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特許7299496符号化回路、復号化回路、符号化方法、復号化方法、伝送装置、及び光伝送システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】符号化回路、復号化回路、符号化方法、復号化方法、伝送装置、及び光伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/25 20060101AFI20230621BHJP
   H03M 13/29 20060101ALI20230621BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20230621BHJP
   H04L 27/34 20060101ALI20230621BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20230621BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20230621BHJP
【FI】
H03M13/25
H03M13/29
H04L1/00 B
H04L27/34
H04B10/516
H04B10/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019164929
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021044681
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】三上 和真
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純一
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10396899(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/25
H03M 13/29
H04L 1/00
H04L 27/34
H04B 10/516
H04B 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬判定符号の第1の誤り訂正符号と、軟判定符号の第2の誤り訂正符号とを生成する符号化回路において
フレーム内の複数のビット列の各々の値に対応する多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、前記複数のビット列に多く割り当てられるように、前記複数のビット列のうち、第1ビット列以外のビット列の値を変換する変換部と、
前記フレームごとに、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列から前記第1の誤り訂正符号を生成する第1生成部と、
前記フレームの周期を分ける複数の期間の各々において、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列のうち、第2ビット列から前記第2の誤り訂正符号を生成する第2生成部と、
前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記第1の誤り訂正符号の生成元の前記複数のビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入する第1挿入部と、
前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号の生成元の前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入する第2挿入部と
前記複数のシンボルのうち、前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号が挿入された前記複数のビット列の各々の値に応じたシンボルを前記複数のビット列に割り当てる割当部とを有し、
前記変換部は、前記第2ビット列の値の変換に、該遅延した前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする符号化回路。
【請求項2】
前記第1挿入部は、前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記第1の誤り訂正符号の生成元の前記複数のビット列を含む前記フレームの次のフレームの前記第1ビット列に挿入することを特徴とする請求項1に記載の符号化回路。
【請求項3】
前記第2挿入部は、前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号が生成された期間の次の期間の前記第1ビット列に挿入することを特徴とする請求項1または2に記載の符号化回路。
【請求項4】
多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルの1つがそれぞれ割り当てられ、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、第1ビット列以外の値が変換された複数のビット列を復号化する復号化回路において、
レーム内の前記複数のビット列のうち、前記第1ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき硬判定する第1判定部と、
前記フレームごとに前記第1ビット列に挿入された第1の誤り訂正符号に基づいて前記第1判定部の硬判定の結果の誤りを訂正する第1訂正部と、
前記フレーム内の前記複数のビット列のうち、第2ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき軟判定する第2判定部と、
前記フレームを分ける複数の期間の各々の前記第1ビット列に挿入された第2の誤り訂正符号に基づいて前記第2判定部の軟判定の結果の誤りを訂正する第2訂正部と、
前記第1ビット列の硬判定の結果の誤りが、該硬判定された前記第1ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列と、前記硬判定された前記第1ビット列とを含む前記複数のビット列を遅延させる第1遅延部と、
前記第2ビット列の軟判定の結果の誤りが、前記複数の期間のうち、該軟判定された前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定された前記第2ビット列を遅延させる第2遅延部と、
前記硬判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列の値に対し、前記変換の逆変換を行う逆変換部とを有し、
前記逆変換部は、前記第1遅延部及び前記第2遅延部により遅延した前記第2ビット列の値の逆変換に、該遅延した前記第2ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号、及び、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする復号化回路。
【請求項5】
フレーム内の複数のビット列の硬判定結果の誤り訂正に用いられる第1の誤り訂正符号と、前記複数のビット列の軟判定結果の誤り訂正に用いられる第2の誤り訂正符号とを用いる符号化方法において、
多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、前記複数のビット列に多く割り当てられるように、前記複数のビット列のうち、第1ビット列以外のビット列の値を変換し、
前記フレームごとに、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列から前記第1の誤り訂正符号を生成し、
前記フレームの周期を分ける複数の期間の各々において、、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列のうち、第2ビット列から前記第2の誤り訂正符号を生成し、
前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記第1の誤り訂正符号の生成元の前記複数のビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入し、
前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号の生成元の前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入し、
前記複数のシンボルのうち、前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号が挿入された前記複数のビット列の各々の値に応じたシンボルを前記複数のビット列に割り当て、
前記第2ビット列の値の変換に、該遅延した前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする符号化方法。
【請求項6】
多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルの1つがそれぞれ割り当てられ、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、第1ビット列以外の値が変換された複数のビット列を復号化する復号化方法において、
レーム内の複数のビット列のうち、第1ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき硬判定し、
前記フレームごとに前記第1ビット列に挿入された第1の誤り訂正符号に基づいて該硬判定の結果の誤りを訂正し、
前記フレーム内の前記複数のビット列のうち、第2ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき軟判定し、
前記フレームを分ける複数の期間の各々の前記第1ビット列に挿入された第2の誤り訂正符号に基づいて該軟判定の結果の誤りを訂正し、
前記第1ビット列の硬判定の結果の誤りが、該硬判定された前記第1ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列と、前記硬判定された前記第1ビット列とを含む前記複数のビット列を遅延させ、
前記第2ビット列の軟判定の結果の誤りが、前記複数の期間のうち、該軟判定された前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定された前記第2ビット列を遅延させ、
前記硬判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列の値に対し、前記変換の逆変換を行い、
遅延した前記第2ビット列の値の逆変換に、前記遅延した前記第2ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号、及び、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする復号化方法。
【請求項7】
送信対象のフレームを復号化する請求項1に記載の符号化回路と、
受信対象のフレームを復号化する請求項4に記載の復号化回路と、
前記送信対象のフレームを光信号に変換して他の装置に送信し、他の装置から光信号を受信して前記受信対象のフレームに変換する変換回路とを有することを特徴とする伝送装置。
【請求項8】
光信号を送信する第1伝送装置と、
前記光信号を受信する第2伝送装置とを有し、
前記第1伝送装置は、
送信対象のフレームを復号化する請求項1に記載の符号化回路と、
前記送信対象のフレームを前記光信号に変換する第1変換回路とを有し、
前記第2伝送装置は、
受信対象のフレームを復号化する請求項4に記載の復号化回路と、
前記光信号を受信して前記受信対象のフレームに変換する第2変換回路とを有することを特徴とする光伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、符号化回路、復号化回路、符号化方法、復号化方法、伝送装置、及び光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送装置の伝送容量の増加に伴い、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、及び64QAMなどの多値変調方式が用いられている。多値変調方式では、コンスタレーション内に配置された各シンボルのうち、変調対象のフレーム信号内の各ビット列の値に応じたシンボルがビット列に割り当てられることにより、シンボルに従った位相及び強度の光信号が生成される。
【0003】
プロバブリスティックシェーピング(PS: Probabilistic Shaping)の技術(以下、「PS」と表記)は、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるようにビット列の値を変換することによりシンボル割り当ての確率分布を形成する。これにより、フレームから生成した信号光のノイズ耐力が向上する。
【0004】
PSには、例えばビット列のマーク率を50(%)より大きいレート(例えば80(%))に増加させるDM(Distribution Matching)処理が用いられる。これにより、コンスタレーションを区切る第1~第4象限のうち、特定の象限内だけでシンボル割り当ての確率がコンスタレーションの中心寄りに偏る。その後、第1~第4象限から、割り当て対象のシンボルが位置する象限が決定される。
【0005】
象限の決定には、FEC(Forward Error Correction)などの誤り訂正符号のパリティビットを用いることもできる(例えば非特許文献1を参照)。誤り訂正符号のマーク率は50(%)近くに維持されるため、第1~第4象限がほぼ同一の確率で選択され、全象限にわたってコンスタレーションの中心に偏った確率分布が形成される。
【0006】
誤り訂正符号の符号化方法としては、例えばビットインターリーブド符号化変調(BICM: Bit-Interleaved Coded Modulation)及びマルチレベル符号化(MLC: Multilevel Coding)が挙げられる(例えば特許文献1及び非特許文献2-4を参照)。BICMは、各ビット列をレベル(MSB(Most Significant Bit)やLSB(Least Significant Bit))で区別せずに一括して符号化する符号化方法である。MLCは、ビット列をレベルごとに分けて個別に誤り訂正符号を生成する符号化方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2008-187706号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】F. Buchali, et al., “Rate Adaptation and Reach Increase by Probabilistically Shaped 64-QAM: An Experimental Demonstration,”, JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL., 34, NO. 7, APRIL 1, 2016
【文献】U. Wachsmann, et al., “Multilevel Codes: Theoretical Concepts and Practical Design Rules”, IEEE TRANSACTIONS ON INFORMATION THEORY, VOL. 45, NO. 5, JULY 1999
【文献】A. Bisplinghoff, et al., “Low-Power, Phase-Slip Tolerant, Multilevel Coding for M-QAM”, JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL., 35, NO. 4, FEBRUARY 15, 2017
【文献】Y. Koganei, et al., “Multilevel Coding with Spatially-Coupled Codes for beyond 400Gbps Optical Transmission”, OFC, 2018, Tu3C.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば64QAMを用いる場合、BICMを用いたフレームでは、3つのビット列から生成された誤り訂正符号のパリティビットが最上位のみに挿入されている。他の2つのビット列はDM処理対象であり、最上位のビット列の値に応じて決定されたコンスタレーションの象限内のシンボルのうち、DM処理された2つのビット列の値に応じたシンボルが割り当てられる。
【0010】
このとき、誤り訂正符号として、例えばターボ符号や低密度パリティ検査符号(LDPC: Low-Density Parity-check Code)などの軟判定符号(SD(Soft Decision)-FEC)によって、全てのビット列に対して符号化が行われる。軟判定符号は、BCH符号やリードソロモン符号などの硬判定符号(HD(Hard Decision)-FEC)と比較すると、訂正能力が高いが、符号化及び復号化の消費電力が大きい。
