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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】将棋の棋譜データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 3/02 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
A63F3/02 521B
A63F3/02 522B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022150355
(22)【出願日】2022-09-21
【審査請求日】2022-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522374102
【氏名又は名称】齋藤 基
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 基
【審査官】温井 脩市
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-178214(JP,A)
【文献】特開2006-311256(JP,A)
【文献】特開平09-200423(JP,A)
【文献】特開2000-011605(JP,A)
【文献】特開平09-108404(JP,A)
【文献】特開2004-283541(JP,A)
【文献】「[週刊碁]棋譜再生QRコードを本格的導入へ」,[online],2020年11月20日,https://www.nihonkiin.or.jp/news/etc/post.html,[2022年11月11日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算部と、操作部と、表示部と、通信部とを備えた操作端末の前記演算部に対し、
第1対局者と第2対局者との将棋対局結果における全指し手を表す全棋譜データをCSA形式で変換した英数データを符号化した第1二次元バーコード、若しくは、前記全棋譜データをCSA形式で変換した英数データを複数に分割した全分割データをそれぞれ符号化した複数の第2二次元バーコードを読み取るバーコード読み取り手順と、
前記バーコード読み取り手順により読み取った前記第1二次元バーコード若しくは前記第2二次元バーコードであって、前記全棋譜データ若しくは前記全分割データがCSA形式へ変換された英数データが符号化されている前記第1二次元バーコード若しくは前記第2二次元バーコードを復号化して、対応する前記全棋譜データを前記英数データとして取得する棋譜データ取得手順と、
前記操作部を介した、前記将棋対局結果における特定の指し手場面の指定を受け付ける指し手指定受付手順と、
前記棋譜データ取得手順で取得された前記全棋譜データを用いて、前記指し手指定受付手順における前記指定に基づき、対応する将棋盤及び前記将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像を、一指し手ごとのコマ送り画像、若しくは、複数の指し手にわたるアニメーション、により前記表示部において表示する指し手表示手順と、
前記バーコード読み取り手順で読み取った前記第1二次元バーコード又は前記第2二次元バーコードの複写画像を生成するバーコード生成手順と、
前記操作部を介した、前記バーコード生成手順で生成した前記複写画像の送信先ユーザの指定を受け付ける、送信先受付手順と、
前記バーコード生成手順で生成した前記複写画像を、前記送信先受付手順で指定を受け付けた前記送信先ユーザに対し前記通信部を介して送信する、ユーザ送信手順と、
を実行させるための将棋の棋譜データ処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の将棋の棋譜データ処理プログラムにおいて、
前記演算部に対し、さらに、
前記操作部を介した適宜の操作に応じて、前記棋譜データ取得手順で取得された前記英数データを前記通信部を介して送信する英数データ送信手順
を実行させることを特徴とする将棋の棋譜データ処理プログラム。
【請求項3】
演算部と、操作部と、表示部と、通信部とを備えた操作端末の前記演算部に対し、
第1対局者と第2対局者との将棋対局結果における全指し手を表す全棋譜データを符号化した第1二次元バーコード、若しくは、前記全棋譜データを複数に分割した全分割データをそれぞれ符号化した複数の第2二次元バーコードを読み取るバーコード読み取り手順と、
前記バーコード読み取り手順による読み取り結果に基づき、対応する前記全棋譜データを取得する棋譜データ取得手順と、
前記操作部を介した、前記将棋対局結果における特定の指し手場面の指定を受け付ける指し手指定受付手順と、
前記棋譜データ取得手順で取得された前記全棋譜データを用いて、前記指し手指定受付手順における前記指定に基づき、対応する将棋盤及び前記将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像を、一指し手ごとのコマ送り画像、若しくは、複数の指し手にわたるアニメーション、により前記表示部において表示する指し手表示手順と、
前記バーコード読み取り手順で読み取った前記第1二次元バーコード又は前記第2二次元バーコードの複写画像を生成するバーコード生成手順と、
前記操作部を介した、前記バーコード生成手順で生成した前記複写画像の送信先ユーザの指定を受け付ける、送信先受付手順と、
前記バーコード生成手順で生成した前記複写画像を、前記送信先受付手順で指定を受け付けた前記送信先ユーザに対し前記通信部を介して送信する、ユーザ送信手順と、
を実行させる将棋の棋譜データ処理プログラムであって、
前記棋譜データ取得手順は、
前記バーコード読み取り手順で読み取られた前記二次元バーコードに対応した、コンピュータ将棋における所定の棋譜形式による複数の英数データを取得する英数データ取得手順を含み、
前記指し手表示手順では、
