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特許7299409カメラレンズ多軸傾き制御装置およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】カメラレンズ多軸傾き制御装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230620BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230620BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022505555
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 KR2020017865
(87)【国際公開番号】W WO2021118204
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0165452
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518086871
【氏名又は名称】ドンウン アナテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ダウン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ノヨル・パク
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0129132(US,A1)
【文献】特開2009-145635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラレンズの光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の軸地点から前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズの現在の位置を検出するホールセンサと;
前記ホールセンサそれぞれに対応し、対応するホールセンサから検出されるカメラレンズの現在の位置を目標位置と比較して前記カメラレンズを目標位置に移動させるためのサーボ制御信号を出力するサーボ制御部と;
前記サーボ制御部それぞれに対応し、対応するサーボ制御部から出力されるサーボ制御信号により各軸地点において前記光軸方向と平行な軸方向に前記カメラレンズを前記目標位置に移動させるアクチュエータ駆動部と;を含み、
前記サーボ制御部それぞれは、
前記カメラレンズが前記3個以上の軸地点それぞれにおいて前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズを移動制御するものであって、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用して前記カメラレンズを目標位置に移動させるものであって、
前記カメラレンズのアセンブリは、機器内部で流動可能なように設置される円形の流動プレートの上に搭載され、前記流動プレートの中心点を基準として4分割したそれぞれの分割地点に位置するマグネットと向かい合うように前記ホールセンサが位置することを特徴とする、カメラレンズ多軸傾き制御装置。
【請求項2】
前記ホールセンサそれぞれは、
前記カメラレンズの光軸を、互いに直交する二つの軸(x、y軸)上に位置し、一つの軸上で前記光軸を中心に互いに向き合う二つの軸地点に位置することを特徴とする、請求項1に記載のカメラレンズ多軸傾き制御装置。
【請求項3】
前記サーボ制御部のすべては一つのICでワンチップ化されることを特徴とする、請求項1に記載のカメラレンズ多軸傾き制御装置。
【請求項4】
カメラレンズのアセンブリが上部に装着される円形の流動プレートと;
前記流動プレートに装着されるものであって、前記カメラレンズの光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の軸地点にそれぞれ装着されるマグネットと;
前記マグネットそれぞれの下部に位置したアクチュエータと;
それぞれの前記マグネットと向き合って各軸地点から前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズの現在の位置を検出するホールセンサと;
前記ホールセンサそれぞれに対応し、対応するホールセンサから検出されるカメラレンズの現在の位置を目標位置と比較して前記カメラレンズを目標位置に移動させるためのサーボ制御信号を出力するサーボ制御部と;
前記サーボ制御部それぞれに対応し、対応するサーボ制御部から出力されるサーボ制御信号により各軸地点において前記光軸方向と平行な軸方向に前記カメラレンズを目標位置に移動させるアクチュエータ駆動部と;を含み、
前記サーボ制御部それぞれは、
前記カメラレンズが前記3個以上の軸地点それぞれにおいて前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズを移動制御するものであって、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用して前記カメラレンズを目標位置に移動させることを特徴とする、カメラレンズ多軸傾き制御装置。
【請求項5】
前記サーボ制御部のすべては一つのICでワンチップ化されることを特徴とする、請求項4に記載のカメラレンズ多軸傾き制御装置。
【請求項6】
