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特許7299352ロータコンポーネント及びコンシクエントポール型モータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】ロータコンポーネント及びコンシクエントポール型モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2746 20220101AFI20230620BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H02K1/2746
H02K1/22 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021572955
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020097586
(87)【国際公開番号】W WO2021022920
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】201910713441.9
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516164151
【氏名又は名称】珠海格力▲電▼器股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 彬
(72)【発明者】
【氏名】李 権鋒
(72)【発明者】
【氏名】肖 勇
(72)【発明者】
【氏名】丁 佳▲てぃん▼
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/117575(WO,A1)
【文献】特開2007-174738(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142444(WO,A1)
【文献】特開2004-350345(JP,A)
【文献】特開平07-336917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/2746
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコンポーネントであって、
ロータ鉄心(1)を含み、
前記ロータ鉄心(1)は、周方向に沿って交互に配置された磁石極と疑似極とを含み、
前記磁石極は取付溝(2)を含み、前記取付溝(2)内には永久磁石(3)が取り付けられており、
前記永久磁石(3)の、前記ロータ鉄心(1)の外周縁に向かう極性は同一の極性であり、
前記取付溝(2)の両端にはそれぞれ第2の空気溝(5)が設けられ、前記第2の空気溝(5)は、溝本体と、前記溝本体から磁極中心線に向かって延在する第1の延在部(6)及び第2の延在部(7)とを含み、
前記第1の延在部(6)及び前記第2の延在部(7)は、径方向の厚さが漸減する階段溝を形成するように順次に設けられ
同一の磁石極に位置する2つの前記第1の延在部(6)の、磁極中心線に近接する側壁で挟まれる角はa21であり、同一の磁石極に位置する2つの前記第2の延在部(7)の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、a22/a21=0.7~0.9である
ことを特徴とするロータコンポーネント。
【請求項2】
前記第1の延在部(6)及び前記第2の延在部(7)は、前記溝本体の、前記ロータ鉄心(1)の外周に近接する側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のロータコンポーネント。
【請求項3】
前記磁極中心線には第1の空気溝(4)が設けられ、
前記第2の空気溝(5)と前記ロータ鉄心(1)の外周縁との間の距離は、前記第1の空気溝(4)と前記ロータ鉄心(1)の外周縁との間の距離より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のロータコンポーネント。
【請求項4】
似極の両側に位置する2つの前記第2の空気溝(5)の、疑似極の中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa2であり、a22/a2=0.7~1である
ことを特徴とする請求項1に記載のロータコンポーネント。
【請求項5】
前記ロータ鉄心(1)の中心軸線に垂直な平面内において、記永久磁石(3)の径方向外縁における2つの端点と前記ロータ鉄心(1)の中心との接続線で挟まれる角はamであり、a22/am=0.65~0.75である
ことを特徴とする請求項1に記載のロータコンポーネント。
【請求項6】
前記第1の延在部(6)の径方向の厚さはt21であり、前記第2の延在部(7)の径方向の厚さはt22であり、t21/t22=0.4~0.6である
ことを特徴とする請求項1に記載のロータコンポーネント。
【請求項7】
