(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】制御装置の磁気ユーザ入力アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0338 20130101AFI20230620BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20230620BHJP
H01H 25/04 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
G06F3/0338 412
G06F3/038 330
H01H25/04 F
(21)【出願番号】P 2021506567
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 US2018051746
(87)【国際公開番号】W WO2020060547
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】トンプキンス, グレン ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ブラッドリー モリス
(72)【発明者】
【氏名】オーリン, ボイド ドルー
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0265176(US,A1)
【文献】特開平10-254567(JP,A)
【文献】特表2000-507370(JP,A)
【文献】特開昭58-094722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0338
G06F 3/038
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ入力アセンブリであって、
ユーザの皮膚表面との接触を受けるよう構成された第1の表面と、
第1の末端及び第2の末端を含むロッドであって、前記ロッドの前記第1の末端が前記第1の表面に結合される、ロッドと、
前記ロッドの前記第2の末端に結合された球形磁石と、
前記球形磁石を受け入れるよう構成された
、前記ロッドとは別個のカップ部であって、前記球形磁石は、前記カップ部内の枢動点の周りを動くよう構成される、カップ部と、
前記カップ部の外面の周囲に配置されており、かつ、前記カップ部内に配置された前記球形磁石を取り囲むリング磁石であって、前記球形磁石の前記動きに対して復元トルクを与えるよう構成されたリング磁石と
を備える、ユーザ入力アセンブリ。
【請求項2】
前記カップ部の一部分が、前記球形磁石の表面輪郭に相補的な曲率半径を有する、請求項1に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項3】
前記リング磁石は、当該リング磁石の直径が前記球形磁石の前記枢動点の閾値距離内にあるように、配置される、請求項1に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項4】
前記ロッドの前記第1の末端に結合されたノブを更に含み、前記第1の表面が前記ノブの一部である、請求項1に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項5】
前記ノブの作動によって、前記カップ部に対する前記ノブの移動量に対応した信号が生成される、請求項4に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項6】
1つ以上のガイドであって、前記ノブの移動
を、前記1つ以上のガイドの各軸に沿って移動するよう
に制限するよう構成された1つ以上のガイドを更に含む、請求項4に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項7】
前記ノブと前記カップ部との間に結合されたカラー部を更に含み、前記カラー部は、前記カップ部に対する前記ノブの移動に従って撓むよう構成された可撓性材料から成る、請求項4に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項8】
前記カップ部の前記外面の周りに配置された第1のセンサ及び第2のセンサを更に含み、前記第1のセンサは、前記第2のセンサに対して90度の角度で配置され、前記第1のセンサは、第1の軸に沿った前記ロッドの移動を検出するよう構成され、前記第2のセンサは、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿った前記ロッドの移動を検出するよう構成される、請求項1に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、それぞれホール効果センサである、請求項8に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項10】
前記ユーザ入力アセンブリの静止ポジションが、前記ロッドが前記リング磁石の直径に対して直交するポジションにあることを含み、前記ユーザ入力アセンブリは、前記ロッドを前記ユーザ入力アセンブリの前記静止ポジションに戻すよう構成されたスイッチを更に含む、請求項1に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項11】
前記カップ部は、絶縁材料から成り、前記ロッドは、導電性材料から成る、請求項1に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項12】
第1の末端及び第2の末端を含む板ばねであって、前記板ばねの前記第1の末端が、前記カップ部の底部の開口部内に配置され、前記球形磁石に当接する、板ばねと、
前記板ばねの前記第2の末端に電気的に接続されており、前記第1の表面に接触する前記ユーザの前記皮膚表面に対応する表面静電容量を決定するよう構成されたコントローラと
を更に備える、請求項11に記載のユーザ入力アセンブリ。
【請求項13】
ユーザ入力アセンブリ
を備えたハンドヘルド制御装置であって、
前記ユーザ入力アセンブリが、
ユーザの皮膚表面との接触を受けるよう構成された第1の表面と、
第1の末端及び第2の末端を含むロッドであって、前記ロッドの前記第1の末端が前記第1の表面に結合される、ロッドと、
前記ロッドの前記第2の末端に結合された球形磁石と、
前記球形磁石を受け入れるよう構成された
、前記ロッドとは別個のカップ部であって、前記球形磁石は、前記カップ部内の枢動点の周りを動くよう構成される、カップ部と、
前記カップ部の外面の周囲に配置されており、かつ、前記カップ部内に配置された前記球形磁石を取り囲むリング磁石であって、前記球形磁石の前記動きに対して復元トルクを与えるよう構成されたリング磁石と
を含む
、ハンドヘルド制御装置。
【請求項14】
前記カップ部の一部分が、前記球形磁石の表面輪郭に相補的な曲率半径を有する、請求項13に記載のハンドヘルド制御装置。
【請求項15】
前記リング磁石は、当該リング磁石の直径が前記球形磁石の前記枢動点の閾値距離内にあるように、配置される、請求項13に記載のハンドヘルド制御装置。
【請求項16】
前記ロッドの前記第1の末端に結合されたノブを更に含み、前記第1の表面が前記ノブの一部である、請求項13に記載のハンドヘルド制御装置。
【請求項17】
前記ノブの作動によって、前記カップ部に対する前記ノブの移動量に対応した信号が生成される、請求項16に記載のハンドヘルド制御装置。
【請求項18】
前記カップ部の前記外面の周りに配置された第1のセンサ及び第2のセンサを更に含み、前記第1のセンサは、前記第2のセンサに対して90度の角度で配置され、前記第1のセンサは、第1の軸に沿った前記ロッドの移動を検出するよう構成され、前記第2のセンサは、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿った前記ロッドの移動を検出するよう構成される、請求項13に記載のハンドヘルド制御装置。
【請求項19】
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサは、それぞれホール効果センサである、請求項18に記載のハンドヘルド制御装置。
【請求項20】
前記カップ部が絶縁材料で構成され、前記ロッドが導電性材料で構成され、
前記ハンドヘルド制御装置は、
第1の末端及び第2の末端を含む板ばねであって、前記板ばねの前記第1の末端が、前記カップ部の底部の開口部内に配置され、前記球形磁石に当接する、板ばねと、
前記板ばねの前記第2の末端に電気的に接続されており、前記第1の表面に接触する前記ユーザの前記皮膚表面に対応する表面静電容量を決定するよう構成されたコントローラと
を更に備える、請求項13に記載のハンドヘルド制御装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、概して、ユーザ入力を受信するための制御装置に関し、特に、制御装置の磁気ユーザ入力アセンブリに関する。
【0002】
人工現実システムにおける制御装置は、入力機能(例えば、ボタン、サムスティック、トリガ等)を含んでいることが多い。制御装置の中には、入力機能についての幾つかの自由度を可能にするために、1つ以上のジンバルを備えるものもある。しかしながら、ジンバルは、典型的に大きく、ユーザの手で保持するよう構成された制御装置に組み込むことが困難で、かつ人間工学的なフォームファクタが小さい可能性がある。さらに、ジンバル機構の構成に起因して、1つ以上の軸に沿ったジンバルの動きには、ジンバルの所望の動きとジンバルの実際の動きとの間にかなりの遅れがある可能性があることが多い。これらの要因は、人工現実システムと相互作用するときにユーザの体験に著しい影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
