を持ついくつかの例では、危険な液体やガスがバイアル210から漏れる危険性、または不純な空気がバイアル210に侵入してその内容物を汚染する危険性を低減することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、シース222は中空である。例示した実施形態では、シース222の内表面と外表面は実質的に同一形状であるので、シース222は実質的に均一な厚さとなる。様々な実施形態においてこの厚さは、約0.015インチ~約0.040インチ、約0.020インチ~約0.030インチ、または約0.024インチ~約0.026インチ、である。他に実施形態では、厚さは、約0.015インチ以上、約0.020インチ以上、または約0.025インチ以上である。さらに他に実施形態では、厚さは、約0.040インチ以下、約0.035インチ以下、または約0.030インチ以下であり、いくつかの実施形態では厚さは約0.025インチである。
【0088】
いくつかの実施形態では、シース222の内表面は、シース222の外表面とは構成が異なる。したがっていくつかの構成では、厚さはシース222の長さに沿って変化する。様々な実施形態において、シースの一端、例えば近位端での厚さは約0.015インチ~約0.050インチ、約0.020インチ~約0.040インチ、または約0.025インチ~約0.035インチであり、もう一方の端部、例えば遠位端223での厚さは、約0.015インチ~約0.040インチ、約0.020インチ~約0.030インチ、または約0.023インチ~約0.027インチである。いくつかの実施形態では、シース222の一端の厚さは、約0.015インチ以上、約0.020インチ以上、または約0.025インチ以上であり、シースの別の端部の厚さは、約0.015インチ以上、約0.020インチ以上、または約0.025インチ以上である。さらに別の実施形態では、シース222の一端の厚さは、約0.050インチ以下、約0.040インチ以下、または約0.035インチ以下であり、シースの別の端部の厚さは、約0.045インチ以下、約0.035インチ以下、または約0.030インチ以下である。いくつかの実施形態では、シース222の近位端での厚さは約0.030インチであり、遠位端223での厚さは約0.025インチである。いくつかの構成では、シース222の内表面の断面は、その外表面の断面とは異なった形状となっている。シース222の形状と厚さは、例えばシース222の強度を最適化するために、変えることが可能である。
【0089】
いくつかの例では、キャップコネクタ230の遠位面から遠位端223までを測ったシース222の長さは、約0.8インチ~約1.4インチ、約0.9インチ~約1.3インチ、または約1.0インチ~約1.2インチである。他に例では、長さは、約0.8インチ以上、約0.9インチ以上、または約1.0インチ以上である。さらに別の例では、長さは、約1.4インチ以下、約1.3インチ以下、または約1.2インチ以下である。いくつかの実施形態では、長さは約1.1インチである。
【0090】
ある実施形態では、シース222は少なくとも部分的に、一つ又は複数の流路を囲む。例えば
図5の実施形態では、シース22は、調節器流路225とアクセス流路245とを部分的に囲む。いくつかの構成では、シース222は調節器流路225の遠位部の外側境界と、アクセス流路245の遠位部の外側境界を画定する。シース222の内表面から医療用コネクタインタフェース240の遠位部まで延びる内壁227は、調節器流路225とアクセス流路245の間の内側境界を画定する。
【0091】
図に示す実施形態においてアクセス流路245は、シース222内に形成されたアクセス開口246からキャップコネクタ230を通り、コネクタインタフェース240を通って延在する。こうして、シリンジなどの医療デバイスが医療コネクタ241に接続され、医療コネクタがコネクタインタフェース240に連結されている場合、医療装置はバイアル210の内部と流体連通する。そのような構成では、バイアル210の内容物と医療デバイスの内容物とを、バイアル210と医療デバイスとの間で交換することが可能である。
【0092】
例示した実施形態では、調節器流路225は、シース222の遠位端223からキャップコネクタ230、コネクタインタフェース240の一部、およびルーメン226を通って延び、調節器開口228で終端する。図に示した構成のようなある構成においては、調節器開口228は、バッグ254の内部室255と流体連通している結合部252の通路253と流体連通している。こうしてこのような構成では、内部室255が調節器流路225に流体連通する。さらに、例示した実施形態では充填材256が内部室255内に配置されているので、充填材256もまた調節器流路225と流体連通する。
【0093】
ある構成では、アダプタ200はフィルタ260を備えている。例示した実施形態では、フィルタ260がルーメン226内の調節器流路225に配置されている。他の実施形態では、フィルタ260はシース222の調節器流路に配置されている。さらに別の実施形態では、フィルタ260は結合部252の通路253に配置されている。更なる実施形態では、フィルタ260はバッグ254の内部室255に配置されている。通常フィルタ260は、例えば接着剤またはスナップリングなどによって、化学的又は機械的に所定の場所に保持される。ある実施形態では、複数のフィルタ260が含まれる。例えばある実施形態では、第1のフィルタがルーメン226内に配置され、第2のフィルタが結合部252に配置される。
【0094】
いくつかの構成において、フィルタ260は疎水性の膜であり、これは一般的にガスを通過させて、液体の通過は抑制または阻止するように構成されている。いくつかの構成において、ガス(例えば殺菌された空気)はフィルタ260を通過して、バイアル210とバッグ254との間を移動できるが、バイアル210からの液体はフィルタ260によって止められる。したがって、フィルタ260が調節器流路225内に配置されているアダプタ200の実施形態では、調節器アセンブリ250が外されている場合でも、バイアル210から液体がこぼれる可能性を下げることができる。
【0095】
ある構成では、フィルタ260は、フィルタを通過するガスから粒子及び/又は汚染物を除去することができる。例えばある実施形態では、フィルタ260は、直径0.3マイクロメータの浮遊粒子のほとんどすべてまたは約99%を取り除くように構成されている。いくつかの場合には、フィルタ260は微生物を取り除くように構成されている。いくつかの実施形態では、フィルタ260は、ナイロン、ポリプロピレン、臭化ポリビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、あるいはその他のプラスチックからできている。いくつかの実施形態では、フィルタ260は、例えば活性炭などの活性化炭素を含んでいる。ある構成では、フィルタ260は、規則的またはランダムに配置された、ガラス繊維などの繊維でできたマットを備えている。いくつかの実施形態では、フィルタ260はゴアテックス(登録商標)やテフロン(登録商標)などの材料でできている。
【0096】
例示した実施形態では、ルーメン226は、コネクタインタフェース240から半径方向外向きに延在する中空円筒部材である。他の実施形態では、ルーメン226は円錐形などの他の形状を備えている。ルーメン226は、円形、正方形、長方形、楕円形、菱形、星形、多角形、または不規則形状のような、種々の断面形状を有することができる。図に示すようにいくつかの実施形態では、ルーメン226は半径方向外向きには、キャップコネクタ230のスリーブ235よりも短い。ただしある構成では、ルーメン226は半径方向外向きに、キャップコネクタ230のスリーブ235よりも長く延びている。調節器アセンブリ250がアダプタ200の他の部分及びバイアル210から離間しているこのような構成では、例えば、調節器アセンブリ250の接続が容易となる。
【0097】
いくつかの実施形態では、結合部252はルーメン226の形状に対応した形状または相補的な形状を持っている。例えばいくつかの場合、ルーメン226は三角形をしており、結合部252も三角形をしている。結合部252は、円形、正方形、長方形、楕円形、菱形、星形、多角形、または不規則形状のような、種々の断面形状を有することができる。ある構成では、結合部252とルーメン226は相対応する形状となっていて、下で述べるように、結合部252(したがって調節器アセンブリ250)がルーメン226(したがってアダプタ200の残りの部分)に対して特定の向きとなり易くする。
【0098】
結合部252はルーメン226に係合するように構成することができる。例えば、例示した実施形態では結合部252はルーメン226に収納されるように構成されている。別の場合には、結合部252はルーメン226を収納するように構成されている。いくつかの例では、結合部252とルーメン226は、滑り嵌めまたは締り嵌めで接続される。いくつかの構成では、結合部252とルーメン226は、ホースバーブで接続される。ある構成では、結合部252とルーメン226は、ねじ接続される。例えばある場合には結合部252とルーメン226は、対応する標準的なルアーロック接続となっている。いくつかの実施形態では、外部空気が調節器流路225に侵入することを抑制または阻止するために、結合部252とルーメン226の接続は実質的に気密である。そのような構成にすることで微生物や不純物がバイアル210内に侵入する可能性を低減し、それによって医療流体の汚染の可能性を低減して患者の安全を向上させる。
【0099】
いくつかの構成において、結合部252とルーメン226の接続にはフィードバックデバイスを含み、接続されたことをユーザに警告する。例えばある配置では、結合部252とルーメン226の接続には戻り止め機構、例えばボール戻り止めが含まれ、これにより接続されたことを触覚で知らせることができる。いくつかの実施形態では、可聴信号、例えばクリック音やスナップ音などが含まれて、結合部252がルーメン226に接続されたことを通知する。
【0100】
いくつかの実施形態では、結合部252とルーメン226の結合は実質的に永久的である。例えばある構成では、結合部252とルーメン226は音響溶接される。ある場合には、結合部252とルーメン226は、接着剤、エポキシ、両面テープ、溶媒接着などによって永久的に接合される。いくつかの実施形態では、結合部252とルーメン226は永久的なスナップ嵌合機構(例えば、概ね90°のフックと対応する概ね90°の谷)で連結され、結合部252とルーメン226は、このスナップ機構が一旦係合すると実質的に分離できなくなる。結合部252とルーメン226を永久的に接続することで、調節器アセンブリ250の一回きりの使用を含めて、アダプタ200を一回だけ使用することが奨励される。さらに、調節器アセンブリ250とアダプタ200の残りの部分とが永久的に接続されるので、保管し、保守し、使用前に準備するべき個別部品の全体点数が減る。いくつかの実施形態では、結合部252はアダプタ200の他の部分と実質的にモノリシックに(例えば他の部分と一回の作業で成形して)形成される。
【0101】
いくつかの場合において、結合部252とルーメン226は、例えば工場でのアダプタ200の製造工程時に接続される。いくつかの構成において、調節器アセンブリ250は、アダプタ200の他の部分とは別のアイテムであり、ユーザがアダプタ200の他の部分と接続するように構成されている。例えば、穿刺部材220、キャップコネクタ230及びコネクタインタフェース240が第1のパッケージで提供され、調節器アセンブリ250が第2のパッケージで提供されてもよい。ユーザが接続する構成のあるものは、実質的に永久的な接続となっている。例えばいくつかの場合には、結合部252とルーメン226の内の1つに接着剤(例えば両面テープ)が含まれ、ユーザが結合部252とルーメン226を接続すると、この接着剤が結合部252とルーメン226を実質的に永久的に接合する。他方、ユーザが接続する実施形態のあるものでは、結合部252がルーメン226に接続された後でも、結合部252はルーメン226から分離可能なようになっている。例えば、ある実施形態では、結合部252とルーメン226は、ねじまたは戻り止めや止めねじなどの解放機構によって、取り外し自在に連結されている。そのような構成とすることで、調節器アセンブリ250内に収容されている調節流体の容積よりも大きな、大量の調節流体を調節器アセンブリ250からバイアル210中へ移すことが望まれる操作(例えば大量の医薬品調合操作)を容易にすることができる。これについては後で説明する。いくつかの実施形態においては、調節器アセンブリ250が分離されるときは、その内容物は、一方向弁などによって、環境から密閉分離される。
【0102】
例示した実施形態では、結合部252はバッグ254に連結される。いくつかの場合には、バッグ254と結合部252は溶接されるか、または接着剤で連結される。図に示すように、バッグ254を結合部252に接続すると、一般的に通路253がバッグ254の内部室255に流体的に接続される。流体連通を容易にするために、バッグ254には、スリットまたは穴などのバッグ開口257を含むことができる。いくつかの場合には、バッグ開口257は、半田ごてなどの高温器具によって製造される。
【0103】
バッグ254は一般的に、折畳みを開き、巻きを広げ、拡張し、収縮し、膨れさせ、しぼませ、加圧し、及び/又は除圧するように構成されている。バッグ254は、可撓性と展伸性のいずれか又は両方を持つ種々の材料の内の任意のものを含むことができる。例えばある実施形態では、バッグ254は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、サラン、ラテックスゴム、ポリイソプレン、シリコーンゴム、ビニール、ポリウレタン、または他の材料を含む。ある実施形態では、バッグ254は、バッグ材料を貫通した流体(ガスまたは空気を含む)の漏洩をさらに抑制するために、金属成分を有する材料を備えている。これは例えば、金属化二軸配向ポリエチレンテレフタレート(PETとしても知られており、商標名マイラー(Mylar)(登録商標)で市販されている)である。いくつかの実施形態では、バッグ254は積層構造を含む。例えば、バッグ254は、0.36Mil(7.8#)の金属化(例えばアルミニウム)PETフィルム層と、0.65Mil(9.4#)の直鎖状低密度ポリエチレン層とで構成することができる。いくつかの実施形態では、バッグ254は、結合部252と実質的な気密シールを形成することが可能な材料を備えている。ある実施形態では、バッグ254は、透明、または実質的に透明である。他の実施形態では、バッグ254は不透明である。多くの例では、バッグ254は、一般的に液体と空気に対して不透過性である材料を備えている。ある実施形態では、バッグ254はバイアル210の目的とする内容物に関して不活性である材料を備えている。例えばある例ではバッグ254は、化学療法に使用する特定の薬品とは反応しない材料を含んでいる。いくつかの実施形態では、バッグ254はデュロメータ硬度が約10~約40のラテックスフリーシリコーンを含んでいる。
【0104】
ある構成では、バッグ254はコーティングを備えている。例えばいくつかの実施形態では、バッグ254は、バッグ254の気孔率を下げるためにコーティングを含んでいる。いくつかの場合には、コーティングは蒸着されたアルミニウムまたは金である。いくつかの場合には、コーティングにはガスの貫通通過を抑制するためのバリアを形成するように構成された、水溶性のプラスチックが含まれる。ある例では、コーティングはバッグ254の外側に施される。他の例では、コーティングはバッグ254の内側に施される。ある場合には、コーティングはバッグ254の内側と外側に施され、いくつかの実施形態ではコーティングはポリオレフィンである。
【0105】
ある実施形態では、バッグ254はバイアル210の完全に外側に配置される。ある構成では、バッグ254は、アダプタの他の部分(例えば、穿刺部材220、キャップコネクタ230、およびコネクタインタフェース240)の完全に外側に配置される。いくつかの実施形態では、バッグ254は、ほぼすべての方向に実質的に自由に拡張できる。例えば、例示した実施形態には、バッグ254の一部を全体的または部分的に囲んでいる硬質エンクロージャはない。いくつかの例では、硬質ハウジングはバッグ254のかなりの部分を含んでいない。いくつかの実施形態では、完全に潰れた状態においては、バッグ254は硬質エンクロージャ内部にはない。ある構成では、バッグ254は、例えば近位方向、遠位方向、バイアル210から離れる半径方向、バイアル210に向かう半径方向、などのほぼすべての方向に実質的に自由に拡張する。
【0106】
いくつかの実施形態において、バッグ254は、例えば硬質エンクロージャに拘束されることなしに自由に拡張するように構成されている。バッグ254のそのような拘束されない拡張により、バッグ254の拡張に要する力を低減できる。例えば、バッグ254は硬質エンクロージャに接触しないので、バッグ254とそのエンクロージャとの間に摩擦力はない。そうでない場合にはバッグ254の拡張に必要な力が増加することになる。ある態様においては、バッグ254が拘束されないで拡張するので、バッグ254が拡張中に損傷を受ける可能性が減少する。例えば、バッグ254は硬質エンクロージャに接触しないので、拡張または収縮するときにバッグ254が(そのようなエンクロージャのバリや他の欠陥で突き刺されたり、引き裂かれたり、かぎ裂きにされたりするような)損傷を受けるリスクは少ない。さらに、バッグ254の非拘束の運動が、バッグ254上のコーティングが汚れたり剥がれ落ちたりする可能性も下げる。いくつかの実施形態において、バッグ254は拡張時にアダプタ200の硬質表面に対して、ぶつかったり、こすったり、すべったり、またはそのほかの静的又は動的な接触をすることはない。ある構成では、バッグ254は、結合部252と調節流体と外気にしか接触しない。
【0107】
ある実施形態では、バッグ254は第1の側258と第2の側259を含む。いくつかの例では、第1の側258は、第2の側259よりもコネクタインタフェース240に近い。いくつかの場合、第1の側258は結合部252に接合されているが、第2の側259はそうなっていない。ある構成では、第1の側258は第2の側259に接続されている。そのようないくつかの場合、第1の側258は第2の側259にそれぞれの側258、259の周辺端部で接続される。ある場合には、第2の側259はバッグ254の拡張時に硬質面には触れない。いくつかの構成において、周囲環境に晒されるバッグ254の実質的にすべてまたは大半の表面領域は可撓性を持っている。ある実施形態では、バッグ254のほぼ全体が可撓性を持っている。
【0108】
いくつかの実施形態では、側258、259のそれぞれが内表面と外表面とを含んでいる。
図6に示すように、側258、259のそれぞれの内表面は内部室255に接することが可能であり、側258、259のそれぞれの外表面は周囲環境に接することが可能である。
【0109】
ある例では、側258、259のそれぞれの内表面は、バッグ254の内側を向いている。本明細書で使用している「~を向く」という句、あるいはそれから派生する任意の句は、通常の意味で使用される広義の用語であり、例えばその部材が示す方向に一般的に何かを整列させるか、位置決めすることを記述する。例えば、もしも第1の部材が第2の部材の方向に向いているとすると、第1の部材は一般的に第2の部材の方向に整列しているか位置決めされている。側または面がある部材に向いている場合には、側または面は、その側または面の法線がその部材に交差するように整列または位置決めされている。ある構成では、第1の側258はコネクタインタフェース240に向いている。
【0110】
ある例では、側258、259のそれぞれの外表面は、バッグ254の外側を向いている。いくつかの場合には、第2の側259がコネクタインタフェース240の反対を向いている。そのような場合のいくつかでは、第2の側259の外表面から延びる法線は、コネクタインタフェース240とは交差しない。
【0111】
ある実施形態では、第2の側259は第1の側258の反対を向いている。本明細書における「反対」という用語またはその任意の派生語は、その通常の意味で使用される広義の用語であり、例えばある部材の他方の端部、側、または領域にある何かを記述する。例えば、四角形のそれぞれの側は、1つの他方の側の反対になっており、かつ2つの他方の側とは反対になっていない。いくつかの例では、第2の側259がコネクタインタフェース240から離れる方向を向いている。そのような例では、第2の側259の外表面から延びる法線は、コネクタインタフェース240とは交差しない。
【0112】
いくつかの実施形態において、バッグ254は第1の層と第2の層を含む。本明細書における「層」という用語またはその任意の派生語は、その通常の意味で使用される広義の用語であり、例えば材料の厚さ、重なり、または層構造を記述する。いくつかの実施形態では、層には材料の複数の成分、重なり、または層構造を含むことができる。いくつかの例では、第1の層は第1の側258であり、第2の層は第2の側259である。ある構成では、第1の層と第2の層は接続されている。例えば、第1の層の周縁は、第2の層の周縁に、接続されているか、一体形成されているか、一体構造になっていることができる。このような構成とすることで、例えばバッグ254をその周縁で実質的に気密にして、バッグ254を形成することが容易となる。いくつかの例では、第1の層は金属化PETの第1のシートであり、第2の層は金属化PETの第2のシートであって、第1の層と第2の層がその周縁で接合(例えば加熱シール)されている。ある実施形態では、第1の層と第2の層はそれぞれ中央部分を有する。例えば、第1の層と第2の層の周縁形状がそれぞれ実質的に円形であり、中央部分は第1の層と第2の層のそれぞれの半径方向の中心であり得る。ある例では、第1の層の中央部分は第2の層の中央部分に結合していない、すなわち接続されていない。こうしてこのようないくつかの例では、第1の部分と第2の部分は相互に相対移動可能である。
【0113】
いくつかの実施形態において、第1の層と第2の層の内の一方または両方が1つ以上の副層を含む。例えば、第1の層及び/又は第2の層はそれぞれがプラスチックの副層と金属の副層を含むことができる。ある実施形態では、第1の副層と第2の副層が共に接合されるインタフェース面を持っている。いくつかの場合、実質的にインタフェースの全領域が接合される。一般的に、副層同士の間は(例えば調節流体の)実質的な体積またはかなりの体積を収容するようには構成されていない。他方、いくつかの実施形態では、第1の層と第2の層は、両者の間に調節流体を収容するように構成されている。例えば、第1の層が第1の側258にあり、第2の層が第2の側259にあるような構成においては、調節流体は第1の層と第2の層の間に収容することができる(
図6参照)。
【0114】
様々な実施形態において、アダプタ200は、バッグ254を全体的または部分的に含む、硬質エンクロージャを含まない。例えば、硬質エンクロージャ内部のバッグの体積は(あるとしても)バッグ254の半分未満であるかバッグの非常にわずかな部分の体積(例えば、アダプタ上の穿刺部材内部の体積以下、あるいはコネクタキャップ内部の体積以下)である。いくつかの実施形態では、硬質エンクロージャ内部のバッグの体積は(あるとしても)1つのバイアルまたはそのアダプタが接続されるように構成された複数のバイアルの体積の半分以下である。硬質エンクロージャはアダプタ200の重量と全体材料とを増加させ、それによって材料コストと製造コストを増加させ得る。さらに、硬質エンクロージャはアダプタの軸中心からある距離離れて配置されるので、硬質エンクロージャを省略すれば、そのエンクロージャの重量によってかかる力のモーメントをなくすことができる。こうして、アダプタ200は安定性を向上させ、ひっくり返る可能性を低減できる。ひっくり返ることで液こぼれや他の意図しない露出及び/又は放出の可能性が増大するので、細胞毒性薬物を扱う場合、アダプタとバイアルの安定性は特に重要である。
【0115】
調節器アセンブリ250をアダプタ200の他の部分に接続し、アダプタ200をバイアル210に嵌め込むときに、アダプタ200のある実施形態は、アダプタ200の軸中心からあまりずれない位置に重心を持っている。例えば、アダプタ200のいくつかの実施形態の重心は、アダプタ200の軸中心から、約0.50インチ以下、約0.25インチ以下、約0.125インチ以下、または約0.063インチ以下だけ離れている。
【0116】
いくつかの例では、バッグ254はある範囲の体積を実質的に充填するように拡張可能であって、1つのアダプタ200を様々な寸法の複数のバイアル210で操作する構成とすることが可能である。いくつかの実施形態では、バッグ254は、アダプタ200とバイアル210を結合する前に、バイアル210内に含まれる流体体積の、少なくとも約30%、または少なくとも約70%、または少なくとも約90%に等しい体積を保持するように構成されている。いくつかの実施形態では、バッグ254は、アダプタ200とバイアル210を結合する前に、バイアル210内に含まれる流体体積の約70%に等しい体積を保持するように構成されている。様々な実施形態において、バッグ254内の流体はガスである。例えば、空気、殺菌された空気、清浄化された空気、窒素、酸素、不活性ガス(アルゴンなど)、またはその他のものである。いくつかの実施形態では、殺菌された空気は、バッグ内に外気を入れた後、バッグと空気を一緒に殺菌することで供給することができる。
【0117】
バッグ254は完全に拡張した配置(
図6)と少なくとも1つの、完全には拡張していない配置(
図5)を有する。ある例では、完全に拡張した配置において、バッグ254の内部室255の体積は最大推奨体積になる。ある例では、完全に拡張した配置で、バッグ254は、少なくとも約100ml、または少なくとも約200ml、または少なくとも約300mlの流体を含む。ある例では、完全に拡張した配置で、バッグ254は、少なくとも約250mlの流体を保持する。ある実施形態では、完全に拡張した配置で、バッグ254は、少なくとも約180mlの流体を含む。
【0118】
ある例では、完全には拡張していない配置で、バッグ254は、約5ml以下、約40ml以下、または約100ml以下、または少なくとも約250ml以下の流体を含む。ある例では、バッグ254が完全には拡張していない配置は、完全に収縮した配置であって、そこではバッグ254の内部室255の体積は、ほぼゼロである。そのような例のいくつかにおいて、完全に収縮した配置ではバッグ254は実質的に流体を含まない。
【0119】
バッグ254はさらに初期配置を持っている(例えば、バイアル210とバッグ254との間で調節流体が移送される前の配置)。一般的に、バッグ254は、初期配置においてある体積の流体を含んでいて、アダプタ200がバイアル210に接続されると、バイアル210からの流体を迅速かつ正確に引き出し易くする。ある実施形態では、初期配置で、バッグ254は、少なくとも約10ml、または少なくとも約50ml、または少なくとも約90mlの流体を含む。ある実施形態では、初期配置で、バッグ254は、少なくとも約60mlの流体を含む。いくつかの実施形態では、初期配置においてバッグ254は、アダプタを取り付けるように構成された標準的な1つまたは複数の医療デバイスの体積に概ね対応する体積の流体を含んでいる。例えばある例では初期配置において、バッグ254は少なくとも30mlの流体を保持し、これは30mlシリンジの体積に対応する。そのような例においては、アダプタ200をバイアル210に接続することで、バッグ254とバイアル210の間で約30mlの流体をすぐに移送可能となる。こうして約30mlの流体がバイアル210とシリンジの間ですぐに移送される。いくつかの実施形態では、バッグ254は、少なくともキャップ内容積に穿刺部材内容積を加えた容積にほぼ等しい初期体積、あるいはキャップ内容積に穿刺部材内容積を加えた容積の少なくともほぼ2倍の初期体積を有する。