前記ロータ鉄心(1)の中心軸線に垂直な平面内において、前記第1の空気溝(4)の径方向外縁における2つの端点と前記ロータ鉄心(1)の中心との接続線で挟まれる角はa1でありa1/a22=0.1~0.15である
ことを特徴とする請求項3に記載のロータコンポーネント。
【請求項8】
前記第1の空気溝(4)の径方向の厚さはt1であり、磁極中心線におけるポールシューの厚さはts1であり、t1/ts1=0.4~0.6である
ことを特徴とする請求項3に記載のロータコンポーネント。
【請求項9】
前記第2の空気溝(5)の径方向の厚さはt2であり、前記第1の延在部(6)の径方向の厚さはt21であり、t21/t2=0.2~0.4である
ことを特徴とする請求項1に記載のロータコンポーネント。
【請求項10】
前記第1の空気溝(4)は、磁極中心線に関して対称である
ことを特徴とする請求項3に記載のロータコンポーネント。
【請求項11】
コンシクエントポール型モータであって、
ステータコンポーネント(8)とロータコンポーネントとを含み、
前記ロータコンポーネントは、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のロータコンポーネントである
ことを特徴とするコンシクエントポール型モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年8月2日に出願された出願番号がCN201910713441.9である出願を基礎とし、その優先権を主張し、当該出願の開示内容を本発明の一部として組み込む。
【0002】
本発明はモータ技術分野に関し、具体的にはロータコンポーネント及びコンシクエントポール型モータに関する。
【背景技術】
【0003】
コンシクエントポール型永久磁石同期モータにおいては、用いられる永久磁石の数が従来の永久磁石同期モータにおける永久磁石の数の半分に過ぎないため、永久磁石の利用がより十分になり、永久磁石の使用量が著しく低減されて、モータのコストが低下する。
【0004】
しかしながら、その特殊な磁気回路構造により、永久磁石の使用量の減少による出力トルクの低下や、隣接する磁極構造の非対称によるトルクリップルの増加などの多くの問題が招来されて、コンシクエントポール型モータの更なる普及及び適用が制限されている。
【0005】
関連技術による一部のコンシクエントポール型モータにおいては極弧率を最適化することによってトルクリップルを改善するが、その対象が主にコギングトルクによるトルクリップルであるため、非正弦波逆起電力によるトルク脉動に対しては改善効果がなく、コンシクエントポール型モータの逆起電力の高調波の高含量によるトルク脉動増加の問題に対して良好な効果を果たしていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明はロータコンポーネントを開示し、当該ロータコンポーネントはロータ鉄心を含み、ロータ鉄心は、周方向に沿って交互に配置された磁石極と疑似極とを含み、磁石極は取付溝を含み、取付溝内には永久磁石が取り付けられており、永久磁石の、ロータ鉄心の外周縁に向かう極性は同一の極性であり、取付溝の両端にはそれぞれ第2の空気溝が設けられ、第2の空気溝は、溝本体と、溝本体から磁極中心線に向かって延在する第1の延在部及び第2の延在部とを含み、第1の延在部及び第2の延在部は、径方向の厚さが漸減する階段溝を形成するように順次に設けられる。
【0007】
いくつかの実施例において、第1の延在部及び第2の延在部は、溝本体の、ロータ鉄心の外周に近接する側に設けられる。
【0008】
いくつかの実施例において、磁極中心線には第1の空気溝が設けられ、第2の空気溝とロータ鉄心の外周縁との間の距離は、第1の空気溝とロータ鉄心の外周縁との間の距離より小さい。
【0009】
いくつかの実施例において、同一の磁石極に位置する2つの第1の延在部の、磁極中心線に近接する側壁で挟まれる角はa21であり、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、ここで、a22/a21=0.7~0.9である。
【0010】
いくつかの実施例において、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、疑似極の両側に位置する2つの第2の空気溝の、疑似極の中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa2であり、ここで、a22/a2=0.7~1である。
【0011】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心の中心軸線に垂直な平面内において、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、永久磁石の径方向外縁における2つの端点とロータ鉄心の中心との接続線で挟まれる角はamであり、ここで、a22/am=0.65~0.75である。
【0012】
いくつかの実施例において、第1の延在部の径方向の厚さはt21であり、第2の延在部の径方向の厚さはt22であり、ここで、t21/t22=0.4~0.6である。
