(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20220101AFI20230620BHJP
【FI】
F24H3/04 301
(21)【出願番号】P 2020003600
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛明
(72)【発明者】
【氏名】上村 亮介
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-016122(JP,A)
【文献】特開2001-041582(JP,A)
【文献】実開昭60-035158(JP,U)
【文献】特公昭42-018119(JP,B1)
【文献】米国特許第04379446(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼を行うバーナ部と、
前記バーナ部の上方に配置されて前記バーナ部で発生した燃焼ガスによって加熱される外筒と、を備え、
前記外筒は、
平板状を呈する前面部と、
前記前面部の後方に位置する背面部と、を有し、
前記外筒の左右側方には、空間を介して側方仕切板がそれぞれ設けられ、
左右の前記側方仕切板の前端部には、平面視して、外筒側の端縁を前記背面部側に潜り込ませるようにして、後から前へ斜めに拡開した傾斜部を有する輻射板を備えている
ことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記外筒の背面部には、当該外筒の背面部を空間を介して覆うように配置された後仕切板を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の暖房装置。
【請求項3】
前記背面部の後側には、前記空間を介して対流用ファンが配置され、
前記外筒の外周部に形成されたフランジ部と、前記輻射板との間には、前記外筒の輻射熱と、前記対流用ファンからの風とを熱交換させた温風が吹き出される縦長吹出部が形成されている
ことを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の暖房装置。
【請求項4】
前記輻射板は、
前記外筒側の前端部に形成されて前記対流用ファンからの風を前方に流すためのガイド部と、
前記ガイド部と前記側方仕切板との間に形成された中空部と、
を有している
ことを特徴とする請求項
3に記載の暖房装置。
【請求項5】
前記背面部は、
平面視して半円状、または、円弧状に形成されると共に、側面視して裾広がりに傾斜している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項
4のいずれか一項に記載の暖房装置。
【請求項6】
前記輻射板は、本体ケースの前側左右両端部に、上下方向に延設されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項
5のいずれか一項に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナ(30)で発生した燃焼炎(A2)を熱交換器(20)内に放出して熱交換器(20)の前面パネル(21)を加熱し、その前面パネル(21)から輻射熱を放出することで、室内の暖房を行う暖房装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の暖房装置の熱交換器(20)は、前後幅が薄い扁平箱状に形成されており、熱交換器(20)の幅広の前面パネル(21)が装置の略前側全体に亘って配置されている。熱交換器(20)内に放出された燃焼炎(A2)の排ガスは、熱交換器(20)の上部の排ガス出口(24)から補助熱交換器(50)を介在して排気筒(60)から排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-41582号公報(
図2及び
