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特許7299343マルチゾーンバックライト、マルチビューディスプレイ、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】マルチゾーンバックライト、マルチビューディスプレイ、及び方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230620BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230620BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230620BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230620BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230620BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230620BHJP
【FI】
F21S2/00 444
F21V23/00 140
F21S2/00 433
F21S2/00 435
G02F1/13357
G02F1/1335
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021562095
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020029014
(87)【国際公開番号】W WO2020219399
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】62/837,167
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】フークマン,トーマス
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/160048(WO,A1)
【文献】特開2007-122971(JP,A)
【文献】特表2019-511079(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186906(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
G02F 1/13357
G02F 1/1335
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゾーン及び第2のゾーンを有する広角バックライトであって、前記広角バックライトの前記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に広角放射光を別々に提供するように構成されている、広角バックライトと、
第1のゾーンと第2のゾーンとに分割されているマルチビューバックライトであって、前記マルチビューバックライトの前記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する指向性光ビームを含む指向性放射光を、別々に提供するように構成されている、マルチビューバックライトとを備えるマルチゾーンバックライトであって、
前記マルチビューバックライトが前記広角バックライトに隣接しており、前記広角放射光に対して透過性であり、前記マルチビューバックライトの前記第1及び第2のゾーンが、前記広角バックライトの前記第1及び第2のゾーンのそれぞれに対応し、前記第1及び第2のゾーンのそれぞれと位置合わせされている、マルチゾーンバックライト。
【請求項2】
前記広角バックライト及び前記マルチビューバックライトのそれぞれにおける前記第1のゾーンが、前記広角放射光又は前記指向性放射光のいずれかを提供するように協働して起動されるように構成されており、前記広角バックライト及び前記マルチビューバックライトの前記第2のゾーンが、前記広角放射光又は前記指向性放射光のいずれかを協働して提供するように起動されるように構成されている、請求項1に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項3】
前記広角バックライト並びに前記マルチビューバックライトの前記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、別個の光源を含み、前記別個の光源の個々の起動が、前記第1及び第2のゾーンのそれぞれを起動するように構成されている、請求項1に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項4】
前記マルチビューバックライトが、
光を導波光として導波するように構成されたライトガイドであって、前記ライトガイドが、反射構造体によって、前記マルチビューバックライトの前記第1のゾーンに対応している第1の部分と、前記マルチビューバックライトの前記第2のゾーンに対応している第2の部分とに分割されている、ライトガイドと、
前記ライトガイドの前記第1及び第2の部分のそれぞれにわたって互いから離隔しているマルチビーム素子のアレイであって、前記マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子が、前記ライトガイドからの前記導波光の一部を、前記指向性放射光の前記指向性光ビームとして外部に散乱させるように構成されている、マルチビーム素子のアレイと、を備える、請求項1に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項5】
前記反射構造体が、前記ライトガイドの前記第1の部分を前記ライトガイドの前記第2の部分から分離する反射壁を含む、請求項4に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項6】
前記反射構造体が、前記ライトガイドのガイド面内に溝を含み、前記溝が光の伝搬方向に平行であり、前記ライトガイドが、前記第1及び第2の部分にわたって一続きになっている、請求項4に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項7】
前記ライトガイドの前記第1及び第2の部分がそれぞれ、所定のコリメーション係数に従って、前記導波光を平行化された導波光として導波するように構成されている、請求項4に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項8】
前記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子が、前記導波光を外部に回折散乱させるように構成された回折格子、前記導波光を外部に反射散乱させるように構成されたマイクロ反射素子、又は前記導波光を外部に屈折散乱させるように構成されたマイクロ屈折素子のうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項4に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項9】
マルチビーム素子の回折格子が複数の個々のサブ格子を含む、請求項8に記載のマルチゾーンバックライト。
【請求項10】
請求項1に記載のマルチゾーンバックライトを備えるマルチゾーンマルチビューディスプレイであって、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイが、前記広角放射光を変調して2D画像を提供し、前記指向性放射光を変調して前記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイをさらに備える、マルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記マルチビューバックライトがマルチビーム素子のアレイを含み、前記マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子のサイズが、前記ライトバルブのアレイのライトバルブのサイズの4分の1~2倍である、請求項10に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項12】
マルチゾーンマルチビューディスプレイであって、
広角放射光で、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイの複数のゾーンのうちの1つ又はそれ以上のゾーンを選択的に照明するように構成された広角バックライトと、
マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する指向性光ビームを含む指向性放射光で、前記複数のゾーンのうちの1つ又はそれ以上のゾーンを選択的に照明するように構成されたマルチビューバックライトと、
前記広角放射光を変調して2D画像を提供し、前記指向性放射光を変調して前記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、を備え、
前記2D画像が、前記広角放射光によって選択的に照明されるゾーン内で提供され、前記マルチビュー画像が、前記指向性放射光によって選択的に照明されるゾーン内で提供される、マルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項13】
前記マルチゾーンマルチビューディスプレイが、専ら前記2D画像又は前記マルチビュー画像のうちの一方のみを、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイの前記複数のゾーン内の各ゾーンに提供するように構成されている、請求項12に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記広角バックライトが、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイの前記複数のゾーンに対応している複数のゾーンを有し、前記広角バックライトの前記複数のゾーンの各ゾーンが、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイの前記複数のゾーンのうちのゾーンをそれぞれ、前記広角放射光で選択的に照明するように、別々に起動されるように構成されている、請求項12に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記マルチビューバックライトが、
光を導波光として導波するように構成されたライトガイドであって、前記ライトガイドが、反射構造体によって、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイの前記複数のゾーンに対応している複数の部分に分割されている、ライトガイドと、
前記ライトガイドの前記複数の部分にわたって互いから離隔しているマルチビーム素子のアレイであって、前記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子がそれぞれ、前記ライトガイドからの前記導波光の一部を、前記指向性放射光の前記指向性光ビームとして外部に散乱させるように構成されている、マルチビーム素子のアレイと、
前記ライトガイド内で、前記導波光として導波される光を提供するように構成された複数の光源であって、前記複数の光源のうちの光源がそれぞれ、前記複数の部分における異なる部分に光を提供するように、前記ライトガイドに光学的に結合されている、複数の光源と、を備え、
前記複数の光源のうちの光源がそれぞれ、前記マルチゾーンマルチビューディスプレイの前記複数のゾーンのうちのゾーンをそれぞれ、前記指向性放射光で選択的に照明するように、別々に起動されるように構成されている、請求項12に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記反射構造体が、前記複数の部分の一部を互いから分離する反射壁、又は前記ライトガイドのガイド面内にある溝のうちの一方若しくは両方を含み、前記溝が光の伝搬方向に平行であり、前記ライトガイドが、前記複数の部分にわたって一続きになっている、請求項15に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項17】
前記ライトガイドが、所定のコリメーション係数に従って、前記導波光を平行化された導波光として導波するように構成されており、前記マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子のサイズが、前記ライトバルブのアレイのライトバルブのサイズの4分の1~2倍である、請求項15に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項18】
前記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子がそれぞれ、前記導波光を外部に回折散乱させるように構成された回折格子、前記導波光を外部に反射散乱させるように構成されたマイクロ反射素子、又は前記導波光を外部に屈折散乱させるように構成されたマイクロ屈折素子のうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項15に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
【請求項19】
マルチゾーンバックライトの動作方法であって、前記方法が、
第1のゾーン及び第2のゾーンを有する広角バックライトを使用して、広角放射光を提供するステップであって、前記広角バックライトの前記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に前記広角放射光を別々に提供している、ステップと、
第1のゾーンと第2のゾーンとに分割されたマルチビューバックライトを使用して、指向性放射光を提供するステップであって、前記マルチビューバックライトの前記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する複数の指向性光ビームを含む前記指向性放射光を、別々に提供している、ステップと、を含み、
前記マルチビューバックライトの前記第1及び第2のゾーンが、前記広角バックライトの前記第1及び第2のゾーンのそれぞれに対応し、前記第1及び第2のゾーンのそれぞれと位置合わせされている、マルチゾーンバックライトの動作方法。
【請求項20】
