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特許7299255信号発生装置及び信号発生装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】信号発生装置及び信号発生装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/29 20150101AFI20230620BHJP
   H04B 17/15 20150101ALI20230620BHJP
【FI】
H04B17/29
H04B17/15
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021009307
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113233
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マカバスコ・ジェシ・パウロ
(72)【発明者】
【氏名】富崎 巧一郎
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154924(JP,A)
【文献】特開2013-106139(JP,A)
【文献】特表2017-505556(JP,A)
【文献】特開平11-177460(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1585308(CN,A)
【文献】特開2018-6783(JP,A)
【文献】特開2016-192709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/29
H04B 17/15
H04B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験用信号を生成する信号生成部(10)と、
前記信号生成部によって生成された試験用信号を減衰させる第1減衰器(11)と、
複数の被試験装置(3a~3f)がそれぞれのケーブル(4a~4f)を介して接続される複数の出力ポート(12a~12f)と、
前記第1減衰器によって減衰された試験用信号を前記複数の出力ポートに分配する分配器(13)と、
前記複数の出力ポートから出力される試験用信号をそれぞれ減衰させる複数の第2減衰器(14a~14f)と、
前記第1減衰器及び前記複数の第2減衰器の減衰量を設定する減衰量設定部(15)と、
前記複数の出力ポートにそれぞれ接続されるケーブルの損失が記憶されたケーブル損失記憶部(16)と、を備え、
前記減衰量設定部は、
前記出力ポートに接続されるケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失の最大量を目標減衰量から減じた基準減衰量を前記第1減衰器に設定し、
前記損失の最大量から前記出力ポートに接続される各ケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失を減じた出力減衰量を前記各第2減衰器に設定する信号発生装置。
【請求項2】
前記減衰量設定部は、前記出力減衰量のいずれかが規定量を超える場合には、前記規定量を超える出力減衰量から前記規定量を減じた補正減衰量で前記基準減衰量を補正して前記第1減衰器に設定し、前記損失の最大量から前記補正減衰量を減じて前記出力減衰量を再計算することを特徴とする請求項1に記載の信号発生装置。
【請求項3】
前記減衰量設定部は、前記出力減衰量を再計算した結果、前記出力減衰量のいずれかが負になる場合には、該出力減衰量を0に変更することを特徴とする請求項2に記載の信号発生装置。
【請求項4】
前記複数の出力ポートの各出力ポートに関する情報を報知可能な報知部(17)を備え、
前記減衰量設定部は、前記出力減衰量のいずれかが負になったことによって該出力減衰量を0に変更した前記第2減衰器に対応する出力ポートに関する情報を報知することを特徴とする請求項3に記載の信号発生装置。
【請求項5】
試験用信号を生成する信号生成部(10)と、
前記信号生成部によって生成された試験用信号を減衰させる第1減衰器(11)と、
複数の被試験装置(3a~3f)がそれぞれのケーブル(4a~4f)を介して接続される複数の出力ポート(12a~12f)と、
前記第1減衰器によって減衰された試験用信号を前記複数の出力ポートに分配する分配器(13)と、
前記複数の出力ポートから出力される試験用信号をそれぞれ減衰させる複数の第2減衰器(14a~14f)と、
前記第1減衰器及び前記複数の第2減衰器の減衰量を設定する減衰量設定部(15)と、
前記複数の出力ポートにそれぞれ接続されるケーブルの損失が記憶されたケーブル損失記憶部(16)と、を備えた信号発生装置(1)の制御方法であって、
前記出力ポートに接続されるケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失の最大量を目標減衰量から減じた減衰量を前記第1減衰器に設定する第1設定ステップと、