【0120】
様々な構成において、バッグ254は外寸法(例えば直径又は断面幅または高さ)Dが、約1.0インチ~約6.0インチ、約2.0インチ~約5.0インチ、または約3.0インチ~約4.0インチである。いくつかの構成では、外寸法は、約3.0インチ以上、約4.0インチ以上、または約6.0インチ以上である。他の構成では、外径は、約8.0インチ以下、約7.5インチ以下、または約7.0インチ以下である。いくつかの実施形態では、バッグの外寸法は、アダプタを取り付けるように構成された1つまたは複数のバイアルの大体の高さまたは断面幅以上である。様々な構成において、バッグ254は最大全体厚さTが、約0.50インチ~約2.00インチ、かつ約0.60インチ~約0.90インチ、かつ約0.70インチ~約0.80インチである。他の構成では、最大全体厚さは、約1.00インチ未満、約0.90インチ未満、または約0.80インチ未満である。いくつかの構成では、最大全体厚さは、約0.75インチである。ある例では、バッグ254の直径はバッグ254の最大全体厚さよりも大きい。ある例では、バッグ254の直径は、バッグ254の最大全体厚さの2倍よりも大きい。いくつかの例では、バッグ254がバイアル210に荷重をかけないようにすることが望ましい。したがっていくつかの例では、バッグ254は、完全に拡張した状態においてもバッグ254がバイアル210から離間しているように構成される(例えばそのような寸法とされる)。
【0121】
いくつかの構成において、バッグ254は壁厚が、約0.001インチ~約0.025インチ、約0.001インチ~約0.010インチ、または約0.010インチ~約0.025インチである。他の構成では、壁厚は、約0.001インチ超、約0.005インチ超、約0.010インチ超、約0.015インチ超、または約0.020インチ超である。さらに他の構成では、壁厚は、約0.025インチ未満、約0.020インチ未満、または約0.015インチ未満、約0.010インチ未満、または約0.005インチ未満、である。いくつかの構成において、壁厚は約0.015インチである。いくつかの構成において、壁厚は実質的に一定である。いくつかの実施形態において、壁厚は可変である。例えばいくつかの構成において、壁厚は結合部252の周りのバッグ254領域で増加する。
【0122】
完全には拡張していない配置などのようないくつかの構成において、バッグ254は
図5に示すように実質的に不規則な形状をしている。他の構成では、バッグ254は、概ね球形、概ね円錐形、概ね円筒形、概ねトロイダル形、またはその他の形状を有している。例えばいくつかの実施形態においては、完全拡張配置においてバッグ254は概ね扁平回転楕円体の形状をしている。ある例では、バッグ254は実質的に球根状である。いくつかの構成において、バッグ254は凸形状である。いくつかの構成において、バッグ254は凹形状である。いくつかの構成において、バッグ254の形状は一般的に充填材256の形状に合致する。いくつかの構成において、バッグ254は完全に拡張していない配置では一般的に充填材256の形状に合致し、完全拡張配置では充填材256の形状から外れる。
【0123】
充填材256はバッグ254内で様々な体積を占有するように構成できる。例えばいくつかの構成において、充填材256はバッグ254の体積の約30%以上、約75%以上、または約90%以上の体積を占める。ある構成では、充填材256はバッグ254の第1の側258と第2の側259の間に空間を保持するように構成されている。ある構成では、充填材256は内部室255の体積がゼロにならないようにするようになっている。
【0124】
一般的に充填材256はバイアル210に調節流体、例えば殺菌された空気をすぐに供給できるように構成されている。これまでに説明したように、アダプタ200がバイアル210と医療デバイス(シリンジなどの)に係合していて、バイアル210中の流体の一部がアダプタ200を介してバイアル210から医療デバイス中へ移送される場合、バイアル210内の流体体積が減少することでバイアル210内の圧力低下を生じ、それによってバイアル210の内側と外側の間に圧力勾配が生じる。この圧力勾配のために、隔壁216と穿刺部材220の界面で、あるいはアダプタ200と医療デバイスの取付け界面で、周囲の空気(これは微生物や不純物や他の汚染物を含み得る)のバイアル210中への漏洩が発生し得る。さらに、そのような圧力勾配は復元力を生じて、バイアル210から正確な量の流体を引き出すことの妨げとなる可能性がある。ただし、充填材256は、アダプタ200に調節流体をすぐに供給して移送された流体体積の一部またはすべてを置き換え、一般的にバイアル210内の平衡を保つことが可能である。これにより前述の課題が軽減または防止される。
【0125】
ある構成においては、抽出流路245を介してバイアル210から流体が取り出されると、充填材256から対応する量の調節流体を、バッグ開口257、結合部252の通路253、調節器流路225を通ってバイアル210中に実質的に同時に導入することが可能である。これによって平衡が維持される。いくつかの構成において、調節器アセンブリ250がアダプタ200の残りの部分に接続される以前に、充填材256にはすぐに供給するための調節流体が含まれている。いくつかの態様において、充填材256はアダプタ200に調節流体の貯蔵器を提供する。ある構成では、充填材256はバッグ254の第1の側258と第2の側259のかなりの部分が互いに接触しないように構成されている。
【0126】
いくつかの構成において、充填材256はバッグ254と同様の形状を持っている。例えばいくつかの場合、完全な拡張配置においてバッグ254と充填材256はそれぞれ一般的に扁平楕円体の形状をしている。他の構成では、充填材256はバッグ254とは異なる形状をしている。例えばある例では、完全に拡張した状態でバッグ254は実質的に球形をしており、充填材256は実質的に円筒形をしている。そのようないくつかの例では、円筒形をした充填材256の長手軸は、アダプタ200の軸中心線にほぼ平行である。そのような他の例では、円筒形をした充填材256の長手軸は、アダプタ200の軸中心線に直交している。
【0127】
ある実施形態では、充填材256はバッグ254が収縮するとバッグ254によって変形するようになっている。例えばいくつかの例では、バッグ254が収縮すると、充填材256は少なくとも約30%、少なくとも約50%、または少なくとも約90%だけ体積が減少する。ある例では、バッグ254が完全に拡張した配置では、充填材256は第1の形状(例えば回転楕円体)であり、バッグ254が完全に収縮した配置では、充填材256は第2の形状(例えば円盤状)である。
【0128】
そのようないくつかの実施形態では、充填材256は押しつぶし可能または圧縮可能であり、その後実質的に元の形状に戻るように構成されている。例えば、バッグ254が完全に収縮した配置から萎むと、バッグ254は実質的に充填材256を押しつぶす。ただし、その後のバッグ254の拡張時に、充填材256はほぼ元の形状に戻る。他の実施形態では、充填材256は押しつぶされると永久変形するように構成されている。例えばいくつかの場合において、充填材256は薄い壁を持った中空部材(例えばアルミニウム薄膜のボール)から成り、これはバッグ254の収縮時に、永久的または不可逆的に変形して押しつぶされるか、あるいは他の形で体積を減少させるように構成されている。これは、そのアダプタ200が既に使用済みであることの標識となる。いくつかの実施形態において、充填材256は、バッグ254が収縮するときに実質的にその形状を維持する。
【0129】
ある構成において、充填材256は殺菌された空気などのある容積のガスを含むようになっている。ある場合には、充填材256は多孔質である。いくつかの例では、充填材256はスポンジまたはスポンジ状の材料である。ある構成では、充填材256は綿の詰め物を含んでいる。ある構成では、充填材256は、その中に網目構造の室または空間を提供するように構成された、規則的又はランダムに配置された繊維のマットを備えている。いくつかの実施形態では、充填材256は低密度の発泡体で作られている。例えばある実施形態では、充填材256はポリウレタンエーテル発泡体から作られ、その重量は例えば約1.05ポンド/立方フィートで、押し込み荷重変位(ILD)は例えば約38である。いくつかの実施形態において、充填材256は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエチレン、またはエーテル様エステル(ELE)から作られる。いくつかの場合には、充填材256は、ナイロン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、または他のプラスチックから作られる。ある実施形態では、充填材256は金属、例えばアルミニウムまたはステンレススチールである。ある実施形態では、充填材256は抗菌化合物または他の化合物で処理して無菌性を高めている。ある場合には、充填材256は、例えば殺菌された空気を含む密閉された室を備えている。これは流体がバイアル210から引き出されるときに開放されるようになっている。いくつかの実施形態では、充填材256は、バッグに入ってくる流体(蒸気など)に対して、結合し、吸収し、一般的に中和し、またはその他の形で化学的及び/又は機械的に相互作用するように構成されることも可能である。
【0130】
様々な構成において、大気圧における充填材256は外寸法(例えば直径又は断面幅または高さ)が、約1.0インチ~約6.0インチ、約2.0インチ~約5.0インチ、または約3.0インチ~約4.0インチである。いくつかの構成では、大気圧における充填材256の外寸法は、約3.0インチ以上、約4.0インチ以上、または約6.0インチ以上である。ある実施形態では、大気圧における充填材256の直径は約4.00インチであり、別の構成では大気圧における外径が、約8.0インチ以下、約7.5インチ以下、または約7.0インチ以下である。様々な配置では、充填材256は大気圧において、最大全体厚さが約0.05インチ~約0.99インチ、約0.20インチ~約0.60インチ、及び約0.25インチ~約0.35インチであり、ある実施形態では、充填材256の厚さは大気圧において約0.30インチである。いくつかの構成において、大気圧における充填材256の最大全体厚さは、約1.00インチである。いくつかの実施形態において、充填材256の直径と厚さは大気圧においてバッグ254の直径Dと厚さTとほぼ同じである。
【0131】
図5及び
図6を引き続き参照すると、アダプタ200を使用するあるプロセスには、キャップコネクタ230がしっかり固定される所まで穿刺部材220を隔壁216を介して挿入するステップが含まれる。したがって、アダプタ200とバイアル210の結合は単純な1つのステップで実行される。ある例では、医療コネクタ241が医療用コネクタインタフェース240に連結される。医療デバイスまたはシリンジなどの他の器具(図示せず)は、インタフェース240または、医療用コネクタ241(
図4参照)がある場合には医療コネクタに連結することができる。便宜上、これ以降は医療用コネクタインタフェース240への取り付けに好適な医療デバイスの例としてシリンジについてのみ参照するが、数多くの医療デバイスや他の器具をアダプタ200または医療用コネクタ241に接続して使用することが可能である。いくつかの例では、シリンジはバイアル210と流体連通して配置される。いくつかの例では、バイアル210、アダプタ200、シリンジ、およびもしあれば医療用コネクタ241が逆さにされて、キャップ214が下側(例えば床の方向)を指すようにする。上記の手順またはその組み合わせは、いずれも任意の可能な順序で遂行することが可能である。
【0132】
いくつかの例では、ある量の流体がバイアル210からシリンジ内へ引き出される。前述したように、バイアル210内の圧力は、流体が引き出されるにつれて低下する。したがっていくつかの例では、バッグ254にある充填材256内の調節流体が調節器流路225を介してバイアル210内へ流入する。いくつかの例では、調節流体はフィルタ260を通過する。いくつかの例では、調節流体が充填材256から移送されるとバッグ254が収縮する。いくつかの構成では、調節流体が充填材256及び/又はバッグ254内の他の所からバイアル210中へ移送されると、一般的にバイアル210内の平衡が維持される。いくつかの場合には、充填材256からバイアル210中へ移送される調節流体の量は、バイアル210からシリンジ中へ引き出される流体の量にほぼ等しい。
【0133】
ある例では、ある量の流体がシリンジからバイアル210中へ導入される。例えばある場合には、凍結乾燥した薬品を戻すため、または薬品調合の目的で、ある量の流体がバイアル210中に導入される。別の例としていくつかの場合には、所望量よりも多い流体が不注意によってバイアル210からシリンジで引き出されることがある。前述したように、流体がバイアル210中に導入されるにつれて、バイアル210内の圧力は上昇する。したがって、いくつかの例では、バイアル210内の調節流体は、
図6に示すように調節器流路225を経由してバッグ254内に流入する。いくつかの例では、調節流体はフィルタ260を通過する。いくつかの例では、調節流体がバイアル210から移送されるとバッグ254が拡張する。そのような例のあるものでは、バッグ254が拡張すると、バッグは外側に向かって展伸し、広げられ、あるいは巻き戻される。ある実施形態では、バッグ254は可撓性が高く、実質的に復元力(例えば、バッグ254の拡張または収縮に対抗する力)の発生を回避できる。いくつかの実施形態では、バッグ254は復元力を働かせる。いくつかの構成では、調節流体がバイアル210からバッグ254内に移送されると、バイアル210内の平衡が維持される。いくつかの場合には、バイアル210からバッグ254中へ移送される調節流体の量は、シリンジからバイアル210中へ導入される流体の量にほぼ等しい。
【0134】
こうしてある実施形態では、バイアル210内の圧力を維持するために、アダプタ200がバイアル210からの流体の引き出し、またはバイアル210への流体の追加を収容する。様々な例では、バイアル210内の圧力変化は、約1psi以下、約2psi以下、約3psi以下、約4psi以下、または約5psi以下である。
【0135】
いくつかの実施形態では、ガス及び/又は蒸気を含むプロセスには、穿刺部材220、キャップコネクタ230、およびコネクタインタフェース240を提供するステップが含まれる。一般的に、このプロセスにはバイアル210の隔壁を穿刺部材220で刺すステップも含まれる。穿刺部材220は、バイアル210内の医療流体へのアクセスを提供することができる。ある実施形態では、このプロセスには、調節器アセンブリ250をキャップコネクタ230またはコネクタインタフェース240に結合し、それによって調節器アセンブリ250とバイアル210が流体的に接続するステップが含まれる。いくつかの実施形態では、このプロセスには、バイアル210中に導入された流体により移動させられたガス及び/又は蒸気を貯蔵するステップも含まれる。ある実施形態では、ガス及び/又は蒸気のすべて又は一部が調節器アセンブリ250内に貯蔵される。こうして、ガス及び/又は蒸気-これは甚大な健康被害をもたらす可能性がある-は、隔離され、通常周囲環境から分離して保持される。いくつかの実施形態では、このプロセスには調節器アセンブリ250を分離するステップを含むことができる。
【0136】
上で述べた実施形態及びプロセスから明らかなように、アダプタ200により、ユーザはバイアル210内の圧力を大きく変化させることなしに、バイアル210中へ液体を導入し(不要の液体及び/又は空気を戻すことも含む)、またバイアル210から液体を引きだすことが可能となる。既に述べたように、バイアル中に液体を注入できることは、凍結乾燥された薬品の再生に特に望ましい場合がある。また、前述したように、気泡及び過剰流体をバイアル210中へ注入できることは、腫瘍薬の場合には特に望ましいことがある。
【0137】
さらに、上記の議論では、アダプタ200のある実施形態では、外気または周辺空気をバイアル210中へ導入することなしに、バイアル210内の圧力を調節できるように構成可能であることを示している。例えばいくつかの実施形態において、バッグ254は実質的に不透過性の材料で構成され、これはバイアル210の内側と周囲環境との間に通路ではなく、バリアとして作用する。アダプタ200のいくつかの実施形態は、空中に浮遊する汚染物が患者の血流中に導入されるリスクを大幅に低減する。
【0138】
前に述べたようにいくつかの例において、液体をバイアル210から取出す場合には、バイアル210は、キャップ214が下を向くように配向される。ある実施形態では、アクセス開口246はキャップ214の底面に隣接して配置され、これにより、バイアル210内の液体のほとんどまたは実質的にすべてを取出すことが可能となる。他の実施形態では、アクセス開口246は穿刺部材220の遠位端223近くに配置される。いくつかの構成では、アダプタ200には2つ以上のアクセス開口246があって、バイアル210内の実質的にすべての液体の取出しを促進する。
【0139】
図7~
図12はアダプタ300の別の実施形態を示す。アダプタ300は、多くの点において前記のアダプタ200と類似しているか、または同一である。したがって、アダプタ200の特徴を識別するのに用いた番号を100だけ増やして、アダプタ300の同様の特徴を識別する。この番号付け方式は残りの図に対しても一般的に適用される。本明細書の任意の実施形態で開示される部品またはステップはすべて、他の実施形態で使用することが可能である。
【0140】
ある実施形態では、アダプタ300は、穿刺部材320、キャップコネクタ330、コネクタインタフェース340、および調節器アセンブリ350を備えている。穿刺部材320、キャップコネクタ330、及びコネクタインタフェース340のいくつかの実施形態に関する更なる詳細と例は、米国特許出願第2009/0216212号明細書に提示されており、そのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用して、本明細書の一部とする。わかりやすくするためにバイアル210は図示されていない。アダプタ300は、アダプタ200と同様にしてバイアル210に嵌め込むことができる。例えば、アダプタ300がバイアル210と結合しているとき、穿刺部材320は隔壁216を介してバイアル210の内側に延伸している。
【0141】
いくつかの実施形態においては例示した実施形態のように、キャップコネクタ330が本体部分380を備え、この本体部分には中央部分381(湾曲していてもよい)と、中央部分381に取り付けられた一つ又は複数のタブ382(向い合っていてもよい)がある。各タブ382は、タブ382の近位端で本体部分380の中央部分381によって支持することができる。図に示すように、タブ382の遠位端はそれぞれ非拘束とすることができ、タブが外側に偏向できるようにしている。
【0142】
中央部分381とタブ382を含む本体部分380は、バイアルアダプタ300をバイアル210の外面に取り外し自在に固定する助けとなり、またバイアルアダプタ300のバイアル210からの取り外しが容易となるように支援可能である。いくつかの実施形態において、本体部分380は、一対の対向するタブ382とは違って、1つだけのタブ382を画定する。この単一のタブはバイアルアダプタ300をバイアル210の外面に取り外し自在に固定し、またバイアルアダプタ300のバイアル210からの取り外しを容易とするように構成されている。単一タブ382は、本明細書で説明されるものを含む、任意の好適な構成であってよい。
【0143】
図7Aに示す構成のようなある構成では、穿刺部材320は本体部分380によって支えられる。図に示すように、穿刺部材320は本体部分380の中央部分381から遠位方向に突き出てもよい。穿刺部材320はアクセス流路345と調節器流路325を備えることができる。いくつかの実施形態では、調節器流路325は遠位調節器開口328aを起点とし、穿刺部材320をほぼ貫通し、コネクタインタフェース340から半径方向外向きに延在するルーメン326を貫通して、近位調節器開口328で終端する(
図8)。ある例では、ルーメン326はコネクタインタフェース340から1つの方向にのみ延在している。ある例では、ルーメン326はコネクタインタフェース340から半径方向外向きに、複数の方向、例えば対向する2つの方向に延在している。
【0144】
ある実施形態では、ルーメン326は、壁、キャップ、栓、ダム、コルク、パーテーション、などのバリア383を含んでいる。他の構成においては、バリア383はそれを横断して流体が流れることができるように構成されている。例えばいくつかの場合、バリア383は、疎水性フィルタまたは活性炭フィルタのようなフィルタである。ある構成では、バリアはそれを横断する流体流が抑制または阻止されるようになっている。例えばいくつかの場合、バリアは連続した壁である。そのような構成のいくつかでは、バリア383は調節流体のアダプタ300からの流出をブロックする。
【0145】
図7Bに示すように、キャップコネクタ330は、穿刺部材320と本体部分380との界面または界面付近に一つ又は複数のリセス397を含むことができる。いくつかの実施形態では、一つ又は複数のリセス397は概ね環状の領域399を備えることができる。いくつかの実施形態では、一つ又は複数のリセス397は本体部分380に直接形成されている。リセス397は、キャップコネクタ全体に亘り概して薄い壁の生成を支援して、一つ又は複数の大きく、過度に厚いモールド領域をなくす。そしてキャップコネクタ330の壁厚の低減又は制限を可能とする。いくつかの実施形態では、リセスは、リセス部分を横断して構造的な支持を与える筋交いのような、一つ又は複数の構造強化部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の構造強化部材は、構造体とは別に製造してそこに挿入することができる。いくつかの実施形態では、キャップコネクタ330を概して薄い壁とすることは、キャップコネクタ330の成形サイクルタイムが過度に長くなることを防いで成形プロセスの助けとなり、資源の及び製造経費の節約を可能とする。いくつかの実施形態では、キャップコネクタ330を一般的に薄い壁とすることで、キャップコネクタ330の成形及び製造時における、キャップコネクタ330内のヒケ及び/又はボイドの発生を抑制できる。
【0146】
調節器アセンブリ350は、結合部352、固着部材384、及びバッグ354を含むことができる。いくつかの例において、バッグは、前述した充填材254などのような、充填材(図示せず)を含んでいる。バッグ354は、バッグ開口357を含むことができる。これは直線状のスリットとして図示されているが、バッグの中ではほとんど任意の開口の形態をとることができる。ある構成では、バッグ354は、周縁の周りを連結(例えば、加熱シール)された複数の材料シートから作製されている。
図8に示されているようないくつかのそのような構成において、密封作業により、バッグ354上に周縁隆起部354aが形成される。場合によっては、バッグ354は、細い頸部を有するバルーン(カンザス州ウィチタのPioneer Balloon Company社による「4 Inch Round」バルーンなど)から作製され、頸部を取り外してバッグ354を周縁の周りに加熱シールして、その中に(バッグ開口357を別として)ある体積を封入する。いくつかの例では、頸部を取り外すと、
図7に示すように、扁平で、部分切断された、または他の非対称部分を持ったバッグ359が形成される。
【0147】
ある実施形態では、固着部材384は、結合部352をバッグ354に連結する。例えばある例では、固着部材384は、両面接着剤、例えば、結合部352に面する接着面とバッグ354に面する接着面とを有する部材、を含んでいる。例示した実施形態では、固着部材384は、第1接着面384aおよび第2接着面384bを備えている。図に示すように、固着部材384は開口部384cを含むことができる。いくつかの実施形態では、固着部材384は、厚さが約0.015インチである。いくつかの実施形態では、固着部材384は、厚さが少なくとも0.01インチ、及び/又は0.03インチ以下である。
【0148】
ある実施形態では、固着部材384は可撓性材料でできていて、これは例えば固着部材384と結合部352、及び固着部材384とバッグ354の間の結合に弾性を与えることができる。そのような弾性は結合部352がバッグ350に対してわずかに動くことを許容する。同様に、そのような弾性は、調節器アセンブリ350をアダプタ300の他の部分に接続するプロセスなどのような、調節器アセンブリ350の操作時に、バッグ354が裂けたり、破れたり、その他の損傷を受けたりする可能性を低減することができる。ある構成では、固着部材384は、発泡体(例えばウレタン、ポリエチレン、その他)、非硬質プラスチック、ゴム、紙、または布(例えば綿)材料である。ある態様では、固着部材384は両面発泡体テープでできている。
【0149】
ある例では、結合部352は基部385とカバー386を含み、そのカバーは外面386a(
図8)を含むことができる。いくつかの実施形態では、固着部材384は外面386aに接着または他の形で連結されるようになっている。いくつかの実施形態では、固着部材384はバッグ354に接着または他の形で連結されるようになっている。固着部材384と外面386aの接続、並びに固着部材384とバッグ354との接続は実質的に流体密(例えば気密)であり、結合部352とバッグ354の間を通過する流体は漏出が抑制される。いくつかの実施形態では、固着部材384と結合部352、および固着部材384とバッグ354との接続は実質的に永久的であり、これらの部品では連結後の分離は考慮されていない。いくつかの実施形態では、固着部材384と結合部352、および固着部材384とバッグ354との接続は一時的であり取り外し自在となっている。
【0150】
図8に示すように、フィルタ360は、基部385とカバー386の間に収納することができる。カバー386は基部385によって実質的に密封状に収納することが可能であり、フィルタ360を介して流れることが許されるすべての流体はカバー386内に形成された開口387を通って流れる。基部385とカバー386は、プラスチックや金属のような任意の好適な材料から形成することが可能である。いくつかの実施形態では、結合部352の周縁は、正方形、三角形、多角形や、他の好適または所望の形状などの、非円形形状を画定する。
【0151】
カバー386は、接着剤、超音波溶接、あるいは他の任意の類似または好適な手段を用いて、基部385に圧入するか他の方法で取り付けることができる。例えば
図12に示すように、カバー386は、一つ又は複数の超音波溶接部388で基部385に取り付けることができる。カバー385と基部386は一緒に連結して、カバー385の環状突起389が基部385の環状突起390に隣接するようにすることができる。突起390は、組立てた構成ではカバー386上に形成された突起389と重複可能な、段差付きまたは延長したリップ部390aを有することが可能である。基部385とカバー386は、金属やプラスチックのような様々な材料から作ることが可能である。いくつかの場合には、基部385とカバー386はポリカーボネートプラスチックで作られている。
