(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】液体充填システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B65B 3/04 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
B65B3/04
(21)【出願番号】P 2020562659
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2018092339
(87)【国際公開番号】W WO2019241989
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】カッチァトーレ、ジャスティン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルガス、セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カペシ、スコット・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】グーディー、エリック・ショーン
(72)【発明者】
【氏名】フ、フア
(72)【発明者】
【氏名】ング、ブーン・ホ
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05339874(US,A)
【文献】特開昭57-183992(JP,A)
【文献】実開昭53-033539(JP,U)
【文献】登録実用新案第3134790(JP,U)
【文献】特開平07-156998(JP,A)
【文献】特開昭63-236526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体充填システムであって、
a)容器であって、底部と、頂部と、前記底部と前記頂部との間の1つ以上の側壁と、前記容器の前記頂部にある開口部と、を含む、容器と、
b)前記容器の前記頂部の前記開口部を介して前記容器に液体を充填するためのノズルであって、複数の第1の液体流路及び複数の第2の液体流路を含む、ノズルとを含み、
前記複数の第1の液体流路は、前記容器の前記底部の異なる領域に向かって方向付けられた複数の第1の液体流入を発生させるように構成され、
前記複数の第2の液体流路は、前記容器の前記側壁(複数可)の異なる領域に向かって方向付けられた複数の第2の液体流入を発生させるように構成され、
前記複数の第1の液体流路の出口側の延長線と、前記複数の第2の液体流路の出口側の延長線とは、交差しないように、構成され、
それによって、前記容器の前記頂部から前記底部への乱流が生成されて、前記容器内に既に存在する微量供給組成物と、前記ノズルを介して前記容器内に充填された前記液体とを混合させる、液体充填システム。
【請求項2】
前記側壁(複数可)の前記異なる領域が、少なくとも第1の領域及び第2の領域を含み、前記第1の領域が、前記第2の領域よりも前記容器の前記底部に近い、請求項1に記載の液体充填システム。
【請求項3】
前記容器が、前記容器の1つの側壁を前記容器の別の側壁と接続する貫通ハンドルを更に含み、前記側壁(複数可)の前記異なる領域が、前記容器の前記貫通ハンドル上の領域又は前記貫通ハンドルに隣接する領域を含む、請求項1又は2に記載の液体充填システム。
【請求項4】
前記1つ以上の第2の液体流路のそれぞれの断面積に対する、前記1つ以上の第1の液体流路のそれぞれの断面積の比が、1~10である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体充填システム。
【請求項5】
容器に液体組成物を充填する方法であって、
(A)容器を提供する工程であって、前記容器は、底部と、頂部と、底部と頂部との間の1つ以上の側壁と、前記容器の前記頂部にある開口部と、を含む、工程と、
(B)第1の液体供給組成物及び、粘度、溶解度、及び/又は混和性において前記第1の液体供給組成物と異なる第2の液体供給組成物を提供する、工程と、
(C)前記容器に、前記容器の総容積の0.01%~50%まで、前記第1の液体供給組成物を部分的に充填する工程と、
(D)続いて、前記容器の残りの容積、又はその一部分を、前記第2の液体供給組成物で充填する工程と、を含み、
工程(D)の間、前記第2の液体供給組成物がノズルを介して前記容器内に充填され、前記ノズルは、複数の第1の液体流路及び複数の第2の液体流路を含み、
前記複数の第1の液体流路は、前記容器の前記底部の異なる領域に向かって方向付けられた複数の第1の液体流入を発生させるように構成され、
前記複数の第2の液体流路は、前記容器の前記側壁(複数可)の異なる領域に向かって方向付けられた複数の第2の液体流入を発生させるように構成され、
前記複数の第1の液体流路の出口側の延長線と、前記複数の第2の液体流路の出口側の延長線とは、交差しないように、構成され、
それによって、前記容器の前記頂部から前記底部への乱流が生成されて、前記容器内に既に存在する前記第1の液体供給組成
