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特許7299107搬送台車用のガイド機構、及び仕分けコンベヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】搬送台車用のガイド機構、及び仕分けコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20230620BHJP
   B60L 13/04 20060101ALI20230620BHJP
   B61B 13/06 20060101ALI20230620BHJP
   B61B 13/08 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B65G54/02
B60L13/04 A
B61B13/06 N
B61B13/08 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019153154
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021031232
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 信也
(72)【発明者】
【氏名】栗田 伸幸
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-102105(JP,A)
【文献】特開平09-019005(JP,A)
【文献】実開平01-159507(JP,U)
【文献】特開平10-236748(JP,A)
【文献】特開2018-122986(JP,A)
【文献】特表2019-522453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/00-54/02
B60L 13/04
B61B 13/06,13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ルートに設置された強磁性体からなる案内レールに沿って走行される搬送台車に用いられ前記搬送台車に設置される搬送台車用のガイド機構において、
磁場を発生させる永久磁石と、
前記案内レールの下方に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを下方から吸引する第1の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向の一端側に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記搬送台車の幅方向の一端側から吸引する第2の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向において、前記第2の鉄心部と所定の間隔を空けて配置され、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記第2の鉄心部による吸引方向とは反対方向に吸引する第3の鉄心部と、を含むコアと、
前記第1の鉄心部に巻回され、給電時に前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第1のコイル部と、
前記第2の鉄心部に巻回され、給電時に前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第2のコイル部と、
前記第3の鉄心部に巻回され、給電時に前記第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第3のコイル部と、
を含む電磁石ユニットと、
2つの前記電磁石ユニットと前記永久磁石とを、2つの前記電磁石ユニットで前記永久磁石を挟持した状態で保持する保持部と、
前記搬送台車の走行方向を長手方向とするビーム状リンクに前記搬送台車の幅方向を長手方向として固定される支持クロスメンバの両端部に設けられた支持部を挿入する挿入空間を有し、前記支持部を前記挿入空間に挿入した状態で回転軸によって軸支される軸支部と、
を含む保持部材と、
を有することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記永久磁石の磁場は、2つの前記電磁石ユニットに挟持されることで、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第1の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第1の鉄心部を通る第1の磁気ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第2の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第2の鉄心部を通る第2の閉ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第3の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第3の鉄心部を通る第3の閉ループの磁路と、を形成することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記案内レールの側方に設けられ、前記搬送台車の幅方向における距離を検出する第1の距離センサと、
前記案内レールの下方に設けられ、前記搬送台車の上下方向における距離を検出する第2の距離センサと、
前記電磁石ユニットが有する各コイル部へと給電を行う電源部と、
前記第1の距離センサ及び前記第2の距離センサからの検出信号を用いて前記搬送台車の幅方向及び上下方向における変動量を算出する算出部と、
前記算出部における前記変動量の算出結果に基づいて、前記電源部から2つの前記電磁石ユニットが各々有するコイル部へ給電する電力を制御する制御部と、
を有することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記制御部は、前記搬送台車に搬送物が送り込まれたことによる、前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を増加させるように、前記電源部を制御することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記制御部は、前記搬送ルートの高低差に基づいた前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記制御部は、前記搬送台車が、前記搬送ルートが有するカーブを通過するときに、前記搬送台車の幅方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第2の鉄心部に巻回された前記第2のコイル部及び第3のコイル部に給電を行い、前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度及び第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記案内レールの上方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の下方への移動時に、前記案内レールの頂点に摺接されて、前記案内レールの逸脱を防止する第1のガイドホイールを有することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記案内レールの側方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の幅方向への移動時に、前記案内レールの側方に摺接されて、前記電磁石ユニットのコアが前記案内レールに接触することを防止する一対の第2のガイドホイールを有することを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の搬送台車用のガイド機構において、
前記案内レールの断面外形状が円または楕円であり、
前記第1の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、
前記第2の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、
前記第3の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなしている
ことを特徴とする搬送台車用のガイド機構。
【請求項10】
一方向に延出されるビーム状リンクと、前記ビーム状リンクの延出方向と直交する方向を搬送物の搬送方向とするクロスソータ用コンベヤと、を有する搬送台車を複数、互いに前記ビーム状リンクの前後端で連結し、複数の搬送台車を搬送ルートに配置した駆動源からの駆動力を受けて、前記搬送ルートに設置された強磁性体からなる案内レールに沿って走行させる仕分けコンベヤにおいて、
前記搬送台車は、前記搬送ルートに沿った走行時に、前記案内レールに対して非接触で前記搬送台車の走行方向を前記案内レールに沿ってガイドするガイドユニットを有し、
前記ガイドユニットは、
磁場を発生させる永久磁石と、
前記案内レールの下方に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを下方から吸引する第1の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向の一端側に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記搬送台車の幅方向の一端側から吸引する第2の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向において、前記第2の鉄心部と所定の間隔を空けて配置され、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記第2の鉄心部による吸引方向とは反対方向に吸引する第3の鉄心部と、を含むコアと、
