(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】能動放電回路を備えた電気回路装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/06 20060101AFI20230620BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230620BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230620BHJP
H01L 21/8232 20060101ALI20230620BHJP
H01L 21/8222 20060101ALI20230620BHJP
H01L 27/098 20060101ALI20230620BHJP
H01L 21/331 20060101ALI20230620BHJP
H01L 29/732 20060101ALI20230620BHJP
H01L 29/74 20060101ALI20230620BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230620BHJP
H01L 21/337 20060101ALI20230620BHJP
H01L 29/808 20060101ALI20230620BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20230620BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01L27/06 311C
H01L27/04 C
H01L27/04 H
H01L27/04 R
H01L27/06 F
H01L27/06 101D
H01L27/06 101P
H01L27/06 311A
H01L27/06 311B
H01L27/098
H01L29/72 P
H01L29/74 E
H01L29/78 657
H01L29/80 C
H01L29/80 E
H01L29/80 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018121470
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】10 2017 211 030.9
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】エアルバッヒャー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】マトロク シュテファン
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0163950(US,A1)
【文献】特開2012-204615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0127762(US,A1)
【文献】特開2010-232655(JP,A)
【文献】米国特許第07738226(US,B2)
【文献】特開2003-124327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/06
H01L 21/822
H01L 21/8232
H01L 21/8222
H01L 27/098
H01L 21/331
H01L 29/74
H01L 29/78
H01L 21/337
H01L 21/338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気
スイッチング素子(S)を含む能動放電回路を備え、
前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)を介して制御された態様で放電可能な電気回路装置であって、
回路装置内の電圧ピーク又は電流ピークを減衰させるためのキャパシタ(C)及び抵抗器(R)を有するRCスナバ素子を含み、
前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)は、前記RCスナバ素子に組み込まれ、前記RCスナバ素子の前記キャパシタ(C)と並列に接続され、
前記RCスナバ素子の前記キャパシタ(C)及び前記抵抗器(R)は、前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)と共に半導体基板(4)にモノリシックに集積化されている、電気回路装置。
【請求項2】
前記半導体基板(4)の表面側に、電気的絶縁誘電体層又は層列(5)で被覆され導電性物質(6)で充填された凹部を配列して前記RCスナバ素子を形成し、
前記半導体基板(4)は、少なくとも前記凹部の領域において、表面側と裏面側との間をドーピングすることにより導電性を有し、表面側及び裏面側のそれぞれにコンタクトメタライゼーション(8)が施されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気回路装置。