【0011】
これに対し、MLCを用いて軟判定符号の符号化対象を最下位のビット列のみにした場合、BICMを用いたフレームの場合より消費電力が低減される。
【0012】
しかし、通常のMLCの手法では、最下位のビット列には、DM処理できない誤り訂正符号のパリティビットが挿入されるため、BICMを用いたフレームの場合と比べると、PSによるノイズ耐力低減の効果が低下するおそれがある。
【0013】
そこで本件は、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる符号化回路、復号化回路、符号化方法、復号化方法、伝送装置、及び光伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの態様では、符号化回路は、硬判定符号の第1の誤り訂正符号と、軟判定符号の第2の誤り訂正符号とを生成する符号化回路において、フレーム内の複数のビット列の各々の値に対応する多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、前記複数のビット列に多く割り当てられるように、前記複数のビット列のうち、第1ビット列以外のビット列の値を変換する変換部と、前記フレームごとに、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列から前記第1の誤り訂正符号を生成する第1生成部と、前記フレームの周期を分ける複数の期間の各々において、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列のうち、第2ビット列から前記第2の誤り訂正符号を生成する第2生成部と、前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記第1の誤り訂正符号の生成元の前記複数のビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入する第1挿入部と、前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号の生成元の前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入する第2挿入部と、前記複数のシンボルのうち、前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号が挿入された前記複数のビット列の各々の値に応じたシンボルを前記複数のビット列に割り当てる割当部とを有し、前記変換部は、前記第2ビット列の値の変換に、該遅延した前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号を用いる。
【0015】
1つの態様では、復号化回路は、多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルの1つがそれぞれ割り当てられ、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、第1ビット列以外の値が変換された複数のビット列を復号化する復号化回路において、フレーム内の前記複数のビット列のうち、前記第1ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき硬判定する第1判定部と、前記フレームごとに前記第1ビット列に挿入された第1の誤り訂正符号に基づいて前記第1判定部の硬判定の結果の誤りを訂正する第1訂正部と、前記フレーム内の前記複数のビット列のうち、第2ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき軟判定する第2判定部と、前記フレームを分ける複数の期間の各々の前記第1ビット列に挿入された第2の誤り訂正符号に基づいて前記第2判定部の軟判定の結果の誤りを訂正する第2訂正部と、前記第1ビット列の硬判定の結果の誤りが、該硬判定された前記第1ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列と、前記硬判定された前記第1ビット列とを含む前記複数のビット列を遅延させる第1遅延部と、前記第2ビット列の軟判定の結果の誤りが、前記複数の期間のうち、該軟判定された前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定された前記第2ビット列を遅延させる第2遅延部と、前記硬判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列の値に対し、前記変換の逆変換を行う逆変換部とを有し、前記逆変換部は、前記第1遅延部及び前記第2遅延部により遅延した前記第2ビット列の値の逆変換に、該遅延した前記第2ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号、及び、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号を用いる。
【0016】
1つの態様では、符号化方法は、フレーム内の複数のビット列の硬判定結果の誤り訂正に用いられる第1の誤り訂正符号と、前記複数のビット列の軟判定結果の誤り訂正に用いられる第2の誤り訂正符号とを用いる符号化方法において、
多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、前記複数のビット列に多く割り当てられるように、前記複数のビット列のうち、第1ビット列以外のビット列の値を変換し、前記フレームごとに、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列から前記第1の誤り訂正符号を生成し、前記フレームの周期を分ける複数の期間の各々において、、前記第1ビット列以外の各ビット列の値が変換された前記複数のビット列のうち、第2ビット列から前記第2の誤り訂正符号を生成し、前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記第1の誤り訂正符号の生成元の前記複数のビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入し、前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号の生成元の前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入し、前記複数のシンボルのうち、前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号が挿入された前記複数のビット列の各々の値に応じたシンボルを前記複数のビット列に割り当て、前記第2ビット列の値の変換に、該遅延した前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号を用いる方法である。
【0017】
1つの態様では、復号化方法は、多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルの1つがそれぞれ割り当てられ、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、第1ビット列以外の値が変換された複数のビット列を復号化する復号化方法において、フレーム内の複数のビット列のうち、第1ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき硬判定し、前記フレームごとに前記第1ビット列に挿入された第1の誤り訂正符号に基づいて該硬判定の結果の誤りを訂正し、前記フレーム内の前記複数のビット列のうち、第2ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき軟判定し、前記フレームを分ける複数の期間の各々の前記第1ビット列に挿入された第2の誤り訂正符号に基づいて該軟判定の結果の誤りを訂正し、前記第1ビット列の硬判定の結果の誤りが、該硬判定された前記第1ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列と、前記硬判定された前記第1ビット列とを含む前記複数のビット列を遅延させ、前記第2ビット列の軟判定の結果の誤りが、前記複数の期間のうち、該軟判定された前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記軟判定された前記第2ビット列を遅延させ、前記硬判定の結果の誤りを訂正された後の前記第2ビット列の値に対し、前記変換の逆変換を行い、該遅延した前記第2ビット列の値の逆変換に、前記遅延した前記第2ビット列を含む前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号、及び、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号を用いる方法である。
【発明の効果】
【0018】
1つの側面として、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】光伝送システムの一例を示す構成図である。
図2】トランスポンダの一例を示す構成図である。
図3】BICMを用いる符号化回路の一例を示す構成図である。
図4】BICMを用いる復号化回路の一例を示す構成図である。
図5】PSの処理の一例を示す図である。
図6】シンボルマッピングの一例を示す図である。
図7】XOR前後のシンボル割り当ての確率分布の一例を示す図である。
図8】MLCを用いる符号化回路の一例を示す構成図である。
図9】MLCを用いる復号化回路の一例を示す構成図である。
図10A】シンボルマッピングの他の例を示す図である。
図10B】XOR前後のシンボル割り当ての確率分布の一例を示す図である。
図11】MLCを用いる符号化回路の他の例を示す構成図である。
図12】第1実施例の符号化回路が出力する出力信号のフレームフォーマットを示す図である。
図13】第1実施例の符号化回路を示す構成図である。
図14】第1実施例の復号化回路を示す構成図である。
図15】第2実施例の符号化回路が出力する出力信号のフレームフォーマットを示す図である。
図16】第2実施例の符号化回路を示す構成図である。
図17】第2実施例の復号化回路を示す構成図である。
図18】第3実施例の符号化回路が出力する出力信号のフレームフォーマットを示す図である。
図19】第3実施例の符号化回路を示す構成図である。
図20】第3実施例の復号化回路を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、光伝送システムの一例を示す構成図である。光伝送システムは、光ファイバなどの伝送路Da,Dbを介して接続された一組の波長多重光伝送装置7a,7bを含む。波長多重光伝送装置7a,7bは、波長の異なる複数の光信号が波長多重された波長多重光信号Sを互いに送受信する。
【0021】
波長多重光伝送装置7aは、複数のトランスポンダ1a、光合波部30a、光分波部31a、光アンプ32a,33a、及び管理部6aを有する。また、波長多重光伝送装置7bは、複数のトランスポンダ1b、光合波部30b、光分波部31b、光アンプ32b,33b、及び管理部6bを有する。
【0022】
トランスポンダ1a,1bは、それぞれ、第1及び第2伝送装置の一例であり、光信号を送受信する。光信号は、一例としてITU-T勧告G.709に規定されたOTUCnフレームの形式を有する。
【0023】
トランスポンダ1a,1bは、クライアントネットワーク側のルータなどのネットワーク(NW)機器9と接続されている。トランスポンダ1a,1bは、ネットワーク機器9との間で複数のクライアント信号を送受信する。トランスポンダ1a,1bは、ネットワーク機器9からの複数のクライアント信号を共通のフレームに収容して光合波部30a,30bに出力し、光分波部31a,31bからのフレームから複数のクライアント信号を取り出してネットワーク機器9に送信する。
【0024】
光合波部30a,30bは、例えば光選択スイッチや光フィルタであり、複数のトランスポンダ1a,1bから入力された光信号を波長多重光信号に波長多重して光アンプ32a,32bに出力する。光アンプ32a,32bは波長多重光信号を増幅して伝送路Da,Dbに出力する。
【0025】
光アンプ33a,33bには伝送路Da,Dbから波長多重光信号が入力される。光アンプ33a,33bは波長多重光信号を増幅して光分波部31a,31bに出力する。
【0026】
光分波部31a,31bは、例えば光選択スイッチや光フィルタであり、波長多重光信号を波長ごとの光信号に分離する。光信号は、光分波部31a,31bから複数のトランスポンダ1a,1bに入力される。
【0027】
管理部6a,6bは、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを備えた回路であり、波長多重光伝送装置7a,7bを制御する。管理部6a,6bは、例えば、光アンプ32a,32bに対してゲインを設定し、光合波部30a,30bに対して波長多重対象のフレームを設定する。また、管理部6a,6bは、例えば、光分波部31a,31bに対して分離対象の光信号を設定し、トランスポンダ1a,1bに対してフレーム内のクライアント信号の収容に関する設定を行う。
【0028】
図2は、トランスポンダ1a,1bの一例を示す構成図である。トランスポンダ1a,1bは、複数の送受信モジュール10、フレーマチップ11、DSP(Digital Signal Processor)12、アナログ-デジタル変換部(DA/AD)13、ACO(Analog Coherent Optics)14、及び設定処理部15を有する。
【0029】
送受信モジュール10は、例えば電気コネクタを介し、フレーマチップ11が実装された回路基板に対して着脱自在な光モジュールである。送受信モジュール10は、ネットワーク機器9との間でクライアント信号を送受信する。クライアント信号のフレーム形式としては、例えばSONET(Synchronous Optical Network)フレームやGbE(Gigabit Ethernet(登録商標))フレームが挙げられるが、これに限定されない。
【0030】
まず、送受信モジュール10からACO14に向かう上り方向の処理を説明する。
【0031】
送受信モジュール10は、ネットワーク機器9から受信したクライアント信号を光-電気変換してフレーマチップ11に出力する。フレーマチップ11は、各送受信モジュール10から入力されたクライアント信号をフレームに収容する。本例では、フレームの一例としては、OTUCnフレームが挙げられるが、これに限定されず、他のフレームが用いられてもよい。
【0032】
フレーマチップ11はフレームをDSP12に出力する。DSP12は、フレームの誤り訂正符号を生成し、フレームを多値変調方式で変調してアナログ-デジタル変換部13に出力する。アナログ-デジタル変換部13はフレームをデジタル信号からアナログ信号に変換してACO14に出力する。ACO14はフレームを電気信号から光信号に変換して光合波部30a,30bに出力する。
【0033】
次にACO14から送受信モジュール10に向かう下り方向の処理を説明する。
【0034】
ACO14は、光信号を受信して電気信号に変換し、アナログ-デジタル変換部13に出力する。なお、電気信号は上記のフレーム構造を備える。アナログ-デジタル変換部13は、電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してDSP12に出力する。DSP12は、電気信号を復調処理してフレームを再生し誤り訂正して、フレーマチップ11に出力する。なお、ACO14は第1及び第2変換回路の一例である。
【0035】
フレーマチップ11は、フレームからクライアント信号を取り出して送受信モジュール10に出力する。送受信モジュール10は、クライアント信号を電気信号から光信号に変換してネットワーク機器9に送信する。
【0036】
また、設定処理部15は、管理部6a,6bの指示に従って、フレーマチップ11、DSP12、及びACO14に各種の設定を行う。
【0037】
また、DSP12は、上り方向のフレーム内の複数のビット列を符号化する符号化回路120と、下り方向のフレーム内の複数のビット列を復号化する復号化回路121とを有する。各ビット列はフレームのシリアルデータをパラレル変換して得られた一例のビット値である。
【0038】
(BICMによる符号化及び復号化)
図3は、BICMを用いる符号化回路120の一例を示す構成図である。符号化回路120は、PS変換部29、HD-FEC生成部24、SD-FEC生成部25、及びシンボルマッピング部27とを有する。PS変換部29は、DM処理部21a,21b及び排他的論理和(XOR)演算器23を有する。なお、本例では多値変調方式として64QAMを挙げるが、これに限定されない。
【0039】
