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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び超音波画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019146107
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021023697
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白丸 淳
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/118798(WO,A1)
【文献】特開2013-118984(JP,A)
【文献】特開2018-149055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0192114(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0015524(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0150717(US,A1)
【文献】特開2011-200282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15、6/00-6/14、5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受波するプローブヘッドと、
前記プローブヘッドから出力された受信信号に基づいて、超音波画像を形成する画像形成部と、
前記超音波画像に対して深さ方向に伸長した関心領域を定める領域設定部と、
前記関心領域により画定される画像部分の中から識別条件を満たす組織像として血管像を識別する識別部と、
前記識別条件を満たす血管像が識別された場合に、その血管像を示す組織マーカーを生成し、前記組織マーカーが前記超音波画像上に表示されるようにする組織マーカー生成部と、
を含み、
前記関心領域は、注目血管像と非注目血管が混在する超音波画像においてそれらの血管像の中で前記注目血管像を識別するためのものであり、前記超音波画像の中心線上に設けられ、当該中心線に沿って伸長した細長い長方形の形態を有し、
前記識別部は、フレーム単位で識別処理を繰り返し実行し、
前記フレーム単位での識別処理では、前記関心領域内の各位置において少なくとも1つのテンプレートを利用したパターンマッチング処理が実行され、これにより得られる複数のパターンマッチング結果に基づいて前記識別条件を満たす血管像が識別され、
前記少なくとも1つのテンプレートには、血管横断面に対応したテンプレートが含まれ、
前記プローブヘッドの操作に伴って今まで識別されていた血管像が前記画像部分から外れた場合に当該血管像は識別対象から除外される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項記載の超音波診断装置において、
前記超音波画像は扇状の形態を有し、
前記関心領域は前記超音波画像の上辺及び下辺から離れた長方形を有する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項記載の超音波診断装置において、
前記パターンマッチング処理では、互いに異なる複数のテンプレートからなるテンプレートセットが用いられる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項記載の超音波診断装置において、
前記テンプレートセットには、シャドーを伴う血管像を模擬したテンプレートが含まれる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項記載の超音波診断装置において、
前記関心領域内の各位置でのパターンマッチング処理は、テンプレートサイズ変更、テンプレート回転角度変更、及び、テンプレート変形の内の少なくとも1つを伴うものである、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記関心領域を示す領域マーカーを生成し、前記領域マーカーが前記超音波画像上に表示されるようにする領域マーカー生成部を含む、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
超音波を送受波するプローブヘッドから出力された受信信号に基づいて形成される超音波画像に対して、その中心線上に深さ方向に伸長した関心領域を設定する工程と、
前記関心領域により画定される画像部分の中から識別条件を満たす組織像として血管像を識別する工程と、
前記超音波画像上に前記関心領域を示す領域マーカーを表示する工程と、
前記超音波画像上に前記識別条件を満たす血管像の識別状態を示す組織マーカーを表示する工程と、
を含み、
