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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】凸球面研磨方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 21/00 20060101AFI20230620BHJP
   B24B 21/02 20060101ALI20230620BHJP
   B24B 11/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B24B21/00 D
B24B21/02
B24B11/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020174573
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065837
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391005156
【氏名又は名称】株式会社サンシン
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】細貝 晃司
(72)【発明者】
【氏名】湯本 裕
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-146471(JP,A)
【文献】特許第3404579(JP,B2)
【文献】特許第4406772(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 21/00
B24B 21/02
B24B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部材の端部の凸球面を研磨するに際し、上記棒状部材を部材保持機構により該棒状部材の中心軸線回りに回転自在に保持し、該棒状部材を部材回転機構により該中心軸線回りに回転させ、該棒状部材の端部の凸球面を研磨する研磨テープを該部材保持機構に対設されたテープ移送機構により連続的又は間欠的に移送させ、該テープ移送機構をテープ圧接機構により圧接移動して該研磨テープを圧接部材により該棒状部材の該凸球面に圧接させ、該部材保持機構に保持された該棒状部材を首振揺動機構により該中心軸線上の凸球面の中心点を中心として該研磨テープの移送方向に首振揺動動作させ、上記棒状部材の中心軸線回りの回転、研磨テープの連続的又は間欠的な移送、棒状部材の凸球面への圧接部材による研磨テープの圧接、及び、棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点を中心とする研磨テープの移送方向の首振揺動動作の複合動作により棒状部材の端部の凸球面を研磨することを特徴とする凸球面研磨方法。
【請求項2】
棒状部材を該棒状部材の中心軸線回りに回転自在に保持する部材保持機構と、該棒状部材を該中心軸線回りに回転させる部材回転機構と、該棒状部材の端部の凸球面を研磨する研磨テープと、該部材保持機構に対設され、該研磨テープを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構と、該テープ移送機構を圧接移動して該研磨テープを圧接部材により該棒状部材の該凸球面に圧接させるテープ圧接機構と、該部材保持機構に保持された該棒状部材を該中心軸線上の凸球面の中心点を中心として該研磨テープの移送方向に首振揺動動作させる首振揺動機構とを具備してなり、上記棒状部材の中心軸線回りの回転、研磨テープの連続的又は間欠的な移送、棒状部材の凸球面への圧接部材による研磨テープの圧接、及び、棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点を中心とする研磨テープの移送方向の首振揺動動作の複合動作により棒状部材の端部の凸球面を研磨することを特徴とする凸球面研磨装置。
【請求項3】
上記首振揺動機構による該部材保持機構の首振揺動軸線と、上記部材保持機構に保持された上記棒状部材の該中心軸線上の凸球面の中心点とを合致調節可能な合致調節機構を備えてなることを特徴とする請求項2記載の凸球面研磨装置。
【請求項4】
上記合致調節機構は上記棒状部材の該中心軸線方向に移動可能な移動歯車及び該移動歯車に歯合すると共に該棒状部材の該中心軸線方向に移動不能に位置固定された固定歯車を含む回転伝達機構を備えてなることを特徴とする請求項記載の凸球面研磨装置。
