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特許7299338モータのロータ、モータ、パワートレインおよび自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】モータのロータ、モータ、パワートレインおよび自動車
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20230620BHJP
   H02K 1/32 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H02K9/19 B
H02K1/32 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021557992
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2020072314
(87)【国際公開番号】W WO2021142673
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】521467113
【氏名又は名称】華為数字能源技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI DIGITAL POWER TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Office 01, 39th Floor, Block A, Antuoshan Headquarters Towers, 33 Antuoshan 6th Road, Futian District, Shenzhen, 518043, P.R.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 君
(72)【発明者】
【氏名】卞 斐
(72)【発明者】
【氏名】李 泉明
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018067(WO,A1)
【文献】特許第5017120(JP,B2)
【文献】実開昭61-088467(JP,U)
【文献】特開2000-083351(JP,A)
【文献】実開昭56-071050(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の液体出口が提供される回転軸と、
前記回転軸の外壁上に配設され、前記回転軸に対して垂直な第1のエンドプレートであって、少なくとも1つの第3の通路の入口は、前記第1のエンドプレートに提供され、前記少なくとも1つの第3の通路の前記入口は、前記回転軸の前記少なくとも1つの第1の液体出口と連通する、第1のエンドプレートと、
前記回転軸の前記外壁上に配設され、前記回転軸に対して垂直な第2のエンドプレートであって、前記少なくとも1つの第3の通路の出口は、前記第2のエンドプレートに提供され、前記少なくとも1つの第3の通路から冷却液を排出するように構成され、前記冷却液は、前記回転軸の前記少なくとも1つの第1の液体出口を通って、前記少なくとも1つの第3の通路に入り、前記少なくとも1つの第3の通路の前記出口を通って排出される、第2のエンドプレートと、
前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとの間に配設される複数の積層シート(であって、少なくとも1つの第2の貫通孔は、前記複数の積層シートの各々に提供され、各積層シートの前記少なくとも1つの第2の貫通孔は、前記少なくとも1つの第3の通路を形成する、複数の積層シートと、
中空構造を有し、前記回転軸に位置する流れ分配装置であって、固定構成要素は、前記流れ分配装置の外壁の2つの端部において配設され、前記流れ分配装置は、前記固定構成要素を使用して、前記回転軸の内壁の2つの端部に接続され、少なくとも1つの第1の貫通孔は、前記流れ分配装置の側壁に提供され、開口は、前記流れ分配装置の1つの端部に提供され、第1の通路は、前記開口と前記少なくとも1つの第1の貫通孔との間に形成され、バッフル板は、前記流れ分配装置における前記少なくとも1つの第1の貫通孔と前記第1の通路と反対の端部との間に配設され、第2の通路は、前記流れ分配装置の前記外壁と前記回転軸の前記内壁との間に形成され、前記少なくとも1つの第1の貫通孔は、前記第1の通路を前記第2の通路に接続するように構成される、流れ分配装置と、
を備え、
前記固定構成要素の高さは調整され、その結果、前記流れ分配装置と前記第2の通路との間の距離が変化する、モータのロータ
【請求項2】
前記少なくとも1つの第3の通路内の前記冷却液は、前記少なくとも1つの第3の通路の前記出口を通って排出され、次いで、前記回転軸へ流れ込む請求項1に記載のモータのロータ。
【請求項3】
少なくとも1つの第3の貫通孔は、前記複数の積層シートの各々にさらに提供され、各積層シートの前記少なくとも1つの第3の貫通孔は、少なくとも1つの第4の通路を形成し、
前記少なくとも1つの第4の通路の入口は、前記第2のエンドプレートにさらに提供され、前記少なくとも1つの第4の通路の前記入口は、前記少なくとも1つの第3の通路の前記出口であって、前記第2のエンドプレートにある前記出口と連通し、前記少なくとも1つの第3の通路内の前記冷却液を前記少なくとも1つの第4の通路内へ案内するように構成され、
前記少なくとも1つの第4の通路の出口は、前記第1のエンドプレートにさらに提供され、前記少なくとも1つの第4の通路から前記冷却液を排出するように構成され、前記冷却液は、前記少なくとも1つの第3の通路の前記出口を通って、前記少なくとも1つの第3の通路から前記少なくとも1つの第4の通路に入り、前記少なくとも1つの第4の通路の前記出口を通って排出される請求項1に記載のモータのロータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第4の通路内の前記冷却液は、前記少なくとも1つの第4の通路の前記出口を通って排出され、次いで、前記回転軸へ流れ込む請求項3に記載のモータのロータ。
【請求項5】
少なくとも1つの第4の貫通孔は、前記複数の積層シートの各々にさらに提供され、各積層シートの前記少なくとも1つの第4の貫通孔は、第5の通路を形成し、少なくとも1つの第5の通路の入口は、前記第2のエンドプレートに提供され、少なくとも1つの第2の液体出口は、前記回転軸にさらに提供され、前記少なくとも1つの第5の通路の前記入口は、前記回転軸の前記少なくとも1つの第2の液体出口と連通し、前記少なくとも1つの第5の通路の出口は、前記第1のエンドプレートにさらに提供され、前記少なくとも1つの第5の通路から冷却液を排出するように構成され、前記冷却液は、前記回転軸の前記少なくとも1つの第2の液体出口を通って、前記少なくとも1つの第5の通路に入り、前記少なくとも1つの第5の通路の前記出口を通って排出される請求項1または2に記載のモータのロータ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第5の通路内の前記冷却液は、前記少なくとも1つの第5の通路の前記出口を通って排出され、次いで、前記回転軸へ流れ込む請求項5に記載のモータのロータ。
【請求項7】
少なくとも1つの第5の貫通孔は、前記複数の積層シートの各々にさらに提供され、各積層シートの前記少なくとも1つの第5の貫通孔は、少なくとも1つの第6の通路を形成し、前記少なくとも1つの第6の通路の入口は、前記第1のエンドプレートにさらに提供され、前記少なくとも1つの第6の通路の前記入口は、前記第5の通路の前記出口であって、前記第1のエンドプレートにある前記出口と連通し、前記第5の通路内の前記冷却液を前記少なくとも1つの第6の通路内へ案内するように構成され、前記少なくとも1つの第6の通路の出口は、前記第2のエンドプレートにさらに提供され、前記少なくとも1つの第6の通路から前記冷却液を排出するように構成され、前記冷却液は、前記少なくとも1つの第5の通路の前記出口を通って、前記少なくとも1つの第5の通路から前記少なくとも1つの第6の通路に入り、前記少なくとも1つの第6の通路の前記出口を通って排出される請求項5に記載のモータのロータ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第6の通路内の前記冷却液は、前記少なくとも1つの第6の通路の前記出口を通って排出され、次いで、前記回転軸へ流れ込む請求項7に記載のモータのロータ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第3の通路、前記少なくとも1つの第3の通路の前記入口、前記少なくとも1つの第3の通路の前記出口、前記少なくとも1つの第2の貫通孔、および前記少なくとも1つの第1の液体出口のうちの1つまたは複数は、前記回転軸のまわりに一様に分布させられる請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータのロータ。
【請求項10】
