(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】除害システム、除害装置、およびシステム制御装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230620BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
C23C16/44 E
(21)【出願番号】P 2019142851
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2018147339
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508275939
【氏名又は名称】エドワーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】小林 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ペーター ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ カール
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528475(JP,A)
【文献】特開2007-312043(JP,A)
【文献】特表2010-501334(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0175112(US,A1)
【文献】特表2008-502164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
C23C 16/44
G05B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の除害装置と、
前記複数の除害装置にそれぞれ対応して設けられ、前記複数の除害装置のうちの対応する除害装置に動作指令を供給する複数のシステム制御装置とを備え、
前記複数のシステム制御装置は、ネットワークを介して互いに通信するためのネットワークインターフェイスをそれぞれ備え、
前記複数のシステム制御装置のうちのいずれか1つは、マスタシステム制御装置として機能し、
前記複数のシステム制御装置のうちの残りのシステム制御装置は、スレーブシステム制御装置として機能し、
前記マスタシステム制御装置は、前記ネットワークインターフェイスで、前記スレーブシステム制御装置へ制御指令を送信し、
前記スレーブシステム制御装置は、前記ネットワークインターフェイスで、前記制御指令を受信し、受信した前記制御指令に従って前記対応する除害装置に前記動作指令を供給し、
前記スレーブシステム制御装置は、前記マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、新たなマスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行し、
前記スタンドアローン運転は、所定設定に従って前記動作指令を前記対応する除害装置に供給すること、
を特徴とする除害システム。
【請求項2】
前記複数の除害装置は、所定の処理ツールからの処理対象ガスに対して一次的に除害処理を行うプライマリ除害装置と、前記プライマリ除害装置のバックアップ用のバックアップ除害装置とを含み、
前記バックアップ除害装置のシステム制御装置は、前記マスタシステム制御装置であり、
前記プライマリ除害装置のシステム制御装置は、前記スレーブシステム制御装置であること、
を特徴とする請求項1記載の除害システム。
【請求項3】
前記複数の除害装置は、所定の処理ツールからの処理対象ガスに対して一次的に除害処理を行うプライマリ除害装置と、前記プライマリ除害装置のバックアップ用のバックアップ除害装置とを含み、
前記複数の除害装置は、ローカル制御部をそれぞれ内蔵し、
前記ローカル制御部は、前記処理ツールからの指令に従って除害処理を制御し、
前記複数のシステム制御装置のうちの1つのシステム制御装置は、(a)当該システム制御装置の前記除害装置の状態情報を収集するともに、前記複数のシステム制御装置のうちの他のシステム制御装置から、当該他のシステム制御装置の前記対応する除害装置の状態情報を取得し、(b)前記複数の除害装置の状態情報を前記処理ツールに通知し、
前記スタンドアローン運転では、前記ローカル制御部は、前記他のシステム制御装置の前記対応する除害装置が稼働不可であるとした前記複数の除害装置の状態情報を前記処理ツールに通知すること、
を特徴とする請求項1記載の除害システム。
【請求項4】
前記複数の除害装置は、複数の処理ツールからの処理対象ガスに対して一次的に除害処理をそれぞれ行う複数のプライマリ除害装置と、前記複数のプライマリ除害装置のバックアップ用の1台のバックアップ除害装置とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の除害システム。
【請求項5】
前記複数の除害装置の少なくとも1つの異常発生時に一時的に除害処理を行う緊急除害装置と、
前記複数の除害装置の流路から前記緊急除害装置への流路に設けられたバイパスバルブと、
前記バイパスバルブを駆動するバルブ駆動部とをさらに備え、
前記複数のシステム制御装置のうちのいずれかのシステム制御装置は、前記バルブ駆動部を制御して、前記バイパスバルブの流路を切り替えること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の除害システム。
【請求項6】
除害装置本体と、
前記除害装置本体に対して動作指令を供給するシステム制御装置とを備え、
前記システム制御装置は、ネットワークを介して他の除害装置のシステム制御装置と通信するためのネットワークインターフェイスを備え、スレーブシステム制御装置として機能し、
前記他の除害装置のシステム制御装置は、マスタシステム制御装置として機能し、
前記スレーブシステム制御装置は、前記ネットワークインターフェイスで、前記マスタシステム制御装置から制御指令を受信し、受信した前記制御指令に従って前記除害装置本体に前記動作指令を供給し、
前記スレーブシステム制御装置は、前記マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、新たなマスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行し、
前記新たなマスタシステム制御装置は、前記ネットワークインターフェイスで、他のスレーブシステム制御装置として機能する他のシステム制御装置へ制御指令を送信し、
前記スタンドアローン運転は、所定設定に従って前記動作指令を前記除害装置本体に供給すること、
を特徴とする除害装置。
【請求項7】
除害装置に対して動作指令を供給するシステム制御装置において、
ネットワークを介して他の除害装置のシステム制御装置と通信するためのネットワークインターフェイスを備え、
当該システム制御装置は、スレーブシステム制御装置として機能し、
前記他の除害装置のシステム制御装置は、マスタシステム制御装置として機能し、
前記スレーブシステム制御装置は、前記ネットワークインターフェイスで、前記マスタシステム制御装置から制御指令を受信し、受信した前記制御指令に従って前記除害装置に前記動作指令を供給し、
前記スレーブシステム制御装置は、前記マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、新たなマスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行し、
