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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】取替式スライドケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
B65D83/04 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019014856
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020121760
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】上原 剛
(72)【発明者】
【氏名】林 信之
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-182243(JP,A)
【文献】中国実用新案第201857002(CN,U)
【文献】特開平09-226856(JP,A)
【文献】実開昭56-166284(JP,U)
【文献】実開昭54-034639(JP,U)
【文献】特開2004-180726(JP,A)
【文献】特開2006-273360(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197235(JP,U)
【文献】特開平10-316180(JP,A)
【文献】特開2005-126115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04-12
B65D 77/00-04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口を有する容器本体と、
前記第1の開口を通して前記容器本体に着脱可能に収納され、前記第1の開口と同一方向に開放する第2の開口を有する内ケースと、
前記容器本体に設けられたレールに沿ってスライド可能であり、前記第1の開口を蓋面部によって覆い、かつ、前記蓋面部の内面側に前記内ケースにおける側周部の一部に対応する形状の突出部を有する蓋体と、
前記第2の開口を封するように、前記側周部の開口端の全域に貼着されるシートとを備え、
前記蓋体は、スライドすることで前記容器本体に収納された前記内ケースの前記第2の開口の少なくとも一部を開閉可能であり、
前記内ケースは、前記シートが貼着されることにより密閉されることを特徴とする、取替式スライドケース。
【請求項2】
第1の開口を有する容器本体と、
前記第1の開口を通して前記容器本体に着脱可能に収納され、前記第1の開口と同一方向に開放する第2の開口を有する内ケースと、
前記容器本体に設けられたレールに沿ってスライド可能であり、前記第1の開口を蓋面部によって覆う蓋体と、
前記第2の開口を封するように、前記内ケースにおける首部と胴部とを含むビン枠形状に形成される側周部の開口端の全域に貼着されるシートとを備え、
前記蓋体は、スライドすることで前記容器本体に収納された前記内ケースの前記第2の開口の少なくとも一部を開閉可能であり、
前記内ケースは、前記シートが貼着されることにより密閉され、
前記シートにおいて前記第2の開口の前記首部に対応する部分がめくられることで前記第2の開口の一部が取出口として形成され、
前記取出口の前記シートは、前記蓋体が前記取出口を閉じた状態で、再度粘着させることにより前記取出口を密閉する、ことを特徴とする、取替式スライドケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取替可能な内ケースと、内ケースを収納する容器本体と、容器本体を蓋する蓋体とを含む取替式スライドケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、錠剤の菓子、サプリメント、薬等の内容物入れる容器として、容器本体と、容器本体にスライド可能に取り付けられた蓋体とを備えるスライドケースがある。例えば、特許文献1に記載されたスライドケースは、上部に開口を有する平板形状の容器と、該容器に設けられたレールに沿ってスライド可能に容器の開口部を覆うスライド蓋とを備える。
【0003】
このようなスライドケースによれば、スライド蓋の開閉や、スライド蓋が閉じた状態での維持が容易であるとともに、開閉操作が繰り返し行われてもストッパー機能が低下することがない。特に、特許文献1に記載のスライドケースでは、複数のケースが連結して使用されることが想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-231222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようなスライドケースでは、開閉操作等のスライドケースとしての機能は十分であるものの、内容物を消費すると補充する必要が生じ、一粒一粒補充する作業が迂遠であった。また、一度スライドケースの内部が汚染された場合には、新たに補充された内容物にも汚染が広がる恐れがあり、または、異なる内容物を新たに補充した場合には、前の内容物の残渣が後の内容物に付着してしまう等の課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑み、内容物の補充が容易な取替式スライドケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る取替式スライドケースは、第1の開口を有する容器本体と、前記第1の開口を通して前記容器本体に着脱可能に収納され、前記第1の開口と同一方向に開放する第2の開口を有する内ケースと、前記容器本体に設けられたレールに沿ってスライド可能であり、前記第1の開口を覆う蓋体とを備え、前記蓋体は、スライドすることで前記容器本体に収納された前記内ケースの前記第2の開口の少なくとも一部を開閉可能であることを特徴とする。
