(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/10 20060101AFI20230620BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
E06B7/10
E06B3/32 Z
(21)【出願番号】P 2018240452
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-06-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】朝内 文博
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-336458(JP,A)
【文献】実公昭49-044270(JP,Y1)
【文献】特開2006-274537(JP,A)
【文献】実開昭57-120687(JP,U)
【文献】特開昭60-098093(JP,A)
【文献】実開昭60-097891(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00-7/36
E06B 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外窓と内窓を備え、内窓は
、障子に設けた通気部を塞ぐ
一方及び他方の軟質ヒレを有し、
両軟質ヒレは、障子の框の内部に室内外方向と平行な向きで設けてあり、一方の軟質ヒレは、外窓に正圧がかかったときに、外窓・内窓間の中間層と室内との圧力差によ
り変形して中間層の圧力を室内に逃が
すように設けてあり、
他方の軟質ヒレは、外窓に負圧がかかったときに、外窓・内窓間の中間層と室内との圧力差によ
り変形して室内の圧力を中間層に逃がす
ように設けてあることで、中間層が室内と等圧になることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外窓と内窓を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、断熱性や遮音性を向上するために、既存の窓(外窓)の室内側に内窓を設置することがある。このような二重窓においては、外窓に強い風圧(正圧、負圧)を受けると、外窓・内窓間の中間層が外窓に押されて圧縮されたり引っ張られて膨張したりして、中間層の圧力が変化し、これが原因で内窓が変形したり破損したりするおそれがある。これを防ぐために、どのサッシメーカーも、強風時や長期不在時には、内窓を少し開けるように注意喚起を行っており(非特許文献1参照)、せっかくの内窓の効果が損なわれている。また、中高層の建物に内窓を設置した場合には、戸建て住宅の場合よりも風圧による使用環境が悪くなるので、内窓が変形したり破損したりするリスクが高まる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行の取り扱い説明書「使い方・お手入れハンドブック」(カタログNo.STJ1158D TS.17.11-012)、2017年11月、p.348
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、内窓が変形したり破損したりすることを防止できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、外窓と内窓を備え、内窓は、障子に設けた通気部を塞ぐ一方及び他方の軟質ヒレを有し、両軟質ヒレは、障子の框の内部に室内外方向と平行な向きで設けてあり、一方の軟質ヒレは、外窓に正圧がかかったときに、外窓・内窓間の中間層と室内との圧力差により変形して中間層の圧力を室内に逃がすように設けてあり、他方の軟質ヒレは、外窓に負圧がかかったときに、外窓・内窓間の中間層と室内との圧力差により変形して室内の圧力を中間層に逃がすように設けてあることで、中間層が室内と等圧になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による建具は、内窓に障子に設けた通気部を塞ぐ一方及び他方の軟質ヒレを有し、両軟質ヒレは、障子の框の内部に室内外方向と平行な向きで設けてあり、一方の軟質ヒレは、外窓に正圧がかかったときに、外窓・内窓間の中間層と室内との圧力差により変形して中間層の圧力を室内に逃がすように設けてあり、他方の軟質ヒレは、外窓に負圧がかかったときに、外窓・内窓間の中間層と室内との圧力差により変形して室内の圧力を中間層に逃がすように設けてあることで、中間層が室内と等圧になるので、強風時に内窓を閉め切ったままでも、内窓が変形したり破損したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建具の横断面図である。
【
図3】(a)は正圧がかかったときの内窓の横断面図であり、(b)は負圧がかかったときの内窓の横断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る建具の縦断面図である。
【
図5】同建具の内窓の上部を拡大して示す縦断面図である。
【
図7】(a)は正圧がかかったときの内窓上部の縦断面図であり、(b)は負圧がかかったときの内窓上部の縦断面図である。
【
図8】(a)は負圧がかかったときの内窓の外障子側の横断面図であり、(b)は正圧がかかったときの内窓の内障子側の横断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る建具の内窓の縦断面図である。
【
