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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】衛生用薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20230620BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K7/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019036656
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020138780
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 達也
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140810(JP,A)
【文献】特開平11-263384(JP,A)
【文献】特開2002-166981(JP,A)
【文献】特開2012-066862(JP,A)
【文献】米国特許第04534491(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に衛生用薄葉紙を収納する容器本体と、前記容器本体に着脱自在に取り付けられ、前記容器本体に収納された衛生用薄葉紙を取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えた衛生用薄葉紙収納容器において、
前記取出部は、
前記衛生用薄葉紙が挿通され、当該衛生用薄葉紙をその先端が前記取出部の上面から突出した状態で保持する取出孔と、
前記取出部の下面及び前記取出孔の孔壁により形成される角を面取りした面取り部と、を備え、
前記面取り部は、前記孔壁から前記下面に沿う方向の長さが0.5mm~1.0mmであり、前記取出孔の下端から前記孔壁に沿う方向の長さが0.5mm~1.0mmであることを特徴とする衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記面取り部は、前記取出孔の孔壁を平面で面取りした平面面取り部であることを特徴とする請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記取出孔は、下端側の開口面積が、上端側の開口面積より大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記取出孔は、放射状の切り込みによって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項5】
前記蓋体は、上面に孔部を有し、
前記取出部は、側面に設けられた括れ部を有し、当該括れ部に前記孔部の縁が嵌め込まれることによって、前記蓋体に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットシートやウェットティッシュ等の衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、あるいは人体などを拭くための衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器が知られている。
衛生用薄葉紙収納容器としては、取出孔の形成された取出部を着脱可能に備え、この取出孔により衛生用薄葉紙に抵抗を掛けて、衛生用薄葉紙に設けられたミシン目にて衛生用薄葉紙を切り離す構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5850521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような衛生用薄葉紙収納容器においては、連続して衛生用薄葉紙を使用できるようにするため、衛生用薄葉紙をミシン目で切り離した際に、後続の衛生用薄葉紙が容器内部に落ち込むことなく、その端部が取出孔から突出した状態で保持される必要がある。
しかしながら、十分な保持機能を確保するため取出孔により衛生用薄葉紙に掛かる抵抗を高めると、後続の衛生用薄葉紙の取出孔からの突出量が少なく、取出しが困難になる場合がある。
【0005】
本発明の課題は、取出孔における衛生用薄葉紙の保持の確実性と、衛生用薄葉紙の取出し作業の容易性を両立した衛生用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
内側に衛生用薄葉紙を収納する容器本体と、前記容器本体に着脱自在に取り付けられ、前記容器本体に収納された衛生用薄葉紙を取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えた衛生用薄葉紙収納容器において、
前記取出部は、
前記衛生用薄葉紙が挿通され、当該衛生用薄葉紙をその先端が前記取出部の上面から突出した状態で保持する取出孔と、
前記取出部の下面及び前記取出孔の孔壁により形成される角を面取りした面取り部と、を備え
