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特許7299133鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
E05B19/00 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019191328
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021067027
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501079875
【氏名又は名称】グローリーAZシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康博
(72)【発明者】
【氏名】戸梶 紘幸
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-332650(JP,A)
【文献】特開2013-127196(JP,A)
【文献】特開2010-275778(JP,A)
【文献】特開2017-186894(JP,A)
【文献】特開2014-129655(JP,A)
【文献】特開2018-76641(JP,A)
【文献】特開2014-15774(JP,A)
【文献】特開2019-138027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理装置であって、
収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた収容部と、
所定条件を記憶する記憶部と、
前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する制御部と
を備え
前記記憶部は、前記所定条件が成立する利用者の権限の情報を記憶し、
前記制御部は、前記第1利用者が前記権限を有する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する
ことを特徴とする鍵管理装置。
【請求項2】
収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理装置であって、
収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者の認証のみを求める設定とされた第1の収容部と、
収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に前記第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた第2の収容部と、
ロックが解除された前記収容部の位置を報知する報知部と、
所定条件を記憶する記憶部と、
前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記第2の収容部のロックを解除するよう制御する制御部と
を備え、
前記報知部は、ロックが解除された前記第1の収容部と前記第2の収容部とを区別可能に報知する
ことを特徴とする鍵管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記所定条件が成立する時間帯の情報を記憶し、
前記制御部は、前記時間帯においては、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記所定条件が成立する時間帯を、前記収容部材毎に記憶することを特徴とする請求項に記載の鍵管理装置。
【請求項5】
前記鍵を利用する時間帯を予約するための予約部
をさらに備え、
前記所定条件が成立する時間帯とは、前記予約部により予約された時間帯である
ことを特徴とする請求項又はに記載の鍵管理装置。
【請求項6】
前記予約部による予約には、前記鍵の利用者を指定する情報がさらに含まれ、
前記制御部は、前記予約部により予約された時間帯において、前記予約にて指定された利用者に対して、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する
ことを特徴とする請求項に記載の鍵管理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記所定条件が成立する利用者の権限の情報を前記収容部材毎に記憶することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の鍵管理装置。
【請求項8】
収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理システムであって、
収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた収容部と、
所定条件を記憶する記憶部と、
前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する制御部と
を備え
前記記憶部は、前記所定条件が成立する利用者の権限の情報を記憶し、
前記制御部は、前記第1利用者が前記権限を有する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する
ことを特徴とする鍵管理システム。
【請求項9】
収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理システムであって、
収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者の認証のみを求める設定とされた第1の収容部と、
収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に前記第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた第2の収容部と、
ロックが解除された前記収容部の位置を報知する報知部と、
所定条件を記憶する記憶部と、
前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記第2の収容部のロックを解除するよう制御する制御部と
を備え、
前記報知部は、ロックが解除された前記第1の収容部と前記第2の収容部とを区別可能に報知する
ことを特徴とする鍵管理システム。
【請求項10】
前記鍵を利用する時間帯を予約するための端末装置
をさらに備え、
前記制御部は、前記端末装置で予約された時間帯においては、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の鍵管理システム。
【請求項11】
鍵が連結された収容部材を収容してロックする収容部を複数有する鍵管理装置が行う鍵管理方法であって、
収容部材のロック解除に第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた収容部から鍵を取り出すために、前記第1利用者が認証処理を行う工程と、
前記第1利用者が、予め設定された所定条件が成立する権限を有する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除する工程と
を含むことを特徴とする鍵管理方法。
【請求項12】
鍵が連結された収容部材を収容してロックする収容部を複数有する鍵管理装置が行う鍵管理方法であって、
収容部材のロック解除に第1利用者の認証を求める設定とされた第1の収容部から鍵を取り出すために、前記第1利用者が認証処理を行って、前記第1利用者の認証により前記第1の収容部のロックを解除する工程と、
収容部材のロック解除に前記第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた第2の収容部から鍵を取り出すために、前記第1利用者が認証処理を行って、予め設定された所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記第2の収容部のロックを解除する工程と、
ロックが解除された前記収容部の位置を報知する工程と
を含み、
ロックが解除された前記第1の収容部と前記第2の収容部とが区別可能に報知される