【請求項5】
上記圧接部材による上記研磨テープと上記棒状部材の該凸球面との圧接力を調整可能な圧接調節機構を備えてなることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の凸球面研磨装置。
【請求項6】
上記部材保持機構に保持された上記棒状部材の上記中心軸線と該棒状部材の首振揺動動作の首振揺動範囲の揺動振分中心とが同一軸線上となる位置に該部材保持機構を位置決めする位置決め機構を備えてなることを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の凸球面研磨装置。
【請求項7】
上記首振揺動機構は偏心リンク機構からなることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の凸球面研磨装置。
【請求項8】
上記部材保持機構は上記棒状部材を保持釈放可能なコレットチャック機構を含むことを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の凸球面研磨装置。
【請求項9】
上記部材保持機構は上記棒状部材を保持釈放可能なコレットチャック機構及び該コレットチャック機構を保持釈放動作させるドローバー機構からなることを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の凸球面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば光コネクタのフェルール、測定用プローブ、エンジン用プランジャロッド、プラスチックレンズ、その他の棒状部材の端部の凸球面を研磨する際に用いられる凸球面研磨方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の棒状部材の端部の凸球面を研磨する研磨装置として平板状の研磨シートやリング状の砥石材を用いた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-246542
【文献】特開2005-028548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、例えば、光コネクタの上記凸球面は光反射及び接続損失を抑えるため研磨精度が高く要求されると共に製作コストの低減から研磨作業性の向上が強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の方法の発明は、棒状部材の端部の凸球面を研磨するに際し、上記棒状部材を部材保持機構により該棒状部材の中心軸線回りに回転自在に保持し、該棒状部材を部材回転機構により該中心軸線回りに回転させ、該棒状部材の端部の凸球面を研磨する研磨テープを該部材保持機構に対設されたテープ移送機構により連続的又は間欠的に移送させ、該テープ移送機構をテープ圧接機構により圧接移動して該研磨テープを圧接部材により該棒状部材の該凸球面に圧接させ、該部材保持機構に保持された該棒状部材を首振揺動機構により該中心軸線上の凸球面の中心点を中心として該研磨テープの移送方向に首振揺動動作させ、上記棒状部材の中心軸線回りの回転、研磨テープの連続的又は間欠的な移送、棒状部材の凸球面への圧接部材による研磨テープの圧接、及び、棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点を中心とする研磨テープの移送方向の首振揺動動作の複合動作により棒状部材の端部の凸球面を研磨することを特徴とする凸球面研磨方法にある。
【0006】
又、請求項2記載の装置の発明は、棒状部材を該棒状部材の中心軸線回りに回転自在に保持する部材保持機構と、該棒状部材を該中心軸線回りに回転させる部材回転機構と、該棒状部材の端部の凸球面を研磨する研磨テープと、該部材保持機構に対設され、該研磨テープを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構と、該テープ移送機構を圧接移動して該研磨テープを圧接部材により該棒状部材の該凸球面に圧接させるテープ圧接機構と、該部材保持機構に保持された該棒状部材を該中心軸線上の凸球面の中心点を中心として該研磨テープの移送方向に首振揺動動作させる首振揺動機構とを具備してなり、上記棒状部材の中心軸線回りの回転、研磨テープの連続的又は間欠的な移送、棒状部材の凸球面への圧接部材による研磨テープの圧接、及び、棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点を中心とする研磨テープの移送方向の首振揺動動作の複合動作により棒状部材の端部の凸球面を研磨することを特徴とする凸球面研磨装置にある。
