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特許7299491給湯装置、給湯システム、サーバおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】給湯装置、給湯システム、サーバおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/45 20220101AFI20230621BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20230621BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
F24H15/45
F24H15/395
H04Q9/00 351
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019138659
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021021532
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203862
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 香代子
(72)【発明者】
【氏名】玉井 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】前田 恭大
(72)【発明者】
【氏名】伊美 泰徳
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-139491(JP,A)
【文献】特開2018-115787(JP,A)
【文献】特開2018-191100(JP,A)
【文献】特開2019-020002(JP,A)
【文献】特開平07-260249(JP,A)
【文献】特開平02-238226(JP,A)
【文献】特開昭59-231351(JP,A)
【文献】特開2013-009033(JP,A)
【文献】特開2020-176801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 15/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信網を介して携帯端末装置により遠隔制御が可能な給湯装置であって、
前記外部通信網に接続可能な通信部と、
前記通信部を介して前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オン切替を中止し、
前記オフ切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記オン切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オフ切替を中止する、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記給湯装置に関する情報を出力するための出力部を備え、
前記制御部は、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える場合に、前記出力部を介して、その旨の報知を行う、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
外部通信網に接続されたサーバと、
前記サーバを介して携帯端末装置により遠隔操作が可能な給湯装置と、
前記外部通信網を介して前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オン切替を中止し、
前記オフ切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記オン切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オフ切替を中止する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項に記載の給湯システムにおいて、
前記給湯装置に関する情報を出力するための出力部を備え、
前記制御部は、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える場合に、前記出力部を介して、その旨の報知を行う、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項5】
外部通信網と接続可能な給湯装置を、携帯端末装置により遠隔制御するためのサーバにおいて、
前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作に基づく指令通知を、前記外部通信網を介して前記給湯装置へ送信する場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記指令通知を前記給湯装置へ送信し、
前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オン切替の指令通知の送信を中止し、
前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オフ切替の指令通知の送信を中止する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項6】
給湯装置を、外部通信網を介して遠隔操作可能な携帯端末装置の制御部に、
遠隔操作の入力を受け付ける機能と、
前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を受け付けて当該遠隔操作に基づく指令通知を送信する場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記指令通知を送信する機能と、
前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替える遠隔操作を受け付けた場合、前記オン切替の指令通知の送信を中止する機能と、