前記関心領域は、注目血管像と非注目血管が混在する超音波画像においてそれらの血管像の中で前記注目血管像を識別するためのものであり、前記超音波画像の中心線上に設けられ、当該中心線に沿って伸長した細長い長方形の形態を有し、
前記血管像を識別する工程では、フレーム単位で識別処理が繰り返し実行され、
前記フレーム単位での識別処理では、前記関心領域内の各位置において少なくとも1つのテンプレートを利用したパターンマッチング処理が実行され、これにより得られる複数のパターンマッチング結果に基づいて前記識別条件を満たす血管像が識別され、
前記少なくとも1つのテンプレートには、血管横断面に対応したテンプレートが含まれる、
ことを特徴とする超音波画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置及び超音波画像処理方法に関し、特に、超音波画像に含まれる特定の組織像を識別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、生体に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する医療装置である。超音波診断装置は超音波プローブを有しており、超音波プローブにおけるプローブヘッドにおいて超音波が送受波される。具体的には、検査者によってプローブヘッドが保持され、プローブヘッドの送受波面が生体表面に当接されつつ、プローブヘッド内の超音波振動子により超音波が送受波される。プローブヘッドの位置及び姿勢を変化させると、それに伴って超音波画像の内容が変化する。その場合、例えば、超音波画像において、組織像の位置が変化し、あるいは、それまで現れていた組織像が消失し、別の組織像が現れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-104248号公報
【文献】特開2018-149055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波画像に含まれる特定の組織像(以下、「注目組織像」という。)を自動的に識別する場合において、超音波画像の全体に対して注目組織像の探索が行われるならば、類似する別の組織像が注目組織像であると誤って識別されてしまい易くなる。そのような誤識別が生じる可能性を低減することが望まれる。また、そのような誤識別が生じてしまった場合、ユーザーにおいて簡便に識別状態を解除できるようにすることが望まれる。
【0005】
なお、特許文献1には、計測面の自動認識を含む一連の処理を自動化した超音波診断装置が開示されている。特許文献2には、パターンマッチング技術が開示されている。いずれの特許文献にも、注目組織像とそれに類似する他の組織像とが混在する状況下において、注目組織像の識別精度を高めるための技術は開示されていない。
【0006】
本開示の目的は、注目組織像の識別精度を高めることにある。あるいは、本開示の目的は、注目組織像ではない他の組織像が識別されてしまった場合にそれを簡便に解除できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る超音波診断装置は、超音波を送受波するプローブヘッドと、前記プローブヘッドから出力された受信信号に基づいて、超音波画像を形成する画像形成部と、前記超音波画像に対して深さ方向に伸長した関心領域を定める領域設定部と、前記関心領域により画定される画像部分の中から識別条件を満たす組織像を識別する識別部と、前記識別条件を満たす組織像が識別された場合に、その組織像を示す組織マーカーを生成し、前記組織マーカーが前記超音波画像上に表示されるようにする組織マーカー生成部と、を含み、前記プローブヘッドの操作に伴って今まで識別されていた組織像が前記画像部分から外れた場合に当該組織像が識別対象から除外される、ことを特徴とするものである。
【0008】
本開示に係る超音波画像処理方法は、超音波を送受波するプローブヘッドから出力された受信信号に基づいて形成される超音波画像に対して、その中心線上に深さ方向に伸長した関心領域を設定する工程と、前記関心領域により画定される画像部分の中から識別条件を満たす組織像を識別する工程と、前記超音波画像上に前記関心領域を示す領域マーカーを表示する工程と、前記超音波画像上に前記識別条件を満たす組織像の識別状態を示す組織マーカーを表示する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、注目組織像の識別精度を高められる。あるいは、本開示によれば、注目組織像ではない他の組織像が識別されてしまってもそれを簡便に解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図2】識別部の構成例を示すブロック図である。
図3】パターンマッチング処理を示す図である。
図4】識別された注目組織像を示す図である。
図5】誤って識別された組織像を示す図である。
図6】プローブヘッド操作による識別状態の解除を示す図である。
図7】ボリュームデータに含まれる組織像の抽出処理結果を示す図である。
図8】識別処理後の計測を示す図である。
図9】テンプレートセットを示す図である。