フレーマチップ11から入力されたフレーム信号Sinは、例えばシリアル-パラレル変換によりレベル-0~レベル-2の3つのビット列に分けられる。ここで、レベル-2のビット列はMSBであり、レベル-0はLSBである。レベル-0~レベル-2の各ビット列は個別のレーン上に伝送される。
【0040】
PS変換部29は、レベル-0~レベル-2の各ビット列に対するシンボル割り当ての確率分布をPSにより形成する。DM処理部21aはレベル-1のビット列をDM処理し、DM処理部21bはレベル-0のビット列をDM処理する。これにより、レベル-0,1の各ビット列のマーク率が50(%)より大きいレート(例えば80(%))に増加し、レベル-0,1の各ビット列の値は「0」より「1」が多くなる。
【0041】
XOR演算器23は、レベル-0のビット列の値をレベル-1のビット列の値とXORする。これにより、レベル-0のビット列の値は、元のレベル-0のビット列の値とレベル-1のビット列の値をXORした値となる。各ビット列はPS変換部29からHD-FEC生成部24に出力される。
【0042】
HD-FEC生成部24は、レベル-0~レベル-2の各ビット列から、硬判定符号であるHD-FECパリティを生成する。HD-FEC生成部24は、HD-FECパリティをレベル-2のビット列に挿入する。各ビット列はHD-FEC生成部24からSD-FEC生成部25に出力される。なお、HD-FECパリティは、各ビット列の硬判定結果の誤り訂正に用いられる第1の誤り訂正符号の一例である。
【0043】
SD-FEC生成部25は、レベル-0~レベル-2の各ビット列から、軟判定符号であるSD-FECパリティを生成する。SD-FEC生成部25は、SD-FECパリティをレベル-2のビット列に挿入する。各ビット列はSD-FEC生成部25からシンボルマッピング部27に出力される。なお、SD-FECパリティは、各ビット列の軟判定結果の誤り訂正に用いられる第2の誤り訂正符号の一例である。
【0044】
シンボルマッピング部27は、64QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0~レベル-2の各ビット列の値に応じたシンボルをビット列に割り当てる。シンボルマッピング部27は、割り当てたシンボルに応じた出力信号Soutをアナログ-デジタル変換部13に出力する。
【0045】
符号90は、シンボルマッピング部27に入力されるフレーム内の各ビット列の内容を示す。レベル-0,1の各ビット列には、DM処理済みのデータ#0,#1がそれぞれ含まれる。
【0046】
また、レベル-2のビット列には、DM処理されていないデータ#2、HD-FECパリティ、及びSD-FECパリティが含まれる。HD-FECパリティ及びSD-FECパリティはフレームの周期T内の期間Taに挿入され、データ#2は、フレームの周期T内の期間Tbに挿入されている。期間Ta,Tbは、HD-FECパリティ及びSD-FECパリティが例えばフレーム全体のデータ量の20(%)程度となるように設定される。
【0047】
図4は、BICMを用いる復号化回路121の一例を示す構成図である。復号化回路121は、軟判定部41、SD-FEC復号部42、HD-FEC復号部45、及びPS逆変換部49を有する。PS逆変換部49は、XOR演算器47及びInverse-DM(IDM)処理部48a,48bを含む。
【0048】
軟判定部41は、アナログ-デジタル変換部13から入力された入力信号Sin’からレベル-0~2の各ビット列の値を軟判定することにより復元する。軟判定部41は、入力信号Sin’が示すシンボルからビット列の値「0」,「1」の確からしさを判定する。レベル-0~2の各ビット列は個別のレーンに伝送される。軟判定部41は、レベル-0~2の各ビット列の値をSD-FEC復号部42に出力する。
【0049】
SD-FEC復号部42は、SD-FECパリティに基づきレベル-0~2のビット列の値を訂正する。つまり、SD-FEC復号部42は、SD-FECパリティを用いて復号化を行う。SD-FEC復号部42は、レベル-0~2の各ビット列をHD-FEC復号部45に出力する。
【0050】
HD-FEC復号部45は、HD-FECパリティに基づきレベル-0~2の各ビット列の値を訂正する。つまり、HD-FEC復号部45は、HD-FECパリティを用いて復号化を行う。HD-FEC復号部45はレベル-0~2の各ビット列をPS逆変換部49に出力する。
【0051】
PS逆変換部49は、レベル-0~2の各ビット列に対しPS変換部29とは逆の変換を行う。XOR演算器47は、レベル-0のビット列の値をレベル-1のビット列の値とXORする。これにより、レベル-0のビット列の値は、復号化回路121のXOR演算器23によりXORされる前の元のレベル-0のビット列の値となる。
【0052】
レベル-1のビット列は、IDM処理部48aに入力され、レベル-0のビット列は、XOR演算器47からIDM処理部48bに入力される。
【0053】
IDM処理部48a,48bは、DM処理部21a,21bのDM処理の逆変換処理であるInverse-DM処理をレベル-0,1のビット列に対してそれぞれ行う。これにより、レベル-0,1の各ビット列は、符号化回路120内のPS変換部29のDM処理部21a,21bにより変換される前の値となる。レベル-0~2のビット列は出力信号Sout’としてフレーマチップ11に出力される。
【0054】
符号化回路120のPS変換部29は、64QAMのコンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-0,1の各ビット列の値を変換する。これにより、コンスタレーションの中心に近いほど、シンボル割り当ての確率が高くなる確率分布が形成される。
【0055】
図5は、PSの処理の一例を示す図である。本例では、説明の便宜上、16QAMのコンスタレーションを挙げる。コンスタレーション内には、信号点であるシンボルP11~P14,P21~P24,P31~P34,P41~P44が第1~第4象限に均等に分かれて配置されている。
【0056】
各シンボルP11~P14,P21~P24,P31~P34,P41~P44を示す丸の大きさはシンボル割り当ての確率の値を示す。PS前のシンボル割り当ての確率は、各シンボルP11~P14,P21~P24,P31~P34,P41~P44の間で等しい。
【0057】
PS後のシンボル割り当ての確率が、中心点Oに近いシンボルP11~P14,P21~P24,P31~P34,P41~P44ほど高くなる。例えば、中心点Oからの距離が最短であるシンボルP22,P23,P32,P33のシンボル割り当ての確率は最大であり、中心点Oからの距離が最長であるシンボルP11,P14,P41,P44のシンボル割り当ての確率は最小となる。
【0058】
シンボル割り当ての確率分布の形成では、中心点O寄りのシンボルP22,P23,P32,P33のシンボル割り当ての確率が高くなるようにレベル-0,1の各ビット列の値を変換し、レベル-2のビット列の値によりシンボルP11~P14,P21~P24,P31~P34,P41~P44の象限が決定される。
【0059】
図6は、シンボルマッピングの一例を示す図である。シンボルマッピング部27は、レベル-0~2の各ビット列をグレイコードマッピングによりシンボルにマッピングする。
【0060】
シンボルマッピング部27は、レベル-0~2の各ビット列の値をI値及びQ値に割り当てる。例えばシンボルマッピング部27は、レベル-0~2の各ビット列の同一値をI値及びQ値の両方に割り当ててもよい。例えばレベル-0のビット列の値が「1」である場合、I値及びQ値はそれぞれ「1」となる。
【0061】
また、シンボルマッピング部27は、レベル-0~2の各ビット列の値を交互にI値及びQ値に割り当ててもよい。例えばレベル-0のビット列のうち、連続する2ビット分の値が「1」,「0」である場合、I値は「1」となり、Q値は「1」となる。
【0062】
レベル-2のビット列のI値及びQ値は、割り当てるシンボルの象限を決定する。I値=「0」かつQ値=「0」である場合、第1象限内のシンボルが割り当てられ、I値=「1」かつQ値=「0」である場合、第2象限内のシンボルが割り当てられる。また、I値=「1」かつQ値=「1」である場合、第3象限内のシンボルが割り当てられ、I値=「0」かつQ値=「0」である場合、第4象限内のシンボルが割り当てられる。
【0063】
PS変換部29は、中心点Oに近いシンボルほど、シンボル割り当ての確率が高くなるように、XOR演算器23によりレベル-0のビット列の値にレベル-1のビット列の値をXORする。
【0064】
図7は、XOR前後のシンボル割り当ての確率分布の一例を示す図である。なお、図7中のレベル-0~2のビット列の値はI値及びQ値の何れであってもよい。
【0065】
DM処理部21a,21bは、レベル-0,1の各ビット列の値を「0」より「1」が多くなるようにそれぞれ変換する。このため、レベル-0,1の各ビット列の値が両方とも「1」となる確率が高くなり(符号m2参照)、XOR前のシンボル割り当ての確率分布は、中心点Oに最も近いシンボルP1が、その外側のシンボルP2より低くなってしまう。
【0066】
しかし、グレイコードの配列において、レベル-0のビット列の値は、レベル-1のビット列の値とXORされることにより「0」となる確率が高くなる。このため、レベル-0,1の各ビット列の値がそれぞれ「0」及び「1」となる確率が高くなり(符号m1参照)、XOR後のシンボル割り当ての確率分布は、中心点Oに最も近いシンボルP1が、その外側のシンボルP2より高くなる。
【0067】
また、レベル-2のビット列の値は、HD-FEC生成部24及びSD-FEC生成部25によりそれぞれ生成されたHD-FECパリティ及びSD-FECパリティである。HD-FECパリティ及びSD-FECパリティのマーク率は50(%)近くに維持されるため、第1~第4象限がほぼ同一の確率で選択され、全象限にわたってコンスタレーションの中心点Oに偏った確率分布が形成される。このため、出力信号のノイズ耐力が高まる。
【0068】
しかし、図3に示されるように、SD-FEC生成部25は、レベル-0~2のビット列の全体(点線枠参照)を符号化の対象領域(SD-FECパリティの演算領域)とする。つまり、SD-FEC生成部25は、レベル-0~2の各ビット列からSD-FECパリティを生成する。軟判定符号は、硬判定符号と比較すると、訂正能力が高いが、符号化及び復号化の消費電力が大きい。
【0069】
(MLCによる符号化及び復号化)
図8は、MLCを用いる符号化回路120の一例を示す構成図である。図8において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0070】
符号化回路120は、PS変換部29x、HD-FEC生成部24x、SD-FEC生成部25x、及びシンボルマッピング部27xを有する。PS変換部29xは、DM処理部21a,21b及びXOR演算器23xを有する。なお、本例では多値変調方式として64QAMを挙げるが、これに限定されない。
【0071】
PS変換部29xは、64QAMのコンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-0,1の各ビット列の値を変換する。XOR演算器23xは、レベル-0のビット列の値をレベル-2のビット列の値とXORする。これにより、レベル-0のビット列の値は、元のレベル-0のビット列の値とレベル-2のビット列の値をXORした値となる。各ビット列はPS変換部29xからHD-FEC生成部24xに出力される。
【0072】
HD-FEC生成部24xは、レベル-0~レベル-2の各ビット列から、硬判定符号であるHD-FECパリティを個別に生成する。HD-FEC生成部24xは、レベル-1のビット列のHD-FECパリティをレベル-1のビット列に挿入し、レベル-2のビット列のHD-FECパリティをレベル-2のビット列に挿入する。レベル-1,2の各ビット列はHD-FEC生成部24xからシンボルマッピング部27xに出力される。
【0073】
また、HD-FEC生成部24xは、レベル-0のビット列のHD-FECパリティをレベル-0のビット列に挿入する。レベル-0のビット列はHD-FEC生成部24xからSD-FEC生成部25xに出力される。
【0074】
SD-FEC生成部25xは、レベル-0のビット列から、軟判定符号であるSD-FECパリティを生成する。SD-FEC生成部25xは、レベル-0のビット列からHD-FECパリティを削除して、SD-FECパリティをレベル-0のビット列に挿入する。レベル-0のビット列はSD-FEC生成部25xからシンボルマッピング部27xに出力される。
【0075】
シンボルマッピング部27xは、64QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0~レベル-2の各ビット列の値に応じたシンボルをビット列に割り当てる。シンボルマッピング部27xは、割り当てたシンボルに応じた出力信号Soutをアナログ-デジタル変換部13に出力する。
【0076】
符号91は、シンボルマッピング部27xに入力されるフレーム内の各ビット列の内容を示す。レベル-0のビット列には、DM処理済みのデータ#0及びSD-FECパリティが含まれる。レベル-1のビット列には、DM処理済みのデータ#1及びHD-FECパリティが含まれ、レベル-2のビット列には、DM処理済みのデータ#2及びHD-FECパリティが含まれる。
【0077】
図9は、MLCを用いる復号化回路121の一例を示す構成図である。図9において、図4と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0078】
復号化回路121は、軟判定部41x、SD-FEC復号部42x、硬判定部43、HD-FEC復号部45x、及びPS逆変換部49xを有する。PS逆変換部49xは、XOR演算器47x及びIDM処理部48a,48bを含む。入力信号Sin’は軟判定部41x及び硬判定部43にそれぞれ入力される。
【0079】
軟判定部41xは、入力信号Sin’からレベル-0のビット列の値を軟判定することにより復元する。軟判定部41xは、入力信号Sin’が示すシンボルからビット列の値「0」,「1」の確からしさを判定する。軟判定部41xは、レベル-0のビット列の値をSD-FEC復号部42xに出力する。
【0080】
SD-FEC復号部42xは、SD-FECパリティに基づきレベル-0のビット列の値を訂正する。つまり、SD-FEC復号部42xは、SD-FECパリティを用いて復号化を行う。SD-FEC復号部42xは、レベル-0のビット列をHD-FEC復号部45xに出力する。
【0081】
また、硬判定部43は、入力信号Sin’からレベル-1,2の各ビット列の値を硬判定することにより復元する。硬判定部43は、入力信号Sin’が示すシンボルからビット列の値「0」,「1」を判定する。硬判定部43は、レベル-1,2の各ビット列の値をHD-FEC復号部45xに出力する。
【0082】
HD-FEC復号部45xは、HD-FECパリティに基づきレベル-0~2の各ビット列の値を訂正する。つまり、HD-FEC復号部45xは、HD-FECパリティを用いて復号化を行う。HD-FEC復号部45xはレベル-0~2の各ビット列をPS逆変換部49xに出力する。
【0083】
PS逆変換部49xは、レベル-0~2の各ビット列に対しPS変換部29xとは逆の変換を行う。XOR演算器47xは、レベル-0のビット列の値をレベル-2のビット列の値とXORする。これにより、レベル-0のビット列の値は、復号化回路121のXOR演算器23xによりXORされる前の元のレベル-0のビット列の値となる。
【0084】
レベル-1のビット列はIDM処理部48aに入力され、レベル-0のビット列はXOR演算器47xからIDM処理部48bに入力される。レベル-0~2のビット列は出力信号Sout’としてフレーマチップ11に出力される。
【0085】
符号化回路120のPS変換部29xは、64QAMのコンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-0,1の各ビット列の値を変換する。これにより、コンスタレーションの中心に近いほど、シンボル割り当ての確率が高くなる確率分布が形成される。
【0086】
また、シンボルマッピング部27xは、BICMのシンボルマッピング部27とは異なるシンボルマッピングを行う。
【0087】
図10Aは、シンボルマッピングの他の例を示す図である。図10Aにおいて、図6と共通する内容の説明は省略する。
【0088】
シンボルマッピング部27xは、レベル-0~2の各ビット列をセットパーティショニング(Set-partitioning)によりシンボルにマッピングする。セットパーティショニングにおけるレベル-0,1の各ビット列の値の配列はグレイコードとは異なる。
【0089】
この配列によると、復号化回路121のHD-FEC復号部45xが多段階復号(MSD: Multi-Stage Decoding)を行うことによりコンスタレーション内の各シンボル間のユークリッド距離をグレイコードの場合より長くすることができる。例えば、LSBであるレベル-0のビット列がI値=1かつQ値=0として正しく復号化された場合、コンスタレーション内の実線の丸のシンボルのみが復号化対象のシンボルとして限定的に使用される。
【0090】