前記回転軸の前記少なくとも1つの第1の液体出口は、前記第2の通路と連通し、前記第2の通路から冷却液を排出するように構成され、前記冷却液は、前記回転軸の前記第1の通路を通って前記第2の通路へ流れ込み、前記少なくとも1つの第1の液体出口を通って、前記少なくとも1つの第3の通路へ流れ込む請求項に記載のモータのロータ。
【請求項11】
前記固定構成要素は、環状突起である請求項または10に記載のモータのロータ。
【請求項12】
前記固定構成要素は、密閉リングをさらに含む請求項11に記載のモータのロータ。
【請求項13】
補強構成要素は、前記流れ分配装置の前記外壁上に配設され、前記補強構成要素は、前記流れ分配装置にある前記少なくとも1つの第1の貫通孔の2つの側にある外壁に接続するように構成される請求項乃至12のいずれか一項に記載のモータのロータ。
【請求項14】
前記補強構成要素は、長いストリップ状の突起である請求項13に記載のモータのロータ。
【請求項15】
流れ分配構成要素は、前記流れ分配装置の前記外壁上にさらに配設される請求項乃至14のいずれか一項に記載のモータのロータ。
【請求項16】
前記流れ分配構成要素は、球状突起である請求項15に記載のモータのロータ。
【請求項17】
前記流れ分配構成要素は、螺旋形状である請求項15に記載のモータのロータ。
【請求項18】
前記バッフル板は、前記流れ分配装置の端部であって、前記第1の通路と反対にある端部に位置する請求項乃至17のいずれか一項に記載のモータのロータ。
【請求項19】
モータであって、前記モータのステータと、請求項乃至18のいずれか一項に記載のモータのロータとを備える、モータ。
【請求項20】
請求項19に記載のモータを備える、パワートレイン。
【請求項21】
請求項20に記載のパワートレインを備える、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、モータの分野に関し、より具体的には、モータのロータおよびモータのロータを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車両の駆動モータは、高い出力密度、高い動作効率、および広い速度調節範囲などの利点を有しており、したがって、新エネルギー車両などの産業用途において広く使用されている。
【0003】
近年、新エネルギー車両の分野が、駆動モータの高い出力密度および高い回転速度を求めて絶えず努力するにつれて、モータ巻線の銅損密度ならびにステータコアおよびロータコアの鉄損密度が比較的高くなり、過度に高いモータ温度は、巻線の焼損およびロータ磁性鋼の減磁などの問題を引き起こす。したがって、モータのロータを冷却することが必要である。
【0004】
従来の技術的解決策では、異なる構造を有し、ロータの回転軸上で入れ子にされる複数の積層シートが、冷却液の通路を形成するために積み重ねられる。ロータの回転軸上で入れ子にされる複数の積層シートは、異なる構造を有するので、複雑さおよび実装コストが増加される。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、モータのロータを提供する。モータのロータ上の複数の積層シートは、同じ構造を有し、金型コストおよび製造コストは比較的低く、ロータの単層の通路、2層の通路、または複数層の通路内の冷却液が、冷却のために使用されることが可能である。
【0006】
第1の態様によれば、少なくとも1つの第1の液体出口(116)が提供される回転軸(101)と、
回転軸(101)の外壁上に配設され、回転軸(101)に対して垂直な第1のエンドプレート(103)であって、少なくとも1つの第3の通路(118)の入口(119)は、第1のエンドプレート(103)に提供され、少なくとも1つの第3の通路(118)の入口(119)は、回転軸(101)の少なくとも1つの第1の液体出口(116)と連通する、第1のエンドプレート(103)と、
回転軸(101)の外壁上に配設され、回転軸(101)に対して垂直な第2のエンドプレート(104)であって、少なくとも1つの第3の通路(118)の出口(121)は、第2のエンドプレート(104)に提供され、第3の通路(118)から冷却液を排出するように構成され、冷却液は、回転軸(101)の第1の液体出口(116)を通って、少なくとも1つの第3の通路(118)に入り、少なくとも1つの第3の通路(118)の出口(121)を通って排出される、第2のエンドプレート(104)と、第1のエンドプレート(103)と第2のエンドプレート(104)との間に配設される複数の積層シート(105)であって、少なくとも1つの第2の貫通孔(120)は、複数の積層シート(105)の各々に提供され、各積層シートの少なくとも1つの第2の貫通孔(120)は、少なくとも1つの第3の通路(118)を形成する、複数の積層シート(105)とを含む、モータのロータが提供される。
【0007】
第1の態様の可能な実装において、少なくとも1つの第3の通路(118)内の冷却液は、少なくとも1つの第3の通路(118)の出口(121)を通って排出され、次いで、回転軸(101)へ流れ込む。
【0008】
第1の態様の可能な実装において、少なくとも1つの第3の貫通孔(124)は、複数の積層シート(105)の各々にさらに提供され、各積層シートの少なくとも1つの第3の貫通孔(124)は、少なくとも1つの第4の通路(122)を形成する。少なくとも1つの第4の通路(122)の入口(126)は、第2のエンドプレート(104)にさらに提供される。少なくとも1つの第4の通路(122)の入口(126)は、少なくとも1つの第3の通路(118)の出口(121)であって、第2のエンドプレート(104)にある出口(121)と連通し、少なくとも1つの第3の通路(118)内の冷却液を少なくとも1つの第4の通路(122)内へ案内するように構成される。少なくとも1つの第4の通路(122)の出口(123)は、第1のエンドプレート(103)にさらに提供され、少なくとも1つの第4の通路(122)から冷却液を排出するように構成される。冷却液は、少なくとも1つの第3の通路(118)の出口(121)を通って、少なくとも1つの第3の通路(118)から少なくとも1つの第4の通路(122)に入り、少なくとも1つの第4の通路(122)の出口(123)を通って排出される。
【0009】
第1の態様の別の可能な実装において、少なくとも1つの第4の通路(122)内の冷却液は、少なくとも1つの第4の通路(122)の出口(123)を通って排出され、次いで、回転軸(101)へ流れ込む。
【0010】
第1の態様の別の可能な実装において、少なくとも1つの第4の貫通孔(120A)は、複数の積層シート(105)の各々にさらに提供され、各積層シートの少なくとも1つの第4の貫通孔(120A)は、第5の通路(118A)を形成する。少なくとも1つの第5の通路(118A)の入口(119A)は、第2のエンドプレート(104)に提供される。少なくとも1つの第2の液体出口(125)は、回転軸(101)にさらに提供される。少なくとも1つの第5の通路(118A)の入口(119A)は、回転軸(101)の少なくとも1つの第2の液体出口(125)と連通する。少なくとも1つの第5の通路(118A)の出口(121A)は、第1のエンドプレート(103)にさらに提供され、少なくとも1つの第5の通路(118A)から冷却液を排出するように構成される。冷却液は、回転軸(101)の少なくとも1つの第2の液体出口(125)を通って、少なくとも1つの第5の通路(118A)に入り、少なくとも1つの第5の通路(118A)の出口(121A)を通って排出される。
【0011】
第1の態様の別の可能な実装において、少なくとも1つの第5の通路(118A)内の冷却液は、少なくとも1つの第5の通路(118A)の出口(121A)を通って排出され、次いで、回転軸(101)へ流れ込む。
【0012】
第1の態様の別の可能な実装において、少なくとも1つの第5の貫通孔(124A)は、複数の積層シート(105)の各々にさらに提供され、各積層シートの少なくとも1つの第5の貫通孔(124A)は、少なくとも1つの第6の通路(122A)を形成する。少なくとも1つの第6の通路(122A)の入口(126A)は、第1のエンドプレート(103)にさらに提供される。少なくとも1つの第6の通路(122A)の入口(126A)は、第5の通路(118A)の出口(121A)であって、第1のエンドプレート(103)にある出口(121A)と連通し、第5の通路(118A)内の冷却液を少なくとも1つの第6の通路(122A)内へ案内するように構成される。少なくとも1つの第6の通路(122A)の出口(123A)は、第2のエンドプレート(104)にさらに提供され、少なくとも1つの第6の通路(122A)から冷却液を排出するように構成される。冷却液は、少なくとも1つの第5の通路(118A)の出口(121A)を通って、少なくとも1つの第5の通路(118A)から少なくとも1つの第6の通路(122A)に入り、少なくとも1つの第6の通路(122A)の出口(123A)を通って排出される。
【0013】
第1の態様の別の可能な実装において、少なくとも1つの第6の通路(122A)内の冷却液は、少なくとも1つの第6の通路(122A)の出口(123A)を通って排出され、次いで、回転軸(101)へ流れ込む。
