(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】プラネタリウム制御装置、プラネタリウムシステムおよびプラネタリウム制御装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 27/00 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
G09B27/00 B
(21)【出願番号】P 2019564296
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2018038996
(87)【国際公開番号】W WO2019138637
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018001847
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595086410
【氏名又は名称】コニカミノルタプラネタリウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石牧 伸啓
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126628(JP,A)
【文献】特開2006-323409(JP,A)
【文献】特開2009-005044(JP,A)
【文献】特開2006-145614(JP,A)
【文献】特開2006-153936(JP,A)
【文献】特開2012-194579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 27/00
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力予定の星の等級に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記星の等級に関する情報に基づいて、前記星を出力可能な第1の映像出力装置および第2の映像出力装置の各々の出力に関する判断を行う判断部と、
前記判断部によって前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させると判断された場合、前記第1の映像出力装置によって出力される前記星に重ねて、前記第2の映像出力装置に前記星を出力させる出力制御部と、
を有し、
前記取得部は、出力予定の星のサイズに関する情報をさらに取得し、
前記判断部は、前記取得部によって取得された前記星のサイズに関する情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に出力させる前記星のサイズを決定し、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させる場合、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置のいずれか一方に出力させる前記星のサイズを縮小するプラネタリウム制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記星の等級に応じて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に星を出力させるか否かを示す情報である星出力情報をさらに取得し、
前記判断部は、前記星出力情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に前記星を出力させるか否かを判断する
請求項1に記載のプラネタリウム制御装置。
【請求項3】
前記判断部は、
所定の等級よりも明るい前記等級の星を、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に出力させると判断し、
前記所定の等級と同じ前記等級の星、および前記所定の等級よりも暗い前記等級の星を、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置のいずれか一方に出力させると判断する
請求項1または2に記載のプラネタリウム制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、出力予定の星の色に関する情報をさらに取得し、
前記判断部は、前記取得部によって取得された前記星の色に関する情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に前記星を出力させるか否かを判断する
請求項1~3のいずれか一項に記載のプラネタリウム制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のプラネタリウム制御装置と、
前記プラネタリウム制御装置によって制御される前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置と、
を有するプラネタリウムシステム。
【請求項6】
プラネタリウム制御装置の制御プログラムであって、
出力予定の星の等級に関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記星の等級に関する情報に基づいて、前記星を出力可能な第1の映像出力装置および第2の映像出力装置の各々の出力に関する判断を行う判断ステップと、
前記判断ステップにおいて前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させると判断された場合、前記第1の映像出力装置によって出力される前記星に重ねて、前記第2の映像出力装置に前記星を出力させる出力制御ステップと、
をコンピューターに実行させ、
前記取得ステップでは、出力予定の星のサイズに関する情報をさらに取得し、
前記判断ステップでは、前記取得ステップによって取得された前記星のサイズに関する情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に出力させる前記星のサイズを決定し、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させる場合、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置のいずれか一方に出力させる前記星のサイズを縮小する制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラネタリウム制御装置、プラネタリウムシステムおよびプラネタリウム制御装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクター等のデジタル式の映像出力装置を使用して、星を出力(投映)するプラネタリウムが知られている。プラネタリウムでは、星の等級(明るさ)の違いを適切に表現して、星空を忠実に再現することが重要である。
