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特許7299310電気機械式接合システムの状態を分析するための方法及びその方法を実行するための電気機械式接合システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】電気機械式接合システムの状態を分析するための方法及びその方法を実行するための電気機械式接合システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20230620BHJP
   B30B 1/18 20060101ALI20230620BHJP
   G01M 13/02 20190101ALI20230620BHJP
【FI】
G05B19/18 W
B30B1/18 B
G01M13/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021515563
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074385
(87)【国際公開番号】W WO2020058087
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】18195998.2
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー、アレクザンダー
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0089033(US,A1)
【文献】特表2008-503811(JP,A)
【文献】特開2009-039813(JP,A)
【文献】特開平04-176526(JP,A)
【文献】実開平05-037490(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108536095(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18
B30B 1/18
G01M 13/02
B23P 19/02-06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械式接合システム(100)の状態を分析する方法であって、
前記電気機械式接合システム(100)によって実行される接合プロセスの出力力又は出力トルクが、スクリュードライブ(20)による電気駆動装置(10)によって生成され、前記電気駆動装置(10)は、ドライブシャフト(18)を備え、前記電気駆動装置(10)は、前記ドライブシャフト(18)を回転させ、前記スクリュードライブ(20)は、スピンドルナットを有するねじ付きスピンドルを備え、前記スピンドルナットは、前記ねじ付きスピンドルに取り付けられ、前記ドライブシャフト(18)は、前記ねじ付きスピンドルに回転不能に接続され、前記ねじ付きスピンドルを回転させ、前記ねじ付きスピンドルの回転運動は、前記スピンドルナットの直線運動をもたらし、出力要素(22)が、前記スクリュードライブ(20)に動作可能に接続され、前記出力要素(22)は、直線運動するように構成され、
監視装置(14)が、入力変数として前記電気駆動装置(10)の実際の値(IW、IW’)を供給され、
前記出力要素(22)は、センサ(24)に動作可能に接続され、前記センサ(24)は、前記接合プロセス中に前記出力要素(22)によって加えられる前記出力力又は出力トルクを判定し、前記センサ(24)によって判定される出力力又は出力トルクの量は、追加の測定値(ZMW)を表し、前記センサ(24)は、前記接合プロセス中の出力力又は出力トルクの時間経過を測定するために使用され、
前記監視装置(14)は、入力変数として前記追加の測定値(ZMW)を供給され、
前記監視装置(14)は、前記実際の値(IW、IW’)を前記追加の測定値(ZMW)とリンクするためにアルゴリズム(16)を使用し、
前記アルゴリズム(16)は、前記スクリュードライブ(20)に作用する前記電気駆動装置(10)の前記ドライブシャフト(18)の回転角速度を前記実際の値(IW)として使用し、又は前記アルゴリズム(16)は、前記電気駆動装置(10)のサーボモータ(12)の消費電力量を前記実際の値(IW’)として使用し、
