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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-20
(45)【発行日】2023-06-28
(54)【発明の名称】スリットノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/04 20060101AFI20230621BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B05B1/04
B05C5/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019139952
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021020188
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390002118
【氏名又は名称】株式会社いけうち
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西垣 俊吾
(72)【発明者】
【氏名】権藤 政則
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-211027(JP,A)
【文献】特開2003-340342(JP,A)
【文献】特開平09-103728(JP,A)
【文献】特開2014-172031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B08B 1/00-3/14
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長の筐体を備え、前記筐体に長手方向に延びる噴出口が設けられたスリットノズルであって、
前記筐体は、前記長手方向に複数の区間に区分され、前記長手方向に隣接した第1区間と第2区間を少なくとも有し、
前記第1区間は、
前記筐体の外部に開口し、流体が導入される第1流入口と、
前記第1流入口に連通し、前記長手方向に延在する第1受入流路と、
前記第1受入流路に連通し、前記長手方向に延在し、前記長手方向の垂直断面における流路幅が前記第1受入流路よりも狭く形成された第1移送流路と、
前記第1移送流路と前記噴出口に連通し、前記長手方向に延在し、前記長手方向の垂直断面における流路幅が前記第1移送流路よりも狭く形成された第1噴出流路とを有し、
前記第2区間は、
前記筐体の外部に開口し、流体が導入される第2流入口と、
前記第2流入口に連通し、前記長手方向に延在する第2受入流路と、
前記第2受入流路に連通し、前記長手方向に延在し、前記長手方向の垂直断面における流路幅が前記第2受入流路よりも狭く形成された第2移送流路と、
前記第2移送流路と前記噴出口に連通し、前記長手方向に延在し、前記長手方向の垂直断面における流路幅が前記第2移送流路よりも狭く形成された第2噴出流路とを有し、
前記第1受入流路と前記第2受入流路は前記長手方向に互いに離隔して設けられ、
前記第1移送流路と前記第2移送流路は前記長手方向に互いに離隔して設けられ、
前記第1噴出流路が前記第2噴出流路と前記長手方向に接続し、前記噴出口が前記第1区間から前記第2区間にかけて連続的に形成されていることを特徴とするスリットノズル。
【請求項2】
前記第1移送流路と前記第1噴出流路との接続部の前記長手方向の長さと、前記第2移送流路と前記第2噴出流路との接続部の前記長手方向の長さは、前記第1移送流路と前記第1噴出流路との接続部と前記第2移送流路と前記第2噴出流路との接続部の前記長手方向の離隔距離よりも長い請求項1に記載のスリットノズル。
【請求項3】
前記第1移送流路と前記第1噴出流路との接続部と前記第2移送流路と前記第2噴出流路との接続部の前記長手方向の離隔距離は、1mm以上10mm以下である請求項1または2に記載のスリットノズル。
【請求項4】
前記第1移送流路と前記第2移送流路の間には、前記第1移送流路と前記第2移送流路と前記第1噴出流路と前記第2噴出流路に連通した間隙流路が設けられ、
前記間隙流路は、前記長手方向の垂直断面における流路幅が、前記第1移送流路の流路幅と前記第2移送流路の流路幅よりも狭く、前記第1噴出流路の流路幅と前記第2噴出流路の流路幅と同幅かそれよりも広く形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載のスリットノズル。
【請求項5】
前記筐体は第1ブロックと第2ブロックが重ね合わされて形成され、前記第1ブロックと前記第2ブロックの互いの対向面に前記第1受入流路と前記第2受入流路と前記第1移送流路と前記第2移送流路と前記第1噴出流路と前記第2噴出流路と前記間隙流路が形成され、
前記間隙流路を貫通して前記第1ブロックと前記第2ブロックを締結する締付ボルトが設けられ、当該締付ボルトにより前記間隙流路の流路幅が調整可能に形成されている請求項4に記載のスリットノズル。
【請求項6】
前記筐体は第1ブロックと第2ブロックが重ね合わされて形成され、前記第1ブロックと前記第2ブロックの互いの対向面に前記第1受入流路と前記第2受入流路と前記第1移送流路と前記第2移送流路と前記第1噴出流路と前記第2噴出流路が形成され、