前記新たなマスタシステム制御装置は、前記ネットワークインターフェイスで、他のスレーブシステム制御装置として機能する他のシステム制御装置へ制御指令を送信し、
前記スタンドアローン運転は、所定設定に従って前記動作指令を前記除害装置に供給すること、
を特徴とするシステム制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除害システム、除害装置、およびシステム制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるシステムは、2つの除害装置とコントローラとを備え、コントローラは、成膜時には半導体製造装置の排ガスを一方の除害装置に流入させ、クリーニング時にはクリーニングガスを他方の除害装置に流入させている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、除害システムに、複数の除害装置および1台のシステム制御装置を設け、その複数の除害装置の一部を通常運転時に使用し、残りの一部をバックアップ用の除害装置として使用し、1台のシステム制御装置がそれらの除害装置の運転状態を集中管理することが考えられる。
【0005】
しがしながら、1台のシステム制御装置が、システム内のすべての除害装置を集中管理している場合、そのシステム制御装置が故障や電源遮断で停止したり、システム制御装置と除害装置との間の通信障害が発生したりすると、システム全体の運転が停止してしまい、個々の除害装置が稼働可能であっても除害装置で除害処理を継続することが困難になる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、特定のシステム制御装置によるシステムの集中管理が困難になっても除害装置による除害処理を継続する除害システム、並びにその除害システムで使用可能な除害装置およびシステム制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る除害システムは、複数の除害装置と、複数の除害装置にそれぞれ対応して設けられ、複数の除害装置のうちの対応する除害装置に動作指令を供給する複数のシステム制御装置とを備える。複数のシステム制御装置は、ネットワークを介して互いに通信するためのネットワークインターフェイスをそれぞれ備える。複数のシステム制御装置のうちのいずれか1つは、マスタシステム制御装置として機能し、複数のシステム制御装置のうちの残りのシステム制御装置は、スレーブシステム制御装置として機能する。マスタシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、スレーブシステム制御装置へ制御指令を送信し、スレーブシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、制御指令を受信し、受信した制御指令に従って対応する除害装置に動作指令を供給する。そして、スレーブシステム制御装置は、マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、新たなマスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行する。スタンドアローン運転では、所定設定に従って動作指令を対応する除害装置に供給する。
【0008】
本発明に係る除害装置は、除害装置本体と、除害装置本体に対して動作指令を供給するシステム制御装置とを備える。システム制御装置は、ネットワークを介して他の除害装置のシステム制御装置と通信するためのネットワークインターフェイスを備え、スレーブシステム制御装置として機能する。上述の他の除害装置のシステム制御装置は、マスタシステム制御装置として機能する。マスタシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、スレーブシステム制御装置として機能する他のシステム制御装置へ制御指令を送信する。スレーブシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、マスタシステム制御装置から制御指令を受信し、受信した制御指令に従って除害装置本体に動作指令を供給する。そして、スレーブシステム制御装置は、マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、新たなマスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行する。新たなマスタシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、他のスレーブシステム制御装置として機能する他のシステム制御装置へ制御指令を送信する。スタンドアローン運転は、所定設定に従って動作指令を除害装置本体に供給する。
【0009】
本発明に係るシステム制御装置は、ネットワークを介して他の除害装置のシステム制御装置と通信するためのネットワークインターフェイスを備える。当該システム制御装置は、スレーブシステム制御装置として機能し、上述の他の除害装置のシステム制御装置は、マスタシステム制御装置として機能する。マスタシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、スレーブシステム制御装置として機能する他のシステム制御装置へ制御指令を送信する。スレーブシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、マスタシステム制御装置から制御指令を受信し、受信した制御指令に従って除害装置に動作指令を供給する。そして、スレーブシステム制御装置は、マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、マスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行する。新たなマスタシステム制御装置は、ネットワークインターフェイスで、他のスレーブシステム制御装置として機能する他のシステム制御装置へ制御指令を送信する。スタンドアローン運転は、所定設定に従って動作指令を除害装置に供給する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定のシステム制御装置によるシステムの集中管理が困難になっても除害装置による除害処理を継続する除害システム、並びにその除害システムで使用可能な除害装置およびシステム制御装置が得られる。
【0011】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る除害システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるシステム制御装置22m,22sの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1におけるシステム制御装置22m,22sの動作を説明するフローチャートである(1/2)。
【
図4】
図4は、
図1におけるシステム制御装置22m,22sの動作を説明するフローチャートである(2/2)。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態2に係る除害システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
実施の形態1.