図10】識別処理を示すフローチャートである。
図11】後続処理の一例を示すフローチャートである。
図12】後続処理の他の例を示すフローチャートである。
図13】関心領域の第2例を示す図である。
図14】関心領域の第3例を示す図である。
図15】関心領域の第4例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断装置は、プローブヘッド、画像形成部、領域設定部、識別部、及び、組織マーカー生成部を含む。プローブヘッドは、超音波を送受波するものである。画像形成部は、プローブヘッドから出力された受信信号に基づいて、超音波画像を形成する。領域設定部は、超音波画像に対して深さ方向に伸長した関心領域を定める。識別部は、関心領域により画定される画像部分の中から識別条件を満たす組織像を識別する。組織マーカー生成部は、識別条件を満たす組織像が識別された場合に、識別状態にある組織像を示す組織マーカーを生成する。
【0013】
上記構成によれば、超音波画像における画像部分の中に、注目条件を満たす組織像が含まれていれば、その組織像が自動的に識別される。プローブヘッドの位置及び姿勢の調整により、そのような状態を容易に形成できる。その際において検査者に格別な負担は生じない。検査者は、組織マーカーの観察を通じて、識別状態及び識別された組織像を認識できる。識別された組織像が誤ったものであれば、つまり、識別された組織像が注目組織像でなければ、その組織像が画像部分から外れるように、プローブヘッドの位置及び姿勢を変更すればよい。これにより、その組織像が識別対象から自然に除外される。識別対象の切り換えに際してボタン操作等の特別な入力操作は不要である。このように、上記構成によれば、プローブヘッドの操作により、識別対象の取捨選択を容易に行える。
【0014】
プローブヘッドの操作により、走査面の向きを維持したまま、走査面を平行移動及び回転運動させることは容易である。一方、プローブヘッドの操作により、走査面それ全体を深い方へ又は浅い方へ移動させることは困難である。そのような超音波診断固有の事情を考慮して、関心領域の形態ひいては画像部分の形態が定められている。
【0015】
実施形態において、関心領域は、識別条件を満たす組織像を探索する際の基準をなすものである。関心領域に従って探索を行った場合において、実際に参照される部分が上記の画像部分である。画像部分は、例えば、関心領域よりも一回り大きい領域であり、あるいは、関心領域の内部領域である。関心領域の横幅を大きくすると、注目組織像以外の組織像が画像部分の中に入り込んでくる可能性が高まる。一方、関心領域の横幅を小さくすると、注目組織像が画像部分から外れやすくなり、あるいは、画像部分の中に注目組織像を入れ込む操作が難しくなる。よって、関心領域の横幅を適度なものとしておくことが望まれる。
【0016】
実施形態において、関心領域は、超音波画像の中心線上に設けられ、当該中心線に沿って伸長した細長い形態を有する。注目組織像の観察や計測に際しては、通常、超音波画像における左右方向の中央部に注目組織像が位置するように、プローブヘッドの位置及び姿勢が調整される。一方、注目組織像の存在する深さは深さ方向における概ね中央部であるが、注目組織像がやや浅い位置に存在したりやや深い位置に存在したりすることもある。上記構成はそれらを前提とするものである。具体的には、実施形態において、超音波画像は扇状の形態を有し、関心領域は超音波画像の上辺及び下辺から離れた長方形を有する。
【0017】
なお、識別条件は、ある組織像を注目組織像であるとみなす条件である。例えば、最良の評価を受けた1つの組織像が注目組織像であると判定される。複数の組織像がそれぞれ識別条件を満たす注目組織像であると判定されてもよい。
【0018】
実施形態において、識別部は、フレーム単位で識別処理を実行する。フレーム単位での識別処理では、関心領域内の各位置において少なくとも1つのテンプレートを利用したパターンマッチング処理が実行され、これにより得られる複数のパターンマッチング結果に基づいて識別条件を満たす組織像が識別される。
【0019】
実施形態において、パターンマッチング処理では、互いに異なる複数のテンプレートからなるテンプレートセットが利用される。これは、注目組織像の現れ方によらずに注目組織像を認識できるようにするために、注目組織像の様々な現れ方に対応した複数種類のテンプレートを用意しておくものである。例えば、注目組織像が血管像である場合、横断面、縦断面、斜め断面等に対応する複数のテンプレートを用意しておくのが望ましい。
【0020】
実施形態において、テンプレートセットには、シャドーを伴う組織像を模擬したテンプレートが含まれる。一般に、プローブヘッド側から見て、塊状の組織の後方(裏側)から来るエコーは弱く、そのような組織の後方にはシャドーが生じ易い。上記構成は、そのようなシャドーが考慮されたテンプレートを用意しておくものである。
【0021】
実施形態において、関心領域内の各位置でのパターンマッチング処理は、テンプレートサイズ変更、テンプレート回転角度変更、及び、テンプレート変形の内の少なくとも1つを伴うものである。テンプレートセットの中に、回転不要のテンプレートが含まれてもよい。テンプレート変形の概念には、縦サイズ及び横サイズの比率の変更が含まれる。