前記第1移送流路または前記第2移送流路を貫通して前記第1ブロックと前記第2ブロックを締結する締付ボルトが設けられ、当該締付ボルトにより前記第1噴出流路の流路幅または前記第2噴出流路の流路幅が調整可能に形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載のスリットノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリットノズルに関するものであり、詳しくは、スリット状の噴射口から気体や液体の流体を膜状に噴射することができるスリットノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルの液置換洗浄や液切り、プリント配線板のエッチング、鋼板のワイピング、その他低圧洗浄や液盛り等を行うためのノズルとして、気体または液体を膜状に噴射するスリットノズルが知られている(例えば、特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-211027号公報
【文献】特開2006-205120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スリットノズルは、長手方向にできるだけ均等に流体を噴射することが求められる。一方、製造プロセスによっては、1つのラインで異なる種類の製品を製造する場合があり、そのような場合は、異なる大きさの製品や材料が製造ラインを流れることがある。その場合、スリットノズルから噴射される流体の噴射幅が固定されていると、流体を噴射する対象物(以下、単に「対象物」と称する)の幅に対して、スリットノズルの幅が足りなくなったり、逆にスリットノズルの幅が過剰となることが起こりうる。前者の場合の対応として、2つ以上のスリットノズルを長手方向に並べる対応が考えられるが、その場合、スリットノズルは噴出口を長手方向の端縁まで設けることが難しいことから、隣接するスリットノズルの間に流体が届かない(あるいは流体の届く量が減少する)断続部分が生じ、いわゆるスジ残りが生じる。一方、そのような断続部分が生じないようにするために、2つ以上のスリットノズルを前後方向にずらして、隣接するスリットノズルの長手方向の端部どうしを重ねて配置する対応も考えられるが、その場合、スリットノズルが重ねて配置された部分とそれ以外の部分とで対象物への流体供給量を揃えるように配置位置を調整することは難しく、この場合も全体として流体を長手方向に略均一に噴射させることが難しいのが実状である。スリットノズルの幅が対象物に対して過剰となる場合は、流体が無駄に噴射される量が増え、製造コストの増加を招く。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つのスリットノズルで長手方向に異なる噴射幅で流体に噴射させることができ、噴射幅を変えても流体を長手方向に略均等に膜状に噴射することができるスリットノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明のスリットノズルとは、横長の筐体を備え、筐体に長手方向に延びる噴出口が設けられたスリットノズルであって;筐体は、長手方向に複数の区間に区分され、長手方向に隣接した第1区間と第2区間を少なくとも有し;第1区間は、筐体の外部に開口し、流体が導入される第1流入口と、第1流入口に連通し、長手方向に延在する第1受入流路と、第1受入流路に連通し、長手方向に延在し、長手方向の垂直断面における流路幅が第1受入流路よりも狭く形成された第1移送流路と、第1移送流路と噴出口に連通し、長手方向に延在し、長手方向の垂直断面における流路幅が第1移送流路よりも狭く形成された第1噴出流路とを有し;第2区間は、筐体の外部に開口し、流体が導入される第2流入口と、第2流入口に連通し、長手方向に延在する第2受入流路と、第2受入流路に連通し、長手方向に延在し、長手方向の垂直断面における流路幅が第2受入流路よりも狭く形成された第2移送流路と、第2移送流路と噴出口に連通し、長手方向に延在し、長手方向の垂直断面における流路幅が第2移送流路よりも狭く形成された第2噴出流路とを有し;第1噴出流路が第2噴出流路と長手方向に接続し、噴出口が第1区間から第2区間にかけて連続的に形成されているところに特徴を有する。
【0007】
本発明のスリットノズルは上記のように構成されることにより、1つのスリットノズルで長手方向に異なる長さで流体を膜状に噴射させることができる。この際、各区間において流体を噴出口から長手方向に略均等に噴射することができるとともに、隣接する2以上の区間から流体を噴出する場合は、隣接する区間の噴出流路が長手方向に接続して設けられ、噴出口が複数の区間に跨がって連続的に形成されているため、複数の区間にわたって流体を噴出口から長手方向に略均等に噴射することができる。そのため、本発明のスリットノズルによれば、対象物の大きさに応じて噴出口からの流体の噴射幅を変えることができ、また噴射幅を変えても噴射流量のばらつきを抑えることができ、流体を長手方向に略均等に膜状に噴射することができる。
【0008】