ことを特徴とする鍵管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍵を管理する鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の鍵を管理可能な鍵管理装置が利用されている。例えば、金融機関の店舗及び小売店の店舗では、店舗内に設置された機器を作動させるための鍵と、店舗内で管理される場所の扉を開閉する鍵とを含む複数の鍵が利用される。鍵管理装置は、装置からの各鍵の取り出しを制限することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、鍵の利用者と、鍵の利用を承認する管理者との2人の認証処理を実行する鍵管理装置が開示されている。この装置は、装置内に収容した各鍵を、装置から取り出せないようにロックして管理する。装置は、利用者及び管理者の生体認証を実行して、両者が正常に認証された場合にのみ、利用者が鍵を取り出せるようにロックを解除する。これにより、管理者は、鍵管理装置を利用して、鍵を厳重に管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-275778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、利用者の認証処理に加えて管理者の認証処理を行う必要があるため、管理者が不在の場合、利用者は装置から鍵を取り出すことができず利便性が損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術による課題に鑑みてなされたもので、利用者の利便性を損なうことなく管理者が鍵を管理することができる鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理装置であって、収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた収容部と、所定条件を記憶する記憶部と、前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する制御部とを備え、 前記記憶部は、前記所定条件が成立する利用者の権限の情報を記憶し、前記制御部は、前記第1利用者が前記権限を有する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御することを特徴とする。
また、本発明は、 収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理装置であって、 収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者の認証のみを求める設定とされた第1の収容部と、収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に前記第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた第2の収容部と、ロックが解除された前記収容部の位置を報知する報知部と、所定条件を記憶する記憶部と、前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記第2の収容部のロックを解除するよう制御する制御部とを備え、前記報知部は、ロックが解除された前記第1の収容部と前記第2の収容部とを区別可能に報知することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶部は、前記所定条件が成立する時間帯の情報を記憶し、前記制御部は、前記時間帯においては、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶部は、前記所定条件が成立する時間帯を、前記収容部材毎に記憶することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記鍵を利用する時間帯を予約するための予約部をさらに備え、前記所定条件が成立する時間帯とは、前記予約部により予約された時間帯であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記予約部による予約には、前記鍵の利用者を指定する情報がさらに含まれ、前記制御部は、前記予約部により予約された時間帯において、前記予約にて指定された利用者に対して、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶部は、前記所定条件が成立する利用者の権限の情報を前記収容部材毎に記憶することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理システムであって、収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた収容部と、所定条件を記憶する記憶部と、前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御する制御部とを備え、前記記憶部は、前記所定条件が成立する利用者の権限の情報を記憶し、前記制御部は、前記第1利用者が前記権限を有する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御することを特徴とする。
また、本発明は、収容部材に連結された鍵を管理する鍵管理システムであって、収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に第1利用者の認証のみを求める設定とされた第1の収容部と、収容された収容部材をロックして、該ロックの解除に前記第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた第2の収容部と、ロックが解除された前記収容部の位置を報知する報知部と、所定条件を記憶する記憶部と、前記所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記第2の収容部のロックを解除するよう制御する制御部とを備え、 前記報知部は、ロックが解除された前記第1の収容部と前記第2の収容部とを区別可能に報知することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記鍵を利用する時間帯を予約するための端末装置をさらに備え、前記制御部は、前記端末装置で予約された時間帯においては、前記第2利用者の認証は求めずに前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除するよう制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、鍵が連結された収容部材を収容してロックする収容部を複数有する鍵管理装置が行う鍵管理方法であって、収容部材のロック解除に第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた収容部から鍵を取り出すために、前記第1利用者が認証処理を行う工程と、前記第1利用者が、予め設定された所定条件が成立する権限を有する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記収容部のロックを解除する工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明は、鍵が連結された収容部材を収容してロックする収容部を複数有する鍵管理装置が行う鍵管理方法であって、収容部材のロック解除に第1利用者の認証を求める設定とされた第1の収容部から鍵を取り出すために、前記第1利用者が認証処理を行って、前記第1利用者の認証により前記第1の収容部のロックを解除する工程と、収容部材のロック解除に前記第1利用者及び前記第1利用者と異なる第2利用者の認証を求める設定とされた第2の収容部から鍵を取り出すために、前記第1利用者が認証処理を行って、予め設定された所定条件が成立する場合には、前記第2利用者の認証は求めずに、前記第1利用者の認証により前記第2の収容部のロックを解除する工程と、ロックが解除された前記収容部の位置を報知する工程とを含み、ロックが解除された前記第1の収容部と前記第2の収容部とが区別可能に報知されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る鍵管理装置は、利用者の利便性を損なうことなく、利用に管理者承認を要する鍵を管理することができる。利用者が、管理者承認を要する鍵を鍵管理装置から取り出す際、予め設定された所定条件を満たす場合には管理者承認を省略可能とすることにより、利用者は、管理者不在の場合でも該管理者の承認を要する鍵を鍵管理装置から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1に係る鍵管理装置の概要を説明するための図である。
図2図2は、図1に示した鍵管理装置の外観を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示した鍵管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、図1に示した鍵管理装置で利用される利用者情報及び収容部情報の例を示す図である。
