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  • 特許-抗ヒト心筋型トロポニンI組換え抗体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】抗ヒト心筋型トロポニンI組換え抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20230620BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230620BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230620BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230620BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20230620BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C07K16/18
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
G01N33/53 D
G01N33/536 D
G01N33/536 C
G01N33/536 E
G01N33/543 541Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021515092
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2019108682
(87)【国際公開番号】W WO2020073832
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】201811179512.3
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521424286
【氏名又は名称】菲鵬生物股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FAPON BIOTECH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔鵬
(72)【発明者】
【氏名】何志強
(72)【発明者】
【氏名】孟媛
(72)【発明者】
【氏名】鐘冬梅
(72)【発明者】
【氏名】遊輝
(72)【発明者】
【氏名】範▲リン▼雲
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101942416(CN,A)
【文献】特開2016-141649(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107603955(CN,A)
【文献】Protein engineering, Design and selection,2012年,Vol.25,p.295-305
【文献】monoclonal antibodies in immunodiagnosis and immunotherapy,2015年,Vol.34,p.169-173
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C12N 15/63
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C07K 16/18
G01N 33/53
G01N 33/536
G01N 33/543
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心筋型トロポニンI(cTnI)抗原結合ドメインを含む単離された結合タンパク質であって、
心筋型トロポニンI(cTnI)抗原結合ドメインは以下6つのアミノ酸配列を有する相補性決定領域を含み、 G-F-N-X1-K-D-Y-X3-M-Hの配列を有する相補性決定領域CDR-VH1、ここでX1はLまたはI、X3はFまたはYである;
R-I-D-P-E-D-X2-E-T-X3-Y-A-P-Eの配列を有する相補性決定領域CDR-VH2、ここでX2はAまたはG、X3はRまたはKである;
Y-Y-S-S-Y-X2-P-F-V-Yの配列を有する相補性決定領域CDR-VH3、ここでX2はI、L、またはVである;
Q-S-X1-X2-Y-S-N-R-H-T-Yの配列を有する相補性決定領域CDR-VL1、ここでX1はIまたはL、X2はIまたはLである;
Q-X1-S-N-R-F-Sの配列を有する相補性決定領域CDR-VL2、ここでX1はI、L、またはVである;及び
S-Q-S-T-H-X2-P-X3-Tの配列を有する相補性決定領域CDR-VL3、ここでX2はLまたはI、X3はFまたはYである;
ここで、6つの前記相補性決定領域は、以下の突然変異の組み合わせのいずれか1つを有し、
【表1】
【表2】
【表3】
該結合タンパク質は、配列がそれぞれ配列番号(SEQ ID NO:)1-4で示す軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4、および、配列がそれぞれ配列番号(SEQ ID NO:)5-8で示す重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4を含む、結合タンパク質
【請求項2】
前記結合タンパク質は、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv、及び二重特異性抗体のうちの1つである、請求項1に記載の結合タンパク質。
【請求項3】
定常領域配列をさらに含む、請求項1又は請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項4】
前記定常領域配列は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、およびIgDからなる群から選択される任意の1つの定常領域の配列である、請求項に記載の結合タンパク質。
【請求項5】
前記定常領域は、以下の種:ウシ、馬、乳牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ロバ、シカ、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、ゲームコック、またはヒトに由来する、請求項に記載の結合タンパク質。
【請求項6】
前記定常領域はマウスに由来し、
前記定常領域は、配列番号(SEQ ID NO:)9の配列を有する軽鎖定常領域および配列番号(SEQ ID NO:)10の配列を有する重鎖定常領域を含む、請求項に記載の結合タンパク質。
【請求項7】
前記結合タンパク質は、シグナル強度を示すインジケーターで標識可能であり、該シグナル強度を示すインジケーターは、蛍光物質、量子ドット、ジゴキシゲニン標識プローブ、ビオチン、放射性同位元素、放射性造影剤、常磁性イオン蛍光ミクロスフェア、電子密度の高い材料、化学発光マーカー、超音波造影剤、光増感剤、金コロイドまたは酵素のいずれか1つを含む、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項8】
単離された核酸分子であり、該核酸分子がDNAまたはRNAである、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質をコードする単離された核酸分子。
【請求項9】
請求項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項10】
請求項に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項11】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質を産生するための方法であって、
適切な培養条件下にて培養培地中で請求項10に記載の宿主細胞を培養し、該培養培地または培養宿主細胞から産生された結合タンパク質を回収するステップを含む方法。
【請求項12】