前記損失の最大量から前記出力ポートに接続される各ケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失を減じた出力減衰量を前記各第2減衰器に設定する第2設定ステップと、を前記減衰量設定部に実行させる信号発生装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号発生装置及び信号発生装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、複数のポートを有し、複数のポートにそれぞれ接続された複数の被試験装置を切り替えながら試験する信号発生装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-187803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の信号発生装置は、被試験装置と接続するためのケーブルの損失が考慮されていないため、複数の被試験装置に入力される信号の強度にばらつきが生じてしまうことがあるといった課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、複数の被試験装置に入力される信号の強度のばらつきを抑制することができる信号発生装置及び信号発生装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の信号発生装置は、試験用信号を生成する信号生成部(10)と、前記信号生成部によって生成された試験用信号を減衰させる第1減衰器(11)と、複数の被試験装置(3a~3f)がそれぞれのケーブルを介して接続される複数の出力ポート(12a~12f)と、前記第1減衰器によって減衰された試験用信号を前記複数の出力ポートに分配する分配器(13)と、前記複数の出力ポートから出力される試験用信号をそれぞれ減衰させる複数の第2減衰器(14a~14f)と、前記第1減衰器及び前記複数の第2減衰器の減衰量を設定する減衰量設定部(15)と、前記複数の出力ポートにそれぞれ接続されるケーブルの損失が記憶されたケーブル損失記憶部(16)と、を備え、前記減衰量設定部は、前記出力ポートに接続されるケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失の最大量を目標減衰量から減じた基準減衰量を前記第1減衰器に設定し、前記損失の最大量から前記出力ポートに接続される各ケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失を減じた出力減衰量を前記各第2減衰器に設定する構成を有している。
【0007】
この構成により、本発明の信号発生装置は、出力ポートに接続される各ケーブルの損失を考慮して第1減衰器及び第2減衰器の減衰量を設定するため、出力ポートに接続された複数の被試験装置に入力される試験用信号の強度のばらつきを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の信号発生装置は、強度のばらつきが抑制された試験用信号を出力ポートに接続された複数の被試験装置に並行して入力させることができるため、試験時間を短縮することができる。
【0009】
なお、本発明の信号発生装置において、前記減衰量設定部は、前記出力減衰量のいずれかが規定量を超える場合には、前記規定量を超える出力減衰量から前記規定量を減じた補正減衰量で前記基準減衰量を補正して前記第1減衰器に設定し、前記損失の最大量から前記補正減衰量を減じて前記出力減衰量を再計算するように構成してもよい。
【0010】
この構成により、本発明の信号発生装置は、第2減衰器の許容減衰量を超えない範囲に規定量を定めておくことで、想定外の強度の試験用信号が被試験装置に入力されることを防止することができる。
【0011】
また、本発明の信号発生装置において、前記減衰量設定部は、前記出力減衰量を再計算した結果、前記出力減衰量のいずれかが負になる場合には、該出力減衰量を0に変更するように構成してもよい。
【0012】
この構成により、本発明の信号発生装置は、第2減衰器に設定できない負の出力減衰量を第2減衰器に設定することを防止することができる。
【0013】
また、本発明の信号発生装置は、前記複数の出力ポートの各出力ポートに関する情報を報知可能な報知部(17)を備え、前記減衰量設定部は、前記出力減衰量のいずれかが負になったことによって該出力減衰量を0に変更した前記第2減衰器に対応する出力ポートに関する情報を報知するように構成してもよい。
【0014】
この構成により、本発明の信号発生装置は、損失が大きすぎるケーブルが接続された出力ポートを報知することができる。
【0015】