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の暖房装置では、バーナ(30)で発生した燃焼炎(A2)が中空の箱状に形成された熱交換器(20)内に噴出されるため、熱交換器(20)全体が加熱される。このため、熱交換器(20)は、前面パネル(21)だけではなく、熱交換器(20)の後面側からも輻射熱を放出して無駄にキャビネット(10)内全体を加熱している。また、キャビネット(10)内は、バーナ(30)及び補助熱交換器(50)によっても加熱されて、熱気がこもり、内部温度が上昇するという問題点があった。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、効率よく輻射熱を放出することができる暖房装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る暖房装置は、燃焼を行うバーナ部と、前記バーナ部の上方に配置されて前記バーナ部で発生した燃焼ガスによって加熱される外筒と、を備え、前記外筒は、平板状を呈する前面部と、前記前面部の後方に位置する背面部と、を有し、前記外筒の左右側方には、空間を介して側方仕切板がそれぞれ設けられ、左右の前記側方仕切板の前端部には、平面視して、外筒側の端縁を前記背面部側に潜り込ませるようにして、後から前へ斜めに拡開した(横断面視してハの字状に配置された)傾斜部を有する輻射板を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、効率よく輻射熱を放出することができる暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る暖房装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】暖房装置のガード体等の正面側の部材を省略した斜視図である。
【
図6】外筒、化粧板(輻射板)、仕切板及び対流ファンの斜視図である。
【
図7】外筒、化粧板、仕切板及び対流ファンの断面斜視図である。
【
図8】外筒、化粧板、仕切板及び対流ファンの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図10を参照して、本発明の実施形態に係る暖房装置100を説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同種の構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0011】
図1に示すように、暖房装置100は、種類、構造、形状、吸排気方式等は特に限定されない。以下、暖房装置100の一例として、FF式ストーブを例に挙げて説明する。暖房装置100は、本体ケース1と、バーナ部2(
図3参照)と、外筒3と、熱交換器4(
図3参照)と、対流用ファン5と、燃油供給部6(
図3参照)と、空気供給部7と、仕切板17(
図5参照)と、化粧板18(輻射板)と、を備えている。
【0012】
本体ケース1は、暖房装置100の構成部品を内蔵する筐体を成す機器本体である。本体ケース1は、下皿10の上面に取り付けられている。本体ケース1の上面の手前側には、暖房運転の開始や暖房運転における火力等の設定が可能なボタンを複数備えた操作部11が設けられている。また、本体ケース1の前面の上側には、通常の暖房運転時に設定温度や室内温度を表示し、異常発生時に所定のエラーコードを表示して使用者に異常内容を報知する表示部12が設けられている。
【0013】
本体ケース1の前面の左右には、温風を室内に吹き出す縦長吹出部13がそれぞれ設けられている。また、本体ケース1の正面には、使用者が高熱部分に直接触れることを防止するガード体14が取り付けられている。
【0014】
図3及び
図4に示すように、バーナ部2は、燃焼を行う箇所である。バーナ部2は、本体ケース1内の下部に配置されている。バーナ部2は、空気供給部7(
図1参照)に備わる燃焼用ファン(図示せず)によって室内から吸引されて供給される空気と、燃油供給部6から供給される燃油と、を予混合して燃焼させるものである。
【0015】
外筒3は、バーナ部2で発生した燃焼ガスによって加熱される部材である。外筒3は、バーナ部2の上方に配置されている。外筒3の下部は、バーナ部2の外周上部を囲んでいる。外筒3は、筒状を呈する金属製部材であり、バーナ部2で発生した炎や燃焼ガスが通過する。
図5に示すように、外筒3は、前側部材33と、後側部材34と、を備えている。前側部材33及び後側部材34は、例えば、鋼板等の金属板にプレス加工を施すことによって、それぞれ製作され得る。
図4に示すように、外筒3は、扁平な箱状を呈する箱状部31と、箱状部31の後方に連設されたドーム部32と、を有している。ドーム部32は、箱状部31に連通している。外筒3の上方には、上仕切板19が水平方向に沿って設置されている。外筒3の左右側方には、空間S1を介して側方仕切板171(
図6~
図8参照)がそれぞれ設けられている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、外筒3の箱状部31は、平板状を呈する前面部311を有している。平板状には、略平坦な板形状が含まれる。外筒3の前面部311の下部には、耐熱ガラス314が取り付けられた窓部が形成されている。