【0014】
第1の態様の別の可能な実装において、少なくとも1つの第3の通路(118)、少なくとも1つの第3の通路(118)の入口(119)、少なくとも1つの第3の通路(118)の出口(121)、少なくとも1つの第2の貫通孔(120)、および少なくとも1つの第1の液体出口(116)のうちの1つまたは複数は、回転軸(101)のまわりに均一に分布させられる。
【0015】
第1の態様の別の可能な実装において、モータのロータは、中空構造を有し、回転軸(101)に位置する流れ分配装置(102)をさらに含む。固定構成要素(108)は、流れ分配装置(102)の外壁の2つの端部において配設され、流れ分配装置(102)は、固定構成要素(108)を使用して、回転軸(101)の内壁の2つの端部に接続される。少なくとも1つの第1の貫通孔(110)は、流れ分配装置(102)の側壁に提供される。開口は、流れ分配装置(102)の1つの端部に提供される。第1の通路(106)は、開口と少なくとも1つの第1の貫通孔(110)との間に形成される。バッフル板(107)は、流れ分配装置(102)における少なくとも1つの第1の貫通孔(110)と第1の通路(106)と反対の端部との間に配設される。第2の通路(109)は、流れ分配装置(102)の外壁と回転軸(101)の内壁との間に形成され、少なくとも1つの第1の貫通孔(110)は、第1の通路(106)を第2の通路(109)に接続するように構成される。回転軸(101)の少なくとも1つの第1の液体出口(116)は、第2の通路(109)と連通し、第2の通路(109)から冷却液を排出するように構成される。
【0016】
第1の態様の別の可能な実装において、回転軸(101)の少なくとも1つの第1の液体出口(116)は、第2の通路(109)と連通し、第2の通路(109)から冷却液を排出するように構成される。冷却液は、回転軸(101)の第1の通路(106)を通って第2の通路(109)へ流れ込み、少なくとも1つの第1の液体出口(116)を通って、少なくとも1つの第3の通路(118)へ流れ込む。
【0017】
第1の態様の別の可能な実装において、固定構成要素(108)は、環状突起である。
【0018】
第1の態様の別の可能な実装において、固定構成要素(108)は、密閉リングをさらに含む(113)。
【0019】
第1の態様の別の可能な実装において、補強構成要素(112)は、流れ分配装置(102)の外壁上に配設され、補強構成要素(112)は、流れ分配装置にある少なくとも1つの第1の貫通孔(110)の2つの側にある外壁(102)に接続するように構成される。
【0020】
第1の態様の別の可能な実装において、補強構成要素(112)は、長いストリップ状の突起である。
【0021】
第1の態様の別の可能な実装において、流れ分配構成要素(114)は、流れ分配装置(102)の外壁上にさらに配設される。
【0022】
第1の態様の別の可能な実装において、流れ分配構成要素(114)は、球状突起である。
【0023】
第1の態様の別の可能な実装において、流れ分配構成要素(114)は、螺旋形状である。
【0024】
第1の態様の別の可能な実装において、バッフル板(107)は、流れ分配装置(102)の端部であって、第1の通路(106)と反対にある端部に位置する。
【0025】
第1の態様の別の可能な実装において、固定構成要素(108)の高さは調整され、その結果、流れ分配装置(102)と第2の通路(109)との間の距離が変化するように調整される。
【0026】
第2の態様によれば、モータであって、モータのステータと、第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるモータのロータとを含む、モータが提供される。
【0027】
第3の態様によれば、第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるモータのロータを含む、パワートレインが提供される。
【0028】
第4の態様によれば、第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるモータのロータを含む、自動車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本出願の実施形態による自動車の概略構造図である。
図2】本出願の実施形態によるモータのロータ100の概略構造図である。
図3】本出願の実施形態によるモータの別のロータ100の概略構造図である。
図4】本出願の実施形態によるモータの別のロータ100の概略構造図である。
図5】本出願の実施形態によるモータの別のロータ100の概略構造図である。
図6】本出願の実施形態によるモータの別のロータ100の概略構造図である。
図7】本出願の実施形態による流れ分配装置102の概略構造図である。
図8】本出願の実施形態による別の流れ分配装置102の概略構造図である。
図9】本出願の実施形態による別の流れ分配装置102の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は、添付の図面を参照しつつ、本出願の技術的解決策を説明する。
【0031】
本出願の実施形態において、「中心」、「上」、「下」、「左側」、「右側」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」等という用語によって示される向きまたは位置関係は、添付の図面において示される向きまたは位置関係に基づいており、対象となる装置もしくは要素が特定の向きを有する必要があること、または特定の向きで構築され、動作させられる必要があることを示したり、または示唆したりするのではなく、本出願の実施形態を好都合に説明するために、および説明を単純化するために単に意図されているにすぎず、したがって、本出願の実施形態に対する限定として理解されることができないことが留意されるべきである。また、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、単に記述的な目的のために意図されているにすぎず、相対的な重要度を示すものまたは示唆するものとして理解されることはできない。
【0032】
また、本出願の実施形態の説明においては、別段の明示的な特定および限定がない限り、「取り付ける」、「相互接続する」、および「接続する」という用語は、広い意味で理解されるべきであることがさらに留意されるべきである。例えば、用語は、固定接続、分離可能な接続、もしくは一体的な接続を示し得、または機械的な接続もしくは電気的な接続であり得、または直接接続もしくは中間媒体を通じた間接接続であり得、または2つの要素における通信であり得る。当業者は、特定の状況に基づいて、本出願の実施形態における用語の特定の意味を理解し得る。
【0033】
以下は、まず、図1を参照しつつ、自動車の構造を説明する。
【0034】
図1は、本出願の実施形態による自動車の概略構造図である。図1に示されるように、自動車は、1つまたは複数のパワートレイン、バッテリパック、およびホイールを含み得る。
【0035】
パワートレインは、モータ、電気駆動部、および減速器を含み得る。モータは、電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換のための装置であり、2つの部分、すなわち、ステータとロータとを含む。モータのステータは、モータの静止部分であり、3つの部分、すなわち、ステータコア、ステータ巻線と、ベースとを含み、主に回転磁場を生成するように機能する。モータのロータは、モータの回転部分であり、(出力)電流を生成するために回転磁場内で磁力線で切断されるように主に機能する。
【0036】
自動車(例えば、新エネルギー車両)の駆動モータは、高い出力密度、高い動作効率、および広い速度調節範囲などの利点を有しており、したがって、新エネルギー車両などの産業用途において広く使用されている。駆動モータの冷却モードに応じて、冷却構造は、主に、空冷構造、水冷構造、および油冷構造を含み得る。近年、新エネルギー車両の分野が、駆動モータの高い出力密度および高い回転速度を求めて絶えず努力するにつれて、モータ巻線の銅損密度ならびにステータコアおよびロータコアの鉄損密度が比較的高くなり、過度に高いモータ温度は、巻線の焼損およびロータ磁性鋼の減磁などの問題を引き起こす。したがって、モータのロータ巻線およびステータ巻線を冷却することが必要である。
【0037】
従来の技術的解決策では、異なる構造を有し、ロータの回転軸上で入れ子にされる複数の積層シートが、冷却液の通路を形成するために積み重ねられる。ロータの回転軸上で入れ子にされる複数の積層シートは、異なる構造を有するので、複雑さおよび実装コストが増加される。
【0038】
本出願の実施形態において提供されるモータのロータにおいて、モータのロータ上の複数の積層シートは、同じ構造を有することができ、金型コストおよび製造コストは、比較的低くすることができ、ロータの単層の通路、2層の通路、または複数層の通路内の冷却液が、冷却のために使用されることが可能である。
【0039】
以下は、図2を参照しつつ、本出願の実施形態によるモータのロータを詳細に説明する。