物と、前記ノズルを介して前記容器内に充填された前記第2の液体供給組成物とを混合させる、方法。
【請求項6】
前記側壁(複数可)の前記異なる領域が、少なくとも第1の領域及び第2の領域を含み、
前記第1の領域が、前記第2の領域よりも前記容器の前記底部に近い、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記容器が、前記容器の1つの側壁を前記容器の別の側壁と接続する貫通ハンドルを更に含み、
前記側壁(複数可)の前記異なる領域が、前記容器の前記貫通ハンドル上の領域又は前記貫通ハンドルに隣接する領域を含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の第2の液体流路のそれぞれの断面積に対する、前記1つ以上の第1の液体流路のそれぞれの断面積の比が、1~10である、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に液体組成物を充填するための液体充填システム、特に比較的高い充填速度で充填するための液体充填システム、並びに容器内部の2種以上の液体組成物を原位置で混合するためにこのような液体充填システムを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体消費者製品(例えば、液体洗濯用洗剤、液体布地ケア増強剤、液体食器洗浄洗剤、液体硬質表面洗浄剤、液体空気清浄剤、シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ液、液体手洗い石鹸、液体洗顔料、液体顔用化粧料、保湿剤、等)を形成するための従来の工業規模の方法は、異なる色、密度、粘度、及び溶解度の複数の原材料を(例えば、バッチ混合又は連続インライン混合のいずれかを通して)大量に混合して、最初に均質かつ安定した液体組成物を形成し、次に、個々の容器に充填し、続いてこのような容器を包装及び輸送することを伴う。このような従来の方法は、高いスループット及び満足のいく混合により特徴付けられるが、それにもかかわらず、柔軟性の欠如を被る。同じ生産ラインを使用して2種以上の異なる液体消費者製品を製造する必要がある場合、製造ラインは、異なる液体消費者製品を製造するために使用される前に、最初に洗浄又はパージされる必要がある。このような洗浄又はパージ工程はまた、いずれの製品においても使用することができない、相当量の「廃棄物」液体を生成してしまう。
【0003】
液体消費者製品を形成するためのより柔軟で工業規模の方法を提供するために、容器内で2種以上の異なる液体組成物を原位置で混合することが望ましい場合がある。しかしながら、このような2種以上の液体組成物が粘度、溶解度、及び/又は混和性において著しく異なる場合、消費者製品の基準を満たす安定した均一な混合物を形成することは困難であり得る。更に、液体組成物のうちの1種が、容器の内面上に除去しにくい残留物を形成する傾向がある場合、混合結果は更に損なわれる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、容器内の2種以上の異なる液体組成物を高速かつ工業規模で原位置で混合して、十分に混合されて満足のいく均一性及び安定性を有する液体消費者製品を形成するために使用することができる、液体充填システム及び方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液体充填システムであって、
a)容器であって、底部と、頂部と、底部と頂部との間の1つ以上の側壁と、容器の頂部にある開口部と、を含む、容器と、
b)容器の頂部の開口部を介して容器に液体を充填するためのノズルであって、ノズルは、1つ以上の第1の液体流路及び1つ以上の第2の液体流路を含み、そのような1つ以上の第1の液体流路は、容器の底部に向かって方向付けられた1つ以上の第1の液体流入を発生させるように構成されており、そのような1つ以上の第2の液体流路は、容器の側壁(複数可)に向かって方向付けられた1つ以上の第2の液体流入を発生させるように構成されている、ノズルと、を含む、液体充填システム、を提供することによって、上記の必要性を満たす。
【0006】
別の態様では、本発明は、容器に液体組成物を充填する方法であって、
(A)容器を提供する工程であって、容器は、底部と、頂部と、底部と頂部との間の1つ以上の側壁と、容器の頂部にある開口部と、を含む、工程と、
(B)第1の液体供給組成物及び、粘度、溶解度、及び/又は混和性において第1の液体供給組成物と異なる第2の液体供給組成物を提供する、工程と、
(C)容器に、容器の総容積の0.01%~50%まで、第1の液体供給組成物を部分的に充填する工程と、
(D)続いて、容器の残りの容積、又はその一部分を、第2の液体供給組成物で充填する工程と、を含み、
