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特許7299127端子、並びにこれを用いた端子付き電線、及び電気接続部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】端子、並びにこれを用いた端子付き電線、及び電気接続部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/03 20060101AFI20230620BHJP
   H01R 4/62 20060101ALI20230620BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20230620BHJP
   C01B 32/186 20170101ALI20230620BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01R13/03 A
H01R4/62 A
C01B32/194
C01B32/186
H01B7/00 306
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019182024
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2021057313
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】川合 裕輝
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098072(JP,A)
【文献】国際公開第2018/223954(WO,A1)
【文献】特表2015-518235(JP,A)
【文献】特開2015-079647(JP,A)
【文献】特開平02-185957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/03
H01R 4/62
C01B 32/00-32/991
H01B 7/00-7/02
H01B 7/38-7/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の導体と電気的に接続されるように設けられた導体接続部と、
相手方端子と電気的に接続されるように設けられた端子接続部と、
グラフェン膜と、
を備え、
前記導体接続部の少なくとも一部の第1表面は第1金属材料により形成され、
前記端子接続部の少なくとも一部の第2表面は第2金属材料により形成され、
前記グラフェン膜は、前記第2表面のさらに外表面のみに設けられ、
前記第2金属材料と前記相手方端子の表面を形成する第4金属材料とのイオン化傾向が異なり、前記端子接続部に対して前記相手方端子が電気的に接続されたときに、前記第2表面と前記相手方端子の表面との間に配置されるように前記グラフェン膜が設けられる、端子。
【請求項2】
前記第1金属材料は銅である、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端子と、
前記端子に接続された前記電線と、
を備え、
前記導体接続部に対して前記電線の導体が電気的に接続された、端子付き電線。
【請求項4】
前記端子と前記電線の導体とを跨って被覆する樹脂を有しない、請求項3に記載の端子付き電線。
【請求項5】
請求項1に記載の端子と、
前記相手方端子と、
を備え、
前記端子と前記相手方端子とが接続された電気接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子、並びにこれを用いた端子付き電線、及び電気接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の軽量化を目的として、従来の銅製の電線に代えてアルミニウム製の電線を自動車内の配線として用いることが検討されている。しかしながら、アルミニウム製の電線と銅製のコネクタ端子とをかしめ接続した端子付き電線では、異種金属部材の接触部が存在する。このようなイオン化傾向の異なる異種金属部材の接触部に水分が付着すると、イオン化傾向の高い金属部材が酸化され、ガルバニック腐食が発生するおそれがある。そこで、特許文献1では、異種金属部材の接触部に水分が付着しないように、露出する電線の導体を樹脂で覆った端子付き電線が開示されている。
【0003】
特許文献1の端子付電線は、電線の導体露出部を圧着する1対の圧着片と、電線の被覆を加締める1対の加締め片とを備える。端子付電線には、樹脂注入口が形成され、この樹脂注入口から注入された樹脂は、樹脂充填空間の一方側のみから樹脂充填空間に浸透していくため、樹脂充填空間の底部に空気が滞留してしまうことが抑制される。樹脂充填空間に樹脂を注入した際に空気が樹脂充填空間に滞留してしまうことが抑制されるため、樹脂が樹脂充填空間に効果的に浸透し、その結果、ガルバニック腐食の発生が効果的に抑制される端子付電線が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-36499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の端子付き電線では、ガルバニック腐食の原因となる水分が供給されないようにするため、異種金属間の接触部を樹脂などで覆う必要がある。