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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】化粧板の取り付け構造及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20230620BHJP
   E04F 19/06 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
E04F13/08 101K
E04F19/06 E
E04F13/08 101Y
E04F13/08 101P
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022525479
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2020032255
(87)【国際公開番号】W WO2021181721
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2020040431
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 和哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 建
(72)【発明者】
【氏名】小島 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】士反 慶介
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3117950(JP,U)
【文献】特開2007-077687(JP,A)
【文献】特開2001-295449(JP,A)
【文献】実開昭50-092526(JP,U)
【文献】特開2018-083328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04F 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧板の取り付け構造であって、下地に取り付けられた少なくとも一対の化粧板を備え、
前記少なくとも一対の化粧板は垂直面に使用されており、
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、当該化粧板の裏面の外周部に貼着された両面粘着テープと、前記外周部よりも内側の内側部に貼着されて区画を形成する両面粘着テープと、を有し、
前記裏面における前記外周部の両面粘着テープの外側に無溶剤一液型変成シリコーン樹脂を有する弾性接着剤が塗布され、前記内側部の両面粘着テープにより形成された前記区画内にも前記弾性接着剤が塗布され、
前記少なくとも一対の化粧板は、互いに離間された箇所を有する状態で各前記裏面において前記下地に止着されており、
前記両面粘着テープは、全体厚みが0.03~10mmであり、JIS Z 0237に基づく90°ピーリング剥離試験で、粘着強度が23℃で3~30N/20mm、又は粘着強度が0℃で1~20N/20mmである、化粧板の取り付け構造。
【請求項2】
化粧板の取り付け構造であって、下地に取り付けられた少なくとも一対の化粧板を備え、
前記少なくとも一対の化粧板は垂直面に使用されており、
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、化粧層とコア層とを含み、
前記コア層はプリプレグで構成され、前記プリプレグは、繊維質基材に、有機バインダー成分と無機充填材とを含むスラリーが含浸された構成であり
レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定された前記無機充填の体積累積粒径Dv(10)は0.5μm以上であり、かつ、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定された前記無機充填材の体積累積粒径Dv(90)は40.0μm以下であり、
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、当該化粧板の裏面の外周部に貼着された両面粘着テープと、前記外周部よりも内側の内側部に貼着されて区画を形成する両面粘着テープと、を有し、
前記裏面における前記外周部の両面粘着テープの外側に弾性接着剤が塗布され、前記内側部の両面粘着テープにより形成された前記区画内にも前記弾性接着剤が塗布され、
前記少なくとも一対の化粧板は、互いに離間された箇所を有する状態で各前記裏面において前記下地に止着されており、
前記両面粘着テープは、全体厚みが0.03~10mmであり、JIS Z 0237に基づく90°ピーリング剥離試験で、粘着強度が23℃で3~30N/20mm、又は粘着強度が0℃で1~20N/20mmである、化粧板の取り付け構造。
【請求項3】
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、化粧層とコア層とを含み、
前記コア層はプリプレグで構成され、前記プリプレグは、繊維質基材に、有機バインダー成分と無機充填材とを含むスラリーが含浸された構成である、請求項1に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項4】
前記コア層において、前記有機バインダー成分と前記無機充填材との配合比は固形分重量比で1:1~25である、請求項2又は3に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項5】
前記無機充填材は平均粒子径の異なる3種類の無機充填材を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項6】
前記無機充填材の平均粒子径は0.04μm以上50μm未満である、請求項5に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項7】
前記平均粒子径の異なる3種類の無機充填材は、小粒径の無機充填材、中粒径の無機充填材、及び大粒径の無機充填材を有し、
前記小粒径の無機充填材の平均粒子径は0.04μm以上4μm未満であり、前記中粒径の無機充填材の平均粒子径は4μm以上12μm未満であり、前記大粒径の無機充填材の平均粒子径は12μm以上50μm未満である、請求項5又は6に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項8】
前記無機充填材は、吸熱性金属水酸化物、及び/又は吸熱性金属水酸化物以外の無機物質である、請求項2~7のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項9】
前記コア層において、前記小粒径の無機充填材と前記中粒径の無機充填材と前記大粒径の無機充填材との配合比は1:0.1~20:0.1~20である、請求項7に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項10】
レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定された前記無機充填材の体積累積粒径Dv(10)は0.5μm以上であり、かつ、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定された前記無機充填材の体積累積粒径Dv(90)は40.0μm以下である、請求項3~9のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項11】
レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定された前記無機充填材の比表面積は800~4000m/kgである、請求項2~10のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項12】
前記繊維質基材は不織布であり、前記不織布は熱可塑性樹脂エマルジョンにより繊維が絡み合った構成である、請求項2~11のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項13】
前記離間された箇所が、平面、出隅(external corner)、又は入隅(internal corner)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項14】
前記離間された箇所には、目地底テープ(joint bottom tape)、ジョイナー及びコーキング剤のうち一つ以上が設けられている、請求項1~13のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項15】
前記両面粘着テープは、JIS Z 0237に基づく90°ピーリング剥離試験で、粘着強度が23℃で3~30N/20mmであり、かつ、粘着強度が0℃で1~20N/20mmである、請求項1~14のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項16】
前記下地が、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、合板、又はモルタルである、請求項1~15のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項17】
前記下地にはプライマーにより処理が施されている、請求項1~16のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項18】
前記弾性接着剤は、建研式接着力試験器を用いて測定した40mm×40mmの大きさの金属製治具に対する引張り強度が0.1~0.9kNである、請求項1~17のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項19】
前記弾性接着剤は湿気硬化型の弾性接着剤である、請求項1~18のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項20】
前記弾性接着剤が、無溶剤一液型変成シリコーン樹脂系弾性接着剤である、請求項2~19のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項21】
