(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】コネクタカバー
(51)【国際特許分類】
H01R 13/516 20060101AFI20230620BHJP
H01R 13/58 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
H01R13/516
H01R13/58
(21)【出願番号】P 2021025281
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】梶川 謙士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-127813(JP,A)
【文献】特開平11-185869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/516
H01R 13/56-13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部に接続された端子を収容するハウジングに装着されて前記ハウジングから引き出される前記電線を覆うコネクタカバーであって、
前記ハウジングに取り付けられ、前記ハウジングから引き出される前記電線を外側に導出させる電線導出部を有するカバー本体部と、
前記カバー本体部の前記電線導出部側に嵌合されるカバー蓋部と、
前記カバー本体部と前記カバー蓋部とを連結するヒンジと、
前記ヒンジによる連結側と反対側の開放端側で前記カバー本体部と前記カバー蓋部とを互いに係合させるロック部と、
前記ヒンジによる連結側に設けられ、前記カバー本体部の本体側係止部と前記カバー蓋部の蓋側係止部とが互いに係合して前記カバー本体部からの前記カバー蓋部の離脱方向への移動を規制するカバー保持部と、
前記カバー蓋部に設けられて閉蓋時に前記カバー本体部の前記ヒンジ側の側壁の内面に対向する位置に配置され、前記カバー保持部の前記本体側係止部と前記蓋側係止部との係合方向と逆方向への前記カバー蓋部の横ずれを規制するズレ防止突起と、
を備え
、
前記カバー蓋部は、前記ヒンジの両側に設けられ、前記カバー本体部に対する前記カバー蓋部の開閉時に前記カバー本体部の前記ヒンジ側の側壁上端に摺接して回動中心となる一対のガイド突起を有する、
コネクタカバー。
【請求項2】
前記カバー本体部の前記ヒンジ側の側壁の内面と、前記ヒンジ側の側壁の内面に対向する前記ズレ防止突起とは、前記カバー本体部に対する前記カバー蓋部のガタツキ寸法内の隙間を有する、
請求項1に記載のコネクタカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングから引き出された電線を覆って保護するコネクタカバーは、ハウジングに取り付けられる本体部(カバー本体部)と、本体部に嵌合される蓋部(カバー蓋部)と、本体部と蓋部とを回動可能に連結するヒンジとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコネクタカバーには、本体部に対して蓋部を閉じた際に互いに係合する係合手段が、開放端側とヒンジによる連結側とに設けられている。ヒンジ側の係合手段としては、本体部に対する蓋部の閉方向への回動に伴って、本体部の係合部に蓋部の鉤型のカバーロックが係合し、本体部からの蓋部の離脱方向への移動を規制するものがある。
【0005】
このようなコネクタカバーにおいて、本体部と蓋部とを繋ぐヒンジが破損した場合、本体部に対して蓋部が横ずれすることがある。すると、蓋部の横ずれによって、ヒンジ付近に設定している本体部の係合部に対する蓋部のカバーロック係止代が低下し、蓋部の保持力の確保が困難となって、蓋部が本体部の係合部から外れるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバー本体部とカバー蓋部とを繋ぐヒンジが破損しても、カバー本体部に対するカバー蓋部の良好な嵌合状態を維持させることが可能なコネクタカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 電線の端部に接続された端子を収容するハウジングに装着されて前記ハウジングから引き出される前記電線を覆うコネクタカバーであって、