ユーザ入力アセンブリは、ユーザ入力を受け取るよう構成される。ユーザ入力アセンブリは、人工現実システムの構成要素でありうる制御装置の一部であってよい。幾つかの実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、ユーザ入力アセンブリのサムスティックの押下、サムスティックの横方向回転、又は、これらの何らかの組み合わせを介して入力を受け取るよう構成される。サムスティックは、第1の表面と、ロッドと、球形磁石とを含む。第1の表面は、ユーザの皮膚表面との接触を受けるよう構成される。ロッドは、第1の末端及び第2の末端を含む。ロッドの第1の末端は、第1の表面に結合され、ロッドの第2の末端は、球形磁石に結合される。ユーザ入力アセンブリは、カップ部及びリング磁石を更に備える。カップ部は、球形磁石を受け入れるよう構成され、球形磁石は、カップ部内の枢動点の周りを動くよう構成される。リング磁石は、当該リング磁石が、カップ部内に配置された球形磁石を取り囲むように、カップ部の外面の周囲に配置される。リング磁石は、球形磁石の動きに復元トルクを与えるよう構成される。幾つかの実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、カップ部に対するサムスティックの移動を検出する1つ以上のセンサを備える。幾つかの実施形態において、静電容量感知アセンブリが、ユーザ入力アセンブリと一体であってよく、第1の表面、ロッド、及び球形磁石が導電性材料から成る。静電容量感知アセンブリは、ユーザの皮膚がサムスティックの第1の表面に近接していることを検出するよう構成されうる。
【0004】
本発明に係る実施形態は、ユーザ入力アセンブリ、及び、ハンドヘルド制御装置を対象とする添付の特許請求の範囲において特に開示され、特許請求の範囲においては、例えばユーザ入力アセンブリといった1の請求カテゴリにおいて言及される任意の特徴が、例えばハンドヘルド制御装置、システム、方法、記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品といった他の請求カテゴリにおいても特許請求されうる。添付の特許請求の範囲における従属関係又は引用は、形式上の理由で選択されている。しかしながら、任意の先行する請求項への意図的な引用(特に多項従属)から生じるいかなる発明の主題も特許請求することが可能であり、これにより、請求項とその特徴との任意の組み合わせが開示され、添付の特許請求の範囲において選択された従属関係にかかわらず特許請求することが可能である。特許請求することが可能な発明の主題は、添付の特許請求の範囲に記載される特徴の組み合わせのみならず、特許請求項における特徴の任意の他の組み合わせも含み、特許請求項において言及される各特徴は、特許請求項における任意の他の特徴又は他の特徴の組み合わせと組み合わせることが可能である。さらに、本明細書に記載若しくは図示される任意の実施形態及び特徴は、別個の請求項で、及び/又は、本明細書に記載若しくは図示される任意の実施形態又は特徴との任意の組み合わせにおいて、又は、添付の特許請求項の任意の特徴との任意の組み合わせにおいて特許請求することが可能である。
【0005】
一実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、
ユーザの皮膚表面との接触を受けるよう構成された第1の表面と、
第1の末端及び第2の末端を含むロッドであって、ロッドの第1の末端が第1の表面に結合される、ロッドと、
ロッドの第2の末端に結合された球形磁石と、
球形磁石を受け入れるよう構成されたカップ部であって、球形磁石は、カップ部内の枢動点の周りを動くよう構成される、カップ部と、
カップ部の外面の周囲に配置されており、かつ、カップ部内に配置された球形磁石を取り囲むリング磁石であって、球形磁石の動きに対して復元トルクを与えるよう構成されたリング磁石と
を含みうる。
【0006】
カップ部の一部分が、球形磁石の表面輪郭に相補的な曲率半径を有しうる。
【0007】
リング磁石は、当該リング磁石の直径が球状磁石の枢動点の閾値距離内にあるように、配置されうる。
【0008】
一実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、ロッドの第1の末端に結合されたノブを含んでよく、第1の表面がノブの一部である。
【0009】
ノブの作動によって、カップ部に対するノブの移動量に対応した信号が生成されうる。
【0010】
一実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、1つ以上のガイドであって、ノブの動きを制限し、当該1つ以上のガイドの各軸に沿って移動するよう構成された1つ以上のガイドを含みうる。
【0011】
一実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、ノブとカップ部との間に結合されたカラー部を含んでよく、カラー部は、カップ部に対するノブの移動に従って撓むよう構成された可撓性材料から成りうる。
【0012】
一実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、カップ部の外面の周りに配置された第1のセンサ及び第2のセンサを更に含んでよく、第1のセンサは、第2のセンサに対して90度の角度で配置されてよく、第1のセンサは、第1の軸に沿ったロッドの移動を検出するよう構成されてよく、第2のセンサは、第1の軸に直交する第2の軸に沿ったロッドの移動を検出するよう構成されてよい。
【0013】
第1のセンサ及び第2のセンサは、それぞれホール効果センサでありうる。
【0014】
ユーザ入力アセンブリの静止ポジションは、ロッドがリング磁石の直径に対して直交するポジションにあることを含んでよく、ユーザ入力アセンブリは、ロッドをユーザ入力アセンブリの静止ポジションに戻すよう構成されたスイッチを更に含みうる。
【0015】
カップ部は、絶縁材料から成ってよく、ロッドは、導電性材料から成ってよい。
【0016】
一実施形態において、ユーザ入力アセンブリは、
第1の末端及び第2の末端を含む板ばねであって、板ばねの第1の末端が、カップ部の底部の開口部内に配置され、球形磁石に当接する、板ばねと、
板ばねの第2の末端に電気的に接続されており、第1の表面に接触するユーザの皮膚表面に対応する表面静電容量を決定するよう構成されたコントローラと
を含みうる。
【0017】
一実施形態において、ハンドヘルド制御装置は、
ユーザ入力アセンブリであって、
ユーザの皮膚表面との接触を受けるよう構成された第1の表面と、
第1の末端及び第2の末端を含むロッドであって、ロッドの第1の末端が第1の表面に結合される、ロッドと、
ロッドの第2の末端に結合された球形磁石と、
球形磁石を受け入れるよう構成されたカップ部であって、球形磁石は、カップ部内の枢動点の周りを移動するよう構成される、カップ部と、
カップ部の外面の周囲に配置されており、かつ、カップ部内に配置された球形磁石を取り囲むリング磁石であって、球形磁石の移動に対して復元トルクを与えるよう構成されたリング磁石と
を含むユーザ入力アセンブリを備えうる。
【0018】
カップ部の一部分が、球形磁石の表面輪郭に相補的な曲率半径を有しうる。
【0019】
リング磁石は、当該リング磁石の直径が球状磁石の枢動点の閾値距離内にあるように、配置されうる。
【0020】
一実施形態において、ハンドヘルド制御装置は、ロッドの第1の末端に結合されたノブを含んでよく、第1の表面がノブの一部である。
【0021】
ノブの作動によって、カップ部に対するノブの移動量に対応した信号が生成されうる。
【0022】
一実施形態において、ハンドヘルド制御装置は、カップ部の外面の周りに配置された第1のセンサ及び第2のセンサを含んでよく、第1のセンサは、第2のセンサに対して90度の角度で配置されてよく、第1のセンサは、第1の軸に沿ったロッドの移動を検出するよう構成されてよく、第2のセンサは、第1の軸に直交する第2の軸に沿ったロッドの移動を検出するよう構成されてよい。
【0023】
第1のセンサ及び第2のセンサは、それぞれホール効果センサでありうる。
【0024】
カップが絶縁材料から成ってよく、ロッドが導電性材料から成ってよく、ハンドヘルドコントローラ装置が、
第1の末端及び第2の末端を含む板ばねであって、板ばねの第1の末端が、カップ部の底部の開口部内に配置され、球形磁石に当接する、板ばねと、
板ばねの第2の末端に電気的に接続されており、第1の表面に接触するユーザの皮膚表面に対応する表面静電容量を決定するよう構成されたコントローラと、を含みうる。
【0025】
本発明の更なる実施形態において、1つ以上のコンピュータ読み取りが可能な非一時的記憶媒体が、実行されたときに、本発明に係る、又は上述の実施形態のいずれかに係るユーザ入力アセンブリ、ハンドヘルド制御装置、又はシステムにおいて機能するよう動作可能なソフトウェアを具体化する。
【0026】
本発明の更なる実施形態において、コンピュータにより実現される方法が、本発明に係る、又は上述の実施形態にいずれかに係るユーザ入力アセンブリ、ハンドヘルド制御装置、又はシステムを利用する。
【0027】
本発明の更なる実施形態において、コンピュータ読取り可能な非一時的記憶媒体を好適に備えるコンピュータプログラム製品が、本発明に係る、又は上述の実施形態のいずれかに係るユーザ入力アセンブリ、ハンドヘルド制御装置、又はシステムにおいて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】1つ以上の実施形態に係るハンドコントローラの斜視図である。