急性心筋梗塞、急性冠症候群、肺梗塞、不安定狭心症又は心筋損傷を診断するための診断薬またはキットの調製における、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質の使用。
【請求項13】
試験サンプル中の心筋型トロポニンI(cTnI)抗原を検出するための方法であって、以下のステップを含む方法。
a)抗体/抗原結合反応の発生に十分な条件下で、試験サンプル中の心筋型トロポニンI(cTnI)抗原を請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質と接触させ、免疫複合体を形成するステップ;および
b)試験サンプル中の心筋型トロポニンI(cTnI)抗原の存在を示す前記免疫複合体の存在を検出するステップ
【請求項14】
前記免疫複合体は、前記結合タンパク質に結合する二次抗体をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップa)において、前記免疫複合体は、前記トロポニンI抗原に結合する二次抗体をさらに含む、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の結合タンパク質を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この開示は、2018年10月10日に中国特許庁に出願された「抗ヒト心筋型トロポニンI組換え抗体」と題された出願第201811179512.3号の優先権を主張し、そのすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、免疫学的技術の分野、特に抗ヒト心筋型トロポニンI組換え抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
1980年代以前は、心臓酵素プロファイルの活性は、世界保健機関(WHO)によって、急性心筋梗塞(AMI)の診断基準の1つと常に見なされてきた。1980年代の終わりに、研究者はトロポニン(troponin, Tn)がホスホクレアチンキナーゼ(CK)、ホスホクレアチンキナーゼ-MB(CK-MB)、乳酸デヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼなどのバイオマーカーよりも高い感度と特異性を持っていることを発見した。心筋にのみ存在する心筋型トロポニンI(cTnI)は心筋細胞のマーカーであり、その異常な変化は心臓の拡張機能と収縮機能に影響を与える可能性がある。またcTnIは、心筋壊死の診断、心筋損傷の判定などに使用でき、心筋細胞損傷の最も感度と特異性が高いマーカーの1つになっている。cTnIは、AMIおよび急性冠症候群(acute coronary syndrome、ACS)の迅速な診断、およびACSのリスク層別化を支援し、その予後を反映するための主要な生化学的マーカーとして認識されている。
【0004】
一般的に、正常な人の血液中のcTnIの含有量は0.3μg/L未満である。虚血または低酸素などにより心筋細胞膜の完全性が損なわれると、遊離のcTnIが細胞膜を急速に透過して血流に入ることができる。したがって、発症初期のヒト血液にあるcTnIとその変動傾向を迅速に、高感度に、正確に測定することは、急性心筋梗塞の診断、急性冠症候群のリスク層別化、さまざまな原因による心筋損傷のモニタリングなどに臨床的に重要である。cTnIレベルを臨床的に検出するために使用される方法には、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、化学発光、金コロイドなどがある。さまざまな方法にはそれぞれ長所と短所があるが、すべてcTnIに対する特定のモノクローナル抗体が必要である。
【0005】
既存のcTnI抗体は、活性が低く親和性が低いため、cTnIタンパク質の検出にうまく適用できない。したがって、当技術分野では、cTnIに効果的かつ特異的に結合し、さらに検出する抗体に対する強い需要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、心筋型トロポニンI(cTnI)抗原結合ドメインを含む新規の単離された結合タンパク質に関するものであり、該結合タンパク質の調製および使用などが研究された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記抗原結合ドメインは、少なくとも1つ以下のアミノ酸配列を有する相補性決定領域を含むか、または以下のアミノ酸配列を有する相補性決定領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、さらに心筋型トロポニンIに対してK≦1.41×10-9mol/Lである親和性を有するものである:
G-F-N-X1-K-X2-Y-X3-M-Hの配列を有する相補性決定領域CDR-VH1、ここで
X1はLまたはI、X2はDまたはE、X3はFまたはYである;
R-I-X1-P-E-D-X2-E-T-X3-Y-A-P-Eの配列を有する相補性決定領域CDR-VH2、ここで
X1はEまたはD、X2はAまたはG、X3はRまたはKである;
Y-Y-X1-S-Y-X2-P-F-V-Yの配列を有する相補性決定領域CDR-VH3、ここで
X1はTまたはSであり、X2はI、L、またはVである;
Q-S-X1-X2-Y-S-N-X3-H-T-Yの配列を有する相補性決定領域CDR-VL1、ここで
X1はIまたはL、X2はIまたはL、X3はRまたはKである;
Q-X1-S-X2-R-F-Sの配列を有する相補性決定領域CDR-VL2、ここで
X1はI、L、またはVであり、X2はNまたはQである;
S-X1-S-T-H-X2-P-X3-Tの配列を有する相補性決定領域CDR-VL3、ここで
X1はQまたはN、X2はLまたはI、X3はFまたはYである。
重要な利点は、結合タンパク質が強い活性とヒトcTnIタンパク質に対して高い親和性を持っていることである。
1つまたは複数の実施形態では、
前記相補性決定領域CDR-VH1において、X2はDである;
前記相補性決定領域CDR-VH2において、X1はDである;
前記相補性決定領域CDR-VH3において、X1はSである;
前記相補性決定領域CDR-VL1において、X3はRである;
前記相補性決定領域CDR-VL2において、X2はNである;
前記相補性決定領域CDR-VL3において、X1はQである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X1はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X1はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X3はFである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X3はYである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X2はAである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X2はGである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X3はRである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X3はKである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH3において、X2はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH3において、X2はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH3において、X2はVである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X1は