前記面取り部は、前記孔壁から前記下面に沿う方向の長さが0.5mm~1.0mmであり、前記取出孔の下端から前記孔壁に沿う方向の長さが0.5mm~1.0mmであることを特徴とする。
本発明によれば、取出孔における衛生用薄葉紙の保持の確実性と、衛生用薄葉紙の取出し作業の容易性を両立した構成とすることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記面取り部は、前記取出孔の孔壁を平面で面取りした平面面取り部であることを特徴とする。
本発明によれば、面取り部を容易に形成することができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記取出孔は、下端側の開口面積が、上端側の開口面積より大きくなるよう形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、衛生用薄葉紙の取出し作業の容易性を高めることができる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記取出孔は、放射状の切り込みによって形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、取出孔における衛生用薄葉紙の保持の確実性を高めることができる。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記蓋体は、上面に孔部を有し、
前記取出部は、側面に設けられた括れ部を有し、当該括れ部に前記孔部の縁が嵌め込まれることによって、前記蓋体に取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、取出部を蓋体から外れ難くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取出孔における衛生用薄葉紙の保持の確実性と、衛生用薄葉紙の取出し作業の容易性を両立した衛生用薄葉紙収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る衛生用薄葉紙収納容器の斜視図である。
図2図1のII-II部における断面図である。
図3】実施形態に係る衛生用薄葉紙収納容器の取出部の斜視図である。
図4】取出部の底面図である。
図5図4のV-V部における断面図である。
図6】面取り部の形状を説明するための図であり、図5のVI-V部Iにおける断面図である。
図7】面取り部の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態である衛生用薄葉紙収納容器100の具体的な態様について、図1から図7に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
なお、以下においては、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、衛生用薄葉紙収納容器100において、衛生用薄葉紙が取り出される側を上、その反対側を下、衛生用薄葉紙収納容器100の平面視における手前側を前、その反対側を後、後を向いた際の右手側を右、後を向いた際の左手側を左とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0014】
<実施形態の構成>
(全体構成)
衛生用薄葉紙収納容器100は、図1に示すように、衛生用薄葉紙(例えば、ロール状に巻かれたウェットシートやウェットティッシュ等のロールペーパー)を内部に収納する容器本体1と、容器本体1に着脱自在に取り付けられる蓋体2と、蓋体2に着脱自在に取り付けられる取出部3と、を備えて構成されている。
蓋体2が、容器本体1に対して着脱自在に構成されているため、容器本体1から蓋体2を取り外した状態で、容器本体1の内部に衛生用薄葉紙を収納したり、内部から衛生用薄葉紙を取り出したりすることができる。
また、衛生用薄葉紙は、上下方向に沿った軸心にロール状に巻かれた状態で容器本体1に収納されている。また、衛生用薄葉紙には、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目が施されており、そのミシン目に沿って切り離した衛生用薄葉紙を、ユーザが使用するようになっている。
【0015】
(容器本体)
容器本体1は、衛生用薄葉紙を収納するための容器であり、有底円筒形上に形成され、上面には開口部が設けられている。また、側面の上端部の外周面には、図2に示すように、周方向に沿って雄ネジ部11が設けられている。
容器本体1は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されている。
容器本体1は、平面視において直径60mm~200mm、好ましくは65mm~110mmの円となり、Z軸方向(高さ)175mm~200mm、好ましくは175mm~185mm、各面の厚み0.05mm~10mm、好ましくは0.1mm~5mmの円筒形状に形成されている。
【0016】
(蓋体)
蓋体2は、図1及び図2に示すように、蓋体本体21と、小蓋22と、から構成されている。
【0017】