このため、端子付き電線の作製工程が複雑になり、作製コストが高くなる傾向にある。また、異種金属部材の接触部に水分が付着しないように、端子を特殊な形状にし、金属部材に対して樹脂部材を隙間なく密着させる必要がある。このような端子形状の制約のため、設計の自由度が低下し、端子の小型化が困難になる傾向にある。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、異種金属間の接触部におけるガルバニック腐食を抑制可能な端子、並びにこれを用いた端子付き電線、及び電気接続部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る端子は、電線の導体と電気的に接続されるように設けられた導体接続部と、相手方端子と電気的に接続されるように設けられた端子接続部と、グラフェン膜と、を備える。導体接続部の少なくとも一部の第1表面は第1金属材料により形成され、端子接続部の少なくとも一部の第2表面は第2金属材料により形成される。グラフェン膜は、第1表面のさらに外表面、及び、第2表面のさらに外表面の少なくともいずれか一方に設けられる。第1金属材料と電線の導体を形成する第3金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、導体接続部に対して電線の導体が電気的に接続されたときに、第1表面と電線の導体との間に配置されるようにグラフェン膜が設けられる。第2金属材料と相手方端子の表面を形成する第4金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、端子接続部に対して相手方端子が電気的に接続されたときに、第2表面と相手方端子の表面との間に配置されるようにグラフェン膜が設けられる。
【0008】
第1金属材料は銅であり、3金属材料はアルミニウムであってもよい。
【0009】
本発明の他の態様に係る端子付き電線は、端子と、端子に接続された電線と、を備え、導体接続部に対して電線の導体が電気的に接続される。
【0010】
端子付き電線は、端子と電線の導体とを跨って被覆する樹脂を有しなくてもよい。
【0011】
本発明の他の態様に係る電気接続部材は、端子と、相手方端子と、を備え、端子と相手方端子とが接続される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、異種金属間の接触部におけるガルバニック腐食を抑制可能な端子、並びにこれを用いた端子付き電線、及び電気接続部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】雌型端子と雄型端子とが接続された電気接続部材の一例を示す断面図である。
図2図1に示す雌型端子に電線を圧着した端子付き電線の一例を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線における断面図である。
図4図2のIV-IV線における断面図である。
図5図4のV-V線における断面図である。
図6】雄型端子に電線を圧着した端子付き電線の一例を示す正面図である。
図7図6に示す端子付き電線の平面図である。
図8図7のVIII-VIII線における断面図である。
図9】雌型端子を形成する板状部材を示す斜視図である。
図10】雌型端子に電線を圧着する前の状態を示す斜視図である。
図11】板状部材にスタンプ部材による転写でグラフェン膜を形成する例を示す図である。
図12】板状部材にレーザ光による加熱でグラフェン膜を形成する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本実施形態に係る端子、並びにこれを用いた端子付き電線、及び電気接続部材について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0015】
[端子]
図1図8を用いて、本実施形態の端子の一例として、雌型端子100及び雄型端子200を説明する。図1は、雌型端子100と雄型端子200とが接続された電気接続部材1の一例を示す断面図である。図1に示すように、雄型端子200の端子接続部220が雌型端子100の端子接続部120の内部に挿入されると、雌型端子100及び雄型端子200は互いに係合する。そして、雌型端子100と雄型端子200とが係合すると、雌型端子100の端子接続部120及び雄型端子200の端子接続部220は物理的かつ電気的に接続される。後述するように、端子接続部120の表面の少なくとも一部と、端子接続部220の表面の少なくとも一部は導電性を有しているため、グラフェン膜130を介して雌型端子100に接続された電線150と雄型端子200に接続された電線250とが導通する。
【0016】
図2は、図1に示す雌型端子100に電線150を圧着した雌型端子付き電線10の一例を示す斜視図である。図3は、図2のIII-III線における断面図である。図4は、図2のIV-IV線における断面図である。図5は、図4のV-V線における断面図である。図2図5に示されるように、雌型端子付き電線10は雌型端子100と電線150とを備えている。雌型端子100は、導体接続部110と、端子接続部120と、グラフェン膜130とを備えている。導体接続部110は、端子接続部120に接続されている。導体接続部110は雌型端子100の一方の端部に設けられており、端子接続部120は雌型端子100のもう一方の端部に設けられている。