前記全指し手に対応する前記複数の英数データに基づき、前記コマ送り画像若しくは前記アニメーションによる表示を行い、
かつ、
前記演算部に対し、さらに、
前記操作部を介した適宜の操作に応じて、前記英数データ取得手順で取得された前記英数データを前記通信部を介して送信する英数データ送信手順と、
複数の前記送信先ユーザが個別に選択可能に含まれるユーザリストであって、各送信先ユーザの将棋歴、腕前レベル、性別、年齢のうち少なくとも1つを含むユーザ属性が併せて含まれる前記ユーザリストを前記表示部において表示するユーザリスト表示手順と、
を実行させ、
前記ユーザ送信手順では、
前記ユーザリストにおいて選択された各送信先ユーザごとに、前記複写画像に随伴して送信可能な随伴情報を変更可能に構成されている
ことを特徴とする将棋の棋譜データ処理プログラム。
【請求項4】
請求項3記載の将棋の棋譜データ処理プログラムにおいて、
前記随伴情報は、
前記第1対局者及び前記第2対局者以外のユーザによる過去の参考対局例情報、前記全指し手のうち一部の指し手に対する別案情報、前記全指し手のうち一部の指し手に対する前記送信先ユーザからの別案を受け付ける旨のメッセージ、のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする将棋の棋譜データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、将棋の棋譜データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、囲碁、将棋、チェス等のボードゲームにおいて、対局の記録を棋譜として残し、棋譜を元にして対局を再現することが行われている。棋譜の作成方法としては、手動で記録する他、自動的に記録する方法についても知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、デジタルカメラ等で撮影した囲碁の対局画像から、画像処理により棋譜データを作成する対局記録自動作成装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-57116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の対局記録自動作成装置は、基盤上の碁石の動きを画像認識処理することで、対応する棋譜データを自動作成するものであり、将棋の棋譜データについても、同様又は類似の方法で作成可能であると推測される。しかし、特許文献1には、得られた棋譜データをどのように取り扱うか、どのように活用するかについては記載されていない。
【0005】
本発明の目的は、対局結果の全棋譜データを簡単な操作で一括して取り扱うことで、当該対局における全指し手中の任意の指し手場面を再現でき、さらに対局結果の内容を複数のユーザ間で簡単に共有することができる将棋の棋譜データ処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、演算部と、操作部と、表示部と、通信部とを備えた操作端末の前記演算部に対し、第1対局者と第2対局者との将棋対局結果における全指し手を表す全棋譜データを符号化した第1二次元バーコード、若しくは、前記全棋譜データを複数に分割した全分割データをそれぞれ符号化した複数の第2二次元バーコードを読み取るバーコード読み取り手順と、前記バーコード読み取り手順による読み取り結果に基づき、対応する前記全棋譜データを取得する棋譜データ取得手順と、前記操作部を介した、前記将棋対局結果における特定の指し手場面の指定を受け付ける指し手指定受付手順と、前記棋譜データ取得手順で取得された前記全棋譜データを用いて、前記指し手指定受付手順における前記指定に基づき、対応する将棋盤及び前記将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像を、一指し手ごとのコマ送り画像、若しくは、複数の指し手にわたるアニメーション、により前記表示部において表示する指し手表示手順と、前記バーコード読み取り手順で読み取った前記第1二次元バーコード又は前記第2二次元バーコードの複写画像を生成するバーコード生成手順と、前記操作部を介した、前記バーコード生成手順で生成した前記複写画像の送信先ユーザの指定を受け付ける、送信先受付手順と、前記バーコード生成手順で生成した前記複写画像を、前記送信先受付手順で指定を受け付けた前記送信先ユーザに対し前記通信部を介して送信する、ユーザ送信手順と、を実行させるための将棋の棋譜データ処理プログラムであることを特徴としている。
【0007】
一般に、現実世界において将棋駒を用いて行う将棋、あるいはオンライン将棋、あるいはコンピュータ将棋等において、2人の対局者(第1対局者と第2対局者)が対戦したとき、その対局結果の両対局者による全指し手を表す全棋譜データが(手動又は自動による)適宜の手法で生成される。そして本願発明においては、予め、全棋譜データが1つの二次元バーコード(第1二次元バーコード)に符号化されるか、若しくは、全棋譜データが分割された後に複数の二次元バーコード(第2二次元バーコード)にそれぞれ符号化されている。
【0008】
本願発明では、上記のように生成された二次元バーコードが、適宜の表示画面に表示されるか若しくは印刷媒体に印刷されて表記されている。操作者が操作端末を適宜に操作すると、演算部が将棋の棋譜データ処理プログラムを実行することによって上記二次元バーコードに対し読み取りが行われ(バーコード読み取り手順)、その読み取り結果に基づき、対応する上記全棋譜データが取得される(棋譜データ取得手順)。
【0009】
その後、操作者が操作部を介し、特定の指し手場面の指定を行うことでその指定が受け付けられ(指し手指定受付手順)、その指定に基づく、仮想将棋盤及びその将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像の表示が表示部において行われる。このときの上記指定に応じた表示態様の例としては、一指し手ごとのコマ送り画像、複数の指し手にわたるアニメーション、等がある。