蓋体本体21は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成されており、下面が開放された円筒形状をなし、天面部21aと、側面部21bと、天面部21aの平面視内周側に下方に向けて凹状に形成される凹部21cと、孔部21dと、凹部21c内において孔部21dを囲むように円筒形状に立設された本体側壁部21eと、を備えている。
蓋体本体21は、平面視において直径60mm~200mm、好ましくは65mm~110mmの円形となり、Z軸方向(高さ)15mm~50mm、好ましくは33mm~45mm、各面の厚み0.05mm~10mm、好ましくは0.1mm~5mmの円筒形状に形成されている。
【0018】
また、側面部21bの下端部の内周面には、容器本体1の雄ネジ部11と螺合する雌ネジ部211が設けられている。これによって、図2に示すように容器本体1と蓋体2は、雄ネジ部11と雌ネジ部211を介した着脱自在な連結構造をとり、容器本体1から蓋体2を取り外すことが可能となっている。
【0019】
(凹部)
凹部21cは、閉塞時の小蓋22と平面視における形状が略一致し、小蓋22を嵌めることができるように形成されている。また、凹部21cは、前端部が平面視において小蓋22よりも大きく、小蓋22が嵌め込まれた状態でも若干の隙間が残るように形成されている。これによって、当該隙間を利用して小蓋22に指を掛けることが可能となる。
【0020】
(孔部)
孔部21dは、蓋体本体21の平面視略中央に平面視円形に形成された、衛生用薄葉紙収納容器100内部に通じる孔であり、平面視において、取出部3より僅かに小さく形成され、後述のように孔部21dには取出部3が固定される。
【0021】
(本体側壁部)
本体側壁部21eは、孔部21dの周囲を囲むように、凹部21c内において円筒形状に上方に向けて延出して形成されている。本体側壁部21eは、外径が小蓋22に形成される小蓋側壁部22aの内径と同一か、ごく僅かに小さくなるように形成されている。
【0022】
(小蓋)
小蓋22は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS樹脂等から形成され、端部が蓋体本体21と連結され、閉塞時における下面から突出した小蓋側壁部22aを備える。小蓋22は、閉塞時の平面視における形状が凹部21cと略一致し、閉塞時に凹部21cに嵌めることができるように形成されている。
【0023】
(小蓋側壁部)
小蓋側壁部22aは、小蓋22の閉塞時において下方に向けて延出する円筒形状に形成されている。また、小蓋側壁部22aは、内径が本体側壁部21eの外径と同一か、ごく僅かに大きくなるように形成されている。これによって、小蓋22の閉塞時に、小蓋側壁部22aと本体側壁部21eとが嵌合し、小蓋側壁部22aと本体側壁部21eとで囲まれた空間、ひいては当該空間と孔部21dを介して繋がる衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つことができる。
【0024】
なお、本実施形態では、本体側壁部21eと小蓋側壁部22aとを嵌合させることによって、衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つよう構成しているが、衛生用薄葉紙収納容器100内部の気密性を保つことができれば、上記と異なる構成とすることも可能である。
また、収納する衛生用薄葉紙が薬液等を染み込ませたものでなく、乾燥を防ぐ必要がない場合には、特に気密手段を備えない構成としてもよい。
【0025】
(取出部)
取出部3は、図3及び図4に示すように、平面視において円形となる略円柱状に形成された弾性変形可能な部材であり、例えば、射出成型により形成することができる。
具体的に、取出部3は、平面視中央部に形成された凹部31と、側面に形成された括れ部32と、凹部31の平面視略中央に形成された取出孔33と、下面3bにおいて取出孔33の周縁部を面取りして形成された面取り部34と、を備えている。
また、取出部3は、平面視において、蓋体本体21の直径の10分1以上、3分の1以下の孔部21dより僅かに大きい円形となり、また、凹部31を除いたZ軸方向の厚みR1(図5参照)は、2.0mm~10.0mm、好ましくは3.0mm~7.0mmとなるように形成されている。
【0026】
(凹部)
凹部31は、取出部3の上面において、周縁部を残して、上面視円形状に下方に向けて凹状となるように形成されている。また、凹部31は、その内部底面3aが平面となるように形成されている。
【0027】
(括れ部)
括れ部32は、取出部3の側面の上下方向略中央部を周方向に沿って周回するようにして、平面視において取出部3の直径の20分の1以上、10分の1以下の深さとなるように径方向に凹んだ溝状に形成される。上記のように取出部3は、平面視において孔部21dより僅かに大きく形成されているため、この括れ部32に孔部21dの縁を嵌め込むことによって、取出部3を蓋体本体21に固定することが可能となる。
【0028】
(取出孔)
取出孔33は、容器本体1の内部に収納された衛生用薄葉紙を取り出すための孔である。
