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特許7299022メンブレンバイオリアクターにおけるリン析出およびメンブレンフラックスの改善
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  • 特許-メンブレンバイオリアクターにおけるリン析出およびメンブレンフラックスの改善 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】メンブレンバイオリアクターにおけるリン析出およびメンブレンフラックスの改善
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20230620BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230620BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20230620BHJP
   C02F 1/56 20230101ALI20230620BHJP
   C02F 3/12 20230101ALI20230620BHJP
【FI】
B01D21/01 108
B01D21/01 110
C02F1/44 F
C02F1/52 E
C02F1/56 E
C02F3/12 S
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018527176
(86)(22)【出願日】2016-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2016078388
(87)【国際公開番号】W WO2017089330
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-09-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】1551546-3
(32)【優先日】2015-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504186286
【氏名又は名称】ケミラ ユルキネン オサケイティエ
【氏名又は名称原語表記】KEMIRA OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(72)【発明者】
【氏名】メルダッド ヘサンポール
(72)【発明者】
【氏名】ファツローラー アザルノーシュ
(72)【発明者】
【氏名】サカーリ ハルツネン
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】松井 裕典
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-503527(JP,A)
【文献】特開2007-167779(JP,A)
【文献】国際公開第2011/123970(WO,A1)
【文献】特表2016-534859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
B01D21/01
C02F1/44
C02F1/52-1/56
C02F3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機凝集剤と有機水溶性ポリマーとの混合物を含む、メンブレンバイオリアクターにおける廃水を処理するにあたりリンの析出を与える混合物組成物であって、前記無機凝集剤は、鉄および/またはアルミニウム含有化合物から選択され、前記有機水溶性ポリマーは、アニオン性有機水溶性ポリマーであり、
前記アニオン性有機水溶性ポリマーが、アクリルアミド(AMD)、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)およびアクリル酸(AA)からなる群から選択される化合物に基づくポリマーである、混合物組成物。
【請求項2】
前記鉄および/またはアルミニウム含有化合物が、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリクロロ硫酸アルミニウム、ポリヒドロキシクロロ硫酸アルミニウム、アルミニウムクロロ水和物、アルミン酸ナトリウム、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化硫酸第二鉄、ポリ塩化第二鉄、硫酸第一鉄、塩化硫酸第一鉄、塩化第一鉄、三ギ酸アルミニウム、ポリギ酸アルミニウムおよびポリ硝酸アルミニウムからなる群から選択される、請求項1に記載の混合物組成物。
【請求項3】
前記アニオン性有機水溶性ポリマーが、アクリルアミド(AMD)と2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)との組み合わせおよび/またはアクリル酸(AA)と2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(AMPS)との組み合わせに基づくポリマーから選択される、請求項1または2に記載の混合物組成物。