前記監視装置(14)は、前記電気機械式接合システム(100)の摩耗しやすい構成要素(21)の来たる摩耗を検出するためにこのリンケージを使用し、前記摩耗しやすい構成要素(21)は、ブレーキ(4)、ギア(5)、ベルトドライブ(6)、ガイド(8)、及び回転防止装置(9)のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アルゴリズム(16)は、前記接合プロセスを行う期間の一部の間にのみ、又は、前記実際の値(IW、IW’)が少なくともほぼ一定である期間の間に、前記実際の値(IW、IW’)及び前記追加の測定値(ZMW)を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルゴリズム(16)は、前記接合プロセス以外の追加の動作中に、又は、力又はトルクが前記電気機械式接合システム(100)に作用しない前記電気機械式接合システム(100)の動作中に、前記実際の値(IW、IW’)及び前記追加の測定値(ZMW)を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルゴリズム(16)は、前記監視装置(14)に同時に送信される実際の値(IW、IW’)及び追加の測定値(ZMW)を互いにリンクすることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルゴリズム(16)は、前記実際の値(IW、IW’)と前記追加の測定値(ZMW)との比から効率(η)を計算することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アルゴリズム(16)は、前記電気駆動装置(10)の一定の回転角速度の間に、実際の値(IW、IW’)及び追加の測定値(ZMW)を使用することを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記監視装置(14)は、前記実際の値(IW、IW’)と前記追加の測定値(ZMW)との前記リンケージの時間経過を計算することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記監視装置(14)は、前記実際の値(IW、IW’)と前記追加の測定値(ZMW)との前記リンケージの時間経過を将来に向けて推定することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記監視装置(14)は、前記電気機械式接合システム(100)の少なくとも1つの前記摩耗しやすい構成要素(21)を交換する必要があるまでの残り時間、又は前記電気機械式接合システム(100)の耐用年数(LD)を判定することを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【請求項10】
前記実際の値(IW、IW’)を前記追加の測定値(ZMW)とリンクする前記リンケージの結果が、前記電気機械式接合システム(100)の記憶媒体(32)に記憶されることを特徴とする、請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
接合プロセスを実行するための直線運動可能な出力要素(22)においてスクリュードライブ(20)によって作用する電気駆動装置(10)を備える電気機械式接合システム(100)であって、
前記電気駆動装置(10)の実際の値(IW、IW’)を検出する第1の手段と、前記接合プロセス中の力又はトルクの時間経過を測定するためのセンサー(24)によって追加の測定値(ZMW)を検出する第2の手段とを備え、前記実際の値(IW、IW’)及び前記追加の測定値(ZMW)を供給され得る監視装置(14)を備え、
前記監視装置(14)は、請求項1~1の何れか一項に記載の方法に従って、前記実際の値(IW、IW’)及び前記追加の測定値(ZMW)を互いにリンクするように設計されたアルゴリズム(16)を備えることを特徴とする、電気機械式接合システム(100)。
【請求項12】
前記電気駆動装置(10)は、サーボモータ(12)及び制御装置(13)を備え、前記制御装置(13)は、前記サーボモータ(12)を制御することを特徴とする、請求項1に記載の電気機械式接合システム。
【請求項13】
前記監視装置(14)によって実行される前記実際の値(IW、IW’)の前記追加の測定値(ZMW)との前記リンケージを記憶するための記憶媒体(32)が設けられることを特徴とする、請求項1又は1に記載の電気機械式接合システム。
【請求項14】