図5図5は、図1に示した鍵管理装置からキーホルダを取り出す処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、実施例2に係る鍵管理システムのシステム構成を示す図である。
図7図7は、図6に示した鍵管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
図8図8は、図6に示した端末装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、図6に示した鍵管理システムで利用される利用者情報及び収容部情報の例を示す図である。
図10図10は、図6に示した鍵管理装置からキーホルダを取り出す処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
<実施例1に係る鍵管理装置の概要>
まず、実施例1に係る鍵管理装置の概要について説明する。図1は、実施例1に係る鍵管理装置10の概要を説明するための図である。金融機関の店舗及び小売店の店舗では、複数の鍵が利用される。複数の鍵には、店舗内に設置された機器を作動させるための鍵と、店舗内で管理される場所の扉を開閉する鍵とが含まれる。鍵管理装置10は、店舗内に設置して利用され、鍵と繋がれた1又は複数のキーホルダを管理する。1つのキーホルダには、1又は複数の鍵を繋ぐことができる。鍵管理装置10が管理するキーホルダの数及び各キーホルダに取り付ける鍵の数は特に限定されない。
【0023】
キーホルダは、鍵管理装置10に設けられた収容部に収容される。キーホルダは、鍵が連結された状態で収容部に収容される収容部材として機能する。鍵管理装置10は、収容部に収容したキーホルダを、収容部から取り出せないようにロックすることによって管理する。具体的には、利用者がキーホルダを収容部の穴に差し込むと、鍵管理装置10は収容部からキーホルダを抜き取ることができないようにロックする。キーホルダと収容部とは一対一で対応付けられており、複数の収容部それぞれに各収容部に対応する1つのキーホルダしか収容できないようになっている。
【0024】
鍵管理装置10は、複数の収容部が設けられた鍵収納部を閉塞する扉を有している。この扉は、通常は施錠されている。鍵管理装置10は、利用者の認証処理を実行して、この利用者が鍵管理装置10からキーホルダを取り出す権限を有することを確認する。権限を確認できた場合、鍵管理装置10は、鍵収納部の扉を解錠すると共に、この利用者が取り出すことができるキーホルダのロックを解除する。これにより、利用者は、鍵管理装置10の収容部から、目的のキーホルダを取り出すことができる。鍵管理装置10からキーホルダを取り出して鍵を利用した後、利用者は、キーホルダを収容部に戻すことにより、鍵管理装置10に鍵を返却する。
【0025】
キーホルダを取り出すための認証処理の処理内容は、収容部ごとに、すなわちキーホルダごとに設定できるようになっている。例えば、重要な鍵が繋がれたキーホルダについては、鍵管理装置10から取り出す際に管理者の承認を必要とするように設定することができる。具体的には、利用者本人の認証処理に加えて、鍵の利用を承認する管理者の認証処理を行わなければ、収容部からキーホルダを取り出せないように設定することができる。
【0026】
店舗では、複数の利用者が同じ鍵を利用する場合がある。例えば、鍵を時々利用する利用者に対しては管理者承認を求める一方で、同じ鍵を頻繁に利用する利用者に対しては管理者承認を省略したい場合がある。鍵管理装置10は、このような利用態様にも対応できるようになっている。
【0027】
具体的には、鍵管理装置10では、管理者承認を要するキーホルダの取り出しを許可された利用者ごとに、単独認証権限の有無及び単独認証可能時間を設定することができる。単独認証権限が無い利用者は、利用者本人の認証処理と管理者の認証処理とを行わなければ、管理者承認を要するキーホルダを収容部から取り出すことができない。単独認証権限を有する利用者は、利用者単独の認証処理を行って、管理者承認を要するキーホルダを収容部から取り出すことができる。
【0028】
また、鍵管理装置10では、単独認証権限を有する利用者ごとに、単独認証可能時間を設定することができる。これにより、利用者単独の認証処理によって、管理者承認を要するキーホルダを取り出すことができる時間帯を制限することができる。単独認証可能時間は、例えば、5時から6時迄、又は5時から1時間というように、時間帯を指定して設定することができる。単独認証可能時間が設定されると、単独認証権限を有する利用者であっても、設定された時間帯以外は、管理者承認を要するキーホルダを収容部から単独で取り出すことができなくなる。この場合、利用者は、単独認証権限の無い利用者と同様に、利用者及び管理者の二者認証を行わなければキーホルダを取り出すことができない。
【0029】
なお、単独認証権限の設定は、利用者ごとに設定される態様に限定されず、収容部ごとに、すなわちキーホルダごとに設定される態様であってもよい。また、単独認証可能時間の設定についても、単独認証権限を有する利用者ごとに設定される態様に限定されず、収容部ごとに、すなわちキーホルダごとに設定される態様であってもよい。
【0030】
図1に示すように、鍵管理装置10は、操作表示部13及びカードリーダライタ(以下「R/W部」と記載する)14を有する。また、鍵管理装置10は、収容部情報を管理している。収容部情報には、各収容部に収容されたキーホルダ、すなわちキーホルダに繋がれた鍵の利用権限を有する利用者の情報が含まれる。また、収容部情報には、重要な鍵について、この鍵の利用に対して管理者の承認を要することを示す情報が含まれる。さらに、収容部情報には、単独認証権限及び単独認証可能時間の情報が含まれる。収容部情報では、各情報が収容部ごとに管理される。
【0031】
管理者承認を要する設定とされた収容部からキーホルダを取り出す場合、図1に示すように、単独認証権限の無い利用者Aは、管理者Xと共に鍵管理装置10からキーホルダを取り出す必要がある。利用者A及び管理者Xそれぞれが、所持するカードをR/W部14に翳すと、R/W部14は、各カードに記録されている利用者情報を読み取る(ステップS1)。利用者情報には、カードの所持者を特定するための情報が含まれている。鍵管理装置10は、利用者Aのカードから読み取った利用者情報に基づいて利用者Aの認証処理を行い、管理者Xのカードから読み取った利用者情報に基づいて管理者の認証処理を行う(ステップS2)。利用者Aが認証されると、鍵管理装置10は、鍵収納部の扉を解錠する(ステップS3)。
【0032】
鍵管理装置10は、利用者Aの利用者情報を収容部情報と照合して、利用者Aが鍵管理装置10から取り出すことができるキーホルダを特定する(ステップS4)。利用者Aが取り出すことができるキーホルダには、管理者承認を要しないキーホルダと、管理者承認を要するキーホルダとが含まれる。これらのうち、利用者Aが認証されることによって、管理者承認を要しないキーホルダの取り出しが許可される。管理者Xが認証されると、管理者承認を要するキーホルダの取り出しも許可される。鍵管理装置10は、管理者Xの認証処理によって利用者Aに取り出しを許可できるようになったキーホルダを特定する。この結果、利用者Aは、管理者承認を要しないキーホルダに加えて、管理者承認を要するキーホルダを取り出せるようになる。
【0033】
利用者Aの認証処理及び管理者Xの認証処理によって、利用者Aが鍵管理装置10から取り出し可能なキーホルダが決定されると、鍵管理装置10は、取り出し可能なキーホルダの収容部16でロックを解除する。また、鍵管理装置10は、この収容部16の位置を利用者Aに報知する(ステップS5)。報知処理では、例えば、位置を知らせる各収容部のホルダランプが点灯する。また、例えば、キーホルダを取出可能となった収容部の位置を示す情報が操作表示部13の画面上に表示される。これにより、利用者Aは、目的のキーホルダが収容された収容部16の位置を確認し、この収容部16からキーホルダを取り出すことができる(ステップS6)。
【0034】
単独認証権限を有する利用者は、図1に示すように、単独で認証処理を行って、鍵管理装置10からキーホルダを取り出すことができる。単独認証権限を有する利用者Bが単独で、所持するカードをR/W部14に翳すと、R/W部14はカードから利用者情報を読み取る(ステップS1´)。鍵管理装置10は、カードの利用者情報に基づいて利用者Bの認証処理を行う(ステップS2´)。利用者Bが認証されると、鍵管理装置10は、鍵収納部の扉を解錠する(ステップS3´)。
【0035】
鍵管理装置10は、利用者Bの利用者情報を収容部情報と照合して、利用者Bが鍵管理装置10から取り出すことができるキーホルダを特定する(ステップS4)。利用者Bが取り出すことができるキーホルダには、管理者承認を要しないキーホルダと、管理者承認を要するキーホルダとが含まれる。利用者Bは単独認証権限を有するため、管理者承認を要しないキーホルダに加えて、管理者承認を要するキーホルダの取り出しも許可される。