【請求項4】
活性ポリマーとしての前記アニオン性有機水溶性ポリマーの量が、前記混合物組成物中0.01~40重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合物組成物。
【請求項5】
前記アニオン性有機水溶性ポリマーの量が、前記混合物組成物中0.01~20重量%である、請求項4に記載の混合物組成物。
【請求項6】
前記アニオン性有機水溶性ポリマーの量が、前記混合物組成物中0.01~0.6重量%である、請求項5に記載の混合物組成物。
【請求項7】
前記無機凝集剤中鉄および/またはアルミニウムの形態での金属の量が、1~15重量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の混合物組成物。
【請求項8】
前記無機凝集剤中鉄および/またはアルミニウムの形態での金属の量が4~14重量%である、請求項7に記載の混合物組成物。
【請求項9】
メンブレンバイオリアクター中で廃水を処理する方法であって、
廃水の流れをメンブレンバイオリアクター中に供給するステップと、
請求項1~8のいずれか一項に記載の混合物組成物を、前記廃水に、前記メンブレンバイオリアクターより前に、および/または前記メンブレンバイオリアクター中へと添加するステップと、
前記メンブレンバイオリアクターの生物学的処理ステップで前記混合物組成物と廃水との反応を可能にするステップと、
前記メンブレンバイオリアクターのメンブレンを使用することによって前記廃水を分離し、清浄な透過水を得るステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記混合物組成物が、前記メンブレンリアクターの生物学的処理ステップでバイオリアクターのタンクの中の廃水に添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記メンブレンバイオリアクターが、水中メンブレンまたはサイド流れメンブレンを備える、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物組成物が、前記廃水に、処理される廃水の1~1000mg/lの投与量で添加される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記混合物組成物が、前記廃水に、処理される廃水の30~250mg/lの投与量で添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物組成物が、前記廃水に、処理される廃水の40~150mg/lの投与量で添加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記混合物組成物が、処理される廃水の流れに連続的または間欠的に添加される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
メンブレンバイオリアクター中での廃水の処理のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の混合物組成物の使用。
【請求項17】
都市または工業廃水を処理するための、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレンバイオリアクターを使用しての廃水処理に関する。
【背景技術】
【0002】
廃水は、多くの異なる態様で処理および精製され得る。水を精製する態様の一つは、メンブレンバイオリアクターを使用することである。メンブレンバイオリアクター(MBR)を使用する方法は、メンブレンろ過技術と廃水の生物学的処理とを組み合わせるものである。メンブレンは、ある特定の成分、透過物というもの、だけを通過させるバリアである。メンブレンの選択性は、その細孔直径によって制御され得る。生物学的処理の懸濁固体および微生物は、適当なメンブレン、例えば、限外ろ過または精密ろ過メンブレンを使用することによって処理水から分離される。メンブレンは、生物学的反応器槽中に浸漬されていても、すなわち、生物学的反応器槽と一体であってもよいか、またはメンブレンは、別個のプロセス単位において生物学的反応器の外側に配置されていてもよく、それによって、中間ポンピングステップが必要とされ得る。
【0003】
MBRプロセスは、メンブレン汚損に関して問題を有することがあり、これは、メンブレンを通過するフラックスを減少させる。メンブレン汚損は、粒子サイズ、またはメンブレン材料と、生きているおよび/または死んでいる微生物、コロイド物質、可溶性化合物などを含む活性化スラッジ液との間の相互作用による閉塞による場合がある。メンブレン汚損を防止するために、メンブレンの空気スパージングおよび定期的逆洗が行われることがある。メンブレンの化学的清浄化もこれに対する解決策である。このようなステップは、プロセス費用、エネルギー消費およびメンブレン休止時間の増加などのような欠点をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用される成分間のより良好な相互作用を可能にして、それらの相互作用から生じる欠陥および欠点を減少させる新規な方法を見出すことが望ましい。