【0015】
図1は、本発明の実施の形態1に係る除害システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す除害システムは、複数の処理ツール101-1,101-2から排出される処理対象ガスに対して複数の除害装置1-1,1-2,2で除害処理する。
【0016】
処理ツール101-1,101-2は、半導体製造などにおける特定の処理工程を行う装置または設備であって、処理工程において、環境へ放出する前に除害処理が必要となる物質が含まれるガス(処理対象ガス)を排出する。
【0017】
除害装置1-1,1-2,2は、処理ツール101-1,101-2から排出される処理対象ガスの除害に適した除害処理方式(燃焼方式、電気加熱方式、プラズマ方式、触媒分解方式、吸着方式、スクラバー方式など)で除害処理を実行する。この実施の形態では、除害装置1-1,1-2,2は、燃焼方式の除害装置である。
【0018】
図1に示す除害システムは、複数の除害装置1-1,1-2,2および緊急除害装置3を備える。この実施の形態では、除害装置1-1,1-2は、処理ツール101-1,101-2からの処理対象ガスに対して一次的に除害処理をそれぞれ行うプライマリ除害装置であり、除害装置2は、除害装置1-1,1-2のバックアップ用のバックアップ除害装置である。この実施の形態では、複数の除害装置1-1,1-2に対して、バックアップ用の1台の除害装置2が設けられている。なお、緊急除害装置3は、除害装置1-1,1-2,2の異常発生時に一時的に除害処理を行う。
【0019】
そして、導管によって、処理ツール101-1から除害装置1-1への処理対象ガスの主流路が形成され、その主流路上にバイパスバルブ11-1が設けられている。また、配管によって、バイパスバルブ11-1から除害装置2へのバックアップ用の流路が形成されている。また、このバックアップ用の流路上には、緊急排出用のバイパスバルブ12-1が設けられており、バイパスバルブ12-1から緊急除害装置3への緊急排出用の流路が設けられている。処理ツール101-1の次段には図示せぬポンプが設けられ、そのポンプによって処理対象ガスが流路に沿って流れる。同様に、導管によって、処理ツール101-2から除害装置1-2への処理対象ガスの主流路が形成され、その主流路上にバイパスバルブ11-2が設けられている。また、配管によって、バイパスバルブ11-2から除害装置3へのバックアップ用の流路が形成されている。また、このバックアップ用の流路上には、緊急排出用のバイパスバルブ12-2が設けられており、バイパスバルブ12-2から緊急除害装置3への緊急排出用の流路が設けられている。処理ツール101-2の次段には図示せぬポンプが設けられ、そのポンプによって処理対象ガスが流路に沿って流れる。また、バックアップ用の除害装置2の前段にもバイパスバルブ13が設けられており、バイパスバルブ13から緊急用除害装置3への緊急排出用の流路が設けられている。なお、これらのバイパスバルブ11-1,11-2,12-1,12-2,13は、三方弁である。
【0020】
各除害装置1-1,1-2,2は、除害装置本体21およびシステム制御装置22s,22mを備える。
【0021】
除害装置本体21は、除害装置1-1,1-2,2において、処理対象ガスを、インレットを介して導入しその処理対象ガスに対して除害処理を行う装置であり、当該除害装置本体21の内部装置を電気的に制御するローカル制御部31を内蔵している。
【0022】
ローカル制御部31は、制御IC(Integrated Circuit)、制御プログラムを実行するマイクロプロセッサなどであって、処理ツール101-1,101-2からの指令に従って除害処理を制御する。例えば、ローカル制御部31は、各処理ツール101-1,101-2は、当該処理ツール101-1,101-2での処理ガス流量を示す指令をローカル制御部31に通知し、その指令に従って、その処理ガス流量で除害処理が適切に行われるように図示せぬ内部装置(リアクタなど)を制御する。
【0023】
さらに、バイパスバルブ11-1,11-2,13には、それぞれ、バルブ駆動部11-1d,11-2d,13dが設けられている。バルブ駆動部11-1d,11-2d,13dは、バイパスバルブ11-1,11-2,13を駆動して流路を切り換える。ローカル制御部31は、当該ローカル制御部31に予め関連付けられているバイパスバルブ(当該ローカル制御部31が内蔵されている除害装置1-1,1-2,2の前段のバイパスバルブなど)のバルブ駆動部を制御して、そのバイパスバルブの流路を切り換える。例えば、バルブ駆動部11-1d,11-2d,13dは、油圧式、空気圧式、電動式などのロータリアクチュエータなどである。バイパスバルブ12-1 ,12-2にも、それぞれ、図示しないバルブ駆動部が設けられているが、説明は省略する。
【0024】