【
図2A】1つ以上の実施形態に係るサムスティックアセンブリの分解組み立て図である。
【
図2B】1つ以上の実施形態に係る、
図2Aのサムスティックアセンブリの断面図である。
【
図3A】1つ以上の実施形態に係る、カップ部内に配置されたサムスティックの拡大図である。
【
図3B】1つ以上の実施形態に係る、サムスティックに結合された板ばねの斜視図である。
【
図4】1つ以上の実施形態に係る、人工現実システムにおける制御装置のシステム環境である。
【0029】
図面は、単に説明のために本開示の実施形態を示している。当業者は、以下の明細書の記載から、本明細書に記載される本開示の原則又は提示される利益から逸脱することなく、本明細書に示された構造及び方法の代替的な実施形態が採用されうることが容易に分かるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は、人工現実システムを含んでよく、又は、人工現実システムとの併用で実現されてよい。人工現実は、ユーザへの提示の前になんらかのやり方で調整された現実の一形態であり、例えば、仮想現実、拡張現実、複合現実、ハイブリッド現実、又は、これらの幾つかの組み合わせ及び/又は派生物を含みうる。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、又は、撮像された(例えば現実世界の)コンテンツと組み合わせて生成されたコンテンツを含みうる。人工現実コンテンツは、映像、音声、触覚、又はこれらの幾つかの組み合わせを含んでよく、これらのいずれも、1つのチャネル又は複数のチャネル(視聴者に3D効果をもたらす立体映像(stereo video)など)で提示されうる。加えて、幾つかの実施形態において、人工現実は、或る人工現実において例えばコンテンツを制作するために使用され及び/又は或る人工現実において別様に使用される(例えば、人工現実において活動する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、又はこれらの幾つかの組み合わせと関連付けられてもよい。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、アイウェアデバイス、アイウェアデバイスを構成要素として備えるヘッドマウントディスプレイ(HMD:head-mounted display)アセンブリ、ホストコンピュータシステムに接続されたHMD、スタンドアロンHMD、携帯機器、若しくは計算システム、又は、1人以上の視聴者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む様々なプラットフォーム上で実装されうる。さらに、人工現実システムは、ユーザに提供される人工現実コンテンツに影響を与えうるユーザ入力を受信するための複数の制御装置を実装しうる。
【0031】
システムアーキテクチャ
ハンドコントローラは、ユーザの手で保持されるよう構成された制御装置である。ハンドコントローラは、1つ以上のユーザ入力アセンブリを含んでよく、ユーザ入力アセンブリは、ボタン、トリガ、サムスティック、又はこれらの幾つかの組み合わせを含んでよく、これらはそれぞれ、ユーザの1つ以上の指によって作動されたときにユーザ入力を受信するよう構成される。本明細書に含まれる実施形態では、一例として、サムスティックを含むサムスティックアセンブリとしてのユーザ入力アセンブリを記載するが、他の実施形態は、サムスティックアセンブリ及び/又はサムスティック、若しくは、サムスティックアセンブリ及び/又はサムスティックとの組み合わせの代わりに、ボタン、トリガ、又はこれらの幾つかの組合せといった他のタイプのユーザ入力アセンブリを含んでよい。これらの実施形態では、他のタイプのユーザ入力アセンブリは、ユーザがシームレスにユーザ入力アセンブリにユーザ入力を与えることを可能とする、本明細書に記載のサムスティックアセンブリと同様の構造及び/又は構成を有してよい。一実施形態において、ハンドコントローラは、サムスティックの押下、サムスティックの横方向回転、又はこれらの何らかの組合せによって入力を受け取るよう構成されたサムスティックアセンブリを含む。一実施形態において、サムスティックアセンブリのサムスティックは、第1の表面と、ロッドと、球形磁石とを含む。第1の表面は、ユーザの皮膚表面との接触を受けるように構成される。ロッドは、第1の末端及び第2の末端を有し、ロッドの第1の末端が、第1の表面に結合される。球形磁石は、ロッドの第2の末端に結合されている。一実施形態において、ロッドがねじであり、球形磁石が、ねじと嵌合するためのねじ切り界面を含む。サムスティックは、ロッドの第1の末端に結合されたサムスティックノブを含んでよく、第1の表面が、サムスティックノブの一部であってよい。サムスティックノブは、ユーザが、例えば親指を使って、サムスティックアセンブリと相互作用するための人間工学的で安定した表面を提供する。サムスティックアセンブリは、カップ部を更に含み、当該カップ部の外面の周囲にはリング磁石が配置されている。カップ部は、球形磁石を受け入れるよう構成され、球形磁石は、カップ部内の枢動点の周りを動くよう構成される。リング磁石は、当該リング磁石が球形磁石の動きに復元トルクを与えるように、球形磁石を取り囲むよう構成されている。ユーザがサムスティックノブを介してサムスティックを動かしている間、球形磁石がカップ部内を動き、1つ以上のセンサが、1つ以上の軸に沿った、サムスティックノブと球形磁石との間に結合されたロッドの対応する移動を検出するよう構成されている。したがって、上記センサが、カップ部に対するサムスティックの移動量に対応した信号を生成する。
【0032】
一実施形態において、ハンドコントローラは、静電容量感知アセンブリを含む。静電容量感知アセンブリによって、ハンドコントローラが、サムスティックの位置、サムスティックの変位、サムスティックの上面プレートへのユーザの皮膚表面の近接、又は、これらの幾つかの組み合わせを検出及び測定することが可能となる。静電容量感知アセンブリは、板ばねを含み、板ばねは、カップ部の開口部を介して露出した球形磁石の一部分に結合している。板ばねは、球形磁石の回転及び/又は変位の結果として動き及び撓むよう構成されている。板ばねは、板ばねによって生成された信号を処理するコントローラに電気的に接続されている。幾つかの実施形態において、静電容量感知アセンブリは、サムスティックアセンブリと一体である。例えば、第1の表面、ロッド、及び球状磁石が、導電性材料から成ってよく、したがって、板ばね及びコントローラと共に導電回路を形成してよい。ユーザが第1の表面に接触すると、制御装置が、板ばねを介して信号を受信し、静電容量の対応する変化を検出する。
【0033】
図1は、1つ以上の実施形態に係るハンドコントローラ100の斜視図を示している。ハンドコントローラ100は、サムスティックアセンブリ110を含む制御装置の一実施形態である。
図1の実施形態において、ハンドコントローラ100は、サムスティックアセンブリ110を含み、サムスティックアセンブリ110は、サムスティック120、トリガアセンブリ130、1つ以上のロケータ140、位置センサ150、及び、慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)160を含む。幾つかの実施形態において、ハンドコントローラ100は、サムスティックアセンブリ110、トリガアセンブリ130、1つ以上のボタン、又はこれらの組み合わせであるよう構成されうる静電容量感知アセンブリも含む。幾つかの実施形態において、ハンドコントローラ100は、これらの列挙した構成要素よりも追加された構成要素を含み、例えば、ハンドコントローラ100は、複数の容量性感知アセンブリを有し、又は、ハンドコントローラ100は、複数のIMU150及び複数の位置センサ160を有する。
図1の実施形態では、ハンドコントローラ100は、ユーザの一方の手で動作するように構成されているが、他の実施形態において、ハンドコントローラ100に対して鏡面対称である第2のハンドコントローラが、ユーザの他方の手により動作するよう構成されてよい。一実施形態において、ハンドコントローラ100は、人工現実システムの構成要素である。
【0034】
サムスティックアセンブリ110は、ユーザから入力を受け取るサムスティック120を含む。サムスティックアセンブリ110は、サムスティック120の押下、サムスティック120の横方向回転、又はこれらの何らかの組み合わせを介して入力を受け取るよう構成されている。サムスティック120の横方向回転は、サムスティックの枢動点を中心とした回転を含む。サムスティック120の横方向回転は、ニュートラルポジションにあるサムスティック120の長軸に対する、サムスティック120の長軸の角度変位に関して、測定することが可能である。サムスティック120のニュートラルポジションは、ユーザ入力がサムスティック120に提供されないときのサムスティックアセンブリ110に対するサムスティック120の静止ポジションである。幾つかの実施形態において、サムスティック120は、サムスティック120の枢動点の周りを原則的に回転する(すなわち、サムスティック120がサムスティック120の長軸の周りを時計回り又は反時計回りに回転する)よう構成されうる。一般に、サムスティックアセンブリ110に対するサムスティック120の移動によって、ユーザが人工現実環境と相互作用することが可能となり、ユーザに提供される人工現実コンテンツに影響が与えられうる。サムスティックアセンブリ110は、
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bに関連してより詳細に説明される。
