(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】パンツ型着用物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230620BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61F13/15 311Z
A61F13/49 413
A61F13/15 355Z
A61F13/15 390
A61F13/15 380
(21)【出願番号】P 2021536912
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2020027428
(87)【国際公開番号】W WO2021020118
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019137502
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】島田 崇博
(72)【発明者】
【氏名】古川 大介
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-117860(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154684(WO,A1)
【文献】特開2008-136943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の腹側に配置される前側用胴回部材と、身体の背中側に配置される後側用胴回部材と、身体の股下部分に配置される吸収性本体とを備え、当該前側用胴回部材および当該後側用胴回部材のそれぞれの両側部が一対のサイド接合部で互いにサイド接合されたパンツ型着用物品の製造方法であって、
一対のシート間に所定の伸縮方向に伸長した複数の弾性伸縮部材を挟み込む弾性伸縮部材挟み込み工程と、
前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記前側用胴回部材の連続体を形成する前側連続体形成工程と、
前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記後側用胴回部材の連続体を形成する後側連続体形成工程と、
前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を互いに重ね合せて、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前記前側用胴回部材および前記後側用胴回部材を前記サイド接合部で間欠的に接合するサイド接合工程と、
前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のうち個々の前記境界領域において、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のそれぞれの前記弾性伸縮部材を切断する弾性伸縮部材切断工程と、
前記弾性伸縮部材切断工程の後に、前記弾性伸縮部材における前記一対のシートに対する接合状態を検査する接合状態検査工程と、
前記接合状態検査工程の後に、前記境界領域において前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を切断することによって、個々の前記着用物品を得る連続体切断工程と、
を含むパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項2】
前記サイド接合工程は、前記弾性伸縮部材切断工程の前に行なう、
請求項1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項3】
身体の腹側に配置される前側用胴回部材と、身体の背中側に配置される後側用胴回部材と、身体の股下部分に配置される吸収性本体とを備え、当該前側用胴回部材および当該後側用胴回部材のそれぞれの両側部が一対のサイド接合部で互いにサイド接合されたパンツ型着用物品の製造方法であって、
一対のシート間に所定の伸縮方向に伸長した複数の弾性伸縮部材を挟み込む弾性伸縮部材挟み込み工程と、
前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記前側用胴回部材の連続体を形成する前側連続体形成工程と、
前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記後側用胴回部材の連続体を形成する後側連続体形成工程と、
前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を互いに重ね合せて、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前記前側用胴回部材および前記後側用胴回部材を前記サイド接合部で間欠的に接合するサイド接合工程と、
前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のうち個々の前記境界領域において、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のそれぞれの前記弾性伸縮部材を切断する弾性伸縮部材切断工程と、