【0003】
デジタル式の映像出力装置は、光学式の投映機と異なり、投映する星毎に輝度を調整できない。このため、デジタル式の映像出力装置は、星のサイズを変更することによって、星の等級の違いを擬似的に表現する場合がある。この場合、デジタル式の映像出力装置によって出力される星は、実際の星とサイズが異なるため、プラネタリウムの観客に違和感を与えることがある。
【0004】
上記に関連して、たとえば特許文献1には、プラネタリウムシステムにおいて、光学式投映機およびデジタル式の映像出力装置を併用する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、明るい星が光学式投映機によって投映され、暗い星がデジタル式の映像出力装置によって出力されることによって、星の等級の違いが表現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、光学式投映機が必須になる。また、比較的小規模なプラネタリウムや、仮設や移動式のプラネタリウム等では、光学式投映機およびデジタル式の映像出力装置を併用する複雑なシステムが構築され得ない場合もある。このため、光学式投映機を備えないプラネタリウムは、上記の技術を適用できず、星のサイズを調整する方法以外の方法によって、星の等級の違いを表現できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、映像出力装置に星の等級の違いを適切に表現させることができるプラネタリウム制御装置、プラネタリウムシステムおよびプラネタリウム制御装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)出力予定の星の等級に関する情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記星の等級に関する情報に基づいて、前記星を出力可能な第1の映像出力装置および第2の映像出力装置の各々の出力に関する判断を行う判断部と、前記判断部によって前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させると判断された場合、前記第1の映像出力装置によって出力される前記星に重ねて、前記第2の映像出力装置に前記星を出力させる出力制御部と、を有するプラネタリウム制御装置。
【0010】
(2)前記取得部は、前記星の等級に応じて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に星を出力させるか否かを示す情報である星出力情報をさらに取得し、前記判断部は、前記星出力情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に前記星を出力させるか否かを判断する上記(1)に記載のプラネタリウム制御装置。
【0011】
(3)前記判断部は、所定の等級よりも明るい前記等級の星を、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に出力させると判断し、前記所定の等級と同じ前記等級の星、および前記所定の等級よりも暗い前記等級の星を、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置のいずれか一方に出力させると判断する上記(1)または(2)に記載のプラネタリウム制御装置。
【0012】
(4)前記取得部は、出力予定の星のサイズに関する情報をさらに取得し、前記判断部は、前記取得部によって取得された前記星のサイズに関する情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に出力させる前記星のサイズを決定する上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のプラネタリウム制御装置。
【0013】
(5)前記判断部は、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させる場合、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置のいずれか一方に出力させる前記星のサイズを縮小する上記(4)に記載のプラネタリウム制御装置。
【0014】
(6)前記取得部は、出力予定の星の色に関する情報をさらに取得し、前記判断部は、前記取得部によって取得された前記星の色に関する情報に基づいて、前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の各々に前記星を出力させるか否かを判断する上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のプラネタリウム制御装置。
【0015】
(7)上記(1)~(6)のいずれか一つに記載のプラネタリウム制御装置と、前記プラネタリウム制御装置によって制御される前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置と、を有するプラネタリウムシステム。
【0016】
(8)プラネタリウム制御装置の制御プログラムであって、出力予定の星の等級に関する情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記星の等級に関する情報に基づいて、前記星を出力可能な第1の映像出力装置および第2の映像出力装置の各々の出力に関する判断を行う判断ステップと、前記判断ステップにおいて前記第1の映像出力装置および前記第2の映像出力装置の両方に前記星を出力させると判断された場合、前記第1の映像出力装置によって出力される前記星に重ねて、前記第2の映像出力装置に前記星を出力させる出力制御ステップと、をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プラネタリウム制御装置は、星の等級に関する情報に基づいて、第1の映像出力装置および第2の映像出力装置の各々の出力に関する判断を行う。そして、プラネタリウム制御装置は、第1の映像出力装置および第2の映像出力装置の両方に星を出力させると判断した場合、第1の映像出力装置によって出力される当該星に重ねて、第2の映像出力装置に当該星を出力させる。プラネタリウム制御装置は、第1の映像出力装置および第2の映像出力装置に同じ星を重ねて出力させることによって、当該星を明るく表現させることができる。これにより、プラネタリウム制御装置は、星のサイズを変更する方法以外の方法によって、第1の映像出力装置および第2の映像出力装置に、星の等級の違いを適切に表現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプラネタリウムシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】制御装置の制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】映像出力装置による出力の一例を示す図である。