前記ハウジングに取り付けられ、前記ハウジングから引き出される前記電線を外側に導出させる電線導出部を有するカバー本体部と、
前記カバー本体部の前記電線導出部側に嵌合されるカバー蓋部と、
前記カバー本体部と前記カバー蓋部とを連結するヒンジと、
前記ヒンジによる連結側と反対側の開放端側で前記カバー本体部と前記カバー蓋部とを互いに係合させるロック部と、
前記ヒンジによる連結側に設けられ、前記カバー本体部の本体側係止部と前記カバー蓋部の蓋側係止部とが互いに係合して前記カバー本体部からの前記カバー蓋部の離脱方向への移動を規制するカバー保持部と、
前記カバー蓋部に設けられて閉蓋時に前記カバー本体部の前記ヒンジ側の側壁の内面に対向する位置に配置され、前記カバー保持部の前記本体側係止部と前記蓋側係止部との係合方向と逆方向への前記カバー蓋部の横ずれを規制するズレ防止突起と、
を備え、
前記カバー蓋部は、前記ヒンジの両側に設けられ、前記カバー本体部に対する前記カバー蓋部の開閉時に前記カバー本体部の前記ヒンジ側の側壁上端に摺接して回動中心となる一対のガイド突起を有する、
コネクタカバー。
【0008】
上記(1)の構成のコネクタカバーによれば、カバー本体部に対してカバー蓋部を閉じると、ヒンジによる連結側と反対側の開放端側でロック部によってカバー本体部とカバー蓋部とが係合する。また、ヒンジによる連結側でカバー保持部の本体側係止部と蓋側係止部とが互いに係合してカバー本体部からのカバー蓋部の離脱方向への移動が規制される。これにより、カバー本体部に対してカバー蓋部を閉じた状態に維持させ、ハウジングから引き出される電線を覆って良好に保護することができる。
また、カバー本体部に対してカバー蓋部を閉じた状態において、カバー本体部のヒンジ側の側壁の内面に対向する位置にズレ防止突起が配置される。これにより、カバー保持部の本体側係止部と蓋側係止部との係合方向と逆方向へのカバー蓋部の横ずれがズレ防止突起によって規制される。これにより、ヒンジが破損した場合でも、カバー蓋部の横ずれを抑えてカバー保持部によるカバー本体部とカバー蓋部との係合状態を維持させることができる。
更に、上記(1)の構成のコネクタカバーによれば、カバー本体部に対してカバー蓋部を回動させて閉じる際に、カバー蓋部の一対のガイド突起がカバー本体部のヒンジ側の側壁上端に摺接し、この摺接箇所が回動中心となる。これにより、カバー本体部に対してカバー蓋部を円滑に回動させてカバー本体部にカバー蓋部を嵌合させることができる。しかも、一対のガイド突起がヒンジの両側に設けられているので、カバー本体部に対するカバー蓋部の回動操作時におけるヒンジのねじれを抑制し、カバー本体部に対してカバー蓋部の回動を安定させることができる。したがって、カバー本体部の本体側係止部に対して、カバー蓋部の蓋側係止部を円滑に係合させることができる。
【0009】
(2) 前記カバー本体部の前記ヒンジ側の側壁の内面と、前記ヒンジ側の側壁の内面に対向する前記ズレ防止突起とは、前記カバー本体部に対する前記カバー蓋部のガタツキ寸法内の隙間を有する、上記(1)に記載のコネクタカバー。
【0010】
上記(2)の構成のコネクタカバーによれば、ズレ防止突起に対向するカバー本体部のヒンジ側の側壁の内面とズレ防止突起とが、カバー本体部に対するカバー蓋部のガタツキ寸法内の隙間を有する。したがって、カバー本体部に対してカバー蓋部がガタツキ寸法内で横ずれしても、カバー本体部のヒンジ側の側壁の内面とズレ防止突起とが当接することで、カバー保持部によるカバー本体部とカバー蓋部との係合状態を維持させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カバー本体部とカバー蓋部とを繋ぐヒンジが破損しても、カバー本体部に対するカバー蓋部の良好な嵌合状態を維持させることが可能なコネクタカバーを提供できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタカバー及びコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1に示したコネクタカバー及びコネクタの分解斜視図である。