このため、SD-FECをレベル-0のビット列だけに適用しているにもかかわらず、上位のレベル-1,2のビット列のエラーを低減して、誤り訂正能力の低下を抑制することができる。
【0091】
また、PS変換部29xは、中心点Oに近いシンボルほど、シンボル割り当ての確率が高くなるように、XOR演算器23xによりレベル-0のビット列の値にレベル-2のビット列の値をXORする。
【0092】
図10Bは、XOR前後のシンボル割り当ての確率分布の一例を示す図である。なお、図10Bにおいて、図7と共通する内容の説明は省略する。
【0093】
DM処理部21a,21bは、レベル-0,1の各ビット列の値を「0」より「1」が多くなるようにそれぞれ変換するため、レベル-0,1の各ビット列の値が両方とも「1」となる確率が高くなる(符号m3参照)。ここで、セットパーティショニングでは、レベル-0のビット列のI値及びQ値の配列が中心点Oを挟んで非対称である。このため、中心点Oを挟んだ一方の側において、XOR前のシンボル割り当ての確率分布は、中心点Oに最も近いシンボルP3が、その外側のシンボルP4より低くなってしまう。
【0094】
しかし、セットパーティショニングの配列において、レベル-0のビット列の値は、中心点Oを挟んで対称なレベル-2のビット列の値とXORされることにより「0」となる確率が高くなる。このため、レベル-0,1の各ビット列の値がそれぞれ「0」及び「1」となる確率が高くなり(符号m4参照)、XOR後のシンボル割り当ての確率分布は、中心点Oに最も近いシンボルP3が、その外側のシンボルP4より高くなる。
【0095】
また、レベル-2のビット列の値は、HD-FEC生成部24xにより生成されたHD-FECパリティである。HD-FECパリティのマーク率は50(%)近くに維持されるため、第1~第4象限がほぼ同一の確率で選択される。
【0096】
図8及び図9で示されるように、MLCを用いたフレームでは、SD-FECパリティがレベル-0のビット列のみから生成されるため、BICMを用いる場合より消費電力が低減される。
【0097】
しかし、MLCを用いる場合、レベル-0のビット列のみに、DM処理できないSD-FECパリティ(符号911参照)が挿入されるため、BICMを用いる場合と比べると、PSによるノイズ耐力向上の効果が低下するおそれがある。また、レベル-1のビット列には、DM処理されないHD-FECパリティ(符号910参照)が挿入されるため、やはりPSによるノイズ耐力向上の効果が低下するおそれがある。
【0098】
これに対し、以下の例のように、SD-FECパリティ及びHD-FECパリティがDM処理対象外のレベル-2のビット列に挿入されれば、ノイズ耐力向上の効果の低下が抑制される。
【0099】
図11は、MLCを用いる符号化回路120の他の例を示す構成図である。図11において図8と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0100】
符号化回路120は、PS変換部29x、HD-FEC生成部24x’、SD-FEC生成部25x’、及びシンボルマッピング部27xを有する。PS変換部29xは、DM処理部21a,21b及びXOR演算器23xを有する。なお、本例では多値変調方式として64QAMを挙げるが、これに限定されない。
【0101】
符号92は、シンボルマッピング部27xに入力されるフレーム内の各ビット列の内容を示す。レベル-0のビット列には、DM処理済みのデータ#0、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティが含まれる。レベル-1のビット列には、DM処理済みのデータ#1が含まれ、レベル-2のビット列には、DM処理済みのデータ#2が含まれる。なお、レベル-2のビット列において、データ#2が含まれる期間を期間Tpとし、SD-FECパリティ及びHD-FECパリティが含まれる期間を期間Tqとする。
【0102】
上記のフレームフォーマットが形成されるように、HD-FEC生成部24x’は、HD-FEC生成部24xと同様にHD-FECパリティを生成するが、HD-FEC生成部24xとは異なるレベル-2のビット列に挿入する。また、SD-FEC生成部25x’は、SD-FEC生成部25xと同様にSD-FECパリティを生成するが、SD-FEC生成部25xとは異なり、レベル-2のビット列内のデータ#2からSD-FECパリティを生成してレベル-2のビット列に挿入する。
【0103】
期間Tq内のSD-FECパリティの値は、符号912で示されるデータ#0の全体に対する演算処理により決定されるビット列である。このため、期間Tqの開始時間においてSD-FECパリティの値は未決定である。
【0104】
また、期間Tq内のHD-FECパリティの値は、符号913で示されるデータ#0,#1の全体に対する演算処理により決定されるビット列である。このため、期間Tqの開始時間においてSD-FECパリティの値は未決定である。
【0105】
したがって、期間TqにおいてXOR演算が正しく実行されない。XOR演算の目的は、図7に示されるようにXOR前後でシンボル割り当ての確率分布を変更することである。このため、XOR演算が正常に行われない場合、正常な確率分布が得られなくなり、PSによるノイズ耐力向上の効果が低下するおそれがある。
【0106】
(実施例)
そこで、本例の符号化回路120は、SD-FECパリティ及びHD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティ及びHD-FECパリティをXOR演算に用いる。HD-FECパリティは、フレーム内のレベル-0~2のデータ#0~#2から生成されて後続のフレーム内のレベル-2のビット列に挿入される。SD-FECパリティは、フレームの周期を分ける各期間のレベル-0のデータ#0から生成されて後続の期間のレベル-2のビット列に挿入される。
【0107】
したがって、確定済みのビット列であるSD-FECパリティ及びHD-FECパリティを用いてXOR演算が可能となるため、シンボル割り当ての確率分布が正常に形成される。
【0108】
(第1実施例)
図12は、第1実施例の符号化回路120が出力する出力信号Soutのフレームフォーマットを示す図である。本例では、多値変調方式として64QAMが用いられた場合を挙げる。この場合、フレーム内にはレベル-0~2のビット列を有する。なお、レベル-2のビット列は第1ビット列の一例であり、レベル-0のビット列は第2ビット列の一例である。
【0109】
フレーム#n,#(n+1)(n:正の整数)の周期Tは、複数の期間Ta,Tbと最後尾の期間Tcに分かれている。各フレーム#n,#(n+1)において、期間Tb,Taは繰り返し到来し、最後に期間Tcが到来する。フレーム#n,#(n+1)は、時系列において連続する2つのフレームの例である。フレーム#nの後続のフレーム#(n+1)はフレーム#nと同じ構成を有するため、その説明は省略する。
【0110】
フレーム#nのレベル-0のビット列には、DM処理対象のデータ#1~#5が含まれている。データ#1~#5は、それぞれ、一組の期間Ta,TbまたはTb,Tcにわたってビット列に含まれている。
【0111】
フレーム#nのレベル-1のビット列には、期間Ta~Tcによらず、DM処理対象のデータ#10が含まれている。
【0112】
フレーム#nのレベル-2のビット列には、DM処理対象外のデータ#30~#33、SD-FECパリティ(SD-PTY)#0~#4、及びHD-FECパリティ(HD-PTY)#0が含まれている。SD-FECパリティ#0~#4は、それぞれ、期間Tb内のビット列に挿入され、データ#30~#33は、それぞれ、期間Ta内のビット列に含まれている。また、HD-PTY#0は、最後尾の期間Tc内のビット列に挿入されている。
【0113】
SD-FECパリティ#1~#4は、その直前の一組の期間Ta,Tb内のデータ#1~#4から生成される。このため、SD-FECパリティ#1~#4は、生成元のデータ#1~#4から一組の期間Ta,Tbだけ遅延してビット列に挿入される。
【0114】
また、SD-FECパリティ#0は、フレーム#nの直前のフレーム#(n-1)(不図示)の最後尾のデータから生成される。また、期間Tb,Tc内のデータ#5は、フレーム#nの次のフレーム#(n+1)の先頭のSD-FECパリティ#5の生成元のデータである。このように、SD-FECパリティ#0~#5は、その生成元のデータの期間Ta,Tb(またはTb,Tc)より後の期間Ta,Tb(またはTb,Tc)に挿入される。なお、期間Ta,Tbの組及び期間Tb,Tcの組は、フレームの周期Tを分ける複数の期間の一例である。
【0115】
HD-FECパリティ#0は、その直前のフレーム#(n-1)の各ビット列に含まれるデータから生成される。また、フレーム#n内のデータ#1~#5,#10,#30~#33及びSD-FECパリティ#0~#4から、その次のフレーム#(n+1)のHD-FECパリティ#1が生成される。つまり、フレーム#n内のHD-FECパリティ#0を除く領域Xは、その次のフレーム#(n+1)のHD-FECパリティ#1の生成元となる。このように、HD-FECパリティ#0,#1は、その生成元のデータのフレーム#(n-1),#nの後続のフレーム#n,#(n+1)の期間Tcに挿入される。
【0116】
本例のフレームフォーマットによると、SD-FECパリティの生成元がレベル-0のビット列のみであるため、SD-FECパリティの演算領域は、レベル-0のビット列と、SD-FECパリティが挿入される期間Tcのレベル-2のビット列とに限定される。このため、SD-FECパリティの演算領域は、図3に示されたBICMのフレームフォーマットの場合より狭くなることで消費電力が低減される。
【0117】
さらにフレーム#nには複数のSD-FECパリティ#0~#4が含まれており、SD-FECパリティ#0~#4の演算領域が複数の領域に分割されている。このため、連続した1つの演算領域からSD-FECパリティを生成する場合より消費電力が低減される。
【0118】
また、SD-FECパリティ及びHD-FECパリティがDM処理対象外のレベル-2のビット列に挿入されているため、図9に示されたMLCの場合とは異なり、レベル-0,1のDM処理対象のデータ量の減少が抑制される。
【0119】
このため、符号化回路120及び復号化回路121は、上記のフレームフォーマットに基づき符号化処理及び復号化処理をそれぞれ行うことにより、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。以下に符号化回路120及び復号化回路121の各構成を説明する。
【0120】
図13は、第1実施例の符号化回路120を示す構成図である。図13において、図3と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、実施例の符号化方法は、以下に述べる符号化回路120の符号化処理である。以下に図12及び図13を参照して説明する。
【0121】
符号化回路120は、動作制御部20、PS変換部29y、HD-FEC生成部24y、SD-FEC生成部25y、シンボルマッピング部27y、セレクタ(SEL)26a,26b、HD遅延生成部28a、及びSD遅延生成部28bを有する。PS変換部29yは、DM処理部21a,21b、セレクタ(SEL)22、及びXOR演算器23yを有する。
【0122】
動作制御部20は、フレームの周期T内の期間Ta~Tcを切り替える。例えば動作制御部20は、期間Ta~Tcに応じてセレクタ22,26a,26bを制御する。
【0123】
図13において、四角で囲った「H」はHD-FECパリティ(HDパリティ)の出力と入力の接続関係を示し、四角で囲った「S」はSD-FECパリティ(SDパリティ)の出力と入力の接続関係を示す。なお、上記の表記は、図13以降の図面にも同様に用いられる。また、四角で囲った「L2」はレベル-2のビット列内のデータの出力と入力の接続関係を示す。
【0124】
また、セレクタ22,26a,26bの入力信号に付された符号(Ta,Tb,Tc)は、その入力信号が選択される期間Ta,Tb,Tcを示す。例えば、セレクタ26aは、入力信号として、期間TaではHD-FECパリティを選択し、期間TbではSD-FECパリティを選択する。なお、上記の表記は、図13以降の図面にも同様に用いられる。
【0125】
レベル-0~2の各ビット列はPS変換部29yに入力される。PS変換部29yは、変換部の一例であり、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-2以外のレベル-0,1の各ビット列の値を変換する。レベル-2のビット列内のデータ#30~#33はセレクタ22,26aに入力される。
【0126】
レベル-0,1のビット列はDM処理部21a,21bにそれぞれ入力される。DM処理済みのレベル-1のビット列はHD-FEC生成部24yに入力される。また、DM処理済みのレベル-0のビット列はXOR演算器23yに入力される。
【0127】
XOR演算器23yは、DM処理部21bから出力されたレベル-0のビット列と、セレクタ22により選択されたデータとのXOR演算を行う。XOR後のレベル-0のビット列はHD-FEC生成部24y及びSD-FEC生成部25yに入力される。
【0128】
セレクタ22には、レベル-2のビット列内のデータ#30~#33、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティが入力される。セレクタ22は、動作制御部20が制御する期間Ta~Tcに応じてレベル-2のビット列内のデータ#30~#33、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティの何れかを入力信号として選択する。
【0129】
セレクタ22は、期間Taではレベル-2のビット列内のデータ#30~#33を選択し、期間TbではSD-FECパリティを選択し、期間TcではHD-FECパリティを選択する。選択された入力信号はXOR演算器23に入力される。このため、レベル-2のビット列内のSD-FECパリティ、HD-FECパリティ、及びデータ#30~#33が期間Ta~Tcに応じてXOR演算に用いられる。
【0130】
SD-FEC生成部25yは、第2生成部の一例であり、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcにおいて、レベル-0のビット列からSD-FECパリティを生成する。SD-FEC生成部25yは、レベル-0の期間Ta,Tb内のデータ#1~#4または期間Tb,Tc内のデータ#5からSD-FECパリティを算出してSD遅延生成部28bに出力する。
【0131】
SD遅延生成部28bは、第2挿入部の一例であり、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティの生成元のレベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入する。SD遅延生成部28bは、期間Ta,Tbまたは期間Tb,TcごとにSD-FEC生成部25yから入力されるSD-FECパリティを期間Ta,Tbの合計期間または期間Tb,Tcの合計期間だけ遅延させてセレクタ22,26aに出力する。なお、期間Ta,Tbの合計期間と期間Tb,Tcの合計期間は同一であっても異なっていてもよい。
【0132】
セレクタ26aには、レベル-2のビット列内のデータ#30~#33及びSD-FECパリティが入力される。セレクタ26aは、動作制御部20が制御する期間Ta,Tbに応じてレベル-2のビット列内のデータ#30~#33及びSD-FECパリティの何れかを入力信号として選択する。セレクタ26aは、期間Taではレベル-2のビット列内のデータ#30~#33を選択してHD-FEC生成部24yに出力し、期間TbではSD-FECパリティを選択してHD-FEC生成部24yに出力する。
【0133】
HD-FEC生成部24yは、第1生成部の一例であり、フレームごとにレベル-0~2の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。レベル-2のビット列内には、データ#30~#33及びSD-FECパリティが交互に含まれるが、HD-FEC生成部24yは、セレクタ26aの切り替えによって、期間Taではデータ#30~#33からHD-FECパリティを生成し、期間TbではSD-FECパリティからHD-FECパリティを生成する。
【0134】
HD-FEC生成部24yは、フレームごとにレベル-0~2の各ビット列の値からHD-FECパリティを算出してHD遅延生成部28aに出力する。なお、HD-FEC生成部24yは、期間Tc中、セレクタ26aからレベル-2のビット列の入力がなく、他のレベル-0,1の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。
【0135】
HD遅延生成部28aは、第1挿入部の一例であり、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入する。HD遅延生成部28aは、HD-FECパリティをフレームの周期T分だけ遅延させてセレクタ22に出力する。
【0136】