【
図6】制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】変形例1に係る映像出力装置の配置を示す上面図である。
【
図8】変形例2に係る映像出力装置の配置を示す上面図である。
【
図9】変形例3に係るプラネタリウムシステムの概略構成を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係る制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11A】第2実施形態に係る星出力情報の一例を示す図である。
【
図11B】第2実施形態に係る星出力情報の一例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る星出力情報の他の例を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係る制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】第3実施形態に係る星出力情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係るプラネタリウムシステムの構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係るプラネタリウムシステムの概略構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、プラネタリウムシステム1は、ドームスクリーン10、制御装置20、映像出力システム30およびスピーカー40を備える。
【0023】
ドームスクリーン10は、ドーム状(半球状)に形成されたスクリーンである。
【0024】
制御装置(プラネタリウム制御装置)20は、後述する映像出力システム30およびスピーカー40を制御する装置である。また、制御装置20は、たとえば、映像出力システム30に出力させる映像や、スピーカー40に出力させる音声や音楽等(以下、単に「音声等」と呼ぶ)を生成する。制御装置20の構成については、後述する。
【0025】
映像出力システム30は、複数の映像出力装置である映像出力装置301(第1の映像出力装置)および映像出力装置302(第2の映像出力装置)を含む。映像出力装置301および302は、たとえば、プロジェクター等のデジタル式の映像出力装置(投映装置)である。映像出力装置301および302は、ドームスクリーン10の中央部に配置され、たとえば魚眼レンズ等を介して、ドームスクリーン10の全体に星を含む映像を出力(投映)可能に構成される。映像出力装置301および302のいずれか一方は、全ての等級の星を出力するメインの映像出力装置であり、他方は、メインの映像出力装置による出力を補助するサブの映像出力装置であってもよい。
【0026】
スピーカー40は、音声等を出力する装置である。スピーカー40は、たとえば
図1に示すように、ドームスクリーン10の外側に複数個配置されてもよい。この場合、スピーカー40によって出力される音声等は、ドームスクリーン10を透過して、ドームスクリーン10の内側において聴取されうる。
【0027】
なお、上記の構成要素の位置や個数等は、
図1に示す例に限定されず、プラネタリウムシステム1の設計条件に基づいて、任意に変更されてもよい。
【0028】
次に、制御装置20の構成の詳細について説明する。
【0029】
図2は、制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、制御装置20は、制御部21、記憶部22、操作部23、映像生成部24および音声生成部25を備える。これらの構成は、信号をやり取りするためのバス26を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0031】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムに従い、上記各部の制御および各種の演算処理を実行する。制御部21の機能構成については、後述する。
【0032】
記憶部22は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶するハードディスク等から構成される。記憶部22は、たとえば、星(天体)の座標、等級、サイズおよび色等に関する情報を記憶する。
【0033】
操作部23は、複数のボタンやディスプレイ等を備え、オペレーターの各種操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。
【0034】
映像生成部24は、映像出力装置301および302に出力させる映像を生成する。
【0035】
音声生成部25は、スピーカー40に出力させる音声等を生成する。
【0036】
なお、制御装置20は、上記の構成要素以外の構成要素を含んでもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部を含まなくてもよい。
【0037】
続いて、制御装置20の制御部21の機能構成について説明する。
【0038】
図3は、制御装置の制御部の機能構成を示すブロック図である。
【0039】
図3に示すように、制御部21は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、受付部211、取得部212、判断部213、生成制御部214および出力制御部215として機能する。
【0040】
受付部211は、操作部23等におけるオペレーターの各種操作を受け付ける。受付部211は、たとえば、操作部23において、オペレーターによって星空を出力する時間および場所が指定された場合、指定された時間および場所に関する情報を受け付ける。また、受付部211は、たとえば、制御装置20に接続されたオペレーターのPC等におけるオペレーターの各種操作を受け付けてもよい。あるいは、受付部211は、プラネタリウムの上映プログラムの進行に応じて、星空を出力する時間および場所が自動的に指定される場合、プログラムにおいて指定される時間および場所に関する情報を受け付けてもよい。
【0041】
取得部212は、記憶部22に記憶されている各種情報を取得する。取得部212は、星の座標、等級、サイズおよび色等に関する情報を、記憶部22から取得する。また、取得部212は、星の等級に応じて、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを示す情報(以下「星出力情報」と呼ぶ)を、記憶部22から取得する。なお、これらの情報は、外部装置の記憶部に記憶されていてもよく、取得部212は、外部装置からこれらの情報を取得してもよい。
【0042】
【0043】