【0017】
導体接続部110は、電線150の導体151と電気的に接続されるように設けられている。導体接続部110は、電線150を圧着可能なように設けられている。導体接続部110は、電線150の導体151を圧着する導体圧着部111と、電線150の被覆材152を圧着する被覆材圧着部112とを備えている。導体接続部110は、雌型端子付き電線10において、雌型端子100に接続される電線150を圧着して固定している。
【0018】
端子接続部120は、雄型端子200(相手方端子)と電気的に接続されるように設けられている。具体的には、端子接続部120は、雄型端子200の端子接続部220と電気的に接続されるように設けられている。
【0019】
端子接続部120は、図2図5に示すように、雄型端子200の端子接続部220が挿入される箱体と、この箱体の一部から箱体中に延び、箱体中に挿入された雄型端子200の端子接続部220を弾性力で押圧する板状体とを有する。
【0020】
雌型端子100の端子接続部120の箱体は、第1壁部121、第2壁部122、第3壁部123、第4壁部124及び第5壁部125を含んでおり、かつ第5壁部125が第1壁部121の外側に重なる箱状体である。これらの壁部は、雌型端子100と雄型端子200の接続方向に対して垂直方向において略正方形状となるように折り曲げ加工されている。第1壁部121及び第3壁部123、並びに第2壁部122及び第4壁部124は、空間を有して略平行に対向して配置されている。
【0021】
雌型端子100の端子接続部120の板状体は、第3壁部123の長手方向の端部に連続しかつ強く屈曲して設けられた弾性部126と、この弾性部126の端部に連続しかつ弱く屈曲して設けられた摺動部127とを有する。すなわち、弾性部126は、摺動部127よりも内角の角度が小さくなるように設けられている。
【0022】
弾性部126は、第3壁部123等の端子接続部120を構成する他の部分と同じ材料により形成されているが、その屈曲形状により強い弾性力が付与されている。摺動部127は、第3壁部123等の端子接続部120を構成する他の部分と同じ材料により形成されているが、その屈曲形状により弱い弾性力が付与されている。雌型端子100の摺動部127は、雌型端子100と雄型端子200との係合時に、弾性部126の強い弾性力及び摺動部127の弱い弾性力により、雄型端子200の端子接続部220を雌型端子100の端子接続部120内で挟持する。
【0023】
導体接続部110の少なくとも一部の第1表面は第1金属材料により形成されている。第1金属材料は導電性を有しているため、導体接続部110が電線150の導体151に機械的に接続されると、導体接続部110が電線150の導体151と第1金属材料を介して電気的に接続される。また、端子接続部120の少なくとも一部の第2表面は第2金属材料により形成されている。第2金属材料は導電性を有しているため、端子接続部120が雄型端子200に機械的に接続されると、端子接続部120と雄型端子200とが第2金属材料を介して電気的に接続される。第1表面は第2表面と同一の材料によって連続して一体的に形成されていてもよい。
【0024】
雌型端子100は基材を備えていてもよい。基材は、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム又はこれらの金属を含む合金等の導電性を有する金属により形成されていることが好ましい。基材の表面には被覆層が設けられていてもよく、被覆層が設けられていなくてもよい。被覆層は、例えばめっき層である。被覆層を形成する材料は特に限定されないが、金、銀、銅、錫、ニッケル、コバルト又はこれらの金属を含む合金が好ましい。被覆層は、単層であってもよく、複数層であってもよい。被覆層の厚さは特に限定されないが、例えば、0.01μm~10μmである。
【0025】
第1表面及び第2表面の少なくともいずれか一方は、基材に含まれていてもよく、被覆層に含まれていてもよい。すなわち、第1金属材料は、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム若しくはこれらの金属を含む合金、又は、金、銀、銅、錫、ニッケル、コバルト又はこれらの金属を含む合金であってもよい。第2金属材料は、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム若しくはこれらの金属を含む合金、又は、金、銀、銅、錫、ニッケル、コバルト又はこれらの金属を含む合金であってもよい。第1金属材料と、第2金属材料とは、同一の金属材料であってもよく、異なる金属材料であってもよい。
【0026】