前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替える遠隔操作を受け付けた場合、前記オフ切替の指令通知の送信を中止する機能と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置により遠隔操作可能な給湯装置、給湯装置を携帯端末装置によって遠隔制御する給湯システムおよびサーバ、並びに、携帯端末装置の制御部に遠隔制御のための所定の機能を実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置では、浴室やリビング、台所に設置されたリモートコントローラによって各種設定がなされていた。これに対し、最近では、携帯電話機等の携帯端末装置を用いて給湯装置に対する遠隔制御を行うシステムが検討されている。このように給湯装置を遠隔制御する場合、給湯器に水が流通している際に給湯装置の運転状態が遠隔操作により切り替えられると、宅内の使用者に不都合を与える惧れがある。たとえば、宅内の使用者が浴室でシャワーを使用している際に、宅外からの遠隔操作によって給湯装置の運転が停止されると、シャワーからの出水が突然湯から水に切り替わってしまう。
【0003】
このような問題を回避するため、たとえば、以下の特許文献1では、運転状態を切り替える遠隔操作がなされた場合に、給湯器が通水状態にあると、当該遠隔操作を受け付けない制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-115787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように給湯器が通水状態にある場合に、一律、運転状態を切り替える遠隔操作が受け付けられないと、宅内の使用者における不都合の回避は徹底できるものの、宅外の使用者には、遠隔操作において過度の制限を与える結果となってしまう。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、宅内の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることが可能な給湯装置、給湯システム、サーバおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、外部通信網を介して携帯端末装置により遠隔制御が可能な給湯装置に関する。この態様に係る給湯装置は、前記外部通信網に接続可能な通信部と、前記通信部を介して前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える制御部と、を備える。前記制御部は、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オン切替を中止し、前記オフ切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記オン切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オフ切替を中止する。
【0008】
本態様に係る給湯装置によれば、運転状態をオフに切り替える遠隔操作または運転状態をオンに切り替える遠隔操作がなされた場合、これら遠隔操作は受け付けられるが、給湯装置が通水状態にある間は、これらの運転状態の切替が行われない。このため、出水が湯から水に突然切替わったり水から湯に突然切替わったりしない。よって、宅内の使用者に大きな不都合が生じることを回避できる。しかも、給湯装置が通水状態でなくなると、その後に運転状態の切替が行われるので、携帯端末装置の使用者は、遠隔操作をやり直さなくてよく、遠隔操作によって給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で適切に切り換えることができる。したがって、宅内の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることができる。
オン切替のために給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間にオフ切替の遠隔操作が行われた場合、もはや通水停止後にオン切替が行われる必要性がなく、オフ切替のために給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間にオン切替の遠隔操作が行われた場合、もはや通水停止後にオフ切替が行われる必要性がない。
上記の構成によれば、給湯装置の通水停止後に、もはや必要でなくなった運転状態の切替が行われてしまうことを防止できる。
【0009】
本態様に係る給湯装置は、給湯装置に関する情報を出力するための出力部を備え得る。この場合、制御部は、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える場合に、前記出力部を介して、その旨の報知を行うよう構成され得る。
【0010】
この構成によれば、宅内の使用者は、湯(水)が止められた後に給湯装置の運転状態がオンからオフまたはオフからオンへ切り替えられることを的確に把握でき、このような運転状態の切替わりに対し、円滑に対応することができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、給湯システムに関する。この態様に係る給湯システムは、外部通信網に接続されたサーバと、前記サーバを介して携帯端末装置により遠隔操作が可能な給湯装置と、前記外部通信網を介して前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える制御部と、を備える。前記制御部は、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オン切替を中止し、前記オフ切替のために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記オン切替の遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オフ切替を中止する。
【0015】
本態様に係る給湯システムによれば、上記第1の態様と同様、宅内の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることができる。さらに、上記第1の態様と同様、給湯装置の通水停止後に、もはや必要でなくなった運転状態の切替が行われてしまうことを防止できる。
【0016】
本態様に係る給湯システムは、給湯装置に関する情報を出力するための出力部を備え得る。この場合、制御部は、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記給湯装置の運転状態を切り替える場合に、前記出力部を介して、その旨の報知を行うよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、上記第1の態様と同様、宅内の使用者は、湯(水)が止められた後に給湯装置の運転状態がオンからオフまたはオフからオンへ切り替えられることを的確に把握でき、このような運転状態の切替わりに対し、円滑に対応することができる。