図4に示すように、星出力情報は、映像出力装置および星の等級毎に設定される。星出力情報は、
図4に例示するようなテーブルの形態で、記憶部22に記憶されてもよい。
【0044】
図4に示すテーブルにおいて、映像出力装置301には、全ての等級の星について「出力あり」という星出力情報が設定されている。一方、映像出力装置302には、等級の数値が4.5未満の星(4.5等級よりも明るい等級の星)について「出力あり」、等級の数値が4.5以上の星(4.5等級の星、および4.5等級よりも暗い等級の星)については「出力なし」という星出力情報が設定されている。すなわち、等級の数値が4.5未満の星は、映像出力装置301および302の両方によって出力され、等級の数値が4.5以上の星は、映像出力装置301のみによって出力されるように設定されている。ただし、星出力情報の設定内容は、
図4に示す例に限定されない。また、テーブルにおける等級の範囲も、
図4に示す例に限定されない。星出力情報は、操作部23等を介して、オペレーター等によって設定可能であってもよい。また、星出力情報の初期設定が、記憶部22に記憶されていてもよい。
【0045】
図3に戻って、判断部213は、映像出力装置301および302の各々の出力に関する判断を行う。判断部213は、たとえば、星出力情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを判断する。また、判断部213は、出力させると判断した星を、出力リストに追加すると判断する。出力リストは、たとえば、記憶部22に記憶されていてもよい。
【0046】
生成制御部214は、映像生成部24を制御して、映像出力装置301および302の各々に出力させる映像を、映像生成部24に生成させる。
【0047】
出力制御部215は、映像出力装置301および302を制御して、映像出力装置301および302に映像を出力させる。
【0048】
図5は、映像出力装置による出力の一例を示す図である。
【0049】
図5に示す例では、映像出力装置301は、制御装置20によって制御されることによって、星S1~S3をドームスクリーン10に出力している。一方、映像出力装置302は、制御装置20によって制御されることによって、映像出力装置301によって出力される星S2に重ねて、同じ星S2を出力している。これにより、映像出力装置301および302の両方によって出力される星S2は、映像出力装置301のみによって出力される星S1およびS3よりも、明るく表現される。なお、
図5に例示する出力状況を
図4に例示する星出力情報と関連付けると、星S2は、等級の数値が4.5未満の比較的明るい星であり、星S1およびS3は、等級の数値が4.5以上の比較的暗い星である。
【0050】
続いて、第1実施形態に係る制御装置20の処理の手順を説明する。制御装置20の処理は、映像出力装置301および302に、星の等級の違いを適切に表現させるように制御するものである。
【0051】
図6は、制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示すアルゴリズムは、制御装置20の記憶部22にプログラムとして記憶されており、制御部21によって実行される。制御装置20は、映像出力装置301および302の各々について、以下の処理を実行する。
【0052】
図6に示すように、まず、制御装置20の制御部21は、受付部211として、星空を出力する時間および場所に関する情報が受け付けられたか否かを判断する(ステップS101)。
【0053】
時間および場所に関する情報を受け付けていない場合(ステップS101:NO)、制御部21は、当該情報を受け付けるまで待機する。
【0054】
時間および場所に関する情報を受け付けた場合(ステップS101:YES)、制御部21は、取得部212として、当該情報に基づいて、出力予定の星の座標および等級に関する情報を記憶部22から取得する(ステップS102)。
【0055】
続いて、制御部21は、設定値Nを1に設定する(ステップS103)。設定値Nは、出力予定の星空に含まれる星毎に設定された固有番号に対応する。たとえば、制御部21は、設定値Nを1に設定することによって、出力予定の星空に含まれる1番目の星について、後述するステップS104~S108の処理を実行することになる。
【0056】
続いて、制御部21は、取得部212として、ステップS102において取得されたN番目の星の等級に関する情報に基づいて、当該星に関する星出力情報を記憶部22から取得する(ステップS104)。制御部21は、たとえば、映像出力装置301について処理を実行している場合であって、N番目の星が4.5等級の星であり、
図4に示すテーブルを参照する場合、「出力あり」という星出力情報を取得する。
【0057】
続いて、制御部21は、判断部213として、ステップS104において取得された星出力情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々(処理対象としている映像出力装置)に、N番目の星を出力させるか否かを判断する(ステップS105)。
【0058】
N番目の星を出力させる場合(ステップS105:YES)、制御部21は、判断部213として、当該星を出力リストに追加すると判断する(ステップS106)。そして、制御部21は、取得部212として、ステップS106において出力リストに追加された星のサイズおよび色に関する情報を、記憶部22から取得する(ステップS107)。制御部21は、出力リストに追加された星に関連付けて、当該情報を出力リストに追加してもよい。その後、制御部21は、ステップS109の処理に進む。
【0059】
N番目の星を出力させない場合(ステップS105:NO)、制御部21は、判断部213として、当該星を出力リストに追加しないと判断する(ステップS108)。そして、制御部21は、ステップS109の処理に進む。
【0060】
続いて、制御部21は、設定値Nが出力予定の星空に含まれる星の数に等しいか否かを判断する(ステップS109)。
【0061】
設定値Nが出力予定の星空に含まれる星の数に等しくない場合(ステップS109:NO)、すなわち、設定値Nが当該星の数未満である場合、制御部21は、設定値NをN+1に増加させて再設定する(ステップS110)。そして、制御部21は、設定値Nが出力予定の星空に含まれる星の数に等しくなるまで、ステップS104~S110の処理を繰り返す。
【0062】
設定値Nが出力予定の星空に含まれる星の数に等しい場合(ステップS109:YES)、制御部21は、ステップS111の処理に進む。すなわち、制御部21は、出力予定の星空に含まれる全ての星についてステップS104~S108の処理を実行した後、ステップS111の処理に進む。
【0063】
ここで、ステップS104~S110の処理について、具体例を挙げて説明する。制御部21は、映像出力装置301について処理を実行している場合であって、