前記第1の鉄心部に巻回され、給電時に前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第1のコイル部と、
前記第2の鉄心部に巻回され、給電時に前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第2のコイル部と、
前記第3の鉄心部に巻回され、給電時に前記第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第3のコイル部と、
を含む電磁石ユニットと、
2つの前記電磁石ユニットと前記永久磁石とを、2つの前記電磁石ユニットで前記永久磁石を挟持した状態で保持する保持部と、
前記搬送台車の走行方向を長手方向とする前記ビーム状リンクに前記搬送台車の幅方向を長手方向として固定される支持クロスメンバの両端部に設けられた支持部を挿入する挿入空間を有し、前記支持部を前記挿入空間に挿入した状態で回転軸によって軸支される軸支部と、
を含む保持部材と、
を有することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項11】
請求項10に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記永久磁石の磁場は、2つの前記電磁石ユニットに挟持されることで、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第1の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第1の鉄心部を通る第1の磁気ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第2の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第2の鉄心部を通る第2の閉ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第3の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第3の鉄心部を通る第3の閉ループの磁路と、を形成することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記ガイドユニットは、
前記案内レールの側方に設けられ、前記搬送台車の幅方向における距離を検出する第1の距離センサと、
前記案内レールの下方に設けられ、前記搬送台車の上下方向における距離を検出する第2の距離センサと、
を有し、
前記搬送台車は、
前記電磁石ユニットが有する各コイル部へと給電を行う電源部と、
前記第1の距離センサ及び前記第2の距離センサからの検出信号を用いて前記搬送台車の幅方向及び上下方向における変動量を算出する算出部と、
前記算出部における前記変動量の算出結果に基づいて、前記電源部から2つの前記電磁石ユニットが各々有するコイル部へ給電する電力を制御する制御部と、
を有することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項13】
請求項12に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記制御部は、前記クロスソータ用コンベヤに前記搬送物が送り込まれたことによる、前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を増加させるように、前記電源部を制御することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記制御部は、前記搬送ルートの高低差に基づいた前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項15】
請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記制御部は、前記搬送台車が、前記搬送ルートが有するカーブを通過するときに、前記搬送台車の幅方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第2の鉄心部に巻回された前記第2のコイル部及び第3のコイル部に給電を行い、前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度及び第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項16】
請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記ガイドユニットは、前記案内レールの上方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の下方への移動時に、前記案内レールの頂点に摺接されて、前記ガイドユニットにおける前記案内レールの逸脱を防止する第1のガイドホイールを有することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項17】
請求項10から請求項16のいずれか1項に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記ガイドユニットは、前記案内レールの側方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の幅方向への移動時に、前記案内レールの側方に摺接されて、前記電磁石ユニットのコアが前記案内レールに接触することを防止する一対の第2のガイドホイールを有することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項18】
請求項10から請求項17のいずれか1項に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記案内レールは、搬送ルートに沿って配置された一対の走行レールであり、
前記ガイドユニットは、一対の走行レールの各々の走行レールに対応して前記支持クロスメンバの両端部に軸支されることを特徴とする仕分けコンベヤ。
【請求項19】
請求項10から請求項18のいずれか1項に記載の仕分けコンベヤにおいて、
前記案内レールの断面外形状が円または楕円であり、
前記第1の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、
前記第2の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、
前記第3の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなしている
ことを特徴とする仕分けコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状に連結された複数の搬送台車に用いられるガイド機構、及び仕分けコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
移送された物品(搬送物)を載置し、所定位置で載置した物品を搬送方向と直交する方向に移送するコンベヤ(クロスソータ用コンベヤ)を有する搬送台車を無端状に多数連結し、これら搬送台車を適宜の駆動装置を用いて、例えばトラック状等のループ状の搬送ルートに沿って走行させる仕分けコンベヤが一般的に知られている。このような仕分けコンベヤは、左右一対の走行レールを搬送ルート上に設置する一方で、各搬送台車に、左右一対の走行レールの上面を走行面として各々転動する車輪や、各走行レールの側面に摺接して回転するガイドホイールを、搬送ルートの搬送方向における搬送台車の走行方向の後端側の両側に配設することが一般的に採用されている。
【0003】
また、近年では、搬送物の搬送速度を高速化しながら物品の搬送を安定して行うために、例えば搬送ルートのカーブに配置される走行レールを搬送台車の搬送方向における姿勢がカーブの求心点側に向けて下り傾斜する姿勢となるように高低差を付けて設置し、また、カーブにおいて、少なくともカーブの開始位置から所定範囲において、カーブにおける走行レールの高低差によって生じる傾斜角度、隣り合う搬送台車のうち、先頭側の搬送台車が有するリンクの延出方向と、後尾側の搬送台車が有するリンクの延出方向とのなす角度を考慮して各走行レールを設置することが考案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、上記構成を採用することで、隣り合う搬送台車間に発生する捩れに起因した車輪と走行レールとの間の接触やガイドホイールと走行レールとの間の接触による異音の発生を低減することが可能となる。
【0004】
環状に連結した多数の搬送台車を有する仕分けコンベヤでは、左右一対の走行レールの上面を走行面として搬送台車に設けた車輪を転動させる構成であることから、搬送台車の走行時には、走行レールと、走行レールの上面を転動する車輪との間の摩擦力、及び走行台車に転動可能に軸支するところの車輪回転軸の軸受けでの摩擦力が大きい。したがって、搬送物の搬送速度を高速化しながら物品の搬送を安定して行うためには、搬送台車を走行させる駆動装置としては高出力の駆動装置を搬送ルートの複数の位置に設置する必要があってイニシャルコストが上昇し、駆動動力が大きくなる。また、車輪として静音性能の高いウレタン製の車輪を用いた場合には、車輪の摩耗が激しく、頻繁にメンテナンスを行う必要がある。したがって、走行レールの上面を転動する車輪を有する搬送台車を用いた仕分けコンベヤは、ランニングコストの上昇を招く。