【
図3】カバー蓋部を開いた状態におけるコネクタカバーにコネクタが装着された状態の電線の配索方向に沿う断面図である。
【
図4】カバー蓋部を閉じた状態におけるコネクタカバー及びコネクタの電線の配索方向に沿う断面図及び一部の拡大図である。
【
図5】カバー蓋部の回動途中におけるコネクタカバー及びコネクタの電線の配索方向に沿う断面図及び一部の拡大図である。
【
図6】カバー蓋部を開いた状態におけるコネクタカバーの平面図及び一部の拡大図である。
【
図7】カバー蓋部を開いた状態におけるコネクタカバーの側面図及び一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタカバー10及びコネクタ20の斜視図である。
図2は、
図1に示したコネクタカバー10及びコネクタ20の分解斜視図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るコネクタカバー10は、コネクタ20のハウジング23に装着される。電線21は、筒状に形成された保護部材であるコルゲートチューブ40に通されて保護されている。コルゲートチューブ40は、合成樹脂製のチューブからなるもので、周方向にわたって形成された複数の山部41及び谷部42が軸方向に交互に配置された蛇腹状に形成されている。コルゲートチューブ40は、その端部がコネクタカバー10に係止されて保持される。これにより、ハウジング23とコルゲートチューブ40とがコネクタカバー10によって連結され、ハウジング23とコルゲートチューブ40との間において、ハウジング23から引き出された電線21がコネクタカバー10によって覆われて保護される。コルゲートチューブ40は、コネクタカバー10によって保持され、ハウジング23に対して側方へ延在する方向に配置される。これにより、ハウジング23から引き出されてコルゲートチューブ40に挿通された電線21は、ハウジング23に対して側方へ屈曲されて配索される。
【0018】
コネクタカバー10が組付けられるコネクタ20は、ハウジング23と、ハウジング23に収容される4つのメス端子25と、ハウジング23に装着される環状のシール部材26と、ハウジング23に装着されるフロントホルダ27とを備えて構成される。メス端子25は、電線21の端部に圧着されて電気的に接続されている。コネクタ20は、相手側コネクタ(図示略)に嵌合されることで、メス端子25が相手側コネクタのオス端子(図示略)と電気的に接続される。
【0019】
ハウジング23には、後方からメス端子25が挿入される4つの端子収容室31が形成されている。メス端子25は、ハウジング23に装着されるフロントホルダ27によって端子収容室31の前方への移動が規制されて保持される。フロントホルダ27は、4つの挿入口32を有しており、各挿入口32からタブ状のオス端子が挿入されてメス端子25に電気的に接続される。
【0020】
シール部材26は、フロントホルダ27によってハウジング23内に保持される。このシール部材26は、ハウジング23と相手側ハウジングとを嵌合させた際に、相手側ハウジングとの嵌合箇所を液密にシールする。
【0021】
ハウジング23の上部には、ロックアーム33が形成されている。このロックアーム33は、片持ち状に支持されている。このロックアーム33は、ハウジング23を相手側コネクタの相手側ハウジングに嵌合した際に、その先端の爪(図示略)が相手側ハウジングの突起(図示略)を係止する。これにより、ハウジング23が相手側ハウジングに嵌合した状態にロックされる。
【0022】
次に、上記のコネクタ20に組付けられる本実施形態に係るコネクタカバー10について詳述する。
図3は、カバー蓋部52を開いた状態におけるコネクタカバー10にコネクタ20が装着された状態の電線21の配索方向に沿う断面図である。
図4は、カバー蓋部52を閉じた状態におけるコネクタカバー10及びコネクタ20の電線21の配索方向に沿う断面図及び一部の拡大図である。
図5は、カバー蓋部52の回動途中におけるコネクタカバー10及びコネクタ20の電線21の配索方向に沿う断面図及び一部の拡大図である。