【0017】
図4または
図5に示すように、ドーム部32は、前面部311の後方に位置する背面部321を有している。背面部321の後方下部には、バーナヘッド21の炎孔から放出される気化した燃油に着火する点火プラグ22と、炎の状態を監視するフレームロッド23とが、背面部321を貫通して配置されている。点火プラグ22及びフレームロッド23は、後仕切板172(後側遮熱板)の支持板設置孔172hに挿着された支持板177に保持されている。その支持板177は、さらに、背面部321にねじ止めされている。
【0018】
ドーム部32は、箱状部31の下側寄りに設けられている。つまり、箱状部31におけるドーム部32の下端よりも下方に位置する部分は、箱状部31におけるドーム部32の上端よりも上方に位置する部分よりも、上下方向の寸法が小さい。
【0019】
図5に示すように、前側部材33は、前面部311と、前面部311の外周縁から後方に延びる周壁部312と、周壁部312の後端縁から鉛直面に沿って広がって延びる前側フランジ部313と、を有している。
【0020】
後側部材34は、背面部321と、背面部321の前端縁から鉛直面に沿って広がって延びる後面部322と、後面部322の外周に設けられた後側フランジ部323と、を有している。
【0021】
図4または
図8に示すように、背面部321の後側には、空間S1を介して対流用ファン5が配置されている。背面部321は、平面視して半円状、または、円弧状に形成されると共に、側面視して裾広がりに傾斜している。
【0022】
図5に示すように、後側部材34の後側フランジ部323は、前側部材33の前側フランジ部313に接合される。ここで、前側部材33と、後側部材34の後面部322及び後側フランジ部323とは、箱状部31(
図4参照)を構成している。後側部材34の背面部321は、ドーム部32(
図4参照)を構成している。
【0023】
図7及び
図8に示すように、外筒3の外周部に形成された前側フランジ部313及び後側フランジ部323と、化粧板18との間には、外筒3の輻射熱と、対流用ファン5からの風とを熱交換させた温風が吹き出される縦長吹出部13が形成されている。
【0024】
図4に示すように、熱交換器4は、バーナ部2で発生した燃焼ガスと、本体ケース1の背面に取り付けられた対流用ファン5から送られる空気と、を熱交換する。熱交換器4は、外筒3の箱状部31の後方上部に接続されている。また、熱交換器4は、ドーム部32の上方に配置されている。また、熱交換器4は、対流用ファン5の前方に配置されている。
【0025】
熱交換器4は、左右にそれぞれ配置された一対の箱状のヘッダ部41,41(ここでは右側のヘッダ部41は図示せず)と、左右一対のヘッダ部41,41の間に配置され両者を連通するパイプ部42と、を有している。ここでは、右側のヘッダ部41が外筒3の箱状部31に連通しており、左側のヘッダ部41が排気管43に連通している。バーナ部2で発生した燃焼ガスは、外筒3内を上昇して熱交換器4に流入するようになっている。
【0026】
図4に示すように、対流用ファン5は、外筒3及び熱交換器4の後方に配置されて、前方に向けて送風する対流用送風機である。対流用ファン5は、モータ51と、モータ51の回転軸52に接続されるボス部53と、該ボス部53の外周面にそれぞれ設けられた複数枚の羽根54と、を有している。対流用ファン5は、本体ケース1の後部上側に配置されている。外筒3と対流用ファン5との間には、外筒3から対流用ファン5に向けて放出される放射熱a1を抑制する後仕切板172が設けられている。
【0027】
図4及び
図5に示すように、バーナ部2と外筒3との間には、接続部材8が介装されている。接続部材8は、外筒3の底部324に接続されている。バーナ部2に設けられた水平な取付用板部26は、接続部材8の下仕切板82の下面側に、シール部材24を間に挟んで取り付けられている。接続部材8は、暖房装置100の本体ケース1内の下部に水平に設置された水平板15の上に取り付けられている。
【0028】
図5に示すように、接続部材8は、首部81と、下仕切板82と、を有している。首部81は、バーナ部2の径方向外側に配置されており、円筒状を呈している。下仕切板82は、首部81の下端側から径方向外側に略水平に延びている。
【0029】
図3または