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、化粧層とコア層とを含み、
前記コア層はプリプレグで構成され、前記プリプレグは、繊維質基材に、有機バインダー成分と無機充填材とを含むスラリーが含浸された構成であり
前記コア層において、前記有機バインダー成分と前記無機充填材との配合比は固形分重量比で1:1~25であって、
前記化粧板の厚みは、それぞれ、0.86~8.00mmである、請求項1~20のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造。
【請求項22】
請求項1~20のいずれか1項に記載の化粧板の取り付け構造を得るための化粧板の施工方法であって、
(A)前記少なくとも一対の化粧板のうちの一方の化粧板を、所望のサイズにカットする工程と、
(B)前記(A)の工程で得られた前記一方の化粧板の裏面の外周部に両面粘着テープを貼着するとともに、前記外周部よりも内側の内側部に両面粘着テープを貼着して区画を形成し、前記裏面における前記外周部の両面粘着テープの外側に弾性接着剤を塗布し、前記内側部の両面粘着テープにより形成された前記区画内にも弾性接着剤を塗布する工程と、
(C)前記(B)の工程で得られた前記一方の化粧板を吸盤機で吸着した状態で、前記一方の化粧板が垂直面に使用されるように前記一方の化粧板を下地に押圧することで、前記一方の化粧板を前記下地に止着する工程と、
(D)前記少なくとも一対の化粧板のうちの他方の化粧板について前記(A)、(B)及び(C)の工程と同様に処理して、前記他方の化粧板を前記下地に止着する工程と、
を有し、
前記(D)の工程において、前記他方の化粧板を、前記一方の化粧板と離間して前記下地に施工することによって、前記一方の化粧板と前記他方の化粧板との間に離間された箇所が形成される、化粧板の施工方法。
【請求項23】
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、化粧層とコア層とを含み、
前記コア層はプリプレグで構成され、前記プリプレグは、繊維質基材に、有機バインダー成分と無機充填材とを含むスラリーが含浸された構成であり
前記コア層において、前記有機バインダー成分と前記無機充填材との配合比は固形分重量比で1:1~25であって、
前記化粧板の厚みは、それぞれ、0.86~8.00mmである、請求項22に記載の化粧板の施工方法。
【請求項24】
前記(A)の工程において、前記少なくとも一対の化粧板のうちの一方の化粧板を、一段分の段差を有し、上平面部と下平面部と側壁部とが形成された、平面視矩形状の材料を用いて、所望のサイズにカットする、請求項22又は23に記載の化粧板の施工方法。
【請求項25】
前記両面粘着テープは、全体厚みが0.03~10mmであり、JIS Z 0237に基づく90°ピーリング剥離試験で、粘着強度が23℃で3~30N/20mm、又は粘着強度が0℃で1~20N/20mmである、請求項22~24のいずれか1項に記載の化粧板の施工方法。
【請求項26】
前記離間された箇所が、平面、出隅又は入隅である、請求項22~25のいずれか1項に記載の化粧板の施工方法。
【請求項27】
前記離間された箇所には、目地底テープ、ジョイナー及びコーキング剤のうち一つ以上が設けられている、請求項22~26のいずれか1項に記載の化粧板の施工方法。
【請求項28】
前記下地が、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、合板、又はモルタルである、請求項22~27のいずれか1項に記載の化粧板の施工方法。
【請求項29】
前記下地をプライマーにより処理を施す工程をさらに含む、請求項22~28のいずれか1項に記載の化粧板の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2020年3月10日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2020-040431号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2020-040431号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は化粧板の取り付け構造及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、メラミン化粧板等の熱硬化性樹脂化粧板が知られている。熱硬化性樹脂化粧板は、内装材として、天板、カウンター等の水平面、壁面等の垂直面に幅広く使用されている。熱硬化性樹脂化粧板は、施工する際に釘、ビス等で下地に固定することが困難であった。このため、接着剤を用いて熱硬化性樹脂化粧板を下地に施工していた。かかる施工構造として、出願人は特許文献1に両面粘着テープと弾性接着剤とを併用した化粧板の取り付け構造を開示している。
また、化粧板は寸法変化が大きく、隣り合う化粧板同士を突き合わせて取り付けると、化粧板の突き合わせ部で化粧板に剥がれが生じることがあった。このため、特許文献2に示すように、目透かし施工(gapping construction)で化粧板間に目地を形成し、目地に塩化ビニル樹脂製のジョイナーを充填することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第1955425号明細書
【文献】特開平10-61144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の取り付け構造によれば、両面粘着テープの粘着力が弱く、化粧板を下地に仮固定しようとしても化粧板の自重でズリ落ちてくる、といった問題があった。温度が低い時期、特に冬季に、両面粘着テープの粘着力は弱くなる傾向があった。
また、化粧板は寸法変化が大きく、化粧板に反りが発生した際に両面粘着テープの粘着力が弱い場合は、化粧板を下地に固定することができない、といった問題があった。
【0006】
また、施工作業においては、化粧板のサイズが小さい場合は一人で作業できるが、サイズが大きくなると精度よく施工するには手間及び時間がかかり、更に二人以上で施工する必要が生じるという問題があった。また、サイズの大きい化粧板をカットする際は、カット後の化粧板のサイズの精度が悪くなり、カット面を直線状に仕上げることが困難であった。その結果、目透かし施工(gapping construction)により形成された目地部が直線状にならないといった問題が生じていた。
【0007】
本開示はかような状況に鑑み検討されたものであり、容易に化粧板を下地へ施工することができ、綺麗な仕上がりになる、化粧板の取り付け構造及び施工方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、化粧板の取り付け構造であって、下地に取り付けられた少なくとも一対の化粧板を備える。
前記少なくとも一対の化粧板は、それぞれ、当該化粧板の裏面の外周部に貼着された両面粘着テープと、外周部よりも内側の内側部に貼着されて区画を形成する両面粘着テープと、を有する。前記裏面における前記外周部の両面粘着テープの外側に弾性接着剤が塗布される。また、前記内側部の両面粘着テープにより形成された前記区画内にも弾性接着剤が塗布される。
前記少なくとも一対の化粧板は、互いに離間された状態で各前記裏面において前記下地に止着されている。
前記両面粘着テープは、全体厚みが0.03~10mmであり、JIS Z 0237に基づく90°ピーリング剥離試験で、粘着強度が23℃で3~30N/20mm、又は粘着強度が0℃で1~20N/20mmである。また、本開示は、上記化粧板の取り付け構造を得るための、化粧板の下地への施工方法である。本方法は、下記(A)~(D)の工程を含む。
(A)少なくとも一対の化粧板のうちの一方の化粧板を、一段分の段差を有し、上平面部と下平面部と側壁部とが形成された、平面視矩形状の材料を用いて、所望のサイズにカットする工程と、
(B)前記(A)の工程で得られた前記一方の化粧板の裏面の外周部に両面粘着テープを貼着するとともに、前記外周部よりも内側の内側部に両面粘着テープを貼着して区画を形成し、前記裏面における前記外周部の両面粘着テープの外側に弾性接着剤を塗布し、前記内側部の両面粘着テープにより形成された前記区画内にも弾性接着剤を塗布する工程と、
(C)前記(B)の工程で得られた前記一方の化粧板について、表面を吸盤機で吸着し、裏面を下地に押圧することで、前記一方の化粧板を前記下地に止着する工程と、
(D)前記少なくとも一対の化粧板のうちの他方の化粧板について前記(A)、(B)及び(C)の工程と同様に処理して、前記一方の化粧板との間を離間させた状態で、前記他方の化粧板を前記下地に止着させる工程。
【発明の効果】
【0009】
本開示の化粧板の取り付け構造によれば、下地への化粧板の仮固定が十分である。このため、弾性接着剤が硬化するまでに化粧板が自重でズリ落ちてくるといった問題が生じにくい。
また、化粧板の寸法変化が大きく、化粧板に反りが発生した際であっても、弾性接着剤が化粧板の寸法変化を吸収する。このため、化粧板の反りを抑え、化粧板を下地に固定することができる。
本開示の化粧板の施工方法によれば、化粧板のカットの際に、サイズの精度が向上する。その結果、カット面を直線状に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】裏面に両面粘着テープが貼着され、弾性接着剤が塗布された、4区画を有する化粧板の平面図である。
図2図1の要部拡大平面図である。
図3】裏面に両面粘着テープが貼着され、弾性接着剤が塗布された、6区画を有する化粧板の平面図である。
図4】本開示の化粧板の取り付け構造の断面図である。
図5】目地部を平目地ジョイナー(Flat type jointer)で仕上げた、化粧板の取り付け構造の断面図である。
図6図5中の平目地ジョイナーの断面図である。
図7】目地部にコーキング剤を充填して仕上げた、化粧板の取り付け構造の断面図である。
図8】目地部に目地底テープを接着して仕上げた、化粧板の取り付け構造の断面図である。
図9図8中の点線で囲まれた部分を示す要部拡大断面図である。