HD-FEC生成部24yは、DM処理部21a,21bからそれぞれ入力されたレベル-0,1の各ビット列をそのままシンボルマッピング部27yに出力する。また、HD-FEC生成部24yは、セレクタ26aから入力されたレベル-2のビット列内のデータ#30~#33またはSD-FECパリティをそのままセレクタ26bに出力する。
【0137】
セレクタ26bは、動作制御部20の期間Ta~Tcの制御に従って入力信号を選択する。セレクタ26bは、期間Ta,Tbではレベル-2のビット列内のデータ#30~#33またはSD-FECパリティを選択し、期間TcではHD-FECパリティを選択する。セレクタ26bは、選択した入力信号をレベル-2のビット列としてシンボルマッピング部27yに出力する。
【0138】
シンボルマッピング部27yは、割当部の一例であり、64QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0~2の各ビット列の値に応じたシンボルをレベル-0~2のビット列に割り当てる。シンボルマッピング部27yはセットパーティショニングによるシンボルマッピングを行う。シンボルマッピング部27yは、レベル-0~2の各ビット列を出力信号Soutとして出力する。
【0139】
また、セレクタ22には、HD遅延生成部28aからHD-FECパリティが入力され、SD遅延生成部28bからSD-FECパリティが入力される。このため、XOR演算器23yにおいて、遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティが用いられる。
【0140】
これにより、PS変換部29yは、後段のHD-FEC生成部24y及びSD-FEC生成部25yによりそれぞれ確定されたHD-FECパリティ及びSD-FECパリティを用いてレベル-0のビット列を変換することができる。したがって、シンボル割り当ての確率分布が正常に形成される。
【0141】
このように、シンボルマッピング部27yは、64QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0~2の各ビット列の値に応じたシンボルをレベル-0~2のビット列に割り当てる。PS変換部29yは、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-2のビット列以外のレベル-0,1の各ビット列の値を変換する。
【0142】
HD-FEC生成部24yは、フレームごとにレベル-0~2の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。HD遅延生成部28aは、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入する。
【0143】
SD-FEC生成部25yは、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcにおいて、レベル-0のビット列からSD-FECパリティを生成する。SD遅延生成部28bは、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティの生成元のレベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入する。
【0144】
また、PS変換部29yは、レベル-0のビット列の値の変換に、遅延したSD-FECパリティ及びHD-FECパリティを用いる。
【0145】
上記の構成によると、HD-FECパリティ及びSD-FECパリティが、PS変換部29yによる変換対象外、つまりDM処理対象外のレベル-2のビット列に挿入されるため、図9に示されたMLCの場合とは異なり、レベル-0,1のDM処理対象のデータ量の減少が抑制され、ノイズ耐力向上の効果の低下が抑制される。
【0146】
また、SD-FECパリティは、レベル-0のビット列のみから生成されるため、SD-FECパリティの演算領域が、図3に示されたBICMの場合より狭くなり、消費電力が低減される。さらにSD-FECパリティは、フレームの周期Tを分ける期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcごとに生成されるため、フレーム全体から1つのSD-FECパリティを生成する場合より消費電力が低減される。
【0147】
また、HD-FECパリティは遅延して後続のフレームに挿入され、SD-FECパリティは遅延して、その生成元のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcに挿入される。その遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティはレベル-0のビット列の値の変換に用いられるため、確定済みのHD-FECパリティ及びSD-FECパリティにより、シンボル割り当ての確率分布が正常に形成される。
【0148】
よって、本例の符号化回路120によると、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【0149】
図14は、第1実施例の復号化回路121を示す構成図である。図14において、図4と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、実施例の復号化方法は、以下に述べる復号化回路121の符号化処理である。以下に図12及び図14を参照して説明する。
【0150】
復号化回路121は、動作制御部40、軟判定部41y、SD-FEC復号部42y、硬判定部43y、セレクタ44a、HD-FEC復号部45y、ビット遅延生成部46a、データ遅延生成部46b、HD遅延調整部46c、及びPS逆変換部49yを有する。PS逆変換部49yは、セレクタ44b、パリティ遅延生成部46d、XOR演算器47y、及びIDM処理部48a,48bを含む。
【0151】
動作制御部40は、例えばフレームの同期情報に従って、期間Ta~Tcを硬判定部43y、軟判定部41y、及びセレクタ44a,44bに通知する。セレクタ44a,44bは、期間Ta~Tcの通知に従って入力信号を選択する。硬判定部43yは、期間Tbの通知に従ってレベル-2のビット列からSD-FECパリティを検出し、軟判定部41yは、期間Tcの通知に従ってレベル-2のビット列からHD-FECパリティを検出する。
【0152】
入力信号Sin’はアナログ-デジタル変換部13から軟判定部41y及び硬判定部43yに分かれて入力される。硬判定部43yの前段には、入力信号Sin’を遅延させるデータ遅延生成部46bが設けられている。
【0153】
軟判定部41yは、第2判定部の一例であり、64QAMのコンスタレーション内のシンボルが割り当てられたフレーム内のレベル-0のビット列の値をシンボルに基づき軟判定する。このとき、軟判定部41yは、セットパーティショニングによるシンボルデマッピングを行う。軟判定部41yは、軟判定の結果に基づき、期間Ta内のレベル-2のビット列からSD-FECパリティを取り出してSD-FEC復号部42yに出力する。
【0154】
また、軟判定部41yは、軟判定の結果に基づきレベル-0のビット列内のデータ#1~#5をSD-FEC復号部42yに出力する。SD-FEC復号部42yの前段には、レベル-0のビット列を遅延させるビット遅延生成部46aが設けられている。
【0155】
ビット遅延生成部46aは、第2遅延部の一例であり、レベル-0のビット列を期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tc分だけ遅延させる。このため、レベル-0のビット列は、符号化回路120において、期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcの合計期間分だけ遅延したSD-FECパリティと同期してSD-FEC復号部42yに入力される。
【0156】
SD-FEC復号部42yは、第2訂正部の一例であり、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入されたSD-FECに基づいて軟判定部41yの軟判定の結果の誤りを訂正する。つまり、SD-FEC復号部42yは、SD-FECパリティに基づきレベル-0のビット列を復号化する。
【0157】
SD-FEC復号部42yにSD-FECパリティが入力されるタイミングは、レベル-0のビット列がSD-FEC復号部42に入力されるタイミングと同期している。このため、SD-FEC復号部42yは、レベル-0のビット列の値を、その期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,TcのSD-FECパリティにより訂正することができる。図12の例の場合、レベル-0のビット列内のデータ#1はSD-FECパリティ#1により訂正され、レベル-0のビット列内のデータ#2はSD-FECパリティ#2により訂正される。
【0158】
レベル-0のビット列はSD-FEC復号部42yから硬判定部43y及びHD遅延調整部46cに入力される。SD-FECパリティはSD-FEC復号部42yからセレクタ44aに入力される。
【0159】
また、硬判定部43yは、第2判定部の一例であり、64QAMのコンスタレーション内のシンボルが割り当てられたレベル-0~2のビット列のうち、レベル-1,2の各ビットの値をシンボルに基づき硬判定する。例えば硬判定部43yは、SD-FEC復号部42yから入力されたレベル-0のビット列の硬判定に用いる。このとき、硬判定部43yは、セットパーティショニングによるシンボルデマッピングを行う。レベル-2のビット列は硬判定部43yからセレクタ44aに入力され、レベル-1のビット列は硬判定部43yからHD遅延調整部46cに入力される。また、硬判定部43yは、硬判定の結果に基づき、レベル-2のビット列からHD-FECパリティを取り出してHD-FEC復号部45y出力する。
【0160】
また、データ遅延生成部46bは、硬判定部43yに入力される各ビット列を遅延させる。データ遅延生成部46bは、ビット遅延生成部46aと同じ時間だけ各ビット列を遅延させる。これにより、硬判定部43yにレベル-1,2の各ビット列及びHD-FECパリティが入力されるタイミングと、SD-FEC復号部42yにビット列及びSD-FECパリティが入力されるタイミングとが揃う。
【0161】
セレクタ44aは、動作制御部20の期間Ta~Tcの制御に従って、レベル-2のビット列内のデータ#30~#33とSD-FECパリティから期間Ta~Tcに応じた入力信号を選択する。セレクタ44aは、期間Taではレベル-2のビット列内のデータ#30~#33をHD遅延調整部46cに出力し、期間TbではSD-FECパリティをHD遅延調整部46cに出力する。
【0162】
HD遅延調整部46cは、第1遅延部の一例であり、レベル-0~2の各ビット列をフレームの周期T分だけ遅延させてHD-FEC復号部45yに出力する。
【0163】
HD-FEC復号部45yは、第1訂正部の一例であり、フレームごとにレベル-2のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて硬判定部43yの硬判定の結果の誤りを訂正する。レベル-0~2の各ビット列はフレームの周期T分だけ遅延して入力されるため、HD-FEC復号部45yは、レベル-0~2の各ビット列を、その後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて訂正することができる。HD-FEC復号部45yは、レベル-0~2の各ビット列をPS逆変換部49yに出力する。
【0164】
PS逆変換部49yは、逆変換部の一例であり、DM処理により変換されたレベル-0,1の各ビット列の値を逆変換する。HD-FECパリティはパリティ遅延生成部46dに入力され、レベル-1のビット列はIDM処理部48aに入力される。また、レベル-0のビット列はXOR演算器47yに入力され、レベル-2のビット列はセレクタ44bに入力される。
【0165】
パリティ遅延生成部46dは、HD-FECパリティをフレームの周期T内の期間Tcに合わせて遅延させてセレクタ44bに出力する。
【0166】
セレクタ44bは、動作制御部40の期間Ta~Tcの制御に従って、レベル-2のビット列とHD-FECパリティから入力信号を選択する。セレクタ44bは、期間Ta,Tbではレベル-2のビット列を選択してXOR演算器47yに出力し、期間Tcでは遅延したHD-FECパリティを選択してXOR演算器47yに出力する。
【0167】
XOR演算器47yは、レベル-0のビット列に、セレクタ44bからのレベル-2のビット列またはHD-FECパリティをXOR演算する。HD-FECパリティは、期間Tcに合わせて遅延してXOR演算器47yに入力されるため、レベル-0のビット列は、符号化回路120のXOR演算器23yによるXOR前の値に正常に変換される。XOR後のレベル-0のビット列はIDM処理部48bに入力される。
【0168】
レベル-2のビット列、及びIDM処理部48a,48bによりInverse-DM処理されたレベル-0,1の各ビット列は、例えばパラレル-シリアル変換により出力信号Sout’としてフレーマチップ11に出力される。
【0169】
このように、HD遅延調整部46cは、レベル-1,2の各ビット列の硬判定の結果の誤りが、その後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて訂正されるように、レベル-0~2の各ビット列を遅延させる。このため、符号化回路120のHD遅延生成部28aがHD-FECパリティに与えた遅延時間が解消する。
【0170】
また、ビット遅延生成部46aは、レベル-0のビット列の軟判定の結果の誤りが、レベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入されたSD-FECパリティに基づいて訂正されるように、レベル-0のビット列を遅延させる。このため、符号化回路120のSD遅延生成部28bがSD-FECパリティに与えた遅延時間が解消する。
【0171】
したがって、復号化回路121は、符号化回路120により遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティに基づいてレベル-0~2の各ビット列の硬判定及び軟判定の誤りを訂正することができる。
【0172】
PS逆変換部49yは、ビット遅延生成部46a及びHD遅延調整部46cにより遅延したレベル-0のビット列の値の逆変換に、その後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入されたHD-FECパリティ、及び、その期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcに挿入されたSD-FECパリティを用いる。
【0173】
このため、PS逆変換部49yは、符号化回路120により遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティを用いてレベル-0のビット列を正常に逆変換することができる。
【0174】
したがって、復号化回路121は、符号化回路120の符号化に対応してビット列を復号化することができ、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【0175】
(第2実施例)
図15は、第2実施例の符号化回路120が出力する出力信号Soutのフレームフォーマットを示す図である。本例では、多値変調方式として256QAMが用いられた場合を挙げる。この場合、フレーム内にはレベル-0~3の各ビット列を有する。なお、図15において、図12と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0176】
フレーム#nのレベル-1,2の各ビット列には、期間Ta~Tcによらず、DM処理対象のデータ#10,#20がそれぞれ含まれている。
【0177】
フレーム#nのレベル-3のビット列には、DM処理対象外のデータ#30~#33、SD-FECパリティ(SD-PTY)#0~#4、及びHD-FECパリティ(HD-PTY)#0が含まれている。SD-FECパリティ#0~#4は、それぞれ、期間Tb内のビット列に挿入され、データ#30~#33は、それぞれ、期間Ta内のビット列に含まれている。また、HD-PTY#0は、最後尾の期間Tc内のビット列に挿入されている。
【0178】
本例のフレームフォーマットは、第1実施例のフレームフォーマットと比較すると、DM処理済みのデータ#120を含むレベル-2のビット列が追加されているが、他のレベル-0,1,3の構成は同一である。このため、本例のフレームフォーマットによると、第1実施例のフレームフォーマットと同様の効果が得られる。
【0179】
このため、符号化回路120及び復号化回路121は、上記のフレームフォーマットに基づき符号化処理及び復号化処理をそれぞれ行うことにより、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。以下に符号化回路120及び復号化回路121の各構成を説明する。
【0180】
