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特許72995843次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ及びその製造方法、並びに特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ及びその製造方法、並びに特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20230621BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230621BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
G01B11/24 Z
G02B6/02 411
G02B6/036
G02B6/02 466
G02B6/02 356A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022525642
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2020015072
(87)【国際公開番号】W WO2021086129
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137757
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0137758
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522173480
【氏名又は名称】オプトニクス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OPTONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(OPTONICS CO., LTD, Wolchul-dong) 63, Cheomdan venture so-ro 15beon-gil, Buk-gu, Gwangju 61003
(73)【特許権者】
【識別番号】522173491
【氏名又は名称】ジュ、ソンミン
【氏名又は名称原語表記】JU, Seong Min
【住所又は居所原語表記】(Buyeng Saranguero Apt., Sanwol-dong) 1206-1102, 64, Sanwol-ro, Gwangsan-gu, Gwangju 62285
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ソンミン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ヨンウ
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】韓国特許第10-1208834(KR,B1)
【文献】特開2007-310135(JP,A)
【文献】特開2019-038706(JP,A)
【文献】特開昭60-011244(JP,A)
【文献】特許第5370860(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/24
G02B 6/02
G02B 6/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバであって:
前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定され、
前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、長さ方向に切開された部分を備え、前記切開された部分を通じて前記光ファイバコアの一部分を露出し、
前記切開された部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされ、
前記外部クラッドの内部に、前記光ファイバコアを覆っている前記内部クラッドが複数配置され、
複数の前記内部クラッドは、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置され、前記内部クラッドの前記切開された部分が前記中心に背を向ける方向になるように配置されていることを特徴とする、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
【請求項2】
前記外部クラッドの内部に、前記光ファイバコアと平行に配置されたガイドコアをさらに含み、
前記ガイドコアは、前記外部クラッドとは異なる色を帯びるか、異なる屈折率を有することを特徴とする、請求項1に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
【請求項3】
前記外部クラッドの内部に、前記光ファイバコアのいずれかに平行に配置されたガイドコアをさらに含み、
前記ガイドコアは、前記外部クラッドとは異なる色を帯びるか、異なる屈折率を有することを特徴とする、請求項に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
【請求項4】
前記内部クラッドの厚さは、前記光ファイバコアの直径の2倍に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
【請求項5】
光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバを製造する方法であって、
前記外部クラッドを用意することと、
前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な複数の挿入孔を形成することと、ここで、前記外部クラッドに形成される前記挿入孔は、前記外部クラッドの長さ方向に沿って互いに平行に形成され、かつ前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置されており、
前記光ファイバコアを複数用意することと、
前記光ファイバコアが挿入可能な内部空間を備えたチューブ状に形成された前記内部クラッドを複数用意することと、ここで、前記内部クラッドのそれぞれには、長さ方向に切開された部分が形成されており、
前記光ファイバコアの1つを前記内部クラッドの1つの前記内部空間に挿入することと、
複数の前記内部クラッドのそれぞれの前記切開された部分を、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の物質で満たすことと、
複数の前記内部クラッドを、前記内部クラッドの前記切開された部分が、前記外部クラッドの断面の中心に背を向ける方向になるように、前記外部クラッドの前記挿入孔のそれぞれに挿入することと、を含む、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
【請求項6】
光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバを製造する方法であって、
前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定され、
前記外部クラッドを用意することと、
前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な複数の挿入孔を形成することと、ここで、前記外部クラッドに形成される前記挿入孔は、前記外部クラッドの長さ方向に沿って互いに平行に形成され、かつ前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置されており、
前記光ファイバコアを複数用意することと、
前記光ファイバコアのそれぞれに前記内部クラッドを構成するための材質を部分的に被覆しながら引き抜くロッドインチューブ(Rod-in-tube)工程を利用し、前記光ファイバコアをC字状に覆うことと、
複数の前記内部クラッドのそれぞれの切開された部分を、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の物質で満たすことと、
複数の前記内部クラッドを、前記内部クラッドの前記切開された部分が、前記外部クラッドの断面の中心に背を向ける方向になるように、前記外部クラッドの前記挿入孔のそれぞれに挿入することと、を含む、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
【請求項7】
光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバを製造する方法であって、
前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定され、
前記外部クラッドを用意することと、