図10】矢じり形の出隅ジョイナー(Jointer of arrow head type for external corner)を用いた、出隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。
図11A】L字形の出隅ジョイナー(Jointer of L-letter type for external corner)を用いた、出隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。
図11B図11A中のZ方向から見た透視正面図である。
図12】嵌合型の入隅ジョイナー(Jointer of fit type for internal corner)を用いて仕上げた化粧板の取り付け構造の断面図である。
図13】L字形の入隅ジョイナー(Jointer of L-letter type for internal corner)を用いた、入隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。
図14】本開示に関する段差材の平面図である。
図15】本開示に関する段差材の斜視図である。
図16】本開示の(A)の工程を説明するための説明図である。
図17】本開示の(A)の工程を説明するための説明図である。
図18】本開示の(B)の工程を説明するための、化粧板の平面図である。
図19図18の要部拡大平面図である。
図20】本開示の(C)の工程で用いるガラス吸盤機の斜視図である。
図21】ガラス吸盤機を用いて作業する様子を示す説明図である。
図22図5の要部拡大断面図である。
図23図10の要部拡大断面図である。
図24図12の要部拡大断面図である。
図25図13の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、所望のサイズにカットされた化粧板(9)の平面図である。化粧板の裏面には、両面粘着テープが貼着され、弾性接着剤が塗布されている。図2は、図1の要部拡大図である。化粧板の裏面には、裏面の外縁から1~300mm、より好ましくは25~35mm内側の位置の外周部に、外側の両面粘着テープ(2)が貼着されている。また、外側の両面粘着テープ(2)よりも内側の内側部に、内側の両面粘着テープ(2)が貼着されている。内側の両面粘着テープにより内側部が仕切られて、複数の区画(4区画)が形成されている。
【0012】
また、化粧板の裏面には、幅1~300mm、より好ましくは10~20mmの余白(3)が形成されている。余白は、化粧板の外縁から1~300mm、より好ましくは10~20mm内側であって、外縁と外側の両面粘着テープ(2)との間に位置する。余白(3)には弾性接着剤(1)が直線状に塗布されている。内側の両面粘着テープ(2)により仕切られた前記複数の区画の各前記区画内にも、同じ弾性接着剤が蛇行線状に塗布されている。両面粘着テープ及び弾性接着剤を併用することで、化粧板が下地から剥がれにくくなる。
【0013】
両面粘着テープは、弾性接着剤が硬化するまで化粧板を下地に仮止めする。両面粘着テープとしては、支持体の両面に粘着剤層を設け、片面の粘着剤層の上に離型シートを貼着して巻回されたタイプや、支持体を使用せず単層の粘着剤層からなるタイプを用いることができる。
【0014】
支持体としては、例えば、紙、不織布、金属箔や、天然繊維、合成繊維等を用いて形成された織布、ポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、アセテート等を用いて形成された樹脂フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)、OPP(オリエンテッドポリプロピレン)等のポリオレフィンプラスチックフィルム、フラットヤーン、プラスチック発泡体等が挙げられる。さらに、支持体の厚みを0.001mm~8.00mm、好ましくは0.004mm~3.80mmとすることで、化粧板を施工する際に、支持体を剥離することなく、両面粘着テープの全体厚みを向上させることができる。これにより、後述の弾性接着剤の接着面積を確保できるため望ましい。
【0015】
粘着剤層は、粘着剤を有するとよい。粘着剤を構成する粘着性成分としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ブチルゴム、エポキシ系樹脂が挙げられる。特に、取り扱いやすく、粘着性、耐熱性及び耐水性に優れること、並びにコストの観点から、アクリル系樹脂が好ましい。片面の粘着剤層の厚みを0.001mm~3.00mm、より好ましくは0.013mm~0.10mmとすることで、化粧板を施工する際に、粘着剤層が剥離することなく、粘着剤層の粘着強度に優れるため望ましい。さらに、両面粘着テープの全体厚みは0.03~10mmであることが好ましく、0.1~4mmであることがより好ましい。厚みがこの範囲であることにより、粘着剤のはみ出しがなく、後述の弾性接着剤の接着面積を確保できる。なお、両面粘着テープの全体厚みとは、支持体の厚みと粘着剤層の厚みとの総計をいい、離型シートの厚みは含まれない。
【0016】
特に、両面粘着テープは、JIS Z 0237に基づく90°ピーリング剥離試験で、粘着強度が23℃で3~30N/20mm、より好ましくは5~14N/20mmであることが望ましい。あるいは、粘着強度が低温環境下(0℃)において1~20N/20mm、より好ましくは5~13N/20mmであることが望ましい。
また、両面粘着テープが、23℃又は0℃で上記の粘着強度の範囲であることにより、23℃、0℃の各温度環境において、接着剤の初期硬化までの化粧板自重(約5.6kg/m)を支えるために十分な強度を有する。これにより、作業温度の影響による施工後の化粧板のズレ又は反り剥がれ等の不具合を防ぐことができる。両面粘着テープが23℃で上記の粘着強度であることで、常温環境で施工作業をする際に、化粧板を下地に確実に仮固定することができる。両面粘着テープが0℃で上記の粘着強度であることで、冷間時の施工作業の際に、化粧板を下地に確実に仮固定できる。さらに、両面粘着テープは、上記粘着強度が、23℃で3~30N/20mmであり、かつ、低温環境下(0℃)において1~20N/20mmであることが望ましい。この場合には、常温環境及び冷間環境の双方において化粧板を下地に確実に仮固定することができる。
【0017】
本開示において、両面粘着テープの粘着剤層の支持体は、ポリエチレン系発泡樹脂又はPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いて形成されたフィルムであることが好ましい。また、アクリル系樹脂又はブチルゴムを有する粘着剤を粘着剤層として用いることが好ましい。
【0018】
本開示において、化粧板の裏面の外周部、及び外周部よりも内側の内側部に形成された区画内には、弾性接着剤が塗布される。
弾性接着剤とは、硬化後にゴム状弾性を有する接着剤のことをいう。弾性接着剤としては、例えば、変成シリコーン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリサルファイド変性エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)系、酢酸ビニル樹脂系等が挙げられる。耐水性、耐久性及び接着性に優れる上、湿気や乾燥により寸法伸縮を起こしやすい化粧板の寸法伸縮に追従できるため、変成シリコーン樹脂系が好ましい。弾性接着剤は、湿気硬化型の弾性接着剤であってもよい。
【0019】
変成シリコーン樹脂系弾性接着剤としては、例えば、湿気硬化型の無溶剤一液型変成シリコーン樹脂系弾性接着剤、溶剤型変成シリコーン樹脂系弾性接着剤がある。湿気硬化型の無溶剤一液型変成シリコーン樹脂系弾性接着剤は、空気中の湿気と反応して硬化する。特に湿気硬化型の無溶剤一液型変成シリコーン樹脂系弾性接着剤が、溶剤型変成シリコーン樹脂系弾性接着剤に比べて厚く塗布することができ、環境面からも好ましい。
【0020】
上記弾性接着剤は両面粘着テープよりも厚くなるように塗布されることが好ましい。具体的には、弾性接着剤の塗布厚さは、1mm以上5mm以下が好ましい。塗布厚さがこの範囲であることにより十分な接着効果や追従性が得られる。このようにすることで、化粧板が下地に圧着された時、両面粘着テープにより化粧板が引っ張られ、弾性接着剤と化粧板とがしっかりと密着する。また、両面粘着テープは弾性接着剤の堰となる。化粧板の外周部に塗布される弾性接着剤は、化粧板の施工後の安定的な施工面形成のため、直線状に塗布される。
弾性接着剤の粘着強度は、具体的には、建研式接着力試験器(オックスジャッキ株式会社製(OX JACK CO.,LTD.))を用いた、40mm×40mmの大きさの鉄等の金属製治具に対する引張り強度が0.1~0.9kN、より好ましくは0.2~0.73kNであることが望ましい。この範囲の引張り強度であることにより十分な接着効果や追従性が得られる。
【0021】
図1では、内側の両面粘着テープにより形成された区画は4区画である。しかしながら、区画の数に特に制約はない。区画は化粧板のサイズに応じて、6区画、8区画、9区画など適宜調整される。図3は、6区画に等分した化粧板の平面図である。弾性接着剤は、図1と同様に、化粧板の外周部では直線状に、内側部の区画内では蛇行線状に塗布される。
【0022】
図4は、2枚の化粧板(9,9)を目透かし施工して下地(21)に止着した、化粧板の取り付け構造の断面図である。目透かし施工では、2枚の化粧板(9,9)の間に目地(4)が形成されており、目地(4)が隙間を有している。目透かし施工で生じる目地(4)はジョイナー、コーキング剤、又は目地底テープを用いて仕上げ、隙間の見栄えを良くする。
例えば、図5に示すように下地が平面の場合には、平目地ジョイナー(5a)を用いて隙間に埃がたまらないものとすることができる。2枚の化粧板(9,9)は、平目地ジョイナーを介して互いに接合され、互いに離間した状態で下地(21)に止着されている。平目地ジョイナーを用いることにより、化粧板が多少伸縮した場合、及び/又は、各化粧板の端部が直線状でない場合でも、外観上何ら支障がなく都合が良い。
図6は、平目地ジョイナー(5a)の断面図である。
【0023】
図7は、目地(4)にコーキング剤(6)を適用した、化粧板の取り付け構造の断面図である。2枚の化粧板(9,9)が下地(21)に止着され、目地(4)にはコーキング剤(6)が充填されている。コーキング剤としては、化粧板の寸法変化に追従しやすく、耐水性に優れるシリコーン樹脂系コーキング剤が特に推奨される。