図6は、カバー蓋部52を開いた状態におけるコネクタカバー10の平面図及び一部の拡大図である。
図7は、カバー蓋部52を開いた状態におけるコネクタカバー10の側面図及び一部の拡大図である。
図8は、
図5におけるA-A断面図である。
【0023】
図3~
図8に示すように、コネクタカバー10は、カバー本体部51と、カバー蓋部52とを有している。カバー本体部51とカバー蓋部52とは、ヒンジ53によって連結されている。そして、カバー蓋部52は、ヒンジ53による連結側を中心としてカバー本体部51に対して回動可能とされている。カバー本体部51、カバー蓋部52及びヒンジ53は、合成樹脂によって一体に成形されている。
【0024】
カバー本体部51は、筒状に形成されており、後端側から嵌め込まれたコネクタ20のハウジング23を収容する。これにより、カバー本体部51がハウジング23に取り付けられる。このカバー本体部51は、その後端側が、ハウジング23から引き出される電線21を外側に導出させる電線導出部61とされている。また、カバー本体部51は、カバー蓋部52との連結側及びその反対側である開放端側における内側壁62,63に、内側へ膨出する膨出部62a,63aをそれぞれ有している。
【0025】
カバー本体部51は、開放端側に、コルゲート保持部65を有している。コルゲート保持部65は、断面視で円弧状に凹む保持溝部66を有している。この保持溝部66の内面には、複数の係止突条67が形成されている。これらの係止突条67は、互いに等間隔に配置されている。係止突条67は、コルゲートチューブ40の谷部42のピッチと同一の配列ピッチで配列されている。この保持溝部66には、コルゲートチューブ40の端部が配置される。そして、このコルゲートチューブ40が保持溝部66に配置されると、コルゲートチューブ40の谷部42に、係止突条67が入り込み、これにより、コルゲートチューブ40の端部がコルゲート保持部65の保持溝部66に保持される。
【0026】
このカバー本体部51の開放端側に設けられたコルゲート保持部65には、その両側部に、ロック爪71が形成されている(
図6及び
図7参照)。また、カバー本体部51のヒンジ53による連結側には、内側壁62に、本体側係止部73が立設されている。この本体側係止部73は、その上端部に、ヒンジ53側へ突出する係止爪74を有している。また、カバー本体部51には、内側壁62の上端における本体側係止部73よりもヒンジ53側に、幅方向に沿って立設された壁部(側壁上端)76を有している。
【0027】
ヒンジ53によってカバー本体部51に連結されたカバー蓋部52は、カバー本体部51の電線導出部61側へ回動させることにより、カバー本体部51の電線導出部61に嵌合される。そして、このカバー蓋部52をカバー本体部51の電線導出部61に嵌合させることにより、カバー本体部51の電線導出部61から導出される電線21が、カバー蓋部52で覆われて保護される。
【0028】
カバー蓋部52は、ヒンジ53による連結側と反対側である開放端側に、コルゲート保持部85を有している。コルゲート保持部85は、断面視で円弧状に凹む保持溝部86を有している。この保持溝部86の内面には、複数の係止突条87が形成されている。これらの係止突条87は、互いに等間隔に配置されている。係止突条87は、コルゲートチューブ40の谷部42のピッチと同一の配列ピッチで配列されている。コルゲート保持部85は、カバー本体部51のコルゲート保持部65に被せられる。これにより、コルゲート保持部85の保持溝部86に形成された係止突条87が、保持溝部66に配置されたコルゲートチューブ40の谷部42に入り込み、これにより、コルゲートチューブ40の端部がコルゲート保持部65,85の保持溝部66,86に保持される。これにより、ハウジング23から引き出されてコルゲートチューブ40に挿通された電線21が、ハウジング23に対して側方へ屈曲されて配索される。
【0029】
このカバー蓋部52の開放端側に設けられたコルゲート保持部85には、その両側部に、凹部91aを有するロック片91が形成されている(
図3及び