【0152】
いくつかの実施形態では、フィルタ360の断面積は調節器の近位開口328の断面積よりも実質的に大きい。そのような構成とすることで、調節器流体がフィルタ360を貫通して流れる速度を大きくすることが可能である。それにより、バイアル210からの流体の導入または引き出しを補償する充分な調節流体が提供される。前述したように、十分な調節流体を提供することで、バイアルの内側と外側の間での圧力勾配(例えば真空)を抑制または回避可能であり、シリンジのプランジャに作用する復元力を低減または排除することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ360の断面積は調節器の近位開口328の断面積よりも少なくとも約5倍大きい。いくつかの実施形態では、フィルタ360の断面積は、調節器の近位開口328の断面積よりも約2倍から約9倍大きいか、あるいはその範囲内の任意の値の幅にある。同様に、いくつかの実施形態では、フィルタ360の断面積は調節器の遠位開口328aの断面積よりも約400倍大きい場合もある。いくつかの実施形態では、フィルタ360の断面積は、調節器の遠位開口328aの断面積よりも、約100倍~約250倍、約250倍~約400倍、または約400倍~約550倍大きいか、あるいはこの範囲内の任意の値の幅にあってもよい。
【0153】
フィルタ360は、バイアルアダプタ300内に流れ込む流体からの汚れや他の破片、微生物、ウイルス、バクテリア、および/または他の形態の汚染物などの、粒子物質を除去または低減するように構成可能である。フィルタ360は任意の好適なフィルタ材料から作製されてよい。いくつかの実施形態では、フィルタ360は疎水性であってよく、平均ポア寸法が約0.1μm、または約0.1μm~約0.5μmであってよい。
【0154】
図9に示すように、ある構成では結合部352を調節器の近位開口328で受けることが可能である。いくつかの実施形態では、基部385から延伸する突起385a(例えばボス)は、近位の調節器開口328の中、または外周の周りに、実質的に密封して受けられるようになっている。突起385aは、一般的に調節器経路を画定することができる。いくつかの実施形態では、突起385aは近位の調節器開口328内へ圧入され、突起385aと近位の調節器開口328との間に一般的に密封された接続を形成する。いくつかの実施形態では、接着剤、溶接、または他の材料または特徴を利用して、突起385aと近位調節器開口328との間の接続を行う。いくつかの例では、突起385aと近位調節器開口328とは溶媒で接合される。突起385aは十分な壁厚と直径を持つような寸法と構成にして、使用時に結合部352との故意ではない接触によって、突起385aが不注意に壊れることのないようになっている。いくつかの実施形態では、突起385aが近位調節器開口328に接続されると、調節器経路は調節器流路425と流体連通することができる。
【0155】
開口387aが突起385aを貫通して形成可能であり、基部385とカバー386の間を流れる流体は、フィルタ360で濾過されてから開口387または387aから流出する。突起385aを貫通して形成された開口387a並びにカバー386内に形成された開口387の寸法は、確実に十分な量の流体がフィルタ360を通って流れるように設計することができる。近位調節器開口328の直径は、突起385aの任意の所望または好適な外径を受け入れるように調整可能である。
【0156】
図10、11、12を参照すると、カバー386には、一つ又は複数の開口391aが貫通している第1の内側環状突起391と、一つ又は複数の開口392aが貫通している第2の内側環状突起392と、外側環状突起389とが含まれてよい。いくつかの実施形態において、カバー386を基部385とフィルタ360と共に組立てると、環状突起389、391、392と開口391a、392aが、カバー386の内表面とフィルタ360面との間にある体積の空間393を形成し、そこへ調節流体がフィルタ360を通過する前または後に流入して循環することができる。同様に基部385が、一つ又は複数の開口394aが貫通している第1の内側環状突起394と、一つ又は複数の開口395aが貫通している第2の内側環状突起395と、外側環状突起390とを持っていてもよい。いくつかの実施形態において、基部385をカバー386とフィルタ360と共に組立てると、環状突起390、394、395と開口394a、395aが、基部386の内表面とフィルタ360面との間にある体積の空間396を形成し、そこへ調節流体がフィルタ360を通過する前または後に流入して循環することができる。いくつかの構成において、調節流体はフィルタ360の実質的に全表面積にアクセスすることができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、調節流体はカバー386に形成された開口387を通ってカバー386とフィルタ360の間に画定された空間393の中へ流入し、フィルタ360を通ってフィルタ360と基部385の間に画定された空間377の中へ流入し、基部385に形成された開口385bを通り、近位調節器開口328を通ってバイアルアダプタ300内に形成された調節器流路325の中へ流入することができる。同じように、いくつかの実施形態では、調節流体はバイアルアダプタ300内に形成された調節器流路325を通り、近位調節器開口328を通り、基部385に形成された開口385bを通ってフィルタ360と基部385の間に画定された空間395の中へ流入し、フィルタ360を通ってカバー386とフィルタ360の間に画定された空間393の中へ流入し、そしてカバー386に形成された開口387を通って流れることができる。いくつかの例では、開口387は外気と流体連通している。
【0158】
いくつかの例では、環状突起390、394、395は、基部385とカバー386に対してフィルタ360の形状と位置を維持するように構成されている。例えば、環状突起390は、フィルタ360を基部385とカバー386内でほぼ半径方向の中心に保持するように構成されていてもよく、これは流体がフィルタ360を(貫通してではなく)迂回して通過する可能性を低減することができる。いくつかの構成において、環状突起394、395は、調節流体がフィルタ360を通過するときにフィルタ360が凹型形状になることを実質的に抑制するように構成されており、これにより、フィルタ360が裂けたりその他の損傷を受けたりする可能性を低減できる。
【0159】
図10Aは基部385’とカバー386’の一実施形態を示す。部品に対する参照番号は、プライム記号が付けられている以外は、これまでに述べたものと同一である。このような参照符号が現れた場合、他の記述がない限り、その部品は前に述べたものと同一または実質的に同じであると理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では基部385’は開口385b’を有する。開口385b’は、カバー386’の開口387’よりも広くてもよい。いくつかの実施形態では、広い開口385b’は、調節器流路382からフィルタ360と基部385’の間の空間377への流速の増加を可能とし得る。いくつかの実施形態では、開口385b’は、カバー386’内の開口387’よりも小さい。
【0160】
いくつかの実施形態では、基部385’は複数の内側環状突起を含んでいる。例えば基部385’は第1の内側環状突起394’を含むことができる。第1の内側環状突起394’は、開口391’からほぼ等距離に、第1の環状突起394’の周りに円周上に分布された一つ又は複数の開口394a’を持つことができる。基部385’は第2の内側環状突起395’を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の内側環状突起395’は、開口391a’からほぼ等距離に、第2の内側環状突起395’の周りに円周上に分布された一つ又は複数の開口395a’を持つことができる。基部385’は一つ又は複数の追加の内側環状突起を含むことができる。いくつかの実施形態では、基部385’は6つの内側環状突起を含んでいる。いくつかの実施形態では、基部385’は7つ以上または5つ以下の内側環状突起を含んでいる。一つ又は複数の追加の内側環状突起には一つ又は複数の開口があってよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、カバー386’は複数の内側環状突起を含んでいる。例えばカバー386’は第1の内側環状突起391’を含むことができる。第1の内側環状突起391’は、開口391a’からほぼ等距離に、第1の環状突起391’の周りに円周上に分布された一つ又は複数の開口391a’を持つことができる。カバー386’は第2の内側環状突起392’を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の内側環状突起392’は、開口391a’からほぼ等距離に、第2の内側環状突起392’の周りに円周上に分布された一つ又は複数の開口392a’を含んでいる。カバー386’は一つ又は複数の追加の内側環状突起を含むことができる。いくつかの実施形態では、カバー386’は6つの内側環状突起を含んでいる。いくつかの実施形態では、カバー386’は7つ以上または5つ以下の内側環状突起を含んでいる。一つ又は複数の追加の内側環状突起には一つ又は複数の開口があってよい。
【0162】
突起391’、392’、394’、395’及びカバー286’と基部385’上の任意の追加の内側環状突起は、隣接する内側環状突起の開口が周方向に相互にずれて、非直接的な曲がりくねった流路を形成するように円周形に配置された開口(例えば391a’、392a’、394a’、395a’)を持っていてもよい。例えば開口392a’は開口391a’からは円周方向にずれていてもよい。いくつかの構成では、フィルタ360を開口391a’、392a’に畳み込むことは禁止されていてもよい。また、流れの経路は、直接的な半径方向流を回避して、周方向または横方向にフィルタのかなりの部分を経由して通過するようにさせられていてもよい。突起の配置、方向、及び/又は形状に関するこの説明において、本出願の他のすべての記述と同様に、「円周上の」、または「半径の」、またはそれに類似したような、円形構造に適用される用語は、非円形構造にも同じように適用されるものと解釈されるべきである。
【0163】
いくつかの実施形態では、カバー386’と基部385’上の、突起391’、392’、394’、395’及び任意の追加の内側環状突起は、一般的に丸められ、面取りされ、及び/又は隅肉を付けられた端部を持つことができる。そのような実施形態のいくつかでは、突起391’、392’、394’、395’及び/又は任意の追加の内側環状突起の1つまたは複数またはすべては、フィルタ360を傷つける可能性を下げるため、また成形プロセスを支援するために、鋭利な角を持っていない。
【0164】
ある実施形態では、アダプタ300はモジュール方式で構成されている。そのような構成では、例えば製造性がよくなり、アダプタ300の一つ又は複数の部品を標準化することでユーザの利便性が向上する。例えばいくつかの例では、穿刺部材320、キャップコネクタ330、コネクタインタフェース340、および結合部352の構成は、医療装置とバイアル210の間を移送される流体の量に拘わらず実質的に不変である。そのように標準化することで、アダプタ300の機能を維持しつつ、購入、貯蔵、在庫管理しなければならない、個別部品の点数を減らすことができる。
【0165】
いくつかのモジュール方式の実施形態において、アダプタ300は、第1の部分(例えば穿刺部材320、キャップコネクタ330、コネクタインタフェース340、及び結合部352-
図9に示すような)と、第2の部分(例えばバッグ354)とを含む。ある実施形態においては、第1の構成では第1の部分は第2の部分から分離されて離間しており、第2の構成では第1の部分は第2の部分に接続されている。いくつかの実施形態では、共通的な構成であるアダプタ300の残りの部分に組み合わされるバッグ354は様々な構成(例えば寸法)が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、アダプタ300の残りの共通構成には、20ml、40ml、及び60ml構成のバッグ354がそれぞれ接続可能である。ある実施形態では、バッグ354の構成は、アダプタ300のそれ以外の部分をそのままにして選択可能である。いくつかの場合、バッグ354の構成は、医療デバイス(例えばシリンジ)とバイアル210の間で移送される流体の体積に基づいて選択される。例えば、約25mlの流体を医療デバイスからバイアル210に移送しようとする場合、約25ml以上の流体を収容可能なバッグ354の構成を選択して、アダプタ300の残りの部分に接続することが可能である。ただし、異なる体積の流体を医療デバイスからバイアル210に移送すべきであると判定される場合には、アダプタ300の残りの部分の変更を必要としないで、バッグ354の選択を変更することができる。
【0166】
あるモジュール方式の実施形態では、バッグ354に接続することなしに、濾過または他の方法で清浄化された調節流体をすぐに供給することが可能である。例えばいくつかの実施形態では、結合部352のカバー386の開口387は外気と流体連通しており、それにより、穿刺部材320がバイアル210内に配設されて、流体がアクセス流路345を介して引き出されると、濾過された空気が結合部352及び調節器流路325を通ってバイアル210中に供給される。ある例では、アダプタ300はバッグ354及び/又は固着部材384を含んでいない。いくつかの実施形態では、ルーメン326が、濾過または他の方法で清浄化された調節流体源に接続するように構成されている。例えば、ルーメン326は殺菌された空気のタンクに流体連通するチューブに接続するように構成することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ300の製造工程には、第1のアセンブリ内に穿刺部材320と、キャップコネクタ330と、コネクタインタフェース340を形成するステップが含まれる。例えばある実施形態では、穿刺部材320とキャップコネクタ330とコネクタインタフェース340は、同一作業(例えば成形、機械加工、その他)によって製造される。このプロセスには、結合部352の形成を含むこともできる。例えばいくつかの構成において、基部385とカバー386は、前述したように間にフィルタ360を挟んで組み立てられる。ある実施形態では、このプロセスには、
図9に示すように、結合部352をルーメン326に結合するステップも含まれる。さらにプロセスには固着部材384をカバー386の外面386aに連結するステップも含むことができる。いくつかの例では、固着部材384はバッグ354に連結される。
図7に示すように、ルーメン326と、基部の開口387aと、カバー386の開口387と、バッグ開口357を整列させ、それにより調節流体がバイアル210とバッグ354の間を流れるようにすることができる。
【0168】
いくつかの例では、バイアルアダプタ300の製造プロセスは、例えば別のサブアセンブリでアダプタ300の製造を可能とすることができ、これが生産性に寄与できる。例えば、第1のサブアセンブリが、穿刺部材320とキャップコネクタ330とコネクタインタフェース340とを含むことができ、第2のサブアセンブリが、結合部352(基部385とカバー386とフィルタ360とを含む)を含むことができ、第3のサブアセンブリがバッグ354と固着部材384とを含むことができる。勿論、他のサブアセンブリも考えられる。例えば、第2のサブアセンブリは結合部352と固着部材384とを含むことが可能である。いくつかの場合には、一つ又は複数のサブアセンブリがユーザ(例えば医療従事者)に別々に供給される。
【0169】
図13はアダプタ800の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。アダプタは、シール864と釣合い錘831とキー付き結合部852とを有する調節器アセンブリ850を備えている。本明細書で使用する「キー付き結合部」は、広義の本来の意味で使用され、1つ以上の方向で別の結合部と合致するように構成された形状を有する結合部を含む。さらに、例示したアダプタ800の実施形態は、充填材を含んでいない。いくつかのそのような実施形態では、アダプタ800がバッグ854を含み、このバッグは十分な剛性を持っていて、バッグ854が完全に収縮する(例えば体積がほぼゼロとなる)ことを実質的に抑制する。
【0170】
いくつかの実施形態では、シール864は、調節流体が意図しないで調節器アセンブリ850の外へ移送されること、及び/又は外気が意図しないで調節器アセンブリ850の内部に移送されることを抑制または阻止するように構成されている。例えば例示した実施形態では、調節器アセンブリ850をアダプタ800の残りの部分に接続する以前は、一般的にシール864が、調節器アセンブリ850内に含まれる調節流体の初期体積(これは大気圧より高い場合がある)が周囲環境中へ漏れることを阻止する。さらに、一般的にシール864は、微生物や不純物を含む可能性のある外気が調節器アセンブリ850に侵入することを阻止できる。
【0171】
例示した実施形態では、シール864はスリット865付きの膜を備えている。ある例では、調節器アセンブリ850がアダプタ800に接続され、流体がアクセス流路845を経由して導入若しくは引き出されるような場合に、バイアル210とバッグ854の間の圧力差によりスリット865が開放され、それによって、調節器アセンブリ850とバイアル210との間を調節流体が流れることが可能となる。シール864は様々な他の種類や構成が考えられる。例えばいくつかの実施形態では、シール864はダックビル型弁である。別の例としていくつかの実施形態において、シール864は実質的に連続な(例えばスリットのない)膜を備え、特定の圧力差(例えば、少なくとも約1psi、少なくとも約2psi、少なくとも約5psi)で破裂するようになっている。
【0172】
例示した実施形態では、シール864は結合部852にある。他のいくつかの実施形態においては、シール864はこれとは違う位置に配設される。例えばシール864は通路826内に配置してもよい。いくつかの構成において、シール864は、流体がアクセス流路845を経由して導入されたり引き出されるときに、アダプタ800から移動または分離されるように構成されている。例えばある例では、流体がアクセス流路845を介してバイアル210から引き出されるとき、シール864は調節器流路825から移動され、それによって調節流体のバイアル210への流入を可能とする。いくつかの場合、シール864はタブまたはステッカである。そのようないくつかの場合、シール864はアダプタ800から分離してバイアル210中に落ちる。
【0173】
図示したように、アダプタ800の特定の構成としてはキャップコネクタ830を含み、そこには釣合い錘831が含まれている。釣合い錘831は例えば組み合わされたバイアル210とアダプタ800の安定性を増し、その組み合わせが転倒する可能性を低減する。ある構成では、釣合い錘831は、調節器アセンブリ850がアダプタ800に接続されている場合に、アダプタ800の重心を実質的にアダプタ800の軸中心線上に配置するように構成されている。ある構成では、釣合い錘831は、外方向に延伸している接続部材829の質量と、初期状態での調節器アセンブリ850の質量との合計にほぼ等しい質量を持っている。いくつかの例では、釣合い錘831は、軸中心線の調節器アセンブリ850とは反対側に位置する材料の質量から成る。いくつかの例では、釣合い錘831は、一般的に軸中心線の調節器アセンブリ850とは同じ側に位置する減少した量の領域を備える。
【0174】
結合部852の様々な例の断面図を示した
図14A~
図14Fに示すように、結合部852はキー付き、または他の特別な形状をしていてもよい。接続部材829は、典型的には対応したキー付きまたは他の特別形状となっている。そのような構成は、与えられたアダプタ800に接続可能な調節器アセンブリ850に信号を送り、制御し、または制限するのに有益であり得る。例えば、比較的大きな調節器アセンブリ850(例えば、最初に少なくとも約100mlの調節流体を含んでいる)にキーが付けられていて、比較的小さいアダプタ800(例えば約3ml未満の流体を含むバイアル210に嵌るような寸法および構成となった)との組合せができないようになっていてもよい。ある場合には、大きな調節器アセンブリと小さなバイアルとの組合せは不安定であり、転倒する傾向が増大するので、好ましくない。ただし、適切な寸法のアダプタ800にしか嵌らないように、調節器アセンブリ850の寸法をキー付けすることで、そのような懸念を低減、または回避可能となる。様々な実施形態において、結合部852を雄型または雌型とし、接続部材829を対応する雌型または雄型とすることができる。
【0175】
様々なタイプのキー付き結合部852が考えられる。いくつかの実施形態において、結合部852の形状が、アダプタ800の残りの部分に対する調節器アセンブリの回転を抑制または阻止する。例えば
図14Aに示すように、結合部852は実質的に矩形であってよい。接続部材829は対応する矩形であって、対となって結合部852に係合できるようになっていてもよい。同様に
図14Bに示すように、結合部852は実質的に菱形であってよい。接続部材829は対応する菱形であって、対となって結合部852に係合できるようになっていてもよい。同様に
図14Cに示すように、結合部852は切欠き、溝、バンプなどを含むことができる。接続部材829は対応する形状であって、結合部852の切欠き、溝、バンプなどに対となって係合できるようになっていてもよい。
【0176】
ある実施形態において、結合部852の形状が、アダプタ800の残りの部分に対する調節器アセンブリ850の向きを確立する。例えば
図14Cに例示した実施形態では、結合部852(及び従って調節器アセンブリ850)は、接続部材829と2つの可能な向きでだけ嵌るようになっている。
図14D、14E、14Fに例示した実施形態のようないくつかの実施形態では、結合部852(及び従って調節器アセンブリ850)は、接続部材829と1つだけの可能な向きで嵌るようになっている。
【0177】
いくつかの実施形態では、結合部852と接続部材829との間の嵌め込み係合が達成されたことをユーザに通知するフィードバックが提供される。例えばある例では、結合部852と接続部材829との間の接続には、戻り止め機構、例えばボール戻り止めが含まれ、これが係合したことを触覚的に知らせることができる。いくつかの実施形態には、可聴信号、例えばクリック音やスナップ音などが含まれて、係合したことを知らせる。
【0178】
ある実施形態では、結合部852と接続部材829を連接して、その後の分離を抑制または阻止する。例えば、いくつかの構成では結合部852と接続部材829の一方又は両方に接着剤が含まれ、嵌め込み係合すると、結合部852と接続部材829を一緒に接着する。他のある実施形態では、結合部852と接続部材829の嵌め込み係合は、一方向スナップ嵌合部を係合する。
【0179】
図15Aはアダプタ1700の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができ、また弁1770も含んでいる。アダプタ1700はバイアル10に係合するように構成されている。いくつかの実施形態において、アダプタ1700は調節器アセンブリ1750を含んでいる。いくつかの構成において、調節器アセンブリ1750には突起1785aが含まれ、これを調節器アセンブリ1750のルーメン1726(例えばその内部または外周の周り)に実質的に密封して取付けることが可能である。突起2085aは調節器アセンブリの2つ以上の特徴部(例えば、フィルタ、エンクロージャ、バッグ、及び/又は弁)の間の流体連通を容易にする。いくつかの実施形態では、突起2085aは一般的に調節器経路を画定することができる。調節器経路は調節器アセンブリ1750の調節器流路1725と流体連通することができる。突起1785a及び/又はルーメン1726の長手軸は、アダプタ1700の軸中心線に対して、少なくとも部分的に、または実質的に、または全体的に垂直であってよい。いくつかの実施形態では、突起1785a及び/又はルーメン1726の長手軸は、アダプタ1700の軸中心線に対して、少なくとも部分的に、または実質的に、または全体的に平行であってよい。いくつかの実施形態では、突起1785の長手軸とアダプタ1700の軸中心線との間の角度は、約5°以上、及び/又は約85°以下である。いくつかの実施形態では、角度は約60°である。ある実施形態では、突起1785の長手軸とアダプタ1700の軸中心線との間の角度は、0°から90°の間の任意の角度、またはユーザ選択による可変角度であってもよい。多くの変形もあり得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、調節器アセンブリがフィルタ1760を含む。フィルタ1760は疎水性フィルタを含むことができる。いくつかの実施形態では、弁1770またはその一部が、アダプタ1700のルーメン1726内にある。いくつかの実施形態では、弁1770またはその一部が、アダプタ1700のルーメン1726の外側であって、調節器アセンブリ1750の突起1785a内部にある。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、弁1770は、フィルタ1760を通過した空気または他の流体を通過させて容器10の中へ入れる。いくつかの実施形態では、弁1770は、流体が容器10からフィルタ1760へ向かって弁1770を通過することを選択的に抑制するように構成されている。
【0182】
いくつかの構成において、アダプタ1700の向きに依存して、弁1770は選択的に開放及び/又は閉鎖される。例えば、アダプタ1700が、アダプタが取り付けられているバイアル10の上方に(例えばバイアルよりも床から遠くに)配置されている場合には、弁1770は、容器10とフィルタ1760の間の流体流を制限なく可能とするように構成することができる。いくつかの実施形態では、バイアル10がアダプタ1700の上方にある場合には、弁1770は容器10からフィルタ1760への流体流を阻止するように構成することができる。
【0183】
いくつかの実施形態では、弁1770にかかる重力の効果に応じて、弁1770は開閉の少なくとも一方をすることができる。例えば、弁1770は重力に応答して弁1770内の流路の開閉の少なくとも一方を行うように動く部品を含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプタ1700内の流体にかかる重力の効果で、弁1770内の流路を流体が通過することを阻止または許容することができるように、弁1770を構築することが可能である。
【0184】