取出孔33は、下側から衛生用薄葉紙が挿通され、当該衛生用薄葉紙を、その先端が取出部3の上面(凹部31の内部底面3a)から突出した状態として保持する。
衛生用薄葉紙の先端が取出部3の上面から突出した状態であるとき、その突出量としては、12mm~30mm、好ましくは15mm~25mmである。この突出量であれば、一般的なユーザの手指で摘みやすく、取出し作業を容易に行うことができる。
【0029】
取出孔33は、放射状の切り込みによって形成されており、例えば、図3の場合、2本の直線状の切り込みを十字状に入れることにより、十字状(放射状)の切り込みが形成されている。取出孔33の全長R2(図5参照)としては、5mm~30mm、好ましくは10mm~15mmに形成され、例えば、一般的なユーザの人差し指の幅以上となる15mm程度に設定されている。このように、取出孔33を放射状の切り込みにより形成することで、取出孔33における衛生用薄葉紙の保持の確実性をより高めることができる。
なお、図3では、十字状に取出孔33を形成した場合について図示して説明したが、取出孔33の形状としてはこれに限られず、上記の機能を果たすことが可能であれば任意の形状を選択可能である。すなわち、3本以上の直線状の切り込みにより、放射状の切り込みが形成されていてもよい。また、取出孔33としては、一の直線状の切り込みによって形成されてもよいし、円形状、楕円形状、略星型等の形状であっても良い。
【0030】
(面取り部)
面取り部34は、図4及び図5に示すように、取出部3の下面3bと、取出孔33の孔壁33aとにより形成される角を面取りした領域である。
具体的には、面取り部34は、取出部3の下面3bにおいて取出孔33の孔壁33aの縁部を傾斜する平面で面取りした平面面取り部であって、これにより、取出孔33は、その下端側の開口面積が、上端側の開口面積より大きくなる形状となっている。
面取り部34のサイズとしては、図6に示すように、取出孔33の孔壁33aから取出孔33の幅方向(XY平面に沿う方向)の長さL1が0.5mm~1.0mmの範囲内、取出孔33の下端から高さ方向(Z軸方向に沿う方向)の長さL2が0.5mm~1.0mmの範囲内となるように設定されることが好ましい。
【0031】
なお、ここでは、平面で面取りすることで面取り部34を形成した場合について図示して説明したが、面取り部34としては、図7に示すように、取出部3の下面3bと、取出孔33の孔壁33aとにより形成される角を、凸曲面となるよう面取りした曲面面取り部であっても良い。
【0032】
上記した取出部3において、衛生用薄葉紙を引き出すときに必要な力として、digital force gauge(IMADA製:型番DS2-200N)を用いて5回測定しその平均値を抵抗値として規定した場合、かかる抵抗値の値は、5N~12Nの範囲内であることが好ましく、6N~10Nであることがより好ましい。
また、一本のロール状に巻かれた衛生用薄葉紙(例えば、80枚のシートが連なったもので、79本のミシン目を有するもの)を引き出した際に、ミシン目が切れずに後続の衛生用薄葉紙が続けて出てしまう回数(連なり回数)の許容範囲としては、10回以内であり、7回以内であることが好ましい。
【0033】
<実施形態の作用>
上述した衛生用薄葉紙収納容器100では、取出孔33によって、引き出された衛生用薄葉紙に抵抗を掛けることで、使用する衛生用薄葉紙をミシン目に沿って切り離すと共に、後続の衛生用薄葉紙を取出孔33から端部が突出した状態で保持しておくことが可能となる。
このとき、面取り部34を備えることで、面取り部34を備えない場合と比較して、衛生用薄葉紙が取出孔33を通る際の抵抗が減らされるので、後続の衛生用薄葉紙が取出孔33から突出する突出量を十分に確保でき、また、引き出すのに必要な力も減少し、取出し作業を容易にすることができる。
【0034】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、内側に衛生用薄葉紙を収納する容器本体1と、容器本体1に着脱自在に取り付けられ、容器本体1に収納された衛生用薄葉紙を取り出すための取出部3を有する蓋体2と、を備えた衛生用薄葉紙収納容器100において、取出部3は、衛生用薄葉紙が挿通され、当該衛生用薄葉紙をその先端が取出部3の上面(凹部31の内部底面3a)から突出した状態で保持する取出孔33と、取出部3の下面3b及び取出孔33の孔壁33aにより形成される角を面取りした面取り部34と、を備える。
このため、取出孔33における衛生用薄葉紙の保持の確実性と、衛生用薄葉紙の取出し作業の容易性を両立した構成とすることができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、面取り部34は、取出孔33の孔壁33aを平面で面取りした平面面取り部、又は、取出孔33の孔壁33aを凸曲面で面取りした曲面面取り部である。
このため、面取り部34を容易に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、取出孔33は、下端側の開口面積が、上端側の開口面積より大きくなるよう形成されている。