【0035】
トリガアセンブリ130は、押下されるとそれぞれが入力を受け取る1つ以上のトリガを含んでいる。トリガアセンブリ130の各トリガは、或る特定のポイントに固定されており、当該固定されたポイントの周りのトリガの回転運動をもたらされる。一実施形態において、トリガは、当該トリガが何らかの閾値を超えて回転させられると、入力を受け取る。他の実施形態において、トリガは、当該トリガの角度回転の範囲を検出してよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のトリガはまた、トリガへのユーザの皮膚の近接を検出することが可能な静電容量感知アセンブリの容量センサである。
【0036】
1つ以上のロケータ140は、ハンドコントローラ100上の特定の位置に位置づけられた物体である。幾つかの実施形態において、各ロケータ140は、ハンドコントローラ100の外面の上又は下に配置されうる。ロケータ140は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカ、ハンドコントローラ100が動作する環境に陰影を付ける或る種の光源、又は、これらの幾つかの組み合わせであってもよい。ロケータ140が能動的である実施形態(すなわち、LED、又は他のタイプの発光デバイス)では、ロケータ140は、可視帯域内(380nm~750nm)、赤外(IR)帯域内(750nm~1mm)、紫外帯域内(10nm~380nm)、電磁スペクトルの何らかの他の部分、又はこれらの何らかの組合せの光を放出しうる。ロケータ140が受動的である実施形態では、ロケータ140は、可視帯域内(380nm~750nm)、赤外(IR)帯域内(750nm~1mm)、紫外帯域内(10nm~380nm)、電磁スペクトルの何らかの他の部分、又は、これらの何らかの組合せの光を反射しうる。ロケータ140は、
図4との関連でより詳細に記載される。
【0037】
位置センサ150は、ハンドコントローラ100の動きに応じて1つ以上の測定信号を生成する。位置センサ150は、IMU160の外部に位置してよく、IMU160の内部に位置してよく、又はこれらの何らかの組み合わせであってよい。位置センサ150は、
図4に関連してより詳細に記載される。
【0038】
IMU160は、IMUデータを生成する電子デバイスである。位置センサ150からの測定信号に基づいて、IMU160は、ハンドコントローラ100の初期ポジションに対するハンドコントローラ100の推定ポジションを示すIMUデータを生成する。IMU160は、
図4に関連してより詳細に記載される。
【0039】
図2Aは、1つ以上の実施形態に係る、サムスティックアセンブリ200の分解組み立て図を示している。サムスティックアセンブリ200は、
図1のサムスティックアセンブリ110の一実施形態でありうる。
図2Aの実施形態では、サムスティックアセンブリ200は、サムスティック205を含み、このサムスティック205は、上面プレート210と、ロッド215と、位置合わせ挿入体220と、サムスティックノブ225と、球形磁石230と、を含む。サムスティックアセンブリ200は、カップ部235、リング磁石240、2つのセンサ245a、245b、板ばね250、およびカラー部255を更に含む。サムスティックアセンブリ200は、サムスティック205の上部がハンドヘルドコントローラ100の開口部から突出するように、ハンドヘルドコントローラ100内に取り付けられる。幾つかの実施形態において、サムスティックアセンブリ200は、図示の構成要素よりも追加された構成要素、例えば、板ばね250に電気的に接続されたコントローラ(図示せず)を含み、又は、列挙された構成要素よりも少ない構成要素を含み、例えば、位置合わせ挿入体220及びサムスティックノブ225が、一貫した構造をしていてよく、又は、サムスティックアセンブリ200は、サムスティックノブ225及び/又はカラー部255を含まなくてよい。代替的な構成において、異なる構成要素及び/又は追加の構成要素が、サムスティックアセンブリ200に含まれてよい。
【0040】
サムスティック205は、ユーザから入力を受け取る。サムスティック205は、サムスティック120の一実施形態でありうる。
図1に関して説明したように、ユーザは、サムスティック120を作動させることができ、これにより、ユーザは、人工現実環境と相互作用することが可能となり、ユーザに提供される人工現実コンテンツに影響を与えることができる。サムスティック205は、サムスティック205の押下、サムスティック205の横方向回転、又はこれらの何らかの組み合わせを介して入力を受け取るよう構成される。サムスティック120の横方向回転は、サムスティック120の枢動点を中心とした回転(すなわち、ニュートラルポジションにあるサムスティック120の長軸に対するサムスティックの角度変位)を含む。サムスティック120のニュートラルポジションは、ユーザ入力がサムスティック120に提供されないときの、サムスティックアセンブリ110に対するサムスティック120の静止ポジションである。
図2Aの実施形態では、サムスティック205は、上面プレート210、ロッド215、位置合わせ挿入体220、サムスティックノブ225、及び、球形磁石230を含む。幾つかの実施形態において、サムスティック205の構成要素同士が一緒に統合されてよく、例えば、位置合わせ挿入体220とサムスティックノブ225、上面プレート210と位置合わせ挿入体220、上面プレート210とロッド215、又は、これらの何らかの組合せが一緒に統合されてよい。
【0041】
上面プレート210は、サムスティック205の上部に配置されている。上面プレート210は、外面及び内面を有している。サムスティックアセンブリ200のユーザは、サムスティック205に入力を与えるときには外面に接触する。内面は、外面の反対側にあり、ロッド215に結合している。一実施形態において、上面プレート210は、導電性材料、半導体材料、又はこれらの組み合わせから成る。幾つかの実施態様において、上面プレート210は、他の何らかの非導電性材料上の導電性コーティングで構成されてよい。これらの実施形態では、サムスティックアセンブリ200は、上面プレート210の表面静電容量を測定する。上面プレート210の表面静電容量は、ユーザの皮膚が上面プレート210の外面に近接していることに基づいている。ユーザの皮膚(例えば、指)が上面プレート210の外面に接近する間、当該外面へのユーザの皮膚の近接が、ユーザの皮膚と上面プレート210との間の空気の量に影響を与える。ユーザの皮膚と上面プレート210との間の空気の量は、上面プレート210の表面静電容量に影響を与える。同様に、ユーザの皮膚が上面プレート210の外面に接触する間、ユーザの皮膚によって上面プレート210に加えられる圧力、及び、ユーザの皮膚が上面プレート210の外面で接触する領域も、表面静電容量に影響を与えうる。特に、上面プレート210が可撓性材料である実施形態では、ユーザが圧力を加えている間、上面プレート210が撓み、上面プレート210の撓んでいる部分の表面静電容量が変わる。
【0042】
ロッド215は、上面プレート210と球状磁石230とを結合する。ロッド215は、第1の末端及び第2の末端を有する。
図2Aの実施形態では、ロッド215の第1の末端が上面プレート210に結合され、ロッド215の第2の末端が球形磁石230に結合されている。ロッド215は、硬質材料(例えば、硬質プラスチック又は金属)から成りうる。一実施形態において、ロッド215はねじである。ロッド215は、片頭ねじであってよく、又は、両頭ねじであってよい。
図2Aの実施形態では、ロッド215は、第2の末端にねじ山を備えた片頭ねじであり、球形磁石230が、第2の末端と嵌合するためのねじ切り界面を含む。代替的な実施形態において、ロッド215は、第1の末端にねじ山を備えた片頭ねじであり、上面プレート210が、第1の末端と嵌合するためのねじ切り界面を含む。代替的な実施形態において、ロッド215及び球形磁石230は、各ねじ切り界面を含まなくてよく、ロッド215が、締まり嵌め(例えば、圧入、摩擦嵌め、熱焼き嵌め等)、接着剤、又はこれらの何らかの組合せを介して球形磁石230と嵌合するよう構成されてよい。本実施形態では、球形磁石230は、ロッド215がそこを通じて挿入されかつそこから突出するチャネルを含みうる。ロッド215が両頭ねじである実施形態において、上面プレート210と球形磁石230との両方が、ロッド215の各末端と嵌合するための、それぞれのねじ切り界面を含む。幾つかの実施態様において、上面プレート210と、ロッド215と、球状磁石230とが一体に形成される。
図2Aの実施形態では、ロッド215の伸長に沿った軸が、サムスティック205の長軸(
図2Bに図示)に対応している。一実施形態において、ロッド215は、導電性材料、半導体材料、又はこれらの組合せから成る。幾つかの実施形態において、ロッド215は、他の何らかの非導電性材料上の導電性コーティングから成ってよい。
【0043】
位置合わせ挿入体220が、サムスティックノブ225の上部に配置されている。位置合わせ挿入体220は、サムスティックノブ225の開口部に挿入しうる。位置合わせ挿入体220は、固定の仕組み(例えば、接着剤、ねじ切り界面、又は他の適切な固定方法)によって、サムスティックノブ225に固定されうる。
図2Aの実施形態では、位置合わせ挿入体220は、ロッド215を受け入れるよう構成された孔を含む。位置合わせ挿入体220は、絶縁材料、半導体材料、又はこれらの組み合わせから成りうる。位置合わせ挿入体220は、硬質材料(例えば、硬質プラスチック)、可撓性材料(例えば、ゴム、可撓性ポリマー等)、又はこれらの何らかの組み合わせから成りうる。幾つかの実施形態において、位置合わせ挿入体220とサムスティックノブ225とが一体に形成される。