前記指向性放射光を提供するステップが、
光を導波光としてライトガイド内で導波するステップと、
マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子を使用して、前記導波光の一部を前記指向性放射光として外部に散乱させるステップであって、前記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子がそれぞれ、回折格子、マイクロ屈折素子、又はマイクロ反射素子のうちの1つ又はそれ以上を含む、ステップと、を含む、請求項19に記載のマルチゾーンバックライトの動作方法。
【請求項21】
ライトバルブのアレイを使用して前記広角放射光を変調して、前記マルチゾーンバックライトのゾーン内に2D画像を提供するステップと、
前記ライトバルブのアレイを使用して前記指向性放射光の前記複数の指向性光ビームを変調して、前記マルチゾーンバックライトの別のゾーン内にマルチビュー画像を提供するステップと、をさらに含む、請求項19に記載のマルチゾーンバックライトの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月22日に出願された、米国仮特許出願第62/837,167号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
適用なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様な装置及び製品のユーザに情報を伝達するための、略至る所にある媒体である。最も一般的に使用される電子ディスプレイとしては、陰極線管(cathode ray tube:CRT)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(plasma display panel:PDP)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)、エレクトロルミネセンスディスプレイ(electroluminescent display:EL)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)及びアクティブマトリクスOLED(active matrix OLED:AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(electrophoretic display:EP)、並びに電気機械光変調又は電気流体光変調を使用したさまざまなディスプレイ(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)が挙げられる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(即ち、光を放射するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(即ち、別の光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類され得る。アクティブディスプレイの最も端的な例としては、CRT、PDP、及びOLED/AMOLEDがある。放射された光を考慮するときに通常パッシブとして分類されるディスプレイは、LCDディスプレイ及びEPディスプレイである。パッシブディスプレイは多くの場合、魅力的な性能特性、例えば本質的に低消費電力であることを含むが、これに限定されない性能特性を呈しているが、一方で光を放射する能力が欠如していることを所与とすると、多くの実際的用途において、使用がある程度限定される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態のさまざまな特徴については、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができ、またこれらの図面においては、同様の参照番号が同様の構造要素を示している。
本開示は、以下の[1]から[21]を含む。
[1]第1のゾーン及び第2のゾーンを有する広角バックライトであって、上記広角バックライトの上記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に広角放射光を別々に提供するように構成されている、広角バックライトと、
第1のゾーンと第2のゾーンとに分割されているマルチビューバックライトであって、上記マルチビューバックライトの上記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する指向性光ビームを含む指向性放射光を、別々に提供するように構成されている、マルチビューバックライトとを備えるマルチゾーンバックライトであって、
上記マルチビューバックライトが上記広角バックライトに隣接しており、上記広角放射光に対して透過性であり、上記マルチビューバックライトの上記第1及び第2のゾーンが、上記広角バックライトの上記第1及び第2のゾーンのそれぞれに対応し、上記第1及び第2のゾーンのそれぞれと位置合わせされている、マルチゾーンバックライト。
[2]上記広角バックライト及び上記マルチビューバックライトのそれぞれにおける上記第1のゾーンが、上記広角放射光又は上記指向性放射光のいずれかを提供するように協働して起動されるように構成されており、上記広角バックライト及び上記マルチビューバックライトの上記第2のゾーンが、上記広角放射光又は上記指向性放射光のいずれかを協働して提供するように起動されるように構成されている、上記[1]に記載のマルチゾーンバックライト。
[3]上記広角バックライト並びに上記マルチビューバックライトの上記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、別個の光源を含み、上記別個の光源の個々の起動が、上記第1及び第2のゾーンのそれぞれを起動するように構成されている、上記[1]に記載のマルチゾーンバックライト。
[4]上記マルチビューバックライトが、
光を導波光として導波するように構成されたライトガイドであって、上記ライトガイドが、反射構造体によって、上記マルチビューバックライトの上記第1のゾーンに対応している第1の部分と、上記マルチビューバックライトの上記第2のゾーンに対応している第2の部分とに分割されている、ライトガイドと、
上記ライトガイドの上記第1及び第2の部分のそれぞれにわたって互いから離隔しているマルチビーム素子のアレイであって、上記マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子が、上記ライトガイドからの上記導波光の一部を、上記指向性放射光の上記指向性光ビームとして外部に散乱させるように構成されている、マルチビーム素子のアレイと、を備える、上記[1]に記載のマルチゾーンバックライト。
[5]上記反射構造体が、上記ライトガイドの上記第1の部分を上記ライトガイドの上記第2の部分から分離する反射壁を含む、上記[4]に記載のマルチゾーンバックライト。
[6]上記反射構造体が、上記ライトガイドのガイド面内に溝を含み、上記溝が光の伝搬方向に平行であり、上記ライトガイドが、上記第1及び第2の部分にわたって一続きになっている、上記[4]に記載のマルチゾーンバックライト。
[7]上記ライトガイドの上記第1及び第2の部分がそれぞれ、所定のコリメーション係数に従って、上記導波光を平行化された導波光として導波するように構成されている、上記[4]に記載のマルチゾーンバックライト。
[8]上記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子が、上記導波光を外部に回折散乱させるように構成された回折格子、上記導波光を外部に反射散乱させるように構成されたマイクロ反射素子、又は上記導波光を外部に屈折散乱させるように構成されたマイクロ屈折素子のうちの1つ又はそれ以上を含む、上記[4]に記載のマルチゾーンバックライト。
[9]マルチビーム素子の回折格子が複数の個々のサブ格子を含む、上記[8]に記載のマルチゾーンバックライト。
[10]上記[1]に記載のマルチゾーンバックライトを備えるマルチゾーンマルチビューディスプレイであって、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイが、上記広角放射光を変調して2D画像を提供し、上記指向性放射光を変調して上記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイをさらに備える、マルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[11]上記マルチビューバックライトがマルチビーム素子のアレイを含み、上記マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子のサイズが、上記ライトバルブのアレイのライトバルブのサイズの4分の1~2倍である、上記[10]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[12]マルチゾーンマルチビューディスプレイであって、
広角放射光で、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイの複数のゾーンのうちの1つ又はそれ以上のゾーンを選択的に照明するように構成された広角バックライトと、
マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する指向性光ビームを含む指向性放射光で、上記複数のゾーンのうちの1つ又はそれ以上のゾーンを選択的に照明するように構成されたマルチビューバックライトと、
上記広角放射光を変調して2D画像を提供し、上記指向性放射光を変調して上記マルチビュー画像を提供するように構成されたライトバルブのアレイと、を備え、
上記2D画像が、上記広角放射光によって選択的に照明されるゾーン内で提供され、上記マルチビュー画像が、上記指向性放射光によって選択的に照明されるゾーン内で提供される、マルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[13]上記マルチゾーンマルチビューディスプレイが、専ら上記2D画像又は上記マルチビュー画像のうちの一方のみを、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイの上記複数のゾーン内の各ゾーンに提供するように構成されている、上記[12]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[14]上記広角バックライトが、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイの上記複数のゾーンに対応している複数のゾーンを有し、上記広角バックライトの上記複数のゾーンの各ゾーンが、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイの上記複数のゾーンのうちのゾーンをそれぞれ、上記広角放射光で選択的に照明するように、別々に起動されるように構成されている、上記[12]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[15]上記マルチビューバックライトが、
光を導波光として導波するように構成されたライトガイドであって、上記ライトガイドが、反射構造体によって、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイの上記複数のゾーンに対応している複数の部分に分割されている、ライトガイドと、
上記ライトガイドの上記複数の部分にわたって互いから離隔しているマルチビーム素子のアレイであって、上記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子がそれぞれ、上記ライトガイドからの上記導波光の一部を、上記指向性放射光の上記指向性光ビームとして外部に散乱させるように構成されている、マルチビーム素子のアレイと、
上記ライトガイド内で、上記導波光として導波される光を提供するように構成された複数の光源であって、上記複数の光源のうちの光源がそれぞれ、上記複数の部分における異なる部分に光を提供するように、上記ライトガイドに光学的に結合されている、複数の光源と、を備え、
上記複数の光源のうちの光源がそれぞれ、上記マルチゾーンマルチビューディスプレイの上記複数のゾーンのうちのゾーンをそれぞれ、上記指向性放射光で選択的に照明するように、別々に起動されるように構成されている、上記[12]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[16]上記反射構造体が、上記複数の部分の一部を互いから分離する反射壁、又は上記ライトガイドのガイド面内にある溝のうちの一方若しくは両方を含み、上記溝が光の伝搬方向に平行であり、上記ライトガイドが、上記複数の部分にわたって一続きになっている、上記[15]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[17]上記ライトガイドが、所定のコリメーション係数に従って、上記導波光を平行化された導波光として導波するように構成されており、上記マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子のサイズが、上記ライトバルブのアレイのライトバルブのサイズの4分の1~2倍である、上記[15]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[18]上記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子がそれぞれ、上記導波光を外部に回折散乱させるように構成された回折格子、上記導波光を外部に反射散乱させるように構成されたマイクロ反射素子、又は上記導波光を外部に屈折散乱させるように構成されたマイクロ屈折素子のうちの1つ又はそれ以上を含む、上記[15]に記載のマルチゾーンマルチビューディスプレイ。
[19]マルチゾーンバックライトの動作方法であって、上記方法が、
第1のゾーン及び第2のゾーンを有する広角バックライトを使用して、広角放射光を提供するステップであって、上記広角バックライトの上記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に上記広角放射光を別々に提供している、ステップと、