【0005】
費用効果的で、環境に優しい態様でメンブレン性能および水処理効率を改善するための解決策の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
廃水処理における効率的な方法としてのMBRの使用は、増加している。しかしながら、曝気に対する比較的高いエネルギー要求およびメンブレン汚損のために依然として広くは使用されていない。
【0007】
本発明は、メンブレンバイオレアクターを使用する場合のメンブレン性能および水処理に対する可能性に関する。本発明による組成物および方法は、リンの改善された析出、およびメンブレンバイオレアクターにおける比較的高い透過物フラックスを与える。本発明による組成物は、メンブレンバイオリアクター(MBR)で多機能性役割を有するブレンド生成物である。
【0008】
メンブレンバイオリアクターの流入液中への化学物質の添加は、操作の一般性能を改善するための選択肢として考えられる。無機凝集剤および有機水溶性ポリマーは、この目的のために使用される適当な化学物質と考えられる。
【0009】
有機水溶性ポリマーは、大きくはリンおよび窒素除去に影響を与えず、主としてメンブレンの透過性に影響を与えると思われる一方で、無機凝集剤は、リン除去の増加において効率的であるが、フラックス低下に対してはそうでないように思われる。本組成物は、これらの効果の組み合わせに関する。本発明は、無機凝集剤と有機水溶性ポリマーとのブレンド生成物、およびメンブレンバイオリアクターによる廃水処理におけるその使用に関する。
【0010】
処理される廃水は、都市および工業廃水から選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、水中のメンブレンよるMBRプロセスおよび脱窒および硝化ステップを含む、本発明による実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的の一つは、無機凝集剤と有機水溶性ポリマーとの混合物を含むメンブレンバイオリアクターにおける廃水の処理のための組成物であって、無機凝集剤は、鉄および/またはアルミニウム含有化合物から選択され、ならびに有機水溶性ポリマーは、アニオン性、カチオン性および非イオン性ポリマーおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、組成物を提供することである。無機凝集剤と有機水溶性ポリマーとの混合物は、好ましくは液体形態である。一実施形態によれば、本組成物は、液体形態であってもよく、好ましくは本組成物は、水性組成物である。
【0013】
有機水溶性ポリマーは、アニオン性ポリマーであってもよい。アニオン性ポリマーは、アクリルアミド(AMD)、(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(AMPS)およびアクリル酸(AA)、ならびにそれらの任意の組み合わせの群から選択される化合物に基づくポリマー;好ましくは、アクリルアミド(AMD)と(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(AMPS)との組み合わせおよび/またはアクリル酸(AA)と(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(AMPS)との組み合わせに基づくポリマーから選択されてもよい。
【0014】
有機水溶性ポリマーは、カチオン性ポリマーであってもよい。カチオン性ポリマーが使用される場合、カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリアミン、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂およびポリジシアンジアミド、ならびにそれらの任意の組み合わせの群から選択されてもよい。カチオン性ポリアクリルアミドは、アクリルアミドと、カチオン性モノマーまたはそれらの数種、例えば、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドのいずれか1種または任意の組み合わせとのコポリマーであってもよい。
【0015】
有機水溶性ポリマーは、非イオン性ポリマーであってもよく、ここで、非イオン性有機水溶性ポリマーは、アクリルアミド(AMD)を含む化合物に基づくポリマーから選択されてもよい。
【0016】
選択されて含まれるモノマー、例えば、アクリルアミドのポリマーは、異なる(イオン性)形態、例えば、アニオン性、カチオン性および非イオン性形態で与えられてもよいことが留意されるべきである。異なるコモノマーの使用は、イオン性形態に影響し得る。