3個以上の軸地点は均等分割された4個の軸地点であることを特徴とする、請求項4に記載のカメラレンズ多軸傾き制御装置。
【請求項7】
カメラレンズの光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の軸地点それぞれで前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズの現在の位置を検出するホールセンサからカメラレンズの現在の位置を受信する段階と;
前記3個以上の軸地点それぞれで検出されたカメラレンズの現在の位置を目標位置と比較して前記光軸方向と平行な軸方向それぞれの目標位置に前記カメラレンズを移動させるための複数のサーボ制御信号それぞれを互いに異なるアクチュエータ駆動部に出力する段階と;を含み、
前記複数のサーボ制御信号それぞれは、
前記カメラレンズが前記3個以上の軸地点それぞれにおいて前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズを移動させるための信号であって、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用して生成された信号であり、
前記カメラレンズのアセンブリが、機器内部で流動可能なように設置される円形の流動プレートの上に搭載され、前記流動プレートの中心点を基準として4分割したそれぞれの分割地点に位置するマグネットと向かい合うように前記ホールセンサが位置することを特徴とする、サーボ制御部のカメラレンズ多軸傾き制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ制御システムに関し、特にカメラレンズの多軸地点傾きを制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラモジュールは超小型化されながらも高機能、高画素の具現が可能となったことにより、携帯電話やタブレットPCをはじめとする殆どのポータブルIT機器に装着されている。カメラモジュールでレンズ群の中心線とイメージセンサの中心線間のずれをチルト(tilt)という。カメラモジュールは多くの部品が互いに組み立てられて製造されるため、各部品自体の公差、各部品を組み立てる時の組立公差などによってチルトが発生する可能性がある。
【0003】
チルトが一定水準以上発生すると撮影イメージの解像度を落とすことになり、その結果、イメージの品質を低下させるためチルトを補正する技術が必要である。チルト補正技術として、大韓民国公開特許公報10-2015-0050080号(特許文献1)に掲示された「カメラモジュールおよびチルト補正方法」がある。
【0004】
例示した「カメラモジュールおよびチルト補正方法」では、イメージセンサの中心軸にレンズ部の中心軸が一致するように、レンズ部の両側にサスペンションの一側をそれぞれ連結してレンズ部の傾きを調節する方式でチルトを補正する。
【0005】
もう一つの先行技術として、公開特許公報10-2007-0043103号(特許文献2)に掲示された「カメラモジュール角度調節装置」がある。このような「カメラモジュール角度調節装置」も図1に図示した通り、調節シャフト42、52がそれぞれ上、下方向に流動することによって流動プレート20が傾き、その結果、レンズアセンブリ10の角度が調節されるようにしてチルトを補正する。
【0006】
前述した先行技術は、カメラレンズの傾き(角度)を調節するために2個のアクチュエータを使っている。一つの平面の傾きを調節するためには互いに異なる2地点の高さを調節することで充分である。しかし、2地点の高さを調節するだけでは平面の傾きのみを調節でき、全体的な平面の高さを調節できないため、自動焦点機能をともに具現できないという制約が伴われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2015-0050080号
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2007-0043103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は前述した問題を解決するために創案された発明であって、本発明の主な目的は、カメラレンズの傾き(角度)を多軸地点で調節して多方向にカメラレンズの角度を調節できるだけでなく、自動焦点機能まで具現できるカメラレンズ多軸傾き制御装置およびその方法を提供することにあり、
【0009】
ひいては、本発明のさらに他の目的は、自動焦点の具現のために移動させるカメラレンズを多軸地点で同一方向に移動させるものであって、多軸地点から同一方向に移動するレンズの移動量が同一であるようにして、部品および組立誤差が補償されたカメラレンズ多軸傾き制御装置およびその方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、カメラレンズを多軸地点で同一方向に移動するレンズの移動量が同一であるように制御するために必要な各軸地点でのレンズストロークを、一つの測定装備のみを利用して算出できるストローク算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の一実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置は、
カメラレンズの光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の地点から前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズの現在の位置をそれぞれ検出するホールセンサと;