【0007】
又、請求項3記載の装置の発明は、上記首振揺動機構による該部材保持機構の首振揺動軸線と、上記部材保持機構に保持された上記棒状部材の該中心軸線上の凸球面の中心点とを合致調節可能な合致調節機構を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の装置の発明は、上記合致調節機構は上記棒状部材の該中心軸線方向に移動可能な移動歯車及び該移動歯車に歯合すると共に該棒状部材の該中心軸線方向に移動不能に位置固定された固定歯車を含む回転伝達機構を備えてなることを特徴とするものである。
【0008】
又、請求項5記載の装置の発明は、上記圧接部材による上記研磨テープと上記棒状部材の該凸球面との圧接力を調整可能な圧接調節機構を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項6記載の装置の発明は、上記部材保持機構に保持された上記棒状部材の上記中心軸線と該棒状部材の首振揺動動作の首振揺動範囲の揺動振分中心とが同一軸線上となる位置に該部材保持機構を位置決めする位置決め機構を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項7記載の装置の発明は、上記首振揺動機構は偏心リンク機構からなることを特徴とするものである。
【0009】
又、請求項8記載の装置の発明は、上記部材保持機構は上記棒状部材を保持釈放可能なコレットチャック機構を含むことを特徴とするものであり、又、請求項9記載の装置の発明は、上記部材保持機構は上記棒状部材を保持釈放可能なコレットチャック機構及び該コレットチャック機構を保持釈放動作させるドローバー機構からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く、請求項1及び請求項2記載の発明にあっては、棒状部材の端部の凸球面を研磨するに際し、上記棒状部材を部材保持機構により棒状部材の中心軸線回りに回転自在に保持し、棒状部材を部材回転機構により中心軸線回りに回転させ、棒状部材の端部の凸球面を研磨する研磨テープをテープ移送機構により連続的又は間欠的に移送させ、テープ移送機構をテープ圧接機構により圧接移動して研磨テープを圧接部材により棒状部材の凸球面に圧接させ、棒状部材を首振揺動機構により中心軸線上の凸球面の中心点を中心として研磨テープの移送方向に首振揺動動作させ、上記棒状部材の中心軸線回りの回転、研磨テープの連続的又は間欠的な移送、棒状部材の凸球面への圧接部材による研磨テープの圧接、及び、棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点を中心とする研磨テープの移送方向の首振揺動動作の複合動作により棒状部材の端部の凸球面を研磨することができ、凸球面の研磨精度及び表面あらさを向上することができ、研磨作業性、研磨能率を向上することができ、研磨コスト及び製作コストの低減を図ることができる。
【0011】
又、請求項3記載の発明にあっては、上記首振揺動機構による部材保持機構の首振揺動軸線と、上記部材保持機構に保持された上記棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点とを合致調節可能な合致調節機構を備えてなるから、棒状部材の各種の凸球面の中心点からの半径の大小に応じて首振揺動軸線と棒状部材の中心軸線上の凸球面の中心点とを合致調節することができ、凸球面の研磨精度及び表面あらさを向上することができると共に棒状部材の各種の仕様の変化に対応することができ、それだけ、研磨の融通性を向上することができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記合致調節機構は上記棒状部材の中心軸線方向に移動可能な移動歯車及び移動歯車に歯合すると共に棒状部材の中心軸線方向に移動不能に位置固定された固定歯車を含む回転伝達機構を備えてなるから、合致調節機構の構造を簡素化することができ、装置の製作コストの低減を図ることができると共に凸球面の研磨精度及び表面あらさを向上することができ、研磨作業性、研磨能率を向上することができる。
【0012】