Iである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X1はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X2はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X2はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL2において、X1はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL2において、X1はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL2において、X1はVである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X2はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X2はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X3はFである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X3はYである。
1つまたは複数の実施形態において、相補性決定領域のそれぞれの突然変異部位は、以下の突然変異の組み合わせのいずれか1つから選択される:
【表1】
【表2】
【表3】

1つまたは複数の実施形態において、前記結合タンパク質は少なくとも3つのCDRを含む;または、前記結合タンパク質は少なくとも6つのCDRを含む。
1つまたは複数の実施形態では、前記結合タンパク質は、可変領域および定常領域を含む無傷抗体である。
1つまたは複数の実施形態では、前記結合タンパク質は、例えば、ナノ抗体、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv、二重特異性抗体、および抗体最小認識ユニットのうちの1つである抗体の「機能的フラグメント」である。
1つまたは複数の実施形態では、前記結合タンパク質は、配列がそれぞれ配列番号(SEQ ID NO:)1-4で示す軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4、および/または、配列がそれぞれ、配列番号(SEQ ID
NO:)5-8で示す重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4、を含む。
1つまたは複数の実施形態では、前記結合タンパク質は、抗体定常領域配列をさらに含む。
1つまたは複数の実施形態では、前記定常領域配列は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、およびIgDからなる群から選択される任意の1つの定常領域配列である。
1つまたは複数の実施形態では、前記定常領域は、以下の種に由来する:ウシ、馬、乳牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、シカ、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、ゲームコック、またはヒト。
1つまたは複数の実施形態では、前記定常領域はマウスに由来する;
軽鎖の定常領域配列は、配列番号(SEQ ID NO:)9に記載されている通りで
ある;
重鎖の定常領域配列は、配列番号(SEQ ID NO:)10に記載されている通りである。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、単離された核酸分子に関し、該核酸分子は、上記結合タンパク質をコードするDNAまたはRNAである。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記核酸分子を含むベクターに関する。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記ベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記結合タンパク質を産生するための方法に関し、該方法は、以下のステップを含む:
適切な培養条件下にて培養培地中で上記宿主細胞を培養し、該培養培地または培養される宿主細胞から産生された結合タンパク質を回収する。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、急性心筋梗塞、急性冠症候群、肺梗塞、不安定狭心症、および心筋損傷を診断するための診断薬またはキットの調製における上記結合タンパク質の使用に関する。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、試験サンプル中のトロポニンI抗原を検出するための方法に関し、該方法は以下を含む:
a)抗体/抗原結合反応の発生に十分な条件下で、免疫複合体を形成するために、前記試験サンプル中のトロポニンIを前記結合タンパク質と接触させる;および
b)試験サンプル中のトロポニンI抗原の存在を示す前記免疫複合体の存在を検出する。
1つまたは複数の実施形態では、ステップa)において、前記免疫複合体は、前記結合タンパク質に結合する二次抗体をさらに含む。
1つまたは複数の実施形態では、ステップa)において、前記免疫複合体は、前記トロポニンI抗原に結合する二次抗体をさらに含む。
1つまたは複数の実施形態では、前記酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびグルコースオキシダーゼのいずれか1つを含む。
本開示の一態様によれば、本開示はまた、前記結合タンパク質を含むキットに関する。
1つまたは複数の実施形態において、前記トロポニンI抗原は、心筋型トロポニンI抗原である。
本開示はまた、心筋型トロポニンIに関連する疾患の診断における本明細書に記載の結合タンパク質の使用に関する。
本開示はまた、心筋型トロポニンIに関連する疾患を診断するための方法に関し、以下を含む:
A)結合反応の発生に十分な条件下で、結合反応を実行するために、対象からのサンプルと本開示における前記結合タンパク質とを接触させる;および
B)該結合反応によって生成された免疫複合体を検出する;
ここで、上記免疫複合体の存在は、心筋型トロポニンIに関連する疾患の存在を示す。
1つまたは複数の実施形態では、前記方法は、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、金コロイドイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイおよび/または酵素結合イムノアッセイに基づく。
1つまたは複数の実施形態では、前記サンプルは、全血、末梢血、血清、血漿、または心筋組織から選択される少なくとも1つである。
1つまたは複数の実施形態では、前記対象は、例えば、ヒトなどの霊長類のような哺乳動物である。
1つまたは複数の実施形態では、前記心筋型トロポニンIに関連する疾患は心血管疾患である。
1つまたは複数の実施形態では、前記心筋型トロポニンIに関連する疾患は、急性心筋梗塞、急性冠症候群、肺梗塞、不安定狭心症、心筋損傷、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の特定の実施形態または先行技術における技術案をより明確に説明するために、特定の実施形態または先行技術で使用される図面について以下に簡単に説明する。明らかに、以下に記載される図面は、本開示のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、他の図面は、創造的な作業なしにこれらの図面に基づいて得ることができる。
図1図1は、本開示による抗ヒト心筋型トロポニンI組換え抗体のモノクローナル抗体の電気泳動図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、以下の本開示のいくつかの実施形態の説明およびそこに含まれる実施例の詳細な内容を通じて、より容易に理解することができる。
本開示をさらに説明する前に、これらの実施形態は必然的に多様であるため、本開示は特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲でのみ定義されるため、本明細書で使用される用語は、限定ではなく、特定の実施形態を説明するためだけのものであることも理解されたい。
