(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62D 33/077 20060101AFI20230620BHJP
B62D 24/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B62D33/077
B62D24/00
(21)【出願番号】P 2019217134
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-10-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日 令和1年11月26日 刊行物 HINO REPORT 2019年4月1日から2019年9月30日まで、表表紙、日野自動車株式会社発行 〔刊行物等〕 展示日 令和1年10月24日~11月4日 展示会名 第46回東京モーターショー2019 [The 46th Tokyo Motor Show 2019]、HINO@TOKYO MOTOR SHOW2019 〔刊行物等〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年10月9日,令和1年10月22日 ウェブサイトのアドレス(URL) https://www.hino.co.jp/corp/news/2019/20191009-002433.html https://twitter.com/HINOJapan/status/1181848836156743681 https://www.youtube.com/watch?v=1O_VT9X4cAI&feature=youtu.be https://www.youtube.com/watch?v=vmGxT6GCGUA&feature=youtu.be
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁一
(72)【発明者】
【氏名】若生 倫義
(72)【発明者】
【氏名】西田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 邦彦
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-079885(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230720(WO,A1)
【文献】特開平11-250950(JP,A)
【文献】特表2003-521408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0195014(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018220377(DE,A1)
【文献】特開2019-151199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/077
B62D 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能に構成されたシャシーと、
前記シャシーの上部に取り付けられるボデーと、
前記ボデーを前記シャシーに着脱可能に取り付ける着脱部と、を備え、
前記着脱部は、
前記シャシーの上部及び前記ボデーの下部の一方に設けられた掛止部と、
前記シャシーの上部及び前記ボデーの下部の他方に設けられ、前記掛止部に掛止されることで前記ボデーを前記シャシーに固定する被掛止部と、
前記掛止部に設けられた第1電極と、
前記被掛止部に設けられた第2電極と、
を有し、
前記掛止部と前記被掛止部とは、前記シャシーの上部と前記ボデーの下部とのそれぞれにおいて互いに対応する位置に設けられ、
前記シャシーの上部に設けられた前記第1電極又は前記第2電極は、前記シャシーが具備する電源と電気的に接続されており、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記掛止部が前記被掛止部に掛止する動作に連動して互いに電気的に接続される、車両。
【請求項2】
走行可能に構成されたシャシーと、
前記シャシーの上部に取り付けられるボデーと、
前記ボデーを前記シャシーに着脱可能に取り付ける着脱部と、を備え、
前記着脱部は、
前記シャシーの上部及び前記ボデーの下部の一方に設けられた掛止部と、
前記シャシーの上部及び前記ボデーの下部の他方に設けられ、前記掛止部に掛止されることで前記ボデーを前記シャシーに固定する被掛止部と、
前記掛止部に設けられた第1電極と、
前記被掛止部に設けられた第2電極と、
を有し、
前記掛止部と前記被掛止部とは、前記シャシーの上部と前記ボデーの下部とのそれぞれにおいて互いに対応する位置に設けられ、