前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な複数の挿入孔を形成することと、ここで、前記外部クラッドに形成される前記挿入孔は、前記外部クラッドの長さ方向に沿って互いに平行に形成され、かつ前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置されており、
前記光ファイバコアを複数用意することと、
前記光ファイバコアのそれぞれの外側表面全体に、前記内部クラッドを構成するための物質を覆うことと、
複数の前記内部クラッドのそれぞれ側面の一部を前記光ファイバコアの長さ方向に沿って切開するかエッチングすることにより、前記光ファイバコアの一部を露出させることと、
複数の前記内部クラッドを、前記内部クラッドの前記切開された部分が、前記外部クラッドの断面の中心に背を向ける方向になるように、前記外部クラッドの前記挿入孔のそれぞれに挿入することと、を含む、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
【請求項8】
特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステムであって、
前記特殊光ファイバは、光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う複数の内部クラッドと、複数の前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含み、
前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定され、
前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、長さ方向に切開された部分を備え、前記切開された部分を通じて前記光ファイバコアの一部分を露出し、
前記切開された部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされ、
複数の前記内部クラッドは、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置され、複数の前記内部クラッドの前記切開された部分が前記中心に背を向ける方向になるように配置されており、
前記特殊光ファイバの複数の前記内部クラッドのそれぞれは、システムのそれぞれのチャネルを構成し、
前記システムは、
前記特殊光ファイバと、
光ファイバコアの入力側に所定大きさのピーク及び幅を有する光信号を出力するLDと、
前記LDから出力され、前記光ファイバコアに入力される前記光信号のパワーを測定するPD1と、
前記光信号が前記光ファイバコアの任意の曲げ地点で散乱して前記入力側に戻ることにより形成された反射信号のピークを検出するTDCパートと、
前記反射信号のパワーを測定するPD2と、
前記LD、前記PD1、前記TDCパート及び前記PD2の動作を制御し、前記LDから出力した前記光信号のピークと、前記PD1で測定した前記光信号のパワーと、前記TDCパートで検出された前記反射信号のピークと、前記PD2で測定された前記反射信号のパワーとに基づき、前記光ファイバコアの前記曲げ地点及び前記曲げ地点の曲率を計算するFPGAと、を備える、特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
【請求項9】
前記FPGAは、
前記LDから第1幅を有する第1パルスを出力し、
前記TDCパートを通じて前記第1パルスの反射信号を検出して、
前記反射信号に基づき、第1パルスが出力された以後に反射信号が現れる時点を含むサンプリングポイントを設定し、
前記LDから第2幅を有する第2パルスを出力して、
前記サンプリングポイントで、前記TDCパートにより前記第2パルスの反射信号のピークを検出し、前記PD2により前記第2パルスの反射信号のパワーを測定して、
前記検出されたピークにより前記光ファイバコアの曲げ地点を計算し、前記測定されたパワーにより前記曲げ地点の曲率を計算することを特徴とする、請求項に記載の特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
【請求項10】
前記第1パルスの幅は、前記第2パルスの幅より小さいことを特徴とする、請求項に記載の特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ及びその製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、3次元空間で生じる多様な方向への曲げによって特定の光学効果を発生させる特殊光ファイバ、及び前記特殊光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、3次元空間で生じる多様な方向への曲げによって特定の光学効果を発生させる特殊光ファイバを用いて、任意の3次元曲線形状を測定するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
近来、光ファイバセンサは、モノのインターネット(IoT)を活用する様々な分野で利用されている。即ち、光ファイバセンサを利用して感知される外部環境の変化が、超高速インターネット通信を通じて人工知能システムに伝送され、処理される。
【0004】
光ファイバセンサにより測定できる外部環境の種類としては、温度、圧力、電気場、磁場、回転、化学物質の濃度、物理的移動量などの変化が挙げられる。
【0005】
光ファイバセンサは、光信号を基にして動作するため、既存の電磁気ベースのセンサに比べて非常に速い応答特性を有し、電極を含まないため、周辺環境に由来する電磁気波によるノイズがないばかりか、電気的な漏電や感電などの危険がなく、センサプローブである光ファイバが軽いため、製品化に有利である。
【0006】
したがって、光ファイバセンサは、既存の電磁気ベースのセンサが動作しにくい環境、例えば電磁気波障害の多い環境や高温/高圧/多湿な環境などにおいても使用できるため、通信分野、医療分野、産業分野などの多様な分野で活用されている。
【0007】
一方、光ファイバは、3次元曲線形状を測定するためのセンサとしても用途が拡張されている。光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定する技術は、医療分野や産業分野においてその活用価値が非常に高く、多様な製品に具現されている。特に、光ファイバベースの3次元曲線形状測定センサは、光ファイバ全体のあらゆる位置における変形を実時間でイメージ化できるため、構造物の目に見えない部分の形状及び変形を計測するに適している。
【0008】
一方、従来の光ファイバベースの曲線形状測定センサとして、光ファイバコアを複数配置したマルチコア光ファイバを利用する方式のセンサが存在する。図1は、従来のFBGベースのマルチコア光ファイバを使用する曲線形状測定センサの例を図示する。ここで、従来の曲線形状測定センサに使用されるそれぞれの光ファイバは、光ファイバの曲げ(bending)による光損失を発生させるために、コア領域内に光ファイバ格子(FBG(FiberBraggGrating)またはLPG(LongPeriodGrating))が形成されている。
【0009】
しかし、FBGを利用する従来の曲線形状測定センサは、単にどの位置に曲げがあるということが分かるだけで、光ファイバが3次元空間でどの方向に曲がっているかは測定できない。したがって、従来は、多数の方向別に光ファイバを配置して各チャネルを定義し、どのチャネルで曲げが感知されているかによって、曲がった方向を測定した。
【0010】
一方、光ファイバにFBGを形成するためには、製造の完了した完全な光ファイバに後処理及び2次加工工程を追加しなければならないという問題点がある。
【0011】
なお、従来の光ファイバは、FBG形成部位の曲げによる光損失に基づいて曲がった形状を測定するため、距離分解能が低いという短所がある。
【0012】
また、従来のFBG技術に基づいた光ファイバセンサは、光ファイバ格子による光損失及び波長移動(wavelengthshifting)をベースとするが、ここで、波長移動は、外部温度変化に敏感に変化する。したがって、測定時の温度による補償関数を適用しなければならない問題点がある。
【0013】
(特許文献1)JP特許2015-510142
(特許文献2)JP特許平08-511343
(特許文献3)KR公開特許2017-0138768
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような問題点を解消するためのものであって、引抜き(drawing)などの方式で製造が完了した光ファイバ、即ち、FBGが形成されていない光ファイバをセンサプローブとして活用しながらも、3次元曲がった形状をイメージ化できる、新しい形態の3次元曲線形状測定センサを提供することを目的とする。また、本発明は、前記新しい形態の3次元曲線形状測定センサに使用される特殊光ファイバを提供することを目的とする。さらに、本発明は、このような特殊光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、前記特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施例は、次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバを提示する。前記特殊光ファイバは、光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む。