【0005】
近年では、電磁石により発生する電磁力を用いて移動体(搬送台車に相当)を浮上させた状態で、移動体を案内レール(走行レールに相当)に沿って移動させることで、案内レールと移動体との間に発生する摩擦力や異音を抑止し、搬送物の搬送速度を高速化しながら物品の搬送を安定して行う技術も提案されている(特許文献2、特許文献3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-122985号公報
【文献】特許第2700686号公報
【文献】特開平8-163712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電磁石により発生する電磁力を用いて移動体を浮上させた状態で、移動体を案内レールに沿って移動させる構成では、移動体が浮上量に対して所定の範囲内となるように電磁石を常に励磁し、また、移動体に物品を載置したときには、載置する物品の重量に応じて、さらに電磁石を励磁する必要がある。したがって、電磁力を用いて移動体を浮上させる構成では、電磁石を励磁するために多くの電力を必要とするという問題がある。また、案内レールの左右方向に対する移動体の位置を電磁石により制御する場合には、移動体の左右方向における位置を制御する電磁石にも電力を供給する必要があることから、さらなる電力が必要となる。このように、電磁石を用いて移動体を浮上させた状態で移動体を案内レールに沿って安定して移動させる場合には、より多くの電力の供給が必要となり、省エネルギー化とは逆行したものとなる。
【0008】
本発明は、多くの電力を供給せずとも移動体を案内レールに沿って安定して、また、より高速で移動させることができるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の搬送台車用のガイド機構は、搬送ルートに設置された強磁性体からなる案内レールに沿って走行される搬送台車に用いられ前記搬送台車に設置される搬送台車用のガイド機構において、磁場を発生させる永久磁石と、前記案内レールの下方に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを下方から吸引する第1の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向の一端側に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記搬送台車の幅方向の一端側から吸引する第2の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向において、前記第2の鉄心部と所定の間隔を空けて配置され、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記第2の鉄心部による吸引方向とは反対方向に吸引する第3の鉄心部と、を含むコアと、前記第1の鉄心部に巻回され、給電時に前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第1のコイル部と、前記第2の鉄心部に巻回され、給電時に前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第2のコイル部と、前記第3の鉄心部に巻回され、給電時に前記第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第3のコイル部と、を含む電磁石ユニットと、2つの前記電磁石ユニットと前記永久磁石とを、2つの前記電磁石ユニットで前記永久磁石を挟持した状態で保持する保持部と、前記搬送台車の走行方向を長手方向とするビーム状リンクに前記搬送台車の幅方向を長手方向として固定される支持クロスメンバの両端部に設けられた支持部を挿入する挿入空間を有し、前記支持部を前記挿入空間に挿入した状態で回転軸によって軸支される軸支部と、を含む保持部材と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記永久磁石の磁場は、2つの前記電磁石ユニットに挟持されることで、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第1の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第1の鉄心部を通る第1の磁気ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第2の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第2の鉄心部を通る第2の閉ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第3の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第3の鉄心部を通る第3の閉ループの磁路と、を形成することを特徴とする。
【0011】
また、前記案内レールの側方に設けられ、前記搬送台車の幅方向における距離を検出する第1の距離センサと、前記案内レールの下方に設けられ、前記搬送台車の上下方向における距離を検出する第2の距離センサと、前記電磁石ユニットが有する各コイル部へと給電を行う電源部と、前記第1の距離センサ及び前記第2の距離センサからの検出信号を用いて前記搬送台車の幅方向及び上下方向における変動量を算出する算出部と、前記算出部における前記変動量の算出結果に基づいて、前記電源部から2つの前記電磁石ユニットが各々有するコイル部へ給電する電力を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記制御部は、前記搬送台車に搬送物が送り込まれたことによる、前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を増加させるように、前記電源部を制御することを特徴とする。
【0013】
また、前記制御部は、前記搬送ルートの高低差に基づいた前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする。
【0014】
また、前記制御部は、前記搬送台車が、前記搬送ルートが有するカーブを通過するときに、前記搬送台車の幅方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第2の鉄心部に巻回された前記第2のコイル部及び第3のコイル部に給電を行い、前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度及び第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする。
【0015】
また、前記案内レールの上方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の下方への移動時に、前記案内レールの頂点に摺接されて、前記案内レールの逸脱を防止する第1のガイドホイールを有することを特徴とする。
【0016】
また、前記案内レールの側方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の幅方向への移動時に、前記案内レールの側方に摺接されて、前記電磁石ユニットのコアが前記案内レールに接触することを防止する一対の第2のガイドホイールを有することを特徴とする。
【0017】
また、前記案内レールの断面外形状が円または楕円であり、前記第1の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、前記第2の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、前記第3の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなしていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の仕分けコンベヤは、一方向に延出されるビーム状リンクと、前記ビーム状リンクの延出方向と直交する方向を搬送物の搬送方向とするクロスソータ用コンベヤと、を有する搬送台車を複数、互いに前記ビーム状リンクの前後端で連結し、複数の搬送台車を搬送ルートに配置した駆動源からの駆動力を受けて、前記搬送ルートに設置された強磁性体からなる案内レールに沿って走行させる仕分けコンベヤにおいて、前記搬送台車は、前記搬送ルートに沿った走行時に、前記案内レールに対して非接触で前記搬送台車の走行方向を前記案内レールに沿ってガイドするガイドユニットを有し、前記ガイドユニットは、磁場を発生させる永久磁石と、前記案内レールの下方に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを下方から吸引する第1の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向の一端側に位置して、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記搬送台車の幅方向の一端側から吸引する第2の鉄心部と、前記搬送台車の幅方向において、前記第2の鉄心部と所定の間隔を空けて配置され、前記永久磁石による磁場により前記案内レールを前記第2の鉄心部による吸引方向とは反対方向に吸引する第3の鉄心部と、を含むコアと、前記第1の鉄心部に巻回され、給電時に前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第1のコイル部と、前記第2の鉄心部に巻回され、給電時に前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