【0010】
(用語の定義)
「抗原結合ドメインを含む単離された結合タンパク質」は、CDR領域を含むすべてのタンパク質/タンパク質フラグメントを指す。「抗体」という用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびこれらの抗体の抗原化合物結合フラグメントが含まれ、Fab、F(ab’)、Fd、Fv、scFv、二重特異性抗体、および抗体最小認識ユニット、並びにこれらの抗体およびフラグメントの一本鎖誘導体も含まれる。抗体の種類は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、IgDからなる群から選択できる。さらに、「抗体」という用語は、天然に存在する抗体、ならびに例えば、キメラ(chimeric)、二機能性(bifunctional)およびヒト化(humanized)抗体、ならびに関連する合成アイソフォーム(isoform)を含む非天然に存在する抗体を含む。「抗体」という用語は、「免疫グロブリン」と交換可能に使用することができる。
【0011】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは「VH」と呼ばれ、軽鎖の可変ドメインは「VL」と呼ばれることがある。これらのドメインは通常、抗体の最も変化しやすい部分であり、そして抗原結合部位を含んでいる。軽鎖または重鎖の可変領域(VLまたはVH)は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる3つの超可変領域と、3つの相補性決定領域を分離するフレームワーク領域で構成される。フレームワーク領域とCDRの範囲は、例えばKabat(「免疫学的に関心のあるタンパク質の配列」(Sequences of Proteins of Immunological Interest),E.Kabat等、米国保健社会福祉省(U.S.Department of Health and Human Services),(1983)を参考)、およびChothialで正確に定義されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち軽鎖と重鎖の組み合わせを構成するフレームワーク領域は、CDRの位置特定およびCDRを基準にして整列させるように機能し、上記CDRは主に抗原への結合に関与する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」または「FR」は、CDRとして定義されるものを除いた抗体の可変ドメイン内のその他の領域を意味する。各抗体可変ドメインフレームワーク領域は、CDRによって分離された隣接領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)にさらに細分化できる。
【0013】
通常、重鎖および軽鎖の可変領域VL/VHは、次の番号のCDRおよびFRを次の組み合わせで配置およびリンクすることによって取得できる:FR1-CDR1-FR2-
CDR2-FR3-CDR3-FR4。
【0014】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドまたは核酸に関連して「精製された」または「単離された」という用語は、ポリペプチドまたは核酸がその天然培地またはその天然形態にないことを意味する。したがって、「単離された」という用語は、その元の環境から、例えば、それが天然に存在する場合は自然環境から抽出されたポリペプチドまたは核酸を含む。例えば、単離されたポリペプチドは、一般にポリペプチドが通常結合する、または通常ポリペプチドと混合される、または溶液中にある少なくともいくつかのタンパク質または他の細胞成分を含まない。単離されたポリペプチドには、細胞溶解物に含まれる天然に産生されたポリペプチド、精製または部分的に精製された形態のポリペプチド、組換えポリペプチド、細胞によって発現または分泌されるポリペプチド、および異種宿主細胞または培養物中のポリペプチドが含まれる。核酸に関連して単離されたまたは精製されたという用語は、該核酸が、例えば、その天然のゲノムバックグラウンド(例えば、ベクターにある、発現カセットとする、プロモーターに連結される、または異種宿主細胞に人工的に導入される)にないことを示す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「二重特異性抗体」または「二機能性抗体」という用語は、2つの異なる重鎖/軽鎖の対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド結合タンパク質を指す。二重特異性結合タンパク質は、ハイブリドーマ融合またはFabフラグメント結合を含むさまざまな方法で生成できる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」という用語は、少なくとも2つの異なる配列間の類似性を指す。このパーセント同一性は、標準的なアルゴリズム、例えば、基本的なローカルアライメント検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool、BLAST)、Needlemanらによって確立されたアルゴリズム、またはMeyersらによって確立されたアルゴリズムによって決定することができる。1つまたは複数の実施形態では、パラメータのセットは、12のギャップペナルティ、4のギャップ拡張ペナルティおよび5のフレームシフトギャップペナルティを伴うBlosum62スコアリングマトリックスであり得る。1つまたは複数の実施形態では、2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、MeyersとMiller((1989)CABIOS 4:11-17)に記載されているアルゴリズムを使用して決定することもできる。該アルゴリズムはALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれ、PAM120の重み付け表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用する。パーセント同一性は通常、類似長さのシーケンスを比較することによって計算される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、抗原または抗原のエピトープに対する結合タンパク質または抗体の抗原結合ドメインの結合強度を指す。親和性はKD値で測定することができる。KD値が小さいほど、親和性が高いことを示す。
【0018】
(本開示の例示的な実施形態)
本開示は、抗原結合ドメインを含む単離された結合タンパク質を提供し、ここで、該抗原結合ドメインは、少なくとも1つ以下のアミノ酸配列を有する相補性決定領域を含むか、または以下のアミノ酸配列を有する相補性決定領域に対して少なくとも80%の配列同一性を有し、さらに心筋型トロポニンIに対してK≦1.41×10-9mol/Lである親和性を有するものである:
G-F-N-X1-K-X2-Y-X3-M-Hの配列を有する相補性決定領域CDR-VH1、ここで
X1はLまたはI、X2はDまたはE、X3はFまたはYである;
R-I-X1-P-E-D-X2-E-T-X3-Y-A-P-Eの配列を有する相補
性決定領域CDR-VH2、ここで
X1はEまたはD、X2はAまたはG、X3はRまたはKである;
Y-Y-X1-S-Y-X2-P-F-V-Yの配列を有する相補性決定領域CDR-VH3、ここで
X1はTまたはSであり、X2はI、L、またはVである;
Q-S-X1-X2-Y-S-N-X3-H-T-Yの配列を有する相補性決定領域CDR-VL1、ここで
X1はIまたはL、X2はIまたはL、X3はRまたはKである;
Q-X1-S-X2-R-F-Sの配列を有する相補性決定領域CDR-VL2、ここで
X1はI、L、またはVであり、X2はNまたはQである;
S-X1-S-T-H-X2-P-X3-Tの配列を有する相補性決定領域CDR-VL3、ここで