前記シャシーの上部に設けられた前記第1電極又は前記第2電極は、前記シャシーが具備する電源と電気的に接続されており、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記掛止部が前記被掛止部との掛止を解除する動作に連動して電気的に接続されなくなる、車両。
【請求項3】
前記着脱部は、前記掛止部を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記掛止部を上方に付勢する付勢部を含み、
前記掛止部は、前記被掛止部が前記掛止部に当接すると共に前記掛止部を押し下げる動作に連動して、前記被掛止部との掛止を開始する、請求項1記載の車両。
【請求項4】
前記着脱部は、前記掛止部を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記掛止部を上方に付勢する付勢部を含み、
前記掛止部は、前記掛止部を押し下げていた前記被掛止部が上方に押し上げられる動作に連動して、前記被掛止部との掛止を解除する、請求項2記載の車両。
【請求項5】
前記着脱部は、前記掛止部を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記支持部の軸方向に対する前記掛止部の傾斜変位を許容する可撓性部材を介して前記掛止部を支持する、請求項1~4の何れか一項記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャシフレームと、シャシフレーム上に取り付けられたキャブと、キャブの後方のシャシフレーム上に取り付けられた荷台と、を備える車両が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両では、ある用途に応じた荷台がシャシフレームに一旦取り付けられると、異なる用途の荷台に交換することなく車両を用に供することが一般的である。ここで、走行可能に構成されたシャシーの上部に固定可能な複数のボデーを、多様な用途に応じて予め準備しておき、用途に応じてボデーを取り替えるという新たな車両の概念が、出願人により提案されている。このような車両にあっては、例えばボデーの取り替えに際してシャシーからボデーへの電力供給の経路が一旦断たれるため、シャシーとボデーとの着脱の容易性を向上することが検討されている。
【0005】
本発明は、シャシーから電力供給されるボデーとシャシーとの着脱の容易性を向上することが可能となる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両は、走行可能に構成されたシャシーと、シャシーの上部に取り付けられるボデーと、ボデーをシャシーに着脱可能に取り付ける着脱部と、を備え、着脱部は、シャシーの上部及びボデーの下部の一方に設けられた掛止部と、シャシーの上部及びボデーの下部の他方に設けられ、掛止部に掛止されることでボデーをシャシーに固定する被掛止部と、掛止部に設けられた第1電極と、被掛止部に設けられた第2電極と、を有し、掛止部と被掛止部とは、シャシーの上部とボデーの下部とのそれぞれにおいて互いに対応する位置に設けられ、シャシーの上部に設けられた第1電極又は第2電極は、シャシーが具備する電源と電気的に接続されており、第1電極及び第2電極は、掛止部が被掛止部に掛止する動作に連動して互いに電気的に接続される。
【0007】
本発明の一態様に係る車両では、シャシーの上部に設けられた第1電極又は第2電極は、シャシーが具備する電源と電気的に接続されている。第1電極及び第2電極は、掛止部が被掛止部に掛止する動作に連動して互いに電気的に接続される。この構成によれば、ボデーをシャシーに取り付ける際、掛止部が被掛止部と掛止することで、ボデーがシャシーに固定されると共に、第1電極及び第2電極を介してシャシーの電源からの電力がボデー側に供給可能とされる。したがって、シャシーへのボデーの取り付けに際して、シャシーから電力供給されるボデーとシャシーとの着脱の容易性を向上することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様に係る車両は、走行可能に構成されたシャシーと、シャシーの上部に取り付けられるボデーと、ボデーをシャシーに着脱可能に取り付ける着脱部と、を備え、着脱部は、シャシーの上部及びボデーの下部の一方に設けられた掛止部と、シャシーの上部及びボデーの下部の他方に設けられ、掛止部に掛止されることでボデーをシャシーに固定する被掛止部と、掛止部に設けられた第1電極と、被掛止部に設けられた第2電極と、を有し、掛止部と被掛止部とは、シャシーの上部とボデーの下部とのそれぞれにおいて互いに対応する位置に設けられ、シャシーの上部に設けられた第1電極又は第2電極は、シャシーが具備する電源と電気的に接続されており、第1電極及び第2電極は、掛止部が被掛止部との掛止を解除する動作に連動して電気的に接続されなくなる。