図5参照)。このロック片91は、カバー蓋部52をカバー本体部51の電線導出部61側へ回動させてカバー本体部51へ突き合わせることにより、凹部91aにカバー本体部51のロック爪71が係合する。これにより、カバー蓋部52及びカバー本体部51の開放端側において、カバー本体部51に対するカバー蓋部52の離脱方向への移動が規制される。そして、カバー本体部51のロック爪71とカバー蓋部52のロック片91とからロック部72が構成されている(
図1参照)。
【0030】
また、カバー蓋部52のヒンジ53による連結側には、蓋側係止部93が設けられている。この蓋側係止部93は、ヒンジ53側と反対側へ突出する板状に形成されている。この蓋側係止部93は、カバー蓋部52をカバー本体部51の電線導出部61側へ回動させてカバー本体部51へ突き合わせる際に、カバー本体部51の本体側係止部73の係止爪74が裏側へ入り込んで係合する(
図4参照)。これにより、カバー蓋部52及びカバー本体部51の連結側において、カバー本体部51に対するカバー蓋部52の離脱方向への移動が規制される。そして、カバー本体部51の本体側係止部73とカバー蓋部52の蓋側係止部93とからカバー保持部95が構成されている(
図3~
図6参照)。
【0031】
さらに、カバー蓋部52には、カバー本体部51へ向かう回動方向の前方側へ突出するズレ防止突起98が設けられている。このズレ防止突起98は、カバー蓋部52のヒンジ53側の内壁における片側に形成されており、蓋側係止部93に対してヒンジ53側と反対側へ間隔をあけた位置に設けられている(
図6参照)。このズレ防止突起98は、カバー本体部51にカバー蓋部52を嵌合した閉蓋時に、カバー本体部51のヒンジ53側の内側壁(側壁)62の膨出部62aの内面に対向する位置に配置される(
図4参照)。
【0032】
そして、カバー本体部51にカバー蓋部52を嵌合した閉蓋時において、カバー本体部51の内側壁62の膨出部62aの内面と、この膨出部62aの内面に対向するズレ防止突起98とは、カバー本体部51に対するカバー蓋部52のガタツキ寸法内の隙間を有している。つまり、カバー本体部51にカバー蓋部52を嵌合した閉蓋状態において、ズレ防止突起98は、内側壁62の膨出部62aの内面に対する隙間が、カバー本体部51に対するカバー蓋部52のガタツキ寸法内におさまるように設定されている。なお、
図4では、内側壁62の膨出部62aに対してズレ防止突起98がほぼ隙間なく配置されている状態を示している。
【0033】
したがって、カバー本体部51にカバー蓋部52を嵌合した閉蓋状態において、カバー本体部51に対してカバー蓋部52がガタツキ寸法内で横ずれした際に、カバー本体部51を構成する内側壁62の膨出部62aの内面とズレ防止突起98とが当接する。これにより、本体側係止部73と蓋側係止部93とから構成されるカバー保持部95によるカバー本体部51とカバー蓋部52との係合状態が維持される。
【0034】
また、カバー蓋部52には、ヒンジ53の両側位置に、ガイド突起96が突設されている(
図6参照)。これらのガイド突起96は、ヒンジ53側の面が、突設方向に向かってヒンジ53から離間するテーパ形状のガイド面97とされている。このガイド突起96は、そのガイド面97がカバー本体部51に対するカバー蓋部52の開閉時にカバー本体部51の内側壁62の上端に形成された壁部76に摺接する。
【0035】
次に、コネクタカバー10をコネクタ20のハウジング23に装着する場合について説明する。
まず、コネクタ20のハウジング23をコネクタカバー10のカバー本体部51の後端側から嵌め込む。このようにすると、ハウジング23にカバー本体部51が取り付けられ、ハウジング23から引き出された電線21がカバー本体部51の電線導出部61から導出された状態となる。
【0036】
次に、コルゲートチューブ40の端部をカバー本体部51のコルゲート保持部65の保持溝部66内に配置させ、コルゲートチューブ40の谷部42に保持溝部66の係止突条67を入り込ませ、コルゲートチューブ40の端部を保持溝部66に係止させる。
【0037】
その後、ヒンジ53による連結箇所を中心にカバー蓋部52をカバー本体部51側へ向かって回動させ、カバー本体部51に対してカバー蓋部52を閉蓋させ、カバー本体部51の後端側の電線導出部61に嵌合させる。