【0010】
本願発明においては、このように対局結果の全棋譜データが二次元バーコード化されているため、当該二次元バーコードに対し読み取りを行うだけで、当該対局における全指し手に含まれる任意の指し手場面を表示部の仮想画像表示により再現することができる。
【0011】
また本願発明においては、上記のような利便性を他のユーザと共有するために、演算部によりバーコード生成手順が実行される。バーコード生成手順では、前述のように読み取った二次元バーコードの複写画像が生成される。その複写画像の送信先ユーザを操作者が操作部を介し指定すると、その指定が送信先受付手順で受け付けられ、当該送信先ユーザに対し前述の複写画像が送信される(ユーザ送信手順)。
【0012】
これにより、送信された複写画像を受け取った上記送信先ユーザが当該複写画像に対して読み取りを行うことで、前述と同様、対応する上記全棋譜データを取得することができる。この結果、前述の操作者と同様、送信先ユーザにおいても、当該対局における全指し手に含まれる任意の指し手場面を再現できるので、操作者と送信先ユーザとで当該対局結果の内容を共有することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対局結果の全棋譜データを簡単な操作で一括して取り扱うことで、当該対局における全指し手中の任意の指し手場面を再現でき、さらに対局結果の内容を複数のユーザ間で簡単に共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る将棋の棋譜データ処理システムの概略的なシステム構成図である。
図2】本実施形態に係る棋譜の一例を説明する図である。
図3】指し手場面の再現時に表示部に表示される画面の一例を表す図である。
図4】対局開始時の仮想外観画像の一例を示す図である。
図5】初手の指し手場面に対応した仮想外観画像の一例を示す図である。
図6】第2手の指し手場面に対応した仮想外観画像の一例を示す図である。
図7】第3手の指し手場面に対応した仮想外観画像の一例を示す図である。
図8】第4手の指し手場面に対応した仮想外観画像の一例を示す図である。
図9】第5手の指し手場面に対応した仮想外観画像の一例を示す図である。
図10】複写画像を生成及び送信する際に表示部に表示される操作画面の一例を表す図である。
図11】複写画像を送信する際に表示部に表示される操作画面の一例を表す図を示す。
図12】第1二次元バーコードに符号化された英数データの一例を表す図である。
図13】制御部により実行される各処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0016】
<システム構成>
図1に本実施形態に係る将棋の棋譜データ処理システムの概略的なシステム構成図を示す。将棋の棋譜データ処理システムは、ユーザAが操作する操作端末Aと、ユーザBが操作する操作端末Bと、ユーザCが操作する操作端末C…とを含む。操作端末10A~操作端末10Cは、例えばスマートフォンやタブレット端末、デスクトップ型またはノート型の汎用パーソナルコンピュータ、あるいはゲーム機器等である。操作端末10A~操作端末10Cは、インターネット等の通信ネットワーク2を介して、互いに情報を送受可能となっている。
【0017】
操作端末10Aは表示部11と、制御部12と、読取部14と、操作部15と、通信部16と、記憶部17とを備える。表示部11は例えばディスプレイ等である。制御部12は例えばCPUであり、各種の情報処理を実行する。制御部12が演算部の一例である。読取部14は例えば、操作端末10Aに内蔵されたカメラと、あらかじめ操作端末10Aに記憶されたバーコード読み取りプログラムとを含む。読取部14は例えば、前記カメラにより撮影された2次元バーコードの画像をバーコード読み取りプログラムにより画像処理して符号化された情報を読み取る。バーコード読み取りプログラムは、後述する将棋の棋譜データ処理プログラムに含まれていてもよい。
【0018】
操作部15はユーザAによる入力操作を受け付けるタッチパネルやキーボード、ボタン等である。操作端末10Aがスマートフォンやタブレットである場合等には、操作部15は表示部11の一部と一体化したタッチパネルであってもよい。通信部16は、例えば有線又は無線の通信モジュールであり、通信ネットワーク2を介して、外部と情報の送受信を行う。記憶部17にはアプリケーションプログラム18を含む各種のプログラムが記憶されている。アプリケーションプログラム18が本実施形態における将棋の棋譜データ処理プログラムの一例である。
【0019】
操作端末10B、操作端末10Cについても操作端末10Aと同様の構成となっている。
【0020】
<棋譜>
図2に本実施形態に係る棋譜1の一例を説明する図を示す。棋譜1には、将棋の対局において1局の間に2名の対局者が行った全指し手を表す全棋譜データ3が記録されている。この例では、先手である第1対局者zyzと後手である第2対局者pqrとが、合計で119手の手数による指し手を行い、全棋譜データ3は、119手の各指し手に対応する119個の棋譜データ30で構成されている。各棋譜データ30は、先手を意味する「▲」の列と、後手を意味する「△」の列とに交互に例えば棋譜データ30a、棋譜データ30b、棋譜データ30c…といった順序で記録されている。
【0021】
棋譜1には、棋戦名31、対局の開始時刻32及び終了時刻33、先手である第1対局者名34、後手である第2対局者名35、対局結果36についても記録されている。対局結果36としては、手数が119手であったこと、先手の第1対局者xyzが勝利したことが記載されている。また、この図では、全棋譜データ3の下にも、手書きで「迄119手にて先手の勝ち」と記載されている。この図では省略するが、棋譜1には、この他、持ち時間、消費時間、休憩時間、対局場、戦型等についての情報が記録されていてもよい。
【0022】
本実施形態において、棋譜1には、全棋譜データ3を符号化した第1二次元バーコード4が表示されている。ユーザAが操作端末10Aの読取部14で第2二次元バーコード4を読み取ることで、対応する全棋譜データ3を取得し、操作端末10A内において対応する対局を再現することができる。
