(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/68 20060101AFI20230620BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230620BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230620BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61K8/68
A61K8/42
A61K8/06
A61Q19/00
A61K8/41
A61K8/44
(21)【出願番号】P 2018246369
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2017254873
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 圭衣子
(72)【発明者】
【氏名】岸本 裕子
【審査官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-071239(JP,A)
【文献】特開2017-057146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0031570(US,A1)
【文献】特開2013-53146(JP,A)
【文献】特開2015-30705(JP,A)
【文献】特開2003-12464(JP,A)
【文献】特開2011-213702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/68
A61K 8/44
A61K 8/42
A61K 8/06
A61Q 19/00
A61K 8/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ジアシルグルタミン酸リシン、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含むアニオン性界面活性剤
0.01質量%以上1質量%以下
(B)
モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、ジアシルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、及びアシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含むカチオン性界
面活性剤、
(C)セラミド類
0.001質量%以上30質量%以下、
並びに
(D)水を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)が、
1以上40以下である、
皮膚化粧料乳化組成物。
【請求項2】
成分(A)及び成分(B)の合計量と成分(C)の質量比((A+B)/C)が、0.002以上5以下である請求項1記載の
皮膚化粧料乳化組成物。
【請求項3】
(A)アニオン性界面活性剤が、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ジアシルグルタミン酸リシン、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリ
ン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1又は2記載の
皮膚化粧料乳化組成物。
【請求項4】
(B)カチオン性界面活性剤が、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩
、及びアシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1~3のいずれか1項記載の
皮膚化粧料乳化組成物。
【請求項5】
さらに、(E)コレステロール及び脂肪酸コレステロールエステルから選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項1~4のいずれか1項記載の
皮膚化粧料乳化組成物。
【請求項6】
さらに、(F)塩基及び/又は(G)酸を含有する請求項1~5のいずれか1項記載の
皮膚化粧料乳化組成物。
【請求項7】
成分(A)~(C)を含有する油相を加熱混合する工程1、成分(F)塩基又は成分(G)酸を成分(D)水の一部に溶解し、前記油相に加えて混合する工程12、工程12の後に冷却する工程13、さらに当該油相に残りの成分(D)を含む水相を混合し撹拌する工程2を備える請求項
6記載の
皮膚化粧料乳化組成物の製造方法。
【請求項8】
前記工程1において、前記油相がさらに、(E)コレステロール及び脂肪酸コレステロールエステルから選ばれる1種又は2種以上を含有し、前記工程1において、成分(A)~(C)、及び成分(E)を含有する油相を加熱混合する、請求項
7記載の
皮膚化粧料乳化組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の最外層に存在する角質層を構成する角質細胞の間隙には、角層細胞間脂質と呼ばれる脂質が存在している。この角層細胞間脂質の脂質組成は、約50%がセラミドであり、その他コレステロール、コレステロールエステル、脂肪酸等からなる。このうちセラミドは、荒れ肌、乾燥肌等に深く関与しており、セラミドを外用で補うことにより角質層の状態を改善できることが知られている。
かかる観点から、セラミド類を配合した化粧料が種々報告されている。セラミド類は、結晶性が高く、また融点が高いため製剤中での安定化が難しいことから、セラミドとリン脂質とカチオン性界面活性剤を配合する技術(特許文献1)、セラミド類にカルボン酸、塩基を配合した水中油型エマルションとする技術(特許文献2)、セラミド類にスフィンゴシン類、グリセリンモノ脂肪酸エステル、高級アルコール等を配合した乳化組成物(特許文献3)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-193464号公報
【文献】特開2006-312622号公報
【文献】特開2007-22997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結晶性が高いセラミド類を安定に配合するためには多量の界面活性剤が必要であり、それによりべたついてしまうという問題があった。また、従来の乳化組成物は、界面活性剤により親水的な膜を形成するものであるため、水や汗によって流れ落ちてしまい、膜の持続性が低いという問題があった。
従って、本発明は、セラミド類を安定に含有し、滑らかな使用感を有し、塗布膜の持続性に優れた乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者等は、セラミド類を安定に含有させ、かつ良好な使用感を有し、また塗布膜の持続性が優れた乳化組成物を得るべく検討した結果、アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを併用してセラミド類を含有する油相と水相とを乳化させることにより、塗布膜が疎水性となり、滑らかでハリ感のある使用感が得られ、その塗布膜の持続性に優れた乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、(A)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(C)セラミド類、及び(D)水を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)が、0.5以上60以下である乳化組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乳化組成物は、セラミド類が安定に含有されており、かつ塗布膜の感触が滑らかでハリ感を有し、塗布膜の持続性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の乳化組成物は、(A)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(C)セラミド類、及び(D)水を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)が、0.5以上60以下である。