前記監視装置(14)は、前記電気駆動装置(10)に配置され、又は前記監視装置(14)は、前記電気駆動装置(10)の外側に位置決めされていることを特徴とする、請求項1~1の何れか一項に記載の電気機械式接合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械式接合システムの状態を分析するための方法、特に、電気機械式接合システムの故障につながる場合がある来たる変動を検出するための方法に関する。本発明は更に、本発明による方法を実行するために設計された電気機械式接合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術的プロセスの文脈において軸線を制御するための電気駆動装置の状態を分析するための方法は、特許文献1から既知である。先行技術のプロセスは、例えば、電気自動化システムにおいて使用され、ブレーキ、ギア、ベルトドライブ、ベアリング、スクリュードライブ、ガイド要素、等のような摩耗しやすい構成要素を監視するのに役立つ。特に、先行技術のプロセスは、上記の構成要素における差し迫った摩耗を早期に特定するために使用される。このようにして、例えば、電気自動化システムの故障が低コストを伴うときに、例えば、通常の保守間隔又は電気自動化システムの生産停止中に、問題の構成要素を交換することが可能である。この目的のために、特許文献1による既知のプロセスは、電気駆動装置の実際の値、及び必要に応じて、センサを使用して検出される追加の測定値を処理するための監視装置を使用することを提案する。測定値は、例えば、アルゴリズムによって処理され、適切な表示装置に表示される。
【0003】
本発明の出願人は、データシート番号2160A_000-764d-02.17に記載されるように、電気機械式接合システムの製造業者である。電気機械式接合システムは、自動接合プロセスにおいて使用される。電気機械式接合システムは、電子的に整流されたサーボモータ及びスクリュードライブを含む電気駆動装置を備える。スクリュードライブは、サーボモータのドライブシャフトの回転運動を直線運動に変換する。この目的のために、スクリュードライブは、ねじ付きスピンドル及びスピンドルナットを備える。スピンドルナットの一端には、ツールを保持するためのラムが取り付けられる。電気機械式接合システムは、ブレーキ、ギア、ベルトドライブ、スクリュードライブ、ベアリング、スピンドルナットのガイド、ラムの回転防止装置、等のような摩耗しやすい構成要素を備える。ドライブシャフトの回転運動は、ラムを高精度で位置付けることを可能にする絶対値エンコーダによって記録される。力センサは、接合プロセス中に行き渡る力及びトルクの時間経過を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2005/124488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、電気機械式接合システムの故障を実質的に回避することができるように、電気機械式接合システムの構成要素の摩耗を早期に検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電気機械式接合システムの状態を分析するための方法に関し、電気機械式接合システムによって実行される接合方法の出力力又は出力トルクは、スクリュードライブによる電気駆動装置によって生成され、監視装置は、入力変数として電気駆動装置の実際の値を供給され、追加の測定値はセンサによって決定され、このセンサは、接合方法中に経時的に力又はトルク曲線を測定するのに役立ち、追加の測定値は、入力変数として監視装置に送信され、監視装置は、実際の値を追加の測定値とリンクするアルゴリズムを使用し、監視装置は、電気機械式接合システムの摩耗しやすい構成要素の差し迫った摩耗及び引裂きを検出するために、このリンクを使用する。
【0007】
請求項1に記載の特徴を含む、電気機械式接合システムの状態を分析するための本発明による方法は、それが、電気機械式接合システムの構成要素の差し迫った摩耗及び引裂きの検出を、特に簡単な方法で提供するという利点を有する。この目的のために、本発明の教示は、接合プロセスが実行される間に経時的に力又はトルク曲線を測定するセンサによって、状態分析を実行するために要求される追加の測定値を検出し、実際の値をこれらの追加の測定値とリンクするために、監視装置のアルゴリズムを使用することを提案する。
【0008】
言い換えれば、これは、監視装置のアルゴリズムが、電気駆動装置の(例えば、電流強度、ドライブシャフトの回転角速度、等のような)実際の値を、電気機械式接合システムのセンサによって測定される追加の測定変数(力又はトルク)とリンクすることを意味する。このリンケージ又は比率はまたそれぞれ、電気機械式接合システムの効率と見なされる。
【0009】
通常は、例えば、特定の(力又はトルクの)量を達成するために、新規又は慣らし運転状態と比較して、増加した電流強度が要求されることは、電気機械式接合システムの構成要素の差し迫った摩耗及び引裂きの特徴である。次に、電気駆動装置の実際の値と電気機械式接合システムの追加の測定値との間に最初に言及されたリンケージ又は比率がそれぞれ特定の比率を下回り、又は超えるとすぐに、この比率は、電気機械式接合システムの摩耗しやすい構成要素が差し迫った摩耗の影響を受けること、又は構成要素を交換する必要があることをそれぞれ伝えるアラート通知として解釈及び利用されてもよい。