【0022】
実施形態に係る超音波診断装置は、関心領域を示す領域マーカーを生成し、これにより領域マーカーが超音波画像上に表示されるようにする領域マーカー生成部を含む。この構成によれば、超音波画像の全体と対比において、関心領域及びそれによって画定される画像部分を認識することが容易となる。画像部分は関心領域に対応する部分あるいは関心領域と同視できる部分であるから、領域マーカーは画像部分又はその目安を示すマーカーでもある。
【0023】
実施形態に係る超音波画像処理方法は、第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を含む。第1工程では、超音波を送受波するプローブヘッドから出力された受信信号に基づいて形成される超音波画像に対して、その中心線上に深さ方向に伸長した関心領域が設定される。第2工程では、関心領域に基づいて画定される画像部分の中から識別条件を満たす組織像が識別される。第3工程では、超音波画像上に関心領域を示す領域マーカーが表示される。第4工程では、超音波画像上に識別条件を満たす組織像の識別状態を示す組織マーカーが表示される。
【0024】
上記超音波画像処理方法は、ハードウエアの機能及びソフトウエアの機能として実現され得る。後者の場合、超音波画像処理方法を実行するプログラムが、可搬型記憶媒体又はネットワークを介して、情報処理装置へインストールされる。情報処理装置の概念には、超音波診断装置、超音波画像処理装置、コンピュータ等が含まれる。
【0025】
(2)実施形態の詳細
図1において、超音波診断装置は、病院等の医療機関に設けられ、生体としての被検者に対する超音波の送受波により超音波画像を形成する医療装置である。超音波診断装置は、大別して、装置本体10及び超音波プローブ12により構成される。超音波プローブ12は、装置本体10に対して着脱可能に接続されるものである。
【0026】
超音波プローブ12は、プローブヘッド14、ケーブル及びコネクタによって構成される。ケーブル及びコネクタの図示は省略されている。プローブヘッド14は可搬型送受波器である。プローブヘッド14がユーザーである検査者によって保持される。プローブヘッド14の中には振動素子アレイが設けられている。振動素子アレイは、具体的には、円弧状に配列された複数の振動素子により構成される一次元振動素子アレイである。振動素子アレイによって超音波が送受波される。これにより超音波ビーム16が形成される。
【0027】
超音波ビーム16の電子走査によって走査面18が形成される。図1において、rは深さ方向を示している。θは電子走査方向を示している。電子走査方式として、電子リニア走査方式、電子セクタ走査方式、等が知られている。実施形態においては、電子リニア走査方式の一態様をなす電子コンベックス走査方式が採用されている。プローブヘッド14内に、直線状に並んだ複数の振動素子からなる振動素子アレイが設けられてもよい。
【0028】
実施形態に係る超音波プローブは、具体的には、いわゆる術中プローブである。診断対象は例えば肝臓である。手術中における肝臓の超音波診断に際しては、プローブヘッド14が、手術者における複数の指によって保持されつつ、プローブヘッド14の送受波面が、露出した肝臓表面に当接される。当接状態が維持されつつ、プローブヘッドが肝臓表面に沿ってマニュアルで走査される。その走査の過程で、走査面18が繰り返し形成され、これによりフレームデータ列が取得される。
【0029】
図示の構成例において、プローブヘッド14には磁気センサ20が設けられている。磁場発生器24により、測位用の磁場(三次元磁場)が生成されており、その磁場が磁気センサ20によって検出される。磁気センサ20から出力された検出信号が測位コントローラ26へ送られている。測位コントローラ26から磁場発生器24へ駆動信号が送られている。測位コントローラ26は、磁気センサ20から出力された検出信号に基づいて、磁気センサ20が設けられているプローブヘッド14の位置及び姿勢を演算するものであり、換言すれば、走査面18の位置情報を演算するものである。実施形態においては、後述する受信フレームデータごとに、位置情報が演算されている。演算された位置情報は制御部58へ出力されている。
【0030】
なお、測位コントローラ26は電子回路として構成され得る。制御部58内に測位コントローラ26を組み込むようにしてもよい。磁気センサ20、磁場発生器24及び測位コントローラ26は測位システム28を構成する。
【0031】
送信部30は、送信時において、振動素子アレイを構成する複数の振動素子に対して複数の送信信号を並列的に供給する送信ビームフォーマーであり、それは電子回路である。受信部32は、受信時において、振動素子アレイを構成する複数の振動素子から並列的に出力される複数の受信信号を整相加算(遅延加算)する受信ビームフォーマーであり、それは電子回路である。受信部32は、複数のA/D変換器、検波回路等を備えている。受信部32での複数の受信信号の整相加算によりビームデータが生成される。なお、受信部32から出力される個々の受信フレームデータは、電子走査方向に並ぶ複数のビームデータにより構成される。個々のビームデータは深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。受信部32の後段にはビームデータ処理部が設けられているが、その図示は省略されている。