前記弾性伸縮部材における前記一対のシートに対する接合状態を検査する接合状態検査工程と、
前記境界領域において前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を切断することによって、個々の前記着用物品を得る連続体切断工程と、
を含み、
前記検査工程において、前記境界領域に最も近い前記シートと前記弾性伸縮部材との接合部における接合不良を検出する、
パンツ型着用物品の製造方法。
【請求項4】
前記検査工程で弾性伸縮部材の接合状態が不良と判断された場合、異常を知らせる異常報知工程をさらに含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性伸縮部材を有するパンツ型着用物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨てパンツなどの種々のパンツ型着用物品が製造販売されている。このようなパンツ型着用物品は、特許文献1に記載されているように、身体の前後の胴回りにそれぞれ配置される前側用胴回部材および後側用胴回部材と、股下部分に配置される吸収性本体とを備える。前側用胴回部材および後側用胴回部材は胴回り方向に伸縮自在である。
【0003】
前側用胴回部材および後側用胴回部材を製造する場合、まず、長尺の一対の不織布の間に当該不織布の長手方向に伸長された状態の複数の弾性伸縮部材を挟み込み、一対の不織布を弾性伸縮部材の延びる方向と交差する熱融着線により接合し、前側用胴回部材および後側用胴回部材のそれぞれの連続体を形成する。これにより、一対の不織布間に弾性伸縮部材が保持される。
【0004】
前側用胴回部材および後側用胴回部材のそれぞれの連続体を形成した後、吸収性本体の両端部が前側用胴回部材および後側用胴回部材にそれぞれ重なり合うように吸収性本体を互いに離間して配置する。その後、前側用胴回部材および後側用胴回部材を重ねた状態で互いの両側部をサイド融着し、連続した隣り合う着用物品間で前側用胴回部材および後側用胴回部材のそれぞれの連続体を切断することによって、着用物品の製造が完了する。
【0005】
着用物品の切断部近傍において弾性伸縮部材が不織布に正常に接合されていない場合、すなわち接合不良が生じた場合には、着用物品の両端部のサイド融着部付近において弾性伸縮部材の張力が得られず、不織布に所定の形状のしわ(プリーツ)が得られない不具合が生じる。そのため、各着用物品について弾性伸縮部材の接合状態を確認する必要がある。
【0006】
上記の製造方法では、着用物品の切断部近傍において弾性伸縮部材が不織布に正常に接合されているか否かを確認する場合、胴回部材の連続体を切断する切断工程が行われた後でしか確認できない。しかし、胴回部材の切断工程後では、弾性伸縮部材の収縮により不織布にシワが発生するので、弾性伸縮部材の接合状態の確認が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、弾性伸縮部材の接合不良を容易に確認することが可能なパンツ型着用物品の製造方法を提供することである。
【0009】
前記課題を解決するためのものとして、本発明のパンツ型着用物品の製造方法は、身体の腹側に配置される前側用胴回部材と、身体の背中側に配置される後側用胴回部材と、身体の股下部分に配置される吸収性本体とを備え、当該前側用胴回部材および当該後側用胴回部材のそれぞれの両側部が一対のサイド接合部で互いにサイド接合されたパンツ型着用物品の製造方法であって、一対のシート間に所定の伸縮方向に伸長した複数の弾性伸縮部材を挟み込む弾性伸縮部材挟み込み工程と、前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記前側用胴回部材の連続体を形成する前側連続体形成工程と、前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記後側用胴回部材の連続体を形成する後側連続体形成工程と、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を互いに重ね合せて、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前記前側用胴回部材および前記後側用胴回部材を前記サイド接合部で間欠的に接合するサイド接合工程と、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のうち前記境界領域において、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のそれぞれの前記弾性伸縮部材を切断する弾性伸縮部材切断工程と、前記弾性伸縮部材切断工程の後に、前記弾性伸縮部材における前記一対のシートに対する接合状態を検査する接合状態検査工程と、前記接合状態検査工程の後に、前記境界領域において前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を切断することによって、個々の前記着用物品を得る連続体切断工程と、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の製造方法で製造されるパンツ型着用物品の基本構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明のパンツ型着用物品の製造方法の実施形態として、製造方法の一連の