【0044】
サムスティックノブ225は、ユーザがサムスティックアセンブリ200と相互作用するための人間工学的表面を提供する。例えば、ユーザは、サムスティックアセンブリ200を使用するときに、例えば親指を、当該親指が上面プレート210に接触するように、サムスティックノブ225の上に置いてよい。サムスティックノブ225は、絶縁材料、半導体材料、又はこれらの組み合わせから成りうる。サムスティックノブ225は、全周の厚さが均一又は可変的となるよう成形されうる。位置合わせ挿入体225は、硬質材料(例えば、硬質プラスチック)、可撓性材料(例えば、ゴム、可撓性ポリマー等)、又はこれらの何らかの組み合わせから成りうる。
図2Aの実施形態では、サムスティックノブ225は、端面が丸みを帯びた円錐形状をしているが、他の実施形態において、サムスティックノブ225は、球形、ピラミッド形、他の何らかの規則的若しくは不規則な多角形の形状、又は、ユーザが相互作用するための快適な表面を提供するよう構成された同様の人間工学的な形状をしていてよい。
【0045】
球形磁石230は、サムスティック205がそれを中心として枢動するよう構成された球形磁石である。球形磁石230は、カップ部235内に挿入されカップ部235内の内面と当接して配置されるよう設計されている。
図2Aの実施形態では、球形磁石230は、ねじ切り界面と、実質的に球形の表面輪郭と、を含む。ねじ切り界面は、ロッド215の第2の末端と嵌合する。球形磁石230がカップ部235内に配置されたときに、球形の表面輪郭が、カップ部235の相補的な内面と嵌合する。幾つかの実施形態において、球形磁石230は、実質的に球形である(すなわち、球形磁石230の表面積の大部分又は全てが球形である)。幾つかの実施形態において、球形磁石230は、1つ以上の非球形の部分を含み、例えば、曲率半径の変化、1つ以上の突起、1つ以上の空洞、ロッド215と嵌合するための1つ以上の界面、又は、これらの幾つかの組合せを含む。球形磁石230は、硬質材料(例えば、硬質プラスチック又は金属)から成る。上記材料は、強磁性、電磁性、若しくは磁性を帯びたポリマー、又はこれらの幾つかの組み合わせでありうる。本構成では、球状磁石230が磁場を形成する。一実施形態において、球形磁石230は、導電性材料、半導体材料、又はこれらの組合せから成る。幾つかの実施態様において、球形磁石230は、他の何らかの非導電性材料上の導電性コーティングで構成されてよい。
【0046】
カップ部235は、球形磁石230を受け入れるよう構成された支持構造である。
図2Aの実施形態では、カップ部235は、外面及び内面を含む。カップ部235の外面は、リング磁石240の内面に結合するための界面を含む。
図2Aの実施形態では、カップ部235の外面は、カップ部235の底部の開口部も含んでおり(
図3Bに図示)、この開口部によって、球状磁石230の一部分が、カップ部235内に配置されたときに露出する。カップ部235の内面は、球形磁石230の表面輪郭に相補的な曲率半径を有する。相補的な表面輪郭を有することで、カップ部235は、球形磁石230、及び結果的にサムスティック205を、サムスティックアセンブリ200内で位置合わせさせる。加えて、相補的な表面輪郭によって、球形磁石230は、カップ部235内に配置されたときに、カップ部235に対して動くことが可能とする。具体的には、球形磁石230は、枢動点(
図2Bに図示)の周りを枢動するよう構成される。枢動点は、球形磁石230の中心に位置してよく、又は、カップ部235内の中心に位置してもよい。
図2Aの実施形態では、カップ部235は絶縁材料から成る。
【0047】
カップ部235に対して可動な球形磁石230の構成によって、ユーザ入力の受信に応じてサムスティック205が動くことが可能とする。前述のように、サムスティック205は、サムスティック120の押下、サムスティック120の横方向回転、又はこれらの何らかの組合せを介して入力を受け取る。サムスティック120の横方向回転は、カップ部235内の枢動点を中心とした球形磁石230の回転に対応する。サムスティック120の横方向回転は、サムスティック120の長軸(すなわち、ロッド215の長軸に沿った軸)の、ニュートラルポジションにあるサムスティック120の長軸に対する角度変位に関して測定されうる。一実施形態において、サムスティック205は、360度の任意の方向に横方向に回転するよう構成される。一実施形態において、サムスティックアセンブリ200は、サムスティック205が枢動点の周りを横方向に回転し1つ以上の定義された軸に沿って動くように、サムスティック205の回転をガイドする1つ以上のガイドを含んでよい。例えば、サムスティック205は、x軸及びy軸に沿って横方向に回転してよい。x軸とy軸とは、互いに直交しており、両方とも、リング磁石240の直径に対して平行な平面上で規定される。ユーザ入力がサムスティック205に提供されていないときには、サムスティック205はニュートラルポジションにある。サムスティック205のニュートラルポジションは、カップ部235に対するサムスティック205の静止ポジションである。
図2Aの実施形態では、ニュートラルポジションは、カップ部235の外面の周囲に配置されたリング磁石240の直径に対して直交するポジションにあるサムスティック205の長軸に対応している。
【0048】
リング磁石240は、カップ部235の外面に結合している。
図2Aの実施形態では、リング磁石240は、硬質材料(例えば、硬質プラスチック又は金属)から成る。材料は、強磁性、電磁性、若しくは磁性を帯びたポリマー、又はこれらの幾つかの組み合わせでありうる。本構成では、リング磁石240が磁場を形成する。
図2Aの実施形態では、リング磁石240は実質的に円形であり、中心孔を含んでいる。リング磁石240の内面は、カップ部235の外面上の界面と結合するよう構成されており、これにより、リング磁石240は、球形磁石230の枢動点の閾値距離の範囲内に配置される。閾値距離は、枢動点より上又は下の数センチメートルの範囲内にありうる。その結果、リング磁石240の磁場が、球形磁石230の磁場と相互作用する。具体的には、リング磁石240は、球形磁石230の動きに対する復元トルクをもたらす。本構成において、リング磁石240はまた、ユーザ入力がサムスティック205に与えられていないときに、ニュートラルポジションのサムスティック205を支持する。代替的な実施形態において、リング磁石の代わりに、カップ部235の外面の周囲に間隔をおいて配置された一連の磁石が存在してよい。一実施形態において、リング磁石240が、わずかに下方(すなわち、枢動点より下)に付勢され、これにより、球形磁石230がカップ部235内に引き入れられる。本構成において、2つの構成要素の間の摩擦が、サムスティック205に対する復元力を減衰させ、サムスティック205がカップ部235内でガタつくのを防止し、又は、これらの何らかの組合せを行いうる。
【0049】
センサ245a、245bは、カップ部235内でのロッド215の移動を検出する。
図2Aの実施形態では、センサ245a、245bは、カップ部235の外面の周りに配置されている。具体的には、センサ245aが、カップ部235の中心点と交差する第1の軸に沿って配置され、センサ245bが、カップ部235の中心点と交差する第2の軸に沿って配置され、ここで、第1の軸と第2の軸とは互いに直交している。本構成において、センサ245aとセンサ245bとは、互いに対して90度の角度で配置されている。さらに、センサ245a、245bは、ロッド215の伸長に沿った或るポイントと交差する平面に沿って配置されている。上記平面がロッド215の伸長と交差するポイントは、ロッド215がカップ部235内の枢動点の周りを横方向に回転する間に、ロッド215の伸長に沿って変わりうることに注意されたい。センサ245aが、カップ部235の中心点に向かって配向され、センサ245bが、カップ部235の中心点に向かって配向されている。本構成において、センサ245aは、第1の軸に沿ったロッド215の移動を検出するよう構成され、センサ245bは、第2の軸に沿ったロッド215の移動を検出するよう構成され、(ここで、第1の軸及び第2の軸はそれぞれx軸、y軸であってよく、又はその逆であってよい)。幾つかの実施形態において、各センサ245a、245bは、磁場の変動を測定するよう構成されたホール効果センサである。サムスティック205がユーザ入力を受け取ることに応じて、球形磁石230が、対応して枢動点の周りを枢動し、これにより、ロッド215をニュートラルポジションから変位させる。従って、センサ245a、245bは、ロッド215がセンサ245a、245bに向かって又はセンサ245a、245b離れて傾くことによって生じる磁界の変化を検出しうる。センサ245a、245bは、ロッド215の移動量に対応した信号を生成する。センサ245a、245bは、生成された信号をサムスティックアセンブリ200のコントローラ(図示せず)に送信しうる。センサ245a、245bの感度は、ロッド215の移動によって生成される磁場の測定された変化量と、センサによって生成される信号と、の間の比として定義されるが、サムスティックアセンブリ200の物理的な外形、並びに、球形磁石230及びリング磁石240の磁場強度に基づいて変化しうる。
図2Aの実施形態では、センサ245a、245bは、2.5ミリボルト/ガウスの感度を有する。センサ245a、245bの感度は、様々な実施形態で変わっていてよく、例えば、球形磁石230及びリング磁石240の場の強度が上げ又は下げられた場合、球形磁石230とリング磁石240との間の距離が増加又は減少された場合、又は、これらの何らかの組み合わせの場合に、変わっていてよい。各センサ245a、245bの電圧定格は、サムスティックアセンブリ200の電圧要件、及び、各センサ245a、245bの所望の感度に基づいて選択される。幾つかの実施形態において、センサ245a、245bはそれぞれ、220ミリボルトと3.5ボルトとの間の電圧定格を有している。