第1のゾーンと第2のゾーンとに分割されたマルチビューバックライトを使用して、指向性放射光を提供するステップであって、上記マルチビューバックライトの上記第1及び第2のゾーンがそれぞれ、起動時に、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する複数の指向性光ビームを含む上記指向性放射光を、別々に提供している、ステップと、を含み、
上記マルチビューバックライトの上記第1及び第2のゾーンが、上記広角バックライトの上記第1及び第2のゾーンのそれぞれに対応し、上記第1及び第2のゾーンのそれぞれと位置合わせされている、マルチゾーンバックライトの動作方法。
[20]上記指向性放射光を提供するステップが、
光を導波光としてライトガイド内で導波するステップと、
マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子を使用して、上記導波光の一部を上記指向性放射光として外部に散乱させるステップであって、上記マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子がそれぞれ、回折格子、マイクロ屈折素子、又はマイクロ反射素子のうちの1つ又はそれ以上を含む、ステップと、を含む、上記[19]に記載のマルチゾーンバックライトの動作方法。
[21]ライトバルブのアレイを使用して上記広角放射光を変調して、上記マルチゾーンバックライトのゾーン内に2D画像を提供するステップと、
上記ライトバルブのアレイを使用して上記指向性放射光の上記複数の指向性光ビームを変調して、上記マルチゾーンバックライトの別のゾーン内にマルチビュー画像を提供するステップと、をさらに含む、上記[19]に記載のマルチゾーンバックライトの動作方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0006】
図1B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における特定の主角度方向を有する、光ビームの角度成分を表す図式表示を示す。
【0007】
図2】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0008】
図3A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの平面図を示す。
【0009】
図3B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの斜視図を示す。
【0010】
図4A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの断面図を示す。
【0011】
図4B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの断面図を示す。
【0012】
図4C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの斜視図を示す。
【0013】
図5】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における広角バックライトの断面図を示す。
【0014】
図6A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射構造体を有するライトガイドの斜視図を示す。
【0015】
図6B】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における反射構造体を有するライトガイドの斜視図を示す。
【0016】
図7】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0017】
図8】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0018】
図9】本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子を含むマルチビューバックライトの一部の断面図を示す。
【0019】
図10A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンマルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【0020】
図10B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0021】
図11】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの動作方法を表すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
特定の例及び実施形態は、上記の図に示した特徴に加えて、またその代わりとなる1つである他の特徴を有し得る。これら及び他の特徴については、上記の図を参照して以下で詳述する。
【0023】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、マルチゾーンマルチビューディスプレイへの適用を伴うマルチゾーンバックライティング、及びその動作方法を提供する。具体的には、本明細書に記載の原理によれば、マルチゾーンバックライトは、広角放射光、及び指向性光ビームを含む指向性放射光を、マルチゾーンバックライトのゾーンに提供するように構成されている。さらに、これらの広角放射光又は指向性放射光のいずれかが、ゾーンごとに選択的に当該ゾーンに提供され得る。この広角放射光は、2D情報(例えば、2D画像又はテキスト)の表示をサポートすることができる一方で、指向性放射光の指向性光ビームは、例えば、マルチビュー情報又は三次元(3D)情報(例えば、マルチビュー画像)の表示をサポートすることができる。例えば、マルチゾーンバックライトを使用するマルチゾーンマルチビューディスプレイは、マルチゾーンマルチビューディスプレイの複数のゾーンにおける異なるゾーンに2D画像又はマルチビュー画像のいずれかを選択的に提供するように構成されていてもよい。
【0024】
さまざまな実施形態によれば、本マルチゾーンマルチビューディスプレイによって提供されるマルチビュー画像は、いわゆる「眼鏡なし」又は自動立体画像であり得る一方、2D画像では、マルチビュー画像の提供にあたり利用できる解像度よりも比較的高いネイティブ解像度で、2D情報又は2Dコンテンツの表示を容易に行うことができる。本明細書に記載しているマルチゾーンマルチビューディスプレイにおけるマルチゾーンバックライティングの使用形態としては、携帯電話(例えば、スマートフォン)、時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車用ディスプレイコンソール、カメラ用ディスプレイ、並びに他のさまざまなモバイル及び実質的に非モバイルのディスプレイアプリケーション及びデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書では、「二次元(2D)ディスプレイ」は、その画像が視認される方向に関係なく、実質的に同じ画像のビューを提供する(即ち、2Dディスプレイにおける所定の視野角内又は視野範囲内で)ように構成されたディスプレイとして定義されている。多くのスマートフォンやコンピュータモニタで使用されている液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)が、2Dディスプレイの例として挙げられる。これに対して本明細書では、「マルチビューディスプレイ」を、異なるビュー方向で、又は異なるビュー方向から、異なるマルチビュー画像のビューを提供するように構成された、電子ディスプレイ又は電子ディスプレイシステムと定義している。具体的には、これらの異なるビューは、マルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの異なる遠近ビューを表すことができる。場合によっては、マルチビューディスプレイは三次元(3D)ディスプレイと呼ばれることもあり、例えば、異なるマルチビュー画像のビューを2つ同時に視認すると、三次元画像を視認しているかのような知覚作用が起こる。
【0026】
図1Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10は、視認されるマルチビュー画像を表示するための画面12を備える。マルチビューディスプレイ10は、画面12に対して、異なるビュー方向16で異なるマルチビュー画像のビュー14を提供している。ビュー方向16を、画面12からさまざまな異なる主角度方向に延在する矢印として示し、異なるビュー14を、矢印(即ち、ビュー方向16を示している)の終端にある多角形の斜線付きボックスとして示し、また、4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみを示しているが、これらを全て例示として示すのであって、限定するものではない。なお、図1Aではこれら異なるビュー14を画面の上方にあるように示しているが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10上に表示されるとき、これらのビュー14は、実際には画面12上又はその近傍に出現する。画面12の上方にビュー14を図示しているのは、図示を簡易化するためのみであり、また、特定のビュー14に対応しているビュー方向16のそれぞれの方向から、マルチビューディスプレイ10を視認していることを表す意図がある。
【0027】
ビュー方向、即ち同等にマルチビューディスプレイのビュー方向に対応している方向を有する光ビームは通常、本明細書の定義により、角度成分{θ、φ}が示す主角度方向を有する。本明細書では、角度成分θを、光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼んでいる。角度成分φを、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼んでいる。定義により、仰角θを垂直面内(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に垂直な)の角度とする一方、方位角φを水平面内(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に平行な)の角度としている。
【0028】
図1Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、図1Aのビュー方向16)に対応している特定の主角度方向又は単に「方向」を有する、光ビーム20の角度成分{θ、φ}を表す図式表示を示す。加えて、本明細書の定義により、光ビーム20を特定の地点から放射させるか、又は放射させている。即ち、定義上光ビーム20は、本マルチビューディスプレイ内の特定の原点と関連付けられた中心光線を有する。図1Bは、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oをさらに示している。
【0029】
また、本明細書では、「マルチビュー画像」や「マルチビューディスプレイ」という用語で使用している「マルチビュー」という用語を、さまざまな視野を表示するか、又は複数のビューのビュー間における角度視差を含む複数のビューと定義している。さらに、本明細書では「マルチビュー」という用語は、本明細書の定義により、3つ以上の異なるビュー(即ち、最低3つのビュー、ひいては概ね4つ以上のビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書で使用している「マルチビューディスプレイ」を、シーン又は画像を表示するために異なるビューを2つのみ含む立体ディスプレイと明確に区別している。ただし、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイが3つ以上のビューを含んでいる場合があるが、本明細書の定義により、一度に表示するマルチビュー表示を2つのみ選択して(例えば、片眼ごとに1つのビュー)、立体画像のペアとしてマルチビュー画像を表示してもよい(例えば、マルチビューディスプレイで)。
【0030】
本明細書では「マルチビューピクセル」を、マルチビューディスプレイにおける、同様であるが複数の異なるビューそれぞれにおけるサブピクセル又は「ビュー」ピクセルのセットと定義している。具体的には、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューそれぞれにおけるビューピクセルに対応するか、又はそれを表す異なるビューピクセルを有していてもよい。加えて、マルチビューピクセルのビューピクセル(view pixels)を、本明細書の定義により、ビューピクセルのそれぞれが、異なるビューにおいて対応する1つの所定のビュー方向と関連付けられているということから、いわゆる「指向性ピクセル」としている。さらに、さまざまな例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルの異なるビューピクセルは、異なるビューそれぞれにおいて同等、又は少なくとも実質的に同様の位置若しくは座標を有していてもよい。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューそれぞれにおいて{x}に位置する個々のビューピクセルを有する一方、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューそれぞれにおいて{x}に位置する個々のビューピクセルを有する、などとしてもよい。いくつかの実施形態では、マルチビューピクセルのビューピクセルの数は、本マルチビューディスプレイのビューの数に等しくてもよい。
【0031】
本明細書では、「ライトガイド」を、内部全反射(total internal reflection)、即ち「TIR」を使用して構造体内の光を導波する、1つの構造体と定義している。具体的には、このライトガイドは、ライトガイドの動作波長において実質的に透過性のあるコアを含んでもよい。さまざまな例では、この「ライトガイド」という用語は通常、内部全反射を使用して、ライトガイドの誘電体材料と、そのライトガイドを包囲している材料又は媒体との間の境界面において光を導波する、誘電体光導波路を指す。定義により、内部全反射の条件を、ライトガイドの屈折率が、ライトガイド材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率よりも高いこととしている。いくつかの実施形態では、このライトガイドは上記の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含み、これにより内部全反射をさらに促進していてもよい。このコーティングは、例えば反射コーティングであってもよい。このライトガイドはいくつかのライトガイド、例えば平板ガイド若しくはスラブガイド、又はストリップガイドのうちの一方若しくは両方を含むが、これらに限定されない任意のライトガイドであってもよい。