図4に示すテーブルを参照する場合、映像出力装置301に全ての等級の星を出力させると判断する。そして、制御部21は、全ての等級の星を、当該星のサイズおよび色の情報と共に、映像出力装置301用の出力リストに順次追加する。一方、制御部21は、映像出力装置302について処理を実行している場合であって、
図4に示すテーブルを参照する場合、映像出力装置302に、等級の数値が4.5未満の星を出力させ、等級の数値が4.5以上の星を出力させないと判断する。そして、制御部21は、等級の数値が4.5未満の星を、当該星のサイズおよび色の情報と共に、映像出力装置302用の出力リストに順次追加する。すなわち、制御部21は、等級の数値が4.5未満の比較的明るい星を、映像出力装置301および302の両方に出力させると判断し、等級の数値が4.5以上の比較的暗い星を、映像出力装置301のみに出力させると判断することになる。
【0064】
続いて、制御部21は、生成制御部214として、ステップS106において出力リストに追加された星を含む映像を、映像生成部24に生成させる(ステップS111)。なお、制御部21は、星のサイズ(出力サイズ)および色を、ステップS107において取得された星のサイズおよび色に関する情報に基づいて設定する。そして、制御部21は、出力制御部215として、映像生成部24によって生成された映像を、処理対象としている映像出力装置に出力させる(ステップS112)。その後、制御部21は処理を終了する。
【0065】
ここで、ステップS111およびS112の処理について、具体例を挙げて説明する。制御部21は、
図4に示すテーブルを参照した場合、映像出力装置301に等級の数値が4.5未満の星を出力させると共に、映像出力装置301によって出力される当該星に重ねて、映像出力装置302にも等級の数値が4.5未満の星を出力させる。これにより、映像出力装置301および302の両方によって出力される等級の数値が4.5未満の星は、映像出力装置301のみによって出力される等級の数値が4.5以上の星よりも、明るく表現される。
【0066】
以上のように、制御装置20は、星の等級に関する情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々の出力に関する判断を行う。そして、制御装置20は、映像出力装置301および302の両方に星を出力させると判断した場合、映像出力装置301によって出力される当該星に重ねて、映像出力装置302に当該星を出力させる。制御装置20は、映像出力装置301および302に同じ星を重ねて出力させることによって、当該星を明るく表現させることができる。これにより、制御装置20は、星のサイズを変更する方法以外の方法によって、映像出力装置301および302に、星の等級の違いを適切に表現させることができる。
【0067】
また、制御装置20は、星出力情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを判断する。これにより、制御装置20は、予め設定された星出力情報を確認するだけで、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを迅速に判断できる。制御装置20は、たとえば、映像出力装置301および302の各々に多数の星を出力させる場合でも、星の等級の違いを容易に表現させることができる。
【0068】
なお、第1実施形態に係る制御装置20の処理の一例を説明したが、第1実施形態はこれに限定されない。以下のような種々の変更や改良等が可能である。
【0069】
制御装置20は、ステップS105において、星出力情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを判断すると説明した。しかし、第1実施形態はこれに限定されない。制御装置20は、ステップS105において、星出力情報ではなく、星の等級の閾値に基づいて判断してもよい。すなわち、制御装置20の制御部21は、判断部213として、所定の等級よりも明るい等級の星(等級の数値が所定の数値未満の星)を、映像出力装置301および302の両方に出力させると判断してもよい。また、制御部21は、判断部213として、所定の等級と同じ等級の星、および所定の等級よりも暗い等級の星(等級の数値が所定の数値以上の星)を、映像出力装置301および302のいずれか一方に出力させると判断してもよい。これにより、制御装置20は、予め設定された等級の閾値を確認するだけで、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを迅速に判断できる。
【0070】
また、制御装置20は、ステップS102において星の等級に関する情報を取得し、ステップS104において星出力情報を取得し、ステップS107において星のサイズに関する情報を取得すると説明した。第1実施形態ではさらに、制御装置20の制御部21は、判断部213として、取得したこれらの情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々に出力させる星のサイズを決定(判断)してもよい。
【0071】
たとえば、制御装置20は、映像出力装置301および302の両方に出力させると判断した星について、星の等級の数値が小さい、すなわち星が明るいほど拡大率を大きくして、当該星のサイズを拡大してもよい。また、制御装置20は、映像出力装置301のみに出力させると判断した星についても、星の等級の数値が小さいほど拡大率を大きくして、当該星のサイズを拡大してもよい。さらに、制御装置20は、星を出力する映像出力装置の数が切り替わる等級において、星の見え方が不自然にならないように、星のサイズを調整してもよい。制御装置20は、星を重ねる方法と、星のサイズを変更する方法とを併用することによって、星の等級の違いを映像出力装置301および302により効果的に表現させることができる。
【0072】
また、制御装置20は、映像出力装置301および302に同じ座標の星を出力させる場合、映像出力装置301および302の各々に異なるサイズの星を出力させてもよい。以下、詳述する。
【0073】
映像出力装置301および302は、同じ座標の星を出力する場合、星の出力位置を一致させる必要がある。星の出力位置がずれると、星が広がって見えたり、星が重ならずに別々の星として見えたりする等の問題が発生し得るためである。しかし、映像出力装置301および302の配置や誤差等によっては、星の出力位置を完全に一致させることが困難な場合も想定される。
【0074】
そこで、制御装置20の制御部21は、判断部213として、映像出力装置301および302に同じ座標の星を出力させる場合、映像出力装置301および302のいずれか一方に出力させる星のサイズを縮小してもよい。すなわち、制御装置20は、たとえば、映像出力装置301に出力させる星のサイズを変更せず、映像出力装置302に出力させる星のサイズを、元の50%のサイズに縮小してもよい。これにより、映像出力装置301および302による星の出力位置が多少ずれても、縮小された星は、縮小されていない星の範囲内に含まれるため、制御装置20は、星が広がって見える等の問題を回避できる。