【0009】
本発明の一態様に係る車両では、シャシーの上部に設けられた第1電極又は第2電極は、シャシーが具備する電源と電気的に接続されている。第1電極及び第2電極は、掛止部が被掛止部との掛止を解除する動作に連動して電気的に接続されなくなる。この構成によれば、ボデーをシャシーから取り外す際、掛止部が被掛止部との掛止を解除することで、ボデーがシャシーから取り外し可能となると共に、第1電極及び第2電極を介してのシャシーの電源からの電力供給が遮断される。したがって、シャシーへのボデーの取り付けに際して、シャシーから電力供給されるボデーとシャシーとの着脱の容易性を向上することが可能となる。
【0010】
一実施形態において、着脱部は、掛止部を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部を有し、支持部は、掛止部を上方に付勢する付勢部を含み、掛止部は、被掛止部が掛止部に当接すると共に掛止部を押し下げる動作に連動して、被掛止部との掛止を開始してもよい。この場合、ボデーをシャシーに取り付ける際にシャシーの上部に対してボデーを下方に下ろしていく動作を利用して、掛止部と被掛止部との掛止を開始させることができる。
【0011】
一実施形態において、着脱部は、掛止部を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部を有し、支持部は、掛止部を上方に付勢する付勢部を含み、掛止部は、掛止部を押し下げていた被掛止部が上方に押し上げられる動作に連動して、被掛止部との掛止を解除してもよい。この場合、ボデーをシャシーから取り外す際にシャシーの上部に対してボデーを上方に上げていく動作を利用して、掛止部と被掛止部との掛止を解除させることができる。
【0012】
一実施形態において、着脱部は、掛止部を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部を有し、支持部は、支持部の軸方向に対する掛止部の傾斜変位を許容する可撓性部材を介して掛止部を支持してもよい。この場合、可撓性部材により、支持部の軸方向に対する掛止部の傾斜変位が許容されるため、例えば地面からの入力により生じるシャシーの捻れ又は振動がボデーに伝達することを抑制することが図られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シャシーから電力供給されるボデーとシャシーとの着脱の容易性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1の車両におけるシャシーを例示する斜視図である。
【
図3】
図2の着脱部におけるシャシー側の一部を例示する斜視図である。
【
図4】
図3の掛止部を説明するための斜視図である。
【
図5】シャシーからボデーが取り外された状態の着脱部を例示する断面図である。
【
図6】ボデーをシャシーに取り付ける際に被掛止部が掛止部に当接した状態の着脱部を例示する断面図である。
【
図7】ボデーをシャシーに取り付ける際に被掛止部が掛止部を押し下げた状態の着脱部を例示する断面図である。
【
図8】シャシーにボデーが取り付けられている状態の着脱部を例示する断面図である。
【
図9】シャシーからボデーを取り外す際に掛止部を押し下げていた被掛止部が上方に押し上げられる状態の着脱部を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明において、上下方向は、車両上下方向を意味する。
図5~
図9において、紙面上方が車両上下方向における上方に対応し、紙面下方は車両上下方向における下方に対応する。
【0016】
図1は、一実施形態の車両1を例示する概略図である。
図2は、車両1におけるシャシー2を例示する斜視図である。
図1に示されるように、車両1は、走行可能に構成されたシャシー2と、シャシー2の上部3に固定されるボデー4と、を備えている。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、シャシー2は、一例として、扁平な外形形状とされており、フレーム部2aにバッテリ(電源)2b及びモータ等が内蔵されている。フレーム部2aは、例えば上下方向を厚み方向とする板状の複数の板部2cが平面視で網目状に連なって一体的に形成されており、シャシー2の表側及び裏側のそれぞれに一対配置されている。一対のフレーム部2aは、表側及び裏側が互いに複数箇所で上下方向に連結されており、車両1の走行中等における地面からの入力により、シャシー2の捻れ又は振動がフレーム部2aに生じ得る。シャシー2では、前輪5及び後輪6の少なくとも一方がモータにより駆動される。
【0018】