【0010】
電気機械式接合システムの状態を分析するための本発明による方法の有利な実施形態は、従属請求項に提供される。
【0011】
本発明の文脈における電気機械式接合システムは、基本的に、接合プロセスを達成するように構成された任意の装置を意味することが理解される。特に、これはまた、例えば、リベット留め、クリンチ、ローリング、コーキング、フランジング、プレス、又は構成要素の圧力接合のようなプレス、ねじ込み、成形のような接合動作を実行するための電気機械式接合システムを意味することが意図される。
【0012】
本発明によるこれまで一般的に説明された方法の好ましい変形例においては、実際の値及び追加の測定値は、接合プロセスにかかる時間の一部の間にのみアルゴリズムによって使用されることが考えられ、好ましくは、実際の値は、アルゴリズムによって使用される期間中、少なくともほぼ一定である。この好ましい変動の根底にある理論的根拠は、例えば、電気駆動装置の消費電力又は電気駆動装置のドライブシャフトの回転角速度の変動が、特に接合プロセスの開始時及び終了時に生じる場合があるということである。対照的に、電気駆動装置の実際の値は、通常は少なくともほぼ一定であり、接合プロセスの中間段階中にはピークを示さない。特に、アルゴリズムは、使用される期間中に生じる場合がある任意の変動のフィルタリング又は平滑化を可能にすべきであって、これらの変動が任意選択で計算に含まれないが意図される。例えば、使用される期間中の経時線形変化を示す測定値を平均すること、又はそれから平均値を計算することがまたそれぞれ考えられる。
【0013】
前段落で説明された方法は、接合方法中又は電気機械式接合システムの動作中に要求される状態変数の検出を可能にするが、方法の代替の実施は、実際の値及び追加の測定値が、接合プロセス以外の追加の動作中、特に電気機械式接合システムが力又トルクの影響を受けない電気機械式接合システムの動作中に、アルゴリズムによって使用されることを提供する。言い換えれば、これは、実際の値及び追加の測定値が、電気機械式接合システムの出力端に任意の影響を与えることなく、電気機械式接合システムの「アイドルストローク」中に検出されることを意味する。更に、次の構成要素が追加の時間を要求しないように接合されるまで電気機械式接合システムの出力要素の戻り移動段階中に、この「アイドルストローク」を実行することがまた考えられる。
【0014】
更に、電気機械式接合システムにおける来たる傾向又は差し迫った摩耗を判定するために、アルゴリズムが同時に監視装置に送信される実際の値及び追加の測定値を互いにリンクするように、実際の値及び追加の測定値を同時に(つまり付随して)検出することがまた重要である。
【0015】
既に上記で説明されたように、電気駆動装置の一定の回転角速度で実際の値及び追加の測定値を使用することは特に有利である。
【0016】
スクリュードライブに作用する電気駆動装置のドライブシャフトの回転運動の実際の値及び/又は電気駆動装置の実際の値が、電気駆動装置の消費電力の形態で記録されることが想定されてもよい。通常、ドライブシャフトの回転運動及び電気駆動装置の消費電力の両方が、相対的に単純なセンサを使用して監視又は判定されてもよい。
【0017】
電気機械式接合システムの摩耗しやすい構成要素の新たな傾向又は差し迫った摩耗を早期に認識することができるように、監視装置が実際の値と追加の測定値との間のリンケージの時間経過を計算又は評価することが不可欠である。言い換えれば、これは、例えば、画面上のグラフ又は数値表現の形態での適切な表示手段が、電気機械式接合システムの動作時間中に生じるリンクされた測定値に関する傾向の表現を可能にすることを意味する。
【0018】
前段落に説明された変動は、制御装置が実際の値の追加の測定値とのリンケージの時間経過を推定する場合、すなわち、将来への予測を行う場合に特に有利である。このタイプの方法はそれぞれ、特に、摩耗した構成要素を交換する必要があるまでの電気機械式接合システムの(安全な)残りの動作寿命を判定することを可能にし、又は問題の構成要素の潜在的な耐用年数に関して結論を引き出すことを可能にする。
【0019】
原則として、監視装置は、電気駆動装置内に配置されてもよく、又は監視装置は、電気駆動装置の外部、例えば、外部コンピュータ内に位置する。好ましくは、監視装置は、電気駆動装置の制御装置の不可欠な部分である。外部コンピュータは、地球上の何れに位置してもよい。そして、電気駆動装置の実際の値及びセンサからの追加の測定値は、インターネットのようなネットワークを介して外部コンピュータにデジタルデータの形態で送信されてもよい。