第1移送流路と第1噴出流路との接続部の長手方向の長さと、第2移送流路と第2噴出流路との接続部の長手方向の長さは、第1移送流路と第1噴出流路との接続部と第2移送流路と第2噴出流路との接続部の長手方向の離隔距離よりも長いことが好ましい。また、第1移送流路と第1噴出流路との接続部と第2移送流路と第2噴出流路との接続部の長手方向の離隔距離が1mm以上10mm以下であることが好ましい。このように各区間における移送流路と噴出流路の接続部が形成されることにより、複数の区間にわたって流体を噴出口から略均等に噴射しやすくなる。
【0009】
第1移送流路と第2移送流路の間には、第1移送流路と第2移送流路と第1噴出流路と第2噴出流路に連通した間隙流路が設けられ、間隙流路は、長手方向の垂直断面における流路幅が、第1移送流路の流路幅と第2移送流路の流路幅よりも狭く、第1噴出流路の流路幅と第2噴出流路の流路幅と同幅かそれよりも広く形成されていることが好ましい。このように間隙流路を設けることにより、第1移送流路と第2移送流路を流れる流体の一部が間隙流路を通って第1噴出流路と第2噴出流路に流れることができ、第1噴出流路と第2噴出流路から噴射される流体が合一化されやすくなる。
【0010】
スリットノズルは、第1ブロックと第2ブロックを重ね合わせて筐体を形成し、第1ブロックと第2ブロックの互いの対向面に第1受入流路と第2受入流路と第1移送流路と第2移送流路と第1噴出流路と第2噴出流路を形成することができる。この場合、第1移送流路または第2移送流路を貫通して第1ブロックと第2ブロックを締結する締付ボルトを設け、締付ボルトにより第1噴出流路の流路幅または第2噴出流路の流路幅が調整可能に形成されていることが好ましい。これにより、各噴出流路の流路幅を精密に調整することができる。第1ブロックと第2ブロックの互いの対向面には、間隙流路を形成することもできる。この場合、間隙流路を貫通して第1ブロックと第2ブロックを締結する締付ボルトを設け、締付ボルトにより間隙流路の流路幅が調整可能に形成されていることが好ましい。これにより、間隙流路の流路幅を精密に調整することができる。その結果、スリットノズルから流体を長手方向に略均等に噴射しやすくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスリットノズルによれば、対象物の大きさに応じて噴出口からの流体の噴射幅を変えることができるとともに、噴射幅を変えても噴射流量のばらつきを抑えることができ、流体を長手方向に略均等に膜状に噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のスリットノズルの一例を表し、スリットノズルの正面図を表す。
図2図1に示したスリットノズルを噴出口側から見た側面図を表す。
図3図1に示したスリットノズルのIII-III断面図(長手方向の垂直断面図)を表す。
図4】スリットノズルの長手方向の垂直断面図の他の例を表す。
図5図1に示したスリットノズルの部分拡大図を表す。
図6】従来のスリットノズルを3つ並べて流体を噴射したときの噴射強度の測定結果を表す。
図7】本発明のスリットノズルから流体を噴射したときの噴射強度の測定結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、流体を膜状に噴射することができるスリットノズルに関するものであり、詳細には、1つのスリットノズルで長手方向に異なる噴射幅で流体を噴射することができ、また噴射幅を変えても噴射流量のばらつきを抑えることができ、長手方向に略均等に流体を膜状に噴射することができるスリットノズルに関するものである。以下、本発明で用いる噴霧ノズルを図面を参照して説明する。なお、本発明は図面に示した態様に限定されるものではない。
【0014】
図1図5を参照して、スリットノズルの構成について説明する。図1はスリットノズルを正面から見た外観図を表し、図2はスリットノズルを噴出口側から見た外観図を表し、図3図1に示したスリットノズルのIII-III断面図(すなわち長手方向の垂直断面図)を表し、図4はスリットノズルの長手方向の垂直断面図の他の例を表し、図5図1に示したスリットノズルの部分拡大図を表す。
【0015】
スリットノズル1は、横長の筐体2を備え、筐体2には長手方向xに延びる噴出口7が設けられている。噴出口7はスリット状に形成され、スリット状の噴出口7から気体または液体の流体が膜状に噴射される。スリットノズル1において、長手方向xは横方向に相当し、長手方向xに垂直な方向として縦方向yと厚み方向zが規定される。噴出口7は筐体2の厚み方向zの側面に形成され、流体は噴出口7から縦方向yに向かって噴出される。スリットノズル1は縦方向yに対して一方側と他方側を有し、流体は、筐体2の内部で縦方向yの一方側から他方側に向かって流れる。従って、スリットノズル1の縦方向yの他方側とは噴出口7側を意味し、縦方向yの一方側のその反対側を意味する。噴出口7は、筐体2の縦方向yの他方側の厚み方向zの側面に設けられることが好ましい。
【0016】
筐体2は、長手方向xに複数の区間に区分され、長手方向xに隣接した第1区間Aと第2区間Bを少なくとも有する。図面に示したスリットノズル1では、筐体2が、長手方向xに区分された第1区間Aと第2区間Bと第3区間Cを有するように形成されている。筐体2の内部には各区間に流体が通る空間が形成され、各区間の内部空間で流体が流入口3から噴出口7に流れる。
【0017】