【0024】
図8は、目地(4)に目地底テープ(7)を適用した、化粧板の取り付け構造の断面図である。図9は、図8の要部断面図である。2枚の化粧板(9,9)が下地(21)に止着され、目地(4)には目地底テープ(7)が接着されており、下地(21)が露見しないようにされている。目地底テープ(7)として厚みの薄い化粧テープ、特に裏面に粘着剤層を有する化粧テープを用いることで、取り付け作業が簡単になる。
【0025】
以上では、同一平面上で複数の化粧板を下地に施工した、本開示の化粧板の取り付け構造について述べた。本開示の化粧板の取り付け構造は、平面状に延びる外面又は内面を有する構造に対して化粧板が施工される単一の平面への適用に限定されない。本開示の化粧板の取り付け構造は、出隅及び/又は入隅に施工する際にも有効に適用できる。出隅とは、当該構造における化粧板が施工される外面の角部、すなわち外面の延長線上で交差する部分である。入隅とは、内面の角部である。
【0026】
例えば、図10は、矢じり形の出隅ジョイナー(5b)を用いた、出隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。図11Aは、L字形の出隅ジョイナー(5c)を用いた、出隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。図12は、嵌合型入隅ジョイナー(5d)を用いた、入隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。図13は、L字形の入隅ジョイナー(5e)を用いた、入隅での化粧板の取り付け構造の断面図である。ジョイナーは、これらの形状に限定されるわけではなく、化粧板の取り付け箇所に応じて適宜、形状及び色調を選択できる。ジョイナーの材質は、例えば、アルミニウム又は樹脂が挙げられる。
【0027】
次に、本開示の化粧板の取り付け構造を得るための施工方法について述べると、下記(A)~(D)の工程を含むことにより得ることができる。
(A)少なくとも一対の化粧板のうちの第1の化粧板を、一段分の段差を有し、上平面部と下平面部と側壁部とが形成された、平面視矩形状の材料を用いて、所望のサイズにカットする工程と、
(B)前記(A)の工程で得られた前記第1の化粧板の裏面に両面粘着テープを貼着し、前記第1の化粧板の裏面における複数の区画内に弾性接着剤を塗布する工程と、
(C)前記(B)の工程で得られた前記第1の化粧板について、表面を吸盤機で吸着し、裏面を下地に押圧することで、前記第1の化粧板を前記下地に止着する工程と、
(D)前記少なくとも一対の化粧板のうちの第2の化粧板について前記(A)、(B)及び(C)の工程と同様に処理して、前記第1の化粧板との間を離間させた状態で、前記第2の化粧板を前記下地に止着させる工程。
【0028】
図14は、一段分の段差を有し、長手方向に上平面部(15c)と下平面部(15d)と側壁部(15e)とが形成された、平面視矩形状の材料(以下、段差材という)(15)の平面図である。段差材(15)は平面図において上下方向に連続する。図15は段差材(15)の斜視図である。段差材が段差を有するのは、段差で生じた側壁部(15e)に後述の電動丸鋸(16)のブレードガイド(16a)を当接させるためである。段差材の段差は、化粧板(9)をカットして直線精度を高めるために重要な役割を果たす。段差材(15)は、幅の異なる第一の板状体(15a)と第二の板状体(15b)とを接合することにより得られる。接合する際に、第一の板状体(15a)の一方の端面と第二の板状体(15b)の一方の端面とを互いに面一とすることにより、図16に示すように段差材を片方の手で支えやすくなる。段差材の材質は、例えば、プラスチック積層板、合板等が挙げられる。しかしながら、段差剤の材質に特に制約はなく、第一の板状体と第二の板状体との接合手段も特に制約はない。第一の板状体及び第二の板状体は、いずれも幅300~450mm、厚み3~12mm程度であるとよい。第一の板状体及び第二の板状体の長さは、カットする化粧板のサイズと同等以上の長さであることが好ましい。
【0029】
(A)の工程で、少なくとも一対の化粧板のうち第一の化粧板を所望のサイズにカットする。化粧板を所望のサイズにカットする際は、図16に示すように下平面部(15d)に電動丸鋸(16)を載置し、側壁部(15e)に電動丸鋸のブレードガイド(16a)を当接させる。そして、段差材(15)の外側にブレード(16b)が飛び出すようにして、上平面部(15c)を片方の手で押さえながら、もう片方の手で電動丸鋸を側壁部(15e)に沿って摺動させることにより、化粧板をカットする。この際、下平面部(15d)の幅(w)は、電動丸鋸(16)のブレードガイド(16a)におけるブレード(16b)と対向する端面からブレード(16b)までの距離(L)と同一であることが望ましい。(A)の工程により、素早く、サイズの精度が良い所望の第一の化粧板が得られる。さらに、カット面が直線状に仕上がり、後述の目透かし施工及びジョイナー納まりに都合の良いものとなる。
【0030】
(B)の工程を示す図18及び図19は、それぞれ前述の図1及び図2と同一である。化粧板の裏面の外周部に弾性接着剤(1)を塗布する際には、直線状に塗布することが好ましい。また、化粧板の裏面の内側部における両面粘着テープにより区画化された箇所(区画内)に弾性接着剤(1)が塗布される。この際には、接着剤を塗布する方法として、例えば、ダンゴ貼りと称される等間隔で点として接着剤を塗布する点状塗布(dot coating)、先端が櫛形の金属板を用いて塗布するいわゆる櫛引き(scratching)、カートリッジに入っている接着剤を押し出して図19に示すように蛇行線状(snaking line)に塗布する方法等が採用できる。中でも蛇行線状に塗布するのが好ましい。蛇行線状に塗布することにより、化粧板の接着面積を多く稼ぐことができ、粘着強度を化粧面全体に発揮できる。また、効率的かつ素早く接着剤を塗布できる。
【0031】
次に、(C)の工程について説明する。(B)の工程で両面粘着テープ(2)が貼着され、弾性接着剤(1)が塗布された化粧板は、吸盤機で図21に示すように吸着される。吸盤機は、例えば、図20に示すガラス吸盤機である。化粧板は、両面粘着テープで下地に仮止めされた後、下地に押圧される。吸盤機は、化粧板を吸着することができるものであればよく、例えば、ガラス吸盤機が好ましい。ガラス吸盤機は、ガラス板を施工するときに用いる吸盤機であり、化粧板の施工に用いるのにも適している。ガラス吸盤機の吸着可能な最大荷重は5~600kg、より好ましくは30~350kgが望ましい。吸着可能な最大荷重がこの範囲であることにより、化粧板を吸着する吸着機の吸着力を保持しつつ、化粧板表面を傷つけることなく施工できる。また、吸盤を使用することで、化粧板の取り付け位置の精度の良い施工が可能となる。
なお、図20ではガラス吸盤機(17)の吸盤は2個であるが、吸盤の個数は2個に限定されない。取り付ける化粧板のサイズ及び重量に応じて、適切な吸盤個数を有するガラス吸盤機を選択する。
【0032】
次に(D)の工程で、一対の化粧板のうち第二の化粧板も第一の化粧板と同様に下地に押圧する。第二の化粧板を、第一の化粧板と離間して下地に施工(目透かし施工(gapping construction))する。一対の化粧板を互いに離間する理由は、目地の幅に誤差が生じても、隙間があることにより後述の仕上げ方法で誤差を隠す又は目立たなくすることができるためである。これに対して、一対の化粧板を離間しないで施工(突き合わせ施工(butting construction))すると、化粧板の寸法伸縮により継ぎ目にクラックを生じやすくなる、化粧板間に隙間ができて見栄えが良くなくなる、環境による化粧板の伸びが原因で継ぎ目が突き上げられて下地から化粧板が落下する、施工に熟練度を要する上に時間を要する、といった理由から、突き合わせ施工は好ましくない。一対の化粧板の間には2~4mmの隙間を空けることが好ましい。
【0033】
一対の化粧板の間を離間してできた隙間を有する目地にジョイナーを下地上に適用する際は、ジョイナーを化粧板の端部に差し込んでから行っても、事前にジョイナーを敷設しておいてもよい。また、目透かし施工の際に、より均一な目地幅にするために、目地となる箇所には幅が3~5mm程度の板状体をスペーサー冶具として敷いておき、当該板状体を目地幅の精度の補助として使用することが好ましい。一対の化粧板が離間している(目透かし)の場合、目地の幅は3mm以上にする。一対の化粧板をジョイナーを用いて仕上げる場合は、例えば図22に示すように、各化粧板(9)の端面とジョイナーとの間に隙間(30)を設けて化粧板(9)の伸縮に対応できるようにする事が望ましい。この場合、隙間の幅(t)は1.0~3.5mm、より好ましくは1.5mm~3.0mmである。各化粧板とジョイナーとの間に隙間がないと、化粧板が温度や湿度の影響により伸びた場合、化粧板においてジョイナー方向に応力が加わるものの逃げ場のない応力は反発して内面方向に加わり、化粧板が「隆起」して破損することがある。
【0034】
化粧板が施工される下地は、例えば、無機質系基材、木質系基材又は有機質系基材であることが好ましい。無機質系基材としては、例えば、金属板、タイル、セメント板、火山性ガラス質複層板、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、酸化マグネシウム板、石膏ボード等が挙げられる。木質系基材としては、例えば、合板、インシュレーションボード、MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)、ハードボード、パーチィクルボード、配向性ストランドボード等が挙げられる。有機質系基材としては、例えば、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等のプラスチック板が挙げられる。具体的には、例えば、フェノール樹脂板、ポリカーボネート板、アクリル樹脂板、硬質塩化ビニル板、軟質塩化ビニル板、ポリプロピレン樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂板等が挙げられる。
【0035】