【0020】
本発明は更に、回転運動又は直線運動するように構成された出力要素におけるスクリュードライブによって作用する電気駆動装置を備える、接合方法を実行するための電気機械式接合システムを包含する。電気機械式接合システムは、電気駆動装置の実際の値を検出するための第1の手段と、接合方法中の力又はトルクの時間経過を測定するためのセンサからの追加の測定値を検出するための第2の手段とによって更に特徴付けられる。電気機械式接合システムは、実際の値及び追加の測定値を供給される監視装置を備える。更に、監視装置は、これまでに説明されたような本発明の方法に従って、実際の値及び追加の測定値を互いにリンクするように構成されたアルゴリズムを備える。
【0021】
電気機械式接合システムの特定の設計実施形態においては、電気駆動装置はサーボ駆動装置の形態で提供され、サーボ駆動装置は、電気駆動装置を制御するための制御装置を備える。
【0022】
本発明の他の利点、特徴、及び詳細は、図面を参照して、好ましい例示的な実施形態の以下の説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】2つの構成要素を接合するための電気機械式接合システムの電気駆動装置の実施形態の一部の斜視図を示す。
図2】電気駆動装置に統合された本発明による方法を実施するための監視装置を含むように構成されている、図1による電気駆動装置を備える2つの構成要素を接合するための電気機械式接合システムの第1の実施形態の概略図を示す。
図3】本発明による方法を実施するための外部制御装置を含むように構成されている、図1による電気駆動装置を備える2つの構成要素を接合するための電気機械式接合システムの第2の実施形態の概略図を示す。
図4】アルゴリズムを使用することによって監視装置によって実行された状態分析の結果として、図2又は図3による電気機械式接合システムの効率の時間経過の図を示す。
図5】アルゴリズムを使用することによって監視装置によって実行された状態分析の結果として、図2又は図3による電気機械式接合システムの耐用年数の時間経過の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図において、同じ要素又は同一の機能を有する要素は、同じ参照番号によって示される。
【0025】
図1は、2つの構成要素を接合するための電気機械式接合システム100の電気駆動装置10の実施形態の一部の斜視図を示す。有利には、電気駆動装置10は、サーボモータ12及びブレーキ4を備える。ブレーキ4の主な機能は、サーボモータ12が非動力モードにある場合に、スクリュードライブ20のラムを特定の位置に高精度で保持することである。ブレーキ4の別の機能は、サーボモータ12を減速することである。サーボモータ12は、ギア5及びベルトドライブ6によってドライブシャフト18を駆動する。ドライブシャフト18は、少なくとも1つのベアリング7によって支持される。サーボモータ12は、回転速度nで時計回り又は反時計回りの方向にドライブシャフト18を回転させる。絶対値エンコーダ11は、ドライブシャフト18の回転速度nを検出する。好ましくは、絶対値エンコーダ11は、ブレーキ4又はサーボモータ12に近接して配置される。絶対値送信機11は、図3に詳細には示されていない。しかし、本発明に照らして、サーボモータは、ギアレス又はベルトレス方式でドライブシャフトを駆動することがまた可能である。
【0026】
電気駆動装置10は、スクリュードライブ20を備える。スクリュードライブ20は、スピンドルナットを有するねじ付きスピンドル、ガイド8、及び回転防止装置9を備える。スピンドルナットは、ねじ付きスピンドルに取り付けられる。ねじ付きスピンドルは雄ねじを備え、スピンドルナットは雌ねじを備え、雄ねじ及び雌ねじは互いに適合するように作られる。ドライブシャフト18の一端は、ねじ付きスピンドルに回転不能に接続され、ねじ付きスピンドルを回転させる。ねじ付きスピンドルの回転運動は、ねじ付きナットの直線運動をもたらす。ガイド9は、直線運動中にねじ付きナットをガイドする。ドライブシャフト18の反対側のねじ付きナットの一端は、ラムを備える。ラムは、ツールを保持するために使用されるが、このようなツールは、図3には詳細に示されていない。回転防止装置8は、ラムを回転から保護する。
【0027】
図2及び図3は、非常に単純化された方法で2つの構成要素1、2を接合するための電気機械式接合システム100の2つの実施形態の概略図である。一例として、電気機械式接合システム100は、第1の構成要素1を矢印3の方向に第2の構成要素2の開口に特定の位置まで押し込むために使用される。
