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  • 特許-給電コネクタ延長装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】給電コネクタ延長装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/06 20060101AFI20230620BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230620BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20230620BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20230620BHJP
   B60L 53/18 20190101ALI20230620BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H01R31/06 P
H01R13/639 Z
H01R13/66
B60L53/16
B60L53/18
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019185092
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021061189
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】514105011
【氏名又は名称】株式会社東光高岳
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健司
(72)【発明者】
【氏名】小槌 淳
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135549(JP,A)
【文献】特開2016-96648(JP,A)
【文献】特開2014-193039(JP,A)
【文献】特開平6-343205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/06
H01R 13/639
H01R 13/66
B60L 53/16
B60L 53/18
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器と電気自動車との間で送受信される複数の信号のための複数の第1信号線と第1ロック機構用の第1ロック機構信号線とを有する第1給電コネクタと、電気自動車とを接続する給電コネクタ延長装置であって、
前記第1給電コネクタに接続し、前記第1給電コネクタからの前記複数の第1信号線を有し、出力側で前記複数の第1信号線の内の1つの第1信号線に並列に第2信号線が接続され、前記複数の第1信号線をケーブルの一端に出力するインレットと、
一端が前記ケーブルの他端に接続され他端が前記電気自動車に接続され、前記インレットからの前記複数の第1信号線と前記第2信号線に接続された第2ロック機構用の第2ロック機構信号線とを有する第2給電コネクタと、
を備えることを特徴とする給電コネクタ延長装置。
【請求項2】
前記1つの第1信号線には、前記充電器の電圧が印加されている期間よりも長い期間オンするコネクタロック信号が出力されることを特徴とする請求項1記載の給電コネクタ延長装置。
【請求項3】
前記コネクタロック信号は、前記充電器により前記電気自動車のバッテリを充電していない期間にはオフすることを特徴とする請求項2記載の給電コネクタ延長装置。
【請求項4】
前記コネクタロック信号は、前記電気自動車のバッテリに充電を開始するための充電開始信号であることを特徴とする請求項3記載の給電コネクタ延長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電コネクタ延長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の車載電池に電力を急速充電する急速充電器やV2H(Vehicle to Home)では、充電時の安全を確保するために、ロック機構を内蔵した給電コネクタを使用している。
【0003】
急速充電器からバスやトラック等の大型電気自動車に電力を充電する場合、車両の給電口が遠いため、電線長の長い給電コネクタを使用し、急速充電器からの給電コネクタと延長用の給電コネクタを接続する延長装置を使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6164081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電線長の長い給電コネクタを使用した場合には、ケーブルの絡まりや散乱のために利便性が著しく低下する。このため、大型車両専用の急速充電器となってしまう。
【0006】
また、ロック機構の回路は、急速充電器に接続された給電コネクタまでの回路となるため、延長装置を使用して給電コネクタを延長するだけでは、ロック機構の信号が延長用の給電コネクタまで出力されない。このため、車両に接続する延長用の給電コネクタをロックすることができなかった。
【0007】
本発明の課題は、電気自動車に接続する延長用の給電コネクタをロックすることができる給電コネクタ延長装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、充電器と電気自動車との間で送受信される複数の信号のための複数の第1信号線と第1ロック機構用の第1ロック機構信号線とを有する第1給電コネクタと、電気自動車とを接続する給電コネクタ延長装置であって、前記第1給電コネクタに接続され、前記第1給電コネクタからの前記複数の第1信号線を有し、出力側で前記複数の第1信号線の内の1つの第1信号線に並列に第2信号線が接続され、前記複数の第1信号線をケーブルの一端に出力するインレットと、一端が前記ケーブルの他端に接続され他端が前記電気自動車に接続され、前記インレットからの前記複数の第1信号線と前記第2信号線に接続された第2ロック機構用の第2ロック機構信号線とを有する第2給電コネクタとを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