【0040】
図2は、本出願の実施形態によるモータのロータ100の概略構造図である。図2に示されるように、モータのロータ100は、回転軸101、第1のエンドプレート103、第2のエンドプレート104、および複数の積層シート105を含み得る。
【0041】
回転軸101は、中空の回転軸であってよい。冷却液を回転軸101内へ案内することを支援するために、回転軸101の一方の側に開口が提供される。
【0042】
第1のエンドプレート103および第2のエンドプレート104は、回転軸101の外壁の2つの側に配設され、回転軸101内の冷却液の流れ方向に対して垂直である。複数の積層シート105は、共に積み重ねられ、回転軸101の外壁に配設される。複数の積層シート105は、回転軸101内の冷却液の流れ方向に対して垂直であり、第1のエンドプレート103と第2のエンドプレート104との間に配設される。
【0043】
積層シート105はケイ素鋼板であってよいことが理解されるべきである。これは、本出願において特に限定されない。
【0044】
少なくとも1つの第1の液体出口116が、回転軸101の外壁に提供される。少なくとも1つの第3の通路118の入口119が、第1のエンドプレート103に提供される。少なくとも1つの第3の通路118の入口119の位置は、少なくとも1つの第1の液体出口116の位置の反対にあり、その結果、冷却液は、回転軸101に入り、次いで、回転軸101の外壁の少なくとも1つの第1の液体出口116を通って、少なくとも1つの第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119へ流れ込む。少なくとも1つの第2の貫通孔120が、複数の積層シート105の各々に提供され、複数の積層シート105の全部にある第2の貫通孔120は、共に重ね合わされて、少なくとも1つの第3の通路118を形成する。少なくとも1つの第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119は、少なくとも1つの第3の通路118と連通しており、回転軸101へ流れ込む冷却液を、回転軸101の少なくとも1つの第1の液体出口116を通って、少なくとも1つの第3の通路118内へ案内するように構成される。少なくとも1つの第3の通路118の出口121は、第2のエンドプレート104に提供される。少なくとも1つの第3の通路118の出口121は、少なくとも1つの第3の通路118と連通しており、少なくとも1つの第3の通路118へ流れ込む冷却液を排出するように構成される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)内へ流れ込み得る。
【0045】
上述された「少なくとも1つ」は、1つまたは複数であってよいことが理解されるべきである。これは、本出願において特に限定されない。説明の簡単さのために、図2において、1つの第2の貫通孔120は、複数の積層シート105の各々に提供され、複数の積層シート105は、共に重ね合わされて、1つの第3の通路118を形成し、1つの第3の通路118の入口119は、第1のエンドプレート103に提供され、1つの第3の通路118の出口121は、第2のエンドプレート104に提供される。
【0046】
図2において、冷却液は、回転軸101に入り、回転軸101内の冷却液は、回転軸101の外壁に提供される第1の液体出口116を通って、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119内へ案内される。冷却液は、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119を通って、第3の通路118に入り、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121を通って排出される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)内へ流れ込み得る。
【0047】
任意選択で、いくつかの実施形態において、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121の位置は、ステータの終端巻線117の位置と反対にあってよく、その結果、第3の通路118内の冷却液は、第3の通路118の出口121を通って、ステータの終端巻線117の表面上へスプレーされ得、ステータ巻線を冷却して、モータ巻線の銅損密度を低減する。ステータの終端巻線117の表面上へスプレーされた冷却液も、循環ループを通ってリサイクルされ得る。
【0048】
第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121の穿孔位置は、本出願の本実施形態において特に限定されないことが留意されるべきである。第2のエンドプレート104は、回転軸101内の冷却液の流れ方向に対して垂直な方向に穿孔されてよく、または回転軸101内の冷却液の流れ方向に対して特定の角度で穿孔されてよい。例えば、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121の穿孔位置は、回転軸101内の冷却液の流れ方向に対して45度である方向にあってよい。
【0049】
本出願の本実施形態において、少なくとも1つの第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119の形状、少なくとも1つの第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121の形状、および複数の積層シート105の少なくとも1つの第2の貫通孔120の形状は、互いに異なってよい。これは、回転軸101内を流れる冷却液が、少なくとも1つの第3の通路118の入口119を通って、少なくとも1つの第3の通路118へ流れ込み得、少なくとも1つの第3の通路118の出口121を通って排出され得るのであれば、本出願において特に限定されない。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0050】
少なくとも1つの第3の通路118の入口119、少なくとも1つの第3の通路118の出口121、および複数の積層シート105の少なくとも1つの第2の貫通孔120によって形成される、少なくとも1つの第3の通路118は、回転軸101のまわりに分布させられ得る。好ましくは、少なくとも1つの第3の通路118の入口119、少なくとも1つの第3の通路118の出口121、および複数の積層シート105の少なくとも1つの第2の貫通孔120によって形成される、少なくとも1つの第3の通路118は、回転軸101のまわりに均一に分布させられ得る。
【0051】
本出願において、複数の積層シート105に提供される少なくとも1つの第2の貫通孔120は、真っ直ぐな貫通孔であってよく、または螺旋状の孔であってよい。孔の断面形状は、例えば、丸い孔、楕円形の孔、菱形の孔、スロット状の孔等のうちのいずれかまたは組み合わせであってよい。
【0052】
任意選択で、いくつかの実施形態において、モータのロータをより良好に冷却するために、冷却液は、複数の通路において2つの交差方向に流れてよく、その結果、ロータは、複数の通路内の冷却液の双方向交差冷却を使用して、より良好に冷却される。
【0053】
例えば、本出願の本実施形態において、第1のエンドプレート103の構造と第2のエンドプレート104の構造とは、同じであってよい。取り付け期間中に、第1のエンドプレート103および第2のエンドプレート104のうちの一方は、回転軸101の外壁の一方の側に取り付けられ得、第1のエンドプレート103および第2のエンドプレート104のうちの他方は、回転軸101の外壁の他方の側にミラーリング手法で取り付けられ、スタガリングのために固定角で回転させられ得る。
【0054】
図2に示される実施形態に基づいて、少なくとも1つの第4の貫通孔120Aが、複数の積層シート105の各々にさらに提供される。図3に示されるように、複数の積層シート105の全部にある第4の貫通孔120Aは、共に重ね合わされて、少なくとも1つの第5の通路118Aを形成する。少なくとも1つの第5の通路118Aの出口121Aは、第1のエンドプレート103にさらに提供され、少なくとも1つの第5の通路118Aの入口119Aは、第2のエンドプレート104にさらに提供される。少なくとも1つの第2の液体出口125は、回転軸101にさらに提供される。少なくとも1つの第2の液体出口125は、少なくとも1つの第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104にある入口119Aと連通しており、回転軸101へ流れる冷却液を少なくとも1つの第5の通路118A内へ案内するように構成される。
【0055】