工程(D)の間、第2の液体供給組成物がノズルを介して容器内に充填され、ノズルは、1つ以上の第1の液体流路及び1つ以上の第2の液体流路を含み、1つ以上の第1の液体流路は、容器の底部に向かって方向付けられた1つ以上の第1の液体流入を発生させるように構成されており、1つ以上の第2の液体流路は、容器の側壁(複数可)に向かって方向付けられた1つ以上の第2の液体流入を発生させるように構成されている、方法、を提供する。
【0007】
好ましくは、ノズルは、容器の底部の異なる領域に方向付けられた複数の第1の液体流入を発生させるように構成された複数の第1の液体流路を含む。
【0008】
更に、ノズルは、容器の側壁(複数可)の異なる領域に方向付けられた複数の前記第2の液体流入を発生させるように構成された複数の第2の液体流路を含む。より好ましくは、側壁(複数可)の異なる領域は、少なくとも第1の領域及び第2の領域を含み、第1の領域は、第2の領域よりも容器の底部に近い。更に、容器は、容器の1つの側壁(例えば、前側壁)を容器の別の側壁(例えば、後側壁)と接続する貫通ハンドルを更に含み、側壁(複数可)の異なる領域は、容器の貫通ハンドル上の領域又は貫通ハンドルに隣接する領域を含む。
【0009】
本発明の特に好ましいが必須ではない実施形態では、前記1つ以上の第1の液体流路のそれぞれと、前記1つ以上の第2の液体流路のそれぞれとの断面積比は、1~10、好ましくは2~8、より好ましくは3~7、最も好ましくは4~6である。
【0010】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下の発明を実施するための形態を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による、容器及びノズルを含む液体充填システムの例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の種々の実施形態の特徴及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される特定の実施形態の例を含む、以下の記述から明らかになるであろう。様々な修正がこの記述及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。本発明の範囲は、開示される特定の形態に限定されることを意図せず、また本発明は、「特許請求の範囲」により定義されるような本発明の趣旨及び範囲に当てはまる全ての変形形態、等価物、及び代替物を網羅する。
【0013】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求又は記述されるものが1つ以上であることを意味すると理解される。用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」は全て、非限定的であることを意味する。
【0014】
本発明で使用する場合、用語「原位置(in situ)」とは、完成した液体消費者製品(例えば、液体洗濯用洗剤、液体布地ケア増強剤、液体食器洗浄洗剤、液体硬質表面洗浄剤、液体空気清浄剤、シャンプー、コンディショナー、液体ボディウォッシュ、液体手洗い石鹸、液体洗顔料、液体顔用化粧剤、保湿剤、等)を、このような製品の出荷及び販売中、あるいはこのような製品が販売された後の使用中に収容するために指定された容器(例えば、ボトル又はパウチ)内に発生する、実時間混合を意味する。本発明の原位置での混合は、容器の上流に、好ましくは充填ノズルの上流に配置された1つ以上の液体パイプライン内部で発生するインライン混合とは特に区別される。原位置での混合はまた、容器につながる液体パイプラインの上流に配置された1つ以上の混合/貯蔵タンク内で発生するバッチ混合とは、区別される。
【0015】
本発明の液体充填システムは、既に容器に微量供給組成物(例えば、香料マイクロカプセルなどの1種以上の香料、着色剤、乳白剤、雲母、二酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマスなどの真珠光沢助剤、酵素、増白剤、漂白剤、漂白活性化剤、触媒、キレート剤、ポリマーなどを含有する)を充填した後に、続いてかかる容器に主要供給組成物(例えば、1種以上の界面活性剤、溶媒、ビルダー、構造化剤、ポリマー、香料マイクロカプセル、pH調整剤、粘度調整剤などを含有する)を充填するのに特に適している。好ましくは、主要供給組成物及び微量供給組成物は、粘度、溶解度、及び/又は混和性において互いに著しく異なり、これらの2種類の組成物の均一な混合物を原位置での混合によって形成することは困難である。より好ましくは、微量供給組成物は、微量供給組成物の物理的/化学的特性に起因して、及び/又は容器の形状/表面特性に起因して、容器の内面上の特定の領域上に除去しにくい残留物を形成する傾向がある。本発明の液体充填システムの重要な特徴は、微量供給物の残留物の形成を最小限に抑え、かつ原位置での混合結果を最適化するような方法で、主要供給組成物の充填を可能にすることである。
【0016】
図1は、容器20及びノズル30を含む、本発明の一実施形態による例示的な液体充填システム10を示す。
【0017】