記1つの第1信号線には、前記充電器の電圧が印加されている期間よりも長い期間オンするコネクタロック信号が出力されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記コネクタロック信号が、前記充電器により前記バッテリを充電していない期間にはオフすることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記コネクタロック信号は、前記電気自動車のバッテリに充電を開始するための充電開始信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、インレットの出力側で複数の第1信号線の内の1つの第1信号線に並列に第2信号線が接続され、第2信号線には、第2ロック機構信号線が接続されているので、1つの第1信号線からの信号を第2信号線を介して第2ロック機構信号線に出力することができる。従って、電気自動車に接続する延長用の第2給電コネクタもロックすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、コネクタロック信号は、充電器の電圧が印加されている期間よりも長い期間オンするので、コネクタロック信号オンにより第2給電コネクタに電圧が印加している場合、第2給電コネクタをロックすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、コネクタロック信号が、バッテリを充電していない期間にはオフするので、第2給電コネクタに電圧が印加されることはない。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、充電器からの充電開始信号をコネクタロック信号に用いることで、特別な信号を用いることがなくなり、信号処理が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る給電コネクタ延長装置を含む電気自動車充電システムを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気自動車充電システムに設けられた充電器の構成ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る電気自動車充電システムに設けられた電気自動車の構成ブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る電気自動車充電システムの各部の信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る給電コネクタ延長装置を含む電気自動車充電システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る給電コネクタ延長装置を含む電気自動車充電システムを示す図である。電気自動車充電システムは、充電器1、給電コネクタ2(本発明の第1給電コネクタに相当する。)、給電コネクタ延長装置3、電気自動車(EV)4を備えている。
【0019】
充電器1は、ケーブル6aを介して給電コネクタ2に電力を給電する。図2は、本発明の実施形態に係る電気自動車充電システムに設けられた充電器の構成ブロック図である。充電器1は、電力変換部11、スタートボタン12、CPU13、送受信部14を備える。
【0020】
電力変換部11は、交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧をケーブル6aを介して給電コネクタ2の電力線PW1に出力する。
【0021】
スタートボタン12は、充電器1から電気自動車4への充電をスタートさせるための充電器スタートトリガを発生させるボタンである。CPU13は、スタートボタン12からの充電器スタートトリガに基づき充電開始信号や安全確認信号を生成したり、電気自動車4から受信した信号を処理する。送受信部14は、CPU13からの充電開始信号や安全確認信号を給電コネクタ2に送信し、電気自動車4からの充電許可信号を受信してCPU13に出力する。
【0022】
給電コネクタ2は、充電器1からの電力を伝送する電力線PW1と、充電器1と電気自動車4との間で送受信される複数の信号のための複数の信号線S1~S5と、第1ロック機構用の第1ロック機構信号線S6,S7とを有する。
【0023】
信号線S1は、充電器1が充電を開始するための充電開始信号を伝送する。信号線S2は、電気自動車4が充電器1に対して充電を許可する充電許可信号を伝送する。
【0024】
信号線S3は、充電器1から電圧を出力して、地絡がない等の安全が確認されたときに充電器1から電気自動車4に安全確認信号を伝送する。信号線S4は、グランドGNDのための線である。信号線S5は、充電器1と電気自動車4とがCAN(control Area Network)通信を行うための通信線である。CAN通信は、適切なパラメータを交換する。
【0025】
第1ロック機構信号線S6,S7は、給電コネクタ2内に有する電磁ソレノイドLK1を駆動して給電コネクタ2をロックする信号である。第1ロック機構信号線S6,S7からコネクタロック信号が抵抗R1とLED1に流れて、LED1が点灯し、この点灯により、給電コネクタ2をロックしていることがわかる。
給電コネクタ延長装置3は、給電コネクタ2と電気自動車4とを接続するもので、インレット31、ケーブル6b、給電コネクタ32(本発明の第2給電コネクタに相当する。)を備える。
【0026】
インレット31は、ソケット又はコンセント等であり、給電コネクタ2に接続し、充電器1からの電力を伝送する電力線PW1と、給電コネクタ2の複数の第1信号線S1~S5とを有する。
【0027】
インレット31は、電力線PW1と複数の第1信号線S1~S5とを延長用のケーブル6bの一端に出力する。出力された第1信号線S1には第2信号線S8が並列に接続され、第1信号線S4には信号線S9が並列に接続されている。
【0028】
給電コネクタ32は、一端がケーブル6bの他端に接続され他端が電気自動車32に接続され、インレット31からの電力線PW1と、インレット31からの複数の信号線S1~S5と、信号線S8,S9に接続された第2ロック機構用の第2ロック機構信号線S10,S11とを有する。