【0013】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心の中心軸線に垂直な平面内において、第1の空気溝の径方向外縁における2つの端点とロータ鉄心の中心との接続線で挟まれる角はa1であり、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、ここで、a1/a22=0.1~0.15である。
【0014】
いくつかの実施例において、第1の空気溝の径方向の厚さはt1であり、磁極中心線におけるポールシューの厚さはts1であり、ここで、t1/ts1=0.4~0.6である。
【0015】
いくつかの実施例において、第2の空気溝の径方向の厚さはt2であり、第1の延在部の径方向の厚さはt21であり、ここで、t21/t2=0.2~0.4である。
【0016】
いくつかの実施例において、第1の空気溝は磁極中心線に関して対称である。
【0017】
本発明のもう1つの態様はコンシクエントポール型モータを提供し、当該コンシクエントポール型モータはステータコンポーネントとロータコンポーネントとを含み、当該ロータコンポーネントは上述のロータコンポーネントである。
【0018】
本発明によるロータコンポーネントはロータ鉄心を含み、ロータ鉄心は、周方向に沿って交互に配置された磁石極と疑似極とを含み、磁石極は取付溝を含み、取付溝内には永久磁石が取り付けられており、永久磁石の、ロータ鉄心の外周縁に向かう極性は同一の極性であり、取付溝の両端にはそれぞれ第2の空気溝が設けられ、第2の空気溝は、溝本体と、溝本体から磁極中心線に向かって延在する第1の延在部及び第2の延在部とを含み、第1の延在部及び第2の延在部は、径方向の厚さが漸減する階段溝を形成するように順次に設けられる。このロータコンポーネントのロータ鉄心には第2の空気溝が設けられ、且つ第2の空気溝は、磁極中心線に向かって延在する第1の延在部及び第2の延在部を含み、且つ第1の延在部及び第2の延在部は厚さが一様でない階段溝を構成して、延在部の、磁極中心線に近接する位置における厚さがより薄くなるようにする。逆起電力のピーク付近で、一部の谷を引き上げ、一部の山を引き下げ、逆起電力の波形の左右側の対称性を高め、偶数次高調波の含有量を下げ、したがってコンシクエントポール型モータの逆起電力の高調波により引き起こされるトルク脉動増加の問題を改善し、逆起電力の高調波の含有量を著しく低減させ、逆起電力の高調波の歪み率を下げ、モータ性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例によるロータコンポーネントの構造概略図である。
図2】本発明の実施例によるロータコンポーネントの寸法構造図である。
図3】本発明の実施例によるロータコンポーネントと関連技術によるロータコンポーネントとの、逆起電力の波形の対比図である。
図4】本発明の実施例によるロータコンポーネントと関連技術によるロータコンポーネントとの、逆起電力の高調波分解の対比図である。
図5】ロータコンポーネントにおける、厚さ一様の延在部付近の磁力線分布図である。
図6】本発明の実施例によるロータコンポーネントにおける、階段状の延在部付近の磁力線分布図である。
図7】それぞれ異なる形態を有する延在部の逆起電力の波形の対比図である。
図8】それぞれ異なる形態を有する延在部の逆起電力の高調波分解の対比図である。
図9】本発明の実施例によるロータコンポーネントの逆起電力の高調波の含有量がa22/a21につれて変化する様子を示すグラフである。
図10】本発明の実施例によるロータコンポーネントの逆起電力の高調波の含有量がt22/t21につれて変化する様子を示すグラフである。
図11】本発明の実施例によるロータコンポーネントの逆起電力の高調波の含有量及び電磁トルクがa1/a22につれて変化する様子を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至図11を参照すると、本発明の実施例によれば、ロータコンポーネントはロータ鉄心1を含み、ロータ鉄心1は、周方向に沿って交互に配置された磁石極と疑似極とを含み、磁石極は取付溝2を含み、取付溝2内には永久磁石3が取り付けられており、永久磁石3の、ロータ鉄心1の外周縁に向かう極性は同一の極性であり、取付溝2の両端にはそれぞれ第2の空気溝5が設けられ、第2の空気溝5は、溝本体と、溝本体から磁極中心線に向かって延在する第1の延在部6及び第2の延在部7とを含み、第1の延在部6及び第2の延在部7は、径方向の厚さが漸減する階段溝を形成するように順次に設けられる。
【0021】
当該ロータコンポーネントのロータ鉄心1には第2の空気溝5が設けられ、且つ第2の空気溝5は、磁極中心線に向かって延在する第1の延在部6及び第2の延在部7を含み、且つ第1の延在部6及び第2の延在部7は厚さが一様でない階段溝を構成して、延在部の、磁極中心線に近接する位置における厚さがより薄くなるようにする。逆起電力のピーク付近で、一部の谷を引き上げ、一部の山を引き下げ、逆起電力の波形の左右側の対称性を高め、偶数次高調波の含有量を下げ、したがってコンシクエントポール型モータの逆起電力の高調波により引き起こされるトルク脉動増加の問題を改善し、逆起電力の高調波の含有量を著しく低減させ、逆起電力の高調波の歪み率を下げ、モータ性能を向上させる。