例えば、弁1770は、配向に感応する、または配向に依存するロールオーバ弁を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロールオーバ弁1770は荷重付きの封止部材を備えることができる。いくつかの実施形態では、バイアル10がアダプタ1700の上方に配置されている場合に、弁1770をシール及び/又は閉じるように荷重付き封止部材を付勢することができる。いくつかの実施形態では、弁1770を密閉するように重力によって封止部材を付勢することができる。いくつかの実施形態では、圧縮バネを利用して弁1770を密閉するように封止部材を付勢することができる。封止部材は、アダプタ1700がバイアル10の上方にある場合に、転移して弁1770を開くことができるように構成可能である。例えば、封止部材の重量が十分に大きくて、アダプタ1700がバイアル10の上方にある場合に、圧縮バネの力に打ち勝って開位置に移動できるようにすることができる。
【0185】
いくつかの実施形態では、弁1770はスイング逆止弁を備えることができる。いくつかの実施形態では、弁1770は、調節器流路1925の壁に回転可能に接続された荷重付きパネルを備えることができる。アダプタ1700がバイアル10の上方にある場合に、荷重付きパネルが調節器流路1925を貫通する流体流を抑制しない開位置に回転するように、荷重付きパネルを配向することができる。いくつかの実施形態では、バイアル10がアダプタ1700の上方にある場合に、荷重付きパネルが調節器流路1925を貫通する流体流を抑制する閉位置に回転するように、荷重付きパネルを構成することができる。
【0186】
いくつかの構成によると、弁1770は、2つまたはそれ以上の配置(例えば開配置と閉配置)の間を転移可能な、逆止弁であってもよい。いくつかの実施形態では、弁1770はユーザ入力に基づいて配置を変更可能である。例えば、弁1770及び/又は調節器アセンブリ1750は、ユーザが操作可能なユーザインタフェース(例えば、ボタン、スライダ、ノブ、静電容量面、スイッチ、トグル、キーパッドなど)を含むことができる。ユーザインタフェースは弁1770と(例えば、機械的、電子的、及び/又は電磁的に)通信して、弁1770を開放配置と閉鎖配置に移動させることができる。いくつかの実施形態では、アダプタ1700及び/又は調節器アセンブリ1750は、弁1770が開放配置にあるか閉鎖配置にあるかを示す視覚標識を含むことができる。
【0187】
いくつかの実施形態によれば、弁1770は二方弁として作用するようになっている。そのような構成では、弁1770は1つの差圧で弁1770を通って第1の方向1770Aへの流体の通過が可能であり、その一方で第2の差圧で第2の方向1770Bへの流体の通過を可能とすることができる。例えば、フィルタ1770を通って第1の方向1770Aへ流体を通過させるのに必要な差圧は、フィルタ1770を通って第2の方向1770Bへ流体を通過させるのに必要な差圧よりもかなり高くすることができる。
【0188】
図15Bはアダプタ1800の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。アダプタ1800は調節器アセンブリ1850を含み、これはいくつかの実施形態では弁1870を含むことができる。弁1870は、容器10とバッグまたは他のエンクロージャ254との間のアダプタ1800のルーメン1826内の調節器流路1825に配置することができる。いくつかの実施形態では、弁1879またはその一部が、ルーメン1826の外側であって、調節器アセンブリ1850の結合部1752内部にある。いくつかの実施形態では、弁1870は調節器流体及び/又は他の流体がエンクロージャ1854から容器10へ流れることを可能とするようになっている。いくつかの実施形態では、弁1870は容器10からエンクロージャ1854へ流体が流れることを抑制または阻止するようになっている。
【0189】
いくつかの構成において、アダプタ1800の向きに依存して、弁1870は選択的に開放及び/又は閉鎖される。例えば、アダプタ1800が、アダプタが取り付けられているバイアル10の上方を向いている場合には、弁1870は、容器10とエンクロージャ1854の間の流体流を制限なく許容するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、バイアル10がアダプタ1800の上方にある場合には、弁1870は容器10からエンクロージャ1854への流体流を阻止するように構成されている。さらにいくつかの実施形態では、弁1770に関して前述したのと実質的に同一の方法で、弁1870は二方弁として作動するように構成されている。
【0190】
図15Cはアダプタ1900の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。アダプタ1900は、容器10とフィルタ1960の間の調節器アセンブリ1950の突起1985a内の調節器流路1925内に位置する弁1970を含むことができる。いくつかの実施形態では、弁1970、またはその一部は調節器流路1925の突起1985aの外側にある。調節器アセンブリ1950はエンクロージャ1954を含むことができる。いくつかの実施形態では、弁1970は本明細書で説明した他の弁(例えば1770、1870)と実質的に同じようにして、調節器流路1925を通る流体の流れを制限する。
【0191】
図16A~16Cはバイアルアダプタ2000の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ2000は、コネクタインタフェース2040と、そのコネクタインタフェース2040に部分連通する穿刺部材2020とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ2000は調節器アセンブリ2050を含んでいる。
【0192】
調節器アセンブリ2050には、例えばボール逆止弁2070のような、配向作動型、または配向依存型、または配向感応型の閉塞器弁(例えば図に示した、調節器弁、重力弁、逆止弁、またはそれらの組合せなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、閉塞器弁は、調節器アセンブリ2050の一つ又は複数のルーメン中に、取付け経路を介して取り外し自在に挿入することができる。取付け経路は、閉塞器弁を挿入するルーメンの軸中心線またはその一部によって画定することができる。いくつかの実施形態では、閉塞器弁は、バイアルアダプタ2000の向き(例えば床に対するバイアルアダプタ2000の向き)に基づいて、開放配置と閉鎖配置との間を転移するように構成されている。そのような実施形態のいくつかでは、閉塞器弁は、バイアルアダプタ2000の第1の配向に対応する第1の配置から、バイアルアダプタ2000の第2の配向に対応する第2の配置まで、転移するように構成されている。閉塞器弁は、バイアルアダプタ2000の回転経路とは無関係に第1の配向から第2の配向へ転移するように構成することができる。いくつかの実施形態では、閉塞器弁は、弁室内を動き回れるように構成された閉塞部材を含むことができる。例えば、閉塞部材は、閉塞器弁の配置とバイアルアダプタ2000の向きとに依存して、弁室内の弁座への係合と弁座からの遊離とをするように構成されていてもよい。閉塞部材は、楕円体形、球形、テーパのついた端部を持つ概ね円筒形、または他の任意の適切な形状を取ることができる。
【0193】
いくつかの構成において、ボール逆止弁2070は、調節器アセンブリのルーメン内、及び/又はコネクタインタフェース2040のルーメン内にある。例えば、ボール逆止弁2070は、調節器アセンブリ2050のルーメン2026内の調節器流路2025内にあってもよい。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070は調節器流路2025から取り外し可能となっている。ある変形形態では、ボール逆止弁2070は、ボール逆止弁を調節器流路2025から取出したときに、ボール2073がボール逆止弁2070から脱落することを防止または阻害する、保持部材を含んでいる。ボール逆止弁2070は調節器流路2025内で軸中心線を中心にして回転可能であってもよい。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070はバイアルアダプタ2000の他のルーメンに取り付けられてもよい。いくつかの構成において、調節器アセンブリ2050はルーメンまたは付加物または突起2085aを含み、これを、調節器アセンブリ2050のルーメン2026に(例えばそのルーメンの内部またはその外周の周りに収容して)、実質的に密封するように取付けることが可能である。突起2085aは調節器アセンブリの2つ以上の特徴部(例えば、フィルタ、エンクロージャ、バッグ、及び/又は弁)の間の流体連通を容易にする。いくつかの構成によれば、ボール逆止弁2070、またはそのある部分は、調節器流路2025内の突起2085a内部に配置することができる。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070と突起2085aは一体部品を形成する。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070とルーメン2026は一体部品を形成する。
【0194】
いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070が、調節器流路2025を介してバイアル10と流体連通する第1の室2074を含んでいる。ボール逆止弁2070は、第1の室2074と選択的に流体連通する第2の室2072を含むことができる。いくつかの構成によれば、第1の室2074は、直径または断面距離がDV1の実質的に円形の断面と、高さH2を有している。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸は、バイアルアダプタ2000の軸中心線に平行である。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸は、バイアルアダプタ2000の軸中心線からはある角度だけずれている。第1の室2074の長手軸とバイアルアダプタ2000の軸中心線との間の角度は、約15°以上、及び/又は約60°以下である。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸とバイアルアダプタ2000の軸中心線の間の角度は約45°である。多くの変形形態もあり得る。いくつかの実施形態では、第2の室2072もまた、直径または断面距離がDV2の、実質的に円形断面を有する。第1の室と第2の室の構造には、他の多くの変形形態が可能である。例えば、他の断面形状が好適であるかもしれない。
【0195】
いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070は第1の室2074と第2の室2072の間に肩部2078を含むことができる。肩部2078は、バイアルがバイアルアダプタの上方にあるようなバイアルアダプタの向きの時に、重力の影響でボール2073を閉塞位置に向かって移動させるように構成された、傾斜したまたはテーパのついた面を備えることができる。いくつかの実施形態では、肩部2078と第1の室2074の壁面との間の角度θは、約90°以下である。いくつかの実施形態では、この角度θは、約75°以下、及び/又は約30°以上である。いくつかの実施形態では、第2の室2072は、ボール逆止弁2070が開放配置にあるときは、第1の室2074と流体連通する。いくつかの実施形態では、第1の室2074の内壁は次第にテーパがついて第2の室2072の内側の壁となり、第1と第2の室2074、2072が1つのほぼ円錐台形の室を形成する。
【0196】
いくつかの実施形態では、ボール2073は、閉塞位置にあるときは、円形の座の上に静止することができる。いくつかの実施形態では、円形座は肩部2078で形成される。いくつかの実施形態では、円形座の長手軸は、第1の室2074の長手軸にほぼ平行である。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸はボール2073または他の閉塞部材の一般的な移動経路を画定することができる(例えばボール2073は一般的に、第1の室2074の長手軸にほぼ平行な方向で、閉塞位置への往復運動が可能である)。いくつかの実施形態では、閉塞部材の移動経路は、ボール逆止弁2070の取付け経路に実質的に平行ではない。例えば、閉塞部材の移動経路は、ボール逆止弁2070の取付け経路に対して実質的に直交していてもよい。ある変形形態では、円形座の長手軸は、第1の室2074の長手軸に対してある角度を成している。円形座の長手軸と第1の室2074の長手軸とが成す角度は、約5°以上、及び/又は約30°以下であってよい。いくつかの実施形態では、角度は約10°である。多くの変形形態を使用することが可能である。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸と円形座とは、アダプタ2000の軸中心線にほぼ平行である。いくつかの実施形態では、ある構成とすることで、ボール逆止弁2070が開放配置と閉鎖配置の間を転移するときに、ボール2073が円形座または第1の室2074の内壁に「粘着」する可能性を低減することが可能である。
【0197】
ある構成では、第1の室2074の長手軸は、ボール逆止弁2070の軸中心線に実質的に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸は、ボール2073の移動経路を画定できる。
図16Cに示すように、第1の室2074の長手軸は、ボール逆止弁2070の軸中心線に対して直交していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸とボール逆止弁2070の軸中心線との間の角度は、約5°以上、及び/又は約90°以下である。いくつかの実施形態では、角度は約60°である。多くの変形形態もあり得る。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸とボール逆止弁2070の軸中心線との間の角度は、ボール逆止弁2070の軸中心線とバイアルアダプタ2000の軸中心線との間の角度と同じである。いくつかの実施形態では、第1の室2074の長手軸は、バイアルアダプタ2000の軸中心線に整列していてもよい。
【0198】
ボール逆止弁2070は弁流路2071を含むことも可能である。いくつかの実施形態によれば、弁流路2071は第2の室2072と流体連通している。いくつかの実施形態によれば、弁流路2071は一般的に、第2の室2072と、第1の室2074からの調節器流路2025で第2の室2072に対向する部分と、の間の流れ経路を画定する。弁流路2071は、第2の室2072とのインタフェース2071aを持つことができる。このインタフェース2071aは第1の室2074の長手軸に対して非平行かつ非直交であってよい。
図16Dはボール逆止弁2070の一実施形態を示す。部品に対する参照番号は、プライム記号が付けられている以外は、これまでに述べたものと同一である。このような参照符号が現れた場合、他の記述がない限り、その部品は前に述べたものと同一または実質的に同じであると理解されたい。例えばいくつかの実施形態において、インタフェース2071a’は、一般的に、第1の室2074の長手軸に平行であってよい。いくつかの実施形態では、弁流路2071と第2の室2072との間のインタフェースは、一般的に第1の室2074の長手軸に対して直交していてもよい。
図16A~16Cに示すように、ボール逆止弁2070は一つ又は複数の封止部2079を含むことができる。一つ又は複数の封止部2079は、調節器流路2025内のボール逆止弁2070の移動に逆らう。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の封止部2079は、流体がボール逆止弁2070を迂回またはバイパスして流れることを抑制する。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の封止部2079が弁流路2071から延在する一つ又は複数の環状突起を含んでいる。多くの変形形態が可能である。
【0199】
図16Aに示すように、ボール逆止弁2070は遠位開口部2075aを有している。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070は複数の遠位開口部を有している。遠位開口部2075aは、第1の室2074と調節器流路2025との間の流体境界(例えば界面)を画定する。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070は調節器流路205と第1の室2074の両方に流体連通する第1の弁流路を含んでいる。そのような実施形態では、遠位開口部2075aは、第1の弁流路と調節器流路2025との間の流体境界(例えば界面)を画定する。ボール逆止弁2070は、弁流路2071と調節器流路2025の間の流体境界(例えば界面)を画定する、近位開口部2075bをさらに含んでいる。
【0200】
ボール逆止弁2070は、遠位開口部2075aと近位開口部2075bを通って逆止弁2070に出入りする流体が、各開口部によって画定される界面を通って、界面に一般的に直交する方向に流れるように構成されていてもよい。例えば
図16Bに例示するように、近位開口部2075bを介してボール逆止弁2070に出入りする制御流体FRは、近位開口部2075bにより画定される界面(
図16Bに関しては垂直)に一般的に垂直な流れの方向(
図16Bに関しては水平)を有する。同様に、遠位開口部2075aを介してボール逆止弁2070に出入りする液体の流れは、近位開口部2075aが画定する界面に一般的に垂直な方向である。いくつかの実施形態では、一つ又は複数の遠位開口部2075aと近位開口部2075bを通る流れの方向は、ボール2073または他の閉塞部材の移動経路に対して斜めまたは垂直である。いずれかの界面とボール移動経路2073との間に形成される角度は、同一の界面とアダプタ2000の挿入軸との間に形成される角度と同じであってよい。
【0201】
いくつかの実施形態によれば、閉塞器弁2070は、ボール2073のような可動の閉塞器を含んでいる。ここでボールに対する参照のすべては、一般的に立方体の閉塞器、一般的に円筒形の閉塞器、一般的に円錐形の閉塞器、またはこれらの形状を組み合わせたものなどの任意の他の形状の閉塞器に当てはまる。いくつかの実施形態では、ボール2073は一般的に球形であるかまたは別の好適な形状を有している。ボール2073は、バイアル10内の液体Lや他の流体よりも密度の高い材料で構築することができる。ボール2073は直径DBであってよい。いくつかの構成において、ボール2073の直径DBは、第1の室2074の直径DV1と高さH2よりも小さい。例えばいくつかの実施形態では、ボール2073の直径DBの、第1の室2074の直径DV1に対する比は、約9:10以下、及び/又は約7:10以上である。いくつかの構成において、ボール2073の直径DBは、第2の室2072の直径DV2よりも大きい。例えばいくつかの実施形態では、第2の室2072の直径DV2のボール2073の直径DBに対する比は、約9:10以下、及び/又は約7:10以上である。いくつかの実施形態において、ボール2073は第1の室2074内の少なくとも2つの位置の間を移動することができる。例えば、ボール2073の動きは、重力、バイアルアダプタ上への外力、調節器流路内の流体、他の力、または複数の力の組合せによって支配され得る。アクセス流路2045に最も近い、第1の室2074、2074’の壁2077、2077’は、変化する壁厚を持つことができる。いくつかの実施形態では、壁の厚さ2077、2077’を増大させると、ボール逆止弁2070、2070’の耐久性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、壁の厚さ2077、2077’を増大させると、取付け時のボール逆止弁2070、2070’への損傷の可能性を低減することができる。
【0202】
図16A~16Cに示すように、アダプタ2000とバイアル10が、重力の影響でバイアル内の流体がバイアルアダプタの方向に押し出されるように配向されている場合(例えば、バイアル10の少なくとも一部がコネクタインタフェース2040の上方にある場合)、ボール逆止弁2070内のボール2073は、第2の室2072の開口部の肩部2078に休止するように構成することができる。第1の室2074の長手軸と円形座の長手軸がバイアルアダプタ2000の軸中心線に実質的に平行となるように、ボール逆止弁2070を配向することができる。そのような実施形態では、ボール2073は、バイアル10とコネクタインタフェース2040の回転方向とは無関係に実質的に一貫して、(例えば円形座上に休止する)閉塞位置へ転移するように構成可能である。例えばそのような実施形態においては、バイアル10がコネクタインタフェース2040の下方からコネクタインタフェース2040の上方へ回転されるときの、肩部2078または円形座に向かうボール2073の動き方は、実質的に一貫しており、バイアル10とコネクタインタフェース2040の回転が、ルーメン2026の長手軸を中心としたか、ルーメン2026の長手軸とバイアルアダプタ2000の軸中心線とに直交する軸を中心にしたか、またはそれらの間の他の任意の回転軸を中心としたか、ということには無関係である。さらにそのような実施形態では、第1の室2074の長手軸とアダプタ2000の軸中心線とを平行に位置合わせすることで、ボール逆止弁2070の位置合わせ状態をアダプタ2000のユーザが目視し易くなる。いくつかの構成において、ボール2073と肩部2078との接触により封止部2076を形成することができる。バイアル10がコネクタインタフェース2040の上方に向いているときに、封止部2076はボール逆止弁2070を閉鎖配置とし、バイアル10からの液体L及び/又は他の流体がボール逆止弁2070を経由して通過することを抑制する。
【0203】
いくつかの実施形態では、バイアル内の流体が重力によってバイアルアダプタから強制的に離れるような方向に、アダプタ2000とバイアル10が向けられた場合(例えばコネクタインタフェース2040の少なくとも一部がバイアル10の上方に配置された場合)、ボール2073は肩部2078から移動して離れるように構成することができる。いくつかの実施形態(例えば、第1の室2074と円形座の長手軸がバイアルアダプタ2000の軸中心線に平行である実施形態など)においては、バイアル10とコネクタインタフェース2040の回転方向とは無関係に、実質的に一貫してボール2073が肩部2078から移動して離れるように構成可能である。例えばそのような実施形態においては、バイアル10がコネクタインタフェース2040の上方からコネクタインタフェース2040の下方へ回転されるときの、肩部2078または円形座から離れるボール2073の動き方は、実質的に一貫しており、バイアル10とコネクタインタフェース2040の回転が、ルーメン2026の長手軸を中心としたか、ルーメン2026の長手軸とバイアルアダプタ2000の軸中心線とに直交する軸を中心にしたか、またはそれらの間の他の任意の回転軸を中心としたか、ということには無関係である。ボール2073が肩部2078から離れる運動により、封止部2076を開放または解除してボール逆止弁2070を、第1の室2074と第2の室2072とが流体連通するような開放配置にする。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2070は弾性付勢部材を含み、これがボール2073を肩部2078方向に付勢し、それによりボール逆止弁2070を閉鎖配置に付勢することができる。いくつかの構成においては、この付勢部材はバネであってよい。いくつかの構成においては、この付勢部材は可撓性部材であってよい。いくつかの実施形態において、弾性的付勢部材によって与えられる付勢力はボール2073の重量よりも小さくてよい。
【0204】
いくつかの実施形態では、ボール2073は重力の影響により第1の室2074を動き回ることができる。いくつかの構成において、重力がボール2073を第2の室2072に向かって移動させ、第2の室2072の開口部の肩部2078上に静止することができる。上で説明したように、ボール2073が肩部2078上に静止することで封止部2076を形成することができ、これによってボール逆止弁2070を閉鎖配置にして、バイアル10からの液体L及び/又は他の流体がボール逆止弁2070を通過することを抑制できる。いくつかの構成において、重力はボール2073を動かして肩部2078から離すことができる。重力の影響でボール2073が肩部2078から離れる運動により、封止部2076を開放または解除してボール逆止弁2070を、第1の室2074と第2の室2072とが流体連通するような開放配置にすることができる。第1の室の断面直径DV1はボール2073の直径または断面DBよりも大きいので、流体はボール2073の外表面を回って、第1の室を通って流れることができる。
【0205】
ボール逆止弁2070が閉鎖配置あるときの、ボール逆止弁2070の動作のある態様について、次に説明する。アクセス流路2045を介してバイアル10へ流体が導入されるか、またはバイアルから引き出されるときに、例えばいくつかの実施形態ではバイアル10内の圧力は、弁流路2071内の圧力と実質的に同じである。そのような状況においては、第1の室2074内の圧力は、第2の室2072内の圧力と実質的に同じであり得る。いくつかの実施形態では、バイアル10がコネクタインタフェース2040の上方にあることで、液体Lまたは他の流体をバイアル10から第1の室2074へ移動させることができる。いくつかの実施形態では、第1の室2074と第2の室2072の間の圧力が平衡となっている場合には、ボール2073は肩部1078上に静止したままで封止部2076を形成する。封止部2076は、液体L及び/又は他の流体がバイアル10からボール逆止弁2070を通って流れることを抑制する。
【0206】
いくつかの実施形態では、バイアル10からアクセス流路2045を介して流体を引き出すことは、バイアル10と第1の室2074内の圧力を、第2の室2072内の圧力よりも低くすることになる。この圧力差が、ボール2073を肩部2078から離れさせて第1の室2074内へ移動させることを可能とする。ボール2073が肩部2078から離れる運動で、封止部2076が解除され、調節器流体FRが第2の室2072を通ってボール2073の周りを通過することが許される。調節器流体FRは、次に第1の室2074を通り、調節器流路2025を通って、バイアル10中に流れることが可能となる。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2050内のフィルタを通過してきた流体である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2050のエンクロージャの内部体積内に含まれる流体である。調節器流体FRがバイアル10中へ入ることで、第1の室2074と第2の室2072間の圧力差が相殺、または減少、または実質的に解消、または解消されて、ボール2073を肩部2078の休止位置へ戻させることが可能である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRがバイアル10内に流れることで、バイアル10の内側と調節器アセンブリ2050の内側との間の平衡を維持する助けとなる。ボール2073が肩部2078の休止位置に戻ることで、封止部2076を再生または形成して、バイアル10からの液体Lまたは他の流体がボール逆止
弁2070を通って流れることを阻止することができる。
【0207】