特に、下地と両面粘着テープ又は弾性接着剤との密着が悪い場合に、プライマーを用いて下地に処理を施しても良い。プライマーとして、例えば、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン系、ブチルゴム系、エポキシ系のプライマーが挙げられる。本開示では、下地がケイ酸カルシウム板、合板又はモルタルである場合には、弾性接着剤の強度を向上させる目的で、ポリウレタン樹脂系プライマー又はアクリル樹脂プライマーを(A)の工程の前に用いている。
【0036】
下地に施工される化粧板としては、化粧層及びコア層を含む熱硬化性樹脂化粧板が、耐摩耗性、強度及び耐熱性に優れることから好適である。熱硬化性樹脂化粧板のコア層としては、熱硬化性樹脂含浸クラフト紙を用いることができる。また、コア層は、繊維質基材と有機バインダー成分と無機充填材とを含むプリプレグで構成されていてもよい。無機繊維質基材にバインダー成分と無機充填材とを含むスラリーが含浸され、乾燥されて形成されたプリプレグは、化粧板を不燃性にするため、好ましい。
【0037】
不燃性の化粧板のプリプレグに用いる無機繊維質基材としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維及びセラミック繊維等の無機繊維を用いて形成された不織布及び織布等が挙げられる。無機繊維質基材の坪量は、10~200g/mの範囲が好適である。特に、耐熱性及び耐炎性に優れるガラス繊維不織布を用いるのが好ましい。
【0038】
スラリーに含まれるバインダー成分は、有機樹脂成分を有する。有機樹脂成分としては、例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン等の熱可塑性樹脂エマルジョン、又はこれらの混合樹脂が挙げられる。
【0039】
無機充填材としては、吸熱性金属水酸化物、及び/又は吸熱性金属水酸化物以外の無機物質を用いることが好ましい。
【0040】
吸熱性金属水酸化物は、結晶水を含む。吸熱性金属水酸化物は、高温時に分解し、吸熱し、結合水を放出するため、化粧板の不燃性を向上させる。吸熱性金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。吸熱性金属水酸化物の平均粒子径は、例えば、1~50μmの範囲内とすることができる。この平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径である。吸熱性金属水酸化物の平均粒子径が上記の範囲内であることにより、スラリー中での吸熱性金属水酸化物の分散性が向上し、スラリーの繊維質基材への含浸性が向上する。
【0041】
吸熱性金属水酸化物以外の無機物質としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、シリカ、タルク、フライアッシュ等が挙げられる。無機物質の平均粒子径(レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径)は、例えば、0.05~20μmの範囲内とすることができる。この場合、スラリーの無機繊維質基材への含浸性が一層向上する。
【0042】
特に、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)を選択することが好ましい。この場合、化粧板の製造工程における作業性及び切削性が一層向上する。炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)等を用いることができる。炭酸カルシウムの平均粒子径は、例えば、0.05~10μm、より好ましくは1~5μmとすることができる。炭酸カルシウムの平均粒子径を0.05μm以上とすることにより、スラリー中で炭酸カルシウムの凝集が生じにくくなり、スラリーの繊維質基材への含浸性が向上する。さらに、炭酸カルシウムの平均粒子径を10μm以下とすることにより、化粧板の表面が一層平滑となり、化粧板の外観が向上する。
【0043】
無機繊維質基材へのスラリーの含浸率(%)は、数式1で示される算出方法で、700~1200%の範囲内であることが好ましい。数式1において、「含浸後重量」とは、無機繊維質基材にスラリーを含浸、乾燥させた後の無機繊維質基材の重量である。「含浸前重量」とは、スラリーを含浸、乾燥させる前の重量、すなわち無機繊維質基材の重量である。スラリーの含浸率が1200%以下であることにより、プリプレグからのスラリー固形分の脱落が減少して、プリプレグを取り扱い易くなる。スラリーの含浸率が700%以上であることにより、プリプレグの層間剥離が生じにくくなる。
【0044】
【数1】
【0045】
スラリー中の有機樹脂成分と、吸熱性金属水酸化物及び/又は吸熱性金属水酸化物以外の無機物質を含む無機充填材との配合比は、固形分重量比で1:1~25、より好ましくは1:5~20とするのが望ましい。有機樹脂成分と無機充填材との配合比がこの範囲内であることにより、化粧層とプリプレグとの間、及び/又は、プリプレグ間の密着性を高めることができ、さらに、化粧板の不燃性能を向上させることができる。
【0046】
プリプレグ1枚に含まれる有機樹脂成分は30~100g/mが好ましく、また、コア層に含まれる有機樹脂成分は40~500g/mが好ましい。有機樹脂成分がこの範囲であることにより、プリプレグを用いた化粧板が不燃性に優れたものとなり、さらに、化粧層とプリプレグとの間、及び/又は、プリプレグ間における密着性が良好なものとなる。
【0047】
吸熱性金属水酸化物以外の無機物質又は吸熱性金属水酸化物の一方が単独で用いられてもよく、あるいは、吸熱性金属水酸化物以外の無機物質と吸熱性金属水酸化物とが併用されてもよい。併用する場合、吸熱性金属水酸化物以外の無機物質1重量部に対して、吸熱性金属水酸化物の配合比は、好ましくは0.2~20重量部であり、より好ましくは0.5~15重量部である。吸熱性金属水酸化物の配合比がこれらの範囲内である場合、平滑で良好な化粧板の表面外観が得られるため、好ましい。また、吸熱性金属水酸化物の配合比が0.2重量部以上であることにより、化粧板の不燃性能に優れる。また、吸熱性金属水酸化物の配合比が20重量部以下であることにより、スラリー中の吸熱性金属水酸化物が沈降しにくくなり、その結果、スラリーの含浸量のコントロールが容易になる。また、吸熱性金属水酸化物の配合比が20重量部以下であることにより、化粧板の切削に用いる刃物の摩耗を抑制できる。
【0048】
前述の無機充填材については、吸熱性金属水酸化物以外の無機物質及び/又は吸熱性金属水酸化物を含む、平均粒子径の異なる3種類の無機充填材を用いることが特に好ましい。
【0049】
平均粒子径の異なる3種類の無機充填材は、小粒径の無機充填材、中粒径の無機充填材、及び大粒径の無機充填材を有する。小粒径の無機充填材は0.04μm以上4μm未満である。中粒径の無機充填材は4μm以上12μm未満である。大粒径の無機充填材は12μm以上50μm未満である。これらの3種類の無機充填材は、同一の物質であってもよく、異なる物質であってもよい。スラリー中における小粒径の無機充填材、中粒径の無機充填材、大粒径の無機充填材の配合比は、好ましくは1:0.1~20:0.1~20であり、より好ましくは1:0.1~10:0.1~10である。この場合には、平滑性及び不燃性ともに優れた化粧板が得られる。
【0050】
平滑性に優れる理由は次のように考えられる。当該無機充填材は、不織布上で均一に分散し、あるいは不織布の繊維間まで入り込んでいると考えられる。詳しく述べると、不織布は、短い繊維が1本毎に分散され、バインダー成分や熱溶融により又は機械的に絡み合った、繊維の集合体である。不織布は、通常の化粧板のコア紙として用いられるクラフト紙に比べて多孔質であり、疎の部分、いわゆる空隙がある。この空隙は一定の大きさではない。この空隙に前述の平均粒子径の異なる無機充填材を充填することにより、不織布において様々な大きさで形成された空隙に平均粒子径の異なる無機充填材が侵入する。その結果、無機充填材が不織布上で均一に分散し、不織布の繊維間まで入り込む。とりわけ熱可塑性樹脂エマルジョンは、スラリー中に含まれる熱硬化性樹脂に比べて軟化しやすいことから、不織布のフリース形成工程でバインダー成分として熱可塑性樹脂エマルジョンを用いると、絡み合った繊維の結束を弱める。このため、熱圧成形といった圧縮により無機充填材が不織布の空隙に侵入しやすくなり、無機充填剤が空隙に密に集まって充填される。その結果、仕上がった化粧板の平滑性が向上すると考えられる。
【0051】
3種類の無機充填材を混合した際のレーザー回折・散乱式粒度分布測定法による無機充填材の体積累積粒径Dv(10)、Dv(50)及びDv(90)は、好ましくは0.5μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは0.78μm以上36.9μm以下である。3種類の無機充填材を含む無機充填材の体積累積粒径がこの範囲であれば、無機充填材のスラリー中での分散性が良く、不織布の空隙部分への充填が密になり、化粧板の平滑性が向上する。
【0052】
さらに、3種類の無機充填材を混合した際のレーザー回折・散乱式粒度分布測定法による比表面積は、好ましくは800~4000m/kgであり、より好ましくは900~3500m/kgである。混合した無機充填材の比表面積がこの範囲であると、無機充填材がスラリー中の熱硬化性バインダーを吸着しやすく、バインダーがフローする際にバインダーを吸着した無機充填材が不織布の空隙に浸入し、プリプレグ同士の密着性の向上に寄与する。以上述べたように、用いる不織布の厚み及び密度に応じて、適切な粒子径の無機充填材を選択することにより、従前のものよりも平滑性に優れ、十分な密着性を有する化粧板となる。
【0053】
3種類の無機充填材を用いる場合、小粒径の無機充填材として炭酸カルシウムを用いることが特に好ましい。炭酸カルシウムはスラリー中で凝集しにくいため、繊維質基材へのスラリーの含浸性が向上し、化粧板の表面が一層平滑となり、化粧板の外観が向上する。さらに、炭酸カルシウムは安価であることからも好ましい。
【0054】
化粧板の厚みは、好ましくは0.50mm~8.00mmであり、より好ましくは0.86~3.40mmである。化粧板がこのような範囲の厚みである場合、化粧板の反りが抑制され、ハンドリングが好ましく、施工性に優れる。
【0055】
[実施例1]
一対の化粧板を準備した。一対の化粧板のうちの一方の化粧板は第一の化粧板であり、他方の化粧板は第二の化粧板である。一対の化粧板はともに、メラミン化粧板である。メラミン化粧板は、メラミン樹脂含浸紙を用いて形成された化粧層と、フェノール樹脂含浸紙を用いて形成されたコア層と、を有する。以下、メラミン化粧板の製造方法を説明する。