【0032】
また、本明細書では、「平板ライトガイド」のようにライトガイドに適用する場合の「平板」という用語を、区分的若しくは微分的に平面の層又はシートと定義しており、これを「スラブ」ガイドと呼ぶ場合もある。具体的には、この平板ライトガイドを、ライトガイドの上面及び底面(即ち、対向面)により境界付けられた、実質的に直交している2つの方向に光を導波するように構成されたライトガイドと定義している。さらに、本明細書の定義により、これらの上面及び底面は両方とも互いから離隔されており、少なくとも微分的な意味で、これらを実質的に互いに対して平行とすることができる。即ち、平板ライトガイドの微分的に小さないかなる領域でも、これらの上面と底面とは実質的に平行であるか、又は同一平面上にある。
【0033】
いくつかの実施形態では、この平板ライトガイドは実質的に平坦(即ち、平面に限定される)であってもよく、したがって、この平板ライトガイドは平面ライトガイドである。他の実施形態では、この平板ライトガイドは、1つ又は2つの直交する次元において湾曲していてもよい。例えば、この平板ライトガイドを一次元で湾曲させて、円筒形状の平板ライトガイドを形成してもよい。ただし、光を導波するのに平板ライトガイド内で確実に内部全反射が維持されるのに十分な大きさとなるように、任意の湾曲の曲率半径を設定している。
【0034】
本明細書で定義しているように、導波光の「非ゼロ伝搬角」とは、ライトガイドのガイド面に対する角度のことである。また本明細書の定義により、この非ゼロ伝搬角はゼロよりも大きく、かつライトガイド内の内部全反射の臨界角よりも小さい。さらに、特定の非ゼロ伝搬角を、ライトガイド内の内部全反射の臨界角よりも小さくなるように選択する限り、特定の実装に対して特定の非ゼロ伝搬角を選択してもよい(例えば、任意に)。さまざまな実施形態では、光は、導波光の非ゼロ伝搬角でライトガイド124内に導入又は結合されてもよい。
【0035】
さまざまな実施形態によれば、光をライトガイド内に結合することによって発生する導波光、即ち同等に導波「光ビーム」は、平行光ビームであってもよい。本明細書では、「平行光」又は「平行光ビーム」を通常、光ビームの光線が光ビーム内で実質的に互いに平行である光ビームと定義している。また、本明細書の定義により、この平行光ビームから発散するか、又は散乱する光線を、平行光ビームの一部と見なしてはいない。
【0036】
本明細書では通常、「回折格子」を、回折格子に入射する光の回折をもたらすように配置された、複数の特徴部(即ち、回折特徴部)と定義している。いくつかの例では、これら複数の特徴部は、周期的又は準周期的に配置されてもよい。例えば、回折格子は、一次元(1D)アレイ状に配置された複数の特徴部(例えば、材料表面上にある複数の溝又はリッジ)を含んでいてもよい。他の例では、回折格子は、特徴部の二次元(2D)アレイであってもよい。回折格子は、例えば材料表面上の隆起又はその内部の穴の2Dアレイであってもよい。
【0037】
したがって、本明細書の定義により、「回折格子」を、回折格子に入射する光の回折をもたらす構造体としている。光がライトガイドから回折格子へと入射する場合、そこでもたらされる回折又は回折散乱は、回折により、回折格子がライトガイドからの光を外部に散乱させることができるということから、その結果これを「回折散乱」と呼ぶことがある。また、本明細書の定義により、これら回折格子の特徴部を「回折特徴部」と呼んでおり、これらは材料表面(即ち、2つの材料間の境界)にあり、その内部にあり、かつその上にある特徴部のうちの1つ又はそれ以上であってもよい。この表面は、例えばライトガイドの表面であってもよい。これらの回折特徴部は、光を回折するさまざまな構造体、例えば当該表面にあるか、その内部にあるか、又はその上にある溝、リッジ、穴若しくは隆起のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない構造体のいずれかを含んでいてもよい。例えば、回折格子は、材料表面における複数の実質的に平行な溝を含んでいてもよい。別の例では、回折格子は、材料表面から隆起している複数の平行なリッジを含んでもよい。これらの回折特徴部(例えば、溝、リッジ、穴、隆起など)は、回折をもたらすさまざまな断面形状又はプロファイル、例えば正弦波プロファイル、長方形プロファイル(例えば、バイナリ回折格子)、三角形プロファイル又は鋸歯状プロファイル(例えば、ブレーズド格子)のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない断面形状又はプロファイルのいずれかを有していてもよい。
【0038】
本明細書に記載のさまざまな例によれば、回折格子(例えば、以下に記載しているような、マルチビーム素子の回折格子)を使用して、ライトガイド(例えば、平板ライトガイド)からの光を、光ビームとして外部に回折散乱させるか、又は外部に回折結合させてもよい。具体的には、局所的に周期的な回折格子の回折角θ、又はこれによってもたらされる回折角θを、式(1)で次のように得ることができる。
【数1】
ここで、λは光の波長であり、mは回折次数であり、nはライトガイドの屈折率であり、dは回折格子の特徴部間の距離又は間隔であり、θは回折格子に対する光の入射角である。説明を簡易化するために、式(1)では、回折格子がライトガイドの表面に隣接しており、このライトガイドの外側の材料が有する屈折率が1に等しい(即ち、n外側=1)と仮定している。通常、回折次数mは整数で得られる。回折格子が形成する光ビームの回折角θは、回折次数が正である(例えば、m>0)式(1)によって得ることができる。例えば、回折次数mが1に等しい(即ち、m=1)場合、一次回折がもたらされる。
【0039】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30は、ライトガイド40の表面上に配置されてもよい。加えて、図2は、入射角θで回折格子30に入射する光ビーム50を示している。入射光ビーム50は、ライトガイド40内の導波光(即ち、導波光ビーム)のビームであってもよい。また、図2では、入射光ビーム50を回折させた結果として、回折格子30によって回折生成されて、外部に回折結合される、指向性光ビーム60を示している。この指向性光ビーム60は、式(1)によって得られる回折角θ(又は本明細書では「主角度方向」)を有する。この回折角θは、回折格子30の回折次数「m」、例えば回折次数m=1(即ち、第1の回折次数)に対応していてもよい。
【0040】
本明細書の定義により、「マルチビーム素子」は、複数の光ビームを含む光を生成する、バックライト又はディスプレイの構造若しくは要素である。いくつかの実施形態では、このマルチビーム素子は、ライトガイド内で導波される光の一部を外部に結合させるか、又は外部に散乱させることによって複数の光ビームを提供するように、バックライトのライトガイドに光学的に結合されてもよい。また、マルチビーム素子によって生成される複数の光ビームのうちの光ビームはそれぞれ、本明細書の定義により、互いに異なる主角度方向を有する。具体的には、定義により、複数の光ビームのうちの1つの光ビームは、複数の光ビームのうちの別の光ビームとは異なる所定の主角度方向を有する。したがって、本明細書の定義により、光ビームを「指向性光ビーム」と呼び、また、複数の光ビームを「複数の指向性光ビーム」と呼んでもよい。
【0041】
さらに、複数の指向性光ビームは明視野を表すことができる。例えば、これら複数の指向性光ビームは、実質的に円錐形の空間領域に限定されるか、又は複数の光ビームにおける光ビームのそれぞれの異なる主角度方向を含む、所定の角度広がりを有していてもよい。したがって、これらの光ビームを組み合わせて(即ち、複数の光ビーム)生じる所定の角度広がりは、明視野を表すことができる。
【0042】
さまざまな実施形態によれば、複数のさまざまな指向性光ビームの異なる主角度方向は、ある特性、例えばマルチビーム素子のサイズ(例えば、長さ、幅、面積など)を含むが、これに限定されない特性によって決まる。いくつかの実施形態では、このマルチビーム素子が、本明細書の定義により、「拡張点光源」、即ち、マルチビーム素子の範囲にわたって分布している複数の点光源と見なされてもよい。また、このマルチビーム素子によって生成される指向性光ビームは、本明細書の定義により、また図1Bに関して上述したように、角度成分{θ、φ}によって示される主角度方向を有する。
【0043】
また、本明細書では「コリメータ」を、光を平行化するように構成された、実質的に任意の光学デバイス又は光学装置と定義している。例えば、コリメータは、コリメートミラー又はリフレクタ、コリメートレンズ、回折格子、テーパ付きライトガイド、及びそれらのさまざまな組み合わせを含んでいてもよいが、これらに限定されない。さまざまな実施形態によれば、コリメータによってもたらされる平行化の量は、所定の程度又は量で実施形態ごとに変動してもよい。さらに、このコリメータは、2つの直交方向(例えば、垂直方向及び水平方向)の一方又は両方において平行化をもたらすように構成されていてもよい。即ち、このコリメータは、いくつかの実施形態によれば、光の平行化をもたらす2つの直交方向の一方又は両方において、形状又は同様の平行化特性を含んでいてもよい。
【0044】
本明細書では「コリメーション係数」を、光の平行化の程度と定義している。具体的には、コリメーション係数は、本明細書の定義により、平行化された光ビーム内の光線の角度広がりを定義している。例えば、コリメーション係数σは、平行光のビーム内にある光線の大部分が、特定の角度広がり内にあること(例えば、平行光ビームの中心又は主角度方向を中心に+/-σ度)を示すことができる。いくつかの例によれば、平行光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、また角度広がりは、平行光ビームのピーク強度の2分の1によって求められる角度であってもよい。
【0045】
本明細書では、「光源」を、光提供源(例えば、光を生成して放射するように構成された発光体)と定義している。例えば、光源は、起動するか(activated)又はオンにする(turned on)と光を放射する、発光ダイオード(light emitting diode:LED)などの発光体を含んでいてもよい。具体的には、本明細書では、この光源は実質的に任意の光提供源であるか、又は実質的に任意の発光体、例えば発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマ式発光体、蛍光灯、白熱灯、又は実質的に任意の他の光提供源のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されない実質的に任意の発光体を含んでいてもよい。光源が生成する光はある色を有していてもよく(即ち、特定の波長の光を含んでいてもよい)、又はある範囲内の波長(例えば、白色光)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は複数の発光体を含んでもよい。例えば、光源は、ある色、即ち同等に波長を有する光を発光体の少なくとも1つが生成する形態の、発光体のセット又はグループを含んでいてもよく、その色、即ち同等に波長は、このセット又はグループにおける少なくとも1つの他の発光体が生成する光の色若しくは波長とは異なっている。これらの異なる色は、例えば原色(例えば、赤、緑、青)を含んでいてもよい。本明細書では「偏光」光源を、所定の偏光を有する光を生成するか、又はもたらす実質的に任意の光源と定義している。例えば、この偏光光源は、光源の発光体の出力側に偏光子を含んでいてもよい。
【0046】
本明細書では、「マルチビュー画像」は、複数の画像(即ち、3つを超える画像)として定義され、複数の画像におけるそれぞれの画像は、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している異なるビューを表す。したがって、マルチビュー画像は、マルチビューディスプレイに表示されると、深度の知覚を促進し、結果として、例えば、視聴者には3Dシーンの画像であるかのように見える画像(例えば、二次元画像)の集合である。
【0047】
定義上、「広角」放射光を、マルチビュー画像又はマルチビューディスプレイのビューの円錐角よりも大きい円錐角を有する光と定義している。いくつかの実施形態では、具体的には、この広角放射光は、約20度よりも大きい円錐角(例えば、>±20°)を有していてもよい。他の実施形態では、この広角放射光の円錐角は、約30度よりも大きくてもよく(例えば、>±30°)、約40度よりも大きくてもよく(例えば、>±40°)、又は約50度よりも大きくてもよい(例えば、>±50°)。例えば、この広角放射光の円錐角は、約60度よりも大きくてもよい(例えば、>±60°)。
【0048】
いくつかの実施形態では、この広角放射光の円錐角が、LCDコンピュータモニタ、LCDタブレット、LCDテレビ、又は広角視認に対応した同様のデジタルディスプレイ装置の視野角と略同じとなるように定義されてもよい(例えば、約±40~65°)。他の実施形態では、広角放射光はまた、拡散光、略拡散光、無指向性光(即ち、特定の又は定義されたいずれの指向性も欠く)、又は単一若しくは略均一な方向を有する光として特徴付けられるか、あるいは述べられてもよい。
【0049】
また、本明細書で使用する場合、冠詞「a(1つの)」は、当特許分野においてその通常の意味、即ち「1つ又はそれ以上」という意味を有することが意図される。例えば、「マルチビーム素子」は1つ又はそれ以上のマルチビーム素子を意味するため、本明細書では「マルチビーム素子」は「1つ又はそれ以上のマルチビーム素子」を意味する。また、「上面(top)」、「底面(bottom)」、「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「上に(up)」、「下に(down)」、「前(front)」、「後(back)」、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「左(left)」又は「右(right)」へのいずれの言及も、本明細書において限定を意図するものではない。本明細書では、「約(about)」という用語は、値に適用される場合、通常その値を生成するために使用される機器の許容範囲内にあることを意味するか、あるいは別段の明示的な指定がない限り、プラスマイナス10%、又はプラスマイナス5%、若しくはプラスマイナス1%を意味してもよい。また、本明細書で使用する「実質的に/略(substantially)」という用語は、過半数、あるいはほとんど全て、又は全て、若しくは約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書における例は例示を意図するものにすぎず、解説の目的で示したもので、限定するものではない。