本発明の信号発生装置の制御方法は、試験用信号を生成する信号生成部(10)と、前記信号生成部によって生成された試験用信号を減衰させる第1減衰器(11)と、複数の被試験装置(3a~3f)がそれぞれのケーブル(4a~4f)を介して接続される複数の出力ポート(12a~12f)と、前記第1減衰器によって減衰された試験用信号を前記複数の出力ポートに分配する分配器(13)と、前記複数の出力ポートから出力される試験用信号をそれぞれ減衰させる複数の第2減衰器(14a~14f)と、前記第1減衰器及び前記複数の第2減衰器の減衰量を設定する減衰量設定部(15)と、前記複数の出力ポートにそれぞれ接続されるケーブルの損失が記憶されたケーブル損失記憶部(16)と、を備えた信号発生装置(1)の制御方法であって、前記出力ポートに接続されるケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失の最大量を目標減衰量から減じた減衰量を前記第1減衰器に設定する第1設定ステップと、前記損失の最大量から前記出力ポートに接続される各ケーブルに対して前記ケーブル損失記憶部に記憶された損失を減じた出力減衰量を前記各第2減衰器に設定する第2設定ステップと、を前記減衰量設定部に実行させる。
【0016】
このように、本発明の信号発生装置の制御方法は、出力ポートに接続される各ケーブルの損失を考慮して第1減衰器及び第2減衰器の減衰量を設定するため、出力ポートに接続された複数の被試験装置に入力される試験用信号の強度のばらつきを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、複数の被試験装置に入力される信号の強度のばらつきを抑制することができる信号発生装置及び信号発生装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置を構成する減衰量設定部の構成を説明するための第1の概念図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置を構成する減衰量設定部の構成を説明するための第2の概念図であり、(a)は、出力減衰量が規定量を超える例を示し、(b)は、出力減衰量が規定量を超えないように補正した例を示し、(c)は、出力減衰量が負にならないように補正した例を示している。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置を構成する減衰量設定部の構成を説明するための第3の概念図であり、(a)は、出力減衰量が規定量を超える例を示し、(b)は、出力減衰量が規定量を超えないように補正した例を示し、(c)は、出力減衰量が負にならないように補正した例を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置の減衰量設定動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、信号発生装置1には、制御用のコンピュータ装置2が接続される。コンピュータ装置2は、汎用的なコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置と、通信モジュールと、表示装置と、ポインティングデバイスやキーボード装置などの入力装置とを有する。
【0021】
信号発生装置1は、試験用信号を生成する信号生成部10と、信号生成部10によって生成された試験用信号を減衰させる第1減衰器11と、被試験装置3a~3fがそれぞれのケーブル4a~4fを介して接続される出力ポート12a~12fと、第1減衰器11によって減衰された試験用信号を出力ポート12a~12fに分配する分配器13とを含んで構成される。
【0022】
また、信号発生装置1は、出力ポート12a~12fから出力される試験用信号をそれぞれ減衰させる第2減衰器14a~14fと、第1減衰器及11及び第2減衰器14a~14fの減衰量を設定する減衰量設定部15と、出力ポート12a~12fにそれぞれ接続されるケーブル4a~4fの損失が記憶されたケーブル損失記憶部16と、各出力ポート12a~12fに関する情報を報知可能な報知部17と、を含んで構成される。
【0023】
本実施の形態において、ケーブル4a~4fは、例えば、同軸ケーブルによって構成され、出力ポート12a~12fは、同軸コネクタによって構成される。なお、図1においては、信号発生装置1が6個の出力ポート12a~12fを有する例を示しているが、信号発生装置1は、2個以上の出力ポートを有していればよい。
【0024】
各出力ポート12a~12fは、コンピュータ装置2によって有効及び無効のいずれかに設定することができる。各出力ポート12a~12fのうち有効に設定された出力ポートからは、試験用信号が出力されるが、無効に設定された出力ポートからは、試験用信号が出力されない。以下の説明において、有効に設定された出力ポートを「有効ポート」ともいう。
【0025】
信号生成部10は、コンピュータ装置2によって設定された強度及び周波数の試験用信号を生成するシグナルジェネレータによって構成される。第1減衰器11と、第2減衰器14a~14fとは、デジタル制御タイプ又は電圧制御タイプの可変減衰器によって構成される。
【0026】