メラミン化粧板の作製
メラミン樹脂含浸化粧紙の製造
木目柄の化粧紙にメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を数式1で示す含浸率が130%となるように含浸させた後、乾燥させて、メラミン樹脂含浸化粧紙を得た。
フェノール樹脂含浸紙の製造
坪量187g/mのクラフト紙にフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を数式1で示す含浸率が50%となるように含浸させた後、乾燥させて、フェノール樹脂含浸コア紙を得た。
メラミン化粧板の製造
下から順に、フェノール樹脂含浸コア紙を5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙を1枚積層し、熱圧成形してメラミン化粧板を得た。
第一の板状体及び第二の板状体として、合板を用いた。第一の板状体としての合板は、幅300mm、長さ1000mm、厚み6mmであった。第二の板状体としての合板は、幅450mm、長さ1000mm、厚み6mmであった。図14及び図15に示すように、これらの合板をゴム系接着剤で第一の板状体の一方の端部と第二の板状体の一方の端部とが面一になるように接着して、第一の板状体と第二の板状体との間に一段分の段差を有し、長手方向に上平面部(15c)と下平面部(15d)と側壁部(15e)とが形成された段差材(15)を得た。このとき、図17に示す下平面部(15d)の幅(w)は150mmであり、当該幅は第二の板状体の幅(450mm)から第一の板状体の幅(300mm)を差し引いて算出された。
電動丸鋸(16)のブレート(16b)と対向する端面からブレード(16b)までの距離(L)も150mmであった。
一対の化粧板のうちの一方の化粧板である第一の化粧板を、段差材と電動丸鋸を用いて、前述した手順にて、幅935mm、長さ1855mmの大きさにカットした。
カット後の第一の化粧板の裏面の外周部、具体的には図1に示すように外縁より30mm内側に、外側の両面粘着テープ(2)を貼着した。第一の化粧板の裏面において、外側の両面粘着テープ(2)よりも内側の内側部に、等分に分割された4区画を形成するように内側の両面粘着テープ(2)を貼着した。外側の両面粘着テープ(2)及び内側の両面粘着テープ(2)は、ともに、全体厚みが1mmのアクリル系両面粘着テープAであった。アクリル系両面粘着テープAは、厚み0.80mm、幅20mmのポリエチレン系発泡樹脂体を支持体として有しており、アクリル系両面粘着テープAの各面における粘着剤層の厚みが0.10mmであった。
次いで、第一の化粧板の裏面において、外縁より15mm内側に、弾性接着剤(1)を厚みが3mmとなるように直線状に塗布し、さらに上記区画内に、同じ弾性接着剤(1)を厚みが3mmとなるように蛇行線状に塗布して、下地への施工用の第一の化粧板を得た。弾性接着剤として、カートリッジに内蔵された、湿気硬化型の無溶剤一液型変成シリコーン樹脂弾性接着剤を用いた。
次いで、施工用の第一の化粧板を、吸着可能な最大荷重が60kgのガラス吸盤機を用いて表面側から吸着し、第一の化粧板の裏面側を石膏ボードを用いて形成された下地に圧着した。
次いで、一対の化粧板のうちの他方の化粧板である第二の化粧板について、第一の化粧板と同様に、得られたメラミン化粧板のカット、両面粘着テープの貼着及び弾性接着剤の塗布を行い、下地への施工用の第二の化粧板を得た。施工用の第二の化粧板について、第一の化粧板から離間して下地に止着する目透かし施工を行った。図5に示すように、離間した第一の化粧板(9)と第二の化粧板(9)との間の目地(4)には、アルミニウム製の長尺状の平目地ジョイナー(5a)を設けた。図6に示すように、平目地ジョイナー(5a)は、平板状の底片(5a1)、平板状のカバー片(5a2)、及び、底片(5a1)とカバー片(5a2)とをそれぞれの中間部で連結する連結部(5a3)を有する。底片(5a1)は、下地(21)と第一の化粧板(9)との間及び下地(21)と第二の化粧板(9)との間に挿入されている。連結部(5a3)は、目地(4)に挿入されている。カバー片(5a2)は、目地(4)を塞いでいる。図22に示す連結部(5a3)と各化粧板(9)の端面との間の隙間(30)の幅(t)は1.5mmである。
【0056】
[実施例2]
アクリル系両面粘着テープAの代わりにアクリル系両面粘着テープBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして一対の化粧板を製造した。アクリル系両面粘着テープBは、全体厚みが0.1mmであった。アクリル系両面粘着テープBは、厚み0.02mmのPETフィルムを支持体として有しており、アクリル系両面粘着テープBの各面における粘着剤層の厚みが0.04mmであった。
【0057】
[実施例3]
アクリル系両面粘着テープAの代わりにアクリル系両面粘着テープCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして一対の化粧板を製造した。アクリル系両面粘着テープCは、全体厚みが4mmであった。アクリル系両面粘着テープCは、厚み3.80mmのポリエチレン系発泡樹脂体を支持体として有しており、アクリル系両面粘着テープCの各面における粘着剤層の厚みが0.10mmであった。
【0058】
[実施例4]
メラミン樹脂含浸化粧紙の製造
木目柄の化粧紙にメラミン-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液を数式1で示す含浸率が130%となるように含浸させた後、乾燥させて、メラミン樹脂含浸化粧紙を得た。
【0059】
プリプレグの製造
坪量75g/mのガラス繊維不織布(バインダー成分:熱可塑性樹脂エマルジョン、厚み0.585mm、密度0.130g/cm)に、数式1に示すスラリーの含浸率が1200%となるようにスラリーを含浸させ、乾燥させて、プリプレグを得た。スラリーには、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を4.5重量部、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を3.5重量部、小粒径の無機充填材として平均粒子径1.4μmの炭酸カルシウムを16.5重量部、中粒径の無機充填材として平均粒子径8μmの水酸化アルミニウムを37.5重量部、大粒径の無機充填材として平均粒子径20μmの水酸化アルミニウムを37.5重量部配合した。なお、小粒径の無機充填材の平均粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定した。中粒径の無機充填材及び大粒径の無機充填材の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いて測定した。
【0060】
不燃化粧板の製造
下から順に、木目柄のメラミン樹脂含浸化粧紙を1枚、プリプレグを5枚、木目柄のメラミン樹脂含浸化粧紙を1枚積層し、熱圧成形して、不燃化粧板を得た。
メラミン化粧板の代わりに不燃化粧板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一対の化粧板を製造した。
【0061】
[実施例5]
メラミン化粧板の代わりに不燃化粧板を用いたこと以外は、実施例2と同様にして一対の化粧板を製造した。
【0062】
[実施例6]
メラミン化粧板の代わりに不燃化粧板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして一対の化粧板を製造した。
【0063】
[実施例7]
平目地ジョイナー(5a)の代わりに、図7に示すように目地(4)にシリコーン系のコーキング剤(6)を充填したこと以外は、実施例4と同様にして一対の化粧板を仕上げた。
【0064】
[実施例8]
平目地ジョイナー(5a)の代わりに、図8及び図9に示すように目地(4)の底部に目地よりも幾分大きい目地底テープ(7)を貼着した以外は、実施例4と同様にして一対の化粧板を仕上げた。目地底テープ(7)は、厚みが0.3mmの粘着剤付き化粧シートである。粘着剤付き化粧シートは、片面に粘着剤層を有する化粧板であって、当該化粧板は、樹脂含浸化粧紙を用いて形成された化粧層と樹脂含浸繊維基材を用いて形成されたコア層とを積層して形成されている。
【0065】
[実施例9]
実施例9は、図10に示すように、下地(21)の出隅部(A)に化粧板(9,9)を取り付けている点で、実施例4と相違する。
実施例9において、一対の化粧板(9,9)は、実施例4と同様の不燃化粧板を用いた。一対の化粧板(9,9)のうち一方の化粧板である第一の化粧板(9)は、下地(21)の出隅部(A)の第一の面に貼り付けた。一対の化粧板(9,9)のうち他方の化粧板である第二の化粧板(9)は、下地(21)の出隅部(A)の第一の面と交差する第二の面に貼り付けた。一対の化粧板(9,9)の間は出隅部(A)において互いに離間させて、目地(4)を形成した。目地(4)には、アルミニウム製の出隅ジョイナー(5b)が設けられた。出隅ジョイナー(5b)は、L字状の底片(5b1)と、L字状のカバー片(5b2)と、底片(5b1)とカバー片(5b2)とを連結する連結部(5b3)とを有する。底片(5b1)は、下地(21)と一対の化粧板(9,9)のそれぞれとの間の隙間に挿入されている。連結部(5b)は目地(4)に挿入されている。カバー片(5b2)は、目地(4)を塞いでいる。図23図10の要部拡大断面図である。一対の化粧板(9,9)の各端面と矢じり形の出隅ジョイナー(5b)の連結部(5b3)との至近距離の隙間(31)の幅(t1)は1.5mmである。
【0066】
[実施例10]
実施例10は、図11Aに示すように、一対の化粧板(9,9)の間を出隅部(A)において離間させ、両者の間に、アルミニウム製の出隅ジョイナー(5c)及びシリコーン系のコーキング剤(6)を充填した点で、実施例9と相違する。出隅ジョイナー(5c)は、基材としてのアルミニウム材(5c2)と、アルミニウム材(5c2)の表面に接着されたメラミン樹脂含浸樹脂化粧板(5c1)とを有する。出隅ジョイナー(5c)と一対の化粧板(9,9)との間には、シリコーン系のコーキング剤(6)が充填されている。