【0009】
(A)アニオン性界面活性剤としては、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、アシル乳酸、N-アシルメチルアラニン、N-アシルサルコシン、ジアシルアミノ酸及びそれらの塩等のカルボン酸塩型、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アシルイセチオン酸、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン及びそれらの塩等のスルホン酸塩型、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル及びそれらの塩等の硫酸塩型、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩等のリン酸塩型から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、滑らかなハリ感の向上及び塗布膜の持続性の点から、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ジアシルグルタミン酸リシン、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
このうち、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ジアシルグルタミン酸リシン、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
さらに、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ジアシルグルタミン酸リシン、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましい。
また、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、ジアシルグルタミン酸リシン、N-アシルメチルタウリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含むことがさらに好ましく、N-アシルアミノ酸及びその塩を含むことがよりさらに好ましい。
【0010】
N-アシルアミノ酸及びその塩としては、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、N-ステアロイル-L-グルタミン酸、N-ミリストイル-L-グルタミン酸等のN-アシルグルタミン酸及びその塩等が挙げられる。
脂肪酸及びその塩としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数12~24の脂肪酸及びその塩が挙げられる。
アルキルエーテルカルボン酸及びその塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸及びその塩等が挙げられる。
ジアシルグルタミン酸リシン及びその塩としては、ジラウロイルグルタミン酸リシン及びその塩等が挙げられる。
アルキルスルホコハク酸及びその塩としては、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸及びその塩等が挙げられる。
N-アシルメチルタウリン及びその塩としては、N-ミリストイル-N-メチルタウリン、N-ラウロイル-N-メチルタウリン、N-ステアロイル-N-メチルタウリン及びそれらの塩等が挙げられる。
アルキル硫酸エステル及びその塩としては、ラウリル硫酸及びそれらの塩等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル及びその塩としては、ポリオキシエチレンラウリル硫酸及びその塩等が挙げられる。
アルキルリン酸及びその塩としては、モノミリスチルリン酸、モノステアリルリン酸、ジ(C12-C15)パレス-8-リン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルリン酸及びその塩としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
これらの塩を構成する塩構造としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩や、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-リジン等の塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は1種又は2種以上を使用することができる。
【0011】
本発明の乳化組成物中の成分(A)の含有量は、疎水性塗布膜の形成性、滑らかなハリ感を得る点、塗布膜の持続性向上の点から、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.075質量%以上がよりさらに好ましく、また、1質量%以下が好ましく、0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下がよりさらに好ましい。具体的には、0.01質量%以上1質量%以下が好ましく、0.02質量%以上0.7質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下がさらに好ましく、0.075質量%以上0.2質量%以下がよりさらに好ましい。
【0012】
(B)カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩型、第4級アンモニウム塩型、DL-ピロリドンカルボン酸塩型から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、滑らかなハリ感の向上及び塗布膜の持続性向上の点から、第4級アンモニウム塩、アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩等を含むことが好ましい。
このうち、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、及びアシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましい。
さらに、モノC12-C24アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジC12-C24アルキルジメチルアンモニウム塩、ジアシルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、及びアシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含むことがさらに好ましい。