X1はQまたはN、X2はLまたはI、X3はFまたはYである。
【0019】
1つまたは複数の実施形態において、前記抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列を有する相補性決定領域に対して少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有し、そして心筋型トロポニンIに対してK≦1.41×10-9mol/Lの親和性を有する。例えば、1×10-10mol/L、2×10-10mol/L、3×10-10mol/L、4×10-10mol/L、 4.5×10-10mol/L、5×10-10mol/L、6×10-10mol/L、7×10-10mol/L、8×10-10mol/L、9×10-10mol/L、1×10-11mol/L、3×10-11mol/L、5×10-11mol/L、5×10-11mol/L、7×10-11mol/L、9 ×10-11mol/Lまたは1×10-9mol/L、
または、1.68×10-10mol/L≦K≦1.41×10-9mol/L、
または、K値は1×10-10mol/L、2×10-10mol/L、3×10-10mol/L、4×10-10mol/L、4.5×10-10mol/L、5×10-10mol/L、6×10-10mol/L、7×10-10mol/L、8×10-10mol/L、9×10-10mol/L、1×10-11mol/L、3×10-11mol/L、5×10-11mol/L、5×10-11mol/L、7×10-11mol/L、または9×10-11mol/L以下である。
ここで、親和性は、本開示の方法に従って測定される。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、
前記相補性決定領域CDR-VH1において、X2はDである。
前記相補性決定領域CDR-VH2において、X1はDである。
前記相補性決定領域CDR-VH3において、X1はSである。
前記相補性決定領域CDR-VL1において、X3はRである。
前記相補性決定領域CDR-VL2において、X2はNである。
前記相補性決定領域CDR-VL3において、X1はQである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X1はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X1はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X3は
Fである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH1において、X3はYである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X2はAである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X2はGである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X3はRである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH2において、X3はKである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH3において、X2はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH3において、X2はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VH3において、X2はVである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X1はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X1はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X2はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL1において、X2はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL2において、X1はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL2において、X1はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL2において、X1はVである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X2はLである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X2はIである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X3はFである。
1つまたは複数の実施形態では、前記相補性決定領域CDR-VL3において、X3はYである。
【0021】
1つまたは複数の実施形態において、相補性決定領域のそれぞれの突然変異部位は、以下の突然変異の組み合わせのいずれか1つから選択される:
【表4】
【表5】
【表6】
【0022】
1つまたは複数の実施形態において、本開示に記載される上記結合タンパク質の6つのCDR領域に現れるX1は、それぞれ独立して、本開示に限定されるアミノ酸を表す;本開示に記載されている結合タンパク質の6つのCDR領域に現れるX2は、それぞれ独立して、本開示に限定されるアミノ酸を表す;本開示に記載されている結合タンパク質の6つのCDR領域に現れるX3は、それぞれ独立して、本開示に限定されるアミノ酸を表す。
【0023】
1つまたは複数の実施形態において、上記結合タンパク質は、少なくとも3つのCDRを含む;または、上記結合タンパク質は少なくとも6つのCDRを含む。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、上記結合タンパク質は、可変領域および定常領域を含む無傷抗体である。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、上記結合タンパク質は、例えば、ナノ抗体、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv、二重特異性抗体、および抗体最小認識ユニットのうちの1つである抗体の「機能的フラグメント」である。
【0026】
scFv(sc=一本鎖)、二重特異性抗体(ダイアボディ(diabodies))。
【0027】
本開示に記載される「機能的フラグメント」は、具体的には、親抗体と同様に、cTnIに対する特異性を有する抗体フラグメントを指す。上記の機能的フラグメントに加えて、半減期が増加したフラグメントも含まれる。
【0028】
一般に、これらの機能的フラグメントは、それらが由来する抗体と同じ結合特異性を持っている。本開示に列挙された内容から、当業者は上記のような機能的フラグメントが、例えば酵素消化(ペプシンまたはパパインを含む)の方法および/またはジスルフィド結合を分割するための化学還元法を通じて、本開示の抗体フラグメントを使用して得ることができると推測する。
【0029】
抗体フラグメントはまた、当業者に知られている組換え遺伝子技術によって、または例えば、アプライド・バイオシステムズ(Applied BioSystems)等によって販売されている自動ペプチドシンセサイザーによるペプチド合成によって得ることができる。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、上記結合タンパク質は、それぞれ配列番号(SEQ ID NO:)1-4で示す軽鎖フレームワーク領域FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4、および/またはそれぞれ配列番号(SEQ ID NO:)5-8で示す重鎖フレームワーク領域FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4を含む。