【0020】
本発明の第3の態様は、外部通信網と接続可能な給湯装置を、携帯端末装置により遠隔制御するためのサーバに関する。この態様に係るサーバは、前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作に基づく指令通知を、前記外部通信網を介して前記給湯装置へ送信する場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記指令通知を前記給湯装置へ送信する。さらに、前記サーバは、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オン切替の指令通知の送信を中止し、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替える遠隔操作に基づく指令通知を受信した場合、前記オフ切替の指令通知の送信を中止する。
【0021】
本態様に係るサーバによれば、上記第1の態様と同様、宅内の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることができる。
【0023】
さらに、上記第1の態様と同様、給湯装置の通水停止後に、もはや必要でなくなった運転状態の切替が行われてしまうことを防止できる。
【0024】
本発明の第4の態様は、プログラムに関する。この態様に係るプログラムは、給湯装置を、外部通信網を介して遠隔操作可能な携帯端末装置の制御部に、遠隔操作の入力を受け付ける機能と、前記給湯装置の運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を受け付けて当該遠隔操作に基づく指令通知を送信する場合に、前記給湯装置が通水状態にあると、前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待って前記指令通知を送信する機能と、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替えるオン切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替える遠隔操作を受け付けた場合、前記オン切替の指令通知の送信を中止する機能と、前記給湯装置の運転状態をオンからオフに切り替えるオフ切替の指令通知を送信するために前記給湯装置が通水状態でなくなるのを待っている間に、前記給湯装置の運転状態をオフからオンに切り替える遠隔操作を受け付けた場合、前記オフ切替の指令通知の送信を中止する機能と、を実行させる。
【0025】
本態様に係るプログラムによれば、上記第1の態様と同様、宅内の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることができる。
【0027】
さらに、上記第1の態様と同様、給湯装置の通水停止後に、もはや必要でなくなった運転状態の切替が行われてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、宅内の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることが可能となる。
【0029】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施形態1に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る、給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る、使用者が携帯端末装置を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合に台所リモコンの制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
図4図4(a)は、実施形態1に係る、台所リモコンの制御部において行われる報知処理を示すフローチャートである。図4(b)および(c)は、図4(a)の処理により台所リモコンの表示部に表示される報知画面の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態1の変更例に係る、使用者が携帯端末装置を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合に台所リモコンの制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態2に係る、使用者が携帯端末装置を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合にサーバの制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態3に係る、使用者が携帯端末装置を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合に携帯端末装置の制御部において行われる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る、給湯システム1の構成を示す図である。
【0033】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、サーバ50とを備える。給湯装置10は、ルータ20および外部通信網40を介して、携帯端末装置30により遠隔制御可能である。
【0034】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13を備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0035】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12、13は、それぞれ、表示部121、131と、入力部122、132とを備える。使用者は、表示部121、131に表示された画面に従って入力部122、132を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。
【0036】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0037】