【0013】
モノC12-C24アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
ジC12-C24アルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
ジアシルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートとしては、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
アシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩としては、ココイルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
これらのカチオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0014】
本発明の乳化組成物中の成分(B)の含有量は、疎水性塗布膜の形成性、滑らかなハリ感を得る点、塗布膜の持続性向上の点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.02質量%以上がよりさらに好ましく、また、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がよりさらに好ましく、0.035質量%以下がよりさらに好ましい。具体的には、0.001質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下がさらに好ましく、0.01質量%以上0.05質量%以下がよりさらに好ましく、0.02質量%以上0.035質量%以下がよりさらに好ましい。
【0015】
また本発明の乳化組成物においては、成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)は、疎水性塗布膜の形成性、滑らかなハリ感を得る点、塗布膜の持続性向上の点から、0.5以上であり、0.75以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上がさらに好ましく、2.5以上がよりさらに好ましく、また、60以下であり、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下がよりさらに好ましい。具体的には、0.5以上60以下であり、0.75以上40以下が好ましく、1以上20以下がより好ましく、2以上10以下がさらに好ましく、2.5以上5以下がよりさらに好ましい。
【0016】
(C)セラミド類としては、天然型セラミド、擬似型セラミドのいずれでも良く、次の一般式(1)又は(2)で表わされるものから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
(I)一般式(1)で表わされる天然型セラミドは、天然由来のセラミド類又は同構造の合成物であっても良い。
【0017】
【0018】
(式中、R1はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7~19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X4は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R3は水素原子を示すか、炭素数1~4のアルキル基を示し;R4はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5~30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8~22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0019】
好ましくは、R1が炭素数7~19、更に好ましくは炭素数13~15の直鎖アルキル基;R4がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9~27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9~27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X4は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R4としては、トリコシル、1-ヒドロキシペンタデシル、1-ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1-ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0020】
天然型セラミドは、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1~7(例えば、J. Lipid Res.,24:759(1983)の
図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の
図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0021】
更にこれらのN-アルキル体(例えばN-メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(-)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。なかでも、CERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0022】
【0023】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
このような天然型セラミドの市販のものを用いる場合には、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC-001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0024】
【0025】
(II)一般式(2)で表わされる擬似型セラミド。
【0026】
【0027】
(式中、R5は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10~22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X5は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R6はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5~22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8~22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R7は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1~30のアルキル基を示す。)
【0028】
R6としては、特にノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12-ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