【0017】
ここで、前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定される。前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、長さ方向に切開された部分を備える。前記切開された部分を通じて前記光ファイバコアが露出される。そして前記切開された部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされる。
【0018】
また、前記外部クラッドの内部には、前記光ファイバコアを覆っている前記内部クラッドが複数配置される。前記内部クラッドは、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置される。また、前記内部クラッドの前記切開された部分が前記外部クラッドの断面の中心に背を向ける方向になるように配置される。
【0019】
また、前記内部クラッドの厚さは、前記光ファイバコアの直径の2倍に設定される。
【0020】
一方、上述の目的を達成するための他の実施例において、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法が提示される。前記製造方法は、前記外部クラッドを用意することと、前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な挿入孔を形成することと、前記光ファイバコアを用意することと、前記光ファイバコアが挿入可能な内部空間を備えたチューブ状の前記内部クラッドを用意すること(前記内部クラッドは、前記内部クラッドの長さ方向に切開された部分を備えると、前記光ファイバコアを前記内部クラッドの前記内部空間に挿入することと、前記内部クラッドの前記切開された部分を、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の物質で満たすことと、前記光ファイバコアの挿入された前記内部クラッドを前記外部クラッドの挿入孔に挿入することとを含む。
【0021】
また、上述の目的を達成するための他の実施例において、前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定される。前記光ファイバの製造方法は、前記外部クラッドを用意することと、前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な挿入孔を形成することと、前記光ファイバコアを用意することと、前記光ファイバコアに前記内部クラッドを構成するための材質を部分的に被覆しながら引き抜くロッドインチューブ(Rod-in-tube)工程を利用し、前記光ファイバコアをC字状に覆うことと、前記内部クラッドの前記切開された部分を、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の物質で満たすことと、前記内部クラッドが被覆された前記光ファイバコアを前記外部クラッドの挿入孔に挿入することとを含む。
【0022】
また他の実施例で提示する、光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバ(前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定される)を製造する方法は、前記外部クラッドを用意することと、前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な挿入孔を形成することと、前記光ファイバコアを用意することと、前記光ファイバコアの外側表面全体に、前記内部クラッドを構成するための物質を覆うことと、前記内部クラッドの一部を前記光ファイバコアの長さ方向に沿って切開するかエッチングすることにより、前記光ファイバコアの一部を露出させることと、前記内部クラッドで被覆された前記光ファイバコアを前記外部クラッドの挿入孔に挿入することとを含む。
【0023】
一方、前記外部クラッドに形成される前記挿入孔は、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置され、前記外部クラッドの長さ方向に沿って互いに平行に形成される。前記内部クラッドは、前記切開された部分が前記外部クラッドの断面の中心に背を向ける方向になるように配置される。
【0024】
このような特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステムがさらに提示される。前記システムは、複数チャネルのそれぞれに結合された曲げ測定装置(前記曲げ測定装置は、(1)光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバ(前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定されて、前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、長さ方向に切開されて、前記光ファイバコアの一部を露出させる切開部分を備えて、前記切開部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされて、前記光ファイバコアを覆っている前記内部クラッドが前記外部クラッドの内部に複数配置され、それぞれのチャネルを構成し、前記切開部分が前記外部クラッドの断面の中心に背を向けながら、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置される)と、前記光ファイバの前記光ファイバコアの一側に所定のピーク及び幅を有する光信号を出力するLDと、前記LDから出力され、前記光ファイバコアに入力される前記光信号のパワーを測定するPD1と、前記光信号が前記光ファイバコアの曲げ地点で散乱/反射されて前記一側に戻る反射信号のピークを検出するTDCパートと、前記反射信号のパワーを測定するPD2と、前記LD、前記PD1、前記TDCパート及び前記PD2の動作を制御し、前記LDから出力した前記光信号のピークと、前記PD1で測定した前記光信号のパワーと、前記TDCパートで検出した前記反射信号のピークと、前記PD2で測定された前記反射信号のパワーとに基づき、前記光ファイバの曲げ地点及び前記曲げ地点の曲率を計算するFPGAとを含む)と、(2)各チャネル別の前記曲げ測定装置のそれぞれから計算された前記曲げ地点及び前記曲げ地点の曲率を統合して3次元曲線形状を再現する統合データプロセッサとを含む。
【0025】
本発明のまた他の実施例では、特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステムを提供する。前記システムは、光ファイバコアの入力側に所定大きさのピーク及び幅を有する光信号を出力するLDと、前記LDから出力され、前記光ファイバコアに入力される前記光信号のパワーを測定するPD1と、前記光信号が前記光ファイバコアの特定の曲げ地点で散乱/反射されて前記入力側に戻る反射信号のピークを検出するTDCパートと、前記反射信号のパワーを測定するPD2と、前記LD、前記PD1、前記TDCパート及び前記PD2の動作を制御し、前記LDから出力した前記光信号のピークと、前記PD1で測定した前記光信号のパワーと、前記TDCパートで検出された前記反射信号のピークと、前記PD2で測定された前記反射信号のパワーとに基づき、前記光ファイバコアの前記曲げ地点及び前記曲げ地点の曲率を計算するFPGAとを含む
【0026】
一方、前記光ファイバコアは、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む。特に、前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定される。また、前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、長さ方向に切開され、前記光ファイバコアの一部を露出させる切開部分を備える。前記切開部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされるように構成される。
【0027】