図5に示すように、水平板15は、本体ケース1の底面上に設置された支持脚16の上に取り付けられている。水平板15は、平面視してコ字状(四角張ったU字状)を呈している。すなわち、水平板15は、中央部の前方に切欠部151が形成されており、左右に一対の平面部152,152を有している。バーナ部2は、平面視して水平板15の切欠部151内に位置している。接続部材8の左右の端部が、一対の平面部152,152の上にそれぞれ載置されて支持されている。
【0030】
図4または
図5に示すように、支持脚16は、水平板15と同様に、平面視してコ字状を呈しており、水平板15を安定して支持することができる。
【0031】
図5に示すように、外筒3の周囲には、該外筒3の左右両側及び後側を覆う仕切板17が設けられている。仕切板17は、水平板15上に設置されて支持されている。仕切板17は、外筒3の左右両側にそれぞれ配置された側方仕切板171,171と、外筒3の後方に配置された後仕切板172と、を備えている。
【0032】
後仕切板172の上端縁は、側方仕切板171の上端縁よりも下方に位置している。つまり、左右両側の側方仕切板171,171の間における後仕切板172の上方には、開口部173が形成されている。
図4に示すように、後仕切板172は、外筒3の背面部321全体を空間S1を介して覆うように配置されると共に、対流用ファン5の羽根54の下側外周部54aに対向配置されて、羽根54によって送風された空気を空間S1側(矢印g方向)及び下方向(矢印d方向)にそれぞれ分流して導くように形成されている。このため、対流用ファン5から送られた上側及び中央部に空気(矢印b)は、開口部173を通って熱交換器4及び外筒3に当たるようになっている。また、対流用ファン5から送られた下側の空気(矢印c)は、後仕切板172に当たって下方向(矢印d,k方向)に流れる。
【0033】
図9及び
図10に示すように、後仕切板172は、上側垂直部172aと、傾斜部172bと、下側垂直部172cと、スリット172dと、突出片172eと、段差部172fと、フランジ部172gと、支持板設置孔172hと、を有している。
【0034】
図4に示すように、上側垂直部172aは、羽根54の下側外周部54aの前方に対向配置されて、羽根54の下側外周部54aによって前方(矢印c方向)に流された風を下方向(矢印d,k方向)に流すための箇所である。上側垂直部172aは、羽根54の下側外周部54aに沿って上方向に延設された矩形の平板部分である。
【0035】
傾斜部172bは、上側垂直部172aの下端部から後方向に傾斜した箇所である。傾斜部172bは、外筒3の背面部321に略沿って形成されている。
下側垂直部172cは、傾斜部172bの下側に形成された箇所である。下側垂直部172cは、本体ケース1の後側内壁1aの前側に、通気路1bを介して対向して垂直に配置された矩形の平板から成る。
【0036】
図9及び
図10に示すように、スリット172dは、切り曲げ加工によって形成された通気孔である。スリット172dは、切り曲げ加工を施すことで外筒3側に切り起こされた突出片172eを突出形成することで、形成される。スリット172dは、左右方向に細長い貫通孔から成る。
突出片172eは、スリット172dの下端から前側斜め上方向に突設された左右方向に細長い片から成る。
【0037】
図9及び
図10に示すように、段差部172fは、下側垂直部172cの左右両端部をそれぞれ段差状(平面視してコ字状)に折り曲げて形成された箇所である。段差部172fは、
図4に示す下側垂直部172cと、本体ケース1の後側内壁1aとの間に通気路1bをするために折り曲げ形成されている。
【0038】
図9及び
図10に示すように、フランジ部172gは、左右の段差部172fの左右両端部に形成された略矩形の鍔部である。左右のフランジ部172gは、左右の側方仕切板171の連結フランジ部(
図5参照)にそれぞれ固定されている。
支持板設置孔172hは、前記した支持板177(
図3参照)が挿着される貫通孔である。支持板設置孔172hは、下側垂直部172cの中央部に形成されている。
【0039】
側方仕切板171は、奥側仕切板174と、傾斜仕切板175と、前側仕切板176と、を備えている。
図7及び
図8に示すように、左右の前記側方仕切板171の前端部には、平面視して、外筒3側の端縁を背面部321側に潜り込ませるようにして、後から前へ斜めに拡開した傾斜部18aを有する化粧板18を備えている。
【0040】