ケーブル損失記憶部16は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性の記憶媒体によって構成される。ケーブル損失記憶部16には、出力ポート12a~12fと、測定周波数との組み合わせに対して、出力ポート12a~12fに接続されるケーブル4a~4fの損失(以下、単に「ケーブル損失」ともいう)を表す損失テーブルが格納されている。損失テーブルは、コンピュータ装置2から書き換えることができ、試験環境に合わせてユーザに設定させることができる。
【0027】
減衰量設定部15は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成される。減衰量設定部15は、ケーブル損失記憶部16に格納された損失テーブルに基づいて、第1減衰器11及び第2減衰器14a~14fに対して個別に減衰量を設定する。
【0028】
報知部17は、各出力ポート12a~12fに対応して設けられたLED(Light Emitting Diode)と、各出力ポート12a~12fに関する情報をコンピュータ装置2などの外部装置に出力するための外部出力端子を含んで構成される。
【0029】
以下、図2図4を参照して減衰量設定部15の構成について詳細に説明する。図2図4は、信号生成部10によって生成された測定周波数の試験用信号を減衰させて、有効ポートであるPortA~PortDから出力させる例を示している。
【0030】
図2図4において、「Loss Level」は、損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を表し、「Basis Level」は、損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失の最大量(以下、「最大ケーブル損失」という)を表し、「Loss Level Adjust」は、各PortA~PortDに対応する第2減衰器に設定される減衰量を表す。
【0031】
図2において、測定周波数に対して損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を「4」、「5」、「3」、「11」とする。減衰量設定部15は、最大ケーブル損失である「11」を目標減衰量から減じた基準減衰量を第1減衰器11に設定する。
【0032】
また、減衰量設定部15は、損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を最大ケーブル損失から減じた出力減衰量「7」、「6」、「8」、「0」を各PortA~PortDに対応する第2減衰器に設定する。このように減衰量設定部15を構成することで、各PortA~PortDに接続された被試験装置には、目標減衰量分減衰された試験用信号が入力される。
【0033】
図3は、図2に示した例に対して、第2減衰器14a~14fの許容減衰量に応じた規定量(本例においては「8」)を出力減衰量が超えてしまう例を示している。図3(a)において、測定周波数に対して損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を「4」、「5」、「2」、「11」とする。減衰量設定部15は、最大ケーブル損失である「11」を目標減衰量から減じた基準減衰量を第1減衰器11に設定する。
【0034】
また、減衰量設定部15は、損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を最大ケーブル損失から減じた出力減衰量「7」、「6」、「9」、「0」を各PortA~PortDに対応する第2減衰器に設定する。この場合、PortCに対応する第2減衰器に設定する出力減衰量「9」が規定量「8」を超えてしまう。
【0035】
このように出力減衰量が規定量を超える場合、減衰量設定部15は、規定量を超える出力減衰量「9」から規定量「8」を減じた補正減衰量「1」で基準減衰量を補正して第1減衰器11に設定する。すなわち、減衰量設定部15は、第1減衰器11に設定する基準減衰量に補正減衰量を加算する。
【0036】
また、図3(b)に示すように、減衰量設定部15は、最大ケーブル損失「11」から補正減衰量「1」を減じて出力減衰量を再計算する。すなわち、最大ケーブル損失は、「10」となり、各PortA~PortDに対応する第2減衰器に設定する出力減衰量は、「6」、「5」、「8」、「-1」となる。
【0037】
ただし、第2減衰器には、負の出力減衰量を設定することはできないため、減衰量設定部15は、負の出力減衰量を「0」に変更する。すなわち、本例において、図3(c)に示すように、減衰量設定部15は、出力減衰量「0」をPortDに対応する第2減衰器に設定する。
【0038】
このように、負の出力減衰量を「0」に変更した場合、減衰量設定部15は、対応するポートを報知部17に報知させる。例えば、減衰量設定部15は、PortDに対応して配置されたLEDを点灯させる。
【0039】