【0023】
第1二次元バーコード4に符号化できる情報量は上限がある為、手数が多い場合等には、第1二次元バーコード4のかわりに、複数の第2二次元バーコードを用いても良い。複数の第2二次元バーコードは、例えば、119個の棋譜データ30からなる全棋譜データ3を、60個の棋譜データ30と59個の棋譜データ30とに2分割し、それぞれの全てを符号化することで、構成される。ユーザAが操作端末10Aの読取部14で2つの第2二次元バーコードを読み取ると、対応する全棋譜データ3が取得できるようになっている。以降、第1二次元バーコード4についての説明は、適宜第2二次元バーコードについても適用される。
【0024】
棋譜1は、紙面に印刷されていても、インターネット上に画像データとしてアップロードされたものであってもよく、例えば、新聞や雑誌、棋戦の公式ホームページ等に掲載されることで、ユーザが第1二次元バーコード4及び第2二次元バーコードを読み取り可能となる。また、プロの対局に限られず、例えば、図1に示したオンライン将棋ゲームサーバ20において、アマチュアであるユーザ同士の対局結果としての全棋譜データ3を符号化した第1二次元バーコード4が制御部21によって生成され、記憶部23を介してデータベース22に保存され、各ユーザが利用できるようになっていてもよい。
【0025】
なお、第1二次元バーコード4がインターネット上の画像データとして配布されている場合、ユーザAは第1二次元バーコード4を操作端末10Aとは別の端末に表示させてこれを読み取ってもよいし、操作端末10Aのカメラで撮影した第1二次元バーコードの画像を一旦操作端末10Aに保存したのち、この画像を操作端末10Aで読み取ってもよい。
【0026】
<表示部の画面表示例>
図3に指し手場面の再現時に表示部11に表示される画面の一例を表す図を示す。ユーザAの操作端末10Aにおいて将棋の棋譜データ処理プログラムを起動し、第1二次元バーコード4を読み取った後、適宜の操作を行う事で、図3(a)に示す操作画面38A、及び図3(b)に示す操作画面38Bが表示部11に表示される。なお、表示部11は操作部15を兼ねている。
【0027】
操作画面38A及び操作画面38Bには、第1対局者名34及び第2対局者名35が表示されている。第1対局者名34及び第2対局者名35は全棋譜データ3とともに第1二次元バーコード4に符号化されており、読み取られたものが表示される。また、操作画面38A及び操作画面38Bには、将棋盤及び将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像37が表示されている。この図では、仮想外観画像37は、ゲーム開始時の状態(初期状態)となっており、将棋の棋譜データ処理プログラムは、第1二次元バーコード4から取得した全棋譜データ3に基づき、仮想外観画像37の将棋駒を移動させることで、各指し手の指し手場面を再現する。
【0028】
操作画面38Aの入力欄39Aには、「第〇手から第〇手まで」と表示され、「〇」の部分には1~119までの数値が入力できる。これによりユーザAは操作部15を介して、再現したい指し手場面の範囲を指定する。また、チェックボックスとともに「コマ送り表示」「アニメーション表示」と表示され、チェックボックスにチェック印「レ」を入力操作することで、指定した範囲における指し手場面を一指し手ごとのコマ送り画像で表示するか、複数の指し手にわたるアニメーション表示をするか、選択できるようになっている。
【0029】
操作画面38Bの入力欄39Bには、「前の一手」「次の一手」「初手に戻る」と表記されたボタンが表示されている。これらのボタンを入力操作することで、指定した範囲の指し手場面に対応した仮想外観画像37をコマ送りで一指し手ずつ表示したり、前の一手に戻って表示したりしながら、対局結果を表示部11に再現できる。
【0030】
図4図9に、対局開始時から第5手までの指し手場面に対応した仮想外観画像37~37eの表示例を示す。ここで示す初手から第5手までの指し手は、図2に示した棋譜データ30a~30eに対応しており、仮想外観画像37~37eは、例えば図3で示した操作画面38Bにおいて、順次、コマ送りで、表示部11に表示される。仮想外観画像37は将棋盤の仮想外観画像40と将棋駒の仮想外観画像41とを含む。
【0031】
棋譜データ30においては、将棋盤上に9列×9行で配置された81個のマス目の座標を、それぞれの列(筋とも呼ばれる)に付与された1~9の算用数字(図4参照)と、それぞれの行(段とも呼ばれる)に付与された一~九の漢数字(図4参照)との組み合わせにより表し、棋譜データ30は、移動後の駒の座標と、駒の種類とにより表記される。なお、棋譜データ30の表記においては、漢数字と算用数字の区別はつけず、算用数字に対応する数字が先に表記され、漢数字に対応する数字が後に表記される。
【0032】
また、図2の棋譜1では、先手を意味する記号である「▲」の列と、後手を意味する記号である「△」の列とを分けて表記し、各列にそれぞれの棋譜データ30を記録することで先手と後手の指し手を区別しているが、棋譜データ30aそのものが「▲」または「△」を含み、例えば「▲76歩」のように表記されてもよい。
【0033】
図4に対局開始時の仮想外観画像37の一例を示す図を示す。この図では、玉将41aを含む手前側が先手である第1対局者側であり、王将41bを含む奥側が後手である第2対局者側である。この図では、まだ第1対局者が初手を指していない状態である。
【0034】
図5に初手の指し手場面に対応した仮想外観画像37aの一例を示す。この時の指し手としては、先手の第1対局者が、7七のマスにあった歩41cを7六のマスに進めたこととなり、この指し手に対応する棋譜データは、図2に示す棋譜データ30aに相当する「▲76歩」となる。
【0035】