前記ホールセンサそれぞれに対応し、対応するホールセンサから検出されるカメラレンズの現在の位置を目標位置と比較して前記カメラレンズを目標位置に移動させるためのサーボ制御信号を出力するサーボ制御部と;
前記サーボ制御部それぞれに対応し、対応するサーボ制御部から出力されるサーボ制御信号により前記3個以上の地点のうちいずれか一つの地点において前記光軸方向と平行な軸方向に前記カメラレンズを前記目標位置に移動させるアクチュエータ駆動部と;を含み、前記サーボ制御部それぞれは、
前記カメラレンズが前記3個以上の地点それぞれにおいて前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズを移動制御するものであって、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用して前記カメラレンズを目標位置に移動させることを特徴とする。
【0012】
本発明のさらに他の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置は、
カメラレンズアセンブリが上部に装着される円形の流動プレートと;
前記流動プレートに装着されるものであって、前記カメラレンズの光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の軸地点にそれぞれ装着されるマグネットと;
前記マグネットそれぞれの下部に位置したアクチュエータと;
それぞれの前記マグネットと向き合って各軸地点から前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズの現在の位置を検出するホールセンサと;
前記ホールセンサそれぞれに対応し、対応するホールセンサから検出されるカメラレンズの現在の位置を目標位置と比較して前記カメラレンズを目標位置に移動させるためのサーボ制御信号を出力するサーボ制御部と;
前記サーボ制御部それぞれに対応し、対応するサーボ制御部から出力されるサーボ制御信号により各軸地点において前記光軸方向と平行な軸方向に前記カメラレンズを目標位置に移動させるアクチュエータ駆動部と;を含み、
前記サーボ制御部それぞれは、前記カメラレンズが前記3個以上の軸地点それぞれにおいて前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズを移動制御するものであって、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用して前記カメラレンズを目標位置に移動させることを特徴とする。
【0013】
ひいては、本発明のさらに他の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御方法はサーボ制御部で実行可能な方法であって、
カメラレンズの光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の地点それぞれで前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズの現在の位置を検出するホールセンサからカメラレンズの現在の位置を受信する段階と;
前記3個以上の地点それぞれで検出されたカメラレンズの現在の位置を目標位置と比較して前記光軸方向と平行な軸方向それぞれの目標位置に前記カメラレンズを移動させるための複数のサーボ制御信号それぞれを互いに異なるアクチュエータ駆動部に出力する段階と;を含み、
前記複数のサーボ制御信号それぞれは、前記カメラレンズが前記3個以上の地点それぞれにおいて前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズを移動させるための信号であって、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用して生成された信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前述した技術的課題解決手段によると、本発明はカメラレンズの傾き(角度)をカメラレンズの多軸地点別に個別制御することによって多方向にカメラレンズの角度を調節できるだけでなく、制御コード当たりレンズの移動距離をすべての軸地点に対して同一にすることによって自動焦点機能まで具現できる利点がある。
【0015】
また、本発明はカメラレンズの多軸地点の高さを個別制御してカメラレンズを傾けることができるため、レンズのロール(roll)、ピッチ(pitch)角度に対する制御が可能であることは言うまでもなく、手振れ防止機能まで具現できる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】公知になっているカメラモジュール角度調節装置の要部断面例示図である。
図2】本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置のブロック構成例示図である。
図3】本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置の機構的配置を説明するための図面である。
図4】本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置によってカメラレンズの傾きが多軸地点で調節されることを例示した図面である。
図5A】本発明の具現のために必要なレンズ移動距離の同一化過程を説明するための図面である。
図5B】本発明の具現のために必要なレンズ移動距離の同一化過程を説明するための図面である。