また、前記光ファイバコアを覆っている前記内部クラッドが前記外部クラッドの内部に複数配置され、それぞれのチャネルを構成する。それぞれの前記内部クラッドは、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置される。特に、それぞれの前記内部クラッドは、前記切開部分が前記外部クラッドの前記断面の中心に背を向けるように配置される方式で特殊光ファイバ内に配置される。さらに、前記LD、前記PD1、前記TDCパート、前記PD2及び前記FPGAは、一つの曲げ測定装置を構成し、一つの前記曲げ測定装置は、一つの前記光ファイバコアに対応するように配置される。また、前記3次元曲線形状を測定するシステムは、各チャネル別の前記曲げ測定装置から出力する前記曲げ地点及び前記曲げ地点の曲率を統合して3次元曲線形状を再現する統合データプロセッサをさらに含む。
【0028】
また、前記FPGAは、前記LDから第1幅を有する第1パルスを出力し、前記TDCパートを利用して前記第1パルスの反射信号を検出して、前記反射信号に基づき、第1パルスが出力された以後に反射信号が現れる時点を含むサンプリングポイントを設定し、前記LDから第2幅を有する第2パルスを出力して、前記サンプリングポイントで、前記TDCパートを利用して前記第2パルスの反射信号のピークを検出し、前記PD2により前記第2パルスの反射信号のパワーを測定して、前記検出されたピークにより前記光ファイバコアの曲げ地点を計算し、前記測定されたパワーに基づいて前記曲げ地点の曲率を計算することができる。
【0029】
また、前記第1パルスの幅は、前記第2パルスの幅より小さい。
【発明の効果】
【0030】
上述の構成を含む本発明によると、引抜きなどの方式により製造が完了した(FBGが形成されていない)光ファイバコアと切開された部分を有する内部クラッドとを結合してコア構造体を形成し、前記コア構造体を外部クラッド内に等方位角で配置することにより、3次元曲線形状測定用特殊光ファイバを提供することができる。
【0031】
また、このようなFBGの形成されていない特殊光ファイバを用いて、3次元曲線形状測定システムを具現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】従来技術による、FBGベースの曲線形状測定方式を図示する。
図2】本発明による特殊光ファイバを利用して3次元曲線形状を測定する例を示す。
図3】本発明の一実施例による3次元曲線形状測定システムの特殊光ファイバの断面構造及び屈折率分布を図示する。
図4】本発明の特殊光ファイバの多様な実施例による断面構造を図示する。
図5】本発明の特殊光ファイバにガイドコアを追加した形態を図示する。
図6】本発明による特殊光ファイバを製造する方法を説明する流れ図である。
図7】本発明の一実施例による3次元曲線形状測定システムの概略的な構成を示す。
図8】3次元曲線形状測定システムにおいて、TDCパートの構成及び機能をさらに詳細に説明するための図面である。
図9】TDCパートによって測定されたピークの例を示す図面である。
図10】3次元曲線形状測定システムのいずれか一つのチャネルにおいて、曲げ地点及び曲率を測定する方法の流れ図である。
図11】本発明による3次元曲線形状測定システムによる3次元曲線形状測定方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書及び請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的あるいは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈すべきである。また、本発明で使用される技術用語及び科学用語は、特に定義しない以上、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有する。下記の説明及び添付図面において、本発明の要旨を不要に曖昧にするような公知の機能及び構成に対する説明は省く。添付の図面は、当業者に本発明の思想が十分伝達できるようにするために、例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下に提示する図面に限定されず、他の形態で具体化することもできる。また、明細書全般にわたって、同一な参照番号は、同一な構成要素を示す。図面の中、同一な構成要素は、可能な限り、どこでも同一な符号で示している。
【0034】
まず、図3を参照し、本発明の一実施例による3次元曲線形状測定システムのセンサプローブである特殊光ファイバの断面構造を説明する。また、各構成部の屈折率分布を説明する。
【0035】
本発明による3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ100は、複数のコア構造体を備える。特に、特殊光ファイバ100に含まれたそれぞれのコア構造体は、光ファイバコア110と、光ファイバコアを覆う内部クラッド120とを含み、これらそれぞれの屈折率は、互いに異なるように設定できる。具体的には、内部クラッド120の屈折率n2は、光ファイバコアの屈折率n1より低く(または、同じ場合もあり、特殊な場合は、高いこともある)、外部クラッド130の屈折率n3より低く(または、同じ場合もあり、特殊な場合は、高いこともある)設定される。
【0036】
また、内部クラッド120は、一部分が長さ方向に沿って切開された形態で構成され、この切開された形態の隙間123から光ファイバコア110の一部が露出するように構成されて、切開された隙間123には、光ファイバコア110または外部クラッド130と同一の材質が満たされる。このような構造により、特殊光ファイバ100は、特定方向への曲げに対して光損失がより大きくなる特性を有する。即ち、切開された部分123が曲げの外側になる時、切開された部分123を通じて光損失が大きく発生し、曲げをさらに敏感に感知することができるようになる。
【0037】
一方、本発明による特殊光ファイバ100は、コア構造体を複数含むことができる。ここで、各コア構造体を構成する光ファイバコア110は、特殊光ファイバ100の断面の中心の周りに等方位角で配置され、光ファイバコア110を覆う内部クラッド120の切開された部分123は、特殊光ファイバ100の断面の中心に背を向けて外郭方向に向かうように配置される。
【0038】
このような構造において、光ファイバの長さ方向をZ軸とすると、光損失が発生した地点のZ座標は、OTDR(Optical Time-Domain Reflectometer)及びOFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)を活用して測定することができる。
【0039】
また、光ファイバ100の断面に沿った平面にX軸及びY軸を設定すると、光ファイバ100の曲げによる光損失が発生した地点におけるそれぞれの光ファイバコアにおける光損失に係わる情報を取りまとめて分析することにより、曲がった方向に係わるX座標及びY座標を測定することができるようになる。
【0040】
特に、本発明による特殊光ファイバ100を利用すると、光ファイバの長さ方向に沿って多数の地点で、それぞれの曲げ方向と曲率を測定することができる。
【0041】
なお、本発明による特殊光ファイバ100は、3次元形状を測定する場合、温度の影響を無視することができる。
【0042】
従来のFBGベースの光ファイバは、温度測定用途としてもよく使用された。即ち、従来のFBGベースの光ファイバは、温度変化のような物理的変化に反應し、FBGによって形成される特定波長に対する反射特性が変化するため、温度測定用途に使用することができた。これは、FBGベースの光ファイバを用いて曲率を測定する際、温度の影響を補償することが不可欠であることを意味する。
【0043】
しかし、本発明による特殊光ファイバ100は、FBGに基づくものではないため、温度による影響がほとんどなく、別途の温度補償が不要である。
【0044】
また、ホウ素(Boron)及びフッ素(Fluorine)の含有された温度補償用光ファイバを本発明の特殊光ファイバ100の光ファイバコア110として活用すると、特殊光ファイバの活用性をより拡張することができる。また、本発明の特殊光ファイバ100をラマン散乱(Raman scattering)及びブリルアン散乱(Brillouin scattering)特性をベースとしたDTS(Distributed Temperature Sensor)と統合すると、3次元形状の測定だけでなく、長さ方向に沿った温度分布を測定することができるようになるため、一つのプローブによって多様な情報が同時に得られるマルチセンサを具現することもできる。
【0045】
このような、本発明の特殊光ファイバ100は、図3を参照すると、断面の中心の周りに沿って120°の等方位角の位置に3つのコア構造体が配置されている。
【0046】
それぞれのコア構造体は、切開された部分123が特殊光ファイバ100の中心に背を向ける方向に向かって配置されている。これにより、特殊光ファイバ100は、切開された部分123が外側になって曲げられた時光損失がより敏感になるため、各光ファイバコアごとに、配置された方向への曲げ方向及び曲率を細密且つ正確に測定できるようになる。したがって、複数の光ファイバコアで測定された曲げ方向及び曲率を統合することにより、3次元曲げ方向及び曲率を細密且つ正確に測定できるようになる。図3の下部には、光ファイバの断面による屈折率が示されている。