【0017】
代わりに、有機水溶性ポリマーは、多糖類および/またはポリフェノール化合物、ならびにそれらの任意の組み合わせであってもよい。多糖類は、セルロース、デンプン、キチンおよびキトサン化合物、ならびにそれらの任意の組み合わせの群から選択されてもよい。ポリフェノール類は、タンニンおよびリグニン、ならびにそれらの任意の組み合わせの群から選択されてもよい。
【0018】
アニオン性ポリマーが使用される場合、組成物中の活性アニオン性ポリマーの量は、約0.01~40重量%、好ましくは0.01~20重量%、最も好ましくは0.01~0.6重量%である。
【0019】
カチオン性ポリマーが使用される場合、組成物中の活性カチオン性ポリマーの量は、好ましくは約0.01~40重量%、好ましくは0.01~20重量%、最も好ましくは0.01~0.6重量%である。
【0020】
非イオン性ポリマーが使用される場合、組成物中の活性非イオン性ポリマーの量は、好ましくは約0.01~40重量%、好ましくは0.01~20重量%、最も好ましくは0.01~0.6重量%である。
【0021】
多糖類および/またはポリフェノール化合物ならびにそれらの任意の組み合わせの化合物が使用される場合、組成物中の活性ポリマーの量は、好ましくは約0.01~40重量%、好ましくは0.01~20重量%、最も好ましくは0.01~0.6重量%である。
【0022】
上述のポリマーのいずれかの、すなわち、アニオン性、カチオン性、非イオン性ポリマー、多糖類およびポリフェノール化合物から選択される、組み合わせが使用される場合、それらの任意の組み合わせ中の活性ポリマーの濃度は、好ましくは約0.01~40重量%、好ましくは0.01~20重量%、最も好ましくは0.01~0.6重量%である。
【0023】
鉄および/またはアルミニウム含有化合物である、無機凝集剤は、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリクロロ硫酸アルミニウム、ポリヒドロキシルクロロ硫酸アルミニウム、アルミニウムクロロ水和物、アルミン酸ナトリウム、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化硫酸第二鉄、ポリ塩化第二鉄、硫酸第一鉄、塩化硫酸第一鉄、塩化第一鉄、三ギ酸アルミニウム、ポリギ酸アルミニウムおよびポリ硝酸アルミニウム、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。無機凝集剤は、好ましくは溶液の形態、すなわち、液体形態である。
【0024】
無機凝集剤中の金属、すなわち、鉄および/またはアルミニウム、ならびにそれらの任意の組み合わせの量は、約1~15重量%、好ましくは約4~14重量%であってもよい。
【0025】
本発明の別の目的は、メンブレンバイオリアクターで廃水を処理する方法であって、
廃水のストリームをメンブレンバイオリアクター中に供給するステップと、
本発明による組成物を、メンブレンバイオリアクターの前に廃水に、および/またはメンブレンバイオリアクター中に添加するステップと、
メンブレンバイオリアクターの生物学的処理ステップで組成物と廃水との反応を可能にするステップと、
メンブレン反応器のメンブレンを使用することによって廃水を分離し、清浄な水透過物、すなわち、清浄な水の流出を得るステップと
を含む方法を提供することである。
【0026】
メンブレン分離は、メンブレンの通過後に得られる精製流出物、およびメンブレンを通ることができない物質である保持スラッジをもたらす。
【0027】
メンブレンバイオリアクター(MBR)プロセスは、メンブレンろ過技術と廃水の生物学的処理とを組み合わせる。生物学的処理の懸濁固体および微生物は、適当なメンブレン、例えば、限外ろ過または精密ろ過メンブレンを使用することによって処理水から分離される。メンブレンは、生物学的反応器槽中(水中と呼ばれる)に浸漬されていても、すなわち、生物学的反応器槽と一体であってもよいか、またはメンブレンは、別個のプロセス単位にある生物学的反応器の外側(サイドストリームと呼ばれる)に配置されていてもよく、それによって、中間ポンピングステップが必要とされてもよい。
【0028】
MBRプロセスは、好気性および/または嫌気性条件下で行われてもよいことが留意されるべきである。
【0029】
異なる生物学的精製ステップが、メンブレンバイオリアクタープロセスに含まれてもよい。このようなものの例は、硝化および脱窒、有機炭素除去ステップである。これらは、全体としてメンブレンバイオリアクタープロセスに含まれてもよい。
【0030】
硝化プロセスは、アンモニアまたはアンモニウムの亜硝酸塩への生物学的酸化、続いて、亜硝酸塩の硝酸塩の酸化を伴う。硝化は、微生物によって行われる好気性プロセスである。
【0031】
脱窒プロセスは、分子窒素(N)を最終的にもたらし得る硝酸還元の微生物で容易化されたプロセスである。一般に、それは、無酸素条件下で行われる。