各区間は、筐体2の外部に開口し、流体が導入される流入口3と、流入口3に連通し、長手方向xに延在する受入流路4と、受入流路4に連通し、長手方向xに延在する移送流路5と、移送流路5と噴出口7に連通し、長手方向xに延在する噴出流路6を有する。具体的には、第1区間Aには、筐体2の外部に開口し、流体が導入される第1流入口3Aと、第1流入口3Aに連通し、長手方向xに延在する第1受入流路4Aと、第1受入流路4Aに連通し、長手方向xに延在する第1移送流路5Aと、第1移送流路5Aと噴出口7に連通し、長手方向xに延在する第1噴出流路6Aが設けられる。第2区間Bには、筐体2の外部に開口し、流体が導入される第2流入口3Bと、第2流入口3Bに連通し、長手方向xに延在する第2受入流路4Bと、第2受入流路4Bに連通し、長手方向xに延在する第2移送流路5Bと、第2移送流路5Bと噴出口7に連通し、長手方向xに延在する第2噴出流路6Bが設けられる。筐体2に第3区間Cが設けられる場合は、第3区間Cには、筐体2の外部に開口し、流体が導入される第3流入口3Cと、第3流入口3Cに連通し、長手方向xに延在する第3受入流路4Cと、第3受入流路4Cに連通し、長手方向xに延在する第3移送流路5Cと、第3移送流路5Cと噴出口7に連通し、長手方向xに延在する第3噴出流路6Cが設けられる。
【0018】
各区間において、受入流路4は長手方向xに延在し、隣接する区間の受入流路4どうしは互いに長手方向xに離隔して設けられる。図1では、第1受入流路4Aと第2受入流路4Bは長手方向xに互いに離隔して設けられ、第2受入流路4Bと第3受入流路4Cは長手方向xに互いに離隔して設けられる。受入流路4は、図3および図4に示すように、長手方向xの垂直断面において、縦方向yに長く形成されることが好ましい。
【0019】
各受入流路4の長手方向xの長さは、例えば、100mm以上が好ましく、150mm以上がより好ましく、200mm以上がさらに好ましく、また1500mm以下が好ましく、1200mm以下がより好ましく、1000mm以下がさらに好ましい。各受入流路4の長手方向xの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
各受入流路4の縦方向yの長さは長手方向xの長さよりも短いことが好ましい。各受入流路4の縦方向yの長さは、例えば、15mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、また100mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。各受入流路4の厚み方向zの長さは縦方向yの長さよりも短いことが好ましい。各受入流路4の厚み方向zの長さは、例えば、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、また10mm以下が好ましい。各受入流路4の縦方向yの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、略同一であることが好ましい。各受入流路4の厚み方向zの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、略同一であることが好ましい。なお本発明において、長さが略同一とは、平均値からのばらつきが±20%以内のことを意味する。
【0021】
各受入流路4には、流体が導入される流入口3が設けられる。具体的には、第1受入流路4Aには第1流入口3Aが連通して設けられ、第2受入流路4Bには第2流入口3Bが連通して設けられ、第3受入流路4Cには第3流入口3Cが連通して設けられる。流入口3から導入された流体は、各受入流路4において長手方向xに広がる。各受入流路4には、流入口3が1つのみ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよい。各流入口3は、筐体2の主面(すなわち長手方向xと縦方向yから形成される面)または厚み方向zの側面に設けられることが好ましい。厚み方向zの側面としては、縦方向yの一方側の厚み方向zの側面、具体的には、縦方向yに対して噴出口7と反対側の厚み方向zの側面に設けられることが好ましい。なお、各流入口3は、筐体2の主面に設けられることが好ましく、これにより流入口3の大きさをより大きく設けることができ、また筐体2や受入流路4の厚み方向zの長さを小さくすることができる。
【0022】
各流入口3には、流体供給管が接続される(図示せず)。各流入口3への流体の供給は、それぞれ独立して制御される。例えば、各流入口3にバルブを設けたり、各流入口3に接続した流体供給管にバルブを設けたり、ブロワやポンプ等の流体供給手段を、各流入口3に対応して、各流入口3に接続した流体供給管にそれぞれ設けることで、各流入口3への流体の供給を独立して制御することができる。これにより、各受入流路4への流体の導入を任意に制御することができる。例えば、第1受入流路4Aと第2受入流路4Bと第3受入流路4Cの全てに流体を導入したり、第1受入流路4Aと第2受入流路4Bのみに流体を導入したり、あるいは第2受入流路4Bのみに流体を導入することができる。
【0023】
受入流路4に連通して移送流路5が設けられる。移送流路5は、縦方向yの一方側の端部が、受入流路4の縦方向yの他方側の端部に接続して設けられることが好ましい。受入流路4と移送流路5は、図3に示すように、縦方向yに互いに接続してもよい。この場合、受入流路4の縦方向yの他方側の端部と移送流路5の縦方向yの一方側の端部が縦方向yに互いに接続する。受入流路4と移送流路5は、図4に示すように、厚み方向zに互いに接続してもよい。この場合、受入流路4の縦方向yの他方側の端部と移送流路5の縦方向yの一方側の端部が厚み方向zに互いに接続する。この場合、受入流路4と移送流路5との接続部において、移送流路5は受入流路4よりも厚み方向zで流入口3側に設けられることが好ましい。