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係るパンツ型着用物品の製造方法において、糸ゴム挟み込み工程を示す平面説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るパンツ型着用物品の製造方法において、連続体形成工程を示す平面説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るパンツ型着用物品の製造方法において、サイド融着工程および糸ゴム切断工程を示す平面説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るパンツ型着用物品の製造方法において、接合状態検査工程を説明する平面説明図であって、(a)は糸ゴム切断直後の状態を示す図、(b)~(c)はサイド融着部に最も近い接合部付近の糸ゴムの接合不良を検出部によって検出する様子を示す図である。
【
図9】本発明の変形例として、糸ゴム切断工程において糸ゴムを糸ゴムの延びる方向に対して傾斜した方向で切断する様子を示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0012】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る製造方法で製造されるパンツ型着用物品1は、一対の胴回部材2、すなわち、身体の腹側に配置される前側用胴回部材2、および身体の背中側に配置される後側用胴回部材2と、身体の股下部分に配置される吸収性本体3とを備えている。当該前側用および当該後側用胴回部材2のそれぞれの両側部が一対のサイド融着部4(サイド接合部)で互いにサイド融着(サイド接合)されることにより、パンツ型着用物品1が製造されている。また、一対のサイド融着部4の外側には、融着されていないはみ出し部分5がある。
図1では、このはみ出し部分5は、視認しやすいようにサイド融着部4と同程度の幅で描かれているが、実際の製品におけるはみ出し部分5の幅は、サイド融着部4の幅よりも狭くてもよい。
【0013】
図2~3に示されるように、一対の胴回部材2のそれぞれは、熱可塑性樹脂などからなる一対の不織布6(シート)と、当該一対の不織布6の間に挟み込まれた複数の糸ゴム7(弾性伸縮部材)とを備えている。なお、本発明のシートには、不織布6以外にも、他のシート状の材料(例えば、織布や樹脂製シートなど)も含まれる。
【0014】
複数の糸ゴム7は、伸縮性を有する線状の部材であり、本発明の弾性伸縮部材の一例として示される。糸ゴム7は、不織布6の幅方向(
図2の上下方向)に互いに離間して配置されている。複数の糸ゴム7は、所定の伸縮方向(不織布6の長手方向であり、具体的には
図2の左右方向)に伸長した状態で一対の不織布6の間に挟み込まれ、複数本の接合部8で接合されている。
【0015】
接合部8は、糸ゴム7の伸縮方向(
図2の左右方向)と交差する方向(本実施形態では糸ゴム7と直交する方向)に線状に延びている。接合部8は、一対の不織布6が糸ゴム7を挟んだ状態で、これら一対の不織布6および糸ゴム7を超音波溶着またはヒートシールなで接合することによって形成される。接合部8は、一対の不織布6と伸長状態の糸ゴム7とを前記伸縮方向(
図2の左右方向)に離間して間欠的に接合する。
【0016】
なお、本発明では、接合部8は、糸ゴム7の伸縮方向(
図2の左右方向)と交差する方向に線状に延びていればよく、
図2に示されるようには糸ゴム7と直交する方向以外にも、伸縮方向に対して0度より大きく90度未満の角度で傾斜する方向に延びていてもよい。
【0017】
吸収性本体3は、不織布などの基材と、当該基材に分散された吸収体とから構成されている。吸収体は、液体を吸収可能な紛状または粒状の樹脂材料のなどからなる。吸収性本体3の両端部は、前後一対の胴回部材2、すなわち、前側用の胴回部材2および後側用の胴回部材2にそれぞれ重ね合されて接着または熱溶着などによって接合されている。
【0018】
なお、吸収性本体3は、一対の胴回部材2と一体形成されていてもよい。
【0019】
上記のように構成されるパンツ型着用物品1を本実施形態の製造方法によって製造する場合、
図4に示されるフローチャートに示される手順で行われる。
【0020】
まず、
図5に示されるように、一対の不織布6の間に複数の糸ゴム7を挟み込む糸ゴム挟み込み工程(
図4のS1)を行う。具体的には、糸ゴム挟み込み工程では、長尺の一対の不織布6を搬送方向Aに搬送しながら、当該一対の不織布6の間に所定の伸縮方向(搬送方向Aと同じ方向)に伸長した複数の糸ゴム7を互いに伸縮方向と直交する方向に互いに離間した位置で挟み込む。
【0021】
ついで、
図6に示されるように、一対の不織布6と伸長状態の複数の糸ゴム7とを複数本の接合部8で伸縮方向(すなわち、搬送方向A)に一定間隔をあけながら間欠的に接合することによって、前側用の胴回部材2および後側用の胴回部材2のそれぞれの連続体12をそれぞれ形成する前側および後側の連続体形成工程(
図4のS2)を行う。この一対の不織布6と複数の糸ゴム7との接合は、超音波溶着またはヒートシールによるものであってもよい。この連続体形成工程では、接合部8は、前記胴回部材2の両側の境界領域(具体的には、
図1~2および
図7に示されるサイド融着部4とはみ出し部分5)となるサイド構成部分13には、形成されないようにしている。つまり、前記胴回部材2のうち一対のサイド融着部4(