第2のコイル部と、前記第3の鉄心部に巻回され、給電時に前記第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させる第3のコイル部と、を含む電磁石ユニットと、2つの前記電磁石ユニットと前記永久磁石とを、2つの前記電磁石ユニットと前記永久磁石とを、2つの前記電磁石ユニットで前記永久磁石を挟持した状態で保持する保持部と、前記搬送台車の走行方向を長手方向とする前記ビーム状リンクに前記搬送台車の幅方向を長手方向として固定される支持クロスメンバの両端部に設けられた支持部を挿入する挿入空間を有し、前記支持部を前記挿入空間に挿入した状態で回転軸によって軸支される軸支部と、を含む保持部材と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、前記永久磁石の磁場は、2つの前記電磁石ユニットに挟持されることで、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第1の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第1の鉄心部を通る第1の磁気ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第2の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第2の鉄心部を通る第2の閉ループの磁路と、2つの電磁石ユニットの一方の電磁石ユニットの第3の鉄心部、前記案内レール、2つの電磁石ユニットの他方の電磁石ユニットの第3の鉄心部を通る第3の閉ループの磁路と、を形成することを特徴とする仕分けコンベヤ。
【0020】
また、前記ガイドユニットは、前記案内レールの側方に設けられ、前記搬送台車の幅方向における距離を検出する第1の距離センサと、前記案内レールの下方に設けられ、前記搬送台車の上下方向における距離を検出する第2の距離センサと、を有し、前記搬送台車は、前記電磁石ユニットが有する各コイル部へと給電を行う電源部と、前記第1の距離センサ及び前記第2の距離センサからの検出信号を用いて前記搬送台車の幅方向及び上下方向における変動量を算出する算出部と、前記算出部における前記変動量の算出結果に基づいて、前記電源部から2つの前記電磁石ユニットが各々有するコイル部へ給電する電力を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0021】
なお、前記制御部は、前記クロスソータ用コンベヤに前記搬送物が送り込まれたことによる、前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を増加させるように、前記電源部を制御することを特徴とする。
【0022】
また、前記制御部は、前記搬送ルートの高低差に基づいた前記搬送台車の上下方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第1の鉄心部に巻回された前記第1のコイル部に給電を行い、前記第1の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする。
【0023】
また、前記制御部は、前記搬送台車が、前記搬送ルートが有するカーブを通過するときに、前記搬送台車の幅方向における変動量に基づいて、2つの前記電磁石ユニットの前記第2の鉄心部に巻回された前記第2のコイル部及び第3のコイル部に給電を行い、前記第2の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度及び第3の鉄心部と前記案内レールとの間に作用する磁束密度を変化させるように、前記電源部を制御することを特徴とする。
【0024】
また、前記ガイドユニットは、前記案内レールの上方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の下方への移動時に、前記案内レールの頂点に摺接されて、前記ガイドユニットにおける前記案内レールの逸脱を防止する第1のガイドホイールを有することを特徴とする。
【0025】
また、前記ガイドユニットは、前記案内レールの側方に位置するように前記保持部材に軸支され、前記搬送台車の幅方向への移動時に、前記案内レールの側方に摺接されて、前記電磁石ユニットのコアが前記案内レールに接触することを防止する一対の第2のガイドホイールを有することを特徴とする。
【0026】
また、前記案内レールは、搬送ルートに沿って配置された一対の走行レールであり、前記ガイドユニットは、一対の走行レールの各々の走行レールに対応して前記支持クロスメンバの両端部に軸支されることを特徴とする。
【0027】
また、前記案内レールの断面外形状が円または楕円であり、前記第1の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、前記第2の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなし、前記第3の鉄心部の前記案内レール表面に非接触に面する面は、対面する案内レール表面の曲率に略等しい曲率で凹面をなしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、多くの電力の供給を行わなくとも、移動体を浮上させた状態で案内レールに沿って安定して移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に示す仕分けコンベヤの一例を示す上面図である。
図2図1に示す仕分けコンベヤに用いられる搬送台車の正面図である。
図3図2に示す搬送台車の上面図である。
図4図2に示す搬送台車の側面図である。
図5】ガイドユニットの構成の一例を分解して示す斜視図である。
図6】磁気浮上ユニットが有する永久磁石によるバイアス磁束の磁路の一例を示す図である。
図7】(a)第1鉄心部に巻回されるコイル部に正の制御電流を供給したときの磁路の一例を示す図、(b)第2鉄心部に巻回されるコイル部に負の制御電流、第3鉄心部に巻回されるコイル部に正の制御電流を供給したときの磁路の一例を示す図である。
図8】磁気浮上ユニットを制御するシステムの一構成を示す機能ブロック図である。
図9】磁気浮上ユニットを制御する流れの一例を示すフローチャートである。
図10】(a)搬送台車が右側に湾曲したカーブを走行するときの電磁石ユニットに発生させる磁束の流れを示す図、(b)搬送台車が左側に湾曲したカーブを走行するときの電磁石ユニットに発生させる磁束の流れを示す図、(c)搬送台車が下方に沈み込んだときの電磁石ユニットに発生させる磁束の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本実施形態について説明する。図1は、仕分けコンベヤ10の一例を示す上面図である。本実施形態の仕分けコンベヤ10は、無端状に連結した多数の搬送台車15を、ループ状の搬送ルートに沿って走行させるものである。
【0031】
ループ状の搬送ルートには、一対の走行レール25,25’(図2参照)が設置される。一対の走行レール25,25’は、連結された各搬送台車15の走行方向を規制する部材である。一対の走行レール25,25’の各レールは、中空の丸パイプ形状の強磁性体材料からなる部材であり、断面は円形以外でも楕円形でも含まれる。強磁性体材料は、鉄、コバルト、ニッケルなど金属の自由電子が、磁性の交換相互作用によって磁気モーメントを平行に整列させて自発磁化を形成する磁化が強い物質である。図2に示すように、一対の走行レール25,25’は、レールの延出方向における一定間隔を空けて搬送ルートに設置されるレール保持部材26に固着される。レール保持部材26は、搬送ルートに固定されるベース26aと、ベース26aの長手方向(搬送ルートの幅方向)の両端部に吊下部26b,26cを有する。一対の走行レール25、25’のうち、走行レール25は吊下部26bに、走行レール25’は吊下部26cに各々吊り下げた状態で保持される。
【0032】
図1に戻って、仕分けコンベヤ10は、搬送ルートの所定位置に、且つ一対の走行レールのレール間に設置された駆動装置(図示省略)により駆動される。駆動装置は、一例として、フリクションドライブ方式の駆動装置が挙げられる。詳細は図示を省略するが、フリクションドライブ方式の駆動装置は、搬送台車15のビーム状リンク31(図2又は図3参照)の両側面に圧接させる一対のフリクションベルト、一対のフリクションベルトの往き側を搬送台車15のビーム状リンク31の側面に圧接させる方向に押し付ける多数のフリクションローラ、及び一対のフリクションベルトの各々に対して設けられた一対の減速機付きモータを有する駆動装置である。
【0033】
仕分けコンベヤ10は、駆動時に各搬送台車15を図1中時計方向(図1中A方向)に走行させる。各搬送台車15が図1中A方向に移動する過程で、搬送ルートの内側に位置する載込みコンベヤ19により移送された搬送物が各搬送台車15に受け渡され、搬送台車15が有するクロスソータ用コンベヤユニット上に搬送物が載置される。搬送台車15が有するクロスソータ用コンベヤユニット上に搬送物が載置された後も搬送台車15は図1中A方向に移動する。そして、搬送台車15が所定の位置まで移動したときに、クロスソータ用コンベヤユニットが駆動して搬送物を搬送台車15から搬送コンベヤ(払い出しコンベヤ)20に受け渡す。なお、図1において、搬送台車15の各々に搬送物を送り出す載込みコンベヤ19、又は搬送台車15から搬送物が受け渡される搬送コンベヤ20は一例を開示したに過ぎず、載込みコンベヤ19や搬送コンベヤ20の位置は適宜設定されるものである。
【0034】