【0028】
電気機械式接合システム100は、図1に示されるような電気駆動装置10を備える。電気駆動装置10は、制御装置13によって制御される。有利には、電気駆動装置10は、サーボモータ12を備えるサーボ駆動装置であり、制御装置13は、サーボ増幅器である。制御装置13は、コンピュータである。図2及び図3の双方向矢印は、サーボモータ12が制御装置13によって制御されることを示す。図2及び図3の点線のボックスは、電気駆動装置10のハウジングを示す。ハウジングは、サーボモータ12、制御装置13、ドライブシャフト18、及び絶対値エンコーダ11を収容する。
【0029】
本発明の文脈において、摩耗しやすいとは、例えば、電気機械式接合システム100の構成要素間の摩耗又は公差の増加に起因して、電気機械式接合システム100の耐用年数に亘って、電気機械式接合システム100の効率が低下することを意味する。これは、スクリュードライブ20に動作可能に接続され、実際の接合プロセスを実行する出力要素22で同じ結果を達成するために、電気駆動装置10における電気エネルギーの入力を増加させることが必要であることを意味する。上記の出力要素22は、構成要素2に押し込まれる第1の構成要素1に動作可能に接続される。
【0030】
電気機械式接合システム100は、ブレーキ4、ギア5、ベルトドライブ6、ベアリング7、ガイド8、回転防止装置9、等のような複数の摩耗しやすい構成要素21を備える。
-この結果、ブレーキ4をハウジングに設置する方法が、取扱説明書に明記された方法とは異なる場合があり、それが、動作中に抗力を生じさせて摩擦パッドの摩耗を増加させる場合がある。しかし、ブレーキ4がまた、取扱説明書に明記された方法とは異なる方法で制御装置13と電気的に接触する場合があり、また摩擦パッドの摩耗を増加させる過度のブレーキ力を引き起こす。
-ギアボックス5が、不適切に高い動作温度に起因して早期に劣化する場合があるオイルを含む。
-更に、ベルトドライブ6がまた摩耗の影響を受ける。ベルトドライブ6が、ベルト及びベルトホイールを備え、ベルトホイールが、ベアリングによって支持される。ベルトが不適切にベルトプーリーに取り付けられてベルト材料の摩耗を増加させる場合がある。ベルトプーリーが、中心から外れて回転してベアリングの早期摩耗をもたらす場合がある。
-これが同様に、ドライブシャフト18のベアリング7に当てはまる場合がある。過負荷又は損傷に起因して、ベアリング7が、早期摩耗を受ける場合がある。
-また、ガイド8が動作中に汚れて、ガイド8のガイド表面の摩擦抵抗を増加させ、ガイド表面の早期摩耗をもたらす場合がある。
-最後に、回転防止装置9がまた、動作中に大きい力にさらされ、過負荷又は損傷に起因して早期摩耗を受ける場合がある。
【0031】
出力要素22は更に、センサ24に動作可能に接続される。センサ24は、構成要素1を接合するプロセス中に(接合プロセスのタイプに応じて)出力要素22によって加えられる力又はトルクを判定するために使用される。センサ24は、歪ゲージ又は圧電センサであってもよい。センサ24は、ラムに一体化され、又はラムに取り付けられてもよい。センサ24によって判定される力又はトルクの量は、追加の測定値ZMWを表し、センサ24によって監視装置30に入力変数として送信される。しかし、本発明を認識している当業者はまた、出力要素22によって加えられる圧力を判定するセンサを使用してもよい。
【0032】
サーボモータ12の制御装置13から供給される別の入力変数は、電気駆動装置10の少なくとも1つの実際の値IW、IW’である。実際の値IWは、ドライブシャフト18の回転速度nである。実際の値IW’は、サーボモータ12によって要求される電流強度Iである。
【0033】
電気駆動装置10の実際の値IW、IW’、及びセンサ24の追加の測定値ZMWは、接合プロセスの同じ時点で判定され、監視装置14に送信される。
【0034】
本発明によれば、監視装置14が提供される。図2に示されるように、監視装置14は、電気駆動装置10に配置される。好ましくは、監視装置14は、制御装置13の不可欠な部分である。図3に示されるように、監視装置14は、電気駆動装置10の外側に位置する外部コンピュータとして設計される。監視装置14は、電気駆動装置10の実際の値IW、IW’をセンサ24の追加の測定値ZMWとリンクするように設計されたアルゴリズム16を備える。このリンケージの結果は、電気機械式接合システム100の状態分析を実行するために使用され、これによって、来たる摩耗、従って、摩耗しやすい構成要素21の差し迫った故障又は要求される交換が早期に検出される。好ましくは、電気駆動装置10の実際の値IW、IW’のセンサ24の追加の測定値IMWとのリンケージは、リアルタイムで実行される。本発明の目的のために、リアルタイムは、リンケージの結果が、電気駆動装置10の実際の値IW、IW’及びセンサ24の追加の測定値ZMWを供給するのにかかる時間より短い時間で、監視装置14において利用可能であることを意味するように画定される。