【0031】
ヒト化抗体を形成するために、本開示で上記に開示されたアミノ酸配列に加えて、フレームワーク領域がヒトに由来し得ることに留意されたい。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、上記結合タンパク質は、抗体の定常領域配列をさらに含む。
【0033】
1つまたは複数の実施形態では、上記定常領域配列は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgE、およびIgDからなる群から選択される任意の1つの定常領域の配列である。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、上記定常領域は、以下の種に由来する:ウシ、馬、乳牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、ラクダ、ロバ、シカ、ミンク、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥、ゲームコック、またはヒト。
【0035】
1つまたは複数の実施形態では、上記定常領域はマウスに由来する;
軽鎖の定常領域配列は、配列番号(SEQ ID NO:)9に記載されている通りである;
重鎖の定常領域配列は、配列番号(SEQ ID NO:)10に記載されている通りである。
【0036】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、単離された核酸分子に関する。該核酸分子は、上記結合タンパク質をコードするDNAまたはRNAである。
【0037】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記核酸分子を含むベクターに関する。
【0038】
本開示は、上記核酸分子をコードする少なくとも1つの核酸構築物、例えばプラスミド、さらには発現プラスミドをさらに含む。該ベクターを構築する方法は、本出願の実施形態において説明される。
【0039】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記ベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
上記宿主細胞は、哺乳動物細胞などの真核細胞であり得る。
1つまたは複数の実施形態では、上記宿主細胞はCHO細胞である。
【0040】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記結合タンパク質を産生するための方法に関する。この方法は、以下のステップを含む:
適切な培養条件下にて培養培地中で上記宿主細胞を培養し、該培養培地または培養宿主細胞から産生された結合タンパク質を回収する。
【0041】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、急性心筋梗塞、急性冠症候群、肺梗塞、不安定狭心症、および心筋損傷を診断するための診断薬またはキットの調製における上記結合タンパク質の使用に関する。
【0042】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、試験サンプル中のトロポニンI抗原を検出するための方法に関し、該方法は以下を含む:
a)抗体/抗原結合反応の発生に十分な条件下で、免疫複合体を形成するために、上記試験サンプル中のトロポニンIを上記結合タンパク質と接触させる;および
b)該免疫複合体の存在を検出し、複合体の存在は、試験サンプル中のトロポニンI抗原の存在を示す。
この実施形態では、上記複合体が容易に検出されるように、上記結合タンパク質はシグナル強度を示すためのインジケーターで標識できる。
【0043】
1つまたは複数の実施形態では、ステップa)において、上記免疫複合体は、上記結合タンパク質に結合する上記二次抗体をさらに含む;
この実施形態では、上記結合タンパク質は、一次抗体の形態でcTnIの異なるエピトープに結合するために、上記二次抗体と抗体ペアを形成する;
上記二次抗体は、上記複合体が容易に検出されるように、シグナル強度を示すインジケーターで標識できる。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、ステップa)において、上記免疫複合体は、トロポニンI抗原に結合する二次抗体をさらに含む。
この実施形態では、上記結合タンパク質は、上記二次抗体の抗原として機能する。上記二次抗体は、上記複合体が容易に検出されるように、シグナル強度を示すインジケーターで標識できる。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、上記シグナル強度を示すインジケーターは、蛍光物質、量子ドット、ジゴキシゲニン標識プローブ、ビオチン、放射性同位元素、放射性造影剤、常磁性イオン蛍光ミクロスフェア、電子密度の高い材料、化学発光マーカー、超音波造影剤、光増感剤、金コロイドまたは酵素のいずれか1つを含む。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、上記蛍光物質は、Alexa 350、Alexa 405、Alexa 430、Alexa 488、Alexa 555、Alexa 647、AMCA、アミノアクリジン、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、5-カルボキシ-4’、5’-ジクロロ-2’、7’-ジメトキシフルオレセイン、5-カルボキシ-2’、4’、5’、7’-テトラクロロフルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン、5-カルボキシローダミン、6-カルボキシローダミン、6-カルボキシテトラメチルローダミン、カスケードブルー(Cascade
Blue)、Cy2、Cy3、Cy5、Cy7、6-FAM、ダンシルクロリド、フルオレセイン、HEX、6-JOE、NBD(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール)、オレゴングリーン(Oregon Green)488、オレゴングリーン(Oregon Green)500、オレゴングリーン(Oregon Green)514、パシフィックブルー(Pacific Blue)、o-フタル酸、p-フタル酸、m-フタル酸、クレゾールソリッドバイオレット、クレゾールブルーバイオレット、ブリリアントクレゾールブルー、p-アミノ安息香酸、エリスロシン、フタロシアニン、アゾメチン、シアニン、キサンチン、スクシニルフルオレセイン、希土類金属クリプテート、ユーロピウムトリス-ビピリジンジアミン、ユーロピウムクリプテートまたはキレート、ジアミン、ビスシアニン、ラホラ(La Jolla)ブルー染料、アロフィコシアニン、B-アロコシアニン(allococyanin B)、C-フィコシアニン、R-フィコシアニン、チアミン、フィコエリトリン、R-フィコエリトリン、REG、ローダミングリーン、ローダミンイソチオシアネート、ローダミンレッド、ROX、TAMRA、TET、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、テトラメチルローダミンおよびテキサスレッドのいずれか1つを含む。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、上記放射性同位元素は、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154-158Gd、32P、11C、13N、15O、186Re、188Re、51Mn、52mMn、55Co、72As、75Br、76Br、82mRbおよび83Srのいずれか1つを含む。
【0048】
1つまたは複数の実施形態において、上記酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびグルコースオキシダーゼのいずれか1つを含む。
【0049】
1つまたは複数の実施形態では、上記蛍光ミクロスフェアは、ポリスチレン蛍光ミクロスフェアであり、その中に希土類イオンである蛍光ユウロピウムが包まれている。