図6に第2手の指し手場面に対応した仮想外観画像37bの一例を示す。この時の指し手としては、後手の第2対局者が、3三のマスにあった歩41dを3四のマスに進めたこととなり、この指し手に対応する棋譜データは、図2に示す棋譜データ30bに相当する「△34歩」となる。
【0036】
図7に第3手の指し手場面に対応した仮想外観画像37cの一例を示す。この時の指し手としては、先手の第1対局者が、5七のマスにあった歩41eを5六のマスに進めたこととなり、この指し手に対応する棋譜データは、図2に示す棋譜データ30cの「▲56歩」となる。
【0037】
図8に第4手の指し手場面に対応した仮想外観画像37dの一例を示す。この時の指し手としては、後手の第2対局者が、2二のマスにあった角行41fを8八のマスに進めて8八にあった先手側の角行41gを取り、角行41fは裏返って龍馬41hとなる(成るともいう)。この指し手に対応する棋譜データは、図2に示す棋譜データ30dの「△88角成」となる。
【0038】
図9に第5手の指し手場面に対応した仮想外観画像37eの一例を示す。この時の指し手としては、先手の第1対局者が、2八のマスにあった飛車41iを8八のマスに動かし、8八にあった後手側の龍馬41hを取ったこととなり。この指し手に対応する棋譜データは、移動先の「8八」が直前の指し手で駒が移動した先と同一である場合に用いられる「同」という表記を用いて、図2に示す棋譜データ30eの「▲同飛」となる。
【0039】
図10に複写画像4′を生成及び送信する際に表示部11に表示される操作画面の一例を表す図を示す。本実施形態においては、ユーザAが、操作端末10Aで読み取った第1二次元バーコード4又は第2二次元バーコードを複製することができるようになっている。ユーザAが、操作端末10Aにおいて、将棋の棋譜データ処理プログラムを起動し、所定の操作を行う事により、図10(a)に示す操作画面38C、及び図10(b)に示す操作画面38Dが表示部11に表示される。操作画面38C、操作画面38Dには、図3と同様、第1対局者名34、第2対局者名35、将棋盤及び将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像37が表示されている。
【0040】
操作画面38Cの入力欄39Cには、チェックボックスとともに「バーコードを作る」「外部送信用データを出力」と表示され、「バーコードを作る」のチェックボックスにチェック印「レ」を入力したのち、所定の操作を行うことで、図10(b)の操作画面38Dに遷移する。操作画面38Dには、第1二次元バーコード4の複写画像4′が生成され、表示される。なお、操作画面38Cで「外部送信用データを出力」を選択した場合には、全棋譜データ3を、二次元バーコード以外の、所定のデータ形式で出力することができる。
【0041】
このとき、例えば、出力した全棋譜データ3を、操作端末10A内の将棋の棋譜データ処理プログラム内の適宜の解析プログラムに基づき解析して結果を表示させたり、通信部16を介して図1に示したオンライン将棋ゲームサーバ20等に送信し、適宜の解析機能と組み合わせて利用することができる。例えば、各指し手場面における、形勢判断や、アドバイス等を表示させることができる。なお、このとき、全棋譜データ3を、後述する、英数データとして、出力したり、送信することができる。
【0042】
操作画面38Dの入力欄39Dには、チェックボックスとともに「このバーコードを送信する(送信リストへ)」「このバーコードを送信せず一時保存する」とのメッセージが表示され、「このバーコードを送信する(送信リストへ)」に対応するチェックボックスにチェック印「レ」を入力したのち、図示されない所定の操作によりこれを決定すると、図11に示すような、操作画面38Eに遷移する。
【0043】
図11に複写画像4′を送信する際に表示部11に表示される操作画面38Eの一例を表す図を示す。操作画面38Eには、ユーザAが、生成した複写画像4′を送付する送信先ユーザを個別に選択可能なユーザリスト8が表示されている。ユーザリスト8は例えばユーザAがあらかじめ将棋の棋譜データ処理プログラム内等に登録しているユーザ情報等を元に作成できるようになっている。この図では、ユーザB、ユーザC、ユーザD、ユーザEの4名のユーザが選択されている。
【0044】
ユーザリスト8には各ユーザのユーザ属性が含まれる。この図では、ユーザ属性として、性別、年齢、将棋歴、腕前ランクの4つの項目について、それぞれのユーザに対する値が表示されている。これらのユーザ属性の値は、各ユーザごとに設定され、オンライン将棋ゲームサーバ20を介して共有される値であってもよいし、ユーザAが独自に設定した値であってもよい。
【0045】
ユーザAは、選択したユーザB~ユーザEに対し、第1二次元バーコード4の複写画像4′に随伴して送付する随伴情報を選択できるようになっている。随伴情報は、第1対局者及び前記第2対局者以外のユーザによる過去の参考対局例情報、全指し手のうち一部の指し手に対する別案情報、全指し手のうち一部の指し手に対する前記送信先ユーザからの別案を受け付ける旨のメッセージ、のうち少なくとも1つを含む。
【0046】
この図では、各送信先ユーザに対し、「参考対局例」、「別手案添付」、「別手案受付」の3つの随伴情報の送付を、それぞれ各ユーザごとにチェックボックスへのチェック印の入力により、選択可能となっている。
【0047】
「参考対局例」を選択すると、第1対局者xyz及び第2対局者pqr以外のユーザによる過去の参考対局例情報が随伴情報として送信先ユーザに送付される。この情報は、単に対局の年月日や対局者名のみの情報であってもよいし、全棋譜データ3に相当する情報であってもよく、将棋の棋譜データ処理プログラムで利用可能な所定のデータ形式として送付される。
【0048】
「別手案添付」を選択すると、全棋譜データ3における全指し手のうち一部の指し手に対する別案情報が随伴情報として送信先ユーザに送付される。この情報は例えば棋譜データや、画像データ等の形式で送付され、ユーザAが自分で考えた別案を、送信先ユーザと共有し、意見を聞くため等に、送付されるものである。
【0049】