【0036】
利用者B単独の認証処理によって、利用者Bが鍵管理装置10から取り出し可能なキーホルダが特定されると、鍵管理装置10は、取り出し可能なキーホルダの収容部16でロックを解除すると共に、この収容部16の位置を利用者Bに報知する(ステップS5)。これにより、利用者Bは、目的のキーホルダを収容部から取り出すことができる(ステップS6)。
【0037】
なお、単独認証可能時間が設定されている場合、管理者承認を要するキーホルダは、設定された時間内でのみ取り出しが許可される。利用者Bが、単独認証可能時間の設定時間外に認証処理を実行した場合、鍵管理装置10は、時間外であるため、管理者承認を要するキーホルダは取り出すことができないことを示す情報を操作表示部13に表示する。
【0038】
例えば、店舗の営業時間が単独認証可能時間として設定されている場合、利用者Bは、店舗の営業開始前及び営業終了後には、管理者承認を要するキーホルダを単独で鍵管理装置10から取り出すことはできない。人の少ない営業時間外の時間帯は、単独認証権限のある利用者であっても、単独の認証処理によってキーホルダを取り出すことができないように設定することで、鍵を厳重に管理することができる。
【0039】
また、例えば、営業時間外が単独認証可能時間に設定されている場合、利用者Bは、営業時間内は、管理者承認を要するキーホルダを単独で鍵管理装置10から取り出すことはできない。営業時間内は管理者が店内におり営業時間終了後に管理者が不在となる場合に、このように設定とすることで、営業時間終了後に管理者が不在になっても利用者Bは単独でキーホルダを取り出すことが可能となり利便性が向上する。
【0040】
このように、実施例1に係る鍵管理装置10では、管理者承認を要する設定とされた収容部からキーホルダを取り出すことができる取出権限を付与された利用者ごとに、単独認証権限の有無を設定することができる。これにより、単独認証権限のある利用者は、単独で、鍵管理装置10の収容部からキーホルダを取り出すことが可能となり、鍵管理装置10の利便性が向上する。また、鍵管理装置10では、単独認証権限のある利用者ごとに、単独の認証処理によってキーホルダを取り出すことができる単独認証可能時間を設定することができる。
【0041】
<鍵管理装置10の外観構成>
次に、鍵管理装置10の外観について説明する。図2は、図1に示した鍵管理装置10の外観を示す斜視図である。図2に示すように、鍵管理装置10は、操作表示部13と、R/W部14と、収容部16と、ホルダランプ15と、複数の収容部16が設けられた鍵収納部18と、扉施錠部12とを有する。
【0042】
操作表示部13は、例えばタッチパネル式のディスプレイである。操作表示部13は、利用者による各種情報の入力を受け付ける操作部として機能する。また、操作表示部13は、各種情報を画面上に表示する表示部として機能する。
【0043】
R/W部14は、利用者が携行するカードに記録されている利用者情報を読み取る。また、R/W部14は、カードにデータを書き込むこともできる。例えば、R/W部14は、非接触通信技術を利用して、非接触型のICカードから、内部メモリに記憶された利用者情報を読み取る。ただし、カードの種類は特に限定されず、カードの種類に対応するリーダライタ装置がR/W部14として利用される。例えば、接触型のICカードを利用する態様であってもよいし、情報を磁気記録する磁気カードを利用する態様であってもよい。
【0044】
鍵収納部18には、複数の収容部16が設けられている。鍵収納部18には、キーホルダを取り出せないように鍵収納部18を閉じる扉が設けられている。扉施錠部12は、この扉を施解錠する。例えば、電磁ロック機構が扉施錠部12として利用される。
【0045】
各収容部16は、例えばリングによって鍵と繋がれたキーホルダを、着脱可能に収容する。各収容部16には、キーホルダの取り出しを許可又は禁止できるように、図示しないロック機構が設けられる。鍵管理装置10は、各収容部16のロック機構を制御することにより、キーホルダの取り出しを許可又は禁止する。
【0046】
各収容部16の近傍にホルダランプ15が設けられている。鍵管理装置10は、ホルダランプ15を点灯することによって、利用者がキーホルダを取り出し可能な収容部16の位置を報知する。
【0047】
例えば、複数の異なる色で発光可能なLEDが、ホルダランプ15として利用される。鍵管理装置10は、各ホルダランプ15を複数の異なる色で点灯又は点滅させることができる。鍵管理装置10は、ホルダランプ15の発光色と発光態様との組み合わせを変更することにより、各収容部16に収容されたキーホルダの種類の違い、すなわちキーホルダに繋がれた鍵の違いを報知することができる。例えば、ホルダランプ15の発光色と発光態様との少なくともいずれか一方を変更することにより、取り出しに管理者承認を要しないキーホルダの収容部16と、管理者承認を要するキーホルダの収容部16とが区別して報知される。
【0048】
<鍵管理装置10の内部構成>
次に、鍵管理装置10の内部構成について説明する。図3は、図1に示した鍵管理装置10の内部構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、鍵管理装置10は、鍵管理制御部11、扉施錠部12、操作表示部13、R/W部14、ホルダランプ15、収容部16及び記憶部17を有する。記憶部17は、収容部情報を記憶する。例えば、ハードディスク又は不揮発性メモリが記憶部17として利用される。
【0049】
鍵管理制御部11は、鍵管理装置10の各部を制御する。この制御により実施例1に記載する鍵管理装置10の機能及び動作が実現されている。鍵管理制御部11は、受付部11a、登録部11b、認証部11c、判定部11d及び報知部11eを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムが図示しないROMや不揮発性メモリに記憶されており、これらのプログラムがCPUにロードされて実行される。これにより、受付部11a、登録部11b、認証部11c、判定部11d及び報知部11eそれぞれに対応するプロセスが実行されることになる。
【0050】
受付部11aは、管理者が操作表示部13から入力した、収容部16に対する登録指示を受け付けて、該登録指示を登録部11bに通知する。登録部11bは、該登録指示を受け付けると、管理者が操作表示部13から入力した情報を、記憶部17の収容部情報に登録する。これにより、管理者は、単独認証権限及び単独認証可能時間を設定することができる。
【0051】
認証部11cは、R/W部14がカードから読み取った利用者情報に基づいて認証処理を実行する。認証処理では、利用者がキーホルダを取り出す権限を有するか否かが判定される。また、管理者がキーホルダの取り出しを承認する権限を有するか否かが判定される。なお、認証処理の方法は、カードに記録された利用者情報に基づいて行われる態様に限定されない。例えば、予め設定されたコードが操作表示部13に入力されることにより認証処理が行われる態様であってもよい。また、例えば、顔、指紋、掌紋などの生体識別情報を用いた生体認証により認証処理が行われる態様であってもよい。
【0052】
判定部11dは、R/W部14が読み取った利用者情報に基づいて、利用者がキーホルダを取り出し可能な収容部16に、管理者承認を要する設定がなされているか否かを判定する。管理者承認を要する設定がされていた場合、続いて判定部11dは、利用者が単独認証権限を有するか否かと、単独認証可能時間内であるか否かとを判定する。これにより、利用者が単独で、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出すことができるか否かが判定される。判定部11dは、判定結果に基づいて、利用者がキーホルダを取り出し可能な収容部16でキーホルダのロックを解除する。
【0053】
報知部11eは、判定部11dの判定結果に基づいて、利用者がキーホルダを取り出し可能な収容部16の位置を報知する。報知は、該当する収容部16のホルダランプ15を点灯することによって行われる。報知部11eは、管理者承認がなくてもキーホルダを取り出すことができる収容部16のホルダランプ15と、管理者承認がなければキーホルダを取り出すことができない収容部16のホルダランプ15とを異なる色で点灯する。
【0054】
<利用者情報及び収容部情報>