本発明による容器は、このような製品の出荷及び商品化中、又はこのような製品が販売された後の使用中に、完成した液体消費者製品を収容するために特定的に指定された容器である。好適な容器としては、パウチ(特に、起立式パウチ)、ボトル、ジャー、缶、防水性又は耐水性のボール箱等を挙げることができる。
【0018】
具体的には、容器20は、底部22と、頂部24と、底部22と頂部24との間の1つ以上の側壁とを有するボトルであり、1つ以上の側壁は、好ましくは、
図2A~
図2Cに示されるように、左側壁26A、右側壁26B、前側壁26C、及び後側壁26Dを含む。更に、容器20は、
図2A及び
図2Cに示されるように、前側壁26Cを後側壁26Dと接続する貫通ハンドル28を含んでもよい。
【0019】
原位置での混合結果を改善し、かつ、主要供給組成物及び微量供給組成物が、消費者製品としての使用に適した均一で安定した混合物を形成することを確実にするために、本発明の液体充填システムは、好ましくは、主要供給組成物の充填中に(微量供給組成物の充填後に)次の特徴を有する/可能にする。
・容器内に既に存在する微量供給組成物と、容器内に充填されている主要供給組成物との間の混合を最大化するための主な混合エネルギー源として、頂部から底部への強い乱流を容器内に生成すること。
・主供給組成物をノズルに通すことによって形成された液体流入を、容器側壁上の特定の「到達しづらい」領域(例えば、容器側壁上の亀裂及び隙間、又は充填プロセス中の剪断速度が比較的低い又はゼロであることを特徴とする区域)、並びに貫通ハンドルの領域又はその付近の領域などの容器内の特定の「ブラインド(blind)」領域を標的にして、移動させること。これらの領域は、具体的に標的化されない場合には、微量供給物の残留物が蓄積し、高濃度/未混合のままとなることを容易に可能にし得るため、これは特に重要である。
・ノズルによって形成された液体流入が上述した標的領域に正確に到達することができるように、容器とノズルとを安全で繰り返し可能な方法で嵌合させること。
【0020】
それに対応して、本発明のノズルは、
図1の破線矢印によって示されるように、容器の底部に向かって方向付けられた主要供給組成物の液体流入を発生させるように構成された液体流路、及び容器の側壁(複数可)に向かって方向付けられた主要供給組成物の液体流入を発生させるように構成された液体流路など、複数の液体流路を含むように設計される。
図2A~
図2Cは、陰影付きの円によって強調されるように、ノズルによって発生した多数の液体流入によって具体的に標的化される、容器の側壁上の様々な領域を示す。
【0021】
図3A~
図3Dは、2つの第1の液体流路32及び複数の第2の液体流路34を含むノズル30を示す。好ましくは、第1の液体流路32及び第2の液体流路34の全て又は大部分は、オフセットした入口及び出口を有しており、その結果、これらの液体流路は、垂直方向に対して傾斜しており又は勾配が付けられており、これらの傾斜又は勾配が、それに応じて、
図1の破線矢印によって示されるように、主要供給組成物の傾斜した又は勾配が付けられた液体流入を容器20内に発生させる。
【0022】
具体的には、ノズル30内の2つの第1の液体流路32は、
図2Aの容器20の底部22における2つの陰影付きの円によって示されるように、容器20の底部22の2つの異なる領域を標的にした又はこれらに向かって方向付けられた主要供給組成物(図示せず)の2つの第1の液体流入を発生させるように構成されている。このような第1の底部に向かって方向付けられた液体流入は、容器内の微量供給組成物と主要供給組成物との間の原位置での混合を最大化するための主な混合エネルギー源として、頂部から底部への強い乱流を生成する役割を果たす。
【0023】
ノズル30内の複数の第2の液体通路34は、
図2A~
図2Cの容器20の側壁26A~26Dの複数の陰影付きの円によって示されるように、容器20の前方/後方側壁26C及び26D、右側壁26B、及び左側壁26Aにおける異なる領域を標的にした又はこれらに向かって方向付けられた、主要供給組成物(図示せず)の複数の第2の液体流入を発生させるように構成されている。これらの領域は、充填中の剪断速度が低い又はゼロであることを特徴とする特定の「到達しづらい」領域(
図2A及び
図2Bに示す)と、容器20の貫通ハンドル28付近の「ブラインド」領域(
図2Cに示す)とを含む。容器20の側壁26A~26D上の領域及び貫通ハンドル28の領域/貫通ハンドル28の付近の領域を標的化することにより、容器20の内面上に蓄積した微量供給物の残留物を効果的に低減又は最小化し、したがって、微量供給組成物と主要供給組成物との間の原位置での混合を更に改善する。
【0024】
第1の液体流路32及び第2の液体流路34は、異なる断面形状、例えば、円形、半円形、楕円形、正方形、矩形、三日月形、及びこれらの組み合わせを有して、異なる様式で配置され得る。
【0025】
1つ以上の第1の液体流路32のそれぞれと、1つ以上の第2の液体流路34のそれぞれとの断面積比は、約1~約10、好ましくは約2~約8、より好ましくは約3~約7、最も好ましくは約4~約6の範囲であり得る。
【0026】