ここで、第1金属材料と電線150の導体151を形成する第3金属材料とが異なる材料である場合には、導体接続部110に対して電線150の導体151が電気的に接続されたときに、異種金属部材が接触することとなる。同様に、第2金属材料と雄型端子200の表面を形成する第4金属材料とが異なる材料である場合には、端子接続部120に対して雄型端子200が電気的に接続されたときに、異種金属部材が接触することとなる。各金属材料のイオン化傾向が異なる場合には、異種金属部材の接触部に水分が付着すると、イオン化傾向の高い金属部材が酸化され、ガルバニック腐食が発生するおそれがある。すなわち、第1金属材料と第3金属材料とのイオン化傾向、及び、第2金属材料と第4金属材料とのイオン化傾向の少なくともいずれか一方が異なる場合には、ガルバニック腐食が発生するおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係る雌型端子100はグラフェン膜130を備えている。グラフェン膜130は、第1表面のさらに外表面、及び、第2表面のさらに外表面の少なくともいずれか一方に設けられている。グラフェン膜130は、第1表面のさらに外表面、又は、第2表面のさらに外表面のいずれか一方のみに設けられていてもよい。また、グラフェン膜130は、第1表面のさらに外表面、及び、第2表面のさらに外表面の両方に設けられていてもよい。グラフェン膜130は、雌型端子100の表面全体に設けられていてもよい。
【0028】
グラフェンは、炭素原子同士がsp結合して構成された平面状の六角形格子構造を有する。そのため、グラフェン膜130は、腐食の原因となる酸素及び水の透過を抑制することができる。
【0029】
第1金属材料と電線150の導体151を形成する第3金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、以下のようにグラフェン膜130が設けられている。すなわち、導体接続部110に対して電線150の導体151が電気的に接続されたときに、第1表面と電線150の導体151との間に配置されるようにグラフェン膜130が設けられている。グラフェン膜130は、導体接続部110に対して電線150の導体151が電気的に接続されたときに、第1表面と電線150の導体151との間のみに配置されるように設けられていてもよい。
【0030】
雌型端子100がこのようなグラフェン膜130を備えることによって、グラフェン膜130を介して導体接続部110と電線150の導体151とが電気的に接続される。したがって、第1表面と電線150の導体151とが直接物理的に接触せず、異種金属部材が直接物理的に接触しない。したがって、導体接続部110と電線150の導体151との接続部に水分が付着した場合であっても、これらの金属間のガルバニック腐食を抑制することができる。
【0031】
上記のように、本実施形態では、雌型端子100が上記のようなグラフェン膜130を備えることによってガルバニック腐食を抑制している。したがって、ガルバニック腐食の原因となる水分が供給されないようにするため、雌型端子100と電線150の導体151とを跨って被覆する樹脂を雌型端子100に設けなくてもよい。そのため、結露などによって水分が付着するのを防止できるように、導体接続部110を特殊な形状にする必要性も低くなる。したがって、雌型端子100の作製コストが増加するのを抑制することができ、雌型端子100の設計の自由度も向上し、雌型端子100の小型化も容易になる。
【0032】
第3金属は、銅、アルミニウム、又はこれらの合金であってもよい。第1金属材料は銅であり、第3金属材料はアルミニウムであってもよい。また、第1金属材料がステンレスであり、第3金属材料が銅であってもよい。また、第1金属材料がアルミニウムであり、第3金属材料が銅であってもよい。ただし、第1金属材料と第3金属材料のイオン化傾向が異なるのであれば、上記金属材料の組み合わせに限定されない。
【0033】
一方、第2金属材料と雄型端子200の表面を形成する第4金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、以下のようにグラフェン膜130が設けられている。すなわち、端子接続部120に対して雄型端子200が電気的に接続されたときに、第2表面と雄型端子200の表面との間に配置されるようにグラフェン膜130が設けられている。グラフェン膜130は、端子接続部120に対して雄型端子200が電気的に接続されたときに、第2表面と雄型端子200の表面との間のみに配置されるように設けられていてもよい。
【0034】
雌型端子100がこのようなグラフェン膜130を備えることによって、グラフェン膜130を介して端子接続部120と雄型端子200とが電気的に接続される。したがって、第2表面と雄型端子200の表面とが物理的に直接接触せず、異種金属部材が物理的に直接接触しない。したがって、端子接続部120と雄型端子200との接続部に水分が付着した場合であっても、これらの金属間のガルバニック腐食を抑制することができる。
【0035】
よって、雌型端子100と雄型端子200とで、異なる種類のめっきが施されている場合であっても、雌型端子100のみにグラフェン膜130を設けることで、雌型端子100と雄型端子200とを接続した場合におけるガルバニック腐食を抑制することができる。すなわち、既設機器に設置された雄型端子200の材料又はめっき処理方法を変えることなく、雌型端子100のみにグラフェン膜130を設けることで、ガルバニック腐食を抑制することができる。その結果、既設機器側の部材を変更せずに、雌型端子100を接続するだけで既設機器を使用することができる。