図16は、第2実施例の符号化回路120を示す構成図である。実施例の符号化方法は、以下に述べる符号化回路120の符号化処理である。以下に図15及び図16を参照して説明する。
【0181】
符号化回路120は、動作制御部70、PS変換部79、HD-FEC生成部74、SD-FEC生成部75、シンボルマッピング部77、セレクタ(SEL)72b,72c、HD遅延生成部78a、及びSD遅延生成部78bを有する。PS変換部79は、DM処理部71a~71c、セレクタ(SEL)72a、及びXOR演算器73a,73bを有する。
【0182】
レベル-0~3の各ビット列はPS変換部79に入力される。PS変換部79は、変換部の一例であり、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-3以外のレベル-0~2の各ビット列の値を変換する。レベル-3のビット列内のデータ#30~#33はセレクタ72a,72bに入力される。
【0183】
レベル-0~2のビット列はDM処理部71a~71cにそれぞれ入力される。DM処理部71a~71cは、DM処理部21a,21bと同様にDM処理を行う。DM処理済みのレベル-2のビット列はHD-FEC生成部74に入力される。また、DM処理済みのレベル-0,1のビット列はXOR演算器73a,73bにそれぞれ入力される。
【0184】
XOR演算器73aは、DM処理部21bから出力されたレベル-1のビット列と、DM処理部71cから出力されたレベル-0のビット列とのXOR演算を行う。XOR後のレベル-1のビット列はHD-FEC生成部74に入力される。
【0185】
XOR演算器73bは、DM処理部71cから出力されたレベル-0のビット列と、セレクタ72aにより選択されたデータとのXOR演算を行う。XOR後のレベル-0のビット列はHD-FEC生成部74及びSD-FEC生成部75に入力される。
【0186】
セレクタ72aには、レベル-3のビット列内のデータ#30~#33、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティが入力される。セレクタ72aは、動作制御部70が制御する期間Ta~Tcに応じてレベル-3のビット列、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティの何れかを入力信号として選択する。
【0187】
セレクタ72aは、期間Taではレベル-3のビット列を選択し、期間TbではSD-FECパリティを選択し、期間TcではHD-FECパリティを選択する。選択された入力信号はXOR演算器73bに入力される。このため、レベル-3のビット列内のSD-FECパリティ、HD-FECパリティ、及びデータ#30~#33が期間Ta~Tcに応じてXOR演算に用いられる。
【0188】
SD-FEC生成部75は、第2生成部の一例であり、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcにおいて、レベル-0のビット列からSD-FECパリティを生成する。SD-FEC生成部75は、レベル-0の期間Ta,Tb内のデータ#1~#4または期間Tb,Tc内のデータ#5からSD-FECパリティを算出してSD遅延生成部78bに出力する。
【0189】
SD遅延生成部78bは、第2挿入部の一例であり、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティの生成元のレベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入する。SD遅延生成部78bは、期間Ta,Tbまたは期間Tb,TcごとにSD-FEC生成部75から入力されるSD-FECパリティを期間Ta,Tbの合計期間または期間Tb,Tcの合計期間だけ遅延させてセレクタ72a,72bに出力する。
【0190】
セレクタ72bには、レベル-3のビット列内のデータ#30~#33及びSD-FECパリティが入力される。セレクタ72bは、動作制御部20が制御する期間Ta,Tbに応じてレベル-3のビット列内のデータ#30~#33及びSD-FECパリティの何れかを入力信号として選択する。セレクタ72bは、期間Taではレベル-3のビット列内のデータ#30~#33を選択してHD-FEC生成部74に出力し、期間TbではSD-FECパリティを選択してHD-FEC生成部74に出力する。
【0191】
HD-FEC生成部74は、第1生成部の一例であり、フレームごとにレベル-0~3の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。レベル-3のビット列内には、データ#30~#33及びSD-FECパリティが交互に含まれるが、HD-FEC生成部74は、セレクタ72bの切り替えによって、期間Taではデータ#30~#33からHD-FECパリティを生成し、期間TbではSD-FECパリティからHD-FECパリティを生成する。
【0192】
HD-FEC生成部74は、フレームごとにレベル-0~3の各ビット列の値からHD-FECパリティを算出してHD遅延生成部78aに出力する。なお、HD-FEC生成部74は、期間Tc中、セレクタ72bからレベル-3のビット列の入力がなく、他のレベル-0~2の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。
【0193】
HD遅延生成部78aは、第1挿入部の一例であり、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入する。HD遅延生成部78aは、HD-FECパリティをフレームの周期T分だけ遅延させてセレクタ72a,72cに出力する。
【0194】
HD-FEC生成部74は、DM処理部71a~71cからそれぞれ入力されたレベル-2,1,0の各ビット列をそのままシンボルマッピング部77に出力する。また、HD-FEC生成部74は、セレクタ72bから入力されたレベル-3のビット列内のデータ#30~#33またはSD-FECパリティをそのままセレクタ72cに出力する。
【0195】
セレクタ72cは、動作制御部70の期間Ta~Tcの制御に従って入力信号を選択する。セレクタ26bは、期間Ta,Tbではレベル-3のビット列内のデータ#30~#33またはSD-FECパリティを選択し、期間TcではHD-FECパリティを選択する。セレクタ72cは、選択した入力信号をレベル-3のビット列としてシンボルマッピング部77に出力する。
【0196】
シンボルマッピング部77は、割当部の一例であり、256QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0~3の各ビット列の値に応じたシンボルをレベル-0~3のビット列に割り当てる。シンボルマッピング部77はセットパーティショニングによるシンボルマッピングを行う。シンボルマッピング部77は、レベル-0~3の各ビット列を出力信号Soutとして出力する。
【0197】
また、セレクタ72aには、HD遅延生成部78aからHD-FECパリティが入力され、SD遅延生成部28bからSD-FECパリティが入力される。このため、XOR演算器73bにおいて、遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティが用いられる。
【0198】
これにより、PS変換部79は、後段のHD-FEC生成部74及びSD-FEC生成部75によりそれぞれ確定されたHD-FECパリティ及びSD-FECパリティを用いてレベル-0のビット列を変換することができる。したがって、シンボル割り当ての確率分布が正常に形成される。
【0199】
このように、シンボルマッピング部77は、256QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0~3の各ビット列の値に応じたシンボルをレベル-0~3のビット列に割り当てる。PS変換部79は、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-3のビット列以外のレベル-0~2の各ビット列の値を変換する。
【0200】
HD-FEC生成部74は、フレームごとにレベル-0~3の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。HD遅延生成部78aは、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの後続のフレームのレベル-3のビット列に挿入する。
【0201】
SD-FEC生成部75は、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcにおいて、レベル-0のビット列からSD-FECパリティを生成する。SD遅延生成部78bは、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティの生成元のレベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入する。
【0202】
また、PS変換部79は、レベル-0のビット列の値の変換に、遅延したSD-FECパリティ及びHD-FECパリティを用いる。
【0203】
上記の構成は、第1実施例の構成と比較すると、DM処理済みのレベル-2のビット列が追加されたことによる差分があるが、他の部分は共通である。したがって、本例の符号化回路120によると、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【0204】
図17は、第2実施例の復号化回路121を示す構成図である。実施例の復号化方法は、以下に述べる復号化回路121の符号化処理である。以下に図15及び図17を参照して説明する。
【0205】
復号化回路121は、動作制御部80、軟判定部81、SD-FEC復号部82、硬判定部83、セレクタ84a、HD-FEC復号部85、ビット遅延生成部86a、データ遅延生成部86b、HD遅延調整部86c、及びPS逆変換部89を有する。PS逆変換部89は、セレクタ84b、パリティ遅延生成部86d、XOR演算器87a,87b、及びIDM処理部88a~88cを含む。
【0206】
動作制御部80は、例えばフレームの同期情報に従って、期間Ta~Tcを硬判定部83、軟判定部81、及びセレクタ84a,84bに通知する。セレクタ84a,84bは、期間Ta~Tcの通知に従って入力信号を選択する。硬判定部83は、期間Tbの通知に従ってレベル-2のビット列からSD-FECパリティを検出し、軟判定部81は、期間Tcの通知に従ってレベル-2のビット列からHD-FECパリティを検出する。
【0207】
入力信号Sin’はアナログ-デジタル変換部13から軟判定部81及び硬判定部83に分かれて入力される。硬判定部83の前段には、入力信号Sin’を遅延させるデータ遅延生成部86bが設けられている。
【0208】
軟判定部81は、第2判定部の一例であり、256QAMのコンスタレーション内のシンボルが割り当てられたフレーム内のレベル-0のビット列の値をシンボルに基づき軟判定する。このとき、軟判定部81は、セットパーティショニングによるシンボルデマッピングを行う。軟判定部81は、軟判定の結果に基づき、期間Ta内のレベル-2のビット列からSD-FECパリティを取り出してSD-FEC復号部82に出力する。
【0209】
また、軟判定部81は、軟判定の結果に基づきレベル-0のビット列内のデータ#1~#5をSD-FEC復号部82に出力する。SD-FEC復号部82の前段には、レベル-0のビット列を遅延させるビット遅延生成部86aが設けられている。
【0210】
ビット遅延生成部86aは、第2遅延部の一例であり、レベル-0のビット列を期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tc分だけ遅延させる。このため、レベル-0のビット列は、符号化回路120において、期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcの合計期間分だけ遅延したSD-FECパリティと同期してSD-FEC復号部82に入力される。
【0211】
SD-FEC復号部82は、第2訂正部の一例であり、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入されたSD-FECに基づいて軟判定部81の軟判定の結果の誤りを訂正する。つまり、SD-FEC復号部82は、SD-FECパリティに基づきレベル-0のビット列を復号化する。
【0212】
SD-FEC復号部82にSD-FECパリティが入力されるタイミングは、レベル-0のビット列がSD-FEC復号部82に入力されるタイミングと同期している。このため、SD-FEC復号部82は、レベル-0のビット列の値を、その期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,TcのSD-FECパリティにより訂正することができる。図15の例の場合、レベル-0のビット列内のデータ#1はSD-FECパリティ#1により訂正され、レベル-0のビット列内のデータ#2はSD-FECパリティ#2により訂正される。
【0213】
レベル-0のビット列はSD-FEC復号部82から硬判定部43及びHD遅延調整部86cに入力される。SD-FECパリティはSD-FEC復号部82からセレクタ84aに入力される。
【0214】
また、硬判定部83は、第2判定部の一例であり、256QAMのコンスタレーション内のシンボルが割り当てられたレベル-0~3のビット列のうち、レベル-1~3の各ビットの値をシンボルに基づき硬判定する。例えば硬判定部83は、SD-FEC復号部82から入力されたレベル-0のビット列の硬判定に用いる。このとき、硬判定部83は、セットパーティショニングによるシンボルデマッピングを行う。レベル-3のビット列は硬判定部83からセレクタ84aに入力され、レベル-1,2のビット列は硬判定部83からHD遅延調整部86cに入力される。また、硬判定部83は、硬判定の結果に基づき、レベル-3のビット列からHD-FECパリティを取り出してHD-FEC復号部85に出力する。
【0215】
また、データ遅延生成部86bは、硬判定部83に入力される各ビット列を遅延させる。データ遅延生成部86bは、ビット遅延生成部86aと同じ時間だけ各ビット列を遅延させる。これにより、硬判定部83にレベル-1,2の各ビット列及びHD-FECパリティが入力されるタイミングと、SD-FEC復号部82にビット列及びSD-FECパリティが入力されるタイミングとが揃う。
【0216】
セレクタ84aは、動作制御部80の期間Ta~Tcの制御に従って、レベル-3のビット列内のデータ#30~#33とSD-FECパリティから入力信号を選択する。セレクタ84aは、期間Taではレベル-2のビット列内のデータ#30~#33をHD遅延調整部86cに出力し、期間TbではSD-FECパリティをHD遅延調整部86cに出力する。
【0217】
HD遅延調整部86cは、第1遅延部の一例であり、レベル-0~3の各ビット列をフレームの周期T分だけ遅延させてHD-FEC復号部85に出力する。
【0218】
HD-FEC復号部85は、第1訂正部の一例であり、フレームごとにレベル-3のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて硬判定部83の硬判定の結果の誤りを訂正する。レベル-0~3の各ビット列はフレームの周期T分だけ遅延して入力されるため、HD-FEC復号部85は、レベル-0~3の各ビット列を、その後続のフレームのレベル-3のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて訂正することができる。HD-FEC復号部85は、レベル-0~3の各ビット列をPS逆変換部89に出力する。
【0219】
PS逆変換部89は、逆変換部の一例であり、DM処理により変換されたレベル-0~2の各ビット列の値を逆変換する。HD-FECパリティはパリティ遅延生成部86dに入力され、レベル-2のビット列はIDM処理部88a及びXOR演算器87aに入力される。また、レベル-1,0の各ビット列はXOR演算器87a,87bにそれぞれ入力され、レベル-3のビット列はセレクタ84bに入力される。
【0220】
パリティ遅延生成部86dは、HD-FECパリティをフレームの周期T内の期間Tcに合わせて遅延させてセレクタ84bに出力する。
【0221】
セレクタ84bは、動作制御部80の期間Ta~Tcの制御に従って、レベル-3のビット列とHD-FECパリティから入力信号を選択する。セレクタ84bは、期間Ta,Tbではレベル-3のビット列を選択してXOR演算器87bに出力し、期間Tcでは遅延したHD-FECパリティを選択してXOR演算器87bに出力する。
【0222】
XOR演算器87aは、レベル-1のビット列にレベル-2のビット列をXOR演算する。XOR後のレベル-1のビット列はIDM処理部88bに入力される。
【0223】
XOR演算器87bは、レベル-0のビット列に、セレクタ84bからのレベル-3のビット列またはHD-FECパリティをXOR演算する。HD-FECパリティは、期間Tcに合わせて遅延してXOR演算器87bに入力されるため、レベル-0のビット列は、符号化回路120のXOR演算器73bによるXOR前の値に正常に変換される。XOR後のレベル-0のビット列はIDM処理部88cに入力される。