以下、搬送台車15の構成について図2から図4を用いて説明する。本実施形態では、搬送台車15に設けられるクロスソータ用コンベヤユニットとして、後述する2つのベルトコンベヤユニット41,42を搬送台車15の走行方向に並置した場合を説明するが、クロスソータ用コンベヤユニットとして1つのベルトコンベヤユニットを用いることも可能である。
【0035】
搬送台車15は、搬送台車15の走行方向を長手方向とするビーム状リンク31と、ビーム状リンク31の長手方向に直交して所定の間隔を空けて並置される3本の支持クロスメンバ32,33,34とを、骨格をなすシャーシ部分として有する。
【0036】
ビーム状リンク31は、長手方向に直交する断面が略正方形状で、且つ中空の金属材料からなる部材である。ビーム状リンク31は、搬送台車15の搬送ルートにおける搬送台車15の走行方向の骨格を成しながら、大きな搬送ループのチェーンのコマとして位置付けられる。ビーム状リンク31は、上述したフリクションドライブ方式の駆動装置が有する一対のフリクションベルトの往き側部分を側面で受け止める部材である。
【0037】
3本の支持クロスメンバ32,33,34は、長手方向に直交する断面が上下方向を長辺とする略長方形状で、中空の金属材料からなる部材である。3本の支持クロスメンバ32,33,34のうち、支持クロスメンバ32は側部フレーム36を、支持クロスメンバ33は中央フレーム37を、支持クロスメンバ34は側部フレーム38を、上面に各々保持する。側部フレーム36と中央フレーム37との間には、支持部材39,40が所定の間隔を空けて配置される。なお、図示は省略するが、中央フレーム37と側部フレーム38との間にも同様にして、支持部材が所定の間隔を空けて配置される。
【0038】
ベルトコンベヤユニット41は、側部フレーム36と中央フレーム37との間に形成される空隙部分に側部フレーム36と中央フレーム37とを自身のフレームとして配置する。また、ベルトコンベヤユニット42は、中央フレーム37と側部フレーム38との間に形成される空隙部分に中央フレーム37と側部フレーム38とを自身のフレームとして配置する。以下、ベルトコンベヤユニット41,42の構成は同一構成となることから、ベルトコンベヤユニット41のみの構成について説明し、ベルトコンベヤユニット42の構成については省略する。
【0039】
ベルトコンベヤユニット41は、フレームを別として駆動プーリ45、従動プーリ46、複数のローラ47、無端ベルト48、伝達機構49及び駆動モータ50から構成される。ここで、駆動プーリ45、従動プーリ46及び複数のローラ47は、各プーリやローラの頂点が同一の水平面上に位置するように各々配置される。本実施形態では、駆動プーリ45と従動プーリ46との間に無端ベルト48の上部(搬送物が載置される部分)を下方から支持する部材として複数のローラ47を設けた場合を説明するが、複数のローラ47を設ける代わりに、駆動プーリ45及び従動プーリ46の間に支持板を設けることも可能である。
【0040】
駆動プーリ45は、側部フレーム36及び中央フレーム37の間の空隙部分において、図3中y方向における右端部に配置される。駆動プーリ45の回転軸の一端部45aは、側部フレーム36から突出している。側部フレーム36から突出した回転軸の一端部45aに、伝達機構49を構成する歯付きプーリ(スプロケット)52が固定される。駆動プーリ45の歯付きプーリ52は、無端状の駆動タイミングベルト54が巻き掛けられている。駆動プーリ45には、搬送面をなす無端ベルト48の突条が係合するように両端部にV溝45b,45cを有する。
【0041】
従動プーリ46は、側部フレーム36及び中央フレーム37の間の空隙部分において、図3中y方向における左端部に配置される。従動プーリ46は、駆動プーリ45と同様に、無端ベルト48が巻き掛けられるローラ部分の長手方向における両端部に無端ベルト48の突条が係合するV溝46a,46bを有する。複数のローラ47は、駆動プーリ45及び従動プーリ46の間に配置される。また、複数のローラ47は、無端ベルト48の内側面が摺接されるローラ部分の長手方向における両端部に無端ベルト48の突条が係合するV溝47a,47bを有する。
【0042】
無端ベルト48は、ベルトの幅方向における両端部で、かつベルトの内側面の全周に亘って突条(図示省略)が設けられる。これら突条は、無端ベルト48を駆動プーリ45及び従動プーリ46に巻き掛けたときには、各プーリ及び各ローラに設けたV溝に入り込む。これにより、無端ベルト48が走行したときの無端ベルト48の蛇行が防止される。
【0043】
伝達機構49は、2つの歯付きプーリ52,53及び駆動タイミングベルト54から構成される。2つの歯付きプーリ52,53のうち、歯付きプーリ52は側部フレーム36から突出した駆動プーリ45の回転軸の一端部45aに固定され、歯付きプーリ53は、駆動モータ50の回転軸50aに固定される。駆動タイミングベルト54は、2つの歯付きプーリ52,53に巻き掛けられる。したがって、伝達機構49においては、駆動モータ50の回転軸50aに固定される歯付きプーリ53が主動プーリ、側部フレーム36から突出した駆動プーリ45の回転軸の一端部45aに固定される歯付きプーリ52が従動プーリとなる。
【0044】
駆動モータ50は、ブラケット55を介して側部フレーム36に固定される。駆動モータ50としては、例えばサーボモータが用いられる。駆動モータ50は、例えば中央フレーム37と側部フレーム38との間で、且つビーム状リンク31の上面に保持されたコントローラユニット56からの動力供給及び制御信号通信として電気的に接続される。
【0045】
上述した搬送台車15は、支持クロスメンバ34の搬送台車15の幅方向における両端部のうち、走行レール25側の一端部に設けた支持部34aにガイドユニット(請求項に記載のガイド機構に相当)61を、走行レール25’側の他端部に設けた支持部34bにガイドユニット(請求項に記載のガイド機構に相当)62を各々軸支する。なお、ガイドユニット61,62は、同一の構成である。したがって、以下では、ガイドユニット61についてのみ説明する。
【0046】
図5に示すように、ガイドユニット61は、磁気浮上ユニット65、ホルダ(請求項に記載の保持部材に相当)66、ガイドローラ67,68,69、Y軸センサ(請求項に記載の第1の距離センサに相当)70及びZ軸センサ(請求項に記載の第2の距離センサに相当)71を含む。ガイドユニット61は、走行する搬送台車15を、磁気浮上ユニット65により発生する磁束を用いて、走行レール25に沿って、且つ走行レール25に対して非接触でガイドするものである。
【0047】
磁気浮上ユニット65は、2つの電磁石ユニット73,74と永久磁石75とを含み、これらが搬送台車15の走行方向から電磁石ユニット73、永久磁石75、電磁石ユニット74の順で、永久磁石75を2つの電磁石ユニット73,74で挟持した状態で配置される。電磁石ユニット73は、略E字形状のコア76と、コア76が有する3つの鉄心部76a,76b,76cの各々に巻回されるコイル部77a,77b,77cとを有する。コア76の材質は、純鉄である。なお、コア76の材質を、純鉄としているが、コバルト、ニッケルなどの強磁性体であってもよい。
【0048】
電磁石ユニット73のコア76は、コア76の長手方向の中心から上方に突出する第1鉄心部76aと、コア76の長手方向の両端部から上方に突出して、相互の先端面が対面するように湾曲された第2鉄心部76b及び第3鉄心部76cと、を含む。
【0049】
第1鉄心部76aは、走行レール25の下方に配置され、永久磁石75による磁場により、走行レール25を吸引する。第2鉄心部76bは、走行レール25の外側に配置され、永久磁石75による磁場により、走行レール25を吸引する。第3鉄心部76cは、走行レール25の内側に配置され、永久磁石75による磁場により、走行レール25を吸引する。
【0050】
ここで、第1鉄心部76a、第2鉄心部76b及び第3鉄心部76cの先端面(図示省略)は、走行レール25の外周面に沿った円弧状の湾曲面である。上述した第2鉄心部76b及び第3鉄心部76cの間隔は、例えば走行レール25の外径よりも大きい間隔である。
【0051】
コイル部77a,77b,77cは、ポリウレタン銅線、ポリエステル銅線、ポリエステルイミド銅線などの電線を、所定回数巻回したものである。コイル部77aは、第1鉄心部76aに巻回され、電流を流すことで第1鉄心部76aと走行レール25との間の磁束密度を変化させる。コイル部77bは、第2鉄心部76bに巻回され、電流を流すことで第2鉄心部76bと走行レール25との間の磁束密度を変化させる。コイル部77cは、第3鉄心部76cに巻回され、電流を流すことで第3鉄心部76cと走行レール25との間の磁束密度を変化させる。ここで、各コイル部77a,77b,77cにおける電線の巻き数は、一例として100巻きである。なお、各鉄心部に巻回される巻き数は、搬送台車15の重量、搬送台車15に載置される搬送物の重量、永久磁石75の磁力の強さなどによって設定されるものである。
【0052】
また、電磁石ユニット74は、電磁石ユニット73と同様にして、略E字形状のコア80と、コア80が有する3つの鉄心部80a,80b,80cの各々に巻回されるコイル部81a,81b,81cとを有する。なお、電磁石ユニット74の構成は、電磁石ユニット73と同一であることから、ここでは、電磁石ユニット74の説明は省略する。
【0053】
永久磁石75は、電磁石ユニット73のコア76及び電磁石ユニット74のコア80との間で磁路を形成する。永久磁石75による磁場に基づいた磁路や、電磁石ユニット73,74による磁場に基づいた磁路についての説明は後述する。
【0054】