次に、利用者情報及び収容部情報について説明する。図4は、図1に示した鍵管理装置10で利用される利用者情報及び収容部情報の例を示す図である。図4(a)は、利用者Aが所持するICカードに記憶された利用者情報の例を示している。ICカードからR/W部14に読み取られる利用者情報には、利用者の項目と管理者の項目とが含まれる。利用者の項目には、ICカードの所持者を特定する情報が登録されている。管理者の項目には、キーホルダの取り出しを承認する管理者を特定する情報が登録されている。図4(a)は、この利用者情報を記憶するICカードは利用者Aが所持するもので、利用者Aが、管理者承認を要するキーホルダを取り出す際には管理者Xの承認を得る必要があることを示している。
【0055】
図4(b)に示すように、鍵管理装置10の記憶部17に記憶された収容部情報には、収容部番号、管理者承認設定、利用者、単独認証権限及び単独認証可能時間の項目が含まれる。図4(b)の例では、収容部番号が「1」の収容部16では、キーホルダの取り出しに管理者の承認を要するため、管理者承認設定の項目に「有」と設定されている。
【0056】
収容部番号「1」の収容部16については、利用者A及びBの2人がキーホルダの取出権限を有するため、利用者の項目に「利用者A」、「利用者B」と設定されている。利用者Aには単独認証権限がないため、単独認証権限が「無」と設定されている。このため、収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出す際、利用者Aは、図1で説明したように、管理者Xと共に取出操作を行う必要がある。認証処理を行って利用者Aであることが確認された後、図4(a)に示す利用者情報に基づいて、管理者Xが認証処理を行ったことを条件に、利用者Aは、収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出せるようになる。
【0057】
一方、利用者Bは単独認証権限を有するため、図4(b)に示すように、単独認証権限の項目に「有」と設定されている。このため、利用者Bは、図1で説明したように、単独で認証処理を行って、利用者Bであることが確認された後、収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出せるようになる。
【0058】
図4(b)に示す例では、利用者Bについて、単独認証可能時間の項目に「8:00~18:00」と設定されている。このため、利用者Bが、単独の認証処理を行って収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出すことができる時間帯は8時から18時に制限される。18時を過ぎてから翌朝の8時までの間に、利用者Bが収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出す場合、利用者Bは、管理者に認証処理を行ってもらう必要がある。例えば、利用者Bの利用者情報で、キーホルダの取り出しを承認する管理者が管理者Xと設定されている場合、利用者Bは、利用者Aと同様に、管理者Xと共に取出操作を行うことになる。
【0059】
図4(b)に示す例では、収容部番号が「2」の収容部16では、キーホルダの取り出しに管理者の承認を要しないため、管理者承認設定の項目に「無」と設定されている。この収容部16については、利用者Aがキーホルダの取出権限を有するため、利用者の項目に「利用者A」と設定されている。この収容部16ではキーホルダの取り出しに管理者承認を要しないため、利用者Aが単独で認証処理を行った場合も、管理者Xと共に認証処理を行った場合も、利用者Aは、収容部番号「2」の収容部16からキーホルダを取り出すことができる。
【0060】
図4の例では、例えば、利用者Aが、単独で認証処理を行った場合、収容部番号「2」の収容部16でホルダランプ15が点灯する。一方、利用者Aが管理者Xと共に認証処理を行った場合、収容部番号「1」の収容部16及び収容部番号「2」の収容部16でホルダランプ15が点灯する。このとき、キーホルダの取り出しに管理者承認を要しない収容部番号「2」の収容部16のホルダランプ15と、管理者承認を要する収容部番号「1」の収容部16のホルダランプ15は、異なる色で点灯する。
【0061】
<鍵取出時の処理手順>
次に、鍵管理装置10からキーホルダを取り出す処理手順について説明する。図5は、図1に示した鍵管理装置10からキーホルダを取り出す処理手順を示すフローチャートである。図5は、利用者及び管理者の認証処理、又は利用者単独の認証処理を終了した後に行われる処理の流れを示している。
【0062】
認証処理が終わると、判定部11dは、利用者情報と収容部情報とを照合し、認証された利用者が、収容部16からキーホルダを取り出す権限を有するか否かを判定する(ステップS101)。認証された利用者が、収容部情報の利用者の項目に登録されていなければ(ステップS102;No)、判定部11dは、キーホルダを取り出し可能な収容部16がない旨を操作表示部13に表示して(ステップS103)、本処理を終了する。
【0063】
認証された利用者が、収容部情報に登録されている場合(ステップS102;Yes)、判定部11dは、この利用者がキーホルダを取り出し可能な収容部16に、管理者承認を要する設定がされているか否かを判定する(ステップS104)。管理者承認を要する収容部16が無い場合(ステップS104;No)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS107)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS107)、本処理が終了する。
【0064】
この場合、認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている全ての収容部16で、キーホルダのロックが解除されてホルダランプ15が点灯する。このときホルダランプ15が点灯する収容部16には、キーホルダの取り出しに管理者承認を要する収容部16は含まれない。
【0065】
管理者承認を要する設定がされた収容部16がある場合(ステップS104;Yes)、判定部11dは、利用者に加えて、管理者が認証されたか否かを判定する(ステップS105)。管理者が承認されていた場合(ステップS105;Yes)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS107)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS107)、本処理が終了する。
【0066】
この場合も、認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている全ての収容部16で、キーホルダのロックが解除されてホルダランプ15が点灯する。ただし、ホルダランプ15が点灯する収容部16には、キーホルダの取り出しに管理者承認を要する収容部16と、管理者承認を要しない収容部16とが含まれる。報知部11eは、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15と、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15とを異なる色で点灯する。
【0067】
管理者の承認がされていない場合(ステップS105;No)、判定部11dは、認証された利用者が単独認証権限を有し、かつ、認証時刻が単独認証可能時間として設定された時間帯に含まれているか否かを判定する(ステップS106)。認証された利用者が単独認証権限を有し、かつ、認証時刻が単独認証可能時間に含まれている場合(ステップS106;Yes)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS107)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS107)、本処理が終了する。
【0068】
認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている全ての収容部16でホルダランプ15が点灯する。ホルダランプ15が点灯する収容部16には、キーホルダの取り出しに管理者承認を要する収容部16と、管理者承認を要しない収容部16とが含まれる。報知部11eは、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15と、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15とを異なる色で点灯する。このとき、単独認証権限によってキーホルダの取り出しが許可されたことを示すため、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15を点滅させる設定とすることもできる。これにより、管理者の認証処理を行ってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS105;Yes)と、単独認証権限によってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS106;Yes)とを区別することができる。