【0224】
レベル-3のビット列、及びIDM処理部88a~88cによりInverse-DM処理されたレベル-2,1,0の各ビット列は、例えばパラレル-シリアル変換により出力信号Sout’としてフレーマチップ11に出力される。
【0225】
このように、HD遅延調整部86cは、レベル-1~3の各ビット列の硬判定の結果の誤りが、その後続のフレームのレベル-2のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて訂正されるように、レベル-0~3の各ビット列を遅延させる。このため、符号化回路120のHD遅延生成部78aがHD-FECパリティに与えた遅延時間が解消する。
【0226】
また、ビット遅延生成部86aは、レベル-0のビット列の軟判定の結果の誤りが、レベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入されたSD-FECパリティに基づいて訂正されるように、レベル-0のビット列を遅延させる。このため、符号化回路120のSD遅延生成部78bがSD-FECパリティに与えた遅延時間が解消する。
【0227】
したがって、復号化回路121は、符号化回路120により遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティに基づいてレベル-0~3の各ビット列の硬判定及び軟判定の誤りを訂正することができる。
【0228】
PS逆変換部89は、ビット遅延生成部86a及びHD遅延調整部86cにより遅延したレベル-0のビット列の値の逆変換に、その後続のフレームのレベル-3のビット列に挿入されたHD-FECパリティ、及び、その期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcに挿入されたSD-FECパリティを用いる。
【0229】
このため、PS逆変換部89は、符号化回路120により遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティを用いてレベル-0のビット列を正常に逆変換することができる。
【0230】
したがって、復号化回路121は、符号化回路120の符号化に対応してビット列を復号化することができ、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【0231】
(第3実施例)
図18は、第3実施例の符号化回路120が出力する出力信号Soutのフレームフォーマットを示す図である。本例では、多値変調方式として16QAMが用いられた場合を挙げる。この場合、フレーム内にはレベル-0,1の各ビット列を有する。なお、図18において、図12と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0232】
フレーム#nのレベル-1のビット列には、DM処理対象外のデータ#30~#33、SD-FECパリティ(SD-PTY)#0~#4、及びHD-FECパリティ(HD-PTY)#0が含まれている。SD-FECパリティ#0~#4は、それぞれ、期間Tb内のビット列に挿入され、データ#30~#33は、それぞれ、期間Ta内のビット列に含まれている。また、HD-PTY#0は、最後尾の期間Tc内のビット列に挿入されている。
【0233】
本例のフレームフォーマットは、第1実施例のフレームフォーマットと比較すると、DM処理済みのデータ#10を含むビット列が削除されているが、他のレベル-0,1の構成は同一である。このため、本例のフレームフォーマットによると、第1実施例のフレームフォーマットと同様の効果が得られる。
【0234】
図19は、第3実施例の符号化回路120を示す構成図である。実施例の符号化方法は、以下に述べる符号化回路120の符号化処理である。以下に図18及び図19を参照して説明する。
【0235】
符号化回路120は、動作制御部50、PS変換部59、HD-FEC生成部54、SD-FEC生成部55、シンボルマッピング部57、セレクタ(SEL)56a,56b、HD遅延生成部58a、及びSD遅延生成部58bを有する。PS変換部59は、DM処理部51、セレクタ(SEL)52、及びXOR演算器53を有する。
【0236】
レベル-0,1の各ビット列はPS変換部59に入力される。PS変換部59は、変換部の一例であり、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-1以外のレベル-0のビット列の値を変換する。レベル-1のビット列内のデータ#30~#33はセレクタ52,56aに入力される。
【0237】
レベル-0のビット列はDM処理部51に入力される。DM処理部51は、DM処理部21a,21bと同様にDM処理を行う。DM処理済みのレベル-0のビット列はXOR演算器53に入力される。
【0238】
XOR演算器53は、DM処理部51から出力されたレベル-0のビット列と、セレクタ52により選択されたデータとのXOR演算を行う。XOR後のレベル-0のビット列はHD-FEC生成部54及びSD-FEC生成部55に入力される。
【0239】
セレクタ52には、レベル-1のビット列内のデータ#30~#33、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティが入力される。セレクタ22は、動作制御部50が制御する期間Ta~Tcに応じてレベル-1のビット列内のデータ#30~#33、SD-FECパリティ、及びHD-FECパリティの何れかを入力信号として選択する。
【0240】
セレクタ52は、期間Taではレベル-1のビット列内のデータ#30~#33を選択し、期間TbではSD-FECパリティを選択し、期間TcではHD-FECパリティを選択する。選択された入力信号はXOR演算器53に入力される。このため、レベル-1のビット列内のSD-FECパリティ、HD-FECパリティ、及びデータ#30~#33が期間Ta~Tcに応じてXOR演算に用いられる。
【0241】
SD-FEC生成部55は、第2生成部の一例であり、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcにおいて、レベル-0のビット列からSD-FECパリティを生成する。SD-FEC生成部55は、レベル-0の期間Ta,Tb内のデータ#1~#4または期間Tb,Tc内のデータ#5からSD-FECパリティを算出してSD遅延生成部58bに出力する。
【0242】
SD遅延生成部58bは、第2挿入部の一例であり、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティの生成元のレベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-1のビット列に挿入する。SD遅延生成部58bは、期間Ta,Tbまたは期間Tb,TcごとにSD-FEC生成部55から入力されるSD-FECパリティを期間Ta,Tbの合計期間または期間Tb,Tcの合計期間だけ遅延させてセレクタ52,56aに出力する。
【0243】
セレクタ56aには、レベル-1のビット列内のデータ#30~#33及びSD-FECパリティが入力される。セレクタ56aは、動作制御部50が制御する期間Ta,Tbに応じてレベル-1のビット列内のデータ#30~#33及びSD-FECパリティの何れかを入力信号として選択する。セレクタ56aは、期間Taではレベル-1のビット列内のデータ#30~#33を選択してHD-FEC生成部54に出力し、期間TbではSD-FECパリティを選択してHD-FEC生成部54に出力する。
【0244】
HD-FEC生成部54は、第1生成部の一例であり、フレームごとにレベル-0,1の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。レベル-1のビット列内には、データ#30~#33及びSD-FECパリティが交互に含まれるが、HD-FEC生成部54は、セレクタ56aの切り替えによって、期間Taではデータ#30~#33からHD-FECパリティを生成し、期間TbではSD-FECパリティからHD-FECパリティを生成する。
【0245】
HD-FEC生成部54は、フレームごとにレベル-0,1の各ビット列の値からHD-FECパリティを算出してHD遅延生成部58aに出力する。なお、HD-FEC生成部54は、期間Tc中、セレクタ56aからレベル-1のビット列の入力がなく、他のレベル-0の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。
【0246】
HD遅延生成部58aは、第1挿入部の一例であり、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの後続のフレームのレベル-1のビット列に挿入する。HD遅延生成部58aは、HD-FECパリティをフレームの周期T分だけ遅延させてセレクタ52,56bに出力する。
【0247】
HD-FEC生成部54は、DM処理部51から入力されたレベル-0のビット列をそのままシンボルマッピング部57に出力する。また、HD-FEC生成部54は、セレクタ56aから入力されたレベル-1のビット列内のデータ#30~#33またはSD-FECパリティをそのままセレクタ56bに出力する。
【0248】
セレクタ56bは、動作制御部50の期間Ta~Tcの制御に従って入力信号を選択する。セレクタ56bは、期間Ta,Tbではレベル-1のビット列内のデータ#30~#33またはSD-FECパリティを選択し、期間TcではHD-FECパリティを選択する。セレクタ56bは、選択した入力信号をレベル-1のビット列としてシンボルマッピング部57に出力する。
【0249】
シンボルマッピング部57は、割当部の一例であり、16QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0,1の各ビット列の値に応じたシンボルをレベル-0,1のビット列に割り当てる。シンボルマッピング部57はセットパーティショニングによるシンボルマッピングを行う。シンボルマッピング部57は、レベル-0,1の各ビット列を出力信号Soutとして出力する。
【0250】
また、セレクタ52には、HD遅延生成部58aからHD-FECパリティが入力され、SD遅延生成部58bからSD-FECパリティが入力される。このため、XOR演算器53において、遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティが用いられる。
【0251】
これにより、PS変換部59は、後段のHD-FEC生成部54及びSD-FEC生成部55によりそれぞれ確定されたHD-FECパリティ及びSD-FECパリティを用いてレベル-0のビット列を変換することができる。したがって、シンボル割り当ての確率分布が正常に形成される。
【0252】
このように、シンボルマッピング部57は、16QAMのコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、レベル-0,1の各ビット列の値に応じたシンボルをレベル-0,1のビット列に割り当てる。PS変換部59は、コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、レベル-1のビット列以外のレベル-0のビット列の値を変換する。
【0253】
HD-FEC生成部54は、フレームごとにレベル-0,1の各ビット列からHD-FECパリティを生成する。HD遅延生成部58aは、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの後続のフレームのレベル-1のビット列に挿入する。
【0254】
SD-FEC生成部55は、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcにおいて、レベル-0のビット列からSD-FECパリティを生成する。SD遅延生成部58bは、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティの生成元のレベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-1のビット列に挿入する。
【0255】
また、PS変換部59は、レベル-0のビット列の値の変換に、遅延したSD-FECパリティ及びHD-FECパリティを用いる。
【0256】
上記の構成は、第1実施例の構成と比較すると、DM処理済みのデータ#10のビット列が追加されたことによる差分があるが、他の部分は共通である。したがって、本例の符号化回路120によると、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【0257】
図20は、第3実施例の復号化回路121を示す構成図である。実施例の復号化方法は、以下に述べる復号化回路121の符号化処理である。以下に図18及び図20を参照して説明する。
【0258】
復号化回路121は、動作制御部60、軟判定部61、SD-FEC復号部62、硬判定部63、セレクタ64a、HD-FEC復号部65、ビット遅延生成部66a、データ遅延生成部66b、HD遅延調整部66c、及びPS逆変換部69を有する。PS逆変換部69は、セレクタ64b、パリティ遅延生成部66d、XOR演算器67、及びIDM処理部68a,68bを含む。
【0259】
動作制御部60は、例えばフレームの同期情報に従って、期間Ta~Tcを硬判定部63、軟判定部61、及びセレクタ64a,64bに通知する。セレクタ64a,64bは、期間Ta~Tcの通知に従って入力信号を選択する。硬判定部63は、期間Tbの通知に従ってレベル-1のビット列からSD-FECパリティを検出し、軟判定部61は、期間Tcの通知に従ってレベル-1のビット列からHD-FECパリティを検出する。
【0260】
入力信号Sin’はアナログ-デジタル変換部13から軟判定部61及び硬判定部63に分かれて入力される。硬判定部63の前段には、入力信号Sin’を遅延させるデータ遅延生成部66bが設けられている。
【0261】
軟判定部61は、第2判定部の一例であり、16QAMのコンスタレーション内のシンボルが割り当てられたフレーム内のレベル-0のビット列の値をシンボルに基づき軟判定する。このとき、軟判定部61は、セットパーティショニングによるシンボルデマッピングを行う。軟判定部61は、軟判定の結果に基づき、期間Ta内のレベル-2のビット列からSD-FECパリティを取り出してSD-FEC復号部62に出力する。
【0262】
また、軟判定部61は、軟判定の結果に基づきレベル-0のビット列内のデータ#1~#5をSD-FEC復号部62に出力する。SD-FEC復号部62の前段には、レベル-0のビット列を遅延させるビット遅延生成部66aが設けられている。
【0263】
ビット遅延生成部66aは、第2遅延部の一例であり、レベル-0のビット列を期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tc分だけ遅延させる。このため、レベル-0のビット列は、符号化回路120において、期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcの合計期間分だけ遅延したSD-FECパリティと同期してSD-FEC復号部62に入力される。
【0264】
SD-FEC復号部62は、第2訂正部の一例であり、期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-2のビット列に挿入されたSD-FECに基づいて軟判定部61の軟判定の結果の誤りを訂正する。つまり、SD-FEC復号部62は、SD-FECパリティに基づきレベル-0のビット列を復号化する。
【0265】
SD-FEC復号部62にSD-FECパリティが入力されるタイミングは、レベル-0のビット列がSD-FEC復号部62に入力されるタイミングと同期している。このため、SD-FEC復号部62は、レベル-0のビット列の値を、その期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,TcのSD-FECパリティにより訂正することができる。図18の例の場合、レベル-0のビット列内のデータ#1はSD-FECパリティ#1により訂正され、レベル-0のビット列内のデータ#2はSD-FECパリティ#2により訂正される。
【0266】
レベル-0のビット列はSD-FEC復号部62から硬判定部43及びHD遅延調整部66cに入力される。SD-FECパリティはSD-FEC復号部62からセレクタ64aに入力される。
【0267】
また、硬判定部63は、第2判定部の一例であり、16QAMのコンスタレーション内のシンボルが割り当てられたレベル-0~3のビット列のうち、レベル-1のビットの値をシンボルに基づき硬判定する。例えば硬判定部63は、SD-FEC復号部62から入力されたレベル-0のビット列の硬判定に用いる。このとき、硬判定部63は、セットパーティショニングによるシンボルデマッピングを行う。レベル-1のビット列は硬判定部63からセレクタ64aに入力され、レベル-1のビット列は硬判定部63からHD遅延調整部66cに入力される。また、硬判定部63は、硬判定の結果に基づき、レベル-1のビット列からHD-FECパリティを取り出してHD-FEC復号部85に出力する。