【0075】
また、映像出力装置301および302のいずれか一方は、全ての等級の星を出力するメインの映像出力装置であり、他方は、メインの映像出力装置による出力を補助するサブの映像出力装置であってもよいと説明した。しかし、第1実施形態はこれに限定されない。制御装置20は、たとえば、等級の数値が小さい星を映像出力装置301および302に出力させ、等級の数値が中程度の星を映像出力装置301に出力させ、等級の数値が大きい星を映像出力装置302に出力させてもよい。この場合、映像出力装置301は、映像出力装置302よりも高い出力(輝度)を実現するように調整されてもよい。このように、制御装置20は、様々な方法によって、映像出力装置301および302の出力を制御できる。
【0076】
また、映像出力システム30は、映像出力装置301および302を含むと説明したが、第1実施形態はこれに限定されない。映像出力システム30は、ドームスクリーン10の同じ範囲に星を含む映像を出力可能に構成される、3つ以上の映像出力装置を含んでもよく、星出力情報は、3つ以上の映像出力装置について設定されてもよい。そして、制御装置20は、星の等級に関する情報および星出力情報に基づいて、3つ以上の映像出力装置の各々に星を出力させるか否かを判断してもよい。制御装置20は、たとえば、等級の数値が小さい星を3つの映像出力装置に出力させ、等級の数値が中程度の星を2つの映像出力装置に出力させ、等級の数値が大きい星を1つの映像出力装置に出力させてもよい。制御装置20は、3つ以上の映像出力装置を制御することによって、星の等級の違いをより効果的に表現させることができる。
【0077】
(変形例1)
以下では、図面を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。
【0078】
第1実施形態では、映像出力システム30は、ドームスクリーン10の中央部に配置されると説明した。変形例1では、映像出力システム30は、ドームスクリーン10の周辺部に配置される。
【0079】
図7は、変形例1に係る映像出力装置の配置を示す上面図である。
【0080】
図7に示すように、映像出力システム30は、映像出力装置301a~301fおよび302a~302fを含む。映像出力装置301a~301fおよび302a~302fは、ドームスクリーン10の周辺部に配置され、ドームスクリーン10の一定の範囲に映像を出力可能に構成される。映像出力装置301a~301fは、メインの映像出力装置であり、映像出力装置302a~302fは、映像出力装置301a~301fの出力をそれぞれ補助するサブの映像出力装置であってもよい。なお、映像出力装置の位置や個数等は、
図7に示す例に限定されない。
【0081】
図7に示すように、たとえば、近接して配置された映像出力装置(たとえば、映像出力装置301aおよび302a)は、1つのセットとして、ドームスクリーン10の同じ範囲に映像を出力する。たとえば、映像出力装置301aおよび302aのセットは、隣接して配置された映像出力装置301bおよび302bのセットが出力する映像に対して、隣接した(連続した)映像を出力する。なお、
図7では、映像出力装置301a、302a、301bおよび302bのみが映像を出力している様子を示しているが、実際には、他の映像出力装置も同時に映像を出力し得る。
【0082】
映像出力装置301a~301fは、たとえば、
図4に示す「映像出力装置301」と同様に、全ての等級の星を出力するように設定されてもよい。また、映像出力装置302a~302fは、たとえば、
図4に示す「映像出力装置302」と同様に、等級の数値が4.5未満の比較的明るい星を出力し、等級の数値が4.5以上の比較的暗い星を出力しないように設定されてもよい。あるいは、映像出力装置のセット毎に、異なる星出力情報が設定されてもよい。たとえば、映像出力装置301aおよび302aのセット用の星出力情報と、映像出力装置301bおよび302bのセット用の星出力情報とは、異なって設定されてもよい。
【0083】
以上のように、制御装置20は、複数の映像出力装置がドームスクリーン10の周辺部に配置される場合でも、第1実施形態と同様に、映像出力装置に星の等級の違いを適切に表現させることができる。
【0084】
なお、少なくとも一つの映像出力装置が、ドームスクリーン10の中央部に配置され、少なくとも一つの他の映像出力装置が、ドームスクリーン10の周辺部に配置されてもよい。たとえば、
図1に示す映像出力装置301が、ドームスクリーン10の中央部に配置され、
図7に示す映像出力装置302a~302fが、ドームスクリーン10の周辺部に配置されてもよい。この場合、映像出力装置301は、メインの映像出力装置であり、映像出力装置302a~302fは、映像出力装置301の出力を補助するサブの映像出力装置であってもよい。
【0085】
(変形例2)
変形例2では、映像出力システム30は、ドームスクリーン10の周辺部であって、変形例1とは異なる位置に配置される。
【0086】
図8は、変形例2に係る映像出力装置の配置を示す上面図である。
【0087】
図8に示すように、映像出力装置301a~301fおよび302a~302fは、間隔を空けて配置される。そして、一つ置きに隣接して配置された映像出力装置は、隣接した(連続した)映像を出力する。たとえば、映像出力装置301aおよび301bは、隣接した映像を出力し、映像出力装置302aおよび302bも、隣接した映像を出力する。また、一の映像出力装置(たとえば映像出力装置301a)は、隣接して配置された他の映像出力装置(たとえば映像出力装置302a)が出力する映像に対して、一部が重なる映像を出力する。これにより、ドームスクリーン10の任意の位置に対して、少なくとも二つの映像出力装置が映像を出力することになる。なお、
図8では、映像出力装置301a、302a、301bおよび302bのみが映像を出力している様子を示しているが、実際には、他の映像出力装置も同時に映像を出力し得る。
【0088】
映像出力装置301a~301fは、たとえば、
図4に示す「映像出力装置301」と同様に、全ての等級の星を出力するように設定されてもよい。また、映像出力装置302a~302fは、たとえば、
図4に示す「映像出力装置302」と同様に、等級の数値が4.5未満の比較的明るい星を出力し、等級の数値が4.5以上の比較的暗い星を出力しないように設定されてもよい。あるいは、映像出力装置毎に、異なる星出力情報が設定されてもよい。
【0089】
以上のように、制御装置20は、複数の映像出力装置がドームスクリーン10の周辺部に間隔を空けて配置される場合でも、第1実施形態と同様に、映像出力装置に星の等級の違いを適切に表現させることができる。
【0090】
(変形例3)
上記実施形態では、映像出力システム30は、複数の映像出力装置を含むと説明した。変形例3では、映像出力システム30は、異なる形態によって構成される。
