(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20230620BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20230620BHJP
B60C 9/08 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B60C13/00 G
B60C9/00 A
B60C9/08 L
B60C13/00 E
(21)【出願番号】P 2019090524
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】名塩 博史
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 健介
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-144513(JP,A)
【文献】特開2002-103923(JP,A)
【文献】特開平07-290911(JP,A)
【文献】国際公開第2014/054365(WO,A1)
【文献】特開2005-289278(JP,A)
【文献】特開平06-278414(JP,A)
【文献】特開2001-146102(JP,A)
【文献】特開2018-016156(JP,A)
【文献】特開平10-278517(JP,A)
【文献】米国特許第6044884(US,A)
【文献】特開2014-043022(JP,A)
【文献】特開平8-207516(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0093796(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0892992(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/00
B60C 9/08
B60C 11/01
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ幅方向の両側にそれぞれ配置されるビードコア、及び、前記各ビードコアのタイヤ径方向外側にそれぞれ配置されるビードフィラーを有するビード部と、
所定間隔で配置した複数のコード、及び、前記コードを被覆するゴムからなり、前記ビードコアに掛け渡されるカーカスプライと、
前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるベルトと、
前記ベルトのタイヤ径方向外側に設けられるトレッド部と、
前記ビード部と前記トレッド部の間に設けられるサイドウォール部と、
を備え、
前記サイドウォール部は、内部に、所定間隔で配置
されておりタイヤ幅方向から見て直線状に延びる複数の有機繊維コード、及び、前記有機繊維コードを被覆するゴムからなる補強層と、前記カーカスプライと前記補強層の間に配置されるゴム層と、を備え
ており、
前記補強層は、タイヤ径方向において、前記ベルトのタイヤ幅方向の端部であるベルト端と前記ビードフィラーの先端であるフィラー端との間であって、タイヤ幅方向最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に配置されており、
前記補強層は、タイヤ幅方向から見て、有機繊維コードのタイヤ径方向に延びる直線に対する傾斜角度は、前記カーカスプライの前記コードのタイヤ径方向に延びる直線に対する傾斜角度に対して±10%の範囲内である、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ゴム層の厚みは前記補強層の厚み以上である、請求項
1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
子午線断面におけるカーカスプライの外面に沿ったペリフェリ長さに関して、前記ベルト端から前記フィラー端までのペリフェリ長さをAとし、前記補強層及び前記ゴム層が位置する部分のペリフェリ長さをBとしたとき、
B≧0.25×A
を満足する、請求項
1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ゴム層は、前記サイドウォール部を構成するゴム材料とほぼ同じモジュラスを有する、請求項1から
3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記サイドウォール部は、前記ゴム層および前記補強層を除く部分の厚さが、前記補強層が位置しない領域に比べて、前記補強層が位置する領域が薄く形成されている、請求項1から