図10】(a)は正圧がかかったときの内窓の縦断面図であり、(b)は負圧がかかったときの内窓の縦断面図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る建具の内窓の障子の一部を拡大して示す室内側正面図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係る建具の内窓の縦断面図である。
【
図13】同建具の内窓の障子の一部を拡大して示す斜視図であって、バッフルプレートが開いた状態を示す。
【
図14】(a)は正圧がかかったときの内窓の縦断面図であり、(b)は負圧がかかったときの内窓の縦断面図である。
【
図15】本発明の第6実施形態に係る建具の内窓の縦断面図である。
【
図17】(a)は正圧がかかったときの内窓の縦断面図であり、(b)は負圧がかかったときの内窓の縦断面図である。
【
図18】本発明の第7実施形態に係る建具の室内側正面図である。
【
図20】同建具の内窓の内障子に設けられる通風部品の構造を示す斜視図である。
【
図21】正圧がかかったときの内窓の縦断面図である。
【
図22】第7実施形態に係る建具の変形例を示す内窓の障子の縦断面図であって、正圧がかかったときの状態を示す。
【
図23】本発明の第8実施形態に係る建具の室内側正面図である。
【
図24】同建具の内窓の障子の縦断面図であって、(a)は平常時の状態、(b)は火災時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、本発明の建具の第1実施形態を示している。本建具は、室外側に既存の外窓1が取付けられている窓開口部の室内側に内窓2を取付けて二重窓にしたものである。
【0011】
外窓1は、上枠14と下枠15と左右の縦枠16,16を枠組みしてなる枠と、枠内に引違い状に開閉自在に納めた外障子17及び内障子18を備える。枠14,15,16と障子17,18の框は、アルミ製である。
【0012】
内窓2は、上枠8と下枠19と左右の縦枠3a,3bを、枠組みしない状態で額縁20の内周面にそれぞれ取付けて形成した枠と、枠内に引違い状に開閉自在に納めた外障子6及び内障子7を備える。外障子6と内障子7は、上框21と下框22と戸先框23と召合せ框と24を框組みし、その内側にガラス25を嵌め込んで構成してある。枠3a,3b,8,19と障子6,7の框21,22,23,24は、樹脂製である。
【0013】
内窓2は、
図1に示すように、左右の縦枠3a,3bの内周側面から外障子6の戸先6aと内障子7の戸先7aに向けてのびる軟質ヒレ4a,4bを有しており、軟質ヒレ4a,4bにより縦枠3a,3bと障子6,7の戸先6a,7aとの間の隙間を塞いでいる。軟質ヒレ4a,4bは、左右の縦枠3a,3bに室内外方向に間隔をおいて2つずつ設けてある。
【0014】
外窓1に正圧がかかると、外窓・内窓間の中間層5が外窓1に押されて圧縮されるため、
図3(a)に示すように、内窓2にも正圧がかかり(図中の矢印26参照)、中間層5の気圧が室内側よりも高くなる。すると、左右の縦枠3a,3bに設けた軟質ヒレ4a,4bが室内側に向けて曲がるように変形し、軟質ヒレ4a,4bの先端が障子6,7の戸先6a,7aから離れ、軟質ヒレ4a,4bの先端と障子6,7の戸先6a,7aとの間の隙間を通じて中間層側から室内側に空気が流れる(図中の矢印27参照)。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
一方、外窓1に負圧がかかると、外窓・内窓の中間層5が外窓1に引っ張られて膨張するため、
図3(b)に示すように、内窓2にも負圧がかかり(図中の矢印28参照)、中間層5の気圧が室内側より低くなる。すると、左右の縦枠3a,3bに設けた軟質ヒレ4a,4bが室外側に向けて曲がるように変形し、軟質ヒレ4a,4bの先端が障子6,7の戸先6a,7aから離れ、軟質ヒレ4a,4bの先端と障子6,7の戸先6a,7aとの間の隙間を通じて室内側から中間層側に空気が流れる(図中の矢印29参照)。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
【0015】
以上に述べたように本建具は、内窓2に枠(縦枠)3a,3bと障子6,7間の隙間を塞ぐ軟質ヒレ4a,4bを有し、外窓・内窓間の中間層5と室内との圧力差により、軟質ヒレ4a,4bが変形して中間層5の圧力を逃がすので、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
本建具は、縦枠3a,3bに軟質ヒレ4a,4bを追加するだけでよいため、容易に実施できる。
【0016】
図4~6は、本発明の建具の第2実施形態を示している。本建具は、
図5に示すように、外障子6の上框21は、上枠8の外レール9の室外側のみに外レール9に当接する軟質ヒレ10を有し、内障子7の上框21は、上枠8の内レール11の室内側のみに内レール11に当接する軟質ヒレ12を有している。各軟質ヒレ10,12は、上框21と一体に設けてある。
また、
図6に示すように、外障子6の戸先6aは、室内側から見て左側の縦枠3aの内周側面に当接しており、当該縦枠3aは外障子6の戸先部の室内側面に当接する軟質ヒレ30aを有している。内障子7の戸先7aは、室内側から見て右側の縦枠3bの内周側面に当接しており、当該縦枠3bは内障子7の戸先部の室外側面に当接する軟質ヒレ30bを有している。
【0017】