【0050】
本明細書に記載の原理によるいくつかの実施形態によれば、マルチゾーンバックライトが提供される。図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライト100の平面図を示す。図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライト100の斜視図を示す。具体的には、図3Bに示す斜視図は、分解斜視図である。
【0051】
限定ではなく例示として、マルチゾーンバックライト100は図示のように、図3A図3Bに第1のゾーン101a及び第2のゾーン101bとして示されている複数の異なる領域又はゾーン101を有する。マルチゾーンバックライト100は、ゾーン101のそれぞれにおいて放射光として光を提供又は放射するように構成されている。さらに、マルチゾーンバックライト100によって提供される放射光は、ゾーンごとに選択可能であり、広角放射光又は指向性放射光であるか、それらのいずれかを含む。さまざまな実施形態では、この指向性放射光は、互いに異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームを含む。さらに、さまざまな実施形態によれば、指向性放射光の指向性光ビームは、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する。これに対して、広角放射光は概して無指向性であり、さらに通常は、マルチゾーンバックライト100に関連付けられたマルチビュー画像又はマルチビューディスプレイのビューの円錐角よりも大きい円錐角を有する。
【0052】
さまざまな実施形態によれば、マルチゾーンバックライト100によって提供される放射光を使用して、マルチゾーンバックライト100を使用する電子ディスプレイが照明されてもよい。例えば、この放射光を使用して、電子ディスプレイのライトバルブ(例えば、以下に述べるライトバルブ)のアレイが照明されてもよい。さらに、以下でさらに述べているように、マルチゾーンバックライト100を使用するか、又はこれによって照明される電子ディスプレイは、複数のゾーン101に対応する電子ディスプレイの複数の異なるゾーンのそれぞれにおいて、この放射光を使用して、二次元(2D)画像又はマルチビュー画像のいずれかを選択的に表示するように構成されていてもよい。特定のゾーンに表示する画像タイプ(即ち、2D画像又はマルチビュー画像)の選択は、広角放射光又は指向性放射光のいずれがそのゾーンで放射されるかによって決まってもよい。
【0053】
図示のように、マルチゾーンバックライト100は、広角バックライト110を備える。この広角バックライトは、第1のゾーン110a及び第2のゾーン110bを有するか、又は含む。さまざまな実施形態によれば、これら第1及び第2のゾーン110a、110bはそれぞれ、起動時に広角放射光を別々に提供するように構成されている。例えば、広角バックライト110の第1のゾーン110aを起動するか、又はオンにすると、第1のゾーン110aから、又はその範囲内で広角放射光が放射される。同様に、広角バックライト110の第2のゾーン110bを起動するか、又はオンにすると、第2のゾーン110bから、又はその範囲内で広角放射光が放射される。起動しない場合は、広角バックライト110のそれぞれの第1及び第2のゾーン110a、110bによって広角放射光が放射されない。なお、広角バックライト110は通常、複数のゾーンを含んでいてもよく、図示している第1及び第2のゾーン110a、110bは、単に複数のゾーンを表すにすぎない。
【0054】
図3A図3Bに示すマルチゾーンバックライト100は、マルチビューバックライト120をさらに備える。図示のように、マルチビューバックライト120は、図示のように、第1のゾーン120aと第2のゾーン120bとに分割されている。これら第1及び第2のゾーン120a、120bはそれぞれ、起動時に指向性放射光を別々に提供するように構成されている。例えば、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aを起動するか、又はオンにすると、第1のゾーン120aから、又はその範囲内で指向性放射光が放射される。同様に、マルチビューバックライト120の第2のゾーン120bを起動するか、又はオンにすると、第2のゾーン120bから、又はその範囲内で指向性放射光が放射される。起動しない場合は、マルチビューバックライト120のそれぞれの第1及び第2のゾーン120a、120bによって指向性放射光が放射されない。さらに、さまざまな実施形態によれば、この指向性放射光は、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する、指向性光ビームを含む。なお、広角バックライト110と同様に、マルチビューバックライト120は通常、複数のゾーンを含んでいてもよく、図示している第1及び第2のゾーン120a、120bは、単に複数のゾーンを表すにすぎない。
【0055】
さまざまな実施形態によれば、マルチビューバックライト120は、広角バックライト110によって放射される広角放射光に対して透過性であるか、又は少なくとも実質的に透過性である。具体的には、マルチビューバックライト120は、広角バックライト110に隣接配置されてもよく、また広角放射光は、広角バックライト110のゾーンを起動した場合に、マルチビューバックライト120を透過してもよい。さらに、さまざまな実施形態によれば(例えば、図3A図3Bに示すように、)、マルチビューバックライト120の第1及び第2のゾーン120a、120bは、広角バックライト110の第1及び第2のゾーン110a、110bのそれぞれに対応し、これらのゾーンのそれぞれと位置合わせされてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、広角バックライト110及びマルチビューバックライト120のそれぞれにおける第1のゾーン110a、120aは、マルチゾーンバックライト100の第1のゾーン101a内で広角放射光又は指向性放射光のいずれかを提供するように、協働して起動されるように構成されていてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、広角バックライト110及びマルチビューバックライト120の第2のゾーン110b、120bは、マルチゾーンバックライト100の第2のゾーン101b内で広角放射光又は指向性放射光のいずれかを、協働して提供する態様で起動されるように構成されていてもよい。例えば、広角放射光を提供するように、広角バックライト110の第1のゾーン110aを起動するか、又はオンにしてもよく、その一方で、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aを無効化するか、又はオフにしてもよい。したがって、本例では、マルチゾーンバックライト100は、第1のゾーン101aからの広角放射光のみを提供することができる。あるいは、指向性放射光を提供するように、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aを起動するか、又はオンにしてもよく、その一方で、広角バックライト110の第1のゾーン110aを無効化するか、又はオフにしてもよい。本例では、マルチゾーンバックライト100は、第1のゾーン101aからの指向性放射光のみを提供することができる。さまざまな実施形態によれば、図3A図3Bに示す広角バックライト110の第1及び第2のゾーン110a、110b並びにマルチビューバックライト120の第1及び第2のゾーン120a、120bを任意に組み合わせたさまざまな起動形態を用いて、マルチゾーンバックライト100において対応する第1及び第2のゾーン101a、101b内で広角放射光及び指向性放射光の任意の組み合わせを選択的に提供することができる。
【0057】
いくつかの実施形態(図示せず)では、広角バックライト110又はマルチビューバックライト120の一方若しくは両方は、第1及び第2のゾーン110a、110b、120a、120b以外に追加のゾーンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、具体的には、広角バックライト110は、マルチビューバックライト120よりも多くのゾーンを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、広角バックライト110のこれらの追加ゾーンを使用して、マルチビューバックライト120のゾーン内に指向性放射光と同時に広角放射光を提供することができる。
【0058】
図3A及び図3Bに示すように、広角バックライト110は光源112を含み、マルチビューバックライト120は光源122を含んでいてもよい。具体的には、広角バックライト110の第1及び第2のゾーン110a、110bは別個の光源112a、112bを含んでいてもよく、マルチビューバックライト120の第1及び第2のゾーン120a、120bは別個の光源122a、122bを含んでいてもよい。これらの別個の光源112a、112b、122a、122bは、第1及び第2のゾーン110a、110b、120a、120bのそれぞれに光を提供するか、又はこれらに照射するように構成されている。これらの実施形態では、別個の光源112a、112b、122a、122bの個々の起動は、第1及び第2のゾーン110a、110b、120a、120bのそれぞれを起動するように構成されていてもよい。例えば、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aの光源122aを起動するか、又はオンにすることにより、第1のゾーン120aを起動することができる。別の例では、広角バックライト110の第2のゾーン110bにおける別個の光源112bを起動するか、又はオンにすることにより、広角バックライト110の第2のゾーン110bを起動することができる。
【0059】
図4Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライト100の断面図を示す。図4Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライト100の断面図を示す。図4A及び図4Bに示す断面図は、マルチゾーンバックライト100のゾーン(例えば、第1のゾーン101a)にわたって断面を表していてもよく、例えば、図4Cは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライト100の斜視図を示す。図4A図4Cに示すように、マルチゾーンバックライト100は、広角バックライト110と、マルチビューバックライト120とを備える。さらに、限定ではなく例示として、マルチゾーンバックライト100によって提供される放射光102を、矢印を用いて示しており、その際、広角放射光102’を破線の矢印として示しており、また指向性放射光102’’を、指向性放射光102’’の複数の指向性光ビームを表す複数の矢印として示している。
【0060】
図4Aに示すように、マルチゾーンバックライト100は、第1のゾーン101aから広角放射光102’を提供するように構成されている。具体的には、図4Aは、広角バックライト110の第1のゾーン110aから広角放射光102’が放射される様子を示す。さらに、広角放射光102’を、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aを通過して、マルチゾーンバックライト100の第1のゾーン101aから放射されるように示している。したがって、広角バックライト110の別個の光源112aの起動を示すためにクロスハッチングを用いて示しているように、図4Aにおいて広角バックライト110の第1のゾーン110aを起動している。図4Aでは、マルチビューバックライト120の別個の光源122aにクロスハッチングを付さないことによって示しているように、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aを無効化するか、又はオフにしている。
【0061】
一方、図4Bのマルチゾーンバックライト100は、図示のように、第1のゾーン101aから指向性放射光102’’を提供するように構成されている。具体的には、図4Bは、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aから指向性放射光102’’が放射される様子を示す。したがって、マルチビューバックライト120の別個の光源122aの起動を示すクロスハッチングを用いて示しているように、図4Bにおいてマルチビューバックライト120の第1のゾーン120aを起動している。図4Bでは、広角バックライト110の別個の光源112aにクロスハッチングを付さないことによって示しているように、広角バックライト110の第1のゾーン110aを無効化するか、又はオフにしている。図4Cはまた、マルチゾーンバックライト100の第1のゾーン101a及びマルチビューバックライト120の第1のゾーン120aから指向性放射光102’’を提供するように構成された、マルチゾーンバックライト100を示している。いくつかの実施形態によれば、広角バックライト110は、図示のように、当該ゾーン、例えば第1及び第2のゾーン110a、110bのうちの1つ又はそれ以上から広角放射光102’を提供するように構成された、平面又は実質的に平面発光面110’を有する。さまざまな実施形態によれば、広角バックライト110は、別々に起動される複数のゾーンを有する、実質的に任意のバックライトであってもよい。例えば、広角バックライト110は、別々に起動され得る別々のゾーンに分割された、直接発光するか、又は直接照明される平面バックライトであってもよい。直接発光するか、又は直接照明される平面バックライトには、平面発光面110’を直接照明し、広角放射光102’を提供するように構成された、冷陰極蛍光ランプ(cold-cathode fluorescent lamp:CCFL)、ネオンランプ、又は発光ダイオード(LED)の平面アレイを使用するバックライトパネルが含まれるが、これに限定されない。エレクトロルミネセンスパネル(electroluminescent panel:ELP)は、直接発光する平面バックライトの別の非限定的な例である。他の例では、広角バックライト110は、それぞれが別個の間接光源を使用する、別々のゾーンに分割されたバックライトを含んでいてもよい。そのような間接照明型バックライトは、エッジ結合型又はいわゆる「エッジライト」式バックライトなどのさまざまな形態を含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0062】