図6】レンズ移動距離同一化過程前と後を比較説明するための図面である。
図7A】本発明の実施例によりカメラレンズの多軸地点でストロークを計算する方法を説明するための図面である。
図7B】本発明の実施例によりカメラレンズの多軸地点でストロークを計算する方法を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明の目的、技術的解決法および長所を明らかにするために本発明が実施され得る特定の実施例を例示したものであり、図示する添付図面を参照する。これらの実施例は通常の技術者が本発明を充分に実施できるように詳細に説明される。
【0018】
また、本発明の詳細な説明および請求項に亘り、「含む」という単語およびその変形は他の技術的特徴、付加物、構成要素または段階を除くものと意図されたものではない。通常の技術者に本発明の他の目的、長所および特性が、一部は本説明書から、そして一部は本発明の実施から明らかになるであろう。以下の例示および図面は実例として提供され、本発明を限定するものと意図されたものではない。さらに本発明は本明細書に表示された実施例の可能なすべての組み合わせを網羅する。本発明の多様な実施例は互いに異なるが互いに排他的である必要はないことが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味で取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるのであれば、その請求項が主張するものと均等なすべての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。図面で類似する参照符号は多様な側面に亘って同一または類似する機能を指称する。
【0019】
本明細書で異なって表示されたり明確に文脈に矛盾しない限り、単数で指称された項目は、その文脈で特に要求されない限り、複数のものを含む。また、本発明の説明において、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0020】
以下、通常の技術者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して添付された図面を参照して詳細に説明することにする。
【0021】
まず図2は、本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置のブロック構成図を例示したものである。
【0022】
図1に図示した通り、本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置は、
カメラレンズ80の光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の軸地点から前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動可能なカメラレンズ80の現在の位置をそれぞれ検出するホールセンサH1、H2、H3、H4と;
前記ホールセンサH1-H4それぞれに対応し、対応するホールセンサH1-H4から検出されるカメラレンズ80の現在の位置を目標位置と比較して前記カメラレンズ80を目標位置に移動させるためのサーボ制御信号を出力するサーボ制御部110、210、310、410と;
前記サーボ制御部110、210、310、410それぞれに対応し、対応するサーボ制御部110、210、310、410から出力されるサーボ制御信号により前記3個以上の軸地点のうちいずれか一つの地点から前記光軸方向と平行な軸方向に前記カメラレンズ80を前記目標位置に移動させるアクチュエータ駆動部120、220、320、420;を含み、前記サーボ制御部110、210、310、410それぞれは、
前記カメラレンズ80が前記3個以上の軸地点それぞれから前記光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるそれぞれのストローク区間のうち共通したストローク区間内で前記カメラレンズ80を移動制御するものであって、制御コード当たりレンズ移動距離(um/code)が同一であるように補償された補償係数を利用して前記カメラレンズ80を目標位置に移動させることを特徴とする。
【0023】
因みに、前述したホールセンサH1-H4は図示した通り、4個で構成することが好ましい。これらホールセンサH1-H4それぞれはカメラレンズ80の光軸(z軸)を互いに直交する二つの軸(x、y軸)上に位置するものであり、一つの軸上で前記光軸を中心に互いに向き合う二つの軸地点に位置する。前記ホールセンサH1-H4は流動するカメラレンズ80の位置を感知するためのセンサであって、流動するカメラレンズ80周辺の固定構造物に装着可能であり、各ホールセンサと向き合う所にマグネットが設置される。このようなマグネットはカメラレンズ80とともに流動する構造物に装着可能である。すなわち、図3に図示した通り、4個のマグネット70もカメラレンズ80の光軸を、互いに直交する二つの軸上に位置することになるのであり、一つの軸上で前記光軸を中心に互いに向き合う。
【0024】
因みに、図3は本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置を構成する一部の構成の機構的配置を説明するための図面を例示したものであり、カメラレンズ80のアセンブリはカメラモジュール内部で流動可能なように設置される円形の流動プレート60上に搭載され、前記流動プレート60の中心点を基準として4分割したそれぞれの分割地点(軸地点でもある)にマグネット70が位置する。それぞれのマグネット70と対向する所にホールセンサH1-H4が位置することによって、流動プレート60の動きによりそれぞれのホールセンサH1-H4はマグネット70が位置する軸地点から光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動したカメラレンズ80の位置を検出できるようになるのである。