【0024】
移送流路5は、受入流路4と噴出流路6を繋ぐように設けられる。具体的には、第1移送流路5Aは第1受入流路4Aと第1噴出流路6Aを繋ぐように設けられ、第2移送流路5Bは第2受入流路4Bと第2噴出流路6Bを繋ぐように設けられ、第3移送流路5Cは第3受入流路4Cと第3噴出流路6Cを繋ぐように設けられる。流体は、各受入流路4で長手方向xに広がった後、それぞれ対応する移送流路5に導入され、移送流路5を縦方向yに流れる。これにより、各区間において、流体が長手方向xに略均等に分配される。
【0025】
各移送流路5は長手方向xに延在し、隣接する区間の移送流路5どうしは互いに長手方向xに離隔して設けられる。具体的には、第1移送流路5Aと第2移送流路5Bは長手方向xに互いに離隔して設けられ、第2移送流路5Bと第3移送流路5Cは長手方向xに互いに離隔して設けられる。
【0026】
移送流路5は、流入口3と対向しないように設けられることが好ましい。すなわち、各受入流路4において、流入口3から受入流路4に導入された流体の流れが、方向を変えずに真っ直ぐに移送流路5に向かわないことが好ましい。より好ましくは、長手方向xの垂直断面において、流入口3から受入流路4への方向ベクトルが、受入流路4から移送流路5への方向ベクトルと異なる角度となるように、流入口3と移送流路5が設けられる。当該両方向ベクトルの角度差は、45°以上が好ましく、60°以上がより好ましく、75°以上がさらに好ましく、また225°以下が好ましく、210°以下がより好ましく、195°以下がさらに好ましい。図3では、流入口3から受入流路4への方向ベクトルと受入流路4から移送流路5への方向ベクトルとの角度差が90°となっており、図4では、流入口3から受入流路4への方向ベクトルと受入流路4から移送流路5への方向ベクトルとの角度差が180°となっている。このように流入口3と移送流路5が設けられることにより、受入流路4において流体が長手方向xに広がりやすくなり、また受入流路4から移送流路5において流体が長手方向xに略均等に分配されやすくなる。
【0027】
移送流路5は、長手方向xの垂直断面における流路幅が受入流路4よりも狭く形成される。具体的には、長手方向xの垂直断面において、第1移送流路5Aの流路幅は第1受入流路4Aの流路幅よりも狭く形成され、第2移送流路5Bの流路幅は第2受入流路4Bの流路幅よりも狭く形成され、第3移送流路5Cの流路幅は第3受入流路4Cの流路幅よりも狭く形成される。各受入流路4で長手方向xに広がった流体は、それぞれ対応する移送流路5に導入され、長手方向xの垂直断面において、受入流路4から噴出流路6に向かう流れが形成される。流体は、移送流路5を流れる間に、噴出流路6に向かって整流化される。移送流路5は、長手方向xの垂直断面において、縦方向yの一方側から他方側に延びるように形成されることが好ましい。
【0028】
移送流路5と受入流路4の各流路の流路幅は、筐体2の長手方向xの垂直断面で見て、各流路の延在方向に対する垂直方向の長さとして規定される。各流路は、長手方向xの垂直断面において、基本的に縦方向yに延びるように形成され、縦方向yに延びる部分においては、当該部分の流路幅は厚み方向zの長さとなる。長手方向xの垂直断面において、各流路が厚み方向zに延びる部分を有する場合は、当該部分の流路幅は縦方向yの長さとなる。長手方向xの垂直断面において、各流路が縦方向yに対して斜め方向に延びる部分を有する場合は、当該部分の流路幅は斜めの延在方向に対する垂直方向の長さとなる。後述する噴出流路6の流路幅についても同様である。
【0029】
移送流路5の長手方向xの垂直断面における流路幅は、一定であってもよく、変化するものであってもよい。後者の場合、移送流路5の流路幅は、連続的に変化する、すなわち漸減または漸増するものであってもよく、不連続的に変化する、すなわち階段状に変化するものであってもよい。移送流路5は、移送流路5の途中で流路幅が狭くなる部分が形成されることも好ましく、これにより移送流路5における整流作用が高められる。移送流路5の流路幅が変化する場合は、移送流路5の全体が対応する受入流路4の流路幅よりも狭く形成されることが好ましい。
【0030】
各移送流路5の長手方向xの長さは、対応する受入流路4の長手方向xの長さと同程度であることが好ましく、例えば対応する受入流路4の長手方向xの長さの0.90倍以上が好ましく、0.95倍以上がより好ましく、また1.10倍以下が好ましく、1.05倍以下がより好ましい。各移送流路5の長手方向xの長さは、対応する受入流路4の長手方向xの長さと実質的に同一であることが特に好ましい。各区間において、受入流路4と移送流路5との接続部の長手方向xの長さは、対応する受入流路4の長手方向xの長さと同じであってもよく、それより短い場合は、対応する受入流路4の長手方向xの長さの0.90倍以上であることが好ましく、0.95倍以上がより好ましい。
【0031】