4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーカスと、カーカスの巻上部とビードフィラーとの間に配設される補強層とを備えた空気入りタイヤが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1には、サイドウォール部の曲げ剛性を高める提案はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サイドウォール部の曲げ剛性を高めることができる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、タイヤ幅方向の両側にそれぞれ配置されるビードコア、及び、前記各ビードコアのタイヤ径方向外側にそれぞれ配置されるビードフィラーを有するビード部と、所定間隔で配置した複数のコード、及び、前記コードを被覆するゴムからなり、前記ビードコアに掛け渡されるカーカスプライと、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるベルトと、前記ベルトのタイヤ径方向外側に設けられるトレッド部と、前記ビード部と前記トレッド部の間に設けられるサイドウォール部と、を備え、前記サイドウォール部は、内部に、所定間隔で配置されておりタイヤ幅方向から見て直線状に延びる複数の有機繊維のコード、及び、前記有機繊維のコードを被覆するゴムからなる補強層と、前記カーカスプライと前記補強層の間に配置されるゴム層と、を備えており、前記補強層は、タイヤ径方向において、前記ベルトのタイヤ幅方向の端部であるベルト端と前記ビードフィラーの先端であるフィラー端との間であって、タイヤ幅方向最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に配置されており、前記補強層は、タイヤ幅方向から見て、有機繊維コードのタイヤ径方向に延びる直線に対する傾斜角度は、前記カーカスプライの前記コードのタイヤ径方向に延びる直線に対する傾斜角度に対して±10%の範囲内である、空気入りタイヤを提供する。
【0007】
この構成により、カーカスプライと補強層のコードの距離を確保し、サイドウォール部の断面二次モーメントを増大させることにより、そのサイドウォール部での曲げ剛性を高めることができる。
また、前記補強層は、タイヤ径方向において、前記ベルトのタイヤ幅方向の端部であるベルト端と前記ビードフィラーの先端であるフィラー端との間であって、タイヤ幅方向最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に配置されている構成により、曲げ剛性を必要とする箇所を重点的に補強でき、タイヤ重量が増大することもない。
さらに、前記補強層は、タイヤ幅方向から見て、有機繊維コードのタイヤ径方向に延びる直線に対する傾斜角度は、前記カーカスプライの前記コードのタイヤ径方向に延びる直線に対する傾斜角度に対して±10%の範囲内である構成により、タイヤ子午線方向に伝わる振動を効果的に抑制できる。
【0010】
前記ゴム層の厚みは前記補強層の厚み以上であるのが好ましい。
【0011】
この構成により、カーカスプライと補強層のコードの距離を十分に確保できる。
【0012】
子午線断面におけるカーカスプライの外面に沿ったペリフェリ長さに関して、前記ベルト端から前記フィラー端までのタイヤ子午線断面におけるペリフェリ長さをAとし、前記補強層及び前記ゴム層が位置するタイヤ子午線断面におけるペリフェリ長さをBとしたとき、B≧0.25×Aを満足するのが好ましい。
【0013】
この構成により、補強層及びゴム層を設ける範囲を最適化することができる。
【0016】
前記ゴム層は、前記サイドウォール部を構成するゴム材料とほぼ同じモジュラスを有するのが好ましい。
【0017】
この構成により、歪の集中を緩和して乗り心地性能等への悪影響を抑制できる。
【0018】
前記サイドウォール部は、前記ゴム層および前記補強層を除く部分の厚さが、前記補強層が位置しない領域に比べて、前記補強層が位置する領域が薄く形成されているのが好ましい。
【0019】
この構成により、補強層を設けているにも拘わらずサイドウォール部での厚みの急激な変化を防止し、工程不良を抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カーカスプライと補強層の間にゴム層を設けるようにしたので、サイドウォール部の断面二次モーメントを増大させることにより、そのサイドウォール部での曲げ剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
【
図2】
図1のカーカスと第2補強層のコードの傾斜角度の関係を示す説明図である。
【
図3】
図1の第2補強層及び第1ゴム層を含む拡大図である。
【
図4】
図3の第1ゴム層の貼付前の状態を示す正面図である。
【
図5】他の実施形態に係る第1ゴム層の貼付前の状態を示す正面図である。
【
図6】他の実施形態に係る第1ゴム層の貼付前の状態を示す正面図である。
【
図7】他の実施形態に係る空気入りタイヤの位置を示す子午線断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る空気入りタイヤの位置を示す子午線断面図である。
【
図9】他の実施形態に係る空気入りタイヤの位置を示す子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単にタイヤと記載する。)の子午線半断面図である。タイヤは、トレッド部1と、一対のサイドウォール部2と、リング状の一対のビード部3とを備える。
【0024】
トレッド部1はタイヤ幅方向(
図1において符号TWで示す。)に延びている。トレッド部1の表面、つまり踏面には溝1aが設けられている。
【0025】
一対のサイドウォール部2は、トレッド部1の両端からタイヤ径方向(