ホルダ66は、搬送台車15の前方、又は後方から視認したときの形状がコ字状の部材である。ホルダ66は、保持部85、軸支部86を有する。保持部85は、ホルダ66の下部に設けられ、上述した磁気浮上ユニット65を固定保持する。軸支部86は、保持部85の上方に設けられる。軸支部86は、先端側に支持クロスメンバ34の支持部34aを挿入する挿入空間86aを有し、挿入空間86aに支持クロスメンバ34の支持部34aを挿入した状態で、回転軸87(図3参照)などを用いて軸支される。ここで、ホルダ66を支持クロスメンバ34の支持部34aに軸支したとき、搬送台車15の走行方向における回転軸87の中心位置W1は、後段の搬送台車15と連結される連結機構100の回転中心の位置W2と同一位置である。なお、符号86b,86c,86d,86eは、回転軸87が挿通される挿通孔である。挿通孔86b及び挿通孔86cは図5中z軸方向において同軸となるように配置され、挿通孔86d及び挿通孔86eは図5中z軸方向において同軸となるように配置される。なお、回転軸87は、挿通孔86b,挿通孔86cに跨って、又は挿通孔86d,挿通孔86eに跨って挿通される。
【0055】
保持部85と軸支部86との間には、背面から前方に向けて突出する支柱88を有する。支柱88は、例えばベアリングなどを用いたガイドローラ67を軸支する。
【0056】
ホルダ66は、両側面に軸支部90,91を有する。軸支部90は、上下方向に所定の間隔を空けて配置された2つの舌片90a、90bを有する。軸支部90は、舌片90a,90bの間に例えばベアリングなどを用いたガイドローラ68を挿入した状態で軸支する。
【0057】
同様にして、軸支部91は、上下方向に所定の間隔を空けて配置された2つの舌片91a、91bを有する。軸支部91は、舌片91a,91bの間に例えばベアリングなどを用いたガイドローラ69を挿入した状態で軸支する。
【0058】
ガイドローラ67は、ホルダ66の支柱88に軸支される。ガイドローラ67は、搬送台車15の正常走行時において、走行レール25の頂点から離れた位置に配置される。ガイドローラ67は、搬送台車15が下方向に移動したときに、走行レールの頂点に摺接され、ガイドユニット61から走行レール25が逸脱することを防止する。
【0059】
ガイドローラ68は、ホルダ66の軸支部90に軸支される。ガイドローラ68は、搬送台車15の正常走行時においては、走行レール25の側方から離れた位置に配置される。ガイドローラ68は、搬送台車15の走行時に、搬送台車15が幅方向にずれたときに走行レール25の側方に摺接して、電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76b又は第3鉄心部76cや、電磁石ユニット74のコア80の第2鉄心部80b又は第3鉄心部80cが走行レール25に接触することを防止する。なお、ガイドローラ68と走行レール25との距離は、走行レールと後述する電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76b又は第3鉄心部76cとの距離、及び電磁石ユニット74のコア80の第2鉄心部80b又は第3鉄心部80cとの距離よりも短く設定される。
【0060】
ガイドローラ69は、ホルダ66の軸支部91に軸支される。ガイドローラ69は、ガイドローラ68と同様に、搬送台車15の正常走行時においては、走行レール25の側方から離れた位置に配置される。ガイドローラ69は、搬送台車15の走行時に、搬送台車15が幅方向にずれたときに走行レール25の側方に摺接して、電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76b又は第3鉄心部76cや、電磁石ユニット74のコア80の第2鉄心部80b又は第3鉄心部80cが走行レール25に接触することを防止する。なお、ガイドローラ69と走行レール25との距離は、走行レールと後述する電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76b又は第3鉄心部76cとの距離、及び電磁石ユニット74のコア80の第2鉄心部80b又は第3鉄心部80cとの距離よりも短く設定される。
【0061】
Y軸センサ70は、搬送台車15の幅方向(図5中y方向又は-y方向)における、走行レール25と磁気浮上ユニット65との相対位置の変化を検出する検出手段である。Z軸センサ71は、搬送台車15の上下方向(図5中z方向又は-z方向)における、走行レール25と磁気浮上ユニット65との相対位置の変化を検出する検出手段である。これらセンサは、略L字状のホルダ93に固定される。なお、ホルダ93は、永久磁石75の上面に位置するようにホルダ66に固定される。
【0062】
以下、磁気浮上ユニット65における作用について説明する。まず、永久磁石75により発生する磁束(バイアス磁束)の磁路について、図6を用いて説明する。以下、永久磁石75の磁束の向きが図6中-x方向となる場合を一例として説明する。なお、図6(a)は、xz平面におけるバイアス磁束の向きを示し、図6(b)は、xy平面におけるバイアス磁束の向きを示し、図6(c)は、yz平面におけるバイアス磁束の向きを示している。
【0063】
図6(a)から図6(c)に示すように、永久磁石75によるバイアス磁束は、永久磁石75から電磁石ユニット74のコア80に入る。例えば電磁石ユニット74のコア80の第1鉄心部80aに入るバイアス磁束は、第1鉄心部80aの先端面(磁気作用面)から磁気作用面と走行レール25の外周面との間のエアギャップを介して走行レール25に入り、走行レール25から走行レール25の外周面と電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aの先端面(磁気作用面)との間のエアギャップを介して、電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aに入った後、永久磁石75に戻る磁気ループ(請求項の第1の閉ループ)の磁路を形成する。
【0064】
同様にして、電磁石ユニット74のコア80の第2鉄心部80bに入るバイアス磁束は、第2鉄心部80bの先端面(磁気作用面)から磁気作用面と走行レール25の外周面との間のエアギャップを介して走行レール25に入り、走行レール25から走行レール25の外周面と電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76bの先端面(磁気作用面)との間のエアギャップを介して、電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76bに入った後、永久磁石75に戻る磁気ループ(請求項の第2の閉ループ)の磁路を形成する。
【0065】
また、電磁石ユニット74のコア80の第3鉄心部80cに入るバイアス磁束は、第3鉄心部80cの先端面(磁気作用面)から磁気作用面と走行レール25の外周面との間のエアギャップを介して走行レール25に入り、走行レール25から走行レール25の外周面と電磁石ユニット73のコア76の第3鉄心部76cの先端面(磁気作用面)との間のエアギャップを介して電磁石ユニット73のコア76の第3鉄心部76cに入った後、永久磁石75に戻る磁気ループ(請求項の第3の閉ループ)の磁路を形成する。
【0066】
つまり、磁気浮上ユニット65においては、永久磁石75により発生するバイアス磁束は、電磁石ユニット74のコア80の各鉄心部80a,80b,80cを経由して走行レール25に入った後、走行レール25から電磁石ユニット73のコア76の各鉄心部76a,76b,76cを経由して永久磁石75に戻る磁路を形成する。
【0067】
なお、永久磁石75の磁束の向きが図6中x方向となる場合には、永久磁石75により発生するバイアス磁束は、電磁石ユニット73のコア76の各鉄心部76a,76b,76cを経由して走行レール25に入った後、走行レール25から電磁石ユニット74のコア80の各鉄心部80a,80b,80cを経由して永久磁石75に戻る磁路を形成する。
【0068】
次に、電磁石ユニット73,74が有するコイル部へ電流を供給したときに作用する磁束について説明する。以下、電磁石ユニット73に電流を供給する場合を説明する。また、電磁石ユニット73に供給する電流を制御電流、制御電流を供給したときに発生する磁束を制御磁束と称する。また、永久磁石75により発生する磁束と同一方向に作用する制御磁束を発生させるときの制御電流を正の制御電流、永久磁石75により発生する磁束とは反対方向に作用する制御磁束を発生させるときの制御電流を負の制御電流と称する。
【0069】
まず、上下方向に作用する制御磁束を発生させる場合について、図7(a)を用いて説明する。図7(a)において、バイアス磁束の向きを実線、制御磁束の向きを点線で示す。
【0070】
上述したように、第1鉄心部76aにおける磁束の向きは、永久磁石75により発生するバイアス磁束の向き、つまり、上方向(図7(a)中z方向)である。
【0071】
例えば電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aに巻回されたコイル部77aに正の制御電流を供給すると、第1鉄心部76aに発生する制御磁束は、第1鉄心部76aから走行レール25に入り、第2鉄心部76b及び第3鉄心部76cに入る磁路を形成する。つまり、正の制御電流を供給すると、第1鉄心部76aでは、永久磁石75によるバイアス磁束の他に、コイル部77aへの給電により発生するバイアス磁束と同方向の制御磁束が作用する。したがって、第1鉄心部76aと走行レール25との間の磁束密度が増加し、第1鉄心部76aにおける走行レール25の吸引力、つまり走行レールは動かずに固定されているので搬送台車側を無接触で持ち上げ支持する力(以下、支持力)が増加する。
【0072】