奥側仕切板174は、後仕切板172の横方向(左右方向)の端縁から前方に延びている。傾斜仕切板175は、奥側仕切板174の前端縁から前方に行くほど外筒3から離れるように斜め前方に延びている。前側仕切板176は、傾斜仕切板175の前端縁から横方向(左右方向)に延びている。傾斜仕切板175及び前側仕切板176の前面には、化粧板18が取り付けられている。
図2に示す縦長吹出部13は、外筒3の前面部311と、化粧板18との間に形成されている。
【0041】
化粧板18は、外筒3側の前端部に形成されて対流用ファン5からの風を前方に流すためのガイド部18bと、ガイド部18bと側方仕切板171との間に形成された中空部18cと、中空部18cを形成するための凸部18dと、化粧板18の左右外側に形成されたフランジ部18eと、を有している。
図2に示すように、化粧板18は、本体ケース1の前側左右両端部に、上下方向に延設されている。
【0042】
図3に示すように、外筒3の上方には、上仕切板19の前端部に連結されたガイド部材9が設けられている。ガイド部材9は、対流用ファン5から送られる空気を前面部311の表面に当たるように導くものである。ガイド部材9は、化粧板としても機能する。
【0043】
≪暖房装置の作用≫
次に、各図を参照して本発明の実施形態に係る暖房装置100の作用を説明する。
【0044】
図1に示す操作部11において運転スイッチがオン操作されると、
図4に示すバーナ部2は予熱を開始し、燃油供給部6、空気供給部7(
図1参照)が駆動させられて、バーナ部2で燃油が燃焼させられる。
【0045】
バーナ部2で発生した炎や燃焼ガスは、外筒3内で完全燃焼しながら上昇し、背面部321に沿って上方向に流れる。外筒3を通った燃焼ガスは、熱交換器4に流入し、熱交換器4を通過した後、排気管43を経て排気ガスとして屋外に排気される。この際、外筒3は、バーナ部2で発生した炎や燃焼ガスによって加熱され、外筒3の前面部311から前方に向けて輻射熱(
図7及び
図8に示す矢印a2)が放出されると共に、外筒3の背面部321から後方及び左右方向に向けて輻射熱(
図7及び
図8に示す矢印a1)が空間S1内に放出される。このため、
図7及び
図8に示すように、空間S1に配置されている側方仕切板171及び化粧板18は、輻射熱(矢印a1)に加熱される。加熱された化粧板18は、前側に輻射熱(矢印a3)を放出して室内を暖める。
【0046】
そして、対流用ファン5の駆動が開始されると、対流用ファン5によって室内の空気が本体ケース1内に取り込まれる。
図4、
図7あるいは
図8に示すように、対流用ファン5によって取り込まれて、前側に送り出された上側の空気(矢印b)は、加熱された外筒3や熱交換器4と熱交換して加熱され、温風となって縦長吹出部13から室内に吹き出される。
【0047】
また、
図4に示す対流用ファン5によって取り込まれて、対流用ファン5の前側に送り出された下側の空気(矢印c)は、後仕切板172の上側垂直部172aに当たって案内されて、上側垂直部172aに沿って下方向(矢印d,k方向)に流れる。さらに空気は、傾斜部172bに当たり、その空気の一部が傾斜部172bに当たった抵抗で傾斜部172bを上ってスリット172d内に入り込んだ後、突出片172eにガイドされて、空間S1をドーム部32の背面部321に沿って上方向(矢印g方向)に流れる。
【0048】
これにより、後仕切板172の前側の空間S1が温度上昇するのを抑制することができる。このため、外筒3の背面部321の輻射熱によって、対流用ファン5の手前側にある後仕切板172が加熱されるのを抑制することができる。
【0049】
また、前記傾斜部172bに当たった空気は、傾斜部172bに案内されて下側(矢印e,k方向)に流れ、下側垂直部172cと、本体ケース1の後側内壁1aとの間の通気路1bを通って、バーナ部2の下方(矢印f方向)に流れた後、下側吹出部(図示省略)から本体ケース1外へ流れる。
このようにして、室内の暖房が行われる。
【0050】
以上のように、本発明の実施形態に係る暖房装置100は、
図6~
図8に示すように、燃焼を行うバーナ部2と、バーナ部2の上方に配置されてバーナ部2で発生した燃焼ガスによって加熱される外筒3と、を備え、外筒3は、平板状を呈する前面部311と、前面部311の後方に位置する背面部321と、を有し、外筒3の左右側方には、空間S1を介して側方仕切板171がそれぞれ設けられ、左右の側方仕切板171の前端部には、平面視して、外筒3側の端縁を背面部321側に潜り込ませるようにして、後から前へ斜めに拡開した(横断面視してハの字状に配置された)傾斜部18aを有する化粧板18(輻射板)を備えている。
【0051】
かかる構成によれば、暖房装置100は、
図7及び