ボデー4は、用途に応じて製作された設備機能を有しており、シャシー2に架装されて用いられる。ボデー4は、シャシー2から取り外された状態(例えば地上に載置された状態)でも使用可能であってもよい。
【0019】
ボデー4には、上下方向に伸縮可能な油圧シリンダ等が予め設けられていてもよい(図示省略)。この場合、ボデー4を単体で上昇させることでボデー4をシャシー2から脱着できる。この状態でシャシー2のみを走行させてボデー4の下方から退出させ、ボデー4を単体で下降させることでボデー4を単体で着陸させ、その場で用に供することができる。また、ボデー4を単体で上昇させておき、ボデー4の下方に位置するようにシャシー2を走行させて、ボデー4を下降させることで、ボデー4をシャシー2に取り付けることができる。なお、ボデー4は、上述の形状及び設備機能の他、その他の用途等に応じて、異なる形状及び設備機能を有していてもよい。
【0020】
シャシー2の上部3(例えばフレーム部2aの上面3a)には、ボデー4を架装するための着脱部10が設けられている。着脱部10は、ボデー4をシャシー2に着脱可能に取り付けるための機構である。着脱部10は、一例としてシャシー2の上部3に設けられ掛止部20を有している。
【0021】
図3は、着脱部10におけるシャシー2側の一部を例示する斜視図である。
図4は、掛止部20を説明するための斜視図である。
図3及び
図4に示されるように、掛止部20は、着脱部10におけるシャシー2側の一部であり、フレーム部2aにおける板部2cに形成された開口2dから上部分が突出すると共に開口2dに下部分が埋設されている。板部2cにおける開口2dの周囲は、例えば、板部2cに対して窪む凹部2eとされ、板部2cと凹部2eとが略三角形状の接続面2fにより接続されている。
【0022】
図5は、シャシー2からボデー4が取り外された状態の着脱部10を例示する断面図である。
図3~
図5に示されるように、掛止部20は、マウント外軸部21と、ロックピン22と、リターンスプリング23と、を有している。
【0023】
マウント外軸部21は、ロックピン22の基部として機能する部分である。マウント外軸部21は、一例として、概略円筒状の形状を有している。マウント外軸部21は、その軸線と同軸に所定半径の貫通孔21aが形成されている。貫通孔21aは、後述のマウント内軸部41を挿通させるための孔である。
【0024】
マウント外軸部21の上端部21bには、一対のロックピン22が配置されている。一対のロックピン22は、マウント外軸部21の軸方向(上下方向)と直交する方向に並設されている。
【0025】
上端部21bには、貫通孔21aの開口を露出させるように溝21dが設けられている(
図4参照)。溝21dは、ロックピン22の並設方向に直交する方向に沿う幅寸法でロックピン22の並設方向に沿って延在している。
【0026】
溝21dは、例えば、ロックピン22のフランジ部22aと摺動可能に嵌合する凹条部21eを含む。フランジ部22aは、ロックピン22の側面下端部から幅方向に突出する部分である。フランジ部22aは、ロックピン22の並設方向に沿って一定断面にてロックピン22の並設方向長の全体に亘って延在している。
【0027】
溝21dには、フランジ部22aが凹条部21eに納められた状態で、一対のロックピン22が摺動可能に嵌め込まれる。溝21dに嵌め込まれた状態で、一対のロックピン22の上部は、マウント外軸部21の上端部21bの表面形状と面一となるように互いに同じ形状に形成されている。
【0028】
一対のロックピン22において、一対の対向面22bが互いに対向している。対向面22bには、リターンスプリング23を配置するための凹部22cが形成されている。なお、
図4において、リターンスプリング23の図示は省略されている。
【0029】
図5に示されるように、一例として、着脱部10は、 ボデー4の下部4aに設けられた被掛止部30を有している。掛止部20と被掛止部30とは、シャシー2の上部3とボデー4の下部4aとのそれぞれにおいて互いに対応する位置に設けられている。
【0030】
被掛止部30は、ボデー4の下部4aから下方に立設された立設部31と、立設部31の下端から屈曲されてボデー4の下部4aに沿って延在する延在部32と、を有している。被掛止部30では、立設部31及び延在部32により囲まれた空間Sが、掛止部20のロックピン22が掛止可能な寸法とされている。延在部32の先端同士の間隔は、マウント外軸部21及びロックピン22の径寸法よりも大きい。つまり、延在部32の先端同士の間隔は、一対のロックピン22が互いに接触した状態のマウント外軸部21が差し込み可能な間隔である。ボデー4の下部4aにおける空間Sに臨む部分は、掛止部20を押圧可能な押圧面33とされている。
【0031】
着脱部10は、支持部40を有している。支持部40は、マウント内軸部41と、スプリング42と、可撓性部材43と、スライド部材44と、を含んでいる。