【0029】
R7は、R5が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10~30の、好ましくは総炭素数12~20のアルキル基であり、R5がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10~22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1~8のアルキル基を示すものが好ましい。R7のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1~7のものが好ましい。
【0030】
【0031】
一般式(2)としては、R5がヘキサデシル基、X5が水素原子、R6がペンタデシル基、R7がヒドロキシエチル基のもの;R5がヘキサデシル基、X5が水素原子、R6がノニル基、R7がヒドロキシエチル基の擬似型セラミド類から選ばれる1種以上が好ましく、一般式(2)のR5がヘキサデシル基、X5が水素原子、R6がペンタデシル基、R7がヒドロキシエチル基のもの(N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)が、さらに好ましい。
【0032】
【0033】
本発明の乳化組成物中の成分(C)の含有量は、保湿作用、滑らかなハリ感を得る点、塗布膜の持続性向上の点から、0.0005質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましく、0.1質量%以上がよりさらに好ましく、0.5質量%以上がよりさらに好ましく、0.8質量%以上がよりさらに好ましく、また、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がよりさらに好ましい。具体的には、0.0005質量%以上50質量%以下が好ましく、0.001質量%以上30質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がよりさらに好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がよりさらに好ましく、0.8質量%以上10質量%以下がよりさらに好ましい。
【0034】
また、本発明の乳化組成物においては、疎水性塗布膜の形成性、滑らかなハリ感を得る点、塗布膜の持続性向上の点から、成分(A)及び成分(B)の合計量と成分(C)の質量比((A+B)/C)は、0.002以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.01以上がさらに好ましく、0.05以上がよりさらに好ましく、0.1以上がよりさらに好ましく、また、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましく、0.3以下がよりさらに好ましく、0.2以下がよりさらに好ましい。具体的には0.002以上5以下が好ましく、0.005以上3以下がより好ましく、0.01以上1以下がさらに好ましく、0.05以上0.3以下がよりさらに好ましく、0.1以上0.2以下がよりさらに好ましい。
【0035】
本発明の乳化組成物中の(D)水の含有量は、滑らかなハリ感を得る点、塗布膜の持続性向上の点から、10質量%以上99.5質量%以下が好ましく、40質量%以上99質量%以下がより好ましい。
【0036】
本発明の乳化組成物中には、前記成分以外にさらに(E)コレステロール及びコレステロール脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を含有するのが、(C)セラミド類を安定に含有させ、疎水性塗布膜の形成性、滑らかなハリ感、塗布膜の持続性向上の点から好ましい。
【0037】
コレステロール脂肪酸エステルとしては、炭素数12~24の脂肪酸とのコレステロールエステルが好ましい。より具体的には、ラウリン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ミリスチン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、リノール酸コレステリルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0038】
成分(E)の含有量は、疎水性塗布膜の形成性、滑らかなハリ感、塗布膜の持続性向上の点から乳化組成物中に0.001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がよりさらに好ましい。
【0039】
本発明の乳化組成物は、pHを調整するため、更に、成分(A)及び(B)以外の(F)塩基及び/又は(G)酸を含有することができる。
(F)塩基としては、特に制限されず、有機塩基であっても無機塩基であっても良い。
有機塩基は、塩基性アミノ酸、アルカノールアミンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、L-アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、トリスヒドロキシメチルアミノエタン等のアルカノールアミンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
また、無機塩基は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
これらのうち、L-アルギニン、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0040】
(F)塩基は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、使用感をさらに良好にする点から、全組成中に0~10質量%含有されるのが好ましく、0.001~5質量%含有されるのがより好ましい。
【0041】
また、(G)酸は、有機酸、無機酸のいずれでも良い。
有機酸はモノカルボン酸、ジカルボン酸、オキシカルボン酸、酸性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸;コハク酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸;グリコール酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
また、無機酸は、塩酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
これらの中で、酸性アミノ酸及びリン酸から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0042】
(G)酸は、1種以上を用いることができ、全組成中に0~10質量%含有されるのが好ましく、0.001~5質量%含有されるのがより好ましい。
本発明によれば、広いpH領域(pH4~8)で、疎水性の塗布膜の形成、滑らかでハリ感のある使用感及びその膜の持続性という本発明の効果を得ることができる。
【0043】
本発明の乳化組成物は、例えば成分(A)~(C)を含有する油相を80~95℃で加熱混合し、これに水相成分を加えて撹拌し均一に乳化させることにより製造できる。