【0069】
認証された利用者が単独認証権限を有さない場合、又は認証時刻が単独認証可能時間として設定された時間帯に含まれていない場合(ステップS106;No)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS107)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS107)、本処理が終了する。この場合、認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている収容部16のうち、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15のみが点灯する。
【0070】
上述してきたように、実施例1の鍵管理装置10では、利用者が、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出す権限を有する場合に、この利用者が単独認証権限を有するか否かの判定が行われる。単独認証権限のない利用者はキーホルダを取り出すために本人及び管理者の二者認証を行う必要があるが、単独認証権限のある利用者は、単独で認証処理を行って、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出すことができる。
【0071】
また、鍵管理装置10では、利用者が単独認証権限を有する場合に、認証時刻が、単独認証可能時間として設定された時間帯に含まれるか否かの判定が行われる。単独認証可能時間を設定することにより、利用者が単独で認証処理を行って収容部16からキーホルダを取り出すことができる時間帯を制限することができる。
【0072】
本実施形態では、鍵管理装置10内の収容部情報における設定に基づいて鍵を管理する態様を示したが、鍵管理装置10は、他の装置と連携して動作することもできる。例えば、鍵管理装置10は、店舗でスケジュール管理に利用される管理装置と接続して利用される。鍵管理装置10は、管理装置が管理する店舗の営業時間の情報を取得し、該情報を利用して、上述したように営業時間に基づく単独認証可能時間を設定することができる。
【0073】
また、例えば、管理者は、管理装置を操作して、単独認証権限と単独認証可能時間の少なくともいずれか一方を設定することができる。管理者が管理装置で設定操作を行うと、鍵管理装置10は、管理者が管理装置で設定した内容に基づいて鍵を管理する。管理装置で設定された内容が、鍵管理装置10の収容部情報に反映されることにより、鍵管理装置10は、上述したように鍵を管理することができる。
【実施例2】
【0074】
実施例1では、単独認証権限及び単独認証可能時間を設定することにより、単独認証権限を有する利用者が、単独で、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出すことができる鍵管理装置10を示した。実施例2では、単独認証権限の無い利用者が、単独で、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出すことができる鍵管理装置20について説明する。
【0075】
<実施例2に係る鍵管理システムの概要>
まず、実施例2に係る鍵管理システムの概要について説明する。図6は、実施例2に係る鍵管理システムの概要を説明するための図である。図6に示すように、本鍵管理システムは、鍵管理装置20と、鍵管理装置20とネットワークNを介して通信可能に接続された端末装置30とを含む。鍵管理装置20は、実施例1に記載した鍵管理装置10の全ての機能を有している。
【0076】
図6に示すように、単独認証権限の無い利用者Aが、鍵管理装置20からキーホルダを取り出すのに先立って、管理者Xが、端末装置30を操作して、利用者Aに対する管理者承認を予約する(ステップS11)。端末装置30は、管理者Xの操作を受けて作成した承認予約情報を鍵管理装置20に送信する(ステップS12)。鍵管理装置20は、端末装置30から受信した承認予約情報を収容部情報に登録する(ステップS13)。
【0077】
単独認証権限の無い利用者Aが単独で、所持するカードをR/W部14に翳すと、R/W部14はカードから利用者情報を読み取る(ステップS14)。鍵管理装置10は、カードの利用者情報に基づいて利用者Aの認証を行い、利用者Aがキーホルダを取り出す権限を有するか否かを判定する(ステップS15)。利用者Aがキーホルダを取り出す権限を有する場合、図示しない鍵収納部の扉が解錠されて扉が開放可能となる(ステップS16)。
【0078】
次に、鍵管理装置20は、利用者情報を収容部情報と照合し(ステップS17)、利用者Aがキーホルダを取り出し可能な収容部を特定する。このとき、収容部情報に、承認予約情報が登録されていることから、利用者Aが管理者Xと共に認証処理を行った場合と同様に、利用者Aがキーホルダを取り出し可能な収容部が特定される。この結果、管理者Xの認証処理が行われた場合と同様に、利用者Aに対して、管理者承認を要するキーホルダの取り出しが許可される。鍵管理装置20は、利用者Aが取り出し可能なキーホルダの収容部16でロックを解除すると共に、この収容部16の位置をホルダランプによって報知する(ステップS18)。これにより、利用者Aは、目的のキーホルダを収容部から取り出すことができる(ステップS19)。
【0079】
このように、実施例2に係る鍵管理システムでは、単独認証権限の無い利用者に対して、管理者が事前に時間帯を指定して承認を予約することができる。これにより、単独認証権限の無い利用者が単独で、鍵管理装置20から管理者承認を要するキーホルダを取り出すことが可能となる。
【0080】
<鍵管理装置20の内部構成>
次に、鍵管理装置20の内部構成について説明する。図7は、図6に示した鍵管理装置20の内部構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、鍵管理装置20は、鍵管理制御部21、扉施錠部12、操作表示部13、R/W部14、ホルダランプ15、収容部16、記憶部17及び通信部22を有する。扉施錠部12、操作表示部13、R/W部14、ホルダランプ15、収容部16及び記憶部17については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0081】
鍵管理制御部21は、鍵管理装置20の各部を制御する。この制御により実施例2に記載する鍵管理装置20の機能及び動作が実現されている。鍵管理制御部21は、受付部11a、登録部11b、認証部11c、判定部11d、報知部11e及び承認予約部23を有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムが図示しないROMや不揮発性メモリに記憶されており、これらのプログラムがCPUにロードされて実行される。これにより、受付部11a、登録部11b、認証部11c、判定部11d、報知部11e及び承認予約部23それぞれに対応するプロセスが実行されることになる。承認予約部23以外の各機能部については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0082】
承認予約部23は、端末装置30から受信した承認予約情報を、記憶部17の収容部情報に登録する。承認予約部23は、装置外から、キーホルダの取り出しに係る承認予約を受け付ける予約部として機能する。通信部22は、ネットワークNを介して端末装置30と通信するためのインタフェース部である。
【0083】
<端末装置30の内部構成>
次に、端末装置30の内部構成について説明する。図8は、図6に示した端末装置30の内部構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、端末装置30は、制御部31、入力部32、表示部33、通信部34及び記憶部35を有する。
【0084】
制御部31は、端末装置30の各部を制御する。この制御により実施例2に記載する端末装置30の機能及び動作が実現されている。制御部31は、承認予約管理部31a及び承認予約通知部31bを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムが図示しないROMや不揮発性メモリに記憶されており、これらのプログラムがCPUにロードされて実行される。これにより、承認予約管理部31a及び承認予約通知部31bそれぞれに対応するプロセスが実行されることになる。
【0085】