また、ローカル制御部31は、当該ローカル制御部31が内蔵されている除害装置(除害装置本体21)の状態情報とともに、後述するように、当該ローカル制御部31が内蔵されている除害装置のシステム制御装置により他のシステム制御装置から取得された他の除害装置の状態情報を、対応する処理ツール101-1,101-2に通知する。つまり、処理ツール101-1に関しては、処理ツール101-1からの処理対象ガスを除害処理する可能性のある除害装置1-1,2の状態情報が、除害装置1-1のローカル制御部31から処理ツール101-1へ通知される。処理ツール101-2に関しては、処理ツール101-2からの処理対象ガスを除害処理する可能性のあるすべての除害装置1-2,2の状態情報が、除害装置1-2のローカル制御部31から処理ツール101-2へ通知される。
【0025】
また、複数の除害装置1-1,1-2,2のうち、除害装置1-1,1-2は、所定の処理ツール101-1,101-2からの処理対象ガスに対して一次的に除害処理を行うプライマリ除害装置として機能し、除害装置2は、除害装置1-1,1-2のバックアップ用のバックアップ除害装置として機能し、除害装置1-1,1-2のいずれかが停止したときにその停止した除害装置の代わりに除害処理を行う。
【0026】
したがって、プライマリ除害装置(ここでは除害装置1-i,i=1,2)のシステム制御装置22sは、他のシステム制御装置22mから、当該他のシステム制御装置22mの除害装置2の状態情報を取得し、プライマリ除害装置のローカル制御部31は、当該システム制御装置22sの除害装置1-iの状態情報とともに、当該システム制御装置22sにより取得された当該他のシステム制御装置22mの除害装置2の状態情報を、処理ツールに通知する。
【0027】
なお、除害装置の状態情報としては、運転状態(稼働中、スリープ中、停止中など)、メンテナンス要求レベルなどが必要に応じて含まれる。メンテナンス要求レベルとしては、例えば、処理対象ガスの昇華に起因する固体堆積物の堆積度合い、前回のメンテナンスからの経過時間、前回のメンテナンスからの処理ガス総量などが使用される。
【0028】
この状態情報に基づいて、例えば、処理ツール101-1,101-2は、除害システムの状態を考慮して処理ガス流量を調節することができる。
【0029】
また、複数のシステム制御装置22m,22sは、複数の除害装置1-1,1-2,2にそれぞれ対応して設けられ、複数の除害装置1-1,1-2,2のうちの対応する除害装置(ここでは、除害装置本体21)に動作指令(稼働(除害処理)開始、スリープ状態への移行、運転停止など)を供給する。
【0030】
複数のシステム制御装置22m,22sのうち、システム制御装置22mは、マスタシステム制御装置として動作し、残りのシステム制御装置22sは、スレーブシステム制御装置として動作する。システムの通常運転時には、マスタシステム制御装置が、システムの運転状態を集中管理し、スレーブシステム制御装置に対して制御指令を送信し、スレーブシステム制御装置は、その制御指令に従って、対応する除害装置本体21に動作指令を出力する。なお、複数のシステム制御装置22m,22sのうち、マスタシステム制御装置として機能するシステム制御装置は1台でも複数台でもよい。
【0031】
この実施の形態では、バックアップ除害装置(つまり、除害装置2)のシステム制御装置22mが、マスタシステム制御装置に設定され、プライマリ除害装置(つまり、除害装置1-1,1-2)のシステム制御装置22sが、スレーブシステム制御装置に設定されている。
【0032】
図2は、
図1におけるシステム制御装置22m,22sの構成を示すブロック図である。
図2に示すシステム制御装置22m,22sは、ネットワークインターフェイス51、インターフェイス52、記憶装置53、および演算処理装置54を備える。
【0033】
ネットワークインターフェイス51は、ネットワーク41を介して互いに通信するための通信装置である。この実施の形態では、ネットワーク41は、IP(Internet Protocol)ネットワークであって、ネットワーク41では、TCP(Transmission Control Protocol)などがその上位プロトコルとして使用可能となっている。
【0034】
インターフェイス52は、除害装置本体21のローカル制御部31との間の信号の入出力を行う回路である。その信号には、システム制御装置22m,22sから除害装置本体21へ動作指令を供給するための信号、除害装置本体21からシステム制御装置22m,22sへ除害装置本体21の状態情報を通知するための信号などが含まれる。なお、これらの信号は、ローカル制御部31およびインターフェイス52のI/Oポートなどの特定の端子の電圧レベル(例えば2値レベル)として実現されてもよい。
【0035】
記憶装置53は、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であって、演算処理装置54に使用されるプログラムやデータを格納している。記憶装置53には、システム設定データ61が格納されている。
【0036】