浴室リモコン12および台所リモコン13の入力部122、132には、運転ボタン122a、132aが含まれている。運転ボタン122a、132aは、給湯装置10を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0038】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態(カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生したとしても給湯器11が給湯運転を行わない状態)にあるとき、表示部121、131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132a以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132aが操作され、運転オン状態(カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生したときに給湯器11が給湯運転を行える状態)になると、表示部121、131が点灯して設定内容が表示されるとともに、運転ボタン122a、132a以外の操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0039】
さらに、入力部122、132には、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。使用者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。この他、入力部122、132には、追い焚き機能やふろ自動機能を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0040】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40を介してサーバ50に接続するための無線ルータである。ルータ20は、宅内H10の機器を外部通信網40に接続するための通信中継器である。
【0041】
台所リモコン13は、無線通信により、ルータ20に接続される。また、携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0042】
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
【0043】
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0044】
台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信され保持される。このとき同時に、台所リモコン13のID情報(識別情報)が、台所リモコン13からサーバ50に送信される。台所リモコン13のアドレス情報として、たとえば、台所リモコン13の無線通信部136(図2参照)に保持されたMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。台所リモコン13のアドレス情報として、台所リモコン13の無線通信部136のグローバルIPアドレスが用いられてもよい。台所リモコン13のID情報として、たとえば、台所リモコン13の無線通信部136のTHINGが用いられる。台所リモコン13のID情報として、台所リモコン13の無線通信部136のMACアドレスが用いられてもよい。
【0045】
図1の構成において、使用者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御を行うことができる。
【0046】
すなわち、携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、使用者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、使用者が要求する内容の設定が、遠隔操作により、給湯装置10に適用される。
【0047】
また、給湯装置10の状態情報が、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。状態情報は、現在の給湯装置10の設定状態および動作状態を示す情報である。状態情報は、給湯装置10が運転オン状態にある場合のみならず運転オフ状態にある場合も、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13において共有され、随時、サーバ50に送信される。サーバ50は、受信した状態情報を、給湯装置10ごとに管理する。
【0048】
使用者から携帯端末装置30に入力された遠隔監視の閲覧要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、閲覧要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10のうち、閲覧要求により指定された給湯装置10の状態情報を、当該携帯端末装置30に送信する。これにより、給湯装置10の状態が、携帯端末装置30において出力される。こうして、使用者は、給湯装置10の状態を、宅内H10および宅外の両方において確認できる。
【0049】
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。なお、図2には、便宜上、携帯端末装置30の無線通信部305が宅内H10のルータ20を介して外部通信網40に接続された状態が示されているが、上記のように、携帯端末装置30の無線通信部305は、宅外において、ルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され得る。
【0050】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、流量センサ114と、湯温センサ115とを備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。
【0051】
流量センサ114は、給湯器11の入水口付近の配管に設置され、給湯器11を流通する水量を検出する。制御部111は、給湯動作時(運転オン状態)において、流量センサ114により検出される流量が予め決められた最低流量(基準流量)以上となった場合に、給湯器11を動作させる。制御部111は、流量センサ114の検出結果を、随時、状態情報として、浴室リモコン12および台所リモコン13に送信する。なお、制御部111は、流量センサ114の検出流量が予め決められた最低流量以上となったときに、給湯器11が通水状態になったことを示す情報(信号)を、状態情報として台所リモコン13に送信し、流量センサ114の検出流量が最低流量未満となったときに、給湯器11が通水状態でなくなったことを示す情報(信号)を、状態情報として台所リモコン13に送信するようにしてもよい。
【0052】
