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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】物品搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20230621BHJP
   B67C 7/00 20060101ALI20230621BHJP
   B65G 47/80 20060101ALN20230621BHJP
【FI】
B65G47/52 A
B67C7/00
B65G47/80 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019127681
(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2021011379
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】太田 正人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 和仁
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-180114(JP,A)
【文献】特開平10-45249(JP,A)
【文献】特開平11-236122(JP,A)
【文献】特開2016-158635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B67C 7/00
B65G 47/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユニット内に設けられて物品を搬送する第1搬送コンベヤと、第2ユニット内に設けられて物品を搬送する第2搬送コンベヤとを備え、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置するとともに、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムにおいて、
上記第1ユニット内で第1搬送コンベヤの末端部に第1ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第1搬送コンベヤから第1ターンテーブルへ案内されるようになっており、また上記第2ユニット内で第2コンベヤの先端部に第2ターンテーブルと第3ターンテーブルとが設けられ、物品はガイドにより第2ターンテーブルおよび第3ターンテーブルを介して第2搬送コンベヤに案内されるようになっており、
上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、上記第1ターンテーブルと第2ターンテーブルとは相互に隣接して配置され、かつ上記ガイドは、第1ターンテーブルから第2ターンテーブルへ物品の受け渡しを案内することを特徴とする物品搬送システム。
【請求項2】
第1ユニット内に設けられて物品を搬送する第1搬送コンベヤと、第2ユニット内に設けられて物品を搬送する第2搬送コンベヤとを備え、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置するとともに、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムにおいて、
上記第1ユニット内で第1搬送コンベヤの末端部に第1ターンテーブルと第2ターンテーブルとが設けられ、物品はガイドにより第1搬送コンベヤから第1ターンテーブルおよび第2ターンテーブルへ案内されるようになっており、また上記第2ユニット内で第2搬送コンベヤの先端部に第3ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第3ターンテーブルから第2コンベヤに案内されるようになっており、
上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、上記第2ターンテーブルと第3ターンテーブルとは相互に隣接して配置され、かつ上記ガイドは、第2ターンテーブルから第3ターンテーブルへ物品の受け渡しを案内することを特徴とする物品搬送システム。
【請求項3】
上記第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとは、上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、相互に一直線上となるように各ユニット内に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の物品搬送システム。
【請求項4】
第1ユニット内に設けられて物品を搬送する第1搬送コンベヤと、第2ユニット内に設けられて物品を搬送する第2搬送コンベヤとを備え、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置するとともに、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムにおいて、