又、請求項5記載の発明にあっては、上記圧接部材による上記研磨テープと上記棒状部材の凸球面との圧接力を調整可能な圧接調節機構を備えてなるから、棒状部材の材質や凸球面の大小に応じて、研磨テープと上記棒状部材の凸球面との圧接力を適宜調節することができ、凸球面の研磨精度及び表面あらさを向上することができ、又、請求項6記載の発明にあっては、上記部材保持機構に保持された上記棒状部材の上記中心軸線と棒状部材の首振揺動動作の首振揺動範囲の揺動振分中心とが同一軸線上となる位置に部材保持機構を位置決めする位置決め機構を備えてなるから、首振揺動範囲の揺動振分中心に棒状部材を停止保持することができ、凸球面の研磨精度及び表面あらさを向上することができ、又、請求項7記載の発明にあっては、上記首振揺動機構は偏心リンク機構からなるので、首振揺動機構の構造を簡素化することができ、装置の製作コストの低減を図ることができ、さらに、首振揺動範囲の大小変更が容易となり、凸球面の研磨精度及び表面あらさを一層向上することができる。
【0013】
又、請求項8記載の発明にあっては、上記部材保持機構は上記棒状部材を保持釈放可能なコレットチャック機構を含んで構成されているから、棒状部材の保持釈放を容易に行うことができ、凸球面の研磨作業性及び研磨能率を向上することができ、又、請求項9記載の発明にあっては、上記部材保持機構は上記棒状部材を保持釈放可能なコレットチャック機構及びコレットチャック機構を保持釈放動作させるドローバー機構からなるので、棒状部材の保持釈放を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態例の全体正面図である。
図2】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
図3】本発明の実施の形態例の部分平断面図である。
図4】本発明の実施の形態例の部分後断面図である。
図5】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
図6】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
図7】本発明の実施の形態例の部分拡大平断面図である。
図8】本発明の実施の形態例の部分拡大後面図である。
図9】本発明の実施の形態例の部分拡大正断面図である。
図10】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
図11】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
図12】本発明の実施の形態例の部分拡大正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、この場合、図1図2図3図5図6の如く、大別して、棒状部材Wを棒状部材Wの中心軸線W回りに回転自在に保持する部材保持機構Aと、棒状部材Wを中心軸線W回りに回転Wさせる部材回転機構Bと、棒状部材Wの端部の凸球面Rを研磨する研磨テープTと、部材保持機構Aに対設され、研磨テープTを連続的又は間欠的に移送させるテープ移送機構Cと、テープ移送機構Cを圧接移動して研磨テープTを圧接部材Dにより棒状部材Wの凸球面Rに圧接Dさせるテープ圧接機構Dと、部材保持機構Aに保持された棒状部材Wを中心軸線W上の凸球面Rの中心点Oを中心として研磨テープの移送方向に首振揺動動作Wさせる首振揺動機構Eとから構成されている。
【0016】
この場合、上記部材保持機構Aにあっては、図1図2図5の如く、機体1に機台枠2を取付け、機台枠2の上部に上記首振揺動機構Eの首振揺動筒軸3を軸受筒部4により首振揺動軸線Eを中心として首振揺動自在に横設し、首振揺動筒軸3の一方端部に歯車筐体5を取付け、歯車筐体5に部材保持機構Aが取り付けられ、かつ、この場合、上記部材保持機構Aは上記棒状部材Wを保持釈放可能なコレットチャック機構Aを含んで構成され、さらに、この場合、上記部材保持機構Aは上記棒状部材Wを保持釈放可能なコレットチャック機構A及びコレットチャック機構Aを保持釈放動作させるドローバー機構Aから構成されている。
【0017】
この場合、上記部材回転機構Bにあっては、図4図5の如く、上記首振揺動機構Eの首振揺動筒軸3の首振揺動軸線Eと同軸線上に伝達横軸6を回転自在に横設し、上記歯車筐体5に伝達縦軸7を回転自在に縦設し、伝達横軸6と伝達縦軸7との間に一対の伝達歯車6a・7aを介装し、かつ、上記首振揺動機構Eによる部材保持機構Aの首振揺動軸線Eと、上記部材保持機構Aに保持された上記棒状部材Wの中心軸線W上の凸球面Rの中心点Oとを合致調節可能な合致調節機構Bを備えてなり、この場合、上記合致調節機構Bは上記棒状部材Wの中心軸線W方向に移動可能な移動歯車8及び移動歯車8に歯合すると共に棒状部材Wの中心軸線W 方向に移動不能に位置固定された固定歯車9を含む回転伝達機構Bを備えている。