各移送流路5の縦方向yの長さは、例えば、15mm以上20mm以下が好ましい。各移送流路5の厚み方向zの長さは縦方向yの長さよりも短いことが好ましい。各移送流路5の縦方向yの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、略同一であることが好ましい。各移送流路5の厚み方向zの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、略同一であることが好ましい。
【0032】
噴出流路6は、長手方向xの垂直断面における流路幅が移送流路5よりも狭く形成される。具体的には、長手方向xの垂直断面において、第1噴出流路6Aの流路幅は第1移送流路5Aの流路幅よりも狭く形成され、第2噴出流路6Bの流路幅は第2移送流路5Bの流路幅よりも狭く形成され、第3噴出流路6Cの流路幅は第3移送流路5Cの流路幅よりも狭く形成される。噴出流路6において、長手方向xの垂直断面における流路幅がさらに狭まることにより、噴出流路6の出口である噴出口7から流体を薄い膜状に噴射することができる。
【0033】
噴出流路6は、長手方向xの垂直断面において、縦方向yの一方側から他方側に延びるように形成されることが好ましい。各噴出流路6の長手方向xの垂直断面における流路幅は、例えば、0.05mm以上が好ましく、0.07mm以上がより好ましく、また3mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。噴出流路6の長手方向xの垂直断面における流路幅は、略一定であることが好ましい。また、各噴出流路6の流路幅は略同一であることが好ましい。
【0034】
噴出流路6は長手方向xに延在し、隣接する区間の噴出流路6どうしが長手方向xに接続して設けられる。具体的には、第1噴出流路6Aと第2噴出流路6Bは長手方向xに接続して設けられ、第2噴出流路6Bと第3噴出流路6Cは長手方向xに接続して設けられる。その結果、噴出口7が第1区間Aから第2区間Bにかけて連続的に形成されるとともに、第2区間Bから第3区間Cにかけて連続的に形成される。噴出口7は、複数の区間にわたって連続的に延び、長手方向xに直線的に延在するように設けられる。噴出流路6および噴出口7が複数の区間にわたって連続的に形成されることにより、各区間の境目部分で流体が噴出流路6に流入し、流体を複数の区間に跨がって長手方向xに略均等に噴射することができる。噴出口7は、複数の区間にわたって、厚み方向zに略同一幅で形成されることが好ましい。
【0035】
各区間において、噴出流路6の長手方向xの長さは、対応する移送流路5の長手方向xの長さよりも長く形成されることが好ましい。一方、各区間において、移送流路5と噴出流路6との接続部の長手方向xの長さは、対応する移送流路5の長手方向xの長さと同じであってもよく、それより短い場合は、対応する移送流路5の長手方向xの長さの0.90倍以上であることが好ましく、0.95倍以上がより好ましい。
【0036】
各噴出流路6の縦方向yの長さは、例えば1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、また5mm以下が好ましい。各噴出流路6の厚み方向zの長さは縦方向yの長さよりも短いことが好ましい。各噴出流路6の縦方向yの長さは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、略同一であることが好ましい。
【0037】
噴出流路6は、長手方向xの垂直断面において、移送流路5との接続部から噴出口7に向かって直線的に延在することが好ましく、縦方向yに直線的に延在することがより好ましい。移送流路5と噴出流路6は縦方向yに互いに接続することが好ましく、すなわち、移送流路5の縦方向yの他方側の端部と噴出流路6の縦方向yの一方側の端部が縦方向yに互いに接続することが好ましい。
【0038】
スリットノズルは上記のように構成されることにより、1つのスリットノズルで長手方向に異なる長さで流体を膜状に噴射させることができる。図面に示したスリットノズル1では、第1区間A~第3区間Cのいずれか1つの区間から流体を膜状に噴射したり、第1区間Aと第2区間Bまたは第2区間Bと第3区間Cから流体を膜状に噴射したり、第1区間A~第3区間Cの全区間にわたって流体を膜状に噴射することができる。この際、各区間では、受入流路4、移送流路5、噴出流路6が上記のように形成されることにより、各区間において流体を噴出口7から長手方向xに略均等に噴射することができる。一方、隣接する2以上の区間から流体を噴出させる場合は、隣接する区間の噴出流路6が長手方向xに接続して設けられ、噴出口7が複数の区間に跨がって連続的に形成されているため、各区間の境目部分で流量が極端に多くなったり少なくなることを抑えることができ、複数の区間にわたって流体を噴出口7から長手方向xに略均等に噴射することができる。そのため、スリットノズル1によれば、対象物の大きさに応じて噴出口7からの流体の噴射幅を変えることができ、対象物の大きさが小さい場合には、流体使用量の削減を図ることができる。また、噴射幅を変えても噴射流量のばらつきを抑えることができ、長手方向xに略均等に流体を膜状に噴射することができる。なお、スリットノズル1は、第1区間Aと第3区間Cのみから流体を噴射することも当然可能である。
【0039】