【0047】
一方、図4を参照すると、特殊光ファイバ100に、4つのコア構造体が中心の周りに90°の等方位角位置ごとに配置された構造、6つのコア構造体が中心の周りに60°の等方位角位置ごとに配置された構造、及び8つのコア構造体が中心の周りに45°の等方位角位置ごとに配置された構造が示されている。コア構造体の数が多いほど、配置された方向への曲げにさらに敏感になるため、より細密且つ正確に3次元形状を測定することができるようになる。
【0048】
光ファイバコア110は、光信号が伝送される部分である。
【0049】
内部クラッド120は、光ファイバコア110を被覆し、光ファイバコアから伝送される光信号を光ファイバコアに沿って流れるように全反射させる。特に、内部クラッド120は、一部分が光ファイバコア110の長さ方向に沿って切開された形態で構成され、光ファイバコア110の一部が切開された部分123から露出する。好ましくは、切開された部分123の幅は、一定である。内部クラッドの切開された部分123は、光ファイバコア110と同一の物質または光ファイバコア110と同一の屈折率の物質で満たされる。または、切開された部分123は、外部クラッド130と同一の物質または外部クラッド130と同一の屈折率の物質で満たされる。
【0050】
外部クラッド130は、内部クラッド120を被覆し、特殊光ファイバ100の外形を構成する。外部クラッド130は、光ファイバコア110と内部クラッド120とを含むコア構造体を複数含む。図3を参照すると、外部クラッド130は、光ファイバコア110と内部クラッド120との周辺部分に該当する。このような外部クラッド130は、特殊光ファイバ100が曲げられた時、曲率半径による内部クラッド120または切開部分123による光損失を効果的に発生させるようになる。
【0051】
特に、本発明において、光ファイバコア110の屈折率n1と内部クラッド120の屈折率n2と外部クラッド130の屈折率n3は、n1≧n3>n2の関係で設定される。
【0052】
例えば、本発明の特殊光ファイバ100の各部分の屈折率の実質的な値は、633nmの波長に対し、n1=1.4631、n2=1.4571、n3=1.4611に設定できる。これは、n1とn2の差であるΔn1-2が0.6%、n1とn3の差であるΔn1-3が0.2%、そしてn3とn2の差であるΔn3-2が0.4%に対応する。各部分の屈折率の差の値によって曲げ測定の敏感度が決定されるため、特殊光ファイバを3次元形状センサに適用する場合は、屈折率の差を正確に設定して製作しなければならない。そのために、シリカガラスとプラスチック光ファイバの屈折率の差を基準に定義し、屈折率の差を基準より高めるために、ゲルマニウム(Ge)またはアルミニウム(Al)を適用するか、屈折率の差を基準より低めるために、ホウ素(B)またはフッ素(F)を適用することにより、各部分の屈折率を制御することができる。
【0053】
ここで、光ファイバコア110と外部クラッド130との間の屈折率の差が小さいと、光ファイバ100は、特定コア構造体の切開された部分123が外側に向かう曲げ(または、‘コア構造体が断面の中心に向かう曲げ’と定義する)に敏感に反応するようになる。即ち、Δn1-3によって、中心に向かう曲げを感知する敏感度及び曲げの曲率を測定する正確度が決定される。一方、Δn3-2は、大きくなるほど、曲げを測定する敏感度及び正確度を高めることができる。
【0054】
本発明の特殊光ファイバ100は、特殊光ファイバの最外郭を構成する外部クラッド130の直径d3を125μmとする場合、光ファイバコア110の直径d1は、9~10μmに設定される。内部クラッド120は、薄すぎると、あらゆる方向への曲げに対して、光ファイバコア110からの光損失が発生するようになり、曲げ感知の正確度を阻害するおそれがある。したがって、内部クラッド120の直径d2は、光ファイバコア110の直径に対し、略2倍の20μm程度に設定できる。
【0055】
一方、内部クラッド120の長さ方向に沿って切開された部分123は、曲げ感知の正確度に重要な因子として働き、また、精度に大きな影響を及ぼす。即ち、切開された部分123は、幅が狭いほど曲げ曲率を感知する精度が向上する。しかし、切開された部分の幅が狭すぎると、光損失が少なすぎて、長さの方向に沿って曲げ地点を感知する敏感度を阻害することになる。逆に、切開された部分123の幅が広すぎると、長さ方向に沿って曲げ地点を感知する敏感度は増大するが、曲げ曲率を感知する敏感度が低下する。したがって、本発明では、切開された部分123の幅を約3μm程度に設定している。
【0056】
光信号は、基本的に全反射原理によって伝送される。したがって、光ファイバコア110の屈折率を内部クラッド120の屈折率より高くすると、曲げのない場合は、光ファイバコア110に沿って光信号が伝送されるため、この時の光損失は、光ファイバ自体における損失を除いては、ない。一方、光ファイバコア110に曲げが発生すると、内部クラッド120においても、曲げによる引張及び圧縮応力が発生する部分が生じて、このような変化によって、内部クラッド120の屈折率が変わるようになり(引張部分の屈折率が上昇する)、光ファイバコア110に伝送されていた光信号が内部クラッド120に抜け出るようになって、光損失が発生する。
【0057】
一方、外部クラッド130の外周面と内部クラッド120の外周面の間の距離bも、光ファイバ100の長さ方向(Z軸)の曲げ地点を感知する敏感度に影響を及ぼす。光ファイバコアの位置が外部クラッド130の外周面に近いほど、即ち、b値が小さくなるほど、特殊光ファイバ100の曲げにより外部クラッド130を抜け出す光損失が増大する。即ち、曲げが発生する地点ごとに光損失が大きくなって、特殊光ファイバ100を通過する光の損失が多いため、遠距離感知に不利である。したがって、この場合は、高出力の光を利用する必要が発生する。一般に、光ファイバを用いた3次元形状測定のためには、光出力及び分解能に優れ、且つ安定的なパワー供給及び光感知が可能なレーザーダイオード(LD)とフォトダイオード(PD)が利用できて、これにより、上記の問題点は、実質的に相殺される。
【0058】
一方、本発明によるガイドコアを追加した特殊光ファイバの追加の実施例を、図5を参照して説明する。特殊光ファイバは、長さ方向を回転軸にしてねじれていると、曲率測定が不正確になる。したがって、測定を行う作業者または光学機器が、曲率測定を行う前に、特殊光ファイバがねじれていないことを確認する必要がある。
【0059】
ここで、本実施例では、光ファイバと平行に光ファイバの内部に、例えば、いずれか一つの光ファイバコアの近くにガイドコアを配置する構造を提示する。
【0060】
図5の(a)には、一つの光ファイバコア110に切開溝の形成された内部クラッドが被覆され、これに外部クラッドが形成された特殊光ファイバの形態が図示されている。ここで、外部クラッドの一側には、ガイドコア145が配置されていることを確認することができる。このガイドコアに特定色相の光を入射させるか、ガイドコアを構成する材質に特定色相の顔料を混合するか、ガイドコアの屈折率を、少なくとも外部クラッドと異なるように設定することにより、作業者が肉眼でガイドコアを識別するか、光学装置がガイドコアを光学的にセンシングして識別することができて、これにより、特殊光ファイバのねじれを確認し、ねじれを復旧することができるようになる。
【0061】
図5の(b)には、複数の光ファイバコアが中心の周りに放射状に配置された特殊光ファイバの場合にガイドコアを配置する例が図示されている。ガイドコアは、いずれか一つの光ファイバコアに隣接した位置に配置される。
【0062】
複数の光ファイバコアを具備した本発明による特殊光ファイバは、光ファイバがねじれていないことが非常に重要である。したがって、ガイドコアを配置することにより、特殊光ファイバのねじれを識別して復旧することができる。
【0063】
一方、上記の構造の特殊光ファイバ100において、光ファイバコア110と外部クラッド130としては、ゲルマニウムシリカガラス(germano-silicate glass)及びアルミニウムシリカガラス(alumino-silicate glass)が適用でき、屈折率を高めるために、ゲルマニウム及びアルミニウムの濃度を高めてもよい。また、内部クラッドは、屈折率を下げるために、フッ素とホウ素を含有するガラスを適用することができる。
【0064】
本発明による特殊光ファイバ100を製造する方法は、図6の流れ図を参照することができる。
【0065】
まず、特殊光ファイバ100の基本形態となる外部クラッド130を用意する(S1)。外部クラッド130は、純粋シリカガラス(Pure silica glass)で形成するか、屈折率を高める目的で、光ファイバコア用ガラス材質で形成するか、または光ファイバコア用ガラス材質より少し低い屈折率を有するガラス材質で形成することができる。