図7(a)は、内窓2に正圧がかかったとき(図中の矢印26参照)の状態を示している。このとき、外障子6と内障子7は正圧に押されて室内側に若干移動し、内障子7の上框21の軟質ヒレ12が上枠8の内レール11から離れ、図中の矢印27に示すように中間層側から室内側に向かって空気が流れる。同時に、
図8(b)に示すように、内障子7が室内側に移動するのに伴い、内障子7の戸先部が縦枠3bの軟質ヒレ30bから離れ、図中の矢印27に示すように、中間層側から室内側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
図7(b)は、内窓2に負圧がかかったとき(図中の矢印28参照)の状態を示している。このとき、外障子6と内障子7は負圧に引っ張られて室外側に若干移動し、外障子6の上框21の軟質ヒレ10が上枠8の外レール9から離れ、図中の矢印29に示すように室内側から中間層側に向かって空気が流れる。同時に、
図8(a)に示すように、外障子6が室外側に移動するのに伴い、外障子6の戸先部が縦枠3aの軟質ヒレ30aから離れ、図中の矢印29に示すように、室内側から中間層側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
【0018】
以上に述べたように本建具は、外障子6は、枠(上枠)8の外レール9の室外側のみに外レール9に当接する軟質ヒレ10を有し、内障子7は、枠(上枠)8の内レール11の室内側のみに内レール11に当接する軟質ヒレ12を有し、外窓・内窓間の中間層5と室内との圧力差により、外障子6が室外側に移動して軟質ヒレ10が外レール9から離れるか、内障子7が室内側に移動して軟質ヒレ12が内レール11から離れることで、中間層5の圧力を逃がすので、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
本建具は、外障子6に枠8の外レール9の室外側のみに外レール9に当接する軟質ヒレ10を設け、内障子7に枠8の内レール11の室内側のみに内レール11に当接する軟質ヒレ12を設けるだけなので、容易に実施できる。なお、当初は外障子6に外レール9の室外側と室内側の両方に外レール9に当接する軟質ヒレを設け、内障子7に内レール11の室外側と室内側の両方に内レール11に当接する軟質ヒレを設けておき、後から外障子6の室内側の軟質ヒレを切除し、内障子7の室外側の軟質ヒレを切除してもよい。
【0019】
図9は、本発明の建具の第3実施形態を示している。本建具は、内障子7の下框22に室内外方向に連通する通気部31を設け、通気部31内に上端部を支点にして室外側及び室内側に回動可能な振り子式のシャッター32を設けている。シャッター32は、下端部に重りを兼ねる磁石33が設けてあり、通気部31下側の框内にはシャッター下部の磁石33を引き付ける磁石34が設けてある。また。シャッター32の下端には通気部31下側の框上面に当接する軟質ヒレ35が室外側と室内側に設けてある。
【0020】
図10(a)は、内窓2に正圧がかかったとき(図中の矢印26参照)の状態を示している。このとき、シャッター32は正圧に押されて室内側に回動し、図中の矢印27に示すように、通気部31を中間層側から室内側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
図10(b)は、内窓2に負圧がかかったとき(図中の矢印28参照)の状態を示している。このとき、シャッター32は負圧に引っ張られて室外側に回動し、図中の矢印29に示すように室内側から中間層側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
【0021】
以上に述べたように本建具は、外窓・内窓間の中間層5と室内との圧力差により、シャッター32が室内側又は室外側に回動することで、中間層5の圧力を逃がすので、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
本建具は、外障子6又は内障子7の一方に通気部31とシャッター32を設ければ、正圧と負圧の何れにも対応できる。
【0022】
図11は、本発明の建具の第4実施形態を示している。本建具は、外障子6又は内障子7の少なくとも一方の下框22に室内外方向に連通する通気部31を設け、通気部31内に室内外方向の中心軸回りに回転自在なスクリュー式通風部品36が設けてある。
内障子2に正圧又は負圧がかかると、スクリュー式通風部品36が回転して通気部31を空気が流れ、これにより中間層5の圧力を逃がすので、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
【0023】
図12,13は、本発明の建具の第5実施形態を示している。本建具は、外障子6の下框22と内障子7の下框22とに室内外方向に連通する通気部31が設けてあり、外障子6の通気部31は中間層側で上端部を支点に中間層側に回動可能に設けたバッフルプレート37aで塞いであり、内障子7の通気部31は上端部を支点に室内側に回動可能に設けたバッフルプレート37bで塞いである。
【0024】
図14(a)は、内窓2に正圧がかかったとき(図中の矢印26参照)の状態を示している。このとき、内障子7のバッフルプレート37bが正圧に押されて室内側に開き、図中の矢印27に示すように、通気部31を中間層側から室内側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
図14(b)は、内窓2に負圧がかかったとき(図中の矢印28参照)の状態を示している。このとき、外障子6のバッフルプレート37aが負圧に引っ張られて室外側に開き、図中の矢印29に示すように室内側から中間層側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