【請求項3】
電気スイッチング素子(S)のいくつかは、前記半導体基板(4)における前記凹部の間、及び/又は、前記凹部の配列の周囲に分布している
ことを特徴とする請求項2に記載の電気回路装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)は、前記回路装置を放電するための前記RCスナバ素子のキャパシタをブリッジするように設計され、且つ接続されている
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電気回路装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)は、MOSFET、JFET、バイポーラトランジスタ、又はサイリスタとして実現される
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電気回路装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)は、電気的又は光学的な制御信号により作動され前記回路装置を放電するように設計されている
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電気回路装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)は、閾値温度を超えた温度上昇が前記
少なくとも1つの電気スイッチング素子(S)の放電電流の低下により制限される電力制限スイッチング素子として設計される
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電気回路装置。
【請求項8】
前記回路装置は、中間回路として設計されている
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の電気回路装置。
【請求項9】
表面側に凹部の配列が設けられた半導体基板(4)に形成され、前記凹部を有する表面側が電気的絶縁誘電体層又は層列(5)で被覆され、前記凹部が導電性物質(6)で充填され、前記半導体基板(4)が、ドーピングされた少なくとも前記凹部の領域において表面側と裏面側との間で導電性にされ、前記表面側と前記裏面側のそれぞれにコンタクトメタライゼーション(8)が施された、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の電気回路装置のための電気コンポーネントであって、
複数の電気スイッチング素子(S)が、作動することによって前記電気的絶縁誘電体層又は層列(5)をブリッジするように、前記半導体基板(4)における前記凹部の間、及び/又は、前記凹部の配列の周囲に分布している、電気コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電気スイッチング素子を含む能動放電回路を備え、それにより制御された態様で放電可能な電気回路装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
異なる電気回路網間の電気的な結合を提供するため、コンバータを介して中間電流レベル又は中間電圧レベルで回路網を電気的に結合する中間回路が用いられる。自動車エンジニアリングの用途では、故障や事故の際に、安全上の理由から、このような種類の中間回路を短時間で放電することが可能でなければならない。従って、動力車のパワートレイン内のデバイスの中間回路は5秒以内に60V未満に放電しなければならないという安全要求事項が設けられている。この放電のため、必要に応じて制御された態様で中間回路を放電することができる能動放電回路が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2010/0163950号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】O. Kreutzer et al., “A simple, reliable, cost and volume saving DC-link discharge device for electric vehicles”, ITEC 2015, DOI: 10.llO9/ITEC.2015.7165800
【文献】J. vom Dorp et al., “Monolithic RC snubber for Power Electronic Applications”, IEEE PEDS 2011, pages 11 to 14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくとも1つの電気スイッチング素子を含む能動放電回路を備え、それにより制御された態様で回路装置、中間回路を放電することができる回路装置は、O. Kreutzer et al., “A simple, reliable, cost and volume saving DC-link discharge device for electric vehicles”, ITEC 2015, DOI: 10.llO9/ITEC.2015.7165800から公知である。しかしながら、このような種類の放電回路は、相応分のスペースを占め、冷却されなければならず、安全に絶縁されていなければならない。