湯温センサ115は、給湯器11(図1の給湯口11a)から出湯される湯の温度を検出する。湯温センサ115は、図1の給湯口11aと給湯器11の燃焼器とを接続する配管に設置されている。制御部111は、湯温センサ115の検出結果を、随時、状態情報として、浴室リモコン12および台所リモコン13に送信する。
【0053】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0054】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。この他、浴室リモコン12は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
【0055】
台所リモコン13は、上述の表示部131および入力部132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135を備える。表示部131は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンを備える。表示部131が、タッチパネルであってもよい。制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。
【0056】
さらに、台所リモコン13は、無線通信部136を備える。ここで、無線通信部136は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部136(無線通信モジュール)には、宅内H10に設定されたLAN(Local Area Network)上の機器を特定するためのIPアドレスが割り振られている。また、無線通信部136は、上述のMACアドレスを保持している。この他、台所リモコン13は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
【0057】
携帯端末装置30は、表示部301と、入力部302と、制御部303と、記憶部304と、無線通信部305とを備える。表示部301は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンと、表示部301に積層されたタッチパネルとを備える。
【0058】
制御部303は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部304に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部304は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。無線通信部305は、制御部303からの制御に従って、ルータ20と通信を行う。無線通信部305は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部305にもIPアドレスが割り振られている。また、無線通信部305は、上述のMACアドレスを保持している。この他、携帯端末装置30は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
【0059】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0060】
本実施形態1では、予め、給湯装置10に対して遠隔制御を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10に対応付けて、サーバ50に登録される。すなわち、予め、給湯装置10と携帯端末装置30とがペアリングされ、ペアリングを示す情報(ペアリング情報)が、サーバ50において管理される。具体的には、給湯装置10のID情報と携帯端末装置30のID情報とが互いに対応づけて、ペアリング情報が構成される。このようなペアリングは、たとえば、給湯装置10が設置された宅内H10において行われる。これにより、悪意の第三者によって不当に、携帯端末装置30と給湯装置10とがペアリングされる可能性が減少する。
【0061】
ところで、図1の給湯システム1では、宅内H10の使用者が給湯装置10を使用している状態において、携帯端末装置30を用いて宅外から、給湯装置10の運転状態を切り替える遠隔操作が行われることが起こり得る。この場合、この遠隔操作によって、給湯装置10の運転状態が切り替えられると、宅内H10の使用者に不都合を与える惧れがある。たとえば、宅内H10の使用者が浴室でシャワーを使用している際に、宅外からの遠隔操作によって給湯装置10の運転が停止されると(運転オフ状態となると)、シャワーからの出水が突然湯から水に切り替わってしまう。
【0062】
そこで、実施形態1では、宅内H10の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させるための制御が実行される。以下、この制御について説明する。
【0063】
図3は、使用者が携帯端末装置30を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合に台所リモコン13の制御部133において行われる処理を示すフローチャートである。
【0064】
図3の処理に先立ち、携帯端末装置30の使用者は、自身の携帯端末装置30を操作して、給湯システム1のアプリケーションプログラムを立ち上げる。これにより、携帯端末装置30はサーバ50にアクセスし、当該携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10の状態情報をサーバ50から取得する。
【0065】
携帯端末装置30には、表示部301に、取得した状態情報に基づく受付画面が表示される。この受付画面には、給湯装置10の現在の状態(運転オン/オフ、給湯の設定温度、等)に関する情報が含まれている。携帯端末装置30の使用者は、この情報を参照して、自身が所望する遠隔操作を受付画面に入力する。これにより、当該遠隔操作に応じた指令通知が、携帯端末装置30からサーバ50に送信され、さらに、当該携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10(台所リモコン13)にサーバ50から転送される。
【0066】
台所リモコン13の制御部133は、サーバ50から指令通知を受信すると(S101:YES)、受信した指令通知が運転状態の切替に関する指令通知(以下、「運転切替の指令通知」という)であるか否かを判定する(S102)。運転切替の指令通知には、運転状態をオンからオフに切り替える運転オフ(オフ切替)の指令通知と、運転状態をオフからオンに切り替える運転オン(オン切替)の指令通知とが含まれる。