【0066】
そして外部クラッド130には、光ファイバコア110が挿入されるように設定された位置、即ち、外部クラッド内において、断面の中心の周りに等方位角を有するように設定された位置に、光ファイバ100の長さ方向に、例えば、ドリリングにより挿入孔を形成する(S2)。
【0067】
一方、光ファイバ用ガラス棒である光ファイバコア110を用意する(S3)。
【0068】
一方、光ファイバコア110が挿入できるように構成された内部クラッド120を用意する(S4)。内部クラッド120は、フッ素とホウ素が含有されたシリカガラスチューブの特定部分を長さ方向に切開して製作することができる。これにより、断面がC字状になるように切開されたチューブ状の内部クラッドが用意される。また、内部クラッド120の内部に光ファイバコア110が挿入される(S5)。
【0069】
次いで、光ファイバコア110の挿入された内部クラッド120は、外部クラッド130に形成された挿入孔に挿入される(S6)。そして、内部クラッド120の挿入された外部クラッド130は、光ファイバ引抜き工程に適用されて(S7)、この工程で内部クラッドの外周面と挿入孔の内面とが密着して、特殊光ファイバ100が完成する。
【0070】
一方、引抜き工程(S7)に適用する前に、内部クラッド120のC状に切開された部分123を、光ファイバコア110と同一の屈折率の物質または外部クラッド130と同一の屈折率の物質で満たすことができる。もちろん、前記切開された部分123を満たす工程を省略してもよい。
【0071】
しかし、引抜き工程を通じて、外部クラッド130の一部または光ファイバコア110の一部が溶融し、切開された部分123を満たすことになるため、結果的に、前記切開された部分123は満たされるようになる。
【0072】
ここで、ガイドコアを外部クラッドの内部にまたは外部クラッドの外部表面に形成しながら引抜き工程を行うと、引抜き工程を通じて製造される光ファイバがねじれているかを、肉眼でまたは光学装備により容易に確認できるようになる。さらに、光ファイバを光回路の所定部品に結合する場合、ガイドコアにより、実装の便宜性を確保できるようになる。
【0073】
一方、他の製造方法として、段階(S3)で用意された光ファイバコア110に、内部クラッド用ガラスで断面がC字状になるように被覆しながら引き抜くロッドインチューブ(Rod-in-tube)工程を適用し、光ファイバコア110にC字状に被覆された内部クラッド120を形成する(S4’)。以後の工程(S6及びS7)は、上述と同一である。
【0074】
さらに、また他の製造方法として、段階(S3)で用意した光ファイバコア110の外側表面全体に、公知の化学気相蒸着工程などを利用して、内部クラッドの物質を被覆することができる(S4”)。その後、被覆された部分の一部を切開するか、エッチングすることにより、C字状の切開部分123を形成することもできる(S5”)。以後の工程(S6及びS7)は、上述と同一である。
【0075】
上述のような構成からなる、特定角度別に配置された複数のコア構造体を備えた特殊光ファイバを用いて、また下記のようなシステム及び方式を用いて、3次元曲線形状を測定することができる。図7は、上述のような原理で構成されて製作される、本発明による特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステムの構成を概略的に示した図面である。図8は、図示された3次元曲線形状測定システムにおいて、TDCパートの構成をさらに詳細に示した図面であり、図9は、前記TDCパートによってピークを検出した結果物の例示を示した図面である。
【0076】
本発明による特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム200は、一つの光ファイバコアと一つの曲げ測定装置とを結合して一つのチャネルを構成し、このようなチャネルを複数含む。それぞれの曲げ測定装置210、220、230は、OTDR/OFDR技術を活用して、それぞれの光ファイバから生じる長さ方向に沿った光損失を測定することにより、曲げ地点及び曲げ地点の曲率を計算する。システム200は、各チャネル別の曲げ測定装置210、220、230が計算した曲げ地点及び曲げ地点の曲率を統合して、一つの3次元形状を再現する。
【0077】
以下では、任意の一つの曲げ測定装置の構成及び動作を説明する。
【0078】
LDは、対応するチャネルの光ファイバコアの入力側に向かって光信号を出力する。光信号は、所定のパワーを有する光であって、特定大きさのピーク及び幅を有するパルス光の形態であるか、連続光の形態で構成される。
【0079】
PD1は、光ファイバコアに入力される光信号のパワーを測定するように構成される。例えば、パルス光の場合は、当該パルスのパワーを測定することができ、連続光の場合は、特定時間区間のパワーを測定することができる。
【0080】
TDCパート(Time to Digital Converter Part)は、LDによって光ファイバコアに入力された光信号が光ファイバコアの特定の曲げ地点で後方に散乱/反射され前記入力側に戻る反射信号の入力を受けて、フレネル反射ピークを検出し、ピークの大きさまたは幅を検出して、ピークが現れた時間を分析する。さらに、時間領域でサンプリングされた信号は平均化されることにより、ノイズを低減することができる。
【0081】
一方、TDCパートは、ADC(Analog-Digital Converter)機能を備えることができ、収集された光信号をデジタル信号に変換することができる。光信号は、時間領域の信号であり、前記光信号をデジタル信号に変換して、OTDRに基づいて距離別にそれぞれのデジタル信号をサンプリングすることにより、距離別物理量に換算することができる。
【0082】
PD2は、前記反射信号を、同様に入力を受け、反射信号のパワーを測定するように構成される。
【0083】
光信号は、高出力連続光または高速高出力パルス光である。それぞれのチャネル別に備えられる光源からの光信号が各チャネルの光ファイバコアに入力される。反射信号は、光ファイバの特定長さ分を通過した後、反射して戻ってくる光信号である。前記反射信号は、カプラー(図示せず)を通じてTDCパート及び光検出器(PD2)に入射し、TDCパートでピークが検出されると、ピークの発生時間に基づいて、曲げが発生した地点が計算できる。また、光検出器(PD2)で反射信号のパワーを測定することにより、曲げが発生した地点における光損失が計算され、計算された光損失に基づき、曲率が計算できる。光検出器(PD2)に入射した反射信号は、光ファイバ内でラリー反射(Raleigh reflection)及び後方散乱(Backscattering)などにより光信号の振幅減少が発生するため、光検出器(PD2)によって受信された反射信号は、電気信号に変換された後、任意の利得値で増幅処理され得る。
【0084】
光検出器(PD2)は、入射された光量によって電流を変化させる。電流の変化量は、TIA(Trans Impedance op-AMP)によって一次増幅された後、短波長増幅、長波長高増幅、長波長低増幅、フレネル反射(Fresnel Reflection)のための増幅を含む信号処理が行われる。
【0085】
短波長信号は、増幅比が高すぎると、信号のパルス幅が損なわれるため、長波長信号と区分して増幅されなければならない。また、長波長信号は、増幅比が高くても、信号のパルス幅が減衰する量が少ないため、高増幅が可能である。
【0086】
一方、光ファイバの一側で接続や切断が発生すると、フレネル反射が現れるが、フレネル反射は、反射信号の振幅が大きいため、電気信号の増幅度を小さくして処理する。
【0087】
このように増幅されたアナログ信号は、FPGAを通じてデジタル信号に変換された後、統合データプロセッサにフィードバックされる。
【0088】
FPGAは、LD、PD1、TDCパート、PD2の動作を制御し、光ファイバコアで発生した光損失の地点を識別して、曲げ地点及び曲げ地点の曲率を計算することができる。
【0089】
曲げ地点は、光信号のピーク出力時間と反射信号に基づいたピーク感知時間との差に基づくOTDR方式、及び光信号の出力周波数と反射信号から感知された周波数との差に基づくOFDR方式を選択的に使用または組み合わせて計算できる。
【0090】
曲げ地点の曲率は、光信号のピーク出力パワーと反射信号に基づいたピーク入力パワーとの差によって計算できる。
【0091】
このような構成により、いずれか一つのチャネルにおける曲げ地点と曲率が計算されると、各チャネル別の曲げ地点及び曲率を統合することにより、3次元曲げ地点及び曲げ曲率が計算できる。
【0092】
本発明による3次元曲線形状測定システムは、複数の曲げ測定装置から出力する曲げ地点及び曲率を統合し、3次元曲線形状を再現するように構成された統合データプロセッサをさらに含む。また、再現された3次元曲線形状を視覚的に表示するためのグラフィックディスプレイをさらに含む。
【0093】