「別手案受付」を選択すると、全棋譜データ3における全指し手のうち一部の指し手に対する別案を、送信先ユーザから受け付ける旨のメッセージが随伴情報として送信先ユーザに送付される。具体的には、例えば、「本対局についてあなたのご意見や別手案があれば、ぜひお送り頂けないでしょうか」といったメッセージが送付される。
【0050】
各ユーザごとに選択できる随伴情報は変更可能となっており、この例では、腕前ランクのレベルが最も低いユーザDには随伴情報として「参考対局例」のみを随伴し、将棋歴が短く腕前ランクのレベルが比較的低いユーザEには、「参考対局例」と「別手案添付」とを随伴し、腕前ランクが通常レベルのユーザCには「別手案添付」と「別手案受付」とを随伴し、将棋歴が長く腕前ランクが高いユーザBに対しては、「別手案受付」のみを随伴するように、選択されている。
【0051】
チェックボックスにチェック印「レ」を入力することで、上述の随伴情報の選択を行ったのち、「送信する」ボタンを入力操作すると、複写画像4′と、選択された随伴情報とが、各ユーザB~ユーザEに、一括送信される。
【0052】
<棋譜データの符号化の方法>
本実施形態において、第1二次元バーコード4は、全棋譜データ3をそのまま符号化するのではなく、全棋譜データ3に含まれる各棋譜データ30を、複数の英数データに変換したのち、この英数データを符号化することで、生成される。棋譜データ30を英数データに変換する方法としては、コンピュータ将棋の世界において公知の、所定の棋譜形式により、変換することができる。第2二次元バーコードも同様である。
【0053】
本実施形態においては、前記所定の棋譜形式として、CSA形式を用いて棋譜データ30を英数データに変換している。CSA形式は、先手を「+」で表記し、後手を「-」で表記するとともに、移動元の駒の座標、移動後の駒の座標、移動後に残った駒の名前、を順に英数化して表記する形式である。
【0054】
図12に、第1二次元バーコード4に符号化された英数データ5の一例を表す図を示す。英数データ5は、英数データ5a及び英数データ5bを含む。英数データ5aは、棋戦名に対応する英数データ「“20220901 SHOGI GAME AAA”」、第1対局者及び第2対局者に対応する英数データ「User1:xyz」及び「User1:pqr」を含む。英数データ5aは、このほか、棋譜1に記録される情報のうち、棋譜データ30以外の情報について、所望するものを英数データ化して含めることができるが、必ずしもなくてもかまわない。
【0055】
英数データ5bは、全棋譜データ30に対応する情報であり、前記CSA形式で棋譜データ30から変換されている。この例では、図2で説明した全棋譜データ30のうち、初手から第5手まで、すなわち棋譜データ30a~30eが対応する英数データに変換され、表示されているが、実際にはこれに続き全棋譜データ30が英数データに変換され、第1二次元バーコード4または第2二次元バーコードに符号化される。
【0056】
英数データ5bのうち、一行目の「+7776FU」は、先手を意味する「+」と、「歩」を意味する「FU」と、前記「歩」が基盤上のマス目のうち7七の座標から7六の座標まで移動したことを表す「7776」とが組み合わされ、図2の棋譜データ30a及び図5の初手の指し手に対応する英数データとなっている。
【0057】
英数データ5bのうち、二行目の「-3334FU」は、後手を意味する「-」と、「歩」を意味する「FU」と、前記「歩」が基盤上のマス目のうち3三の座標から3四の座標まで移動したことを表す「3334」とが組み合わされ、図2の棋譜データ30b及び図6の第2手の指し手に対応する英数データとなっている。
【0058】
英数データ5bのうち、三行目の「+5756FU」は、先手を意味する「+」と、「歩」を意味する「FU」と、前記「歩」が基盤上のマス目のうち5七の座標から5六の座標まで移動したことを表す「5756」とが組み合わされ、図2の棋譜データ30c及び図7の第3手の指し手に対応する英数データとなっている。
【0059】
英数データ5bのうち、四行目の「-2288KA」は、後手を意味する「-」と、「角行」を意味する「KA」と、前記「角行」が基盤上のマス目のうち2二の座標から8八の座標まで移動したことを表す「2288」とが組み合わされ、図2の棋譜データ30d及び図8の第4手の指し手に対応する英数データとなっている。
【0060】
英数データ5bのうち、五行目の「+2888HI」は、先手を意味する「+」と、「飛車」を意味する「HI」と、前記「飛車」が基盤上のマス目のうち2八の座標から8八の座標まで移動したことを表す「2888」とを組み合わせることで、図2の棋譜データ30e及び図9の第5手の指し手に対応する英数データとなっている。
【0061】
<制御部による処理>
図13に操作端末10Aの制御部12により実行される各処理を表すフローチャートを示す。以下の処理は操作端末10Aにおいて将棋の棋譜データ処理プログラムが実行されることにより開始される。
【0062】
まずS1において、制御部12は、棋譜1に表示された第1二次元バーコード4を、読取部14を介して読み取る。この時、制御部12は、第1二次元バーコード4のかわりに、第2二次元バーコードを読み取っても良い。このS1がバーコード読み取り手順の一例である。
【0063】
S2において、制御部12は、S1で読み取った第1二次元バーコード4の読み取り結果に基づき、対応する全棋譜データ3を図12に示したような、複数の英数データ5として、取得する。このS2が棋譜データ取得手順の一例であり、英数データ取得手順の一例でもある。
【0064】
S3において、制御部12は、操作部15を介して、特定の指し手場面の範囲の指定を受け付ける。このS3が指し手指定受付手順の一例である。
【0065】
S4において、制御部12は、S3で指定を受け付けた範囲の指し手場面について、コマ送りで表示するか否かを判定する。操作部15を介し、コマ送りでの表示が選択された場合はYes判定され、S5に移行する。コマ送りでの表示が選択されない場合はNo判定され、S6に移行する。
【0066】