【0032】
フレーム部2aの板部2cには、開口2dの下方に凹部を形成する有底円筒部材45が設けられており、支持部40の各構成が収容されている。有底円筒部材45の径寸法は、開口2dの径寸法よりも小さく、板部2cが有底円筒部材45の径方向内側に突出する位置関係となっている。これにより、スライド部材44が板部2cの裏側(下面)に当接可能とされている。
【0033】
マウント内軸部41は、有底円筒部材45の中央部に設けられた柱状部であり、マウント外軸部21の貫通孔21aに挿通される。マウント内軸部41の先端41aは、例えば円錐状の突起とされており、スライド部材44が板部2cの裏側に当接した場合に、マウント外軸部21の貫通孔21aから突出する。
【0034】
第1電極E1は、掛止部20に設けられている。第1電極E1は、例えば、一対のロックピン22の並設方向において対向面22bとは反対側の外周面22hに設けられている。第1電極E1は、ロックピン22の並設方向の移動に応じて移動する。第1電極E1は、シャシー2が具備するバッテリ2bと電気的に接続されている。例えば、一対の第1電極E1には、それぞれ配線W1,W2が接続されており、配線W1,W2を介してバッテリ2bと電気的に接続されている。なお、配線W1,W2は、第1電極E1以外とは絶縁されている。
【0035】
第2電極E2は、被掛止部30に設けられている。第2電極E2は、被掛止部30における立設部31におけるシール部材34で挟まれる領域に設けられている。第2電極E2は、一対のロックピン22がシール部材34と密着した場合に、ロックピン22とシール部材34と立設部31とによって画成される密閉空間T(
図7参照)に位置させられる。つまり、一対のロックピン22がシール部材34と密着した場合に、第2電極E2の防水性の向上が図られることとなる。
【0036】
ボデー4の下部4aから延在部32までの間隔は、ロックピン22の上下寸法に対応し、例えばロックピン22の上下寸法にシール部材34の寸法を加えた間隔程度とされている。シール部材34は、例えばゴム材等で構成されており、空間S内で一対のロックピン22が互いに離間した場合にロックピン22の上面22dの端部及び外周面22hと密着するように構成されている(
図7参照)。シール部材34は、一対のロックピン22が互いに空間Sで離間した場合にロックピン22の幅方向についてもロックピン22の幅方向端部と密着するように構成されていてもよい(図示省略)。
【0037】
一対のロックピン22が並設方向に接触している状態において、一対の凹部22cは連続する円柱状の空間を画成する。凹部22cの底部には、リターンスプリング23のそれぞれの端部が公知の手法により固定することができる。リターンスプリング23は、一対のロックピン22を引き寄せるように弾性力を付勢する。
【0038】
図3及び
図5に示されるように、マウント外軸部21の上面21f及びロックピン22の上面22dは、板部2cと略平行な面一の平坦面とされており、被掛止部30の押圧面33よりも小さい面積とされている。ロックピン22の下面22eには、切欠部22fが形成されており、一対の対向面22bが接触した場合に一対の切欠部22fによって凹部22gが形成される。凹部22gは、マウント内軸部41の先端41aが接触することによって、一対のロックピン22のマウント外軸部21の中央部への位置決めを可能とする。
【0039】
図5に示されるように、マウント外軸部21の下端側には、拡径部21gが設けられている。拡径部21gは、可撓性部材43の凹部43aと嵌合可能に構成されている。マウント外軸部21及び可撓性部材43は、拡径部21gと凹部43aとが嵌合した状態で一体的に移動可能となっている。可撓性部材43は、例えばゴム材等で構成されており、支持部40の軸方向に対する掛止部20の傾斜変位を許容する。支持部40は、可撓性部材43を介して掛止部20を支持しており、例えば地面からの入力によりシャシー2の捻れ又は振動が生じて支持部40の軸方向変位が生じたとしても、掛止部20の傾斜変位が許容されるため、支持部40の軸方向変位に対して掛止部20の軸方向変位を小さく抑えるることができる。これにより、シャシー2の捻れ又は振動のボデー4への伝達が抑制される。
【0040】
可撓性部材43の周囲には、スライド部材44が一体的に設けられている。スライド部材44の上端及び下端は、可撓性部材43の角部を覆うように折曲げられており、可撓性部材43及びスライド部材44は、で一体的に移動可能となっている。したがって、支持部40は、着脱部10は、掛止部20を車両上下方向に摺動可能に支持している。
【0041】
支持部40は、掛止部20を上方に付勢するスプリング(付勢部)42を含んでいる。スプリング42の下端は、有底円筒部材45の底部45aに当接している。マウント外軸部21の下端には、断付開口部21hが設けられている。断付開口部21hは、スプリング42の上端のバネ座部として機能し、スプリング42がマウント外軸部21を上方に付勢する。