図5は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における広角バックライト110の断面図を示す。図5の断面図は、例えば、図4A図4Cに示す広角バックライト110の第1のゾーン110a又は第2のゾーン110bのいずれかを表していてもよい。図5に示すように、広角バックライト110はエッジライト式バックライトであり、広角バックライト110のエッジに結合された光源112を含む。エッジ結合光源112は、広角バックライト110内で光を生成するように構成され、また、別個の光源112a、112bのいずれかを表していてもよい。さらに、限定ではなく例示として示すように、広角バックライト110は、複数の抽出機構114aと共に、平行な対向面(即ち、矩形形状のガイド構造体)を備える、実質的に矩形の断面を有するガイド構造体114(又はライトガイド)を含む。限定ではなく例示として、図5に示す広角バックライト110は、広角バックライト110のガイド構造体114の表面(即ち、上面)に抽出機構114aを含む。さまざまな実施形態によれば、エッジ結合光源112から、矩形形状のガイド構造体114内に導波される光は、抽出機構114aによってガイド構造体114から方向変更され、外部に散乱され、又は抽出されることにより、広角放射光102’を提供することができる。広角バックライト110は、エッジ結合光源112を起動するか、又はオンにすることによって起動される。
【0063】
いくつかの実施形態では、広角バックライト110は、直接発光型であるか、又はエッジライト式(例えば、図5に示すように)であるかにかかわらず、1つ又はそれ以上の追加の層若しくはフィルム、例えばディフューザ若しくは拡散層、輝度向上フィルム(brightness enhancement film:BEF)、及び偏光リサイクルフィルム又は偏光リサイクル層を含むがこれらに限定されない、1つ又はそれ以上の追加の層若しくはフィルムをさらに含んでもよい。例えば、ディフューザは、抽出機構114aのみによって提供されるものと比較して、広角放射光102’の放射角を増加させるように構成されていてもよい。いくつかの例では、輝度向上フィルムを使用して、広角放射光102’の全体的な輝度を高めてもよい。輝度向上フィルム(BEF)は、例えばミネソタ州セントポールの3M Optical Systems部門からVikuiti(商標)BEF IIとして入手可能であり、これはプリズム構造を利用して、最大60%の輝度利得をもたらす、微細複製された向上フィルムである。偏光リサイクル層は、第1の偏光を選択的に透過させる一方で、第2の偏光を反射させて、矩形形状のガイド構造体114に向かって戻すように構成されていてもよい。この偏光リサイクル層は、例えば、反射偏光フィルム又は二重輝度向上フィルム(dual brightness enhancement film:DBEF)を含んでいてもよい。DBEFフィルムの例には、例えばミネソタ州セントポールの3M Optical Systems部門から入手可能な3M Vikuiti(商標)Dual Brightness Enhancement Filmが含まれるが、これに限定されない。別の例では、高度な偏光変換フィルム(advanced polarization conversion film:APCF)、又は輝度向上フィルムとAPCFフィルムとの組み合わせを偏光リサイクル層として使用してもよい。
【0064】
図5は、ガイド構造体114及び広角バックライト110の平面発光面110’に隣接するディフューザ116を、広角バックライト110がさらに備える様子を示す。さらに、図5には、輝度向上フィルム117と偏光リサイクル層118とを示しており、両方とも同様に平面発光面110’に隣接している。いくつかの実施形態では、広角バックライト110は、例えば図5に示すように、平面発光面110’の反対側にある、ガイド構造体114の表面(即ち、背面に)に隣接する反射層119をさらに含む。反射層119は、さまざまな反射フィルム、例えば反射性金属の層又は強化鏡面反射(enhanced specular reflector:ESR)フィルムを含むが、これらに限定されないさまざまな反射フィルムのいずれかを含んでいてもよい。ESRフィルムの例には、ミネソタ州セントポールの3M Optical Systems部門から入手可能なVikuiti(商標)Enhanced Specular Reflector Filmが含まれるが、これに限定されない。
【0065】
再度図4A図4Cを参照すると、いくつかの実施形態(例えば、図示しているように)では、マルチビューバックライト120はライトガイド124をさらに含んでいてもよい。さまざまな実施形態によれば、ライトガイド124は、光を導波光104として導波するように構成されている。いくつかの実施形態では、このライトガイド124は平板ライトガイドであってもよい。さらに、このライトガイド124は、ライトガイド124を第1の部分と第2の部分とに分割するように構成された、反射構造体125を含む。この第1の部分は、マルチビューバックライト120の第1のゾーン120aに対応しており、第2の部分は、マルチビューバックライト120の第2のゾーン120bに対応している。
【0066】
さまざまな実施形態によれば、ライトガイド124は、内部全反射に従って、ライトガイド部分(例えば、第1の部分又は第2の部分のいずれか)でライトガイド124の長さに沿って導波光104を導波するように構成されている。ライトガイド124内の導波光104の一般的伝搬方向103を、図4Bでは太字矢印で示している。いくつかの実施形態では、図4Bに示すように、導波光104は、非ゼロ伝搬角で伝搬方向103に導波されてもよく、また、所定のコリメーション係数σに従って平行化された平行光を含んでもよい。
【0067】
例えば、ライトガイド124は、光導波路として構成された誘電体材料を含んでいてもよい。この誘電体材料は、誘電体光導波路を包囲している媒体の第2の屈折率よりも高い、第1の屈折率を有していてもよい。例えば、屈折率差は、ライトガイド124の1つ又はそれ以上の導波モードに従って、導波光104の内部全反射を促進するように構成されている。いくつかの実施形態では、このライトガイド124は、光学的に透過性の誘電体材料の、延展された実質的に平面状のシートを含む、スラブ光導波路又は平板光導波路であってもよい。さまざまな例によれば、このライトガイド124の光学的に透過性の材料は、さまざまな誘電体材料、例えばさまざまなタイプのガラス(例えば、石英ガラス、アルミノケイ酸アルカリガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、また実質的にかつ光学的に透過なプラスチック若しくはポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されないさまざまな誘電体材料のいずれかを含むか、又はそのいずれかで構成されていてもよい。いくつかの例では、このライトガイド124は、ライトガイド124の表面の少なくとも一部(例えば、上面又は底面の一方若しくは両方)に、クラッド層(図示せず)をさらに含んでいてもよい。いくつかの例によれば、このクラッド層を使用して、内部全反射をさらに促進してもよい。
【0068】
さまざまな実施形態によれば、反射構造体125は、ライトガイド124の第1の部分を第2の部分から反射分離する、ライトガイド124内の間隙、当該部分間の反射壁、及びライトガイド124のガイド面内の溝又は同様の不連続部を含んでいてもよいが、これらに限定されない。反射構造体125のいくつかの例示的な実施形態については、例えば図6A図6Bを参照して以下でさらに説明する。
【0069】
図6Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射構造体125を有するライトガイド124の斜視図を示す。図6Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における反射構造体125を有するライトガイド124の斜視図を示す。具体的には、図6Aは、第1の部分124aと第2の部分124bとを分離するライトガイド124内の間隙を含む、反射構造体125を示す。いくつかの実施形態では、この間隙は、ライトガイド124のエッジで間隙に沿って生じる内部全反射によって、第1及び第2の部分124a、124bのそれぞれの中に導波光を反射閉じ込めすることができる。別の実施形態では、このライトガイドのエッジは、導波光をさらに反射閉じ込めするように、反射性材料(例えば、反射性金属、反射性高分子金属など)でコーティングされてもよい。
【0070】
図6Bは、ライトガイド124のガイド面内に溝を含む、反射構造体125を示す。矢印によって示すように、この溝は、導波光104の少なくとも一部を反射により方向変更して、第1又は第2の部分124a、124bの一方の中に、この導波光104を反射閉じ込めすることができる。図6Bの反射構造体125を溝として示しているが、この反射構造体125は、ライトガイド124の第1の部分124aを第2の部分124bから反射分離する、ライトガイド124のガイド面内の実質的に任意の構造の不連続部、例えば、ライトガイド124の長さに沿って延在する回折格子であってもよい。
【0071】
再度図4A図4Cを参照すると、マルチビューバックライト120は、例えば図示のように、マルチビーム素子126のアレイをさらに含んでいてもよい。さまざまな実施形態によれば、このマルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子126はそれぞれ、ライトガイド124の第1及び第2の部分124a、124bのそれぞれにわたって互いから離隔している。例えば、いくつかの実施形態では、これらのマルチビーム素子126は、一次元(1D)アレイ状に配置されてもよい。他の実施形態では、これらのマルチビーム素子126は、二次元(2D)アレイ状に配置されてもよい。さらに、異なるタイプのマルチビーム素子126がマルチビューバックライト120内で使用されてもよく、これには例えば、アクティブエミッタ及びさまざまな散乱素子が含まれるが、これらに限定されない。さまざまな実施形態によれば、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子126はそれぞれ、マルチビューモード中にマルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する、指向性放射光102’’の指向性光ビームを提供するように構成されている。さまざまな実施形態によれば、具体的には、これら複数の指向性光ビームのうちの指向性光ビームはそれぞれ、マルチビューバックライト120のあるゾーンを起動すると提供される、指向性放射光102’’を含む。
【0072】
さまざまな実施形態によれば、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子126はそれぞれ、図4Bに示すように、ライトガイド124内からの導波光104の一部を外部に散乱させ、この散乱した部分をライトガイド124の第1の表面124’から、又はマルチビューバックライト120の第1の表面から離隔するように方向付けして、指向性放射光102’’を提供するように構成されている。例えば、この導波光部分は、第1の表面124’を通ってマルチビーム素子126によって散乱されてもよい。さらに、図4A図4Cに示すように、さまざまな実施形態によれば、マルチビューバックライト120において第1の表面の反対側にある第2の表面124’’は、広角バックライト110の発光面110’に隣接していてもよい。
【0073】
なお、図4Bに示すように、指向性放射光102’’の複数の指向性光ビームは、上述した異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームであるか、これら複数の指向性光ビームを表している。即ち、さまざまな実施形態によれば、指向性光ビームは、指向性放射光102’’の他の指向性光ビームとは異なる主角度方向を有する。さらに、広角バックライト110から始まり、続いてマルチビューバックライト120を通過する破線矢印によって図4Aに示すように、マルチビューバックライト120の厚みを広角バックライト110からの広角放射光102’が通過又は透過できるように、マルチビューバックライト120を実質的に透過性(例えば、少なくとも2Dモードでは)としてもよい。即ち、広角バックライト110によって提供される広角放射光102’は、例えばマルチビューバックライトの透過性により、マルチビューバックライト120を透過するように構成されている。
【0074】
例えば、ライトガイド124と、離隔している複数のマルチビーム素子126とにより、光が第1の表面124’及び第2の表面124’’の両方を通ってライトガイド124を透過できるようになり得る。これらマルチビーム素子126のサイズが比較的小さいこと、及びマルチビーム素子126の素子間間隔が比較的大きいことの両方により、少なくとも部分的に透過性が促進され得る。さらに、とりわけマルチビーム素子126が以下に述べている回折格子を含む場合、いくつかの実施形態では、マルチビーム素子126はまた、ライトガイド表面124’、124’’に直交して伝搬する光に対して実質的に透過性であってもよい。したがって、さまざまな実施形態によれば、例えば広角バックライト110からの光は、マルチビューバックライト120のマルチビーム素子のアレイを有するライトガイド124を通って直交方向に透過してもよい。
【0075】