【0025】
前記流動プレート60は各マグネット70の下部に位置することになるアクチュエータ(例えば、VCM)に印可される電流によって上昇あるいは下降するが、これついては後述することにする。因みに、前述したカメラレンズ80の光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の軸地点、本発明の実施例では4個の軸地点にマグネット70とホールセンサH1-H4が位置するものと仮定することにする。
【0026】
一方、図2に図示した本発明の構成の中の、一つのホールセンサに次いで位置するサーボ制御部とアクチュエータ駆動部は、一つのワンチップドライバICで製作してもよく、4個のサーボ制御部110、210、310、410すべてを一つのワンチップICとして製作して部品数とサイズを最小化してもよい。
【0027】
以下、前述した回路的構成を有するカメラレンズ多軸傾き制御装置で、カメラレンズの傾きが多軸地点で調節されることを図4を参照して説明することにする。
【0028】
図4は、本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置によってカメラレンズ80の傾きが多軸地点で調節されることを例示した図面である。
【0029】
下記で多軸地点とは図4に図示した通り、一対のマグネット70とアクチュエータ(VCM)が一直線上に置かれた4個の軸地点をいう。
【0030】
図3および図4に図示した通り、カメラレンズ80のアセンブリが置かれた流動プレート60の4分割軸地点それぞれにマグネット70を装着し、各マグネット70の下部にアクチュエータに該当するVCMが置かれていると仮定すると、特定の軸地点に位置するVCMに印可される電流の方向と強度を制御して磁場を発生させると、マグネット70を押したり引っ張ることになってカメラレンズ80の軸地点の高さ(z軸方向)が調節され得る。
【0031】
すなわち、本発明の実施例に係るカメラレンズ多軸傾き制御装置は、カメラレンズ80の光軸方向(z軸)を中心に同一距離離隔した3個以上の流動プレート60の軸地点それぞれにマグネット70を位置させ、各マグネット70と一直線上に置かれたアクチュエータに印可される電流の方向と強度を制御すると、各軸地点から光軸方向にカメラレンズ80の傾き(流動プレートの傾き)を調節できるため、その結果、カメラモジュールの角度を東(E)、西(W)、南(S)、北(N)方向などに調節することができ、4個の軸地点の全てに対して傾きを同時に調節すると自動焦点のための高さまで調節できる効果を得ることができる。
【0032】
ただし、各部品の特性(電気的反応度)および組立偏差による製造公差が存在するため、これを補正せずには4個の軸地点に対して同じ高さで制御することは不可能である。
【0033】
したがって、下記ではカメラレンズの4個の軸地点に対して同一の高さで制御するために、あらかじめ必要な技術的条件について詳しく説明する。
【0034】
1.各軸地点でカメラレンズのストローク区間が同一でなければならない。
各部品の特性および組立偏差による製造公差を克服するためには、まずカメラレンズが設定された軸地点それぞれから光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動できるストローク区間が同一でなければならない。これはすなわち、軸地点それぞれにおける可動範囲を共通した範囲に制限すべきであることを意味する。このために、製品の出荷前に4個の軸地点それぞれからカメラレンズ80が移動可能な範囲を測定(Laser Distance Meter:LDM利用)して共通したストローク区間を探す。
【0035】
これを図5を参照して説明すると、図5は本発明の具現のために必要なレンズ移動距離の同一化過程を説明するための図面を図示したもので、図5Aは各軸地点(A、B、C、D)からカメラレンズ80が移動可能なストローク区間を示したものであり、図5Bは共通したストローク区間を図示したものである。
【0036】
図5Aに図示した通り、LDMを利用して4個の軸地点それぞれに対して移動可能なカメラレンズのストローク区間を測定すると、製造公差によって各軸地点から移動可能なストローク区間に差が存在する。ただし、図5Bに図示した通り、カメラレンズが4個の軸地点それぞれから共通して動くことができるストローク区間が存在するため、これを探して各軸地点から移動可能な共通区間に制限する。例えば共通した区間内での最低位置をカメラレンズ80が位置する初期位置に設定し、共通した区間内での最高位置を移動可能な最大位置に設定してサーボ制御アルゴリズムを設計すれば、カメラレンズ80の4個の軸地点の高さ(z軸方向)をすべて前記共通区間内でのみ調節できるであろう。
【0037】
2.共通ストローク区間内で1コードに対するレンズ移動距離が同一でなければならない。
制御コード当たりレンズの移動距離を同一に設計したとしても、実際の各部品の特性および組立偏差によって実際の1コードに対するレンズ移動距離(um/code)は、図5Aに図示した通り、各軸地点で異なって示される。したがって、カメラレンズ80の軸地点の高さ(z軸方向)を同一に制御したり特定の角度だけ傾けたりするためには、各軸地点の移動をそれぞれ制御する構成の間に関係を形成して、同一の入力に対して同一に反応するようにする必要である。