【0008】
このような取替式スライドケースでは、内容物の補充において、容器本体と、スライド可能な蓋体とから構成される外ケースに対して、蓋体をスライドさせて開いた状態とし、内容物が少なくなった状態、または無くなった状態の内ケースに代えて、内容物が充填された内ケースに交換することにより、内容物を容易に補充できる。したがって、このような取替式スライドケースによれば、内容物の補充が容易になる。
【0009】
(2)前記した取替式スライドケースにおいて、前記内ケースは、首部と胴部とを含むビン枠形状に形成された側周部を備えていてもよい。そのようにすれば、容器本体と蓋体からなる外ケースの開放される側に内ケースの首部が配置されるように、内ケースが外ケースに収納されることにより、内ケースの首部から内容物が放出可能となり、内容物の数量の調整が容易になる。
【0010】
(3)前記した取替式スライドケースにおいて、さらに、前記第2の開口を封するように、前記内ケースにおける前記側周部の開口端の全域に貼着されるシートを備え、前記内ケースは、前記シートが貼着されることにより密閉されてもよい。また、第1の開口を有する容器本体と、前記第1の開口を通して前記容器本体に着脱可能に収納され、前記第1の開口と同一方向に開放する第2の開口を有する内ケースと、前記容器本体に設けられたレールに沿ってスライド可能であり、前記第1の開口を蓋面部によって覆う蓋体と、前記第2の開口を封するように、前記内ケースにおける側周部の開口端の全域に貼着されるシートとを備え、前記蓋体は、スライドすることで前記容器本体に収納された前記内ケースの前記第2の開口の少なくとも一部を開閉可能であり、前記内ケースは、前記シートが貼着されることにより密閉されてもよい。さらに、前記蓋体は、前記蓋面部の内面側に前記側周部の一部に対応する形状の突出部を有してもよい。そのようにすれば、内ケースは、外ケースに収納される前に、第2の開口の開口端の全域にシートを貼着されてることで密閉されているため、内ケースは、容器本体から離れて個別の商品として流通可能であり、いわゆる取替可能容器として容易に機能する。
【0011】
(4)前記した取替式スライドケースにおいて、さらに、前記第2の開口を封するように、前記内ケースにおける前記側周部の開口端の全域に粘着して貼着されるシートを備え、前記シートにおいて前記第2の開口の前記首部に対応する部分がめくられることで前記第2の開口の一部が取出口として形成され、前記取出口の前記シートは、前記蓋体が前記取出口を閉じた状態で、再度粘着させることにより前記取出口を密閉するようにしてもよい。そのようにすれば、前記取出口の前記シートは、前記蓋体が前記取出口を閉じた状態で、再度粘着させることにより前記取出口を密閉する。そのようにすれば、一度開封した内ケースにおいて、再度気密性が高められ、取替式スライドケースに保香性、防湿性等の機能を付与することができる。
【0012】
(5)前記した(2)に記載の取替式スライドケースにおいて、さらに、前記第2の開
口を封するように、前記内ケースにおける前記側周部の開口端の全域に貼着されるシート
を備え、前記シートにおいて前記第2の開口の前記首部に対応する部分がめくられること
で前記第2の開口の一部が取出口として形成され、前記蓋体は、スライドすることで前記
内ケースの前記取出口を開閉可能であってもよい。また、前記第2の開口を封するように、前記内ケースにおける前記側周部の開口端の全域に貼着されるシートを備え、前記シートにおいて前記第2の開口の前記首部に対応する部分がめくられることで前記第2の開口の一部が取出口として形成され、前記蓋体は、その蓋面部の内面側に前記側周部の一部に対応する形状の突出部を有し、かつ、スライドすることで前記内ケースの前記取出口を開閉可能であってもよい。
【0013】
そのようにすれば、シートで第2の開口の全域が密閉された状態の内ケースを準備し、第2の開口の首部に対応する部分をめくることで取出口を容易に形成することができるとともに、内ケースが外ケースに収納されることにより、第2の開口の首部に相当する取出口から内容物を取り出すことになるため、放出される内容物の数量を容易に調整することができる。
【0014】
(6)前記した(5)に記載の取替式スライドケースにおいて、前記シートの前記内ケースの前記首部に対応する部分は、切断することで前記シートの他の部分と切り離し可能であってもよい。そのようにすれば、蓋体のスライドが円滑になり、また取出口から内容物を取り出す作業が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、内容物の補充が容易な取替式スライドケースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る取替式スライドケースを構成する容器本体、内ケースおよび蓋体を示す斜視図である。