承認予約管理部31aは、入力部32から入力された承認予約情報を記憶部35に記憶して管理する。承認予約通知部31bは、通信部34を介して、承認予約情報を鍵管理装置20に送信する。
【0086】
入力部32は、端末装置30に情報を入力するために利用される。例えば、キーボード及びマウスが入力部32として利用される。表示部33は、端末装置30が情報を表示するために利用される。例えば、液晶ディスプレイ装置が表示部33として利用される。
【0087】
通信部34は、鍵管理装置20との通信を行う通信インタフェースである。記憶部35は、承認予約情報を記憶する。ハードディスク又は不揮発性メモリが記憶部35として利用される。
【0088】
<利用者情報及び収容部情報例>
次に、利用者情報及び収容部情報について説明する。図9は、図6に示した鍵管理システムで利用される利用者情報及び収容部情報の例を示す図である。図9(a)は、利用者Aが所持するICカードに記憶された利用者情報を示している。利用者情報には、利用者の項目と管理者の項目とが含まれる。図9(a)は、この利用者情報を記憶するICカードは利用者Aが所持するもので、利用者Aが、管理者承認を要するキーホルダを取り出す際には管理者Xの承認を得る必要があることを示している。
【0089】
図9(b)に示すように、鍵管理装置20の記憶部35に記憶された収容部情報には、収容部番号、管理者承認設定、利用者、単独認証権限、単独認証可能時間及び承認予約情報の項目が含まれる。図9(b)の例では、収容部番号が「1」の収容部16では、キーホルダの取り出しに管理者の承認を要するため、管理者承認設定の項目に「有」と設定されている。
【0090】
収容部番号「1」の収容部16については、利用者A及びBの2人がキーホルダの取出権限を有するため、利用者の項目に「利用者A」、「利用者B」と設定されている。利用者Aには単独認証権限がないため、単独認証権限の項目に「無」と設定されている。このため、収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出す際、通常、利用者Aは、管理者Xと共に取出操作を行う必要があるが、承認予約情報によって予約された時間帯に限り、利用者Aは単独で認証処理を行ってキーホルダを取り出すことができる。
【0091】
図9(b)の例では、利用者Aの承認予約情報の項目に「2019年8月1日8:00~9:00」と設定されている。このため、利用者Aは、この時間帯に限り、単独で認証処理を行って、収容部番号「1」の収容部16からキーホルダを取り出すことができる。
【0092】
<鍵取出時の処理手順>
次に、鍵管理装置20からキーホルダを取り出す処理手順について説明する。図10は、図6に示した鍵管理装置20からキーホルダを取り出す処理手順を示すフローチャートである。図10は、利用者及び管理者の認証処理、又は利用者単独の認証処理を終了した後に行われる処理の流れを示している。
【0093】
認証処理が終わると、判定部11dは、利用者情報と収容部情報とを照合し、認証された利用者が、収容部16からキーホルダを取り出す権限を有するか否かを判定する(ステップS201)。認証された利用者が、収容部情報の利用者の項目に登録されていなければ(ステップS202;No)、判定部11dは、キーホルダを取り出し可能な収容部16がない旨を操作表示部13に表示して(ステップS203)、本処理を終了する。
【0094】
認証された利用者が、収容部情報に登録されている場合(ステップS202;Yes)、判定部11dは、この利用者がキーホルダを取り出し可能な収容部16に、管理者承認を要する設定がされているか否かを判定する(ステップS204)。管理者承認を要する収容部16が無い場合(ステップS204;No)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS208)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS208)、本処理が終了する。
【0095】
この場合、認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている全ての収容部16で、キーホルダのロックが解除されてホルダランプ15が点灯する。このときホルダランプ15が点灯する収容部16には、キーホルダの取り出しに管理者承認を要する収容部16は含まれない。
【0096】
管理者承認を要する設定がされた収容部16がある場合(ステップS204;Yes)、判定部11dは、利用者に加えて、管理者が認証されたか否かを判定する(ステップS205)。管理者が承認されていた場合(ステップS205;Yes)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS208)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS208)、本処理が終了する。
【0097】
この場合も、認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている全ての収容部16で、キーホルダのロックが解除されてホルダランプ15が点灯する。ただし、ホルダランプ15が点灯する収容部16には、キーホルダの取り出しに管理者承認を要する収容部16と、管理者承認を要しない収容部16とが含まれる。報知部11eは、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15と、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15とを異なる色で点灯する。
【0098】
管理者の承認がされていない場合(ステップS205;No)、判定部11dは、認証された利用者が単独認証権限を有し、かつ、認証時刻が単独認証可能時間として設定された時間帯に含まれているか否かを判定する(ステップS206)。認証された利用者が単独認証権限を有し、かつ、認証時刻が単独認証可能時間に含まれている場合(ステップS206;Yes)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS208)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS208)、本処理が終了する。
【0099】
認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている全ての収容部16で、キーホルダのロックが解除されてホルダランプ15が点灯する。ホルダランプ15が点灯する収容部16には、キーホルダの取り出しに管理者承認を要する収容部16と、管理者承認を要しない収容部16とが含まれる。報知部11eは、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15と、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15とを異なる色で点灯する。このとき、単独認証権限によってキーホルダの取り出しが許可されたことを示すため、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15を点滅させる設定とすることもできる。これにより、管理者の認証処理を行ってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS205;Yes)と、単独認証権限によってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS206;Yes)とを区別することができる。
【0100】
認証された利用者が単独認証権限を有さない場合、又は認証時刻が単独認証可能時間として設定された時間帯に含まれていない場合(ステップS206;No)、判定部11dは、承認予約情報で設定された承認条件を満たす否かを判定する(ステップS207)。利用者に対して承認予約情報が設定され、かつ、認証時刻が承認予約情報で設定された時間帯に含まれていた場合(ステップS207;Yes)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS208)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS208)、本処理が終了する。
【0101】