【0050】
本開示の一態様によれば、本開示はまた、上記結合タンパク質を含むキットに関する。
【0051】
1つまたは複数の実施形態において、上記トロポニンI抗原は、心筋型トロポニンI抗原である。
【0052】
本開示はまた、心筋型トロポニンIに関連する疾患の診断における本明細書に記載の結合タンパク質の使用に関する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「心筋型トロポニンIに関連する疾患」という用語は、タンパク質自体またはそれをコードする核酸を含む心筋型トロポニンIをマーカーとする疾患を指す。特に、本開示の1つまたは複数の実施形態において、心筋型トロポニンIに関連する疾患は、血中の心筋型トロポニンIのレベルの増加を特徴とする疾患を指し得る。本開示の1つまたは複数の実施形態において、心筋型トロポニンIに関連する疾患は、心筋組織または心筋細胞における心筋型トロポニンIのレベルの低下を特徴とする疾患を指し得る。
【0054】
本開示はまた、心筋型トロポニンIに関連する疾患を診断するための方法に関し、以下を含む:
A)結合反応の発生に十分な条件下で、結合反応を実行するために、対象からのサンプルと本開示における結合タンパク質とを接触させる;および
B)該結合反応によって生成された免疫複合体を検出する。
ここで、上記免疫複合体の存在は、心筋型トロポニンIに関連する疾患の存在を示す。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、上記方法は、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、金コロイドイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイおよび/または酵素結合イムノアッセイに基づく。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、上記サンプルは、全血、末梢血、血清、血漿、または心筋組織から選択される少なくとも1つである。
【0057】
1つまたは複数の実施形態では、上記対象は、例えば、ヒトなどの霊長類のような哺乳動物である。
【0058】
1つまたは複数の実施形態では、上記心筋型トロポニンIに関連する疾患は心血管疾患である。
【0059】
1つまたは複数の実施形態では、上記心筋型トロポニンIに関連する疾患は、急性心筋梗塞、急性冠症候群、肺梗塞、不安定狭心症、心筋損傷、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
本開示の実施形態は、実施例と併せて以下で詳細に説明されるが、当業者は、以下の例が本開示を説明するためにのみ使用され、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことを理解するだろう。実施例に特定の条件が示されていない場合は、従来の条件または製造業者が推奨する条件に従って実施するものとする。製造元を示さずに使用される試薬または機器は、すべて従来の市販製品である。
【実施例
【0061】
[実施例1]
この実施例は、抗ヒト心筋型トロポニンI組換え抗体を調製するための例示的な方法を提供する。
【0062】
S10、発現プラスミドの構築:
この実施例では、制限エンドヌクレアーゼとプライムスター(Prime Star)DNAポリメラーゼはタカラ(Takara)会社から購入した;
MagExtractor-RNA抽出キットは東洋紡(TOYOBO)会社から購入した;
BD SMARTERTM RACE cDNA増幅キット(cDNA Amplification Kit)はタカラ(Takara)会社から購入した;
pMD-18Tベクターはタカラ(Takara)会社から購入した;
プラスミド抽出キットは天根会社から購入した;
プライマー合成と遺伝子シークエンシングはInvitrogen会社によって行われた;
Anti-cTnI 5G8モノクローナル抗体を分泌する細胞株は、既存のハイブリドーマ細胞株であり、使用のために復活させた。
【0063】
S11、プライマーの設計と合成:
重鎖および軽鎖を増幅するための5’RACEフォワードプライマー:
SMARTER II Aオリゴヌクレオチド:
5’>AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGTACXXXXX<3’(配列番号(SEQ ID NO:)13)
5’-RACE CDSプライマー(5’-CDS):5’>(T)25VN<3’(
N=A、C、G、またはT;V=A、G、またはC)(配列番号(SEQ ID NO:)14)
ユニバーサルプライマーAミックス(UPM):
5’>CTAATACGACTCACTATAGGGCAAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT<3’(配列番号(SEQ ID NO:)15)
ネスト-ユニバーサルプライマーA(NUP):
5’>AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT<3’(配列番号(SEQ ID NO:)16)
mIg-kR:5’>CTAACACTCATTCCTGTTGAAGCTCTTGACAAT<3’(配列番号(SEQ ID NO:)17)
mIg-HR:5’>TCATTTACCAGGAGAGTGGGAGAGGC<3’(配列番号(SEQ ID NO:)18)
【0064】
S12、抗体可変領域の遺伝子クローニングとシークエンシング:
Anti-cTnI5G8モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株からRNAを抽出し、SMARTERTM RACE cDNA増幅キット(Amplification Kit)とキットにあるSMARTER II Aオリゴヌクレオチドおよび5’-CDSプライマーを利用して第1鎖cDNAの合成に使用した。得られた第1鎖cDNAの生成物をPCR増幅のテンプレートとして使用した。軽鎖遺伝子はユニバーサルプライマーAミックス(UPM)、ネスト-ユニバーサルプライマーA(NUP)、およびmIg-kRプライマーで増幅され、重鎖遺伝子はユニバーサルプライマーAミックス(UPM)、ネスト-ユニバーサルプライマーA(NUP)およびmIg-HRプライマーで増幅された。サイズが約0.72KBのターゲットバンドは軽鎖のプライマーペアで増幅され、サイズが約1.4KBのターゲットバンドは重鎖のプライマーペアで増幅された。アガロースゲル電気泳動による精製と回収後、生成物をrTaqDNAポリメラーゼでポリAテール付加反応に供し、pMD-18Tベクターに挿入し、その後、DH5αコンピテントセルに形質転換した。コロニーが成長した後、重鎖遺伝子と軽鎖遺伝子のそれぞれについて、4つのクローンを選び、シークエンシングのためにInvitrogen会社に送った。
【0065】
S13、Anti-cTnI5G8抗体の可変領域遺伝子の配列分析:
上記のシーケンシングで得られた遺伝子配列をIMGT抗体データベースに入れ、VNTI11.5ソフトウェアを使用して分析し、重鎖と軽鎖のプライマーペアで増幅された遺伝子が正しいことを確認した。軽鎖のプライマーペアで増幅された遺伝子フラグメントでは、VkII遺伝子ファミリーに属するVL遺伝子は、上流に57bpのリーダーペプチド配列を持つ321bpの配列を持っている;重鎖のプライマーペアで増幅された遺伝子フラグメントでは、VH1遺伝子ファミリーに属するVH遺伝子は、上流に57bpのリーダーペプチド配列を持つ357bpの配列を持っている。
【0066】
S14、組換え抗体発現プラスミドの構築:
pcDNATM3.4 TOPO(登録商標)ベクターは、HindIII、BamHI、EcoRIなどの複数のクローニングサイトが導入された組換え抗体用に構築された真核生物発現ベクターであり、pcDNA 3.4A発現ベクター(以下、略して3.4A発現ベクター)と呼ばれる;pMD-18Tにおける上記の抗体可変領域遺伝子のシークエンシング結果に従って、Anti-cTnI 5G8抗体のVLおよびVH遺伝子に特異的なプライマーを設計し、両端にHindIIIおよびEcoRI制限酵素切断部位および保護塩基を設けた。プライマーは次のとおりである:
cTnI-5G8-HF: 5’> CCCAAGCTTATGGAATGCAGCTGTGTCATGCTCTTCTTC <3’(配列番号(SEQ ID NO:)19)
cTnI-5G8-HR: 5’> CCCGAATTCTCATTTACCAGGAGAGTGGGAGAGGC <3’(配列番号(SEQ ID NO:)20)
cTnI-5G8-LF: 5’> CCCAAGCTTATGAAGTTGCCTGTTAGGCTGTTGG <3’(配列番号(SEQ ID NO:)21)
cTnI-5G8-LR: 5’> CCCGAATTCCTAACACTCATTCCTGTTGAAGCTCTTGACAA <3’(配列番号(SEQ ID NO:)22)
【0067】
0.72KBのサイズの軽鎖遺伝子フラグメントと1.4KBのサイズの重鎖遺伝子フラグメントがPCR増幅によって増幅された。重鎖および軽鎖遺伝子フラグメントはそれぞれHindIII/EcoRIによって二重消化された。3.4AベクターもHindIII/EcoRIによって二重消化された。消化されたフラグメントとベクターを精製・回収した後、重鎖遺伝子と軽鎖遺伝子をそれぞれ3.4A発現ベクターに連結し、それぞれ重鎖と軽鎖の組換え発現プラスミドを得た。
【0068】
[実施例2]
CHO細胞への組換え抗体発現プラスミドの一過性トランスフェクションおよび上清中に発現された抗体の活性評価
プラスミドを超純水で400ng/mlに希釈した。CHO細胞は遠心分離管で1.43×10細胞/mLに調整された。100μLのプラスミドを700μLの細胞と混合した後、混合物をエレクトロポレーションキュベットに移してエレクトロポレーションを行い、次に10mL CD CHO AGT培地に移し、37°C(8%CO、振幅150)のシェーカーで培養した。細胞の生存率をテストするために、培地を毎日サンプリングした。細胞生存率が50%未満になったら、細胞培養物の上清を遠心分離し、抗体(それぞれSEQ ID NO:11および12に記載の配列を有する軽鎖および重鎖を有する)を得た。
【0069】
分析では、重鎖の相補性決定領域(WT)は:
CDR-VH1が、G-F-N-L(X1)-K-E(X2)-Y-F(X3)-M-Hである;
CDR-VH2が、R-I-E(X1)-P-E-D-A(X2)-E-T-R(X3)-Y-A-P-Eである;
CDR-VH3が、Y-Y-T(X1)-S-Y-I(X2)-P-F-V-Yである;
軽鎖の相補性決定領域は:
CDR-VL1が、Q-S-I(X1)-I(X2)-Y-S-N-K(X3)-H-T-Yである;
CDR-VL2が、Q-I(X1)-S-Q(X2)-R-F-Sである;
CDR-VL3が、S-N(X1)-S-T-H-L(X2)-P-F(X3)-Tである;
ここで、X1、X2、およびX3は変異が起こる全部位である。
【0070】
【表7】
【0071】
本発明者らは、より良好な活性を有する抗体を得るために、WTのCDR部位を上記のように突然変異させた。
【0072】
コーティング溶液で1μg/mlまで希釈した品質管理されたcTnI組換え抗原を、ウェルあたり100uLのマイクロプレートコーティングに使用し、4℃で一晩放置した;翌日、マイクロプレートを洗浄液で2回洗浄し、軽くたたいて乾燥させた;ブロッキング溶液(20%BSA+80%PBS)をウェルあたり120μLで添加し、37°Cで1時間放置し、マイクロプレートを軽くたたいて乾燥させた;希釈したcTnIモノクローナル抗体を100μL/ウェルで添加し、37℃で30分間放置した;次に、マイクロプレートを洗浄液で5回洗浄し、軽くたたいて乾燥させた;ヤギ抗マウスIgG-HRPをウェルあたり100μLで添加し、37℃で30分間放置した;次に、マイクロプレートを洗浄液で5回洗浄し、軽くたたいて乾燥させた;発色溶液Aを(50μL/ウェルで)添加し、続いて発色溶液Bを(50μL/ウェルで)添加し、混合溶液を10分間放置した;停止溶液を50μL/ウェルで添加した;OD値はマイクロプレートリーダーで450nm(630nmで参照)で読み取られた。
【0073】
【表8】
【0074】
上記表にある特定の抗体配列の親和性データをさらに測定した。方法は:AMCセンサーを使用して、精製された抗体をPBSTで10μg/mlに希釈し、品質管理されたCTNI組換えタンパク質(PK2-CTNI-1、170120、出願人が製造)をPBSTで段階的に希釈した:400nmol/ml、200nmol/ml、100nmol/ml、50nmol/ml、25nmol/ml、12.5nmol/ml、6.25nmol/ml、および0nmol/ml;
実行プロセス:バッファー1(PBST)で60秒間平衡化し、抗体を抗体溶液に300秒間固定し、バッファー2(PBST)で180秒間インキュベートし、抗原溶液で420秒間結合し、バッファー2で1200秒間解離し、pH1.69の10mM GLY溶液とバッファー3でセンサー再生を行い、データを出力した。
【0075】
分析では、上記の表の突然変異1の活性および親和性効果が最も高かったため、突然変異1を、より強力な突然変異部位をスクリーニングするためのバックボーン配列として使用した(スクリーニングによって得られた抗体が突然変異1と近い活性を有することを確保する。すなわち抗体活性が±10%)。結果の一部は以下のとおりである。
【0076】
【表9】
【表10】
【表11】
【0077】
親和性分析
AMCセンサーを使用して、精製した抗体をPBSTで10μg/mlに希釈し、品質管理されたCTNI組換えタンパク質(PK2-CTNI-1、170120、出願者が製造)をPBSTで段階的に希釈した:400nmol/ml、200nmol/ml、100nmol/ml、50nmol/ml、25nmol/ml、12.5nmol/ml、6.25nmol/ml、および0nmol/ml;
実行プロセス:バッファー1(PBST)で60秒間平衡化し、抗体を抗体溶液に300秒間固定し、バッファー2(PBST)で180秒間インキュベートし、抗原溶液で420秒間結合し、バッファー2で1200秒間解離し、pH1.69の10mM GLY溶液とバッファー3でセンサー再生を行い、データを出力した。(KDは平衡解離定数、つまり親和性を表し;konは結合速度を表し;koffは解離速度を表す。)
【0078】
【表12】
【表13】
【表14】
【0079】
表4から、表3に記載されている突然変異部位は抗体の親和性にほとんど影響を与えないことがわかる。
上記の結果を検証するために、WTをバックボーン配列として上記の実験を繰り返し、突然変異部位の親和性を検証した。結果の一部は次のとおりである。
【0080】
【表15】
【0081】
【表16】
【0082】
表5および表6から、抗体活性が保証されている限り、上記の突然変異部位は他の部位とほとんど相関がない。
【0083】
最後に、上記の実施形態は、本開示の技術案を説明するためにのみ使用され、限定するものではないことに留意されたい;本開示は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の実施形態に記載された技術案を修正すること、または同等に技術的特徴の一部または全部を置き換えることが依然として可能であることを理解すべきである;しかしながら、これらの修正または置換は、対応する技術案の本質が本開示の実施形態の技術案の範囲から逸脱することを引き起こさない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示で提供される心筋型トロポニンIに結合する抗原結合ドメインを含む単離された結合タンパク質は、特定の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む。該結合タンパク質は、心筋型トロポニンIを特異的に認識して結合することができ、高い感度と特異性を持ち、特
に、該結合タンパク質は、ヒトcTnIタンパク質に対して高い親和性を有する。したがって、心筋型トロポニンIに関連する疾患の検出および診断を可能にする。
図1
【配列表】
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