図2図1に示す取替式スライドケースの開閉状態を示す図であり、(A)は、内ケースを容器本体に収納した状態を示す斜視図であり、(B)は、容器本体に蓋体を取り付けた状態を示す斜視図であり、(C)は、蓋体をスライドさせて容器本体の第1の開口を蓋した状態を示す斜視図である。
図3図1における容器本体を示し、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
図4図1における内ケースを示し、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
図5図4における内ケースの層構成を示す概念側断面図である。
図6図1における蓋体を示し、(A)は斜視図であり、(B)は底面図であり、(C)は正面図であり、(D)は側面図である。
図7】第2の実施形態に係る内ケースを示す斜視図である。
図8図7におけるシートの層構成を示す概念側断面図である。
図9】第2の実施形態の変形例に係る蓋体を示す底面図である。
図10】第2の実施形態の変形例に係る内ケースを示す斜視図である。
図11】第2の実施形態の変形例に係る取替式スライドケースの内ケース内が密閉された状態を示す拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る取替式スライドケースCについて、図1図11を参照して詳細に説明する。取替式スライドケースCは、内ケース2を取替可能に構成されており、内ケース2に錠剤のサプリメントや薬のような内容物を収容可能である。
【0018】
[第1の実施形態]
図1に示すように、第1の実施形態に係る取替式スライドケースCは、容器本体1と、容器本体1に着脱可能に収納される内ケース2と、容器本体1に設けられたレール1rに沿ってスライドすることにより容器本体1を開閉可能である蓋体3とを備える。取替式スライドケースCは、図2に示すように、容器本体1に内ケース2を収納し、蓋体3をスライドさせることで、開閉可能とされている。
【0019】
図3に示すように、容器本体1は、直方体の箱状に形成されており、直方体の一方の面を開放した第1の開口10を有し、直方体の内部に収納空間Sを形成されている。本実施形態において、容器本体1は、平面視で概略矩形の平板状に形成されており、最も大きい面の一方を開放した箱状とされている。容器本体1は、箱状の底となる第1の底面部11と、箱の側壁12とを備える。
【0020】
容器本体1は、平板状の長手方向の一対の側壁12の外側に、蓋体3をスライド可能にはめ込まれる一対のレール1rを形成されている。長手方向の一対の側壁12は、蓋体3を取り付けた際にスライド範囲を規制するストッパー部16を形成されている。容器本体1は、従来よく知られる射出成形により合成樹脂を材料に製作することができる。
【0021】
図4に示すように、内ケース2は、容器本体1に収納された状態で第1の開口10と同一方向に開放する第2の開口20を有する。また、内ケース2は、容器本体1の第1の開口10を通して容器本体1に着脱可能に収納される。本実施形態において、内ケース2は、第2の開口20を形成する側周部22と、第2の開口20と概略同一の形状を有する第2の底面部21とからなる。
【0022】
内ケース2の側周部22は、首部2nと、肩部2sと、胴部2bとを含むビン枠形状に形成され、第2の底面部21も概略同一のビン形状を有する。また、側周部22は、外側に突出するフランジ部23を形成されている。内ケース2は、従来よく知られる、真空成形等により合成樹脂を材料に製作することができる。
【0023】
また、図5に示すように、内ケース2は、外側から、第1の表層2a、バリヤ層2b、および第2の表層2cの順に積層された多層構造を有する。第1および第2の表層2a、2cは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等からなり、バリヤ層2bは、エチレン-ビニルアルコール共重合体、MXDナイロン等からなる。なお、内ケースは、バリヤ層と各表層との間には、再生原料層を備えていてもよい。
【0024】
図6に示すように、蓋体3は、平面視で容器本体1と概略同一の矩形の平板状に形成されており、容器本体1のレール1rに沿ってスライド可能に構成されている。本実施形態において、容器本体1は、容器本体1よりも薄い平板状に形成されており、容器本体1と対向する面(図1における下側の面)と、スライドして容器本体1を受け入れる面とを開放している。
【0025】
したがって、蓋体3は、容器本体1の第1の開口10を覆う蓋面部31と蓋面部31の側周の3辺に対応する矩形枠形状の側壁部32とを備える。蓋体3の長手方向に設けられた一対の側壁部32は、容器本体1のレール1rにはめ込まれ、蓋体3が容器本体1に対してスライド可能となるように案内する。蓋体3は、従来よく知られるように、射出成形により合成樹脂を材料に製作することができる。蓋体3は、容器本体1と同一の材料により製作されてもよい。