上記第1ユニット内で第1搬送コンベヤの末端部に第1ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第1搬送コンベヤから第1ターンテーブルへ案内されるようになっており、また上記第2ユニット内で第2コンベヤの先端部に第3ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第3ターンテーブルを介して第2搬送コンベヤに案内されるようになっており、
上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、上記第1ターンテーブルと第3ターンテーブルとは相互に隣接して配置され、かつ上記ガイドは、第1ターンテーブルから第3ターンテーブルへ物品の受け渡しを案内することを特徴とする物品搬送システム。
【請求項5】
上記ターンテーブルは、搬送コンベヤの長手方向に位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の物品搬送システム。
【請求項6】
上記ターンテーブルは、該ターンテーブルを駆動する駆動軸に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の物品搬送システム。
【請求項7】
上記各ユニット内に無菌室がそれぞれ形成されて、上記搬送コンベヤおよびターンテーブルは各無菌室内に設けられており、各無菌室は各ユニットを設置した際に相互に無菌状態を保って連通されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の物品搬送システム。
【請求項8】
上記無菌室と無菌室との間に、各無菌室のそれぞれを別個に密封可能な開閉手段を設けたことを特徴とする請求項7に記載の物品搬送システム。
【請求項9】
上記各無菌室内に、物品内へ充填液を充填して打栓する充填・打栓機、物品を凍結乾燥庫へ給排する移載機、物品をキャッピングする巻締機、または物品を洗浄する洗浄装置のいずれかが設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品を搬送する物品搬送システムに関し、より詳しくは、第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば凍結乾燥製剤製造システムにおいては、複数の無菌室(アイソレータ)を相互に連結して設け、各無菌室内に、容器やシリンジなどの物品内への充填液の充填機や、物品を凍結乾燥庫へ給排する物品給排装置、あるいは物品をキャッピングするキャッパなどを設けている(特許文献1)。各無菌室はそれぞれユニットとして構成することができ、その場合には各ユニット内に物品を搬送するための搬送コンベヤが設けられることになる。
より具体的には、上流側の第1ユニット内に物品を搬送する第1搬送コンベヤを設けるとともに、下流側の第2ユニット内に物品を搬送する第2搬送コンベヤを設け、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置した際に、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すことができるようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-158635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置した際に、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すことができるようにするためには、第1搬送コンベヤの末端部と第2搬送コンベヤの先端部とが隣接して配置され、円滑に第1搬送コンベヤの末端部から第2搬送コンベヤの先端部へ物品が受け渡される必要がある。
しかしながら、例えば無端状ゴムベルトからなる搬送コンベヤの先端部と末端部は、それぞれ鉛直面内の上方から下方に向けて半円弧状に折り返されるので、搬送コンベヤの上面となる搬送面における先端部と末端部との間には所要の間隙が生じることになり、特に各ユニットの製造誤差を小さくすることが困難なことから、上記間隙を小さく維持することは困難であった。また、仮に上記間隙を小さく維持することができたとしても、物品が小さなバイアルなどの場合には、安定した確実な受け渡しが困難となっていた。
本発明はそのような事情に鑑み、第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへより確実に物品を受け渡すことができる物品搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、第1ユニット内に設けられて物品を搬送する第1搬送コンベヤと、第2ユニット内に設けられて物品を搬送する第2搬送コンベヤとを備え、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置するとともに、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムにおいて、