【0067】
受信した指令通知が運転切替の指令通知でない場合(S102:NO)、制御部133は、指令通知に応じた遠隔制御を実行する(S106)。他方、受信した指令通知が運転切替の指令通知である場合(S102:YES)、制御部133は、記憶部134に記憶されている現時点の状態情報を参照し、給湯器11が通水中であるか否か(流量センサ114の検出結果が燃焼動作に必要な最低流量以上であるか否か)を判定する(S103)。
【0068】
給湯器11が通水中でない場合(S103:NO)、制御部133は、即時に、給湯装置10の運転状態を切り換える処理を実行する(S104)。
【0069】
受信した指令通知が運転オフの指令通知である場合は、給湯装置10の運転状態がオンからオフに切り替えられる。これにより、給湯装置10は運転オフ状態となり、浴室リモコン12および台所リモコン13では、表示部121、131が消灯され、運転ボタン122a、132aの操作以外の操作が受け付けられなくなり、給湯器11では、通水状態となっても燃焼動作が行われず、水が加熱されなくなる。
【0070】
また、受信した指令通知が運転オンの指令通知である場合は、給湯装置10の運転状態がオフからオンに切り替えられる。これにより、給湯装置10は運転オン状態となり、浴室リモコン12および台所リモコン13では、表示部121、131が点灯され、運転ボタン122a、132aの操作以外の操作が受け付けられるようになり、給湯器11では、通水状態となったときに燃焼動作が行われて水が加熱されるようになる。
【0071】
他方、給湯器11が通水中である場合(S103:YES)、制御部133は、記憶部134に記憶された状態情報を随時参照しつつ、給湯器11が通水中でなくなるのを待つ(S105)。そして、給湯器11の通水が停止する(流量センサ114の検出結果が最低流量未満になる)と(S105:YES)、制御部133は、給湯装置10の運転状態を切り換える処理を実行する(S104)。
【0072】
実施形態1では、図3の処理に並行して、給湯器11の通水が停止した後に運転が切り替えられる(運転が停止されるあるいは開始される)ことを報知するための報知処理が、台所リモコン13の制御部133において実行される。
【0073】
図4(a)は、台所リモコン13の制御部133において行われる報知処理を示すフローチャートである。
【0074】
制御部133は、給湯器11の通水中に運転切替の指令通知が受信された場合(S111:YES)、給湯器11の通水が停止した後に運転が切り替えられる旨を報知するための処理を実行する(S112)。その後、制御部133は、給湯器11の通水が停止するまで(S113:NO)、報知を継続する。給湯器11の通水が停止すると(S113:YES)、制御部133は、報知を解除して(S114)、処理を終了する。
【0075】
図4(b)および(c)は、図4(a)の処理により台所リモコン13の表示部131に表示される報知画面の一例を示す図である。
【0076】
運転オフの指令通知に基づいて図4(a)のステップS112の処理が行われることにより、表示部131に、図4(b)のような報知画面が表示される。ここでは、報知画面に、給湯装置10の運転動作を停止させる遠隔操作が行われたこと、および、この遠隔操作に伴い、給湯器11の通水が停止した後に運転が停止されることを報知するメッセージM11が含まれている。また、運転オンの指令通知に基づいて図4(a)のステップS112の処理が行われることにより、表示部131に、図4(c)のような報知画面が表示される。ここでは、報知画面に、給湯装置10の運転動作を開始させる遠隔操作が行われたこと、および、この遠隔操作に伴い、給湯器11の通水が停止した後に運転が開始されることを報知するメッセージM12が含まれている。
【0077】
台所リモコン13の制御部133は、図4(b)のメッセージM11および図4(c)のメッセージM12を、浴室リモコン12の表示部121に表示させる制御を行ってもよい。この場合、浴室リモコン12の制御部123は、予め、台所リモコン13の制御部133からの指令に応じてメッセージM11、M12を表示する機能を備えている。
【0078】
また、制御部133は、図4(a)のステップS112において、報知画面の出力とともに、メッセージM11、M12に対応する音声を、台所リモコン13のスピーカから出力させる制御を行う。さらに、台所リモコン13の制御部133は、同様の音声出力を、浴室リモコン12の制御部123に実行させてもよい。この場合、浴室リモコン12の制御部123は、予め、台所リモコン13の制御部133からの指令に応じて当該音声出力を行う機能を備えている。
【0079】
これにより、宅内H10の使用者は、遠隔操作によって給湯装置10の運転状態が切り替えられること、および、この切替えが給湯器11の通水が停止した後に行われることを、的確に把握することができる。
【0080】
なお、図4(a)のステップS112の報知は、音声のみで行われてもよい。宅内H10の使用者は、給湯に伴う作業を行っていても、音声による報知により、運転状態の切替が通水後に行われることを円滑に把握できる。報知のための音声の出力は、図4(a)のステップS114にて報知が解除されるまでの間に、複数回繰り返し行われてもよい。これにより、宅内H10の使用者は、より確実に、運転状態の切替が通水後に行われることを把握できる。
【0081】
<実施形態1の効果>
本実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0082】
携帯端末装置30を介して運転状態をオフに切り替える遠隔操作または運転状態をオンに切り替える遠隔操作がなされた場合、これら遠隔操作は受け付けられるが、給湯装置10(給湯器11)が通水状態にある間は、これらの運転状態の切替が行われない。このため、シャワー等からの出水が湯から水に突然切替わったり水から湯に突然切替わったりしない。よって、宅内H10の使用者に大きな不都合が生じることを回避できる。しかも、給湯装置10が通水状態でなくなると、その後に運転状態の切替が行われるので、携帯端末装置30の使用者は、遠隔操作をやり直さなくてよく、遠隔操作によって給湯装置10の運転状態をオンとオフとの間で適切に切り換えることができる。したがって、宅内H10の使用者に与える不都合を極力抑止しつつ、宅外からの運転切替の遠隔制御を円滑に実行させることができる。
【0083】
また、運転状態の切替が給湯器11の通水が停止した後に実行される場合に、図4(a)の処理により、浴室リモコン12および台所リモコン13において、その旨の報知が出力される。これにより、宅内H10の使用者は、運転切替の遠隔操作により運転状態の切替が給湯器11の通水停止後に行われることを的確に把握でき、このような運転状態の切替わりに対し、円滑に対応することができる。