このように本実施形態の建具も、正圧又は負圧がかかったときに中間層5の圧力を逃がすことができるので、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
【0025】
図15,16は、本発明の建具の第6実施形態を示している。本建具は、外障子6の下框22と内障子7の下框22とに室内外方向に連通する通気部31が設けてあり、各通気部31は下框22の内部でゴム板等で形成した弁体38a,38bにより塞いである。外障子6の通気部31内に設けられる弁体38aは、通気部31を中間層側から室内側に空気が流れようとしたときにだけ開き、内障子7に設けられる弁体38bは、通気部31を室内側から中間層側に空気が流れようとしたときにだけ開くように設けてある。
【0026】
図17(a)は、内窓2に正圧がかかったとき(図中の矢印26参照)の状態を示している。このとき、外障子6の通気部31内に設けた弁体38aが開き、図中の矢印27に示すように、通気部31を中間層側から室内側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
図17(b)は、内窓2に負圧がかかったとき(図中の矢印28参照)の状態を示している。このとき、内障子7の通気部31内に設けた弁体38bが開き、図中の矢印29に示すように室内側から中間層側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
このように本実施形態の建具も、正圧又は負圧がかかったときに中間層5の圧力を逃がすことができるので、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
【0027】
図18~20は、本発明の建具の第7実施形態を示している。本建具は、内障子2の下框22の戸車間に室内外方向に連通する通気部31を設け、通気部31の室内側に通風部品39を設けてある。通風部品39は、
図19に示すように、L字形に空気流路40が設けてあり、空気流路40の上側の出口側に流路の幅を広げるテーパー部41が設けてあり、テーパー部41に円柱状の弁体42を配置して空気流路40を塞いである。空気流路40の上側の出口は、通気孔を多数設けた蓋体43で塞いである。
【0028】
図21は、内窓2に正圧がかかったとき(図中の矢印26参照)の状態を示している。このとき、内障子7の通風部品39内に設けた弁体42が浮き上がり、図中の矢印27に示すように、下框22の通気部31と通風部品39の空気流路40を通じて中間層側から室内側に向かって空気が流れる。これにより、中間層5の圧力が逃げ、中間層5が室内と等圧になる。
【0029】
内窓2の外障子6にも通気部31と通風部品39を設けておけば、負圧がかかったときも中間層5の圧力を逃がすことができる。
弁体42は、円柱状のものに限らず、多角柱(五角形や六角形)状のものであってもよい。
【0030】
図22は、第7実施形態の建具の変形例を示している。本建具は、障子6又は7の下框22に室内外方向に連通する通気部31を設け、通気部31内に傾斜面44を設けてあり、傾斜面44上に配置した円柱状の弁体42により、通気部31の中間層側の入口を塞いでいる。
図中の矢印26に示すように正圧がかかると、弁体42が斜面44に沿って浮き上がって通気部31が開き、図中の矢印27に示すように、中間層側から室内側に空気が流れ、中間層5の圧力を逃がす。
【0031】
図23,24は、本発明の建具の第8実施形態を示している。本建具は、外障子6及び内障子7の上框21に室内外方向に連通する通気部31が設けてあり、上框21内にはシャッター45が上下動可能に設けてあり、シャッター45には遮視板46が垂下して設けてある。通気部31の下側には発泡樹脂等で形成した保持ブロック47が左右方向に間隔をおいて配置してあり、保持ブロック47で遮視板46を下から支えることで、
図24(a)に示すように、平常時はシャッター45が通気部31より高い位置に保持され、遮視しながら通気部31を常に空気が流通し得る状態になっている。
【0032】
内窓2に正圧がかかると、
図24(a)中の矢印27に示すように、通気部31を中間層側から室内側に向けて空気が流れ、中間層5の圧力を逃がす。内窓2に負圧がかかると、通気部31を室内側から中間層側に向けて空気が流れ、中間層5の圧力を逃がす。したがって、強風時に内窓2を閉め切ったままでも、内窓2が変形したり破損したりすることを防止できる。
火災が発生すると、
図24(b)に示すように、保持ブロック47が溶融することでシャッター45が下降し、シャッター45が通気部31を塞ぐ。これにより、火炎や煙が通気部31を通過するのを防ぐことができ、防火性能を有するものとなる。
【0033】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。外窓及び内窓の枠、障子の框の材質は問わない。外窓と内窓の窓種は、引違い窓に限定されず、片引き窓やすべり出し窓等であってもよい。軟質ヒレの形状や材質は、適宜変更することができる。内窓の障子に設ける通気部は、下框に限らず、上框や縦框に設けることもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 外窓
2 内窓
3a,3b 縦枠(枠)
4a,4b 軟質ヒレ
5 中間層
6 外障子(障子)
7 内障子(障子)
8 上枠(枠)
9 外レール
10 軟質ヒレ
11 内レール
12 軟質ヒレ