演算処理装置54は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたコンピュータであって、ROMや記憶装置53に格納されているプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することで、各種処理部として動作する。
【0037】
ここでは、マスタシステム制御装置(システム制御装置22m)の場合、演算処理装置54は、通信処理部71、システム制御部81、システム監視部82、指令出力部91、およびローカル監視部92として動作する。また、スレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)の場合、演算処理装置54は、通信処理部71、指令出力部91、およびローカル監視部92として動作する。
【0038】
例えば、システム設定データ61は、マスタおよびスレーブのいずれかを指定するマスタ/スレーブ設定を含み、演算処理装置54は、マスタ/スレーブ設定を参照して、当該システム制御部22m,22sがマスタシステム制御部として動作するかスレーブシステム制御部として動作するかを判定する。
【0039】
マスタシステム制御装置の場合、通信処理部71は、ネットワークインターフェイス51を使用して、所定の通信プロトコルで、スレーブシステム制御装置の通信処理部71との間で通信を行う。スレーブシステム制御装置の場合、通信処理部71は、ネットワークインターフェイス51を使用して、所定の通信プロトコルで、マスタシステム制御装置の通信処理部71との間で通信を行う。なお、この実施の形態では、例えば、この通信プロトコルとしては、Modbus/TCPが使用される。また、例えば、この通信の通信相手となるシステム制御部22m,22sのネットワーク識別子(IPアドレス、上位プロトコルでの固有識別子など)は、システム設定データ61に予め記述されており、通信処理部71は、システム設定データ61を参照して通信相手を特定する。
【0040】
また、マスタシステム制御装置のシステム制御部81は、通信処理部71およびネットワークインターフェイス51で、スレーブシステム制御装置へ制御指令を送信する。さらに、マスタシステム制御装置のシステム監視部82は、通信処理部71およびネットワークインターフェイス51で、スレーブシステム制御装置のローカル監視部92からスレーブシステム制御装置の状態情報を受信する。
【0041】
指令出力部91は、インターフェイス52で、除害装置本体21のローカル制御部31へ動作指令を出力する。スレーブシステム制御装置の場合、指令出力部91は、通信処理部71によりマスタシステム制御装置から受信された制御指令に従って、上述の動作指令を出力する。マスタシステム制御装置の場合、指令出力部91は、システム制御部81から供給された制御指令に従って、上述の動作指令を出力する。
【0042】
ローカル監視部92は、インターフェイス52で、除害装置本体21のローカル制御部31から状態情報を取得する。スレーブシステム制御装置の場合、ローカル監視部92は、通信処理部71およびネットワークインターフェイス51で、取得した状態情報を、マスタシステム制御装置のシステム監視部82へ送信する。マスタシステム制御装置の場合、ローカル監視部92は、取得した状態情報を、当該マスタシステム制御装置のシステム監視部82に供給する。
【0043】
このように、スレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)は、ネットワークインターフェイス51で、制御指令を受信し、受信した制御指令に従って除害装置本体21に動作指令を供給する。
【0044】
また、マスタシステム制御装置(システム制御装置22m)の通信処理部71は、スレーブシステム制御装置の通信処理部71に対して定期的に繰り返しポーリングを行う。例えば、その際に、上述の状態情報の送受が併せて行われる。
【0045】
そして、スレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)において、通信処理部71は、所定時間内にポーリングの要求を受信しなかった場合、マスタシステム制御装置との通信が不可となったと判定する。マスタシステム制御装置(システム制御装置22m)において、通信処理部71は、所定時間内にポーリングの要求に対する応答をあるスレーブシステム制御装置から受信しなかった場合、そのスレーブシステム制御装置との通信が不可となったと判定する。
【0046】
スレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)では、通信処理部71によりマスタシステム制御装置との通信が不可となったと判定された場合に、この実施の形態では、指令出力部91は、スタンドアローン運転に移行する。ここで、スタンドアローン運転は、マスタシステム制御装置から受信される制御指令に代わりにシステム設定データ61における所定のローカル設定に従って動作指令を除害装置本体21に供給する。つまり、マスタシステム制御装置からの制御指令が供給されなくなっても、スレーブシステム制御装置は、スタンドアローン運転で、除害処理を継続する。