【0022】
いくつかの実施例において、2つの第2の空気溝5は磁極中心線に関して対称になり、第2の空気溝5の延在部は磁極中心線に向かって延びて、隣接する空隙磁束密度の対称性が高くなるように、疑似極及び磁石極における空隙磁束密度を調整して、トルクリップルを低減させる。
【0023】
本発明に係る延在部は磁極中心線に近い位置でより薄くなる。両者の磁力線分布は図5図6において点線で示す通りである。本発明に係る延在部では4本の磁力線が通過しており、3本の磁力線が延在部を通過する関連技術による構造に比べて、磁極中心線に近い位置において1本多くの磁力線が通過しており、関連技術より1/4も多い。逆起電力の波形で現れる様子は図7に示すよう、逆起電力のピーク付近で、関連技術における一部の谷を引き上げ、一部の山を引き下げ、逆起電力の波形の左右側の対称性を高めて、偶数次高調波の含有量を低減させる。図8に示すように、2、4次高調波の含有量がさらに低減し、関連技術よりも、逆起電力の高調波の歪み率を更に低減させることができる。
【0024】
いくつかの実施例において、第1の延在部6及び第2の延在部7は、溝本体の、ロータ鉄心1の外周に近接する側に設けられ、磁力線を調整する役割を効果的に果たすことができる。
【0025】
磁極中心線には第1の空気溝4が設けられ、第2の空気溝5とロータ鉄心1の外周縁との間の距離は、第1の空気溝4とロータ鉄心1の外周縁との間の距離よりも小さい。
【0026】
第1の空気溝4を設けることによって、磁力線が磁極中心へ集中しすぎることを避け、高い磁束密度ピークを弱め、隣接する磁極の空隙磁束密度の波形の対称性を高めて、磁束密度波形の正弦度をより良くすることができる。図3に示すように、逆起電力の高調波に含まれる、磁極の非対称性により引き起こされる偶数次の逆起電力の高調波を大幅に削減し、図4に示すように、関連技術よりトルク脉動を更に低減させることができる。
【0027】
同一の磁石極に位置する2つの第1の延在部6の、磁極中心線に近接する側壁で挟まれる角はa21であり、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部7の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22である。ここで、a22/a21=0.7~0.9である。本実施例において、2つの第1の延在部6の、磁極中心線に近い側壁が位置する平面はロータ鉄心1の中心軸線を通り、すなわち、ロータ鉄心1の中心軸線は該平面の中に位置する。
【0028】
両者の比率が小さくなるほど、厚さの薄い延在部が長くなり、磁極中心部において磁力線に与える制限作用が弱くなり、磁力線が磁石極の下で収束することができない。逆に、両者の比率が大きくなるほど、厚さの薄い延在部が短くなり、延在部は徐々に厚さ一様な延在部に変化し、逆起電力の偶数次高調波の含有量は図8に示すように増加する。研究結果によると、図9に示すように、a22/a21=0.7~0.9の場合、逆起電力の高調波の含有量は比較的に低い。
【0029】
同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部7の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、疑似極の両側に位置する2つの第2の空気溝5の、疑似極の中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa2である。ここで、a22/a2=0.7~1である。本実施例において、2つの第2の延在部7の側壁が位置する平面はロータ鉄心1の中心軸線を通る。2つの第2の延在部7の側壁が位置する平面がロータ鉄心1の中心軸線を通らない場合、この時の2つの第2の延在部7は、ロータ鉄心1の中心軸線に垂直な平面内において、2つの第2の延在部7の、径方向における外縁の、磁極中心線に近接する端点とロータ鉄心1の中心との接続線の夾角がa22になる、という条件を満たす必要がある。いくつかの実施例において、2つの第2の空気溝5の側壁が位置する平面もロータ鉄心1の中心軸線を通る。
【0030】
この比率は、隣接する磁極の極弧比を表しており、比率が小さくなるほど、磁石極における磁束密度の振幅が大きくなり、疑似極の磁束密度が小さくなり、磁束密度の非対称性が高くなる。逆に、比率が大きくなるほど、磁石極におけるポールシュー幅が大きくなって、磁力線に対する拘束作用が小さくなり、磁束密度も小さくなり、疑似極における磁束密度が大きくなり、同じく磁束密度の非対称性が高くなる。研究結果によると、a22/a2=0.7~1の場合、磁束密度の対称性が最も良い。
【0031】