図4は、損失テーブルに格納されたケーブル損失に負の値が含まれている例を示している。具体的には、出力ポートとケーブルの間、ケーブル間、又は、ケーブルと被試験装置との間に増幅器が配置される場合には、ケーブル損失は、負の値に設定される。
【0040】
図4(a)において、測定周波数に対して損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を「-4」、「-3」、「2」、「11」とする。減衰量設定部15は、最大ケーブル損失である「11」を目標減衰量から減じた基準減衰量を第1減衰器11に設定する。
【0041】
また、減衰量設定部15は、損失テーブルに格納された各PortA~PortDのケーブル損失を最大ケーブル損失から減じた出力減衰量「15」、「14」、「9」、「0」を各PortA~PortDに対応する第2減衰器に設定する。この場合、各PortA~PortCに対応する第2減衰器に設定する出力減衰量「15」、「14」、「9」が規定量「8」を超えてしまう。
【0042】
このように複数の出力減衰量が規定量を超える場合、減衰量設定部15は、規定量を超える出力減衰量の最大量「15」から規定量「8」を減じた補正減衰量「7」で基準減衰量を補正して第1減衰器11に設定する。すなわち、減衰量設定部15は、第1減衰器11に設定する基準減衰量に補正減衰量を加算する。
【0043】
また、図4(b)に示すように、減衰量設定部15は、最大ケーブル損失「11」から補正減衰量「7」を減じて出力減衰量を再計算する。すなわち、最大ケーブル損失は、「4」となり、各PortA~PortDに対応する第2減衰器に設定する出力減衰量は、「8」、「7」、「2」、「-7」となる。ただし、第2減衰器には、負の出力減衰量を設定することはできないため、図4(c)に示すように、減衰量設定部15は、出力減衰量「0」をPortDに対応する第2減衰器に設定する。
【0044】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る信号発生装置1の減衰量設定動作について図5を参照して説明する。
【0045】
まず、ステップS1において、減衰量設定部15は、測定周波数に対して損失テーブルに格納された各有効ポートのケーブル損失の最大ケーブル損失を目標減衰量から減じた基準減衰量を算出する。ステップS1の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS1の処理を実行する。
【0046】
ステップS2において、減衰量設定部15は、損失テーブルに格納された各有効ポートのケーブル損失を最大ケーブル損失から減じた出力減衰量を算出する。ステップS2の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS3の処理を実行する。
【0047】
ステップS3において、減衰量設定部15は、規定量を超える出力減衰量があるか否かを判断する。規定量を超える出力減衰量がないと判断した場合には、減衰量設定部15は、ステップS11の処理を実行する。規定量を超える出力減衰量があると判断した場合には、減衰量設定部15は、ステップS4の処理を実行する。
【0048】
ステップS4において、減衰量設定部15は、規定量を超える出力減衰量の最大量から規定量を減じた補正減衰量を算出する。ステップS4の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS5の処理を実行する。
【0049】
ステップS5において、減衰量設定部15は、補正減衰量で基準減衰量を補正する。ステップS5の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS6の処理を実行する。ステップS6において、減衰量設定部15は、最大ケーブル損失から補正減衰量を減じて最大ケーブル損失を補正する。ステップS6の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS7の処理を実行する。
【0050】
ステップS7において、減衰量設定部15は、損失テーブルに格納された各有効ポートのケーブル損失を補正後の最大ケーブル損失から減じることで、出力減衰量を再計算する。ステップS7の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS8の処理を実行する。
【0051】
ステップS8において、減衰量設定部15は、負の出力減衰量があるか否かを判断する。負の出力減衰量があると判断した場合には、減衰量設定部15は、ステップS9の処理を実行する。負の出力減衰量がないと判断した場合には、減衰量設定部15は、ステップS11の処理を実行する。
【0052】
ステップS9において、減衰量設定部15は、負の出力減衰量を0に変更する。ステップS9の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS10の処理を実行する。
【0053】