【0006】
パワーエレクトロニクスのスイッチング回路では、スイッチング動作によってスイッチング回路内で引き起こされるスイッチング回路内の電圧ピーク又は電流ピークを抑制するRCスナバ素子を用いることが知られている。このようなRCスナバ素子は、キャパシタと抵抗器とにより構成された直列回路の形態を有する。このようなRCスナバ素子のモノリシックに一体化された形態は、J. vom Dorp et al., “Monolithic RC snubber for Power Electronic Applications”, IEEE PEDS 2011, pages 11 to 14から公知である。この形態では、シリコン基板内に円筒状の凹部が形成され、silicon nitriteを含む電気的絶縁誘電体層列で被覆され、高濃度にドープされたポリシリコンで充填される。シリコン基板は、高濃度ドーピングによって誘電体層列と裏面側との間で導電性にされる。表面側と裏面側の両方にコンタクトメタライゼーションが施されている。この構成により、小さなスペースで、且つ非常に良好な高い熱放散性で、キャパシタの大容量化が得られる。
【0007】
RCスナバ素子によって電圧ピーク及び/又は電流ピークが抑制されるべきスイッチングパワートランジスタが半導体基板内において隣接して集積されたRCスナバ素子を有する半導体構造もまた、US 2010/0163950 A1から公知である。
【0008】
本発明の目的は、低コスト、且つ省スペースで放電回路が一体化された能動放電回路を備えた電気回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、特許請求の範囲の請求項1に係る電気回路装置により達成される。特許請求の範囲の請求項9には、本回路装置のための本発明に係る電気コンポーネントが記載されている。本回路装置の有利な変形は、従属請求項の主題であるか、又は以下の説明及び例示的な実施形態から理解されるであろう。
【0010】
提案された電気回路装置では、放電回路は、少なくとも1つの電気スイッチング素子を含み、それにより回路装置、具体的には中間回路が、制御された態様で放電される。回路装置は、回路装置内の電圧ピーク又は電流ピークを抑制するためのキャパシタ及び抵抗器を備えたRCスナバ素子を含み、電気スイッチング素子がRCスナバ素子のキャパシタと並列にRCスナバ素子に組み込まれていることを特徴とする。
【0011】
能動放電回路の少なくとも1つの電気スイッチング素子をRCスナバ素子に一体化した構成により、スペースとコストの双方に関して経済的な放電回路を設計することが可能になる。一体化(集積)は、追加のコンタクトが必要とされないことを意味する。スナバ素子は、放電も機能しなければならないパワークラスに対して精密に設計される。自動車エンジニアリングの用途では、これは現在、約5W~100Wの間の範囲である。放電回路の外部装置は、常に追加のコストと追加のスペースが必要とされることを伴い、絶縁の問題も提示する。回路装置内に存在するRCスナバ素子は、適切な絶縁及び放熱の概念を有しており、放電回路への使用にも適用される。一体化されたスイッチング素子を備えたスナバ素子は、放電と減衰で同時に占有されず、一度に1つの機能だけを実行する。このようにして、熱システムもまた、放熱のために最適に用いられる。
【0012】
RCスナバ素子のキャパシタと抵抗器は、少なくとも1つのスイッチング素子と共に、モノリシックに半導体基板に集積される。これにより、例えば、半導体基板を適切な金属体の上に配置することにより両方のサブコンポーネントに対して非常に効果的な放熱が可能になる。この1つの例が、DCB(Direct Copper Bonded)基板である。
【0013】
半導体基板の表面側には、RCスナバ素子を形成するために電気的に絶縁された誘電体層又は層列で被覆され導電性材料で充填された、好ましくは、ビア状又は円筒形の凹部の配列が特に有利に設けられる。そのような場合、半導体基板は、表面側と裏面側との間の凹部の領域において、ドーピングによって導電性にされ、表面側及び裏面側にはコンタクトメタライゼーションが施されている。ここで、例えば、J.vom Dorp et al.による刊行物に記載されているような変形例が選択されてよい。導電性材料とその間に介挿された誘電体層又は層列を有するドープされた半導体基板とは、このようにしてキャパシタを形成し、誘電体層又は層列と基板の背面側との間の領域はRCスナバ素子の抵抗器を形成する。それから、好ましくは放電回路の電気スイッチング素子のいくつかは凹部の間、及び/又は、凹部の配列の周囲に分布し、その結果、スイッチング素子の作動時に、キャパシタ、すなわちキャパシタの誘電体層又は層列が電気的にブリッジされる。このような種類の構成は、別個の電気コンポーネントして提供されてもよい。