ロータ鉄心1の中心軸線に垂直な平面内において、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部7の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22であり、永久磁石3の、径方向における外縁の2つの端点とロータ鉄心1の中心との接続線で挟まれる角はamである。ここで、a22/am=0.65~0.75である。両者の比率が大きすぎると、磁石極において有効な磁束密度が形成できず、両者の比率が小さすぎると、延在部により遮蔽される磁力線が多すぎて、永久磁石3の利用率が低くなってしまう。研究結果によると、a22/am=0.6~0.8の場合、効果が最も良い。
【0032】
第1の延在部6の径方向の厚さはt21であり、第2の延在部7の径方向の厚さはt22であり、ここで、t21/t22=0.4~0.6である。比率は延在部の厚さの比を表す。比率が小さすぎると、第2の延在部7は磁力線の通過を効果的に阻止できなくて空隙磁束密度の波形を調整できない一方、第1の延在部6は必要以上に磁力線を阻止してしまう。逆に、比率が大きすぎると、第2の延在部7が必要以上に磁力線を阻止して永久磁石の利用率が低下するとともに、多くの磁力線が第1の延在部6を通過して大きな磁気漏れが発生する。研究結果によると、図10に示すように、t22/t21=0.4~0.6の場合、効果が最も良い。
【0033】
ロータ鉄心1の中心軸線に垂直な平面内において、第1の空気溝4の、径方向における外縁の2つの端点とロータ鉄心1の中心との接続線で挟まれる角はa1であり、同一の磁石極に位置する2つの第2の延在部7の、磁極中心線に近接する側壁の間で挟まれる角はa22である。ここで、a1/a22=0.1~0.15である。比率は、ポールシューにおいて第1の空気溝4が占める割合を表す。比率が大きくなるほど、第1の空気溝4により形成する有効磁気抵抗が強くなって、磁力線に対する調整作用が強くなるが、大きすぎると電磁トルクの低下を引き起こしてしまう。逆に、比率が小さくなるほど、第1の空気溝4は、磁力線を調整して逆起電力の高調波の歪み率を低減させるために必要な磁気抵抗を形成できない。研究結果によると、図11に示すように、比率が0.1~0.15の場合、効果が最も良い。
【0034】
第1の空気溝4の径方向の厚さはt1であり、磁極中心線におけるポールシューの厚さはts1であり、ここで、t1/ts1=0.4~0.6である。比率は、ポールシューにおいて第1の空気溝4が占める径方向空間を表す。比率が大きくなるほど磁力線への阻止作用は強くなるが、大きすぎると、電磁トルクの低下を引き起こし、比率が小さすぎると、第1の空気溝4は磁力線を効果的に変調できなくなる。研究結果によると、t1/ts1=0.4~0.6の範囲内の場合、効果が最も良い。
【0035】
第2の空気溝5の径方向の厚さはt2であり、第1の延在部6の径方向の厚さはt21であり、ここで、t21/t2=0.2~0.4である。疑似極と永久磁石との磁力線分布は一致せず、疑似極における磁力線は電機子反作用の影響をより受けやすいため、磁力線を変調するためには第2の空気溝5の両側の厚さを異なるように設置する必要がある。研究結果によると、t21/t2=0.2~0.4の場合、磁力線に対する変調作用が最も良い。
【0036】
いくつかの実施例において、第1の空気溝4は磁極中心線に関して対称であり、それによって第1の空気溝4の両側の磁力線分布の均一性をより一層確保して、空隙全体の磁束密度をより正弦化する。
【0037】
永久磁石3は例えば、一字型である。
【0038】
ロータ鉄心1は軟磁性材料のシートが積層されて形成され、それによって疑似極のロータ鉄心1は磁石極の影響で別の極性に磁化されやすくなる。
【0039】
本発明の実施例によれば、コンシクエントポール型モータは、ロータコンポーネントとステータコンポーネント8とを含み、当該ロータコンポーネントは上述のロータコンポーネントである。
【0040】
本発明の技術案に基づいて設計されるコンシクエントポール型モータは、その逆起電力の高調波の分解図が図4に示す通りであり、関連技術に比べて、本発明によるコンシクエントポール型モータは高調波の含有量がより低い。
【0041】
当業者であれば、矛盾しない限り、上述した各技術的構成は自由に組み合わせたり、寄せ集めたりされることができることを理解できる。
【0042】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の精神及び原則の内でなされる任意の変更、均等置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者は、本発明の技術的原理を逸脱しない前提で、さらにいくつかの改良及び変形を得ることができるが、これらの改良及び変形も本発明の保護範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0043】
1 ロータ鉄心
2 取付溝
3 永久磁石
4 第1の空気溝
5 第2の空気溝
6 第1の延在部
7 第2の延在部
8 ステータコンポーネント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11