いくつかの実施形態では、アクセス流路2045を介して流体をバイアル10へ導入することは(例えば、希釈剤、混合用流体、または過吸引流体が交換デバイス40を介してバイアル10中へ注入される場合)、バイアル10及び第1の室2074に第2の室2072内の圧力よりも高い圧力が生成されることがある。この圧力の違いによって、ボール2073が肩部2078に押し付けられ、封止部2076を圧迫することができる。封止部2076の圧迫は、バイアル10からの流体Lがボール逆止弁2070を通って流れることを抑制する。いくつかの実施形態では、封止部2076を圧迫することで、アクセス流路2045を介してバイアル10中に流体が導入されればされるほど、バイアル10と第1の室2074内の内部圧力を増加させ続けることが可能である。いくつかの実施形態では、バイアル10と第1の室2074内の圧力が連続的に増加することは、より多くの流体を禁止レベルにまで導入するのに要する力を劇的に上昇させ、結果的に、バイアル10とアダプタ2000またはそれらの部品の間から流体が漏洩する可能性が増大し得る。したがって、バイアル10に流体を注入する場合には、ボール逆止弁2070は開位置にあることが望ましいであろう。
【0208】
ボール2073が肩部2078から動いて離れれば、封止部2076が開放または解除されてボール逆止弁2070を開放配置とすることができる。ボール逆止弁2070が開放配置にあるときの、ボール逆止弁2070動作のいくつかの態様について、次に説明する。例えばいくつかの実施形態では、バイアル10からアクセス流路2045を介して流体の導入または引き出しが行われていない場合には、バイアル10内の圧力は実質的に一定のままである。いくつかの実施形態では、バイアル10は第1と第2の室2074、2072と、ボール逆止弁2070の弁流路2071とに流体連通していて、実質的に一定の内部圧力を持っている。
【0209】
いくつかの実施形態では、バイアル10からアクセス流路2045を介して流体を引き出すことは、バイアル10内の圧力を下げ、それにより第1の室2074内の圧力を下げることになる。このバイアル10と第1の室2074内の圧力低下により、ボール逆止弁2070の第1の室2074と第2の室2072との間に圧力差を生じ得る。圧力差により、調節器流体FRを、第1の室2074を通り、調節器流路2025を通って、バイアル10中に流すことが可能である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2050内のフィルタを通過してきた流体である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2050のエンクロージャの内部体積内に含まれる流体である。調節器流体FRがバイアル10中へ入ることで、第1の室2074と第2の室2072間の圧力差を相殺、減少、ほぼ解消、または解消することができる。いくつかの実施形態では、調節器流体FRがバイアル10の中に入ることで、バイアル10の内側と調節器アセンブリ2050の内側との間の平衡を維持する助けとなる。
【0210】
いくつかの実施形態では、アクセス流路2045を介して流体をバイアル10へ導入することは(例えば、希釈剤、混合用流体、または過吸引流体が交換デバイス40を介してバイアル10中へ注入される場合)、バイアル10及び第1の室2074に第2の室2072内の圧力よりも高い圧力を生成し得る。この圧力差は、バイアル10からの流体を、バイアル10からボール逆止弁2070を通って、調節器アセンブリ2050内へ流れさせる。いくつかの実施形態では、バイアル10からの流体は、逆止弁2070を通り、フィルタを通ることができる。いくつかの実施形態では、バイアル10からの流体は、逆止弁2070を通り、バッグまたは他のエンクロージャの中に入る。ボール逆止弁2070を通るバイアル10からの流体の流れは、バイアル10内の圧力を低下させ、バイアル10内側と調節器アセンブリ2050の内側との間の平衡を維持することができる。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは、外気または殺菌されたガス、または濾過された空気またはガスである。
【0211】
いくつかの実施形態、特にバイアルアダプタの部分がモジュール式または交換可能となっている実施形態では、ルーメン2026の内部断面及び/又は外部断面に一つ又は複数の位置合わせの特徴を含めることができる。例えば、ルーメンの内部断面及び/又は外部断面をキー付きまたは他の特定の形状とすることができる。可能性のある形状とその利点のいくつかの例を
図14A~14Fに示し、既に説明した。突起2085a及び/又はボール逆止弁2070は、対応する位置決め特徴(例えば、対応するキー、または他の特別の形状)を含むことができる。そのような構成は、アダプタ2000に接続可能な、または一体化可能な調節器アセンブリ2050に信号を送り、制御し、または制限するのに有益であり得る。ボール逆止弁2070及び/又はそれが配置される流路のキーまたは形状は、ボール逆止弁2070が調節器アセンブリ2050内に適切に位置合わせされている(例えば第1の室2074のバイアル10側に位置合わせされている)ことの確認をアダプタ2000のユーザに提供できる。逆止弁2070の位置合わせにより、調節器アセンブリ2050の適切及び/又は予測可能な機能が可能となる。
【0212】
いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ2050の外側に、ボール逆止弁2070の位置合わせ状態を示す一つ又は複数の視覚標識を含むことができる。いくつかの実施形態では、視覚標識として、切欠き、単語(例えば、上及び/又は下)、矢印、あるいは他の位置合わせ標識、がある。いくつかの実施形態では、突起2085a、ルーメン2026、及び/又は弁2070の本体は、実質的に透明な材料で作られていて、アダプタ2000のユーザが弁の構成を目視確認できる(例えば、弁が開放配置にあるか閉鎖配置にあるかを示すボールの位置を目視できるようにする)。
【0213】
いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ2050は、ボール2073が閉塞位置にある場合にそれを示す一つ又は複数の標識(例えば視覚的または聴覚的)を含むことができる。例えば、調節器アセンブリ2050は、ボール2073が閉塞位置にあるときに発光するように構成可能な、一つ又は複数の光源(例えばLED光、化学ルミネセンス光など)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アダプタ2000には、一つ又は複数の標識に電力を供給するための電源(例えば、一つ又は複数の電池、AC入力部、DC入力部、太陽電池など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ボール2073は導電性材料でできている。そのような実施形態では、ボール2073が閉塞位置にあるときに、ボール2073が電源と光源間の回路を閉じるようにボール逆止弁2070が構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アダプタ2000は、ボール2073が閉塞位置にあるときにそれを検出するためのジャイロスコープセンサを含むことができる。そのようなある実施形態では、バイアル10がアダプタ2000の上方に保持されているときに、センサに接続されたコントローラが電力を供給して一つ又は複数の標識を作動させることができる。
【0214】
図17はアダプタ2100の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170は調節器流路2125と、ボール逆止弁2170の第1の室2174との両方に流体連通する第1の弁流路2171Aを含んでいる。ボール逆止弁2100は、ボール逆止弁2170の第2の室2172と流体連通する第2の弁流路2171Bを含んでいる。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170、またはその一部は突起2185aの内部の調節器流路2125に配置されている。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170、またはその一部は、アダプタ2100のルーメン2126の内部の調節器流路2125に配置されている。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170、またはその一部は、突起2185aの外の調節器流路2125に配置されている。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170、またはその一部は、アダプタ2100のルーメン2126の外側の調節器流路2125に配置されている。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170と突起2185aは一体部品を形成している。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2170とルーメン2126は一体部品を形成している。
【0215】
図18はアダプタ2200の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一あるいは類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ2250は、ドーム形弁2270のような、可撓性の弁を含んでいる。ドーム形弁2270は、ドーム部分2273を含むことができる。ドーム部分2273は、凹側2275Bと凸側2275Aとを含むことができる。いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270はドーム部2273に取り付けられた環状フランジ2278を含むことができる。いくつかの実施形態では、環状フランジ2278とドーム部2273は一体部品を形成している。ドーム部2273は壁厚T3を有することができる。壁厚T3は、ドーム部2273全体に亘り実質的に一定であってよい。いくつかの実施形態では、ドーム部2273の厚さT3はドーム形弁2270上で変化してもよい。
【0216】
いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270またはその一部は、アダプタ2200のルーメン2226の内部の調節器流路2225に配置されている。いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270またはその一部は、突起2285aの外側の調節器流路2225内に配置されている。いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270、またはその一部は、アダプタ2200のルーメン2226の外側の調節器流路2225に配置されている。いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270は、調節器流路2225の内部に固定されている。ドーム形弁2270は、例えば、接着剤、溶接、調節器流路2225内の嵌合された流路、またはその他を介して、調節器流路2225内に固定されていてもよい。
【0217】
いくつかの実施形態において、ドーム部2273は、一つ又は複数のスリット2274または何らかの他の開口を含んでいる。いくつかの実施形態において、一つ又は複数のスリット2274はドーム部2273及び/又は環状フランジ2278によって閉位置に付勢されている。ドーム形弁2270は、一つ又は複数のスリット2274が閉位置にあるときは、調節器流路2225を通る流体の通過を抑制及び/又は阻止することができる。いくつかの実施形態では、一つ又は複数のスリット2274は、一つ又は複数のクラッキング圧力に対応して開放されて、一つ又は複数のスリット2274を通って流体が流れることができる。いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270の幾何形状及び/又は材料により、一つ又は複数のスリット2274を通って流体を第1の方向F1へ流すのに必要なクラッキング圧力を、一つ又は複数のスリット2274を通って流体を第2の方向F2へ流すのに必要なクラッキング圧力よりも実質的に高くさせることが可能である。
【0218】
ドーム形弁2270の動作のいくつかの態様を次に説明する。例えばいくつかの実施形態において、アダプタ2200のアクセス流路2245を介したバイアル10中への流体の導入、またはバイアルからの流体の引き出しが行われていない場合には、バイアル10内の圧力は実質的に一定のままである。いくつかの実施形態では、バイアル10は、ドーム形弁2270の凸側2275Aの領域の調節器流路2225と流体連通し、その圧力P1と同じ実質的に一定の内部圧力を持っている。いくつかの実施形態では、ドーム形弁2270の凹側2275Bの領域の圧力P2は、バイアル10への流体の導入またはバイアルからの流体の引き出しがない場合には、圧力P1と実質的に同じである。そのような構成では、ドーム形弁2270の一つ又は複数のスリット2274は、ドーム形弁2270のドーム部2273によって付勢されて閉鎖することができる。
【0219】
いくつかの実施形態では、流体をバイアル10からアクセス流路2045を介して引き出すことは、バイアル10内の圧力を下げ、それにより凸側2275Aの領域の圧力P1を下げることになる。この圧力P1の低下により、ドーム形弁2270の凸側2275Aと凹側2275Bとの間に圧力差を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、流体をバイアル10から引き出すことにより、ドーム形弁2270のクラッキング圧力を克服するのに十分な大きさの圧力差がドーム形弁2270を横断して形成でき、一つ又は複数のスリット2274が開放されて流体がドーム形弁2270を通って第2の方向F2に流れることが可能となる。いくつかの実施形態では、一つ又は複数のスリット2274が開放され、弁2270の凹側2275Bの圧力P2が、弁2270の凸側2275Aの圧力P1よりも高い場合に、調節器流体FRがドーム形弁2270を通って第2の方向F2に流れる。調節器流体FRがドーム形弁2270を通り、及び/又はバイアル10中に入ると、バイアル10内の圧力を上昇させる。バイアル10内の圧力を上昇させると、ドーム形弁2270の凸面2275Aの領域の圧力P1を上げることができる。凸面2275Aの領域の圧力P1を上昇させると、弁2270の両側での圧力差をクラッキング圧力より下に下げることが可能であり、一つ又は複数のスリット2274を閉じさせる。いくつかの実施形態では、流体がアクセス流路2245を介してバイアル10から引き出される場合、調節器流体FRがドーム形弁2270を通って第2の方向F2に流れることにより、バイアル10の内側と調節器アセンブリ2050の内側との間の平衡の維持が促進される。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2250内のフィルタを通過してきた流体である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2250のエンクロージャの内部体積内に含まれる流体である。
【0220】
いくつかの実施形態では、アクセス流路2245を介して流体をバイアル10へ導入することで(例えば、希釈剤、混合用流体、または過吸引流体が交換デバイス40を介してバイアル10中へ注入される場合)、バイアル10内の圧力を上昇させることができる。バイアル10内の圧力を上昇させると、ドーム形弁2273の凸面2275Aの領域の圧力P1を上げることができる。凸面2275Aの領域の圧力P1を上げることで、ドーム形弁2273の両側に圧力差を生成することができる。いくつかの実施形態において、流体をバイアル10中に導入することにより、ドーム形弁2270のクラッキング圧力を克服するのに十分な大きさの圧力差がドーム形弁2270を横断して形成でき、一つ又は複数のスリット2274が開放されて流体がドーム形弁2270を通って第1の方向F1に流れることが可能となる。いくつかの構成においては既に説明したように、流体を第1の方向F1に流れさせるのに必要なクラッキング圧力は、ドーム形弁2270を通って流体を第2の方向F2に流れさせるのに必要なクラッキング圧力よりも実質的に高い。いくつかの実施形態では、バイアル10からドーム形弁2270を通過して第1の方向F1へ向かう流体流は、バイアル10内の圧力を下げることができる。バイアル10内の圧力を下げることで、凸面2275Aの領域の圧力P1を下げることができ、弁2270の両側での圧力差をクラッキング圧力より下に下げて、一つ又は複数のスリット2274を閉じさせることが可能である。いくつかの実施形態では、流体がドーム形弁2270を通って第1の方向に流れることで、バイアル10の内側と調節器アセンブリ2250と内側との間の平衡の維持が促進される。
【0221】
図19A~19Bは、アダプタ2300と、シャワーヘッドドーム形弁2370のような複数開口を有する弁との一実施形態を示す。アダプタ2300は本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。シャワーヘッドドーム形弁2370は、ドーム部分2373を含むことができる。ドーム部分2373は、凹側2375Bと凸側2375Aとを含むことができる。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370はドーム部2373に取り付けられた環状フランジ2378を含むことができる。いくつかの実施形態では、環状フランジ2378とドーム部2373は一体部品を形成している。ドーム部2373は壁厚T4を有することができる。壁厚T4は、ドーム部2373全体に亘り実質的に一定であってよい。いくつかの実施形態では、ドーム部2373の厚さT4はシャワーヘッドドーム形弁2370上で変化してもよい。
【0222】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370、またはその一部は、アダプタ2300のルーメン2326の内部の調節器流路2325に配置されている。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370またはその一部は、突起2385aの外側の調節器流路2325内に配置されている。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370、またはその一部は、アダプタ2300のルーメン2326の外側の調節器流路2325に配置されている。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370は、調節器流路2325の内部に固定されている。シャワーヘッドドーム形弁2370は、例えば、接着剤、溶接、調節器流路2325内の嵌合された流路、またはその他を介して、調節器流路2325内に固定されていてもよい。
【0223】
いくつかの実施形態において、ドーム部2373は、一つ又は複数の開口または中央スリット2374を含んでいる。いくつかの実施形態において、一つ又は複数の中央スリット2374は一般的に十字形に配置されている。いくつかの実施形態において、一つ又は複数の中央スリット2374は一般的に互いに平行である。いくつかの実施形態において、ドーム部2373は一つ又は複数の外側スリット2374Aを含んでいる。いくつかの実施形態において、外側スリット2374Aの個数は、約30以下、及び/又は約4以上である。
【0224】
いくつかの実施形態において、一つ又は複数の中央スリット2374及び/又は外側スリット2374Aは、ドーム部2373及び/又は環状フランジ2378によって閉位置に付勢されている。シャワーヘッドドーム形弁2370は、スリット2374、2374Aが閉位置にあるときは、調節器流路2325を通る流体の通過を抑制及び/又は阻止することができる。いくつかの実施形態では、スリット2374、2374Aは、一つ又は複数のクラッキング圧力に対応して開き、一つ又は複数のスリット2374、2374Aを通って流体を流すように構成されている。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370の幾何形状及び/又は材料により、スリット2374、2374Aを通って流体を第1の方向F1へ流すのに必要なクラッキング圧力を、スリット2374、2374Aを通って流体を第2の方向F2へ流すのに必要なクラッキング圧力よりも実質的に高くさせることが可能である。いくつかの実施形態では、シャワーヘッドドーム形弁2370を通して第1の方向F1及び第2の方向F2へ流体を流すのに必要なクラッキング圧力は、ドーム形弁2270を通して第1の方向F1及び第2の方向F2へ流体を流すのに必要なクラッキング圧力よりも小さい。いくつかの実施形態では、アクセス流路2345を介して流体がバイアル10中へ導入されるか、またはバイアルから取り出されるときに、シャワーヘッドドーム形弁2370は、ドーム形弁2270と実施的に同様に機能する。
【0225】
図20A~20Bは、アダプタ2400の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ1450はフラップ逆止弁2470のような開閉する閉塞器弁2470を含む。この閉塞部品の一部は、閉塞器弁2470が開状態と閉状態の間を転移するときにバイアルアダプタ2400内の構造に張り付いたままとなる。フラップ逆止弁2470は封止部2479を含むことができる。封止部2479は、調節器アセンブリ2450の調節器流路2425内に滑り嵌めするような形状をした中空のストッパと、調節器流路2425内でフラップ逆止弁2470を固定するのに好適な一つ又は複数の環状突起または他の何らかの特徴とを備えることができる。いくつかの実施形態では、フラップ逆止弁2470、またはその一部は、アダプタ2400のルーメン2426内の調節器流路2425に配置されている。いくつかの実施形態では、フラップ逆止弁2470、またはその一部は、突起2485aの外側の調節器流路2425に配置されている。いくつかの実施形態では、フラップ逆止弁2470、またはその一部は、アダプタ2400のルーメン2426の外側の調節器流路2425に配置されている。いくつかの実施形態では、フラップ逆止弁2470は、調節器流路2425の内部に固定されている。
【0226】
いくつかの実施形態によれば、フラップ逆止弁2470は、封止部2479に取り付けられた座部2477を含むことができる。いくつかの実施形態では、座部2477と封止部2479は一体部品となっている。いくつかの実施形態では、座部2477と封止部2479は個別部品となっている。フラップ逆止弁2470はフラップ2473を含むことができる。フラップ2473は第1の端部2473Aと第2の端部2473Bとを持つことができる。フラップ2473の第1の端部2473Aは、封止部2479及び/又は座部2477に回転可能に取り付けることができる。
【0227】
いくつかの実施形態では、バイアル10がアダプタ2400のコネクタインタフェースの上方となるようにアダプタ2400とバイアル10が配向されている場合に、フラップ2473は座部2477上に休止するように構成することができる。いくつかの構成において、フラップ2437と座部2477が接触すると、フラップ逆止弁2470の内側2472と外側2474との間に封止部2476を形成することができる。封止部2476はフラップ逆止弁2470を閉鎖配置とし、バイアル10からの液体L及び/又は他の流体がフラップ逆止弁2470を通過することを抑制することができる。いくつかの実施形態では、アダプタ2400のコネクタインタフェースがバイアル10の上方となるように、アダプタ2400とバイアル10が配向されている場合に、フラップ2473は座部2477から回転して離れるように構成することができる。フラップ2473が座部2477から移動して離れることで、封止部2476がなくなってフラップ逆止弁2470が開放配置となり、フラップ逆止弁2470の内側2472と外側2474が流体連通するようになる。
【0228】
いくつかの実施形態では、フラップ2473は重力の影響によって、座部2477に向かう運動と座部から離れる運動をすることができる。前に説明したように、フラップ2473と座部2477との接触は、フラップ逆止弁2470の内側2472と外側2474の間に封止部2476を形成することができ、フラップ逆止弁2470を閉鎖配置にして、バイアル10からの液体L及び/又はその他の流体がフラップ逆止弁2470を通過することを抑制する。いくつかの実施形態では、重力がフラップ2473を座部2477から移動させて離れさせ、封止部2476を開く。重力の影響でフラップ2473が座部2477から移動して離れることで、封止部2476がなくなってフラップ逆止弁2470が開放配置となり、外側2474と内側2472が流体連通するようになる。いくつかの実施形態では、フラップ2473は閉位置に向けて付勢されている。付勢力は、例えば一つ又は複数の捩じりばね、またはフラップ2473を座部2477に向かって付勢するのに好適な別の特徴(例えば、引張り力、記憶材料、磁石など)によって提供可能である。いくつかの実施形態では、フラップ2473の第1の端部2473Aにかかる付勢トルクは、(例えば、座部2477がフラップ2473の上方に位置する場合に)重力によってフラップ2473の重量が座部2477から引きはがされるときに第1の端部2473Aに生成されるトルクよりも小さい。
【0229】
ボール逆止弁2470が閉鎖配置あるときの、フラップ逆止弁2470の動作のある態様について、次に説明する。例えばいくつかの実施形態では、アクセス流路2445を介してバイアル10へ流体が導入されるか、またはバイアルから引き出されるときに、バイアル10内の圧力は、フラップ逆止弁2470の内側2472の圧力と実質的に同じである。そのような状況では、フラップ逆止弁2470の内側2472内の圧力P2は、フラップ逆止弁2470の外側2474内の圧力P1と実質的に同じであり得る。いくつかの実施形態では、バイアル10がフラップ逆止弁2470の上方にあれば、液体Lまたは他の流体をバイアル10からフラップ逆止弁2470の外側2474へ移動させることができる。いくつかの実施形態では、フラップ逆止弁の外側2474と内側2472との間で圧力が平衡している場合には、フラップ2473は座部2477上に休止したままであって、封止部2476を形成する。シール部2476は、液体L及び/又は他の流体がバイアル10からフラップ逆止弁2470を通って流れることを抑制する。
【0230】