【0084】
<実施形態1の変更例>
運転状態をオンに切り替えるために給湯器11が通水状態でなくなるのを待っている間に運転オフの遠隔操作が行われた場合、もはや通水停止後にオンへの切替が行われる必要性がなく、運転状態をオフに切り替えるために給湯器11が通水状態でなくなるのを待っている間に運転オンの遠隔操作が行われた場合、もはや通水停止後にオフへの切替が行われる必要性がない。
【0085】
そこで、給湯器11の通水停止後、もはや必要でなくなった運転状態の切替が行われないように、図3の処理を変更することができる。
【0086】
図5は、変更例に係る、使用者が携帯端末装置30を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合に台所リモコン13の制御部133において行われる処理を示すフローチャートである。図5の処理では、図3の処理に対して、ステップS107の処理が付加されている。
【0087】
図5を参照して、給湯器11が通水中であるときに運転切替の指令通知を受信した場合(S101:YES→S102:YES→S103:YES)、制御部133は、通水が行われている間、即ち、通水の停止を待っている間、先に受信した運転切替の指令通知と反対の運転切替の指令通知が新たに受信されたか否かを監視する(S107)。先に受信した指令通知が運転オフの指令通知である場合は、運転オンの指令通知が反対の運転切替の指令通知となり、先に受信した指令通知が運転オンの指令通知である場合は、運転オフの指令通知が反対の運転切替の指令通知となる。
【0088】
給湯器11に通水されている間に反対の運転切替の指令通知が受信された場合(S107:YES)、制御部133は、運転状態の切替を中止して、処理を終了する。
【0089】
以上、本変更例の構成によれば、給湯器11の通水停止後、もはや必要でなくなった運転状態の切替が無駄に行われてしまうことを防止できる。
【0090】
<実施形態2>
上記実施形態1では、運転状態のオンとオフとの間での切替を給湯装置10の通水が停止するまで遅延させる(保留する)ための制御が台所リモコン13において行われたが、実施形態2では、この制御がサーバ50において行われる。
【0091】
図6は、使用者が携帯端末装置30を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合にサーバ50の制御部501において行われる処理を示すフローチャートである。
【0092】
サーバ50の制御部501は、携帯端末装置30から指令通知を受信すると(S201:YES)、受信した指令通知が運転切替の指令通知であるか否かを判定する(S202)。受信した指令通知が運転切替の指令通知でない場合(S202:NO)、制御部501は、受信した遠隔操作の指令通知を、送信元の携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10(台所リモコン13)に送信する(S204)。これにより、送信先の給湯装置10において、遠隔操作に応じた制御が行われる。
【0093】
他方、受信した指令通知が運転切替の指令通知である場合(S202:YES)、制御部501は、記憶部502に記憶されている現時点の状態情報を参照し、給湯器11が通水中であるか否かを判定する(S203)。
【0094】
給湯器11が通水中でない場合(S203:NO)、制御部501は、即時に、運転切替の指令通知を、送信元の携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10に送信する(S204)。これにより、送信先の給湯装置10において、給湯装置10の運転状態を切り換える処理が実行される。
【0095】
他方、給湯器11が通水中である場合(S203:YES)、制御部501は、記憶部502に記憶された状態情報を随時参照しつつ、給湯器11が通水中でなくなるのを待つ(S205)。そして、給湯器11の通水が停止すると(S205:YES)、制御部501は、運転切替の指令通知を、送信元の携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10に送信する(S204)。
【0096】
上記実施形態1と同様、給湯器11の通水が停止した後に運転が切り替えられることを報知するための処理が、台所リモコン13や浴室リモコン12で行われてもよい。この場合、図6のステップS203で給湯器11が通水中であると判定された場合に、報知を行わせるための指令通知が給湯装置10へ送信され、この指令通知をトリガーとして給湯装置10で報知が行われることになる。
【0097】
実施形態2においても、実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0098】
なお、実施形態2においても、図5に示した実施形態1の変更例と同様、通水の停止を待っている間に、先に受信した運転切替の指令通知と反対の運転切替の指令通知が新たに受信されたか否かを監視する処理、即ち図5のステップS107と同様の処理が追加されてもよい。この場合、通水中に反対の運転切替の指令通知が受信されると、先に受信した運転切替の指令通知の送信が中止され、給湯装置10での運転切替の処理が中止される。これにより、実施形態1の変更例と同様の効果が奏され得る。
【0099】
なお、実施形態2では、サーバ50の制御部501が、運転切替の指令通知を送信することにより、実質的に、給湯装置10の運転状態を切り替える処理を実行することになる。同様に、サーバ50の制御部501が、運転切替の指令通知の送信を中止することにより、実質的に、給湯装置10での運転切替の処理を中止することになる。
【0100】
<実施形態3>
実施形態1において行われた制御と同様の制御が、携帯端末装置30において行われてもよい。
【0101】
図7は、使用者が携帯端末装置30を介して運転状態をオンとオフとの間で切り替える遠隔操作を行った場合に携帯端末装置30の制御部501において行われる処理を示すフローチャートである。
【0102】
なお、実施形態3では、携帯端末装置30における給湯システム1のアプリケーションプログラムの起動に応じて、携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10の状態情報が、サーバ50から携帯端末装置30に送信され、携帯端末装置30の記憶部304に記憶される。また、その後も、随時、最新の状態情報が、サーバ50から携帯端末装置30に送信され、携帯端末装置30の記憶部304に更新記憶される。
【0103】