統合データプロセッサは、各チャネル別の光損失を組み合わせる。特に、各チャネル別の曲げ地点及び曲率の入力を受け、それぞれを互いに算術平均するか加重平均するなどの方式によって、最終曲げ地点及び曲率を計算する。
【0094】
パルス変調された光信号が光ファイバコアに入射後、反射して戻ってくる反射信号が光検出器(PD2)に受信されると、反射信号のパワーを計測することにより、当該地点の曲げ曲率が計算される。また、光パルスが光ファイバを通過する時、距離によってパワー(または周波数)が弱くなるため、光検出器(PD2)で検出されたパワーを利用して、曲げが発生した地点を計算することもできる。FPGAは、光検出器(PD2)で受信した、この後方散乱した反射信号を時間の関数で計算し、光ファイバの長さによる光損失をイメージとして具現することができる。このような反射信号の測定時、時間分解能を向上させるために、数回の測定結果を平均化することにより、測定の信頼性を向上させることができる。
【0095】
一方、後方に散乱して戻ってくる反射信号は、パワーが低すぎて、信号にノイズが入る可能性がある。したがって、測定されたデータのSNR(Signal to noise ratio)が高いと、曲げによって光損失が発生した地点を区分しにくくなるため、これを補完するための平均化アルゴリズムを適用する。
【0096】
即ち、ノイズ信号は、不規則に発生するという特性を利用して、光検出器(PD2)で測定された反射信号を累積平均し、ノイズ信号を相殺できる。このような平均化アルゴリズムによると、曲げによって発生した光損失を際立たせ、光ファイバの長さによる状態分析が容易になる。
【0097】
このように、本発明による特殊光ファイバを利用することにより、曲げ地点に対する光ファイバの長さ方向に沿ったZ軸座標を計算することができ、各チャネル別の曲げ曲率を組み合わせて、当該地点における曲げ方向に係わるX軸座標及びY軸座標を計算することができる。計算された座標を通じて、特殊光ファイバの形状が、グラフィックディスプレイにより3次元曲線形状にイメージ化できる。
【0098】
このような構成及び動作の本発明による3次元曲線形状測定システムにより、図2に示されたように、任意で曲げた光ファイバの3次元曲線形状を正確に測定し、視覚的にイメージ化できるようになる。
【0099】
図8は、上述の3次元曲線形状測定システムにおいて、TDCパートの構成及び機能をさらに詳細に説明するための図面である。本発明のTDCパートは、例えば、25psの分解能と1ms以上の測定時間範囲で動作する。
【0100】
タイミング選択回路は、入力信号(即ち、LDから出力された光信号の反射信号)を受信すると、入力信号の形と大きさによるタイムウォーク(time walk)を補正したロジックパルスをクロック回路に出力する。タイミング選択回路から出力された信号に基づき、100MHzクロック回路からのクロックが計数され、基本タイミングが測定される。
【0101】
一方、前記入力信号は、シェイパー(shaper)に入力され、1ns以下のライジングタイムに細分化されてシェイピングされる。
【0102】
フラッシュADCは、クロック回路と同期されてクロックを共有できる。フラッシュADCは、シェイパー出力のライジングエッジをデジタル変換し、シェイパーから出力したシェイピングされた信号の始まった時点を追跡する。これにより、シェイパーの出力信号が10nsごとに(即ち、微細タイミング)繰り返される100MHzクロック(即ち、基本タイミング)の間のどの地点で始まったかを見つけ出し、反射信号の入力時点を10ns単位で正確に見つけ出すことができる。
【0103】
一般に、シェイパーの出力信号波形は、非線形であるため、フラッシュADCの値とパルス開始時間との関係は、ルックアップテーブルを使用して得られる。
【0104】
プロセッサは、ルックアップテーブルを参考し、基本タイミングと微細タイミングとを結合して、反射信号の発生時点と幅を測定するようになる。
【0105】
このような方法の長所は、微細タイミングの測定にフラッシュADCを使用するため、パルスストレッチング方式で生じえるデジタイザーデッドタイムが発生せず、基本タイムカウンタのビット数を増加させることにより、動作範囲を大きく拡張できるということである。
【0106】
図9は、TDCパートによって測定されたピークの例を示す図面である。測定結果から分かるように、ADC及びTDCパートの同期化された測定結果に対し、相互比較プロセッサを適用して、ノイズのような測定誤りを除去することにより、SNRの低い信号であっても、精密な測定が可能になる。
【0107】
TDCパートの正確度は、シェイパーのシェイピングタイム、ADCのアパーチャジッタ(aperture jitter)、ADCの有効ビット数に依存する。
【0108】
以下は、いずれかの一つの曲げ測定装置において、ある一つのチャネルの曲線形状を測定する方法を説明する。各動作は、FPGAによって制御できるが、各構成部が能動的に判断して前記動作を行うものとして説明する。
【0109】
まず、当該チャネルのLDから第1幅を有する第1パルスを出力する(S101)。
【0110】
TDCパートは、出力された第1パルスの反射信号を検出する(S102)。
【0111】
TDCパートは、検出された反射信号をデジタル信号に変換した後、変換されたデジタル信号に基づき、第1パルスが出力された以後に反射信号が現れた時点を測定し、測定された時点の前後を含むサンプリングポイントを設定する(S103)。
【0112】
次いで、LDから第2幅を有する第2パルスを出力する(S104)。
【0113】
TDCパートは、前記設定されたサンプリングポイントで前記第2パルスの反射信号のピークを検出する(S105)。そしてPD2は、前記第2パルスの反射信号のパワーを測定する(S106)。
【0114】
FPGAは、前記TDCパートで検出されたピークにより、前記光ファイバコアの曲げ地点を計算し、前記PD2で測定されたパワーにより、前記曲げ地点の曲率を計算する(S107)。
【0115】
一方、各チャネル別の情報を結合し、光ファイバの3次元形状を測定できるようになるが、図11を参照し、本発明による3次元曲線形状測定システムによって3次元曲線形状を測定する方法を説明する。
【0116】
まず、特定物体または任意の形態の3次元曲線形態を測定したい場合、本発明による特殊光ファイバ100を特定物体の表面に密着させて曲げる(S10)。
【0117】
次いで、測定システム200の各チャネル別の曲げ測定装置210、220、230が、前もって設定された特性(例えば、ピークの数及び大きさ、パワーなど)を有する光信号を、特殊光ファイバ100の対応するチャネルの光ファイバコアの入力側に入射させる。次いで、前記光ファイバコア内で反射され、前記入力側に反射される反射信号のピーク及びパワーが測定される。各チャネル別の反射信号の測定されたピークのタイミング/大きさ及びパワーに基づき、当該チャネルにおける曲げ地点及び曲率が計算される(S20)。
【0118】
この際、計算された曲げ地点及び曲率測定値の数(M)が、前もって設定された目標値の数(T)に到達したら(S30)、M個の測定値を平均し、平均された結果値を当該チャネルにおける曲げ地点及び曲率に対する測定結果値として決定する(S40)。
【0119】
各チャネル別の曲げ測定装置210、220、230ごとに測定結果値が決定でき、すべてのチャネルにおける測定結果値を結合して、3次元空間のイメージが構成される(S50)。
【0120】
一方、段階(S40)において、反射信号のピーク及びパワーが測定されるたびに、当該測定値を蓄積し、測定された数(M')が目標数(T')に到達したとき、目標数の測定値をそれぞれ平均して、平均された測定値(即ち、ピークの平均値及びパワーの平均値)を用いて、当該チャネルの曲げ地点及び曲率を計算することもできる。
【0121】
さらに、本発明による特殊光ファイバを、光ファイバのラマン(Raman)及びブリルアン散乱(Brillouin scattering)特性に基づいて分布型温度センサ(DTS;Distributed Temperature Sensor)と統合すると、光ファイバの長さ方向による温度分布を測定することもできる。
【0122】
したがって、一つの光ファイバを用いて、3次元曲線形状だけではなく、曲線形状の各地点における温度までも測定することができるようになる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバであって:
前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定されて、
前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、長さ方向に切開された部分を備え、前記切開された部分を通じて前記光ファイバコアの一部分を露出し、
前記切開された部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされたことを特徴とする、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