S5において、制御部12は、S3で受け付けた指定の範囲の指し手に基づき、S2で取得した英数データ5に対応する将棋盤及び将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像37を、一指し手ごとのコマ送り画像で表示部11に表示する。このS5が指し手表示手順の一例である。
【0067】
S6において、制御部12は、S3で受け付けた指定の範囲の指し手に基づき、S2で取得した英数データ5に対応する将棋盤及び将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像37を、複数の指し手にわたるアニメーションで表示部11に表示する。このS6もまた、指し手表示手順の一例である。
【0068】
S7において、制御部12は、S5で実行されたコマ送り画像の表示もしくはS6で実行されたアニメーションの表示を終了するための操作がされたか否かを判定する。操作部15を介して、表示を終了するための操作が入力された場合はYes判定され、S8に移行する。表示を終了するための操作が入力されなかった場合はNo判定され、S4に戻る。
【0069】
S8において、制御部12は、S1で読み取った第1二次元バーコード4の複写画像4′を生成するための操作がされたか否かを判定する。操作部15を介して、複写画像4′を生成するための操作がされた場合はYes判定され、S9に移行する。複写画像4′を生成する操作がされなかった場合はNo判定され、S10に移行する。
【0070】
S9において、制御部12は、S1で読み取った第1二次元バーコード4の複写画像4′を生成する。なお、第2二次元バーコードの複写画像を生成してもよい。このS9がバーコード生成手順の一例である。
【0071】
S10において、制御部12は、S1で読み取った第1二次元バーコード4に対応する英数データ5を送信するための操作がされたか否かを判定する。操作部15を介して、英数データ5を送信するための操作がなされた場合はYes判定され、S11に移行する。英数データ5を送信するための操作がされなかった場合はNo判定され、S8に戻る。
【0072】
S11において、制御部12は、S2で取得した英数データ5を通信部16を介して送信する。送信先は、例えばオンライン将棋ゲームサーバ20である。このS11が英数データ送信手順の一例である。
【0073】
S12において、制御部12は、S9で生成した複写画像4′を送信するための操作がされたか否かを判定する。操作部15を介して、複写画像4′を送信するための操作がされた場合はYes判定され、S13に移行する。複写画像4′を送信するための操作がなされなかった場合はNo判定され、S17に移行する。
【0074】
S13において、制御部12は、複数の送信先ユーザが個別に選択可能に含まれるユーザリスト8を表示部11に表示する。このS13がユーザリスト表示手順の一例である。
【0075】
S14において、制御部12は、S9で生成した複写画像4′の送信先となる、送信先ユーザの指定を、S13で表示したユーザリスト8から、操作部15を介して、受け付ける。このS14が送信先受付手順の一例である。
【0076】
なお、図11で説明したように、S14において、選択された各送信先ユーザごとに、随伴情報を選択して送付可能となっている。
【0077】
S15において、制御部12は、S14で指定を受け付けた送信先ユーザに対して、複写画像4′と随伴情報との送信を決定するチェックボックスにチェック印が入力されているか否かを判定する。操作部15を介して、チェック印が入力されている場合はYes判定され、S16に移行する。チェック印が入力されなかった場合はNo判定され、S13に戻る。
【0078】
S16において、制御部12は、S9で生成した複写画像4′と随伴情報とを、S14で指定を受け付けた送信先ユーザの操作端末に対し通信部16を介して送信し、フローは終了する。
【0079】
S17において、制御部12は、S9で生成した複写画像4′を一時保存するための操作がされたか否かを判定する。操作部15を介して、一時保存するための操作がされた場合はYes判定され、S18に移行する。一時保存する操作がされなかった場合はNo判定され、フローを終了する。
【0080】
S18において、制御部12は、S9で生成した複写画像4′を、オンライン将棋ゲームサーバ20のデータベース22又は操作端末10A内の記憶部17に一時保存し、フローを終了する。
【0081】
<本実施形態の効果>
一般に、現実世界において将棋駒を用いて行う将棋、あるいはオンライン将棋、あるいはコンピュータ将棋等において、2人の対局者(第1対局者と第2対局者)が対戦したとき、その対局結果の両対局者による全指し手を表す全棋譜データが(手動又は自動による)適宜の手法で生成される。そして本実施形態においては、予め、全棋譜データ3が1つの二次元バーコード(第1二次元バーコード4)に符号化されるか、若しくは、全棋譜データ3が分割された後に複数の二次元バーコード(第2二次元バーコード)にそれぞれ符号化されている。
【0082】
本実施形態では、上記のように生成された二次元バーコード4が、適宜の表示画面に表示されるか若しくは印刷媒体に印刷されて表記されている。操作者が操作端末を適宜に操作すると、演算部が将棋の棋譜データ処理プログラムを実行することによって上記二次元バーコード4に対し読み取りが行われ(バーコード読み取り手順)、その読み取り結果に基づき、対応する上記全棋譜データ3が取得される(棋譜データ取得手順)。
【0083】
その後、操作者が操作部15を介し、特定の指し手場面の指定を行うことでその指定が受け付けられ(指し手指定受付手順)、その指定に基づく、仮想将棋盤及びその将棋盤面上の将棋駒の仮想外観画像37の表示が表示部11において行われる。このときの上記指定に応じた表示態様の例としては、一指し手ごとのコマ送り画像、複数の指し手にわたるアニメーション、等がある。
【0084】
本実施形態においては、このように対局結果の全棋譜データ3が二次元バーコード化されているため、当該二次元バーコードに対し読み取りを行うだけで、当該対局における全指し手に含まれる任意の指し手場面を表示部11の仮想画像表示により再現することができる。