説明の簡単さのために、図3において、例えば、1つの第2の貫通孔120および1つの第4の貫通孔120Aは、複数の積層シート105の各々に提供され、複数の積層シート105の全部にある第2の貫通孔120は、共に重ね合わされて、1つの第3の通路118を形成し、複数の積層シート105の全部にある第4の貫通孔120Aは、共に重ね合わされて、1つの第5の通路118Aを形成し、1つの第3の通路118の入口119および1つの第5の通路118Aの出口121Aは、第1のエンドプレート103に提供され、1つの第3の通路118の出口121および1つの第5の通路118Aの入口119Aは、第2のエンドプレート104に提供される。
【0056】
図3を参照すると、第1のエンドプレート103について、第1のエンドプレート103に提供される、第3の通路118の入口119および第5の通路118Aの出口121Aの位置間の関係は、本出願において特に限定されない。例えば、図3において、第1のエンドプレート103にある、第3の通路118の入口119および第5の通路118Aの出口121Aの位置は、第1のエンドプレート103上で180度だけ離間されてよい。同様に、第2のエンドプレート104について、第2のエンドプレート104に提供される、第3の通路118の出口121および第5の通路118Aの入口119Aの位置間の関係は、本出願において特に限定されない。例えば、図3において、第2のエンドプレート104に提供される、第3の通路118の出口121および第5の通路118Aの入口119Aの位置は、第2のエンドプレート104上で180度だけ離間されてよい。複数の積層シート105の各々について、積層シート105に提供される、第2の貫通孔120および第4の貫通孔120Aの位置間の関係は、本出願において特に限定されない。例えば、図3において、第2の貫通孔120および第4の貫通孔120Aの位置は、積層シート105上で180度だけ離間されてよい。
【0057】
取り付け期間中に、第2のエンドプレート104は、360/n=360/2=180度だけ回転されてよく、ただし、nは、第1のエンドプレート103または第2のエンドプレート104に提供される孔の量を表す。例えば、図3において、1つの第3の通路118の入口119および1つの第5の通路118Aの出口121Aは、第1のエンドプレート103に提供され、ただし、n=2である。
【0058】
図3に示されるように、複数の積層シート105の全部にある第2の貫通孔120は、共に重ね合わされて、1つの第3の通路118を形成する。第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103に提供される入口119と、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104に提供される出口121とは、第3の通路118と別々に連通しており、その結果、冷却液は、第3の通路118の入口119から第3の通路118内へ案内され、第3の通路118を通って流れ、第3の通路118内の冷却液は、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104に提供される出口121を通って排出される。複数の積層シート105の全部にある第4の貫通孔120Aは、共に重ね合わされて、1つの第5の通路118Aを形成する。第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104に提供される入口119A、および回転軸101の少なくとも1つの第2の液体出口125は、回転軸101内を流れる冷却液を、少なくとも1つの第2の液体出口125を通って第5の通路118A内へ案内するように構成され、冷却液は、第5の通路118Aの出口121Aであって、第1のエンドプレート103にある出口121Aを通って排出される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0059】
図3において、冷却液は、回転軸101の一方の側の開口を通って回転軸101に入り得る。一方では、回転軸101の外壁に提供される第1の液体出口116は、回転軸101内の冷却液を、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119内へ案内し、回転軸101内の冷却液は、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119を通って、第3の通路118に入り、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121を通って排出される。他方では、回転軸101の外壁に提供された少なくとも1つの第2の液体出口125は、回転軸101内の冷却液を、第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104にある入口119A内へ案内して、第5の通路118Aに入らせ、冷却液は、第5の通路118Aの出口121Aであって、第1のエンドプレート103にある出口121Aを通って排出される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0060】
本出願の本実施形態において、図2に示される実施形態における第1のエンドプレート103および第2のエンドプレート104の構造は、複数の通路を実装するように、同じになるように設定されてよく、双方向交差冷却は、複数の通路において実装され、その結果、ロータは比較的望ましく冷却される。また、第1のエンドプレート103および第2のエンドプレート104の構造は同じであるので、金型コストおよび製造コストが比較的低く、これは実装するのが簡単である。
【0061】
任意選択で、いくつかの実施形態において、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121の位置、および第5の通路118Aの出口121Aであって、第1のエンドプレート103にある出口121Aの位置は、ステータの2つの端部における終端巻線117の位置と別々に対向してよく、その結果、第3の通路118の出口121は、ステータの2つの端部における終端巻線117の表面上へ第3の通路118内の冷却液をスプレーし得、または、第5の通路118Aの出口121Aは、ステータ巻線を冷却し、モータ巻線の銅損密度を低減するように、ステータの2つの端部における終端巻線117の表面上へ第5の通路118A内の冷却液をスプレーし得る。ステータの終端巻線117の表面上へスプレーされた冷却液も、循環ループを通ってリサイクルされ得る。
【0062】
任意選択で、いくつかの実施形態において、複数の層の孔が、複数の積層シート105の各々に提供されてよい。例えば、図4において、各積層シート105の第1の層の孔は、少なくとも1つの第2の貫通孔120を含み、各積層シート105の第2の層の孔は、少なくとも1つの第3の貫通孔124を含むなどである。少なくとも1つの第2の貫通孔120は、少なくとも1つの第3の通路118を形成するように構成され、少なくとも1つの第3の貫通孔124は、少なくとも1つの第4の通路122を形成するために連通するなどである。
【0063】
図4に示されるように、第3の通路118のn個の入口119は、第1のエンドプレート103に提供されてよく、ただし、nは、2以上の正の整数である。冷却液は、回転軸101の外壁の少なくとも1つの第1の液体出口116を通って、少なくとも1つの第3の通路118および少なくとも1つの第4の通路122に入る。冷却液は、少なくとも1つの第3の通路118および少なくとも1つの第4の通路122において一方向に流れてよく、または、少なくとも1つの第3の通路118および少なくとも1つの第4の通路122において双方向に流れてよい。
【0064】
可能な実装において、図4を参照すると、少なくとも1つの第4の通路122の入口126が、第2のエンドプレート104にさらに提供される。少なくとも1つの第4の通路122の入口126は、少なくとも1つの第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121と連通しており、その結果、少なくとも1つの第3の通路118の冷却液は、少なくとも1つの第3の通路118の出口121を通って、少なくとも1つの第4の通路122に流れ込む。冷却液は、回転軸101の外壁の少なくとも1つの第1の液体出口116から、少なくとも1つの第3の通路118の入口119に入り、少なくとも1つの第3の通路118の入口119を通って、少なくとも1つの第3の通路118に入り、少なくとも1つの第3の通路118の出口121を通って、少なくとも1つの第3の通路118の出口121と連通する少なくとも1つの第4の通路122の入口126に入り、少なくとも1つの第4の通路122に入る。少なくとも1つの第4の通路122の出口123は、第1のエンドプレート103にさらに提供され、少なくとも1つの第4の通路122と連通し、少なくとも1つの第4の通路122から冷却液を排出するように構成される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0065】