このため、衛生用薄葉紙の取出し作業を容易にすることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、取出孔33は、放射状の切り込みによって形成されている。
このため、取出孔における衛生用薄葉紙の保持の確実性を高めることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、蓋体2は、上面に孔部21dを有し、取出部3は、側面に設けられた括れ部32を有し、当該括れ部32に孔部21dの縁が嵌め込まれることによって、蓋体2に取り付けられている。
このため、取出部3を蓋体2から外れ難くすることができる。
【0039】
(その他)
なお、衛生用薄葉紙収納容器100に収納される衛生用薄葉紙としては、必ずしもロール状に巻かれたものに限られず、例えばシートが交互に折り重ねられた状態で積層され、1枚の衛生用薄葉紙を取り出した際に次の衛生用薄葉紙も取出孔まで引き出されるように形成された、所謂ポップアップ式のシートを用いることも可能である。
また、衛生用薄葉紙収納容器100の形状としては、必ずしも円筒形状でなくともよい。
【実施例
【0040】
次に、本発明の実施例及び比較例について、衛生用薄葉紙の取出し易さについて評価した結果について説明する。以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
<サンプル作製>
(衛生用薄葉紙収納容器)
衛生用薄葉紙収納容器として、図1に示した形状であって、容器本体と、容器本体に着脱自在に取り付けられる蓋体とを有するPE製のものを準備した。
この衛生用薄葉紙収納容器に、以下の実施例1及び2、比較例1及び2の取出部を装着した。
【0042】
(実施例1、2)
実施例1、2の取出部は、図3~6に示した形状であって、エラストマー製である。
取出部のZ軸方向の厚みは、凹部を除いて3.0mmである。
また、取出孔は、平面視において十字型であり、上面視において、取出孔の全長は29mmである。
そして、面取り部の長さL1及びL2を、L1=L2=0.5mm、L1=L2=1.0mmとしたものを、それぞれ実施例1、2とした。
なお、L1はXY平面に沿う方向の長さであり、L2はZ軸に沿う方向の長さである。
【0043】
(比較例1、2)
面取り部の長さL1及びL2を、L1=L2=1.5mmとした以外、実施例1と同一にした取出部を、比較例1とした。
また、面取り部を備えない(すなわち、L1=L2=0mmとした)以外、実施例1と同一にした取出部を、比較例2とした。
【0044】
(衛生用薄葉紙)
衛生用薄葉紙は、ロール状に巻かれたウェットシートで、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目が施されたものを使用した。具体的に、ミシン目の数は79本であって、80枚のシートが連なったウェットシートを使用した。
【0045】
<評価>
上記実施例1及び2、比較例1及び2のサンプルを用いて、(1)後続の衛生用薄葉紙の突出量、(2)取り出し時の抵抗値、(3)連なり回数を、以下のようにして測定し、その結果を表Iに示した。
【0046】
(1)後続の衛生用薄葉紙の突出量
上記のロール状に巻かれた一本のウェットシートを、上記実施例1及び2、比較例1及び2のサンプルを用いて引き出し、後続のウェットシートの突出量を計測した平均値を、衛生用薄葉紙の突出量として算出した。
【0047】
(2)衛生用薄葉紙を取り出したときの抵抗値
上記のロール状に巻かれたウェットシートを、上記実施例1及び2、比較例1及び2のサンプルを用いて引き出し、引き出すときに必要な力を、digital force gauge(IMADA製:型番DS2-200N)を用いて測定した。各サンプルで5回測定を実施し、その平均値を抵抗値とした。
【0048】
(3)連なり回数
上記のロール状に巻かれた一本のウェットシートを、上記実施例1及び2、比較例1及び2のサンプルを用いて引き出し、ミシン目が切れずに後続の衛生用薄葉紙が続けて出てしまった回数を、連なり回数としてカウントした。
【0049】
【表1】
【0050】
表Iの結果より、面取部の面積が大きい程、すなわち、L1及びL2の値が大きい程、後続の衛生用薄葉紙の突出量が大きくなることがわかる。
また、面取部の面積が大きい程、衛生用薄葉紙の取出しに必要な力が減少するが、連なり回数が増加することがわかる。
比較例1の場合、連なり回数が多すぎて好ましくない。また、比較例2の場合、突出量が少なすぎて好ましくない。
よって、L1及びL2の長さを0.5mm~1.0mmとすることで、衛生用薄葉紙の保持の確実性と、衛生用薄葉紙の取出し作業の容易性を両立させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 容器本体
11 雄ネジ部
2 蓋体
21 蓋体本体
21a 天面部
21b 側面部
21c 凹部
21d 孔部
21e 本体側壁部
211 雌ネジ部
22 小蓋
22a 小蓋側壁部
3 取出部
3a 内部底面
3b 下面
31 凹部
32 括れ部
33 取出孔
33a 孔壁
34 面取り部
100 衛生用薄葉紙収納容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7