【0032】
DSC(デジタルスキャンコンバータ)34は、受信フレームデータに基づいて断層画像を形成する電子回路である。DSC34は、座標変換機能、画素補間機能、及び、フレームレート変換機能、等を有する。断層画像データがDSC34から画像処理部36、識別部38、及び、3Dメモリ42へ送られている。なお、断層画像データは表示フレームデータである。DSC34は、受信フレームデータ列を表示フレームデータ列に変換するものである。
【0033】
識別部38は、フレーム単位で、断層画像に対して識別処理を適用する。断層画像に対しては関心領域が設定される。断層画像の中において、識別処理の対象は関心領域で画定される画像部分である。識別処理は、画像部分の中から識別条件を満たす組織像を自動的に識別する処理である。その識別結果が画像処理部36及び組織マーカー生成部40へ送られている。識別部38は例えば画像プロセッサにより構成される。
【0034】
組織マーカー生成部40は、識別条件を満たす組織像が識別された場合に、その識別状態及び識別された組織像を示す組織マーカーを生成するものである。組織マーカーは表示要素又はグラフィック図形である。組織マーカーのデータが組織マーカー生成部40から画像処理部36へ送られている。組織マーカー生成部40は例えば画像プロセッサにより構成される。
【0035】
上記のように、プローブヘッド14がマニュアル走査される場合、3Dメモリ42内にはマニュアル走査によって形成された複数の断層画像データ(つまり表示フレームデータ列)が格納される。それはボリュームデータを構成する。3Dメモリ42への各表示フレームデータの書き込みに際しては、測位システム28により取得された位置情報が利用される。
【0036】
3Dメモリ44には、必要に応じて、他の医療装置を用いて、同一の被検者から過去に取得されたボリュームデータが格納される。実施形態に係る構成によれば、ある断面を示す断層画像のリアルタイム表示を行いながら、同じ断面を示す他の断層画像を並列表示することが可能である。断層画像の表示に代えて三次元画像が表示されてもよい。なお、他の医療装置は、超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置等である。
【0037】
領域マーカー生成部46は、関心領域を示す領域マーカーを生成するものである。関心領域は、断層画像における中心線上に沿って設定される細長い矩形状の領域である。関心領域は、断層画像の上辺及び下辺から離れており、関心領域の上下には一定のマージンが存在している。関心領域により画定される画像部分も、断層画像の上辺及び下辺から離れており、それも深さ方向にそって伸長した矩形状の形態を有している。領域マーカーのデータが画像処理部36へ送られている。
【0038】
画像処理部36は、表示処理モジュールとして機能するものである。それは例えば画像プロセッサにより構成される。画像処理部36により表示器56に表示される画像が形成される。画像処理部36は、画像合成機能の他、計測機能、抽出機能、キャリブレーション機能、画像形成機能、等を有している。それらの機能が、図1において、計測部48、抽出部50、キャリブレーション部52、及び、画像形成部54として示されている。
【0039】
計測部48は、組織像が識別された場合にその組織像に対して計測を実行するものである。計測の概念には、サイズ計測、面積計測等が含まれる。抽出部50は、組織像の識別結果を利用して、ボリュームデータの中から三次元組織像を抽出する処理を実行するものである。実施形態においては、超音波ボリュームデータの中から肝臓中の門脈に相当するデータが抽出されている。他のボリュームデータにおいては、門脈に相当するデータが既に抽出されている。抽出された2つのデータの照合に基づいて、2つのボリュームデータが有する2つの座標系を一致させることが可能である。それはキャリブレーション部52によって実行される。画像形成部54は、各ボリュームデータに基づいて、断層画像、三次元画像等を形成するものである。
【0040】
表示器56には、超音波画像としての断層画像等が表示される。表示器56はLCD、有機EL表示デバイス、等によって構成される。
【0041】
制御部58は、図1に示されている個々の要素の動作を制御するものである。制御部58は、プログラムを実行するCPUによって構成される。CPUにより、識別部38、組織マーカー生成部40、画像処理部36、領域マーカー生成部46、等が発揮する複数の機能が実現されてもよい。制御部58に接続された操作パネル60は、複数のスイッチ、複数のボタン、トラックボール、キーボード等を有する入力装置である。
【0042】