【0018】
この場合、図1図4図5図9の如く、上記歯車筐体5に部材保持機構Aの移動筐体10を長穴10a及びボルト10bにより上下摺動自在に設け、移動筐体10に部材保持機構Aの筒状の筒主軸11を回転自在に縦設し、上記伝達縦軸7に棒状部材Wの各種の凸球面Rの中心点Oからの半径rを加味した歯幅の長い固定歯車9を取付け、上記筒主軸11に固定歯車9に歯合して上記棒状部材Wの中心軸線W方向に移動可能な移動歯車8を取付け、機台枠2の下部に回転用モータ12を取付け、回転用モータ12の主軸12aと上記伝達横軸6との間にベルト伝動機構13を介装し、回転用モータ12の回転により伝達横軸6、一対の伝達歯車6a・7a、伝達縦軸7、回転伝達機構Bの固定歯車9及び移動歯車8を介して部材保持機構Aの筒主軸11を回転させ、さらに、移動筐体10を歯車筐体5に対して長穴10a及びボルト10bにより棒状部材Wの各種の凸球面Rの中心点Oからの半径rの大小に応じて上下調節するように構成している。
【0019】
この場合、上記テープ移送機構C及びテープ圧接機構Dは、図1図2図6の如く、上記部材保持機構Aの上方に対設され、上記機台枠2の上面に取付ブラケット2aを取付け、取付ブラケット2aにテープ機体14を摺動台14a及びガイド部材14bにより上下摺動自在に設け、取付ブラケット2aに取付片2bを取付け、取付片2bに圧接用シリンダDを取付け、圧接用シリンダDによりテープ機体14を上下圧接移動自在に設け、テープ機体14に実巻リール15を支持軸15aにより回転自在に配設し、実巻リール15に巻回された未使用の研磨テープTをガイドロール16a・16b、案内ロール17a、テープ圧接機構Dの圧接部材D、案内ロール17b、ガイドロール16c、巻取軸18の巻取ロール18a、ガイドロール16dを介して支持軸19aに回転自在に軸架された空リール19に巻回し、実巻リール15は巻解用モータ20により巻解き回転され、巻取軸18は巻取用モータ21により巻取り回転し、巻取軸18の回転により空リール19がプーリー機構22を介して巻取り回転し、テープ機体14に揺動アーム23aを支持ピン23bにより揺動自在に枢着し、揺動アーム23aの一方端部に研磨テープTを巻取ロール18aの周面に弾圧する弾圧ロール23cを設けると共に他方端部に調節ネジ23dを取付け、テープ機体14にストッパ23eを取付け、揺動アーム23aの他方端部とストッパ23eとの間に弾圧用バネ23fを介装し、しかして、巻解用モータ20及び巻取用モータ21を回転制御して実巻リール15に巻回された未使用の研磨テープTをテープ圧接機構Dを介して空リール19で巻取り、研磨テープTを連続的又は間欠的に移送Tすると共に、上記テープ機体14を上下移動して圧接部材Dにより研磨テープTを棒状部材Wの凸球面Rに圧接Dするように構成している。
【0020】
Fは圧接調節機構であって、この場合、図1図2の如く、上記テープ機体14の中央部に調節筒24を取付け、調節筒24の下部に圧接杆25を上下摺動自在に設け、圧接杆25の下端部に上記圧接部材Dを取付け、調節筒24に保持片26を取付け、保持片26に上記圧接部材Dを境にして左右一対の上記案内ロール17a・17bを軸架し、図6図9図10図11の如く、圧接部材Dの底面に弾性材からなるパッド部材Fを取付け、パッド部材Fを境にして研磨テープTを走行案内可能なテープガイド溝F・Fを形成し、上記調節筒24の上部に調節ネジ27を螺着し、調節ネジ27の下端部と上記圧接杆25の上端部との間に圧接調節用バネ28を介装し、圧接調節用バネ28により上記圧接杆25を調節筒24のストッパ段部24aに弾圧し、調節ネジ27の正逆回動により圧接調節用バネ28のバネ圧を可変調節し、圧接部材Dによる研磨テープTと上記棒状部材Wの凸球面Rとの圧接力を調節可能に構成している。
【0021】
この場合、上記研磨テープTは、ポリエステルフィルム、メタル、クロス等の基材に酸化アルミニュウム、酸化クロム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド等の所定粒度の研磨粒子をコーティング又は結合してなる構造となっている。
【0022】