【0085】
また本実施形態においては、上記のような利便性を他のユーザと共有するために、演算部によりバーコード生成手順が実行される。バーコード生成手順では、前述のように読み取った第1二次元バーコード4、または第2二次元バーコードの、複写画像4′が生成される。その複写画像4′の送信先ユーザを操作者が操作部15を介し指定すると、その指定が送信先受付手順で受け付けられ、当該送信先ユーザに対し前述の複写画像4′が送信される(ユーザ送信手順)。
【0086】
これにより、送信された複写画像4′を受け取った上記送信先ユーザが当該複写画像4′に対して読み取りを行うことで、前述と同様、対応する上記全棋譜データ3を取得することができる。この結果、前述の操作者と同様、送信先ユーザにおいても、当該対局における全指し手に含まれる任意の指し手場面を再現できるので、操作者と送信先ユーザとで当該対局結果の内容を共有することができる。
【0087】
コンピュータ将棋の世界では、棋譜データを、所定の棋譜形式における英数データで表すことが行われている。この英数データは、例えば、先手・後手の別、将棋駒の移動前位置、将棋駒の移動後位置、移動後の駒名、により構成されている。これに対応して、本実施形態においては特に、棋譜データ取得手順に含まれる英数データ取得手順において、上記バーコード読み取り手順で読み取られた二次元バーコードに対応した、上記全棋譜データ3としての全指し手に対応する複数の英数データ5が取得される。これにより、その後の指し手表示手順において、それら複数の英数データ5に基づき、コマ送り画像若しくはアニメーションによる表示を行うことができる。
【0088】
また、本実施形態においては特に、操作者が操作部15において適宜の操作を行うことにより、上記のように取得された複数の英数データ5を通信により外部へ送信することができる。これにより、前述のように二次元バーコードに対し読み取りを行うだけで対応する英数データ5を適宜のサーバや解析プログラムへと導出することができる。この結果、上記対局結果に対する、例えば公知のAI技術等を利用した棋風や形勢の解析等を円滑かつ容易に行うことができる。
【0089】
また、本実施形態においては特に、前述の複写画像4′の送信先となる送信先ユーザがユーザリスト8の形で表示部11に一覧表示される。また操作者が送信先ユーザに複写画像4′を送信する際、複写画像4′とともに所望の随伴情報50を併せて送信することができる。
【0090】
ユーザリスト8には、各送信先ユーザの将棋歴、腕前レベル、性別、年齢の少なくとも1つを含むユーザ属性が含まれており、操作者は、このユーザ属性を参考にしつつ、各送信先ユーザに対しどのような随伴情報を送信するかを可変に設定することができる。これにより、前述のように、操作者が対局結果の内容を送信先ユーザと共有する際の、利便性をさらに向上することができる。
【0091】
また、本実施形態では特に、操作者は、各送信先ユーザに対し、他のユーザによる過去の参考対局例情報、全指し手のうち一部の指し手に対して操作者が考案した別案情報、全指し手のうち一部の指し手に対する送信先ユーザからの別案を受け付ける旨のメッセージ、のいずれかを選択して上記複写画像4′とともに送信することができる。これにより、さらに確実に利便性を向上することができる。
【0092】
本実施形態の将棋の棋譜データ処理プログラムは、操作端末10A~10C等により第1二次元バーコード4や、第2二次元バーコードや、複写画像4′を読み取ることで他人や自分自身の対局を再現し、必要に応じてAI解析等によるアドバイス機能を利用しながら、勉強することができるとともに、オンライン将棋ゲームサーバ20を介して、各ユーザ同士が将棋で対戦することもできるようなアプリケーションを実行するためのプログラムとなっている。
【0093】
また、例えば趣味や部活動等で将棋大会に出場し勝利した際、記念品としてもらった将棋駒の裏にその対局時の全棋譜データ3が第1二次元バーコード4として印刷され、操作端末10Aなどで読み取ることで当該大会における対局をアプリ上で再現できるようになっていてもよい。
【0094】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0095】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0096】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 棋譜
2 通信ネットワーク
3 全棋譜データ
4 第1二次元バーコード
4′ 複写画像
5、5a、5b 英数データ
8 ユーザリスト
10A 操作端末
11 表示部
12 制御部(演算部の一例)
14 読取部
15 操作部
16 通信部
17 記憶部
18 アプリケーションプログラム(将棋の棋譜データ処理プログラムの一例)
30 棋譜データ
37 仮想外観画像
38 操作画面
40 将棋盤の仮想外観画像
41 将棋駒の仮想外観画像
【要約】
【課題】全棋譜データを簡単な操作で一括して取り扱うことで、対局における全指し手中の任意の指し手場面を再現でき、その内容を複数のユーザ間で簡単に共有できる。
【解決手段】
操作端末10Aの演算部に対し、全棋譜データ3を符号化した第1二次元バーコード4を読み取るバーコード読み取り手順(S1)と、全棋譜データ3を取得する棋譜データ取得手順(S2)と、指し手場面の指定を受け付ける指し手指定受付手順(S3)と、全棋譜データ3を用いて将棋盤及び駒の仮想外観画像37を表示部11に表示する指し手表示手順(S5、S6)と、第1二次元バーコード4の複写画像4′を生成するバーコード生成手順(S9)と、複写画像4′の送信先ユーザの指定を受け付ける送信先受付手順(S14)と、複写画像4′を送信するユーザ送信手順と(S16)を実行させる将棋の棋譜データ処理プログラム。
【選択図】図13
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13