図2には、図1に示した識別部38の構成例が示されている。識別部38は、識別処理により、識別条件を満たす組織像を識別するものである。具体的には、識別部38は、前処理部62、パターンマッチング部64、テンプレートメモリ66、及び、選択部68を有する。前処理部62は、対象となった断層画像(元画像)を二値化及び低解像度化するものである。二値化に際しては、一定値以上の画素値が1に変換され、一定値未満の画素値が0に変換される。低解像度化は、対象となった断層画像に対する間引き処理により、断層画像を例えば1/4に縮小するものである。前処理が関心領域又はそれによって画定される画像部分だけに対して適用されてもよい。
【0043】
前処理後の断層画像がパターンマッチング部64に入力されている。パターンマッチング部64には、関心領域の座標を特定する座標情報が入力されている。テンプレートメモリ66には、パターンマッチング処理で利用するテンプレートが格納されている。パターンマッチング処理では、少なくとも1種類のテンプレートが利用される。後述するように複数種類のテンプレートが同時に利用されるのが望ましい。
【0044】
パターンマッチング部64は、関心領域内の個々の位置ごとにパターンマッチング処理を実行するものである。パターンマッチング処理では、テンプレートと画像部分中の比較対象との間で、相関値(相関係数)が演算される。実際は、テンプレートについての複数のパラメータ(位置、サイズ、回転角度、等)からなるパラメータセットを変更しながら、個々のパラメータセットごとに相関値が演算される。これについては後に図3を用いて詳述する。
【0045】
選択部68は、演算された複数の相関値の中で、最良の相関値を特定し、それに対応するテンプレートつまり組織像を識別する。相関値としては、SSD(Sum of Squared Difference)やSAD(Sum of Absolute Difference)等が知られている。2つの画像の類似度が高くなればなるほど、それらは0に近付く。実施形態においては、相関値が閾値以下であって、もっとも0に近い相関値が特定され、それから組織像が識別されている。類似度が高くなればなるほど1に近付く相関値が利用されてもよい。いずれにしてもパターンマッチング結果が類似度の観点から評価される。
【0046】
実施形態では、識別処理において、1つの組織像が識別されているが、複数の組織像が同時に識別されてもよい。すなわち、1つの画像部分の中から、識別条件を満たす複数の組織像が識別されてもよい。実施形態においては、閾値以下であって最良の相関値を生じさせた組織像が、識別条件を満たす組織像である。閾値以下の相関値が1つも得られない場合、識別条件を満たす組織像はないと判断される。なお、類似度が高まるほど1に近付く相関値を利用する場合、閾値以上であって最も大きな相関値特定することにより、識別条件を満たす組織像が識別される。
【0047】
図3には、パターンマッチング処理が模式的に示されている。図3の左側には、扇状の断層画像70が示されている。断層画像70は具体的には肝臓の断面を示すものである。断層画像70には複数の組織像(複数の血管断面像)が含まれる。その内で、Tで示すものが注目組織像である。それ以外の血管断面像は他の組織像(非注目組織像)である。なお、断層画像70は、元画像72に対して前処理74を施すことにより生成された画像である。
【0048】
断層画像70上には、第1例に係る関心領域75が設定されている。関心領域75の外縁が領域マーカー76によって示される。関心領域75はパターンマッチング処理が適用される範囲又は部分を画定するものである。詳しくは、関心領域75は、断層画像70の中心軸上に設定された細長い矩形の領域であり、それは断層画像70の上辺及び下辺から隔てられている。
【0049】
図3においては、関心領域75の横幅がWで示されており、関心領域75の縦幅(高さ範囲)がHで示されている。中心軸上において、断層画像70は深さr0から深さr3までの範囲に及んでおり、その内で、関心領域75が存在するのは深さr1から深さr2までである。なお、実施形態においては、スキャンコンバート後の表示フレームデータが処理対象となっているが、スキャンコンバート前の受信フレームデータが処理対象とされてもよい。その場合においても、受信フレームデータに対して、図3に示した形態を有する関心領域を設定するのが望ましい。
【0050】
図3の右側には、拡大された関心領域75が示されている。関心領域75内における各位置においてパターンマッチング処理が実行される。換言すれば、テンプレート78を設置する位置を順次変化させながら、パターンマッチング処理が順次実行される。各位置はテンプレート78の中心座標がおかれる位置である。
【0051】
各位置において、テンプレート78の中心座標を固定したまま、テンプレート78のサイズ、回転角度、等が変更されつつ、変更後の各態様においてテンプレートと比較対象(テンプレートが重合される画像領域)との間で相関値が演算される。その場合、サイズのみが変更されてもよく、サイズ及び回転角度の2つが変更されてもよく、サイズ、回転角度及び変形度の3つが変更されてもよい。
【0052】