【0038】
このためには、ホールセンサから得られたホールデータに対する非線形性を補正するための線形補償アルゴリズムが必要である。これを図6を参照して説明すると、
【0039】
図6はコード当たりレンズ移動距離同一化過程前(補償前)と後(補償後)を比較説明するための図面を図示したものであり、LDMを利用して各軸地点から制御コードにより変化するレンズの移動距離を測定すると、図6に図示した補償前の非線形グラフが得られる。このような非線形グラフに対して、制御コード当たり同じ移動距離を有するようにするためには総制御コード区間(例えば、4096コード)を一定の区間(例えば、8区間)に分割した後、各分割区間ごとに測定されたストロークデータに補償係数(測定されたストロークデータの傾きに対する逆関数)を演算適用すれば、図6に図示した通り、1次多項式に変換された補償後のグラフを得ることができる。このような方法を4個の軸地点のすべてに適用すれば、すべての軸で制御コード当たりレンズ移動距離(um/code)が同一になる。したがって、各軸に対して線形補償アルゴリズムを通じて獲得可能な補償係数をテーブル化してサーボ制御時に利用すると、すべての軸で制御コード当たりのレンズ移動距離を同一にすることができる。
【0040】
以上で説明した通り、カメラレンズの4個の軸地点に対して同一高さに制御するために必要な技術的条件、すなわちすべての軸地点でカメラレンズのストローク区間が同一であるように共通したストローク区間を設定しておき、その共通ストローク区間内で制御コードに対するレンズ移動距離が同一であるように補償係数を予めテーブル化して保存しておくと、
【0041】
サーボ制御部110、210、310、410それぞれは、カメラレンズ80が軸地点それぞれから光軸方向と平行な軸方向(z軸)に移動するように制御するものであって、共通したストローク区間内でのみ移動するように制御するとともに、制御コード当たりレンズ移動距離が同一であるように補償された補償係数を利用してカメラレンズ80を目標位置に移動させることによって、結果としてカメラレンズ80の4個の軸地点に対して同一高さ(水平維持)に制御することができる。
【0042】
したがって、本発明は上位プロセッサがカメラレンズ80の傾き(角度)を多軸地点別に個別制御することによって、多方向にカメラレンズの角度を調節できるだけでなく、すべての軸地点に対して同一に制御することによって自動焦点機能まで具現できる利点がある。
【0043】
また、本発明は同一軸上で互いに向き合う二つの軸地点に位置するアクチュエータに互いに異なる極性の電流を印可すると、結果としてカメラレンズ80を傾けることができるため、レンズのロール(roll、Φ)、ピッチ(pitch、θ)角度に対する制御が可能であることは言うまでもなく、手振れ防止機能まで具現できる長所がある。
【0044】
因みに、図7は本発明の実施例によりカメラレンズの多軸地点でのストロークを計算する方法を説明するための図面を図示したものである。
【0045】
まず、前述した2つの技術的条件を満足させるためには、何よりカメラレンズ80の各軸地点から光軸方向に移動できるストロークを測定しなければならない。AFカメラのストロークは通常一つのLDMを利用して測定するため、4個の軸地点に対するストロークを測定するためには4個のLDMを利用しなければならない。このような非効率的な問題を解決するために、一つのLDMを利用して多軸地点でのストロークを計算することができる。
【0046】
図7Aに表示されたA、B、C、Dは前述した4個の軸地点を示したものである。このような4個の軸地点それぞれから光軸と平行な軸方向に移動可能なストロークを測定するために一つのLDMを利用するが、この場合、LDMをカメラレンズ80の中心に位置させて図7Bに図示した通り、補償前のストロークとその時のx、y軸の傾きを測定する。このような測定データに基づいて4個の軸地点のすべてに対してストロークを算出することができる。幾何学的解釈を通じて、中心位置と傾きを通じて各軸地点の補償前のストロークを算出する式は下記の通りである。下記の数式で、Zはレンズ中心の補償前(uncompensated)のストロークであり、Lは流動プレート60の長さと仮定することができる。
【0047】
Axis A:Z+(L/2)sinΦsin(90-θ)
Axis B:Z-(L/2)sinθsin(90-Φ)
Axis C:Z-(L/2)sinΦsin(90-θ)
Axis D:Z+(L/2)sinθsin(90-Φ)
【0048】
これらの数式で各軸地点でのストロークが算出されると、前述した線形補償アルゴリズムを利用して各軸上で制御コード当たりレンズ移動距離を同一に適用することができる。
【0049】
以上、図面に図示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術分野で通常の知識を有する者であればこれから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることが理解できるであろう。例えば、本発明の実施例では4個の軸地点を軸にしてカメラレンズの高さを同一に制御するものと説明したが、3個の軸地点を軸にしてカメラレンズの高さを同一に制御してもよい。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲によってのみ定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B