【0268】
また、データ遅延生成部66bは、硬判定部63に入力される各ビット列を遅延させる。データ遅延生成部66bは、ビット遅延生成部66aと同じ時間だけ各ビット列を遅延させる。これにより、硬判定部63にレベル-1のビット列及びHD-FECパリティが入力されるタイミングと、SD-FEC復号部62にビット列及びSD-FECパリティが入力されるタイミングとが揃う。
【0269】
セレクタ64aは、動作制御部60の期間Ta~Tcの制御に従って、レベル-3のビット列内のデータ#30~#33とSD-FECパリティから入力信号を選択する。セレクタ64aは、期間Taではレベル-2のビット列内のデータ#30~#33をHD遅延調整部66cに出力し、期間TbではSD-FECパリティをHD遅延調整部66cに出力する。
【0270】
HD遅延調整部66cは、第1遅延部の一例であり、レベル-0,1の各ビット列をフレームの周期T分だけ遅延させてHD-FEC復号部65に出力する。
【0271】
HD-FEC復号部65は、第1訂正部の一例であり、フレームごとにレベル-1のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて硬判定部63の硬判定の結果の誤りを訂正する。レベル-0,1の各ビット列はフレームの周期T分だけ遅延して入力されるため、HD-FEC復号部65は、レベル-0~3の各ビット列を、その後続のフレームのレベル-1のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて訂正することができる。HD-FEC復号部65は、レベル-0,1の各ビット列をPS逆変換部69に出力する。
【0272】
PS逆変換部69は、逆変換部の一例であり、DM処理により変換されたレベル-0,1の各ビット列の値を逆変換する。HD-FECパリティはパリティ遅延生成部66dに入力され、レベル-1のビット列はIDM処理部68a及びセレクタ64bに入力される。また、レベル-0のビット列はXOR演算器67に入力される。
【0273】
パリティ遅延生成部66dは、HD-FECパリティをフレームの周期T内の期間Tcに合わせて遅延させてセレクタ64bに出力する。
【0274】
セレクタ64bは、動作制御部60の期間Ta~Tcの制御に従って、レベル-1のビット列とHD-FECパリティから入力信号を選択する。セレクタ64bは、期間Ta,Tbではレベル-1のビット列を選択してXOR演算器67に出力し、期間Tcでは遅延したHD-FECパリティを選択してXOR演算器67に出力する。
【0275】
XOR演算器67は、レベル-0のビット列に、セレクタ64bからのレベル-1のビット列またはHD-FECパリティをXOR演算する。HD-FECパリティは、期間Tcに合わせて遅延してXOR演算器67に入力されるため、レベル-0のビット列は、符号化回路120のXOR演算器53によるXOR前の値に正常に変換される。XOR後のレベル-0のビット列はIDM処理部68bに入力される。
【0276】
IDM処理部68a,68bによりそれぞれInverse-DM処理されたレベル-1,0の各ビット列は、例えばパラレル-シリアル変換により出力信号Sout’としてフレーマチップ11に出力される。
【0277】
このように、HD遅延調整部66cは、レベル-1のビット列の硬判定の結果の誤りが、その後続のフレームのレベル-1のビット列に挿入されたHD-FECパリティに基づいて訂正されるように、レベル-0,1の各ビット列を遅延させる。このため、符号化回路120のHD遅延生成部58aがHD-FECパリティに与えた遅延時間が解消する。
【0278】
また、ビット遅延生成部66aは、レベル-0のビット列の軟判定の結果の誤りが、レベル-0のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Tb,Tcのレベル-1のビット列に挿入されたSD-FECパリティに基づいて訂正されるように、レベル-0のビット列を遅延させる。このため、符号化回路120のSD遅延生成部58bがSD-FECパリティに与えた遅延時間が解消する。
【0279】
したがって、復号化回路121は、符号化回路120により遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティに基づいてレベル-0,1の各ビット列の硬判定及び軟判定の誤りを訂正することができる。
【0280】
PS逆変換部69は、ビット遅延生成部66a及びHD遅延調整部66cにより遅延したレベル-0のビット列の値の逆変換に、その後続のフレームのレベル-1のビット列に挿入されたHD-FECパリティ、及び、その期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcに挿入されたSD-FECパリティを用いる。
【0281】
このため、PS逆変換部69は、符号化回路120により遅延したHD-FECパリティ及びSD-FECパリティを用いてレベル-0のビット列を正常に逆変換することができる。
【0282】
したがって、復号化回路121は、符号化回路120の符号化に対応してビット列を復号化することができ、ノイズ耐力を低下させずに消費電力を低減することができる。
【0283】
第1~第3実施例の符号化回路120において、HD遅延生成部28a,78a,58aは、HD-FECパリティを遅延させて、HD-FECパリティの生成元のビット列を含むフレームの次のフレームの最上位のビット列に挿入する。
【0284】
このため、HD遅延生成部28a,78a,58aは、1フレーム分だけのHD-FECパリティを保持すればよく、例えばHD-FECパリティを記憶するメモリの容量を最少化することができる。なお、HD遅延生成部28a,78a,58aは、これに限定されず、HD-FECパリティを後続のフレームの何れかに挿入すればよい。この場合、遅延させるフレーム数分のHD-FECパリティを記憶する容量が必要となる。
【0285】
また、第1~第3実施例の符号化回路120において、SD遅延生成部28b,78b,58bは、SD-FECパリティを遅延させて、SD-FECパリティが生成された期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcの次の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcの最上位のビット列に挿入する。
【0286】
このため、SD遅延生成部28b,78b,58bは、期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcの合計期間分だけのSD-FECパリティを保持すればよく、例えばSD-FECパリティを記憶するメモリの容量を最少化することができる。なお、SD遅延生成部28b,78b,58bは、これに限定されず、SD-FECパリティの生成元のビット列の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcより後の期間Ta,Tbまたは期間Ta,Tcのビット列に挿入すればよい。この場合、遅延させる期間分のSD-FECパリティを記憶する容量が必要となる。
【0287】
また、本実施例のトランスポンダ1a,1b及び光伝送システムは、第1~第3実施例の符号化回路120及び復号化回路121を有する。このため、上記と同様の作用効果が得られる。なお、上述した符号化回路120及び復号化回路121は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified Integrated Circuit)などのハードウェアから構成された回路であってもよい。
【0288】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0289】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) フレーム内の複数のビット列の硬判定結果の誤り訂正に用いられる第1の誤り訂正符号と、前記複数のビット列の軟判定結果の誤り訂正に用いられる第2の誤り訂正符号とを生成する符号化回路において、
多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、前記複数のビット列の各々の値に応じたシンボルを前記複数のビット列に割り当てる割当部と、
前記複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、前記複数のビット列のうち、第1ビット列以外のビット列の値を変換する変換部と、
前記フレームごとに前記複数のビット列から前記第1の誤り訂正符号を生成する第1生成部と、
前記フレームの周期を分ける複数の期間の各々において、前記複数のビット列のうち、第2ビット列から前記第2の誤り訂正符号を生成する第2生成部と、
前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入する第1挿入部と、
前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号の生成元の前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入する第2挿入部とを有し、
前記変換部は、前記第2ビット列の値の変換に、該遅延した前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする符号化回路。
(付記2) 前記第1挿入部は、前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記フレームの次のフレームの前記第1ビット列に挿入することを特徴とする付記1に記載の符号化回路。
(付記3) 前記第2挿入部は、前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号が生成された期間の次の期間の前記第1ビット列に挿入することを特徴とする付記1または2に記載の符号化回路。
(付記4) 多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルの1つが割り当てられたフレーム内の複数のビット列のうち、第1ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき硬判定する第1判定部と、
前記フレームごとに前記第1ビット列に挿入された第1の誤り訂正符号に基づいて前記第1判定部の硬判定の結果の誤りを訂正する第1訂正部と、
前記複数のビット列のうち、第2ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき軟判定する第2判定部と、
前記フレームを分ける複数の期間の各々の前記第1ビット列に挿入された第2の誤り訂正符号に基づいて前記第2判定部の軟判定の結果の誤りを訂正する第2訂正部と、
前記第1ビット列の硬判定の結果の誤りが、前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記複数のビット列を遅延させる第1遅延部と、
前記第2ビット列の軟判定の結果の誤りが、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記第2ビット列を遅延させる第2遅延部と、
前記複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように変換された前記第2ビット列の値を逆変換する逆変換部とを有し、
前記逆変換部は、前記第1遅延部及び前記第2遅延部により遅延した前記第2ビット列の値の逆変換に、前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号、及び、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする復号化回路。
(付記5) フレーム内の複数のビット列の硬判定結果の誤り訂正に用いられる第1の誤り訂正符号と、前記複数のビット列の軟判定結果の誤り訂正に用いられる第2の誤り訂正符号とを用いる符号化方法において、
多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルのうち、前記複数のビット列の各々の値に応じたシンボルを前記複数のビット列に割り当て、
前記複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように、前記複数のビット列のうち、第1ビット列以外のビット列の値を変換し、
前記フレームごとに前記複数のビット列から前記第1の誤り訂正符号を生成し、
前記フレームの周期を分ける複数の期間の各々において、前記複数のビット列のうち、第2ビット列から前記第2の誤り訂正符号を生成し、
前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入し、
前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号の生成元の前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入し、
前記第2ビット列の値の変換に、該遅延した前記第1の誤り訂正符号及び前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする符号化方法。
(付記6) 前記第1の誤り訂正符号を遅延させて、前記フレームの次のフレームの前記第1ビット列に挿入することを特徴とする付記5に記載の符号化方法。
(付記7) 前記第2の誤り訂正符号を遅延させて、前記複数の期間のうち、前記第2の誤り訂正符号が生成された期間の次の期間の前記第1ビット列に挿入することを特徴とする付記5または6に記載の符号化方法。
(付記8) 多値変調方式のコンスタレーション内の複数のシンボルの1つが割り当てられたフレーム内の複数のビット列のうち、第1ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき硬判定し、
前記フレームごとに前記第1ビット列に挿入された第1の誤り訂正符号に基づいて該硬判定の結果の誤りを訂正し、
前記複数のビット列のうち、第2ビット列の値を前記シンボルの1つに基づき軟判定し、
前記フレームを分ける複数の期間の各々の前記第1ビット列に挿入された第2の誤り訂正符号に基づいて該軟判定の結果の誤りを訂正し、
前記第1ビット列の硬判定の結果の誤りが、前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記複数のビット列を遅延させ、
前記第2ビット列の軟判定の結果の誤りが、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号に基づいて訂正されるように、前記第2ビット列を遅延させ、
前記複数のシンボルのうち、前記コンスタレーションの中心に近いシンボルほど、多く割り当てられるように変換された前記第2ビット列の値を逆変換し、
遅延した前記第2ビット列の値の逆変換に、前記フレームの後続のフレームの前記第1ビット列に挿入された前記第1の誤り訂正符号、及び、前記複数の期間のうち、前記第2ビット列の期間より後の期間の前記第1ビット列に挿入された前記第2の誤り訂正符号を用いることを特徴とする復号化方法。
(付記9) 送信対象のフレームを復号化する付記1に記載の符号化回路と、
受信対象のフレームを復号化する付記4に記載の復号化回路と、
前記送信対象のフレームを光信号に変換して他の装置に送信し、他の装置から光信号を受信して前記受信対象のフレームに変換する変換回路とを有することを特徴とする伝送装置。
(付記10) 光信号を送信する第1伝送装置と、
前記光信号を受信する第2伝送装置とを有し、
前記第1伝送装置は、
送信対象のフレームを復号化する付記1に記載の符号化回路と、
前記送信対象のフレームを前記光信号に変換する第1変換回路とを有し、
前記第2伝送装置は、
受信対象のフレームを復号化する付記4に記載の復号化回路と、
前記光信号を受信して前記受信対象のフレームに変換する第2変換回路とを有することを特徴とする光伝送システム。
【符号の説明】
【0290】
1a,1b トランスポンダ
14 ACO
20,40,70,80,50,60 動作制御部
24,24x,24x’,24y,74,54 HD-FEC生成部
25,25x,25x’,25y,55,75 SD-FEC生成部
27,27x,27y,57,77 シンボルマッピング部
28a,58a,78a HD遅延生成部
28b,58b,78b SD遅延生成部
29,29x,29y,59,79 PS変換部
41,41x,41y,61,81 軟判定部
42,42x,42y,62,82 SD-FEC復号部
45,45x,45y,65,85 HD-FEC復号部
43,43y,63,83 硬判定部
49,49x,49y,69,89 PS逆変換部
120 符号化回路
121 復号化回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20