【0042】
以上のように構成された着脱部10によれば、掛止部20は、被掛止部30に掛止することでボデー4をシャシー2に固定する。第1電極E1及び第2電極E2は、掛止部20が被掛止部30に掛止する動作に連動して互いに電気的に接続される。
【0043】
具体的な一例として、掛止部20は、被掛止部30が掛止部20に当接すると共に掛止部20を押し下げる動作に連動して、被掛止部30との掛止を開始する。
図6は、ボデー4をシャシー2に取り付ける際に被掛止部30が掛止部20に当接した状態の着脱部を例示する断面図である。
図7は、ボデー4をシャシー2に取り付ける際に被掛止部30が掛止部20を押し下げた状態の着脱部10を例示する断面図である。
【0044】
図6には、
図5のようにボデー4がシャシー2の上方に位置していた状態からボデー4が下降されて、被掛止部30の押圧面33がマウント外軸部21の上面21f及びロックピン22の上面22dに当接した状態が示されている。
図6の状態では、ロックピン22が被掛止部30の空間Sに収容され、上下方向においてロックピン22の下面22eの方が延在部32よりも上方に位置し、ロックピン22が空間S内で摺動移動可能な状態とされている。
【0045】
図6及び
図7に示されるように、
図6の状態からボデー4が更に下降されることにより、押圧面33が上面21f及び上面22dを下方に押圧し、スプリング42の弾性力に抗して被掛止部30が掛止部20を押し下げることとなる。このとき、マウント内軸部41に対して相対的にロックピン22が下方に移動させられることで、マウント内軸部41の先端41aの形状に沿ってロックピン22の切欠部22fが滑走し、先端41aによって一対のロックピン22が並設方向に沿って押し拡げられることとなる。このような一対のロックピン22の移動により、ロックピン22が空間S内で摺動移動され、第1電極E1と第2電極E2とが接触するに至る。
【0046】
一方、着脱部10によれば、掛止部20は、被掛止部30との掛止を解除することでボデー4をシャシー2から取り外し可能とする。第1電極E1及び第2電極E2は、掛止部20が被掛止部30との掛止を解除する動作に連動して電気的に接続されなくなる。
【0047】
具体的な一例として、掛止部20は、掛止部20を押し下げていた被掛止部30が上方に押し上げられる動作に連動して、被掛止部30との掛止を解除する。
図8は、シャシー2にボデー4が取り付けられている状態の着脱部10を例示する断面図である。
図9は、シャシー2からボデー4を取り外す際に掛止部20を押し下げていた被掛止部30が上方に押し上げられる状態の着脱部10を例示する断面図である。
【0048】
図8には、ボデー4がシャシー2に固定されている状態が示されている。
図8の状態では、ロックピン22の凹部22cの底部に固定されたリターンスプリング23は、一対のロックピン22が押し拡げられていることで、一対のロックピン22を引き寄せるように弾性力を付勢している。ロックピン22の切欠部22fがマウント内軸部41の先端41aと当接して、ロックピン22の接近が妨げられている。
【0049】
図8及び
図9に示されるように、
図8の状態からボデー4が上昇されることにより、押圧面33が上面21f及び上面22dに当接した状態で被掛止部30が上方に移動される。このとき、先端41aが先細りとなるのに応じて、リターンスプリング23の弾性力によってロックピン22の切欠部22fがマウント内軸部41の先端41aの形状に沿って滑走し、一対のロックピン22が互いに接近させられる。このような一対のロックピン22の移動により、ロックピン22が空間S内で摺動移動され、第1電極E1と第2電極E2とが接触していない状態となる。
図9の状態では、一対のロックピン22の対向面22bが互いに接触するに至り、貫通孔21aから僅かに突出した先端41aによって、一対のロックピン22がマウント外軸部21の中央部へ位置決めされて、
図5の状態に戻る。
【0050】
[作用及び効果]