例えば、位置80においては、図示されるように、元のテンプレートを基礎として、そのサイズ及びその回転角度が段階的に変更され、これにより複数の派生テンプレート78b、78b、78cが定義される。個々の派生テンプレートごとに相関値が演算される。そのようなテンプレート処理が関心領域75の全体にわたって実行される。
【0053】
最終的に、閾値以下の最良の相関値が特定され、それに基づいて組織像が識別される。フレーム単位で組織像が識別されており、すなわち、フレームが切り替わると、新たな識別処理が実行される。なお、閾値以下の相関値(つまり一定以上の類似度)が存在しないフレームについては、組織像の識別が見送られる。
【0054】
実施形態において、断層画像70の中で、テンプレート78と比較される範囲は、厳密には、関心領域75よりも大きい画像部分である。画像部分は、換言すれば、パターンマッチングで参照される部分である。画像部分は関心領域75よりも一回り大きなものとなる。もっとも、関心領域75の内部でのみ組織像の探索を行うようにしてもよい。その場合、画像部分と関心領域75は一致する。なお、画像部分は、通常、上辺及び下辺から離れている。
【0055】
図4には、断層画像82に含まれる注目組織像Tの識別状態が示されている。注目組織像Tは、図示の例では、関心領域86に包含されている。注目組織像Tを囲むように矩形の組織マーカー84が表示されている。それは最良のマッチング状態が得られた際のテンプレートの外縁を示すものである。組織マーカー84の観察を通じて、検査者において識別状態及び識別対象を認識することが可能となる。識別状態において、関心領域86の外縁を示す領域マーカーの表示を止めてもよい。
【0056】
図5には、注目組織像Tではない他の組織像T2の識別状態が示されている。関心領域86内には他の組織像T2が存在し、関心領域86から注目組織像が外れている。そのような場合、図6に示すように、プローブを体表面上で平行移動させればよい。すなわち、走査面の向きを維持したまま走査面を平行移動させればよい。関心領域86から組織像T2が外れた時点で、最早、組織像T2は識別対象又は識別候補ではなくなる。注目組織像Tが関心領域86内に入り込めば、それが新たな識別対象となる。
【0057】
例えば、ある断層画像上で、注目血管が注目組織像として識別されている状態において、注目血管に沿ってプローブヘッドを平行運動させてもよい。そのようなマニュアルスキャンにより、注目血管が複数の注目組織像として抽出されることになる。あるいは、ある断層画像上において注目血管が注目組織像として識別されている状態において、ユーザーが所定の入力を行った場合に、それをトリガとしてボリュームデータから三次元の注目血管像を抽出するようにしてもよい。
【0058】
図7には、識別処理に続く処理(後続処理)の一例が例示されている。ボリュームデータ90は複数の表示フレームデータ92により構成される。その中から選択された特定の表示フレームデータ上で、注目組織像94が自動的に識別された場合、それを起点として繋がり関係を利用して個々のフレームデータから注目組織像が識別されてもよい。最終的に三次元の注目組織像96が抽出される。
【0059】
図8には、後続処理の他の例が示されている。注目組織像98に対してテンプレートがフィッティングした際のパラメータセットを利用して注目組織像98に対して2軸100,102が自動的に設定される。個々の軸100,102上において、エッジ検出技術等により、注目組織像98のサイズが計測される。その際、面積等が演算されてもよい。
【0060】
図9には、テンプレートセットが例示されている。断層画像上において、注目組織像が様々な態様で現れ得ることから、複数のテンプレートからなるテンプレートセットが利用される。図9に示されているテンプレートセット114は、第1テンプレート116、第2テンプレート118、及び、第3テンプレート120を含むものである。それらは特定の血管像を識別するために利用される。
【0061】
第1テンプレート116は、それ全体として矩形の形態を有し、それには血管の横断面を模擬した円形の領域R1が含まれる。領域R1の上側及び下側には領域R1に接する横長の形領域R2,R3が存在している。領域R1の外側であって、領域R2,R3で挟まれる部分が領域R4,R5である。領域R1には0が与えられており、領域R2,R3には1が与えられている。領域R4,R5には0.5が与えられている。領域R4,R5は相関値の演算上、中立的なものとして取り扱われる。これは、血管の斜め断面(横方向にに伸びた断面)が現れる場合があることを考慮したものである。なお、符号122,124はエリア間の分割線を示している。
【0062】
第2テンプレート118は、それ全体として矩形の形態を有し、そこには領域R6が含まれる。領域R6は、血管に相当する円126とその下側に生じる陰128とを連結させてなる形態を有する。これは、円形の血管像の下側にシャドーが生じ易いことから、そのようなシャドーを伴う血管像を抽出するためのものである。関心領域が断層画像の中央部に設定されるため、関心領域内においてシャドーは対象物のおよそ直下に生じる。シャドーは、エコー強度の弱い部分であり、それは断層画像上において黒く表示される部分である。第2テンプレート118についてはそれを回転させる必要はない。