上記第1ユニット内で第1搬送コンベヤの末端部に第1ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第1搬送コンベヤから第1ターンテーブルへ案内されるようになっており、また上記第2ユニット内で第2コンベヤの先端部に第2ターンテーブルと第3ターンテーブルとが設けられ、物品はガイドにより第2ターンテーブルおよび第3ターンテーブルを介して第2搬送コンベヤに案内されるようになっており、
上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、上記第1ターンテーブルと第2ターンテーブルとは相互に隣接して配置され、かつ上記ガイドは、第1ターンテーブルから第2ターンテーブルへ物品の受け渡しを案内することを特徴とするものである。
請求項2の発明は、第1ユニット内に設けられて物品を搬送する第1搬送コンベヤと、第2ユニット内に設けられて物品を搬送する第2搬送コンベヤとを備え、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置するとともに、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムにおいて、
上記第1ユニット内で第1搬送コンベヤの末端部に第1ターンテーブルと第2ターンテーブルとが設けられ、物品はガイドにより第1搬送コンベヤから第1ターンテーブルおよび第2ターンテーブルへ案内されるようになっており、また上記第2ユニット内で第2搬送コンベヤの先端部に第3ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第3ターンテーブルから第2コンベヤに案内されるようになっており、
上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、上記第2ターンテーブルと第3ターンテーブルとは相互に隣接して配置され、かつ上記ガイドは、第2ターンテーブルから第3ターンテーブルへ物品の受け渡しを案内することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、第1ユニット内に設けられて物品を搬送する第1搬送コンベヤと、第2ユニット内に設けられて物品を搬送する第2搬送コンベヤとを備え、上記第1ユニットと第2ユニットとを隣接させて設置するとともに、上記第1搬送コンベヤから第2搬送コンベヤへ物品を受け渡すようにした物品搬送システムにおいて、
上記第1ユニット内で第1搬送コンベヤの末端部に第1ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第1搬送コンベヤから第1ターンテーブルへ案内されるようになっており、また上記第2ユニット内で第2コンベヤの先端部に第3ターンテーブルが設けられ、物品はガイドにより第3ターンテーブルを介して第2搬送コンベヤに案内されるようになっており、
上記第1ユニットと第2ユニットとを設置した際に、上記第1ターンテーブルと第3ターンテーブルとは相互に隣接して配置され、かつ上記ガイドは、第1ターンテーブルから第3ターンテーブルへ物品の受け渡しを案内することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、物品は搬送コンベヤとターンテーブルとの間、並びにターンテーブルとターンテーブルとの間の受け渡しになるため、従来の搬送コンベヤの末端部と先端部との間の受け渡しに比較してより確実に物品を受け渡すことが可能となる。
すなわち、搬送コンベヤとターンテーブルとの間の物品の受け渡しにしても、ターンテーブルとターンテーブルとの間の物品の受け渡しにしても、従来の搬送コンベヤの搬送面における先端部と末端部との間のように所要の間隙が生じることが無いので、その分物品の受け渡しを確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例における凍結乾燥製剤製造システム1の平面図
図2図1の要部の拡大平面図
図3図1のIII-III線に沿う断面図
図4】本発明の他の実施例を示す図2と同様な拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、凍結乾燥製剤製造システム1は、物品としてのバイアル2(図3参照)への薬品を充填する処理と、当該薬品を凍結乾燥する処理と、バイアル2を密閉する処理とを行うものとなっている。
上記凍結乾燥製剤製造システム1は薬品処理工場に設けられた設備設置室3に設置され、該凍結乾燥製剤製造システム1は、その処理順序に従って、空のバイアル2を供給する供給機M1と、上記バイアル2に薬品を充填するとともに当該バイアル2にゴム栓を打栓する充填・打栓機M2と、上記薬品の充填されたバイアル2を凍結乾燥する凍結乾燥機4と、当該凍結乾燥機4との間でバイアル2の搬出入を行うバイアル移載機M3と、バイアル2にアルミキャップを装着する巻締機M4と、バイアル2の外面を洗浄する洗浄機M5とを備えており、これらは図示しない制御装置によって一括制御することが可能となっている。
上記設備設置室3は仕切り壁3aによって2つの作業室3A、3Bに区画されており、上記凍結乾燥製剤製造システム1のうち凍結乾燥機4は作業室3B内に設置されているが、それ以外のものは作業室3A内に設置されている。
【0009】