以上、本実施形態に係る車両1では、シャシー2の上部3に設けられた第1電極E1又は第2電極E2は、シャシー2が具備するバッテリ2bと電気的に接続されている。第1電極E1及び第2電極E2は、掛止部20が被掛止部30に掛止する動作に連動して互いに電気的に接続される。この構成によれば、ボデー4をシャシー2に取り付ける際、掛止部20が被掛止部30と掛止することで、ボデー4がシャシー2に固定されると共に、第1電極E1及び第2電極E2を介してシャシー2のバッテリ2bからの電力がボデー4側に供給可能とされる。したがって、シャシー2へのボデー4の取り付けに際して、シャシー2から電力供給されるボデー4とシャシー2との着脱の容易性を向上することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態に係る車両1では、シャシー2の上部3に設けられた第1電極E1又は第2電極E2は、シャシー2が具備するバッテリ2bと電気的に接続されている。第1電極E1及び第2電極E2は、掛止部20が被掛止部30との掛止を解除する動作に連動して電気的に接続されなくなる。この構成によれば、ボデー4をシャシー2から取り外す際、掛止部20が被掛止部30との掛止を解除することで、ボデー4がシャシー2から取り外し可能となると共に、第1電極E1及び第2電極E2を介してのシャシー2のバッテリ2bからの電力供給が遮断される。したがって、シャシー2へのボデー4の取り付けに際して、シャシー2から電力供給されるボデー4とシャシー2との着脱の容易性を向上することが可能となる。
【0052】
車両1では、着脱部10は、掛止部20を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部40を有し、支持部40は、掛止部20を上方に付勢するスプリング42を含み、掛止部20は、被掛止部30が掛止部20に当接すると共に掛止部20を押し下げる動作に連動して、被掛止部30との掛止を開始する。これにより、ボデー4をシャシー2に取り付ける際にシャシー2の上部に対してボデー4を下方に下ろしていく動作を利用して、掛止部20と被掛止部30との掛止を開始させることができる。
【0053】
車両1では、着脱部10は、掛止部20を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部40を有し、支持部40は、掛止部20を上方に付勢するスプリング42を含み、掛止部20は、掛止部20を押し下げていた被掛止部30が上方に押し上げられる動作に連動して、被掛止部30との掛止を解除する。これにより、ボデー4をシャシー2から取り外す際にシャシー2の上部に対してボデー4を上方に上げていく動作を利用して、掛止部20と被掛止部30との掛止を解除させることができる。
【0054】
車両1では、着脱部10は、掛止部20を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部40を有し、支持部40は、支持部40の軸方向に対する掛止部20の傾斜変位を許容する可撓性部材43を介して掛止部20を支持する。この可撓性部材43により、支持部40の軸方向に対する掛止部20の傾斜変位が許容されるため、例えば地面からの入力により生じるシャシー2の捻れ又は振動がボデー4に伝達することを抑制することが図られる。
【0055】
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0056】
上記実施形態では、掛止部20は、被掛止部30が掛止部20に当接すると共に掛止部20を押し下げる動作に連動して、被掛止部30との掛止を開始したが、この構成に限定されない。また、掛止部20は、掛止部20を押し下げていた被掛止部30が上方に押し上げられる動作に連動して、被掛止部30との掛止を解除したが、この構成に限定されない。例えば、掛止部20を車両上下方向に摺動可能に支持する支持部40及び掛止部20を上方に付勢するスプリング42に代えて、掛止部20を車両上下方向に移動可能なアクチュエータ等を用いてもよい。
【0057】
上記実施形態では、支持部40の軸方向に対する掛止部20の傾斜変位を許容する可撓性部材43を介して掛止部20が支持されていたが、これに限定されない。可撓性部材43は、掛止部20の軸方向変位のみ許容する構成であってもよいし、掛止部20の軸周りの周方向変位のみ許容する構成であってもよい。また、可撓性部材43が省略されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、シャシー2は、扁平な外形形状とされており、例えば図示しないフレーム部にバッテリ及びモータ等が内蔵されていたが、このような構成に限定されない。シャシー2における着脱部10の配置は、上記実施形態の配置に限定されない。着脱部10では、掛止部20がシャシー2側に配置され、被掛止部30がボデー4側に配置されていたが、掛止部20がボデー4側に配置され、被掛止部30がシャシー2側に配置されていてもよい。要は、掛止部が、シャシーの上部及びボデーの下部の一方に設けられ、被掛止部が、シャシーの上部及びボデーの下部の他方に設けられ、シャシーの上部に設けられた第1電極又は第2電極が、シャシーが具備する電源と電気的に接続されていればよい。
【符号の説明】
【0059】
1…車両、2…シャシー、2b…バッテリ(電源)、4…ボデー、10…着脱部、20…掛止部、30…被掛止部、40…支持部、42…スプリング(付勢部)、43…可撓性部材、E1…第1電極、E2…第2電極。