図示は省略するが、電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aに巻回されたコイル部77aに負の制御電流を供給すると、第1鉄心部76aには、下向き(図7(a)中-z方向)の制御磁束が発生する。この制御磁束は、第1鉄心部76aから、第2鉄心部76b及び第3鉄心部76cに入った後、第2鉄心部76bと走行レール25との間のエアギャップ及び第3鉄心部76cと走行レール25との間のエアギャップを介して、第1鉄心部76aに移動する。つまり、負の制御電流を供給すると、第1鉄心部76aでは、永久磁石75によるバイアス磁束の他に、コイル部77aへの給電により発生するバイアス磁束とは反対方向の制御磁束が作用する。したがって、第1鉄心部76aと走行レール25との間の磁束密度が減少し、第1鉄心部76aによる走行レール25からの支持力が減少する。
【0073】
上述したように、第1鉄心部76aに巻回されたコイル部77aに正の制御電流又は負の制御電流を供給したときには、第2鉄心部76bと走行レール25と間の磁束と、第3鉄心部76cと走行レール25と間の磁束とが作用しているが、これら磁束は、互いに打ち消し合うように作用する。したがって、第1鉄心部76aに巻回されたコイル部77aに制御電流を供給したときには、第2鉄心部76bと走行レール25と間の磁束と、第3鉄心部76cと走行レール25と間の磁束とが、上下方向(図7(a)中z方向又は-z方向)に影響を及ぼすことはない。
【0074】
次に、左右方向に作用する制御磁束を発生させる場合について説明する。図7(b)に示すように、永久磁石75によるバイアス磁束は、電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76bから、エアギャップを介して走行レール25に入る磁路を形成する。また、永久磁石75によるバイアス磁束は、電磁石ユニット73のコア76の第3鉄心部76cから、エアギャップを介して走行レール25に入る磁路を形成する。
【0075】
このとき、第1鉄心部76aから走行レール25に流れるバイアス磁束と、第2鉄心部76bから走行レール25に流れるバイアス磁束とは、相反する方向に流れる磁束である。一方、第1鉄心部76aから走行レール25に流れるバイアス磁束と、第3鉄心部76cから走行レール25に流れるバイアス磁束とは、同一方向に流れる磁束である。したがって、第2鉄心部76bから走行レール25に流れるバイアス磁束と、第3鉄心部76cから走行レール25に流れるバイアス磁束とは打ち消し合うように作用する。
【0076】
例えば、第2鉄心部76bに巻回されたコイル部77bに負の制御電流を流し、バイアス磁束とは逆方向に作用する制御磁束を発生させる。同時に、第3鉄心部76cに巻回されたコイル部77cに正の制御電流を流し、バイアス磁束と同一方向に作用する制御磁束を発生させる。
【0077】
このとき、第2鉄心部76bに巻回されたコイル部77bに負の制御電流を流すことで発生する制御磁束は、第2鉄心部76b、第1鉄心部76a、第1鉄心部76aと走行レール25との間のエアギャップを介して走行レール25に入り、走行レール25と第2鉄心部76bとの間のエアギャップを介して第2鉄心部76bに入る磁路を形成する。つまり、第2鉄心部76bと走行レール25との間の磁束は、永久磁石75によるバイアス磁束の他に、該バイアス磁束と逆方向(図7(b)中y方向)への制御磁束が作用する。その結果、第2鉄心部76bと走行レール25との間の磁束密度が減少し、第2鉄心部76bにおける走行レール25からの支持力が減少する。
【0078】
一方、第3鉄心部76cに巻回されたコイル部77cに正の制御電流を流すことで発生する制御磁束は、第3鉄心部76c、第3鉄心部76cと走行レール25との間のエアギャップを介して走行レール25に入り、走行レール25と第1鉄心部76aとの間のエアギャップを介して第1鉄心部76aに入る磁路を形成する。つまり、第3鉄心部76cと走行レール25との間の磁束は、永久磁石75によるバイアス磁束の他に、該バイアス磁束と同一方向(図7(b)中y方向)への制御磁束が作用する。その結果、第3鉄心部76cと走行レール25との間の磁束密度が増加し、第3鉄心部76cにおける走行レール25からの支持力が増加する。
【0079】
その結果、第3鉄心部76cにおける支持力が第2鉄心部76bにおける支持力よりも強くなり、電磁石ユニット73は、第3鉄心部76cが走行レール25に吸着される方向に移動する。
【0080】
なお、第2鉄心部76bに巻回されたコイル部77b及び第3鉄心部76cに巻回されたコイル部77cへの給電を行うことで発生する制御磁束は、第1鉄心部76aと走行レール25と間においては相反する方向に作用して打ち消し合う。したがって、上下方向には影響を及ぼすことはない。
【0081】
一方、第2鉄心部76bに巻回されたコイル部77bに正の制御電流を供給し、第3鉄心部76cに巻回されたコイル部77cに負の制御電流を供給した場合には、第2鉄心部76bと走行レール25との間の磁束密度が増加し、第3鉄心部76cと走行レール25との間の磁束密度が減少する。したがって、第2鉄心部76bにおける支持力が第3鉄心部76cにおける支持力よりも強くなり、電磁石ユニット73は、第2鉄心部76bが走行レール25に吸着される方向に移動する。
【0082】
この場合も、第2鉄心部76bに巻回されたコイル部77b及び第3鉄心部76cに巻回されたコイル部77cへの給電を行うことで発生する制御磁束は、第1鉄心部76aと走行レール25と間においては相反する方向に作用して打ち消し合う。したがって、上下方向には影響を及ぼすことはない。
【0083】
次に、ガイドユニット61,62に対して制御電流を供給するシステムに関する電気的構成について、図8を用いて説明する。なお、上述したようにガイドユニット61,62は、同一の構成であることから、図8においても、ガイドユニット61の構成についてのみ詳細を記載している。また、図8においては、搬送台車の走行を制御する構成、搬送台車のベルトコンベヤユニット41,42を駆動する構成については省略している。
【0084】
ガイドユニット61,62に対して制御電流を供給するシステム100は、上述したガイドユニット61の他、ガイドユニット62、制御装置101、電源装置102を有する。
【0085】
制御装置101は、電源装置102によるガイドユニット61,62への電流の調整により電力の供給を制御する。制御装置101は、ずれ算出部105、電流値算出部106の機能を有する。
【0086】
ずれ算出部105は、Y軸センサ70からの検出信号を受けて、y軸方向(水平方向)のずれ量H1を求める。なお、ずれ量H1は、基準値H0からの変動量である。基準値H0とは、例えば、搬送台車15を搬送ルートに設置したときのY軸センサ70から走行レール25の外周面までの距離である。
【0087】
また、ずれ算出部105は、Z軸センサ71からの検出信号を受けて、Z軸方向(上下方向)のずれ量V1を求める。なお、ずれ量V1は、基準値V0からの変動量である。基準値V0とは、例えば、搬送台車15を搬送ルートに設置したときのZ軸センサ71から走行レール25の外周面までの距離である。
【0088】
電流値算出部106は、ずれ算出部105から得られる、y軸方向のずれ量H1、z軸方向のずれ量V1から、電磁石ユニット73,74に流す電流値を演算により算出する。算出した電流値の情報は、電流を流すコイル部の情報とともに、電源装置102に向けて出力される。
【0089】
電源装置102は、制御装置101から出力された電流値の情報と電流を流すコイル部の情報とを受けて、対応するコイル部に向けて電流を流す。
【0090】
次に、ガイドユニット61に設けられる磁気浮上ユニット65における制御の流れについて、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、図9のフローチャートの処理は、搬送台車15が搬送ルートを走行している間実施される。また、図9のフローチャートの処理は、ガイドユニット61が有する磁気浮上ユニット65に対する制御の流れを示すが、ガイドユニット62が有する磁気浮上ユニットに対する制御の流れも同一の流れである。
【0091】
ステップS101は、Y軸センサ、Z軸センサによる検出を行う処理である。Y軸センサ70及びZ軸センサ71により、搬送台車15の左右方向及び上下方向における走行レール25までの距離が検出される。なお、Y軸センサ70及びZ軸センサ71は、検出信号を制御装置101に出力する。
【0092】
ステップS102は、Y軸センサからの検出信号を用いて水平方向のずれ量H1を算出する処理である。制御装置101は、Y軸センサ70からの検出信号から、Y軸センサ70から走行レール25までの距離を求める。制御装置101は、Y軸センサ70から走行レール25までの距離の演算値と基準値H0との差分を水平方向のずれ量H1として求める。
【0093】
ステップS103は、水平方向のずれ量H1が0であるか否かを判定する処理である。ステップS102にて求めた水平方向のずれ量H1が0となる場合には、制御装置101は、ステップS103の判定結果をYesとする。この場合、ステップS106に進む。一方、ステップS102にて求めた水平方向のずれ量H1が0とならない場合には、制御装置101は、ステップS103の判定結果をNoとする。この場合、ステップS104に進む。
【0094】
ステップS104は、算出された水平方向のずれ量H1に基づいた電流値を算出する処理である。制御装置101は、ステップS102で求めた水平方向のずれ量に基づいて、磁気浮上ユニット65に供給する電流値を算出する。
【0095】
ステップS105は、算出された電流値に基づいて、磁気浮上ユニット65に電流値を供給する処理である。制御装置101は、ステップS104にて求めた電流値の情報と、対象となるコイル部の情報とを電源装置102に出力する。これを受けて、電源装置102は、対象となるコイル部(この場合、電磁石ユニット73のコイル部77b,77c、及び電磁石ユニット74のコイル部81b,81c)に向けて電流を流す。このステップS105の処理が終了すると、ステップS106に進む。
【0096】