この場合、キーホルダの取り出しに管理者承認を要しない収容部16と、管理者承認を要する収容部16のうち承認予約情報によって承認された収容部16とで、キーホルダのロックが解除されてホルダランプ15が点灯する。報知部11eは、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15と、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15とを異なる色で点灯する。このとき、承認予約情報に基づいてキーホルダの取り出しが許可されたことを示すため、管理者承認を要する収容部16のホルダランプ15を点滅させる設定とすることもできる。また、点滅速度を、単独認証権限によってキーホルダの取り出しが許可された場合の点滅速度と異なる速度に設定することができる。これにより、管理者の認証処理を行ってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS205;Yes)と、単独認証権限によってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS206;Yes)と、承認予約情報によってキーホルダの取り出しが許可された場合(ステップS207;Yes)とのそれぞれを区別することができる。
【0102】
利用者に対して承認予約情報が設定されていない場合、又は承認予約情報が設定されたが認証時刻が承認予約情報で設定された時間帯に含まれていない場合(ステップS207;No)、報知部11eが、ホルダランプ15を点灯して、キーホルダを取り出しが可能な収容部16の位置を報知する(ステップS208)。また、判定部11dが、キーホルダを取り出し可能な収容部16のロックを解除して(ステップS208)、本処理が終了する。この場合、認証された利用者が収容部情報の利用者の項目に登録されている収容部16のうち、管理者承認を要しない収容部16のホルダランプ15のみが点灯する。
【0103】
なお、実施例2に示した鍵管理システムの構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成を有することを要しない。鍵管理システムを構成する各装置の分散・統合の形態は、上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0104】
上述してきたように、実施例2の鍵管理装置20では、利用者が、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出す権限を有する場合に、この利用者が単独認証権限を有するか否かの判定が行われる。単独認証権限のない利用者はキーホルダを取り出すために本人及び管理者の二者認証を行う必要があるが、単独認証権限のある利用者は、単独で認証処理を行って、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出すことができる。
【0105】
また、鍵管理装置20では、利用者が単独認証権限を有する場合に、認証時刻が、単独認証可能時間として設定された時間帯に含まれるか否かの判定が行われる。単独認証可能時間を設定することにより、利用者が単独で認証処理を行って収容部16からキーホルダを取り出すことができる時間帯を制限することができる。
【0106】
さらに、鍵管理装置20では、利用者が単独認証権限を有さない場合に、この利用者に対して、管理者が事前に時間帯を指定してキーホルダ取り出しの承認を予約しているか否かの判定が行われる。管理者が事前に承認を予約している場合、管理者が指定した時間帯に限り、単独認証権限の無い利用者も単独で認証処理を行って、管理者承認を要するキーホルダを収容部16から取り出すことができる。
【0107】
本実施形態では利用者及び管理者を例に説明を行ったが、これらは例示である。例えば、収容部16からキーホルダを取り出す際に鍵管理装置10、20が認証処理を求める対象者は、上述したように利用者を第1利用者、管理者を第2利用者として、これら2人に認証処理を求める態様に限定されず、管理者の立場にはない2人の利用者を第1利用者及び第2利用者として、これら2人に認証処理を求める態様であってもよい。また、2人の管理者を第1利用者及び第2利用者として、これら2人に認証処理を求める態様であってもよい。認証処理を求める複数対象者の種類は特に限定されない。また、例えば、単独認証権限を含む収容部情報の設定を行う者は管理者に限定されず、管理者の立場にはない利用者が収容部情報の設定を行う態様であってもよい。設定操作を行う操作者の種類は特に限定されない。
【0108】
本実施形態では、管理者が、収容部16からのキーホルダの取り出しを利用者に許可するための単独認証権限を含む許可情報を、予め記憶部17の収容部情報に登録する態様を示した。この他、キーホルダを取り出す際に鍵管理装置10、20に許可情報を入力する態様であってもよい。具体的には、管理者が、所定端末を操作して許可情報を生成し、これを利用者が所持する携帯型の通信端末に送信する。利用者は、通信端末に受けた許可情報を鍵管理装置10、20に入力する。許可情報を認識した鍵管理装置10、20は、利用者が、単独で認証処理を実行することにより管理者承認を要するキーホルダを取り出せるように、収容部16を制御する。
【0109】
例えば、許可情報は、許可情報を発行した管理者を特定する管理者情報と、キーホルダの取り出しが許可される鍵管理装置10、20及び収容部16を特定する装置情報と、取り出しが許可された利用者を特定する利用者情報と、取り出し可能な期間を特定する期間情報とを含む。許可情報は図形コードに符号化されて送受信される。例えば、許可情報はQRコード(登録商標)に符号化されて電子メールを利用して送信される。鍵管理装置10、20は、図形コードの読取装置を利用して、利用者が携帯通信端末の操作表示部に表示した図形コードを読み取る。例えば、利用者は、スマートフォンを利用して、電子メールによって受信したQRコードを画面に表示して鍵管理装置10、20に読み取らせる。鍵管理装置10、20は、図形コードから許可情報を取得して記憶部17に記憶する。鍵管理装置10、20は、許可情報に含まれる各情報に基づいて、利用者が単独で認証処理を行って、管理者承認を要するキーホルダを取り出せるように収容部16を制御する。利用者が単独でキーホルダを取り出すことができる期間は、許可情報に含まれる期間情報に基づいて制限される。利用者は、期間情報に設定された期間内でなければ、収容部16からキーホルダを取り出すことはできない。これにより、例えばネットワークに障害が発生した場合でも、管理者が利用者の携帯通信端末に許可情報を送信することにより、利用者は、管理者承認を要するキーホルダを取り出すことができる。
【0110】
本実施形態に係る鍵管理装置10、20は、管理者による業務開始操作及び業務終了操作に基づく処理を行うことも可能となっている。業務開始操作は、管理者が店舗の業務を開始するめに行う操作である。業務終了処理は、管理者が店舗の業務を終了するために行う操作である。鍵管理装置10、20は、業務開始操作が行われてから、業務終了操作が行われるまでの間、全ての収容部16で上述したようにキーホルダを管理する。業務終了操作が行われた後、鍵管理装置10、20は、予め設定された一部の収容部16のみで上述したようにキーホルダを管理する。管理者は、業務終了後も継続して、上述したようにキーホルダを取り出し可能とする収容部16を指定することができる。管理者が業務終了操作を行った後、管理者が指定した一部の収容部16以外の収容部16からは、キーホルダを取り出すことができなくなる。
【0111】
例えば、管理者が鍵管理装置10、20又は端末装置30で業務開始操作を行うと、利用者は鍵管理装置10、20の収容部16から上述したようにキーホルダを取り出して、店舗の開店準備を行うことができる。店舗の営業終了後、管理者が、鍵管理装置10、20又は端末装置30で業務終了操作を行うと、鍵管理装置10、20は、予め管理者が指定した一部の収容部16のみでキーホルダの管理を継続し、他の収容部16についてはキーホルダを取り出せないように制御する。業務終了操作によって鍵管理装置10、20の全機能が停止すると全ての収容部16からキーホルダを取り出すことができなくなるが、業務終了操作後も鍵管理装置10、20が一部の収容部16でキーホルダの管理を継続する。これにより、例えば緊急事態の場合、一部のキーホルダについては管理者の店舗への到着を待たずに鍵管理装置10、20から取り出すことができる。これにより、鍵管理装置10、20は、様々な鍵の利用方法に柔軟に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係る鍵管理装置、鍵管理システム及び鍵管理方法は、利用者の利便性を損なうことなく管理者が鍵を管理するために有用である。
【符号の説明】
【0113】
10、20 鍵管理装置
11、21 鍵管理制御部
12 扉施錠部
13 操作表示部
14 R/W部
15 ホルダランプ
16 収容部
17 記憶部
18 鍵収納部
22 通信部
30 端末装置
31 制御部
32 入力部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10