【0014】
電気スイッチング素子は、MOSFET、JFET、バイポーラトランジスタ、又はサイリスタの形態であってよい。作動は、適切な電圧、適切な電流、又は光分岐器に結合された光ファイバを介して行ってよい。1又は複数のスイッチング素子は、例えば飽和動作において所望の放電電流が生成されるような寸法で形成されてよい。このようにして、半導体基板内で熱損失が発生し、そこで効果的に運び去られるため、スイッチング素子の高い放熱性能が維持される。従って、DCBを介して250W/cm2の放熱が可能である。例えば、中間回路のキャパシタが100μF、800Vの電圧に対して、キャパシタを60V未満に放電するために、約15mAの(理想的な)放電電流が必要とされる。これは、約11~13.3ワットのピーク電力損失(誤動作のケースで900Vの恒久的な過電圧)を招く。チップ表面積が約5mm2の場合、回路は永久的な負荷の下で安定して動作するであろう。その一方、同等の絶縁耐力とチップ表面積に対して、パワー半導体コンポーネントのオン状態の抵抗は典型的には1オーム未満であり、通常のスイッチオン時の熱の影響によってすぐに破壊されるであろう。
【0015】
好ましい変形例では、回路装置から自己給電するノーマリー・オンの構造又は回路が、電気スイッチング素子のために選択される。ここでは、スイッチング素子は、好ましくは、1つだけの別個のコネクション又はピンを介して作動される。
【0016】
提案された回路装置と提案された電気コンポーネントとは、スイッチング回路の放電制御が行われるべきすべての用途において使用可能である。これは、例えば、電源モジュール又はPCB/DCBベースの電力電子システム、具体的には中間回路の形態に対して適用される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
提案された回路装置と提案された電気的な構成要素は、図面と共にその実施形態に基づく以下の文章において例示的な用語でより詳細に再び説明される。
【
図1】
図1は、提案された回路装置の例示的な回路図である。
【
図2】
図2は、以下の図のための並列に接続された回路素子を有するRCスナバ素子の回路図を簡略化して表したものである。
【
図3】
図3は、一体化されたスイッチング素子を備えたRCスナバ素子の第1の例の断面図である。
【
図4】
図4は、一体化されたスイッチング素子を備えたRCスナバ素子の第2の例の断面図である。
【
図5】
図5は、一体化されたスイッチング素子を備えたRCスナバ素子の第3の例の断面図である。
【
図6】
図6は、一体化されたスイッチング素子を備えたRCスナバ素子の第4の例の断面図である。
【
図7】
図7は、一体化されたスイッチング素子を備えたRCスナバ素子の第5の例の断面図である。
【
図8】
図8は、一体化されたスイッチング素子を備えたRCスナバ素子を示す回路装置の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
提案された回路装置では、1又は複数の一体化されたスイッチング素子を有するRCスナバ素子が用いられる。それにより、回路装置を放電することができる。この目的のため、
図1は、対応するスイッチを備えた中間回路の一部を示す。ここでは、スイッチングに起因した電圧ピーク及び/又は電流ピークが、図中の枠内に示されているRCスナバ素子によって減衰される。スイッチング素子Sは、このRCスナバ素子において、キャパシタCと並列に組み込まれている。スナバ素子のキャパシタCは、電気的にブリッジすることができる。その結果、スイッチング素子、本例では並列に接続されたブロッキングダイオードを備えたMOSFETの対応する作動により、中間回路を短時間で放電することができる。好ましい変形では、RCスナバ素子とスイッチング素子Sは、半導体基板内に共にモノリシックに一体化(集積)される。以下では、モノリシックに一体化されたスイッチング素子を備えたこの種のRCスナバ素子の形成のいくつかの例を示す。この目的を達成するため、
図2は、一体化されたスイング素子Sと、スナバ素子のための電気的接続部1、2と、スイッチSのための作動接続部3とを備えたRCスナバ素子を高度に図式化して示す。
【0019】
図3は、ノーマリー・オンのMOSFETで形成されたスナバ素子の構成例を示す。この例では、十分に高濃度にドープされたシリコン半導体基板4に、ビア状の凹部が設けられている。誘電体層又は層列5は、これらの凹部と基板の表面に設けられる。それから、凹部は、例えば、高濃度にドープされたポリシリコンなどの導電性材料6で充填される。半導体基板4の裏面は、オーミック接触のために電気コンタクト層7が形成されるように、より高濃度にドープされる。その後、金属層8が基板4の表面側と裏面側の両方に設けられ、電気的なコンタクト1、2を介してRCスナバ素子にコンタクトするために使用される。半導体基板4の表面と裏面との間でドープされた領域もまた、スナバ素子の抵抗器Rを構成する。隣接する導電性領域(導電性充填物6、導電性半導体基板4)とともに、誘電体層5は、スナバ素子のキャパシタCを形成する。これは、以下のすべての変形において同様に作成される。個々の凹部の数及び寸法は、キャパシタCの所望の値に応じて選択される。これに関して、例えば、説明の冒頭で引用したJ.vom Dorp et al.による刊行物が参照される。