上述したように、マルチビューバックライト120は、第1及び第2のゾーン120a、120bのそれぞれに対応する別個の光源122a、122bをそれぞれ含む、光源122を備える。したがって、マルチビューバックライト120は、例えばエッジライト式バックライトであってもよい。さまざまな実施形態によれば、光源122は、ライトガイド124内に導波光104として導波される光を提供するように構成されている。具体的には、光源122は、ライトガイド124の入射面又は入射端(入力端)に隣接配置されていてもよい。さまざまな実施形態では、光源122は、実質的に任意の光提供源(例えば、発光体)、例えば、1つ又はそれ以上の発光ダイオード(LED)若しくはレーザ(例えば、レーザダイオード)を含むが、これらに限定されない実質的に任意の光提供源を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、光源122は、特定の色が示す狭帯域スペクトルを有する、実質的に単色の光を生成するように構成された、発光体を含んでもよい。具体的には、この単色の光が有する色は、特定の色空間又はカラーモデル(例えば、赤緑青(red-green-blue:RGB)カラーモデル)の原色であってもよい。他の例では、光源122は、実質的に広帯域又は多色の光を提供するように構成された、実質的に広帯域の光源であってもよい。例えば、光源122は白色光を提供することができる。いくつかの実施形態では、光源122は、異なる色の光を提供するように構成された、複数の異なる発光体を含んでいてもよい。異なる色の光のそれぞれに対応する導波光において、それぞれ異なる、色固有の非ゼロ伝搬角を有する光を提供するように、異なる発光体が構成されていてもよい。図4Bに示すように、マルチビューバックライト120の起動は、図4Bにクロスハッチングを用いて示している光源122を起動するステップを含んでいてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、光源122は、コリメータ(図示せず)をさらに含んでもよい。このコリメータは、光源122の発光体のうちの1つ又はそれ以上から実質的に平行化されていない光を受光するように構成されていてもよい。このコリメータは、実質的に平行化されていない光を平行光に変換するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、具体的には、このコリメータは、非ゼロ伝搬角を有し、かつ所定のコリメーション係数に従って平行化された平行光を提供してもよい。さらに、異なる色の発光体が使用される場合、それぞれ異なる、色固有の非ゼロ伝搬角を有する平行光、又はそれぞれ異なる、色固有のコリメーション係数を有する平行光の一方若しくは両方である平行光を提供するように、このコリメータが構成されていてもよい。このコリメータは、平行光をライトガイド124に伝達し、これを上述した導波光104として伝搬させるようにさらに構成されている。
【0077】
上述したように、さまざまな実施形態によれば、マルチビューバックライト120はマルチビーム素子126のアレイを含む。いくつかの実施形態によれば(例えば、図4A図4Cに示すように)、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子126はそれぞれ、ライトガイド124の第1の表面124’に(例えば、マルチビューバックライト120の第1の表面に隣接して)配置されていてもよい。他の実施形態(図示せず)では、マルチビーム素子126はライトガイド124内に配置されていてもよい。さらに他の実施形態(図示せず)では、マルチビーム素子126は、ライトガイド124の第2の表面124’’に、又はその上に(例えば、マルチビューバックライト120の第2の表面に隣接して)配置されていてもよい。さらに、マルチビーム素子126のサイズは、マルチビュー画像を表示するように構成されたマルチビューディスプレイのライトバルブのサイズと同等である。即ち、マルチビーム素子のサイズは、例えば、マルチゾーンバックライト100及びそのマルチビューバックライト120を含む、マルチビューディスプレイのライトバルブのアレイのライトバルブのサイズと同等である。
【0078】
図4A図4Cはまた、限定ではなく例示として、ライトバルブ106のアレイ(例えば、マルチビューディスプレイ)を示す。さまざまな実施形態では、さまざまな異なるタイプのライトバルブのいずれかが、ライトバルブ、例えば液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、又はエレクトロウェッティングベースの、若しくはエレクトロウェッティングを使用するライトバルブのうちの1つ又はそれ以上を含むが、これらに限定されないライトバルブのアレイのライトバルブ106として使用されてもよい。さらに、図示のように、マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子126に対して、ライトバルブ106の固有のセットが設けられていてもよい。ライトバルブ106の固有のセットは、例えば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル106’に対応することができる。
【0079】
本明細書では、この「サイズ」を、さまざまな形態、例えば長さ、幅、又は面積を含むが、これらに限定されないさまざまな形態のいずれかにおいて定義していてもよい。例えば、ライトバルブのサイズはライトバルブの長さであってもよく、これと同等であるマルチビーム素子126のサイズも同様に、マルチビーム素子126の長さであってもよい。別の例では、サイズは、マルチビーム素子126の面積をライトバルブの面積と同等にすることができるような面積を指していてもよい。いくつかの実施形態では、このマルチビーム素子126のサイズを、このマルチビーム素子のサイズがライトバルブのサイズの約25パーセント(25%)~約200パーセント(200%)となるように、ライトバルブのサイズと同等にしている。例えば、このマルチビーム素子のサイズを「s」で示し、ライトバルブのサイズを「S」で示す場合(例えば、図4Bに示すように)、マルチビーム素子のサイズsを次の式(2)で示すことができる。
【数2】
他の例では、マルチビーム素子のサイズはライトバルブのサイズの約50パーセント(50%)よりも大きく、あるいはライトバルブのサイズの約60パーセント(60%)であり、又はライトバルブのサイズの約70パーセント(70%)であり、若しくはライトバルブのサイズの約80パーセント(80%)よりも大きく、又はライトバルブのサイズの約90パーセント(90%)よりも大きく、また、マルチビーム素子はライトバルブのサイズの約180パーセント(180%)よりも小さく、あるいはライトバルブのサイズの約160パーセント(160%)よりも小さく、又はライトバルブのサイズの約140パーセント(140%)よりも小さく、若しくはライトバルブのサイズの約120パーセント(120%)よりも小さい。いくつかの実施形態によれば、マルチビーム素子126とライトバルブとが該当する同等のサイズは、マルチビューディスプレイのビュー間の暗いゾーンを低減するように、又はいくつかの例では最小化するように選択されてもよく、その一方で同時に、マルチビューディスプレイ又はマルチビュー画像のビュー間の重なりを低減するように、又はいくつかの例では最小化するように選択されてもよい。
【0080】
さまざまな実施形態によれば、マルチビューバックライト120のマルチビーム素子126は、導波光104の一部を外部に散乱させるように構成された、いくつかの異なる構造体のいずれかを含んでいてもよい。例えば、これらの異なる構造体には、回折格子、マイクロ反射素子、マイクロ屈折素子、又はそれらのさまざまな組み合わせが含まれてもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、回折格子を含むマルチビーム素子126は、主角度方向が異なる複数の指向性光ビームを含む指向性放射光102’’として、導波光部分を外部に回折結合させるか、又は外部に回折散乱させるように構成されている。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子の回折格子は、複数の個々のサブ格子を含んでいてもよい。他の実施形態では、マイクロ反射素子を含むマルチビーム素子126は、導波光部分を複数の指向性光ビームとして外部に反射結合させるか、又は反射散乱させるように構成されているか、あるいはマイクロ屈折素子を含むマルチビーム素子126は、屈折によって、又は屈折を用いて、導波光部分を複数の指向性光ビームとして外部に結合させるか、又は外部に散乱させる(即ち、導波光部分を外部に屈折散乱させる)ように構成されている。
【0081】
図7は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビーム素子126を含むマルチビューバックライト120の一部の断面図を示す。具体的には、図5は、回折格子126aを含むマルチビューバックライト120のマルチビーム素子126を示す。回折格子126aは、導波光104の一部を、指向性放射光102’’の複数の指向性光ビームとして外部に回折結合させるか、又は外部に回折散乱させるように構成されている。回折格子126aは、導波光部分を外部に回折散乱させるように構成された、回折特徴部間隔(又は回折特徴部ピッチ若しくは格子ピッチ)だけ互いから離隔している、複数の回折特徴部を含む。さまざまな実施形態によれば、回折格子126a内のこれら回折特徴部の間隔又は格子ピッチは、サブ波長(即ち、導波光104の波長よりも短い)であってもよい。さまざまな実施形態では、マルチビーム素子126の回折格子126aは、ライトガイド124の表面に、又はこれに隣接して配置されてもよく、他の実施形態では、この回折格子126aは、ライトガイド124のガイド面間に配置されてもよい。例えば、回折格子126aは、図7に示すように、ライトガイド124の第2の表面124’’にあるか、又はこれに隣接していてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子126の回折格子126aは、回折格子126a全体にわたって回折特徴部間隔が実質的に一定又は不変である、均一な回折格子である。他の実施形態では、回折格子126aはチャープ回折格子であってもよい。定義により、この「チャープ」回折格子は、回折特徴部において、チャープ回折格子の範囲又は長さにわたって変動する回折間隔(即ち、格子ピッチ)を呈するか、又は有する回折格子である。いくつかの実施形態(図示せず)では、回折格子126aは、複数の回折格子若しくは回折格子のアレイ、又は同等に複数のサブ格子若しくはサブ格子のアレイを含んでいてもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、複数のマルチビーム素子における異なるマルチビーム素子126間の回折格子126a内のサブ格子の密度差は、それぞれの異なるマルチビーム素子126によって外部に回折散乱される、指向性放射光102’’の複数の指向性光ビームの相対強度を制御するように構成されていてもよい。
【0083】
図8は、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子126を含むマルチビューバックライト120の一部の断面図を示す。具体的には、図8は、マイクロ反射素子126bを含むマルチビーム素子126の一実施形態を示す。マルチビーム素子126として、又はその中で使用されるマイクロ反射素子は、反射性材料又は反射性材料の層(例えば、反射性金属)を使用するリフレクタ、又は内部全反射(TIR)に基づくリフレクタを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0084】
図9は、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例におけるマルチビーム素子126を含むマルチビューバックライト120の一部の断面図を示す。具体的には、図9は、マイクロ屈折素子126cを含むマルチビーム素子126を示す。さまざまな実施形態によれば、このマイクロ屈折素子126cは、ライトガイド124からの導波光104の一部を外部に屈折結合又は屈折散乱させるように構成されている。即ち、マイクロ屈折素子126cは、図9に示すように、指向性光ビームを含む指向性放射光102’’としてライトガイド124からの導波光部分を外部に結合させるか、又は外部に散乱させるために、屈折(例えば、回折又は反射ではなく)を使用するように構成されている。マイクロ屈折素子126cはさまざまな形状、例えば半球形状、長方形形状、又はプリズム形状若しくは逆プリズム形状(即ち、傾斜したファセットを有する形状)を含むがこれらに限定されない、さまざまな形状を有していてもよい。さまざまな実施形態によれば、マイクロ屈折素子126cは、図示のように、ライトガイド124の表面(例えば、図示しているように、第1の表面124’)から延在又は突出していてもよく、あるいはこの表面の空洞(図示せず)であってもよい。さらに、マイクロ屈折素子126cは、いくつかの実施形態ではライトガイド124の材料を含んでいてもよい。他の実施形態では、マイクロ屈折素子126cは、ライトガイド表面に隣接し、いくつかの例では、このライトガイド表面と接触している別の材料を含んでいてもよい。
【0085】
本明細書に記載の原理によるいくつかの実施形態によれば、マルチゾーンマルチビューディスプレイが提供される。本マルチゾーンマルチビューディスプレイは、二次元(2D)画像のピクセル又はマルチビュー画像の異なるビューのマルチビューピクセル(ビューピクセル)に対応しているか、又はこれらを表す変調光を、ゾーンごとに別々に放射するように構成された、複数のゾーンを備える。例えば、このマルチビュー画像は、自動立体又はメガネなしの3Dマルチビュー画像であってもよいが、2D画像は、第三次元(例えば、深度)から恩恵を受けない可能性があるテキスト及び他の2D情報を表示するのにより適した、より高い解像度を示してもよい。さらに、本マルチゾーンマルチビューディスプレイは、複数の異なるゾーンの各ゾーンに、二次元(2D)画像又はマルチビュー画像のいずれかを選択的に表示するように構成されていてもよい。さまざまな実施形態によれば、特定のゾーンに表示する画像タイプ(即ち、2D画像又はマルチビュー画像)の選択は、広角放射光又は指向性放射光のいずれがそのゾーンで放射されるかによって決まってもよい。
【0086】