いくつかの実施形態では、アクセス流路2445を介してバイアル10から流体を引きだせば、バイアル10とフラップ逆止弁2470の外側2474の圧力を、フラップ逆止弁2470の内側2472の圧力よりも低くすることが可能である。圧力差によって、フラップ2473を座部2477から移動して離れさせることができる。フラップ2473が座部2477から移動して離れれば、封止部2476がなくなり、調節器流体FRがフラップ逆止弁2470の内側2472を通ってフラップ逆止弁2470の外側2474へ流れることが可能となる。調節器流体FRは次に調節器流路2425を通ってバイアル10中へ流れることができる。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2450内のフィルタを通過してきた流体である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRは調節器アセンブリ2450のエンクロージャの内部体積内に含まれる流体である。調節器流体FRがバイアル10中へ流れることにより、フラップ逆止弁2470の第1の外側2474と内側2072との間の圧力差が相殺、減少、ほぼ解消、または解消されて、フラップ2473を座部2477上の休止位置へ戻させることが可能である。いくつかの実施形態では、調節器流体FRがバイアル10の中に入ることで、バイアル10の内側と調節器アセンブリ2450の内側との間の平衡を維持する助けとなる。フラップ2473が座部2477の休止位置に戻ることで、シール部2476が再形成されて、バイアル10からの液体Lまたは他の流体がフラップ逆止弁2470を通って流れることを阻止できる。
【0231】
いくつかの実施形態では、アクセス流路2445を介して流体をバイアル10へ導入することは(例えば、希釈剤、混合用流体、または過吸引流体が交換デバイス40を介してバイアル10中へ注入される場合)、バイアル10及びフラップ逆止弁2470の外側2474の圧力を、フラップ逆止弁2470の内側2472の圧力よりも高くすることが可能である。この圧力の違いによって、フラップ2473が座部2477に押し付けられシール部2476を圧迫することができる。シール部2476が押し付けられると、バイアル10からの流体Lがフラップ逆止弁2470を通って流れることを抑制できる。いくつかの実施形態では、封止部2476を押し付けることで、アクセス流路2445を介してバイアル10中へ流体が導入されればされるほど、バイアル10の内部圧力とフラップ逆止弁2470の外側2474領域の圧力P1が上昇させ続けられる。いくつかの実施形態では、バイアル10内の圧力が連続的に増加することは、より多くの流体を禁止レベルにまで導入するのに要する力を劇的に上昇させ、結果的に、バイアル10とアダプタ2400またはそれらの部品の間から流体が漏洩する可能性を増大させ得る。したがって、バイアル10に流体を注入する場合には、フラップ逆止弁2470は開位置にあることが望ましい。
【0232】
フラップ2473を座部2477から移動して離すことで、封止部2476を解消し、フラップ逆止弁2470を開放配置にすることができる。いくつかの実施形態では、開放されたフラップ逆止弁2470は、アクセス流路2445を介したバイアル10への流体の導入またはバイアルからの流体の引き出しに際してのフラップ逆止弁2470を通る流体の流れに関して、前に説明した開放されたボール逆止弁2070とほとんど同じ働きをする。いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ2450は前にボール逆止弁2070に関して説明したものと同じ、キー付き、形状、及び/又は位置合わせ、の特徴(例えば、透明材料、目視の位置合わせ標識、整形された流路、及び/又は整形された弁)を多く持つことができる。
【0233】
図21はアダプタ2500の一実施形態を示す。アダプタ2500は穿刺部材2520を含むことができる。いくつかの実施形態では、穿刺部材2520はバイアル10内に配設される。穿刺部材2520は、交換デバイス40と連通するアクセス流路2545を含むことができる。いくつかの実施形態では、穿刺部材2530には、調節器流路2525が含まれ、調節器流路には、ボール逆止弁2520などのような重力または配向閉塞器弁が含まれる。ボール逆止弁2570は、バイアル10と流体連通する、実質的に円形断面で直径D1の、第1の流路2574を含むことができる。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2570は、第1の流路2574と選択的に流体連通する、実質的に円形断面で直径D2の、第2の流路2572を含む。第1の室と第2の室の構造には、他の多くの変形形態が可能である。例えば、他の断面形状が適することもあり得る。
【0234】
ボール逆止弁2570は、第1の流路2574と第2の流路2572の間に肩部2578を含むことができる。いくつかの実施形態では、肩部2578と第1の流路2574の壁との間の角度θ2は、約90°であってよい。いくつかの実施形態では、角度θ2は90°よりも小さい場合も、大きい場合もあり得る。例えばいくつかの実施形態では、この角度θ2は、約75°以下、及び/又は約30°以上である。いくつかの実施形態では、第2の流路2572は、ボール逆止弁2570が開放配置にあるときは、第1の流路2574と流体連通する。いくつかの実施形態では、第1の流路2574の内壁は次第にテーパがついて第2の流路2572の内側の壁となり、第1と第2の流路2574、2572が1つのほぼ円錐台形の流路を形成していてもよい。
【0235】
閉塞器弁は、ボール2573のような閉塞器を含むことができる。いくつかの実施形態では、ボール2573は、バイアル10内の液体Lや他の流体よりも密度の高い材料で作られている。ボール2573は球形であってもよいし、他の何らかの好適な形状であってもよい。いくつかの実施形態では、ボール2573は直径DB2を持つ。直径DB2は、第1の流路2574の直径D1よりも小さく、第2の流路2572の直径D2よりも大きい。例えばいくつかの実施形態では、ボール2573の直径DB2の、第1の流路2574の直径D1に対する比は、約9:10以下、及び/又は約7:10以上である。例えばいくつかの実施形態では、第2の流路2572の直径D2のボール2573の直径DB2に対する比は、約9:10以下、及び/又は約7:10以上である。いくつかの実施形態では、ボール逆止弁2570は拘束部材2577を含むことができる。拘束部材2577は、ボール2570が第1の流路2574の外へ移動して出ることを抑制できる。
【0236】
いくつかの構成において、ボール2573はボール逆止弁2070のボール2073と大体同じように挙動することができる。例えば、ボール2573は、ボール2073がボール逆止弁2070の第1の室2074を動き回れるのと大体同様に、力の影響のもとに第1の流路2574内を動くことができる。ボール逆止弁2570の肩部2578上でボール2573が休止することで、封止部2560を形成することが可能であり、この封止部が、バイアル内の液体L及び/又は他の流体が調節器流路2525内へ流れることを抑制する。多くの点において、ボール逆止弁2570は、重力の影響、アダプタ2570の位置合わせ、及び/又は他の力の下に、ボール逆止弁2070と同様、またはほぼ同様の挙動をする。
【0237】
図22A~2Cはアダプタ3000の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他の任意のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ3000は、コネクタインタフェース3040と、そのコネクタインタフェース3040に部分連通する穿刺部材3020とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ3000は調節器アセンブリ3050を含んでいる。バイアルアダプタ3000は、バイアルアダプタ3000がバイアルに連結されているときに、バイアルからの蒸気または他の有害物質の放出を抑制または阻止するように構成することができる。いくつかの参照番号は、バイアルアダプタ1900及び/又は2000に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似の、
図22A~22C中の部品に対応している(例えば、穿刺部材2020に対する穿刺部材3020)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図22A~22Cのアダプタ3000は、
図26C~27Dのアダプタ1900と2000のある変形形態を示している。
【0238】
穿刺部材3020は調節器流路3025を含むことができる。いくつかの実施形態では、調節器流路3025は遠位調節器開口3028aを起点とし、一般に穿刺部材3020を貫通し、コネクタインタフェース3040から半径方向外向きにほぼ垂直に延在するルーメン3026を貫通する。ある例では、アダプタ3000は、コネクタインタフェース3040から半径方向外向きに、ルーメン3026とは異なる(例えば円周方向にずれるか離間した)方向に延びる第2のルーメン3029を含んでいる。いくつかの実施形態では、第2のルーメン3029は、ルーメン3026の方向とは概ね反対の方向に延びている。
【0239】
アダプタ3000はバリア3083を含むことができる。バリア3083はルーメン3026と第2のルーメン3029の間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、バリア3083はルーメン3026と第2のルーメン3029の間の流体連通を抑制する。いくつかの実施形態では、バリア3083は、ルーメン3026と第2のルーメン3029の間の流体連通を取るための、弁、開口、通路、またはその他の構造を含む。
【0240】
調節器アセンブリ3050は結合部3052を含むことができる。結合部3052は、基部3085と突起3085aを含むことができる。いくつかの実施形態では、結合部3052の少なくとも一部は、熱可塑性樹脂、アクリロニトリルブタジエン(ABS)、ポリカーボネート、及び/又は他のいくつかの好適な材料で作られている。基部3085は、幅WS1を有することが可能であり、これは突起3085aの幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、幅WS1は約0.5インチ以上で、及び/又は約5インチ以下であってよい。例えば、基部3085の幅WS1は約1.2インチであってよい。多くの変形形態が可能である。
【0241】
いくつかの実施形態では、基部3085は、突起3085aの概ね反対方向に延びる、基部延長部3085cを含んでいる。いくつかの実施形態では、基部延長部3085cの少なくとも一部は一般的に突起3085aの反対方向に広がっている(例えば基部の幅WS1が突起3085aから離れる方向に増加している)。いくつかの実施形態では、基部延長部3085cの少なくとも一部は一般的に突起3085aの反対方向に狭くなっている(例えば基部3085の幅WS1が突起3085aから離れる方向に減少している)。いくつかの変形形態によれば、基部延長部3085cの少なくとも一部は突起3085aの反対方向に概ね直線的に延びている(例えば基部3085の幅WS1が突起3085aから離れる方向に実質的に一定のままである)。
【0242】
突起3085aはルーメン3026と係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、突起3085aは、例えば圧入、ねじ結合、または他の解放自在な係合によって、ルーメン3026と取り外し自在に係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、突起3085aは、接着剤、溶接、または他の固定係合によって、ルーメン3026に取り付けられている。突起3085aは、突起状ルーメン3085bを画定することができる。突起状ルーメン3085bは、突起3085aがルーメン3026と係合している場合には、ルーメン3026の少なくとも一部、及び/又は調節器流路3025と流体連通可能である。いくつかの実施形態では、突起状ルーメン3085bの幅は、基部3085の幅WS1よりも小さい幅を持つことができる。例えば、突起状ルーメン3085bの幅は、基部3085の幅WS1の約50%以下、及び/又は基部3085の幅WS1の約10%以上であってよい。いくつかの実施形態では、突起状ルーメン3085bの幅は、基部3085の幅WS1の約25%である。多くの変形形態が可能である。
【0243】
いくつかの変形形態によれば、エンクロージャカバー3084は少なくとも結合部3052の一部を、全体的に包囲するか、またはそれを覆って嵌め込まれることができる。例えば
図33A~33Cに示すように、エンクロージャカバー3084は結合部3052の基部3085の周りに嵌め込まれるか、またはその外側を全体的に包囲するかが可能である。いくつかの実施形態では、エンクロージャカバー3084は、弾性的で、可撓性があり、及び/又は展伸性のある材料で作られている。いくつかの実施形態では、エンクロージャカバー3084は、硬質、または半硬質の材料で作られている。エンクロージャカバー3084は、拡張開口3028を画定できる(例えば
図33A参照)。拡張開口3028は幅WS2を有することができ、これは結合部3052の基部3085の幅WS1よりも実質的に小さい。例えば、拡張開口3028の幅WS2は、基部3085の幅WS1の約20%以上、及び/又は基部3085の幅WS1の約75%以下であってよい。いくつかの実施形態では、拡張開口3028の幅WS2は、基部3085の幅WS1の約45%である。
【0244】
基部3085とエンクロージャカバー3084とは結合して貯蔵室3093を形成することができる。貯蔵室3093は、深さDS2を有してもよい。いくつかの実施形態では、深さDS2は、基部3085と、拡張開口3028を備えるエンクロージャカバー3084(例えば
図33C参照)の一部との間に及んでいる。いくつかの実施形態では、貯蔵室3093は、基部3085の幅WS1に実質的に等しい幅を有する。貯蔵室3093の幅は、アダプタ3000が取り付けられる、バイアル10または他の容器の高さよりも実質的に小さくてよい。例えばいくつかの実施形態では、貯蔵室3093の幅は、バイアル10の高さの約10%以上、及び/又はバイアル10の高さの約75%以下であってもよい。いくつかの実施形態では、貯蔵室3093の幅はバイアル10の高さの約33%である。多くの変形形態が可能である。いくつかの実施形態では、貯蔵室3093は、アダプタ3000とバイアル10を係合させたときにバイアル10の転倒を抑制するために、貯蔵室3093の重量に釣り合わせる釣合い錘部分をアダプタ3000が必要としないような、寸法及び/又は形状となっていてもよい。
【0245】
いくつかの実施形態では、貯蔵室3093は体積VS(例えば貯蔵体積)を有し、これはバイアル10の体積よりも実質的に小さい。いくつかの実施形態では、貯蔵室3093の体積VSは、バイアル10の体積の約5%以上、及び/又はバイアル10の体積の約40%以下である。いくつかの実施形態では、貯蔵室3093の体積VSはバイアル10の体積の約15%である。バイアル10の体積に比べて貯蔵室3093の体積VSが相対的に小さいので、アダプタ3000をバイアルに接続したときにバイアル10のバランスを取るための釣合い錘をアダプタ3000に設けて貯蔵室3093の重量を相殺する必要性が、低減または排除されやすくなる。
【0246】
アダプタ3000がバイアル10に係合されている場合に、基部3085とコネクタインタフェース3040の軸中心線CLとの間の半径方向距離DS1は、インタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径方向距離以下であってよい。いくつかの実施形態では、この半径方向距離DS1は、インタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径距離の約75%以上であるか、及び/又はインタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径距離の約125%以下である。いくつかの実施形態では、半径距離DS1はインタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径距離の約90%である。貯蔵室3093の深さDS2は、半径距離DS1の約20%であってよい。いくつかの実施形態では、半径距離DS1と深さDS2の合計は、インタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径距離の約85%以上であるか、及び/又はインタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径距離の約140%以下である。いくつかの実施形態では、半径距離DS1と深さDS2の合計は、インタフェース3040の軸中心線CLとバイアル10の半径方向外向きの面との間の半径距離の約105%である。
【0247】
いくつかの実施形態では、結合部3052は可撓性エンクロージャ3054を含んでいる。可撓性エンクロージャ3054は可撓性、及び/又は伸縮性材料で作られていてもよい。可撓性エンクロージャ3054は、結合部3052の一部に、エンクロージャ取付けポイント3086で固定することができる。例えば、可撓性エンクロージャ3054は、突起状ルーメン3085bと貯蔵室3093の間のインタフェースにおいて、またはその近くで、結合部に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3054は、溶接、接着剤、または別の結合部を介して結合部3052に取り付けられ、これにより、取付けポイント3086を通って可撓性エンクロージャ3054内または外へ通過する流体を抑制する封止部が提供される。例えば可撓性エンクロージャ3054は、両面発泡体テープまたは他の何らかの好適な接着剤により結合部へ取り付けることができる。多くの変形形態が可能である。
【0248】
いくつかの実施形態では、エンクロージャ3054の外表面積(例えば、調節器流体に接触していない、エンクロージャ3054の表面積)は、約10平方インチ以上、及び/又は約50平方インチ以下であってよい。例えばいくつかの実施形態では、エンクロージャ3054の外表面積は約23平方インチである。多くの変形形態が可能である。エンクロージャ3054が伸縮性材料で作られているいくつかの実施形態では、エンクロージャ3054の材料がどの程度展伸、及び/又は収縮されるかによって、エンクロージャ3054の外表面積は時間とともに変化し得る。
【0249】
可撓性エンクロージャ3054は、主として内側あるいは収縮配置(例えば
図33B)と、主として外側あるいは拡張配置(例えば
図33C)の間を転移するように構成可能である。いくつかの実施形態では、拡張または主として外側配置にあるエンクロージャ3054の直径または断面積は、約1インチ以上または約8インチ以下である。いくつかの実施形態では、拡張配置にあるエンクロージャ3054の直径または断面積は、約3.8インチである。拡張したエンクロージャ3054の直径に関しては多くの変形形態が可能である。可撓性エンクロージャ3054は、収縮位置にある場合に、収縮体積VE1(例えば貯蔵体積)を持つことができる。収縮体積VE1は、貯蔵室3093の体積VSより小さいか、実質的に等しくてもよい。いくつかの場合、貯蔵室3093の体積VSは、約1.5ミリリットル以上、及び/又は約10ミリリットル以下であってよい。いくつかの実施形態では、貯蔵室3093の体積VSは、約2.3ミリリットルである。多くの変形形態が可能である。
【0250】
いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3054が接触された配置にある場合には、折り畳まれ、詰め込まれ、圧縮され、または他の形でコンパクトな状態に変化させられた状態であってよい。圧縮されたエンクロージャ3054は、貯蔵室3093の中へ挿入されて、そこに収納することができる。拡張開口3028の幅WS2が基部3085の幅WS1より小さいいくつかの実施形態においては、可撓性エンクロージャ3054が貯蔵室3093内に収容されているときに、エンクロージャカバー3084は、外部器具及び/又は人と可撓性エンクロージャ3054との間の偶発的接触を抑制することができる。可撓性エンクロージャ3054との接触を制限することで、パンクや引き裂きや、可撓性エンクロージャ3054へのその他の損傷の可能性を低減しやすくなる。
【0251】
いくつかの実施形態では、穿刺部材3020のアクセス流路3045を介して、希釈剤または他の流体をバイアル10中に導入すると、可撓性エンクロージャ3054は、拡張した配置、または主として外側の配置に移行する。バイアル10中に流体が送り込まれるにつれて、バイアル10内の圧力が増加し得る。バイアル10内の圧力の上昇により、流体が調節器流路3025を通って押し出され、可撓性エンクロージャ3054内に入る。可撓性エンクロージャ3054は、流体が可撓性エンクロージャ3054に入るとともに、畳まれた状態から広がり、及び/又は拡張することができる。
図33Cに例示されているように、可撓性エンクロージャ3054が収縮配置から拡張配置に移行するときに、可撓性エンクロージャ3054の少なくとも一部は貯蔵室3093の外へ拡張可能である。可撓性エンクロージャ3054が貯蔵室3093の外へ拡張するとき、エンクロージャカバー3084は拡張開口3028付近で折れ曲がるように構成されていてもよい。エンクロージャカバー3084が折れ曲がることで、拡張開口3028を通って拡張するときに可撓性エンクロージャ3054が損傷を受ける可能性を低減しやすくできる。
【0252】
図33Cに例示すようにいくつかの実施形態では、拡張した、または主として外側にある状態の可撓性エンクロージャ3054の外周または周縁は、一般的に硬質の基部3085の外周または周縁、及び/又は、可撓性または弾性のあるエンクロージャカバー3084の外周よりも実質的に大きくなっていてもよい。例示したようにいくつかの実施形態では、拡張された、または主として外側にある状態の可撓性エンクロージャ3054の前面は、基部3085の前面または前端、及び/又はエンクロージャカバー3084の前面または前端よりも横方向の実質的に遠方へ移動していてもよい。例えば、基部3085の前面または前端、及び/又はエンクロージャカバー3084の前面または前端から、可撓性エンクロージャ3054の前面までの距離は、図に示すように、実質的に貯蔵室3093の厚さDS2以上であってよい。
【0253】
図33Cに示すようにいくつかの実施形態では、拡張した、または主として外側にある状態の可撓性エンクロージャ3054の内部体積の大半は、基部3085の外側、及び/又はエンクロージャ3054の外側にある。
図33Cに示す実施例では、拡張した、または主として外側にある状態の可撓性エンクロージャ3054は、硬質ハウジングの内側または一般的に内側には位置していない。
【0254】
図33Cに示すようにいくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3054は、拡張した、または主として外側にある状態では前面と背面とを持っている。前面は分離されて、背面とは離間している。前面と背面のそれぞれは、一般的に凸面の形状であり得る。例示したように、前面は全体的に基部3085及び/又はエンクロージャ3054の外側にあり、背面の一部または大部分は基部3085及び/又はエンクロージャ3054の外側に位置することができる。
【0255】
図33Cに示すように、可撓性エンクロージャ3054には背面開口があり、これが基部3085の最背面または貯蔵室3093の最背面に接触可能である。可撓性エンクロージャ3054のこの開口の直径または断面積は、可撓性エンクロージャ3054の最大の直径又は断面積よりも実質的に小さくてよい。いくつかの実施形態では例示したように、可撓性エンクロージャ3054の内部の空気または他の流体は、貯蔵室3093の他の部分の内部の空気または流体とは連通していない。可撓性エンクロージャ3054は次のように構成することができる。(a)第1の領域が可撓性エンクロージャ3054と貯蔵室3093の間の取付けポイントから始まる。(b)内部の流体(空気など)が拡張すると第1の方向に移動する。(c)収縮段階では、第1の領域に向かって、第1の方向とはほぼ逆の第2の方向に戻る。(d)収縮段階の間または収縮段階の終わりには第1の領域で、またはその近くで停止する。そして収縮段階の間または収縮段階の後に、第1の領域以上には第2の方向へ展伸しない。
【0256】
いくつかの変形形態では、可撓性エンクロージャ3054が拡張することで、バイアル10内の圧力を実質的に一定に維持しやすくなる。可撓性エンクロージャ3054の寸法と形状は、エンクロージャ3054の拡張体積VE2(例えば展開体積)(例えば可撓性エンクロージャ3054の最大容量)が、バイアル10の体積の約25%より大きいか、及び/又はバイアル10の体積の約75%より小さくなるようすることができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3054の拡張体積VE2は、バイアル10の体積の約50%である。バイアル10の体積に対する、可撓性エンクロージャの拡張体積VE2の相対的大きさに関しては、多くの変形形態が可能である。いくつかの実施形態では、エンクロージャ3054の拡張体積VE2は、約25ミリリットル以上、及び/又は約200ミリリットル以下である。例えばいくつかの実施形態では、エンクロージャ3054の拡張体積VE2は約100ミリリットルである。多くの変形形態が可能である。
【0257】
アクセス流路3045を介してバイアル10から流体を引き出せば、バイアル10内の圧力が減少するので、調節器流路3025内に圧力不足が生じ得る。調節器流路3025内で圧力不足が生じると、可撓性エンクロージャ3054から少なくとも一部の流体をバイアル10中へ引き込むことができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3054から流体をバイアル10へ移送すれば、バイアル10内の圧力を実質的に一定に保持しやすくなる。
【0258】
いくつかの実施形態では、フィルタ3061を調節器開口3028aと可撓性エンクロージャ3054の間に介在させることができる。例えば、フィルタ3061を延長開口部3085b内に配置することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ3061はルーメン3026内に配置される。フィルタ3061は疏水性、及び/又は抗菌性のフィルタであり得る。いくつかの実施形態では、フィルタは焼結ポリエチレンまたは他の何らかの好適な材料で作られている。いくつかの場合、フィルタ3061はバイアルから可撓性エンクロージャへの流体の通過を抑制することができる。
【0259】
調節器アセンブリ3050は弁3070を含むことができる。弁3070は、調節器流路3025内、及び/又は延長ルーメン3085b内に配置可能である。弁3070は、前に説明したボール逆止弁2070と類似または実質的に同一の、ボール逆止弁であってよい。いくつかの実施形態において弁3070は、ボール逆止弁2070’、ボール逆止弁2170、ドーム形弁2270、シャワーヘッドドーム形弁2370、フラップ逆止弁2470、ボール逆止弁2570、または本明細書または他で開示されたその他の任意の好適な弁、に類似または同一である。弁3070はバイアル10から可撓性エンクロージャ3054内への液体の通過を抑制することができる。いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ3050は、調節器流路3025にも延長ルーメン3085bにも弁を含まない。
【0260】