ステップS106は、Z軸センサからの検出信号を用いて上下方向のずれ量V1を算出する処理である。制御装置101は、Z軸センサ71からの検出信号を受けて、Z軸センサ71から走行レール25までの距離を求める。制御装置101は、Z軸センサ71から走行レール25までの距離の演算値と基準値V0との差分を上下方向のずれ量V1として求める。
【0097】
ステップS107は、上下方向のずれ量V1が0であるか否かを判定する処理である。ステップS106にて求めた上下方向のずれ量が0となる場合には、制御装置101は、ステップS107の判定結果をYesとする。この場合、ステップS101に戻る。一方、ステップS10にて求めた水平方向のずれ量V1が0とならない場合には、制御装置101は、ステップS107の判定結果をNoとする。この場合、ステップS108に進む。
【0098】
ステップS108は、算出された上下方向のずれ量V1に基づいた電流値を算出する処理である。制御装置101は、ステップS106で求めた上下方向のずれ量V1に基づいて、磁気浮上ユニット65に供給する電流値を算出する。
【0099】
ステップS109は、算出された電流値に基づいて、磁気浮上ユニット65に電流値を供給する処理である。制御装置101は、ステップS108にて求めた電流値の情報と、対象となるコイル部の情報とを電源装置102に出力する。これを受けて、電源装置102は、対象となるコイル部(この場合、電磁石ユニット73のコイル部77a及び電磁石ユニット74のコイル部81a)に向けて、電流を流す。このステップS109の処理が終了すると、ステップS101に戻る。
【0100】
例えば、走行する搬送台車15がカーブを通過するとき、搬送台車15は、遠心力により、カーブの中心から離れた方向に移動する。
【0101】
図10(a)に示すように、例えば右側に湾曲するカーブを通過するときには、電磁石ユニット73は、遠心力が働く方向(図10(a)中B方向)に移動するので、Y軸センサ70から走行レール25の外周面までの距離は基準値H0よりも広くなる。したがって、Y軸センサ70の検出信号に基づいた水平方向のずれ量H1は0以上となる。
【0102】
この場合、電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76bに巻回されるコイル部77bに正の制御電流を、コイル部77cに負の制御電流を供給する。コイル部77bに正の制御電流を供給することで、コイル部77bを巻回する第2鉄心部76bには、バイアス磁束と同一の方向の制御磁束が発生する。その結果、第2鉄心部76bと走行レール25との間の磁束密度が増加し、第2鉄心部76bにおける走行レール25の支持力が増加する。一方、コイル部77cに負の制御電流を供給することで、コイル部77cを巻回する第3鉄心部76cには、バイアス磁束と反対方向の制御磁束が発生する。その結果、第3鉄心部76cと走行レール25との間の磁束密度が減少し、第3鉄心部76cにおける走行レール25の支持力が減少する。したがって、走行レール25に対して、電磁石ユニット73が図10(a)中C方向に移動する。電磁石ユニット73が図10(a)中B方向に移動することで、Y軸センサ70から走行レール25の外周面までの距離が基準値H0に保持される。
【0103】
また、走行する搬送台車が左側に湾曲するカーブを通過するときには、電磁石ユニット73は、図10(b)中D方向に移動するので、Y軸センサ70から走行レール25の外周面までの距離は基準値H0よりも狭くなる。この場合、電磁石ユニット73のコア76の第2鉄心部76bに巻回されるコイル部77bに負の制御電流を、コイル部77cに正の制御電流を供給する。コイル部77bに負の制御電流を供給することで、コイル部77bを巻回する第2鉄心部76bには、バイアス磁束と反対方向の制御磁束が発生する。その結果、第2鉄心部76bと走行レール25との間の磁束密度が減少し、第2鉄心部76bにおける走行レール25の支持力が減少する。一方、コイル部77cに正の制御電流を供給することで、コイル部77cを巻回する第3鉄心部76cには、バイアス磁束と同一方向の制御磁束が発生する。その結果、第3鉄心部76cと走行レール25との間の磁束密度が増加し、第3鉄心部76cにおける走行レール25の支持力が増加する。したがって、走行レール25に対して、電磁石ユニット73が図10(b)中E方向に移動する。電磁石ユニット73が図10(b)中E方向に移動することで、Y軸センサ70から走行レール25の外周面までの距離が基準値H0に保持される。
【0104】
また、搬送台車15に搬送物が載置される場合には、搬送台車15が下方(図10(c)中F方向)に移動する。つまり、Z軸センサ71から走行レール25の外周面までの距離は基準値V0よりも広くなる。この場合には、電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aに巻回されたコイル部77aに正の制御電流を供給する。電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aに巻回されたコイル部77aに正の制御電流を供給すると、第1鉄心部76aには、バイアス磁束と、該バイアス磁束と同一方向の制御磁束とが作用する。その結果、第1鉄心部76aと走行レール25との間の磁束密度が増加し、第1鉄心部76aにおける支持力が増加する。その結果、電磁石ユニット73が図10(c)中G方向に移動することで、Z軸センサ71から走行レール25の外周面までの距離が基準値V0に保持される。
【0105】
本実施形態では、搬送台車15を搬送ルートに沿って走行させるときには、永久磁石75により発生する磁束により、搬送台車15を走行レールに対して非接触で走行させている。例えば搬送台車15のベルトコンベヤユニット41又はベルトコンベヤユニット42に搬送物を送り込み、送り込まれた搬送物を載置したときには、載置される搬送物の重量変化に伴って搬送台車15が沈み込む。これにあわせて、搬送台車15の沈み込み量に応じた電流値をガイドユニット61に供給することで、ガイドユニット61が有する電磁石ユニット73が有する第1コイル部77a及び電磁石ユニット74が有する第1コイル部81aに電流が供給される。したがって、第1コイル部77aが巻回されたコア76の第1鉄心部76a、及び第1コイル部81aが巻回されたコア80の第1鉄心部80aによる走行レール25の吸着が行われ、載置される搬送物の重量変化に伴う搬送台車15の沈み込みに起因した走行レール25に対する位置調整が行われる。同時に、ガイドユニット62においても同様の動作が行われることで、載置される搬送物の重量変化に伴う搬送台車15の沈み込みに起因した走行レール25’に対する位置調整が行われる。
【0106】
また、搬送台車15が高低差のある搬送ルートに沿って走行したときに、搬送台車15が搬送ルートの走行レール25,25’に対する上下方向の相対位置がずれている場合も同様にして、走行レール25,25’に対する位置調整が行われる。
【0107】
また、搬送台車15が走行しているときに、搬送ルートに設けられたカーブを通過する過程においても、カーブを通過する際に発生する遠心力に応じた位置変化に伴う走行レール25,25’に対する位置調整を行うことができる。
【0108】
したがって、搬送台車15が搬送ルートを走行している過程では、搬送台車15は、走行レール25,25’に対して非接触であることから、搬送台車15を高速で走行させた場合でも、振動や、振動に伴う騒音の発生を抑止することが可能となる。また、搬送台車15を非接触で走行させることが可能となるので、搬送台車を走行させる動力源として、高出力の動力源を用いる必要や、搬送ルートに数多くの駆動源を配置する必要がなくなる。
【0109】
また、搬送台車15においては、永久磁石75により発生する磁場のみを利用する場面があり、荷重量や変位量などの必要に応じて電磁石ユニット73,74へと電流を供給している。したがって、仕分けコンベヤを駆動する際の電力消費を抑制することが可能である。
【0110】
本実施形態では、搬送物がベルトコンベヤユニット41、又はベルトコンベヤユニット42のいずれか一方に載置されたときの搬送台車15の沈み込みにあわせて、電磁石ユニット73のコア76の第1鉄心部76aに巻回した第1コイル部77aへの給電、及び電磁石ユニット74のコア80の第1鉄心部80aに巻回した第1コイル部81aへの給電を行っているが、送り込まれた搬送物をベルトコンベヤユニットに載置したときの沈み込み量が小さいのであれば、電磁石ユニット73,74への給電は、搬送物が載置される(送り込まれる)ベルトコンベヤユニットが駆動を開始して、搬送物をベルトコンベヤユニットの搬送面に載置するまでの期間のみ行うようにしてもよい。
【0111】
本実施形態では、環状に連結した複数の搬送台車を搬送ルートに沿って走行させる場合を説明しているが、直列に連結した複数の環状に連結した複数の搬送台車を搬送ルートに沿って走行させる場合であっても、本発明を適用することが可能である。
【0112】
本実施形態では、水平方向のずれ量H1又は上下方向のずれ量V1の値が0でないときに、対象となるコイル部に電流を供給しているが、水平方向のずれ量H1又は上下方向のずれ量V1の値が所定の範囲から外れたときに対象となるコイル部に電流を供給することも可能である。
【符号の説明】
【0113】
10…仕分けコンベヤ、15…搬送台車、61,62…ガイドユニット、65…磁気浮上ユニット、66…ホルダ、67,68,69…ガイドローラ、70…Y軸センサ、71…Z軸センサ、73,74…電磁石ユニット、75…永久磁石、76,80…コア、76a,80a…第1鉄心部、76b,80b…第2鉄心部、76c,80c…第3鉄心部、77a,81a…第1コイル部、77b,81b…第2コイル部、77c,81c…第3コイル部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10