本出願の本実施形態において、第4の通路122の入口126であって、第2のエンドプレート104にある入口126は、代替として、第3の通路118の出口121と同じであってよいことが留意されるべきである。具体的には、第3の通路118の出口121が、第2のエンドプレート104に提供される場合、第3の通路118の出口121は、第4の通路122の入口としての役割を果たしてもよく、または、第4の通路122の入口126が、第2のエンドプレート104に提供される場合、第4の通路122の入口126は、第3の通路118の出口としての役割を果たしてもよい。
【0066】
別の可能な実装において、少なくとも1つの第3の通路118の入口119と、第1のエンドプレート103の少なくとも1つの第4の通路122の出口123とは、回転軸101の外壁の少なくとも1つの第1の液体出口116と別々に連通しており、その結果、冷却液は、回転軸101の外壁の少なくとも1つの第1の液体出口116から、少なくとも1つの第3の通路118の入口119および少なくとも1つの第4の通路122の出口123の各々に入る。一方では、冷却液は、少なくとも1つの第4の通路122の入口126を通って、少なくとも1つの第4の通路122に入ってよく、少なくとも1つの第4の通路122と連通する第4の通路122の出口123を通って排出される。他方では、冷却液は、少なくとも1つの第3の通路118の入口119を通って、少なくとも1つの第3の通路118に入ってよく、少なくとも1つの第3の通路118と連通する少なくとも1つの第3の通路118の出口121を通って排出される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0067】
任意選択で、第4の通路122の出口123であって、第1のエンドプレート103にある出口123の位置は、ステータの終端巻線117の位置と反対にあり、その結果、第4の通路122の出口123は、ステータの終端巻線117の表面上へ第4の通路122内の冷却液をスプレーする。このようにして、第4の通路122の出口123によってスプレーされた冷却液は、ステータ巻線を冷却し、モータ巻線の銅損密度を低減する。ステータの終端巻線117の表面上へスプレーされた冷却液も、循環ループを通ってリサイクルされ得る。
【0068】
任意選択で、図4に示される実施形態において、第1のエンドプレート103の構造と第2のエンドプレート104の構造とは、同じであってもよい。例えば、図5を参照すると、少なくとも1つの第4の貫通孔120Aが、複数の積層シート105の各々にさらに提供され、複数の積層シート105の全部にある第4の貫通孔120Aは、共に重ね合わされて、少なくとも1つの第5の通路118Aを形成する。少なくとも1つの第5の貫通孔124Aが、複数の積層シート105の各々にさらに提供され、複数の積層シート105の全部にある第5の貫通孔124Aは、共に重ね合わされて、少なくとも1つの第6の通路122Aを形成する。
【0069】
少なくとも1つの第5の通路118Aの入口119Aが、第2のエンドプレート104にさらに提供され、少なくとも1つの第5の通路118Aの出口121Aが、第1のエンドプレート103にさらに提供される。少なくとも1つの第5の通路118Aの入口119Aと、少なくとも1つの第5の通路118Aの出口121Aとは、少なくとも1つの第5の通路118Aと別々に連通する。少なくとも1つの第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104にある入口119Aは、回転軸101内の冷却液を、回転軸101の外壁に提供される少なくとも1つの第2の液体出口125を通って、少なくとも1つの第5の通路118A内へ案内し得、冷却液は、少なくとも1つの第5の通路118Aを通って流れる。少なくとも1つの第6の通路122Aの入口126Aが、第1のエンドプレート103にさらに提供され、少なくとも1つの第6の通路122Aの出口123Aが、第2のエンドプレート104にさらに提供される。少なくとも1つの第6の通路122Aの入口126Aは、少なくとも1つの第5の通路118Aの出口121Aであって、第1のエンドプレート103にある出口121Aと連通しており、その結果、少なくとも1つの第5の通路118A内の冷却液は、少なくとも1つの第5の通路118Aの出口121Aを通って、少なくとも1つの第6の通路122Aへ流れ込む。少なくとも1つの第6の通路122Aの出口123Aであって、第2のエンドプレート104にある出口123Aは、少なくとも1つの第6の通路122Aから冷却液を排出するように構成される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0070】
本出願の本実施形態において、第6の通路122Aの入口126Aであって、第1のエンドプレート103にある入口126Aは、代替として、第5の通路118Aの出口121Aと同じであってよいことが留意されるべきである。具体的には、第5の通路118Aの出口121Aが、第1のエンドプレート103に提供される場合、第5の通路118Aの出口121Aは、第6の通路122Aの入口としての役割を果たしてもよく、または、第6の通路122Aの入口126Aが、第1のエンドプレート103に提供される場合、第6の通路122Aの入口126Aは、第5の通路118Aの出口としての役割を果たしてもよい。
【0071】
前述の実施形態において、複数の層の孔が、複数の積層シート105の各々に提供されてよいことがさらに留意されるべきである。説明の簡単さのために、図5において、例えば、2層の孔が、複数の積層シート105の各々に提供され、第1の層の孔は、3つの第2の貫通孔120および3つの第4の貫通孔120Aを含み、第2の層の孔は、3つの第3の貫通孔124および3つの第5の貫通孔124Aを含む。
【0072】
具体的には、図5を参照すると、n個の入口119が、第1のエンドプレート103に提供されてよく、ただし、nは、2以上の正の整数である。冷却液は、回転軸101の外壁に提供される少なくとも1つの第2の液体出口125を通って、少なくとも1つの第5の通路118Aおよび少なくとも1つの第6の通路122Aに入る。冷却液は、少なくとも1つの第5の通路118Aおよび少なくとも1つの第6の通路122Aにおいて一方向に流れてよく、または、少なくとも1つの第5の通路118Aおよび少なくとも1つの第6の通路122Aにおいて双方向に流れてよい。
【0073】
説明の簡単さのために、図5において、例えば、第3の通路118の3つの入口119、第5の通路の118Aの3つの出口121A、第4の通路122の3つの出口123、および第6の通路122Aの3つの入口126Aは、第1のエンドプレート103に提供される。第2のエンドプレート104の構造と第1のエンドプレート103の構造とは、同じであり、第5の通路118Aの3つの入口119A、第3の通路118の3つの出口121、第6の通路の122Aの3つの出口123A、および第4の通路122の3つの入口126は、第2のエンドプレート104に提供される。
【0074】
第3の通路118の3つの入口119の位置間の関係、第5の通路118Aの3つの出口121Aの位置間の関係、第4の通路122の3つの出口123の位置間の関係、および第6の通路122Aの3つの入口126Aの位置間の関係は、本出願において特に限定されず、ただし、3つの入口119、3つの出口121A、3つの出口123、および3つの入口126Aは、第1のエンドプレート103に提供される。同様に、第5の通路118Aの3つの入口119Aの位置間の関係、第3の通路118の3つの出口121の位置間の関係、第6の通路122Aの3つの出口123Aの位置間の関係、および第4の通路122の3つの入口126の位置間の関係は、特に限定されず、ただし、3つの入口119A、3つの出口121、3つの出口123A、および3つの入口126は、第2のエンドプレート104に提供される。好ましくは、前述の入口および前述の出口は、回転軸101のまわりに均一に分布させられ得る。例えば、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある3つの入口119は、互いに120度だけ離間される。同様に、第5の通路118Aの3つの出口121Aも、互いに120度だけ離間され、第4の通路122の3つの出口123も、互いに120度だけ離間され、第6の通路122Aの3つの入口126Aは、互いに120度だけ離間される。第2のエンドプレート104の構造と第1のエンドプレート103の構造とは、同じであり、詳細は、本明細書において再度説明されない。取り付け期間中に、第2のエンドプレート104は、360/n=360/6=60度だけ回転されて、第2のエンドプレート104を第1のエンドプレート103に関してミラーリング手法で取り付けてよい。代替として、第1のエンドプレート103は、360/n=360/6=60度だけ回転されて、第1のエンドプレート103を第2のエンドプレート104に関してミラーリング手法で取り付けてよい。
【0075】