【0050】
板ばね250は、カップ部235内の球形磁石230の動きを検出するばねである。
図2Aの実施形態では、板ばね250は、カップ部230の底部の開口部(
図3Bに示す)を介して球形磁石230に結合される。板ばね250は、サムスティック205がユーザ入力(例えば、サムスティック205の押下又はサムスティック205の横方向回転)を受け取ったことに応じて撓むよう構成されうる。従って、板ばね250は、当該板ばね250の撓み量が球形磁石230の移動量に対応している信号を生成しうる。板ばね250は、コントローラ(図示せず)に電気的に接続されうる。幾つかの実施態様において、板ばね250は、導電性金属の幾つかの層で構成される。同実施形態において、上面プレート210、ロッド215、球形磁石230、及び板ばね250が、サムスティックアセンブリ200と一体になった静電容量感知アセンブリを形成する。板ばね250は、上面プレート210からの導電率の変化に対応する信号を、コントローラに送信するよう構成されうる。上記信号に基づいて、コントローラは、ユーザの皮膚が上面プレート210に近づき又は上面プレート210接触している間の表面静電容量の変化を測定することによって、上面プレート210にユーザの皮膚が近接していると決定する。さらに、コントローラは、ユーザの皮膚によってサムスティック205に加えられる力、及び/又は、サムスティック205へのユーザの皮膚の接触領域を決定しうる。上面プレート210にユーザの皮膚が近接していることを検出することに加えて、コントローラ440は、サムスティック205の回転の度合いも決定しうる。
【0051】
代替的な実施形態において、サムスティックアセンブリ200は、板ばねを含まなくてよい。本実施形態において、カップ部235が導電性材料から成り、コントローラ(図示せず)に電気的に接続されている。本構成では、カップ部235が、上面プレート210、ロッド215、及び球状磁石230からの容量性信号を、コントローラに直接転送する。上記材料は、導電特性を有する樹脂(例えば、炭素充填樹脂)であってよく、カップ部235は、成形プロセス(例えば、射出成形又は他の適切な成形技術)を介して製造されてよい。本実施形態において、カップ部235は、カップ部235の底部に開口部を含んでよく、又は当該開口部を含まなくてよい。
【0052】
カラー部255は、サムスティックアセンブリ200内でのサムスティック205の位置合わせを支援する。
図2の実施形態において、カラー部205は、ロッド215が貫通する孔を含む。カラー部255は、カップ部235の上で、かつサムスティックノブ225の下に配置されている。カラー部255は、サムスティックの動きに従って撓むよう構成された可撓性材料(例えば、ゴム)から成りうる。一実施形態において、カラー部255は、使用中のサムスティック205の軸方向の回転を防止するよう構成され、ここで、軸方向の回転とは、サムスティック205の長軸の周りの回転である。一実施形態において、リング磁石240と同様に、カラー部255も、サムスティック205をそのニュートラルポジションに戻すためにサムスティック205に力を与えうる。幾つかの実施形態において、カラー部255は、サムスティック205の位置合わせを支援する追加の構成要素を含んでよく、又は当該追加の構成要素と一体であってよい。
図2Bは、1つ以上の実施形態に係る、
図2Aのサムスティックアセンブリ200の断面図である。
図2Bの実施形態において、サムスティックアセンブリ200は、サムスティック205を備え、サムスティック205は、ロッド215、位置合わせ挿入体220、サムスティックノブ225、及び、球形磁石230を含む。明確にするために、上面プレート210は
図2Bに示されていない。サムスティックアセンブリ200は、カップ部235、リング磁石240、センサ245a(センサ245bは図示せず)、及び、板ばね250を更に含んでいる。
【0053】
図2Bは、サムスティック205がそのニュートラルポジションにある状態での、一緒に組み立てられたサムスティックアセンブリ200の構成要素を示している。サムスティック205の球形磁石230は、球形磁石230及びカップ部235の相補的な表面外形が互いに当接するように、カップ部235内に配置されている。サムスティック205の長軸260は、リング磁石240の直径に対して直交ずるポジションにある。
【0054】
ユーザ入力がサムスティック205に供給されると、球形磁石230が枢動点265の周りを枢動する。幾つかの実施形態において、サムスティック2015は、カップ部235が球形磁石230の動きを減衰させるように、わずかに下方に付勢されうる。さらに、サムスティック205は、サムスティックアセンブリ200と相互作用するユーザにとって、より安定していると感じさせうる(すなわち、サムスティック205が、カップ部235内でガタつく可能性が低い)。カップ部235内へのサムスティック205の下向きの付勢は、カラー部255によってロッド215に加えられる下向きの力でありうる。
【0055】
幾つかの実施形態において、サムスティックアセンブリ200は、ドームスイッチ270を更に含む。ドームスイッチ270は、サムスティック205をリセットするよう構成されうる。サムスティック205をリセットすることには、サムスティック205をそのニュートラルポジションに戻すこと、サムスティック205のニュートラルポジションの基準を更新すること、又は、これらの何らかの組合せが含まれうる。ドームスイッチ270は、カップ部235の一部分の下に配置されうる。本構成において、サムスティック205に加えられる下向きの力によって、ドームスイッチ270が押し下げられる。
【0056】
図3Aは、1つ以上の実施形態に係る、カップ部235内に配置されたサムスティック205の拡大図である。
図3Aは、サムスティック205のロッド215及びサムスティックノブ225を示しており、これらは、サムスティックノブ225がカラー部255の開口部300から突出するように、組み立てられている。カラー部255の開口部300の大きさは、ロッド215が開口部300内で前後に傾斜するのに十分なスペースを与えるようなものである。本構成において、ユーザは、突出しているサムスティックノブ225と相互作用して、ユーザ入力をサムスティック205に与えうる。加えて、
図3Aでは、センサ245aがカップ部235の中心点と交差する第1の軸に沿って配置され、センサ245bがカップ部235の中心点と交差する第2の軸に沿って配置され、ここで、第1の軸と第2の軸とが互いに直交することが示されている。本構成において、センサ245aとセンサ245bとは、互いに対して90度の角度で配置されている。センサ245a、245bは、ロッド215の伸長に沿った或るポイントと交差する平面に沿って配置されている。上記平面がロッド215の伸長と交差するポイントは、ロッド215がカップ部235内の枢動点の周りを横方向に回転する間、ロッド215の伸長に沿って変わりうることに注意されたい。センサ245aは、カップ部235の中心点に向かって配向され、センサ245bは、カップ部235の中心点に向かって配向されている。本構成において、センサ245aは、第1の軸に沿ったロッド215の移動を検出するよう構成され、センサ245bは、第2の軸に沿ったロッド215の移動を検出するよう構成され、(ここで、第1の軸及び第2の軸はそれぞれx軸、y軸であってよく、又はその逆であってよい)。センサ245a、245bは、サムスティックアセンブリ200のコントローラ(図示せず)に送信される信号を生成する。
【0057】
図3Bは、1つ以上の実施形態に係る、サムスティック205に結合された板ばね250の斜視図である。
図3Bに示すように、板ばねは、球形磁石230を介してサムスティック205に結合している。カップ部235の底部は、開口部305を含み、開口部305によって、カップ部235内に配置された球状磁石230の一部分が露出している。
図3Bの実施形態において、球形磁石230は、板ばね250の一端を固定するよう構成された嵌合界面310を含む。本構成において、板ばね250は、(
図2Bに示されたサムスティック205の長軸260に対して)時計回り又は反時計回りの球形磁石230の回転を防止しうる。球形磁石230が枢動点265の周りを枢動する間、板ばね250は、球形磁石230の動きに対応する信号を生成しうる。板ばね250は、コントローラに電気的に接続されうる。上記信号に基づいて、コントローラは、サムスティック205の回転の度合いを決定しうる。幾つかの実施形態において、コントローラは、ユーザの皮膚によってサムスティック205に加えられる力、及び/又は、サムスティック205へのユーザの皮膚の接触領域を決定しうる。静電容量感知アセンブリがサムスティックアセンブリ200と一体になった実施形態において、コントローラは、ユーザの皮膚が上面プレート210に近づき又は接触している間の表面静電容量の変化を測定することによって、上面プレート210(
図2Aに図示)に対するユーザの皮膚が近接していると決定しうる。
【0058】
図4は、1つ以上の実施形態に係る、人工実現システムにおける制御装置のシステム環境である。人工現実システム400は、人工現実環境、例えば、仮想現実、拡張現実、複合現実環境、又は、これらの幾つかの組み合わせにおいて動作しうる。
図4に示す人工現実システム400は、ヘッドセット405と、制御装置415と、コンソール410に接続された深度カメラアセンブリ(DCA:depth camera assembly)420と、を備える。