【0029】
第2ロック機構信号線S10,S11は、給電コネクタ32内に有する電磁ソレノイドLK2を駆動して給電コネクタ32をロックする信号である。第2ロック機構信号線S10,S11からロック信号が抵抗R2とLED2に流れて、LED2が点灯し、この点灯により、給電コネクタ32をロックしていることがわかる。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係る電気自動車充電システムに設けられた電気自動車の構成ブロック図である。電気自動車は、給電コネクタ32の電力線PW1に接続されるリレー41a,41b、リレー41a,41b間に接続されるバッテリ42、給電コネクタ32の信号線S1~S5に接続される送受信部43と、CPU44とを備える。
【0031】
リレー41a,41bは、CPU44からのEVリレーオン信号によりオンし、給電コネクタ32の電力線PW1からの電力によりバッテリ42を充電する。CPU44は、送受信部43が充電器1から充電開始信号を受信すると、充電許可信号を生成する。送受信部43は、CPU44からの充電許可信号を信号線S2を介して充電器1に送信する。
【0032】
また、信号線S1には、充電器1の電圧が印加されている期間よりも長い期間オンするコネクタロック信号が充電器1から出力される。コネクタロック信号は、充電器1により電気自動車4のバッテリ42を充電していない期間にはオフする。コネクタロック信号は、電気自動車4のバッテリ42に充電を開始するための充電開始信号である。
【0033】
次に、このように構成された実施形態に係る給電コネクタ延長装置3を含む電気自動車充電システムの動作を図4に示す各部のタイミングチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0034】
まず、充電器1において、スタートボタン12を押すと、充電器スタートトリガが時刻t1~t2にハイレベルとなる。CPU13は、スタートボタン12からの充電器スタートトリガのダウンエッジ、即ち時刻t2の数秒後t3において、充電開始信号を生成し、ケーブル6aを介して給電コネクタ2の信号線S1に出力する。
【0035】
充電開始信号は、給電コネクタ2の信号線S1、インレット31の信号線S1、ケーブル6b、給電コネクタ32の信号線S1を介して電気自動車4の送受信部43に送られる。CPU44は、送受信部43からの充電開始信号に基づき時刻t4にハイレベルの充電許可信号を生成し、充電許可信号を送受信部43、信号線S2を介して充電器1に送信する。
【0036】
次に、充電器1が充電許可信号を受信すると、充電器1は、時刻t5~t6に電力変換部11から充電器出力電圧を給電コネクタ2の電力線PW1に出力する。このとき、ケーブル6a、ケーブル6bで地絡等があるかないかの安全確認を行う。
【0037】
充電器1のCPU13は、安全確認が取れた場合には、時刻t7に安全確認信号を給電コネクタ2の信号線S3、インレット31の信号線S3、給電コネクタ32の信号線S3を介して電気自動車4に送信する。
【0038】
電気自動車4では、送受信部43が安全確認信号を受信すると、時刻t8にCPU44からのEVリレーオン信号のハイレベルによりリレー41a,41bがオンする。このため、充電器1から充電器出力電圧が電気自動車4のバッテリ42に印加されて、バッテリ42への充電が行われる。すると、時刻t9から充電器出力電流がバッテリ42に流れ、時刻t10には充電器出力電流は一定値となる。
【0039】
電気自動車4のCPU44は、時刻t11に充電許可信号をオフさせ、オフ信号が信号線S2を介して充電器1に送信される。時刻t13にCPU44からのEVリレーオン信号のローレベルによりリレー41a,41bがオフする。充電器出力電圧は、時刻t13から低下して時刻t14にゼロになる。さらに、時刻t16に安全確認信号がローレベルになる。
【0040】
一方、充電開始信号は、時刻t3~t17までハイレベルとなる。充電開始信号は、給電コネクタ2の信号線S1、インレット31の信号線S1を通る。このとき、インレット31の出力側で信号線S1には並列に信号線S8が接続され、信号線S4には、信号線S9が並列に接続されている。
このため、充電開始信号は、信号線S8を通り、給電コネクタ32のロック機構信号線S10に送られる。即ち、充電開始信号をコネクタロック信号として用い、コネクタロック信号により第2ロック機構が動作して、電気自動車4に接続する延長用の給電コネクタ32もロックすることができる。
【0041】
また、コネクタロック信号は、充電器1の電圧が印加されている期間よりも長い期間オンするので、確実に充電器1の電圧が印加されている期間は給電コネクタ32をロックすることができる。
【0042】
また、コネクタロック信号は、充電器1により電気自動車4のバッテリを充電していない期間にはオフするので、給電コネクタ32に電圧が印加されることはない。
【0043】
また、充電器1からの充電開始信号をコネクタロック信号に用いることで、特別な信号を用いることがなくなり、信号処理が簡単になる。
【0044】
さらに、装置停止時には、CPU13は、充電器1の出力電圧を計測し、その計測値が所定値以下にならない場合には、充電開始信号をオフしないように制御する。また、充電開始信号は、充電器1と電気自動車4のバッテリ42との接続を行うリレー41a,41bのオンオフ信号にも使用されているため、この信号がオフとなった場合には、バッテリ42の電圧が給電コネクタ32に印加されることはない。
【0045】
なお、実施形態に係る給電コネクタ延長装置では、ロック機構として電磁ソレノイドを例示したが、これに限定されることなく、ラッチ回路を用いて良い。また、コネクタロック信号として、充電開始信号を用いたが、充電開始信号に限定されるものではなく、充電器1の電圧が印加されている期間よりも長い期間オンする信号であれば、その他の信号を用いても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 充電器
2,32 給電コネクタ
3 給電コネクタ延長装置
4 電気自動車(EV)
6a,6b ケーブル
11 電力変換部
12 スタートボタン
13,44 CPU
14,43 送受信部
41a,41b リレー
42 バッテリ
図1
図2
図3
図4