【0026】
容器本体1と蓋体3とは、内ケース2を収納した状態、内ケース2を収納しない状態にかかわらず、本体容器のレール1rに蓋体3の長手方向の側壁部32をはめ込み、容器本体1に対して、蓋体3をスライド可能としている。本明細書において、容器本体1と蓋体3とから形成されるスライドケースを外ケースとも称する。
【0027】
内ケース2は、容器本体1の収納空間Sに収納可能となるように、容器本体1の収納空間Sよりも小さい平面寸法を有し、かつ、収納空間Sよりも低い高さ寸法を有する。これにより、内ケース2を容器本体1に収納した状態でも、蓋体3をスライドさせるときに、内ケース2が蓋体3のスライドを阻害することがない。また、蓋体3の一対の側壁部32は、その端部が容器本体1のストッパー部16に当接して、蓋体3がスライドする範囲を規制される。
【0028】
また、本体容器1に収納された内ケース2と、容器本体1のレール1rに側壁部32をはめ込まれた蓋体3とにおいて、内ケース2の側周部22の上端(開口端)と、蓋体3の蓋面部31の内側面との間隔は、内容物が通過できない程度まで狭くなっている。これにより、内容物が、内ケース2と外ケースとの間に侵入してしまうことを防止できる。
【0029】
また、容器本体1の収納空間Sは、内ケース2の首部2nと肩部2sとに当接して移動を規制するための凸部13と、胴部2bに当接して移動を規制するための凸部14とを備える。凸部13および凸部14が形成されていることで、容器本体1は、内ケース2に対応した収納空間Sを形成することができ、容器本体1に収納された内ケース2が収納空間S内で移動することを規制する。さらに、容器本体1は、内ケース2が収納された状態で内ケース2のフランジ部23を上方に規制する凸部15を形成されている。
【0030】
内ケース2は、内容物を収容した状態で容器本体1に収納され(図2の(A)を参照)、蓋体3が容器本体1にスライド可能に取り付けられて(図2(B)を参照)、蓋体3がスライドして容器本体1の第1の開口10および内ケース2の第2の開口20を蓋する(図2(C)を参照)。このように取替式スライドケースCは、内ケース2を容易に取り替えることができる。
【0031】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る取替式スライドケースCは、内ケース2に貼着されるシート4が追加される以外は、第1の実施形態と同様の構成を有する。すなわち、第2の実施形態に係る取替式スライドケースCは、容器本体1、内ケース2および蓋体3に加えて、内ケース2にシート4が貼着される点でのみ異なる。
【0032】
したがって、以下の説明では、容器本体1、内ケース2および蓋体3の構成については説明を一部省略し、シート4または容器本体1、内ケース2および蓋体3のシート4に関わる部分のみについて詳細に説明する。また、本明細書において、貼着とは、貼り付けられた状態を意味し、接着、粘着、溶着、融着等を含む。
【0033】
図7に示すように、第2の実施形態に係る取替式スライドケースCにおいて、シート4は、内ケース2のビン枠形状の側周部22に対して貼着されている。具体的には、シート4は、側周部22の開口端に溶着されている。また、シート4は、内ケース2の首部2nに対応するシート首部41(首部に対応する部分)と、内ケース2の肩部2sおよび胴部2bに対応するシート本体部42(他の部分)とを備える。
【0034】
シート首部41をめくることで、内ケース2の第2の開口20の一部を開放することができる。また、シート首部41は、内ケース2の側周部22より外側に一部をはみ出すように摘み部41mを形成されており、摘み部41mによりシート首部41をめくりやすくする。
【0035】
また、シート首部41と、シート本体部42とは切断できるように、切取線(図示なし)が設けられている。切取線は、例えば、レーザを利用して、従来よく知られるハーフカット加工により形成されている。これにより、シート4の内ケース2の首部2nに対応する部分をめくって切断することで、内ケース2は第2の開口20の首部2nだけが開放した状態となる。
【0036】
また、シート4は、内ケース2に貼着される側から、シーラント層4a、中間層4b、および基材層4cの順に積層された多層構造を有する。シーラント層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等からなり、中間層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アルミ等を材料とする金属箔、蒸着フィルム等からなり、基材層は、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等の延伸フィルム等からなる。なお、基材層に金属、シリカ等の無機物を蒸着した蒸着フィルムを用いることにより、中間層を設けずに、バリヤ性を有するシートを形成することもできる。
【0037】
なお、内ケース2は、外ケースに収納される前は、平面視で内ケース2と概略同一形状のシート4により第2の開口20の全部を封されている。これにより、内ケース2は、外ケースに収納されていなくとも、個別の商品として流通可能であり、いわゆる取替可能容器として機能する。
【0038】