図11Bは、図11A中のZ方向から見た透視正面図である。出隅ジョイナー(5c)の接着のために、下地(21)の出隅部(A)には、弾性接着剤とアクリル系両面粘着テープAとが交互に設けられている。出隅ジョイナー(5c)を接着するための弾性接着剤は、湿気硬化型の無溶剤一液型変成シリコーン樹脂弾性接着剤である。
【0067】
[実施例11]
実施例11は、図12に示すように、下地(21)の入隅部(B)に一対の化粧板(9,9)を取り付けた例である。一対の化粧板(9,9)の間の目地(4)には、樹脂製の入隅ジョイナー(5d)が設けられている。入隅ジョイナー(5d)は、カバー部材(5d1)と基部材(5d2)とを備える。基部材(5d2)は、底片(5d3)と嵌合部(5d4)とを有する。嵌合部(5d4)は、カバー部材(5d1)の中央から突出する被嵌合部(5d5)と嵌合されている。一対の化粧板(9,9)は、底片(5d3)の両端において底片(5d3)に係止され、カバー部材(5d1)の両端においてカバー部材(5d1)に係止されている。図24図12の要部拡大断面図である。一対の化粧板(9,9)の各端面と底片(5d3)の屈曲部との隙間(32,32’)の幅(t2,t2’)は、それぞれ2.5mm、1.5mmである。
【0068】
[実施例12]
実施例12は、図13に示すように、一対の化粧板(9,9)の間の目地(4)に入隅ジョイナー(5e)を設けている点で、実施例11と相違する。
一対の化粧板(9,9)のうち一方の化粧板である第一の化粧板(9)を下地(21)の入隅部(B)に当接させ、一対の化粧板のうち他方の化粧板である第二の化粧板の端面を、第一の化粧板の内側表面の外縁から離間させて目地(4)を形成させつつ、第一の化粧板(9)の外縁と第二の化粧板(9)の端面とを互いに対向させている。
不燃化粧板である化粧板(9)の裏面を実施例4と同様に処理した。そして、実施例4と同様にガラス吸盤機を用いて化粧板(9)の表面側から吸着した。その後、図13に示すように、アルミニウム製の入隅ジョイナー(5e)及び一対の化粧板(9,9)を、入隅部(B)に取り付ける入隅処理施工を行った。
図25図13の要部拡大断面図である。第二の化粧板(9)の端面と入隅ジョイナー(5e)との隙間(33)の幅(t3)は1.5mmである。
【0069】
[実施例13]
幅935mm、長さ2455mmである下地への施工用の不燃化粧板を用いて、6区画に分割したこと以外は、実施例4と同様にして一対の化粧板を製造した。
【0070】
[実施例14]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.4μmの炭酸カルシウムを16.5重量部、平均粒子径8μmの炭酸カルシウムを37.5重量部、平均粒子径17μmの炭酸カルシウムを37.5重量部配合したスラリーを用いたこと、及び、アクリル系両面粘着テープAの代わりに全体厚み1mmのブチルゴム系粘着剤を用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。ブチルゴム系粘着剤は、厚みが0.80mmのポリエチレン系発泡樹脂体を支持体として有し、ブチルゴム系粘着剤の各面における粘着剤層の厚みが0.10mmであった。
【0071】
[実施例15]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウムを16.5重量部、平均粒子径8μmの水酸化アルミニウムを37.5重量部、平均粒子径20μmの水酸化アルミニウムを37.5重量部配合したスラリーを用いたこと、及び、下地として石膏ボードの代わりに厚み9mmのケイ酸カルシウム板を用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0072】
[実施例16]
プリプレグのバインダー成分について、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を0重量部、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を8重量部としたこと、下地として石膏ボードの代わりに厚み9mmのケイ酸カルシウム板を用いたこと、及び、ケイ酸カルシウム板の表面にアクリル系プライマーを塗布量が固形分で10g/mとなるようにロールコーターで塗布したこと以外は、実施例14と同様にして化粧板を製造した。
【0073】
[実施例17]
プリプレグのバインダー成分について、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を8重量部、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を0重量部としたこと、下地として石膏ボードの代わりに厚み9mmのケイ酸カルシウム板を用いたこと、及び、ケイ酸カルシウム板の表面にポリウレタン系プライマーを塗布量が固形分で10g/mとなるようにロールコーターで塗布したこと以外は、実施例14と同様にして化粧板を製造した。
【0074】
[実施例18]
プリプレグのバインダー成分について、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を0重量部、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を8重量部としたこと、下地として厚み9mmのケイ酸カルシウム板の代わりに厚み9mmの合板を用いたこと、及び、合板の表面にアクリル系プライマーを塗布量が固形分で10g/mとなるように塗布したこと以外は、実施例15と同様にして化粧板を製造した。
【0075】
[実施例19]
プリプレグのバインダー成分について、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を8重量部、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を0重量部としたこと、下地として厚み9mmのケイ酸カルシウム板の代わりに厚み9mmのモルタルを用いたこと、及び、モルタルの表面にアクリル系プライマーを塗布量が固形分で10g/mとなるように塗布したこと以外は、実施例15と同様にして化粧板を製造した。
【0076】
[実施例20]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.4μmの炭酸カルシウムを16.5重量部、平均粒子径8μmの炭酸カルシウムを37.5重量部、平均粒子径17μmの炭酸カルシウムを37.5重量部配合したスラリーを用いたこと、及び、変成シリコーン樹脂弾性接着剤の代わりにゴム系接着剤を用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0077】
[実施例21]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウムを16.5重量部、平均粒子径8μmの水酸化アルミニウムを37.5重量部、平均粒子径20μmの水酸化アルミニウムを37.5重量部配合したスラリーを用いたこと、及び、変成シリコーン樹脂弾性接着剤の代わりにウレタン系接着剤を用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0078】
[実施例22]
プリプレグのバインダー成分について、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を0重量部、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を8重量部としたこと、及び、変成シリコーン樹脂弾性接着剤の代わりにエポキシ系接着剤を用いたこと以外は、実施例14と同様にして化粧板を製造した。
【0079】
[実施例23]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウムを6.5重量部、平均粒子径8μmの水酸化アルミニウムを42.5重量部、平均粒子径20μmの水酸化アルミニウムを42.5重量部配合したスラリーを用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0080】
[実施例24]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウムを51.5重量部、平均粒子径8μmの水酸化アルミニウムを20重量部、平均粒子径20μmの水酸化アルミニウムを20重量部配合したスラリーを用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0081】
[実施例25]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.4μmの炭酸カルシウムを6.5重量部、平均粒子径8μmの炭酸カルシウムを42.5重量部、平均粒子径17μmの炭酸カルシウムを42.5重量部配合したスラリーを用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0082】
[実施例26]
プリプレグの無機充填材として、平均粒子径1.4μmの炭酸カルシウムを51.5重量部、平均粒子径8μmの炭酸カルシウムを20重量部、平均粒子径17μmの炭酸カルシウムを20重量部配合したスラリーを用いたこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。
【0083】
比較例1
アクリル系両面粘着テープAの代わりにアクリル系両面粘着テープAを用いた以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。アクリル系両面粘着テープAは、全体厚みが0.02mmであり、厚みが0.004mmのPETフィルムを支持体として有しており、アクリル系両面粘着テープAの各面における粘着剤層の厚みが0.008mmである。アクリル系両面粘着テープAが弾性接着材よりも薄く、弾性接着剤がはみ出した。その結果、化粧板の周囲が汚れた。また、弾性接着剤を厚く塗布することができず、その結果、化粧板を下地に貼り付けた際に、化粧板における弾性接着剤が塗布されている部分のみ浮きあがって見え、化粧板の外観が悪くなった。また、粘着強度を保つことができず、養生中に化粧板がズレた。
【0084】
比較例2