又、この場合、上記首振揺動機構Eは偏心リンク機構Gからなり、図4図5図7図8の如く、上記首振揺動筒軸3の後部に首振揺動板29を取付け、機台枠2の下部に揺動用モータ30を上記回転用モータ12に並列配設し、揺動用モータ30の主軸30aに偏心調節部材31を直結し、偏心調節部材31にT状溝部31aを形成し、移動駒部材32をT状溝部31aに摺動自在に設け、移動駒部材32に連結板33を締付ボルト33aにより枢着連結し、首振揺動板29の枢着ピン34と連結板33との間にクランクロッド35を枢着軸架し、偏心調節部材31の左右両側に対向一対の調節ボルト31b・31bを設け、対向一対の調節ボルト31b・31bの緊締弛緩回動により移動駒部材32をT状溝部31aにより摺動させ、揺動用モータ30の主軸30aの軸線Oと移動駒部材32の枢着中心Oとの偏心量εを可変調節し、棒状部材Wの凸球面Rに応じて首振揺動軸線Eを中心とする首振揺動筒軸3の首振揺動動作Wの首振揺動範囲Eを調節可能に構成している。
【0023】
又、この場合、図1図5図6の如く、上記部材保持機構Aの上記棒状部材Wを保持釈放可能なコレットチャック機構A及びコレットチャック機構Aを保持釈放動作させるドローバー機構Aにあっては、上記移動筐体10に上記部材保持機構Aの筒状の筒主軸11にドローバー軸36を上下摺動自在に設け、ドローバー軸36の上端部に棒状部材Wを挟持可能なコレットチャック37を取付け、上記筒主軸11の上部内周面にコレットチャック37のテーパ外面37aに接離可能なテーパー内面11aを形成し、コレットチャック37の内底面に棒状部材Wの各種の凸球面Rの中心点Oからの半径rの大小に応じて交換可能な高さの異なる調節規制ピン38を配置し、ドローバー軸36の下端部に調節用ナット39を螺着し、調節用ナット39と上記筒主軸11の下端部との間に挟持用バネ40を掛架し、筒主軸11を回り止め可能な回止ピン41a及び回止溝41bからなる回止機構41を設け、更に、上記機台枠2の下部に突出ピン42a及び突出シリンダ42bからなる釈放機構42を上記ドローバー軸36の下端部に対設し、しかして、挟持用バネ40によりドローバー軸36を下降弾圧してコレットチャック37を挟着動作させ、釈放機構42の突出シリンダ42bにより突出ピン42aを挟持用バネ40に抗して突き上げて筒主軸11のテーパー内面11aとコレットチャック37のテーパ外面37aとを離反させ、棒状部材Wを釈放させるように構成している。
【0024】
43は位置決め機構であって、上記部材保持機構Aに保持された上記棒状部材Wの上記中心軸線Wと棒状部材Wの首振揺動動作Wの首振揺動範囲Eの揺動振分中心Eとが同一軸線上となる位置、この場合、棒状部材Wが直立する位置に部材保持機構Aを位置決め固定するように構成され、機械の制御の原点ともされ、この場合、図3図4図12の如く、上記首振揺動筒軸3の後部の首振揺動板29に位置決め溝部43aを形成し、上記機台枠2の後部に位置決め用シリンダ43bを取付け、位置決め用シリンダ43bのロッドに位置決め溝部43aに嵌脱可能な位置決めロール43cを取付け、位置決め用シリンダ43bにより位置決めロール43cを進退移動させ、位置決めロール43cと位置決め溝部43aとの嵌脱により上記部材保持機構Aに保持された上記棒状部材Wの上記中心軸線Wと棒状部材Wの首振揺動動作Wの首振揺動範囲Eの揺動振分中心Eとが同一軸線上となる位置に部材保持機構Aを位置決めすると共に位置決めロール43cと位置決め溝部43aとの離脱により首振揺動筒軸3の首振揺動動作を許容するように構成されている。
【0025】
この実施の形態例は上記構成であるから、図5図9図12の如く、棒状部材Wの端部の凸球面Rを研磨するに際し、上記棒状部材Wを部材保持機構Aにより棒状部材Wの中心軸線W回りに回転自在に保持し、棒状部材Wを部材回転機構Bにより中心軸線W回りに回転させ、棒状部材Wの端部の凸球面Rを研磨する研磨テープTをテープ移送機構Cにより連続的又は間欠的に移送させ、テープ移送機構Cをテープ圧接機構Dにより圧接移動して研磨テープTを圧接部材Dにより棒状部材Wの凸球面Rに圧接させ、棒状部材Wを首振揺動機構Eにより中心軸線W上の凸球面Rの中心点Oを中心として研磨テープTの移送T方向に首振揺動動作させることになり、したがって、棒状部材Wの中心軸線W回りの回転W、研磨テープの連続的又は間欠的な移送T、棒状部材Wの凸球面Rへの圧接部材Dによる研磨テープTの圧接D、及び、棒状部材Wの中心軸線W上の凸球面Rの中心点Oを中心とする研磨テープTの移送T方向の首振揺動動作Wの複合動作により棒状部材Wの端部の凸球面Rを研磨することができ、凸球面Rの研磨精度及び表面あらさを向上することができ、研磨作業性、研磨能率を向上することができ、研磨コスト及び製作コストの低減を図ることができる。