【0036】
第4金属材料は、雄型端子200の表面を形成している材料である。雄型端子200は雌型端子100と同様の材料により形成されていてもよい。したがって、雄型端子200も雌型端子100と同様に、基材を備えていてもよい。雄型端子200の基材は、雌型端子100の基材と同じ材料を使用することができる。雄型端子200の基材の表面には、雌型端子100と同様の被覆層が設けられていてもよく、被覆層が設けられていなくてもよい。雄型端子200の表面は、基材に含まれていてもよく、被覆層に含まれていてもよい。すなわち、第4金属材料は、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム若しくはこれらの金属を含む合金、又は、金、銀、銅、錫、ニッケル、コバルト又はこれらの金属を含む合金であってもよい。
【0037】
グラフェン膜130は、グラフェン又はグラフェンの積層体であってもよい。グラフェン膜130に含まれるグラフェンの層数は、酸素や水の侵入を防ぎ、イオンマイグレーションによる金属原子の移動を抑制するため、グラフェンの粒界が表面から金属表面までつながらないことが好ましい。このため、配置するグラフェンの層数は3層以上が好ましい。
【0038】
グラフェン膜130の厚さは、接触信頼性の観点から0.9nm~10μmであることが好ましい。グラフェン膜130の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)によってグラフェン膜130の断面を観察して厚さを測定することにより得ることができる。
【0039】
以上の通り、端子が導体接続部110と端子接続部120とグラフェン膜130とを備える雌型端子100であり、相手方端子が雄型端子200である例について説明した。ただし、本実施形態に係る端子は上記実施形態に限定されない。例えば、端子が導体接続部210と端子接続部220とグラフェン膜230とを備える雄型端子200であり、相手方端子が雌型端子100である場合にも同様の効果を奏する。
【0040】
図6は、雄型端子200に電線250を圧着した端子付き電線20の一例を示す正面図である。また、図7は、図6に示す端子付き電線20の平面図である。図8は、図7のVIII-VIII線における断面図である。図6図8に示すように、雄型端子200は、導体接続部210と端子接続部220とグラフェン膜230とを備えている。導体接続部210は、端子接続部220に接続されている。導体接続部210は雄型端子200の一方の端部に設けられており、端子接続部220は雄型端子200のもう一方の端部に設けられている。
【0041】
導体接続部210は、電線250の導体251と電気的に接続されるように設けられている。雌型端子100の導体接続部110と雄型端子200の導体接続部210とは同様の形状であってもよい。導体接続部210は、電線250を圧着可能なように設けられている。導体接続部210は、電線250の導体251を圧着する導体圧着部211と、電線250の被覆材252を圧着する被覆材圧着部212とを備えている。導体接続部210は、雄型端子付き電線20において、雄型端子200に接続される電線250を圧着して固定している。
【0042】
端子接続部220は、雌型端子100と電気的に接続されるように設けられている。具体的には、端子接続部220は、雌型端子100の端子接続部120と電気的に接続されるように設けられている。
【0043】
導体接続部210の少なくとも一部の第1表面は第1金属材料により形成されている。端子接続部220の少なくとも一部の第2表面は第2金属材料により形成されている。雄型端子200は雌型端子100と同様の材料により形成されていてもよい。したがって、端子が雄型端子200であり、相手方端子が雌型端子100である場合において、第1金属材料は上述した第4金属材料と同じ材料を使用してもよい。また、端子が雄型端子200であり、相手方端子が雌型端子100である場合において、第2金属材料は上述した第4金属材料と同じ材料を使用してもよい。
【0044】
グラフェン膜230は、第1表面のさらに外表面、及び、第2表面のさらに外表面の少なくともいずれか一方に設けられている。グラフェン膜230は、グラフェン膜130と同様の材料を使用することができる。
【0045】
第1金属材料と電線250の導体251を形成する第3金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、以下のようにグラフェン膜230が設けられている。すなわち、導体接続部210に対して電線250の導体251が電気的に接続されたときに、第1表面と電線250の導体251との間に配置されるようにグラフェン膜230が設けられている。
【0046】
一方、第2金属材料と雌型端子100の表面を形成する第4金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、以下のようにグラフェン膜230が設けられている。すなわち、端子接続部220に対して雌型端子100が電気的に接続されたときに、第2表面と雌型端子100の表面との間に配置されるようにグラフェン膜230が設けられている。
【0047】