本発明の好ましいが必須ではない実施形態では、頂部から底部への液体乱流を最大化し、全体的な混合エネルギーを増加させるために、第1の液体流路32のそれぞれは、第2の液体流路34のそれぞれの断面直径又は面積よりも著しく大きい断面直径又は面積を有する。例えば、1つ以上の第1の液体流路32のそれぞれの断面直径は、第2の液体流路34のそれぞれの断面直径よりも、少なくとも約1.2倍大きい、好ましくは少なくとも約1.5倍大きい、より好ましくは少なくとも約2倍大きい、最も好ましくは少なくとも約2.2倍大きい。より好ましくは、第1の液体流路32のそれぞれは、第2の液体流路34のそれぞれの断面積よりも、少なくとも約1.5倍大きい、好ましくは少なくとも約3倍大きい、より好ましくは少なくとも約5倍大きい断面積を有する。
【0027】
本発明の他の実施形態では、第2の液体流路のそれぞれは、増加した液体流を収容するために、第1の液体流路のそれぞれの断面積よりも著しく大きい断面積を有してもよい。更に、第1及び/又は液体流路は、互いに異なる断面直径又は面積を有することができる。こうした異なる断面直径又は面積を利用して、非対称の容器内の異なる領域をより良好に標的化することができる。例えば、第2の液体流路のうちの1つは、他の第2の液体流路の断面直径よりも少なくとも約1.2倍大きい、好ましくは少なくとも約1.5倍大きい、より好ましくは少なくとも約2倍大きい、最も好ましくは少なくとも約2.2倍大きい断面直径を有してもよく、このようなより大きい第2の液体流路は、著しく大きい貫通ハンドル領域を具体的に標的にするより大きな液体流入を発生させるように構成されてもよい。
【0028】
本発明のノズルは、好ましくは、移動部品(例えば、Oリング、封止ガスケット、ボルト、又はねじ)を有しない一体部品として作製される。このような一体構造は、本発明のノズルを、典型的には高い充填圧力を必要とする粘性液体の高速充填に特に適したものにする。このような一体型ノズルは、ステンレス鋼、セラミック、ポリマーなどの十分な引張強度を有する任意の好適な材料によって作製され得る。好ましくは、本発明のノズルは、ステンレス鋼製である。
【0029】
本発明の一体型ノズルは、約3mm~約200mm、好ましくは約10~約100mm、より好ましくは約15mm~約50mmの範囲の平均高さを有してもよい。本発明の一体型ノズルは、約5mm~約100mm、好ましくは約10mm~約50mm、より好ましくは約15mm~約25mmの範囲の平均断面直径を有してもよい。
【0030】
好ましくは、ノズルは、主要供給組成物の充填中、例えば、約0.5バール~約20バール、好ましくは約1バール~約15バール、より好ましくは約2バール~約6バールの範囲の印加圧力で加圧される。
【0031】
容器の総容積は、約10mL~約10L、好ましくは約20mL~約5L、より好ましくは約50mL~約4Lの範囲であってもよい。微量供給組成物(例えば、香料マイクロカプセルなどの1種又は2種以上の香料、着色剤、乳白剤、雲母、二酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマスなどの真珠光沢助剤、酵素、増白剤、漂白剤、漂白活性化剤、触媒、キレート剤、ポリマーなどを含む)が、最初に、容器の微量容積を占めるように、かかる容器内に充填され、この微量容積は、例えば、容器の全容積の0.1~50%、好ましくは0.1~40%、より好ましくは1~30%、更により好ましくは0.1~20%、最も好ましくは0.1~10%である。続いて、主要供給組成物(例えば、1種以上の界面活性剤、溶媒、ビルダー、構造化剤、ポリマー、香料マイクロカプセル、pH調整剤、粘度調整剤などを含む)が、例えば、このような容器の主要容積を占めるように、本発明のノズルを介して容器内に充填され、この主要容積は、例えば、容器の総容積の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。
【0032】
このような容器内での主要供給組成物と微量供給組成物との十分な混合を確実にするために、主要供給液体組成物は、容器内に十分に強い流入及び乱流を発生させるように、著しく高速で充填されることが好ましい。好ましくは、主要供給液体組成物は、上述した一体型ノズルを介して、約50mL/秒~約10L/秒、好ましくは約100mL/秒~約5L/秒、より好ましくは約500mL/秒~約1.5L/秒の範囲の平均流速で充填される。微量供給液体組成物は、0.1mL/秒~約1000mL/秒、好ましくは約0.5mL/秒~約800mL/秒、より好ましくは約1mL/秒~約500mL/秒の範囲の平均流速で(本明細書では図示されない又は論じられない異なるノズルによって)充填され得る。
【0033】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0034】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0035】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。