【0091】
図9は、変形例3に係るプラネタリウムシステムの概略構成を示す図である。
【0092】
図9に示すように、プラネタリウムシステム1は、ドームスクリーン10として構成された映像出力装置301を備える。映像出力装置301は、たとえば、ドーム状(半球状)に形成されたLEDパネルや有機ELパネル等の表示装置である。映像出力装置301は、星を含む映像を出力(表示)すると共に、プロジェクター等の映像出力装置302から出力される映像を映し出す。すなわち、映像出力装置302は、制御装置20によって制御されることによって、映像出力装置301によって出力される星に重ねて、映像出力装置301上に同じ星を出力し得る。
【0093】
以上のように、制御装置20は、映像出力装置301および302のいずれか一方が、ドーム状に形成された表示装置である場合でも、第1実施形態と同様に、映像出力装置301および302に、星の等級の違いを適切に表現させることができる。
【0094】
(第2実施形態)
以下では、図面を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。
【0095】
第1実施形態では、制御装置20が、星の等級に関する情報および星出力情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを判断すると説明した。第2実施形態では、制御装置20は、他の情報にも基づいて上記の判断を行う。
【0096】
なお、第2実施形態に係るプラネタリウムシステム1は、第1実施形態と同様の構成を備えるため、説明を省略する。
【0097】
図10は、第2実施形態に係る制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
図10のステップS201~S203の処理は、
図6のステップS101~S103の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
制御装置20の制御部21は、取得部212として、出力予定の星のうち、N番目の星の色に関する情報を取得する(ステップS204)。第2実施形態では、制御部21は、星の色に関する情報にも基づいてステップS206の処理を実行するため、第1実施形態よりも早い段階で、星の色に関する情報を取得する。そして、制御部21は、取得部212として、ステップS202で取得されたN番目の星の等級に関する情報と、ステップS204で取得された当該星の色に関する情報とに基づいて、当該星に関する星出力情報を記憶部22から取得する(ステップS205)。制御部21は、たとえば、
図11Aおよび
図11Bに示すテーブルを参照して、星出力情報を取得する。
【0099】
図11Aおよび
図11Bは、第2実施形態に係る星出力情報の一例を示す図である。
図11Aは、星の色が黄白である場合の星出力情報を示し、
図11Bは、星の色が赤である場合の星出力情報を示す。
【0100】
図11Aおよび
図11Bに示すように、第2実施形態に係る星出力情報は、星の色毎に異なるテーブルに設定され、各テーブルにおいて、映像出力装置および星の等級毎に設定される。
図11Aに示すテーブルにおいて、映像出力装置301には、全ての等級の星について「出力あり」、映像出力装置302には、等級の数値が0未満の星のみについて「出力あり」という星出力情報が設定されている。一方、
図11Bに示すテーブルにおいて、映像出力装置301には、全ての等級の星について「出力あり」、映像出力装置302には、等級の数値が5.0未満の星のみについて「出力あり」という星出力情報が設定されている。ただし、星出力情報の設定内容は、
図11Aおよび
図11Bに示す例に限定されない。また、星出力情報が設定される色も、
図11Aおよび
図11Bに示す例に限定されない。
【0101】
第2実施形態では、制御装置20は、星の等級が近い場合でも、星の色によって見え方が異なる問題を回避する。プロジェクター等の映像出力装置は、RGBの光を重ね合わせることによって映像を構成するため、RGBの全ての光から構成される白色を、他の色よりも明るく表現してしまう。このため、たとえば、黄白の星および赤の星がほぼ近い等級を有する場合でも、プロジェクター等の映像出力装置は、黄白の星を赤色の星よりも明るく表現してしまう。
【0102】
そこで、第2実施形態では、
図11Aおよび
図11Bに示すように、ある等級の数値範囲において、星の色毎に異なる星出力情報が設定される。すなわち、等級の数値が0以上5.0未満の範囲において、黄白の星は、映像出力装置301のみによって出力され、赤い星は、映像出力装置301および302の両方によって出力されるように設定されている。これにより、映像出力装置301および302の両方によって出力される赤い星は、映像出力装置301のみによって出力される黄白の星に近い明るさに表現される。
【0103】
図10に戻って、制御部21は、判断部213として、ステップS205において取得された星出力情報に基づいて、映像出力装置301および302の各々に、N番目の星を出力させるか否かを判断する(ステップS206)。第2実施形態では、制御部21は、星の等級および星の色に関する情報に基づいて取得された星出力情報に基づいて、ステップS206の処理を実行する。
【0104】
なお、
図10のステップS207の処理は、
図6のステップS106の処理と同様であり、
図10のステップS209~S213の処理は、
図6のステップS108~S112の処理と同様であるため、説明を省略する。また、第2実施形態では、制御部21は、ステップS204において星の色に関する情報を取得しているため、ステップS208では、星のサイズに関する情報のみを取得する。
【0105】
以上のように、第2実施形態に係る制御装置20は、星の色に関する情報にも基づいて、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを判断する。これにより、制御装置20は、星の色によって見え方が異なる問題を回避しつつ、映像出力装置301および302に、星の等級の違いも適切に表現させることができる。
【0106】
なお、第2実施形態に係る制御装置20も、第1実施形態と同様に、星出力情報ではなく、星の等級に関する所定の閾値に基づいて判断したり、星の等級の数値が小さい、すなわち星が明るいほど、星のサイズを拡大したりしてもよい。
【0107】
また、制御装置20は、第1実施形態と同様に、映像出力装置301および302に同じ座標の星を出力させる場合、映像出力装置301および302のいずれか一方に出力させる星のサイズを縮小してもよい。
【0108】