このとき、カバー蓋部52の一対のガイド突起96のガイド面97が、カバー本体部51の内側壁62の上端に形成された壁部76に摺接する(
図5参照)。これにより、カバー蓋部52は、壁部76へのガイド突起96のガイド面97の摺接箇所が回動中心となり、カバー本体部51に対して円滑に回動される。
【0038】
また、一対のガイド突起96がヒンジ53の両側に設けられているので、カバー本体部51に対するカバー蓋部52の回動操作時におけるヒンジ53のねじれが抑制され、カバー本体部51に対してカバー蓋部52が安定して回動される。したがって、カバー本体部51の本体側係止部73の係止爪74に対して、カバー蓋部52の蓋側係止部93が円滑に係合される。これにより、カバー蓋部52及びカバー本体部51の連結側において、本体側係止部73と蓋側係止部93とからなるカバー保持部95によってカバー本体部51に対するカバー蓋部52の離脱方向への移動が規制される。
【0039】
カバー蓋部52がカバー本体部51に被せられて嵌合されると、カバー蓋部52のコルゲート保持部85がカバー本体部51のコルゲート保持部65に突き合わされてコルゲートチューブ40に被せられる。すると、コルゲート保持部85の保持溝部86に形成された係止突条87が、保持溝部66に配置されたコルゲートチューブ40の谷部42に入り込む。これにより、コルゲートチューブ40の端部がコルゲート保持部65,85の保持溝部66,86に保持される。これにより、ハウジング23から引き出されてコルゲートチューブ40に挿通された電線21が、ハウジング23に対して側方へ屈曲されて配索される。
【0040】
この状態で、カバー蓋部52のロック片91の凹部91aにカバー本体部51のロック爪71が係合する。これにより、カバー蓋部52及びカバー本体部51の開放端側において、ロック爪71とロック片91とからなるロック部72によってカバー本体部51に対するカバー蓋部52の離脱方向への移動が規制される。
【0041】
また、カバー本体部51にカバー蓋部52を嵌合すると、カバー蓋部52のズレ防止突起98が、カバー本体部51の内側壁62に形成された膨出部62aの内面に対向する位置に配置され、カバー蓋部52の横ずれが抑制される。
【0042】
上記のように、コネクタカバー10をコネクタ20に組付けた状態において、カバー本体部51とカバー蓋部52とを繋ぐヒンジ53が破損し、カバー本体部51に対してカバー蓋部52が横ずれしようとすることがある。このような場合、本実施形態に係るコネクタカバー10では、本体側係止部73と蓋側係止部93との係合方向と逆方向に横ずれしようとしても、ズレ防止突起98がカバー本体部51を構成する内側壁62の膨出部62aの内面に当接する。これにより、カバー本体部51に対するカバー蓋部52の横ずれが防止され、本体側係止部73と蓋側係止部93とから構成されるカバー保持部95によるカバー本体部51とカバー蓋部52との係合状態が維持されることとなる。
【0043】
以上、説明したように、本実施形態に係るコネクタカバー10によれば、カバー本体部51に対してカバー蓋部52を閉じると、ヒンジ53による連結側と反対側の開放端側でロック部72によってカバー本体部51とカバー蓋部52とが係合する。また、ヒンジ53による連結側でカバー保持部95の本体側係止部73と蓋側係止部93とが互いに係合してカバー本体部51からのカバー蓋部52の離脱方向への移動が規制される。これにより、カバー本体部51に対してカバー蓋部52を閉じた状態に維持させ、ハウジング23から引き出される電線21を覆って良好に保護することができる。
【0044】
また、カバー本体部51に対してカバー蓋部52を閉じた状態において、カバー本体部51のヒンジ53側の内側壁62の内面に設けられた膨出部62aに対向する位置にズレ防止突起98が配置される。これにより、カバー保持部95の本体側係止部73と蓋側係止部93との係合方向と逆方向へのカバー蓋部52の横ずれがズレ防止突起98によって規制される。これにより、ヒンジ53が破損した場合でも、カバー蓋部52の横ずれを抑えてカバー保持部95によるカバー本体部51とカバー蓋部52との係合状態を維持させることができる。