第2の開口20の首部2nだけが開放した状態の内ケース2を容器本体1に収納した状態で、蓋体3をスライドさせると、内ケース2の開放した部分だけが外ケースの外部と連通することになり、第2の開口20の一部を内容物の取出口として機能させることができる。内ケース2は、容器本体1に収納される前、または、収納された後に、取出口を形成することができる。
【0039】
次に、第2の実施形態に係る取替式スライドケースCの変形例について説明する。変形例に係るシート4は、内ケース2の首部2nにおいて、側周部22の上端(開口端)に粘着材により貼着されている。また、シート4のシート首部41を切り取ることなく、蓋体3をスライドさせて閉じた状態で、蓋体3により、シート4のめくれた部分を再び内ケース2の側周部22の上端(開口端)に密着させて、シート4が開口端に粘着することにより、内ケース2の気密性を確保することができる。
【0040】
具体的には、図9に示すように、収納された内ケース2の首部に対応する形状の突出部33を蓋体3の蓋面部31の内面側に形成する。これにより、図10に示すようなシート首部41をめくった状態で外ケースに収納する。そして、蓋体3をスライドして取替式スライドケースCを閉じた状態とすると、図11に示すように、内ケース2の側周部22に向けて蓋体3の突出部33がシート4を押圧するように機能する。これにより、外ケースを閉じた状態で内ケース2が密閉されて気密性が保持される。
【0041】
ここで、気密性の度合いにより、取替式スライドケースCは、保香機能、防湿機能等の機能を有することができる。気密性については、シート4の内ケース2への密着性およびシート4の層構成等を変更することにより調整することができる。例えば、シート4の厚さと、内ケース2の側周部22と蓋体3の突出部33との間隔とを調整することにより、外ケースを閉じた状態でのシート4の密着性を高めることができる。
【0042】
さらに、シート4を内ケース2の側壁部32の外側に、はみ出すようにして折り返し可能として、折り返した部分を内ケース2と外ケースで挟み込むようにして内ケース2を密閉するようにしてもよい。なお、シート4を内ケース2の側周部22の外側にはみ出した部分は、シート4をめくり始める摘み部分として機能する。
【0043】
第2の実施形態において、シート4の一部をめくって第2の開口20の一部を取出口として機能させる形態について説明した。しかし、シート4の全部をめくって第2の開口20の全部を取出口として機能させるようにしてもよい。この場合は、シート4の全部をめくった後は、第1の実施形態と同様となり、内ケース2を外ケースに収納した状態で、蓋体3をスライドさせ、第2の開口20の連通した部分から内容物を放出させることができる。
【0044】
第1および第2の実施形態において、内ケース2がビン枠形状の形態について説明した。しかし、内ケース2はどのような形状であってもよい。内ケース2の形状に合わせて、容器本体1の枠の形状を調整すれば、内ケース2を容器本体1の収納空間S内で移動しないよう抑制することができる。
【0045】
第1および第2の実施形態において、外ケースが平板形状の形態について説明した。しかし、外ケースは、スライド可能に構成されていれば、他の形状であってもよい。例えば、外ケースは、立方体の箱状に形成され、その一面を開放するようにスライド可能であってもよい。
【0046】
第2の実施形態の変形例において、蓋体3の突出部33でシート4を内ケース2の側周部22の上端に押圧して内ケースに密着させる形態について説明した。しかし、シート4は、蓋体3の突出部33に押圧されることなく、粘着材の粘着力のみで内ケース2の側周部22の上端に密着してもよい。
【0047】
第1および第2の実施形態において、内ケース2は、第1の表層2a、バリヤ層2b、および第2の表層2cの順に積層された3層構造で形成される形態について説明した。しかし、内ケース2は、3層構造以外に、単層構造、2層構造または4層以上の多層構造であってもよい。また、第1および第2の実施形態において、内ケース2は、バリヤ層を備えることによりバリヤ性を有するが、必ずしもバリヤ層を備える必要はなく、バリヤ性を有しなくてもよい。
【0048】
第1および第2の実施形態において、シート4は、シーラント層4a、中間層4b、および基材層4cの順に積層された3層構造を有する形態について説明した。しかし、シート4は、3層構造以外に、単層構造、2層構造または4層以上の多層構造であってもよい。また、シート4は、バリヤ性を有していることが望ましいが、バリヤ性を有しない材料で構成されてもよい。
【0049】
以上、本発明の具体的な態様の例を、上記の実施形態、変形例により説明したが、本発明は、当該実施形態および変形例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
C 取替式スライドケース
1 容器本体
1r レール
2 内ケース
2n 首部
2s 肩部
2b 胴部
3 蓋体
4 シート
10 第1の開口
20 第2の開口
22 側周部
41 シート首部(内ケースの首部に対応する部分)
42 シート本体部(内ケースの首部以外の部分)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11