この状態情報には、上記のように、給湯装置10の現時点の給湯温度や、浴室リモコン12および台所リモコン13を介して設定された給湯温度、給湯装置10が通水中であるか否かの情報(流量センサ114の検出結果)等が含まれている。
【0104】
携帯端末装置30の制御部303は、入力部302を介して遠隔操作の入力を受け付けると(S301:YES)、受け付けた遠隔操作が運転状態の切替に関する遠隔操作(以下、「運転切替の遠隔操作」という)であるか否かを判定する(S302)。受け付けた遠隔操作が運転切替の遠隔操作でない場合(S302:NO)、制御部303は、受け付けた遠隔操作に応じた指令通知を、サーバ50に送信する(S304)。これにより、サーバ50から、当該携帯端末装置30にペアリングされている給湯装置10(台所リモコン13)に当該指令通知が転送され、送信先の給湯装置10において、遠隔操作に応じた制御が行われる。
【0105】
他方、受け付けた遠隔操作が運転切替の遠隔操作である場合(S302:YES)、制御部303は、記憶部304に記憶されている現時点の状態情報を参照し、給湯器11が通水中であるか否かを判定する(S303)。
【0106】
給湯器11が通水中でない場合(S303:NO)、制御部303は、即時に、運転切替の指令通知を、サーバ50に送信する(S304)。これにより、サーバ50から運転切替の指令通知が転送され、送信先の給湯装置10において、給湯装置10の運転状態を切り換える処理が実行される。
【0107】
他方、給湯器11が通水中である場合(S303:YES)、制御部303は、記憶部304に記憶された状態情報を随時参照しつつ、給湯器11が通水中でなくなるのを待つ(S305)。そして、給湯器11の通水が停止すると(S305:YES)、制御部303は、運転切替の指令通知を、サーバ50に送信する(S304)。
【0108】
上記実施形態1と同様、給湯器11の通水が停止した後に運転が切り替えられることを報知するための処理が、台所リモコン13や浴室リモコン12で行われてもよい。この場合、ステップS303で給湯器11が通水中であると判定された場合に、報知を行わせるための指令通知がサーバ50を介して給湯装置10へ送信され、この指令通知をトリガーとして給湯装置10で報知が行われることになる。
【0109】
実施形態3においても、実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0110】
なお、実施形態3においても、図5に示した実施形態1の変更例と同様、通水の停止を待っている間に、先に受け付けた運転切替の遠隔操作と反対の運転切替の遠隔操作が新たに受け付けられたか否かを監視する処理、即ち図5のステップS107の処理に相当する処理が追加されてもよい。この場合、通水中に反対の運転切替の遠隔操作が受け付けられると、先に受け付けた運転切替の遠隔操作に対応する指令通知の送信が中止され、給湯装置10での運転切替の処理が中止される。これにより、実施形態1の変更例と同様の効果が奏され得る。
【0111】
なお、実施形態3では、携帯端末装置30の制御部303が、運転切替の指令通知を送信することにより、実質的に、給湯装置10の運転状態を切り替える処理を実行することになる。同様に、携帯端末装置30の制御部303が、運転切替の指令通知の送信を中止することにより、実質的に、給湯装置10での運転切替の処理を中止することになる。
【0112】
<その他の変更例>
上記実施形態1では、図3の処理が、台所リモコン13の制御部133において行われたが、これらの処理が、給湯器11の制御部111で行われてもよい。この場合、台所リモコン13の制御部133は、サーバ50から運転状態を切り替える指令通知を受信すると、当該指令通知が遠隔操作に基づく指令通知であることを示す特定情報とともに、当該指令通知を給湯器11の制御部111に送信する。給湯器11の制御部111は、受信した特定情報により、当該指令通知が遠隔操作に基づく指令通知であると判定し、図3のステップS102~S106の処理を実行する。これによっても、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。同様に、給湯器11以外の他の制御装置が宅内H10に設置される場合は、この制御装置が図3の処理を実行してもよい。
【0113】
また、上記実施形態1では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に無線通信部136が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて給湯器11がルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態1における台所リモコン13の制御は、給湯器11の制御部111により行われればよい。また、無線通信部が浴室リモコン12に設けられて浴室リモコン12がルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態1における台所リモコン13の制御は、浴室リモコン12の制御部123により行われればよい。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットがルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態1における台所リモコン13による制御は、制御ユニットによって行われればよい。
【0114】
また、上記実施形態1では、図4(a)の報知処理が台所リモコン13の制御部133において行われたが、宅内H10に給湯器11が設置される構成の場合、給湯器11に報知出力のための出力部(表示部やスピーカ等)があれば、給湯器11の制御部111において、図4(a)における報知処理が行われ、出力部から図4(b)および(c)のようなメッセージやそれに対応する音声の出力が行われてもよい。
【0115】
なお、給湯装置10を遠隔制御する端末装置に、携帯性がなく所定の場所に設置される据え置き型の端末装置が含まれてもよい。また、給湯装置10は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0116】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 給湯システム
10 給湯装置
11 給湯器
114 流量センサ
13 台所リモコン
30 携帯端末装置
40 外部通信網
50 サーバ
131 表示部(出力部)
133 制御部
136 無線通信部(通信部)
303 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7