図4は、1つのヘッドセット405と、1つの制御装置415と、を含む例示的な人工現実システム400を示すが、他の実施形態において、任意の数のこれらの構成要素が人工現実システム400に含まれてよい。例えば、複数のヘッドセット405があってよく、それぞれのヘッドセット405は、関連付けられた制御装置415を有し、各ヘッドセット405及び制御装置415が、コンソール410と通信する。代替的な構成において、異なる及び/又は追加の構成要素が人工現実システム400に含まれてよい。さらに、
図4に示す1つ以上の構成要素に関連して記載する機能は、幾つかの実施形態において、
図4に関連して記載するのとは異なるやり方で構成要素間で分散されうる。例えば、コンソール410の機能の幾つか又は全てが、ヘッドセット405によって提供される。
【0059】
ヘッドセット405は、コンピュータにより生成される要素(例えば、2次元(2D:two-dimensional)又は3次元(3D:three-dimensional)画像、2D又は3D映像、音等)による、物理的な現実世界環境の拡張ビューを含むコンテンツを、ユーザに対して提示するヘッドセットでありうる。幾つかの実施形態において、ヘッドセット405は、ユーザを取り囲む現実の環境に部分的に基づく仮想コンテンツを、ユーザに対して提示する。例えば、仮想コンテンツが、ヘッドセット405のユーザに提示されうる。ユーザは物理的に部屋の中にいてよく、その部屋の仮想の壁及び仮想の床が、仮想コンテンツの一部とされる。ヘッドセット405は、ニアアイディスプレイ(NED:near-eye display)又はヘッドマウントディスプレイ(HMD)であってよい。
【0060】
ヘッドセット405は、電子ディスプレイ425と、光学ブロック430と、1つ以上のロケータ435と、1つ以上の位置センサ440と、慣性測定装置(IMU)445と、を含む。ヘッドセット405の幾つかの実施形態は、
図4に関して説明されるものとは異なる構成要素を有する。さらに、
図4に関連して記載する様々な構成要素により提供される機能は、他の実施形態において、ヘッドセット405の構成要素間で別様に分散されてよく、又は、ヘッドセット405から離れた別個のアセンブリに取り込まれてよい。
【0061】
電子ディスプレイ425は、コンソール410から受信したデータに従って、ユーザに2D又は3D画像を表示する。様々な実施形態において、電子ディスプレイ425は、単一の電子ディスプレイ又は複数の電子ディスプレイ(例えば、ユーザの各眼用のディスプレイ)を含む。電子ディスプレイ425の例は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)ディスプレイ、アクティブマトリックス有機発光ダイオードディスプレイ(AMOLED:active-matrix organic light-emitting diode)、導波路ディスプレイ、他の何らかのディスプレイ、又はこれらの何らかの組み合わせを含む。
【0062】
光学ブロック430は、電子ディスプレイ425から受信した画像光を拡大し、画像光に関連した光学誤差を補正し、補正した画像光をヘッドセット405のユーザに提示する。様々な実施形態において、光学ブロック430は、1つ以上の光学素子を含む。光学ブロック430に含まれる光学素子の例には、導波路、開口、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、反射面、又は、画像光に影響を及ぼす他の任意の好適な光学素子が含まれる。さらに、光学ブロック430は、異なる光学素子の組み合わせを含んでよい。幾つかの実施形態において、光学ブロック430内の1つ以上の光学素子は、部分反射又は反射防止コーティングといった、1つ以上のコーティングを有してよい。
【0063】
ロケータ435は、ヘッドセット405上の特定の位置に、互いに対して位置付けられた物体である。ロケータ435は、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカ、ヘッドセット405が動作する環境に陰影を付ける或る種の光源、又は、これらの幾つかの組み合わせであってもよい。ロケータ435がアクティブである実施形態(すなわち、LED、又は他のタイプの発光デバイス)では、ロケータ435は、可視帯域内(380nm~740nm)、赤外(IR)帯域内(740nm~1mm)、紫外帯域内(10nm~380nm)、電磁スペクトルの何らかの他の部分、又はこれらの何らかの組合せの光を放出しうる。他の実施形態において、ロケータ435は、受動素子(例えば、リトロレフレクタ)を含む。同実施形態において、ロケータ435は、光の様々な帯域にわたって、又は光の特定の帯域(例えば、可視帯域、IR帯域、UV帯域等)にわたって反射しうる。
【0064】
IMU445は、1つ以上の位置センサ440から受信された測定信号に基づいて、ヘッドセット405の位置を示すデータを生成する電子デバイスである。位置センサ440は、ヘッドセット405の運動に応じて1つ以上の測定信号を生成する。位置センサ440の例には、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープ、1つ以上の磁力計、運動を検出する他の好適な種類のセンサ、IMU445の誤差補正のために使用される或る種のセンサ、又は、これらの幾つかの組合せが含まれる。位置センサ440は、IMU445の外部に位置してよく、IMU445の内部に位置してよく、又はこれらの幾つかの組み合わせであってよい。
【0065】
1つ以上の位置センサ440からの1つ以上の測定信号に基づいて、IMU445は、ヘッドセット405の初期位置に対する、ヘッドセット405の現在の推定位置を示すデータを生成する。例えば、位置センサ440は、並進運動(前/後、上/下、左/右)を測定するための複数の加速度センサと、回転運動(例:ピッチ、ヨー、及び回転)を測定するための複数のジャイロスコープと、を含む。幾つかの実施形態において、IMU445は、測定信号を迅速にサンプリングし、サンプリングされたデータから、ヘッドセット405の現在の推定位置を計算する。例えば、IMU445は、加速度計から経時的に受信される測定信号を統合して速度ベクトルを推定し、及び、速度ベクトルを経時的に統合してヘッドセット405上の基準点の現在の推定位置を決定する。代替的に、IMU445は、サンプリングされた測定信号をコンソール410に提供し、コンソール410が、誤差を低減するためにデータを解釈する。基準点は、ヘッドセット405の位置を記述するために使用されうるポイントである。基準点は一般に、ヘッドセット405の向き及び位置に関する、空間内の或るポイント又は或る位置として定義されうる。
【0066】
制御装置415は、ユーザがアクション要求を送信し、コンソール410から応答を受信することを可能とするデバイスである。アクション要求は、特定のアクションを実施するための要求である。例えば、アクション要求は、画像データ又は映像データの撮像を開始若しくは終了するための命令であってよく、又は、アプリケーション内で特定のアクションを実行するための命令であってよい。幾つかの実施形態において、制御装置415は、1つ以上のサムスティックアセンブリ465、1つ以上のロケータ470、1つ以上の位置センサ475、および1つ以上のIMU480を備える。ハンドコントローラ100は、制御装置415の一実施形態である。
【0067】
サムスティックアセンブリ465は、ユーザからの入力を受け取るよう構成されたサムスティックを含む。ユーザは、サムスティックを作動させることができ、これにより、ユーザは、人工現実環境と相互作用することが可能となり、ユーザに提供される人工現実コンテンツに影響を与えうる。サムスティックは、サムスティックの押下、サムスティックの横方向回転、又はこれらの何らかの組み合わせを介して入力を受け取るよう構成される。サムスティックアセンブリ465は、サムスティックを含み、サムスティックは、上面プレート、ロッド、位置合わせ挿入体、サムスティックノブ、及び、球形磁石を含む。サムスティックアセンブリ200は、カップ部、リング磁石、2つのセンサ、板ばね、及び、カラー部を更に含む。サムスティックアセンブリ465は、サムスティックの上部が制御装置415の開口部から突出するように、制御装置415内に取り付けられている。ユーザ入力を受け取ったことに応じて、サムスティックは、カップ部に対して動くよう構成されている。サムスティックの動きは、2つのセンサ及び板ばねによって検出され、当該2つのセンサのそれぞれが、サムスティックアセンブリ465のコントローラに送信される信号を生成する。リング磁石及びカラー部は、ニュートラルポジションに向かってサムスティックが付勢されるように、サムスティックの動きに対して復元力を与えるよう設計されている。
【0068】
一実施形態において、静電容量感知アセンブリが、サムスティックアセンブリ465と一体になっている。上面プレート、ロッド、球形磁石、及び、板ばねが導電性材料から成ってよく、これにより、サムスティックアセンブリ465のコントローラに接続される導電回路が生成される。コントローラは、ユーザの皮膚が上面プレートに近づき又は上面プレートに接触している間に表面静電容量の変化を測定することによって、上面プレートにユーザの皮膚が近接していることを決定しうる。
【0069】
幾つかの実施形態において、制御装置415は、人工現実システム400のユーザに触覚フィードバックを提供するための触覚フィードバックアセンブリ485を更に備える。幾つかの実施形態において、触覚フィードバックアセンブリ485は、コンソール410から受信した命令に従って、ユーザに触覚的フィードバックを提供しうる。例えば、アクション要求が受信されたときには触覚フィードバックが提供され、又は、コンソール410が或るアクションを実行するときには、コンソール410が制御装置415に命令を伝えて、制御装置415に触覚フィードバックを生成させる。