図5において、冷却液は、回転軸101に入り得る。一方では、回転軸101の外壁に配設される第1の液体出口116は、回転軸101内の冷却液を、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119内へ案内し得る。冷却液は、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119を通って第3の通路118に入り、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121と連通する第4の通路122の入口(126)を通って第4の通路122へ流れ込み、次いで、第4の通路122の出口123であって、第1のエンドプレート103にある出口123を通って排出される。他方では、回転軸101の外壁に提供される第2の液体出口125は、回転軸101内の冷却液を、第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104にある入口119A内へさらに案内し得る。冷却液は、第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104にある入口119Aを通って、第5の通路118Aに入り、第6の通路122Aの入口(126A)であって、第1のエンドプレート103にあり、第5の通路118Aの出口121Aと連通する入口(126A)を通って、第6の通路122Aへ流れ込み、第6の通路122Aの出口123Aであって、第2のエンドプレート104にある出口123Aを通って排出される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0076】
前述の解決策において、複数の層の通路が、複数の積層シートにおいて実装され得、その結果、複数の層の通路内の冷却液が、積層シートを冷却し、冷却効果は比較的望ましい。
【0077】
任意選択で、いくつかの実施形態において、一方では、ロータを冷却するように、ロータの回転軸の内壁の表面と冷却液との対流および熱交換が実行され得る。ロータの高温領域は、通常、ロータの軸中心部分に位置するので、冷却液は、ロータの回転軸内の対応する特定の領域へ輸送される必要があることが好ましい。他方では、ロータの回転運動下で、ロータは、ステータ巻線を冷却するために、モータのステータの2つの側の終端巻線上へ冷却液をさらにスプレーし得る。このようにして、ロータに入る冷却液は、ロータ内でロータの2つの端部へ安定的かつ効果的に分配される必要がある。
【0078】
ロータの回転速度および冷却液の流れは、広い範囲を有しており、ロータの異なる回転速度および冷却液の異なる流れは、冷却液の流れ分配に影響を及ぼす。したがって、本出願の本実施形態において、ロータの回転軸の空洞内の特定の領域へ冷却液を輸送し、ロータの2つの端部へ流れを安定的に分配させるために、流れ分配装置が提供され、その結果、回転軸に入る冷却液は、回転軸の特定の軸位置へ効果的に輸送され、次いで、冷却液の流れは、回転軸の遠心力の下でロータの2つの端部へ安定的に分配される。これは、モータのロータ巻線およびステータ巻線を冷却する問題、特に、特定の作動条件における電気自動車のパワートレインのステータ巻線およびロータ磁性鋼の過熱の問題を解決する。
【0079】
以下は、図6を参照しつつ、本出願の実施形態によるモータの別のロータを詳細に説明する。
【0080】
図6は、本出願の実施形態によるモータのロータ100の概略構造図である。図6に示されるように、モータのロータ100は、回転軸101、流れ分配装置102、第1のエンドプレート103、第2のエンドプレート104、および複数の積層シート105を含み得る。
【0081】
流れ分配装置102は、図6において陰影のあるスラッシュ部分で示されている。流れ分配装置102は、回転軸101の内部空洞に埋め込まれており、回転軸101と共に動く。具体的には、流れ分配装置102は、中空構造である。流れ分配装置102の形状は、本出願の本実施形態において特に限定されない。例えば、流れ分配装置102は、中空円筒であってよい。別の例として、流れ分配装置102は、別の三次元中空構造であってよい。
【0082】
流れ分配装置102は、回転軸101の内壁上に固定される。具体的には、固定構成要素108は、流れ分配装置102の外壁であって、回転軸101の軸線方向に沿った外壁の2つの端部に配設され、その結果、流れ分配装置102は、流れ分配装置102の外壁の2つの端部において固定構成要素108を使用して、回転軸101の内部空洞の2つの内側側壁上に固定される。
【0083】
少なくとも1つの第1の貫通孔110が、流れ分配装置102の外壁に軸方向に提供される。少なくとも1つの第1の貫通孔110は、第1の通路106および第2の通路109の各々と連通しており、第1の通路106と第2の通路109とを接続するように構成される。流れ分配装置102に提供される、少なくとも1つの第1の貫通孔110の特定の位置は、本出願の本実施形態において限定されない。流れ分配装置102の中空軸構造の壁面にある少なくとも1つの第1の貫通孔110の穿孔位置は、回転軸101の特定の軸位置へ冷却液を効果的に輸送するように調整され得る。
【0084】
第2の通路109は、流れ分配装置102の外壁と回転軸101の内壁との間に形成される。流れ分配装置102の端部であって、回転軸101の内壁上に固定される端部に、開口が提供され、第1の通路106は、開口と少なくとも1つの第1の貫通孔110との間に形成される。流れ分配装置102における少なくとも1つの第1の貫通孔(110)と、第1の通路(106)と反対の端部との間に、バッフル板(107)が配設され、バッフル板107は、第1の通路106内の冷却液が、流れ分配装置102から流れ出ることを防止するように構成される。可能な実装において、バッフル板(107)は、流れ分配装置(102)の端部であって、第1の通路(106)と反対の端部に位置する。
【0085】
流れ分配装置102の外壁の2つの端部、および回転軸101の内部空洞の2つの内側側壁が、固定されることまたは密閉されることが可能であれば、流れ分配装置102の外壁であって、回転軸101の軸線方向に沿った外壁の2つの端部における固定構成要素108の特定の形状は、本出願の本実施形態において特に限定されない。
【0086】
任意選択で、可能な実装において、固定構成要素108は、流れ分配装置102の外壁の2つの端部における環状突起である。環状突起の外部壁面および回転軸101の内部空洞の壁面は、締まりばめを使用し、その結果、流れ分配装置102の外壁の2つの端部および回転軸101の内部空洞の壁面の2つの端部は、軸方向に密閉され、固定される。
【0087】
任意選択で、別の可能な実装において、固定構成要素108は、流れ分配装置102の外壁の2つの端部における環状突起および密閉リングである。例えば、図7を参照すると、流れ分配装置102の外壁の2つの端部における環状突起108に、溝が提供され、密閉リング113は、溝に配設される。環状突起108の外部壁面、および溝内の密閉リング113、および回転軸101の内部空洞の壁面は、締まりばめを使用し、その結果、流れ分配装置102の外壁の2つの端部、および回転軸101の内部空洞の壁面の2つの端部は、軸方向に密閉され、固定される。
【0088】
任意選択で、本出願の本実施形態において、流れ分配装置102の内径、外径、および壁厚は、特に限定されず、第1の通路106および/または第2の通路109の径方向の空間サイズは、実際の要件に基づいて調整されてよい。例えば、第1の通路106の径方向の空間サイズは、回転軸101に入る冷却液の流れを増加させるために、増加され得る。例えば、第2の通路109の径方向の空間サイズは、回転軸101に入る冷却液と回転軸101の内壁面との間のカバレッジ領域を増加させ、回転軸101の対流および熱交換を高め、回転軸101をより良好に冷却するために、さらに低減されてよい。
【0089】
本出願の本実施形態において、冷却液は、冷却液入口チャネルから第1の通路106に入ってよく、流れ分配装置102の外壁に軸方向に提供される、少なくとも1つの第1の貫通孔110を通って第2の通路109に入る。回転軸101に入る冷却液は、回転軸101の遠心力の下でロータ100の2つの端部へ冷却液の流れを安定的に分配させるように、回転軸101の特定の軸位置へ輸送され得、それによって、モータのロータを冷却する問題を解決する。
【0090】
任意選択で、流れ分配装置102の外壁に軸方向に提供される、少なくとも1つの第1の貫通孔110は、回転軸101のまわりに均一に分布させられ得る。
【0091】
任意選択で、いくつかの実施形態において、回転軸101に位置する流れ分配装置102を軸方向に固定するように、軸固定部111は、回転軸101の端部であって、開口が提供され、第1の通路106が形成される端部と反対の別の端部に配設される。
【0092】
流れ分配装置102に入る冷却液が流れ出ることが防止されることが可能であれば、固定部111は、本出願の本実施形態において特に限定されない。可能な実装において、固定部111は、バッフル板であってよい。
【0093】
流れ分配装置102の材料は、本出願の本実施形態において特に限定されない。流れ分配装置102は、プラスチック材料であってよく、または金属材料であってよく、または別の材料であってよい。本出願の本実施形態において、流れ分配装置102は、金型を用いて処理され得、その結果、製造コストは低くなる。
【0094】