図1において符号TRで示す。)の内側にそれぞれ延びている。サイドウォール部2については後に詳述する。
【0026】
一対のビード部3は、一対のサイドウォール部2のタイヤ径方向内側の端部にそれぞれ配置されている。個々のビード部3は、ビードコア4とビードフィラー5を備える。ビードコア4は、リング状に束ねられた多数の鋼線を備える。ビードフィラー5は、リング状で、トレッド部1及びサイドウォール部2を構成するゴムよりも硬度が大きいゴムからなる。ビードフィラー5は、ビードコア4のタイヤ径方向外側に隣接して配置された基端5aと、基端5aとは反対側の先端(フィラー端)5bとを備える。ビードフィラー5は、基端5aから先端5bに向かってタイヤ径方向外側へテーパ状に延びている。
【0027】
一対のビードコア4にはカーカス6が掛け渡されている。そして、ビードコア4に掛け渡されたカーカス6を覆うようにチェーファー7が巻き付けられている。カーカス6の内側、つまりタイヤの最内周面には、インナーライナ8が設けられている。カーカス6とトレッド部1の間には、無端状のベルト層9と第1補強層10が設けられている。ベルト層9は、2枚のベルト11A、11Bを備える。第1補強層10は1枚の補強ベルト12を備える。ベルト11A、11B及び補強ベルト12は、スチール製又は有機繊維製のベルトコードをゴム被覆して形成されている。下層のベルト11Aのタイヤ幅方向の寸法は、上層のベルト11Bのタイヤ幅方向の寸法よりも大きい。ベルト11Aの端部(ベルト端)11aは、ベルト11Bの端部11bよりもタイヤ幅方向外側に位置している。
【0028】
カーカス6は、所定間隔で並設した複数本のカーカスコード13aをゴムで被覆した1枚のカーカスプライ13で構成されている。カーカスコード13aは、ナイロン繊維等の有機繊維で構成され、タイヤ子午線方向に延びている。カーカス6は、タイヤ径方向の内側に配置されるカーカス本体部14と、ビードコア4で折り返して巻き上げられるカーカス巻上部15とを備える。カーカス巻上部15は、ビードフィラー5の先端(フィラー端)5bを超えてタイヤ径方向外側へと延びている。
【0029】
一対のサイドウォール部2には、第2補強層16と第1ゴム層17とがそれぞれ設けられている。カーカス6の外面に第1ゴム層17が面接触し、第1ゴム層17の外面に第2補強層16が面接触している。そして、第2補強層16の外面と、第2補強層16及び第1ゴム層17に覆われていないカーカス6の外面とは、第2ゴム層18によって覆われている。
【0030】
第2補強層16は、所定間隔で並設した複数本の補強コード16aをゴムで被覆した構成である。補強コード16aは、ナイロン等の有機繊維で構成された有機繊維コードである。また、補強コード16aは、カーカスコード13aとほぼ同じ方向、つまりタイヤ子午線方向に延びている。但し、補強コード16aはカーカスコード13aの角度に対して設定角度(例えば、±10°)の範囲内に傾斜角度が設定されていればよい。これにより、タイヤ子午線方向に伝わる振動を効果的に抑制できる。第2補強層16は、ベルト端11aとビードフィラー5の先端5bとの間に配置され、タイヤ周方向に環状に繋がっている。第2補強層16の厚みはほぼ均一に形成されている。なお、タイヤ子午線方向に伝わる振動よりもタイヤ周方向に伝わる振動を抑制したい場合、補強コード16aを、カーカスコード13aに対して前記設定角度の範囲を超えて傾斜させるようにすればよい。
【0031】
第1ゴム層17は、後述するカーカス6と第2補強層16との間に配置されている。換言すれば、第1ゴム層17の内面がカーカス6の外面に面接触し、第1ゴム層17の外面には第2補強層16が面接触している。第1ゴム層17は、一般的な加硫ゴムからなり、サイドウォール部2を構成するサイドゴムとほぼ同じモジュラスを有している。具体的に、第1ゴム層17のモジュラスは、サイドゴムのモジュラスに対して-25%以上10%以下とされている。
【0032】
本実施形態では、第1ゴム層17の厚みt1は均一で、第2補強層16の厚みt2以上とされている。これにより、カーカスプライ13のカーカスコード13aと第2補強層16の補強コード16aとの間に十分な距離を確保できる。コード間距離を十分に確保することで、断面二次モーメントが増大し、サイドウォール部2での曲げ剛性が高められる。すなわち、断面二次モーメントIは、I=∫y2・dAにより定義され(y:断面の中立軸からの距離、A:面積)、カーカスコード13aと補強コード16aとの間の距離が広がると、断面の中立軸からの距離yが大きくなり、断面二次モーメントが増大する。また、トレッド部1からの入力により、サイドウォール部2に曲げモーメントが作用して湾曲するが、その湾曲の曲率半径ρには、1/ρ=M/EI(M:曲げモーメント、E:弾性係数、I:断面二次モーメント、EI:曲げ剛性)の関係がある。EIは曲げモーメントに対する曲率(1/ρ)の比、すなわち曲げ剛性である。したがって、断面二次モーメントが増大すると、曲げ剛性が大きくなる。
【0033】
第2補強層16及び第1ゴム層17は、ベルト端11aとフィラー端5bの間であって、タイヤ幅方向最大位置WMよりもタイヤ径方向外側に配置されている。第2補強層16及び第1ゴム層17の一端部は、サイドウォール部2の一端部の厚みが徐々に変化する部分に配置されている。
【0034】