【0070】
DCA420は、ヘッドセット405及び制御装置415の一部又は全部を取り囲む局所領域の深度情報を示すデータを取得する。一実施形態において、DCA420は、光生成器、撮像装置、及び、光生成器と撮像装置との両方に接続されうるDCAコントローラを含みうる。光生成器は、例えば、DCAコントローラによって生成された発光命令に従って、照射光で局所領域を照射する。DCAコントローラは、発光命令に基づいて、光生成器の或る特定の構成要素の動作を制御するよう構成され、例えば、局所領域を照らす照射光の強度及びパターンを調整するよう構成されている。幾つかの実施態様において、照射光は、構造化された光パターン、例えば、ドットパターン、ラインパターン等を含んでよい。撮像装置は、照射光により照射された局所領域内の1つ以上の物体の1つ以上の画像を撮像する。他の実施形態において、DCA420は、ヘッドセット405及び制御装置415のロケータ470と関連づけられたロケータ435の位置を取得するための撮像装置を含む。撮像装置は、当該撮像装置の視野内でロケータ435及び470から放出又は反射された光を検出するよう構成されている。ロケータ435及び470が受動素子(たとえば、リトロレフレクタ)を含む実施形態において、DCA420は、ロケータ435及び470の一部又は全てを照射する光源を含み、当該ロケータ435及び470は、撮像装置内の光源に向かって光を逆反射する。DCA420は、撮像装置によって取得されたデータを用いて深度情報を計算することが可能であり、又は、DCA420はこの情報を、DCA420からのデータを用いて深度情報を決定することが可能なコンソール410といった他の装置に送信することが可能である。追加的な実施形態において、DCA420は、ヘッドセット405の位置に関する制御装置415又は他の構成要素の奥行き情報を取得するヘッドセット405の部分として統合されうる。
【0071】
コンソール410は、ヘッドセット405及び制御装置415の1つ以上から受信した情報に従って、コンテンツを、処理のためにヘッドセット405に提供する。
図4に示す例では、コンソール410は、アプリケーションストア455と、追跡モジュール460と、エンジン440と、を含む。コンソール410の幾つかの実施形態は、
図4に関連して記載するものと異なるモジュール又は構成要素を有する。同様に、以下で詳述する機能は、
図4に関連して記載するものと異なるやり方で、コンソール410の構成要素間で分散されてよい。
【0072】
アプリケーションストア455は、コンソール410によって実行するための1つ以上のアプリケーションを格納する。アプリケーションは、プロセッサによって実行されたときユーザへの提示のためのコンテンツを生成する命令の一群である。アプリケーションによって生成されるコンテンツは、ヘットセット405又は制御装置415の移動を介してユーザから受信された入力に応じたものでありうる。アプリケーションの例には、ゲームアプリケーション、会議アプリケーション、動画再生アプリケーション、又は他の適切なアプリケーションが含まれる。
【0073】
追跡モジュール460は、1つ以上の較正パラメータを使用してシステム環境400を較正し、ヘッドセット405又は制御装置415の位置を決定する際の誤差を低減するために、1つ以上の較正パラメータを調節しうる。追跡モジュール460によって行われる較正は、ヘッドセット405内のIMU445、及び/又は、制御装置415に含まれるIMU445から受信された情報も考慮する。さらに、ヘッドセット405の追跡が失われた場合には、追跡モジュール460は、システム環境400の一部又は全てを再較正しうる。
【0074】
追跡モジュール460は、1つ以上の位置センサ440、IMU445、DCA420、又はこれらの幾つかの組み合わせからの情報を使用して、ヘッドセット405、制御装置415、又は、これらの組み合わせの動きを追跡する。例えば、追跡モジュール460は、ヘッドセット405からの情報に基づいて、局所領域のマッピングにおいてヘッドセット405の基準点の位置を決定する。追跡モジュール460はまた、IMU445からのヘッドセット405の位置を示すデータを使用して、ヘッドセット405の基準点の位置を決定しうる。追跡モジュール460は、制御装置415に含まれるIMU445からの、制御装置415の位置を示すデータを使用して、制御装置415の位置又は基準点を決定しうる。さらに、幾つかの実施形態において、追跡モジュール460は、IMU445からのヘッドセット405の位置を示すデータの部分を使用して、ヘッドセット405の将来の位置を予測しうる。追跡モジュール460は、ヘッドセット405又は制御装置415の推定又は予測される将来の位置を、エンジン440に提供する。
【0075】
エンジン440はまた、システム環境400内でアプリケーションを実行し、ヘッドセット405の位置情報、加速度情報、速度情報、予測される将来の位置、又は、これらの幾つかの組み合わせを、追跡モジュール460から受信する。受信情報に基づいて、エンジン440は、ユーザへの提示のためにヘッドセット405に提供するコンテンツを決定する。例えば、ユーザが左を見たことを受信された情報が示す場合には、エンジン440は、仮想の環境における、又は、追加コンテンツにより局所領域を拡張する環境における、ユーザの動きを反映したヘッドセット405のためのコンテンツを生成する。さらに、エンジン440は、制御装置415から受信されたアクション要求に応じて、コンソール410上で実行されるアプリケーションの範囲内でアクションを実行し、アクションが実施されたというフィードバックをユーザに提供する。提供されるフィードバックは、ヘッドセット405を介した視覚による若しくは聴こえるフィードバック、又は、制御装置415を介した触覚的なフィードバックであってよい。
【0076】
追加の設定情報
本開示の実施形態についての先の記載は、例示を目的として提示されたものであり、網羅的であること、又は開示される厳密な形態に本開示を限定することは意図していない。当業者は、先の開示に鑑みて多くの修正及び変更が可能であるこがを理解できるであろう。
【0077】
本明細書の記載の幾つかの部分は、アルゴリズム、及び情報に関する動作の象徴的な表現という観点から、本開示の実施形態を説明している。これらのアルゴリズムによる記述及び表現は、データ処理分野の当業者が、他の当業者に自らの研究の要旨を効果的に伝えるために、一般的に使用される。上記動作は、機能的に、コンピュータ計算的に、又は論理的に記述されるが、コンピュータプログラム又は等価な電気回路、マイクロコード等によって実行されるものと理解される。さらに、一般性を失うことなく、動作のこれらの構成をモジュールと呼ぶことが、ときに好都合であることも実証されている。記述される動作及びその関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせで具現化されうる。
【0078】
本書に記載のステップ、動作、又はプロセスのいずれも、1つ以上のハードウェア又はソフトウェアのモジュールにより、単独で又は他のデバイスと組み合わされて、実施又は実装されうる。一実施形態において、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを包含するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品によって実装され、このコンピュータプログラムコードは、記載されているステップ、動作、又はプロセスのいずれか又は全てを実施するために、コンピュータプロセッサによって実行されうる。
【0079】
本開示の実施形態は、本明細書の動作を実施するための装置にも関しうる。本装置は、必要な目的のために特別に構築されてよく、及び/又は、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に有効化又は再構成される汎用演算デバイスを含みうる。このようなコンピュータプログラムは、非一過性の有形のコンピュータ可読記憶媒体、又は、電子命令を格納するのに適した、コンピュータシステムバスに接続されうる任意の種類の媒体に格納されうる。さらに、明細書で言及される任意の計算システムは、単一のプロセッサを含んでよく、又は、向上した計算能力のために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであってよい。
【0080】
本開示の実施形態は、本明細書で記載される計算プロセスによって製造される製品にも関する。このような製品は、計算プロセスから生じる情報を含むことが可能であり、この情報は、非一過性の有形コンピュータ可読記憶媒体に格納されており、本明細書で記載されるコンピュータプログラム製品又は他のデータの組合せの任意の実施形態を含みうる。
【0081】
最後に、本明細書において使用される文言は、主に読みやすさ、及び教授を目的として選択されており、本明細書において使用される文言は、本発明の主題の範囲を定め又は限定するために選択されていないことがある。したがって、本開示の範囲はこの詳細な明細書の記載によって限定されるのではなく、むしろ、本開示に基づく出願において為される特許請求によって限定されることが意図されている。したがって、実施形態の本開示は、以下の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲を例示することが意図されており、限定することは意図されていない。