【0063】
領域R6の上側には領域R7が存在し、領域R6の両側であって領域R7の下側には領域R9,R10が存在している。領域R6には0が与えられており、領域R7には1が与えられている。領域R9,R10には0.5が与えられている。これは、シャドーを伴う血管の斜め断面が現れ得ることを考慮したものである。
【0064】
第3テンプレート120は、血管の斜め断面を模擬したものであり、それには2つの領域R11及びR12が含まれる。領域R11には0が与えられており、領域R12には1が与えられている。
【0065】
図10には、実施形態に係る識別処理がフローチャートとして示されている。識別処理はフレーム単位で実行される。
【0066】
S10では、断層画像上に関心領域(ROI)が設定される。S12においては、関心領域内の位置Pが初期設定される。S14においては、位置Pにおいて、パターンマッチング処理が実行される。パターンマッチング処理では、テンプレートのサイズ変更、回転角度変更、及び、変形を行いながら、複数回のパターンマッチング(複数回の相関演算)が実行される。複数のテンプレートが利用される場合、テンプレートごとにパターンマッチング処理が実行される。
【0067】
S16では、関心領域内の全位置についてパターンマッチング処理が実行されたか否かが判断され、それが未了であれば、S18において位置Pを変更した上で、S14の処理が再度実行される。S20では、演算された複数の相関値の中で、閾値以下の相関値(優良な相関値)があるか否かが判断され、それが1つでもあれば、S22において最も小さな相関値が特定され、その相関値に対応するパラメータセットに基づいて、識別条件を満たす組織像が識別される。以上の識別処理がフレームごとに実行される。
【0068】
検査者は、関心領域内に注目組織像が含まれるように、且つ、誤識別が生じ易い非注目組織像が関心領域内から除外されるように、プローブヘッドの位置及び姿勢を調整すれば、その結果として、注目組織像が自動的に簡便に識別されることになる。
【0069】
図11には、識別処理に続く後続処理の第1例が示されている。S30では、フレーム単位で識別処理が実行され、S32で、識別された組織像を承認するユーザー操作があった場合、S34において、識別された組織像を起点として、ボリュームデータの中から三次元組織像が抽出される。S36では、抽出された三次元組織像に基づいて、2つのボリュームデータ間において座標系を整合させるキャリブレーションが実施される。
【0070】
図12には、識別処理に続く後続処理の第2例が示されている。S30は図11に示したS30と同じであり、その説明を省略する。S40では、一定時間にわたって同じ組織像が連続して識別されたことが判定される。S42において、断層画像がフリーズされ、パラメータセットを利用して組織像に対する計測が自動的に実行される。この第2例によれば、注目組織像の識別から計測までの一例の処理が自動的に実行されるので、ユーザーの負担が大幅に軽減される。
【0071】
図13には関心領域の第2例が示されている。扇状の断層画像130の中心線C上には細長い楕円の関心領域132が設定されている。具体的には、関心領域132の長軸が中心線Cに一致しており、その短軸が中心線Cに直交している。
【0072】
図14には関心領域の第3例が示されている。扇状の断層画像134の中心線C上には細長い扇状の関心領域136が設定されている。関心領域136は、例えば、極座標系に従って定義される。
【0073】
図15には関心領域の第4例が示されている。これは矩形の断層画像138の中心線C上には細長い矩形の関心領域140が設定されている。
【0074】
以上のように、実施形態によれば、断層画像の中央に深さ方向に伸長した細長い関心領域が設定されている。関心領域(厳密には画像部分)の中に、注目条件を満たす組織像が入っている場合、その組織像が自動的に識別される。プローブヘッドの位置及び姿勢の調整により、そのような状態を容易に形成できるので、検査者において大きな負担は生じない。識別された組織像が誤ったものであれば、つまりその組織像が注目組織像でなければ、その組織像が画像部分から外れるように、プローブヘッドの位置及び姿勢を変更すればよい。これにより、その組織像が識別対象から自然に除外される。このように、実施形態によれば、プローブヘッドの操作により、識別対象を簡便に取捨選択できる。
【符号の説明】
【0075】
10 装置本体、12 超音波プローブ、14 プローブヘッド、36 画像処理部、38 識別部、40 組織マーカー生成部、46 領域マーカー生成部、48 計測部、50 抽出部、52 キャリブレーション部、54 画像形成部、75 関心領域、78 テンプレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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