また、制御装置20は、映像出力装置301および302に同じ座標の星を出力させる場合、映像出力装置301および302のいずれか一方に出力させる星の色およびサイズを変更してもよい。制御装置20は、たとえば、記憶部22から取得された情報に基づく星の色が赤である場合、映像出力装置301に出力させる星の色およびサイズを変更せず、映像出力装置302に出力させる星の色を白に変更し、星のサイズを元の50%のサイズに縮小してもよい。制御装置20は、赤い星に白い光を重ねて出力させることによって、赤い色を確保しつつ、星をより明るく表現させることができる。
【0109】
また、第2実施形態に係る映像出力システム30は、第1実施形態と同様に、3つ以上の映像出力装置を含んでもよく、星出力情報は、3つ以上の映像出力装置について設定されてもよい。制御装置20は、たとえば、等級の数値が小さい、すなわち明るい赤い星を3つの映像出力装置に出力させ、等級の数値が大きい、すなわち暗い赤い星と、等級の数値が小さい白い星とを2つの映像出力装置に出力させ、等級の数値が大きい白い星を1つの映像出力装置に出力させてもよい。制御装置20は、3つ以上の映像出力装置を制御することによって、星の色によって見え方が異なる問題を回避しつつ、星の等級の違いをより効果的に表現させることができる。
【0110】
また、制御装置20は、
図10のステップS205において、
図11Aおよび
図11Bに示すテーブルとは異なる形式のテーブルを参照して、星出力情報を取得してもよい。
【0111】
図12は、第2実施形態に係る星出力情報の他の例を示す図である。
【0112】
図12に示すように、星出力情報は、星の等級毎に異なるテーブルに設定され、各テーブルにおいて、映像出力装置および星の色毎に設定されてもよい。制御装置20は、様々な方法によって、映像出力装置301および302の出力を制御できる。
【0113】
(第3実施形態)
第3実施形態では、制御装置20は、映像出力装置301および302に星を重ねて出力させる場合、いずれか一方に出力させる星について、上記実施形態とは異なる処理を実行する。
【0114】
なお、第3実施形態に係るプラネタリウムシステム1は、第1実施形態と同様の構成を備えるため、説明を省略する。
【0115】
図13は、第3実施形態に係る制御装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【0116】
図13のステップS301~S303の処理は、
図6のステップS101~S103の処理と同様であり、
図13のステップS304およびS305の処理は、
図6のステップS106およびS107の処理と同様である。また、
図13のステップS308~S311の処理は、
図6のステップS109~S112の処理と同様である。このため、
図13のステップS306およびS307以外の処理については、説明を省略する。
【0117】
第3実施形態に係る制御装置20は、第1実施形態と異なり、映像出力装置301および302の各々に星を出力させるか否かを判断せず、全ての映像出力装置に全ての星を出力させる。一方、第3実施形態に係る制御装置20は、全ての星のサイズを判断する。
【0118】
制御装置20の制御部21は、取得部212として、ステップS302において取得されたN番目の星の等級に関する情報に基づいて、当該星に関する星出力情報を記憶部22から取得する(ステップS306)。なお、第3実施形態に係る星出力情報は、上記実施形態とは異なり、星の等級に応じて、映像出力装置301および302の各々に出力させる星のサイズを示す情報を意味する。第3実施形態に係る星出力情報は、たとえば、元のサイズに対する補正サイズの割合によって示される。そして、制御部21は、判断部213として、ステップS305で取得されたN番目の星のサイズに関する情報と、ステップS306で取得された星出力情報とに基づいて、映像出力装置301および302の各々に出力させる当該星のサイズを決定する(ステップS307)。
【0119】
図14は、第3実施形態に係る星出力情報の一例を示す図である。
【0120】
図14に示すテーブルにおいて、映像出力装置301には、全ての等級の星を「100%(元のサイズ)」で出力するという星出力情報が設定されている。一方、映像出力装置302には、星の等級の数値が大きい、すなわち星が暗いほど、星のサイズが縮小されるように星出力情報が設定されている。すなわち、制御部21は、星の等級が-1.0であり、
図14に示すテーブルを参照する場合、映像出力装置301に出力させる星のサイズを変更せず、映像出力装置302に出力させる星のサイズを、元の70%のサイズに縮小する。
【0121】
以上のように、第3実施形態に係る制御装置20は、映像出力装置301および302の両方に全ての星を出力させた上で、映像出力装置301および302のいずれか一方に出力させる星のサイズを縮小する。これにより、映像出力装置301および302による星の出力位置が多少ずれても、制御装置20は、星が広がって見える等の問題を回避できる。また、制御装置20は、星を重ねつつ、星のサイズを変更する方法によって、星の等級の違いを映像出力装置301および302に効果的に表現させることができる。
【0122】
なお、第2実施形態および第3実施形態は、第1実施形態と同様に、変形例1~3に示すような配置を適用してもよい。
【0123】
上記実施形態では、制御装置20を一つの装置として説明した。しかし、上記実施形態はこれに限定されない。たとえば、制御装置20について、各種の判断処理を実行する情報処理装置と、映像出力装置を制御する装置とが、別々に構成されてもよい。この場合、情報処理装置と映像出力装置を制御する装置とは、バスを介して接続される。
【0124】
また、上述した実施形態に係る制御装置20における処理は、上記のフローチャートのステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上記のステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上記の実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0125】
また、上述した実施形態に係る制御装置20における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、制御装置20の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0126】
本出願は、2018年1月10日に出願された日本特許出願(特願2018-001847号)に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として組み入れられている。
【符号の説明】
【0127】
1 プラネタリウムシステム、
10 ドームスクリーン、
20 制御装置(プラネタリウム制御装置)、
21 制御部、
211 受付部、
212 取得部、
213 判断部、
214 生成制御部、
215 出力制御部、
22 記憶部、
23 操作部、
24 映像生成部、
25 音声生成部、
26 バス、
30 映像出力システム、
301、302 映像出力装置、
40 スピーカー。