アクリル系両面粘着テープAの代わりにアクリル系両面粘着テープAを用いた以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。アクリル系両面粘着テープAは、全体厚みが20mmであり、厚みが11.80mmのポリエチレン系発泡樹脂体を支持体として有しており、アクリル系両面粘着テープAの各面における粘着剤層の厚みが0.10mmである。アクリル系両面粘着テープAが弾性接着剤よりも厚く、弾性接着剤の接着面積が少なくなった。その結果、粘着強度を保つことができず、養生中に化粧板がズレた。
【0085】
比較例3
アクリル系両面粘着テープAの代わりにアクリル系両面粘着テープXを用いた以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。アクリル系両面粘着テープXは、表3-2に示す粘着強度を有し、全体厚みが0.03mmであり、厚みが0.004mmのPETフィルムを支持体として有する。アクリル系両面粘着テープXの各面における粘着剤層の厚みは0.013mmである。アクリル系両面粘着テープXの粘着強度が弱く、養生中に化粧板がズレるので、化粧板の端部の所々においてガムテープで化粧板を下地に固定した。
【0086】
比較例4
アクリル系両面粘着テープAの代わりにアクリル系両面粘着テープXを用いた以外は、実施例4と同様にして化粧板を製造した。アクリル系両面粘着テープXは、表3-2に示す粘着強度を有し、全体厚みが0.2mmであり、厚みが0.12mmのPETフィルムを支持体として有する。アクリル系両面粘着テープXの各面における粘着剤層の厚みは0.04mmである。アクリル系両面粘着テープXの23℃及び0℃での粘着強度が強いため、化粧板を下地に接着する際に化粧板をずらすことが出来ず、化粧板の位置合わせが困難であった。
【0087】
下地及び化粧板の構成を表1に示す。
【表1】
【0088】
施工方法を表2に示す。
【表2】
【0089】
評価結果を表3-1~表3-3に示す。
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】
【0090】
実施例4~実施例26のスラリーの配合比を表4-1~表4-3に示す。
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】
【0091】
不燃化粧板の評価結果を表5に示す。
【表5】
【0092】
3種類の無機充填材を混合した際の無機充填材の体積累積粒径を表6に示す。
【表6】
【0093】
上記の実施例及び比較例の化粧板の施工評価方法は以下の通りとした。
(1)外観
施工後の化粧板の表面を目視にて観察し、平滑であった場合を良、粘着剤及び/又は弾性接着剤に起因する軽微な凹凸が確認された場合を不良と評価した。
【0094】
(2)施工性
化粧板の施工時に弾性接着剤が化粧板の端部よりはみ出さなかった場合を良、はみ出した場合を不良と評価した。また、化粧板と下地の接着時に位置合わせが可能であった場合を良、位置合わせが困難であった場合を不良と評価した。
施工後1日後に化粧板のズレ又は反り剥がれ等の不具合が生じなかった場合を良、粘着強度が保てず、化粧板にズレが発生した場合を不良と評価した。
【0095】
(3)90°剥離試験
JIS Z 0237に基づいて剥離試験を実施した。一方の面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせた粘着テープを20mm(幅)×150mm(長さ)に切断した。その後、粘着テープを下地及び化粧板に貼り合わせて2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、0℃又は23℃で3時間放置した。その後、23℃、50%RH(relative humidity)の環境下で、引張速度300mm/minで90°方向に粘着テープを引っ張ることで、90°剥離試験力を測定した。なお、同様の測定を3回行い、3回の測定結果の平均を90°剥離試験力とした。
【0096】
(4)建研式引張り試験(弾性接着剤の粘着強度測定)
化粧板から、40mm×40mmの大きさの断片を切り出した。下地の上に、弾性接着剤を塗布高さ4mmとなるようビート状に塗布した。断片と下地の間のスペーサーを1mmの高さに設定し、断片と下地とを接着して(接着剤層の厚みは1mm)、温度23℃、相対湿度50%で3日養生した。以上の工程により生じたものを試験体とする。試験体のうち、化粧板の表面を、40mm×40mmの治具に、接着剤(シアノアクリレート)を用いて貼り合わせた。温度23℃、相対湿度50%で試験体を1日養生した。その後、建研式接着力試験器(オックスジャッキ株式会社製)を用いて、試験体に対し、断片と下地とが離れる方向の力を加え、引張り強度を測定した。なお、同様の測定を3回行い、3回の測定結果の平均を引張り強度とした。
【0097】
(5)不燃性試験(10分)
ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターを用いた10分の発熱性試験を行った。不燃性の評価方法は以下である。総発熱量が8MJ/m以下であり、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えておらず、試験後の試験体において裏面まで貫通する割れ及び/又はひびがない場合を良と評価した。この3条件を一つでも満たさない場合を不良と評価した。
(6)不燃性試験(20分)
ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターを用いた20分の発熱性試験を行った。不燃性の評価方法は以下である。総発熱量が8MJ/m以下であり、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えておらず、試験後の試験体において裏面まで貫通する割れ及び/又はひびがない場合を良と評価した。この3条件を一つでも満たさない場合を不良と評価した。
【0098】
(7)体積累積粒径
3種類の(B)無機充填材を各実施例及び各比較例での配合比で混合したときの無機充填材の体積累積粒径を、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd.製、型番:マスターサイザー3000)を用いて測定した。
上記の測定結果によれば、本開示の化粧板の取り付け構造(実施例1~26)は、比較例の構造に比べて、下地への施工後の化粧板の外観がよかった。さらに、本開示の取り付け構造は、施工時及び施工後の弾性接着剤のはみ出しがなかった。また、23℃又は0℃における剥離試験において優れた密着性を示し、化粧板の引張り強度も高かった。
表3-2に示すように、実施例14は、化粧板と粘着テープとの密着性が特に高かった。これはブチルゴム系粘着剤を用いたためであると考えられる。
実施例16~18は、下地と両面粘着テープとの密着性が特に高かった。これは下地にプライマーにより処理を施したためであると考えられる。
一方、比較例1及び3は、施工後の化粧板の外観がよくなく、また、施工時に接着剤がはみ出し、施工後に化粧板のズレが生じた。
(その他)
1.化粧板の取り付け構造であって、
互いに離間した状態で下地に止着された少なくとも一対の化粧板を有し、
前記少なくとも一対の化粧板の各化粧板は、それぞれ、
前記下地に対向する前記化粧板の裏面において外縁よりも内側に貼着された外側の両面粘着テープと、
前記裏面において前記外側の両面粘着テープよりも内側に貼着された内側の両面粘着テープと、
前記裏面における前記外縁と前記外側の両面粘着テープとの間に塗布された弾性接着剤と、
前記裏面における前記外側の両面粘着テープよりも内側であって前記内側の両面粘着テープの貼着されていない部分に塗布された弾性接着剤と、
を有する、化粧板の取り付け構造。
前記外側の両面粘着テープは、前記各化粧板の裏面の外縁に沿って貼着されていることが好ましい。
前記内側の両面粘着テープは、前記各化粧板の裏面において前記外側の両面粘着テープよりも内側の部分を略等間隔の区画に区切るように貼着されていることが好ましい。
2.化粧板の施工方法であって、
(a)少なくとも一対の化粧板の各化粧板の上に、所定の切断方向に延びる側壁部を有する段差材を配置し、前記側壁部に鋸のブレードガイドを当接させながら、前記鋸を前記所定の切断方向に移動させることにより、前記各化粧板を前記鋸のブレードで施工用のサイズにカットする工程と、
(b)前記(a)の工程の後、前記各化粧板の裏面において外縁よりも内側に外側の両面粘着テープを貼着するとともに、前記外側の両面粘着テープよりも内側に内側の両面粘着テープを貼着する工程と、
(c)前記(b)の工程の後、前記各化粧板の裏面において、前記外縁と前記外側の両面粘着テープとの間、及び、前記外側の両面粘着テープよりも内側であって前記内側の両面粘着テープの貼着されていない部分に、弾性接着剤を塗布する工程と、
(d)前記(c)の工程の後、前記少なくとも一対の化粧板を互いに離間した状態で前記下地に止着する工程と、
を有する化粧板の施工方法。
(d)の工程において、前記少なくとも一対の化粧板の各化粧板を、吸盤機を用いて前記下地に対して押圧することが好ましい。
【符号の説明】
【0099】
1…弾性接着剤、2…両面粘着テープ、3…余白、4…目地、5a…平目地ジョイナー、5b…矢じり形の出隅ジョイナー(「出隅ジョイナー」とも称する)、5c…L字形の出隅ジョイナー(「出隅ジョイナー」とも称する)、5c1…化粧板、5c…アルミニウム材、5d…嵌合型入隅ジョイナー(「入隅ジョイナー」とも称する)、5d1…カバー部材(雄型嵌合部材)、5d2…基部材(雌型嵌合部材)、5e…L字形の入隅ジョイナー(「入隅ジョイナー」とも称する)、6…コーキング剤、7…目地底テープ、9…化粧板、11…両面粘着テープが貼着され弾性接着剤が塗布された化粧板、12…両面粘着テープが貼着され弾性接着剤が塗布された化粧板、15…段差材、15a…第一の板状体、15b…第二の板状体、15c…上平面部、15d…下平面部、15e…側壁部、16…電動丸鋸、16a…電動丸鋸のブレードガイド、16b…電動丸鋸のブレード、17…ガラス吸盤機、21…下地、L…ブレードに対向する端面とブレードとの距離、w…下平面部の幅、30…隙間、31…隙間、32…隙間、32’…隙間、t…隙間の幅、t1…隙間の幅、t2…隙間の幅、t2’…隙間の幅、t3…隙間の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25