このように、端子が雄型端子200であり、相手方端子が雌型端子100である場合であっても、グラフェン膜230によって、異種金属間のガルバニック腐食を抑制することができる。
【0048】
以上の通り、本実施形態に係る端子は、電線の導体と電気的に接続されるように設けられた導体接続部と、相手方端子と電気的に接続されるように設けられた端子接続部と、グラフェン膜と、を備える。導体接続部の少なくとも一部の第1表面は第1金属材料により形成され、端子接続部の少なくとも一部の第2表面は第2金属材料により形成される。グラフェン膜は、第1表面のさらに外表面、及び、第2表面のさらに外表面の少なくともいずれか一方に設けられる。第1金属材料と電線の導体を形成する第3金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、導体接続部に対して電線の導体が電気的に接続されたときに、第1表面と電線の導体との間に配置されるようにグラフェン膜が設けられる。第2金属材料と相手方端子の表面を形成する第4金属材料とのイオン化傾向が異なる場合においては、端子接続部に対して相手方端子が電気的に接続されたときに、第2表面と相手方端子の表面との間に配置されるようにグラフェン膜が設けられる。したがって、本実施形態に係る端子は、異種金属間の接触部におけるガルバニック腐食を抑制することができる。
【0049】
[端子付き電線]
本実施形態に係る端子付き電線10は、雌型端子100と、雌型端子100に接続された電線150と、を備えている。そして、導体接続部110に対して電線150の導体151が電気的に接続されている。上記のように、雌型端子100が上記のようなグラフェン膜130を備えていることにより、異種金属間のガルバニック腐食を抑制することができる。したがって、雌型端子100と電線150とを備える端子付き電線10においても、同様に、ガルバニック腐食を抑制することができる。
【0050】
電線150は、導体151と、導体151を被覆する被覆材152と、を備えている。
【0051】
導体151は素線を含んでいてもよい。導体151は、単線であっても、単線である素線を複数本(3本~1500本、例えば7本)撚り合わせて形成した撚線であってもよい。なお、導体151は、一般的には撚線である。ここで、電線は、裸線である撚線を任意の絶縁樹脂層で覆った被覆線であり、この電線を複数本束ねて1本に収束し外装を組み付けたものがワイヤーハーネスである。
【0052】
導体151の材料としては、導電性が高い金属を使用することができる。導体151の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、又はこれらの合金等を用いることができる。なお、近年、電線150の軽量化が求められている。そのため、導体151は軽量なアルミニウム又はアルミニウム合金によって構成されていることが好ましい。
【0053】
導体151を被覆する被覆材152の材料としては、電気絶縁性を確保できる樹脂を使用することができる。被覆材152の材料としては、例えばオレフィン系の樹脂を用いることができる。具体的には、被覆材152の材料として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン共重合体及びプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも一種以上の樹脂を主成分とすることができる。また、被覆材152の材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)を主成分とすることもできる。これらのなかでも、柔軟性や耐久性が高いことから、被覆材152の材料はポリプロピレン又はポリ塩化ビニルを主成分として含むことが好ましい。なお、ここでの主成分とは、被覆材152全体の50質量%以上の成分をいう。
【0054】
端子付き電線10が雌型端子100を備える例について説明したが、上記の通り、雄型端子200も雌型端子100と同様にガルバニック腐食を抑制することができる。したがって、端子付き電線20は、雄型端子200と、雄型端子200に接続された電線250と、を備えていてもよい。そして、導体接続部210に対して電線250の導体251が電気的に接続されていてもよい。このような端子付き電線20であっても、上記と同様に、ガルバニック腐食を抑制することができる。電線250は、上述した電線150と同じものを使用してもよい。
【0055】
以上の通り、端子付き電線は、端子と、端子に接続された電線と、を備え、導体接続部に対して電線の導体が電気的に接続されている。したがって、本実施形態に係る端子付き電線は、異種金属間の接触部におけるガルバニック腐食を抑制することができる。
【0056】
端子と電線の導体とを跨って被覆する樹脂を有しなくてもよい。そのため、結露などによって水分が付着するのを防止できるように、導体接続部を特殊な形状にする必要性も低くなる。したがって、端子の作製コストが増加するのを抑制することができ、端子の設計の自由度も向上し、端子の小型化も容易になる。
【0057】
[電気接続部材]