図7参照)に挟まれた領域となる部分のみに接合部8が形成されている。
【0022】
ついで、
図7に示されるように、前側用胴回部材2の連続体12および後側用胴回部材2の連続体12を平行に並んで搬送方向Aに搬送した状態で、吸収性本体3の両端部がそれぞれ前側用胴回部材2の連続体12および後側用胴回部材2の連続体12に重なるように、当該吸収性本体3を配置する吸収性本体配置工程(
図4のS3)を行う。吸収性本体3は、前側用胴回部材2の連続体12および後側用胴回部材2の連続体12の上に搬送方向Aに間隔をあけて順次配置される。
【0023】
なお、吸収性本体3が一対の胴回部材2と一体形成されている場合には、吸収性本体配置工程S3を省略すればよい。
【0024】
ついで、
図7に示されるように、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2のそれぞれの連続体12を互いに重ね合せて、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2をサイド融着部4で間欠的に融着するサイド融着工程(
図4のS4)を行う。サイド融着部4は、超音波溶着またはヒートシールによるものであってもよい。
【0025】
サイド融着工程の後、
図7に示されるように、一対のサイド融着部4とそれに隣接する他の一対のサイド融着部4との間の個々の着用物品1の境界となる境界領域のうちの各着用物品1のはみ出し部分5において、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2のそれぞれの連続体12の糸ゴム7を切断部分9で切断する糸ゴム切断工程(
図4のS5)を行う。糸ゴム7の切断は、互いに隣接するサイド融着部4に挟まれた各はみ出し部分5において、ドットカッター(すなわち、円筒状のロール周面に小さい刃が多数設けられたもの)などの切断手段によって不織布6を切断することなく糸ゴム7のみを切断する。なお、糸ゴム切断工程において、
図9に示される切断部分9のように、糸ゴム7を糸ゴム7の延びる方向に対して傾斜した方向で切断してもよい。
【0026】
ついで、糸ゴム7における一対の不織布6に対する接合状態、すなわち接合部8の接合状態を検査する接合状態検査工程(
図4のS6)を行う。
【0027】
具体的には、接合状態検査工程において、
図8(a)~(c)に示されるように、各着用物品1における複数本の接合部8のうち、各着用物品1の境界領域のうちのサイド融着部4に最も近い不織布6と糸ゴム7との接合部8aにおける接合不良を検出する。
【0028】
まず、
図8(a)に示されるように、糸ゴム7がはみ出し部分5で切断部分9において切断されたときには、糸ゴム7は収縮したとき、
図8(b)に示されるように、サイド融着部4に最も近い接合部8aの糸ゴム7の接合状態が良好な場合には、糸ゴム7の端部は接合部8aで止まる。このとき、接合部8aの近傍のモニタリング領域11(例えば、サイド融着部4と接合部8aの隣の接合部8bとの間の領域)をテレビカメラや光センサなど検出部10でモニタリングして、接合部8a付近に糸ゴム7を検出する。これにより、接合部8aにおける接合状態が良好であることを検出することが可能である。また、
図8(b)の下側の糸ゴム7のようにサイド融着部4の部位で融着されて止まっている場合も、モニタリング領域11において糸ゴム7が検出されるので、接合状態が良好であることを検出することが可能である。
【0029】
一方、
図8(c)に示されるように、サイド融着部4に最も近い接合部8aの糸ゴム7の接合状態が不良な場合には、糸ゴム7の端部は接合部8aで止まらずに、隣の接合部8bまたはそれよりも遠い部位まで縮む。このとき、接合部8aの近傍のモニタリング領域11には、糸ゴム7が無いことを検出部10で検出する。これにより、接合部8aにおける接合状態が不良であることを検出することが可能である。
【0030】
検査工程で糸ゴム7の接合状態が不良と判断された場合には、作業者に異常を知らせる異常報知工程を含むのが好ましい。
【0031】
接合状態が不良の場合には、作業者は、着用物品の製造を中止して、胴回部材2の不良な部分を取り除くとともに製造装置の点検や調整などが行われる。
【0032】
接合状態検査工程において糸ゴム7の接合状態が良好であることが検出されたときには、
図7に示されるように、各着用物品1の境界領域のうちの隣接する2つのはみ出し部分5の間の切断部分14で前側用および後側用胴回部材2のそれぞれの連続体12を切断することによって、個々の着用物品1を得る連続体切断工程(
図4のS7)を行う。これにより、パンツ型着用物品1を連続的に製造することが可能である。
【0033】
なお、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2をサイド融着部4でサイド融着するサイド融着工程S4の前に、糸ゴム切断工程S5を行ってもよい。その場合、糸ゴム切断工程S5では、個々の着用物品1の境界領域となる
図6に示されるサイド構成部分13(具体的には、サイド融着部4およびはみ出し部分5が形成される前の状態の部分のうちのはみ出し部分となる部分)において、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2のそれぞれの連続体12の糸ゴム7を切断部分9で切断すればよい。