図6および図7には、スリットノズルの噴射強度の測定結果を示した。図6は、従来のスリットノズルを長手方向に3つ並べて流体を噴射したときの噴射強度の測定結果を表し、図7は、本発明のスリットノズルであって、筐体内部が長手方向に3つの区間に区分されたスリットノズルから流体を噴射したときの噴射強度の測定結果を表す。図7(a)は長手方向の真ん中の区間のみから流体を噴射したときの噴射強度の測定結果を表し、図7(b)は3つの区間全てから流体を噴射したときの噴射強度の測定結果を表す。図7(b)に示された矢印は、各区間の境目を表す。流体としては空気を用い、スリットノズルの噴出口に対向して歪みゲージを設置し、スリットノズルから空気を噴射した状態で歪みゲージを通過させることで、スリットノズルの噴射強度の長手方向の分布を測定した。
【0040】
図6に示すように、従来のスリットノズルを長手方向に3つ並べた場合は、隣接するスリットノズルの間に流体が届かない断続部分が生じた。一方、本発明のスリットノズルでは、図7に示すように、1つの区間のみから流体を噴出した場合も、3つの区間全部から流体を噴射した場合も、長手方向に略均等に流体を膜状に噴射することができる。
【0041】
スリットノズル1において、各区間における移送流路5と噴出流路6との接続部の長手方向xの長さは、隣接する区間の移送流路5と噴出流路6との接続部の長手方向xの離隔距離よりも長いことが好ましい。具体的には、第1移送流路5Aと第1噴出流路6Aとの接続部の長手方向xの長さと、第2移送流路5Bと第2噴出流路6Bとの接続部の長手方向xの長さは、第1移送流路5Aと第1噴出流路6Aとの接続部と第2移送流路5Bと第2噴出流路6Bとの接続部の長手方向xの離隔距離よりも長いことが好ましく、第2移送流路5Bと第2噴出流路6Bとの接続部の長手方向xの長さと、第3移送流路5Cと第3噴出流路6Cとの接続部の長手方向xの長さは、第2移送流路5Bと第2噴出流路6Bとの接続部と第3移送流路5Cと第3噴出流路6Cとの接続部の長手方向xの離隔距離よりも長いことが好ましい。このように移送流路5と噴出流路6との接続部が形成されることにより、各区間の境目部分で流量が極端に少なくなることを抑えやすくなり、複数の区間にわたって流体を噴出口7から長手方向xに略均等に噴射しやすくなる。
【0042】
隣接する区間の移送流路5と噴出流路6との接続部の長手方向xの離隔距離8は、1mm以上10mm以下であることが好ましい(図5を参照)。具体的には、第1移送流路5Aと第1噴出流路6Aとの接続部と第2移送流路5Bと第2噴出流路6Bとの接続部の長手方向xの離隔距離8は、1mm以上10mm以下であることが好ましく、第2移送流路5Bと第2噴出流路6Bとの接続部と第3移送流路5Cと第3噴出流路6Cとの接続部の長手方向xの離隔距離8は、1mm以上10mm以下であることが好ましい。これらの離隔距離8は、3mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。このように離隔距離8の長さを調整することにより、隣接する区間の噴出流路6から噴射される流体がその境目部分で合一化されやすくなり、複数の区間にわたって流体を噴出口7から略均等に噴射しやすくなる。
【0043】
各区間における移送流路5と噴出流路6との接続部の長手方向xの長さは、例えば、100mm以上が好ましく、150mm以上がより好ましく、200mm以上がさらに好ましく、また1500mm以下が好ましく、1200mm以下がより好ましく、1000mm以下がさらに好ましい。各区間における移送流路5と噴出流路6との接続部の長手方向xの長さは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0044】
図5に示すように、隣接する区間の移送流路5の間に間隙流路9が形成され、間隙流路9は、その両側に位置する移送流路5と噴出流路6に連通していることが好ましい。図5では、間隙流路9が形成された領域がクロスハッチングで示されている。間隙流路9は、長手方向xの垂直断面における流路幅が、その両側に位置する移送流路5の流路幅よりも狭く形成され、その両側に位置する噴出流路6の流路幅と同幅かそれよりも広く形成されることが好ましい。図面に示したスリットノズル1では、第1移送流路5Aと第2移送流路5Bの間に、第1移送流路5Aと第2移送流路5Bと第1噴出流路6Aと第2噴出流路6Bに連通した間隙流路9が設けられ、間隙流路9は、長手方向xの垂直断面における流路幅が、第1移送流路5Aの流路幅と第2移送流路5Bの流路幅よりも狭く、第1噴出流路6Aの流路幅と第2噴出流路6Bの流路幅と同幅かそれよりも広く形成されることが好ましい。このように間隙流路9を設けることにより、第1移送流路5Aと第2移送流路5Bを流れる流体の一部が間隙流路9を通って第1噴出流路6Aと第2噴出流路6Bの境目部分に流れることができ、第1噴出流路6Aと第2噴出流路6Bから噴射される流体が合一化されやすくなり、複数の区間にわたって流体を噴出口7から略均等に噴射しやすくなる。同様に、第2移送流路5Bと第3移送流路5Cの間に、第2移送流路5Bと第3移送流路5Cと第2噴出流路6Bと第3噴出流路6Cに連通した間隙流路9を設け、間隙流路9は、長手方向xの垂直断面における流路幅が、第2移送流路5Bの流路幅と第3移送流路5Cの流路幅よりも狭く、第2噴出流路6Bの流路幅と第3噴出流路6Cの流路幅と同幅かそれよりも広く形成されることが好ましい。
【0045】