可撓性エンクロージャ3054が拡張する前にバイアル10から流体を引き出せば、バイアル10内の圧力が減少するので、調節器流路3025内に圧力不足が生じ得る。調節器流路3025内に圧力不足が生じると、可撓性エンクロージャ3054の内側と可撓性エンクロージャ3054の外側との間の圧力勾配によって、可撓性エンクロージャ3054を延長ルーメン3085bの方向に“引っ張る”ことが可能となる。前に説明したようにいくつかの実施形態では、可撓性クロジャ3054は初期の収縮配置においては折り畳まれている。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャ3054が折り畳まれ/層状になっていること、及び/又は可撓性エンクロージャ3054の材料特性によって、可撓性エンクロージャ3054が延長ルーメン3085b内へ引っ張られることを抑制できる。
【0261】
いくつかの実施形態では、第2のルーメン3029は調節器流路3025とバイアル10に流体連通している。いくつかの実施形態では、一方向弁3095(例えばダックビル弁、ドーム形弁、または類似の弁)が第2のルーメン3029内に配置されている。一方向弁3095は、第2のルーメン3029を通ってアダプタ3000の外へ流体が流れることを抑止するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、一方向弁3095に所定の圧力勾配(例えばクラッキング圧力)が掛けられたときに、一方向弁3095はアダプタ3000の外から一方向弁3095を通ってルーメン3029内に流体が流れることを可能とするように構成されている。例えば、バイアル10から流体がアクセス流路3045を介して取り出され、また可撓性エンクロージャ3054が収縮配置にある場合に、一方向弁3095はバイアル10中へ流体を流れさせるように構成することが可能である。そのようないくつかの構成において、一方向弁3095を通ってバイアル10中へ入る流体の流れは、バイアル10からの流体を引き出した直後のバイアル10内の圧力を実質的に一定に維持しやすくする。
【0262】
いくつかの実施形態では、フィルタ3094を外気と一方向弁3095の間に配置可能である。フィルタ3094は疏水性、及び/又は抗菌性のフィルタであり得る。いくつかの実施形態では、フィルタ3094は微生物やその他の汚染物が外気から一方向弁3095を通ってバイアル10中へ流れることを抑制可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ3094はフィルタ保持器3094aによって、少なくとも部分的にルーメン3029の内部に保持されている。いくつかの実施形態では、フィルタ保持器3094aは一方向弁3095をルーメン3029内の位置に保持する。
【0263】
図33Dは、アダプタ3000’と結合部3052’の一実施形態を示している。部品に対する参照番号は、プライム記号が付けられている以外は、これまでに述べたものと同一である。このような参照符号が現れた場合、他の記述がない限り、その部品は前に述べたものと同一または実質的に同じであると理解されたい。例えば、結合部3052’は可撓性エンクロージャ3054’を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合部3052’は、拡張開口3028’を画定するエンクロージャカバー3084’を含んでいる。結合部3052’とカバー3084’は、可撓性エンクロージャ3054’が収縮配置にあるとき、可撓性エンクロージャ3054’を収納するように構成された貯蔵室3093’を画定可能である。可撓性エンクロージャ3054’は、拡張開口3028’において、またはその近くでカバー3084’に接続可能である。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3054’は結合部3052’の基部3085’に取り付けられる。
【0264】
結合部3052’は、構造的及び/又は機能的に前述の弁3095と類似または同一の弁3095’を含むことができる。弁3095’は外気及び貯蔵室3093’との間の選択的な流体連通を提供可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ3095’は弁3095’と外気との間に位置している。フィルタ3095’はフィルタ保持器3095a’により固定することができる。
【0265】
図33Eは、アダプタ3000”と結合部3052”の一実施形態を示している。以前説明したものと同一又は類似の部品に対しては、プライム記号(”)が付けられている以外は、対応する参照番号を用いた。このような参照符号が現れた場合、他の記述がない限り、その部品は前に述べたものと同一または実質的に同じであると理解されたい。例えば、結合部3052”は可撓性エンクロージャ3054”を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合部3052”は、拡張開口3028”を画定するエンクロージャカバー3084”を含んでいる。結合部3052”とカバー3084”は、可撓性エンクロージャ3054”が収縮配置にあるとき、可撓性エンクロージャ3054”を収納するように構成された貯蔵室3093”を画定可能である。結合部3052”は、ルーメン3026”とアダプタ3000”とに係合するように構成された突起3085a”を含むことができる。いくつかの実施形態では、突起3085a”は弁3095”を含む。弁3095”は、前に述べた弁3095と構造的、及び/又は機能的に類似または同一であってよい。弁3095”は外気及び貯蔵室3093”との間の選択的に流体連通可能となるように構成可能である。
【0266】
図23A~23Bはバイアルアダプタ3100の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ3100は、コネクタインタフェース3140と、そのコネクタインタフェース3140に部分連通する穿刺部材3120とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ3100は調節器アセンブリ3150を含んでいる。
図23A~23B中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3000に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材2020に対する穿刺部材3120)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図23A~23Bのアダプタ3100は、
図22A~22Cのアダプタ3000のある変形形態を示している。
【0267】
アダプタ3100はコネクタインタフェース3140から半径方向外向きに延伸するルーメン3126内に少なくとも部分的に収納される可撓性エンクロージャ3154を含むことができる。いくつかの実施形態において、アダプタ3100がバイアル10に連結されて、流体が穿刺部材3120のアクセス流路3145を経由してバイアル10中へ導入されるとき、可撓性エンクロージャ3154は収縮配置(例えば
図23A参照)から拡張配置(例えば
図23B参照)へ転移する。アクセス流路3145を経由してバイアル10から流体が引き出されると、可撓性エンクロージャ3154は収縮配置へ転移することができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3154が拡張及び/又は収縮することで、アクセス流路3145を介して流体がバイアル10中へ導入されたりバイアルから引き出されたりする際に、バイアル10内の圧力を実質的に一定に維持するようにする。
【0268】
いくつかの実施形態では、アダプタ3100は弁3170を含む。弁3170は、調節器流路3125内、及び/又はルーメン3126内に配置可能である。いくつかの実施形態において弁3170は、ボール逆止弁2070、ボール逆止弁2070’、ボール逆止弁2170、ドーム形弁2270、シャワーヘッドドーム形弁2370、フラップ逆止弁2470、ボール逆止弁2570、または本明細書または他で開示されたその他の任意の好適な弁、に類似または同一である。弁3170はバイアル10から可撓性エンクロージャ3154内への液体の通過を抑制することができる。
【0269】
フィルタ3161は、調節器流路3125内、及び/又はルーメン3126内に配置可能である。フィルタ3161は疏水性、及び/又は抗菌性であってよい。いくつかの実施形態では、フィルタ3161はバイアル10の内側と可撓性エンクロージャの内側との間を流体が通過することを阻止する。
【0270】
図24A~24Bはバイアルアダプタ3200の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ3200は、コネクタインタフェース3240と、そのコネクタインタフェース3240に部分連通する穿刺部材3220とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ3200は調節器アセンブリ3250を含んでいる。
図24A~24B中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3100に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材3120に対する穿刺部材3220)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図24A~24Bのアダプタ3200は、
図23A~23Bのアダプタ3100のある変形形態を示している。
【0271】
バイアルアダプタ3200は可撓性エンクロージャ3254を含むことができる。可撓性エンクロージャはエンクロージャカバー部3284を含むことができる。エンクロージャカバー部3284は、弾性材料及び/又は半硬質材料で作られていてもよい。いくつかの実施形態では、エンクロージャカバー部3284は、接着剤、溶接、または他の何らかの液密取付け具を介して、可撓性エンクロージャ3254に取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバー部3284は可撓性エンクロージャ3254と一体形成されている。
【0272】
カバー部3284は、ルーメン3226の一つ又は複数のカバー係合特徴と、開放自在に係合するように構成されていてもよい。例えば、カバー係合特徴3285は、ルーメン3226内の一つ又は複数の環状または半環状のリセス3285であってもよい。カバー部3284はこの一つ又は複数のリセス3285に納まっていて、調節器流路3225内の圧力が増加すると(例えばアダプタ3200が接続されているバイアル10中に、アダプタ3200のアクセス流路3245を経由して流体が導入されると)、カバー部3284が撓んで一つ又は複数のリセス3285から押し出され、そしてルーメン3226の外へ押し出されるように構成されていてもよい。カバー部3284が一つ又は複数のリセス3285から、そしてルーメン3226から解放されることで、可撓性エンクロージャ3254が拡張配置に移行する(例えば
図24B参照)。
【0273】
いくつかの実施形態において一つ又は複数のリセス3285の構成は、カバー部3284を一つ又は複数のリセス3285から外してコネクタインタフェース3240から半径方向で離れる向きに移動させるのに要する圧力差が、カバー部3284を一つ又は複数のリセス3285から外してコネクタインタフェース3240に向かって半径方向に移動させるのに要する圧力差より小さくなるようになっている。
【0274】
図25A~25Bはバイアルアダプタ3300の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ3300は、コネクタインタフェース3340と、そのコネクタインタフェース3340に部分連通する穿刺部材3020とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ3300は調節器アセンブリ3350を含んでいる。
図25A~25B中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3200に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材3220に対する穿刺部材3320)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図25A~25Bのアダプタ3300は、
図24A~24Bのアダプタ3200のある変形形態を示している。
【0275】
アダプタ3300は、アダプタ3300のルーメン3326内の一つ又は複数のリセス3385と開放自在に係合するように構成されたエンクロージャカバー3384を含むことができる。いくつかの実施形態において、アダプタ3300は可撓性エンクロージャ3354を含んでいる。可撓性エンクロージャ3354はルーメン3326内に収納することができる。アダプタ3300が連結されているバイアル10に流体を導入すると、調節器流路3325、及び/又はルーメン3326内の圧力を上昇することができる。調節器流路3325、及び/又はルーメン3326内の圧力を上昇させると、可撓性エンクロージャ3354をエンクロージャカバー3384の方向に拡張させることができる。可撓性エンクロージャ3354をエンクロージャカバー3384の方向へ拡張すると、エンクロージャ3354がカバー3384と接触し、カバー3384を一つ又は複数のリセス3385との係合から押し出す(例えば
図25B参照)。エンクロージャカバー3384が一つ又は複数のリセス3385から外れると、可撓性エンクロージャ3354がルーメン3326の外へ拡張することが可能となる。
【0276】
図26A~26Cはバイアルアダプタ3400の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ3400は、コネクタインタフェース3440と、そのコネクタインタフェース3440に部分連通する穿刺部材3420とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ3400は調節器アセンブリ3450を含んでいる。
図26A~26C中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3300に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材3320に対する穿刺部材3420)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図26A~26Cのアダプタ3400は、
図25A~25Bのアダプタ3300のある変形形態を示している。
【0277】
いくつかの実施形態では、アダプタ3400は、アダプタ3400のルーメン3426内に収納された可撓性エンクロージャ3454を含んでいる。アダプタ3400は、一対のヒンジ3495a、3495bでアダプタ3400のルーメン3426にヒンジ接続された、一対のエンクロージャカバー2484a、3484bを含むことができる。カバー2484a、3484bは、カバー係合ポイント3496で互いに係合するように構成することができる。カバー2484a、3484bの1つまたは両方は、もう一方のカバー2484a、3484bに係合するように構成された、カバー係合特徴(例えば段差面)を含むことができる。カバー2484a、3484bの間が係合することで、カバー2484a、3484bが意図せずに開くことを防止しやすくできる。可撓性エンクロージャ3454がカバー2484a、3484bに向かって拡張すると、可撓性エンクロージャ3454をカバー2484a、3484bに接触させることができる。カバー2484a、3484bは可撓性エンクロージャ3454からの圧力を受けて開放するように構成することができる(
図26B、26C参照)。カバー2484a、3484bが開放されると、
図26Cに示すように、可撓性エンクロージャ3454は拡張配置に変移することができる。
【0278】
図27A~27Cはバイアルアダプタ3500の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ3500は、コネクタインタフェース3540と、そのコネクタインタフェース3540に部分連通する穿刺部材3520とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ3500は調節器アセンブリ3550を含んでいる。
図27A~27C中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3400に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材3420に対する穿刺部材3520)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図27A~27Cのアダプタ3500は、
図26A~26Cのアダプタ3400のある変形形態を示している。
【0279】
アダプタ3500は、アダプタ3500のルーメン3526内に収納された可撓性エンクロージャ3554を含んでいる。いくつかの実施形態では、アダプタ3500はヒンジ3595を介してルーメン3526に取り付けられたヒンジ付エンクロージャカバー3584を含んでいる。いくつかの実施形態では、カバー3584はルーメン3526のリセス3585に係合するように構成されている。カバー3584とルーメン3526が係合することで、カバー3584が意図せずに開いて可撓性エンクロージャ3554を露出させることを抑制できる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ3554が拡張配置(例えば
図27C参照)に移行する際に、可撓性エンクロージャ3554がカバー3584の内側に掛ける圧力でカバー3584をリセス3585から離脱させることができる。カバー3584は、弾性材料、硬質材料、及び/又は半硬質材料で作ることができる。
【0280】
図28A~28Jはバイアルアダプタ4000の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ4000は、コネクタインタフェース4040と、そのコネクタインタフェース4040に部分連通する穿刺部材4020とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ4000は調節器アセンブリ4050を含んでいる。例示したように、バイアルアダプタ4000は、バイアルアダプタ4000がバイアルに連結されているときに、バイアルからの蒸気または他の有害物質の放出を抑制または阻止するように構成することができる。
図28A~28J中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ3000に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材3020に対する穿刺部材4020)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図28A~28Jのアダプタ4000は、
図22A~22Cのアダプタ3000のある変形形態を示している。
図28C、28D、28Jなどの、
図28A~28J内のいくつかの図面には、アダプタ4000の貯蔵室4096内に配置された可撓性エンクロージャ4054が図示されていない。ただし、
図28G~28Iに示すように、可撓性エンクロージャ4054は室4096内に格納されている。
【0281】
いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ4050は、調節器入れ子4090と連結(例えば開放自在に連結、または固定連結)するように構成された調節器基部を含んでいる。調節器基部4030は、硬質材料または半硬質材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、調節器基部4030はポリマー(例えばポリカーボネート)で作られている。調節器基部4030は結合突起4085aを含むことができる。いくつかの実施形態では、結合突起4085aは結合通路4031(例えば調節器アセンブリ流路)を画定する。結合突起4085aは、バイアルアダプタ4000のルーメン4026と連結するようにすることができる。例えば、結合突起4085aは、バイアルアダプタ4000のルーメン4026の内側断面に概ね合致するような寸法と形状となった外断面形状(例えば円形、長円形、または他の形状)を持っている。いくつかの実施形態では、結合突起4085aはルーメン4026中に摩擦嵌合するようにできている。いくつかの実施形態では、結合突起4085aをルーメン4026に取り付けるのに、超音波溶接、糊、または接着剤などの一つ又は複数の取付け法が利用される。
図28Gに示すように、結合突起4085aがルーメン4026に連結されているか、別の形でルーメンに結合されている場合には、結合通路4031はバイアルアダプタ4000の調節器流路4025と流体連通することができる。例えば、結合突起4085aは、弁4070とルーメン4026の近位端の間の調節器流路4025の一部で画定される近位通路(例えば近位調節器通路)に連結されていてもよい。いくつかの実施形態では、調節器アセンブリ4050は、調節器流路4025にもルーメン4031にも弁を含まない。
【0282】
図28Dに示されているように、調節器基部4030は、調節器基部4030から結合突起4085aがある方向とは概ね逆の方向に延在する基部突起4033を含むことができる。基部突起4033は外幅(例えば外径)D4を持つことができる。基部突起4033の内壁は結合通路4031の一部を含むことができる。調節器基部4030はいくつかの実施形態では、軸方向突起4046を含むことができる。軸方向突起4046は調節器基部4030から基部突起4033と同じ方向に延伸することができる。軸方向突起4046はいくつかの実施形態では、一般的に環状形をしている。いくつかの実施形態では、軸方向突起4046は、ほぼ長円形、ほぼ多角形、ほぼ円形、または他の任意の適切な形状をしている。
【0283】
いくつかの実施形態では、フィルタ空洞4047(例えばフィルタ室)は、基部突起4033と軸方向突起4046の間の(例えばルーメン4031の一部を囲む)空間に配置することができる。フィルタ空洞4047の内幅は基部突起4033の幅D4であってよい(例えば、フィルタ空洞4047の内壁が幅D4であってよい)。フィルタ空洞4047の外幅D9は、軸方向突起4046の内幅であってよい(例えば、フィルタ空洞4047の外壁が軸方向突起4046の幅に実質的に等しい幅であってよい)。いくつかの実施形態では、フィルタ空洞4047は一般的にトロイド形をしている。ここで「トロイド」という語は、その広義の、通常の意味で使用されており、例えばトロイド形(例えば三角形、四角形、多角形のトロイド)、不規則なトロイド形(例えば、突起、非円形形状、ノッチ、切欠きなどのあるトロイド)、またはそれらの任意の組合せを含んでいる。いくつかの実施形態では、フィルタ空洞4047は、ほぼ正方形、ほぼ四角形、ほぼ三角形、ほぼ長円形、または他の形状をしている。
【0284】
フィルタ4061はフィルタ空洞4047内に嵌合する寸法になっていてもよい。フィルタ4061は、フィルタ空洞4047の内幅D4にほぼ等しいかそれより小さい内幅(例えば直径)D5を持っていてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ4061の内幅D5は、フィルタ空洞4047の内幅D4よりも大きい。いくつかの実施形態では、フィルタ4061は、フィルタ空洞4047の外幅D9に大体等しいかそれよい大きい、外幅(例えば直径)D6を持っている。フィルタ4061は疏水性、及び/又は抗菌性のフィルタであってよい。いくつかの実施形態では、フィルタ4061は、紙、ポリマー、発泡体、または軽量多孔材料などのその他の材料で作られている。いくつかの実施形態では、フィルタ4061は可撓性または半可撓性の材料でできている。フィルタ4061はフィルタ空洞4047に挿入するときに変形するようになっていてもよい。例えば、内幅D5のフィルタ4061は、幅D4の基部突起4033にぴったり嵌ってもよいし、または引き伸ばしてそこに入れてもよい。いくつかの実施形態では、外幅D6のフィルタ4061は、外幅D9のフィルタ空洞4047にぴったり嵌ってもよいし、そこに押し込まれてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ4061とフィルタ空洞4047との間を滑り嵌めとすることで、流体がフィルタ空洞4047及び/又は結合流路4031中へ流入、及び/又はそこから流出することを抑制可能である。
【0285】
調節器アセンブリ4050はダイヤフラム4063を含むことができる。ダイヤフラム4063はいくつかの実施形態では、一般に円形または一般に環状形(例えば図示するように一般的にトロイド形)をしていてよい。いくつかの実施形態では、ダイヤフラム4063の形状は調節器基部4030の軸方向突起4046の形状に概ね一致するようになっている。ダイヤフラム4063は基部4030の内部または上に挿入することができる。例えば、ダイヤフラム4063のリップ4063bは、軸方向突起4046の放射方向(例えば
図28Hの上下)の外側の周りに嵌るように構成することができる。ダイヤフラム4063は、幅(例えば直径)D3の内側開口4063a(例えば図示したように内周によって画定される穴)を含むことができる。例えば、内側開口4063aは一般的に円形であってよい。いくつかの実施形態では、図示したように幅D3は基部突起4033の外幅D4よりも小さくてよい。いくつかの実施形態では、図示したようにダイヤフラム4063は一般的に基部突起4033と同軸になっている。いくつかの実施形態では、図示したようにダイヤフラム4063は一般的に結合通路4031と同軸になっている。いくつかの実施形態では図示したように、ダイヤフラム4063の内側開口4063a(例えば穴または内穴)は、調節器アセンブリ流路の一部を含んでいる。
【0286】
調節器入れ子4090は、調節器基部4030と開放自在またはその他の形で連結するように構成可能である。
図28Cに示すように、調節器入れ子4090は一つ又は複数の固定部材4092を含むことができる。固定部材4092は、調節器基部4030上の固定開口4034と係合するような構造及び/又は構成とすることができる。固定部材4092は、調節器基部4030の固定開口4034中へ挿入するようになった、クリップ、タブ、またはその他の突起を備えることができる。例えば、固定部材4092は末端にフック4092bを持ったタブ4092aを備えることができる。固定部材4092は弾性材料で作ることができる。例えば、固定部材4092のタブ4092aは、放射方向(例えば
図28Hでは上下方向)の力がフック4092bに掛けられた場合、変形する(例えば反る)かまたはその他の運動をするように構成することができる。調節器基部4030は、タブ4092aが開口4034に挿入されると、フック4092bを半径方向(例えば
図28Hでは上下方向)の外向きに反らせるように構成された角度付きのタブ4034aを含むことができる。フック4092bは、固定開口4034を通過すると弾けて元の位置に戻り、角度付きのタブ4034aの背面側(例えば調節器入れ子4090から離れる側〉に係合して、調節器入れ子4090を調節器基部4030に固定することができる。
【0287】