【0034】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のパンツ型着用物品1の製造方法は、上記のように、糸ゴム挟み込み工程S1と、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2のそれぞれの連続体12を形成する前側および後側の連続体形成工程S2と、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2をサイド融着部4で間欠的に融着するサイド融着工程S4と、個々の着用物品1の境界となる境界領域(具体的には、はみ出し部分5)において、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2のそれぞれの連続体12の糸ゴム7を切断する糸ゴム切断工程S5と、糸ゴム7における一対の不織布6に対する接合状態を検査する接合状態検査工程S6と、境界領域(具体的には、はみ出し部分5)において前側用胴回部材2および後側用胴回部材2の連続体12を切断することによって、個々の着用物品1を得る連続体切断工程S7とを含む。
【0035】
この製造方法では、前側用胴回部材2の連続体12および後側用胴回部材2の連続体12を切断して個々の着用物品を得る前の状態、すなわち、個々の着用物品に分離されることにより糸ゴム7が収縮する前の糸ゴム7が伸長している状態で、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2の連続体12のうち個々の着用物品の境界となる境界領域において、前側用胴回部材2の連続体12および後側用胴回部材2の連続体12のそれぞれの糸ゴム7を切断する。これにより、糸ゴム7材が接合不良の場合には、前側用胴回部材2および後側用胴回部材2の連続体12におけるそれぞれの不織布6(シート)が伸長した状態で糸ゴム7の張力により糸ゴム7の端部が移動するため、糸ゴム7における一対の不織布6に対する接合状態を容易に確認することが可能である。
【0036】
(2)
本実施形態のパンツ型着用物品1の製造方法では、サイド融着工程S4を糸ゴム切断工程S5の前に行う。この場合、連続体形成工程S2の際に糸ゴム7と一対の不織布6との間で接合不良が生じた場合でも、サイド融着工程S4において、個々の前側用胴回部材2および後側用胴回部材2をサイド融着部4でサイド融着する際に、糸ゴム7がサイド融着部4で不織布6につながって接合不良が解消される場合がある。これにより、糸ゴム7の接合不良を低減させることが可能である。
【0037】
(3)
本実施形態のパンツ型着用物品1の製造方法では、接合状態検査工程S6において、境界領域(はみ出し部分5またはサイド構成部分13のうちのはみ出し部分5となる部分)に最も近い不織布6と糸ゴム7との接合部における接合不良を検出する。
【0038】
上記の境界領域に最も近い不織布6と糸ゴム7との接合部が良好であれば、たとえ境界領域から遠い接合部で接合不良が生じても、境界領域に最も近い接合部によって糸ゴム7の伸縮を阻止することが可能である。言い換えれば、境界領域に最も近い不織布6と糸ゴム7との接合状態を検出するだけで、各着用物品の糸ゴム7の全長についての接合状態を検出することが可能になる。そこで、上記の製造方法では、接合状態検査工程S6において、境界領域に最も近い不織布6と糸ゴム7との接合部における接合不良を検出することにより、連続体切断工程S7の前に、糸ゴム7の接合不良を容易かつ確実に検出することが可能である。
【0039】
(4)
本実施形態のパンツ型着用物品1の製造方法では、接合状態検査工程S6で糸ゴム7の接合状態が不良と判断された場合、異常を知らせる異常報知工程をさらに含むのが好ましい。これにより、糸ゴム7の接合不良の異常を作業者が確実に知ることが可能である。
【0040】
(変形例)
(A)
なお、本実施形態の製造方法では、前側用および後側用の胴回部材2同士をサイド融着(サイド接合)によって接合しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、融着以外の他の接合、例えば接着などによってサイド接合してもよい。
【0041】
(B)
また、本実施形態の製造方法では、前側用および後側用の胴回部材2を分離した形態で形成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
本発明の変形例として、前側用および後側用の胴回部材2が繋がっている形態(すなわち、前側用および後側用の胴回部材2が股下部分で繋がって一体になった形態)で形成してもよい。この場合、本発明の製造方法における前側連続体形成工程および後側連続体形成工程は同時に行われる。
【0043】
<実施形態のまとめ>
前記実施形態をまとめると以下のとおりである。