また、第2補強層16及び第1ゴム層17のタイヤ子午線方向の長さ(タイヤ子午線断面に於けるペリフェリ長さ)Bは、ベルト端11aからフィラー端5bまでのタイヤ子午線方向の長さをAとしたとき、A≧B≧0.25×Aを満足するように設定されている。ベルト端11aからフィラー端5bまでのペリフェリ長さ以下とすることで、タイヤ重量を増大させることなく、曲げ剛性を高めることができる。また、第2補強層16及び第1ゴム層17を、少なくとも前記ペリフェリ長さの25%の範囲に設けておけば、サイドウォール部2に所望の曲げ剛性を確保できる。
【0035】
第2補強層16及び第1ゴム層17を、
図1に示す位置とすることにより、ベルト端11aからフィラー端5bまでのペリフェリ長さの25%程度の長さであっても、サイドウォール部2に所望の曲げ剛性を得ることができる。
【0036】
第1ゴム層17は、
図4に示すように、両端部で端に向かうに従って徐々に厚みが薄くなる薄肉部17aを有する。そして、第1ゴム層17は、
図3に示すように、第2補強層16を超えてタイヤ径方向外側と内側に薄肉部17aがはみ出して配置されている。これにより、厚みの急激な変化を抑制し、第2ゴム層18との間で剥離等が発生することを効果的に防止できる。
【0037】
第2ゴム層18の外面は、断面が曲率半径Rの円弧状に形成されている。第2ゴム層18の径方向の厚みは、第2補強層16及び第1ゴム層17を設けた位置で薄くなっている。これにより、サイドウォール部2での厚みは、第2補強層16及び第1ゴム層17を設けているか否かに拘わらずほぼ均一となっている。但し、第2ゴム層18の一端部は、トレッド部1の両端部に対してタイヤ径方向内側に入り込んだ位置からタイヤ幅方向外側に向かって厚みが徐々に大きくなっている。第2ゴム層18の他端部は、一対のビード部3のそれぞれの外面に重なり、他端に向かって徐々に厚みが薄くなっている。
【0038】
前記実施形態に係る空気入りタイヤによれば、次のような効果が得られる。
(1)カーカス6と第2補強層16との間に、第2補強層16の厚さ以上の第1ゴム層17を配置したので、カーカス6のカーカスコード13aと、第1補強層16の補強コード16aとの間に十分な距離を確保することができる。これにより、サイドウォール部2に於ける曲げ剛性を十分に高めることができる。
(2)第2補強層16及び第1ゴム層17は、ベルト端11aからフィラー端5bまでのタイヤ子午線方向の長さの25%以上の範囲に設定している。したがって、サイドウォール部2の重量を増大させることなく、必要箇所に必要な曲げ剛性を確保することができる。
【0039】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0040】
前記実施形態では、第1ゴム層17の厚みを両端部で徐々に薄くなるように構成したが、
図5や
図6に示すように構成することもできる。
【0041】
図5に示す第1ゴム層17は、全体が均一な厚さに形成されている。これによれば、厚みを変更する場合のように、特別な加工が不要となり、安価に製作することができる。
【0042】
図6に示す第1ゴム層17は、片面が一端から他端に向かった波形に形成されている。すなわち、第1ゴム層17の厚みは、一端から徐々に厚くなった後、徐々に薄くなり、再び徐々に厚くなった後、徐々に薄くなり、2箇所に厚肉部17bが形成されている。これによれば、第1ゴム層17の2箇所で厚みを大きくして、カーカス6と第2補強層16のコード間隔を広げることができる。したがって、異なる2箇所で曲げ剛性を高めることが必要とされる場合に有効である。勿論、厚みを大きくする箇所は3箇所以上としてもよい。また、サイドウォール部2において厚みを大きくする位置は、必要に応じて自由に設定できる。
【0043】
前記実施形態では、第2補強層16と第1ゴム層17を
図3に示すように配置したが、
図7から
図9に示す配置とすることもできる。
【0044】
図7では、タイヤ径方向TRの外側で、第2補強層16の端部から第1ゴム層17の端部がはみ出している。一方、タイヤ径方向TRの内側で、第1ゴム層17の端部を超えて第2補強層16の端部が延びている。
【0045】
図8では、タイヤ径方向TRの外側で、第1ゴム層17の端部を超えて第2補強層16の端部が延びている。一方、タイヤ径方向TRの内側で、第2補強層16の端部から第1ゴム層17の端部がはみ出している。
【0046】
図9では、タイヤ径方向TRの外側及び内側で、第1ゴム層17の両端部を超えて第2補強層16の両端部がそれぞれ延びている。
【0047】
図7から
図9に示すように、第2補強層16及び第1ゴム層17の長さを設定することにより、タイヤ径方向TRでの剛性を段階的に変化させることができるので、最適な剛性分布を実現可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1…トレッド部
1a…溝
2…サイドウォール部
3…ビード部
4…ビードコア
5…ビードフィラー
5a…基端
5b…先端(フィラー端)
6…カーカス
7…チェーファー
8…インナーライナ
9…ベルト層
10…第1補強層
11A、11B…ベルト
11a、11b…ベルト端
12…補強ベルト
13…カーカスプライ
13a…カーカスコード
14…カーカス本体部
15…カーカス巻上部
16…第2補強層
16a…補強コード
17…第1ゴム層
17a…薄肉部
17b…厚肉部
18…第2ゴム層