【0047】
その際、スタンドアローン運転では、ローカル制御部31は、通信不可となった他のシステム制御装置を備えた除害装置が稼働不可であるとして状態情報を、対応する処理ツール101-1,101-2に通知する。
【0048】
なお、マスタシステム制御装置との通信が不可となったと判定された場合、通信可能な他のスレーブシステム制御装置があるときには、当該スレーブシステム制御装置が、通信可能な他のスレーブシステム制御装置に対するマスタシステム制御装置として動作開始するようにしてもよい。
【0049】
なお、この実施の形態では、複数の処理ツール101-1,101-2から排出される処理対象ガスに対して複数の除害装置で除害処理が実行されるが、1つの処理ツールから排出される処理対象ガスに対して複数の除害装置(プライマリ除害装置およびバックアップ除害装置)で除害処理が実行されるようにしてもよい。
【0050】
また、この実施の形態では、システム制御装置22m,22sは、除害装置1-1,1-2,2に内蔵されているが、その代わりに、除害装置1-1,1-2,2とは別個の装置として、除害装置1-1,1-2,2に接続され、除害装置1-1,1-2,2とともに設置されるようにしてもよい。
【0051】
次に、上記除害システムの動作について説明する。
【0052】
通常運転では、マスタシステム制御装置(システム制御装置22m)は、スレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)に制御指令を送信してプライマリ除害装置(除害装置1-1,1-2)を稼働状態とし、バックアップ除害装置(除害装置2)をスリープ状態とする。例えば、燃焼方式の除害装置の場合、除害装置本体21は、稼働状態では、可燃性燃料や支燃性ガスを燃焼室に供給して燃焼させ、処理対象ガスの除害処理を行い、スリープ状態では、可燃性燃料や支燃性ガスの供給はせずに、パイロットバーナーで種火を維持し、ただちに稼働状態に移行できるようにしている。
【0053】
通常運転では、各プライマリ除害装置(除害装置1-i,i=1,2)は、処理ツール101-i(i=1,2)に対して、当該プライマリ除害装置(除害装置1-i)およびバックアップ除害装置(除害装置2)の状態情報を通知する。例えば、各処理ツール101-iは、その状態情報に基づいて処理ガス流量を調節し、その処理ガス流量に応じた指令をプライマリ除害装置(除害装置1-i)へ供給する。そして、プライマリ除害装置(除害装置1-i)は、処理ツール101-iからの指令に従って、除害処理を制御する。例えば、燃焼方式の除害装置1-iの場合、指令により通知された処理ガス量に応じて可燃性燃料や支燃性ガスの流量などが調節される。
【0054】
マスタシステム制御装置(システム制御装置22m)は、システム制御装置22sを介して他の除害装置1-1,1-2の状態を監視し、例えばプライマリ除害装置(除害装置1-i)にメンテナンスが必要になり、プライマリ除害装置(除害装置1-i)を停止させる場合、バックアップ除害装置(除害装置2)を稼働状態に移行させ、プライマリ除害装置(除害装置1-i)にバイパスバルブ11-iを制御させて流路を切り換えさせ、その後、プライマリ除害装置(除害装置1-i)を停止させる。
【0055】
このように、通常運転時には、マスタシステム制御装置(システム制御装置22m)とスレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)とが通信を行い、マスタシステム制御装置が、除害システム全体を制御する。
【0056】
一方、ネットワーク41の通信障害、システム制御装置の電源遮断などに起因して、マスタシステム制御装置とスレーブシステム制御装置との間の通信が不可になった場合、スレーブシステム制御装置(システム制御装置22s)は、スタンドアローン運転に移行し、通信不可となった時点でプライマリ除害装置(除害装置1-i)が稼働状態である場合には、所定のローカル設定に従ってプライマリ除害装置(除害装置1-i)を継続的に稼働状態とする。
【0057】
一方、スレーブシステム制御装置は、通信不可となった時点でプライマリ除害装置(除害装置1-i)がスリープ状態または停止状態である場合には、所定のローカル設定に従って、その状態を継続してもよいし、可能であれば、プライマリ除害装置(除害装置1-i)を稼働状態(あるいはスリープ状態)に移行させてもよい。なお、プライマリ除害装置(除害装置1-i)を稼働状態に移行させた場合には、そのローカル制御部31は、バイパスバルブ11-iを駆動して、処理対象ガスがそのプライマリ除害装置(除害装置1-i)に流入するように流路を切り換える。
【0058】
ここで、各システム制御装置22m,22sの動作について説明する。
図3および
図4は、
図1におけるシステム制御装置22m,22sの動作を説明するフローチャートである。
【0059】
各システム制御装置22m,22sは、起動すると、システム設定データ61を読み出し、自己がマスタシステム制御装置として動作するか、スレーブシステム制御装置として動作するかを判定する(ステップS1)。