【0032】
有機炭素除去ステップは、有機物質を除去する。このステップは、好気性または嫌気性であり得る。好気性ステップは、CO、水およびバイオマスを生成させる。嫌気性ステップは、CHおよび処理バイオマスを生成させる。
【0033】
本組成物は、MBRの前に処理される廃水、すなわち、MBRの流入物に添加されてもよく、および/またはMBR中に添加されてもよい。組成物がMBR中に添加される場合、それは、好ましくはMBRの生物学的処理ステップでバイオリアクター槽に添加される。
【0034】
本組成物は、メンブレンバイオリアクター(MBR)の脱窒ステップの前に処理される廃水と一緒に添加されても、メンブレンバイオリアクター(MBR)の脱窒ステップ中に、および/またはその後に添加されてもよい。
【0035】
本組成物は、メンブレンバイオリアクター(MBR)の硝化ステップの前、中および/または後に添加されてもよい。
【0036】
本組成物は、メンブレンバイオリアクター(MBR)の有機炭素除去ステップの前、および/または中に添加されてもよい。
【0037】
一実施形態において、脱窒ステップは、次にメンブレンバイオリアクター(MBR)の硝化ステップが続く。
【0038】
脱窒および硝化ステップがMBRプロセスで使用される場合、硝化ステップにおける処理廃水の一部が、前の脱窒ステップに戻して再循環されることが好ましくあり得る。任意選択でまた、メンブレンろ過で保持されるスラッジの少なくとも一部分が前の脱窒ステップ(その後の硝化ステップを有する)に戻して再循環される。
【0039】
本発明による組成物は、任意選択の脱窒の前、その時またはその後、任意選択の脱窒の前、その時またはその後、任意選択の脱窒と硝化との間、MBRの生物学的処理ステップの進入直後に、およびMBRの生物学的処理ステップに、またはそれらの任意の組み合わせから選択される任意の位置で添加されてもよいことが留意されるべきである。MBRプロセスの任意選択の生物学的精製ステップが単に任意選択である場合、組成物は、MBRの前、または中に添加されてもよく、MBRの生物学的処理ステップの前および/またはそれに添加されることを意味する。
【0040】
メンブレンバイオリアクターは、水中メンブレンまたはサイドストリームメンブレンを備えてもよい。
【0041】
本発明による組成物は、約1~1000mg/l、好ましくは30~250mg/l、好ましくは40~150mg/lの投与量で、処理される廃水に添加されてもよい。投与量は、廃水の流入と関連付けられることに気付くはずである。
【0042】
本組成物は、廃水のストリームに連続的または間欠的に添加されてもよい。連続添加は、時間とともに反応の改善を維持する。しかしながら、間欠的添加によって、特にメンブレン分離からの得られたスラッジの一部分が廃水処理プロセス中に再導入される場合、正の効果も観察されることが見出された。
【0043】
したがって、メンブレンバイオリアクターのメンブレンに保持される物質である保持物、すなわち、スラッジは、MBRを使用して処理される廃水のストリーム中に、完全または部分的に、戻して再循環されてもよい。硝化ステップおよび/または脱窒ステップがMBRプロセス中に存在する場合、メンブレンからの保持物の再循環は、このような前のステップの少なくとも1つ、好ましくはプロセスライン中の最初のステップ、好ましくは脱窒ステップに送られてもよい。
【0044】
本発明は、メンブレンバイオリアクター(MBR)における廃水の処理のための、本組成物の使用を提供する。さらに、本発明は、都市または工業廃水を処理する本方法の使用を提供する。
【実施例
【0045】
本発明による組成物を、地方都市廃水処理プラントにあるパイロットプラントで約3週間試験した。パイロットプラントは2つの並行ラインを有し、各ラインへの流入流量は1.5m/時間であった。パイロットスキームを図1に提示する。
【0046】
本組成物を、脱窒槽の前に、またはそれの中に直接投与した。本組成物を約80ppmの投与量でラインBに1日当たり数回添加する一方で、他方のラインに硫酸鉄を含む参照生成物を、それぞれ50および150mg/lの投与量率で連続的に添加した。
【0047】
結果
結果は、新規な生成物の間欠的添加でさえも、メンブレンの廃水処理効果および性能を改善することを示した。リン除去は、参照ラインについての83%と比較して84%であった。全窒素除去は、80ppmの本組成物について42%であった一方で、それは150ppmの参照生成物について33%であった。参照生成物のはるかにより高い添加にもかかわらず、本組成物の効果は、非常に効率的である。化学物質の添加なしと比較した本組成物の使用直後の透過物フラックスは、160から340l/(m時間バール)に増加し、メンブレンフラックスの112%増加をもたらした。透過物フラックスは、参照ラインについて16%増加されただけであった。
【0048】
【表1】
【0049】
結果からわかるとおりに、本組成物および方法は、メンブレン性能および水処理効率を改善する。
図1