本発明の乳化組成物の製造方法は、具体的には成分(A)~(C)を含有する油相を加熱混合する工程1と、当該油相に成分(D)を含有する水相を混合し攪拌する工程2とを備える。さらに、前記工程1と工程2との間に、成分(F)又は成分(G)を成分(D)の一部に溶解し、前記油相に加えて混合する工程12、工程12の後に冷却する工程13を備えることが好ましい。また、前記工程2の後に、成分(F)又は成分(G)を成分(D)の一部に溶解し、組成物に加えて混合する工程2-2を備えることができる。なお、これらの場合、成分(D)の含有量は各工程で混合した量の合計量である。また、加熱混合する工程において、加熱温度は、混合する成分のうち最も高い融点以上、100℃以下の温度で加熱することが好ましい。
本発明の乳化組成物の製造方法は、成分(A)~(C)、及び好適には成分(E)を含有する油相を加熱混合する工程1、成分(F)又は成分(G)を成分(D)の一部に溶解し、前記油相に加えて混合する工程12、工程12の後に冷却する工程13、さらに当該油相に残りの成分(D)を含有する水相を混合し攪拌する工程2を備えるのが好ましい。
【0044】
本発明の乳化組成物は、市販されている、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、高圧ホモジナイザー、マイクロミキサーを用いることができるが、より微細化する手段として高圧ホモジナイザー又はマイクロミキサーを用いることができる。
【0045】
高圧ホモジナイザー又はマイクロミキサーを用いた乳化方法は、乳化粒子の粒径均一化の点、保存安定性を向上させる点、微細化したセラミドの皮膚への浸透性の向上が期待できる点で好ましく、分散粒子の粒子径(体積平均粒子径)が200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下の微細化されたエマルションを得ることできる。
【0046】
本発明の乳化組成物は、ベシクルが形成されており、そのベシクル構造が安定である。また、本発明の乳化組成物を皮膚に塗布すると、疎水性の高い塗布膜が形成される。その疎水性の高い塗布膜の形成により、高い保湿機能を示し、かつ滑らかなハリ感が得られる。さらに、疎水性の高い塗布膜は、水に対して強い耐性を示し、良好な使用感が持続する。
【0047】
本発明の乳化組成物は、化粧料等の皮膚外用剤として適用することができる。化粧料とする場合には、前記成分以外に、更に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、上記以外の油性成分、低級アルコール、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、美白剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、植物抽出物、その他各種薬効成分、粉体、香料、色材等を含有することができる。
【0048】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物を開示する。
【0049】
<1>(A)アニオン性界面活性剤、(B)カチオン性界面活性剤、(C)セラミド類、及び(D)水を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)が、0.5以上60以下である乳化組成物。
【0050】
<2>(A)アニオン性界面活性剤が、カルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸塩型及びリン酸塩型から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>記載の乳化組成物。
<3>(A)アニオン性界面活性剤が、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、ジアシルグルタミン酸リシン、アルキルスルホコハク酸、N-アシルメチルタウリン、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>又は<2>記載の乳化組成物。
<4>(A)アニオン性界面活性剤が、N-アシルアミノ酸、脂肪酸、ジアシルグルタミン酸リシン、N-アシルメチルタウリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>~<3>のいずれかに記載の乳化組成物。
<5>(A)アニオン性界面活性剤が、N-アシルアミノ酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>~<4>のいずれかに記載の乳化組成物。
<6>成分(A)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、よりさらに好ましくは0.075質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.2質量%以下であり、また、好ましくは0.01質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上0.7質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下、よりさらに好ましくは0.075質量%以上0.2質量%以下である<1>~<5>のいずれかに記載の乳化組成物。
<7>(B)カチオン性界面活性剤が、脂肪族アミン塩型、4級アンモニウム塩型及びDL-ピロリドンカルボン酸塩型から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>~<6>のいずれかに記載の乳化組成物。
<8>(B)カチオン性界面活性剤が、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、ジアシルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、及びアシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>~<7>のいずれかに記載の乳化組成物。
<9>(B)カチオン性界面活性剤が、モノC12-C24アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジC12-C24アルキルジメチルアンモニウム塩、ジアシルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、及びアシルアルギニンエチルピロリドンカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上を含む<1>~<8>のいずれかに記載の乳化組成物。
<10>成分(B)の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、よりさらに好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、よりさらに好ましくは0.05質量%以下、よりさらに好ましくは0.035質量%以下であり、また、好ましくは0.001質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、よりさらに好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下、よりさらに好ましくは0.02質量%以上0.035質量%以下である<1>~<9>のいずれかに記載の乳化組成物。
<11>(C)セラミド類が、天然型セラミド及び擬似型セラミドから選ばれる1種又は2種以上を含む<1>~<10>のいずれかに記載の乳化組成物。