【0035】
図4は、電気機械式接合システム100のより長い動作期間に対する時間tに亘る効率ηを表す図を示す。この目的のために、対応する電気駆動装置10の実際の値IW、IW’及びセンサ24の追加の測定値ZMWが監視装置14に送信された個々の時点が、曲線34に接続された。それぞれの時点における電気駆動装置10からの実際の値IW、IW’と、センサ24からの追加の測定値ZMWとの比が、アルゴリズム16によって計算され、効率ηを表す。また、曲線34の時間経過が点線として示される点から、将来への推定が見られてもよい。
【0036】
特に、効率ηのレベルは、時間tの増加と共に減少することが見られてもよい。閾値GWは、経済的観点から、例えば、摩耗及び引裂きが電気機械式接合システム100の動作の望ましくない中断をもたらす前の摩耗しやすい構成要素21の効率ηの低下又は初期摩耗に起因して、電気機械式接合システム100の摩耗した構成要素を交換することが有利である閾値を特定する。閾値GWに到達する時間tは、アルゴリズム16によって推定されてもよい。時間tは、摩耗しやすい構成要素21の耐用年数と呼ばれる。
【0037】
比較のために、図5は、時間tに亘る電気機械式接合システム100の予想される残存耐用年数LDを表す曲線36を示す。この場合には、アルゴリズム16は、耐用年数方程式において、電気駆動装置10の実際の値IW、IW’及びセンサ24の追加の測定値ZMWを使用し、耐用年数方程式は、任意選択で、更なる測定値又は情報をそれぞれ使用して判定される必要があってもよい更なる要因又は値を含んでもよい。
【0038】
例えば、絶対値エンコーダ11によって測定されるドライブシャフト18の回転速度nの実際の値IW、及びセンサ24によって測定される力Fの追加の測定値ZMWを使用して、耐用年数LDは、以下の耐用年数方程式に従って判定されてもよい。
【数1】

よって、耐用年数LDは、使用回数mの間の平均負荷Bの3分の1乗に反比例し、iは、動作における個々の使用の指標である。動作期間の長さは、qによって示される。また、nは、動作期間中に測定される平均回転速度を表す。最後に、Fは、動作期間中に測定される平均力である。
本発明を認識している当業者は、様々な耐用年数方程式を使用してもよい。この結果、摩耗しやすい構成要素の90%によって達成される耐用年数LD10が使用されてもよく、又は摩耗しやすい構成要素の95%によって達成される耐用年数LDが使用されてもよい。またこの場合には以下である。
【数2】

10及びKは、実験的に決定された比例係数である。
【0039】
またこの場合には、アルゴリズム16は、臨界閾値GW、及び閾値GWに到達する時間tを事前に計算してもよい。時間tは、電気機械式接合システム100の耐用年数と呼ばれる。
【0040】
図4及び図5に示される曲線34、36が、例えば、監視装置16に接続された表示装置30、特に画面に表示されてもよい。更に、曲線34、36の形状又は曲線34、36の形状によって与えられた数値、及び電気駆動装置10の対応する実際の値又はセンサ24の追加の測定値を記憶媒体32によって記憶することが可能である。好ましくは、記憶媒体32は、標準IEEE1451.4に準拠するトランスデューサ電子データシート(TEDS)である。
【0041】
上記で説明された方法は、本発明の精神から逸脱することなく、幾つかの方法で改造又は変更されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 構成要素
2 構成要素
3 矢印
4 ブレーキ
5 ギア
6 ベルトドライブ
7 ベアリング
8 回転防止装置
9 ガイド
10 電気駆動装置
11 絶対値エンコーダ
12 サーボモータ
13 制御装置
14 監視装置
16 アルゴリズム
18 ドライブシャフト
20 スクリュードライブ
21 摩耗しやすい構成要素
22 出力要素
24 センサ
30 表示装置
32 記憶媒体
34 曲線形状
36 曲線形状
100 電気機械式接合システム
LD 耐用年数
GW 閾値
t 時間
摩耗しやすい構成要素の計算された耐用年数
電気機械式接合システム又はスクリュードライブの計算された耐用年数
IW ドライブシャフトの回転速度の実際の値
IW’ サーボドライブの電流強度の実際の値
ZNW 追加の測定値
η 効率
図1
図2
図3
図4
図5