間隙流路9の流路幅は、例えば、0.07mm以上が好ましく、0.1mmがより好ましく、また3mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。間隙流路9の流路幅はまた、その両側に位置する噴出流路6の流路幅の1.3倍以下が好ましい。あるいは、間隙流路9の流路幅とその両側に位置する噴出流路6の流路幅の差は、0.1mm以下が好ましく、0.05mm以下がより好ましい。
【0046】
間隙流路9は、その長手方向xの一方側に位置する移送流路5と噴出流路6との接続部と他方側に位置する移送流路5と噴出流路6との接続部の離隔部分の一部のみと連通していてもよく、全部と連通していてもよい。好ましくは、間隙流路9は、当該離隔部分の長手方向xの50%以上の部分と連通している。間隙流路9はまた、長手方向xと縦方向yに延びて面状に形成されることが好ましい。
【0047】
スリットノズル1は、例えば次のように形成することができる。すなわち、図3および図4に示すように、第1ブロック21と第2ブロック22を重ね合わせて筐体2を形成し、第1ブロック21と第2ブロック22の互いの対向面に各流路を形成することにより、スリットノズル1を形成することができる。第1ブロック21は1つの部材から構成されてもよく、2以上の部材から構成されてもよい。第2ブロック22は1つの部材から構成されてもよく、2以上の部材から構成されてもよい。
【0048】
第1ブロック21と第2ブロック22の互いの対向面には受入流路4と移送流路5と噴出流路6が形成され、さらに間隙流路9が形成されてもよい。図面に示したスリットノズル1では、第1ブロック21と第2ブロック22の互いの対向面に、第1~第3受入流路4と第1~第3移送流路5と第1~第3噴出流路6が形成され、第1移送流路5Aと第2移送流路5Bの間および第2移送流路5Bと第3移送流路5Cの間に間隙流路9が形成されている。各流路は、第1ブロック21の第2ブロック22との対向面および/または第2ブロック22の第1ブロック21との対向面に凹部を設けることにより、形成することができる。例えば、第1移送流路5Aは、第1ブロック21の第2ブロック22との対向面に凹部を設けることにより形成してもよく、第2ブロック22の第1ブロック21との対向面に凹部を設けることにより形成してもよく、その両方に凹部を設けることにより形成してもよい。
【0049】
筐体2には、各流路が形成される以外の部分に、第1ブロック21と第2ブロック22を締結する締付ボルト11が設けられることが好ましい(図1および図5を参照)。これにより、第1ブロック21と第2ブロック22を一体化して、第1ブロック21と第2ブロック22の互いの対向面に各流路を形成することができる。
【0050】
筐体2には、移送流路5が形成される部分に締付ボルト12が設けられ、締付ボルト12により噴出流路6の流路幅を調整できるように形成されていることが好ましい。具体的には、移送流路5を貫通して第1ブロック21と第2ブロック22を締結する締付ボルト12が設けられ、締付ボルト12により噴出流路6の流路幅が調整可能に形成されていることが好ましい。なお、筐体2には、噴出流路6を貫通する締付ボルトは設けられないことが好ましい。噴出流路6でなく移送流路5を貫通して締付ボルト12を設けることにより、噴出流路6の流体の流れが締付ボルトによって妨げられず、また締付ボルト12によって噴出流路6の流路幅を精密に調整することが可能となり、噴出口7から流体を長手方向xに略均等に噴射しやすくなる。
【0051】
筐体2には、間隙流路9を貫通して第1ブロック21と第2ブロック22を締結する締付ボルト13が設けられ、締付ボルト13により間隙流路9の流路幅が調整可能に形成されていることも好ましい。締付ボルト13により間隙流路9の流路幅を調整することにより、各区間の境目部分での噴出口7からの噴射流量を精密に調整することができ、複数の区間にわたって流体を噴出口7から略均等に噴射しやすくなる。
【0052】
以上、本発明のスリットノズルを図面を参照して説明したが、本発明のスリットノズルは第1区間と第2区間のみを有するものであってもよく、第1~第3区間に加えて第4区間を有するものであってもよく、またそれ以上の区間を有するものであってもよい。第4区間は、図面に示したスリットノズル1において、第1区間Aに隣接して長手方向xに対して第2区間Bの反対側に設けられてもよく、第3区間Cに隣接して長手方向xに対して第2区間Bの反対側に設けられてもよい。スリットノズルからの流体の噴出方向や噴出量は、流体の種類、噴射対象物の種類、噴射の目的等に応じて適宜設定すればよく、流体は下方向に噴出してもよく、上方向に噴出してもよく、横方向に噴出してもよく、斜め方向に噴出してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:スリットノズル
2:筐体
3:流入口、3A:第1流入口、3B:第2流入口、3C:第3流入口
4:受入流路、4A:第1受入流路、4B:第2受入流路、4C:第3受入流路
5:移送流路、5A:第1移送流路、5B:第2移送流路、5C:第3移送流路
6:噴出流路、6A:第1噴出流路、6B:第2噴出流路、6C:第3噴出流路
7:噴出口
9:間隙流路
11,12,13:締付ボルト
21:第1ブロック
22:第2ブロック
A:第1区間
B:第2区間
C:第3区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7