上記供給機M1、充填・打栓機M2、バイアル移載機M3、巻締機M4、洗浄機M5は、それぞれ処理装置を構成しており、これらは図示左右方向に直列に設けられている。上記処理装置M1~M5には、それぞれバイアル2を搬送する搬送手段としての搬送コンベヤC1~C5が設けられており、各処理装置Mで処理されたバイアル2は、上記搬送コンベヤC1~C5によって下流側に隣接する処理装置Mへと順次受け渡されながら処理が行われるようになっている。さらに搬送コンベヤC5の図示右方端には、搬出コンベヤ6が設けられている。
上記バイアル2への薬品の充填を無菌環境下で行うため、各処理装置Mは内部が無菌状態に維持された無菌室R1~R5内にそれぞれ設けられており、また搬送コンベヤC1~C5も無菌室R1~R5内に設けられている。そして無菌室R1~R5内に設けられた各処理装置M1~M5の保守点検などを行うために、各無菌室R1~R5のそれぞれに隣接させてクリーンルームCR1~CR5が設けられている。
【0010】
上記各無菌室R1~R5と各クリーンルームCR1~CR5とは、それぞれ略直方体状のユニットU1~U5内に設けられており、各無菌室R1~R5内に上述した各処理装置M1~M5と搬送コンベヤC1~C5とがそれぞれ設けられている。
各ユニットU1~U5と凍結乾燥庫4とは上記薬品処理工場の設備設置室3とは別の製造工場において製造され、凍結乾燥庫4は上記設備設置室3の作業室3A内に搬入されて設置され、また各ユニットU1~U5は作業室3B内に搬入されて設置されるようになっている。そして各ユニットU1~U5が作業室3B内の所定位置に設置された際には、図2に示すように、各ユニットU1~U5は適宜の連結手段10によって相互に連結されるようになっている。
また上記供給機M1を収容した無菌室R1の右端部と、充填・打栓機M2を収容した無菌室R2の左端部には、図2に示すようにそれぞれ小さな開口部11が形成されており、各開口部11はその周囲に設けたシール部材12によって相互に無菌状態を保った状態で連通接続されている。同様に、他の無菌室R3~R5の間も相互に連通され、それによって各無菌室R1~R5は無菌状態を保って相互に連通されるようになる。
さらに各ユニットU1~U5内の各クリーンルームCR1~CR5は、図示しないシール手段により隣接するクリーンルーム間で他に対して気密を保って相互に接続され、各クリーンルームCR1~CR5内を作業者が行き来することができるようになっている。
【0011】
なお図1に示すように、上記供給機M1を収容した無菌室R1における図示左方側の端部は閉鎖されており、また搬送コンベヤC1も供給機M1の図示左方端まで形成されていない。
また上記バイアル移載機M3を収容した無菌室R3は、図1の図示上方側の背面が上記凍結乾燥機4と気密を保った状態で接続されるようになっており、無菌室R3の内部に設けられたバイアル移載機M3が無菌状態下で搬送コンベヤC3と凍結乾燥機4との間でバイアル2の搬出入を行うことができるようになっている。
さらに洗浄機M5を収容した無菌室R5の図示右方側の端部に形成された開口部は、後に詳述するように図示しない開閉手段により開閉可能となっている。
【0012】
次に、上記各ユニットU1~U5について説明すると、例えば図3に示すように、充填・打栓機M2を収容するユニットU2は、その上部に上部空間A1が区画形成され、その下部には2つの下部空間が区画形成されている。そして一方の下部空間は作業者が立ち入り可能なクリーンルームCR2として形成され、他方の下部空間は機械室A2として形成されている。また上記機械室A2内はさらに複数の部屋に区画形成され、複数の部屋の一つがアイソレータを構成する上記無菌室R2として区画形成され、他の部屋は配管用スペースとして用いられている。そして上記無菌室R2には、前述したように充填・打栓機M2と搬送コンベヤC2とが設けられている。
上記上部空間A1内には、上記無菌室R2内に無菌エアを供給する無菌エア供給手段18と無菌室R2内のエアを排出するエア排出手段19とが設けられ、無菌エア供給手段18は上記無菌室R2の上方の機械室A2内およびHEPAフィルタ20を介して無菌室R2の天面に接続されて、無菌エアを無菌室R2の上方空間に供給することができるようになっている。
他方、上記エア排出手段19は無菌室R2の側方の機械室A2内およびHEPAフィルタ21を介して無菌室R2の下部に接続されて、無菌室R2の下部から無菌エアをHEPAフィルタ21を介して無菌室R2の外部に排出できるようになっている。
さらに、上記上部空間A1にはクリーンルーム用給気ダクト25が設けられ、該給気ダクト25はフィルタ26を介してCR2に接続されている。
【0013】
上記無菌室R2はクリーンルームCR2に隣接して配置されており、当該無菌室R2の正面に設けられた透明なアクリル板がCR2に面するように設けられている。また当該アクリル板には図示しないグローブが設けられている。
このような構成により、上記CR2に立ち入った作業者は上記アクリル板を介して無菌室R2内での処理を観察することができ、また必要に応じて上記グローブを用いて無菌室R2内での作業を行うことが可能となっている。
さらに図示しないが、上記上部空間A1には上記無菌室R2を滅菌する際に使用する図示しない滅菌手段が設けられている。
【0014】