本実施形態に係る電気接続部材は雌型端子100と雄型端子200とを備え、雌型端子100と雄型端子200とが接続されている。上記のように、雌型端子100は、異種金属間の接触部におけるガルバニック腐食を抑制することができる。したがって、雌型端子100と雄型端子200とを接続した場合であっても、ガルバニック腐食を抑制することができる。なお、雌型端子100又は雄型端子200のいずれか一方にグラフェン膜130を設けた場合であっても、雌型端子100及び雄型端子200の両方にグラフェン膜130を設けた場合であっても、同様の効果を奏することができる。したがって、雌型端子100及び雄型端子200の少なくともいずれか一方に上記のようにグラフェン膜130が設けられていればよい。すなわち、電気接続部材は、端子と、相手方端子と、を備え、端子と相手方端子とが接続されていればよい。
【0058】
[端子の製造方法]
次に、図9図12を参照して、図2に示す雌型端子100を製造する方法を説明する。雌型端子100の製造方法は、端子接続部の形成工程と、導体接続部の形成工程と、グラフェン膜の形成工程と、を有している。
【0059】
(端子接続部の形成)
まず、端子接続部120の形成方法を説明する。図9は、雌型端子100を形成する板状部材300を示す斜視図である。雌型端子100の端子接続部120の箱状体は、図9に示す第1壁部121、第2壁部122、第3壁部123、第4壁部124及び第5壁部125が、これらの部材間に描かれた4本の直線に沿って内側に折り曲げられることにより形成される。雌型端子100の端子接続部120の箱状体では、第5壁部125が第1壁部121の外側に重なるように折り曲げられることにより箱型形状を維持する強度が付与されているため、雄型端子200の端子接続部220との嵌合強度が高くなっている。なお、本実施形態では、1枚の板状部材300が折り曲げられ、導体接続部110及び端子接続部120が連続して一体的に形成されているが、導体接続部110及び端子接続部120は異なる部材が組み合わさって形成されてもよい。
【0060】
板状部材300は基材を備えており、基材は金属により形成されていてもよい。基材を形成する材料は、銅、アルミニウム、鉄、マグネシウム、又はこれらの金属を含む合金であることが好ましい。板状部材300は、基材と、基材の表面を被覆する被覆層とを備えていてもよい。被覆層は、例えばめっき層である。被覆層を形成する材料は特に限定されないが、金、銀、銅、錫、ニッケル、コバルト又はこれらの金属を含む合金が好ましい。被覆層は、単層であってもよく、複数層であってもよい。被覆層の厚さは特に限定されないが、例えば、0.01μm~10μmである。被覆層は、基材の表面に、折り曲げ加工前に形成されてもよく、折り曲げ加工後に形成されてもよい。
【0061】
(導体接続部の形成)
次に、雌型端子100の導体接続部110に電線150を圧着する方法について説明する。図10は、雌型端子100に電線150を圧着する前の状態を示す斜視図である。まず、電線150の導体151は、圧着前の導体圧着部111の上面に配置され、導体圧着部111によって包み込まれて圧着される。同様に、被覆材152を含む電線150は、圧着前の被覆材圧着部112の上面に配置され、被覆材圧着部112によって包み込まれて圧着される。このように、電線150が導体接続部110に圧着されることによって、導体接続部110に電線150が電気的かつ機械的に接続され、図2に示すような端子付き電線10が形成される。なお、雌型端子100の導体接続部110に電線150を接続する方法について説明したが、雄型端子200の導体接続部210に電線250を接続する方法も同様である。
【0062】
(グラフェン膜の形成)
次に、雌型端子100へグラフェン膜130を形成する方法を説明する。雌型端子100へグラフェン膜130を形成する方法は特に限定されず、例えば、CVD(chemical vapor deposition)法などの公知の方法によって、雌型端子100へグラフェン膜130を形成してもよい。ただし、加熱による導体接続部110の圧着強度の低下や、加熱による弾性部126の弾性力の低下を抑制する観点からは、スタンプ部材による転写又はレーザ光による加熱によって、雌型端子100へグラフェン膜130を形成することが好ましい。
【0063】
まず、スタンプ部材による転写によって、雌型端子100へグラフェン膜130を形成する方法を説明する。図11は、押圧用グラフェン部材311を板状部材300の表面に転写してグラフェン膜130を形成する例を示す図である。板状部材300への押圧用グラフェン部材311の転写はスタンプ部材312を用いて行われる。
【0064】
押圧用グラフェン部材311は、上述したグラフェン膜130と同様に、グラフェン又はグラフェンの積層体である。押圧用グラフェン部材311は、スタンプ部材312の表面に配置されている。押圧用グラフェン部材311は、スタンプ部材312の表面と同一の形状かつ大きさの表面を有している。
【0065】
スタンプ部材312は、少なくとも押圧用グラフェン部材311と接する面において粘着性を有している。スタンプ部材312は、この粘着性によって押圧用グラフェン部材311を保持している。ここで、粘着性とは、押圧用グラフェン部材311に対する粘着性を意味する。スタンプ部材312を形成する材料は、例えば、シリコーン樹脂、粘着剤を均一に塗布したエラストマー等であってもよい。
【0066】