【0020】
提案された回路装置においてこのように設計されるRCスナバ素子では、複数のスイッチング素子Sが、好ましくは、個々の凹部の間に配置され、それに応じてRCスナバ素子の表面上に分布される。
図2~
図7は、このような2つのスイッチング素子Sの一例を示す。
図3に示す例では、回路装置は、ノーマリー・オンのMOSFETで形成される。これは、このようなスナバ素子の通常の製造プロセスよりも、ドレイン、作動接続部3のためのコンタクト、ゲート酸化物、及びフィールド酸化物/素子間分離のためにより多くのマスクレベルを必要とする。
【0021】
MOSFETに代えて、JFETが用いられてもよい。これは、ドレイン、コンタクト、及びフィールド酸化物/素子間分離のための追加的なマスクレベルを必要とするに過ぎない。しかしながら、その一方で、JFETは、MOSFETと比較して負側の駆動電圧を必要とする。このようなコンポーネントの構造の略図が、例示的な目的のためにノーマリー・オンのJFETとして
図4に表されている。
【0022】
提案された回路装置は、
図5及び
図6に図式的に示されているように、スイッチング素子としてのバイポーラトランジスタを用いて作成されてもよい。pnp型のバイポーラトランジスタは、N型のベース、P型のエミッタ、及びフィールド酸化物/素子間分離のための追加的なマスクレベルを必要とする。ここでは、
図5は、電気的に作動される2つのpnp型のバイポーラトランジスタのコンポーネントの構造の一例を示す。
図6は、光学的にオン・オフされる2つのバイポーラトランジスタのコンポーネントの構造を示す。
図6では、入射する光照射とこれのためにメタライゼーション層8の上部に必要とされる開口部とが示されている。
【0023】
回路装置は、サイリスタを用いて製造されてもよい。サイリスタは、N型のベース、P型のベース、及びN型のエミッタ、並びにフィールド酸化物/素子間分離のために追加のマスクベルを必要とする。この目的のため、
図7は、光学的にトリガーされる2つのサイリスタを用いたコンポーネントの構造の一例を示す。
【0024】
原理的には、回路は様々な方法で製造されてよい。例えば、1つの例示的な構成では、温度に対する顕著な自然の依存性が利用されてよい。温度が上昇すると、スイッチング素子の放電電流は低下する。このようにして、回路は、より本質的な安全性を有するように設計されてよい。1mm2あたりの電力損失が十分に低く、例えば、最大電圧で1W/mm2未満のとき、例えばベースプレートを介して、十分に大きな熱質量、及び/又は、代替熱伝導経路が存在することを条件に、スナバ素子は、過負荷のリスクなしに放電回路と共に動作可能であろう。
【0025】
別の変形例では、回路は、アクティブ状態で極端な温度依存性を作り出すように設計されたり、追加的な要素が用いられたりしてもよい。理想的には、そこから閾値温度が得られる。この温度を超えると放電回路は非常に高いインピーダンスを示し、この温度未満では非常に低いインピーダンスを有する。従って、この変形例では、スイッチング素子のそれぞれは、閾値温度を超えた温度の上昇が、スイッチング素子自体の放電電流の急激な低下によって制限される電力制限スイッチング素子として機能する。このようにして、内部的に制限された固有の過負荷に対する安全性を確保することが可能になる。また、より低い閾値電圧で最高の放電レートを達成することも可能である。この種の素子は、例えば、400V系又は800V系等に使用されてよい。
図8は、抵抗器R1、キャパシタC1、スイッチM1、及びスイッチに並列にダイオードD1と別の抵抗器R2とからなる直接回路とを備えたこの種のRCスナバ素子の回路の一例を示す。従って、放電の損失は、主にスイッチM1で生じ、スナバ素子の抵抗器R1では生じない。
【0026】
放電機能は、外部の光結合器を介して非アクティブ化されてよい。その結果、スイッチング素子M1を作動するために単一のピンだけが必要になる。
【0027】
提案された回路装置によれば、小型で本質的に安全な電源スイッチを介して、RCスナバ素子の大きなチップ表面に分布された、スイッチング回路、具体的には中間回路を放電することができる。この回路装置は、本質的に安全であり恒久的な短絡回路に関して安定している。放電レートは、パーティショニングの影響を受ける。
【符号の説明】
【0028】
1 RCスナバ素子の上部側コネクタ
2 RCスナバ素子の下部側コネクタ
3 スイッチング素子の制御コネクタ
4 半導体基板
5 誘電体層又は層列
6 導電性充填剤
7 オーミック層
8 メタライゼーション層
R RCスナバ素子の抵抗器
C RCスナバ素子のキャパシタ
S 電気スイッチング素子