ステップS10において、減衰量設定部15は、出力減衰量を0に変更した出力ポートを報知部17に報知させる。ステップS10の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS11の処理を実行する。
【0054】
ステップS11において、減衰量設定部15は、基準減衰量を第1減衰器11に設定する。ステップS11は、第1設定ステップに相当する。ステップS11の処理を実行した後、減衰量設定部15は、ステップS12の処理を実行する。
【0055】
ステップS12において、減衰量設定部15は、各出力減衰量を対応する第2減衰器に設定する。ステップS12は、第2設定ステップに相当する。ステップS12の処理を実行した後、減衰量設定部15は、減衰量設定動作を終了する。
【0056】
なお、図3(b)及び図4(b)に示したように負の出力減衰量が生じる要因は、有効ポートに対応して損失テーブルに格納されたケーブル損失の最大量と最小量との差が規定量を超えることにある。
【0057】
このため、減衰量設定部15は、第1減衰器11及び第2減衰器14a~14fの減衰量を設定する前の所定のタイミングで、有効ポートに対応するケーブル損失の最大量と最小量との差が規定量を超えていないことを確認するようにしてもよい。
【0058】
所定のタイミングは、損失テーブルが変更されたとき、損失テーブルの要素が変更されたとき、測定周波数が変更されたとき、及び、有効ポートが変更されたときなどを含み、コンピュータ装置2によって制御される試験のシナリオによって定めることができる。
【0059】
有効ポートに対応するケーブル損失の最大量と最小量との差が規定量を超えている場合、減衰量設定部15は、有効ポートに対応するケーブル損失の最大量と最小量との差が規定量を超えなくなるまで、該当するポートを報知部17に報知させる。
【0060】
例えば、減衰量設定部15は、ケーブル損失が最大量となるポートに対応して配置されたLEDを点灯させてもよく、ケーブル損失が最小量となるポートに対応して配置されたLEDを点灯させてもよく、ケーブル損失が最大量及び最小量となるポートに対応して配置されたLEDを点灯させてもよい。
【0061】
また、減衰量設定部15は、ケーブル損失が最大量及び最小量となるポートに対応して配置されたLEDを点灯させる場合には、ケーブル損失が最大量であるか最小量であるかに応じて、LEDの発光色を変えるようにしてもよい。
【0062】
このように、減衰量設定部15が事前に損失テーブルを確認することによって、第2減衰器14a~14fの許容減衰量に応じた規定量を出力減衰量が超えた場合の処理、すなわち、図5を参照して説明した信号発生装置1の減衰量設定動作のステップS3~S10を省くことができる。
【0063】
以上に説明したように、本実施の形態は、出力ポート12a~12fに接続される各ケーブル4a~4fの損失を考慮して第1減衰器11及び第2減衰器14a~14fの減衰量を設定するため、出力ポート12a~12fにそれぞれ接続された被試験装置3a~3fに入力される試験用信号の強度のばらつきを抑制することができる。
【0064】
また、本実施の形態は、強度のばらつきが抑制された試験用信号を出力ポート12a~12fにそれぞれ接続された被試験装置3a~3fに並行して入力させることができるため、試験時間を短縮することができる。
【0065】
また、本実施の形態は、第2減衰器14a~14fの許容減衰量を超えない範囲で規定量を定めておくことで、想定外の強度の試験用信号が各被試験装置3a~3fに入力されることを防止することができる。
【0066】
また、本実施の形態は、出力減衰量を再計算した結果、出力減衰量のいずれかが負になる場合には、この出力減衰量を0とするため、第2減衰器14a~14fに設定できない負の出力減衰量を第2減衰器14a~14fに設定することを防止することができる。
【0067】
また、本実施の形態は、出力減衰量を0に変更した第2減衰器に対応する出力ポートに関する情報を報知部17に報知させるため、損失が大きすぎるケーブルが接続された出力ポートを報知することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、信号発生装置1とコンピュータ装置2とを別体に構成した例について説明したが、本発明の信号発生装置は、信号発生装置1とコンピュータ装置2とを一体に構成してもよい。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について開示したが、本発明の範囲を逸脱することなく本実施の形態に変更を加えることは容易である。本発明の実施の形態は、このような変更が加えられた等価物が特許請求の範囲に記載された発明に含まれることを前提として開示されている。
【符号の説明】
【0070】
1 信号発生装置
3a~3f 被試験装置
4a~4f ケーブル
10 信号生成部
11 第1減衰器
12a~12f 出力ポート
13 分配器
14a~14f 第2減衰器
15 減衰量設定部
16 ケーブル損失記憶部
17 報知部
図1
図2
図3
図4
図5