図8に示すように、バーナ部2によって加熱される外筒3の左右側方にて側方仕切板171及び化粧板18が配置されている。このため、側方仕切板171及び化粧板18は、外筒3の放射熱(矢印a1)によって加熱される。加熱された化粧板18は、左右の側方仕切板171の前端部にそれぞれ配置されているので、前方に放射熱(矢印a3)を放出して室内を暖めることができる。その化粧板18は、斜めに拡開した傾斜部18aを有することで、化粧板18自体からワイドに輻射熱を放出することができる。
このようにして、暖房装置100は、外筒3から本体ケース1内の空間S1内に放出された放射熱(矢印a1)を、効率よく室内に放出して暖房することができる。
また、化粧板18は、側方仕切板171と外筒3との間に配置されているので、側方仕切板171の前側部分に外筒3からの輻射熱(矢印a1)が直接当たって加熱されるのを阻止する遮熱効果がある。このため、側方仕切板171の内側の温度が上昇するのを抑制して、暖房装置100内部の温度を下げることができる。
【0052】
また、
図7及び
図8に示すように、背面部321の後側には、空間S1を介して対流用ファン5が配置され、外筒3の外周部に形成されたフランジ部(前側フランジ部313、後側フランジ部323)と、化粧板18(輻射板)との間には、外筒3の輻射熱(矢印a1)と、対流用ファン5からの風とを熱交換させた温風(矢印b)が吹き出される縦長吹出部13が形成されている。
【0053】
かかる構成によれば、暖房装置100は、バーナ部2によって加熱される外筒3の外周部に、対流用ファン5からの空気が流れる空間S1と、化粧板18とが配置されているので、暖房感に寄与し難い外筒3の背面部321からの輻射熱(矢印a1)で、空間S1内の空気と、化粧板18とを加熱させることができる。加熱された空間S1内の空気は、対流用ファン5からの空気によって縦長吹出部13から室内に温風として吹き出されて室内を暖めるので、より高い暖房感を得ることができる。また、輻射熱(矢印a1)で加熱された化粧板18は、前方に輻射熱(矢印a3)を放出して室内を暖めることができるので、さらに、暖房感を向上させることができる。
【0054】
また、
図7及び
図8に示すように、化粧板18(輻射板)は、外筒3側の前端部に形成されて対流用ファン5からの風を前方に流すためのガイド部18bと、ガイド部18bと側方仕切板171との間に形成された中空部18cと、を有している。
【0055】
かかる構成によれば、化粧板18は、ガイド部18bを有することで、対流用ファン5からの風を、暖房装置100の前方の所望方向に流すことができる。化粧板18は、中空部18cを有することで、ガイド部18bの内側が所望以上に加熱されるのを抑制することができる。
【0056】
また、
図7及び
図8に示すように、背面部321は、平面視して半円状、または、円弧状に形成されると共に、側面視して裾広がりに傾斜している。
【0057】
かかる構成によれば、背面部321は、平面視して半円状、または、円弧状に形成されていることで、対流ファン5によって送風された空気の流れが滑らかになって、温風を縦長吹出部13からスムーズに吹き出るようにすることができる。
【0058】
また、
図2に示すように、化粧板18(輻射板)は、本体ケース1の前側左右両端部に、上下方向に延設されている。
【0059】
かかる構成によれば、化粧板18は、本体ケース1の前側左右両端部に、上下方向に延設されていることで、前側後左右方向にワイドに輻射熱(矢印a3)を放出して室内を暖房することができる(
図7及び
図8参照)。
【0060】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
前記実施形態では、暖房装置100の一例としてFF式ストーブを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の暖房装置100は、バーナ部2と、外筒3と、側方仕切板171と、化粧板18(遮熱板)を有するものであればよく、種類、構造、形状等は特に限定されない。暖房装置100は、そのほか、FF式以外のストーブや、ファンヒータ等の暖房機器であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 本体ケース
2 バーナ部
3 外筒
4 熱交換器
5 対流用ファン
13 縦長吹出部
17 仕切板
18 化粧板(輻射板)
18a 傾斜部
18b ガイド部
18c 中空部
100 暖房装置
171 側方仕切板
311 前面部
313,323 フランジ部
321 背面部
S1 空間