図10Aは本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンマルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。図10Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンマルチビューディスプレイ200の斜視図を示す。さまざまな実施形態によれば、図10A図10Bに示すマルチゾーンマルチビューディスプレイ200を使用して、2D情報及びマルチビュー情報、例えば2D画像、テキスト、及びマルチビュー画像などであるが、これらに限定されない2D情報及びマルチビュー情報の両方が、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の複数のゾーン201内のさまざまな異なるゾーン201で選択的に表示されてもよい。具体的には、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200は、図10Aに示すように、2D画像の2Dピクセルを表す変調された広角放射光202’を備えるか、又はマルチビュー画像の指向性ピクセルを表す指向性光ビームを含む変調された指向性放射光202’’を備える変調された放射光202を、ゾーン201のそれぞれ(例えば、図10Bに示すように、第1のゾーン201a及び第2のゾーン201b)で放射するように構成されている。さらに、さまざまな実施形態によれば、変調された広角放射光202’及び変調された指向性放射光202’’は、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200によって、ゾーン201内でゾーンごとに選択的に放射されてもよい。図10Aは、限定ではなく例示として、第1のゾーン(ゾーン1)で放射される変調された広角放射光202’と、第2のゾーン(ゾーン2)で放射される変調された指向性放射光202’’とを示す。変調された広角放射光202’及び変調された指向性放射光202’’を、図示されるのを容易にするために図10Bには示していない。
【0087】
図示のように、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200は、広角バックライト210を備える。この広角バックライト210は、広角放射光204で、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の複数のゾーン201のうちの1つ又はそれ以上のゾーン201を選択的に照明している。いくつかの実施形態では、この広角バックライト210は、上述のマルチゾーンバックライト100の広角バックライト110と実質的に同様であってもよい。例えば、広角放射光204は、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の第1及び第2のゾーン201a、201bの一方又は両方を照明するように放射されてもよい。
【0088】
図10A及び図10Bに示すマルチゾーンマルチビューディスプレイ200は、マルチビューバックライト220をさらに備える。マルチビューバックライト220は、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する指向性光ビームを含む指向性放射光で、複数のゾーンのうちの1つ又はそれ以上のゾーンを選択的に照明するように構成されている。いくつかの実施形態では、マルチビューバックライト220は、上述のマルチゾーンバックライト100のマルチビューバックライト120と実質的に同様であってもよい。例えば、指向性放射光206は、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の第1及び第2のゾーン201a、201bの一方又は両方を照明するように放射されてもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の広角バックライト210と、マルチビューバックライト220とは、広角放射光204又は指向性放射光206のいずれか一方のみで、各ゾーン201(例えば、第1及び第2のゾーン201a、201b)を協働して照明するように構成されていてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、広角バックライト210の複数のゾーンにおけるゾーン数は、マルチビューバックライト220の複数のゾーンにおけるゾーン数とは異なっていてもよい。例えば、広角バックライト210は、マルチビューバックライト220よりも多くのゾーンを有していてもよい。いくつかの実施形態では、広角バックライトのゾーンとマルチビューバックライトのゾーンとは、例えば、広角放射光204及び指向性放射光206の両方で、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200のゾーン201を同時に照明するように構成されていてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、図10Aに例示として示すように、マルチビューバックライト220は、ライトガイド222と、互いから離隔しているマルチビーム素子224のアレイとを含む。マルチビーム素子224のアレイは、ライトガイド222からの導波光を指向性放射光206として外部に散乱させるように構成されている。さまざまな実施形態によれば、マルチビーム素子のアレイの個々のマルチビーム素子224によって提供される指向性放射光206は、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の選択されたゾーン201でマルチビュー画像を表示するときに、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200によって表示されるマルチビュー画像のビュー方向に対応している、異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームを含む。いくつかの実施形態では、ライトガイド222及びマルチビーム素子224は、上述のライトガイド124及びマルチビーム素子126と、それぞれ実質的に同様であってもよい。具体的には、ライトガイド222は、光を導波光として導波するように構成されていてもよく、さらに反射構造体によって、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200の複数のゾーン201に対応し、これら複数のゾーン201と位置合わせされる複数の部分に分割されてもよい。さらに、さまざまな実施形態によれば、マルチビーム素子224のアレイのマルチビーム素子224は、指向性放射光206として導波光を外部に散乱させるために、ライトガイド222に光学的に結合された回折格子、マイクロ反射素子、又はマイクロ屈折素子のうちの1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。
【0091】
図示のように、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200は、ライトバルブのアレイ230をさらに備える。ライトバルブのアレイ230は、広角放射光204を変調して、二次元(2D)画像を提供するように構成されている。さらに、このライトバルブのアレイ230は、指向性放射光206を変調して、マルチビュー画像を提供するように構成されている。具体的には、ライトバルブのアレイ230は、広角放射光204を受光し変調して、変調された広角放射光202’を提供するように構成されている。同様に、ライトバルブのアレイ230は、指向性放射光206を受光し変調して、変調された指向性放射光202’’を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、このライトバルブのアレイ230は、マルチゾーンバックライト100に関して上述した、ライトバルブ106のアレイと実質的に同様であってもよい。例えば、ライトバルブのアレイのライトバルブは、液晶ライトバルブを含んでいてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、マルチビーム素子224のアレイのマルチビーム素子224のサイズは、ライトバルブのアレイ230のライトバルブのサイズと同等であってもよい(例えば、ライトバルブのサイズの4分の1~その2倍)。さまざまな実施形態によれば、当該2D画像は、広角放射光204によって選択的に照明されるゾーン201内で提供され、当該マルチビュー画像は、指向性放射光206によって選択的に照明されるゾーン201内で提供される。
【0092】
いくつかの実施形態(図示せず)によれば、マルチゾーンマルチビューディスプレイ200は、複数の光源をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、これら複数の光源は、広角バックライト210又はマルチビューバックライト220のいずれかのライトガイド内で、導波光として導波される光を提供するように構成されている。これら複数の光源のうちの光源はそれぞれ、例えば、マルチビューバックライト220のライトガイド222の複数の部分のうちの異なる部分に、又は同等に広角バックライト210のライトガイドの異なる部分に光を提供するように、光学的に結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、本マルチゾーンマルチビューディスプレイの複数の光源のうちの光源はそれぞれ、マルチゾーンバックライト100に関して上述した別個の光源112a、112b、122a、122bと実質的に同様であってもよい。
【0093】
本明細書に記載の原理による他の実施形態によれば、マルチゾーンバックライトの動作方法が提供される。図11は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチゾーンバックライトの動作方法300を表すフローチャートを示す。図11に示すように、マルチゾーンバックライトの動作方法は、第1のゾーン及び第2のゾーンを有する広角バックライトを使用して、広角放射光を提供するステップ310を含む。さまざまな実施形態によれば、これら第1及び第2のゾーンはそれぞれ、起動時に広角放射光を別々に提供している。いくつかの実施形態では、この広角バックライトは、上述のマルチゾーンバックライト100の広角バックライト110と実質的に同様であってもよい。
【0094】
マルチゾーンバックライトの動作方法300は、第1のゾーンと第2のゾーンとに分割されたマルチビューバックライトを使用して、指向性放射光を提供するステップ320をさらに含む。これら第1及び第2のゾーンはそれぞれ、起動時に、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している方向を有する複数の指向性光ビームを含む指向性放射光を、別々に提供している。いくつかの実施形態によれば、この指向性放射光は、例えば、マルチビーム素子のアレイの各マルチビーム素子によって提供され得る、複数の指向性光ビームを含む。さまざまな実施形態によれば、具体的には、複数の指向性光ビームのうちの指向性光ビームそれぞれの方向は、マルチビュー画像の異なるビュー方向に対応している。いくつかの実施形態では、このマルチビューバックライトは、上述のマルチゾーンバックライト100のマルチビューバックライト120と実質的に同様であってもよい。例えば、このマルチビューバックライトの第1及び第2のゾーンは、広角バックライトの第1及び第2のゾーンのそれぞれに対応し、これらのゾーンのそれぞれとさらに位置合わせされてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態(図示せず)では、複数の指向性光ビームを提供するステップ320は、光を導波光としてライトガイド内で導波するステップと、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子を使用して、この導波光の一部を外部に散乱させるステップとを含む。さらに、いくつかの実施形態では、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子はそれぞれ、回折格子、マイクロ屈折素子、又はマイクロ反射素子のうちの1つ又はそれ以上を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子はそれぞれ、上述のマルチビューバックライト120のマルチビーム素子126と実質的に同様であってもよい。さらに、このライトガイドは、上述したように、ライトガイド124と実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、マルチゾーンバックライトの動作方法300は、ライトガイドに光を提供するステップであって、このライトガイド内の導波光は、上述したように、所定のコリメーション係数に従って平行化される、ステップをさらに含んでいてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態によれば(例えば、図11)に示すように、マルチゾーンバックライトの動作方法300は、ライトバルブのアレイを使用して広角放射光を変調して、マルチゾーンバックライトのゾーン内に2D画像を提供するステップ330と、ライトバルブのアレイを使用して指向性放射光の複数の指向性光ビームを変調して、マルチゾーンバックライトの1つ又はそれ以上のゾーン内にマルチビュー画像を提供するステップ340と、をさらに含んでいてもよい。いくつかの他の実施形態では、マルチビーム素子のアレイのマルチビーム素子のサイズは、ライトバルブのアレイのライトバルブのサイズの4分の1~2倍として構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、このライトバルブのアレイは、マルチゾーンバックライト100に関して上述したライトバルブ106のアレイと実質的に同様であってもよい。
【0097】
したがって、複数のゾーンへの照明を提供し、かつ使用するマルチゾーンバックライト、マルチゾーンマルチビューディスプレイ、及びマルチゾーンバックライトの動作方法の例並びに実施形態について説明してきた。上述した例は、本明細書に記載の原理を示す多くの特定の例及び実施形態のうちのいくつかを、単に例示するものにすぎないことを理解すべきである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって規定されている範囲から逸脱することなく、他の数多くの構成を容易に考案できることは明らかである。
【符号の説明】
【0098】
100 マルチゾーンバックライト
110,210 広角バックライト
120,220 マルチビューバックライト
126,224 マルチビーム素子
200 マルチビューディスプレイ

図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11