【0026】
この場合、図5図12の如く、上記首振揺動機構Eによる部材保持機構Aの首振揺動軸線Eと、上記部材保持機構Aに保持された上記棒状部材Wの中心軸線W上の凸球面Rの中心点Oとを合致調節可能な合致調節機構Bを備えてなるから、棒状部材Wの各種の凸球面Rの中心点Oからの半径rの大小に応じて首振揺動軸線Eと棒状部材Wの中心軸線W上の凸球面Rの中心点Oとを合致調節することができ、凸球面Rの研磨精度及び表面あらさを向上することができると共に棒状部材Wの各種の仕様の変化に対応することができ、それだけ、研磨の融通性を向上することができ、又、この場合、図5の如く、上記合致調節機構Bは上記棒状部材Wの中心軸線W方向に移動可能な移動歯車8及び移動歯車8に歯合すると共に棒状部材Wの中心軸線W 方向に移動不能に位置固定された固定歯車9を含む回転伝達機構Bを備えてなるから、合致調節機構Bの構造を簡素化することができ、装置の製作コストの低減を図ることができると共に凸球面Rの研磨精度及び表面あらさを向上することができ、研磨作業性、研磨能率を向上することができる。
【0027】
又、この場合、図2の如く、上記圧接部材Dによる上記研磨テープTと上記棒状部材Wの凸球面Rとの圧接力を調整可能な圧接調節機構Fを備えてなるから、棒状部材Wの材質や凸球面Rの大小に応じて、研磨テープTと上記棒状部材Wの凸球面Rとの圧接力を適宜調節することができ、凸球面Rの研磨精度及び表面あらさを向上することができ、又、この場合、図3図12の如く、上記部材保持機構Aに保持された上記棒状部材Wの上記中心軸線Wと棒状部材Wの首振揺動動作Wの首振揺動範囲Eの揺動振分中心Eとが同一軸線上となる位置、この場合、棒状部材Wが直立する位置に部材保持機構Aを位置決めする位置決め機構43を備えてなるから、首振揺動範囲Eの揺動振分中心Eに棒状部材Wを停止保持することができ、凸球面Rの研磨精度及び表面あらさを向上することができ、機械の制御の原点として使用することもでき、又、この場合、図4図5の如く、上記首振揺動機構Eは偏心リンク機構Gからなるので、首振揺動機構Eの構造を簡素化することができ、装置の製作コストの低減を図ることができ、さらに、首振揺動動作Wの首振揺動範囲Eの大小変更が容易となり、凸球面Rの研磨精度及び表面あらさを一層向上することができる。
【0028】
又、この場合、図5の如く、上記部材保持機構Aは上記棒状部材Wを保持釈放可能なコレットチャック機構Aを含んで構成されているから、棒状部材Wの保持釈放を容易に行うことができ、凸球面Rの研磨作業性及び研磨能率を向上することができ、又、この場合、図5の如く、上記部材保持機構Aは上記棒状部材Wを保持釈放可能なコレットチャック機構A及びコレットチャック機構Aを保持釈放動作させるドローバー機構Aからなるので、棒状部材Wの保持釈放を容易に行うことができる。
【0029】
尚、本発明は上記実施例に限られるものではなく、棒状部材W、部材保持機構A、コレットチャック機構A、ドローバー機構A、部材回転機構B、合致調節機構B、回転伝達機構B、テープ移送機構C、テープ圧接機構D、圧接部材D、首振揺動機構E、圧接調節機構F、偏心リンク機構G、位置決め機構43の構造、研磨テープTの材質や構造等は適宜変更して設計される。
【0030】
又、本発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、上記実施例においては、乾式研磨構造となっているが、化学剤を含む加工液体や潤滑剤を供給する所謂湿式研磨構造とすることもある。
【0031】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0032】
W 棒状部材
中心軸線
回転
首振揺動動作
A 部材保持機構
コレットチャック機構
ドローバー機構
B 部材回転機構
合致調節機構
回転伝達機構
C テープ移送機構
D テープ圧接機構
圧接部材
圧接
E 首振揺動機構
首振揺動軸線
揺動振分中心
首振揺動範囲
F 圧接調節機構
G 偏心リンク機構
O 中心点
R 凸球面
T 研磨テープ
移送
8 移動歯車
9 固定歯車
43 位置決め機構
図1
図2
図3
図4
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図10
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図12