<12>成分(C)の含有量が、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、よりさらに好ましくは0.1質量%以上、よりさらに好ましくは0.5質量%以上、よりさらに好ましくは0.8質量%以上、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下であり、好ましくは0.0005質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上20質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、よりさらに好ましくは0.8質量%以上10質量%以下である<1>~<11>のいずれかに記載の乳化組成物。
<13>成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは2.5以上であり、また、好ましくは40以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下、よりさらに好ましくは5以下であり、また、好ましくは0.75以上40以下、より好ましくは1以上20以下、さらに好ましくは2以上10以下、よりさらに好ましくは2.5以上5以下である<1>~<12>のいずれかに記載の乳化組成物。
<14>成分(A)及び成分(B)の合計量と成分(C)の質量比((A+B)/C)が、好ましくは0.002以上、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上、よりさらに好ましくは0.05以上、よりさらに好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下、さらに好ましくは0.3以下、よりさらに好ましいは0.2以下であり、また、好ましくは0.002以上5以下、より好ましくは0.005以上3以下、さらに好ましくは0.01以上1以下、よりさらに好ましくは0.05以上0.3以下、よりさらに好ましくは0.1以上0.2以下である<1>~<13>のいずれかに記載の乳化組成物。
<15>成分(D)の含有量が、好ましくは10質量%以上99.5質量%以下、より好ましくは40質量%以上99質量%以下である<1>~<14>のいずれかに記載の乳化組成物。
<16>さらに、(E)コレステロール及び脂肪酸コレステロールエステルから選ばれる1種又は2種以上を含有する<1>~<15>のいずれかに記載の乳化組成物。
<17>さらに、(F)塩基及び/又は(G)酸を含有する<1>~<16>のいずれかに記載の乳化組成物。
<18>化粧料である<1>~<17>のいずれかに記載の乳化組成物。
<19>成分(A)~(C)を含有する油相を加熱混合する工程1、成分(F)塩基又は成分(G)酸を成分(D)水の一部に溶解し、前記油相に加えて混合する工程12、工程12の後に冷却する工程13、さらに当該油相に残りの成分(D)を含む水相を混合し撹拌する工程2を備える<17>記載の乳化組成物の製造方法。
<20>前記工程1において、前記油相がさらに、(E)コレステロール及び脂肪酸コレステロールエステルから選ばれる1種又は2種以上を含有し、前記工程1において、成分(A)~(C)、及び成分(E)を含有する油相を加熱混合する、<19>記載の乳化組成物の製造方法。
【実施例】
【0051】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0052】
(製造方法)
成分(A)、(B)、(C)及び(E)を混合し、80~95℃で加熱溶解し、撹拌する。更に(G)リン酸もしくは(F)L-アルギニンを水の一部(10質量%)に溶解したものを加えて均一にした後、撹拌しながら25℃まで冷却した。この後、残りの成分を混合し、撹拌して均一にした。
【0053】
(評価方法)
(1)乳化粒子状態
乳化粒子の状態は、サンプル調製直後に顕微鏡(直光及び偏光下)で粒子とマルテーゼクロスの有無について観察した。粒子及びマルテーゼクロスが観察されたものを「A」、粒子の他層状ラメラ構造体が観察されたものを「B」、粒子が観察されなかったものを「C」と評価した。
【0054】
(2)塗布膜の感触
サンプルを、手の甲に適量(0.3g)塗布し、化粧品評価専門パネラーN=3が、感触(滑らかなハリ感)について4段階(4点:良い、3点:やや良い、2点:やや良くない、1点:良くない)で評価(合計12点)を実施した。合計点を表に示した。
【0055】
(3)塗布膜の持続性(洗浄後)
サンプルを、手の甲に適量(0.3g)塗布し、乾燥塗布膜を肌上で形成した後、水にて洗浄後、感触(滑らかなハリ感)を確認した。感触が持続している場合を「A」、やや持続している場合を「B」、持続してない場合を「C」と評価した。
【0056】
(4)接触角測定
人工皮革2.5cm×2.5cmの面積当たりサンプル0.5gを塗布し乾燥した後、再度塗布する操作を繰り返し6回行った。24時間乾燥後、25℃環境下で塗布膜上に水滴を1μL滴下し、滴下直後と滴下60秒後の接触角を自動接触角計DM-501Hi(協和界面科学社製/北浜製作所)によって測定した。
【0057】
(5)塗布膜の親疎水性
滴下直後及び滴下60秒後の接触角が30°より大きい場合を疎水的、小さい場合を親水的とした。
【0058】
実施例1及び比較例1、2
セラミド類にアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を併用した場合と、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤単独使用の場合とを対比した。その結果、表1に示すようにアニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用することにより、疎水性の塗布膜が形成され、滑らかでハリ感のある使用感が得られ、その膜が持続することが判明した。
【0059】
【0060】
実施例2~7
アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の含有量を変化させて前記の評価を行った。その結果、これらの含有量にかかわらず、疎水性の塗布膜の形成、滑らかでハリ感のある使用感及びその膜の持続性という本発明の効果が得られたが、A/Bが0.75以上40以下のときに、良好であることがわかる。
【0061】
【0062】
実施例8~12
種々のアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を用いて前記の評価を行った。その結果、表3に示すようにアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の種類によらず、疎水性の塗布膜の形成、滑らかでハリ感のある使用感及びその膜の持続性という本発明の効果が得られることがわかった。
【0063】
【0064】
実施例13~16
表4の組成の乳化組成物を得て、前記の評価を行った。その結果、表4に示すように、セラミドの含有量によらず、疎水性の塗布膜の形成、滑らかでハリ感のある使用感及びその膜の持続性という本発明の効果が得られることがわかった。またpHによらず、広いpH領域で、疎水性の塗布膜の形成、滑らかでハリ感のある使用感及びその膜の持続性という本発明の効果が得られることがわかった。
【0065】
【0066】
比較例3
表5の組成の乳化組成物を得て、前記の評価を行った。その結果、表5に示すように成分(A)と成分(B)の質量比(A/B)が60を超える比較例3の乳化組成物は、疎水性の塗布膜が形成されず、その膜の持続性が劣るものであった。
【0067】