【0045】
このズレ防止突起98に対向するカバー本体部51の内側壁62の膨出部62aの内面とズレ防止突起98とは、カバー本体部51に対するカバー蓋部52のガタツキ寸法内の隙間を有する。したがって、カバー本体部51に対してカバー蓋部52がガタツキ寸法内で横ずれしても、カバー本体部51の内側壁62の膨出部62aの内面とズレ防止突起98とが当接することで、カバー保持部95によるカバー本体部51とカバー蓋部52との係合状態を維持させることができる。
【0046】
また、カバー本体部51に対してカバー蓋部52を回動させて閉じる際に、カバー蓋部52の一対のガイド突起96のガイド面97がカバー本体部51の内側壁62の上端に設けられた壁部76に摺接し、この摺接箇所が回動中心となる。これにより、カバー本体部51に対してカバー蓋部52を円滑に回動させてカバー本体部51にカバー蓋部52を嵌合させることができる。しかも、一対のガイド突起96がヒンジ53の両側に設けられているので、カバー本体部51に対するカバー蓋部52の回動操作時におけるヒンジ53のねじれを抑制し、カバー本体部51に対してカバー蓋部52の回動を安定させることができる。したがって、カバー本体部51の本体側係止部73に対して、カバー蓋部52の蓋側係止部93を円滑に係合させることができる。
【0047】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0048】
ここで、上述した本発明に係るコネクタカバーの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電線(21)の端部に接続された端子(メス端子25)を収容するハウジング(23)に装着されて前記ハウジング(23)から引き出される前記電線(21)を覆うコネクタカバー(10)であって、
前記ハウジング(23)に取り付けられ、前記ハウジング(23)から引き出される前記電線(21)を外側に導出させる電線導出部(61)を有するカバー本体部(51)と、
前記カバー本体部(51)の前記電線導出部(61)側に嵌合されるカバー蓋部(52)と、
前記カバー本体部(51)と前記カバー蓋部(52)とを連結するヒンジ(53)と、
前記ヒンジ(53)による連結側と反対側の開放端側で前記カバー本体部(51)と前記カバー蓋部(52)とを互いに係合させるロック部(72)と、
前記ヒンジ(53)による連結側に設けられ、前記カバー本体部(51)の本体側係止部(73)と前記カバー蓋部(52)の蓋側係止部(93)とが互いに係合して前記カバー本体部(51)からの前記カバー蓋部(52)の離脱方向への移動を規制するカバー保持部(95)と、
前記カバー蓋部(52)に設けられて閉蓋時に前記カバー本体部(51)の前記ヒンジ(53)側の側壁(内側壁62)の内面に対向する位置に配置され、前記カバー保持部(95)の前記本体側係止部(73)と前記蓋側係止部(93)との係合方向と逆方向への前記カバー蓋部(52)の横ずれを規制するズレ防止突起(98)と、
を備える、コネクタカバー。
[2] 前記カバー本体部(51)の前記ヒンジ(53)側の側壁(内側壁62)の内面と、前記ヒンジ(53)側の側壁(内側壁62)の内面に対向する前記ズレ防止突起(98)とは、前記カバー本体部(51)に対する前記カバー蓋部(52)のガタツキ寸法内の隙間を有する、上記[1]に記載のコネクタカバー。
[3] 前記カバー蓋部(52)は、前記ヒンジ(53)の両側に設けられ、前記カバー本体部(51)に対する前記カバー蓋部(52)の開閉時に前記カバー本体部(51)の前記ヒンジ(53)側の側壁上端(壁部76)に摺接して回動中心となる一対のガイド突起(96)を有する、上記[1]または[2]に記載のコネクタカバー。
【符号の説明】
【0049】
10…コネクタカバー
21…電線
23…ハウジング
25…メス端子(端子)
51…カバー本体部
52…カバー蓋部
53…ヒンジ
61…電線導出部
62…内側壁(側壁)
72…ロック部
73…本体側係止部
76…壁部(側壁上端)
93…蓋側係止部
95…カバー保持部
96…ガイド突起
98…ズレ防止突起