図11に示すように、スタンプ部材312の表面に配置された押圧用グラフェン部材311を、スタンプ部材312とともに、板状部材300の方向に相対的に移動させると、押圧用グラフェン部材311は、板状部材300とスタンプ部材312によって挟まれる。これにより、押圧用グラフェン部材311は板状部材300に押圧される。押圧用グラフェン部材311の押圧後、スタンプ部材312を板状部材300から遠ざける方向に移動させると、押圧用グラフェン部材311の少なくとも1層以上のグラフェンが板状部材300の表面に転写される。これにより、板状部材300の表面の少なくとも一部に、グラフェン膜130が形成される。この方法によれば、加熱処理を行わないために、グラフェン膜130を形成しても、加熱による導体接続部110の圧着強度の低下や、加熱による弾性部126の弾性力の低下を抑制することができる。
【0067】
次に、レーザ光による加熱によって、板状部材300へグラフェン膜130を形成する方法を説明する。図12は、板状部材300の導体接続部110が形成される領域にレーザ光321を照射してグラフェン膜130を形成する様子を示す上面図である。レーザ光321は、集光レンズ322によって集光され、導体接続部110が形成される領域を照射して加熱している。なお、レーザ光321を照射する領域は、板状部材300の少なくとも一部の領域であればよく、導体接続部110が形成される領域のみであってもよく、板状部材300の全表面であってもよい。
【0068】
グラフェン膜130は、レーザ光321を照射して加熱することによって形成される。レーザ光321は、エネルギーを集光させやすい特性を有しており、局所的な位置をレーザ光321によって照射して加熱することができる。そのため、従来のCVD法のように、端子を全体的に加熱する必要がない。そのため、板状部材300が加熱により悪影響を及ぼす部分を含む場合には、その部分を除いてグラフェン膜130を形成することができる。
【0069】
グラフェン膜130は、グラフェン膜130の原料にレーザ光321を照射して加熱することにより形成することができる。レーザ光321によって加熱された領域の温度は、グラフェンの反応効率及び反応時間などの観点から、例えば、300℃~400℃である。
グラフェン膜130の原料は、レーザ光321による加熱によってグラフェンを有するグラフェン膜130を形成することができれば特に限定されない。グラフェン膜130の原料には、例えば、気体原料、液体原料及び固体原料が含まれる。
【0070】
グラフェン膜130の原料が気体の場合には、気体原料の雰囲気下で導体接続部にレーザ光321が照射されて加熱されることによりグラフェン膜130が形成されることが好ましい。グラフェン膜130の気体原料は、メタンガス、エチレンガス、アセチレンガス、エタノールガス、アセトンガス、メタノールガス及びこれらの組合せを含む炭素含有ガスであることが好ましい。
【0071】
グラフェン膜130の原料が液体又は固体の場合には、例えば、板状部材300の表面に液体原料又は固体原料が配置され、これらの原料にレーザ光321が照射されて加熱されることによってグラフェン膜130が形成されることが好ましい。
【0072】
グラフェン膜130の液体又は固体原料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などの有機材料、及び酸化グラフェン(GO)などが好ましい。なお、グラフェン膜130の原料が酸化グラフェンの場合には、酸化グラフェンにレーザ光321が照射されて加熱されることにより、酸化グラフェンが還元され、グラフェンを有するグラフェン膜130が形成される。
【0073】
以上のように、スタンプ部材による転写又はレーザ光による加熱によって、雌型端子100へグラフェン膜130を形成することにより、加熱による導体接続部110の圧着強度の低下や、加熱による弾性部126の弾性力の低下を抑制することができる。また、導体接続部110の圧着強度の低下や、弾性部126の弾性力の低下が防止又は抑制されるため、端子が大型化することを防止又は抑制することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、板状部材300にグラフェン膜130を形成する方法を説明したが、板状部材300を折り曲げ加工などして雌型端子100を形成した後、雌型端子100の所望の箇所にグラフェン膜130を形成してもよい。また、板状部材300から雌型端子100を形成する途中の中間部材に、所望の箇所にグラフェン膜130を形成してもよい。また、本実施形態では、雌型端子100にグラフェン膜130を形成する方法を説明したが、雌型端子100と同様の方法により、雄型端子200にグラフェン膜130を形成することができる。
【0075】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電気接続部材
10 雌型端子付き電線(端子付き電線)
20 雄型端子付き電線(端子付き電線)
100 雌型端子(端子、相手方端子)
110 導体接続部
120 端子接続部
130 グラフェン膜
150 電線
151 導体
200 雄型端子(端子、相手方端子)
210 導体接続部
220 端子接続部
230 グラフェン膜
250 電線
251 導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12