[2] 前記外部クラッドの内部に、前記光ファイバコアと平行に配置されたガイドコアをさらに含み、
前記ガイドコアは、前記外部クラッドとは異なる色を帯びるか、異なる屈折率を有することを特徴とする、[1]に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
[3] 前記外部クラッドの内部に、前記光ファイバコアを覆っている前記内部クラッドが複数配置されて、
前記内部クラッドは、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置され、また、前記内部クラッドの前記切開された部分が前記中心に背を向ける方向になるように配置されたことを特徴とする、[1]に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
[4] 前記外部クラッドの内部に、前記光ファイバコアのいずれかに平行に配置されたガイドコアをさらに含み、
前記ガイドコアは、前記外部クラッドとは異なる色を帯びるか、異なる屈折率を有することを特徴とする、[3]に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
[5] 前記内部クラッドの厚さは、前記光ファイバコアの直径の2倍に設定されることを特徴とする、[1]または[3]に記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバ。
[6] 光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバを製造する方法であって、
前記外部クラッドを用意することと、
前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な挿入孔を形成することと、
前記光ファイバコアを用意することと、
前記光ファイバコアが挿入可能な内部空間を備えたチューブ状に形成された前記内部クラッドを用意すること(前記内部クラッドは、長さ方向に切開された部分が形成されている)と、
前記光ファイバコアを前記内部クラッドの前記内部空間に挿入することと、
前記内部クラッドの前記切開された部分を、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の物質で満たすことと、
前記光ファイバコアが挿入された前記内部クラッドを前記外部クラッドの前記挿入孔に挿入することとを含む、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
[7] 光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバ(前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定される)を製造する方法であって、
前記外部クラッドを用意することと、
前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な挿入孔を形成することと、
前記光ファイバコアを用意することと、
前記光ファイバコアに前記内部クラッドを構成するための材質を部分的に被覆しながら引き抜くロッドインチューブ(Rod-in-tube)工程を利用し、前記光ファイバコアをC字状に覆うことと、
前記内部クラッドの前記切開された部分を、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の物質で満たすことと、
前記内部クラッドが被覆された前記光ファイバコアを前記外部クラッドの挿入孔に挿入することとを含む、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
[8] 光信号を伝達する光ファイバコアと、前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、前記内部クラッドを覆う外部クラッドとを含む光ファイバ(前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定される)を製造する方法であって、
前記外部クラッドを用意することと、
前記外部クラッドに前記内部クラッドが挿入可能な挿入孔を形成することと、
前記光ファイバコアを用意することと、
前記光ファイバコアの外側表面全体に、前記内部クラッドを構成するための物質を覆うことと、
前記内部クラッドの一部を前記光ファイバコアの長さ方向に沿って切開するかエッチングすることにより、前記光ファイバコアの一部を露出させることと、
前記内部クラッドで被覆された前記光ファイバコアを前記外部クラッドの挿入孔に挿入することとを含む、3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
[9] 前記外部クラッドに形成される前記挿入孔は、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置され、前記外部クラッドの長さ方向に沿って互いに平行に形成されて、
前記内部クラッドは、前記切開された部分が前記外部クラッドの断面の中心に背を向ける方向になるように配置されることを特徴とする、[6]乃至[8]のいずれかに記載の3次元曲線形状を測定するための特殊光ファイバの製造方法。
[10] 光ファイバコアの入力側に所定大きさのピーク及び幅を有する光信号を出力するLDと、
前記LDから出力され、前記光ファイバコアに入力される前記光信号のパワーを測定するPD1と、
前記光信号が前記光ファイバコアの任意の曲げ地点で散乱して前記入力側に戻ることにより形成された反射信号のピークを検出するTDCパートと、
前記反射信号のパワーを測定するPD2と、
前記LD、前記PD1、前記TDCパート及び前記PD2の動作を制御し、前記LDから出力した前記光信号のピークと、前記PD1で測定した前記光信号のパワーと、前記TDCパートで検出された前記反射信号のピークと、前記PD2で測定された前記反射信号のパワーとに基づき、前記光ファイバコアの前記曲げ地点及び前記曲げ地点の曲率を計算するFPGAとを含む、特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
[11] 前記光ファイバコアは、
前記光ファイバコアを覆う内部クラッドと、
前記内部クラッドを覆う外部クラッドとをさらに含み、
前記光ファイバコアの屈折率n1と前記内部クラッドの屈折率n2と前記外部クラッドの屈折率n3とは、n1≧n3>n2の関係で設定されて、
前記光ファイバコアを覆う前記内部クラッドは、一部分が長さ方向に切開され、前記光ファイバコアの一部を露出させる切開部分を備え、
前記切開部分は、前記光ファイバコアまたは前記外部クラッドと同一の屈折率の材質で満たされるように構成されたことを特徴とする、[10]に記載の特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
[12] 前記光ファイバコアを覆っている前記内部クラッドが前記外部クラッドの内部に複数配置され、それぞれのチャネルを構成し、それぞれの前記内部クラッドは、前記外部クラッドの断面の中心の周りに等方位角を有する放射状に配置されて、それぞれの前記内部クラッドは、前記切開部分が前記外部クラッドの前記中心に背を向けるように配置される方式で特殊光ファイバが構成されて、
前記LD、前記PD1、前記TDCパート、前記PD2及び前記FPGAは、一つの曲げ測定装置を構成し、
一つの前記曲げ測定装置は、一つの前記光ファイバコアに対応するように配置されて、 前記3次元曲線形状を測定するシステムは、各チャネル別の前記曲げ測定装置から出力する前記曲げ地点及び前記曲率を統合して3次元曲線形状を再現する統合データプロセッサをさらに含むことを特徴とする、[11]に記載の特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
[13] 前記FPGAは、
前記LDから第1幅を有する第1パルスを出力し、
前記TDCパートを通じて前記第1パルスの反射信号を検出して、
前記反射信号に基づき、第1パルスが出力された以後に反射信号が現れる時点を含むサンプリングポイントを設定し、
前記LDから第2幅を有する第2パルスを出力して、
前記サンプリングポイントで、前記TDCパートにより前記第2パルスの反射信号のピークを検出し、前記PD2により前記第2パルスの反射信号のパワーを測定して、
前記検出されたピークにより前記光ファイバコアの曲げ地点を計算し、前記測定されたパワーにより前記曲げ地点の曲率を計算することを特徴とする、[10]に記載の特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
[14] 前記第1パルスの幅は、前記第2パルスの幅より小さいことを特徴とする、[13]に記載の特殊光ファイバを用いて3次元曲線形状を測定するシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11