【0060】
マスタシステム制御装置として動作する場合、システム制御装置22mは、上述のように、バックアップ用の除害装置2の制御および監視、システム全体の制御および監視、並びにシステム制御装置22sとの通信状態の監視を行う(ステップS2)。
【0061】
そして、システム制御装置22sとの通信状態の監視において、システム制御装置22mは、通信不可のシステム制御装置22sを検出したか否かを繰り返し判定する(ステップS3)。
【0062】
通信不可のシステム制御装置22sを検出した場合、システム制御装置22mは、通信不可のシステム制御装置22s以外のスレーブシステム制御装置のうち、通信可のシステム制御装置22sがあるか否かを判定し(ステップS4)、通信可のシステム制御装置22sがある場合、通信不可のシステム制御装置22sをシステムから切り離して、残りのシステム制御装置22sとともにシステム運転を継続する(ステップS5)。
【0063】
通信不可のシステム制御装置22sを検出した場合において、通信可のシステム制御装置22sがないときには、システム制御装置22mは、スタンドアローン運転で動作を継続する(ステップS6)。
【0064】
また、システム制御装置22sとの通信状態の監視において、システム制御装置22mは、通信不可のシステム制御装置22sのうち、通信が回復したシステム制御装置22sを検出したか否かを繰り返し判定する(ステップS7)。
【0065】
通信が回復したシステム制御装置22sを検出した場合、システム制御装置22mは、通信が回復したシステム制御装置22sをシステムに追加して、システム運転を継続する(ステップS8)。この場合、通信が回復したシステム制御装置22sがスタンドアローン運転しているときには、そのシステム制御装置22sは、スタンドアローン運転から、マスタシステム制御装置の制御下での運転に戻る。また、通信が回復したシステム制御装置22sがマスタシステム制御装置として動作しているときには、そのシステム制御装置22sは、スレーブシステム制御装置に切り替わり、マスタシステム制御装置の制御下での運転に戻る。
【0066】
他方、スレーブシステム制御装置として動作する場合、システム制御装置22sは、上述のように、プライマリの除害装置1-1,1-2の制御および監視、並びにシステム制御装置22mとの通信状態の監視を行う(ステップS11)。
【0067】
そして、システム制御装置22mとの通信状態の監視において、システム制御装置22sは、システム制御装置22mとの通信が不可となったか否かを繰り返し判定する(ステップS12)。
【0068】
システム制御装置22mとの通信が不可となったことを検出した場合、システム制御装置22sは、システム設定データ61や他のシステム制御装置22s(およびプライマリ除害装置)の状態に応じて、マスタシステム制御装置として動作を継続するか否かを判定し(ステップS13)、マスタシステム制御装置として動作を継続しない場合、スタンドアローン運転で動作を継続する(ステップS14)。
【0069】
一方、システム制御装置22mとの通信が不可となったことを検出した場合において、マスタシステム制御装置として動作を継続するときには、システム制御装置22sは、ステップS2以降の処理を実行する。
【0070】
以上のように、上記実施の形態1に係る除害システムは、複数の除害装置1-1,1-2,2と、複数の除害装置1-1,1-2,2にそれぞれ対応して設けられ、複数の除害装置1-1,1-2,2のうちの対応する除害装置に動作指令を供給する複数のシステム制御装置22m,22sとを備える。複数のシステム制御装置22m,22sは、ネットワーク41を介して互いに通信するためのネットワークインターフェイス51をそれぞれ備える。複数のシステム制御装置22m,22sのうちのいずれか1つは、マスタシステム制御装置として機能し、複数のシステム制御装置22m,22sのうちの残りのシステム制御装置は、スレーブシステム制御装置として機能する。なお、複数のシステム制御装置22m,22sのうち、マスタシステム制御装置として機能するシステム制御装置は1台でも複数台でもよい。マスタシステム制御装置は、ネットワークインターフェイス51で、スレーブシステム制御装置へ制御指令を送信する。スレーブシステム制御装置は、ネットワークインターフェイス51で、制御指令を受信し、受信した制御指令に従って除害装置1-1,1-2に動作指令を供給する。そして、スレーブシステム制御装置は、マスタシステム制御装置との通信が不可となった場合に、マスタシステム制御装置として機能するか、スタンドアローン運転に移行する。ここで、スタンドアローン運転は、所定設定に従って動作指令を除害装置1-1,1-2に供給する。
【0071】
これにより、特定のマスタシステム制御装置によるシステムの集中管理が困難になっても、スレーブシステム制御装置がスタンドアローン運転やマスタシステム制御装置に切り替わることで、除害システムにおいて除害装置による除害処理を継続することができる。
【0072】
実施の形態2.