図28Gに示すように、調節器入れ子4090は軸方向突起4094を含むことができる。軸方向突起4094は、調節器入れ子4090が調節器基部4030と連結している場合には、調節器入れ子4090から調節器基部4030に向かって延伸することができる。軸方向突起4090はいくつかの実施形態では、一般的に環状形をしている。いくつかの実施形態では、軸方向突起4094は、ほぼ長円形、ほぼ多角形、ほぼ円形、または他の任意の適切な形状をしている。軸方向突起4094の形状は、調節器基部4030の軸方向突起4046の形状と類似または同一であってよい。例示したように、調節器入れ子4090が調節器基部4030と連結する際に、軸方向突起4094はダイヤフラム4063の少なくとも一部と接触することができる。いくつかの実施形態において、調節器入れ子4090の軸方向突起4094とダイヤフラム4063との間の接触によって、ダイヤフラム4063の少なくとも一部を軸方向突起4094と、調節器基部4030の軸方向突起4046との間の位置に固定することができる。例えば、軸方向突起4046、4094はダイヤフラム4063の位置をリップ4063bに隣接して固定することができる。
【0288】
例示したようにいくつかの実施形態において、基部突起4033は、結合突起4032から離れる方向に、軸方向突起4046よりも遠くまで延伸可能である。いくつかの実施形態において、調節器入れ子4090が調節器基部4030に連結されるとき、内側開口4063aに隣接するダイヤフラム4063の一部が結合突起4032から離れる方向に反れるか、その他の形で移動させられる。ダイヤフラム4063の内側開口4063aに隣接する部分が反れることで、付勢力(例えばダイヤフラム4063の材料内での復元力)を形成することができ、これがダイヤフラム4063の内側開口4063aを基部突起4033のリップ(例えば基部突起4033の調節器基部4030から最も遠い端部)へ向かって付勢することができる。基部突起4033のリップは、その前方端部で少量のインタフェースまたは表面積が接触しやすくなるような構成(角度がついたまたは斜面となったような構成)で形成することができる。例えば、弁座4035を、基部突起4033の半径方向(例えば
図28Hでの上下方向)の外側部分またはその近くに形成することができる。ダイヤフラム4063と弁座4035の間の係合により、一方向ダイヤフラム弁(例えば、例示したようなダイヤフラム逆止弁または吸込み弁)を形成可能であり、より詳細を以下で説明する。弁座4035は、結合突起4032から、リップの半径方向(例えば
図28Hでの上下方向)の内側部分よりも遠くに配置することができる。いくつかの実施形態において、リップが斜めになっていることにより、ダイヤフラム4063と弁座4035との間の接触部またはインタフェースの表面積が小さくなり、ダイヤフラム4063が弁座4035に粘着することを抑制または阻止することができる。
【0289】
いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ4000はエンクロージャカバー4098を含んでいる。エンクロージャカバー部4098は、弾性材料、可撓性材料、または半可撓性材料で作られていてもよい。例えば、エンクロージャカバー4098は、ゴム、シリコーン、及び/又はその他の可撓性または半可撓性材料で作ることができる。エンクロージャカバー4098は、調節器入れ子4090の半径方向(例えば
図28Hでの上下方向)の外側の周りに嵌め込むことのできる寸法と形状であってよい。例えば
図28Gに示すように、エンクロージャカバーは、調節器入れ子4090の軸方向の1つの側(例えば、組立てられた調節器アセンブリ4050において、調節器基部4030に最も近い、調節器入れ子4090の軸方向の側)の周りを包み込むように構成された内側リップ4098aと、調節器入れ子4090のもう一方の軸方向の側の周りを包み込むように構成された外側リップ4098bとを含むことができる。例示したように、内側リップ4098aは、外側リップ4098bと大体同じ厚さかまたはより厚くてよい。いくつの実施形態では、調節器エンクロージャカバー4098の内側リップ4098aは、調節器入れ子4090が調節器基部4030と連結されているときは、調節器入れ子4090と調節器基部4030との間に配置されているか、または無理やり押し込まれていてもよい。いくつかの実施形態では、エンクロージャカバー4098の内側リップ4098aを押し込むことで、エンクロージャカバー4098が調節器入れ子4090から分離することを抑制または阻止することができる。いくつかの実施形態では、接着剤を使って、エンクロージャカバー4098を調節器入れ子4090に接着させることができる。エンクロージャカバー4098の外側リップ4098bは、拡張開口4028を含むか画定することができる。例えば、外側リップ4098bは円形または別の形状の開口を画定して、拡張開口4028を画定することができる。拡張開口4028は、調節器入れ子4090の幅WS3よりも小さい幅WS4であり得る。
【0290】
図28Gに示すように、バイアルアダプタ4000は可撓性エンクロージャ4054を含むことができる。可撓性エンクロージャ4054は、調節器入れ子4090及び/又はエンクロージャカバー4098内の貯蔵室4096内に嵌め込まれるように構成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054が収縮配置にあるときは、可撓性エンクロージャ4054は貯蔵室4096の中に折りたたまれている。いくつかの実施形態では例示したように、可撓性エンクロージャ4054は、可撓性エンクロージャ4054材料をその材料の面内で引き伸ばすことでは一般に拡張しなくて、拡張を阻害する逆の圧力の生成によって、可撓性エンクロージャ4054内のガスが押し戻されて可撓性エンクロージャ4054の外へ出やすくなる傾向を回避する。逆に、可撓性エンクロージャ4054を主として引き伸ばすのではなく主として畳まれた状態から広げて体積を増加させることにより、システム内の他の一つ又は複数の力がそのように作用しない限りは、またはそのように作用するまでは、可撓性エンクロージャ4054内部のガスは一般的に可撓性エンクロージャ4054の外へ押し出されることはない。可撓性エンクロージャ4054は、取付けポイント4056で調節器入れ子4090に接続することが可能である。例えば、接着剤(例えば、糊、テープ、発泡体テープ、またはその他の適切な接着剤)を用いて、可撓性エンクロージャ4054の開口を調節器入れ子4090に取り付けることができる。可撓性エンクロージャ4054は調節器入れ子4090に液密な状態で、接続及び/又は連結することができる。例えば、可撓性エンクロージャは、調節器基部4030の結合通路4031に連通する内側体積VE1、VE2を画定することができる。いくつかの実施形態では、ダイヤフラム逆止弁が閉位置にあるときは、可撓性エンクロージャ4054の内容積VE1、VE2は外気とは流体連通していない。
【0291】
いくつかの実施形態では
図28Hに示すように、調節器アセンブリ4050は一つ又は複数の吸込みポート4044を含むことができる。吸込みポート4044は結合突起4032に沿って、またはその近くに配置することができる。いくつかの実施形態では、吸込みポート4044は結合突起4032から離れた、調節器基部4030の壁に配置される。一つ又は複数のスペーサ4044aを吸込みポート4044に隣接して配置することができる。スペーサ4044aは、調節器基部4030がルーメン4026に連結されるときに、結合突起4032がルーメン4026中に入り込む程度を制限するように構成できる。いくつかの実施形態では、スペーサ4044aは、吸込みポート4044が調節器基部4030及び/又はルーメン4026で塞がれることを抑制または阻止する。
【0292】
図28Gに示すように、吸込みポート4044は外気とフィルタ4061との間の連通をし易くすることができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ4000が、取り付けられているバイアルから流体を引き出すと、結合通路4031内に圧力不足が生じ得る。結合通路4031の圧力が下がると、弁座4035とダイヤフラム4063の間の界面に圧力差が生じ得る。いくつかの実施形態では、所定の圧力差(例えば結合通路4031の圧力が大気圧よりも低くなっているような圧力差)がダイヤフラム4063の前後に与えられると、ダイヤフラム4063は反るかまたは他の動きをして弁座4035から離れるように構成されている。
図28Hに示すように、ダイヤフラム4063が反るかまたは他の動きで弁座4035から離れる(例えば、例示したようダイヤフラムまたは吸込み弁が開放配置に転移する)ことで、外気と結合通路4031との間の流体連通(例えば例示したように、弁座4035と、内側開口4063aを備える弁部材4063の内周との間の、調節器アセンブリ4050の内側への流体流)を促進することができる。いくつかの実施形態では、外気と結合通路4031との間の流体連通は、バイアル10の内側と外気との間の圧力の等化を助けることができる。外気から結合通路4031へ流れる流体は、フィルタ4061を通過することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ4061は、ダイヤフラム逆止弁が開放されている場合(例えばダイヤフラム4063が弁座4035から解放されている場合)に、汚染物(例えば、バクテリア、ウイルス、粒子)が結合通路4031中へ導入されることを抑制または阻止することができる。バイアルの内側(例えば、結合通路4031)と外気との間に所定の圧力差(例えば、ほぼ等しい圧力、または他の何らかの圧力差)が生じると、ダイヤフラム4063は、弁座4035との係合状態(例えばダイヤフラムまたは吸込み弁の閉鎖配置)に戻るように構成可能である。
【0293】
いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ4000をバイアル10に結合した後、アクセス流路4045を介して流体をバイアル10中に注入する前と後の両方において、医療従事者は、アクセス流路4045を経由して通気する形でバイアル10から流体を引きだすことがある。例えば、ダイヤフラム3063と弁座4035によって形成されたダイヤフラム逆止弁は、流体を吸込みポート4044からフィルタ4061を介して流入させて可撓性エンクロージャ4054を拡張させる前に、流体を通気させる形で(例えば、流体の引き出し時にバイアル10内を所定の圧力範囲に維持するようにして)アクセス流路4045を介してバイアル10から流体を引き出させることが可能である。いくつかの実施形態では、バイアル内のガス圧を外気とほぼ同水準に維持して、引き出し用医療器具(バイアルアダプタに接続されたシリンジなど)の内部の流体が、意図せずにバイアル中へ引き戻されないようにして、接続時または取り外し時の微小スプレーやガス放出やその他の望ましくない事態の発生リスクを実質的に低減又は排除させるようにする。
【0294】
いくつかの実施形態では、アクセス流路4045を介してバイアル10中に流体を導入すると、結合通路4031内での圧力上昇が発生し得る。可撓性エンクロージャ4054内部の体積は、結合通路4031内の圧力上昇に応じて、所望または所定の圧力になるまで拡張するように構成可能である。例えば、流体がアクセス流路4045を経由してバイアル中に導入されると、結合流路4031内の圧力があるポイントまで上昇して、可撓性エンクロージャ4054内の体積が拡張して、
図28Iに示すような拡張配置になることができる。この拡張配置においては、可撓性エンクロージャは、幅(例えば直径)がD7(例えば拡張幅または展開幅)となることができる。可撓性エンクロージャ4054の幅D7は、調節器入れ子4090の幅(例えば直径)D11よりも大きくてよい。例えば、幅D7は幅D11の約110%以上であってよく、及び/又は幅D11の約500%以下であってよい。いくつかの実施形態では、拡張した可撓性エンクロージャ4054の幅D7は、調節器入れ子4090の幅D11の約320%である。
図28Iに例示した実施例に示すように、調節器入れ子4090の幅D11は、コネクタインタフェース4040の近位端と穿刺部材4020の遠位端の間の距離に大体同じかそれより小さくてよく、及び/又は調節器入れ子4090の幅D11は、コネクタインタフェース4040の近位端と、バイアルの一部を把持するようになったバイアルアダプタの接続部4020との間の距離に大体同じかそれより小さくてよく、及び/又は調節器入れ子4090の幅D11は、コネクタインタフェース4040と遠位調節器開口4028aの間の距離より小さくてよい。可撓性エンクロージャ4054の拡張体積VE4は、貯蔵室4096の貯蔵室体積VSよりも大きくてよい。例えば、可撓性エンクロージャ4054の拡張体積DE4は、貯蔵室4096の貯蔵室体積VSの約500%以上、及び/又は貯蔵室4096の体積VSの約1,000%以下であってよい。いくつかの実施形態では、拡張した可撓性エンクロージャ4054の拡張体積VE4は、貯蔵室4096の体積VSの約3,000%以上、及び/又は貯蔵室4096の体積VSの約5,500%以下であってよい。いくつかの実施形態では、拡張した可撓性エンクロージャ4054の拡張体積VE4は、貯蔵室4096の体積VSの約4,300%である。多くの変形形態が可能である。
【0295】
可撓性エンクロージャ4054内の体積は、拡張配置に転移した後、アクセス流路4045を介してバイアル10から流体を引きだすことで、収縮配置へ収縮するように構成可能である。可撓性エンクロージャ4054内の体積の収縮により、可撓性エンクロージャ4054の内容積から調節器流路4025を経由して(例えば、図に示したように、近位調節器通路を通って、弁4070と遠位調節器開口4028aとの間の調節器流路4025の遠位通路を経由して)バイアル10への調節器流体の導入を容易にすることができる。可撓性エンクロージャ4054内容積からバイアル10へ調節器流体を導入することにより、バイアル10内の圧力を、所望の範囲内または所定の範囲内に維持することが容易となる。
【0296】
図28Gに示すように、調節器基部4030とバイアルアダプタ400の中心線との間の(例えば、穿刺部材4020の中心線CLに関する)半径方向の距離DS3は、調節器基部4030の半径方向内側端部とエンクロージャカバー4098の半径方向外側端部との間の半径方向距離DS4よりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、半径方向距離DS3は、半径方向距離DS4の110%以上であり、及び/又は半径方向距離DS4の200%以下である。いくつかの実施形態では、半径方向距離DS3は半径方向距離DS4の約140%である。
【0297】
いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054が収縮配置にあるときは、可撓性エンクロージャ4054は貯蔵室4096の中に折りたたまれて格納されている。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054は、貯蔵室4096に格納される前に、多角形、円形、及び/又は長円形に折りたたまれる。例えば
図29Bに示すように、可撓性エンクロージャ4054は貯蔵室4096内に実質的に四角形に折りたたむことができる。
【0298】
以上述べたように、可撓性エンクロージャ4054は、流体がアクセス流路4045を経由してバイアル10中に導入されると、拡張配置に転移するように構成することができる。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054は折り畳まれて貯蔵室4096内に格納され、可撓性エンクロージャ4054が収縮配置から拡張配置に転移する際に、可撓性エンクロージャ4054の少なくとも一部がエンクロージャカバー4098の外側リップ4098bの一部に対して摩擦抵抗を現すようになっている。折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054と、外側リップ4098bとの間に摩擦抵抗があることで、可撓性エンクロージャ4054が拡張配置へ急速に転移することを抑制または阻止することができる。可撓性エンクロージャ4054の収縮配置から拡張配置への転移をゆっくりすることで、ボール逆止弁4070が偶発的に閉鎖すること(例えばバイアル10から結合流路4031へ向かうパルス状の流体によって弁4070の弁座にボールが係合すること)を抑制または阻止することができ、またそうでない場合には漏洩や他の故障のリスクが増大する可能性のあるバイアル、バイアルアダプタ、およびバイアルからの移送を受けている医療器具(例えばシリンジ)から成るシステム内の応力を一般的に低減する助けとなる。
【0299】
いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054は、可撓性エンクロージャ4054内の体積の、一定で、ゆっくりで、予測可能な拡張を促進するために、一貫した方法、及び/又は制御された方法で収縮配置から、畳み込みを広げるように構成されている。例えば、可撓性エンクロージャ4054は、所望または所定のパターン(例えば
図30A~31Bに開示され、この後説明するパターン)で折り畳むことが可能であり、また所望または所定のパターンで広げる(例えば折り畳みパターンで作られた折り目を、折り畳まれた順序の逆の順序で広げる)ことが可能である。
【0300】
いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054を折り畳んで、一般的にエンクロージャの層でできた積層基板を形成するようにして、可撓性エンクロージャ4054が貯蔵室4096の中に折り畳まれている。例えば
図28Gに示されているように、複数の可撓性エンクロージャ層が、調節器入れ子4090の次の開口4095と、エンクロージャカバー4098の外側リップ4098bの拡張開口4028との間に配置可能である。いくつかの実施形態において、可撓性エンクロージャ層は、拡張開口4028の最も近くにある折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054の層(例えば可撓性エンクロージャ4054が収縮配置にあるときに、折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054の外気に最も曝される層)への衝撃または他の外力による、可撓性エンクロージャ4054の材料破損(例えばパンク、引き裂き、破裂)の可能性を実質的に低減、最小化、または排除することができる。例えば、折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054が作る折り目の多層構造により、調節器アセンブリ4050の外側から印加される衝撃や他の力に対して、可撓性エンクロージャ4054層の実効膜厚(例えば積層された層の全体厚さ)を増加させることができる。いくつかの実施形態では、折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054が作る積層構造により、バイアル10内からの増加した圧力による可撓性エンクロージャ4054の破裂の可能性を、低減、最小化、または排除することが可能である。例えば上に述べたように、積層された層によって、バイアル10内の圧力に関して可撓性エンクロージャ4054の実効膜厚を増加させることが可能である。
【0301】
図28Gに示すように、可撓性エンクロージャ4054は、収縮配置において、非常に小さい内容積VE3を持つことができる。例えば、可撓性エンクロージャ4054を(例えば、以下で説明するプロセスに従って)折り畳むことで、折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054の積層された折り畳まれた層間の空間を減らすことができ、また可撓性エンクロージャ4054内部から多くのまたは大部分の流体を放出することができる。いくつかの実施形態では、折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054から多くのまたは大部分の流体を放出することで、(例えば
図28Gに示すような)収縮された可撓性エンクロージャ4054と、(例えば
図28Iに示すような)拡張された可撓性エンクロージャ4054との間の体積差を大きくすることが可能である。いくつかの実施形態では、収縮された可撓性エンクロージャ4054と、拡張された可撓性エンクロージャ4054との間の体積差を大きくすることで、可撓性エンクロージャ4054に対して伸縮性材料を使用する必要性を低減、最小化、または排除することができる。例えば、可撓性エンクロージャ4054の作製に、伸縮性が小さいかまったくない可撓性材料(例えば、マイラー(登録商標)フィルム)を使用することができる。
【0302】
図29A~29Bはバイアルアダプタ4100の一実施形態を示すもので、これは本明細書で開示した他のバイアルアダプタの部品または部分と同一又は類似の部品または部分を持つことができる。いくつかの実施形態では、バイアルアダプタ4100は、コネクタインタフェース4140と、そのコネクタインタフェース4140に部分連通する穿刺部材4120とを含んでいる。いくつかの実施形態において、バイアルアダプタ4100は調節器アセンブリ4150を含んでいる。
図29A~29B中の部品に対するいくつかの参照番号は、バイアルアダプタ4000に関して以前に記述した参照番号と同一又は類似である(例えば、穿刺部材4020に対する穿刺部材4120)。そのような部品は、前に説明した部品と同じ機能または類似の機能であり得ることを理解されたい。
図29A~29Jのアダプタ4100は、
図28A~28Jのアダプタ4000のある変形形態を示している。
【0303】
図に示すように、調節器アセンブリ4050のフィルタ4161は薄い(例えば、フィルタ4161の直径又は断面よりも実質的に薄い)フィルタであってよい。フィルタ4161は疏水性、及び/又は抗菌性であってよい。いくつかの実施形態では、フィルタ4161は第1のフィルタ座4133aと第2のフィルタ座4164aとに係合するように構成されている。第1のフィルタ座4133aと第2のフィルタ座4164aの一方又は両方が環状隆起部であってよい。例えば、第1のフィルタ座4133aは、調節器基部4030の基部突起4133の段差部に配置された環状隆起部であってよい。第2のフィルタ座4164aは、例えば、調節器基部4030の段差部に配置された環状隆起部であってよい。いくつかの実施形態では、フィルタ4161は、他の適切な固定用化合物または手法による接着剤によって第1のフィルタ座4133a及び/又は第2のフィルタ座4164aへ取り付けられている。
【0304】
ダイヤフラム4163は、調節器入れ子4090と調節器基部4030の間に固定することができる。いくつかの実施形態では、ダイヤフラム4163のリップ4163bは、調節器入れ子4090の軸方向突起4194と、基部隆起部4164bとの間に配置されるか、または楔止めされていてもよい。基部隆起部4164bは一般的に環状隆起部であってよい。ダイヤフラム4163のリップ4163b及び/又はダイヤフラム全体は、可撓性及び/又は圧縮性のある材料で作られていてもよい。いくつかの実施形態では、ダイヤフラム4163のリップ4163bと基部隆起部4164bとの間の楔係合は、流体が意図せずにリップ4163bの周りを通ってダイヤフラム4163を迂回する可能性を低減、最小化、または排除することができる。
【0305】
図30A~30Bは、折り畳まれた可撓性エンクロージャ4054の一実施例と、可撓性エンクロージャ4054の折畳み方の一実施例を示す。いくつかの実施形態では、可撓性エンクロージャ4054は複数(例えば3つ)の、相対的に等しい水平の広がりを有する、水平(例えば
図30Aでの左から右)の部分で画定することができる。複数の水平部分は複数の折り目FL1とFL2で分離することができる。可撓性エンクロージャ4054の折畳み方は、折り目FL1に沿って可撓性エンクロージャ4054の第1の部分または四分円Q1を折り畳むことを含んでよい。この方法は、一般的に折り目FL2に沿って、第1の部分または四分円Q1の上に第2の部分または四分円Q2折り畳むことを含んでよい。
図29Bに示すように、可撓性エンクロージャ4054を折り畳む方法は、可撓性エンクロージャ4054を複数(例えば3つ)の垂直部分(例えば、
図30Bの上と下)に分割することを含んでよい。複数の垂直部分は別の(例えば第3の)折り目FL3と、更に別の(例えば第4の)折り目FL4で分離されてもよい。可撓性エンクロージャ4054を折り畳む方法は、折り目FL3に沿って、別の(例えば第3の)部分または四分円を折り畳むことを含んでよい。さらに別の(例えば第4の)部分または四分円Q4を、前に形成した(例えば第3の)部分または四分円Q3の上に折り目FL4に沿って折り畳んでよい。四分円3の上に四分円4を折り畳むと、
図29Bに示すように、可撓性エンクロージャは一般的に正方形または矩形を持つことができる。正方形または矩形の可撓性エンクロージャ4054は、主たる対角線D8(例えば、格納幅または収縮幅)を持つことができる。主たる対角線D8は、調節器入れ子4090の幅WS3(例えば貯蔵室の幅)にほぼ等しいかそれより小さくてよい。
図29Bに示すように、対角線D8は拡張開口4028の幅WS4より大きいかほぼ等しくてよい。
【0306】
図31A~31Bは可撓性エンクロージャ4054の折り畳み方法を示している。
図31A~31Bに示す方法の折り目は、拡張した可撓性エンクロージャ4054の幅D7にほぼ等しい対角線を持つ正方形を一般的に形成することができる。この方法は、可撓性エンクロージャ4054の第1四分円Q1aを、第1の折り目FL1aに沿って第2の四分円Q2a(例えば可撓性エンクロージャ4054の四分円Q1aに対して一般的に反対側にある四分円)に向かって折り畳むことを含んでよい。第1の四分円Q1aは次に折り目FL1aに向かって折り返してよい。いくつかの実施形態では、第2の四分円Q2aは第2の折り目FL2aに沿って第1の四分円Q1aの上に折り畳まれる。第2の四分円Q2aは次に折り目FL2aに向かって折り返してよい。第3の四分円Q3aは、第3の折り目FL3aに沿って第4の四分円Q4aに向かって折り畳まれてよい。いくつかの構成によれば、第4の四分円Q4aは次に第4の折り目FL4aに沿って第3の四分円Q3aの上に折り畳まれる。一般的に積み重ねられた、すなわち積層された第3と第4の四分円Q3a、Q4aは次に第5の折り目FL5に沿って折り畳まれて、直径D12を持つ実質的に矩形に折りたたまれた可撓性エンクロージャ4054を形成することができる。対角線D12の長さは、拡張開口4028の幅WS4よりも大きく、及び/又はほぼ調節器入れ子4030の幅WS3以下であってよい。
【0307】
バイアルアダプタを特定の実施形態と実施例の観点から開示したが、当業者であれば、バイアルアダプタは特定の開示した実施形態を超えて、他の代替の実施形態及び/又は実施形態と特定の修正形態及びその等価物の利用法に適用が拡大されることは理解されるであろう。例えばいくつかの実施形態は、ガスよりもむしろ液体(水や食塩水など)の調節流体を使用するように構成されている。開示した実施形態の様々な特徴および態様は、様々な方式のバイアルアダプタを形成するために相互に組み合わされ、または置き換えられることを理解されたい。例えば、
図18~
図20Bで開示した弁は、
図28Gの調節器アセンブリと組み合わせて使用されてもよい。したがって、本明細書で開示したバイアルアダプタの範囲は、上記の開示した特定の実施形態によって制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の公正な理解によってのみ決定されるべきであることが意図されている。