本実施形態のパンツ型着用物品の製造方法は、身体の腹側に配置される前側用胴回部材と、身体の背中側に配置される後側用胴回部材と、身体の股下部分に配置される吸収性本体とを備え、当該前側用胴回部材および当該後側用胴回部材のそれぞれの両側部が一対のサイド接合部で互いにサイド接合されたパンツ型着用物品の製造方法であって、一対のシート間に所定の伸縮方向に伸長した複数の弾性伸縮部材を挟み込む弾性伸縮部材挟み込み工程と、前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記前側用胴回部材の連続体を形成する前側連続体形成工程と、前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記後側用胴回部材の連続体を形成する後側連続体形成工程と、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を互いに重ね合せて、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前記前側用胴回部材および前記後側用胴回部材を前記サイド接合部で間欠的に接合するサイド接合工程と、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のうち前記境界領域において、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のそれぞれの前記弾性伸縮部材を切断する弾性伸縮部材切断工程と、前記弾性伸縮部材切断工程の後に、前記弾性伸縮部材における前記一対のシートに対する接合状態を検査する接合状態検査工程と、前記接合状態検査工程の後に、前記境界領域において前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を切断することによって、個々の前記着用物品を得る連続体切断工程と、を含むことを特徴とする。
【0044】
かかる製造方法では、前側用胴回部材の連続体および後側用胴回部材の連続体を切断して個々の着用物品を得る前の状態、すなわち、個々の着用物品に分離されることにより弾性伸縮部材が収縮する前の弾性伸縮部材が伸長している状態で、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前側用胴回部材の連続体および後側用胴回部材の連続体のそれぞれの弾性伸縮部材を切断する。これにより、弾性伸縮部材が接合不良の場合には、シートが伸長した状態で弾性伸縮部材の張力により弾性伸縮部材の端部が移動するため、弾性伸縮部材における一対のシートに対する接合状態を容易に確認することが可能である。
【0045】
上記の製造方法において、前記サイド接合工程は、前記弾性伸縮部材切断工程の前に行なうのが好ましい。
【0046】
かかる製造方法では、サイド接合工程を弾性伸縮部材切断工程の前に行うことにより、連続体形成工程の際に弾性伸縮部材と一対のシートとの間で接合不良が生じた場合でも、サイド接合工程において、個々の前側用胴回部材および後側用胴回部材をサイド接合部で接合する際に、弾性伸縮部材がサイド接合部でシートにつながって接合不良が解消される場合がある。これにより、弾性伸縮部材の接合不良を低減させることが可能である。
【0047】
本実施形態の他の態様のパンツ型着用物品の製造方法は、身体の腹側に配置される前側用胴回部材と、身体の背中側に配置される後側用胴回部材と、身体の股下部分に配置される吸収性本体とを備え、当該前側用胴回部材および当該後側用胴回部材のそれぞれの両側部が一対のサイド接合部で互いにサイド接合されたパンツ型着用物品の製造方法であって、一対のシート間に所定の伸縮方向に伸長した複数の弾性伸縮部材を挟み込む弾性伸縮部材挟み込み工程と、前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記前側用胴回部材の連続体を形成する前側連続体形成工程と、前記一対のシートと伸長状態の前記弾性伸縮部材とを前記伸縮方向に間欠的に接合することによって、前記後側用胴回部材の連続体を形成する後側連続体形成工程と、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を互いに重ね合せて、個々の着用物品の境界となる境界領域において、前記前側用胴回部材および前記後側用胴回部材を前記サイド接合部で間欠的に接合するサイド接合工程と、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のうち個々の前記境界領域において、前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体のそれぞれの前記弾性伸縮部材を切断する弾性伸縮部材切断工程と、前記弾性伸縮部材における前記一対のシートに対する接合状態を検査する接合状態検査工程と、前記境界領域において前記前側用胴回部材の連続体および前記後側用胴回部材の連続体を切断することによって、個々の前記着用物品を得る連続体切断工程と、を含み、前記検査工程において、前記境界領域に最も近い前記シートと前記弾性伸縮部材との接合部における接合不良を検出する、ことを特徴とする。
【0048】
境界領域に最も近いシートと弾性伸縮部材との接合部が良好であれば、たとえ境界領域から遠い接合部で接合不良が生じても、境界領域に最も近い接合部によって弾性伸縮部材の伸縮を阻止することが可能である。言い換えれば、境界領域に最も近いシートと弾性伸縮部材との接合状態を検出するだけで、各着用物品の弾性伸縮部材の全長についての接合状態を検出することが可能になる。そこで、上記の製造方法では、検査工程において、境界領域に最も近いシートと弾性伸縮部材との接合部における接合不良を検出することにより、連続体切断工程の前に、弾性伸縮部材の接合不良を容易かつ確実に検出することが可能である。
【0049】
上記の製造法において、前記検査工程で弾性伸縮部材の接合状態が不良と判断された場合、異常を知らせる異常報知工程をさらに含むのが好ましい。これにより、接合不良の異常を作業者が確実に知ることが可能である。