【0073】
図5は、本発明の実施の形態2に係る除害システムの構成を示すブロック図である。
上述のように、実施の形態2でも、除害装置1-1,1-2,2の流路(ここでは、バックアップ用流路)から緊急除害装置3への流路にバイパスバルブ12-1,12-2が設けられている。実施の形態2では、バイパスバルブ12-1,12-2には、それぞれ、バルブ駆動部12-1d,12-2dが設けられている。バルブ駆動部12-1d,12-2dは、バイパスバルブ11-1,11-2を駆動して流路を切り換える。例えば、バルブ駆動部12-1d,12-2dは、油圧式、空気圧式、電動式などのロータリアクチュエータなどである。
【0074】
実施の形態2では、除害装置1-1,1-2のシステム制御装置22sは、バルブ駆動部12-1d,12-2dをそれぞれ制御して、バイパスバルブ12-1,12-2の流路を切り替える。具体的には、システム制御装置22mが上述の状態情報などに基づいて異常発生を検出した場合、システム制御装置22mは、システム制御装置22sに指令を送信し、システム制御装置22sは、その指令に従って、バイパスバルブ12-1,12-2の流路を切り替えて、バックアップ用流路を介して処理対象ガスを緊急除害装置3に流入させる。また、システム制御装置22sが上述の状態情報などに基づいて異常発生を検出した場合は、そのシステム制御装置22sが、自律的に、バイパスバルブ12-1,12-2の流路を切り替えて、バックアップ用流路を介して処理対象ガスを緊急除害装置3に流入させる。
【0075】
また、実施の形態2では、各処理ツール101-1,101-2は、当該処理ツール101-1,101-2での処理ガス流量を示す指令をプライマリ除害装置(ここでは除害装置1-i,i=1,2)のシステム制御部22sに通知し、各除害装置1-iにおいて、そのシステム制御部22sは、その指令に基づいて動作指令をローカル制御部31に供給し、ローカル制御部31は、その動作指令に従って、その処理ガス流量で除害処理が適切に行われるように図示せぬ内部装置(リアクタなど)を制御する。実施の形態2では、システム制御部22sにおけるインターフェイス52は、ローカル制御部31との間の信号の入出力の他、処理ツール101-1,101-2との間の信号(指令など)の入出力を行う。
【0076】
また、実施の形態2では、プライマリ除害装置(ここでは除害装置1-i,i=1,2)のシステム制御装置22sは、他のシステム制御装置22mから、当該他のシステム制御装置22mの除害装置2の状態情報を取得し、当該システム制御装置22sの除害装置1-iの状態情報とともに、取得した当該他のシステム制御装置22mの除害装置2の状態情報を、処理ツールに通知する。具体的には、処理ツール101-1に関しては、処理ツール101-1からの処理対象ガスを除害処理する可能性のある除害装置1-1,2の状態情報が、除害装置1-1のシステム制御装置22sから処理ツール101-1へ通知される。処理ツール101-2に関しては、処理ツール101-2からの処理対象ガスを除害処理する可能性のあるすべての除害装置1-2,2の状態情報が、除害装置1-2のシステム制御装置22sから処理ツール101-2へ通知される。
【0077】
なお、実施の形態2に係る除害システムのその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0078】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0079】
例えば、上記実施の形態1,2において、通常運転時においてプライマリ除害装置のシステム制御装置の1つをマスタシステム制御装置とし、バックアップ除害装置のシステム制御装置をスレーブシステム制御装置としてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態1,2において、1つの処理ツール101-iから除害装置1-i,2までの配管の数、つまり、除害装置1-iのインレット数は、
図1では説明のため1本としているが、複数本(例えば3本)でも勿論よい。
【0081】
さらに、上記実施の形態1,2において、1つのプライマリ除害装置に対して、複数のバックアップ除害装置が設けられていてもよい。
【0082】
さらに、上記実施の形態1,2において、処理ツール101-1とバイパスバルブ11-1との間にバイパスバルブを別途設けるとともに、処理ツール101-2とバイパスバルブ11-2との間にバイパスバルブを別途設け、それらの別途設けたバイパスバルブを導管で接続し、処理ツール101-1,101-2の一方が稼働していない期間において除害装置2が使用できない場合に、除害装置1-1,1-2のうちの一方をプライマリ除害装置とし、他方をバックアップ除害装置として機能させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、複数の除害装置を備える除害システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1-1,1-2,2 除害装置(複数の除害装置の一例)
21 除害装置本体
22m,22s システム制御装置
31 ローカル制御部
51 ネットワークインターフェイス