上記説明はユニットU2についてのものであるが、他のユニットU1、U3~U5についても同様に構成してあり、上述したように各ユニットU1~U5が作業室B内の所定位置に設置された際には、各ユニットU1~U5は適宜の連結手段10によって相互に連結されるようになる。そしてその際には、無菌室R1~R5、クリーンルームCR1~CR5はそれぞれ気密を保って相互に接続され、また上部空間A1に設けられた図示しない滅菌手段や機械室A2内に設けられた排水配管等も、必要に応じて各ユニットU1~U5間で相互に接続されるようになる。
そして特に本実施例では、各ユニットU1~U5内に設けた搬送コンベヤC1~C5は、各ユニットU1~U5を相互に連結した際に一直線上に位置するように配置してあり、さらに排出コンベヤ6も各搬送コンベヤC1~C5と一直線上に位置するように配置してある。
そして図示実施例では、上記供給機M1の搬送コンベヤC1の右端部に1つの第1ターンテーブルT1を設けるとともに、充填・打栓機M2の搬送コンベヤC2の左端部に2つの第2ターンテーブルT2と第3ターンテーブルT3とを設けてあり、これによって搬送コンベヤC1によって搬送されてきたバイアル2を、バイアルを案内するガイド13により第1搬送コンベヤC1から第1ターンテーブルT1へ案内するとともに、第2ターンテーブルT2および第3ターンテーブルT3を介して搬送コンベヤC2に案内することができるようになっている。
【0015】
その他の搬送コンベヤC2~C5についてもその右端部に1つの第1ターンテーブルT1が設けられており、また搬送コンベヤC3~C5および排出コンベヤ6の左端部に2つの第2ターンテーブルT2と第3ターンテーブルT3とが設けられて、上述したのと同様に、上流側のコンベヤから下流側のコンベヤへガイド13を介してバイアル2を受け渡すことができるようになっている。
なお、上記排出コンベヤ6の左端部に設けた2つの第2ターンテーブルT2と第3ターンテーブルT3とは、両者が一体的に排出コンベヤ6の搬送方向に移動可能に設けられており、無菌室R1~R5を殺菌する際には両ターンテーブルT2、T3を第1ターンテーブルT1から離隔する方向に移動させてユニットU5との間にスペースを形成し、その状態で図示しないシャッタなどの開閉手段により開口部11を閉鎖することができるようにしてある。
より具体的には、第2ターンテーブルT2の駆動軸と第3ターンテーブルT3の駆動軸とを同一の移動ブロックに回転自在に軸支し、両駆動軸を移動ブロックに設けたサーボモータによって逆方向に回転駆動させることができるようにすればよい。そして移動ブロックを排出コンベヤ6の搬送方向に移動可能に設ければよい。
【0016】
また必要に応じて、無菌室R5内に設けた第1ターンテーブルT1も上記と同様にして搬送コンベヤC5の搬送方向に沿って移動可能に設け、開閉手段による開口部11の閉鎖時には当該開閉手段の開閉作動を阻害しない位置に移動させるようにしてもよい。
さらに、その他のターンテーブルT1~T3についても上述したのと同様に搬送コンベヤC1~C5の搬送方向に移動可能に設けてもよく、このように構成すれば、各ユニットU1~U5を設置した際に、特に第1ターンテーブルT1と第2ターンテーブルT2との間の間隙をバイアル2の受け渡しに最適な間隙となるように微調整することができ、また各無菌室R1~R5の間の開口部11を閉鎖する開閉手段をそれぞれ設けることが可能となる。各無菌室R1~R5間に開閉手段を設ければ、その都度ガイド13の着脱が必要であるが、各無菌室R1~R5のそれぞれを別個に密封して殺菌することが可能となる。
各無菌室R1~R5間に開閉手段を設ける必要が生じた場合には、ターンテーブルT1とターンテーブルT2との少なくともいずれか一方をその駆動軸に対して着脱可能としてもよい。これによってもターンテーブルを取り外すことによってターンテーブルが開閉手段の開閉作動を阻害しないようにすることが可能となる。
【0017】
以上の構成において、各ユニットU1~U5を設備設置室3の作業室3B内に搬入して設置する際には、各ユニットU1~U5は連結手段10によって相互に連結されることになり、また上述したように、無菌室R1~R5、クリーンルームCR1~CR5はそれぞれ気密を保って相互に連通されるようになる。
そして各ユニットU1~U5を連結手段10によって相互に連結した状態では、各搬送コンベヤC1~C5の下流側に設けた第1ターンテーブルT1と、搬送コンベヤC2~C5の上流側に設けた第2ターンテーブルT2および排出コンベヤ6の上流側に設けた第2ターンテーブルT2とは、相互に隣接した状態で配置されることになる。
この状態でガイド13を取り付ければ、上流側の搬送コンベヤからガイド13を介して第1ターンテーブルT1上にバイアル2を受け渡すことができ、さらに第1ターンテーブルT1から順次第2ターンテーブルT2および第3ターンテーブルT3を介して下流側のコンベヤにバイアル2を受け渡すことができる。
この際、上記第1ターンテーブルT1と第2ターンテーブルT2との間には、各ユニットU1~U5の製造誤差などにより間隙が生じ易いが、第1ターンテーブルT1から第2ターンテーブルT2へのバイアル2の受け渡しは平面上での受け渡しとなり、従来の搬送コンベヤの末端部と先端部との間の受け渡しのようにコンベヤの円弧状折り返し部を介しての受け渡しに比較して誤差の影響が小さいので、バイアル2を円滑に受け渡すことができる。