第1の通路106および第2の通路109に入る冷却液は、本出願の本実施形態において特に限定されず、水であってよく、または油であってよく、または冷却のための別の化学溶液であってよいことが留意されるべきである。
【0095】
任意選択で、いくつかの実施形態において、回転軸101の内壁と流れ分配装置102の外壁との間の距離を調整して、第2の通路109において回転軸101の2つの端部に入る冷却液の割合を調整するように、流れ分配装置102の外壁であって、回転軸101の軸線方向に沿った外壁の2つの端部に配設される固定構成要素108の高さは、さらに調整され得る。
【0096】
任意選択で、いくつかの実施形態において、流れ分配装置102の外壁の表面上に、補強構成要素がさらに配設され得る。補強構成要素は、少なくとも1つの第1の貫通孔110の2つの端部において流れ分配装置102に接続して、流れ分配装置102の外壁と回転軸101の内壁との間に支持を提供するように構成され得、ロータ100が高速で回転する場合に、流れ分配装置102の不十分な構造強さによって引き起こされる損傷の問題を解決するように構成され得る。
【0097】
可能な実装において、補強構成要素は、図7に示される補剛材112であってよく、補剛材112は、例えば、流れ分配装置102上に軸方向に配設される長いストリップ状の突起であってよい。具体的には、長いストリップ状の突起の方向は、回転軸101の軸線方向に平行であってよく、または回転軸101の軸線方向に対して特定の角度であってよい。これは本出願において特に限定されない。図7において、補剛材112が回転軸101の軸線方向に平行な例は、説明のために使用されている。
【0098】
図7に示されるように、溝は、流れ分配装置102の外壁の2つの側の環状突起108に提供され、密閉リング113は溝に配設されることが留意されるべきである。環状突起の外部壁面、および溝内の密閉リング113、および回転軸101の内部空洞の壁面は、締まりばめを使用し、その結果、流れ分配装置102および回転軸101の内部空洞の壁面は、軸方向に密閉され、固定される。
【0099】
任意選択で、いくつかの実施形態において、流れ分配装置102の外壁の表面上に、流れ分配構成要素がさらに配設されて、第2の通路109内の冷却液と回転軸101の内部空洞の壁面との対流および熱交換を高め、ロータの冷却能力を改善し得る。また、流れ分配構成要素は、流れ分配装置102をさらに強化し、支持し得る。例えば、可能な実装において、図8に示されるように、流れ分配装置102の外壁の表面上に配設される流れ分配構成要素は、少なくとも1つの突起114である。少なくとも1つの突起114は、第2の通路109内の冷却液と回転軸101の内部空洞の壁面との対流および熱交換を高め、ロータの冷却能力を改善することができる。
【0100】
図8における少なくとも1つの突起114の形状は、本出願の本実施形態において特に限定されず、球状突起または別の形状の突起であってよい。図8において、突起114が球状突起である例は、説明のために使用されている。
【0101】
任意選択で、いくつかの実施形態において、流れ分配装置102の外壁の表面上に、加圧構造がさらに配設され得る。回転軸101が回転する場合、流れ分配装置102上の加圧構造は、回転するように駆動されて、第2の通路109内の冷却液に対する圧送効果を生成する。また、加圧構造は、流れ分配機能をさらに実行し、第2の通路109内の冷却液と回転軸101の内部空洞の壁面との対流および熱交換を高め、ロータの冷却能力を改善し得る。また、加圧構造は、流れ分配装置102をさらに強化し、支持する。例えば、可能な実装において、図9に示されるように、加圧構造は、流れ分配装置102の外壁の表面上に配設される螺旋構造115である。回転軸101が回転する場合、螺旋構造115は、回転するように駆動されて、第2の通路109内の冷却液に対する圧送効果を生成する。また、螺旋構造115は、第2の通路109内の冷却液と回転軸101の内部空洞の壁面との対流および熱交換をさらに高め、流れ分配装置102を強化し、支持し得る。
【0102】
任意選択で、いくつかの実施形態において、図8に示される流れ分配装置102の外壁の表面上の少なくとも1つの突起114は、図9に示される螺旋形状にさらに配置されてよい。
【0103】
本出願の本実施形態において提供されるモータのロータの回転軸の空洞内の流れ分配装置は、単純な構造を有し、高度にユニバーサルであり、サイズが柔軟に調整されることができ、回転軸上に対する特別な処理要件を有しない。一方では、流れ分配装置は、ロータの冷却能力を高めることができ、比較的望ましい冷却効果を有する。他方では、流れ分配装置は、金型を用いて射出成型され得、コスト効率が良い。
【0104】
回転軸101内の流れ分配装置102は、上述されており、以下は、冷却液が回転軸101内の流れ分配装置102に入り、図6における流れ分配装置102を通って第1のエンドプレート103および/または第2のエンドプレート104に入る特定の実装を説明する。
【0105】
冷却液が入る回転軸101内の流れ分配装置102、冷却液が流れ分配装置102を通って入る第1のエンドプレート103および/または第2のエンドプレート104、ならびに第1のエンドプレート103と第2のエンドプレート104との間に位置する複数の積層シート105は、図2から図5における任意の構造であってよいことが留意されるべきである。
【0106】
説明の簡単さのために、図6においては、図3における第1のエンドプレート103、第2のエンドプレート104、および複数の積層シート105の構造が説明される。
【0107】
図6を参照すると、一方では、第2の通路109内の冷却液は、回転軸101の外壁に提供される第1の液体出口116を通って、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119に流れ込み、第3の通路118の入口119であって、第1のエンドプレート103にある入口119を通って第3の通路118に入り、第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121を通って排出される。他方では、第2の通路109内の冷却液は、回転軸101の外壁に提供される第2の液体出口125を通って、第5の通路118Aの入口119Aであって、第2のエンドプレート104にある入口119Aに流れ込み、第5の通路118Aに入り、第5の通路118Aの出口121Aであって、第1のエンドプレート103にある出口121Aを通って排出される。排出された冷却液は、循環ループを通ってリサイクルされ得る。具体的には、排出された冷却液は、リサイクルのための循環ループを通って回転軸(101)へ流れ込み得る。
【0108】
第3の通路118の出口121であって、第2のエンドプレート104にある出口121の位置、および第5の通路118Aの出口121Aであって、第1のエンドプレート103にある出口121Aの位置は、ステータの2つの端部における終端巻線117の位置と別々に対向してよく、その結果、第3の通路118の出口121は、ステータの2つの端部における終端巻線117の表面上へ、第3の通路118内の冷却液をスプレーし得、または、第5の通路118Aの出口121Aは、ステータ巻線を冷却し、モータ巻線の銅損密度を低減するように、ステータの2つの端部における終端巻線117の表面上へ、第5の通路118A内の冷却液をスプレーし得る。
【0109】
本出願の実施形態は、モータのステータと、モータのロータとを含む、モータをさらに提供する。モータのロータは、モータのステータ巻線を冷却し、モータ巻線の銅損密度を低減するために、上述されたロータのうちの任意の1つとし得る。モータのロータの特定の説明については、前述の説明を参照されたい。詳細は、本明細書において再度説明されない。
【0110】
本出願の実施形態は、モータを含むパワートレインをさらに提供する。パワートレインは、電気駆動部と減速器とをさらに含み得る。詳細については、前述の説明を参照されたい。詳細は、本明細書において再度説明されない。
【0111】
本出願の実施形態は、1つまたは複数のパワートレインを含む自動車をさらに提供する。自動車は、バッテリパックとホイールとをさらに含み得る。
【0112】
本出願において、「少なくとも1つ」は、1つまたは複数を意味し、「複数の」は、2つ以上を意味する。「以下の少なくとも1つのアイテム(ピース)」またはその同様の表現は、単数のアイテム(ピース)または複数のアイテム(ピース)の任意の組み合わせを含む、これらのアイテムの任意の組み合わせを意味する。例えば、a、b、またはcのうちの少なくとも1つのアイテム(ピース)は、a、b、c、aおよびb、aおよびc、bおよびc、またはa、b、およびcを表現し得、ただし、a、b、およびcは、単数または複数であってよい。
【0113】
前述の説明は、単に本出願の特定の実装にすぎないが、本出願の保護範囲を限定するようには意図されていない。本出願において開示される技術的な範囲内で当業者によって容易に考え出されるいかなるバリエーションまたは置換も、本出願の保護範囲内に収まるべきものである。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9