特に、第1ターンテーブルT1と、第2ターンテーブルT2および第3ターンテーブルT3との少なくともいずれか一方をコンベヤの搬送方向に移動可能に設けたものにあっては、製造誤差があっても上記間隙を最適な量に調整することができるので、より確実な受け渡しを行わせることができる。
【0018】
なお、上記無菌室R1~R5の間に設ける開閉手段は、無菌室R2とR3との間、および無菌室R3とR4との間に設けることが望ましい。そのようにすれば、バイアル2に薬品を充填して凍結乾燥機4で凍結乾燥させる際には無菌室R3とR4との間を開閉手段で閉鎖して無菌室R1~R3のみを稼働させることができ、凍結乾燥機4で凍結乾燥されたバイアル2を搬出する際には無菌室R2とR3との間を開閉手段で閉鎖して無菌室R3~R5のみを稼働させることができる。
より具体的には、バイアル2に薬品を充填して凍結乾燥機4で凍結乾燥させる際には、無菌室R1~R3のみを稼働させて無菌室R1の供給機M1から空のバイアル2を供給し、無菌室R2の充填・打栓機M2によりバイアル2に薬品を充填するとともに当該バイアル2にゴム栓を打栓させ、さらに無菌室R3のバイアル移載機M3により薬品の充填されたバイアル2を凍結乾燥機4に搬入して、該凍結乾燥機4によってバイアル2を凍結乾燥させることができる。この間、無菌室R4の巻締機M4と無菌室R5の洗浄機M5は運転が停止されており、各無菌室R4、R5の内部は無菌状態に維持されている必要はない。
他方、凍結乾燥機4によって凍結乾燥されたバイアル2を搬出する際には無菌室R2とR3との間を開閉手段で閉鎖して無菌室R3~R5のみを稼働させ、凍結乾燥機4内のバイアル2を無菌室R3のバイアル移載機M3により凍結乾燥機4から搬出し、つぎに無菌室R4の巻締機M4によりバイアル2にアルミキャップを装着し、さらに無菌室R5の洗浄機M5によりバイアル2の外面を洗浄させ、さらに洗浄したバイアル2を排出コンベヤ6を介して外部に搬出することができる。この間、無菌室R1の供給機M1と無菌室R2の充填・打栓機M2は運転が停止されており、各無菌室R1、R2の内部は無菌状態に維持されている必要はない。
そして上記凍結乾燥製剤製造システム1を稼働する際には、充填・打栓機M2を収容した無菌室R2内の圧力を他の無菌室内に圧力よりも高く維持することが望ましい。
【0019】
ところで、上記実施例では搬送コンベヤC1~C5の下流側に1つの第1ターンテーブルT1を設けるとともに、搬送コンベヤC2~C5の上流側に2つの第2ターンテーブルT2および第3ターンテーブルT3を設けているが、この関係を逆に配置してもよい。
すなわち図示しないが当該第2実施例においては、搬送コンベヤC1~C5の下流側に2つの第1ターンテーブルT1と第2ターンテーブルT2とを設けるとともに、搬送コンベヤC2~C5の上流側に1つの第3ターンテーブルT3と設け、バイアル2をガイド13により上流側の搬送コンベヤから第1ターンテーブルT1および第2ターンテーブルT2へ受け渡すとともに、さらにガイド13により第2ターンテーブルT2から第3ターンテーブルT3を介して搬送コンベヤに受け渡すようにしてもよい。
このような第2実施例の構成によっても、上記第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
また、上記第1実施例および第2実施例では第1ターンテーブルT1~第3ターンテーブルT3の3つのターンテーブルを配置していたが、図4で示す第3実施例のように第2ターンテーブルT2を配置せずに、第1ターンテーブルT1と第3ターンテーブルT3を直接接続することも可能である。
すなわち本第3実施例においては、第1搬送コンベヤC1から第2搬送コンベヤC2へバイアル2を受け渡す際には、第1搬送コンベヤC1によって搬送されてきたバイアル2をガイド13により第1ターンテーブルT1へ受け渡すとともに、ガイド13により該第1ターンテーブルT1から第3ターンテーブルT3を介して第2搬送コンベヤC2へ受け渡すようにしている。
その他の構成は第1実施例と同様に構成してあり、第1実施例と同一又は相当部分には第1実施例と同一の符号を付して示してある。
このような第3実施例では、上流に配置される搬送コンベヤと下流に配置される搬送コンベヤは相互に一直線上にはならないが、上記第1実施例および第2実施例と同様にバイアル2を確実に受け渡すことができる。
【0021】
なお、上記実施例は凍結乾燥製剤製造システム1に本発明を適用した例を示したものであるが、凍結乾燥製剤製造システム1に限定されるものではなく、その他のユニット化された各種製造システムにおける物品搬送システムに本発明を適用することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
1 凍結乾燥製剤製造システム 2 バイアル(物品)
4 凍結乾燥機 6 排出コンベヤ
10 連結手段 11 開口部
13 ガイド C1~C5 搬送コンベヤ
M1 供給機 M2 充填・打栓機
M3 バイアル移載機 M4 巻締機
M5 洗浄機 R1~R5 無菌室
T1~T3 ターンテーブル U1~U5 ユニット
図1
図2
図3
図4